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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】高周波トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20240402BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240402BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01L29/78 617K
H01L29/78 301X
H01L29/78 618C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021039941
(22)【出願日】2021-03-12
(65)【公開番号】P2022139519
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中村 光利
(72)【発明者】
【氏名】西堀 一弥
(72)【発明者】
【氏名】増田 敬太
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-159767(JP,A)
【文献】特開2006-148064(JP,A)
【文献】国際公開第2005/036651(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0132009(US,A1)
【文献】国際公開第2006/011369(WO,A1)
【文献】特開2004-006712(JP,A)
【文献】特開2004-022555(JP,A)
【文献】特開2010-153860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の上面に沿った第1方向に延在し、前記第1絶縁膜の前記上面に垂直な第2方向の第1層厚と、前記第1絶縁膜の前記上面に沿った第3方向であって、前記第1方向と直交する第3方向の第1幅と、を有し、前記第1幅が前記第1層厚よりも広くなるように設けられた第1半導体層と、
前記第1半導体層上に部分的に設けられ、前記第1半導体層の前記第2方向と交差する上面と、前記第1半導体層の前記第3方向と交差する側面と、を覆う制御電極と、
前記第1半導体層と前記制御電極との間に設けられ、前記制御電極を前記第1半導体層から電気的に絶縁した第2絶縁膜と、
を備え、
前記第1半導体層は、第1導電形の第1領域と、第2導電形の第2領域と、第2導電形の第3領域と、を含み、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は、前記第1方向に並び、
前記第1領域は、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、
前記制御電極は、前記第1領域を覆うように設けられた高周波トランジスタ。
【請求項2】
前記第1絶縁膜は、前記第1半導体層の前記上面とは反対側の下面に接する部分を有し、
前記第1絶縁膜の前記第1半導体の前記下面に接する前記部分は、前記第3方向における第2幅を有し、前記第1半導体層の前記第1幅は、前記第2幅よりも広く、
前記制御電極は、前記第1絶縁膜と前記第1半導体層との間に延在し、前記第1半導体の前記下面の一部と前記第2絶縁膜を介して向き合う部分を有する請求項1記載の高周波トランジスタ。
【請求項3】
前記第1半導体層の前記第2領域に電気的に接続された第1コンタクトプラグをさらに備え、
前記第1半導体層は、前記第1コンタクトプラグに接続された第1コンタクト領域と、前記第1絶縁膜と前記第1コンタクト領域との間に設けられた第1導電形の第4領域と、をさらに含み、
前記第2領域は、前記第1領域と前記第1コンタクト領域との間に設けられ、前記第1コンタクト領域を介して前記第1コンタクトプラグに電気的に接続され、
前記第4領域は、前記第1絶縁膜と前記第2領域との間において、前記第1領域につながり、
前記第1領域は、前記第4領域を介して前記第1コンタクト領域に電気的に接続された請求項1または2に記載の高周波トランジスタ。
【請求項4】
前記第1方向に延在し、前記第3方向において、前記第1半導体層に並び、前記第3方向に延在した前記制御電極に部分的に覆われる第2半導体層と、
前記第2半導体層と前記制御電極とに間に設けられ、前記第2半導体層を前記制御電極から電気的に絶縁した別の第2絶縁膜と、
をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の高周波トランジスタ。
【請求項5】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の上面に沿った方向に並ぶ第1導電形の第1領域、第2導電形の第2領域および第2導電形の第3領域と、前記第2領域につながる第1コンタクト領域と、前記第3領域につながる第2コンタクト領域と、前記第1絶縁膜と前記第1コンタクト領域との間に設けられた第1導電形の第4領域と、を含む第1半導体層と、
前記第1半導体層上に部分的に設けられた制御電極と、
前記第1半導体層と前記制御電極との間に設けられ、前記制御電極を前記第1半導体層から電気的に絶縁した第2絶縁膜と、
を備え、
前記半導体層の前記第1領域は、前記第1絶縁膜と前記制御電極との間、および、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられ、
前記第2領域は、前記第1コンタクト領域と前記第1領域との間に設けられ、
前記第3領域は、前記第1絶縁膜と前記第2コンタクト領域との間、および、前記第1領域と前記第2コンタクト領域との間に設けられ、
前記第4領域は、前記第2領域を介することなく前記第1コンタクト領域につながり、且つ、電気的に接続され、
前記第4領域は、前記第1絶縁膜と前記第2領域との間において前記第1領域につながる高周波トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、高周波トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波トランジスタは、携帯電話のアンテナ制御回路などに使用される。高周波トランジスタには、例えば、SOI(Silicon on Insulator)構造を有する平面ゲート型MOSFET構造が用いられ、高速スイッチング特性を実現する。しかしながら、このような高周波トランジスタの特性には、さらなる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-130625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ソースドレイン間の電流電圧特性を向上させた高周波トランジスタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る高周波トランジスタは、第1絶縁膜と、第1半導体層と、制御電極と、第2絶縁膜と、を備える。前記第1半導体層は、前記第1絶縁膜上に設けられ、前記第1絶縁膜の上面に沿った第1方向に延在する。前記第1半導体層は、前記第1絶縁膜の前記上面に垂直な第2方向の第1層厚と、前記第1絶縁膜の前記上面に沿った第3方向であって、前記第1方向と直交する第3方向の第1幅と、を有し、前記第1幅が前記第1層厚よりも広くなるように設けられる。前記制御電極は、前記第1半導体層上に部分的に設けられ、前記第1半導体層の前記第2方向と交差する上面と、前記第1半導体層の前記第3方向と交差する側面とを覆う。前記第2絶縁膜は、前記第1半導体層と前記制御電極との間に設けられ、前記制御電極を前記第1半導体層から電気的に絶縁する。前記第1半導体層は、前記第1方向に並ぶ、第1導電形の第1領域と、第2導電形の第2領域と、第2導電形の第3領域と、を含み、前記第1領域は、前記第2領域と前記第3領域との間に設けられる。前記制御電極は、前記第1領域を覆うように設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る高周波トランジスタを示す模式断面図である。
図2】第1実施形態に係る高周波トランジスタを示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る高周波トランジスタの特性を示す模式図である。
図4】第1実施形態に係る高周波トランジスタの別の特性を示すグラフである。
図5】第2実施形態に係る高周波トランジスタを示す模式図である。
図6】第2実施形態に係る高周波トランジスタの特性を示すグラフである。
図7】第2実施形態の変形例に係る高周波トランジスタを示す模式図である。
図8】第2実施形態の変形例に係る高周波トランジスタを示す別の模式図である。
図9】第2実施形態の変形例に係る高周波トランジスタの特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
図1(a)および(b)は、第1実施形態に係る高周波トランジスタ1を示す模式断面図である。図1(b)は、図1(a)中に示すA-A線に沿った断面図である。
【0010】
高周波トランジスタ1は、例えば、半導体基板SSと、第1絶縁膜FIと、半導体層10と、制御電極20と、を備える。
【0011】
半導体基板SSは、例えば、シリコン基板である。第1絶縁膜FIは、例えば、シリコン酸化膜である。半導体層10は、例えば、シリコンを含む。制御電極20は、例えば、ゲート電極である。制御電極20は、例えば、導電性のポリシリコンを含む。
【0012】
第1絶縁膜FIは、半導体基板SS上に設けられる。半導体層10は、第1絶縁膜FI上に設けられる。半導体層10は、例えば、第1絶縁膜FIの上面に沿って、X方向に延在する(図2(a)参照)。高周波トランジスタ1は、SOI構造を有する。
【0013】
図1(a)に示すように、制御電極20は、半導体層10上に部分的に設けられる。半導体層10と制御電極20との間には、第2絶縁膜21が設けられる。第2絶縁膜21は、制御電極20を半導体層10から電気的に絶縁する。第2絶縁膜21は、例えば、ゲート絶縁膜である。第2絶縁膜21は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0014】
半導体層10は、第1導電形の第1領域11と、第2導電形の第2領域13と、第2導電形の第3領域15と、を含む。以下、第1導電形をp形、第2導電形をn形として説明するが、これに限定される訳ではない。
【0015】
第1領域11、第2領域13および第3領域15は、半導体層10の上面TSに沿った第1方向、例えば、X方向に並ぶ。第1領域11は、第2領域13と第3領域15との間に設けられる。第1領域11は、第1絶縁膜FIと制御電極20との間に設けられる。第1領域11は、例えば、チャネル領域である。第2領域13は、例えば、ソース領域である。第3領域15は、例えば、ドレイン領域である。
【0016】
半導体層10は、第1コンタクト領域13sと、第2コンタクト領域15sと、第2導電形の第1拡張領域17と、第2導電形の第2拡張領域19と、をさらに含む。第1コンタクト領域13sおよび第2コンタクト領域15sは、例えば、ニッケル(Ni)、コバルトもしくは白金(Pt)等を含むシリサイド領域である。
【0017】
第1コンタクト領域13sは、第2領域13上に設けられる。第2領域13は、第1領域11と第1コンタクト領域13sとの間に位置する部分を含む。すなわち、第1コンタクト領域13sは、第1領域11から離間するように設けられる。
【0018】
第2コンタクト領域15sは、第3領域15の上に設けられる。第3領域15は、第1領域11と第2コンタクト領域15sとの間に位置する部分を含む。すなわち、第2コンタクト領域15sは、第1領域11から離間するように設けられる。
【0019】
第1拡張領域17は、例えば、半導体層10と第2絶縁膜21との界面に沿って、第2領域13から第1領域11中に延びるように設けられる。第1拡張領域17は、第2領域13の第2導電形不純物の濃度よりも低高度の第2導電形不純物を含む。
【0020】
第2拡張領域19は、例えば、半導体層10と第2絶縁膜21との界面に沿って、第3領域15から第1領域11中に延びるように設けられる。第2拡張領域19は、第3領域15の第2導電形不純物の濃度よりも低高度の第2導電形不純物を含む。
【0021】
第1拡張領域17および第2拡張領域19は、それぞれ、第1絶縁膜FIと制御電極20との間に位置するように設けられる。また、第1領域11は、第1拡張領域17と第2拡張領域19との間に位置し、第2絶縁膜21を介して、制御電極20に向き合う部分を含む。
【0022】
高周波トランジスタ1は、サイドウォール23と、第3絶縁膜30と、コンタクトプラグSP、DPおよびGPと、をさらに備える。サイドウォール23は、例えば、シリコン酸化膜、窒化膜などの絶縁膜、あるいはそれらの積層膜である。第3絶縁膜30は、例えば、シリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を含む。コンタクトプラグSP、DPおよびGPは、例えば、タングステン(W)を含む。
【0023】
制御電極20は、例えば、第2絶縁膜21に接する下面と、その反対側の上面と、上面と下面とにつながる側面と、を有する。また、制御電極20は、上面側に設けられたコンタクト領域20sを含む。コンタクト領域20sは、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、もしくは白金(Pt)等を含むシリサイド領域である。
【0024】
サイドウォール23は、制御電極20の側面上に設けられる。サイドウォール23は、半導体層10の第2領域13から第3領域15に向かう方向、例えば、X方向と交差する側面上に設けられる。
【0025】
第2領域13は、第1絶縁膜FIとサイドウォール23との間、および、第1コンタクト領域13sと第1拡張領域17との間に位置する部分を含む。また、第3領域15は、第1絶縁膜FIと別のサイドウォール23との間、および、第2コンタクト領域15sと第2拡張領域19との間に位置する部分を含む。
【0026】
第3絶縁膜30は、半導体層10の上面TSおよび制御電極20を覆うように設けられる。サイドウォール23は、制御電極20と第3絶縁膜30との間に位置する。
【0027】
コンタクトプラグSP、DPおよびGPは、第3絶縁膜中に延在する。コンタクトプラグSP、DPおよびGPは、第1絶縁膜FIから制御電極20に向かう第2方向、例えば、Z方向に延在する。
【0028】
コンタクトプラグSPは、第1コンタクト領域13sに接続される。コンタクトプラグSPは、第1コンタクト領域13sを介して、第2領域13に電気的に接続される。
【0029】
コンタクトプラグDPは、第2コンタクト領域15sに接続される。コンタクトプラグDPは、第2コンタクト領域15sを介して、第2領域15に電気的に接続される。
【0030】
コンタクトプラグGPは、コンタクト領域20sに接続される。コンタクトプラグGPは、コンタクト領域20sを介して、制御電極20に電気的に接続される。
【0031】
なお、コンタクトプラグSP、GPおよびDPは、上記の形態に限定される訳ではない。例えば、コンタクトプラグSP、GPおよびDPは、それぞれ、複数の分割された部分を含むように設けられても良い。また、コンタクトプラグGPは、高周波トランジスタ1のアクティブ領域の外側において、制御電極20のコンタクト領域20sに接続されても良い。
【0032】
図1(b)に示すように、半導体層10は、X-Y平面に沿った断面において、例えば、四角形の形状を有する。半導体層10は、上面TS、下面BSおよび側面LSを有する。
【0033】
制御電極20は、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の上面TSおよび側面LSを覆うように設けられる。また、制御電極20は、第1絶縁膜FIと半導体層10との間に延在し、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の下面BSの一部に向き合う部分を含む。
【0034】
第1絶縁膜FIは、例えば、半導体層10の下面BSに接するコンタクト部FICを含む。半導体層10の延在方向(X方向)に直交する第3方向、例えば、Y方向において、コンタクト部FICは、半導体層10の幅WSよりも狭い幅WBを有する。
【0035】
また、半導体層10は、Y方向の幅WSがZ方向の層厚TSよりも広くなるように設けられる。これにより、高周波トランジスタ1は、例えば、平面ゲート型MOSFETに比べて、ソースドレイン間の電流容量を大きくすることができる。
【0036】
図2(a)~(c)は、第1実施形態に係る高周波トランジスタ1を示す模式図である。図2(a)は、高周波トランジスタ1を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)中に示すB-B線に沿った断面図である。図2(c)は、図2(a)中に示すC-C線に沿った断面図である。
【0037】
図2(a)に示すように、高周波トランジスタ1は、例えば、第1絶縁膜FI上に設けられた半導体部SBを備える。半導体部SBは、例えば、X方向に延在する複数の溝FGにより分割された複数の半導体層10を含む。
【0038】
複数の半導体層10は、Y方向に並ぶ。制御電極20は、Y方向に延在し、複数の半導体層10に跨るように設けられる。また、複数の半導体層10は、X方向の両端において一体化され、コンタクトプラグSPおよびDPにそれぞれ電気的に接続される。
【0039】
図2(b)に示すように、複数の半導体層10は、第1絶縁膜FIの上面に沿って、Y方向に並ぶ。また、溝FGの内部において、各半導体層10の側面上には、サイドウォール25が設けられる。サイドウォール25は、例えば、図1(a)に示すサイドウォール23と同時に作成され、例えば、シリコン酸化膜、窒化膜などの絶縁膜、あるいはそれらの積層膜を含む。また、高周波トランジスタ1は、サイドウォール25を設けない構造であって良い。
【0040】
第1絶縁膜FIは、コンタクト部FICを介して、半導体層10の下面BSに接する(図1(b)参照)。サイドウォール25は、第1絶縁膜FIと半導体層10の下面BSとの間に延在する部分を有する。第2絶縁膜21は、半導体層10とサイドウォール25との間にも設けられる。
【0041】
図2(c)に示すように、制御電極20は、溝FGを埋め込むように設けられる。すなわち、制御電極20は、Y方向において隣り合う2つの半導体層10の間に延在する。また、制御電極20は、第2絶縁膜21を介して、隣り合う2つの半導体層10のそれぞれの側面に向き合う。また、制御電極20は、第1絶縁膜FIと半導体層10との間に延在し、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の下面BSの一部と向き合うように設けられる。すなわち、Y-Z平面に平行な断面において、制御電極20は、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の4つの角を覆うように設けられる。
【0042】
図3(a)および(b)は、第1実施形態に係る高周波トランジスタ1の特性を示す模式図である。図3(a)は、図1(b)に示す断面に対応する断面図である。図3(b)は、半導体層10の第1領域11と第2絶縁膜21との界面近傍における第1領域11中の電子密度を示すグラフである。
【0043】
図3(b)は、図3(a)中に示すA点とB点との間の電子密度分布を表している。横軸は、A点とB点との間の位置であり、縦軸は、電子密度である。図3(b)は、制御電極20に印加されるゲート電圧VGを変化させた場合の電子密度分布の変化を示している。
【0044】
例えば、ゲート電圧VGが閾値電圧Vthよりも低い場合、また、ゲート電圧VGが閾値電圧Vthにほぼ等しい場合、電子密度は、第1領域11の角(B点)に近づくほど高くなる。一方、ゲート電圧VGが閾値電圧Vthよりも高くなると、A点とB点との間の電子密度分布は、ほぼ均一になる。
【0045】
図4(a)および(b)は、第1実施形態に係る高周波トランジスタ1の別の特性を示すグラフである。
図4(a)は、相互コンダクタンスGmの最大値Gmmaxを示すグラフである。
図4(b)は、ドレイン逆電流Idrを表すグラフである。
図4(a)および(b)の横軸は、拡張領域(Extension region)17および19における第2導電形不純物のドーズ量である。また、プレナー型ゲート構造を有するMOSFET(図5参照)の特性を、図中の破線で示している。
【0046】
図4(a)に示すように、高周波トランジスタ1のGmmaxは、プレナーゲート構造のMOSFETのGmmaxよりも大きい。また、図4(b)に示すように、高周波トランジスタ1のIdrは、プレナーゲート構造のMOSFETのIdrよりも大きい。このように、実施形態に係る高周波トランジスタ1では、半導体層10の4つの角を制御電極20で覆うことにより、GmmaxおよびIdrを大きくすることができる。
【0047】
(第2実施形態)
図5(a)および(b)は、第2実施形態に係る高周波トランジスタ2を示す模式断面図である。図5(a)は、平面図である。図5(b)は、図5(a)中に示すD-D線に沿った断面図である。
【0048】
図5(a)に示すように、高周波トランジスタ2は、半導体層10と、制御電極20と、を備える。制御電極20は、半導体層10上に設けられ、例えば、Y方向に延在する。制御電極20は、例えば、上面視において、半導体層10をソース側とドレイン側とに分ける。コンタクトプラグSPは、ソース側のコンタクト領域13sに電気的に接続される。コンタクトプラグDPは、ドレイン側のコンタクト領域15sに電気的に接続される。
【0049】
図5(b)に示すように、高周波トランジスタ2は、第1絶縁膜FIと、第2絶縁膜21と、サイドウォール23と、をさらに含む。なお、図5(b)では、第3絶縁膜30(図1(a)参照)を省略している。
【0050】
第1絶縁膜FIは、例えば、半導体基板SS(図1参照)の上に設けられる。半導体層10は、第1絶縁膜FI上に設けられる。第2絶縁膜21は、半導体層10と制御電極20との間に設けられ、半導体層10を制御電極20から電気的に絶縁する。サイドウォール23は、制御電極20の側面上に設けられる。
【0051】
半導体層10は、第1領域11と、第2領域13と、第3領域15と、第4領域16と、第1コンタクト領域13sと、第2コンタクト領域15sと、を含む。
【0052】
第1領域11は、例えば、第1導電形のチャネル領域である。第1領域11は、第1絶縁膜FIと制御電極20との間に設けられる。
【0053】
第2領域13は、例えば、第2導電形のソース領域である。第3領域15は、例えば、第2導電形のドレイン領域である。第1領域11は、第2領域13と第3領域15との間に設けられる。第1領域11は、第2領域13と第3領域15との間に位置し、第2絶縁膜21を介して、制御電極20に向き合う部分を含む。
【0054】
この例では、第1コンタクト領域13sおよび第2領域13は、半導体層10の表面に沿って並ぶ。第2領域13は、第1領域11と第1コンタクト領域13sとの間に設けられる。また、第2領域13は、例えば、第1絶縁膜FIとサイドウォール23(ソース側)との間に設けられる。第1コンタクト領域13sは、第2領域13に接し、且つ、電気的に接続される。
【0055】
第4領域16は、例えば、第1導電形のボディコンタクト(Body contact)領域である。第4領域16は、第1絶縁膜FIと第1コンタクト領域13sとの間に設けられる。第4領域16は、第1絶縁膜FIと第2領域13との間において第1領域11につながり、且つ、電気的に接続される。また、第4領域16は、第1コンタクト領域13sにつながり、且つ、電気的に接続される。すなわち、第1領域11は、第4領域16を介して、第1コンタクト領域13sに電気的に接続される。
【0056】
図6は、第2実施形態に係る高周波トランジスタ2の特性を示すグラフである。横軸は、ドレイン電圧であり、縦軸は、ターンオフ時のドレイン電流である。
この例では、高周波トランジスタ2の特性(Embodiment)と、第4領域16を有しない高周波トランジスタの特性(without Body contact)と、を比較している。
【0057】
図6に示すように、高周波トランジスタ2におけるターンオフ時の降伏電圧は、比較例に係る高周波トランジスタの降伏電圧よりも高い。すなわち、高周波トランジスタ2では、第4領域16を設けることにより、ターンオフ時の降伏電圧を高くすることができる。
【0058】
また、第1絶縁膜FIと第1コンタクト領域13sとの間に第4領域16を設けることにより、第1絶縁膜FI上における高周波トランジスタ2の占有面積を小さくできる。すなわち、第2領域13および第4領域16を半導体層10の上面TS(図1参照)に並べて配置する構成に比べて、素子サイズを縮小することができる。
【0059】
図7(a)~(c)は、第2実施形態の変形例に係る高周波トランジスタ3を示す模式図である。図7(b)は、図7(a)中に示すE-E線に沿った断面図である。図7(c)は、図7(a)中に示すF-F線に沿った断面図である。
【0060】
図7(a)に示すように、高周波トランジスタ3は、半導体部SBと、制御電極20と、を備える。半導体部SBは、例えば、第1絶縁膜FI上に設けられる。半導体部SBは、例えば、X方向に延在する溝FGにより分割された複数の半導体層10を含む。
【0061】
複数の半導体層10は、Y方向に並ぶ。制御電極20は、Y方向に延在し、複数の半導体層10に跨るように設けられる。また、複数の半導体層10は、X方向の両端において一体化され、コンタクトプラグSPおよびDPにそれぞれ接続される。
【0062】
図7(b)に示すように、高周波トランジスタ2は、第1絶縁膜FIと、第2絶縁膜21と、サイドウォール23と、をさらに含む。なお、図7(b)では、第3絶縁膜30(図1(a)参照)を省略している。
【0063】
第1絶縁膜FIは、例えば、半導体基板SS上に設けられる(図1参照)。半導体層10は、第1絶縁膜FI上に設けられる。第2絶縁膜21は、半導体層10と制御電極20との間に設けられ、半導体層10を制御電極20から電気的に絶縁する。サイドウォール23は、制御電極20の側面上に設けられる。
【0064】
半導体層10は、第1領域11と、第2領域13と、第3領域15と、第4領域16と、第1コンタクト領域13sと、第2コンタクト領域15sと、を含む。
【0065】
第1領域11は、第1絶縁膜FIと制御電極20との間に設けられる。また、第1領域11は、第2領域13と第3領域15との間に設けられる。第1領域11は、第2領域13と第3領域15との間に位置し、第2絶縁膜21を介して、制御電極20に向き合う部分を含む。
【0066】
第1コンタクト領域13sおよび第2領域13は、半導体層10の上面TS(図1参照)に沿って並ぶ。第2領域13は、第1領域11と第1コンタクト領域13sとの間に設けられる。また、第2領域13は、例えば、第1絶縁膜FIとサイドウォール23(ソース側)との間に設けられる。第1コンタクト領域13sは、第2領域13に接し、且つ、電気的に接続される。
【0067】
第4領域16は、第1絶縁膜FIと第1コンタクト領域13sとの間に設けられる。第4領域16は、第1絶縁膜FIと第2領域13との間において第1領域11につながり、且つ、電気的に接続される。また、第4領域16は、第1コンタクト領域13sに接し、且つ、電気的に接続される。第1領域11は、第4領域16を介して、第1コンタクト領域13sに電気的に接続される。
【0068】
図7(c)に示すように、半導体層10は、X-Y平面に沿った断面において、例えば、四角形の形状を有する。制御電極20は、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の上面TSおよび側面LS(図1(b)参照)を覆うように設けられる。また、制御電極20は、第1絶縁膜FIと半導体層10との間に延在し、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の下面BS(図1(b)参照)の一部と向き合う部分を含む。すなわち、制御電極20は、第2絶縁膜21を介して、半導体層10の4つの角を覆うように設けられる。
【0069】
図8(a)~(c)は、第2実施形態に係る高周波トランジスタ3を示す別の模式図である。図8(a)は、図7(a)と同じ平面図である。図8(b)は、図8(a)中に示すG-G線に沿った断面図である。図8(c)は、図8(a)中に示すH-H線に沿った断面図である。
【0070】
図8(b)に示すように、複数の半導体層10は、第1絶縁膜FIの上面に沿って、Y方向に並ぶ。また、溝FGの内部において、各半導体層10の側面上には、サイドウォール25が設けられる。半導体層10の第4領域は、第1絶縁膜FIと第1コンタクト領域13sとの間に設けられる。
【0071】
第1絶縁膜FIは、コンタクト部FICを介して、半導体層10の下面BSに接する。サイドウォール25は、第1絶縁膜FIと半導体層10の下面BSとの間に延在する部分を有する。第2絶縁膜21は、半導体層10とサイドウォール25との間にも設けられる。
【0072】
図8(c)に示すように、ドレイン側の溝FGの内部においても、各半導体層10の側面上には、サイドウォール25が設けられる。半導体層10の第3領域15は、第1絶縁膜FIと第2コンタクト領域15sとの間に設けられる。
【0073】
図9は、第2実施形態の変形例に係る高周波トランジスタ3の特性を示すグラフである。横軸は、ドレイン電圧であり、縦軸は、ターンオフ時のドレイン電流である。この例では、高周波トランジスタ2の特性(Embodiment)と、プレナー型ゲート構造(Planar gate type)を有する高周波トランジスタ(図5参照)の特性と、を比較している。
【0074】
図9に示すように、高周波トランジスタ3の降伏電圧は、プレナーゲート型トランジスタの降伏電圧よりも高くなる。このように、制御電極20が半導体層10のY-Z断面における4つの角を覆う構造を用いることにより、ターンオフ時の降伏電圧を高くすることができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1、2、3…高周波トランジスタ、 10…半導体層、 11…第1領域、 13…第2領域、 13s…第1コンタクト領域、 15…第3領域、 15s…第2コンタクト領域、 16…第4領域、 17…第1拡張領域、 19…第2拡張領域、 20…制御電極、 20s…コンタクト領域、 21…第2絶縁膜、 23、25…サイドウォール、 30…第3絶縁膜、 TS…上面、 BS…下面、 LS…側面、 DP、GP、SP…コンタクトプラグ、 FG…溝、 FI…第1絶縁膜、 FIC…コンタクト部、 SB…半導体部、 SS…半導体基板、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9