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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】電気調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/08 20060101AFI20240402BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A47J27/08 G
A47J27/00 109G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020163543
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055865
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】東 幸靖
(72)【発明者】
【氏名】宇野 正行
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-033040(JP,A)
【文献】特開2006-288742(JP,A)
【文献】特開2013-202071(JP,A)
【文献】特開2014-000284(JP,A)
【文献】特開2018-138084(JP,A)
【文献】実開昭57-115317(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0128996(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/08
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、
前記鍋を加熱する加熱部材と、
前記鍋を覆う内蓋と、前記内蓋が取り付けられた外蓋とを有する蓋体と、
前記内蓋に設けられ、前記加熱部材によって加熱された前記鍋において発生する気体を外部に排気する逆止弁と
前記鍋内の減圧状態を開放するラッチ機構と
を備え
前記ラッチ機構は、ラッチボタンと、回動部材と、回動軸と、ラッチ弁とを有し、
前記ラッチボタンは、前記外蓋から突出し、
前記回動部材の一端は前記ラッチボタンに連結され、前記回動部材の他端は前記ラッチ弁に連結され、
前記内蓋には、前記ラッチ弁に対応する孔が設けられており、
前記ラッチ弁は、前記内蓋に設けられた前記孔を覆う位置に配置され、弾性部材により前記内蓋に向けて押圧され、
前記ラッチボタンが押圧されると、前記回動部材が前記回動軸を中心として回動し、前記ラッチ弁が移動することで前記内蓋に設けられた前記孔が開放される、電気調理器。
【請求項2】
前記加熱部材による前記鍋の加熱を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、加熱調理の途中において前記鍋の温度が沸騰温度まで到達した後に前記沸騰温度よりも低い温度になるように前記加熱部材を制御する、請求項1に記載の電気調理器。
【請求項3】
前記制御部は、加熱調理の終了時に前記鍋を沸騰温度まで加熱するように前記加熱部材を制御する、請求項2に記載の電気調理器。
【請求項4】
前記内蓋と前記鍋との間に位置して前記鍋を封止する封止部材をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の電気調理器。
【請求項5】
前記封止部材は変形可能であり、
前記鍋は、前記鍋の内部が一定の減圧状態になった際に、前記加熱部材から離れる方向に移動可能である、請求項4に記載の電気調理器。
【請求項6】
前記ラッチ機構は、前記内蓋に対する前記逆止弁の開閉を制御する、請求項1から5のいずれかに記載の電気調理器。
【請求項7】
前記ラッチボタンが下方に押圧されると、前記回動部材の一端が前記ラッチボタンとともに下方に移動するとともに前記回動部材の他端が上方に移動して、前記ラッチ弁が上方に移動することで前記内蓋に設けられた前記孔が開放される、請求項1から6のいずれかに記載の電気調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食材の加熱調理に鍋を用いることが多い。一般に、食材は、鍋内において、煮る、焼く、蒸す等種々の手法で調理される。蒸気弁を備えた加熱調理鍋を用いて、食材に汁を短期間に浸み込ませることが知られている(特許文献1参照)。特許文献1には、錘式蒸気弁を搭載した加熱調理鍋が記載されている。特許文献1の加熱調理鍋において、錘式蒸気弁は、鍋内の圧力が所定の圧力に達すると、錘体が僅かに持ち上がり、加圧蒸気が放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭59-37912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の加熱調理鍋は、自動的に調理を行うことができず、調理者は、加熱調理鍋を加熱するための加熱源の加熱強度を調整しながら、加熱調理鍋内の食材の調理状況を随時監視する必要がある。また、特許文献1の加熱調理鍋では、食材に汁を充分に浸み込ませるためには、食材を比較的高い温度で加熱し続けることが必要であり、食材の食感を損なうことがある。さらに、特許文献1の加熱調理鍋では、周囲の人が意図せずに錘式蒸気弁に触れてしまうと、鍋内の圧力が変動してしまい、調理の結果が大きく変動することになる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、食材の食感の低下を抑制するとともに誤操作を抑制可能な電気調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気調理器は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱部材と、前記鍋を覆う内蓋と、前記内蓋が取り付けられた外蓋とを有する蓋体と、前記内蓋に設けられ、前記加熱部材によって加熱された前記鍋において発生する気体を外部に排気する逆止弁とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気調理器によれば、食材の食感の低下を抑制するとともに誤操作を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本実施形態の電気調理器の模式的な斜視図である。
図1B】本実施形態の電気調理器の模式的な斜視図である。
図2A】本実施形態の電気調理器の模式図である。
図2B】本実施形態の電気調理器の模式図である。
図2C】本実施形態の電気調理器の模式図である。
図3】本実施形態の電気調理器の模式的な断面図である。
図4】本実施形態の電気調理器の模式図である。
図5】本実施形態の電気調理器における調理時の温度変化を示すグラフである。
図6A】本実施形態の電気調理器の模式図である。
図6B】本実施形態の電気調理器の模式図である。
図7A】本実施形態の電気調理器の模式的な断面図である。
図7B】本実施形態の電気調理器の模式的な断面図である。
図8A】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
図8B】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
図8C】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
図9A】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
図9B】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
図10A】本実施形態の電気調理器の模式的な断面図である。
図10B】本実施形態の電気調理器の模式的な断面図である。
図11A】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
図11B】本実施形態の電気調理器の模式的な一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る電気調理器の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[実施形態1]
まず、図1Aおよび図1Bを参照して、本発明に係る電気調理器100の実施形態を説明する。図1Aおよび図1Bは、本実施形態の電気調理器100の模式的な斜視図である。図1Aは、本体部110に対して蓋体120を閉じた電気調理器100を示し、図1Bは、本体部110に対して蓋体120を開けた電気調理器100を示す。ここでは、電気調理器100は、略円柱形状であるが、電気調理器100は別の形状であってもよい。
【0011】
図1Aおよび図1Bに示すように、電気調理器100は、本体部110と、蓋体120と、鍋130と、加熱部材140と、制御部150とを備える。本体部110は、上部の開放された容器形状を有しており、本体部110の中央には、穴が設けられている。鍋130は、本体部110の穴に載置される。
【0012】
蓋体120は、本体部110の一端に取り付けられる。蓋体120は、本体部110に対して開閉可能に取り付けられる。
【0013】
本体部110と蓋体120とは後部の回転支持部112によって連結される。このため、蓋体120は、回転支持部112を中心として本体部110に対して回転し、これにより、本体部110に対して開閉自在となる。なお、ここでは特に図示しないが、本体部110および/または蓋体120の外表面には、表示部および操作ボタンが設置されてもよい。
【0014】
鍋130は、本体部110の内部に載置され、本体部110に装着される。鍋130は、本体部110から脱着可能である。
【0015】
鍋130には、調理に必要な材料が入れられる。例えば、鍋130には、食材が入れられる。鍋130には、水および/または調味料が入れられてもよい。
【0016】
本体部110に鍋130を装着して蓋体120を本体部110に対して閉じることにより、鍋130は本体部110および蓋体120に覆われる。鍋130内の食材の調理は、この状態で行われる。
【0017】
また、蓋体120が本体部110に対して開くことにより、鍋130が露出する。本体部110に対して蓋体120を開いた状態で、鍋130への食材の投入、および、調理された料理の鍋130からの取り出しが行われる。
【0018】
加熱部材140は、本体部110に配置される。加熱部材140は、本体部110に装着された鍋130を加熱する。加熱部材140は、自身の温度を上昇させて鍋130を加熱してもよい。または、加熱部材140は、電磁方式によって鍋130に熱を発生させてもよい。
【0019】
制御部150は、加熱部材140を制御する。ここでは、制御部150は、本体部110に配置される。
【0020】
制御部150は、プロセッサーおよびメモリを含む。プロセッサーは、中央処理演算素子(Central Processing Unit:CPU)または特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等によって構成されるハードウェア回路である。プロセッサーは、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して実行することによって、電気調理器100の各部の動作を制御する。
【0021】
例えば、加熱部材140が食材の入った鍋130を加熱することにより、食材を調理する。一例では、制御部150は、加熱部材140による加熱温度の時間変化を示す加熱プロファイルに従って、鍋130を加熱するように加熱部材140を制御する。典型的には、加熱プロファイルは、食材の種類および量に応じて設定される。制御部150の制御により、予め指定された食材を鍋に入れてセットすれば、所定の調理プログラムに従って鍋130の温度を制御し、食材を自動的に調理できる。
【0022】
蓋体120は、内蓋122と、外蓋124とを含む。内蓋122は、外蓋124に取り付けられる。内蓋122は、鍋130の上部に嵌るように設けられる。本体部110に対して蓋体120を閉じる場合、内蓋122は、鍋130の上部に嵌められる。
【0023】
外蓋124には、外蓋124の厚さを貫通する排気孔126hが設けられることが好ましい。鍋130を加熱して鍋130の食材から蒸気が発生しても、排気孔126hにより、発生した蒸気を外部に放出できる。
【0024】
本実施形態の電気調理器100には、逆止弁126が内蓋122に配置される。内蓋122には、逆止弁126に対応する孔が設けられており、内蓋122の孔を覆う位置に逆止弁126が配置される。逆止弁126は、鍋130からの蒸気の排気経路に位置する。
【0025】
逆止弁126は、一方側から他方側に向かって流れる気体を通過させるとともに、他方側から一方側に向かって流れる気体の流れを抑制する。詳細には、逆止弁126は、鍋130側から外蓋124側(例えば排気孔126h側)に向かって流れる気体を通過させる。また、逆止弁126は、外蓋124側(例えば排気孔126h側)から鍋130側に向かう気体の流れを抑制する。
【0026】
加熱部材140によって鍋130を加熱すると、鍋130内の食材から蒸気が発生し、鍋130内の気圧は、大気圧と比べて変化する。典型的には、鍋130内の温度が上昇すると、鍋130内の気圧は大気圧よりも増大する。このとき、逆止弁126は、鍋130から外部に向かう空気を通過させる。
【0027】
一方で、鍋130内に蒸気が発生した後で鍋130内の温度が低下すると、鍋130内の気圧は大気圧よりも低くなる。このとき、逆止弁126は、外部から鍋130に向かう空気の流れを抑制する。
【0028】
電気調理器100は、電力で駆動する。電気調理器100は、電源アダプターを介して商用電源と接続してもよい。あるいは、電気調理器100は、バッテリーの電力によって駆動してもよい。
【0029】
本実施形態の電気調理器100は、鍋130を覆う内蓋122に逆止弁126が設けられる。このため、鍋130において蒸気が発生した後で鍋130内の温度が低下すると、鍋130の内部は減圧状態になる。したがって、温度の比較的低い減圧状態において、鍋130内の食材に汁を充分に浸み込ませることができ、食材の食感を損なうことなく調理に必要な時間を短縮できる。さらに、逆止弁126が内蓋122に設けられることにより、周囲の人が逆止弁126を意図せずに触れることを抑制でき、意図せぬ調理が行われることを抑制できる。
【0030】
次に、図1A図2Cを参照して、本実施形態の電気調理器100を説明する。図2A図2Cは、本実施形態の電気調理器100の模式図である。図2A図2Cのいずれも、鍋130を載置した本体部110に対して蓋体120を閉じた電気調理器100を示す。
【0031】
図2Aに示すように、鍋130は、本体部110に載置される。ここでは、鍋130は、加熱部材140と接触する。鍋130は、加熱部材140の上に載置される。
【0032】
鍋130は、蓋体120に覆われる。詳細には、鍋130は、内蓋122で覆われており、内蓋122は、外蓋124で覆われる。本体部110に対して蓋体120を閉じた場合、鍋130は内蓋122と係合する。
【0033】
ここでは、鍋130に汁が収容されている。なお、鍋130に収容される食材は、汁に限らず、固形物であってもよい。例えば、鍋130には、肉、魚および/または野菜が収容されてもよい。あるいは、鍋130には、固形物のみが収容されてもよい。また、電気調理器100は、炊飯に用いられてもよい。
【0034】
内蓋122には、逆止弁126が取り付けられる。また、外蓋124には、排気孔126hが設けられている。排気孔126hは、逆止弁126と連絡する。逆止弁126は、排気孔126hと鍋130との間に位置する。
【0035】
ここでは、逆止弁126は、排気孔126h内に配置される。排気孔126hから逆止弁126が露出される。
【0036】
なお、逆止弁126は、排気孔126hにおいて、人間の指が進入できない位置に配置されることが好ましい。例えば、排気孔126hの孔径は、人間の指の径よりも小さくてもよい。例えば、排気孔126hの孔径は、5mm以上20mm以下であってもよく、7mm以上18mm以下であってもよい。あるいは、排気孔126hの深さは、人間の指の長さよりも長くてもよい。
【0037】
図2Bに示すように、鍋130に食材を入れた状態で調理を開始すると、加熱部材140が鍋130を加熱する。加熱部材140が鍋130を加熱することにより、鍋130内の温度が上昇し、鍋130の食材から蒸気が発生し、鍋130内の気圧が増大する。このとき、逆止弁126は、内蓋122に対してわずかに浮き上がり、鍋130内の蒸気は、逆止弁126を通過した後で排気孔126hを通り、外部に放出される。
【0038】
図2Cに示すように、加熱部材140による鍋130の加熱が停止すると、鍋130内の温度が低下して、鍋130の食材から蒸気の発生が止まる。また、鍋130内の温度が低下するため、鍋130内の気圧が低下する。このとき、逆止弁126は、内蓋122に対して充分に密着しており、外部の空気は、鍋130の内部に進入できない。このため、鍋130内の気圧は大気圧よりも低くなり、鍋130は減圧状態になる。
【0039】
このため、電気調理器100では、温度の比較的低い減圧状態において、鍋130内の食材に汁を充分に浸み込ませることができる。したがって、食材の食感を損なうことなく調理に必要な期間を短縮できる。
【0040】
なお、典型的には、電気調理器は、あらかじめ作成されたプログラムにしたがって動作する。したがって、仮に、電気調理器の鍋内の気圧が意図せずに変動すると、電気調理器が、鍋内の気圧を測定してフィードバック制御を行わない限り、予定とは異なる調理が進行することになる。これに対して、本実施形態の電気調理器100では、逆止弁126が内蓋122に設けられており、電気調理器100の外部には露出しない。このため、調理中に、逆止弁126に意図せずに触れることで鍋130内の圧力状態が変動してしまうことを抑制できる。
【0041】
さらに、本実施形態の電気調理器100では、逆止弁126が内蓋122に取り付けられることにより、鍋130内の密閉空間を狭くできる。このため、加熱部材140の制御によって調理プロセスを速やかに変更できる。
【0042】
次に、図1A図3を参照して、本実施形態の電気調理器100を説明する。図3は、本実施形態の電気調理器100の模式的な断面図である。
【0043】
図3に示すように、本体部110に鍋130が載置されており、本体部110に対して蓋体120が閉じられる。鍋130は、内蓋122で覆われており、内蓋122は、外蓋124で覆われる。本体部110に対して蓋体120を閉じた場合、鍋130は内蓋122と係合する。
【0044】
電気調理器100は、封止部材127をさらに備える。封止部材127は、蓋体120に装着される。封止部材127は、蓋体120と鍋130との間に位置する。封止部材127は、環状であり、鍋130の周端部に配置される。典型的には、封止部材127は、弾性体である。
【0045】
鍋130の温度が上昇して鍋130内の気圧が増加すると、蓋体120と鍋130との間で封止部材127は変形する。封止部材127の変形によって鍋130内の食材から蒸気が発生しても、蒸気が蓋体120と鍋130との間から漏れることが抑制される。
【0046】
詳細には、封止部材127は、内蓋122に取り付けられる。封止部材127は、内蓋122と外蓋124とを繋ぐ。封止部材127は、内蓋122、外蓋124および鍋130のそれぞれと当接する。
【0047】
図3に示すように、逆止弁126は内蓋122に設けられる。また、外蓋124には、排気孔126hが設けられている。逆止弁126は、排気孔126h内に配置される。
【0048】
本実施形態の電気調理器100では、鍋130を覆う内蓋122に逆止弁126が設けられる。このため、鍋130の温度が鍋130において蒸気が発生する温度まで上昇した後で低下すると、鍋130の内部は減圧状態になる。したがって、比較的温度の低い減圧状態において、鍋130内の食材が柔らかくなりすぎることを防ぎつつ食材に汁を充分に浸み込ませることができる。さらに、逆止弁126が内蓋122に設けられることにより、周囲の人が逆止弁126に意図せずに触れてしまい鍋130内の気圧が変動することを抑制できる。
【0049】
上述して説明したように、電気調理器100は、調理プログラムに従って動作する。一方で、電気調理器100の周囲環境は、いつも一定とは限らない。このため、電気調理器100は、同じ食材を同じ量だけ調理する調理プログラムに従って動作する場合でも、周囲環境に応じて調理プログラムにしたがう動作は変更されてもよい。例えば、電気調理器100は、鍋130内の温度に基づいて調理プログラム上の動作を変更してもよい。
【0050】
次に、図1A図4を参照して、本実施形態の電気調理器100を説明する。図4は、本実施形態の電気調理器100の模式図である。図4の電気調理器100は、温度測定部160をさらに備える点を除いて、図2Aまたは図3を参照して説明した電気調理器100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0051】
図4に示すように、電気調理器100は、温度測定部160を備える。温度測定部160は、鍋130内の温度を測定する。ここでは、温度測定部160は、内蓋122に取り付けられる。温度測定部160は、鍋130内の空間内の上部領域の温度を測定する。制御部150(図1B)は、温度測定部160の測定結果に基づいて、加熱部材140を制御してもよい。
【0052】
次に、図1A図5を参照して本実施形態の電気調理器100による調理を説明する。図5は、電気調理器100における鍋130内の温度の時間変化を説明するためのグラフである。図5において、調理を開始すると、調理期間Pcが始まり、調理期間Pcの後に保温期間Pkが続く。
【0053】
典型的には、操作者が調理の種類および人数を設定すると、制御部150(図1B)は、操作者からの指示に従い、調理期間Pcおよび調理期間Pc内の加熱プロファイルを設定する。調理期間Pcは、昇温期間P1、沸騰期間P2、減温期間P3および再昇温期間P4の順番に変化する。
【0054】
図5に示すように、調理期間Pcが開始すると、昇温期間P1が開始する。典型的には、食材の入った鍋130を本体部110に装着した後、ユーザーが調理開始ボタンを押すと、昇温期間P1が開始する。昇温期間P1の始まる前は、典型的には、鍋130の温度は室温である。なお、調理の種類、食材および/またはユーザーの嗜好によっては、昇温期間P1の前に、鍋130内の食材を放置する放置期間があってもよい。
【0055】
昇温期間P1において、加熱部材140は、鍋130の温度が室温よりも高くなるように鍋130を加熱する。加熱部材140は、鍋130の食材が沸騰するまで鍋130の加熱を続ける。例えば、鍋130に水が入っている場合、鍋130の沸騰温度Tbは、略100℃である。鍋130内の温度が沸騰温度Tbに近づくと、鍋130の食材から蒸気が発生して鍋130の圧力が増大する。このため、鍋130内の容器が逆止弁126を通って電気調理器100の外部に放出される。
【0056】
次に、沸騰期間P2において、鍋130を加熱して鍋130内の食材の沸騰を維持させる。例えば、鍋130に水が入っている場合、鍋130の温度は100℃に維持される。沸騰期間P2において、鍋130の水は蒸発し続け、鍋130の水が減少する。沸騰期間P2において、鍋130内の温度は沸騰温度Tbを維持しつづけ、鍋130内の食材からの蒸発が進行する。したがって、鍋130内の蒸気は、逆止弁126を通って電気調理器100の外部に放出され続ける。
【0057】
なお、沸騰期間P2が長く続くと、食材が柔らかくなりすぎることがある。特に、野菜は、型崩れしやすい傾向がある。このため、沸騰期間P2が長い場合、食材の触感が、嗜好に合わないことがある。したがって、沸騰期間P2は、食材に応じて比較的短く設定されてもよい。沸騰期間P2は、昇温期間P1および/または減温期間P3よりも短くてもよい。例えば、沸騰期間P2は、0分以上10分以下であってもよい。
【0058】
次に、減温期間P3において、鍋130内の温度を低下させる。この場合、加熱部材140の加熱強度を低減してもよい。あるいは、加熱部材140による加熱を一時的に停止してもよい。
【0059】
減温期間P3において、鍋130内の温度は、沸騰期間P2と比べて低下する。上述したように、本実施形態の電気調理器100では、内蓋122に逆止弁126が設けられるため、鍋130内の気圧が低下しても電気調理器100の外部からの気体が鍋130内に進入することが抑制される。このため、鍋130の中は、大気圧と比べて減圧状態となる。
【0060】
減温期間P3において、鍋130が減圧状態となるため、鍋130内の食材に汁が浸み込みやすい。これは、減温期間P3には、食材内の気泡が外部に放出されるため、食材の気泡の抜けた領域に汁が浸み込みやすくなるためと考えられる。
【0061】
減温期間P3において、鍋130内の温度がある温度まで下がると、鍋130内の温度は一定に維持されてもよい。例えば、鍋130内の温度は保温温度Tkに維持される。保温温度Tkは、60℃以上80℃以下である。例えば、減温期間P3は、1分以上5時間以下である。
【0062】
次に、調理期間Pcが終了に近づくと、再昇温期間P4において、鍋130の温度が沸騰温度Tbに達するように加熱部材140が鍋130を加熱する。鍋130の温度が沸点近傍になるまで鍋130の温度は上昇する。
【0063】
以上のようにして、電気調理器100は、調理期間Pcの終了とともに調理を終了する。例えば、電気調理器100は、調理が終了すると、周囲の人に調理の終了を知らせるために音声を出力してもよい。
【0064】
電気調理器100は、調理期間Pcが終了する直前の再昇温期間P4において、鍋130の温度を沸騰温度Tbまで再び上昇させる。このように、調理を終了する際の鍋130の温度が、沸騰温度Tbまたは沸騰温度Tbに近い温度であることにより、できたての調理を提供できる。さらに、鍋130内の圧力が大気圧に近いことから、格別の機構を設けなくても、鍋130に対して蓋体120を容易に開けることができる。
【0065】
なお、電気調理器100の調理が終了しても、ユーザーの食事の準備が整わないことがある。そのため、電気調理器100は、調理の終了後において、鍋130の温度を所定温度に維持することが好ましい。
【0066】
次に、保温期間Pkにおいて、鍋130の温度が低くなるように鍋130の加熱量を低下する。鍋130の温度が保温温度Tkになるまで鍋130の温度は徐々に低下する。例えば、保温温度Tkは、60℃以上80℃以下である。例えば、保温期間Pkは、1分以上12時間以下である。
【0067】
上述したように、制御部150(図1B)は、加熱部材140を制御する。さらに、図4に示したように、電気調理器100が温度測定部160を備える場合、温度測定部160は、鍋130の上方領域の温度を測定できる。このため、制御部150は、鍋130の下方領域および上方領域の両方の温度を検知できる。したがって、制御部150は、鍋130の温度および体積により、鍋130内の圧力または減圧状態を推測できる。このため、制御部150は、推測した鍋130内の圧力または減圧状態に応じて、減温期間P3の長さおよび/または再昇温期間P4の長さまたは加熱量を変更してもよい。
【0068】
上述したように、食材の調理中に鍋130内において蒸気を発生させた後に鍋130の温度が低下すると、鍋130は、減圧状態になる。この場合、鍋130に対して蓋体120を開きにくくなる。図5を参照して上述した説明では、鍋130を沸騰温度Tbまで加熱して、鍋130に対して蓋体120を容易に開くようにしたが、本実施形態はこれに限定されない。
【0069】
鍋130が密閉状態であっても、逆止弁126を電気的に制御することにより、本体部110に対して蓋体120を開きやすくしてもよい。例えば、逆止弁126を移動可能な機構に電力を供給することで、逆止弁126を内蓋122から離れる方向に移動させることにより、鍋130を密閉状態から開放状態に変更してもよい。
【0070】
[実施形態2]
図2図4に示した電気調理器100では、本体部110に挿入された鍋130は加熱部材140と接触したままであったが、本実施形態はこれに限定されない。鍋130と加熱部材140との距離は変更してもよい。
【0071】
次に、図1図6Aおよび図6Bを参照して、本発明の実施形態に係る電気調理器100を説明する。図6Aおよび図6Bは、本実施形態の電気調理器100の模式図である。図6Aは、本実施形態の電気調理器100の模式図とともに封止部材127近傍を拡大した一部拡大図を併せて示す。図6Aおよび図6Bに示した電気調理器100は、鍋130を封止する封止部材127が内蓋122に取り付けられている点を除いて、図2Aおよび図2Bを参照して上述した説明と同様であり、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0072】
図6Aに示すように、封止部材127は、内蓋122に取り付けられる。封止部材127は、環状構造を有し、内蓋122の端部に取り付けられる。鍋130を本体部110に挿入して本体部110に対して蓋体120を閉じると、封止部材127は、蓋体120と鍋130との間に位置する。典型的には、封止部材127は、弾性体である。封止部材127は、鍋130を封止する。
【0073】
鍋130の上方には、幅広部130pが設けられる。幅広部130pにより、鍋130の径は外側に広がる。封止部材127は、幅広部130pに当接し、これにより、鍋130が封止される。
【0074】
封止部材127は、外側で屈曲するように折れ曲がる。封止部材127は、上側部分127aと、下側部分127bと、屈曲部分127pとを有する。上側部分127aと下側部分127bとは、屈曲部分127pにおいて屈曲する。
【0075】
下側部分127bは、上側部分127aに対して鉛直下方に位置する。上側部分127aは、内蓋122に当接する。また、鍋130の装着された本体部110に対して蓋体120を閉じると、下側部分127bは、鍋130と当接する。詳細には、下側部分127bは、鍋130の幅広部130pと当接する。
【0076】
図6Bに示すように、加熱部材140によって鍋130内で蒸気を発生させた後に鍋130内の温度が低下すると、鍋130は減圧状態になる。このとき、封止部材127は変形する。ここでは、封止部材127は、内蓋122および鍋130と密着した状態で薄くなるように変形する。詳細には、封止部材127の上側部分127aと下側部分127bとが近づくように変形する。封止部材127の変形により、鍋130内の蒸気が蓋体120と鍋130との間から外側に向かって漏れることが抑制される。
【0077】
さらに、封止部材127の変形により、鍋130は、加熱部材140に対して浮き上がり、加熱部材140から離れる方向に移動する。これにより、鍋130内の食材の温度の低下を促進できる。このため、鍋130は、減圧状態に速やかに進み、鍋130内において食材に汁が浸透することを促進できる。
【0078】
本実施形態の電気調理器100では、鍋130内で蒸気を発生させた後で鍋130内の温度が低下して鍋130が減圧状態になると、封止部材127が変形して鍋130が加熱部材140に対して離れる方向に移動する。したがって、鍋130を電気的に制御することなく鍋130と加熱部材140との間の距離を変更でき、鍋130の温度の低下を促進できる。
【0079】
次に、図1図6A図7Bを参照して、本発明の実施形態に係る電気調理器100を説明する。図7Aおよび図7Bは、本実施形態の電気調理器100の模式的な断面図である。図7Aおよび図7Bの電気調理器100は、封止部材127の変形によって鍋130が移動する点を除いて、図3を参照して上述した説明と同様であり、重複する説明を省略する。
【0080】
図7Aに示すように、封止部材127は、蓋体120と鍋130との間に位置する。典型的には、封止部材127は、弾性体である。封止部材127は、鍋130を封止する。封止部材127は、環状構造を有し、内蓋122の周端部に当接する。また、封止部材127は、鍋130に当接する。これにより、鍋130が封止される。
【0081】
図7Bに示すように、加熱部材140によって鍋130内で蒸気を発生させた後に鍋130内の温度が低下すると、鍋130は減圧状態になる。このとき、封止部材127は変形する。封止部材127の変形により、鍋130は、加熱部材140に対して浮き上がり、加熱部材140から離れる方向に移動する。これにより、鍋130内の温度の低下を促進できる。このため、鍋130は減圧状態に速やかに進み、鍋130内において食材に汁が浸透することを促進できる。
【0082】
なお、図6A図7Bを参照した上述の説明では、鍋130は、減圧状態になる前に加熱部材140と接触し、減圧状態になると加熱部材140に対して浮き上がって鍋130から離れたが、本実施形態はこれに限定されない。鍋130は、減圧状態になる前から加熱部材140とは離れて位置してもよい。例えば、鍋130は、加熱部材140と電磁気的な相互作用によって加熱されてもよい。この場合でも、鍋130が減圧状態時に加熱部材140に対して上昇して鍋130からさらに離れることにより、鍋130の冷却を促進できる。
【0083】
なお、例えば、図6Aに示したように、屈曲部分127pが外側を向いた封止部材127を用いることにより、一般的な電気調理器または炊飯器に用いられる封止部材(パッキン)を利用できる。また、封止部材127の屈曲部分127pが外側を向くため、電気調理器100の調理時に鍋130内の圧力が大気圧よりも高くなる場合でも、封止部材127は、鍋130の内側と外側との間の封止を効果的に維持できる。ただし、本実施形態の電気調理器100において、封止部材127の形状はこれに限定されない。
【0084】
次に、図8A図8Cを参照して電気調理器100を説明する。図8A図8Cは、電気調理器100の模式的な一部拡大図である。図8A図8Cは、封止部材127の形状が異なる点を除いて、図6Aに示した電気調理器100の一部拡大部と同様であり、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0085】
図8Aに示した封止部材127は、内側で屈曲するように折れ曲がる。封止部材127は、上側部分127aと、下側部分127bと、屈曲部分127pとを有する。上側部分127aと下側部分127bとは、屈曲部分127pにおいて屈曲する。
【0086】
下側部分127bは、上側部分127aに対して鉛直下方に位置する。上側部分127aは、内蓋122に当接する。また、下側部分127bは、鍋130と当接する。詳細には、下側部分127bは、鍋130の幅広部130pと当接する。
【0087】
本実施形態の電気調理器100では、鍋130が減圧状態になることがある。図8Aに示すように、封止部材127が、内側で屈曲するように折れ曲がることにより、鍋130が減圧状態になっても鍋130の内側と外側との間の封止を効果的に維持できる。
【0088】
図8Bに示した封止部材127は、上側部分127aと、下側部分127bと、支持部分127cと、屈曲部分127pとを有する。上側部分127aと下側部分127bとは、屈曲部分127pにおいて屈曲する。支持部分127cは、上側部分127aに対して上側部分127aと平行に延びる。
【0089】
下側部分127bは、上側部分127aに対して鉛直下方に位置する。上側部分127aは、内蓋122に当接する。下側部分127bおよび支持部分127cは、鍋130と当接する。詳細には、下側部分127bおよび支持部分127cは、鍋130の幅広部130pと当接する。
【0090】
図8Bに示した封止部材127では、下側部分127bが上側部分127aに対して屈曲する。また、上側部分127aとともに支持部分127cにより、封止部材127の外側から内側に向かう圧力に対しても気体の流れを抑制できる。このため、鍋130内の圧力が大気圧よりも高くても低くても、封止部材127は、鍋130の内側と外側との間の封止を効果的に維持できる。
【0091】
図8Cに示した封止部材127は、上側部分127aと、下側部分127bと、連結部分127dと、屈曲部分127qと、屈曲部分127rとを有する。上側部分127aと連結部分127dとは、内側に位置する屈曲部分127qにおいて屈曲する。連結部分127dと下側部分127bとは、外側に位置する屈曲部分127rにおいて屈曲する。
【0092】
連結部分127dは、上側部分127aに対して鉛直下方に位置し、下側部分127bは、連結部分127dに対してさらに鉛直下方に位置する。上側部分127aは、内蓋122に当接する。また、下側部分127bは、鍋130と当接する。詳細には、下側部分127bは、鍋130の幅広部130pと当接する。
【0093】
図8Cに示した封止部材127は、外側および内側にそれぞれ屈曲する。このため、鍋130内の圧力が大気圧よりも高くても低くても、封止部材127は、鍋130の内側と外側との間の封止を効果的に維持できる。
【0094】
[実施形態3]
次に、図9A図10Bを参照して、本実施形態の電気調理器100を説明する。図9Aおよび図9Bは、本実施形態の電気調理器100の模式的な一部拡大図である。図9Aは、通常時のラッチ機構170を示す模式図であり、図9Bは、鍋130を開放状態に変更する際のラッチ機構170の模式図である。
【0095】
図9Aに示すように、電気調理器100は、ラッチ機構170を有する。ラッチ機構170は、鍋130を密閉状態から開放状態に変更する。ラッチ機構170は、蓋体120に配置される。
【0096】
ラッチ機構170は、ラッチボタン172と、回動部材174と、回動軸176と、ラッチ弁178とを有する。ラッチボタン172は、外蓋124から突出して配置される。操作者は、ラッチボタン172を押圧できる。典型的には、ラッチボタン172は、鉛直方向に押圧される。ラッチボタン172が押圧されると、ラッチボタン172は、押圧方向に沿って移動する。
【0097】
ラッチボタン172は、回動部材174と当接する。回動部材174は、ラッチボタン172の位置の変化に応じて回動する。回動部材174は、回動軸176を中心に回動する。回動部材174の一端は、ラッチボタン172に連結されており、回動部材174の他端は、ラッチ弁178に連結されている。例えば、回動部材174の一端は、ラッチボタン172の底部と接触しており、回動部材174の他端は、ラッチ弁178の上部に連結されている。
【0098】
内蓋122には、ラッチ弁178に対応する孔が設けられており、内蓋122の孔を覆う位置にラッチ弁178が配置される。ラッチ弁178は、鍋130からの蒸気の排気経路に位置する。
【0099】
図9Bに示すように、ラッチボタン172が鉛直下方に押圧されると、回動部材174の一端は、ラッチボタン172とともに鉛直下方に移動する。この場合、回動部材174は、回動軸176を中心に回動し、回動部材174の他端は、鉛直上方に移動する。回動部材174の他端が鉛直上方に移動することにより、ラッチ弁178が鉛直上方に移動し、内蓋122のうちラッチ弁178によって覆われた孔が開放される。ラッチ機構170により、鍋130を密閉状態から開放状態に変更する。
【0100】
このように、ラッチ機構170において、ラッチボタン172を押圧することにより、ラッチ弁178を開放でき、鍋130を密閉状態から開放状態に変更できる。なお、ラッチ弁178は、ラッチボタン172を押圧することによって開放されるものの、ラッチボタン172を押圧しない場合には、鍋130を密閉することが好ましい。例えば、加熱部材140が鍋130を加熱することで鍋130内の空気が逆止弁126を通過した後、鍋130内の温度が低下して鍋130が密閉状態になる場合、ラッチ弁178は、ラッチボタン172が押圧されない限り、鍋130の状態を維持することが好ましい。また、ラッチ機構170において、ラッチ弁178は、弾性部材で内蓋122に向けて押圧されることが好ましい。
【0101】
図10Aおよび図10Bは、本実施形態の電気調理器100の模式的な断面図である。図10Aは、通常時の電気調理器100の模式図であり、図10Bは、蓋体120を開く場合の電気調理器100の模式図である。
【0102】
図10Aに示すように、通常時には、ラッチ機構170において、ラッチボタン172は、外蓋124の外表面から部分的に突出している。回動部材174の一端は、ラッチボタン172に連結されており、回動部材174の他端は、ラッチ弁178に連結されている。この場合、回動部材174は、ラッチボタン172に向かって斜め上方に延びており、回動部材174の一端は、回動部材174の他端よりも鉛直方向上側に位置する。
【0103】
図10Bに示すように、蓋体120を開く場合、ラッチ機構170において、ラッチボタン172が押圧される。これにより、ラッチボタン172は、外蓋124の外表面から内部に鉛直下方に移動する。ラッチボタン172の移動により、回動部材174は、回動軸176を中心に回動し、回動部材174の他端は、鉛直上方に移動する。回動部材174の他端が鉛直上方に移動することにより、ラッチ弁178が鉛直上方に移動し、内蓋122のうちラッチ弁178によって覆われた孔が開放される。ラッチ機構170により、鍋130を密閉状態から開放状態に変更する。このように、鍋130を開放状態に変更できるため、蓋体120を比較的弱い力で開けることができる。
【0104】
なお、図9A図10Bを参照した説明では、ラッチ機構170は、ラッチ弁178を移動させて鍋130の密閉状態および開放状態を変更したが、本実施形態はこれに限定されない。ラッチ機構170は、逆止弁126を移動させて鍋130の密閉状態および開放状態を変更してもよい。
【0105】
次に、図11Aおよび図11Bを参照して、本実施形態の電気調理器100を説明する。図11Aおよび図11Bは、本実施形態の電気調理器100の模式的な一部拡大図である。図11Aおよび図11Bの電気調理器100において、ラッチ機構170が内蓋122に対して逆止弁126を開放する点を除いて図9A図10Bを参照して上述した説明と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0106】
図11Aに示すように、ラッチ機構170は、ラッチボタン172と、回動部材174と、回動軸176と、逆止弁126とを有する。逆止弁126は、内蓋122に設けられる。
【0107】
上述したように、鍋130内の温度が上昇すると、鍋130内の気圧は大気圧よりも増大する。このとき、逆止弁126は、鍋130から外部に向かう空気の流れを通過させる。一方で、鍋130内の温度が上昇した後で、鍋130内の温度が低下すると、鍋130内の気圧は大気圧よりも低くなる。このとき、逆止弁126は、外部から鍋130に向かう空気の流れを抑制する。
【0108】
ラッチボタン172は、回動部材174と連結する。回動部材174は、ラッチボタン172の位置の変化に応じて回動する。回動部材174は、回動軸176を中心に回動する。回動部材174の一端は、ラッチボタン172に連結されており、回動部材174の他端は、逆止弁126に連結されている。例えば、回動部材174の一端は、ラッチボタン172の底部に連結されており、回動部材174の他端は、逆止弁126の上部に連結されている。
【0109】
図11Bに示すように、ラッチボタン172が押圧されると、回動部材174の一端は、ラッチボタン172とともに鉛直下方に移動する。この場合、回動部材174は、回動軸176を中心に回動し、回動部材174の他端は、鉛直上方に移動する。回動部材174の他端が鉛直上方に移動することにより、逆止弁126が鉛直上方に移動し、内蓋122のうち逆止弁126によって覆われた孔が開放される。
【0110】
このように、ラッチ機構170において、ラッチボタン172を押圧することにより、逆止弁126を開放でき、鍋130を密閉状態から開放状態に変更できる。なお、逆止弁126は、ラッチボタン172を押圧することによって開放されるものの、ラッチボタン172を押圧しない場合には、鍋130を密閉することが好ましい。
【0111】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、電気調理器の分野に有用である。
【符号の説明】
【0113】
100 電気調理器
110 本体部
120 蓋体
130 鍋
140 加熱部材
150 制御部
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B