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▶ ネクストレミティ ソルーションズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】骨固定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/74 20060101AFI20240402BHJP
   A61B 17/88 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61B17/74
A61B17/88
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021187569
(22)【出願日】2021-11-18
(65)【公開番号】P2022080894
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】63/115,460
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/185,761
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/244,310
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521301079
【氏名又は名称】ネクストレミティ ソルーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEXTREMITY SOLUTIONS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ロン エス. ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート ディー. カッチス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アール. ペッパー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン シュロッターバック
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ デナム
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-137757(JP,A)
【文献】特表平07-506988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/74
A61B 17/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と第2の端部とを含み、骨の骨折の固定を行うために前記骨の周りに伸びるように構成されたコードと、
本体を含み、前記本体が、長手方向軸を含み、近位端から前記近位端とは反対の遠位端まで延在し、前記コードの前記第1の端部が前記本体の前記遠位端に接続可能である、コネクターであって、前記本体の前記近位端にある第1のロック部材と、前記近位端と前記遠位端との間に配置された第2のロック部材とをさらに備え、前記第1のロック部材と前記第2のロック部材とが前記長手方向軸に対して横方向に延在し、前記本体が、前記第1のロック部材と前記第2のロック部材との間の第1のスロットと、前記第2のロック部材と前記遠位端に面した前記本体の一部分との間の第2のスロットとを画定し、前記コードの部分が、前記コードを締め付けて前記骨折の前記固定を行うように、前記第1のスロットおよび前記第2のスロットを介して前記第1のロック部材および前記第2のロック部材の部分の周りを通ることができ、前記第2のロック部材が、前記第2のスロットを通る前記コードの重なり合う部分を受け入れるように構成された係合部分を備え、前記係合部分が、前記第2のロック部材の前記横方向に沿って延在する際に前記長手方向に凹状の前記第2のスロットの近位端面を画定する、コネクターと
を備える、骨折固定システム。
【請求項2】
前記係合部分が、前記第2のロック部材の前記横方向に沿って延在する際に前記長手方向に弓形に凹状である、請求項1に記載の骨折固定システム。
【請求項3】
第2のロック部材の前記係合部分が、前記本体の上面と底面との間に延在する厚さに沿って凸状である、請求項1に記載の骨折固定システム。
【請求項4】
前記本体の前記遠位端が、フックを備え、前記フックは2つのプロングを含み、前記プロングと前記本体の一部分とがコード係合空間を形成し、前記フックは上面と底面とを含み、前記フックの前記底面に、前記コード係合空間から前記コネクターの前記本体の前記遠位端まで延在するコード係合溝が形成されており、前記コード係合空間と前記コード係合溝とが前記コードの部分を受け入れるように構成された、請求項1に記載の骨折固定システム。
【請求項5】
前記コネクターの前記本体が、前記本体の対向する側面に、前記本体の前記近位端から延在する前記長手方向軸に対して長手方向に整列され、第1のテンショナーと係合するように構成されたスロットをさらに備える、請求項1に記載の骨折固定システム。
【請求項6】
前記第1のテンショナーが前記スロットと係合して前記コネクターを保持して、ユーザーが前記コードに張力を与えて前記骨折を固定することを可能にする、請求項5に記載の骨折固定システム。
【請求項7】
前記第1のテンショナーが、長手方向軸を有する本体と、第1の端部で前記本体に接続可能なハンドルと、前記本体の前記第1の端部と反対の第2の端部から前記第1のテンショナーの前記本体の前記長手方向軸に沿って延在するアームとを備え、前記アームの遠位端が前記コネクターの前記スロットと係合するように構成され、前記第1のテンショナーの前記本体が、前記コードを受け入れるための通路を画定し、前記コードが前記本体の前記通路を通り、前記コードの前記第2の端部が、前記第1のテンショナーの前記本体から出てユーザーにアクセス可能である、請求項5に記載の骨折固定システム。
【請求項8】
前記ハンドルが、前記第1のテンショナーの前記本体に取り外し可能に接続される、請求項7に記載の骨折固定システム。
【請求項9】
前記ハンドルが、前記第1のテンショナーの前記本体内に収容された回転可能な部材に対して回転可能であり、前記ハンドルが、前記第1のテンショナーの前記本体に取り外し可能に取り付けられた場合、前記回転可能な部材を回転させて前記コードの一部分をねじるように構成された、請求項7に記載の骨折固定システム。
【請求項10】
第1の骨プレートを更に備え、前記1の骨プレートは前記骨に接続するためにねじを受け入れるための複数の開口を含み、前記コードの一部分が前記第1の骨プレートの長手方向寸法に対してほぼ垂直に整列された、請求項1に記載の骨折固定システム。
【請求項11】
前記コードが、前記第1のプレートを貫通して形成された横穴を通って伸びる、請求項10に記載の骨折固定システム。
【請求項12】
第2の骨プレートをさらに備え、前記第2の骨プレートは前記第1の骨プレートが接続される前記骨の反対側に第2の骨プレートを接続するためにねじを受け入れるための複数の開口を含み、前記コードの一部分が前記第1の骨プレートの長手方向寸法に対してほぼ垂直に整列された、請求項10に記載の骨折固定システム。
【請求項13】
前記第2の骨プレートが、前記骨に接触する第1の表面と、前記骨から見て外方に向いた対向する第2の表面とを含み、前記第2の表面が溝を画定し、前記溝が前記骨の周りに伸びる前記コードの一部分を受け入れる、請求項12に記載の骨折固定システム。
【請求項14】
前記第2の表面によって画定された前記溝が、前記第2の骨プレートの前記第2の表面から外方に延在する2つの突起の間に形成された、請求項13に記載の骨折固定システム。
【請求項15】
前記骨の前記骨折のさらなる固定を行うように前記骨折の周りに伸びるように構成された第2のコードと、第2のコネクターと、前記第2のコードの張力を与えて前記骨折をさらに固定するための第2のテンショナーとをさらに備え、前記第2のコネクターが前記第2のコードの第1の端部に接続するための近位端と、前記第2のコードの第2の端部に取り付けるための前記近位端に対する遠位接続端とを含み、前記第1のテンショナーのハンドルが前記第1のテンショナーから取り外し可能であり、前記第2のテンショナーに使用可能である、請求項5に記載の骨折固定システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年11月18日に出願された米国仮特許出願第63/115,460号(代理人整理番号3768.098P2)、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,761号(代理人整理番号3768.098P3)、および2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,310号(代理人整理番号3769.098P4)の優先権を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/865,676号(代理人整理番号3768.085P)、および2019年9月24日に出願された米国仮特許出願第62/905,017号(代理人整理番号3768.085P2)の利益を主張する、2020年6月24日に出願された米国特許出願第16/910,328号(代理人整理番号3768.085A)と、2020年6月25日に出願された米国仮特許出願第63/043,841号(代理人整理番号3768.098P1)、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,761号(代理人整理番号3768.098P3)、2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,310号(代理人整理番号3769.098P4)の利益を主張する、2021年6月25日に出願された米国特許出願第17/358,706号(代理人整理番号3768.098A)とに関連し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本出願は、一般に、骨固定のための装置、器具、および方法に関し、より詳細には、骨折整復を容易にするための骨格骨折固定および器具使用に関連した締結のための装置、器具、および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
大腿骨骨折は、人工股関節全置換術中に自然に、または医原的に起こり得る。骨折パターンに応じて、締結のみ、1枚または複数のプレートとの締結、ストラットとの締結具、拡張した人工股関節ステムとの締結、またはプレート、ストラット、および/もしくは拡張した人工股関節ステムの組み合わせとの締結が骨固定に使用され得る。しかしながら、締結に伴う問題は、追加の支持具を使用しないと不十分な骨癒合を生じ得ることである。特に、人工股関節全置換術では、追加の支持具の使用が望ましくないか、または不可能な場合がある。大腿骨骨折では、締結ワイヤーに高い負荷がかかり、隣接する骨侵食およびワイヤー移動による固定の喪失をもたらす可能性がある。
【0005】
長骨の骨折整復は、多くの場合、らせん骨折および複数の小片の再整列を伴う。骨クランプは、多くの場合、骨をつかむ(例えば、係合して保持する)ための特殊な先端または棘を有するヒンジ器具(例えば、プライヤー)である。そのようなクランプを閉じると、断片に力が加わり、断片が互いに押し付けられる。従来のクランプの限界は、直線的に、またはほぼ直線的に力を生み出すことである。そのようなクランプはまた、一般にそうであるように、複数のクランプが使用される場合に嵩張る可能性があり、金具(例えば、プレートやねじ)を配置するための骨折部位へのアクセスが制限される可能性がある。また、クランプによって生み出される単一平面の力は、一部の骨折を適切に整復することができない。さらに、クランプは固定後に取り外されなければならず、そのような取り外しに起因して、時には整復の喪失および不整列が発生する可能性がある。
【0006】
別の例では、円周方向の力を与えて骨折を整復するために中実の締結ワイヤーが使用されている。そのようなワイヤーの使用にはいくつかの欠点があり、これには、ワイヤーが非常に硬いために、ワイヤーの操作が非常に困難であり得ることが含まれる。また、ワイヤーが最初に理想的に配置されない場合、ワイヤーを別の場所に嵌るように矯正することはほぼ不可能である。さらに、中実の締結ワイヤーに張力をかける従来の方法は、両端部をきつく締まったらせん状にねじることを伴う。これには特殊な嵩張る工具が必要であり、結果として得られる撚り線は非常に硬い場合があり、多くの場合、対処しようにも平らにすることができない。撚り線が留置された場合、ワイヤーが軟組織を刺激する可能性がある。これらの制限により、中実の一時的なワイヤー固定の使用が減少し、この方法はほとんど使用されない。
【0007】
骨侵食およびワイヤー移動による固定の喪失を最小限に抑えながら改善された骨癒合を提供する器具が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、以下で与えられる詳細な説明および本発明の好ましい実施形態の添付の図面を読めばより十分に理解されるが、これらは本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、単に説明および理解のためのものである。
【0009】
図1】本発明によるバックルおよびコードを含む骨を固定するためのシステムの斜視図である。
【0010】
図2】ロックバーを含む図1のバックルの一部分の断面図である。
【0011】
図3】ロックバーを含み、ロックバーの周りの図1のコードの経路を示す、図1のバックルの側断面図である。
【0012】
図4】バックルに取り付けるためのループを含む、図1のコードの遠位端の側面図である。
【0013】
図5】内部の空洞に受け入れられた図1のコードを含むパッサーの側面図である。
【0014】
図6図5のパッサーの側面図である。
【0015】
図7】バックルの近位端に取り付けられたコードと、バックルに取り付けられるように構成されたコードのループとを含む、図5のシステムの側面図である。
【0016】
図8】バックルとループとが互いに取り付けられた図7のシステムの側面図である。
【0017】
図9】テンショナーをさらに含む図8のシステムの側面図である。
【0018】
図10】コードの近位端がテンショナーの通路を通して受け入れられた、図9のシステムの側面図である。
【0019】
図11】テンショナーがバックルに接続するように整列された、図10のシステムの側面図である。
【0020】
図12】コードを引いてバックルおよび骨に対してコードを締め付けるためのテンショナーのハンドルの回転方向を示す、図11のシステムの側面図である。
【0021】
図13】切断されているコードを示す図11のシステムの側面図である。
【0022】
図14図13のテンショナーの斜視図である。
【0023】
図15図1のバックルの代わりに使えるバックルの別の例の斜視図である。
【0024】
図16図15のバックルの上面図である。
【0025】
図17】本発明による複数のバックルを有するプレートの斜視図である。
【0026】
図18図17のプレートの上面図である。
【0027】
図19】本発明による複数のロックバーを有するワッシャーの斜視図である。
【0028】
図20】本発明による骨の固定に使用するためのプレートの斜視図である。
【0029】
図21図20のプレートの拡大図である。
【0030】
図22図20のプレートの斜視図である。
【0031】
図23】移動防止突起を含む、図20のプレートの一部分の拡大図である。
【0032】
図24図20のプレートを利用して骨を固定するためのシステムの側面図である。
【0033】
図25図20のプレートを通るねじを含む、図24のシステムの拡大図である。
【0034】
図26】バックルおよび固定される骨と係合したテンショナーの斜視図である。
【0035】
図27図26のテンショナーの側断面図である。
【0036】
図28図27のテンショナーの一部分の拡大図である。
【0037】
図29図28の断面図の一部分の側面図である。
【0038】
図30図26のテンショナーの分解図である。
【0039】
図31図30のテンショナーの分解図の断面図である。
【0040】
図32】ロック位置にあるテンショナーのアームのロックを示す、テンショナーの軸に対して斜めの角度にある図27のテンショナーの断面図である。
【0041】
図33】ロックが非係合位置にある図32と同様の断面図である。
【0042】
図34図30のテンショナーの締め具の斜視図である。
【0043】
図35図34の締め具の断面斜視図である。
【0044】
図36】コードの引き具への接続を示すように分解された、図30のテンショナーの引き具の斜視図である。
【0045】
図37図36の引き具を示す端面図である。
【0046】
図38図37の引き具の斜視端面図である。
【0047】
図39図36のコードの上面図である。
【0048】
図40図1および図15のバックルの代わりに使えるバックルの別の例の斜視図である。
【0049】
図41図40のバックルの上面図である。
【0050】
図42図40のバックルの底面図である。
【0051】
図43図40に示されるようなバックルと係合したテンショナーの一例の斜視図である。
【0052】
図44図43のテンショナーの長手方向断面図である。
【0053】
図45図43に示されるテンショナーの遠位端部分および図40のバックルの一例の部分斜視図である。
【0054】
図46図40のバックルと、バックルを通り、骨を取り囲むためのループを形成するコードの一部分とを保持する、図43に示されるテンショナーの遠位端の一例の部分断面図である。
【0055】
図47図40のバックルと、バックルを通るコードの一部分とを保持する、図43に示されるテンショナーの遠位端部分の一例の部分断面図である。
【0056】
図48】テンショナーを通るコードの経路を示す、図44に示されるテンショナーの一例の部分断面図である。
【0057】
図49】コードを保持する図40のバックルの斜視側面図である。
【0058】
図50図42に示されるテンショナー、図40に示されるバックル、およびバックルを通るコードの一例の分解図である。
【0059】
図51】バックルおよび固定される骨と各々係合した、図43に示されるような2つの並列のテンショナーの上面斜視図である。
【0060】
図52図50の2つの並列のテンショナーの端面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明による様々な例示的な実施形態に関して、添付の図面を参照しながら、本発明を詳細に論じる。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にすることのないように、周知の構造は詳細には示されていない。よって、以下で説明されるすべての実装形態は、当業者が本開示の実施形態を作成または使用することを可能にするために提供される例示的な実装形態であり、特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲を限定することを意図されたものではない。
【0062】
以下の説明は、大腿骨固定に使用するためのシステム、方法、および装置を参照する。しかしながら、当業者は、他の骨の固定が前述のシステム、方法および装置での使用に適していることを理解するであろう。同様に、様々な図、ステップ、手順、およびワークフローは、例としてのみ提示されており、いかなる点でも、記載のシステム、方法、または装置を異なる時間枠または順序でそれぞれのタスクまたは結果を実行するよう限定するものではない。本発明の教示は、任意の骨に関連した固定に適用され得る。
【0063】
さらに、前述の技術分野、背景技術、簡単な概要、または以下の詳細な説明に提示されている明示的または暗示的な理論に拘束される意図はない。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の器具およびプロセスは、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示される実施形態に関する特定の寸法およびその他の物理的特性は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、限定的であるとみなされるべきではない。
【0064】
骨20を固定または整復するためのシステム10は、図1に示されるように、骨20の周りに伸びるストラップ、ベルト、またはコード40に接続されたコネクターまたはバックル30を含み得る。
【0065】
バックル30は、図2図3に断面で示されるように、複数のロックバー70およびフック50を含み得る。ロックバーは、図に示されるように涙滴形状の断面を有してもよく、または円い形状の断面を有することもできる。フック50は、バックル30の遠位端に配置され得、コード(例えば、コード40)が受入空洞60内を通ることを可能にする開口55を有し得る。コード40は、ループ42の開口44がその中に遠位部分を受け入れるときにバックル30の遠位部分32に接続可能なループ42を有し得る。バックル30に接続されると、コード40の遠位端46が空洞60内に受け入れられ得る。コード40はまた、結び目、フェルール、非アイスプライス、ヒッチ、または埋め込み内部ストッパーなど、ループ以外の他の方法でバックル30に接続されてもよい。
【0066】
バックル30は、例えば、ステンレス鋼、外科グレードのプラスチック、チタン、PEEK、またはコバルトクロムで作製することができる。また、コード40は、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)など、骨を治癒させるために一定期間体内に留置され得る材料で作製されてもよい。コード40は、例えば、幅3.5mm、厚さ0.6mmの50cmテープであってもよい。さらに、コード40は、柔軟(例えば、縫合テープ)であり得、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタンおよびチタン合金などの金属または金属合金の細いワイヤーの撚り線または編組み撚り線から作製されてもよい。
【0067】
コード40の近位端48は、バックル30の近位端31に接続され得る。例えば、コード40は、図2図3に示されるようにロックバー70に接続され得る。図1に示されるように骨20の周りに伸びた後、コード40は、ロックバー70の下でフック50に向かって遠位に伸び、骨20から離れるように上方に伸びてから、コースを反転させ、ロックバー70の遠位バー72の周りでフック50から近位に離れるように向きを変え得る。コード40は、フック50から近位に離れるように遠位バー72から伸び、次いで骨20に向かって下方に伸びてから、コード40がロックバー70の近位バー74の周りを進むように近位に伸び得る。近位バー74の底面75から、コード40は、遠位バー72の上面73に向かって上方および遠位に伸び得る。コード40は、上面73の上を上方に伸び、および/または上面73にその第1のコード部分80で接触し得、第2のコード部分82は、上面73に対して第1のコード部分80の反対側に接触し得る。コード40は、バー72に接触しながら、上面73からフック50に向かって遠位に、次いで骨20に向かって下方に伸び得る。第1のコード部分80と第2のコード部分とは、コード40がフック50から離れてバー72から近位に伸びる際に互いに接触し得る。コード40の近位端48は、フック50に向かって骨20の周りにロックバー70から離れるように伸びる遠位伸長部分49の上に配置され得る。近位端48は、上述のように、ロックバー70を通り、ロックバー70を通過してコード40を引っ張るために、フック50と反対方向にユーザーによって引っ張られ得る。バー70を通過してバーに逆らうコード40の経路は、コード40が締め付けられ、そのような位置が保持されて骨20の骨折部分が一定期間支えられ得るか、または所定の位置に留まって、骨折の整復を可能にし得るように、バー70からのコード40の解放に対する摩擦抵抗を提供し得る。
【0068】
上述のように、システム10は、骨20を固定または整復するために利用され得、そのような固定または整復のためのプロセスは以下のように説明される。
【0069】
コード40は、図5図6に示されるように、パッサー100を使用して骨20の周りの、組織および筋肉11の下を通り得る。パッサー100は、コード40を空洞104内に保持するパッサー100が骨20の周りの、組織および筋肉11の下で操作され得るように、処置の前にコード40を受け入れるための内周側に沿った空洞104を有する湾曲した延長部分102を有し得、それにより、遠位端46は、パッサー100のハンドル部分101に対して骨20の反対側に通され得る。パッサー100は、遠位端46と近位端48とが骨20の同じ側に位置し得るように、骨20の周りにコード40が残った状態で骨20から取り外され得る。
【0070】
図7図9に概略的に示されるように、コード40のループ44は、フック50に接続され、空洞55内に受け入れられ得る。コード40は、上述され、図1図3に示され、図7図9に概略的に示されるように、ロックバー70の周りに通され、ロックバーに接続され得る。ユーザーは、近位端48を引っ張りながらバックル30を保持することによって骨20の骨折14を整復するために、骨20の周りにコード40を締め付け得る。
【0071】
一例では、バックル30は、図1に示されるように、骨20に対してバックル30の対向する軸方向側に位置する1対のスロット35を含み得る。スロット35は、図14に示され、図9図13に概略的に示されるテンショナー200のアーム210を受け入れるように構成(例えば、成形および寸法決め)され得る。コード40が骨20の周りに通され、バックル30に接続された後、コード40の近位端48は、コード40がテンショナー200によって引かれ、または引っ張られることを可能にするように、テンショナー200内の受入通路230に通され得る。アーム210は、テンショナー200をバックル30に接続するためにスロット35内に受け入れられ得る。
【0072】
テンショナー200のハンドル240は、図12に示されるように、テンショナー200によってコード40が骨20から離れてテンショナー200の近位端250に向かって引かれるように、ユーザーによって回転され得る。テンショナー200の引きによってコード40に加えられる力が、上述のように、バックル30のロックロッド70の周りでコード40を引っ張って骨20の周りにコード40を締め付け得、それによりコード40は、例えば、ロックバー70の周りのコード40の経路によって加えられる摩擦によって特定の締め付けで保持されて、骨折14の整復を可能にする。
【0073】
テンショナー200は、ハンドル240に接続された、上述のようなコード40の引きを提供する通路230を含むロッド260を含み得る。
【0074】
コード40が骨20の周りで所望の量だけ締め付けられた後、例えば、骨折14がユーザーまたは外科医によって決定された所望の位置に配置されたときに、コード40は、図1に示されるように近位端48がバックル30の近位端31にあるか、または隣接するように切断され得る。骨折の周りの領域の縫合は、バックル30およびコード40が残った状態で閉じられ得る。
【0075】
図示のように、バックル30およびコード40は、一定期間の後に(例えば、骨が治癒した後に)バックルおよびコードが取り外される骨(例えば、骨20の骨折14)の一時的な固定のために利用されてもよく、またはバックル30およびコード40は、骨が治癒した後に生体内に留まってもよい。一例では、骨プレートがテープ(例えば、コード40)上に配置されて、そのようなプレートが骨(例えば、骨20)の適切な部分に取り付けられることを可能にし得、コード40およびバックル30は骨折(例えば、骨折14)を整復するのに適当な位置にある。プレートが骨を保持するのに十分であり、コード40も必要ではない場合、コード40は切断され、取り外され得る。そのようなプレートはまた、例えば、そのような骨を保持して骨折を整復するために、コード上以外で骨に当てられてもよい。そのようなプレートまたは他の外科用金具はまた、骨の固定中に骨(例えば、骨折14)を安定させるために、そのようなバックルおよびコード(例えば、バックル30およびコード40)の金具の有無にかかわらず、生体に留まり得る。
【0076】
一例では、複数例のバックルおよびコード(例えば、バックル30およびコード40)が、骨折(例えば、骨折14)を固定するか、そうでなければ骨(例えば、骨20)をそのような骨に沿った様々な長手方向点で結合するために利用され得る。よって骨折は、骨(例えば、骨20)の断片を徐々にまとめて引くことによって部分的に整復され得る。そのような骨折整復は動的な操作であり得、一連のバックルおよびコード(例えば、複数例のバックル30およびコード40)を操作することによって一緒に調整および後退され得る接合面の複雑なことが多い形状が原因で、力の向きを変え必要が生じ得る。
【0077】
図示されていない別の例では、テンショナー200の代わりに保持部材(図示されず)が使用され得、保持部材は、テンショナー200のための上述のアーム210として構成されたアームを含むが、コード40を引くための機構を含まない。代わりに、保持部材は、ユーザーが保持部材を保持してアームを介してバックル30を保持することを可能にするように、アームから離れるように延在する保持部分を含み得る。保持部材を保持してバックルを保持している間、ユーザーは、例えば、骨折14を整復するために、コード40の近位端48を引っ張って骨20の周りにコード40を固定し得る。
【0078】
図15図16に示される別の例では、上述のバックル30の代わりにバックル300が利用され得、コード40のループ44に取り付けられるように構成された2つの外向きのプロング320を有するフック310を含み得る。ロックバー350は、ロックバー70について上述されたようにコード40に接続するために利用され得る。
【0079】
図17図18に示される例では、プレート120は、ロックバー170と、プレート120が骨(例えば、骨20)に締結されることを可能にするためにねじを受け入れるための複数の開口140とを有するバックル130を含み得る。コード(例えば、コード40)は、バックル130に取り付けられるコード40について上述されたように、バックル30の第1のバックル131および第2のバックル132に取り付けられ得る。図示されていない例では、第2のバックル132は、上述のフック50と同様のフックで置き換えられ得、コード(例えば、コード40)は、ロックバー70、フック50およびコード40について上述されたように、バックル131のロックバー171およびフックに取り付けられ得る。バックル。複数例のそのようなバックルが、プレート(例えば、プレート120)長さに沿って存在し得る。対向するバックル(例えば、第1のバックル131および第2のバックル132)に取り付けられた各例のコード(例えば、コード40)は、骨折(例えば、骨折14)を整復するための特定の治療目的を達成するために、骨(例えば、骨20)の周りに同じかまたは異なる量で張力をかけられ得る。ねじは、骨(例えば、骨20)の骨折を固定して整復するために、1本または複数のそのようなコードがプレート120に沿ってバックル130の1つまたは複数に取り付けられた後に開口140から挿入され得る。
【0080】
図19に示される例では、ワッシャー400は、ロックバー470と、骨(例えば、骨20)に締結されるようにワッシャー400にねじを受け入れるための開口440とを含み得る。ワッシャー400は、他の金具が配置されていない骨(例えば、骨20)上の所望の点に配置されてもよく、またはワッシャー400は、開口440がプレートの穴と整列されて、ねじが開口440およびプレートの開口を通ってワッシャー400をそのようなプレートに接続することを可能にするようにプレート上に配置されてもよい。例えば、骨(例えば、骨20)の部分をまとめて保持して骨折を整復するために、コード(例えば、コード40)が、ロックバー470および別のワッシャー、バックルまたはプレートのロックバーまたはフックに取り付けられ得る。他の例では、ロックバーは、他の骨折固定金具、例えば、ワッシャー、プレート、歯付きワッシャー、および骨アンカーに一体化され得る。これらの場合のバックルは、コード(例えば、コード40)テープの両端が固定されていてもよく、またはコードは、2つの別個の金具片(例えば、第1のバックル131、第2のバックル132、ワッシャー400)の間に固定されてもよい。
【0081】
図20図23に示される別の例では、プレート500はプレート120と同様であり、骨接触面507の反対側の上面505を含み得る。複数の開口540は、開口140と同様に、プレート500が骨(例えば、骨20)に締結されることを可能にするようにねじを受け入れ得る。上面505は、その対向する軸方向側面上の移動防止突起520によって軸方向に境界を付けられた複数の溝510を含み得る。例えば、突起520の第1の突起515および第2の突起517は、溝510の溝512に境界を付け得る。第1の突起515は、平坦であり、骨接触面507から離れてプレート500の軸方向次元に対してほぼ垂直に延在する溝512に境界を付ける第1の側面516を有し得る。第2の突起517は、平坦であり、骨接触面507から離れてプレート500の軸方向次元に対してほぼ垂直に延在する溝512に境界を付ける第2の側面518を有し得る。溝510は、例えば図24図25に示されるように、突起520(例えば、第1の突起515および第2の突起517)が溝510(例えば、溝512)内に受け入れられたときにコードまたはテープの移動を抑制または防止するように、コードまたはテープ(例えば、コード40)を受け入れるように構成(例えば、軸方向に成形および寸法決め)され得る。
【0082】
図24に、コードが溝510に受け入れられた状態で複数例のコード40およびバックル(例えば、バックル300)を介して、図17に示された、参照により本明細書に組み込まれる共有される米国特許出願第16/910,328号(当所ファイル番号3768.085A)に開示されている三線締結補助器具200と同様のプレート600に接続されているプレート500を示す。プレート600は、器具を通るプレート600の開口610がコードまたはテープ(例えば、コード40)を受け入れるように構成(例えば、成形および寸法決め)され得ることを除いて、共有出願の器具と同様に成形され得る。図25に、プレート500を骨20に接続するために開口540に受け入れられているねじをさらに示している、図24の拡大図を示す。ねじは、骨(例えば、骨20)の骨折を固定して整復するために、1本または複数のコード(例えば、コード40)がプレート600開口610を通し、溝510を通して(例えば、上面505に接触して)プレート500の周りに送られた後に、開口540を通して挿入され得る。
【0083】
一例では、コード40は、パッサー100を使用して上述のように骨20の周りに通され得る。コード40は、外科医またはユーザーに最も近い骨20のアクセス可能な側のプレート600の開口610を通して送られ得る。コード40は次いで、プレート500が骨20の反対側に配置された状態でプレート600が図24図25に示されるような位置になるように、プレート600を骨20の反対側に移動させるために操作され、または引っ張られ得る。上記のように、コード40は、溝510内に配置され得、複数例のコード40が、上述のように複数例のバックル30を介して固定され得る。
【0084】
一例では、図26図38に示されるテンショナー700は、バックル(例えば、バックル30やバックル300)を受け入れるように構成(例えば、成形および寸法決め)された端部720を有するアーム710を含み得る。例えば、端部720は、テンショナー200に関して上述されたように、バックル30のスロット35に受け入れられるように構成され得る。アーム710は、コード(例えば、コード40)に取り付けられている間に本体730に対して回転して、上述のようにコードが骨20の周りにある間にコードを引っ張り、コードに張力を与えて、例えば、骨20、プレート500、およびプレート600の周りにコードが固定されるのを容易にするように構成された回転式の締め具740に接続され得る本体730に接続され得る。端部720に対してテンショナー700の反対端752に配置された引き具750は、コードが骨20、プレート500の周りを通され、プレート600に通された後にコード(例えば、コード40)に接続され得、引き具は、例えば、骨20の周りにコードおよびプレートを固定して骨20の骨折を固定するために締め具740がコードに張力を与えるように回転される前に、コード40のたるみを除去するためにユーザーによって引っ張られ得る。
【0085】
図27図26の断面図を示し、図28図27の一部分の拡大図である。図29は、テンショナー700の内部702を通って伸びるコード40をさらに示す、図26の側断面図である。コード40は、テンショナー700の内部702を通る経路部分1~経路部分2~経路部分3~経路部分4~経路部分5~経路部分6~経路部分7~経路部分8~経路部分9によって描かれた経路に沿って伸びている。
【0086】
図30はテンショナー700の分解図であり、図31図30のテンショナーの断面図である。
【0087】
図32に、アーム710がバックル(例えば、バックル30)を保持する位置にロックされるようにロック705が解放ロック位置にある位置を示す本体730の切断部分を示すテンショナー700の軸に対して斜めの角度の断面図を示す。例えば、ロックは、アーム(例えば、アームの遠位端)がバックルを保持するように、アーム(例えば、アームの近位端)の移動を抑制することによってアーム710を特定の位置に維持し得る。特に、ロック705は、図32に示されるロック位置にあるアーム710のアーム711と整列されず、それによってアーム(例えば、アームの近位端)の各々に向かう移動を抑制してバックルの解放を防止する解放スロット712を有し得る。
【0088】
図33に、アーム710(例えば、アーム710の近位端)が互いに向かって(およびテンショナー700の軸に向かって)自由に移動して、内部に保持されたバックルを解放することを可能にする、ロック705がテンショナー700の軸に向かって押し下げられた状態の図32のテンショナーを示す。一例では、図33に示されるロック解除位置へのロック705の移動は、アーム710のうちの1つまたは複数の反対端(例えば、アーム710の遠位端)がテンショナー700の軸から離れるように外向きに移動してバックル(例えば、バックル30)の解放を可能にし得るような、テンショナー700の軸に向かう内向きのアーム711の解放スロット712内への移動を可能にする。
【0089】
図34に、テンショナー700の残りの部分とは別個の回転可能な締め具740を示し、上述のようにコード40が経路部分3から経路部分4まで通ることを可能にするロッド開口765を有するロッド部分760を含む。経路溝770は、コード40が経路部分4から経路部分6まで通ることを可能にする。
【0090】
図35は、図示の下端がその上端よりも締め具740に近いように、テンショナー700の軸に対して非垂直に整列した開口765を示す図34の断面図である。図示のように、第2の経路溝780は、経路溝770からテンショナー700の軸に向かって円弧状に、テンショナー700の軸を過ぎて延在し、引き具750を受け入れるための空洞790まで延在し得る。コード40は、上述のようにテンショナー700の内部を通った後に空洞790内に受け入れられ得、外科医またはユーザーが、上述のように、コード40に張力をかけてバックル30をコード40に固定するために、締め具740の回転の前にコード40のたるみを低減または排除し得るように、引き具750に接続され得る。
【0091】
締め具740は、締め具740の回転によりコード40をロッド760の周りに巻き付かせ、それによってコード40をアーム710から離れて引き具750に向かう方向に引き寄せるようにコードが開口765に受け入れられることに起因してコード40に張力を与え得る。コード40に与えられたそのような張力は、バックル(例えば、バックル30)を可能にし得る。
【0092】
図36に、コード40を間に挟んで、引き具本体755と引き具キャップ757とを含む、引き具750を分解図で示す。引き具本体755は、引き具750をコード40に接続するために、コード40の開口810に受け入れられるように構成(例えば、成形および寸法決め)された接続突起800を含み得る。引き具キャップ757は、接続突起800が開口810に受け入れられたときにコード40が引き具本体755から離れるのを抑制するように、引き具本体755に当接し、または接続され得る。コード40は、上述のようにテンショナー700の内部を通して送られ得る。さらに、コードは、引き具本体755と引き具キャップ757との間に送られ得、その後、引き具750が空洞790に受け入れられるとき、および/またはコード40に取り付けられるときに引き具750が空洞790から引き出されるときに、キャップは、引き具本体755に接続されるか、または当接して、コード40に力を与えてコード40のたるみを排除し、および/またはコード40に張力を与えてバックル(例えば、バックル30)がコード40に固定されることを可能にする。
【0093】
図37および図38に、その間に図示するのを省略されているコード40と係合した引き具本体755および引き具キャップ757の端面図および斜視端面図を示す。
【0094】
図38は、接続突起800がコード40の開口810に受け入れられるように構成(例えば、成形および寸法決め)されている、上述のような結び目なしの終端のためのレーザ切断穴(例えば、穴800)を有するコード40の一部分を示している。
【0095】
図示されていない例では、引き具キャップ757は、上記の逆の、代わりにコード(例えば、コード40)を保持するためにコードを貫通して空洞内の引き具本体755内に延在し得る突起を含むこともできる。さらなる引き具本体755は、引き具本体755にも引き具キャップ757にも突起なしで、他の接続機構を介して、または単に摩擦によって引き具キャップ757と係合して、接続されたときにコードをその間に保持し得る。
【0096】
一例では、テンショナー700は、骨(例えば、骨20)を固定するための方法で使用され得る。上述のように、コード40は、パッサー100を使用して上述されたように骨(例えば、骨20)の周りを通され得る。コード40は、外科医またはユーザーに最も近い骨20のアクセス可能な側のプレート600の開口610を通して、(例えば、溝510を介して)プレート500の周りに送られ得る。コードは、バックル30に接続され得、テンショナー700のアーム710は、バックル30のスロットに受け入れられ得る。ロック705は、アーム710がロックされてバックル30を保持するように、図32に示されるようにロック位置にあり得る。
【0097】
コード40の近位端48は、内部702を通され、ロッド開口765を通され、空洞790内に通されて上述のように引き具750に接続し得る。ユーザーまたは外科医は、コード40のたるみを最小限にするために引き具750を引き寄せ得る。締め具740は、例えば、バックルがコードを保持して骨折14の整復を可能にし得るように、所望の張力でバックル30に接続されたコード40を引っ張るように回転され得る。
【0098】
テンショナー700を通る特定の経路が上述されているが、そのようなテンショナーは、コードが、たるみを最小限にするために(例えば、人による引っ張りを介して)引っ張られ、骨、コードおよび骨折を固定するために使用される任意のプレートに張力を与えるために(例えば、コードを受け入れる開口を有する回転可能なロッドを介して)回転されることを可能にするために、コード(例えば、コード40)の経路がテンショナーを通って延在する任意の配置を含むこともできる。さらに、テンショナー700はバックル30に接続されると説明されているが、テンショナーは、バックル300、または記載の固定方法で使用するように構成された、アーム710と係合するように構成されたスロットを有する任意のバックルと共に利用することもできる。
【0099】
図40図42に、上述のバックル30またはバックル300の代わりに利用され得るバックル900の別の例を示す。バックル900は、長手方向軸907を有する本体906を含む。本体906は、近位端914と遠位端912とを含む。フックまたはループ910は、遠位端912に向かって延在する。ロック部材950、952は、ロック部材952とフック910との間のスロット908およびロック部材950とロック部材952との間のスロット909を形成する本体906の部分間で長手方向軸907に対して垂直に延在する。ロック部材950、952は、ロックバー70およびロックバー350について上述され、例えば図49に示されるように、コード40に接続するために利用され得る。
【0100】
一例では、内部ロックバー952は、第2のスロットを通るコード40の重なり合う部分を受け入れるように構成された係合面954を含み得る(図47参照)。係合面954は、内部ロックバー952の(例えば、長手方向軸907に垂直な)横方向に沿って延在する際に本体906の長手方向に凹状の第2のスロット908の近位端面を画定する。一例では、係合面954は、内部ロックバー952の横方向に沿って延在する際に長手方向に弓形に凹状である。係合面954は、張力がかけられたコード40が内部ロックバー952の中央に留まり、束にならないようにするために、張力がかかっている間に内部ロックバー952に中央に配置されたコード40を受け入れ、収容または維持するように構成される。この構成はまた、例えば、コード40の積み重なった、または重複した部分40A、40B(例えば、図47参照)が互いから離れるように移動して絡まったり詰まったりすることも防止する。係合面954は、コード40が中央に配置されて内部ロックバー952の中央に留まるようにする。これまで、内部ロックバーは、横方向に、または長手方向軸907に垂直に略円筒形であり、その中心線から本体906に接触する縁部まで一定の断面を有していた。以前の構成では、コード40の積み重ねられた部分が互いから離れるように移動し、束になる結果となった。係合面954は、例えば、コード40を内部ロックバー952の中心(例えば、長手方向軸907付近)に向かって押すかまたは誘導することによって、コード40を中央に配置する。
【0101】
図40図42に示されるように、バックル900は、遠位端912にフックまたはループ910を含み得る。フック910は、コード40のループ44に取り付けられるように構成された2つの外向きのプロング920を備える(例えば、図49参照)。プロング920は各々、本体906の一部分とループ係合空間922、924を形成する。図42に示されるように、ループ係合空間922、924は、バックル900の底面904に形成されたループ係合溝926、928と連通し得る。ループ係合溝926、928は、ループ係合空間922、924からバックル900の遠位端912の外に延在する。ループ係合溝926、928は、例えば、テープ繊維の曲げが少なくて済むようにするために、コード40のループ42を骨のより低い位置に配置するように収束している。ループ係合溝926、928はまた、ループ繊維が適合しなければならない角度を減少させるように傾斜しており、その結果、より長寿命のコードおよびより薄型の構造が得られる。以前の構成では、フックおよびバックルの底面に巻き付けられたコードは、患者が気付くはずの骨からバックルを持ち上げることになる。この以前の構成は、フックの周りを回るようにコードを曲げることから生じる余分な応力をコードに加える。コード40をループ係合溝926、928に通すことによって、バックル900を、コード40の曲げを回避しながら骨のより近くまたはより下に配置することができ、より強い保持をもたらす(例えば、真っ直ぐなコードは、曲がったコードよりも強い)。
【0102】
図41および図42に示されるように、バックル900はまた、バックル900の近位端914の外側角の近くに配置された2つの保持穴960、970も含み得る。保持穴960、970は、バックル900の上面902からバックル900の底面904まで通して延在する。図42に示される一例では、保持穴960、970は、近位端914に沿って長手方向軸907に垂直に横方向に延在する接続溝962、972とそれぞれ連通する。接続溝962、972を有する保持穴960、970は、以下でより詳細に説明されるように、輸送および設置中にバックル900をテンショナー1000に保持するのに役立つ柔軟なコードまたは縫合糸(図示されず)のための経路である。ループ係合溝926、928と同様に、接続溝962、972は、柔軟なコードまたは縫合糸がバックル900を持ち上げることを防止し、バックル900が骨のより近くまたはより下に配置されることを可能にする。
【0103】
一例では、図43図45に示されるテンショナー1000は、バックル900を挿入し、骨の周りのバックル900に対してコード40を締め付けるために使用される。テンショナー1000は、一例では、ハウジング1030と、ハウジング1030の近位端1032から外に延在するアーム1010と、ハウジング1030の遠位端1034から外に延在する取り外し可能なハンドル1050とを含み得る。一例では、アーム1010は、バックル(例えば、バックル900)を受け入れるように構成(例えば、成形および寸法決め)された遠位端1012を含む。図45に示される実施形態に示されるように、アーム1010の遠位端1012は、U字形の装填凹部1014を画定する2つの延長フィンガー1020、1022を含み得る。U字形の装填凹部1014は、例えば、バックル900の近位端914を受け入れるように開いている。U字形の装填凹部1014は、フィンガー1020、1022それぞれの内壁1024、1026と端面1028とによって画定される。
【0104】
各フィンガー1020、1022は、フィンガー1020、1022の内壁1024、1026に沿って長手方向に、U字形の装填凹部1014内に内向きに延在する捕捉ボス1032を含む。バックル900をテンショナー1000に装填する間、U字形の装填凹部1014は、バックル900の近位端914を受け入れる。バックル900の近位端914がU字形の凹部1014内にスライドされる際に、近位端914から本体906に沿って長手方向に延在するバックル900の本体906の側面に形成された凹部980が、捕捉ボス1032と係合する。挿入されると、バックル900は、例えば、捕捉ボス1032と凹部980との間の滑り嵌めにより、テンショナー1000によって保持され得る。
【0105】
一例では、柔軟なコードまたは縫合糸(図示されず)は、搬送および挿入中にバックル900をテンショナー1000に保持するのに役立ち得る。柔軟なコードまたは縫合糸は、バックル900の本体906の底面904に形成された保持穴960、970および接続溝962、972を通され、一実施形態では、アーム1010の遠位端の近くに形成された1つまたは複数の貫通穴(図示されず)を通ることによって、例えばアーム1010に取り付けられ、結んで止められ得る。
【0106】
図46図48に、バックル900およびテンショナー1000を通る、骨の周りのコード40のための経路の一例を示す。図46図47に示されるように、コード40のループ44は、フック910に取り付けられ、骨の周りにループされ、バックル900のロック部材950、952と係合される。一例では、コード40は、底面904を通ってスロット908に入り、係合面954と接触して中央に配置され、バックル900の上面902から出る。コード40は次いで、近位端914でロック部材952の上およびロック部材950の周りを通される。コード40は次いで、底面904を通ってスロット909に入り、スロット909を通って上面902から出て、ロック部材952の周りに戻る。ロック部材952の部分の周りに巻き付いている間、コード40は、係合面と係合し、係合面954によって中央に配置される。図47に示されるように、重なり合うコード部分40Aおよびコード部分40Bは、スロット908に入り、スロットを通って伸び、コード部分40Aは係合面954に直接接触する。コード40は次いで、バックル900の底面904を通ってスロット908から出て近位端914に向かって戻り、アーム1010の遠位端1012から離れてテンショナー1000のハウジング1030に向かう。
【0107】
図48に、テンショナー1000のハウジング1030を通るコード40の経路の一例を示す。この例では、コード40は、近位端1032を通ってハウジング1030内に入り、アーム1010の端部を越えて回転可能な部材1040内に入り、次いで戻って近位端1032から出る。コード40の自由端は次いで、外科医が把持して引っ張り、または張力を与えて、バックル900を介して骨の周りでコード40を締め付けるためにアクセス可能になる。
【0108】
テンショナー1000の取り外し可能なハンドル1050は、外科医が、他方の手でテンショナー1000のハウジング1030の近位端1032から出るコード40を引っ張りながら、一方の手でテンショナー1000を保持することを可能にするように構成される。取り外し可能なハンドル1050はまた、ハウジング1030内の回転可能な部材1040を同時に回転させて、回転可能な部材1040を通るコード40の一部分をねじって、バックル900を通るコード40に追加の張力を与えるように、ハウジング1030に対して回転可能であり、ハウジング1030内に回転可能に収容された回転可能な部材1040と係合可能であり得る。図50および図52に示されるように、回転可能な部材1040は、ハンドル1050が回転する際に回転可能な部材1040の同時回転を可能にするためにハンドル1050の嵌合端1052を受け入れるように構成された空洞1042を含む。
【0109】
骨折がまとめて引っ張られ、外科医が骨の整復に満足すると、コード40は、バックル900の近位端914の背後のテンショナー1000のアーム1010の遠位端1012付近で切断される。搬送および設置中にバックル900をテンショナー1000に固定するのに役立つ、保持穴960、970を通ってアーム1010の遠位端1012に取り付けられた柔軟なコードまたは縫合糸もまた、バックル900をテンショナー1000から解放するために切断され得る。
【0110】
図示されるように、例えば、図50図51では、各々が別々のコードを使用する複数のテンショナーが、より大きな骨折に対して使用され得る。ハウジング(例えば1030)から長手方向に延在する単一のアーム(例えば1010)を含むテンショナー(例えば1000)を用いて、複数のテンショナー(例えば、図48図49のテンショナー2000およびテンショナー3000)が並列に、各テンショナーが互いに直接隣接して当接または入れ子にして使用され得る。この例では、取り外し可能なハンドル1050は、例えば、同じ骨折部に適用された1本または複数のコードに個別の張力および/または異なる張力を与えるために、あるテンショナー2000から取り外されて別のテンショナー3000と共に使用されてもよい。
【0111】
本発明を少なくとも1つの実施形態に関して説明されているが、本発明を、本開示の趣旨および範囲内でさらに変更することができる。したがって本出願は、本発明の一般原理を使用した本発明の任意の変形形態、使用形態、または適合形態を網羅することを意図されている。さらに、本出願は、本発明が関連する、添付の特許請求の範囲の範囲内にある、当技術分野において公知のまたは通常の手法に含まれるような本開示からの逸脱を網羅することを意図されている。
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