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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】釣台
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/22 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A01K97/22 C
A01K97/22 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020101731
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021193911
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩志
(72)【発明者】
【氏名】菊地 淳
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-161062(JP,A)
【文献】実開昭63-048469(JP,U)
【文献】実開昭59-055479(JP,U)
【文献】登録実用新案第3215297(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02450232(GB,A)
【文献】英国特許出願公開第02394505(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/22
A47C 1/00 - 1/16
A47C 9/00 -16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の着座部と、
前記着座部の四隅に取り付けられる支持脚と、
前記着座部に支持脚を取り付けた際、前記着座部の表面から突出する支持脚に装着可能であり、各種の釣用品を固定するために設置される横木を保持する保持部材と、
を有し、
前記保持部材は、前記支持脚周りに回動可能に装着されるように前記支持脚の外周を囲繞し、操作部材の操作によって互いに接近/離反する一対の割半体を具備しており、
前記一対の割半体の一方に、前記横木を着脱可能に保持する保持部を形成したことを特徴とする釣台。
【請求項2】
前記保持部は、前記横木の端部を回動可能に保持することを特徴とする請求項1に記載の釣台。
【請求項3】
釣台の着座部を支え前記着座部の四隅に前記着座部の表面から突出するように取り付けられる支持脚に対して回動可能に固定され、前記着座部の表面に各種の釣用品を固定するために設置される横木を保持する保持部を備えた保持部材であって、
前記保持部は、前記横木の端部を回動可能に保持することを特徴とする保持部材。
【請求項4】
前記支持脚の外周を囲繞し、操作部材の操作によって互いに接近/離反する一対の割半体を具備していることを特徴とする請求項3に記載の保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りに際して携行される釣台に関し、詳細には、竿受けやパラソル等の各種付属品を固定する固定部材(横木とも称する)に特徴を備えた釣台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、へら鮒釣りでは、水辺に設置して長時間に亘って着座して釣りが行なえる釣台を用いることがある。通常、釣台は、非特許文献1に開示されているように、板状の着座部と、着座部の四隅に設けられた支持脚とを備えており、携行し易いように、折り畳むことができるように構成されている。
【0003】
非特許文献1に開示されているように、釣台は、各種の付属品が装着できるように構成されており、その中には、着座部の端部に、横木と称される固定部材を着脱可能に固定することが知られている。非特許文献1に開示されている横木は、角柱状に構成されており、両端の同一側面に舌片を取着した構造となっている。このような横木は、着座部の端面に設けられた差込金具に前記舌片を嵌入することで、必要に応じて着座部の端部に固定できるようになっている。着座部の端部に固定された横木には、例えば、釣竿を保持する竿掛けやパラソル等の付属品が、万力等によって着脱可能に固定可能となっている(なお、本発明の実施形態を示す図1において、着座部2の横端面に設けられている差込金具100に舌片を嵌入した従来の横木50Aの固定状態が示されている)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://www.daiwa.com/jp/fishing/choshu3/hera/ginkaku/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の横木は、舌片を差込金具に対して挿脱する構造であり、完全に固定された状態にないため、脱落する可能性がある。また、付属品として、パラソルを固定した場合、風が強くなると差込金具部分に大きな負荷が掛かってしまい、構成部品が破損等する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、着座部に設置される横木が脱落することはなく、横木を装着した際に構成部品等が破損することのない釣台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係る釣台は、板状の着座部と、前記着座部の四隅に取り付けられる支持脚と、前記着座部に支持脚を取り付けた際、前記着座部から突出する支持脚に装着可能であり、横木を保持する保持部材とを有することを特徴とする。
【0008】
上記した構成の釣台によれば、横木は、着座部を支える支持脚に対して装着される保持部材に保持されることから、その固定状態の安定化を図ることができ、着座部から脱落することが防止される。また、横木の固定状態が安定するため、パラソル等を固定して大きな負荷が作用しても、従来のように差込金具等の構成部分が破損するようなことはない。
【0009】
なお、上記した保持部材及び横木については、釣台と共にセット化される構成部品であっても良いし、釣台の付属部品として構成されたものであっても良く、釣台を購入した後に、別部品として購入できるものであっても良い。また、保持部材は、支持脚に対して装着された際、その位置が固定されるものであっても良いが、支持脚の周りに任意の回動角度で調節可能に固定できる構成であることが好ましい。さらに、保持部材は、横木を固定状態に保持するもの、横木を移動可能に保持するものであっても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着座部に設置される横木が脱落することはなく、横木を装着した際に構成部品等が破損することのない釣台が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る釣台の一実施形態を示す斜視図。
図2図1に示す釣台の主要部を示しており、(a)は、保持部材が装着された支持脚の横断面図、(b)は、図(a)のIIb-IIb線に沿った断面図。
図3】横木を保持した保持部材を示しており、(a)は、斜視図、(b)は、反対方向から見た斜視図、(c)は、分解斜視図。
図4】(a)は、支持脚に保持部材を装着した状態を示す平面図、(b)は、保持部材を回動させた状態を示す平面図。
図5】横木に竿掛けを固定した状態の釣台の使用例を示す斜視図。
図6】使用時に、横木に固定した竿掛けの位置を変更する態様を示す平面図。
図7】横木にパラソルを固定した状態の釣台の使用例を示す斜視図。
図8】支持脚に複数の横木を装着した使用例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る釣台の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る釣台の一実施形態を示す斜視図である。本実施形態の釣台1は、釣人等の着座者が着座する着座部2と、この着座部2を設置領域(例えば、釣り場の水平な地面や水辺の傾斜領域など)に対して支持するための複数の支持脚4A~4Dとを備えている。この場合、着座部2は、板状に形成されて、好ましくは折り畳むことができる(図では、中央の折り返し部2Aで2つに折り畳んで重ねることができる)ようになっており、中央の折り返し部2Aで折り畳み、フック101で固定することによってコンパクトな形態で取り扱い可能となっている。
【0013】
前記支持脚4A~4Dは、着座部2の四隅にそれぞれ着脱自在に取り付けられるようになっており、少なくとも一部は、長さ調節できるように、例えば伸縮自在に構成されていても良い。前記支持脚(いずれかの支持脚であっても良いし、全ての支持脚であっても良い)は、着座部2に取り付けられた状態で、上方側が着座部2の表面2aから所定の長さ突出するようになっている。この場合、支持脚の表面2aからの突出長さについては、横木50を保持する保持部材10が取り付け可能な程度であれば良い。
前記釣台1は、支持脚4A~4Dを、例えば着座部2に収納するなどして容易に持ち運ぶことが可能であることが好ましい。また、着座部に取り付けられる支持脚については、その本数、断面形状、長さについては限定されることはなく、更には、着座部2の形状やコンパクト化するための具体的な手段、構成についても限定されることはない。
【0014】
このような釣台1を用いて釣りを行なう際には、支持脚4A~4Dを着座部2の四隅に取り付けて組み立てて水辺に設置し、支持脚4A~4Dの長さを、例えば水中又は水縁の接地面の傾斜に合わせて調整する。そして、着座部2の上に正座又は胡座で座って、或いは着座部2を跨ぐように座って釣りを行なう。この場合、着座部2を跨ぐように座って釣りが行なえるように、前方に設けられる支持脚4A,4Bには、釣人の足を載せて支持するためのステップ(図示せず)を軸方向に移動可能で任意の位置に固定できるように設けても良い。
【0015】
前記支持脚は、着座部2の表面2aに対して直交する方向に固定されるが、支持脚4A,4Bについては、安定して着座できるように、正面視した際にハの字状、すなわち、上方側が互いに接近する(垂線に対して角度αだけ上方側が互いに接近する)ように、着座部2に固定されるようにしても良い。また、後方側の支持脚4C,4Dについても、同様にハの字状に着座部2に固定されるようにしても良い。
【0016】
前記着座部2の前端側には、横木50が設置可能となっている。この横木50は、万力によって竿掛けを固定したり、パラソル等の各種の釣用品(付属品)を固定するために設置されるものであり、木材、樹脂等によって形成することが可能である。横木50は、万力が固定し易いように角柱状に形成されており、長さが異なるものが設置できるようになっている。
以下、横木50を着座部2の前端側に設置する(前端縁に沿うように設置する)構成について説明する。
【0017】
横木50は、着座部2に対して着脱可能に装着される保持部材10に保持されており、保持部材10は、着座部2に取り付けられる支持脚に対して着脱可能となっている。図1において、保持部材10は、4本の支持脚の内、支持脚4Aの着座部の表面から突出する部分に装着されている。
【0018】
図2及び図3は、保持部材及び保持部材に保持される横木の構成例を示しており、図2(a)は、保持部材が装着された支持脚の横断面図、図2(b)は、図(a)のIIb-IIb線に沿った断面図、図3(a)は横木を保持した保持部材の斜視図、図3(b)は、反対方向から見た斜視図、そして、図3(c)は、分解斜視図である。
【0019】
本実施形態の保持部材10は、支持脚4Aの周りに回動可能に装着されるように構成されている。具体的に、保持部材10は、支持脚4Aの外周を囲繞し、操作部材11の操作によって互いに接近/離反する一対の割半体12,13を具備している。各割半体は、互いに対向する平坦面12a,13aと、各平坦面に形成される略半円形状の凹部12b,13bと、を備えており、凹部12b,13bは、断面円形状の支持脚4Aの外周面と密着する内面を具備している。
【0020】
前記操作部材11は、割半体12,13を支持脚4Aの上端から挿入して、凹部12b,13bを支持脚4Aの外周面に沿わせた状態で締め付け操作することで、割半体12,13が互いに近接して支持脚に固定される。本実施形態の操作部材11は、支持脚4Aを挟持するようにして、対向する各割半体12,13を貫通する一対のボルト11aと、ボルト11aに螺合する蝶ナット11bを備えており、蝶ナット11bを締め付け操作することで割半体12,13が互いに接近して支持脚4Aに固定状態となり、蝶ナット11bを緩めることで、割半体12,13を離反させて、操作部材11の設置角度を変える、或いは、操作部材11を支持脚4Aから取り外しできるようになっている。
【0021】
前記保持部材10(割半体12,13)は、横木50を着脱可能に保持する保持部を備えている。
本実施形態の保持部15は、前記一対の割半体12,13の一方(本実施形態では、割半体12)に設けられており、前記割半体12の表面から突出するように一体形成された板状の突出部12Aと、この突出部12Aに横木50の一端側を面接した状態で座金15cを介在させて嵌入されるボルト15aと、突出部12Aの露出側から螺入される蝶ナット15bと、を備えている。
【0022】
上記した構成の保持部15によれば、蝶ナット15bを締め付けることで、横木50を保持部材10に固定し、蝶ナット15bを緩めることで、横木50を回動させて上下方向に角度調節したり、或いは、保持部材10から取り外す(長さが異なる別の横木に交換する)ことが可能となる。なお、本実施形態では、上述したように、着座部2に安定して着座できるように、支持脚4A,4Bが着座部2の表面2aに対して角度αだけ傾斜している。このため、それに応じて支持脚4Aに設置される保持部材10に保持される横木50の上下方向の角度を調節することで、横木50を着座部2の表面2aに沿わせて固定することができる。すなわち、台座部2の表面2aと干渉することなく横木50を設置することが可能となる。
【0023】
上記した釣台1では、図4(a)(b)に示すように、操作部材11を操作することで割半体を互いに離反させ、保持部材10の位置を支持脚4Aの周りに回転させて、横木50を任意の位置に設置し、割半体を互いに接近させて固定することができる。前記横木50には、図5に例示するように、従来と同様、公知の万力110によって竿受け111が装着できるようになっており、竿受け111に設けられた竿掛け部111a,111bに釣竿(へら竿)200を載置することが可能となる。この場合、餌を投入するポイントを左右方向にずらしたい場合、図6に示すように、保持部材10の操作部材11を緩めて、横木50を、支持脚4Aを中心に右側(R)に回動させて50Rで示す位置で固定したり、或いは、支持脚4Aを中心に左側(L)に回動させて50Lで示す位置で固定することができ、これにより、横木50で正面に設置、固定した竿受け111は、図に示すように、111Rの位置又は111Lで示す位置に固定することができ、釣竿200を右向き状態(200R)、又は、左向き状態(200L)に設置することが可能となる。
【0024】
上記した保持部材10は、支持脚4A以外の支持脚に取り付けることが可能であり、また、横木50には、竿受け111以外にも、別の釣り用品を装着することが可能である。図7及び図8は、後方の支持脚4Cに同様な保持部材10を取り付け、横木50に釣り用品であるパラソル220の柄220aを装着した公知の万力140を固定した例を示している。
【0025】
横木50は、任意の支持脚に装着できると共に、支持脚周りの360°の範囲内でいずれかの位置に固定できるので、横木に固定される釣り用品を最適な位置、例えば、台座部2の表面から外方に突出する位置に対しても固定することができるので、パラソルのような釣り用品では、効果的に日差しを遮る位置に固定することが可能となる。また、そのような位置は、操作部材11の操作によって、容易に変更することが可能となる。更に、横木50は、支持脚を囲繞するように装着される保持部材10に保持されることから、従来のように、差込金具100に舌片を嵌入して横木を固定する方式と比較すると、横木が着座部から脱落することが防止されると共に、横木50の固定状態が安定するため、パラソル220を固定した状態で、風等によって大きな負荷が作用しても、差込金具などの構成部品が破損したり、横木が脱落するようなことはない。
【0026】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
【0027】
上記した保持部材10は、操作部材11によって接近/離反する割半体12,13で構成したが、支持脚に対して固定され、横木を着座部上に設置、固定できる構造であれば、その構造等については特に限定されることはない。また、本実施形態の保持部材10は、横木50を支持脚周りに回動して、任意の位置に固定できるように構成したが、保持部材10は、一定の回動角度毎に支持脚周りに固定できる構成であっても良い。例えば、支持脚の外周面に、周方向に沿って一定角度で軸方向に沿った突起又は溝を形成すると共に、支持脚に嵌入される保持部材の内周面に、前記突起又は溝が嵌合できる溝又は突起を形成することで、保持部材は、支持脚周りの所定の位置で固定することも可能である。
【0028】
また、横木50については、保持部材10、或いは、保持部15に予め固定されていても良い。また、横木50を保持する保持部15については、ボルト15aや蝶ナット15bで着脱できるように構成したが、それ以外にも、例えば、保持部材10に嵌合凹所を形成して横木を着脱可能に圧入固定したり、保持部材と横木に雄螺子及び雌螺子を形成しておき、横木を捩じ込み操作することで、横木50を保持部材に対して着脱可能にする構成であっても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 釣台
2 着座部
4A~4D 支持脚
10 保持部材
11 操作部材
12,13 割半体
15 保持部
50 横木
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8