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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】極低温冷凍機およびシール部品
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/14 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
F25B9/14 510C
F25B9/14 530Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020022796
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021127857
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】足立 俊太郎
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174061(JP,A)
【文献】実開平02-128875(JP,U)
【文献】特公昭57-48711(JP,B2)
【文献】特開2014-214769(JP,A)
【文献】実公昭56-9883(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2014/0361207(US,A1)
【文献】特開2017-142036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00 - 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレーサと、
ディスプレーサ駆動機構と、
前記ディスプレーサ駆動機構を前記ディスプレーサに連結する連結ロッドと、
前記連結ロッドを軸方向に往復動可能に支持するシール部品であって、
前記連結ロッドが挿通され、前記連結ロッドとの間に非接触シールとして働く径方向クリアランスを定めるブッシュと、
前記径方向クリアランスに対し前記ディスプレーサ駆動機構側で前記ブッシュに保持され、前記径方向クリアランスを封止する第1接触シールと、
前記径方向クリアランスに対し前記ディスプレーサ側で前記ブッシュに保持され、前記径方向クリアランスを封止する第2接触シールと、を備えるシール部品と、を備え
極低温冷凍機の運転中、前記ディスプレーサを取りまく圧力は第1圧力とこれより低い第2圧力とを周期的に変動し、前記ディスプレーサ駆動機構を取りまく圧力は前記第1圧力または前記第2圧力のいずれかに維持され、前記非接触シールは前記第1圧力と前記第2圧力の中間圧を有することを特徴とする極低温冷凍機。
【請求項2】
前記第1接触シールおよび前記第2接触シールの少なくとも一方は、前記連結ロッドに接触するシールリングと、前記シールリングを前記連結ロッドに押し付けるように前記シールリングと前記ブッシュとの間に配置されたバックリングと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の極低温冷凍機。
【請求項3】
前記ブッシュは、樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の極低温冷凍機。
【請求項4】
前記シール部品は、前記非接触シールを軸方向に分割するように前記第1接触シールと前記第2接触シールの間で前記ブッシュに保持された中間接触シールをさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の極低温冷凍機。
【請求項5】
極低温冷凍機のディスプレーサ駆動機構をディスプレーサに連結する連結ロッドを軸方向に往復動可能に支持するシール部品であって、
前記連結ロッドが挿通され、前記連結ロッドとの間に非接触シールとして働く径方向クリアランスを定めるブッシュと、
前記径方向クリアランスに対し前記ディスプレーサ駆動機構側で前記ブッシュに保持され、前記径方向クリアランスを封止する第1接触シールと、
前記径方向クリアランスに対し前記ディスプレーサ側で前記ブッシュに保持され、前記径方向クリアランスを封止する第2接触シールと、を備え
前記極低温冷凍機の運転中、前記ディスプレーサを取りまく圧力は第1圧力とこれより低い第2圧力とを周期的に変動し、前記ディスプレーサ駆動機構を取りまく圧力は前記第1圧力または前記第2圧力のいずれかに維持され、前記非接触シールは前記第1圧力と前記第2圧力の中間圧を有することを特徴とするシール部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温冷凍機およびシール部品に関する。
【背景技術】
【0002】
極低温冷凍機には、たとえばギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機のように、作動ガスの膨張空間の容積を周期的に変化させるために往復動するディスプレーサを有するものがある。膨張空間の周期的な容積変動と適切に同期して膨張空間の圧力を変動させることにより、極低温冷凍機に冷凍サイクルが構成される。
【0003】
ディスプレーサの往復動を駆動する代表的な方式の1つとして、電気モータなどの駆動源をディスプレーサに連結ロッドを用いて機械的に連結するタイプがある。連結ロッドは、ディスプレーサと膨張空間を収容する気密容器の中から外へと、気密容器に設けられたロッド挿通孔を貫通して延びる。もし、気密容器から作動ガスのリークにより膨張空間の圧力が低下したとすると、極低温冷凍機の冷凍能力が低下する。そのため、気密容器のロッド挿通孔には、作動ガスのリークを防ぐためにシール部材が装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-142036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の極低温冷凍機では、ディスプレーサが往復動するとき連結ロッドはロッド挿通孔のシール部材に対して摺動する。極低温冷凍機が長期にわたり運転されるなかで、摺動の繰り返しにより徐々にシール部材の摩耗が進行し、最終的にはシール部材はシール性能を喪失しうる。運転条件によるが、たとえば数年間の継続的な運転によりシール部材は著しく劣化しうる。シール部材の劣化は極低温冷凍機の冷凍能力の低下をもたらすので、望まれない。
【0006】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、長期信頼性に優れる極低温冷凍機用のシール部品およびこれを備える極低温冷凍機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によると、極低温冷凍機は、ディスプレーサと、ディスプレーサ駆動機構と、ディスプレーサ駆動機構をディスプレーサに連結する連結ロッドと、連結ロッドを軸方向に往復動可能に支持するシール部品と、を備える。シール部品は、連結ロッドが挿通され、連結ロッドとの間に非接触シールとして働く径方向クリアランスを定めるブッシュと、径方向クリアランスに対しディスプレーサ駆動機構側でブッシュに保持され、径方向クリアランスを封止する第1接触シールと、径方向クリアランスに対しディスプレーサ側でブッシュに保持され、径方向クリアランスを封止する第2接触シールと、を備える。
【0008】
本発明のある態様によると、シール部品は、ディスプレーサ駆動機構をディスプレーサに連結する連結ロッドを軸方向に往復動可能に支持する。シール部品は、連結ロッドが挿通され、連結ロッドとの間に非接触シールとして働く径方向クリアランスを定めるブッシュと、径方向クリアランスに対しディスプレーサ駆動機構側でブッシュに保持され、径方向クリアランスを封止する第1接触シールと、径方向クリアランスに対しディスプレーサ側でブッシュに保持され、径方向クリアランスを封止する第2接触シールと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長期信頼性に優れる極低温冷凍機用のシール部品およびこれを備える極低温冷凍機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ある実施形態に係る極低温冷凍機を概略的に示す図である。
図2図1に示される極低温冷凍機の膨張機の駆動機構を概略的に示す分解斜視図である。
図3図1に示される極低温冷凍機に搭載されるシール部品を概略的に示す図である。
図4】シール部品の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0013】
図1は、ある実施形態に係る極低温冷凍機を概略的に示す図である。図2は、図1に示される極低温冷凍機の膨張機の駆動機構を概略的に示す分解斜視図である。
【0014】
極低温冷凍機10は、作動ガス(冷媒ガスともいう)を圧縮する圧縮機12と、作動ガスを断熱膨張により冷却する膨張機14とを備える。作動ガスは例えばヘリウムガスである。膨張機14はコールドヘッドとも呼ばれる。膨張機14には作動ガスを予冷する蓄冷器16が備えられている。極低温冷凍機10は、圧縮機12と膨張機14とを各々が接続する第1管18aと第2管18bを含むガス配管18を備える。図示される極低温冷凍機10は、単段式のGM冷凍機である。
【0015】
知られているように、第1高圧を有する作動ガスが圧縮機12の吐出口12aから第1管18aを通じて膨張機14に供給される。膨張機14における断熱膨張により、作動ガスは第1高圧からそれより低い第2高圧に減圧される。第2高圧を有する作動ガスは、膨張機14から第2管18bを通じて圧縮機12の吸入口12bに回収される。圧縮機12は、回収された第2高圧を有する作動ガスを圧縮する。こうして作動ガスは再び第1高圧に昇圧される。一般に第1高圧及び第2高圧はともに大気圧よりかなり高い。説明の便宜上、第1高圧及び第2高圧はそれぞれ単に高圧及び低圧とも呼ばれる。通例、高圧は例えば2~3MPaであり、低圧は例えば0.5~1.5MPaである。高圧と低圧との差圧は例えば1.2~2MPa程度である。
【0016】
膨張機14は、膨張機可動部分20と膨張機静止部分22とを備える。膨張機可動部分20は、膨張機静止部分22に対し軸方向(図1における上下方向)に往復移動可能であるよう構成されている。膨張機可動部分20の移動方向を図1に矢印Aで示す。膨張機静止部分22は、膨張機可動部分20を軸方向に往復移動可能に支持するよう構成されている。また、膨張機静止部分22は、膨張機可動部分20を高圧ガス(第1高圧ガス及び第2高圧ガスを含む)とともに収容する気密容器として構成されている。
【0017】
膨張機可動部分20は、ディスプレーサ24と、その往復移動を駆動する連結ロッド26とを含む。ディスプレーサ24には蓄冷器16が内蔵されている。ディスプレーサ24の内部空間に蓄冷材が充填され、それによりディスプレーサ24内に蓄冷器16が形成される。ディスプレーサ24は、例えば、軸方向に延在する実質的に円柱状の形状を有し、軸方向において実質的に一様な外径及び内径を有する。よって、蓄冷器16も、軸方向に延在する実質的に円柱状の形状を有する。
【0018】
膨張機静止部分22は、大まかに、シリンダ28及び駆動機構ハウジング30からなる二部構成を有する。膨張機静止部分22の軸方向上部が駆動機構ハウジング30であり、膨張機静止部分22の軸方向下部がシリンダ28であり、これらは相互に堅く結合されている。シリンダ28は、ディスプレーサ24の往復移動を案内するよう構成されている。シリンダ28は、駆動機構ハウジング30から軸方向に延在する。シリンダ28は、軸方向において実質的に一様な内径を有し、よって、シリンダ28は、軸方向に延在する実質的に円筒の内面を有する。この内径は、ディスプレーサ24の外径よりわずかに大きい。
【0019】
また、膨張機静止部分22は、冷凍機ステージ32を含む。冷凍機ステージ32は、軸方向において駆動機構ハウジング30と反対側でシリンダ28の末端に固定されている。冷凍機ステージ32は、膨張機14が生成する寒冷を他の物体に伝導するために設けられている。その物体は冷凍機ステージ32に取り付けられ、極低温冷凍機10の動作時に冷凍機ステージ32によって冷却される。冷凍機ステージ32は、冷却ステージまたは熱負荷ステージと呼ばれることもある。
【0020】
シリンダ28は、ディスプレーサ24によって膨張空間34と上部空間36に仕切られている。ディスプレーサ24は、軸方向一端にてシリンダ28との間に膨張空間34を画定し、軸方向他端にてシリンダ28との間に上部空間36を画定する。膨張空間34は、ディスプレーサ24の上死点にて最大容積を有し、ディスプレーサ24の下死点にて最小容積を有する。上部空間36は、ディスプレーサ24の上死点にて最小容積を有し、ディスプレーサ24の下死点にて最大容積を有する。冷凍機ステージ32は、膨張空間34を外包するようにシリンダ28に固着されている。冷凍機ステージ32は、膨張空間34に熱的に結合されている。
【0021】
極低温冷凍機10の動作時において、蓄冷器16は、軸方向において一方側(図において上側)に蓄冷器高温部16aを有し反対側(図において下側)に蓄冷器低温部16bを有する。このように蓄冷器16は軸方向に温度分布を有する。蓄冷器16を包囲する膨張機14の他の構成要素(例えばディスプレーサ24及びシリンダ28)も同様に軸方向温度分布を有し、従って膨張機14はその動作時に軸方向一方側に高温部を有し軸方向他方側に低温部を有する。高温部は、例えば室温程度の温度を有する。低温部は、極低温冷凍機10の用途により異なるが、例えば約100Kから約10Kの範囲に含まれるある温度に冷却される。
【0022】
本書では説明の便宜上、軸方向、径方向、周方向との用語が使用される。軸方向は、矢印Aで図示されるように、膨張機静止部分22に対する膨張機可動部分20の移動方向を表す。径方向は軸方向に垂直な方向(図において横方向)を表し、周方向は軸方向を囲む方向を表す。膨張機14のある要素が軸方向に関して冷凍機ステージ32に相対的に近いことを「下」、相対的に遠いことを「上」と呼ぶことがある。よって、膨張機14の高温部及び低温部はそれぞれ軸方向において上部及び下部に位置する。こうした表現は、膨張機14の要素間の相対的な位置関係の理解を助けるために用いられるにすぎず、現場で設置されるときの膨張機14の配置とは関係しない。例えば、膨張機14は、冷凍機ステージ32を上向きに駆動機構ハウジング30を下向きにして設置されてもよい。あるいは、膨張機14は、軸方向を水平方向に一致させるようにして設置されてもよい。
【0023】
膨張機14は、膨張機静止部分22に支持され、ディスプレーサ24を駆動するディスプレーサ駆動機構38を備える。ディスプレーサ駆動機構38は、たとえば電気モータなどのモータ40と、スコッチヨーク機構42とを含む。連結ロッド26はスコッチヨーク機構42の一部を形成する。連結ロッド26はスコッチヨーク機構42によって軸方向に駆動されるようスコッチヨーク機構42に連結されている。連結ロッド26は、ディスプレーサ24よりも小径であり、たとえば、連結ロッド26の径は、ディスプレーサ24の径の半分より小さい。
【0024】
ディスプレーサ駆動機構38は、駆動機構ハウジング30の内部に画定される低圧ガス室37に収容されている。第2管18bが駆動機構ハウジング30に接続されており、それにより低圧ガス室37が第2管18bを通じて圧縮機12の吸入口12bに連通している。そのため、低圧ガス室37は常に低圧に維持される。
【0025】
図2に示されるように、スコッチヨーク機構42は、クランク44と、スコッチヨーク46と、を含む。クランク44は、モータ40の回転軸40aに固定される。クランク44は、回転軸40aが固定される位置から偏心した位置にクランクピン44aを有する。したがって、クランク44を回転軸40aに固定すると、クランクピン44aは、モータ40の回転軸40aと平行に延在するとともに回転軸40aから偏心した状態となる。
【0026】
スコッチヨーク46は、ヨーク板48と、ころ軸受50と、を含む。ヨーク板48は、板状の部材である。スコッチヨーク46には、その上部中央に、上部ロッド52が上方に延出するように連結され、その下部中央に、連結ロッド26が下方に延出するように連結されている。ヨーク板48の中央には、横長窓48aが形成されている。横長窓48aは、上部ロッド52および連結ロッド26が延出する方向(すなわち軸方向)に対して交差する方向、例えば直交する方向に延在する。ころ軸受50は、転動可能に横長窓48a内に配設される。ころ軸受50の中心には、クランクピン44aと係合する係合孔50aが形成されており、クランクピン44aが係合孔50aを貫通する。
【0027】
モータ40が駆動し回転軸40aが回転すると、クランクピン44aと係合したころ軸受50は、円を描くように回転する。ころ軸受50が円を描くように回転することにより、スコッチヨーク46は、軸方向に往復運動する。この際、ころ軸受50は、軸方向に交差する方向に横長窓48a内を往復移動する。
【0028】
図1に示されるように、連結ロッド26は、ディスプレーサ駆動機構38をディスプレーサ24に連結する。連結ロッド26は、低圧ガス室37から上部空間36を貫通してディスプレーサ24へと延びている。このため、スコッチヨーク46が軸方向に移動することにより、ディスプレーサ24はシリンダ28内を軸方向に往復移動する。
【0029】
図1に示されるように、摺動軸受54およびシール部品56は、膨張機静止部分22の駆動機構ハウジング30に設けられている。上部ロッド52は、摺動軸受54によって軸方向に移動可能に支持され、連結ロッド26は、シール部品56によって軸方向に移動可能に支持される。したがって、上部ロッド52および連結ロッド26、ひいてはヨーク板48、ひいてはスコッチヨーク46は、軸方向に移動可能な構成となっている。
【0030】
詳細は後述するように、シール部品56が設けられているので、駆動機構ハウジング30は、シリンダ28に対して気密に構成されており、そのため低圧ガス室37は上部空間36から隔離されている。低圧ガス室37と上部空間36との直接のガス流通はない。
【0031】
膨張機14は、ディスプレーサ24の軸方向往復動と同期させて膨張空間34の吸気と排気とを切り替えるロータリーバルブ58を備える。ロータリーバルブ58は、高圧ガスを膨張空間34に供給するための供給路の一部として機能するとともに、低圧ガスを膨張空間34から排出するための排出路の一部として機能する。ロータリーバルブ58は、ディスプレーサ24の往復移動と同期して作動ガスの供給機能と排出機能とを切り替え、それにより膨張空間34の圧力を制御するよう構成されている。ロータリーバルブ58は、ディスプレーサ駆動機構38に連結され、駆動機構ハウジング30に収容されている。
【0032】
また、膨張機14は、ハウジングガス流路64、ディスプレーサ上蓋ガス流路66、ディスプレーサ下蓋ガス流路68を有する。高圧ガスは、第1管18aからロータリーバルブ58、ハウジングガス流路64、上部空間36、ディスプレーサ上蓋ガス流路66、蓄冷器16、ディスプレーサ下蓋ガス流路68を経て膨張空間34に流入する。膨張空間34からの戻りガスは、ディスプレーサ下蓋ガス流路68、蓄冷器16、ディスプレーサ上蓋ガス流路66、上部空間36、ハウジングガス流路64、ロータリーバルブ58を経て低圧ガス室37に受け入れられる。
【0033】
ハウジングガス流路64は、膨張機静止部分22と上部空間36との間のガス流通のために駆動機構ハウジング30に貫通形成されている。
【0034】
上部空間36は、蓄冷器高温部16aの側で膨張機静止部分22とディスプレーサ24との間に形成されている。より詳しくは、上部空間36は、軸方向において駆動機構ハウジング30とディスプレーサ24とに挟まれ、周方向にシリンダ28に囲まれている。上部空間36は、低圧ガス室37に隣接する。上部空間36は室温室とも呼ばれる。上部空間36は膨張機可動部分20と膨張機静止部分22との間に形成された可変容積である。
【0035】
ディスプレーサ上蓋ガス流路66は、蓄冷器高温部16aを上部空間36に連通するよう形成されたディスプレーサ24の少なくとも1つの開口である。ディスプレーサ下蓋ガス流路68は、蓄冷器低温部16bを膨張空間34に連通するよう形成されたディスプレーサ24の少なくとも1つの開口である。ディスプレーサ24とシリンダ28とのクリアランスを封じるシール部70が、ディスプレーサ24の側面に設けられている。シール部70は、ディスプレーサ上蓋ガス流路66を周方向に囲むようディスプレーサ24に取り付けられていてもよい。
【0036】
膨張空間34は、蓄冷器低温部16bの側でシリンダ28とディスプレーサ24との間に形成されている。膨張空間34は上部空間36と同様に膨張機可動部分20と膨張機静止部分22との間に形成された可変容積であり、シリンダ28に対するディスプレーサ24の相対移動によって膨張空間34の容積は上部空間36の容積と相補的に変動する。シール部70が設けられているので、上部空間36と膨張空間34との直接のガス流通(つまり蓄冷器16を迂回するガス流れ)はない。
【0037】
ロータリーバルブ58は、ロータバルブ部材60及びステータバルブ部材62を備える。ロータバルブ部材60は、モータ40の回転により回転するようモータ40の回転軸40aに連結されている。ロータバルブ部材60は、ステータバルブ部材62に対し回転摺動するようステータバルブ部材62と面接触している。ロータバルブ部材60は、図1に示すロータバルブ軸受75により駆動機構ハウジング30内で回転可能に支持されている。ステータバルブ部材62は、駆動機構ハウジング30内にステータバルブ固定ピン73で固定される。ステータバルブ部材62は、第1管18aから駆動機構ハウジング30に入る高圧ガスを受け入れるよう構成されている。
【0038】
図3は、図1に示される極低温冷凍機に搭載されるシール部品56を概略的に示す図である。シール部品56は、連結ロッド26を軸方向に往復動可能に支持する。連結ロッド26は、駆動機構ハウジング30の下端部に設けられたロッド挿通孔77を貫通して、低圧ガス室37から上部空間36へと延在する。
【0039】
シール部品56は、ブッシュ80、第1接触シール81、第2接触シール82を備える。第1接触シール81および第2接触シール82がブッシュ80に装着され、シール部品56は、単一部品として(いわゆるサブアッシーとして)構成される。
【0040】
ブッシュ80は、連結ロッド26が挿通される筒状の部材である。連結ロッド26が細長い円柱状の形状をもつので、これに対応してブッシュ80も連結ロッド26を囲む円筒状に成形されている。ブッシュ80は、第1接触シール81を収容する第1環状凹部と、第2接触シール82を収容する第2環状凹部とを有する。これら2つの環状凹部は、ブッシュ80の内周面において、ブッシュ80の互いに反対側の軸方向端部に形成されている。
【0041】
ブッシュ80は、樹脂材料で形成されている。ブッシュ80に対して摺動する連結ロッド26は典型的に、たとえばステンレス鋼など金属材料で形成される。そこで、ブッシュ80を樹脂材料で形成することにより、連結ロッド26が摺動するとき起こりうるブッシュ80との接触や干渉による連結ロッド26の摩耗や損傷を防止または低減することができる。ブッシュ80は、たとえばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、またはその他の摺動性及び/または耐久性に優れる合成樹脂材料で形成されてもよい。このようにすれば、連結ロッド26の摺動によるブッシュ80の摩耗や損傷も防止または低減することができる。
【0042】
非接触シール83として働く径方向クリアランス84が、ブッシュ80と連結ロッド26との間に定められる。径方向クリアランス84は、ブッシュ80の内径と連結ロッド26の外径の差の半分に相当する。径方向クリアランス84は、たとえ第1接触シール81、第2接触シール82がブッシュ80に設けられていなかったとしても、低圧ガス室37と上部空間36との間でガス流れを封止し、または極低温冷凍機10の冷凍性能に実質的に影響しない程度に低減するように寸法が定められる。径方向クリアランス84は、たとえば、5μmから30μmの範囲にあってもよい。あるいは、連結ロッド26の径に対する径方向クリアランス84の比は、たとえば、0.005から0.03の範囲にあってもよい。
【0043】
ブッシュ80(すなわちシール部品56)の軸方向長さは、ロッド挿通孔77の軸方向長さ(または駆動機構ハウジング30の厚さ)の少なくとも半分より長くてもよく、たとえばロッド挿通孔77の軸方向長さのほぼ全長にわたってもよい。このようにブッシュ80の軸長を長くすることにより、非接触シール83を長くすることができるので、非接触シール83のシール性能が向上される。許容される場合には、ブッシュ80は、ロッド挿通孔77の軸方向長さを超えて延び、たとえば低圧ガス室37内に延出してもよい。ただし、低圧ガス室37内に配置されるスコッチヨーク機構42などディスプレーサ駆動機構38との干渉を避けるうえでは、ブッシュ80の軸長は、ロッド挿通孔77の軸方向長さを超えないことが望ましい。
【0044】
第1接触シール81は、径方向クリアランス84に対しディスプレーサ駆動機構38側でブッシュ80に保持され、径方向クリアランス84を封止する。第2接触シール82は、径方向クリアランス84に対しディスプレーサ24側でブッシュ80に保持され、径方向クリアランス84を封止する。
【0045】
第1接触シール81は、ブッシュ80の軸方向長さの中間よりも軸方向に上方でブッシュ80に保持され、第2接触シール82は、ブッシュ80の軸方向長さの中間よりも軸方向に下方でブッシュ80に保持される。たとえば、第1接触シール81は、ブッシュ80の第1軸方向端部に保持され、第2接触シール82は、ブッシュ80の、第1軸方向端部と反対側の第2軸方向端部に保持される。
【0046】
第1接触シール81は、連結ロッド26に接触するシールリング86と、シールリング86を連結ロッド26に押し付けるようにシールリング86とブッシュ80との間に配置されたバックリング88と、を備える。同様に、第2接触シール82は、シールリング86とバックリング88を備える。このように、第1接触シール81および第2接触シール82には、いわゆるスリッパーシールが採用される。シールリング86は、たとえばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、またはその他の摺動性及び/または耐久性に優れる合成樹脂材料で形成される。バックリング88は、たとえばOリング、またはそのほか合成ゴム製のリングであってもよい。なお、第1接触シール81と第2接触シール82のうち少なくとも一方が、スリッパーシールではなく、たとえばOリングなどその他のシール部材であってもよい。
【0047】
シール部品56は、第1接触シール81(または第2接触シール82)が装着されたとき第1接触シール81から受ける反力でブッシュ80が実質的に変形しないように設計される。そのために、たとえば、第1接触シール81を収容するブッシュ80の第1環状凹部(またはブッシュ80の軸方向端部)の剛性は、第1接触シール81の剛性(たとえばシールリング86の剛性)より大きくてもよい。また、シールリング86の剛性は、バックリング88の剛性より大きくてもよい。
【0048】
仮にブッシュ80の剛性が不十分な場合には、ブッシュ80の第1環状凹部において第1接触シール81が拡径されようとする弾性的な復元力によってブッシュ80の軸方向端部が変形されうる。ブッシュ80の変形は径方向クリアランス84を変化させ、非接触シール83のシール性能や連結ロッド26の摺動に悪影響を及ぼしうる。しかし、この実施形態では、ブッシュ80が十分な剛性をもつので、径方向クリアランス84は保持され、そうした悪影響は生じないか、最小化される。
【0049】
バックリング88の内径は、ブッシュ80の内径(径方向クリアランス84におけるブッシュ80の内径)よりも大きくてもよい。これにより、シールリング86がシール部品56に装着されていないとき、連結ロッド26は、バックリング88ではなく、ブッシュ80の内周面に接触する。このようにすれば、極低温冷凍機10の長期運転によりシールリング86が摩耗し(消失し)たとしても、連結ロッド26の摺動をブッシュ80で支持することができる。材料の選択に依存するが、典型的にはバックリング88に比べてブッシュ80のほうが強度に優れる。シールリング86の摩耗後に起こりうるバックリング88と連結ロッド26との接触によるバックリング88の破損やそれに伴う異物の生成を避けられる。
【0050】
第1接触シール81から第2接触シール82への軸方向距離、すなわち非接触シール83の軸方向長さは、第1接触シール81から低圧ガス室37側の駆動機構ハウジング30の内面までの距離よりも長くてもよい。同様に、非接触シール83の軸方向長さは、第2接触シール82から上部空間36に面する駆動機構ハウジング30の表面までの距離よりも長くてもよい。非接触シール83の軸方向長さは、ブッシュ80の軸長の少なくとも半分よりも長くてもよい。このように、非接触シール83を長くすることにより、非接触シール83のシール性能を向上することができる。
【0051】
なお、第1接触シール81、第2接触シール82がブッシュ80の軸方向末端に配置されることは必須ではない。ブッシュ80は、第1接触シール81を越えて軸方向に上方に延びていてもよい。ブッシュ80は、第2接触シール82を越えて軸方向に下方に延びていてもよい。この場合、第1接触シール81よりも軸方向上方でブッシュ80と連結ロッド26との間に、追加の非接触シールとして機能する径方向クリアランスが形成されてもよい。同様に、第2接触シール82よりも軸方向下方でブッシュ80と連結ロッド26との間に、追加の非接触シールとして機能する径方向クリアランスが形成されてもよい。
【0052】
シール部品56は、ロッド挿通孔77において駆動機構ハウジング30に装着される。上ワッシャ90がシール部品56の上端に隣接し、駆動機構ハウジング30とシール部品56の間に挟み込まれる。第1接触シール81は、ブッシュ80と上ワッシャ90に軸方向に挟み込まれて保持される。また、下ワッシャ92がシール部品56の下端に隣接し、駆動機構ハウジング30とシール部品56の間に挟み込まれる。第2接触シール82は、ブッシュ80と下ワッシャ92に軸方向に挟み込まれて保持される。下ワッシャ92は、たとえばC字状の止め輪であってもよく、シール部品56が駆動機構ハウジング30から上部空間36に抜け落ちないようにシール部品56を駆動機構ハウジング30に保持する。
【0053】
また、シール部品56を受け入れる駆動機構ハウジング30の凹部とブッシュ80の外周面との間には、たとえばOリングなどのシール部材94が装着される。シール部材94により、シール部品56の外側でのガスのリークが防止される。
【0054】
以上、実施の形態に係る極低温冷凍機10の構成を述べた。続いてその動作を説明する。ディスプレーサ24が下死点またはその近傍にあるとき、ロータリーバルブ58は、圧縮機12の吐出口12aを膨張空間34に接続するように切り替わり、冷凍サイクルの吸気工程が開始される。高圧ガスが、ロータリーバルブ58からハウジングガス流路64、上部空間36、ディスプレーサ上蓋ガス流路66を通じて蓄冷器高温部16aに入る。ガスは蓄冷器16を通過しながら冷却され、蓄冷器低温部16bからディスプレーサ下蓋ガス流路68を通じて膨張空間34に入る。ガスが膨張空間34に流入する間、ディスプレーサ24は下死点から上死点に向けてシリンダ28内を軸方向上向きに動く。それにより膨張空間34の容積が増加される。こうして膨張空間34は高圧ガスで満たされる。
【0055】
ディスプレーサ24が上死点またはその近傍にあるとき、ロータリーバルブ58は、圧縮機12の吸入口12bを膨張空間34に接続するように切り替わり、冷凍サイクルの排気工程が開始される。このとき膨張空間34内の高圧ガスは膨張し冷却される。膨張したガスは、膨張空間34からディスプレーサ下蓋ガス流路68を通じて蓄冷器16に入る。ガスは蓄冷器16を通過しながら冷却する。ガスは、蓄冷器16からハウジングガス流路64、ロータリーバルブ58、低圧ガス室37を経て圧縮機12に戻る。ガスが膨張空間34から流出する間、ディスプレーサ24は上死点から下死点に向けてシリンダ28内を軸方向下向きに動く。それにより膨張空間34の容積が減少され、膨張空間34から低圧ガスが排出される。排気工程が終了すると、再び吸気工程が開始される。
【0056】
駆動機構ハウジング30と連結ロッド26の間にシール部品56が設けられ、上部空間36および膨張空間34は低圧ガス室37から封止されているので、上部空間36および膨張空間34から低圧ガス室37へのガスのリークは実質的に生じない。
【0057】
以上が極低温冷凍機10における1回の冷凍サイクルである。極低温冷凍機10は冷凍サイクルを繰り返すことで、冷凍機ステージ32を所望の温度に冷却する。よって、極低温冷凍機10は、冷凍機ステージ32に熱的に結合された物体を極低温に冷却することができる。
【0058】
実施の形態によれば、シール部品56は、第1接触シール81および第2接触シール82を備えるので、新規に製造された極低温冷凍機10は、運転開始からしばらくの間(たとえば数年程度)、これら2つの接触シールが有効に機能する。2つの接触シールそれぞれが受け持つべき負荷は、接触式シールを一つだけしか有しない比較例に係るシール部に比べて、およそ半分となる。連結ロッド26との摺動による第1接触シール81および第2接触シール82の摩耗の進行を遅らせることができ、これら2つの接触シールのシール性能を長期にわたり維持することができる。
【0059】
極低温冷凍機10の運転中、ディスプレーサ24を取りまく圧力、すなわち上部空間36および膨張空間34の圧力は、第1圧力(高圧)とこれより低い第2圧力(低圧)とを周期的に変動する。ディスプレーサ駆動機構38を取りまく圧力、すなわち低圧ガス室37の圧力は、第2圧力に維持される。非接触シール83は、第1圧力と第2圧力の中間圧を有する。したがって、接触式シールが一つだけしか設けられていない比較例に比べて、第1接触シール81および第2接触シール82それぞれに作用する差圧は、およそ半分となる。第1接触シール81、第2接触シール82に働く負荷は半減され、これは第1接触シール81、第2接触シール82の長寿命化につながる。
【0060】
さらに、第1接触シール81および第2接触シール82が長期にわたる極低温冷凍機10の運転を経て摩耗したとしても、シール部品56は非接触シール83を有するので、シール部品56のシール性能は失われない。2つの接触シールが有効に機能しているときに比べれば、非接触シール83単体のシール性能はいくらか劣るかもしれないが、極低温冷凍機10の冷凍性能が顕著に損なわれないように非接触シール83を設計することは可能である。接触式シールが一つだけしか設けられていない比較例では、接触式シールが摩耗したとき直ちに冷凍性能が大きく低下しうるが、実施の形態によれば、そうした不都合は解消または緩和される。
【0061】
したがって、実施の形態に係るシール部品56は、接触式のシール部材の消耗に対してロバストな設計をもつ。実施の形態によれば、長期信頼性に優れる極低温冷凍機用のシール部品56およびこれを備える極低温冷凍機10を提供することができる。
【0062】
図4は、シール部品56の他の例を示す図である。図示されるように、シール部品56は、非接触シール83を軸方向に分割するように第1接触シール81と第2接触シール82の間でブッシュ80に保持された中間接触シール96をさらに備えてもよい。中間接触シール96によって、非接触シール83が第1部分83aと第2部分83bに分割されている。このようにして、追加の接触シールを設けることにより、個々の接触シールにかかる負荷は、より低減される。
【0063】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0064】
ある実施形態においては、シール部品56は、上部ロッド52を摺動可能に支持する摺動軸受54として駆動機構ハウジング30に装着されてもよい。
【0065】
ある実施形態においては、駆動機構ハウジング30内に高圧の作動ガスが導入されてもよく、ディスプレーサ駆動機構38は高圧ガス室に配置されてもよい。この場合、極低温冷凍機の運転中、ディスプレーサを取りまく圧力は第1圧力とこれより低い第2圧力とを周期的に変動し、ディスプレーサ駆動機構を取りまく圧力は第1圧力に維持される。このようにしても、上述の実施の形態と同様に、非接触シール83は第1圧力と第2圧力の中間圧を有することができる。
【0066】
上述の実施形態では、ディスプレーサ駆動機構38がスコッチヨーク機構42を含む場合を例として説明したが、他の形式のディスプレーサ駆動機構も適用可能である。たとえば、極低温冷凍機10は、ディスプレーサ24がガス圧によって駆動される、いわゆるガス駆動型のGM冷凍機であってもよい。この場合、ディスプレーサ24から延びる連結ロッド26は、スコッチヨーク機構42に代えて、駆動ピストンに剛に連結される。駆動ピストンは、駆動機構ハウジング30に収められてもよい。駆動ピストンに働く圧力とディスプレーサ24に働く圧力との圧力差によりディスプレーサ24が軸方向に往復するように、駆動ピストンに働く圧力が制御される。駆動ピストンに働く圧力の制御は通例、たとえばロータリーバルブ58を利用して行われうる。上述の実施形態と同様に、連結ロッド26は、シール部品56によって軸方向に移動可能に支持される。それとともに、ディスプレーサ24を軸方向に往復させる圧力差がシール部品56によって保たれる。
【0067】
上記においては、単段式のGM冷凍機に言及して実施の形態を説明した。本発明はこれに限られず、実施の形態に係るシール部品56は、二段式または多段式のGM冷凍機、または、ディスプレーサ駆動機構をディスプレーサに連結する連結ロッドを有するその他の極低温冷凍機に適用可能である。
【0068】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0069】
10 極低温冷凍機、 24 ディスプレーサ、 26 連結ロッド、 38 ディスプレーサ駆動機構、 56 シール部品、 80 ブッシュ、 81 第1接触シール、 82 第2接触シール、 83 非接触シール、 84 径方向クリアランス、 86 シールリング、 88 バックリング。
図1
図2
図3
図4