(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 9/40 20180101AFI20240402BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240402BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20240402BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20240402BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240402BHJP
F21S 41/00 20180101ALN20240402BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240402BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20240402BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240402BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240402BHJP
【FI】
F21V9/40 400
F21V5/00 510
F21V7/00 510
F21V7/04 500
F21S2/00 311
F21S41/00
F21Y115:10
F21Y115:20
F21Y115:30
F21Y101:00 300
(21)【出願番号】P 2020047449
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】井戸 博章
(72)【発明者】
【氏名】都甲 康夫
【審査官】五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204709(JP,A)
【文献】特開2019-200941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00 - 1/56
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリメートされた光を前方に向けて照射する光源部と、
前記光源部の前方に配置されて、前記光源部により照射された光の拡散を制御する第1の液晶素子と、
前記第1の液晶素子の前方に配置されて、前記第1の液晶素子により拡散された光の配光を制御する第1の反射部材
と、
前記第1の反射部材の前方に配置されて、前記光源部により照射された光の拡散を制御する第2の液晶素子とを備え、
前記第1の液晶素子
及び前記第2の液晶素子の駆動を切り替えることによって、前記コリメートされた光と、前記第1の液晶素子により拡散された光と
、前記第2の液晶素子により拡散された光とを照明光として切り替え自在に照射することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1の反射部材は、前記第1の液晶素子の前方の周囲を囲むように筒状に形成された第1の反射面を有し、
前記第1の反射面は、前方に向かって少なくとも一の方向における幅が漸次拡大された形状を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の反射面は、前方に向かって漸次拡径された形状を有することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2の液晶素子の前方に配置されて、前記第2の液晶素子により拡散された光の配光を制御する第2の反射部材を備えることを特徴とする請求項
1~3の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第2の反射部材は、前記第2の液晶素子の前方の周囲を囲むように筒状に形成された第2の反射面を有し、
前記第2の反射面は、前方に向かって少なくとも一の方向における幅が漸次拡大された形状を有することを特徴とする請求項
4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2の反射面は、前方に向かって漸次拡径された形状を有することを特徴とする請求項
5に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、照明光を照射する照明装置がある。照明装置には、インテリア照明や展示照明、ミュージアム照明、舞台照明など、一般照明用から特殊照明用まで様々な用途のものがある。また、照明装置は、車両に搭載される車両用灯具や、監視カメラにおける赤外線照射、液晶表示装置のバックライトなどにも利用されている。
【0003】
ところで、近年の照明装置では、発光ダイオード(LED)の高輝度化や低コスト化が進むに従って、光源にLEDを採用したものが徐々に増えてきている。一方、LEDは、長寿命で消費電力が少ないといったメリットがある反面、配光が制御されなければランバーシアンで発光するに留まる特性を持ち合わせている。
【0004】
そこで、照明装置では、レンズやリフレクタ、拡散板などを用いて、LEDなどの光源から出射された光の配光制御を行い、望ましい照明光を得ることが行われている(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-134337号公報
【文献】特開2002-287140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の照明装置では、上述したレンズやリフレクタ、拡散板などを用いることによって、配光が制御された照明光が得られる一方、所定の照射エリアに向けて配光が固定的に制御された照明光のみを照射する構成となっている。このため、照明光の配光を可変に制御することは困難である。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、照明光の配光を可変に制御することを可能とした照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 コリメートされた光を前方に向けて照射する光源部と、
前記光源部の前方に配置されて、前記光源部により照射された光の拡散を制御する第1の液晶素子と、
前記第1の液晶素子の前方に配置されて、前記第1の液晶素子により拡散された光の配光を制御する第1の反射部材と、
前記第1の反射部材の前方に配置されて、前記光源部により照射された光の拡散を制御する第2の液晶素子とを備え、
前記第1の液晶素子及び前記第2の液晶素子の駆動を切り替えることによって、前記コリメートされた光と、前記第1の液晶素子により拡散された光と、前記第2の液晶素子により拡散された光とを照明光として切り替え自在に照射することを特徴とする照明装置。
〔2〕 前記第1の反射部材は、前記第1の液晶素子の前方の周囲を囲むように筒状に形成された第1の反射面を有し、
前記第1の反射面は、前方に向かって少なくとも一の方向における幅が漸次拡大された形状を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の照明装置。
〔3〕 前記第1の反射面は、前方に向かって漸次拡径された形状を有することを特徴とする前記〔2〕に記載の照明装置。
〔4〕 前記第2の液晶素子の前方に配置されて、前記第2の液晶素子により拡散された光の配光を制御する第2の反射部材を備えることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の照明装置。
〔5〕 前記第2の反射部材は、前記第2の液晶素子の前方の周囲を囲むように筒状に形成された第2の反射面を有し、
前記第2の反射面は、前方に向かって少なくとも一の方向における幅が漸次拡大された形状を有することを特徴とする前記〔4〕に記載の照明装置。
〔6〕 前記第2の反射面は、前方に向かって漸次拡径された形状を有することを特徴とする前記〔5〕に記載の照明装置。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、照明光の配光を可変に制御することを可能とした照明装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の構成を示し、(A)は第1の液晶素子の駆動をオフ(OFF)とした状態を示す模式図、(B)は第1の液晶素子の駆動をオン(ON)とした状態を示す模式図である。
【
図2】第1の反射部材の形状を示し、(A)はその正面図、(B)はその上面図である。
【
図3】
図1(A)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
【
図4】
図1(B)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
【
図5】第1の反射面による照明光の配光制御について説明するための模式図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る照明装置の構成を示し、(A)は第1の液晶素子及び第2の液晶素子の駆動をオフ(OFF)とした状態を示す模式図、(B)は第1の液晶素子の駆動をオン(ON)、第2の液晶素子の駆動をオフ(OFF)とした状態を示す模式図、(C)は第1の液晶素子の駆動をオフ(OFF)、第2の液晶素子の駆動をオン(ON)とした状態を示す模式図である。
【
図7】
図6(A)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
【
図8】
図6(B)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
【
図9】
図6(C)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
【
図10】
図6に示す照明装置の構成に第2の反射部材を追加した構成を示す模式図である。
【
図11】第1の反射部材及び第2の反射部材として別の形状の反射部材を示し、(A)はその正面図、(B)はその上面図である。
【
図12】
図11に示す反射部材を用いた場合において、(A)は
図6(A)に示す状態における照明光のスポット形状を示す模式図、(B)は
図6(B)に示す状態における照明光のスポット形状を示す模式図、(C)は
図6(C)に示す状態における照明光のスポット形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を照明装置の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を照明装置の左右方向(幅方向)、Z軸方向を照明装置の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図5に示す照明装置1Aについて説明する。
【0014】
なお、
図1は、照明装置1Aの構成を示し、(A)は第1の液晶素子3の駆動をオフ(OFF)とした状態を示す模式図、(B)は第1の液晶素子3の駆動をオン(ON)とした状態を示す模式図である。
図2は、第1の反射部材4の形状を示し、(A)はその正面図、(B)はその上面図である。
図3は、
図1(A)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
図4は、
図1(B)に示す状態において照射される照明光について、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
図5は、第1の反射面4aによる照明光Lの配光制御について説明するための模式図である。
【0015】
本実施形態の照明装置1Aは、コリメートされた光(以下、「コリメート光」という。)L1を前方に向けて照射する光源部2と、光源部2の前方に配置されて、光源部2により照射されたコリメート光L1の拡散を制御する第1の液晶素子3と、第1の液晶素子3の前方に配置されて、第1の液晶素子3により拡散された光(以下、「拡散光」という。)L2の配光を制御する第1の反射部材4とを備えている。
【0016】
光源部2については、コリメート光L1を照射するものであればよく、その構成について特に限定されるものではない。例えば、光源部2は、LEDなどの光源から放射状に出射された光を、コリメート光学系を用いて光軸寄りに集光しながら、コリメート光L1に変換する構成を有している。コリメート光学系については、導光レンズを用いたものや、リフレクタを用いたものなど、従来より公知なものを用いることができる。また、光源についても、上述したLED以外にも、レーザーダイオード(LD)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)、放電管等を用いることができる。
【0017】
第1の液晶素子3については、例えば、高分子マトリクス内において液晶が相分離した構造を有する高分子分散型液晶(PDLC)を用いることができる。第1の液晶素子3は、駆動回路30と電気的に接続されて、この駆動回路30により駆動制御される。
【0018】
第1の液晶素子3では、駆動をオフ(OFF)としたときに、すなわち電圧の無印加時において、高分子と液晶との屈折率差をほぼ等しくすることで、第1の液晶素子3が透明な状態(透過モード)となる。これにより、第1の液晶素子3では、光源部2により照射されたコリメート光L1を拡散させずに、そのままコリメート光L1として透過させることができる。
【0019】
一方、第1の液晶素子3では、駆動をオン(ON)としたときに、すなわち電圧の印加時において、液晶の配列が不規則な状態を誘起することによって、不透明な白色状態(拡散モード)となる。これにより、第1の液晶素子3では、光源部2により照射されたコリメート光L1を拡散さながら、拡散光L2として透過させることができる。
【0020】
また、第1の液晶素子3の駆動方式については、1つのセグメントを電極間に印加される駆動電圧を制御して透過モードと拡散モードとを切り替えるセグメント方式であってもよく、マトリックス状に配置された各ドット(ピクセル)の電極間に印加される駆動電圧を制御して任意のエリアで透過モードと拡散モードとを切り替えるドットマトリックス方式であってもよい。
【0021】
第1の反射部材4については、例えばアルミ蒸着膜などの反射膜が表面に設けられた樹脂成形部材や、白色の樹脂成形部材、アルミダイキャストなどの金属成形部材などを用いることができる。
【0022】
第1の反射部材4は、
図2(A),(B)に示すように、第1の液晶素子3の前方の周囲を囲む筒状(本実施形態では略円錐台形筒状)のリフレクタを構成している。また、第1の反射部材4の内周面は、第1の反射面4aを構成している。したがって、この第1の反射面4aは、前方に向かって漸次拡径された略円錐台形筒状を有している。
【0023】
以上のような構成を有する本実施形態の照明装置1Aでは、第1の液晶素子3の駆動を切り替えることによって、コリメート光L1と、第1の液晶素子3により拡散された拡散光L2とを照明光Lとして切り替え自在に照射することが可能である。
【0024】
具体的に、この照明装置1Aでは、
図1(A)に示すように、第1の液晶素子3の駆動をオフ(OFF)とした状態において、コリメート光L1が第1の液晶素子3を通過したときに拡散させずに、そのまま照明光Lとして前方に照射される。この場合の照明光L(コリメート光L1)は、
図3(A)に示すスポット形状と、
図3(B)に示す光度分布とを有している。
【0025】
一方、本実施形態の照明装置1Aでは、
図1(B)に示すように、第1の液晶素子3の駆動をオン(ON)とした状態において、コリメート光L1が第1の液晶素子3を通過したときに拡散されて拡散光L2となる。また、第1の反射部材4は、第1の反射面4aに入射した拡散光L2を前方に向けて反射する。これにより、第1の反射部材4により配光が制御された拡散光L2が照明光Lとして前方に照射される。この場合の照明光L(拡散光L2)は、
図4(A)に示すスポット形状と、
図4(B)に示す光度分布とを有している。
【0026】
すなわち、
図4(A)に示す照明光L(拡散光L2)のスポット形状は、
図3(A)に示す照明光L(コリメート光L1)のスポット形状よりも拡径された形状を有している。一方、
図4(B)に示す照明光L(拡散光L2)の光度分布は、
図3(B)に示す照明光L(コリメート光L1)光度分布よりもピークが低く且つ幅広な分布を有している。
【0027】
ここで、第1の反射面4aによる照明光L(拡散光L2)の配光制御について、
図5を参照しながら説明する。
【0028】
第1の反射面4aは、第1の反射部材4の中心軸AXに沿った断面において、中心軸AXに対して所定の角度(以下、「傾斜角」という。)θで傾斜して設けられている。このとき、第1の液晶素子3により拡散された照明光L(拡散光L2)のうち、この第1の液晶素子3の中心Pから第1の反射面4aに入射する光線Bの中心軸AXに対する角度(以下、「入射角」という。)をθ1とする。
【0029】
入射角θ1が傾斜角θ以下となる場合(θ≧θ1)、光線Bは、第1の反射面4aに入射することなく、第1の反射部材4の前方に向けて出射される。(なお、
図5において図示せず。)
【0030】
一方、入射角θ1が傾斜角θよりも大きくなる場合(θ<θ1)、光線Bは、第1の反射面4aに入射することによって、中心軸AXと平行な角度を0°としたきに、θ1-2θの角度(以下、「配光角」という。)で反射した後、第1の反射部材4の前方に向けて出射される。
【0031】
したがって、配光角(θ1-2θ)は、傾斜角θと入射角θ1との関係から計算より求めることができる。その計算結果をまとめたものを下記表1に示す。なお、下記表1では、傾斜角θを10°,20°,30°,40°,50°,60°とし、それぞれの傾斜角θに対して入射角θ1を10°,20°,30°,40°,50°,60°,70°,80°とした場合について、配光角を計算により求めている。
【0032】
【0033】
表1に示すように、傾斜角θが30°よりも大きくなる場合、配光角は、およそ傾斜角θと同じとなる。一方、傾斜角θが20°以下となる場合(θ≦20°)、配光角は、第1の反射部材4を通過する間に、第1の反射面4aに入射して反射を繰り返さないと、傾斜角θに近づかないため、この第1の反射部材4の全長Dを長くする必要がある。
【0034】
また、第1の液晶素子3により拡散された照明光L(拡散光L2)を第1の反射面4aに入射させるためには、第1の反射部材4の入射側の内径φ1よりも出射側の内径φ2を大きくすることが望ましい(φ1<φ2)。
【0035】
以上のように、本実施形態の照明装置1Aでは、上述した第1の液晶素子3の駆動を切り替えることによって、コリメート光L1と、第1の液晶素子3により拡散された拡散光L2とを照明光Lとして切り替え自在に照射しながら、この照明光Lの配光を可変に制御することが可能である。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図6~
図9に示す照明装置1Bについて説明する。
【0037】
なお、
図6は、照明装置1Bの構成を示し、(A)は第1の液晶素子3及び第2の液晶素子の駆動をオフ(OFF)とした状態を示す模式図、(B)は第1の液晶素子3の駆動をオン(ON)、第2の液晶素子の駆動をオフ(OFF)とした状態を示す模式図、(C)は第1の液晶素子3の駆動をオフ(OFF)、第2の液晶素子の駆動をオン(ON)とした状態を示す模式図である。
図7は、
図6(A)に示す状態において照射される照明光Lについて、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
図8は、
図6(B)に示す状態において照射される照明光Lについて、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。
図9は、
図6(C)に示す状態において照射される照明光Lについて、(A)はそのスポット形状を示す模式図、(B)はその光度分布図である。また、以下の説明では、上記照明装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0038】
本実施形態の照明装置1Bは、上記照明装置1Aの構成に加えて、第1の反射部材4の前方に配置されて、光源部2により照射されたコリメート光L1の拡散を制御する第2の液晶素子5を備えている。
【0039】
第2の液晶素子5については、上記第1の液晶素子3と同じ構造のものを用いることができる。第2の液晶素子5は、駆動回路30と電気的に接続されて、この駆動回路30により駆動制御される。
【0040】
これにより、第2の液晶素子5では、駆動をオフ(OFF)としたときに、光源部2により照射されたコリメート光L1を拡散させずに、そのままコリメート光L1として透過させることができる。一方、第2の液晶素子5では、駆動をオン(ON)としたときに、光源部2により照射されたコリメート光L1を拡散さながら、拡散光L3として透過させることができる。
【0041】
なお、第2の液晶素子5については、上記第1の液晶素子3とはコリメート光L1の拡散制御が同じものであってもよく、コリメート光L1の拡散制御が異なるものであってもよい。すなわち、これら第1の液晶素子3と第2の液晶素子5との間で、コリメート光L1の拡散度合いを任意に変更することが可能である。
【0042】
以上のような構成を有する本実施形態の照明装置1Bでは、第1の液晶素子3及び第2の液晶素子5の駆動を切り替えることによって、コリメート光L1と、第1の液晶素子3により拡散された拡散光(以下、「第1の拡散光」として区別する。)L2と、第2の液晶素子5により拡散された拡散光(以下、「第2の拡散光」として区別する。)L3とを照明光Lとして切り替え自在に照射することが可能である。
【0043】
具体的に、この照明装置1Bでは、
図6(A)に示すように、第1の液晶素子3の駆動をオフ(OFF)とし、第2の液晶素子5の駆動をオフ(OFF)とした状態において、コリメート光L1が第1の液晶素子3及び第2の液晶素子5を通過したときに拡散させずに、そのまま照明光Lとして前方に照射される。この場合の照明光Lは、
図7(A)に示すスポット形状と、
図7(B)に示す光度分布とを有している。
【0044】
一方、本実施形態の照明装置1Bでは、
図6(B)に示すように、第1の液晶素子3の駆動をオン(ON)とし、第2の液晶素子5の駆動をオフ(OFF)とした状態において、コリメート光L1が第1の液晶素子3を通過したときに拡散されて第1の拡散光L2となる。また、第1の反射部材4は、第1の反射面4aに入射した第1の拡散光L2を前方に向けて反射する。さらに、第1の反射部材4により配光が制御された第1の拡散光L2は、第2の液晶素子5を通過したときに拡散させずに、そのまま照明光Lとして前方に照射される。この場合の照明光Lは、
図8(A)に示すスポット形状と、
図8(B)に示す光度分布とを有している。
【0045】
すなわち、
図8(A)に示す照明光L(第1の拡散光L2)のスポット形状は、
図7(A)に示す照明光L(コリメート光L1)のスポット形状よりも拡径された形状を有している。一方、
図8(B)に示す照明光L(第1の拡散光L2)の光度分布は、
図7(B)に示す照明光L(コリメート光L1)光度分布よりもピークが低く且つ幅広な分布を有している。
【0046】
一方、本実施形態の照明装置1Bでは、
図6(C)に示すように、第1の液晶素子3の駆動をオフ(OFF)とし、第2の液晶素子5の駆動をオン(ON)とした状態において、コリメート光L1が第1の液晶素子3を通過したときに拡散させずに、そのままコリメート光L1として第1の反射部材4を通過する。一方、コリメート光L1は、第2の液晶素子5を通過したときに拡散されて第2の拡散光L3となる。これにより、第2の拡散光L3が照明光Lとして前方に照射される。この場合の照明光Lは、
図9(A)に示すスポット形状と、
図9(B)に示す光度分布とを有している。
【0047】
すなわち、
図9(A)に示す照明光L(第2の拡散光L3)のスポット形状は、
図8(A)に示す照明光L(第1の拡散光L2)のスポット形状よりも更に拡径された形状を有している。一方、
図9(B)に示す照明光L(第2の拡散光L3)の光度分布は、
図8(B)に示す照明光L(第1の拡散光L2)光度分布よりも更にピークが低く且つ幅広な分布を有している。
【0048】
以上のように、本実施形態の照明装置1Bでは、上述した第1の液晶素子3及び第2の液晶素子5の駆動を切り替えることによって、コリメート光L1と、第1の液晶素子3により拡散された第1の拡散光L2と、第2の液晶素子5により拡散された第2の拡散光L3とを照明光Lとして切り替え自在に照射しながら、この照明光Lの配光を可変に制御することが可能である。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、
図10に示すように、上記照明装置1Bの構成に加えて、第2の液晶素子5の前方に配置されて、第2の液晶素子5により拡散された第2の拡散光L3の配光を制御する第2の反射部材6を備えた構成としてもよい。
【0050】
第2の反射部材6については、上記第1の反射部材4と同じ構造のものを用いることができる。すなわち、この第2の反射部材6は、第2の液晶素子5の前方の周囲を囲む筒状(本実施形態では略円錐台形筒状)のリフレクタを構成している。また、第2の反射部材5の内周面は、第2の反射面6aを構成している。したがって、この第2の反射面6aは、前方に向かって漸次拡径された略円錐台形筒状を有している。
【0051】
第2の反射部材6は、第2の反射面6aに入射した第2の拡散光L3を前方に向けて反射する。これにより、上記
図6(C)に示す状態において、第2の反射部材6により配光が制御された第2の拡散光L3を照明光Lとして前方に照射することができる。
【0052】
なお、第2の反射部材6については、上記第1の反射部材4とは第2の拡散光L3の拡散制御が同じものであってもよく、第2の拡散光L3の拡散制御が異なるものであってもよい。すなわち、これら第1の反射部材4と第2の反射部材6との間で、第1の拡散光L2の配光角と第2の拡散光L3の配光角とを任意に変更することが可能である。
【0053】
また、上記第1の反射部材4及び第2の反射部材6については、上述した
図2(A),(B)に示す形状のものに限らず、例えば
図11(A),(B)に示す形状の反射部材7であってもよい。なお、
図11は、第1の反射部材4及び第2の反射部材6として別の形状の反射部材7を示し、(A)はその正面図、(B)はその上面図である。
【0054】
具体的に、この反射部材7は、
図11(A),(B)に示すように、略四角錐台形筒状のリフレクタを構成している。また、反射部材7の内周面は、反射面7aを構成している。したがって、この反射面7aは、前方に向かって左右方向の幅が漸次拡大された略四角錐台形筒状を有している。
【0055】
この反射部材7を用いた場合における照明光L(コリメート光L1)のスポット形状を
図12(A)~(C)に示す。なお、
図12(A)は、
図6(A)に示す状態における照明光L(コリメート光L1)のスポット形状を示す模式図である。
図12(B)は、
図6(B)に示す状態における照明光L(第1の拡散光L2)のスポット形状を示す模式図である。
図12(C)は、
図6(C)に示す状態における照明光L(第2の拡散光L2)のスポット形状を示す模式図である。
【0056】
このうち、
図12(A)に示す照明光L(コリメート光L1)のスポット形状は、上記
図7(A)に示す照明光L(コリメート光L1)のスポット形状と同じ形状を有している。
【0057】
一方、
図12(B)に示す照明光L(第1の拡散光L2)のスポット形状は、上記
図8(A)に示す照明光L(第1の拡散光L2)のスポット形状よりも左右方向には幅広、且つ、上下方向には左右方向よりも幅広な形状を有している。
【0058】
一方、
図12(C)に示す照明光L(第2の拡散光L3)のスポット形状は、上記
図9(A)に示す照明光L(第2の拡散光L3)のスポット形状よりも拡径された形状を有している。
【0059】
なお、反射部材7については、上述した
図11(A),(B)に示す左右方向の幅が漸次拡大された反射面7aを有する構成に限らず、前方に向かって少なくとも一の方向における幅が漸次拡大された反射面を有する構成であればよい。したがって、反射面の形状については、それ以外にも、例えば左右方向の幅及び上下方向の幅が漸次拡大された形状とすることも可能である。
【0060】
また、反射部材は、上述したリフレクタにより構成されたものに必ずしも限定されるものではなく、導光レンズにより構成されるものであってもよい。
【0061】
この場合、液晶素子により拡散された拡散光を、導光レンズの一端側(後端)側にある入射面から導光レンズの内部へと入射した後に、導光レンズの周面により構成される反射面に入射した拡散光を前方に向けて(全)反射しながら、拡散光を導光レンズの他端側(先端)側にある出射面から導光レンズの外部へと出射する構成とすればよい。
【0062】
なお、上記液晶素子3及び第2の液晶素子5については、上述した電圧の無印加時に透過モードとなり、電圧の印加時に拡散モードとなるものに限らず、電圧の無印加時に拡散モードとなり、電圧の印加時に透過モードとなるものを用いることも可能である。
【0063】
この場合、上記液晶素子3及び第2の液晶素子5とは駆動の切り替え(ON/OFF)が逆となる以外は、上記液晶素子3及び第2の液晶素子5と同様に用いることが可能である。
【0064】
また、上記第1の液晶素子3及び第2の液晶素子5では、駆動電圧を調節することによって、コリメート光L1の拡散度合いを任意に調整することも可能である。
【0065】
また、上記
図10に示す照明装置1Bの構成に、上述した液晶素子や反射部材を更に追加した構成とすることも可能である。すなわち、本発明を適用した照明装置では、光源部の前方に、液晶素子と反射部材とを交互に追加していくことが可能である。
【0066】
なお、本発明が適用される照明装置については、特に限定されるものではなく、例えば、インテリア照明や展示照明、ミュージアム照明、舞台照明など、一般照明用から特殊照明用まで様々な用途のものに適用することが可能である。また、車両に搭載される車両用灯具や、監視カメラにおける赤外線照射、液晶表示装置のバックライトなどにも適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1A,1B…照明装置 2…光源部 3…第1の液晶素子 4…第1の反射部材 4a…第1の反射面 5…第2の液晶素子 6…第2の反射部材 6a…第2の反射面 7…反射部材 7a…反射面 30…駆動回路 L…照明光 L1…コリメート光 L2…拡散光(第1の拡散光) L3…第2の拡散光