(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】交流モータ制御装置、および、それを用いた掃除機
(51)【国際特許分類】
H02P 27/08 20060101AFI20240402BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240402BHJP
【FI】
H02P27/08
H02M7/48 F
(21)【出願番号】P 2020205851
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハディナタ アグネス
(72)【発明者】
【氏名】李 東昇
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 彬夫
(72)【発明者】
【氏名】吉野 知也
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-103940(JP,A)
【文献】特開2007-221999(JP,A)
【文献】特開2013-223308(JP,A)
【文献】特開2020-005472(JP,A)
【文献】特開2013-074674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/08
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷器を駆動する交流モータと、
スイッチング素子をスイッチングして前記交流モータに三相交流電圧を供給する電力変換器と、
該電力変換器の電流信号を検出する電流検出器と、
該電流検出器が検出した電流信号に基づいて前記交流モータが所望の回転速度となるように前記電力変換器を制御する制御器と、
を備えた交流モータ制御装置であって、
前記制御器は、
前記電流信号から再現電流を生成する電流処理器と、
前記スイッチング素子をスイッチングさせるPWMスイッチング信号のパルスを生成するPWM信号生成器と、
前記交流モータの回転速度に応じて前記PWMスイッチング信号のパルスモードを切り替える同期PWM制御器と、
前記パルスモードに応じたゲイン値と前記再現電流の演算により、前記パルスモードの切り替え前後で同程度の振幅値の補正電流を生成する電流検出値補正器と、
を備えることを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の交流モータ制御装置において、
前記PWM信号生成器は、前記補正電流に基づいて前記PWMスイッチング信号を生成することで、前記パルスモードの切り替え時に発生する前記交流モータの電流や回転速度の急変を抑制することを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の交流モータ制御装置において、
前記パルスモードに応じたゲイン値を乗算した前記補正電流の波形は、
前記パルスモードに応じたゲイン値を乗算しない前記再現電流の波形に比べ、
前記交流モータの基本波電流の波形との誤差が小さいことを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の交流モータ制御装置において、
前記電流検出値補正器で用いられる前記ゲイン値は、
前記パルスモードの切り替え前の前記交流モータの電流リプルの振幅値と、
前記パルスモードの切り替え後の前記交流モータの電流リプルの振幅値と、
の比率で決定された値であることを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の交流モータ制御装置において、
前記電流検出値補正器で用いられる前記ゲイン値は、
前記再現電流が前記パルスモードの切り替え前と切り替え後で前記交流モータの基本波電流の振幅値と同程度の振幅値となるよう
決定された値であることを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の交流モータ制御装置において、
前記電流検出値補正器は、前記パルスモードの数と同数のゲイン値を備えていることを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の交流モータ制御装置において、
前記電流検出値補正器は、
15パルスモード用の第一ゲイン値と、
9パルスモード用の第二ゲイン値と、
3パルスモード用の第三ゲイン値と、を備えており、
各ゲイン値の大小関係は、
第一ゲイン値 > 第二ゲイン値 > 第三ゲイン値
であることを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の交流モータ制御装置において、
前記電流検出器は、前記電力変換器の直流母線に流れる前記電流信号を検出し、
前記電流処理器は、前記電流信号に基づいて前記交流モータの三相電流を再現することを特徴とする交流モータ制御装置。
【請求項9】
送風機を備えた掃除機であって、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の交流モータ制御装置により、前記送風機を駆動することを特徴とする掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流モータの回転速度に応じてPWMパルス数(パルスモード)を切り替える、同期PWM制御を用いた交流モータ制御装置、および、それを用いた掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転子の磁極に永久磁石を使用した交流モータは、家電、産業機械、自動車、鉄道など様々な分野で利用されている。そして、低コストでありながら高い信頼性で交流モータを駆動する制御方法として、磁極位置センサを用いずに、電流値から推定した磁極位置に基づいて交流モータを制御する位置センサレス制御が知られている。
【0003】
また、近年、交流モータの更なる高速化が要求されており、交流モータをPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御で高速駆動する場合、交流モータの回転数増加に伴いキャリア波と電圧指令の位相関係が変化する。特に回転数の高い動作点では、回転1周期に入るPWMパルスの数が変化すると、高調波の発生量が増加し、モータ制御が不安定化する惧れがある。
【0004】
モータ制御の不安定化を招く高調波の抑制には、キャリア周波数を高くすることが有効であるが、制御コントローラの性能によりキャリア周波数の上限値が決まるため、安価な制御コントローラの使用が多い家電分野等では、キャリア周波数を十分に高めることができず、高調波の抑制が困難であった。このような環境でも、高調波の発生量を抑制できるPWM制御として、同期PWM制御が知られている。
【0005】
この同期PWM制御は、キャリア波と電圧指令の位相関係を同期させ、交流モータの回転数変化に応じてPWMパルス数を切り替え、回転1周期に入るPWMパルスの数(以下、「パルスモード」と称する)を一定に保持する制御方法である。同期PWM制御のパルスモード切り替えでは、パルス数を高いほうから低いほう(例えば、9パルスから3パルス)に切り替える場合、PWMパルスのスイッチング回数が減少するため、スイッチングに伴いインダクタンスに起因する交流モータの電流リプルが大きくなる。そして、電流リプルが大きくなると、電流センサが検出する交流モータの電流値が急変し、交流モータの基本波電流に対する誤差が増加するといった検出誤差が発生する。
【0006】
位置センサレス制御では、電流センサが検出した電流値に基づいて交流モータの磁極位置を推定するため、同期PWM制御下のパルスモード切り替えによって、検出電流値が急変し、モータの基本波電流に対する誤差が増加した場合、磁極位置の推定精度が劣化し、切り替えショック(例えば、交流モータ電流の急上昇など)が発生する。このため、同期PWM制御下で、安定した交流モータの高速駆動を実現するには、検出電流値の急変や基本波電流に対する誤差などの検出誤差を対策し、パルスモードの切り替えショックを抑制する必要がある。
【0007】
電流リプルの影響による検出誤差の対策方法として、例えば、特許文献1に示す技術が知られている。この特許文献1は、要約書に記載されるように、「複数相の電流検出器の出力を並列ではなく逐次にサンプリングする構成の交流電動機制御において、電流検出誤差による制御上の悪影響を抑制する」ために、「V相およびW相に設けられた電流センサの出力は、共通のサンプリング指示に対して、並列にではなく逐次にサンプリングされるので、相間でサンプリングタイミングに所定時間Tspの遅れが不可避に発生する。各サンプリング指示に対する複数相間の電流サンプリング順序は固定されない。具体的には、いずれかの相の電流が極値となる電気角に対応するタイミングでは当該相が一番先にサンプリングされるように、1周期(電気角360度)内で電流サンプリング順序が適宜変更される」交流電動機の制御装置を開示している。
【0008】
すなわち、特許文献1は、同期PWM制御の低パルス数の時における電流検出誤差を除去する技術を開示するものであり、3相電流の位相が120度ずつずれた関係にあるという特性、および、回転角度情報に基づいて電流の極大値や極小値を取る相電流を特定できるという特性を利用して、電流が極値を取る相を一番先に検出するよう電流検出の順序を変化させ、電流検出誤差による制御上の悪影響を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1が開示する制御方法は、インダクタンスが大きく電流リプルが比較的に小さい交流モータを駆動する場合を想定したものであり、電流リプルの大きい低インダクタンスモータを駆動する場合は、電流リプルによる電流検出誤差を十分に除去できない惧れがある。また、1シャント電流検出方式のような安価な電流センサを用いる場合は、電力変換器のスイッチング状態によって検出可能な電流の相が決まるため、特許文献1のように、検出順序を変化させることができないといった課題もある。
【0011】
そこで、本発明は、1シャント電流検出方式により電流リプルの大きい低インダクタンスモータを駆動する場合であっても、パルスモードの切り替えによるショックを抑制し、交流モータを安定的に高速駆動できる交流モータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の交流モータ制御装置は、負荷器を駆動する交流モータと、スイッチング素子をスイッチングして前記交流モータに三相交流電圧を供給する電力変換器と、該電力変換器の電流信号を検出する電流検出器と、該電流検出器が検出した電流信号に基づいて前記交流モータが所望の回転速度となるように前記電力変換器を制御する制御器と、を備え、前記制御器は、前記電流信号から再現電流を生成する電流処理器と、前記スイッチング素子をスイッチングさせるPWMスイッチング信号のパルスを生成するPWM信号生成器と、前記交流モータの回転速度に応じて前記PWMスイッチング信号のパルスモードを切り替える同期PWM制御器と、前記パルスモードに応じたゲイン値と前記再現電流の演算により、前記パルスモードの切り替え前後で同程度の振幅値の補正電流を生成する電流検出値補正器と、を備えるものとした。
【発明の効果】
【0013】
本発明の交流モータ制御装置によれば、1シャント電流検出方式により電流リプルの大きい低インダクタンスモータを駆動する場合であっても、パルスモードの切り替えによるショックを抑制し、交流モータを安定的に高速駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1の交流モータ制御装置の機能ブロック図
【
図2】交流モータの実際の回転座標軸と制御器内での回転座標軸の軸誤差Δθを示す図
【
図3】同期PWM制御を適用しない場合のキャリアと電圧指令の波形を示す図
【
図4】同期PWM制御を適用する場合のキャリアと電圧指令の波形を示す図
【
図5】回転周波数の指令値と、キャリア周波数と、同期PWM制御のパルス数の関係を示す図
【
図6】同期PWM制御のパルスモード切り替え時のモータ電流の変化を示す図(補正前)
【
図7】同期PWM制御のパルスモード切り替え時のモータ電流の拡大波形を示す図(補正前)
【
図8】同期PWM制御のパルスモード切り替え時の再現電流の波形を示す図(補正前)
【
図9】実施例1における1シャント電流検出方式の概要図
【
図10】実施例1における電流検出値補正器の構成図
【
図11】実施例1における電流検出値を補正するゲイン値の選択処理手順を示すフローチャート
【
図12】同期PWM制御のパルスモード切り替え時の再現電流の波形を示す図(補正後)
【
図13】同期PWM制御のパルスモード切り替え時のモータ電流の変化を示す図(補正後)
【
図14】同期PWM制御のパルスモード切り替え時のモータ電流の拡大波形を示す図(補正後)
【
図15】実施例2の交流モータ制御装置の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の交流モータ制御装置の実施例を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0016】
まず、
図1から
図14を用いて、本発明の実施例1に係る交流モータ制御装置100を説明する。
【0017】
図1は、本実施例の交流モータ制御装置100の機能ブロック図である。ここに示す交流モータ制御装置100は、交流モータ1の回転角周波数ω
rを制御して、送風機や圧縮機などの負荷器4を駆動するための制御装置であり、交流モータ1、電力変換器2、制御器3、電源5、シャント抵抗6、電流検出器7を備える。まず、各々の概要を説明する。
【0018】
交流モータ1は、負荷器4を駆動する電動機であり、本実施例では、回転子の磁極に永久磁石を使用した3相モータである。なお、この交流モータ1には、回転子の磁極位置を検出するための磁極位置センサが搭載されていないものとする。
【0019】
電力変換器2は、電源5の直流電圧Edcを交流電圧に変換して交流モータ1に供給するインバータである。本実施例では、交流モータ1が3相モータであるため、電力変換器2は3相交流の電圧Vu、Vv、Vwを出力する3相インバータである。このため、電力変換器2は、3相交流電圧を生成するための3個の上下アームを備えている。各上下アームは、2個のスイッチング素子(例えば、パワー半導体素子)の直列回路であり、各スイッチング素子は後述するPWMスイッチング信号Sによってオンオフ制御される。
【0020】
制御器3は、電力変換器2が交流モータ1に印加する3相交流の電圧Vu、Vv、Vwを制御することで、交流モータ1の回転角周波数ωrが指令値ωr
*となるように制御する制御器である。この制御器3は、位置センサレス制御を実現するため、後述するシャント電流Isから推定した磁極位置に基づいて3相交流の電圧指令値Vu
*、Vv
*、Vw
*を演算し、これらの電圧指令値に基づいて電力変換器2内の6個のスイッチング素子(パワー半導体素子)をオンオフ制御する6つのPWMスイッチング信号Sを生成する。なお、制御器3で生成されるPWMスイッチング信号Sは、具体的には、U相の上アーム用、下アーム用、V相の上アーム用、下アーム用、W相の上アーム用、下アーム用の6つのPWMスイッチング信号Sであり、以下では各々を、PWMスイッチング信号Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnと称する。
【0021】
電流検出器7は、シャント抵抗6が検出した電力変換器2の直流母線の電流信号を、制御器3内で処理できる信号の大きさに調整し、シャント電流Isとして出力する機器である。
【0022】
<制御器3>
次に、制御器3の詳細について説明する。上記したように、本実施例の制御器3は、電流検出器7からシャント電流Isが入力され、電力変換器2に6種のPWMスイッチング信号Sを出力する機器であり、交流モータ1の回転を位置センサレスで制御する機器である。なお、位置センサレス制御は周知技術であるため、以下では同制御の詳細説明は適宜省略することとする。
【0023】
この制御器3は、
図1に示すように、回転角周波数指令生成器31、電流指令生成器32、ベクトル制御器33、座標変換器34、PWM信号生成器35、電流処理器36、座標変換器37、軸誤差推定器38、PLL制御器39、積分器3a、同期PWM制御器3b、キャリア生成器3c、電流検出値補正器3dを備える。なお、制御器3は、具体的には、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の記憶装置、および、通信装置などのハードウェアを備えたコンピュータである。そして、記憶装置にロードされたプログラムを演算装置が実行することで、上記した回転速度指令生成器31等の各機能を実現するが、以下では、このような周知技術を適宜省略しながら、各部を順次説明する。
【0024】
回転角周波数指令生成器31は、交流モータ1の回転角周波数指令値ωr
*を生成し、ベクトル制御器33、軸誤差推定器38、積分器3a、同期PWM制御器3bに出力する。
【0025】
電流指令生成器32は、後述する座標変換器37からの電流Iqcと、後述する動機PWM制御器3bからのキャリア周期Tsに基づいて、dc,qc座標軸上の電流指令値Id
*,Iq
*を生成し、ベクトル制御器33に出力する。
【0026】
ベクトル制御器33は、回転角周波数指令生成器31からの回転角周波数指令値ωr
*と、電流指令生成器32からの電流指令値Id
*、Iq
*に基づいて、電力変換器2に印加する電圧指令値のdc,qc座標軸上の電圧Vdc
*、Vqc
*を生成し、座標変換器34、軸誤差推定器38、同期PWM制御器3bに出力する。
【0027】
座標変換器34は、ベクトル制御器33からの電圧Vdc
*、Vqc
*を、後述する積分器3aからの磁極位置の推定値θdcを用いて、3相交流座標軸上の電圧指令値Vu
*,Vv
*,Vw
*に変換し、PWM信号生成器35と電流処理器36に出力する。
【0028】
PWM信号生成器35は、座標変換器34からの電圧指令値Vu
*,Vv
*,Vw
*と、後述するキャリア波生成器3cからのキャリア波に基づいて、電力変換器2のスイッチング素子のオンオフを制御するPWMスイッチング信号Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを生成し、電力変換器2と電流処理器36に出力する。なお、本実施例の交流モータ制御装置100では同期PWM制御を利用するため、PWM信号生成器35は、パルスモードの切り替え時にスイッチング回数が変化するようなPWMスイッチング信号Sを生成する。
【0029】
電流処理器36は、座標変換器34からの電圧指令値Vu
*、Vv
*、Vw
*と、PWM信号生成器35からのスイッチング信号Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを用いて、シャント電流Isから3相交流電流Iu、Iv、Iwを再現し、電流検出値補正器3dに出力する。
【0030】
電流検出値補正器3dは、本発明の要部であり、現在のパルスモードを考慮し、電流処理器36で再現した3相交流電流Iu、Iv、Iwを3相交流電流Iu’,Iv’,Iw’に補正し、座標変換器37に出力する。この電流検出値補正器3dの詳細は後述する。
【0031】
座標変換器37は、積分器3aからの磁極位置の推定値θdcを参照し、補正後の3相交流電流Iu’,Iv’,Iw’を、dc,qc座標軸上の電流Idc、Iqcに変換し、両方を軸誤差推定器38に出力するとともに、電流Iqcを電流指令生成器32に出力する。
【0032】
軸誤差推定器38は、座標変換器37からの電流I
dc、I
qcと、ベクトル制御器33からの電圧V
dc
*、V
qc
*、と回転角周波数指令生成器31からの回転角周波数指令ω
r
*を用いて、軸誤差Δθを推定し、PLL制御器39に出力する。ここで、軸誤差Δθとは、
図2に示すように、制御器3の内部で定義した回転軸であるdc,qc軸と、交流モータ1の実際の回転軸であるd,q軸の誤差である。軸誤差推定器38は、誘起電圧に基づいた位置センサレス制御での軸誤差Δθを(式1)によって演算する。ただし、(式1)ではq軸インダクタンスL
qを定数として用いた場合の演算式である。
【0033】
【0034】
なお、Rは3相モータの巻線抵抗である。
【0035】
(式1)に示されるように、軸誤差推定器38は、電流Idc、Iqcを用いて軸誤差Δθを推定演算するため、座標変換器37で演算した電流Idc、Iqcに誤差が含まれると軸誤差Δθの推定精度が劣化する。
【0036】
ここで、位置センサレス制御では磁極位置センサを用いないため、d,q軸の実際の位置は分からない。そのため、位置センサレス制御を成立させるためには、(式1)で推定演算した軸誤差Δθを0[deg]に収束させる必要がある。本実施例では、PLL制御器39によって、軸誤差推定器38の出力である軸誤差Δθが0[deg]に収束するように、dc,qc軸の回転角周波数を演算する。本実施例のPLL制御器39の出力は回転角周波数推定値ω1であり、これを積分器3aで積分することで、交流モータ1の磁極位置の推定値θdcを得る。このように、位置センサレス制御では、交流モータ1の検出した電流値を用いて軸誤差Δθを演算し、磁極位置を推定するため、検出した電流値に誤差が発生すると正確な磁極位置を推定できず、交流モータ1の制御性能が劣化する惧れがある。
【0037】
この問題を改善するため、本実施例では、電流処理器36が再現した電流値を電流検出値補正器3dで補正するとともに、積分器3aでの積分演算時に、回転速度指令生成器31からの回転速度指令値ωr
*と、同期PWM制御器3bからのキャリア周期Tsを考慮することで、より正確な磁極位置の推定値θdcを演算できるようにした。以下、本実施例の制御器3の要部(主に、同期PWM制御器3b、キャリア生成器3c、電流検出値補正器3d)の詳細について順次説明する。
【0038】
<制御器3の要部>
まず、同期PWM制御器3bの動作について説明する。
【0039】
同期PWM制御器3bを説明する前に、
図3を用いて、同期PWM制御を適用しない場合(非同期PWM制御)の波形を説明する。
図3(a)、(d)に示すように、非同期PWM制御では、交流モータ1の回転速度に拘わらずキャリア波の周波数f
sが固定されているため、交流モータ1の回転角周波数度指令値ω
r
*の変化により電圧指令値(図中のV
u
*とV
v
*)が変化すると、キャリア波と電圧指令値の位相関係が変化する。そして、キャリア波と電圧指令値の位相関係が変化すると、
図3(b)、(e)に示すように、PWM変調により生成される線間電圧V
uvの波形も変化する。
図3(b)、(e)に示す線間電圧V
uvを周波数解析すると、
図3(c)、(f)に示すように線間電圧V
uvに含まれる基本波成分が減少するため、モータ制御の不安定化を招く高調波成分が増加する可能性がある。
【0040】
これに対し、
図4(a)、(d)に示すように、同期PWM制御を適用した場合には、回転角周波数指令値ω
r
*の変化に伴う電圧指令値(V
u
*、V
v
*)の変化に応じてキャリア波の周波数f
sも変化するため、キャリア波と電圧指令値の位相関係は変化しない(同期している)。従って、
図4(b)、(e)に示すように、キャリア波と電圧指令値の位相関係が変化しないため、線間電圧V
uv波形も変化しない。
図4(b)、(e)に示す線間電圧V
uvを周波数解析すると、
図4(c)、(f)に示すように線間電圧V
uvに含まれる基本波成分を一定の大きさに保つことができ、モータ制御の不安定化を招く高調波成分の増加を防止することができる。
【0041】
また、同期PWM制御を用いて、PWMパルスの数(キャリア波の周波数fsと回転周波数指令値fr
*の比(fs/fr
*))が奇数かつ3の倍数になるようにキャリア波の周波数fsを調整すると、偶数次および3の倍数の次数の高調波成分を抑制することができる。なお、fr*=ωr*/(2π)である。
【0042】
このため、本実施例の同期PWM制御器3bでは、dc,qc座標軸上の電圧指令値V
dc
*、V
qc
*、磁極位置の推定値θ
dc、回転角周波数指令値ω
r
*の情報を用いて、キャリア波の周期T
sを計算し、
図4(a)、(d)に示すように、キャリア波と電圧指令値の位相を常に同期させる。
【0043】
同期PWM制御器3bが計算したキャリア波の周期Tsは、キャリア波生成器3cに入力され、キャリア波を調整する。キャリア波生成器3cでは、キャリア波の最大値と最小値を取るタイミングにおいて制御器3内の制御処理に対する割込信号Trgを生成する。この割込信号Trgに応じて回転速度指令生成器31等による各制御処理が実行される。また、同期PWM制御器3bにて、キャリア周波数fsと回転周波数指令値fr
*の比(fs/fr
*)を求め、回転周波数の指令値fr
*に応じた適切なPWMパルス数(パルスモード)Pnを出力する。
【0044】
<電流検出値補正器3dを持たない、比較例でのパルスモードPnの切り替え>
次に、パルスモードPnの切り替えについて説明する。
図5は、横軸を回転周波数指令値f
r
*、縦軸をキャリア波の周波数f
sとして、同期PWM制御を適用した場合の回転周波数の変化に応じたパルスモードPnの切り替え方法を示す。前述したように、制御コントローラの性能によりキャリア波の周波数f
sの上限値が決まるため、キャリア波の周波数f
sを上限値以下に保ちながら目標回転周波数まで駆動するには、交流モータ1の回転周波数に応じてパルスモードPnを切り替える必要がある。なお、15パルスより多いパルス数を確保することができる、交流モータ1の回転周波数の低い領域では、非同期PWM制御で駆動するものとする。これは、15パルスより多いパルスモードでは、キャリア波と電圧指令値の位相が変化しても基本波成分の変化が少ないため、非同期PWM制御で駆動しても何ら問題が無いためである。この非同期PWM制御の領域では、キャリア波の周波数f
sを一定とする。
【0045】
一方、交流モータ1の回転周波数が高い、15パルスモード以下の領域では、同期PWM制御で駆動する。同期PWM制御ではキャリア波の周波数f
sが可変のため、回転周波数の増加に従い、キャリア波の周波数f
sも増加する。しかし、キャリア波の周波数f
sが上限値に達すると、同じパルスモードPnを継続できなくなるため、より少ないパルス数のパルスモードPnに切り替える必要がある。例えば、奇数かつ3の倍数のパルスモードを切り替えて交流モータ1を駆動する場合、
図5の実線矢印に示すように、交流モータ1の回転周波数の指令値f
r
*が増加し、キャリア周波数f
sが上限値に到達する毎に、パルスモードPnを15、9、3の順に切り替えて交流モータ1を駆動制御する。
【0046】
次に、
図6を用いて、パルスモードPnの切り替え時に発生する課題について詳細に説明する。
図6は、9パルスモードから3パルスモードに切り替える時のモータ電流を例示している。ここから分かるように、9パルスモードから3パルスモードに切り替えると、モータ電流の振幅値(最大値と最小値)が大きくなる。特にパルスモードを切り替えた直後には、モータ電流が50A近くまで跳ね上がっており、切り替えショックが発生するだけでなく、電流の跳ね上がりによってが交流モータ1や電力変換器2の電流許容値を超え、交流モータ1や電力変換器2が破損に至る惧れもある。
【0047】
図7に、
図6に示したパルスモードPnを切り替えタイミングの前と後の電流の拡大波形を示す。
図7からは、パルス切り替え前と後の電流の振幅値が電流リプルにより急変していることが分かる。具体的には、9パルス時に比べて3パルス時は電流リプルの変動が大きくなっていることが分かる。
【0048】
また、
図8に、電流検出器7の出力であるシャント電流I
sに基づいて電流処理器36が再現した3相電流I
u,I
v,I
wのうちの1相の再現電流の波形を示す。
図8からは、再現電流の振幅値がパルス切り替え前と後で急変することが分かる。また、3パルス時の再現電流がモータの基本波電流に対して誤差が大きくなることが分かる。なお、
図8では3相電流のうち、1相のみ表示しているが、そのほかの相においても同様な波形となる。
【0049】
ここで、
図9を用いて、電流検出の概要について説明する。本実施例では、1つのシャント抵抗6を用いた1シャント電流検出方式を用いる。1シャント電流検出方式は、電力変換器2の直流母線に流れる電流を検出する方式であるため、どの相の電流を検出できるかは、検出タイミングの電力変換器2内のスイッチング状態によって決まる。例えば、座標変換器34が出力する電圧指令値の大小関係がV
u
*>V
v
*>V
w
*のタイミングである場合(
図9(a)の初期段階)、PWM変調によって生成されるUVW相のPWM信号は
図9(b)に示すようなスイッチングとなっており、この時に検出されるシャント電流I
sは-I
w、I
uであるため、検出可能な電流の相はU相とW相となる。このため、電流処理器36は、検出したW相とU相のシャント電流I
sに基づいて3相電流を再現する。なお、このタイミングではV相の電流が検出されていないが、V相に関しては3相交流の関係により、U相とW相のシャント電流I
sにより再現することができる。ここで、
図9(a)、(c)に示すように、キャリア波がピークとなるタイミングではシャント電流I
sがゼロのため、電流を検出できない。電流を検出可能なタイミングは、例えば、中間相の電圧指令がキャリア波と一致する前後のタイミングである。
図7に示したように、3パルスモード時はモータ電流のリプルが大きいため、モータ電流と再現電流は
図9(d)に示す波形となり、電流リプルの最大値付近を検出することが分かる。
【0050】
電流検出値補正器3dを設けない比較例の場合、電流処理器36による
図9(d)の再現電流はそのまま、座標変換器37に入力され、dq、qc座標軸上の電流I
dc,I
qcに変換される。電流I
dc,I
qcは(式1)に示す軸誤差Δθの推定演算に用いられるため、パルスモードの切り替えにより電流I
dc,I
qcが急変すると、
図6に示すようにモータ電流の切り替えショックが発生する。
【0051】
<電流検出値補正器3dを持った、本実施例でのパルスモードPnの切り替え>
次に本実施例の構成により、切り替えショックを抑制する作用について説明する。本実施例の制御器3では、電流処理器36と座標変換器37の間に電流検出値補正器3dを追加されており、軸誤差Δθの推定演算に用いる電流値を補正している。電流検出値補正器3dを持たない比較例の構成では、
図8に示すように、パルスモードの切り替え前と後で再現電流の振幅値が急変しているが、本実施例では、電流検出値補正器3dによってパルス切り替え前と後の再現電流が同程度の振幅値となるように補正する。なお、「同程度」とは、例えば、モード切替の前後のモータ電流の振幅の変化が±5%の範囲内にあることをいう。このようにすることで、軸誤差推定器38での軸誤差Δθの推定演算に用いる電流値の検出誤差を低減し、交流モータ1の磁極位置の推定精度を改善することができる。
【0052】
図10に、上記の切り替えショックを抑制するための、電流検出値補正器3dの構成の一例を示す。ここに示すように、本実施例の電流検出値補正器3dは、入力条件(パルスモードPn)の真偽によって出力を切り替える条件スイッチ、あるパルスモード用のゲインK
0、他のパルスモード用のゲインK
1、および、乗算器を備えている。この電流検出値補正器3dは、パルス切り替え前と後の電流値の急変を抑制するため、パルス切り替え前と後の再現電流が同程度の振幅値となるように補正するものであり、パルスモードPnと3相電流Iu,Iv,Iwを入力とし、これらに所望のゲインを乗算することで、補正後の電流I
u’,I
v’,I
w’を出力する。
【0053】
次に、
図10に例示した電流検出値補正器3dの具体的な動作について説明する。電流検出値補正器3dでは、入力条件(パルスモードPn)に応じて条件スイッチを切り替え、ゲインK
0またはゲインK
1を出力する。条件と一致する場合、条件スイッチはゲインK
1を出力する。条件と一致しない場合、条件スイッチはゲインK
0を出力する。ここで選択したゲインは、電流処理器36が再現した3相交流電流I
u,I
v,I
wに乗算され、補正後の電流I
u’,I
v’,I
w’を出力する。
【0054】
図11に、例えば、9パルスモードから3パルスモードに切り替える時の電流値の補正を行うための処理手順フローチャートを示す。ここで、9パルスモード時のゲイン値をゲインK
0=1とし、3パルスモード時のゲイン値をゲインK
1=0.6とする。ここでは、補正しなければ振幅値が大きくなる3パルスモードの時の再現電流の振幅値を低減したいため、ゲイン値の大小関係をK
1<K
0としている。処理手順として、まず、条件であるパルスモードPnを判断する。パルスモードPn=3の場合、K
1=0.6を選択する。パルスモードPn≠3の場合(例えば、パルスモードPn=9の場合)、K
0=1を選択する。
【0055】
次に、補正ゲインの値の決め方について説明する。補正ゲインの値の決め方は、ここで説明する方法に限らず様々な方法を用いることも可能である。例えば、
図7に示すモータ電流を見ると、9パルスモード時の電流リプルが3パルスモード時に比べて小さい。また、
図8の再現電流を見ると、9パルスモード時ではモータ電流の基本波電流成分と比べて同様な波形となっているため、9パルス時の再現電流を補正する必要がなく、K
0=1とした。一方、9パルスモード時と3パルスモード時の再現電流の振幅値の比率を取ると、9パルスモード時の振幅値は3パルスモード時の約0.6倍と小さいため、K
1=0.6とした。これらのゲインを用いて電流処理器36で再現した電流I
u,I
v,I
wにK
1=0.6のゲインを乗算し、再現電流を補正する。このようにすることで、9パルスモードから3パルスモードに切り替わった時の再現電流の基本波電流に対する誤差を低減し、パルスモード切り替えによる再現電流の急変を抑制することができる。
【0056】
次に、
図12を用いて、電流検出値補正器3dによって補正した3相電流値I
u’,I
v’,I
w’のうち、その1相の波形を説明する。上記したように、電流検出値補正器3dを利用しない比較例では、
図8のように、パルス切り替え前と後の再現電流値の振幅値が急変していたが、電流検出値補正器3dを利用する本実施例では、
図12に示すように、パルスモード切り替え前と後の再現電流が同様振幅値の連続波形になったことが分かる。また、パルスモード切り替え後の再現電流が基本波電流に対し誤差が小さくなったことが分かる。なお、
図12では1相の電流のみを表示しているが、そのほかの相においても同様に振幅値が補正される。
【0057】
図13に、上記で説明した方法を適用した時のモータ電流を示す。ここに示すように、電流検出値補正器3dを利用する本実施例でも、パルスモード切り替え直後にモータ電流の跳ねあがりがある程度発生するが、比較例の
図6における50A程度が40A程度まで低減されていることが分かる。また、
図14にパルスモード切り替え前と後の電流の拡大波形を示す。比較例における拡大波形であった
図7に比べて、パルスモード切り替え直後の電流の振幅値が低減されていることが分かる。
【0058】
以上説明したように、本実施例によれば、パルスモード切り替え前と後で再現電流を同程度の振幅値の連続波形に補正できるので、パルスモードの切り替え後の交流モータの電流の跳ねあがりを低減し、切り替えショックを抑制することができる。これにより電流リプルの大きい低インダクタンスモータでも安定して高速駆動を実現できるようになる。
【0059】
上記では、パルスモードを9パルスから3パルスに切り替える場合を例に、本発明による切り替えショックの抑制作用を説明したが、本発明の適用対象は上記のパルスモード切り替えに限定されず、例えば、パルスモードを15パルスから9パルスに切り替える場合にも同様に適用することが可能である。この場合は、3パルスモードと9パルスモード用のゲインに加え、15パルスモード用のゲインも用意しておき、15パルスモード時には15パルスモード用のゲインを選択して、電流検出値補正器3dでの乗算に利用すれば良い。なお、その場合には、各ゲインの大小関係を、15パルスモード用のゲイン値 > 9パルスモード用のゲイン値 > 3パルスモード用のゲイン値とすれば良い。
【0060】
また、上記では、9パルス時の再現電流が基本波電流との誤差が少ないため、パルスモード切り替え前と後の再現電流の振幅値の比を求めてゲインを決定し補正することで、切り替えショックの抑制効果を得ることができた。しかし、本発明はこの方法に限らない。例えば、パルスモード切り替え前の再現電流が基本波電流との誤差が大きくても、基本波電流の振幅値を予め分かっている場合は、基本波電流に対する誤差を低減するため、基本波電流と同様な振幅値になるようにゲイン値を演算し補正することも可能である。このようにすることで、パルスモードが切り替わっても基本波電流を維持することができ、軸誤差Δθの推定精度を維持し、安定した制御を実現することができる。
【0061】
以上で説明した本実施例の交流モータ制御装置によれば、1シャント電流検出方式により電流リプルの大きい低インダクタンスモータを駆動する場合であっても、パルスモードの切り替えによるショックを抑制し、交流モータを安定的に高速駆動することができる。
【実施例2】
【0062】
次に、実施例1の交流モータ制御装置を、掃除機のモータ制御に適用した実施例2について説明する。なお、実施例1との共通点は重複説明を省略する。
【0063】
図15に本発明の交流モータ制御装置を掃除機に適用した場合の機能ブロック図を示す。本実施例の掃除機の内部には、負荷器4の一種である送風機4aが設置されており、送風機4aは実施例1に示す交流モータ制御装置100によって駆動される。また、本実施例の掃除機の内部には、電力変換器2の電源5として電池5aが設置されている。そして、回転速度指令生成器31は、ユーザが操作スイッチ8で選択した「強」、「標準」、「切」の各運転モードに応じた回転角周波数指令値ω
r
*を生成する。
【0064】
近年では、掃除機の使い勝手と利便性を向上する一手段として、交流モータ1の高速化と小型化が要求されている。そのため、掃除機で利用される交流モータ1のインダクタンスが低くなっており、電流リプルの小さいモータを想定した特許文献1の制御方法では、安定してモータを駆動することが困難だった。そのため、電流リプルの大きい低インダクタンスモータでも安定した高速駆動ができるように、本実施例の掃除機では、実施例1の交流モータ制御装置を掃除機に適用する。これにより、本実施例の掃除機では、実施例1の
図14と同様に、電流リプルの抑制効果を得ることができる。したがって、本発明を適用することによって掃除機の高速化と小型化を実現できるようになる。尚、本実施例では、掃除機を例として用いたが、その他には圧縮機、車、鉄道などに適用しても同様の効果を得ることができる。
【0065】
以上、実施例1と実施例2について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、もしくは、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 … 交流モータ制御装置
1 … 交流モータ
2 … 電力変換器
3 … 制御器
31 … 回転角周波数指令生成器
32 … 電流指令生成器
33 … ベクトル制御器
34 … 座標変換器
35 … PWM信号生成器
36 … 電流処理器
37 … 座標変換器
38 … 軸誤差推定器
39 … PLL制御器
3a … 積分器
3b … 同期PWM制御器
3c … キャリア波生成器
3d … 電流検出値補正器
4 … 負荷器
4a … 送風機
5 … 電源
5a … 電池
6 … シャント抵抗
7 … 電流検出器
8 … 操作スイッチ