(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】長固定子リニアモーターのための運搬装置
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20240402BHJP
B65G 35/00 20060101ALI20240402BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20240402BHJP
B61B 13/08 20060101ALI20240402BHJP
B61B 13/12 20060101ALI20240402BHJP
H02K 41/02 20060101ALI20240402BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G35/00 B
B61B13/06 N
B61B13/08 B
B61B13/12 E
H02K41/02 C
H02K41/03 A
(21)【出願番号】P 2020570980
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019066616
(87)【国際公開番号】W WO2019243630
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-28
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518184708
【氏名又は名称】ベーウントエル・インダストリアル・オートメイション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】カスティンガー・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ログナー・フィリップ
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02921433(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/02
B65G 35/00
B61B 13/06
B61B 13/08
B61B 13/12
H02K 41/02
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬ユニット(20)と製品キャリア(21)を有する、長固定子リニアモーター(1)のための運搬装置(2)であって、
これらの運搬ユニット(20)と製品キャリア(21)が、それぞれ移動方向(x)に配置された少なくとも一つのガイド要素(201,211)を有し、
製品キャリア(21)のガイド要素(211)は、製品運搬に関する要件を満たすように、運搬ユニット(20)に対して、より多くの形態及び/又はより堅牢な形態で実現され、
この運搬ユニット(20)が、移動方向(x)に配置された、運搬ユニット(20)を駆動する駆動磁石(M1,M2)を有し、
この製品キャリア(21)が、駆動部を持たず、運搬される製品に適したガイド要素(211)を有した製品キャリア(21)と運搬ユニット(20)とが組み合わされるように、連結点(K)を介して運搬ユニット(20)と解除可能に連結することが可能であるとともに、運搬ユニット(20)によって、連結点(K)を介して駆動されることが可能である当該運搬装置。
【請求項2】
前記の運搬装置(2)が、移動方向(x)に配置された少なくとも一つのガイド要素(201,211)を備えた、少なくとも一つの更に別の製品キャリア(21
’)を有し、この少なくとも一つの更に別の製品キャリア(21’)が、駆動部を持たず、少なくとも一つの更に別の連結点(K’)を介して運搬ユニット(20)又は製品キャリア(21)と連結することが可能であるとともに、運搬ユニット(20)又は製品キャリア(21)によって、この少なくとも一つの更に別の連結点(K’)を介して駆動されることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の運搬装置(2)。
【請求項3】
運搬装置(2)が、移動方向(x)に配置された少なくとも一つのガイド要素(201,211)を備えた、少なくとも一つの更に別の運搬ユニット(20’)を有し、この少なくとも一つの更に別の運搬ユニット(20’)は、移動方向(x)に配置された、この更に別の運搬ユニット(20’)を駆動する更に別の駆動磁石(M1’,M2’)を有し、前記の製品キャリア(21)が、更に別の連結点(K’)を介して前記の更に別の運搬ユニット(20’)と連結することが可能であるとともに、運搬ユニット(20)によって、連結点(K)を介して駆動されることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の運搬装置(2)。
【請求項4】
運搬装置(2)が、移動方向(x)に配置された少なくとも一つのガイド要素(201,211)を備えた、少なくとも一つの更に別の運搬ユニット(20’)を有し、この少なくとも一つの更に別の運搬ユニット(20’)は、移動方向(x)に配置された、この更に別の運搬ユニット(20’)を駆動する更に別の駆動磁石(M1’,M2’)を有し、前記の製品キャリア(21)又は前記の少なくとも一つの更に別の製品キャリア(21’)が、第二の更に別の連結点(K’’)を介して前記の更に別の運搬ユニット(20’)と連結することが可能であるとともに、この更に別の運搬ユニット(20’)によって、第二の更に別の連結点(K’’)を介して駆動することが可能であることを特徴とする請求項2に記載の運搬装置(2)。
【請求項5】
前記の製品キャリア(21)又は前記の更に別の製品キャリア(21’)が、移動方向(x)に折り曲がり可能な形で実現されていることを特徴とする請求項
2または4に記載の運搬装置(2)。
【請求項6】
前記の製品キャリア(21)又は前記の更に別の製品キャリア(21’)が、製品(4)と係合させることが可能な係合部品(213)を有することを特徴とする請求項
2,4または5に記載の運搬装置(2)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の少なくとも一つの運搬装置(2)と、移動方向(x)に向けられた運搬区間(10)とを有する長固定子リニアモーター(1)であって、 少なくとも一つの運搬装置(2)を運搬区間(10)に沿って案内するために、ガイド要素(201,211)と協力して動作する区間ガイド要素(101,102)と、
少なくとも一つの運搬装置(2)を運搬区間(10)に沿って駆動するために、駆動磁石(Mn)と協力して動作するように構成された、運搬区間に沿って並んで配置された一定数の駆動コイル(Sm)と、を有する長固定子リニアモーター。
【請求項8】
第一の区間ガイド要素(101)が、運搬ユニット(20)のガイド要素(201)及び製品キャリア(21)の少なくとも一つのガイド要素(211)と協力して動作することを特徴とする請求項7に記載の長固定子リニアモーター(1)。
【請求項9】
第二の区間ガイド要素(102)が、製品キャリア(21)の少なくとも一つの第二のガイド要素(212)と協力して動作することを特徴とする請求項8に記載の長固定子リニアモーター(1)。
【請求項10】
第一の区間ガイド要素(101)が、運搬ユニット(20)の少なくとも一つのガイド要素(201)と協力して動作し、第二の区間ガイド要素(102)が、製品キャリア(21)の少なくとも一つのガイド要素(211)と協力して動作することを特徴とする請求項7に記載の長固定子リニアモーター(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長固定子リニアモーターのための運搬装置及び少なくとも一つの運搬装置を備えた長固定子リニアモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
長固定子リニアモーター(LLM)のステーターは、多数の並んで配置された電子駆動コイルを有し、これらのコイルは、運搬区間に沿って固定位置に配置されている。ステーター上を動く運搬ユニットには、永久磁石、電気コイル又は短絡巻き線としての一定数の駆動磁石が配置されている。それらの駆動磁石は、通常、ステーターの駆動コイルと協力して動作できるように、運搬ユニットに移動方向に沿って取り付けられている。長固定子リニアモーターは、自励式又は他励式の同期機械としても、或いは非同期機械としても実現することができる。磁石と駆動コイルの(電)磁界の協力した動作によって、推進力が搬送ユニットの磁石に作用し、次に、それによって、搬送ユニットが移動方向に動かされる。それは、個々の駆動コイルを駆動して、推進力の大きさに影響する磁束を調節することによって実施される。長固定子リニアモーターは、最新の柔軟な物流ユニットの要件を満たすために、従来の連続コンベヤー又は回転・直線変換ユニット(例えば、ベルトコンベヤー、ベルト、チェーン等における回転モーター)に対する代替装置として益々用いられている。
【0003】
一般的に、長固定子リニアモーターは、大抵一つの面内に配置されており、その結果、運搬ユニットは、平坦な運搬区間に沿って動かされる。その場合、運搬区間は、曲がったセグメント、直線の形の運搬セグメントから構成するか、或いは転轍機から構成することもできる。当然のことながら、好適な手法により運搬ユニットを運搬区間に沿って案内して、それに保持しなければならない。そのために、運搬ユニットには、運搬区間に配備された区間案内部品と協力して動作する案内部品が配備されている。その場合、例えば、ローラー、ホイール、スライド部品、ガイド面などの任意のガイド要素及び区間ガイド要素を採用することができる。
【0004】
長固定子リニアモーターを用いて、荷物又は製品のための効率的な運搬システムを実現することができる。荷物又は製品は、標準的には、一つ又は複数の運搬ユニットに固定されて、それと一緒に運ばれる。特許文献1~4は、運搬ユニットによって製品を運搬区間に沿って運ぶ、そのような装置を記載している。しかし、特殊なサイズの製品は、流通している運搬ユニットでは理想的な形で運ぶことができない。同様に、重い製品は、場合によっては、運搬ユニットの所与の最大荷重のために運搬することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許公開第2017/0341875号明細書
【文献】米国特許登録第8,096,409号明細書
【文献】米国特許登録第7,134,258号明細書
【文献】欧州特許登録第270968号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本発明の課題は、製品の運搬に関して柔軟に採用することが可能な長固定子リニアモーター及び長固定子リニアモーターのための運搬装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明に基づき、長固定子リニアモーターのための運搬装置が、運搬ユニットと製品キャリアを有し、これらの運搬ユニットと製品キャリアが、それぞれ移動方向に配置された少なくとも一つのガイド要素を有し、この運搬ユニットが移動方向に配置された、運搬ユニットを駆動する駆動磁石を有し、この製品キャリアが駆動部を持たず、連結点を介して運搬ユニットと連結することが可能であるとともに、運搬ユニットによって、連結点を介して駆動することが可能であることによって解決される。この製品キャリアは、基本的に運搬ユニットと別個に実現されて、駆動部を持たない、即ち、駆動力を持たない。しかし、この製品キャリアは、運搬ユニットによって、連結点を介して駆動することができる。そのため、本運搬装置は、一般的な運搬ユニットと、製品運搬に関する要件を満たす特別な製品キャリアとから構成することもできる。この製品キャリアのガイド要素は、運搬ユニットに対して数多くの形態及び/又は堅牢な形態で実現することができ、このことは、この製品キャリアによって、より大きな荷物を運ぶことを可能にする。「連結することが可能である」とは、この製品キャリアが連結点を介して運搬ユニットと固く、或いは解除可能に連結されているか、或いは連結できることを意味する。それにより、この製品キャリアは、運搬ユニットによって駆動することが可能である。この製品キャリアは、運搬ユニットと連結されている場合に、運搬ユニットによって駆動される。
【0008】
本運搬装置は、移動方向に配置された少なくとも一つのガイド要素を備えた少なくとも一つの更に別の製品キャリアを有することができ、この少なくとも一つの更に別の製品キャリアは、少なくとも一つの更に別の連結点を介して運搬ユニット又は製品キャリアと連結することが可能であるとともに、運搬ユニット又は製品キャリアによって、この少なくとも一つの更に別の連結点を介して駆動することが可能である。そのため、この更に別の製品キャリアは、この少なくとも一つの更に別の連結点を介して第一の製品キャリア又は運搬ユニットと連結することができる。そのように、更に別の製品キャリアを本運搬装置に組み入れることが可能であり、その際、推進力は、各連結点を介して運搬ユニットから製品キャリアに伝達される。この更に別の連結点は、当然のことながら、必ずしも第一の連結点と同じ形態で実現する必要はなく、そのことは、当然のことながら、製品キャリアと運搬ユニットの間の適合性を高めるものであり、そのため、まさしくそれらの組合せの可能性をも高める場合であっても、その必要はない。
【0009】
本運搬装置は、移動方向に配置された少なくとも一つのガイド要素を備えた少なくとも一つの更に別の運搬ユニットを有することもでき、この少なくとも一つの更に別の運搬ユニットは、移動方向に配置された、この更に別の運搬ユニットを駆動する更に別の駆動磁石を有し、この製品キャリアは、更に別の連結点を介して、この更に別の運搬ユニットと連結することが可能であるとともに、運搬ユニットによって、連結点を介して駆動することが可能である。それにより、更に別の運搬ユニットを本運搬装置に組み入れることができ、それによって、第一の運搬ユニットからも、第二の運搬ユニットからも、それぞれ推進力が各連結点を介して製品キャリアに伝達される。このことは、特に重い製品キャリアの場合又は特に重い製品を運ぶように設計された製品キャリアの場合に有利である。
【0010】
本運搬装置は、有利には、移動方向に配置された少なくとも一つのガイド要素を備えた少なくとも一つの更に別の製品キャリアを有することができ、この少なくとも一つの更に別の製品キャリアは、少なくとも一つの更に別の連結点を介して運搬ユニット又は製品キャリアと連結することが可能であるとともに、運搬ユニット又は製品キャリアによって、この少なくとも一つの更に別の連結点を介して駆動することが可能であり、移動方向に配置された少なくとも一つのガイド要素を備えた少なくとも一つの更に別の運搬ユニットを有し、この少なくとも一つの更に別の運搬ユニットは、移動方向に配置された、この更に別の運搬ユニットを駆動する更に別の駆動磁石を有し、この製品キャリア又はこの少なくとも一つの更に別の製品キャリアは、第二の更に別の連結点を介して、この更に別の運搬ユニットと連結することが可能であるとともに、この更に別の運搬ユニットによって、この第二の更に別の連結点を介して駆動することが可能である。即ち、本運搬装置は、任意の配列の運搬ユニットと製品キャリアを有することができ、各配列の運搬ユニットと製品キャリアは、それぞれ連結点を介して連結することが可能である。しかし、この場合、本運搬装置は、少なくとも一つの運搬ユニットと少なくとも一つの製品キャリアから構成されなければならず、この少なくとも一つの製品キャリアは、駆動力を持たず、この少なくとも一つの運搬ユニットによって、移動方向に牽引されるか、或いは押し進められる。
【0011】
「連結することが可能である」とは、全ての実施形態において、運搬ユニットと製品キャリアが単に互いに当接することを意味する。しかし、「連結することが可能である」とは、例えば、連結点に設けられた轅によって、製品キャリア又は運搬ユニットが互いに固く連結されているか、さもなければ解除可能に連結されていることを意味することもできる。連結点において、解除機構により解除することが可能であるロック機構によって、連結を実現することができる。例えば、この連結は、例えば、永久磁石による磁石式連結などで実現することができる。
【0012】
製品キャリア又は更に別の製品キャリアは、移動方向に折り曲がり可能な形で実現することができる。それにより曲率半径がより短い運搬区間の使用も可能になるので、これは、特に、長い製品キャリアの場合に有利である。
【0013】
製品キャリア又は更に別の製品キャリアは、その時々の製品又はその時々の荷物をより良好に運搬するために、製品又は荷物と係合させることが可能な係合部品を備えることができる。当然のことながら、この運搬ユニット自体も係合部品を備えることができる。
【0014】
移動方向に向けられた運搬区間を有する長固定子リニアモーターは、本発明による運搬装置を有し、更に、少なくとも一つの運搬装置を運搬区間に沿って案内するために、ガイド要素と協力して動作する区間ガイド要素と、少なくとも一つの運搬装置を運搬区間に沿って駆動するために、駆動磁石と協力して動作するように構成された、運搬区間に沿って並んで配置された一定数の駆動コイルとを有する。運搬ユニットによって運搬区間に沿って製品キャリアを駆動するために、製品キャリアは、運搬区間において、連結点を介して運搬ユニットと連結されている。
【0015】
この場合、本長固定子リニアモーターは、運搬ユニットの少なくとも一つのガイド要素及び製品キャリアの少なくとも一つのガイド要素と協力して動作する第一の区間ガイド要素を備えることができる。
【0016】
本長固定子リニアモーターは、更に、製品キャリアの第二のガイド要素と協力して動作する第二の区間ガイド要素を備えることができる。それにより、更に大きな荷物、例えば、更に重い製品を運搬することができる。
【0017】
本長固定子リニアモーターは、運搬ユニットのガイド要素と協力して動作する第一の区間ガイド要素を備えるとともに、製品キャリアのガイド要素と協力して動作する第二の区間ガイド要素を備えることができる。例えば、この第一のガイド要素を、より小さな荷物に対するサイズで設計し、この第二のガイド要素を、より大きな荷物に対するサイズで設計することができる。このことは、製品キャリアが荷物自体を運搬する役割を果たし、運搬装置が第一に推進力を提供する役割を果たすので、有利である。そのため、第一の区間ガイド要素と第二の区間ガイド要素を異なる形態で実現することができる。更に、運搬ユニットのガイド要素と製品キャリアのガイド要素を異なる形態で実現することができる。そのように、例えば、運搬ユニットのガイド要素を、より小さな荷物に対するサイズで設計し、製品キャリアのガイド要素を、より大きな荷物に対するサイズで設計することと、第一の区間ガイド要素を、より小さな荷物に対するサイズで設計し、第二の区間ガイド要素を、より大きな荷物に対するサイズで設計することとの中の一つ以上を実行することができる。
【0018】
製品キャリアを運搬ユニットと連結するための連結点は、運搬区間の傍に、即ち、運搬ユニットの側方に配置することができ、それによって、製品キャリアが運搬ユニットの側方に位置する。
【0019】
製品キャリアのガイド要素が長固定子リニアモーターの区間ガイド要素ではなく、長固定子リニアモーターに属さない外部の部品と協力して動作する実施形態も考えられる。そのように、例えば、ローラーとしてのガイド要素が、長固定子リニアモーターに属する区間ガイド要素によって案内される代わりに、平面の形の外部の部品上を転動することができる。連結点が運搬ユニットの側方に設けられている場合、製品キャリアは、運搬区間の傍で、それに対応するガイド要素を介して外部の部品と協力して動作することができる。
【0020】
製品キャリアのガイド要素、例えば、ローラー、レール等が、外部のガイド要素、例えば、ローラー、レール、ローラーテーブル等の形の外部の部品と協力して動作することもできる。連結点が運搬ユニットの側方に設けられている場合、製品キャリアは、運搬区間の傍で、それに対応するガイド要素を介して外部のガイド要素によって案内することができる。
【0021】
この外部の部品が、外部のガイド要素として実現されている場合、製品キャリア自体の所のガイド要素を省くこともできる。そして、製品キャリアは、それ自体で独自のガイド要素無しでガイド要素、例えば、ローラー、レール、ローラーテーブル等の上を転動又は滑走することができる。連結点が運搬ユニットの側方に設けられている場合、製品キャリアは、外部のガイド要素を介して、運搬区間の傍を案内することができる。
【0022】
製品キャリアとして、例えば、平面モーター式運搬ユニットを配備することができる。この平面モーター式運搬ユニットは、確かに長固定子リニアモーターに対しては駆動部を持たないが、平面モーターと連結するための磁気連結部品を有する。それにより、例えば、製品キャリアとしての平面モーター式運搬ユニットは、平面モーターの所の運搬ユニットを用いて位置に着けることができる。
【0023】
以下において、本発明を制限するものではない本発明の有利な実施形態を例示して模式的に図示する
図1~3dを参照して、本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】製品キャリアと運搬ユニットのガイド要素に対する区間ガイド要素を備えた長固定子リニアモーターの模式図
【
図2a】製品キャリアの少なくとも一つの第二のガイド要素に対する追加の第二の区間ガイド要素を備えた運搬区間の模式図
【
図2b】運搬ユニットのガイド要素に対する第一の区間ガイド要素と製品キャリアのガイド要素に対する第二の区間ガイド要素を備えた運搬区間の模式図
【
図3a】一つの運搬ユニットと一つの製品キャリアから成る運搬装置の模式図
【
図3b】一つの運搬ユニットと二つの製品キャリアから成る運搬装置の模式図
【
図3c】二つの運搬ユニットと一つの製品キャリアから成る運搬装置の模式図
【
図3d】二つの運搬ユニットと二つの製品キャリアから成る運搬装置の模式図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、長固定子リニアモーター1の簡単な例を図示している。この場合、長固定子リニアモーター1は、ここでは、閉じた形で実現された運搬区間10として実現されている。この運搬区間10には、可動磁界を発生させるために、(幾つかの駆動コイルSmに対してのみ表示された)制御ユニットRの制御の下で、(絶対値と方向を有するベクトルとしての)コイル電流iAが流される多数の駆動コイルSmが配置されている。移動方向xに並んで配置された駆動コイルSmは、運搬区間10の所の固定位置の(
図1では、単に大まかに表示された)保持構造3に配置されている。本発明による運搬装置2が例として図示されており、当然のことながら、長固定子リニアモーター1には、通常、複数の運搬装置2が配備されている。これらの運搬装置2は、運搬区間10に沿って移動方向xに動かされ、そのために、それぞれ好適な手法により固定的に配置された運搬区間10の所を区間ガイド要素101によって案内される。自明のことながら、運搬区間10に沿って、二つ以上の運搬装置2を動かすこともでき、各運搬装置2は、運搬装置2に属する運搬ユニット20の領域内の駆動コイルSmに相応の電流を流すことによって、(方向、位置、速度及び加速度に関して)それ以外の運搬ユニット1と独立して動かすことができる。この場合、運搬区間10は、用途及び必要に応じて、任意の形状にすることができるとともに、閉じた区間区画及び/又は開いた区間区画から構成することができる。運搬区間10は、平面内に有る必要はなく、空間内を任意に敷設することもできる。この長固定子リニアモーター1の基本的な機能方式は、十分に知られており、その結果、ここでは、それに更に立ち入らない。
【0026】
一つの運搬装置2は、一つの運搬ユニット20と、連結点で運搬ユニット20と連結することが可能な少なくとも一つの製品キャリア21とを有する。この運搬ユニット20は、移動方向xに対して側方に配置された駆動磁石M1,M2を有し、これらの磁石は、駆動コイルSmとの協力した動作により移動方向xに推進力Fを発生させることによって、運搬ユニット20を駆動する役割を果たす。運搬ユニット20は、片側だけに駆動磁石M1,M2を備えることができる。
図1~3dに図示されている通り、第一の数の磁石M1に追加して、有利には、第一の数の磁石M1に対して、第二の数の磁石M2を備え、ここで、第一と第二の数が、有利には、同じであると規定することもできる。運搬ユニット20が両側に、それぞれ第一の数の磁石M1又は第二の数の磁石M2を備えている場合、それに合わせて、(移動方向xに見て)運搬区間10の両側に、それぞれ、運搬ユニット20の動きを引き起こすために、その時々の磁石M1,M2と協力して動作する駆動コイルSmを配備することができる。そのために、有利には、磁石M1,M2の領域内の駆動コイルSmだけに電流が流され、この領域は、運搬ユニット20の前及び/又は後に位置する駆動コイルSmを含むことができる。
【0027】
製品キャリア21は、駆動磁石M1,M2を備えていないが、連結点Kを介して運搬ユニット20と連結することが可能であり、そのため、運搬ユニット20によって駆動することが可能である。そのため、製品キャリア21は、それ自体独自の駆動力を持たず、そのため駆動部を持たない、即ち、製品キャリア21は、単独では運搬区間10に沿って動くことができない。それに対して、運搬ユニット20は、協力して動作する駆動磁石M1,M2と駆動コイルSmから得られる独自の駆動力を有し、従って、この駆動力により運搬区間10に沿って動くことが可能である。
【0028】
即ち、運搬ユニット20は、駆動磁石M1,M2の領域内の駆動コイルSmと協力して動作する駆動磁石M1,M2によって、移動方向xの推進力Fを受けて、この推進力Fを連結点Kを介して製品キャリア21に伝達する。この場合、製品キャリア21は、
図1に図示されている通り、移動方向xに対して運搬ユニット20の前に置くか、或いはその後に置くこともできる。製品キャリア21が、移動方向xに対して運搬ユニット20の前に有る場合、運搬ユニット20は、製品キャリア21を前に推し進めて、運搬ユニット20と製品キャリア21との当接部によって、連結点Kを形成することができる。しかし、有利には、連結点Kは、解除可能に構成することもできる固定的な連結部である。そのように、連結点Kとして、
図1~3dにも表示されている通り、轅を配備することができる。そのような固定的又は解除可能な連結部は、特に、製品キャリア21が移動方向xに対して運搬ユニット20の前に有る場合に、推進力を運搬ユニット20から製品キャリア21に伝達するのに有効である。製品キャリア21は、ここでは、製品4と係合させることができる係合部品213を有する。それにより、製品41を移動方向に運搬することができる。当然のことながら、運搬ユニット20も係合部品を有することができるが、主として、製品キャリア21が、荷物又は製品4を運搬するために配備されている。見易くするために、別の図面での係合部品213の図示は省略している。
【0029】
運搬ユニット20の少なくとも一方の側には、少なくとも一つの第一のガイド要素201が配置されている。この少なくとも一つの第一のガイド要素201は、
図1に図示されている通り、有利には、第一の数の磁石M1と同じ側に置くことができるが、運搬装置2の別の側に置くこともできる。この少なくとも一つの第一のガイド要素201は、
図1に図示されている通り、運搬ユニット20の側方に配置することができ、当然のことながら、運搬ユニット20の長手部分の前、後、上及び下の中の一つ以上を延びることができる。一般的には、
図1にも表示されている通り、複数の第一のガイド要素201が片側に配備される。
【0030】
同様に、製品キャリア21の少なくとも一方の側には、同じく
図1に図示されている通り、製品キャリア21の側方に置くことができる少なくとも一つの第一のガイド要素211が配置されている。同様に、製品キャリア21の長手部分の前、後、上及び下の中の一つ以上に配置することも可能であり、一般的には、同じく
図1にも表示されている通り、複数の第一のガイド要素211が片側に配備される。
【0031】
図1では、運搬ユニット20のガイド要素201と製品キャリア21のガイド要素211が同じ側に有る。それに対して、運搬区間10には、運搬装置2を運搬区間10に沿って移動方向xに案内するために、運搬ユニット20のガイド要素201及び製品キャリア21のガイド要素211と協力して動作する区間ガイド要素101が配備されている。
【0032】
図2aは、
図1と同様に、運搬ユニット20の第一のガイド要素201及び製品キャリア21の少なくとも一つの第一のガイド要素211と協力して動作する第一の区間ガイド要素101を有する、長固定子リニアモーターの運搬区間10の一部を図示している。しかし、更に、製品キャリア21の少なくとも一つの第二のガイド要素212と協力して動作する、少なくとも一つの第二の区間ガイド要素102が配備されている。製品キャリア21が少なくとも一つの第一のガイド要素211を介して第一の区間ガイド要素102と係合し、更に、少なくとも一つの第二のガイド要素202を介して第二の区間ガイド要素102と係合することによって、製品キャリア21を用いて、例えば、第一の区間ガイド要素101単独の設計対象ではない重い荷物をも運搬することができる。ここでは、第二の区間ガイド要素102が、単なる例として、第一の区間ガイド要素101に対向して配備されているが、任意の側に置くことも、同じ側に置くこともできる。同様に、この製品キャリア21の少なくとも一つの第二のガイド要素212は、単なる例として、製品キャリア21の少なくとも一つの第一のガイド要素211に対向して配置されている。
【0033】
図2bには、運搬ユニット20の少なくとも一つのガイド要素201と協力して動作する第一の区間ガイド要素101を有する、長固定子リニアモーターの運搬区間10の一部が図示されている。更に、製品キャリア21の少なくとも一つのガイド要素211と協力して動作する第二の区間ガイド要素102が配備されている。ここでも、第二の区間ガイド要素102は、単なる例として、第一の区間ガイド要素101に対向して配備されている。そのため、この第一の区間ガイド要素101は、運搬ユニット20の要件、即ち、発生させる推進力Fの要件に応じて設計することができる。それに対して、第二の区間ガイド要素102は、製品キャリア21の要件に応じて、即ち、特に、重い製品4又は重い荷物を案内するように設計することができる。
【0034】
運搬ユニット20のガイド要素201,202も、製品キャリア21のガイド要素211,212も、ローラー、ホイール、スライド部品、ガイド面、スライド面などとして実現することができ、区間ガイド要素101,102は、当然のことながら、各ガイド要素201,202,211,212をそこで案内できるように構成しなければならない。駆動コイルSmは、有利には、コンパクトな構成を実現するために、区間ガイド要素101,102の領域に、例えば、同じく保持構造3の所に配置される。当然のことながら、駆動コイルSmを区間ガイド要素101,102と異なる側に置くことも考えられ、それによって、当然のことながら、磁石M1,M2も駆動コイルSmの側に取り付けなければならない。
【0035】
当然のことながら、運搬区間に沿って、それぞれ必要に応じて、存在する運搬ユニット20及び製品キャリア21のガイド要素201,202,211,212と協力して動作することができる、第一と第二の区間ガイド要素101,102の如何なる組合せも考えられる。そのように、運搬区間10は、少なくとも部分的に二つの側に区間ガイド要素101,102を備えるか、或いは、運搬ユニット20又は製品キャリア21が二つの側にガイド要素201,202,211,212を有する場合でも、少なくとも部分的に片側にガイドを備えることができる。
【0036】
図1及び
図2a,2bでは、それぞれ運搬ユニット20と、連結点Kを介して運搬ユニット20と連結された製品キャリア21とから成る運搬装置2が図示されており、製品キャリア21は、移動方向xに対して運搬ユニット20の前に有る。運搬ユニット20と製品キャリア21は、連結することが可能であり、そのことは、これらが固く、或いは解除可能に連結されているか、或いは連結できることを意味する。図示された有利な実施構成では、運搬ユニット20と製品キャリア21は、例えば、連結された形で図示されている。
【0037】
当然のことながら、運搬装置2は、
図3aに図示されている通り、運搬ユニット20と、連結点Kを介して運搬ユニット20と連結された、移動方向xに対して運搬ユニット20の後に有る製品キャリア21とから構成することができる。
【0038】
図3a~3dには、別の運搬装置2が図示され、見易くするために、長固定子リニアモーター2又は運搬区間10の図示が省略されており、例えば、片側だけにガイド要素211,201が配備されている。当然のことながら、これらの運搬装置2は、上述した通り、同じく長固定子リニアモーター2に適しており、ガイド要素211,201の上で述べた配置構成を規定することもできる。
【0039】
図3bは、運搬ユニット20と第一の製品キャリア21の外に、更に別の製品キャリア21’を有する運搬装置2を図示している。ここでは、第一の製品キャリア21は、第一の連結点を介して運搬ユニット20と連結されており、移動方向xに対して運搬ユニット20の前に有る。この更に別の製品キャリア21’は、更に別の連結点K’を介して運搬ユニット20と連結されており、移動方向xに対して運搬ユニット20の後に有る。それにより、運搬ユニット20は、推進力Fを連結点Kを介して第一の製品キャリア21に伝達し、更に別の連結点K’を介して更に別の製品キャリア21’に伝達する。この更に別の製品キャリア21’は、当然のことながら、更に別の連結点K’を介して製品キャリア21と連結することもできる。この場合、推進力Fは、運搬ユニット20から連結点Kを介して第一の製品キャリア21に伝達され、第一の製品キャリア21から更に別の連結点K’を介して更に別の製品キャリア21’に伝達される。
【0040】
図3cは、運搬装置2の別の実施形態を図示しており、製品キャリア21が、第一の運搬ユニット20と更に別の運搬ユニット21’の間に有って、第一の連結点Kを介して第一の運搬ユニット21と連結され、更に別の連結点K’を介して更に別の運搬ユニット21’と連結されている。
【0041】
図3dには、それぞれ連結点K,K’を介して互いに連結された運搬ユニット、製品キャリア、更に別の運搬ユニット20’及び更に別の製品キャリア21’から成る運搬装置が図示されている。そのため、運搬装置2としては、移動方向xに連結することが可能な、或いは連結された運搬ユニット20と製品キャリア21の任意の配列が考えられる。