(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法および部品実装装置用撮像装置ならびに部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/683 20230101AFI20240402BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H04N25/683
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2020181595
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】難波 徹
(72)【発明者】
【氏名】道添 聡浩
(72)【発明者】
【氏名】大石 剛史
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012576(WO,A1)
【文献】特開2001-057656(JP,A)
【文献】特開2005-159600(JP,A)
【文献】国際公開第2017/175339(WO,A1)
【文献】特開2007-027844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/683
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に実装する部品実装装置に備えられた2次元撮像装置である部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法であって、
前記部品実装装置の使用開始後における所定のタイミングで、前記部品実装装置用撮像装置における、前記使用開始後に生じた傷画素を検出する傷画素検出工程を備え、
前記傷画素検出工程は、白色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって黒い画素値の傷画素を検出し、黒色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって白い画素値の傷画素を検出し、
前記部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルを備え、
前記傷画素検出工程の前に、前記被写体を備える板状部材を前記吸着ノズルで吸着する吸着工程をさらに備える、
部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法。
【請求項2】
部品を基板に実装する部品実装装置に備えられた2次元撮像装置である部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法であって、
前記部品実装装置の使用開始後における所定のタイミングで、前記部品実装装置用撮像装置における、前記使用開始後に生じた傷画素を検出する傷画素検出工程を備え、
前記傷画素検出工程は、白色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって黒い画素値の傷画素を検出し、黒色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって白い画素値の傷画素を検出し、
前記部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルと、前記吸着ノズルの先端位置における、熱に起因する位置ずれを検出すための熱歪み検出用マークとを備え、
前記傷画素検出工程の前記被写体は、前記熱歪み検出用マークである、
部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法。
【請求項3】
前記傷画素検出工程で検出した傷画素の位置を所定の単位で求める位置特定工程をさらに備える、
請求項1
または請求項2に記載の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法。
【請求項4】
前記傷画素検出工程で検出した傷画素に対し傷画素補正を行って所定の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像する撮像工程をさらに備える、
請求項1
ないし請求項
3のいずれか1項に記載の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法。
【請求項5】
前記部品実装装置用撮像装置は、エリアイメージセンサとして用いられるエリアセンサモード、および、撮像に用いる範囲を特定することによってラインイメージセンサとして用いられるラインセンサモードを含む撮像モードを備え、
前記傷画素検出工程で検出した傷画素を含むラインを除いたラインを用いたラインセンサモードの前記部品実装装置用撮像装置で所定の被写体を撮像する撮像工程をさらに備える、
請求項1
ないし請求項
3のいずれか1項に記載の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法。
【請求項6】
部品を基板に実装する部品実装装置に備えられる部品実装装置用撮像装置であって、
2次元アレイ状に配置された複数の画素と、
初期の第1傷画素に対し傷画素補正を行う傷画素補正部と、
前記第1傷画素と異なる第2傷画素を検出する傷画素検出部とを備え、
前記傷画素補正部は、さらに、前記傷画素検出部で検出した第2傷画素に対し前記傷画素補正を行
い、
前記傷画素検出部は、白色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって黒い画素値の前記第2傷画素を検出し、黒色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって白い画素値の前記第2傷画素を検出し、
前記部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルを備え、前記第2傷画素の検出前に、前記被写体を備える板状部材を前記吸着ノズルで吸着する、
部品実装装置用撮像装置。
【請求項7】
部品を基板に実装する部品実装装置に備えられる部品実装装置用撮像装置であって、
2次元アレイ状に配置された複数の画素と、
初期の第1傷画素に対し傷画素補正を行う傷画素補正部と、
前記第1傷画素と異なる第2傷画素を検出する傷画素検出部とを備え、
前記傷画素検出部は、白色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって黒い画素値の前記第2傷画素を検出し、黒色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって白い画素値の前記第2傷画素を検出し、
前記部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルと、前記吸着ノズルの先端位置における、熱に起因する位置ずれを検出すための熱歪み検出用マークとを備え、
前記傷画素検出部の前記被写体は、前記熱歪み検出用マークである、
部品実装装置用撮像装置。
【請求項8】
請求項
6または請求項7に記載の部品実装装置用撮像装置を備えた、部品を基板に実装する部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置に備えられた撮像装置における傷画素を処理する部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法、および、前記傷画素処理方法を実装した部品実装装置用撮像装置、ならびに、前記部品実装装置用撮像装置を備えた部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、吸着ノズルによって吸着した、例えば集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗素子等の部品を、所定の位置で、例えばプリント基板等の被実装基板に実装する部品実装装置が知られている。このような部品実装装置では、前記部品や前記被実装基板を認識するために、通常、デジタルカメラ等の撮像装置が備えられている。このような部品実装装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された表面実装機は、基板に部品を実装する表面実装機であって、前記部品を保持および解放するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されている前記ヘッドユニットに保持されている前記部品を被写体として撮像する撮像装置とを備え、前記撮像装置は、2次元配置されている複数の受光素子を有する撮像センサと、制御部とを備え、前記撮像センサの撮像モードには前記撮像センサをエリアセンサとして用いるエリアセンサモードと、撮像に用いる前記受光素子の範囲を切り替えることによって前記撮像センサをラインセンサとして用いるラインセンサモードとがあり、前記制御部は、前記被写体の撮像を開始する前に、オペレータの設定に応じて前記撮像モードを切り替えるか、または、前記被写体の少なくとも1つの条件に基づいて前記撮像モードを判断して切り替え、前記被写体の撮像中は前記撮像モードを切り替えない。前記条件は、例えば前記部品のサイズや前記部品の種類である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多数の画素を備える撮像装置では、受光光量に応じた電気信号を出力できない欠陥を持つ画素(欠陥画素、傷画素)を含む撮像装置が製造されてしまう場合がある。このような場合、欠陥画素の画素値をその周辺画素の画素値で補間する傷画素補正を行うように構成した撮像装置が出荷される。しかしながら、前記欠陥画素は、環境温度の影響や経時変化によって生じる場合があり、このような場合では、撮像装置の出荷後に生じた欠陥画素が傷画素補正されないままは撮像装置が利用されることになってしまう。特に、撮像装置を備えた部品実装装置では、前記部品の認識精度や前記基板の認識精度が低下してしまう。
【0006】
前記特許文献1に開示された表面実装機は、前記部品のサイズや種類で撮像モードを切り替えることができるが、撮像装置の出荷後に生じた欠陥画素については、記載も示唆もない。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、出荷後に生じた傷画素(欠陥画素)の対処が可能となる部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法および部品実装装置用撮像装置ならびに部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、部品を基板に実装する部品実装装置に備えられた2次元撮像装置である部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法であって、前記部品実装装置の使用開始後における所定のタイミングで、前記部品実装装置用撮像装置における、前記使用開始後に生じた傷画素を検出する傷画素検出工程を備える。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記所定のタイミングは、前記部品実装装置が前記部品を前記基板に実装する生産を停止している生産停止中のタイミングである。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記所定のタイミングは、前記部品実装装置が前記部品を前記基板に実装する生産を行っている生産中のタイミングである。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記傷画素検出工程は、前記部品実装装置が前記部品を前記基板に実装するための複数の工程の中の1つの工程であって、前記所定のタイミングは、前記1つの工程を実施するタイミングである。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記部品実装装置用撮像装置は、エリアイメージセンサとして用いられるエリアセンサモード、および、撮像に用いる範囲を特定することによってラインイメージセンサとして用いられるラインセンサモードを含む撮像モードを備える。
【0009】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、傷画素検出工程を備えるので、部品実装装置用撮像装置の出荷後に生じた傷画素(欠陥画素)を検出でき、その対処が可能となる。
【0010】
他の一態様では、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記傷画素検出工程で検出した傷画素の位置を所定の単位で求める位置特定工程をさらに備える。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記所定の単位は、画素単位であって、前記傷画素の位置は、2次元座標値で表される。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記所定の単位は、ライン単位であって、前記傷画素の位置は、前記傷画素を含むラインのライン番号で表される。
【0011】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、位置特定工程を備えるので、前記傷画素の位置を確定できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記傷画素検出工程で検出した傷画素に対し傷画素補正を行って所定の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像する撮像工程をさらに備える。
【0013】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、傷画素補正を行った所定の被写体の画像を得ることができる。特に、前記所定の被写体が前記部品等である場合に、傷画素補正を行った画像に基づいてその認識を実施できるので、誤認識を低減できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記部品実装装置用撮像装置は、エリアイメージセンサとして用いられるエリアセンサモード、および、撮像に用いる範囲を特定することによってラインイメージセンサとして用いられるラインセンサモードを含む撮像モードを備え、前記傷画素検出工程で検出した傷画素を含むラインを除いたラインを用いたラインセンサモードの前記部品実装装置用撮像装置で所定の被写体を撮像する撮像工程をさらに備える。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記部品実装装置用撮像装置と前記所定の被写体とは、相対的に移動し、前記撮像工程では、例えば初期設定等のライン変更前より撮像タイミングをずらすことによって、前記傷画素検出工程で検出した傷画素を除くラインを用いたラインセンサモードが実施される。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記部品実装装置用撮像装置と前記所定の被写体とは、相対的に移動し、前記撮像工程では、例えば初期位置等のライン変更前より前記部品実装装置用撮像装置の位置をずらすことによって、前記傷画素検出工程で検出した傷画素を除くラインを用いたラインセンサモードが実施される。
【0015】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、第2傷画素に対し傷画素補正を行う必要がなく、傷画素を含まない画素で撮像した画像を得ることができる。
【0016】
他の一態様では、これら上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記傷画素検出工程は、白色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって黒い画素値の傷画素を検出し、黒色の被写体を前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって白い画素値の傷画素を検出する。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記傷画素検出工程は、予め既知な明るさの面(または面に備えられた予め既知な明るさのマーク)を持つ検出用部材を被写体として前記部品実装装置用撮像装置で撮像することによって前記傷画素を検出する。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記白色の被写体は、白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)および黒色の裏面(または裏面に備えられた黒色のマーク)を持つ1つの板状部材における前記白色の表面(または前記表面に備えられた白色のマーク)であり、前記黒色の被写体は、前記板状部材における前記黒色の表面(または前記裏面に備えられた黒色のマーク)である。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記白色の被写体は、白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)を持つ第1板状部材における前記白色の表面(または前記表面に備えられた白色のマーク)であり、前記黒色の被写体は、黒色の表面(または表面に備えられた黒色のマーク)を持つ前記第1板状部材と異なる第2板状部材における前記黒色の表面(または前記表面に備えられた黒色のマーク)である。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記白色の被写体は、白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)を持つ板状部材における、照明光で照明された前記白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)であり、前記黒色の被写体は、前記板状部材における、前記照明光で照明されていない前記白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)である。
【0017】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、黒い画素値を出力する傷画素と、白い画素値を出力する傷画素とを検出でき、傷画素の種類を特定できる。
【0018】
他の一態様では、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルを備え、前記傷画素検出工程の前に、前記被写体を備える板状部材を前記吸着ノズルで吸着する吸着工程をさらに備える。
【0019】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、前記被写体を備える板状部材を吸着ノズルで吸着するので、前記被写体を固定でき、安定した撮像が可能となる。
【0020】
他の一態様では、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルと、前記吸着ノズルの先端位置における、熱に起因する位置ずれを検出すための熱歪み検出用マークとを備え、前記傷画素検出工程の前記被写体は、前記熱歪み検出用マークである。好ましくは、上述の部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法において、前記熱歪み検出用マークは、明るさを調整可能であり、前記傷画素検出工程の前記被写体は、中間の明るさに調整された前記熱歪み検出用マークである。
【0021】
このような部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法は、部品実装装置に既存な熱歪み検出用マークを傷画素の検出に流用(兼用)するので、傷画素の検出用に別途な部材が不要となる。
【0022】
本発明の他の一態様にかかる部品実装装置用撮像装置は、部品を基板に実装する部品実装装置に備えられる撮像装置であって、2次元アレイ状に配置された複数の画素と、初期の第1傷画素に対し傷画素補正を行う傷画素補正部と、前記第1傷画素と異なる第2傷画素を検出する傷画素検出部とを備え、前記傷画素補正部は、さらに、前記傷画素検出部で検出した第2傷画素に対し前記傷画素補正を行う。
【0023】
このような部品実装装置用撮像装置は、傷画素検出部を備えるので、出荷前に生じていた初期の第1傷画素だけでなく、出荷後に生じた第2傷画素を検出でき、この検出した第2傷画素に対しても前記傷画素補正を行うことで、その対処が可能となる。このため、上記部品実装装置用撮像装置は、欠陥を低減した画像を生成できる。
【0024】
本発明の他の一態様にかかる部品実装装置は、上述の部品実装装置用撮像装置を備えた、部品を基板に実装する部品実装装置である。好ましくは、部品を基板に実装する部品実装装置は、前記部品を吸着する吸着ノズルを備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを移動する移動機構と、前記移動機構で移動する前記ヘッドユニットの前記吸着ノズルに吸着された前記部品を撮像する2次元撮像装置とを備え、前記2次元撮像装置は、上述の部品実装装置用撮像装置である。
【0025】
これによれば、出荷後に生じた傷画素(欠陥画素)の対処が可能となる部品実装装置用撮像装置を備えた部品実装装置が提供できる。上記部品実装装置は、上述の部品実装装置用撮像装置を備えるので、その出荷後に生じた傷画素(欠陥画素)を検出でき、その対処が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法および部品実装装置用撮像装置は、出荷後に生じた傷画素(欠陥画素)の対処が可能となる。本発明によれば、前記部品実装装置用撮像装置を備えた部品実装装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態における部品実装装置の概略構成を示す平面図である。
【
図3】前記部品実装装置に備えられた第2撮像部の構成を示すブロック図である。
【
図4】前記部品実装装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図5】第2傷画素検出に関する前記部品実装装置および第2撮像部20の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第2傷画素の検出に流用される、熱歪み検出用マークの一例を示す図である。
【
図7】第2傷画素を検出するために、イメージセンサ上を走査する熱歪み検出用マークの様子を説明するための図である。
【
図8】変形形態において、第2傷画素を含むラインを除いたラインでラインセンサモードを実行する様子を説明するための図である。
【
図9】他の変形形態において、ラインセンサモードのラインにおける第2傷画素を検出するために、イメージセンサ上を走査する熱歪み検出用マークの様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0029】
実施形態における部品実装装置は、部品を基板に実装する装置であって、前記部品を吸着する吸着ノズルを備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを移動する移動機構と、前記移動機構で移動する前記ヘッドユニットの前記吸着ノズルに吸着された前記部品を撮像する2次元撮像装置とを備える。前記2次元撮像装置は、部品を基板に実装する部品実装装置に備えられる部品実装装置用撮像装置であって、2次元アレイ状に配置された複数の画素と、初期の第1傷画素に対し傷画素補正を行う傷画素補正部と、前記第1傷画素と異なる第2傷画素を検出する傷画素検出部とを備え、前記傷画素補正部は、さらに、前記傷画素検出部で検出した第2傷画素に対し前記傷画素補正を行う。このような部品実装装置用撮像装置および部品実装装置では、前記部品実装装置の使用開始後における所定のタイミングで、前記部品実装装置用撮像装置における、前記使用開始後に生じた傷画素を検出する傷画素検出工程を備える部品実装装置用撮像装置の傷画素処理方法が実施される。以下、このような傷画素処理方法を実装した部品実装装置用撮像装置を備えた部品実装装置について、より具体的に説明する。
【0030】
図1は、実施形態における部品実装装置の概略構成を示す平面図である。
図2は、前記部品実装装置の部分正面図である。
図3は、前記部品実装装置に備えられた第2撮像部の構成を示すブロック図である。
図4は、前記部品実装装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図1およびその他の図面には、方向関係の明確化のために、XYZ直角座標軸が示されている。なお、X方向は、例えば水平面と平行な方向であり、Y方向は、前記水平面上でX方向と直交する方向であり、Z方向は、X方向及びY方向にそれぞれ直交する方向(垂直方向、前記水平面の法線方向)である。
【0031】
実施形態における部品実装装置Dは、主に、例えば
図1ないし
図4に示すように、各部機構の作動によって、例えば集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗素子等の部品を、所定の実装位置MPで、例えばプリント基板等の被実装基板Kに実装する本体機構部1と、例えば
図4に示すように、その作動を制御する制御処理部31と、表示を行う表示部41と、コマンドやデータの入力を行う入力部51と、例えばプログラムやデータ等の所定の情報を記憶する記憶部61とを備える。なお、
図1に示す実装位置MPは、一例であって、これに限定されるものではなく、被実装基板Kや前記部品に応じて適宜に設定される。
【0032】
本体機構部1は、基台2等からなる実装機本体と、この実装機本体に対して移動可能なヘッドユニット3とを有している。基台2上には、コンベヤ駆動モータ4a(
図4参照)によって駆動される基板搬送用のコンベヤ4が配置され、コンベヤ4は、上部に載置された被実装基板Kを搬送して所定の装着作業位置(
図1に示された位置)で停止させるようになっている。コンベヤ4の両側には、それぞれ、X方向に沿って並置された2個の部品供給ユニット5が装着され配置されている。したがって、
図1に示す例では、本体機構部1は、合計4個の部品供給ユニット5を備えている。これら各部品供給ユニット5には、X方向に沿って並置され、部品を供給する複数のテープフィーダ5aが設けられている。
【0033】
ヘッドユニット3は、基台2の上方に配置されているとともに部品供給ユニット5と被実装基板Kが配置される装着作業位置とにわたって移動可能とされている。より具体的には、ヘッドユニット3は、被実装基板Kの表面と略平行する平面上で互いに直交するX軸(X方向)およびY軸(Y方向)に沿って移動可能とされている。
【0034】
すなわち、基台2上には、Y方向に沿って延びる固定レール7と、Y軸サーボモータ8により駆動されるボールねじ軸9とが配設されている。固定レール7上には、ヘッドユニット3を支持する支持部材10が配置され、この支持部材10に設けられたナット部10aがボールねじ軸9に螺合している。支持部材10には、X方向に沿って延びるガイド部材11と、X軸サーボモータ12により駆動されるボールねじ軸13とが配設され、ガイド部材11にヘッドユニット3が移動可能に保持され、ヘッドユニット3に設けられたナット部(不図示)がボールねじ軸13に螺合している。このような構成によって、Y軸サーボモータ8の駆動により支持部材10がY方向に移動し、X軸サーボモータ12の駆動によりヘッドユニット3が支持部材10に対してX方向に移動する。これにより、ヘッドユニット3のX軸およびY軸に沿った移動が実現されている。
【0035】
なお、これら固定レール7、Y軸サーボモータ8、ボールねじ軸9、支持部材10、ナット部10a、ガイド部材11、X軸サーボモータ12、ボールねじ軸13およびヘッドユニット3に設けられた前記ナット部(不図示)は、前記ヘッドユニットを移動する移動機構の一例に相当する。
【0036】
ヘッドユニット3には、実装用ヘッド15が設けられ、
図1および
図2に示す例では、6個の実装用ヘッド15がX方向に沿って一列に並んで設けられている。なお、実装用ヘッド15の個数は、6個に限定されるものではなく、任意であって良く、例えば部品実装装置Dの仕様に応じて適宜に決定される。各実装用ヘッド15は、上下方向(Z方向)に延びる中空のヘッドシャフト15aと、このヘッドシャフト15aの先端(下端)に着脱可能に取り付けられた吸着ノズル15bとを備え、図外の負圧供給手段からヘッドシャフト15aを通して吸着ノズル15bに供給される負圧により、吸着ノズル15bの先端(下端)に開口形成された吸着開口で負圧が生じ、部品等を吸着し得るようになっている。なお、吸着ノズル15bとしては、サイズや形状等が異なる複数の種類が用意され、吸着する部品の種類等に応じて選択された吸着ノズル15bがヘッドシャフト15aの先端に取り付けられる。
【0037】
ヘッドユニット3には、実装用ヘッド15を上下方向(Z方向)に移動させる昇降機構と、実装用ヘッド15を軸回り(R軸回り)に回転させる回転機構とが設けられている。前記昇降機構は、Z軸サーボモータ16(
図4参照)を有し、このZ軸サーボモータ16によりボールねじ等を介して実装用ヘッド15を上下方向に移動させるようになっている。前記回転機構は、各実装用ヘッド15ごとに(したがって、各吸着ノズル15bごとに)、R軸サーボモータ17(
図4参照)を有し、これら各R軸サーボモータ17の各回転駆動に応じて各実装用ヘッド15それぞれをR軸回りに回転させるようになっている。よって、R軸は、実装用ヘッド15(ヘッドシャフト15aおよび吸着ノズル15b)の回転軸である。
図1および
図2に示す例では、前記回転機構は、6個の実装用ヘッド15に応じて、6個のR軸サーボモータ17を備えている。
【0038】
ヘッドユニット3には、吸着ノズル15bの先端位置における、熱に起因する位置ずれを検出すための熱歪み検出用マークを形成する熱歪み検出用マーク形成部18が設けられている。熱歪み検出用マーク形成部18は、本実施形態では、前記熱歪み検出用マークの一例として円環状(ドーナツ状)の虚像を、所定の高さで前記先端位置の近傍(または周辺または並置位置)に形成する投影装置である。
図1ないし
図4に示す例では、熱歪み検出用マーク形成部18は、2個の第1および第2熱歪み検出用マーク形成部18-1、18-2を備え、これら第1および第2熱歪み検出用マーク形成部18-1、18-2は、X方向に一列に配列された複数の実装用ヘッド15を挟み込むように、前記複数の実装用ヘッド15の両サイドそれぞれに配設されている。前記所定の高さは、吸着ノズル15bが部品を吸着していない場合に熱歪み検出用マークを撮像するために、吸着ノズル15bの先端位置と同一高さであってよいが、吸着ノズル15bが部品を吸着している場合に熱歪み検出用マークを撮像できるように、変更可能であってよい。このために、熱歪み検出用マーク形成部18は、前記虚像の高さ位置を変更可能に構成される。このような熱歪み検出用マーク形成部18として、一例では、特許第6615321号公報に開示されたマーク投影部が利用できる。熱歪み検出用マーク形成部18は、前記円環状の虚像の明るさを調整可能に構成されている。熱歪み検出用マークを第2撮像部20で撮像した場合、熱歪み検出用マークの位置およびサイズは、予め既知であるので、熱歪み検出用マークの画像に基づいて、ヘッドユニット3の熱変形等に起因する、吸着ノズル15bの先端位置のずれ量(一例ではX方向およびY方向の各ずれ量等)が演算でき、吸着ノズル15bに吸着された部品を被実装基板Kに実装する場合、前記ずれ量を修正して前記部品を前記被実装基板Kに実装できる。なお、熱歪み検出用マーク形成部18は、前記所定の高さに発光面を持つ光源や前記所定の高さに一方端部を位置させた柱状部材であってもよいが、このような場合では、吸着ノズル15bに吸着された部品と干渉する場合があり、熱歪み検出用マーク形成部18は、上述の虚像を形成する投影装置であることが好ましい。
【0039】
ヘッドユニット3には、さらに、被実装基板Kに付されたフィデューシャルマーク(不図示)を撮像すること等によって被実装基板Kを認識する基板認識用の第1撮像部19がその撮像方向(第1撮像方向)を-Z方向(下向き)に向けて設けられている。
【0040】
吸着ノズル15bに吸着された部品を認識し、そして、前記熱歪み検出用マーク形成部18で形成された前記円環状の虚像を認識する認識手段として、第2撮像部20が、基台2上の、ヘッドユニット移動範囲内の所定位置にその撮像方向(第2撮像尾方向)を+Z方向(上向き)に向けて設けられている。第2撮像部20は、これに付設された照明装置(図示せず)による反射照明条件下で、吸着ノズル15b先端に吸着された部品を下方から撮像することにより、部品の底面の反射画像を得ることが可能となっている。本実施形態では、部品供給ユニット5がコンベヤ4の両側それぞれに配置されていることに応じ、コンベヤ4の両側それぞれに、第2撮像部20が配置されている。
【0041】
これら第1および第2撮像部19、20は、それぞれ、例えば、被写体の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、2次元アレイ状に配置された複数の画素(受光素子、光電変換素子)を備えて前記被写体の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力(前記電気的な信号)を画像処理することで前記被写体の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタルカメラである。そして、本実施形態では、第2撮像部20は、エリアイメージセンサとして用いられるエリアセンサモード、および、ライン状に撮像に用いる範囲を特定することによってラインイメージセンサとして用いられるラインセンサモードを含む撮像モードを備えている。
【0042】
より具体的には、第2撮像部20は、例えば、
図3に示すように、イメージセンサ21と、画像処理部22と、撮像モード制御部23と、図略の前記結像光学系とを備える。
【0043】
イメージセンサ21は、画像処理部22および撮像モード制御部23それぞれと接続され、上述のように、前記結像光学系の結像面に受光面を一致させて配置され、2次元アレイ状に配置された複数の画素を備えて被写体の光学像を電気的な信号に変換する素子である。イメージセンサ21は、例えば、モノクロのCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の2次元イメージセンサである。
【0044】
撮像モード制御部23は、イメージセンサ21、画像処理部22および制御処理部31それぞれと接続され、制御処理部31の制御に従ってイメージセンサ21の撮像モードを制御する回路である。前記撮像モードには、イメージセンサ21をエリアイメージセンサとして用いるエリアセンサモード、および、撮像に用いる範囲をライン状に特定することによってイメージセンサ21をラインイメージセンサとして用いるラインセンサモードが含まれる。エリアセンサモードでは、撮像モード制御部23は、イメージセンサ21における複数の有効画素全てから前記電気的な信号を画像処理部22へ出力するようにイメージセンサ21を制御する。ラインセンサモードでは、撮像モード制御部23は、イメージセンサ21における複数の有効画素のうちのライン状の特定範囲から前記電気的な信号を画像処理部22へ出力するようにイメージセンサ21を制御する。前記特定範囲は、本実施形態では、2次元アレイ状に配置された複数の画像におけるライン番号(行番号)で指定され、設定される。ライン番号は、任意の個数で連続的に指定される。
【0045】
画像処理部22は、イメージセンサ21、撮像モード制御部23および制御処理部31それぞれと接続され、制御処理部31の制御に従って、撮像モード制御部23の撮像モードに応じたイメージセンサ21の出力(前記電気的な信号)を画像処理することで画像データを生成する回路である。画像処理部22は、この生成した画像データを制御処理部31へ出力する。前記画像処理には、本実施形態では、傷画素の補正および傷画素の検出が含まれる。このような画像処理部22は、傷画素補正部221、画像生成部222および傷画素検出部223を含む。
【0046】
傷画素検出部223は、当該第2撮像部20の出荷前に生じていた初期の第1傷画素と異なる、出荷後に生じた第2傷画素(すなわち、当該部品実装装置Dの使用開始後に生じた傷画素)を検出し、前記検出した第2傷画素の位置を所定の単位で求め、前記第2傷画素の位置を記憶する回路である。前記所定の単位は、本実施形態では、例えば画素単位であって、前記第2傷画素の位置は、2次元座標値で表される。傷画素検出部223による第2傷画素の検出は、制御処理部31の制御に従って、当該部品実装装置Dの使用開始後における所定のタイミングで実施される。前記所定のタイミングは、例えば、部品実装装置Dが部品を基板に実装する生産を停止している生産停止中のタイミングである。
【0047】
傷画素補正部221は、初期の第1傷画素に対し傷画素補正を行う回路である。本実施形態では、傷画素補正部221は、さらに、傷画素検出部223で検出した第2傷画素に対し前記傷画素補正を行う。傷画素補正部221は、記憶されている第1傷画素の位置および第2傷画素の位置における傷画素に対し、前記傷画素補正として、傷画素(第1および第2傷画素)の画素値をその周辺画素の画素値で補間する。なお、第1傷画素の位置も2次元座標値で表され、出荷前に記憶される。例えば、第1に、傷画素補正部221は、当該傷画素に対し列方向に沿って隣接する2画素の各画素値および行方向に沿って隣接する2画素の各画素値を平均した平均画素値を傷画素の画素値とすることで前記傷画素補正を行う。あるいは、例えば、第2に、傷画素補正部221は、当該傷画素に対し2個の対角方向で隣接する4画素の各画素値を平均した平均画素値を傷画素の画素値とすることで前記傷画素補正を行う。あるいは、例えば、第3に、傷画素補正部221は、当該傷画素に対し周囲に隣接する8画素の各画素値を平均した平均画素値を傷画素の画素値とすることで前記傷画素補正を行う。上述の第1傷画素補正は、列方向や行方向に隣接した2画素が傷画素である場合、適切に補間し難いが、上述の第2および第3傷画素補正は、このような場合でも、より適切に補間できる。
【0048】
画像生成部222は、撮像モード制御部23の撮像モードに応じたイメージセンサ21の出力(前記電気的な信号)を例えば黒補正やガンマ補正等の画像処理することで画像データを生成する回路である。前記イメージセンサ21の出力に、傷画素の出力が含まれる場合には、画像生成部222は、前記傷画素の出力として、傷画素補正部221で傷画素補正された画素値を用いる。
【0049】
なお、画像処理部22および撮像モード制御部23は、例えば、マイクロコンピュータを備えて構成されてよく、傷画素補正部221、画像生成部222および傷画素検出部223は、前記マイクロコンピュータに機能的に構成されてよい。あるいは、例えば、画像処理部22および撮像モード制御部23は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を備えて構成されてよい。
【0050】
次に、部品実装装置Dの電気的な構成について説明する。実施形態における部品実装装置Dは、電気的には、例えば、
図4に示すように、コンベヤ駆動モータ4aと、X軸サーボモータ12と、Y軸サーボモータ8と、Z軸サーボモータ16と、R軸サーボモータ17と、熱歪み検出用マーク形成部18と、第1撮像部19と、第2撮像部20と、テープフィーダ5aと、制御処理部31と、表示部41と、入力部51と、記憶部61とを備える。これらコンベヤ駆動モータ4a、X軸サーボモータ12、Y軸サーボモータ8、Z軸サーボモータ16、R軸サーボモータ17、熱歪み検出用マーク形成部18、第1撮像部19、第2撮像部20、テープフィーダ5a、表示部41、入力部51および記憶部61は、それぞれ、制御処理部31に電気的に接続され、制御処理部31の制御に従って各装置4a、12、8、16、17、18、19、20、5a、41、51、61の当該機能に応じて動作する。
【0051】
表示部41は、制御処理部31の制御に従って、例えば第1および第2撮像部19、20で撮像した画像や、部品実装装置Dの動作状況等の所定の情報を表示する装置である。表示部41は、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0052】
入力部51は、例えば、実装開始を指示するコマンドや実装停止を指示するコマンド等の各種コマンドや、前記所定のタイミング等の、当該部品実装装置Dの稼働を行う上で必要な各種データを部品実装装置Dに入力する装置であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。
【0053】
記憶部61は、制御処理部31の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、部品実装装置Dにおける表示部41、入力部51および記憶部61等を当該機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、コンベヤ駆動モータ4a、X軸サーボモータ12、Y軸サーボモータ8、Z軸サーボモータ16およびR軸サーボモータ17を当該機能に応じてそれぞれ制御するモータ制御プログラムや、前記制御プログラムおよび前記モータ制御プログラムと連携して、部品を、被実装基板Kにおける所定の実装位置MPに実装するように、部品実装装置Dにおける熱歪み検出用マーク形成部18、第1撮像部19、第2撮像部20およびテープフィーダ5aを当該機能に応じて制御する実装プログラムや、前記所定のタイミングで第2撮像部20に第2傷画素の検出を実行させる傷画素検出実行プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば、被実装基板Kを搬送する搬送系に関する所定の搬送系データや、部品実装装置Dの設備ごとに固有な設備固有データや、前記所定のタイミング等の、各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。これら実装プログラム、搬送系データ、設備固有データおよび前記所定のタイミングをそれぞれ記憶するために、記憶部61は、実装プログラム記憶部611、搬送系データ記憶部612、設備固有データ記憶部613およびタイミング記憶部614を機能的に備える。記憶部61は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。記憶部61は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部31のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0054】
制御処理部31は、部品実装装置Dの各装置4a、12、8、16、17、18、19、20、5a、41、51、61を当該機能に応じてそれぞれ制御し、前記所定のタイミングで第2傷画素の検出を実行させ、部品を、被実装基板Kにおける所定の実装位置MPに実装するための回路である。制御処理部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部31は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部311、モータ制御部312、実装処理部313および傷画素検出実行部314を機能的に備える。
【0055】
制御部311は、部品実装装置Dにおける表示部41、入力部51および記憶部61等を当該機能に応じてそれぞれ制御し、部品実装装置D全体の制御を司るものである。
【0056】
モータ制御部312は、コンベヤ駆動モータ4a、X軸サーボモータ12、Y軸サーボモータ8、Z軸サーボモータ16およびR軸サーボモータ17それぞれを制御するものである。
【0057】
実装処理部313は、制御部311およびモータ制御部312と連携して、複数のテープフィーダ5aそれぞれから、各部品を、各吸着ノズル15bで吸着し、複数の吸着ノズル15bそれぞれで同時に吸着された複数の前記部品を、被実装基板Kにおける所定の各実装位置MPそれぞれに実装するように、部品実装装置Dにおける熱歪み検出用マーク形成部18、第1撮像部19、第2撮像部20およびテープフィーダ5aを当該機能に応じて制御するものである。
【0058】
傷画素検出実行部314は、タイミング記憶部614に記憶されている前記所定のタイミングで第2撮像部20に第2傷画素の検出を実行させるものである。
【0059】
これら制御処理部31、表示部41、入力部51および記憶部61は、例えば、各装置4a、12、8、16、17、18、19、20、5aに対しデータを送受信するためのインターフェース回路を備えたデスクトップ型やノード型等のコンピュータによって構成可能である。
【0060】
なお、第2撮像部20における画像処理部22および撮像モード制御部23がマイクロコンピュータを備えて構成される場合、第2撮像部20の前記マイクロコンピュータは、部品実装装置Dの前記コンピュータと兼用されてもよい。すなわち、制御処理部31には、画像処理部22および撮像モード制御部23が機能的に構成され、画像処理部22には、傷画素補正部221、画像生成部222および傷画素検出部223が機能的に構成される。また、画像処理部22および撮像モード制御部23のうちの一方が制御処理部31に機能的に構成されてもよい。
【0061】
また、第2撮像部20は、本実施形態では、部品を基板に実装する部品実装装置に備えられた2次元撮像装置である部品実装装置用撮像装置の一例に相当する。前記部品実装装置用撮像装置は、必ずしも部品実装装置に特化した装置である必要はなく、部品実装装置に備えることが可能であればよく、部品実装装置の他の装置に備えることが可能であってもよい。その一方で、前記部品実装装置用撮像装置を備えた部品実装装置のユーザは、第2傷画素が生じても、前記部品実装装置のメーカ等に修理を依頼する必要がなく、前記修理のために、前記部品実装装置の生産ラインを休止する必要がない。このため、前記部品実装装置用撮像装置を備えた部品実装装置は、その生産性を向上できる。
【0062】
次に、第2傷画素検出に関する部品実装装置Dおよび第2撮像部20の動作について説明する。
【0063】
図5は、第2傷画素検出に関する前記部品実装装置および第2撮像部20の動作を示すフローチャートである。
図6は、第2傷画素の検出に流用される、熱歪み検出用マークの一例を示す図である。
図7は、第2傷画素を検出するために、イメージセンサ上を走査する熱歪み検出用マークの様子を説明するための図である。
図7Aは、エリアセンサモードの場合を示し、
図7Bは、ラインセンサモードの場合を示す。
【0064】
このような構成の部品実装装置Dでは、オペレータ(ユーザ)は、複数のテープフィーダ5aを部品供給ユニット5に装着(セット)し、複数の部品を収容した複数の部品テープを巻き回した複数のリールそれぞれから前記複数の部品テープをそれぞれ引き出し、これら引き出した各部品テープを複数のテープフィーダ5aそれぞれにセットする。オペレータは、部品供給ユニット5を本体機構部1に装着する。
【0065】
そして、図略の電源スイッチがオンされると、部品実装装置Dが稼働を始める。部品実装装置Dは、稼働を開始すると、例えばヘッドユニット3やコンベヤ4等を原点復帰する等の部品実装装置Dが初期化される。制御処理部31では、その制御処理プログラム等の実行によって、制御部311、モータ制御部312、実装処理部313および傷画素検出実行部314が機能的に構成される。生産開始が指示されると、部品実装装置Dは、部品を被実装基板Kに実装する生産を開始する。なお、記憶部61のタイミング記憶部614には、入力部51から前記所定のタイミング、例えば、略12時間ごとに生産を停止し、この生産停止中のタイミングで第2傷画素の検出することが記憶されているものとする。
【0066】
前記所定のタイミングになると、制御処理部31は、生産を停止し、その傷画素検出実行部314によって、第2傷画素の検出を指示する制御信号を第2撮像部20へ出力する。
【0067】
この制御信号を受信すると、
図5において、第2撮像部20は、画像処理部22の傷画素検出部223によって、最初に第2傷画素を検出するための初期位置へセットし(S1)、傷画素(第2傷画素)を検出する(S2、傷画素検出工程)。
【0068】
より具体的には、本実施形態では、前記傷画素検出工程は、白色の被写体を第2撮像部20で撮像することによって黒い画素値の傷画素を検出し、黒色の被写体を前記第2撮像部20で撮像することによって白い画素値の傷画素を検出する。この場合では、第2傷画素の検出には、前記白色の被写体と前記黒色の被写体とが必要であり、部品実装装置Dと別体でこれらの被写体が用意されてもよいが、本実施形態では、前記被写体として、上述の熱歪み検出用マークMKが利用(流用、兼用)される。この熱歪み検出用マークMKは、例えば、
図6に示すように、虚像で、白色領域WHとなる白色の円環状(ドーナツ状)を呈しており、白色の円環状であるので前記円環状の内側が黒色領域BLとなっている。このように熱歪み検出用マークMKは、1個で、前記白色の被写体と前記黒色の被写体と兼ね備えている。
【0069】
例えば、エリアセンサモードにおける黒い画素値の傷画素を検出する場合では、イメージセンサ21における画素位置(0、0)の画素(以下、「画素PX(0、0)」と適宜に略記する)を、最初に第2傷画素の検出を行う対象画素とすると、処理S1では、傷画素検出部223は、例えば、
図7Aに示すように、熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHが画素PX(0、0)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記初期位置へセットする。前記対象画素は、1個の画素であってよいが、
図7Aに示す例では、熱歪み検出用マークMKの白色領域WHは、列方向に隣接して並ぶ3個の画素を露光できるので、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHが3個の画素PX(0、0)、画素PX(0、1)および画素PX(0、2)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記初期位置へセットする。なお、熱歪み検出用マークMK(k)は、k番目の傷画素の検出で用いられる熱歪み検出用マークMKを意味する(kは、0~(イメージセンサ21の有効画素総数-1))。より詳しくは、本実施形態では、第2撮像部20は、固定され、熱歪み検出用マーク形成部18は、X軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8によって移動可能なヘッドユニット3に設けられているので、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHが3個の画素PX(0、0)、画素PX(0、1)および画素PX(0、2)に位置するように、傷画素検出実行部314にX軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8を駆動させてヘッドユニット3を移動させることで、前記初期位置へセットする。
【0070】
なお、熱歪み検出用マークMKが明るすぎると、その光電変換で生じた電荷が当該画素から隣接画素へ滲み出る虞があるので、熱歪み検出用マークMKは、中間の明るさに調整されていることが好ましい。
【0071】
そして、処理S2では、傷画素検出部223は、イメージセンサ21で熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHを白色の被写体として撮像し、3個の画素PX(0、0)、画素PX(0、1)および画素PX(0、2)それぞれについて、当該画素の画素値に基づいて当該画素が黒い画素値の傷画素であるか否かを判定する。より詳しくは、傷画素検出部223は、当該画素の画素値と、予め設定された第1閾値(黒傷画素判定閾値)とを比較する。前記黒傷画素判定閾値は、白色の被写体を撮像した場合に、黒い画素値の傷画素であるか否かを判定するための閾値であり、例えば複数のサンプルから適宜に予め設定される。この比較の結果、当該画素の画素値が前記黒傷画素判定閾値以下である場合には、傷画素検出部223は、当該画素が黒い画素値の傷画素であると判定し、一方、当該画素の画素値が前記黒傷画素判定閾値を超えている場合には、傷画素検出部223は、当該画素が黒い画素値の傷画素ではなく、正常な画素であると判定する。なお、黒い画素値を持つ複数の画素が、近接または連続して固まっている場合には、傷画素ではなく、塵埃等の異物が第2撮像部20のレンズ表面上や熱歪み検出用マーク形成部18の投影光放射面上等に付着していると判定されてもよい。
【0072】
一方、エリアセンサモードにおける白い画素値の傷画素を検出する場合では、処理S1では、同様に、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の黒色領域BLが画素PX(0、0)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記初期位置へセットする。
図7Aに示す例では、熱歪み検出用マークMKの黒色領域BLは、1個の画素分であるので、前記対象画素は、1個の画素である。より詳しくは、本実施形態では、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の黒色領域BLが画素PX(0、0)に位置するように、傷画素検出実行部314にX軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8を駆動させてヘッドユニット3を移動させることで、前記初期位置へセットする。
【0073】
そして、処理S2では、傷画素検出部223は、イメージセンサ21で熱歪み検出用マークMK(0)の黒色領域BLを黒色の被写体として撮像し、画素PX(0、0)の画素値に基づいて画素PX(0、0)が白い画素値の傷画素であるか否かを判定する。より詳しくは、傷画素検出部223は、画素PX(0、0)の画素値と、予め設定された第2閾値(白傷画素判定閾値)とを比較する。前記白傷画素判定閾値は、黒色の被写体を撮像した場合に、白い画素値の傷画素であるか否かを判定するための閾値であり、例えば複数のサンプルから適宜に予め設定される。この比較の結果、画素PX(0、0)の画素値が前記白傷画素判定閾値以上である場合には、傷画素検出部223は、画素PX(0、0)が白い画素値の傷画素であると判定し、一方、画素PX(0、0)の画素値が前記白傷画素判定閾値未満である場合には、傷画素検出部223は、画素PX(0、0)が白い画素値の傷画素ではなく、正常な画素であると判定する。
【0074】
あるいは、例えば、ラインセンサモードにおける黒い画素値の傷画素を検出する場合であって、ライン番号;2ないしライン番号;4の3ライン(3行)における複数の画素を用いる場合では、画素PX(2、0)を、最初に第2傷画素の検出を行う対象画素とすると、処理S1では、傷画素検出部223は、例えば、
図7Bに示すように、熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHが3個の画素PX(2、0)、画素PX(2、1)および画素PX(2、2)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記初期位置へセットする。より詳しくは、本実施形態では、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHが3個の画素PX(2、0)、画素PX(2、1)および画素PX(2、2)に位置するように、傷画素検出実行部314にX軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8を駆動させてヘッドユニット3を移動させることで、前記初期位置へセットする。
【0075】
そして、処理S2では、傷画素検出部223は、イメージセンサ21で熱歪み検出用マークMK(0)の白色領域WHを白色の被写体として撮像し、3個の画素PX(2、0)、画素PX(2、1)および画素PX(2、2)それぞれについて、当該画素の画素値に基づいて当該画素が黒い画素値の傷画素であるか否かを判定する。より詳しくは、傷画素検出部223は、当該画素の画素値と、前記黒傷画素判定閾値とを比較する。この比較の結果、当該画素の画素値が前記黒傷画素判定閾値以下である場合には、傷画素検出部223は、当該画素が黒い画素値の傷画素であると判定し、一方、当該画素の画素値が前記黒傷画素判定閾値を超えている場合には、傷画素検出部223は、当該画素が黒い画素値の傷画素ではなく、正常な画素であると判定する。
【0076】
一方、ラインセンサモードにおける白い画素値の傷画素を検出する場合では、処理S1では、同様に、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の黒色領域BLが画素PX(2、0)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記初期位置へセットする。より詳しくは、本実施形態では、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(0)の黒色領域BLが画素PX(2、0)に位置するように、傷画素検出実行部314にX軸サーボモータ12およびY軸サーボモータ8を駆動させてヘッドユニット3を移動させることで、前記初期位置へセットする。
【0077】
そして、処理S2では、傷画素検出部223は、イメージセンサ21で熱歪み検出用マークMK(0)の黒色領域BLを黒色の被写体として撮像し、画素PX(2、0)の画素値に基づいて画素PX(2、0)が白い画素値の傷画素であるか否かを判定する。より詳しくは、傷画素検出部223は、画素PX(2、0)の画素値と、前記白傷画素判定閾値とを比較する。この比較の結果、画素PX(2、0)の画素値が前記白傷画素判定閾値以上である場合には、傷画素検出部223は、画素PX(2、0)が白い画素値の傷画素であると判定し、一方、画素PX(2、0)の画素値が前記白傷画素判定閾値未満である場合には、傷画素検出部223は、画素PX(2、0)が白い画素値の傷画素ではなく、正常な画素であると判定する。
【0078】
次に、第2撮像部20は、傷画素検出部223によって、処理S2で第2傷画素を検出した場合に、その処理S2で検出した第2傷画素の位置を所定の単位で求め、記憶する(S3、位置特定工程)。本実施形態では、前記所定の単位は、上述したように、画素単位であって、前記傷画素の位置は、2次元座標値で表される。例えば、画素PX(0、1)が第2傷画素であると判定された場合、第2傷画素として2次元座標値(0、1)が記憶される。あるいは、例えば、画素PX(2、0)が第2傷画素であると判定された場合、第2傷画素として2次元座標値(2、0)が記憶される。
【0079】
なお、前記所定の単位は、ライン単位であって、前記傷画素の位置は、前記傷画素を含むラインのライン番号で表されてもよい。ライン単位は、ラインセンサモードに好適である。例えば、画素PX(2、0)が第2傷画素であると判定された場合、第2傷画素としてライン番号;2が記憶される。
【0080】
次に、第2撮像部20は、傷画素検出部223によって、第2傷画素の検出の終了か否かを判定する(S4)。
【0081】
例えば、エリアセンサモードでは、複数の有効画素全てに対し、第2傷画素の検出が実施されている場合には、第2傷画素の検出の終了と判定し(Yes)、傷画素検出部223は、第2傷画素の検出の終了を傷画素検出実行部314へ出力し、本処理を終了する。一方、第2傷画素の検出が未実施である有効画素が有る場合には、第2傷画素の検出が終了していないと判定し(No)、傷画素検出部223は、次に第2傷画素を検出するための位置へセットし(S5)、処理を処理S2に戻す。例えば、
図7Aに示す例では、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(1)の白色領域WHが3個の画素PX(0、3)、画素PX(0、4)および画素PX(0、5)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記次位置へセットする。
【0082】
あるいは、例えば、ラインセンサモードでは、ラインセンサモードで使用するラインにおける複数の有効画素全てに対し、第2傷画素の検出が実施されている場合には、第2傷画素の検出の終了と判定し(Yes)、傷画素検出部223は、第2傷画素の検出の終了を傷画素検出実行部314へ出力し、本処理を終了する。一方、前記ラインセンサモードで使用するラインにおける複数の有効画素の中に、第2傷画素の検出が未実施である有効画素が有る場合には、第2傷画素の検出が終了していないと判定し(No)、傷画素検出部223は、次に第2傷画素を検出するための位置へセットし(S5)、処理を処理S2に戻す。例えば、
図7Bに示す例では、傷画素検出部223は、熱歪み検出用マークMK(1)の白色領域WHが3個の画素PX(2、3)、画素PX(2、4)および画素PX(2、5)に位置するように、第2撮像部20と熱歪み検出用マーク形成部18とを相対的に移動させることで、前記次位置へセットする。
【0083】
このように第2傷画素の検出が実行され、前記第2傷画素の検出が終了すると、部品実装装置Dは、部品を被実装基板Kに実装する生産を再開する。この部品を被実装基板Kに実装するための複数の工程の中の1つの工程として、吸着ノズル15bに吸着された部品を認識するために、吸着ノズル15bに吸着された部品が第2撮像部20で撮像される(撮像工程)。この撮像工程では、前記処理S2(傷画素検出工程)で検出した傷画素に対し傷画素補正を行って所定の被写体、ここでは吸着ノズル15bに吸着された部品が第2撮像部20で撮像される。より具体的には、第2撮像部20は、画像生成部222によって、撮像モード制御部23の撮像モードに応じたイメージセンサ21の出力を例えば黒補正やガンマ補正等の画像処理することで画像データを生成する。この際に、前記イメージセンサ21の出力に、傷画素(第1および第2傷画素)の出力が含まれる場合には、画像生成部222は、前記傷画素の出力として、傷画素補正部221で傷画素補正された画素値を用いる。
【0084】
なお、上述では、1回の処理S2の実行において、黒い画素値の傷画素の検出および白い画素値の傷画素の検出を連続的に実施しながら、処理S4および処理S5の実行によって、傷画素を検出すべき複数の画素が走査されたが、傷画素を検出すべき複数の画素それぞれに対し、黒い画素値の傷画素の検出が走査しながら実行され、次に、前記傷画素を検出すべき複数の画素それぞれに対し、白い画素値の傷画素の検出が走査しながら実行されてもよい。
【0085】
また、上述では、黒い画素値の傷画素を検出する場合において、熱歪み検出用マークMKの白色領域WHは、3個の画素分を利用し、前記対象画素は、3個の画素であったが、他の白色領域WHをさらに利用することによって、前記対象画素を増加できる。
【0086】
また、上述では、白い画素値の傷画素を検出する場合において、熱歪み検出用マークMKの黒色領域BLは、1個の画素分であるので、前記対象画素は、1個の画素であったが、もちろん、黒色領域BLのより大きな熱歪み検出用マークMKを用いることによって、前記対象画素を複数の画素にできる。
【0087】
また、上述では、第2傷画素の検出に1個の熱歪み検出用マークMKが用いられたが、複数の熱歪み検出用マークMKを用いて第2傷画素が検出されてもよい。例えば、第1および第2熱歪み検出用マーク形成部18-1、18-2によって形成された2個の熱歪み検出用マークMKを用いて第2傷画素が検出されてもよい。
【0088】
以上説明したように、実施形態における部品実装装置D、これに備えられた第2撮像部20(部品実装装置用撮像装置の一例)およびこれに実装された傷画素処理方法は、傷画素検出部223を備え傷画素検出工程を備えるので、第2撮像部20の出荷後や部品実装装置Dの出荷後に生じた傷画素(欠陥画素)を検出でき、その対処が可能となる。
【0089】
上記部品実装装置D、第2撮像部20および傷画素処理方法は、傷画素検出部223を備え位置特定工程を備えるので、前記傷画素の位置を確定できる。
【0090】
上記部品実装装置D、第2撮像部20および傷画素処理方法は、傷画素補正部221を備え傷画素補正する撮像工程を備えるので、傷画素補正を行った所定の被写体の画像を得ることができる。特に、前記所定の被写体が前記部品等である場合に、傷画素補正を行った画像に基づいてその認識を実施できるので、誤認識を低減できる。
【0091】
上記部品実装装置D、第2撮像部20および傷画素処理方法は、白色の被写体および黒色の被写体となる熱歪み検出用マークMKを用いるので、黒い画素値を出力する傷画素と、白い画素値を出力する傷画素とを検出でき、傷画素の種類を特定できる。
【0092】
上記部品実装装置D、第2撮像部20および傷画素処理方法は、部品実装装置Dに既存な熱歪み検出用マークMKを傷画素の検出に流用(兼用)するので、傷画素の検出用に別途な部材が不要となる。
【0093】
なお、上述の実施形態では、前記所定のタイミングは、生産停止中のタイミングであったが、これに限定されるものではなく、あるいは、例えば、前記所定のタイミングは、部品実装装置Dが部品を基板に実装する生産を行っている生産中のタイミングであってもよい。言い換えれば、前記傷画素検出工程は、部品実装装置Dが部品を被実装基板Kに実装するための複数の工程の中の1つの工程であって、前記所定のタイミングは、前記1つの工程を実施するタイミングであってもよい。すなわち、前記所定のタイミング(第2傷画素検査工程)が生産工程に組み込まれてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、第2傷画素の検出に、熱歪み検出用マークMKが利用されたが、これに限定されるものではなく、あるいは、例えば、第2傷画素の検出に用いられる専用の検出用部材が利用されてもよい。このような検出用部材は、前記第2傷画素の検出の際に、被写体となり、例えば、予め既知な明るさの面を持つ部材である。この検出用部材が利用される場合では、前記検出用部材は、前記被写体を備える板状部材であり、前記傷画素検出工程(処理S2)の前に、前記検出用部材の板状部材を吸着ノズル15bで吸着する吸着工程をさらに備える。このような部品実装装置D、第2撮像部20および傷画素処理方法は、前記被写体を備える板状部材を吸着ノズル15bで吸着するので、前記被写体を固定でき、安定した撮像が可能となる。
【0095】
より具体的には、黒い画素値を出力する傷画素と、白い画素値を出力する傷画素とを検出する場合では、前記検出用部材は、例えば、白色の表面および黒色の裏面を持つ1つの板状部材であり、前記白色の被写体は、前記板状部材における白色の表面であり、前記黒色の被写体は、前記板状部材における前記黒色の表面である。なお、前記検出用部材は、白色の表面を持つ第1板状部材と、黒色の表面を持つ第2板状部材との2個の部材で構成されてもよい。
【0096】
あるいは、例えば、前記検出用部材は、表面に備えられた白色のマークおよび裏面に備えられた黒色のマークを持つ1つの板状部材であり、前記白色の被写体は、前記板状部材における前記表面に備えられた白色のマークであり、前記黒色の被写体は、前記板状部材における前記裏面に備えられた黒色のマークである。なお、前記検出用部材は、表面に備えられた白色のマークを持つ第1板状部材と、表面に備えられた黒色のマークを持つ第2板状部材との2個の部材で構成されてもよい。前記マークは、例えば、円形、矩形および円環形等の任意の形状であってよい。
【0097】
あるいは、例えば、前記検出用部材は、白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)を持つ板状部材であり、前記白色の被写体は、前記板状部材における、照明光で照明された前記白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)であり、前記黒色の被写体は、前記板状部材における、前記照明光で照明されていない前記白色の表面(または表面に備えられた白色のマーク)である。前記照明光には、上述したように、吸着ノズル15bに吸着された部品を第2撮像部20で認識する際に用いられる前記照明装置が利用され、前記照明光は、前記照明装置によって照射される。なお、白傷のみの検出では、検出用部材を用いずに、照明しないで単に真っ暗な状態を撮像した画像が用いられてもよい。
【0098】
また、上述の実施形態では、第2傷画素が検出された場合に、所定の被写体を撮像して前記被写体の画像を生成する際に、傷画素補正によって前記被写体の画像が生成されたが、第2傷画素を除くラインを用いてラインセンサモードで前記被写体が撮像されてもよい。すなわち、傷画素検出部223によって前記傷画素検出工程で検出した第2傷画素を含むラインを除いたラインを用いたラインセンサモードの第2撮像部20で所定の被写体を撮像する前記撮像工程が実施される。この場合では、第2傷画素の位置は、ライン単位で検出されてよい。このような部品実装装置D、第2撮像部20および傷画素処理方法は、第2傷画素に対し傷画素補正を行う必要がなく、傷画素を含まない画素で撮像した画像を得ることができる。なお、第1傷画素に対しては傷画素補正が行われる。
【0099】
図8は、変形形態において、第2傷画素を含むラインを除いたラインでラインセンサモードを実行する様子を説明するための図である。
図8Aは、ライン変更前(当初)にラインセンサモードで用いられるラインを示し、
図8Bは、ライン変更後にラインセンサモードで用いられるラインを示す。
【0100】
例えば、
図8Aに示すように、ライン変更前、ラインセンサモードで用いられるラインがライン番号;2ないしライン番号;5の4個のラインであった場合、第2傷画素の検出でライン番号;2のラインに、第2傷画素が検出されると、ラインセンサモードで用いられるラインが、第2傷画素を含むライン番号;2のラインを除いたライン、例えば、
図8Bに示すように、ライン番号;3ないしライン番号;6の4個のラインに変更される。もちろん、ライン変更後のラインセンサモードで用いられるラインは、ライン番号;4ないしライン番号;7の4個のラインや、ライン番号;6ないしライン番号;9の4個のライン等であってもよい。
【0101】
ライン変更後のラインセンサモードでは、
図8Bに示す例では、ライン番号;3ないしライン番号;6の4個のラインを用いて所定の被写体が第2撮像部20によって撮像される。
【0102】
例えば、第2撮像部20(部品実装装置用撮像装置の一例)と前記所定の被写体とが、相対的に移動する場合、前記撮像工程では、例えば初期設定等のライン変更前より撮像タイミングをずらすことによって、前記傷画素検出工程で検出した第2傷画素を除くラインを用いたラインセンサモードが実施される。本実施形態では、上述のように、第2撮像部20が固定され、吸着ノズル15bを設けたヘッドユニット3が移動する。このため、
図8に示す場合では、
図8Aに示すライン変更前の撮像タイミングより、ヘッドユニット3が1ライン分を移動する時間だけ、撮像タイミングをずらすことによって、
図8Bに示すように、ライン番号;3ないしライン番号;6の4個のラインを用いて所定の被写体が第2撮像部20によって撮像される。
【0103】
あるいは、例えば、前記部品実装装置用撮像装置と前記所定の被写体とは、相対的に移動し、前記撮像工程では、例えば初期位置等のライン変更前より前記部品実装装置用撮像装置の位置をずらすことによって、前記傷画素検出工程で検出した傷画素を除くラインを用いたラインセンサモードが実施される。
図8に示す例では、ライン変更前の前記部品実装装置用撮像装置の位置より、1ライン分の長さだけ、前記部品実装装置用撮像装置の位置をずらすことによって、ライン番号;3ないしライン番号;6の4個のラインを用いて所定の被写体が前記部品実装装置用撮像装置によって撮像される。
【0104】
このようにラインセンサモードでは、第2傷画素が検出された場合に、使用ラインの変更に応じて、撮像タイミングまたは前記部品実装装置用撮像装置の位置が変更される。
【0105】
また、上述の実施形態では、ラインセンサモードにおける第2傷画素を検出する際に、固定された第2撮像部20に対し熱歪み検出用マークMK(ヘッドユニット3)を行方向(ライン方向)に沿って走査したが、これに限定されるものではない。例えば、熱歪み検出用マークMKが斜め方向に走査されてもよい。この場合では、固定された第2撮像部20に代え、第2撮像部20と同様なイメージセンサ21、画像処理部22および撮像モード制御部23を備えた移動可能な撮像装置が用意される。
【0106】
図9は、他の変形形態において、ラインセンサモードのラインにおける第2傷画素を検出するために、イメージセンサ上を走査する熱歪み検出用マークの様子を説明するための図である。
図9Aは、イメージセンサ全体を示し、
図9Bは、ラインセンサモードで用いられる3個のラインに対する熱歪み検出用マークMKa(0)の0番目の初期位置を示し、
図9Cは、前記3個のラインに対する熱歪み検出用マークMKa(1)の1番目の位置を示し、
図9Dは、前記3個のラインに対する熱歪み検出用マークMKa(2)の2番目の位置を示す。
図9に示す例では、説明の簡単化のために、熱歪み検出用マークMKaは、白色領域となる白色の円形の虚像であり、3行3列の9個の画素を露光できる。
【0107】
例えば、ラインセンサモードにおける黒い画素値の傷画素を検出する場合であって、ライン番号;3ないしライン番号;5の3ライン(3行)における複数の画素を用いる場合では、9個の画素PX(3、0)ないし画素PX(5、2)(すなわち、9個の画素PX(3、0)、画素PX(3、1)、画素PX(3、2)、画素PX(4、0)、画素PX(4、1)、画素PX(4、2)、画素PX(5、0)、画素PX(5、1)、画素PX(5、2)、以下同様)を、最初に第2傷画素の検出を行う対象画素とすると、まず、
図9Aおよび
図9Bに示すように、熱歪み検出用マークMKa(0)が9個の画素PX(3、0)ないし画素PX(5、2)に位置するように、前記撮像装置と熱歪み検出用マークMKaとを相対的に移動させることで、熱歪み検出用マークMKa(0)が、前記初期位置へセットされ、第2傷画素の検出が実行される。続いて、
図9Aおよび
図9Cに示すように、熱歪み検出用マークMKa(1)が9個の画素PX(3、3)ないし画素PX(5、5)に位置するように、熱歪み検出用マークMKa(1)が、1回の第2傷画素の検出で検出対象となる画素分だけ斜めに、
図9に示す例では3行3列だけ斜めに、移動すると共に、前記撮像装置が、列方向に沿うx方向における、前記1回の第2傷画素の検出で検出対象となる画素分だけ前記x方向に、
図9に示す例では3行だけ前記x方向に、移動する。これによって、ラインセンサモードで用いられる3個のラインに対し、熱歪み検出用マークMKa(1)が、次に第2傷画素を検出するための位置へセットされ、第2傷画素の検出が実行される。続いて、同様に、
図9Aおよび
図9Dに示すように、熱歪み検出用マークMKa(1)が9個の画素PX(3、6)ないし画素PX(5、8)に位置するように、熱歪み検出用マークMKa(2)が、3行3列だけ斜めに、移動すると共に、前記撮像装置が、3行だけ前記x方向に、移動する。これによって、ラインセンサモードで用いられる3個のラインに対し、熱歪み検出用マークMKa(2)が、次に第2傷画素を検出するための位置へセットされ、第2傷画素の検出が実行される。以下、ラインセンサモードで用いられる3個のラインにおける全ての画素に対し、第2傷画素の検出が終了するまで、同様に繰り返される。
【0108】
熱歪み検出用マークMKaに代え、前記検出用部材が用いられる場合でも、同様に、走査できる。
【0109】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0110】
D 部品実装装置
3 ヘッドユニット
8 Y軸サーボモータ
12 X軸サーボモータ
15b 吸着ノズル
20 第2撮像部
21 イメージセンサ
22 画像処理部
23 撮像モード制御部
31 制御処理部
61 記憶部
221 傷画素補正部
222 画像生成部
223 傷画素検出部
314 傷画素検出実行部
614 タイミング記憶部