(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】駆動ユニット及び駆動ユニットのカバー
(51)【国際特許分類】
B62J 23/00 20060101AFI20240402BHJP
B62M 6/55 20100101ALI20240402BHJP
【FI】
B62J23/00 F
B62M6/55
(21)【出願番号】P 2021210310
(22)【出願日】2021-12-24
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 雅之
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-213384(JP,A)
【文献】特開2015-182707(JP,A)
【文献】特開平09-183391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 23/00
B62M 6/40 - 6/75
B62M 23/00 - 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる駆動ユニットであって、
モータと、
前記モータを保持し、前記車両に取り付け可能なハウジングと、
前記ハウジングの少なくとも一部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、前記ハウジングの下面の少なくとも一部を下方から覆う底部と、前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における左の側方の少なくとも一部を覆う左側壁を含み、
前記カバーは、前記底部の車両左右方向中央より左側の部分又は前記左側壁の少なくとも一方に設けられた第1孔を有し、
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態から左に5°傾いた場合に、前記第1孔の前記カバー内側の縁の少なくとも一部が、前記カバー内面において重力方向で最も低い位置になる、駆動ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動ユニットであって、
前記カバーの前記底部には、前記内面から上方に延びるリブが設けられる、駆動ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動ユニットであって、
前記第1孔は、前記左側壁に設けられ、
車両左右方向の左方から見て、前記第1孔の少なくとも一部が、前記ハウジングより下方にあって、且つ前記ハウジングと重ならない、駆動ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、
前記カバーは、前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における右の側方の少なくとも一部を覆う右側壁を有し、
前記カバーは、前記底部の車両左右方向中央より右側の部分又は前記右側壁の少なくとも一方に設けられた第2孔を有し、
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態から右に5°傾いた場合に、前記第2孔の前記カバー内側の縁の少なくとも一部が、前記カバー内面において重力方向で最も低い位置になる、駆動ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の駆動ユニットであって、
前記第1孔は、前記左側壁に設けられ、
前記第2孔は、前記右側壁に設けられ、
車両左右方向から見て前記第1孔の少なくとも一部は、前記第2孔の少なくとも一部と重なる、駆動ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、
車両左右方向から見た前記第1孔の縁は、前から後ろに向かって斜め下に延びる線を含む、駆動ユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第1孔のカバー内側の縁
の左端は、
右端より上方に位置している、駆動ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、
前記第1孔のカバー内側の縁
の左端から、前記左側壁が上方且つ車両左右方向の外側に向けて延びて形成される、駆動ユニット。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の駆動ユニットであって、
前記第1孔のカバー内側の縁
の左端から、前記左側壁が上方且つ車両左右方向の内側へ向けて延びて形成される、駆動ユニット。
【請求項10】
車両に取り付けられ且つモータを保持するハウジングを備える駆動ユニットのカバーであって、
前記ハウジングの下面の少なくとも一部を下方から覆う底部と、
前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における左の側方の少なくとも一部を覆う左側壁と、
前記底部の車両左右方向中央より左側側の部分、又は、前記左側壁の少なくとも一方に設けられた第1孔とを備え、
車両左右方向と平行な面であって前記第1孔を通る面の断面において、車両上下方向に対して5°の角度で左斜め下に延びる基準軸の方向において、前記第1孔のカバー内側の縁の少なくとも一部が、前記カバー内面において最も低くなる、駆動ユニットのカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付けられる駆動ユニット及びそのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動アシスト自転車等の車両には、モータを有する駆動ユニットが取り付けられる。駆動ユニットは、車両に取り付け可能に構成されたハウジングと、ハウジングに収納されるモータを備える。特開2021-035110号公報(特許文献1)には、ハウジングと、モータと、カバーとを備える駆動ユニットが記載されている。このカバーは、ハウジング及びモータの少なくとも一部を覆うように構成される。このカバーのハウジング及びモータの少なくとも一部を覆う部分に、貫通孔が形成される。貫通孔は、幅が10mm以下のスリット又は最大幅が10mm以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、車両の駐車時に、駆動ユニットのカバーの内側に水が貯まる場合があることに気付いた。従来の駆動ユニットでは、カバーの内側の水を効果的に排出することは考慮されていない。
【0005】
本願は、カバーの内側の水を効果的に排出できる駆動ユニット及びそのカバーを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態における駆動ユニットは、車両に取り付けられる駆動ユニットであって、モータと、前記モータを保持し、前記車両に取り付け可能なハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部を覆うカバーと、を備える。前記カバーは、前記ハウジングの下面の少なくとも一部を下方から覆う底部と、前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における左の側方の少なくとも一部を覆う左側壁を含む。前記カバーは、前記底部の車両左右方向中央より左側の部分又は前記左側壁の少なくとも一方に設けられた第1孔を有する。前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態から左に5°傾いた場合に、前記第1孔の前記カバー内側の縁の少なくとも一部が、前記カバー内面において重力方向で最も低い位置になる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、カバーの内側の水を効果的に排出できる駆動ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態における駆動ユニットが取り付けられた車両の例を示す左側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す駆動ユニットの部分の拡大図である。
【
図5】
図5は、
図2とは異なる角度で車体フレームに取り付けられた駆動ユニットの例を示す左側面図である。
【
図6】
図6は、
図2とは異なる角度で車体フレームに取り付けられた駆動ユニットの例を示す左側面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示す駆動ユニットのカバーの部分の底面図である。
【
図8】
図8は、
図2に示す駆動ユニットのカバーの部分の上面図である。
【
図9】
図9は、
図4に示すカバーの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、駆動ユニット及びカバーの前後方向、左右方向、及び、上下方向は、特段の記載のない場合は、ハウジングを車両に取り付けた状態で、車両が直立状態の場合の車両の前後方向、左右方向、及び上下方向とする。車両の直立状態は、車両の車体(車体フレーム)の上下方向の軸が、垂直方向(重力方向)と一致する状態とする。車両に取り付けられていない状態の駆動ユニット及びカバーの上下方向及び前後方向は、厳密に一意に決まっていなくてもよい。例えば、車両へ取り付けられていない駆動ユニット及びカバーにおいて、上下方向及び前後方向は、車両へ取り付けた場合に上下方向及び前後方向となり得る範囲内の任意の方向としてもよい。
【0010】
車両に取り付けられる駆動ユニットにカバーを設ける場合、カバーと駆動ユニットの間に水等の液体が侵入することが多い。発明者は、カバーと駆動ユニットの間に侵入した水を排出するため、カバーの最も低い位置に水抜き用の孔を設けた。しかし、水抜き用の孔があるにも関わらず、カバーの内面に水が残る場合があることがわかった。さらに詳しく検討したところ、車両の停車時には、走行時と駆動ユニットの傾きが微妙に変わるため、カバーの内側から孔を通って水が抜けにくいことがわかった。例えば、自転車は、駐車時には、直立状態ではなく、左に傾いた状態で駐車されることが多い。そのため、孔から水が排出されずにカバーの内側に残る場合がある。これに対して、車両の走行中は、車両の動きにより、駆動ユニットのカバー内に入った水は、カバーの孔から排出されやすいことがわかった。これらの知見に基づき、水を効果的に排出するためのカバーの構成を鋭意検討した結果、下記の実施形態に想到した。
【0011】
本発明の実施形態における駆動ユニットは、車両に取り付けられる駆動ユニットであって、モータと、前記モータを保持し、前記車両に取り付け可能なハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部を覆うカバーと、を備える。前記カバーは、前記ハウジングの下面の少なくとも一部を下方から覆う底部と、前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における左の側方の少なくとも一部を覆う左側壁を含む。前記カバーは、前記底部の車両左右方向中央より左側の部分又は前記左側壁の少なくとも一方に設けられた第1孔を有する。前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態から左に5°傾いた場合に、前記第1孔の前記カバー内側の縁の少なくとも一部が、前記カバー内面において重力方向で最も低い位置になる。
【0012】
上記構成により、前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態から左に5°傾いた場合に、前記第1孔の内側の縁の少なくとも一部は、重力方向において、前記カバーの内面のいずれの位置よりも高くならない。すなわち、駐車時には、車両が直立状態から左に傾いた状態で、第1孔のカバー内側の縁の少なくとも一部がカバーの内面において重力方向で最も低くなる。そのため、駐車時にカバーの内側の水が排出されやすくなる。また、第1孔は、車両の走行時には、車両の動きにより、第1孔から水が排出されやすい位置に設けられる。結果として、カバーの内側の水を効果的に排出できる駆動ユニットが実現できる。
【0013】
上記構成では、車両左右方向と平行な面であって前記第1孔を通る面の断面において、車両上下方向に対して5°の角度で左斜め下に延びる基準軸の方向において、前記第1孔のカバー内側の縁の少なくとも一部が前記カバーの内面において最も低くなる。前記第1孔のカバーの内側の縁は、カバーの内面と接する第1孔の縁である。
【0014】
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態から左に5°傾いた場合に前記カバーの内面は、前記第1孔の内側の縁に近づくに従って重力方向において高くなる部分を含まないことが好ましい。すなわち、ハウジングが左に5°傾いた状態で、カバーの内面の全部において、第1孔の内側の縁に近づくに従って重力方向に低くなるか又は高さが変わらないことが好ましい。これにより、車両が左に5°傾いた状態で、カバー内面の水が重力により第1孔へ流れやすくなる。
【0015】
前記カバーの底部は、ハウジングが取り付けられた車両が直立状態で、車両左右方向の左方から見て下方に向かって凸となる形状であってもよい。例えば、車両左右方向から見て、前記カバーの底部の車両前後方向の前部及び後部に比べて、それらの間の中間部がより下方に位置する形状であってもよい。この場合、前記第1孔は、左方から見て、前記底部の前部及び後部の間(すなわち中間部)又は、底部の中間部の上の左側壁部の部分に設けられてもよい。
【0016】
前記第1孔は、車両左右方向の左方から見て、前記ハウジングが取り付けられた車両が直立状態の場合に前記カバーの内面の最も低い位置となり得る領域を通り車両上下方向の上方に延びる仮想線(線A)と重なる位置に設けられてもよい。これにより、カバー内面の水が重力により第1孔へ流れやすくなる。
【0017】
前記第1孔は、前記カバーの前記底部と前記左側壁との間の稜線に達してもよい。これにより、車両が左に傾いた状態で、第1孔から水が抜けやすくなる。例えば、前記第1孔は、前記底部において前記底部と前記左側壁との間の稜線に達する位置、又は、前記左側壁の少なくともいずれかに設けられてもよい。
【0018】
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第1孔の内側の縁の一部が、前後方向において前記カバーの内面において最も低くなる位置に、前記第1孔が設けられてもよい。これにより、車両が直立状態でも、左に傾いた状態でも、第1孔から水が抜けやすくなる。
【0019】
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第1孔の内側の縁の最下部は、前記ハウジングよりも下方に位置してもよい。これにより、ハウジングのカバーの第1孔が設けられる部分との間に水が通る空間を確保することができる。例えば、前記ハウジングの下部においてカバーとハウジングの間に空間を設け、第1孔をこの空間に繋がるよう設けることができる。
【0020】
前記ハウジングと前記第1孔の前記カバーの内側の縁との距離は5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。ハウジングと第1孔の間に隙間を設けることにより、水の第1孔への通り道が確保され、水が第1孔へ流れやすくなる。
【0021】
前記第1孔の最大幅は5mm以上であることが好ましい。これにより、水が表面張力によって第1孔を塞いだ状態で留まることが起こりにくくなる。その結果、第1孔からより水が抜けやすくなる。なお、最大幅は、前記第1孔が形成する開口の最も寸法が大きくなる方向における幅とする。
【0022】
前記第1孔の前後方向の寸法は、上下方向の寸法又は左右方向の寸法の少なくとも一方よりも長くてもよい。このように、第1孔を前後方向に細長い形状にすることで、前後方向にわたって広い範囲で水の抜け道が確保される。
【0023】
前記カバーは、車両左右方向から見て、前記カバーの車両の下方向に凸の凸形状を有してもよい。この場合、前記第1孔は、側面視で、前記底部の凸形状の頂部又は当該頂部に対応する左側壁の部分に設けられてもよい。
【0024】
車両左右方向は、ハウジングが保持するモータのモータ軸の方向と同じでもよい。或いは、ハウジングは、車両に取り付けるためのボルト孔を有する取付部(ボス部)を有してもよい。車両左右方向は、ハウジングの取付部(ボス部)のボルト孔の軸方向と同じであってもよい。
【0025】
前記カバーの底部は、前記ハウジングの下方において左側から右側に掛けて一体的に形成された板状の下部カバー(アンダーカバー)で形成されてもよい。或いは、前記カバーは、前記ハウジングの左方を覆う左方カバーと、右方を覆い、前記左方カバーと前記ハウジングの下方で接する右方カバーとで構成されてもよい。この場合、左方カバーの下部と右方カバーの下部でカバーの底部が形成されてもよい。
【0026】
前記カバーの前記底部には、前記内面から上方に延びるリブが設けられてもよい。これにより、カバーに下からの突き上げる力が加わった場合に、リブによりカバー変形が抑えられる。その結果、カバーの耐衝撃性が向上する。
【0027】
前記第1孔は、前記左側壁に設けられてもよい。この場合、車両左右方向の左方から見て、前記第1孔の少なくとも一部が、前記ハウジングより下方にあって、且つ前記ハウジングと重ならないよう構成されてもよい。これにより、ハウジングとカバーとの間に水を一時的に保持する空間を確保しつつ、水抜きが可能になる。
【0028】
前記カバーは、前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における右の側方の少なくとも一部を覆う右側壁を有してもよい。前記カバーは、前記底部の車両左右方向中央より右側の部分又は前記右側壁の少なくとも一方に設けられた第2孔を有してもよい。前記ハウジングが取り付けられた前記車両直立状態から右に5°傾いた場合に、前記第2孔の前記カバー内側の縁の少なくとも一部が、前記カバー内面において重力方向で最も低い位置になるよう、前記第2孔が設けられてもよい。これにより、車両が、左右のいずれに傾いて駐車された場合でも、カバーの内側から水を効果的に排出することができる。
【0029】
前記第1孔は、前記左側壁に設けられた孔であってもよい。前記第2孔は、前記右側壁に設けられた孔であってもよい。車両左右方向から見て、前記第1孔の少なくとも一部は、前記第2孔の少なくとも一部と重なってもよい。これにより、カバー内に左右方向に空気が流れやすくなる。その結果、カバーの内側から水が排出されやすくなる。
【0030】
車両左右方向から見た前記第1孔の縁は、前から後ろに向かって斜め下に延びる線を含んでもよい。第1孔の縁がこのように傾斜することにより、車両の走行中に、走行風でカバー内の水を効率よく排出できる。同じ観点から、側方から見た前記第2孔の縁も、前から後ろに向かって斜め下に延びる線を含んでもよい。
【0031】
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第1孔のカバー内側の縁は、車両左右方向の左に傾斜していてもよい。すなわち、前記第1孔の縁の左端の方が右端より上方に位置していてもよい。これにより、第1孔の上方からカバーの内面を伝って流れてきた水が第1孔から排出されやすくなる。
【0032】
なお、前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第1孔の前記カバーの内側の縁は、車両左右方向の右に傾斜していてもよい。この場合、前記第1孔の縁の上端より下端の方が左側(外側)に位置する。そのため、走行中に下からの舞い上がる水滴や泥が、第1孔からカバーの内側へ入りにくくなる。
【0033】
前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第2孔の内側の縁は、車両左右方向の右に傾斜していてもよい。すなわち、前記第2孔の縁の右端の方が左端より上方に位置していてもよい。これにより、第2孔の上方からカバーの内面を伝って流れてきた水が第2孔から排出されやすくなる。なお、前記ハウジングが取り付けられた前記車両が直立状態の場合に、前記第2孔の前記カバーの内側の縁は、車両左右方向の左に傾斜していてもよい。
【0034】
前記第1孔のカバー内側の縁から、前記左側壁が上方且つ車両左右方向の外側に向けて延びて形成されてもよい。これにより、第1孔の上方の左側壁をハウジングの形状に沿いやすい形にできる。
【0035】
前記第1孔のカバー内側の縁から、前記左側壁が上方且つ車両左右方向の内側へ向けて延びて形成されてもよい。これにより、第1孔が側方の斜め上方から見えにくくなる。また、第1孔の上の左側壁部分が下方に向かって外側に広がるため、カバー内の空気が第1孔から排出しやすくなる。
【0036】
上記駆動ユニットにおけるカバーも、本発明の実施形態に含まれる。本発明の実施形態におけるカバーは、車両に取り付けられ且つモータを保持するハウジングを備える駆動ユニットのカバーである。前記カバーは、前記ハウジングの下面の少なくとも一部を下方から覆う底部と、前記底部から延び、前記ハウジングの車両左右方向における左の側方の少なくとも一部を覆う左側壁と、前記底部の車両左右方向中央より左側側の部分、又は、前記左側壁の少なくとも一方に設けられた第1孔とを備える。車両左右方向と平行な面であって前記第1孔を通る面の断面において、車両上下方向に対して5°の角度で左斜め下に延びる基準軸の方向において、前記第1孔のカバー内側の縁が前記カバーの内面のいずれの位置よりも低くなる。
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による自転車について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。なお、以下の説明において、車両の前後、左右、上下は、車両に乗った乗員を基準とした前後、左右、及び上下を意味する。車両の前後、左右、及び上下の各方向は、車両の車体フレーム及び車両に取り付けられた駆動ユニットの前後、左右及び上下の各方向と同じである。また、車両の進行方向は、車両の前後方向と同じである。図面におけるF、B、U、D、R、Lは、それぞれ、前、後、上、下、右、左を表す。
【0038】
<車両の全体構成例>
図1は、本実施形態における駆動ユニットが取り付けられた車両の例を示す左側面図である。
図1は、直立状態の車両100を示す。
図1に示す車両100は、電動アシスト自転車である。
【0039】
図1において、車両100は、車体フレーム11を有する。車体フレーム11は、前後方向に延びている。車体フレーム11の前部には、ヘッドパイプ12が設けられる。ヘッドパイプ12は、操舵軸13を回転可能に支持する。操舵軸13の上部には、ハンドル23が取り付けられ、下部にはフロントフォーク26が取り付けられる。フロントフォーク26は、下端で前輪21を回転可能に支持する。車体フレーム11の後部は、後輪22を回転可能に支持する。車体フレーム11の上部にはシート24が取り付けられる。車体フレーム11は、下部でクランク軸41を回転可能に支持する。ハンドル23の左右には、ブレーキレバー74が取り付けられる。左のブレーキレバー74は、後輪22のブレーキ76を操作するためのレバーである。右のブレーキレバー74は、前輪21のブレーキ75を操作するためのレバーである。
【0040】
図1に示す例では、車体フレーム11の下部に駆動ユニット10が取り付けられる。クランク軸41は、駆動ユニット10に回転可能に取り付けられる。この例では、クランク軸41は、駆動ユニット10を介して車体フレーム11に回転可能に支持される。駆動ユニット10は、例えば、車体フレーム11のブラケット15に取り付けられる。ブラケット15は、車体フレーム11(本例では、シートフレーム及びダウンフレーム)の下端に設けられる。駆動ユニット10は、車体フレーム11に懸架された状態で取り付けられる。
【0041】
駆動ユニット40は、モータ3と、モータ3を保持するハウジング1と、カバー2を含む。ハウジング1は、車両100に取り付け可能に構成される。ハウジング1は、車両の左右方向に貫通するボルト孔を有する取付部(ボス部)を有する。ハウジング1の取付部を貫通するボルトが車体フレーム11のブラケット15に締結される。これにより、ハウジング1が車体フレーム11に取り付けられる。
【0042】
クランク軸41は、自転車の左右方向に延びる。クランク軸41の両端には、クランクアーム31が取り付けられている。クランクアーム31の先端には、それぞれ、ペダル33が取り付けられている。図示しないが、自転車100には、クランク軸41とともに回転する駆動スプロケットと、後輪22とともに回転する従動スプロケットが設けられる。駆動スプロケットと、従動スプロケットの間にチェーン46が巻き掛けられている。なお、チェーン46の代わりに、ベルトが用いられてもよい。駆動スプロケット、チェーン46、従動スプロケットは、ペダルの回転を後輪へ伝達する伝達部材の例である。伝達部材は、これに限られない。例えば、スプロケットとチェーンの代わりに、ギヤとシャフトが設けられてもよい。また、伝達部材は、ワンウェイクラッチを含んでもよい。ワンウェイクラッチは、前転方向の回転を伝達し、後転方向の回転を伝達しない。
【0043】
車両(自転車)100は、車体フレーム11に取り付けられたスタンド25を備える。スタンド25は、車両100の駐車時(すなわち駐輪時)に、車両100が倒れないように、車両100を支持する。
図1の例では、駐車時には、車両100が左に傾いた状態でスタンド25によって支持される。車両100の直立状態では、スタンド25は、地面に接地しない。
図1の例では、スタンド25は、車体フレーム11の一部であるチェーンステーに取り付けられる。なお、スタンド25は、チェーンステーに限られず、車体フレーム11のその他の部分に取り付けられてもよい。
【0044】
図2は、
図1に示す駆動ユニット10の部分の拡大図である。
図3は、
図2及び
図3に示すカバーの右側面図である。
図4は、
図2の線Aにおける断面図である。
図2~
図4では、直立状態の車両100に取り付けられた駆動ユニット10、ハウジング1及びカバー2が示される。
図2では、わかりやすくするために、カバー2の部分にドットハッチングを施している。
【0045】
図2に示すように、カバー2は、底部2Bと左側壁2Lを有する。底部2Bは、ハウジング1の下面の少なくとも一部を下方から覆う。左側壁2Lは、底部2Bから上方に延び、ハウジング1の左の側方の少なくとも一部を覆う。
【0046】
カバー2の左側壁2Lに第1孔2aが設けられる。車両直立状態において、第1孔2aは、車両左右方向の左方から見て、カバー2の内面2nの最も低い位置2nUと上下方向において重なる位置に設けられる。すなわち、第1孔2aは、左方から見て、カバー2の内面2nの最も低い位置2nUを通り上方に延びる仮想線(線A)と重なる位置に設けられる。
【0047】
図2に示す例では、カバー2の底部2Bは、左方から見て下方に向かって凸となる形状を有する。カバー2の底部2Bの車両前後方向の前部及び後部に比べて、それらの間の中間部がより下方に位置する。すなわち、カバー2の底部2Bの前端と後端の間には、これら前端及び後端より下方に突出した凸部が設けられる。第1孔2aは、左方から見て、底部2Bの凸部の頂部の上方の左側壁の部分に設けられる。
【0048】
図3に示すように、カバー2は、右側壁2Rを有する。
図3では、わかりやすくするために、右側壁2Rの部分にドットハッチングを施している。右側壁2Rは、底部2Bから上方に延び、ハウジング1の右の側方の少なくとも一部を覆う。右側壁2Rに第2孔2bが設けられる。車両直立状態において、第2孔2bは、車両左右方向の右方から見て、カバー2の内面2nの最も低い位置2nUと上下方向において重なる位置に設けられる。すなわち、第2孔2bは、右方から見て、カバー2の内面2nの最も低い位置2nUを通り上方に延びる仮想線(線A)と重なる位置に設けられる。
図3の例では、右側壁2Rは、クランク軸41を通す開口を有する。この開口の上の部分2Raは、カバー2をハウジング1に装着した後に、挿入されて右側壁2Rの一部となる。
【0049】
図4は、直立状態におけるカバー2の内面2nの最も低い位置2nUを通り左右方向に平行な面における断面である。
図4において、線ALは、駆動ユニット10(すなわちハウジング1)が取り付けられた車両100が直立状態から左に5°傾いた場合の重力方向を示す。
図4に示すように、ハウジング1が取り付けられた車両100が直立状態から左に5°傾いた場合に、第1孔2aのカバー内側の縁2afの少なくとも一部が、カバー内面2nにおいて重力方向で最も低い位置になる。言い換えると、車両左右方向と平行な面であって第1孔2aを通る面の断面において、車両上下方向に対して5°の角度で左斜め下に延びる基準軸(線AL)の方向において、第1孔2aのカバー内側の縁2afの少なくとも一部がカバー2の内面2nのいずれの位置よりも高くならない。
【0050】
図4において、線ARは、駆動ユニット10(すなわちハウジング1)が取り付けられた車両100が直立状態から右に5°傾いた場合の重力方向を示す。
図4に示すように、ハウジング1が取り付けられた車両100が直立状態から右に5°傾いた場合に、第2孔2bのカバー内側の縁2bfの少なくとも一部が、カバー内面2nにおいて重力方向で最も低い位置になる。言い換えると、車両左右方向と平行な面であって第2孔2bを通る面の断面において、車両上下方向(線A)に対して5°の角度で右斜め下に延びる基準軸(線AR)の方向において、第2孔2bのカバー内側の縁2bfの少なくとも一部がカバー2の内面2nのいずれの位置よりも高くならない。
【0051】
図4に示す例では、カバー2の底部2Bの左端は、第1孔2aの縁となっている。カバー2の底部2Bの内面2nは、車両左右方向の左端から内側へ入るに従って低くなるよう傾斜している。この場合、底部2Bの左端から内側へ向かう内面2nの左右方向における傾斜を5°以下とすることができる。これにより、車両が直立状態から左に5°傾いた場合に、底部2Bの左端の第1孔2aの縁が底部2Bの内面で最も低くなる。
【0052】
また、
図4に示す例では、カバー2の底部2Bの右端は、第2孔2bの縁になっている。カバー2の底部2Bの内面2nは、車両左右方向の右端から内側へ入るに従って低くなるよう傾斜している。この場合、底部2Bの右端から内側へ向かう内面2nの左右方向における傾斜を5°以下とすることができる。これにより、車両が直立状態から右に5°傾いた場合に、底部2Bの右端の第2孔2bの縁が底部2Bの内面で最も低くなる。
【0053】
図4に示す例では、車両100が直立状態から左に5°傾いた場合に、カバーの内面2nは、第1孔2aの内側の縁に近づくに従って、重力方向(線ALの方向)において高くなる部分を含まない。これにより、車両100が左に5°傾いた状態で、カバーの内面2nの水は第1孔2aへ流れやすくなる。
【0054】
また、
図4に示す例では、車両100が直立状態から右に5°傾いた場合に、カバーの内面2nは、第2孔2bの内側の縁に近づくに従って、重力方向(線ARの方向)において高くなる部分を含まない。これにより、車両100が右に5°傾いた状態で、カバーの内面2nの水は第1孔2aへ流れやすくなる。
【0055】
図4に示す例では、車両左右方向から見て、第1孔2aの少なくとも一部は、第2孔2bの少なくとも一部と重なっている。第1孔2aと第2孔2bの間には、車両左右方向に貫通する空間が設けられる。これにより、カバー2内に左右方向に空気が流れやすくなる。
【0056】
図4は、直立状態におけるカバー2の内面2nの最も低い位置2nU(以下、最下位置2nUと称する)を通り車両左右方向に平行な面における断面図である。カバー2の内面2nの最下位置2nUは、車体フレーム11に対するハウジング1の角度に依存する。すなわち、車体フレーム11に対するハウジング1の角度(取付角度)が異なると、カバー2の内面2nの最下位置2nUも異なる。
【0057】
図5及び
図6は、
図2とは異なる角度で車体フレーム11に取り付けられた駆動ユニット10の例を示す左側面図である。
図5に示す駆動ユニット10のハウジング1は、
図2に示すハウジング1を車両の左右方向を軸に左から見て時計回りに20°回転した角度で車体フレーム11に取り付けられている。
図5及び
図6は、直立状態の車両に駆動ユニット10を取り付けた状態を示す。
【0058】
図5の例では、カバー2の内面2nの最下位置2nUは、
図2の場合よりも後方になる。また、
図5の例では、駆動ユニット10(カバー2)の上下方向は、
図2の駆動ユニットの
上下方向に対して左右方向を軸に20°回転した方向となる。
図5の場合も、車両直立状態において、第1孔2aは、車両左右方向の左方から見て、カバー2の内面2nの最下位置2nUと上下方向において重なる位置に設けられる。
【0059】
図6の例では、カバー2の内面2nの最下位置2nUは、
図2の場合よりも後方になる。また、
図5の例では、駆動ユニット10(カバー2)の上下方向は、
図2の駆動ユニット10の上下方向に対して左右方向を軸に20°回転した方向となる。
図5の場合も、車両直立状態において、第1孔2aは、車両左右方向の左方から見て、カバー2の内面2nの最下位置2nUと上下方向において重なる位置に設けられる。
【0060】
図2、
図5及び
図6に示すように、駆動ユニット10(ハウジング1)の車体フレーム11に対する取付角度は、ある程度の範囲内で任意に決められる場合がある。このような場合に、想定される取付角度の範囲内で、カバー2の内面2nの最下位置2nUとなり得る領域を通り、車両上下方向の上方に延びる仮想線と重なる位置に、第1孔2aが設けられることが好ましい。これにより、想定される範囲内の任意の取付角度で、第1孔2aが最下位置2nUの上方に位置する。例えば、
図6に示すように、取付角度の範囲を40°と想定すると、線A1と線A2の間の領域L1を横断するように第1孔2aを設けることができる。
【0061】
なお、車両の左右方向を軸とする回転方向の取付角度が変わっても、
図4に示す断面における左右方向及び上下方向は変化しない。
図4を用いて説明した構成は、想定される範囲内の任意の取付角度で成り立つ構成である。
【0062】
第2孔2bも、車両左右方向の右方から見て、ハウジング1が取り付けられた車両が直立状態の場合にカバー2の内面2nの最下位置2nUとなり得る領域を通り車両上下方向の上方に延びる仮想線と重なる位置に設けられてもよい。
【0063】
図2、
図5及び
図6のいずれの場合も、車両左右方向の左方から見て、第1孔2aの少なくとも一部は、ハウジング1より下方にあって、且つハウジング1と重ならない。第1孔2aの縁は、ハウジング1の下方で、ハウジング1に対して適切な距離を保って配置される。これにより、ハウジング1とカバー2の間の空間が適切に保たれ水が抜けやすくなる。同様に、第2孔2bの少なくとも一部も、車両左右方向の右方から見て、ハウジング1より下方にあって、且つハウジング1と重ならないようにすることができる。
【0064】
図4を参照し、ハウジング1と第1孔2aの内側の縁2afとの最短距離D1は、特に限定されないが、例えば、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。
【0065】
図2、
図5及び
図6のいずれの場合も、第1孔2aの前後方向の寸法は、上下方向の寸法よりも長い。第1孔2aを前後方向に長い形状にすることで、前後方向に広い範囲で水の抜け道を確保できる。そのため、例えば、より広い範囲の取付角度に対して第1孔2aを対応させることができる。同様の観点から、第2孔2bの前後方向の寸法を、上下方向の寸法よりも長くすることができる。
【0066】
図2、
図5及び
図6のいずれの場合も、左方から見た第1孔2aの縁は、前から後ろに向かって斜め下に延びる線を含んでいる。これにより、走行風で流されたカバー内の水が、第1孔2aの線に沿って排出されやすくなる。本例では、第1孔2aは、前から後ろに向かって斜め下に延びる柱によって仕切られている。この柱の縁が、第1孔2aの縁の斜め下に延びる線を形成している。
図3に示すように、右方から見た第2孔2bの縁も、前から後ろに向かって斜め下に延びる線を含んでいる。
【0067】
図7は、
図2に示す駆動ユニット10のカバー2の部分の底面図である。
図7に示すように、第1孔2aは、左側壁2Lにおいて、底部2Bと左側壁2Lの間の稜線(角部)に達するよう設けられる。第2孔2bは、右側壁2Rにおいて、底部2Bと右側壁2Rの間の稜線(角部)に達するよう設けられる。これにより、車両が左又は左に傾いた状態で、底部2Bから水が抜けやすくなる。なお、第1孔2aは、例えば、
図7の破線で示すように、底部2Bの車両左右方向の中央より左側に設けられてもよい。この場合、例えば、底部2Bの台1孔2aは、底部2Bと左側壁2Lの間の稜線に達してもよい。又は、第1孔2aは、左側壁2Lと底部2Bの両方にわたって形成されてもよい。第2孔2bも、例えば、
図7の破線で示すように、底部2Bの車両左右方向の中央より右側に設けられてもよい。この場合、例えば、第2孔2bは、底部2B右側壁2Rの間の稜線に達してもよい。又は、第2孔2bは、右側壁2Rと底部2Bの両方にわたって形成されてもよい。
【0068】
図7の例では、第1孔2aの内部を仕切る柱2a1は、前から後ろに向かって車両左右方向の内側へ近づくように延びる。第2孔2bの内部を仕切る柱2b1は、前から後ろに向かって車両左右方向の内側へ近づくように延びる。
【0069】
第1孔2aの前後方向の寸法は、左右方向の寸法よりも長い。第2孔2bの前後方向の寸法は、左右方向の寸法より長い。第1孔2aと第2孔2bは、車両左右方向に互いに対向する位置に配置される。第1孔2aと第2孔2bの間には、カバー2の底部2Bが配置される。
【0070】
図8は、
図2に示す駆動ユニット10のカバー2の部分の上面図である。カバー2の底部2Bには、内面2nから上方に延びるリブ2p1、2p2、2p3が設けられる。リブ2p1、2p2、2p3は、車両左右方向に延びて形成される。リブ2p1、2p2、2p3は、底部2Bの車両左右方向の全部ではなく一部に形成される。これにより、底部2Bの水の流れをリブが阻害するのが避けられる。リブ2p1は、第1孔2aより前方に配置される。リブ2p2は、第1孔2aの前端と後端の間の位置に設けられる。リブ2p3は、第1孔2aより後方に設けられる。
【0071】
図4に示す駆動ユニット10のカバー2では、直立状態において、第1孔2aの内側の縁2afは、車両左右方向の左に傾斜している。すなわち、第1孔2aの縁2afの左端は、右端より上方に位置している。このように、第1孔2aを、左へ傾けた形状にすることで、第1孔2aの上方からカバー2の内面2nを流れてきた水が、第1孔2aの縁から下方へ落ちてカバー2の外へ排出されやすくなる。また、
図4の例では、第2孔2bの内側の縁2bfは、車両左右方向の右に傾斜している。第2孔2bを、右へ傾けた形状にすることで、上方から流れてきた水が第2孔2bから排出されやすくなる。
【0072】
図4の例では、第1孔2aの縁から、左側壁2Lが、上方且つ車両左右方向の外側(左側)に向けて延びて形成されている。言い換えれば、左側壁2Lは、第1孔2aから上方に向けて左に傾斜して延びている。また、第2孔2bの縁から、右側壁2Rが、上方且つ外側(右側)に向けて延びて形成されている。言い換えれば、右側壁2Rは、第2孔2bから上方に向けて右に傾斜して延びている。これにより、第1孔2a及び第2孔2bの上方のカバーをハウジング1の形状に沿った形状にできる。
【0073】
図9は、
図4に示すカバー2の変形例を示す断面図である。
図9に示すカバー2では、直立状態において、第1孔2aの内側の縁2afは、車両左右方向の右に傾斜している。すなわち、第1孔2aの縁2afの下端は、上端より左側(外側)に位置している。この構成では、走行中に下からの舞い上がる水滴や泥が、第1孔2aへ入りにくくなる。また、第2孔2bの内側の縁2bfは、車両左右方向の左に傾斜している。すなわち、第2孔2bの縁2bfの下端は、上端より右側(外側)に位置している。
【0074】
図9に示す例では、直立状態において、底部2Bの第1孔2aと接する左端を含む左端部は、左斜め下へ向かって湾曲している。すなわち、第1孔2aの縁から、底部2Bが、上方且つ車両左右方向の右側(内側)へ向けて延びその後下方へ延びるよう湾曲している。このように、底部2Bの第1孔2aの縁から延びる部分を下方へ湾曲させることで、下方からの水滴や泥の第1孔2aへの侵入をより抑えることができる。右側においても同様に、直立状態において、底部2Bの第2孔2bと接する右端を含む右端部は、右斜め下へ向かって湾曲している。これにより、下からの水滴や泥の第2孔2bを抑えることができる。
【0075】
図10は、
図4に示すカバー2の他の変形例を示す断面図である。
図10に示すカバー2では、第1孔2aの内側の縁2afから、左側壁2Lが上方且つ車両左右方向の右側(内側)へ向けて延びて形成される。この場合、第1孔2aが左側方の斜め上方から見えにくくなる。また、第1孔2aの上の左側壁2Lの部分が下方に向かって外側(左側)に広がるため、カバー2内の空気が第1孔2aから排出しやすくなる。そのため、第1孔2aからの水の排出が促される。同様の観点から、第2孔2bの内側の縁2bfから、右側壁2Rが上方且つ車両左右方向の右側(内側)へ向けて延びて形成される。すなわち、第2孔2bの上の右側壁2Rの部分が下方に向かって外側(右側)に広がって形成される。
【0076】
駆動ユニットが取り付けられる車両は、特に限定されないが、例えば、駐車時に左に傾けて駐車する車両であってもよい。例えば、駆動ユニットが取り付けられる車両は、リーン車両とすることができる。リーン車両は、旋回時に旋回方向に車体を傾けて旋回する車両である。リーン車両は、駐車時に左に傾けた状態で駐車されることが多い。
【0077】
駆動ユニットが取り付けられる車両して、例えば、自転車が挙げられる。対象となる自転車には、電動アシスト自転車、電動自転車等が含まれる。対象となる自転車のタイプは特に限定されず、例えば、マウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、又は、リカンベントその他のタイプの自転車が、駆動ユニットの取り付け対象に含まれる。なお、駆動ユニットが取り付けられる車両は、2輪車に限定されず、3輪以上の車両であってもよい。例えば、LMW、電動4輪車等が、駆動ユニットの取り付け対象に含まれる。
【0078】
上記例では、車両が直立状態から左に5°傾いた場合に、第1孔2aの内側の縁の少なくとも一部が、カバー2の内面2nにおいて最も低くなる構成について説明した。上記構成は、車両が左に5°傾いた場合に限られない。上記例では、少なくとも、車両が直立状態から左に5~10°傾いた場合においても、第1孔2aの内側の縁の少なくとも一部が、カバー2の内面2nにおいて最も低くなる。なお、例えば、少なくとも、車両が直立状態から3~10°傾いた場合に、第1孔2aの内側の縁の少なくとも一部がカバーの内面で最も低くなるように構成されてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1:ハウジング
2:カバー
2a:第1孔
2b:第2孔
2L:左側壁
2R:右側壁
2B:底部
3:モータ
10:駆動ユニット
100:自転車(車両)