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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】充電コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H01R13/52 302G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021153948
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045496
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】萩田 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 泰孝
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208290(JP,A)
【文献】特開2017-204431(JP,A)
【文献】特開2011-175927(JP,A)
【文献】特開平11-176508(JP,A)
【文献】実開平06-060067(JP,U)
【文献】特開平09-266021(JP,A)
【文献】国際公開第2015/018770(WO,A1)
【文献】特表2014-519179(JP,A)
【文献】米国特許第09669719(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102017222503(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
普通充電コネクタが嵌合可能な普通間口が形成された普通嵌合部と、急速充電コネクタが嵌合可能な急速間口が形成された急速嵌合部とを有するハウジングと、
前記急速間口を閉塞するカバーと、
を備え、
前記急速嵌合部には、前記急速嵌合部の内部に急速充電用の端子を挿入可能な端子挿入孔が設けられ、
前記カバーには、前記端子挿入孔に向けて延出され、前記急速充電用の端子が前記端子挿入孔に挿入されておらず前記急速充電用の端子と前記急速充電用の端子と嵌合する前記急速充電コネクタに収容された相手端子とが前記急速嵌合部の内部に存在しない状態で前記端子挿入孔に挿入されて前記カバーを前記ハウジングに保持する第1突部が設けられている充電コネクタ。
【請求項2】
前記カバーには、前記端子挿入孔に向けて延出され、前記第1突部と隣接して配置された第2突部が設けられている請求項1に記載の充電コネクタ。
【請求項3】
前記第2突部は、前記端子挿入孔への挿入の可否により、前記第1突部の前記端子挿入孔への挿入状態を検出する請求項2に記載の充電コネクタ。
【請求項4】
前記第1突部には、前記端子挿入孔に係止される係止部が設けられている請求項1から3のいずれか1項に記載の充電コネクタ。
【請求項5】
前記カバーには、前記急速間口を閉塞するフランジ部が設けられ、
前記フランジ部の外周には、前記端子挿入孔に向けて延出し、周方向に連続して形成され、前記急速間口の内面と対向して配置される壁部が設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の充電コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、充電コネクタとしては、普通充電コネクタが嵌合可能な普通間口が形成された普通嵌合部と、急速充電コネクタが嵌合可能な急速間口が形成された急速嵌合部とを有するハウジングを備えたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
充電コネクタは、電気自動車やハイブリッド車などに適用され、車両に搭載されたバッテリを充電させる。普通嵌合部には、バッテリに電気的に接続された普通充電用の端子が収容されている。急速嵌合部には、バッテリに電気的に接続された急速充電用の端子が収容されている。端子は、普通嵌合部と急速嵌合部とにそれぞれ形成された端子挿入孔から内部に収容される。
【0004】
このような充電コネクタは、給電設備に備えられた普通充電コネクタや急速充電コネクタを、使用状況に応じて、普通間口、或いは急速間口に嵌合させることによって、バッテリを充電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-102326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のような充電コネクタでは、ハウジングに、普通充電コネクタが嵌合される普通間口と、急速充電コネクタが嵌合される急速間口とが設けられている。近年、プラグインハイブリッド車では、大容量のバッテリを用いないことが多く、急速充電コネクタ用の急速間口を必要としないことが多々ある。
【0007】
このため、ハウジングの急速間口を閉塞するために、カバーを充電コネクタに組付けることが考えられる。例えば、車両ボディに、カバーを組付け、急速間口を閉塞することが考えられる。しかしながら、車両ボディにカバーを組付ける構造であると、車両ボディの設計変更が必要である。また、ハウジングの外側に、カバーを組付け、急速間口を閉塞することも考えられる。しかしながら、ハウジングの外側にカバーを組付ける構造であっても、ハウジングの外側の設計変更が必要である。
【0008】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ハウジングの設計変更を行うことなく、カバーによって急速間口を閉塞することができる充電コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係る充電コネクタは、普通充電コネクタが嵌合可能な普通間口が形成された普通嵌合部と、急速充電コネクタが嵌合可能な急速間口が形成された急速嵌合部とを有するハウジングと、前記急速間口を閉塞するカバーと、を備え、前記急速嵌合部には、内部に端子を挿入可能な端子挿入孔が設けられ、前記カバーには、前記端子挿入孔に向けて延出され、前記端子挿入孔に挿入されて前記カバーを前記ハウジングに保持する第1突部が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハウジングの設計変更を行うことなく、カバーによって急速間口を閉塞することができる充電コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る充電コネクタの斜視図である。
図2】本実施形態に係る充電コネクタの正面図である。
図3】本実施形態に係る充電コネクタの断面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5】本実施形態に係る充電コネクタのハウジングの斜視図である。
図6】本実施形態に係る充電コネクタのハウジングの正面図である。
図7】本実施形態に係る充電コネクタのカバーの斜視図である。
図8】本実施形態に係る充電コネクタのカバーの正面図である。
図9】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
図10】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
図11】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
図12】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
図13】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
図14】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
図15】本実施形態に係る充電コネクタの係止部の他例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本実施形態に係る充電コネクタについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0013】
図1図8に示すように、本実施形態に係る充電コネクタ1は、電気自動車やハイブリッド車などに適用され、車両に搭載されたバッテリを充電させる。充電コネクタ1は、給電設備に備えられた普通充電コネクタ(不図示)と急速充電コネクタ(不図示)とにそれぞれ嵌合可能となっている。充電コネクタ1は、ハウジング3と、カバー5とを備えている。ハウジング3には、普通充電用の端子(不図示)と、急速充電用の端子(不図示)とがそれぞれ収容可能となっている。
【0014】
図1図6に示すように、ハウジング3は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。ハウジング3には、底壁7から充電コネクタ1と普通充電コネクタ及び急速充電コネクタとの嵌合方向に筒状に延出された外壁9が形成されている。ハウジング3の外壁9の内部は、普通充電コネクタと嵌合可能な普通嵌合部11と、急速充電コネクタと嵌合可能な急速嵌合部13とに区画されている。
【0015】
普通嵌合部11は、外壁9の内部において、上方に配置されている。普通嵌合部11の底壁7と反対側は、普通充電コネクタが挿入可能に開口された普通間口15となっている。普通嵌合部11の内部には、底壁7から充電コネクタ1と普通充電コネクタとの嵌合方向に筒状に延出された普通内壁17が形成されている。普通内壁17の内部には、複数(ここでは7つ)の普通端子収容室19が形成されている。普通端子収容室19は、普通間口15側が開口され、普通充電コネクタに収容された相手端子(不図示)が挿入可能となっている。このため、普通端子収容室19の普通間口15側の開口は、普通充電コネクタの電気的な接続部が挿入される部分として、普通嵌合部11の普通間口15の一部を構成している。普通端子収容室19の普通間口15と反対側は、底壁7を貫通して形成され、普通充電用の端子(不図示)を普通端子収容室19に挿入可能な端子挿入孔21となっている。複数の普通端子収容室19の内部には、それぞれ端子挿入孔21から普通充電用の端子が収容される。
【0016】
普通充電用の端子は、バッテリ(不図示)に電気的に接続された電線(不図示)の端末部に電気的に接続されている。普通充電用の端子は、普通嵌合部11に普通充電コネクタが嵌合されることにより、普通充電コネクタに収容された相手端子と電気的に接続される。普通充電用の端子と相手端子との電気的な接続により、給電設備からバッテリに充電される。
【0017】
急速嵌合部13は、外壁9の内部において、下方に配置されている。急速嵌合部13の底壁7と反対側は、急速充電コネクタが挿入可能に開口された急速間口23となっている。急速嵌合部13の内部には、底壁7から充電コネクタ1と急速充電コネクタとの嵌合方向に筒状に延出された急速内壁25が形成されている。急速内壁25の内部には、複数(ここでは2つ)の急速端子収容室27が形成されている。急速端子収容室27は、急速間口23側が開口され、急速充電コネクタに収容された相手端子(不図示)が挿入可能となっている。このため、急速端子収容室27の急速間口23側の開口は、急速充電コネクタの電気的な接続部が挿入される部分として、急速嵌合部13の急速間口23の一部を構成している。急速端子収容室27の急速間口23と反対側は、底壁7を貫通して形成され、急速充電用の端子(不図示)を急速端子収容室27に挿入可能な端子挿入孔29となっている。複数の急速端子収容室27の内部には、それぞれ端子挿入孔29から急速充電用の端子が収容される。
【0018】
急速充電用の端子は、バッテリ(不図示)に電気的に接続された電線(不図示)の端末部に電気的に接続されている。急速充電用の端子は、急速嵌合部13に急速充電コネクタが嵌合されることにより、急速充電コネクタに収容された相手端子と電気的に接続される。急速充電用の端子と相手端子との電気的な接続により、給電設備からバッテリに充電される。
【0019】
なお、ハウジング3に収容された普通充電用と急速充電用の端子は、ハウジング3に組付けられるリヤホルダ(不図示)によってハウジング3に保持される。また、ハウジング3に、端子と係合される係止ランスを設けてもよい。さらに、ハウジング3に、端子を収容可能な仮係止位置と、端子に係合される本係止位置とを移動可能なスライドホルダを組付けてもよい。
【0020】
このような普通嵌合部11と急速嵌合部13とを有する充電コネクタ1は、例えば、大容量のバッテリが搭載されていない車両に適用される場合、急速嵌合部13を使用しないことがある。そこで、急速嵌合部13の急速間口23は、カバー5によって閉塞されている。
【0021】
図1図4図7図8に示すように、カバー5は、例えば、合成樹脂などの絶縁性材料からなる。カバー5は、本体部31と、閉塞部33と、第1突部35と、第2突部37とを備えている。
【0022】
本体部31は、充電コネクタ1と急速充電コネクタとの嵌合方向に延出するように複数(ここでは2つ)形成されている。本体部31は、カバー5をハウジング3に組付けた状態で、複数(ここでは2つ)の急速端子収容室27内に収容される。本体部31は、使用する材料の少量化や軽量化などを図るために、中央部分が肉抜きされている。なお、本体部31の外径を、急速端子収容室27の内径と同等に設定し、本体部31を急速端子収容室27に収容してもよい。
【0023】
閉塞部33は、複数の本体部31の急速間口23側に、複数の本体部31と連続する一部材で形成されている。閉塞部33は、少なくとも急速間口23を構成する急速端子収容室27の開口を閉塞可能なように、急速内壁25の端面と平行な平面方向に連続して形成されている。閉塞部33は、カバー5をハウジング3に組付けた状態で、少なくとも急速間口23を構成する急速端子収容室27の開口を閉塞する。閉塞部33の外周には、フランジ部39が設けられている。
【0024】
フランジ部39は、閉塞部33の外周に、閉塞部33と連続する一部材で形成されている。フランジ部39は、急速間口23を構成する外壁9と急速内壁25との間を閉塞可能なように、閉塞部33の外周に周方向に連続して形成されている。フランジ部39の外縁は、急速間口23を構成する外壁9の内縁と同等、或いは僅かに小さく設定されている。フランジ部39は、カバー5をハウジング3に組付けた状態で、閉塞部33と共に、急速間口23を閉塞する。フランジ部39の外周には、壁部41が設けられている。
【0025】
壁部41は、フランジ部39の外周に、フランジ部39と連続する一部材で形成されている。壁部41は、急速間口23を構成する外壁9の内面と対向可能なように、フランジ部39から急速嵌合部13の内部の端子挿入孔29に向けて延出され、周方向に連続して形成されている。壁部41は、カバー5をハウジング3に組付けた状態で、急速嵌合部13の内部に収容され、急速間口23を構成する外壁9の内面と、微小な隙間をもって、或いは隙間なく、対向して配置される。
【0026】
このような壁部41をフランジ部39に設けることにより、フランジ部39と外壁9との間に、細い棒状の治具などを挿入し難くすることができる。また、壁部41を端子挿入孔29に向けて延出させることにより、仮に治具などが挿入されても、治具の先端部分が引っ掛かることができず、てこ作用を機能させ難くすることができる。このため、カバー5がハウジング3に組付けられた状態で、例えば、エンドユーザなどがハウジング3からカバー5を強引に取り外すことを防止することができる。
【0027】
第1突部35は、複数の本体部31の端子挿入孔29側のそれぞれの端部に、本体部31と連続する一部材で形成されている。第1突部35は、端子挿入孔29に挿入可能なように、本体部31から端子挿入孔29に向けて延出されている。第1突部35は、本体部31に対して弾性変形可能に形成されている。隣り合う第1突部35,35は、第2突部37,37より、閉塞部33の内側に配置されている。第1突部35は、カバー5をハウジング3に組付けた状態で、端子挿入孔29に挿入され、カバー5をハウジング3に保持する。第1突部35には、係止部43が設けられている。
【0028】
係止部43は、第1突部35の先端側に、第1突部35と連続する一部材で形成された係止突起45となっている。係止突起45は、第1突部35から閉塞部33の内側(ここでは隣り合う本体部31,31側)に向けて突出されている。係止突起45の端子挿入孔29側の面は、端子挿入孔29側から閉塞部33側に向けて上り傾斜となる傾斜面となっている。係止突起45の閉塞部33側の面は、底壁7と平行、或いは僅かに傾斜して形成された係止面となっている。係止突起45は、第1突部35が端子挿入孔29に挿入されるときに、傾斜面が端子挿入孔29の縁部と摺動する。係止突起45の傾斜面が端子挿入孔29の縁部と摺動すると、第1突部35が弾性変形される。係止突起45は、第1突部35が端子挿入孔29に挿入されると、第1突部35が弾性変形から復元し、係止面が端子挿入孔29の縁部に係合される。係止突起45の係止面が端子挿入孔29の縁部に係合されると、端子挿入孔29からの第1突部35の抜け止めがなされ、ハウジング3に対するカバー5の組付状態が保持される。
【0029】
このような係止部43を有する第1突部35をカバー5に設けることにより、ハウジング3に元々設けられている端子挿入孔29を利用して、カバー5をハウジング3に組付けることができる。このため、ハウジング3の外側に、カバー5を組付けるための構造を設ける必要がなく、ハウジング3の設計変更を行う必要がない。加えて、車両ボディの設計変更も行う必要がない。
【0030】
第2突部37は、複数の本体部31の端子挿入孔29側のそれぞれの端部に、本体部31と連続する一部材で形成されている。第2突部37は、端子挿入孔29に挿入可能なように、本体部31から端子挿入孔29に向けて延出されている。第2突部37の延出長さは、第1突部35の延出長さよりも短く設定されている。第2突部37の外面は、端子挿入孔29の内面に沿って曲面状に形成されている。第2突部37には、第2突部37と本体部31とにわたってリブ47が設けられ、第2突部37が弾性変形不能となるように、第2突部37の剛性が高められている。第2突部37は、第1突部35に対して、閉塞部33の外側に位置するように、第1突部35と隣接して配置されている。
【0031】
このように第2突部37を第1突部35と隣接して配置することにより、例えば、カバー5を搬送するときなどのように、カバー5を単体で取り扱うときに、第1突部35を第2突部37で保護することができる。このため、第1突部35が周辺部材と干渉することを抑制することができ、第1突部35の損傷を抑制し、ハウジング3に対するカバー5の保持を安定化することができる。
【0032】
このような第2突部37は、係止部43が端子挿入孔29に係止された状態、すなわち第1突部35が正常に端子挿入孔29に挿入された状態において、端子挿入孔29に挿入される。一方、第2突部37は、係止部43が端子挿入孔29に係止されていない状態、すなわち第1突部35が正常に端子挿入孔29に挿入されていない状態において、端子挿入孔29に挿入されない。このため、第2突部37の端子挿入孔29への挿入の可否によって、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態を検出することができ、ハウジング3に対するカバー5の組付状態を検出することができる。
【0033】
なお、第2突部37は、端子挿入孔29に挿入された状態で、外面が端子挿入孔29の内面に当接される。第2突部37の外面が端子挿入孔29の内面に当接された状態では、係止突起45の外面が、第1突部35の弾性変形からの復元力を残した状態で、底壁7の凹部の内面に当接される。このように係止突起45の外面が、第1突部35からの付勢力を付与した状態で、底壁7の凹部の内面に当接されることにより、端子挿入孔29に対する係止部43の係止を安定化することができる。
【0034】
ここで、係止部43としては、例えば、以下のような構成であってもよい。なお、以下では、第2突部37については省略しており、本体部31及び端子挿入孔29については簡略化している。
【0035】
図9に示すように、係止部43aは、係合突起49と、係合部材51とを有する。係合突起49は、第1突部35の先端に、第1突部35と連続する一部材で形成されている。係合突起49は、第1突部35の外径より大径に形成され、端子挿入孔29に挿入可能となっている。係合部材51は、例えば、合成樹脂などの弾性変形可能な材料からなり、端子挿入孔29より大きな筐体状に形成されている。係合部材51には、係合突起49と係合可能な係合孔53が形成されている。このような係止部43aは、端子挿入孔29から突出する係合突起49に、係合孔53を係合させることにより、係合部材51が組付けられる。係合部材51を組付けることにより、係合部材51が端子挿入孔29の縁部に係合し、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0036】
図10に示すように、係止部43bは、ねじ穴55と、ボルト57とを有する。ねじ穴55は、第1突部35の内部に形成されている。ボルト57は、頭部59が端子挿入孔29より大径に形成されている。なお、頭部59と端子挿入孔29との間には、端子挿入孔29より大径のワッシャ61が介在される。このような係止部43bは、端子挿入孔29に挿入された第1突部35のねじ穴55に、ボルト57を締結させる。ボルト57を締結することにより、ボルト57の頭部59(ここではワッシャ61)が端子挿入孔29の縁部に係合し、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0037】
図11に示すように、係止部43cは、ねじ63と、ナット65とを有する。ねじ63は、第1突部35の外周に形成されている。ナット65は、端子挿入孔29より大径に形成されている。このような係止部43cは、端子挿入孔29から突出する第1突部35のねじ63に、ナット65を締結させる。ナット65を締結することにより、ナット65が端子挿入孔29の縁部に係合し、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0038】
図12に示すように、係止部43dは、ねじ67と、ねじ穴69とを有する。ねじ67は、第1突部35の外周に形成されている。ねじ穴69は、端子挿入孔29の内周に形成されている。ここで、係止部43dでは、本体部31を急速端子収容室27(図6参照)内で回転可能とするために、複数の本体部31が1つの閉塞部33(図8参照)で連結されていない。本体部31は、急速端子収容室27内で回転可能な形状となっており、閉塞部33がそれぞれの本体部31に設けられている。なお、閉塞部33は、少なくとも急速間口23(図6参照)を構成する急速端子収容室27の開口を閉塞可能な形状に形成されている。このような係止部43dは、本体部31を回転させ、第1突部35のねじ67を、端子挿入孔29のねじ穴69に締結させる。ねじ穴69へのねじ67の締結により、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0039】
図13に示すように、係止部43eは、係止溝71と、係止部材73とを有する。係止溝71は、第1突部35の先端側に、周方向に連続して形成されている。係止部材73は、例えば、C型リングなどの一部が切り欠かれ、拡径可能な部材からなる。係止部材73は、端子挿入孔29より大径に形成されている。このような係止部43eは、端子挿入孔29から突出する第1突部35の係止溝71に、係止部材73を拡径させて係合させ、係止部材73を組付ける。係止部材73を組付けることにより、係止部材73が端子挿入孔29の縁部に係合し、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0040】
図14に示すように、係止部43fは、ピン穴75と、ピン77とを有する。ピン穴75は、第1突部35の先端側に、第1突部35を径方向に貫通して形成されている。ピン77は、ピン穴75に挿入可能な径を有し、端子挿入孔29の径より長く形成されている。このような係止部43fは、端子挿入孔29から突出する第1突部35のピン穴75に、ピン77を挿通させてピン77を組付ける。なお、ピン穴75にピン77を挿通した後、ピン77の両端を折り曲げて抜け止めしてもよい。ピン77を組付けることにより、ピン77が端子挿入孔29の縁部に係合し、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0041】
図15に示すように、係止部43gは、圧入突起79を有する。圧入突起79は、第1突部35の先端側に、第1突部35の外面から突出し、周方向に複数形成されている。なお、圧入突起79は、第1突部35の周方向に連続して形成してもよい。圧入突起79の突出高さは、端子挿入孔29の径より大きくなっている。圧入突起79の外面は、曲面状に形成されている。このような係止部43gは、端子挿入孔29に第1突部35を挿入し、圧入突起79を端子挿入孔29の内面に圧入させる。圧入突起79を圧入させることにより、端子挿入孔29に対する第1突部35の挿入状態が保持される。
【0042】
なお、他の係止部43としては、第1突部35が端子挿入孔29に挿入された状態で、第1突部35と端子挿入孔29との間に充填される接着剤などであってもよい。また、端子挿入孔29から突出する第1突部35の先端に、端子挿入孔29より大きなテープ巻きなどを施し、係止部43としてもよい。
【0043】
このような充電コネクタ1では、カバー5に、端子挿入孔29に向けて延出され、端子挿入孔29に挿入されてカバー5をハウジング3に保持する第1突部35が設けられている。このため、ハウジング3に元々設けられている端子挿入孔29に、第1突部35を挿入することで、カバー5をハウジング3に組付けることができる。
【0044】
従って、このような充電コネクタ1では、ハウジング3の設計変更を行うことなく、カバー5によって急速間口23を閉塞することができる。
【0045】
また、カバー5には、端子挿入孔29に向けて延出され、第1突部35と隣接して配置された第2突部37が設けられている。このため、カバー5を単体で取り扱うときに、第2突部37によって第1突部35を保護することができる。第1突部35を保護することにより、第1突部35の損傷を抑制でき、ハウジング3に対するカバー5の保持を安定化することができる。
【0046】
さらに、第2突部37は、端子挿入孔29への挿入の可否により、第1突部35の端子挿入孔29への挿入状態を検出する。このため、第2突部37の端子挿入孔29への挿入の可否によって、ハウジング3に対するカバー5の組付状態を検出することができる。
【0047】
また、第1突部35には、端子挿入孔29に係止される係止部43が設けられている。このため、第1突部35を端子挿入孔29に挿入し、係止部43を端子挿入孔29に係止させることで、ハウジング3に対するカバー5の組付状態を安定化することができる。
【0048】
さらに、カバー5には、急速間口23を閉塞するフランジ部39が設けられている。そして、フランジ部39の外周には、端子挿入孔29に向けて延出し、周方向に連続して形成され、急速間口23の内面と対向して配置される壁部41が設けられている。
【0049】
このため、フランジ部39と急速間口23との間に、治具などを挿入し難くすることができる。また、壁部41を端子挿入孔29に向けて延出させることにより、仮に治具などが挿入されても、治具の先端部分が引っ掛かることができず、てこ作用を機能させ難くすることができる。従って、ハウジング3からカバー5を取り外すことを困難にすることができ、カバー5によって急速間口23を安定して閉塞することができる。
【0050】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態の充電コネクタでは、第2突部の延出長さが、第1突部の延出長さよりも短くされているが、これに限らず、第2突部の延出長さを、第1突部の延出長さ以上にしてもよい。
【0052】
この場合には、第2突部による第1突部の保護範囲がより広くなり、第2突部によって安定して第1突部を保護することができる。また、第2突部は、第1突部よりも先に、端子挿入孔に挿入されるので、第2突部に、第1突部の端子挿入孔への挿入をガイドするガイド機能をもたせることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 充電コネクタ
3 ハウジング
5 カバー
11 普通嵌合部
13 急速嵌合部
15 普通間口
23 急速間口
29 端子挿入孔
35 第1突部
37 第2突部
39 フランジ部
41 壁部
43 係止部
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