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  • 特許-液体クリーマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】液体クリーマー
(51)【国際特許分類】
   A23C 11/08 20060101AFI20240402BHJP
   A23L 9/20 20160101ALI20240402BHJP
   A23D 7/00 20060101ALI20240402BHJP
   A23F 5/14 20060101ALI20240402BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240402BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240402BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20240402BHJP
   A23L 2/62 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A23C11/08
A23L9/20
A23D7/00 508
A23F5/14
A23L29/238
A23L29/269
A23L2/38 D
A23L2/00 L
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021504775
(86)(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019080523
(87)【国際公開番号】W WO2020099232
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】19155440.1
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/767,008
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】フー, ユン-ツェ, レイ
(72)【発明者】
【氏名】シャー, アレクサンダー, エー
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/172170(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/162715(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/216194(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/162701(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/134253(WO,A1)
【文献】特表2015-512267(JP,A)
【文献】特表2018-518979(JP,A)
【文献】特開2016-189719(JP,A)
【文献】特表2010-503388(JP,A)
【文献】特表2014-511708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゼイン系タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジェランガム、重炭酸塩、クエン酸塩、及び油を含む液体クリーマーであって、
前記カゼイン系タンパク質は、0.7~1.4%の濃度で存在し、
前記エンドウ豆タンパク質は、0.07~0.4%の濃度で存在し、
前記ジェランガムは、0.025~0.045%の濃度で存在し、
前記重炭酸塩は、0.1~0.2%の濃度で存在し、
前記クエン酸塩は、0.3~0.4%の濃度で存在し、
前記油は、6~12%の濃度で存在し、
全ての百分率は、前記液体クリーマーの重量パーセントである、液体クリーマー。
【請求項2】
前記カゼイン系タンパク質が、カゼイン塩、カゼインミセル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の液体クリーマー。
【請求項3】
モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、及びジアセチル酒石酸モノグリセリドエステルを0.001重量%未満含有する、請求項1又は2に記載の液体クリーマー。
【請求項4】
0.001重量%未満のリン酸塩を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項5】
0.001重量%未満の、ジェランガム以外の多糖類を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項6】
前記ジェランガムが高アシルジェランガムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項7】
前記クエン酸塩がクエン酸カリウムの形態で提供され、前記重炭酸塩が重炭酸ナトリウムの形態で提供される、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項8】
前記油が、ココナッツ油、高オレイン酸キャノーラ油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸ベニバナ油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項9】
スクロース、フルクトース、グルコース、アルロース、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、モグロシド、ステビオールグリコシド及びこれらの組み合わせからなる群から選択される甘味料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項10】
前記クリーマーが、添加された固体粒子状ホワイトナーを含まない、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項11】
前記クリーマーが、常温保存可能な液体クリーマーである、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体クリーマー。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の液体クリーマーを含む、飲料。
【請求項13】
レディ・トゥ・ドリンクコーヒー飲料である、請求項12に記載の飲料。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の液体クリーマーの調製方法であって、
撹拌下で、請求項1に記載の成分を熱水に溶解させる工程と、
超高温(UHT)処理を使用して組成物を殺菌する工程と、
前記組成物を均質化する工程と、
を含み、
前記均質化が、UHT処理前、UHT処理後、又はUHT処理の前後に行われる、方法。
【請求項15】
前記液体クリーマーが容器内に無菌的に充填され、次いで無菌的に密封される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー及び茶などの食品製品用のクリーマーに関する。特に、本発明は、カゼイン系タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジェランガム、重炭酸塩、クエン酸塩、及び油を含む液体クリーマーに関する。本発明の更なる態様は、液体クリーマーを含む飲料、及び液体クリーマーの調製方法である。
【背景技術】
【0002】
クリーマーは、例えば、コーヒー、ココア、麦芽飲料、及び茶などの高温飲料及び低温飲料に添える白色付与剤として広く使用されている。これらは、乳及び/又は乳クリームの代わりに一般的に使用される。クリーマーは、様々な異なる風味をもたらし、口当たり、白色付与、ボディ、及び滑らかな質感を提供することができる。クリーマーは、液体又は粉末の形態を取り得る。液体クリーマーは、周囲温度での又は冷蔵での保管を意図されるものであり得、保管中に、相分離、クリーミング、ゲル化、沈降、又は望ましくない風味の発生を伴わずに安定なものでなければならない。液体クリーマーはまた、長期間にわたって一定の粘度を保持しなければならない。低温又は高温飲料に添加された際に、液体クリーマーは速やかに分散し、良好な白色付与能力を提供し、かつ優れた味及び口当たりを提供しながら、フェザリング及び/又は沈降を生じずに安定した状態を保つ必要がある。
【0003】
大豆レシチンは、乳化剤として長年使用されてきた。しかしながら、一部の消費者は、例えば、遺伝子組み換え作物に由来し得る成分の摂取を回避したいと望むことから、大豆成分を含有する製品を消費しないことを選ぶであろう。遺伝子組み換えされた成分を回避したいという強く望むことで、遺伝子組み換えされていない成分(例えば、非GMO大豆)であっても、連想で回避してしまうおそれもある。消費者の中には、食物に含まれる大豆アレルギーに悩まされている人もいるかもしれない。
【0004】
食品製品に含まれる合成添加物又は人工添加物について懸念する消費者が増えている。したがって、合成成分、又は消費者が合成物であると認識する可能性のある成分を含まない市販の液体クリーマーが求められている。多くの消費者は、合成乳化剤又はリン酸緩衝剤を含有する製品を摂取したくないと考えている。しかしながらこれらは、通常、製品の保存期間にわたって、かつコーヒーに注いだ後の、液体クリーマーの物理的安定性を確保するために必要とされる。更に、コーヒーにおいて所望の白色付与及び質感/口当たり効果を達成するためにも必要とされる。
【0005】
多くの液体クリーマーは、低pH及び高ミネラル含量飲料において、特に高温飲料に添加された際に、物理的な分離を生じる。物理的な分離は、軟凝集、凝乳、ダマ形成、凝集、又は沈降と呼ばれることが多い。この現象は、エマルション液滴がまずは放出され、次いでこの液滴が凝集することに関連する。成分一覧が消費者にとって魅力的なものであり、かつ尚も保存期間中に安定であり、飲料に添加された際に物理的に不安定になることなく、良好な官能特性を提供する、液体クリーマーを提供することが求められている。加えて、液体クリーマーは、硬度が大きく異なる水(例えば、溶解しているカルシウム及びマグネシウムの濃度が異なる水)を使用して消費者が淹れた飲料に添加された際に、十分に機能しなければならない。
【0006】
本明細書における先行技術文献のいかなる参照も、かかる先行技術が周知であること、又は当該技術分野で共通の一般的な認識の一部を形成していることを認めるものとみなされるべきではない。本明細書で使用される場合、「含む/備える(comprises)」、「含んでいる/備えている(comprising)」という単語、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは「含むが、これらに限定されない」ことを意味することを目的としている。
【0007】
[発明の概要]
本発明の目的は、現況技術を改良し、改良された解決策を提供して上記の不都合の少なくともいくつかを克服すること、又は少なくとも有用な代替物を提供することである。本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明の着想を更に展開するものである。
【0008】
したがって、本発明は、第1の態様では、カゼイン系タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジェランガム、重炭酸塩、クエン酸塩、及び油を含む液体クリーマーを提供し、カゼイン系タンパク質は0.7~1.4%の濃度で存在し、エンドウ豆タンパク質は0.07~0.4%の濃度で存在し、ジェランガムは0.025~0.045%の濃度で存在し、重炭酸塩は0.1~0.2%の濃度で存在し、クエン酸塩は0.3~0.4%の濃度で存在し、油は6~12%の濃度で存在し、全ての百分率は、当該液体クリーマーの重量パーセントである。
【0009】
第2の態様では、本発明は、本発明の液体クリーマーを含む飲料を提供する。本発明の第3の態様は、本発明の液体クリーマーの調製方法に関し、本方法は、撹拌下で、請求項1に記載の成分を熱水に溶解させる工程と、超高温(UHT)処理を使用して組成物を殺菌する工程と、組成物を均質化する工程と、を含み、この均質化は、UHT処理前、UHT処理後、又はUHT処理の前後に行われる。
【0010】
驚くべきことに、本発明者らは、特定の濃度範囲のカゼイン系タンパク質と組み合わせた、並びに重炭酸塩及びクエン酸塩を緩衝剤として組み合わせた、エンドウ豆タンパク質が、液体クリーマーの良好な保存期間安定性を提供したことを見出した。当該液体クリーマー組成物は、高温のコーヒーに添加された際にも質感及び白色付与能力を損なわなかった。同様のクリーマー挙動は、熱い茶に添加した際にも見られた。更に、白色を付与したコーヒー及び茶は、フェザリング及び/又はオイルオフ(de-oiling)などといった、不安定さによる問題を有しなかった。本発明の液体クリーマー組成物は、硬度が大きく異なる水(例えば、溶解しているカルシウム及びマグネシウムの濃度が異なる水)と共に使用することができる。モノ-及びジ-グリセリド又はこれらのエステルなどの乳化剤を含ませずに、カゼイン系タンパク質又はエンドウ豆タンパク質のみでは、液体クリーマーにおいて許容可能な結果は得られない。カゼイン系タンパク質及びエンドウ豆タンパク質の組み合わせが、複雑な液体クリーマーマトリックスに良好な機能性をもたらし、数ヶ月の保存期間にわたって良好な白色付与能を有する安定した水中油型エマルションを与えることは驚くべきことである。特に、ジェランガム及びエンドウ豆タンパク質の組み合わせが、カゼイン塩を含有する液体クリーマーにおいて良好な機能性をもたらし、例えば低分子量乳化剤を必要とせずに、数ヶ月の保存期間にわたって良好な白色付与能を有する、味が良好で安定した水中油型エマルションを与えることは驚くべきことである。カゼイン系タンパク質及びエンドウ豆タンパク質の組み合わせは、特定の濃度で重炭酸塩及びクエン酸塩と組み合わせることで更に性能が強化される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】重炭酸ナトリウムとクエン酸カリウムとの比を変化させて液体クリーマーを評価するグラフである。領域A~Fは、実施例12に記載のとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明は、カゼイン系タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ジェランガム、重炭酸塩、クエン酸塩、及び油を含む液体クリーマーに部分的に関し、カゼイン系タンパク質は0.7~1.4%(例えば、0.9~1.2%)の濃度で存在し、エンドウ豆タンパク質は0.07~0.4%(例えば、0.1~0.4%、更なる例としては0.2~0.3%)の濃度で存在し、ジェランガムは0.025~0.045%(例えば、0.030~0.040%)の濃度で存在し、重炭酸塩は0.1~0.2%の濃度で存在し、クエン酸塩は0.3~0.4%の濃度で存在し、油は6~12%の濃度で存在し、全ての百分率は、本液体クリーマーの重量パーセントである。特許請求される濃度でのエンドウ豆タンパク質、ジェランガム、重炭酸塩、及びクエン酸塩の組み合わせは、良好な味、安定性、及び質感を有するカゼイン系タンパク質(例えば、カゼイン塩)クリーマーエマルションを提供する。クリーマーがあまりに粘稠で注ぎにくい、又はゲルを形成するといったことなく、良好な安定性を達成することができる。
【0013】
液体クリーマーは、紅茶、コーヒー、ココア、及び麦芽飲料などの高温及び低温飲料を引き立てるよう白色付与剤及び質感/口当たり調整剤として使用されるが、スープなどの他の食品用途に使用されてもよい。液体クリーマーは、それらが添加される飲料を引き立たせる様々な風味で利用可能であり、新鮮なミルクの準備ができていない、又はミルクを摂取しないことを選択した人々にとっても便利である。
【0014】
本発明の文脈において、カゼイン系タンパク質は、主にカゼインから構成される物質を指す。一実施形態では、カゼイン系タンパク質は、カゼイン塩、カゼインミセル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。カゼイン系タンパク質は、カゼイン塩であってもよい。カゼイン塩は、例えば、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、又はカゼインカルシウムであってもよい。
【0015】
本発明によるエンドウ豆タンパク質は、緑色、黄色、又は紫色エンドウ豆(Pisum sativum)から分離した又は抽出したエンドウ豆タンパク質であってもよい。エンドウ豆タンパク質は、エンドウ豆タンパク質画分であってもよい。エンドウ豆タンパク質は、緑色エンドウ豆の種由来のものであってもよい。例えば、エンドウ豆タンパク質は、エンドウ豆から分離した、乾燥重量基準で80%超のタンパク質含量を有する植物性タンパク質材料であってもよい。エンドウ豆タンパク質は、部分的に加水分解されたエンドウ豆タンパク質であってもよい。
【0016】
有利には、本発明の液体クリーマーは、消費者から悪いものとして認識されている可能性のある乳化剤を必要とせずに安定である。一実施形態では、液体クリーマーは、モノアシルグリセロール(MAG)、ジアシルグリセロール(DAG)、及びジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル(DATEM)を0.001重量%未満含有する。例えば、液体クリーマーは、0.0001重量%未満のMAG、DAG、及びDATEMを含んでもよい。本発明の液体クリーマーは、MAG、DAG、及びDATEMを添加していなくてもよい。用語「添加されていない」とは、クリーマー組成物が、クリーマーエマルションの安定性に実質的に作用するように添加されている又は当該安定性に作用するのに十分な量で添加されるMAG、DAG、又はDATEMを含有しないことを意味する。MAG、DAG、及びDATEMを添加されていないクリーマーでも、これらの乳化剤は、例えば液体クリーマーの原材料のうち1つ以上に微量成分として存在していることから、エマルションの安定性に実質的には影響しない微量で含有され得る。例えば、植物油は、少量のモノアシルグリセロール及びジアシルグリセロールを天然に含有し得る。本発明の液体クリーマーは、MAG、DAG、及びDATEMを含まなくてもよい。モノアシルグリセロールはモノグリセリドとしても知られており、ジアシルグリセロールもジグリセリドとして知られている。
【0017】
一実施形態では、液体クリーマーは、0.001重量%未満(例えば、0.0001重量%未満)の低分子量乳化剤を含有する。本発明の文脈において、低分子量乳化剤という用語は、1500ダルトン未満の分子量を有する乳化剤を指す。本発明によるカゼイン系タンパク質は、低分子量乳化剤ではない。本発明の液体クリーマーは、追加の低分子量乳化剤を含まなくてもよく、例えば、本発明の液体クリーマーは、低分子量乳化剤を含まなくてもよい。低分子量乳化剤としては、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、ジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、リン脂質、ガラクト脂質、並びに脂肪酸のスクロースエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
一実施形態では、本発明によるクリーマー組成物は、添加したモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、ジアセチル酒石酸モノグリセリドエステル、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、リン脂質、ガラクト脂質、並びに脂肪酸のスクロースエステルを含まない。例えば、組成物は、添加したモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、アセチル化モノグリセリド、ソルビタントリオレエート、グリセロールジオレエート、ソルビタントリステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート及びモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、モノパルミチン酸グリセロールソルビタン、モノグリセリド及びジグリセリドのコハク酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸エステル、リゾリン脂質、並びに脂肪酸のスクロースエステルを含まない。
【0019】
有利なことに、本発明の液体クリーマーは、リン酸塩などの消費者から悪いものとして認識されている可能性のあるpH緩衝成分を必要とせずに安定である。一実施形態では、液体クリーマーは、0.001重量%未満(例えば、0.0001重量%未満)のリン酸塩を含有する。本発明の液体クリーマーは、添加されたリン酸塩を含まなくてもよく、例えば、本発明の液体クリーマーは、リン酸塩を含まなくてもよい。リン酸塩としては、リン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸カリウムが挙げられる。一実施形態では、本発明によるクリーマー組成物は、添加したリン酸一ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びヘキサメタリン酸カリウムを含まない。
【0020】
ジェランガム及びエンドウ豆タンパク質との組み合わせは、アカシアガム及びグアーガムなどの更なるガムを添加せずとも安定している液体クリーマー組成物を提供する。これは、消費者は成分一覧が簡潔な製品を望むことから有利である。一実施形態では、本発明の液体クリーマーは、0.001重量%未満のジェランガム以外の多糖類、例えば、0.0001重量%未満のジェランガム以外の多糖類を含有する。本発明の液体クリーマーは、ジェランガム以外に添加された多糖類を含まなくてもよく、例えばジェランガム以外の多糖類を含まなくてもよい。本発明の文脈において、多糖類という用語は、10個超の単糖類単位からなる糖類ポリマーを指す。
【0021】
ジェランガムは、細菌スフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)による産生から得られる水溶性アニオン性多糖類である。一実施形態では、ジェランガムは、高アシルジェランガムである。高アシルジェランガムは、液体クリーマーに関し望ましいレオロジー及び良好なエマルション安定性を提供する。
【0022】
本発明の液体クリーマーによるクエン酸塩は、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩の形態で提供され得る。本発明の液体クリーマーによるクエン酸塩は、例えばレモン汁などの柑橘類の汁に含まれているクエン酸の形態で提供され得る。本発明の液体クリーマーによる重炭酸塩は、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される塩の形態で提供され得る。一実施形態では、クエン酸塩はクエン酸カリウムの形態で提供され、重炭酸塩は重炭酸ナトリウム(重曹)の形態で提供される。
【0023】
一実施形態では、油は、ココナッツ油、高オレイン酸キャノーラ油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸ベニバナ油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、油は、ココナッツ油、高オレイン酸キャノーラ油、高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸ベニバナ油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。本発明の液体クリーマーによる油は、4℃で1%未満の固形脂肪含量を有し得る。これにより、冷蔵庫で生じる可能性があり、油の凝固が沈殿につながる可能性がある温度での、クリーマーエマルションの良好な安定性をもたらす。固形脂肪含量は、パルスNMR法によって、例えば、特別な熱前処理を伴わない方法であるIUPAC Method 2.150(a)[International Union of Pure and Applied Chemistry,Standard Methods for the Analysis of Oils,Fats and Derivatives,7th Revised and Enlarged Edition(1987)]に従って、測定することができる。本発明による油は、キャノーラ油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、藻類油、及びこれらの画分及び組み合わせからなる群から選択され得る。高オレイン酸油は、モノ不飽和脂肪を多く含むことから健康上の利益をもたらし、かつ良好な安定性を有する。本発明による油は、高オレイン酸キャノーラ油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸サフラワー油、高オレイン酸藻類油、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0024】
本発明の液体クリーマーは、甘味料、例えば、天然に見られる甘味料を含んでもよい。一実施形態では、液体クリーマーは、スクロース、フルクトース、グルコース、加水分解デンプンシロップ(例えば、40~100のデキストロース当量(DE)値を有する)、アルロース、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、モグロシド、ステビオールグリコシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される甘味料を含む。例えば、液体クリーマーは、スクロース、フルクトース、グルコース、アルロース、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、モグロシド、ステビオールグリコシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される甘味料を含んでもよい。スクロースは、甘ショ糖、テンサイ糖、又は糖蜜の形態であってもよく、例えば、本発明による甘味料は、甘ショ糖、テンサイ糖、又は糖蜜であってよい。フルクトース、グルコース、又はスクロースは、アガベシロップ内に含まれているものであってもよく、したがって、本発明による甘味料は、アガベシロップであってもよい。フルクトース及びグルコースはハチミツの成分であり、したがって、本発明による甘味料はハチミツであってもよい。ソルビトール、マルチトール、及びエリスリトールは、果実に見られ、又は天然の出発物質からの酵素反応によって生成することができる。モグロシドは、羅漢果(Siraitia grosvenoriiの果実)中に見られる。したがって、本発明による甘味料は、羅漢果果汁であってもよい。ステビオールグリコシドは、ステビア(Stevia rebaudiana)の葉中に見られる。したがって、本発明による甘味料は、ステビア又はステビアの抽出物であってもよい。
【0025】
一実施形態では、液体クリーマーは、20~50重量%の糖類を含み、例えば、マルトデキストリン、スクロース、ラクトース、フルクトース、及びグルコースなどの単糖類単位が10個以下である糖類を含む。例えば、クリーマーは、20~50重量%のスクロースを含んでもよい。一実施形態では、液体クリーマーはスクロースを含まない。
【0026】
一実施形態では、液体クリーマーは、添加された固体粒子状ホワイトナーを含まず、例えば、液体クリーマーは固体粒子状ホワイトナーを含まない。液体クリーマーエマルションの油滴はクリーマーに入る光と相互作用することから、クリーマーが白色に見える。本発明の液体クリーマーは、固体粒子状ホワイトナーを添加する必要なく、白色に見えるエマルションを提供し、保管時の白色度を維持することが有利である。クリームが分離する(液滴が上部に浮き上がる)、又は液滴が合一するエマルションは、白色の見た目が損なわれるが、特許請求される濃度でのエンドウ豆タンパク質、ジェランガム、重炭酸塩、及びクエン酸塩の組み合わせは、良好な安定性を有するエマルションを提供し、エマルションの白色の見た目を維持する。二酸化チタンなどの固体粒子状ホワイトナーは、優れたホワイトニング力を提供するが、それらが人工的なものであると考える一部の消費者から敬遠される。
【0027】
一実施形態では、液体クリーマーは、常温保存可能な液体クリーマーであり、例えば、20℃で少なくとも6ヶ月間の保存期間を有し得る。本発明の液体クリーマーは、冷蔵を必要とせずに安定であることが有利である。本液体クリーマーの組成物は、腐敗微生物を殺菌又は低減するために必要な熱処理に耐えることができることも有利である。一実施形態では、液体クリーマーは、無菌的に包装されたクリーマーであってもよい。
【0028】
本発明の一態様は、本発明の液体クリーマーを含む飲料、例えば、コーヒー飲料、茶飲料、ココア若しくはチョコレート飲料、又は麦芽飲料を提供する。一実施形態では、飲料は、レディ・トゥ・ドリンク飲料である。「レディ・トゥ・ドリンク飲料」は、液体を更に追加せずとも摂取することのできる液体形態の飲料を意味する。例えば、本発明の飲料は、白色、良好な質感、及び口当たりを提供するために、水、飲料形成成分、及び十分な量の本発明の液体クリーマーを含む飲料であってもよい。
【0029】
本発明の一態様は、本発明の液体クリーマーの調製方法であって、撹拌下で、請求項1に記載の成分を熱水に溶解させる工程と、超高温(UHT)処理を使用して組成物を殺菌する工程と、組成物を均質化する工程と、を含み、この均質化は、UHT処理前、UHT処理後、又はUHT処理の前後に行われる。UHT処理は、例えば、130~150℃で3~12秒間の処理であってもよい。一実施形態では、液体クリーマーは容器内に無菌的に充填されてもよく、その後、無菌的に密封される。液体クリーマーは、容器に充填される前に冷却されてもよい。例えば、無菌充填は、0.5~10℃で行うことができる。
【0030】
当業者であれば、本明細書に開示される本発明の全ての特徴を自由に組み合わせることができることを理解されたい。特に、本発明の製品に関して記載された特徴を、本発明の方法と組み合わせることができ、逆もまた同様である。更に、本発明の異なる実施形態について記載された特徴を組み合わせてもよい。周知の均等物が特定の特徴について存在する場合、このような均等物は、本明細書で具体的に言及されているものとして組み込める。
【0031】
本発明の更なる利点及び特徴は、図及び非限定例から明らかである。
【実施例
【0032】
液体クリーマーを、以下のように作製した。
【0033】
実施例1
30kgの糖、100gのエンドウ豆タンパク質(Nutralys(登録商標)S85F,Roquette);700gのカゼインナトリウム、30gの高アシルジェランガム(Kelcogel(登録商標)HM-P,CPKelco)、120gの重炭酸ナトリウム(87gの炭酸塩を含む)、及び300gのクエン酸カリウム(185gのクエン酸塩を含む)を、高撹拌下で50kgの熱水(約75℃)に添加した。
【0034】
次に、8kgの高オレイン酸大豆油を高撹拌下で上記の液体に添加した。その後、追加の水を添加して総量を100kgに調整した。
【0035】
液体クリーマーを135/35バールで予備均質化し、140℃で10秒間UHT処理し、135/35バールで均質化し、冷却した。次いで、液体クリーマーをボトルに無菌的に充填した。
【0036】
硬水(350ppmの炭酸カルシウム硬度)を使用して1重量/重量%の高温(約90~95℃)のコーヒー溶液を調製した。
【0037】
液体クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性パラメータを、熟練したパネリストが判定した。
【0038】
保管中に、相分離(例えば、クリーミング、オイルオフ、マーブリング等)、ゲル化は見られず、実質的な粘度変化も見られなかった。
【0039】
液体クリーマーを高温のコーヒーに添加した場合に、飲料には、良好な外観、白色付与、口当たり、滑らかな質感、及び異味のない良好な風味、が認められた。
【0040】
実施例2
実施例1と同様に、但し1kgのカゼインナトリウムを使用して、液体クリーマーを調製した。
【0041】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は見られなかった。液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、飲料には、良好な外観、白色付与、口当たり、滑らかな質感、及び異味のない良好な風味、が認められた。
【0042】
実施例3
実施例1と同様に、但し1.4kgのカゼインナトリウムを使用して、液体クリーマーを調製した。
【0043】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は見られなかった。液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、飲料には、良好な外観、白色付与、口当たり、滑らかな質感、及び異味のない良好な風味、が認められた。
【0044】
実施例4(比較)
実施例1と同様に、但し600gのカゼインナトリウムを使用して、液体クリーマーを調製した。
【0045】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に相分離(クリーミング)が見られた。
【0046】
実施例5(比較)
実施例1と同様に、但し1.5gのカゼインナトリウムを使用して、液体クリーマーを調製した。
【0047】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に、相分離(例えば、クリーミング、オイルオフ、マーブリング等)、ゲル化は見られず、実質的な粘度変化も見られなかった。しかしながら、液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、フェザリングが見られた。
【0048】
実施例6
実施例2と同様に、但し400gのエンドウ豆タンパク質を使用して、液体クリーマーを調製した。
【0049】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は見られなかった。液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、飲料には、良好な外観、白色付与、口当たり、滑らかな質感、及び異味のない良好な風味、が認められた。
【0050】
実施例7(比較)
実施例2と同様にして液体クリーマーを調製したが、50gのエンドウ豆タンパク質を用いた。
【0051】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化が、保管中に見られた。
【0052】
実施例8(比較)
実施例2と同様にして液体クリーマーを調製したが、500gのエンドウ豆タンパク質を用いた。
【0053】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は、保管中に見られなかった。しかしながら、液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、苦味及び豆臭さ、並びにフェザリングが見られた。
【0054】
実施例9(比較)
実施例2と同様に、但し20gの高アシルジェランガムを使用して、液体クリーマーを調製した。
【0055】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に相分離(クリーミング)が見られた。
【0056】
実施例10(比較)
実施例2と同様に、但し50gの高アシルジェランガムを使用して、液体クリーマーを調製した。
【0057】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中にクリーマーのゲル化が見られた。
【0058】
実施例11
実施例2と同様に、但し800gのカゼインミセルを、カゼインナトリウムの代わりに使用して、液体クリーマーを調製した。
【0059】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。保管中に、相分離(クリーミング、オイルオフ、マーブリングなど)、ゲル化は見られなかった。液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、飲料には、良好な外観、白色付与、口当たり、滑らかな質感、及び異味のない良好な風味、が認められた。
【0060】
実施例12
実施例2と同様に、但し重炭酸ナトリウムとクエン酸カリウムとの比率を変更して、液体クリーマーを調製した。
【0061】
クリーマー、及び液体クリーマーを添加したコーヒー飲料の物理化学的安定性及び官能性を、熟練したパネリストが判定した。評価の結果を図1に示す。領域A、B、C、及びFは許容できなかった。クエン酸カリウムが0.4重量%超(クエン酸0.4重量%超)であった領域Aは、苦味及び化学的な異臭を示した。重炭酸ナトリウムが0.1重量%未満(重炭酸塩が0.1重量%未満)であった領域Bは、酸性の異臭ノートをもたらした。領域Cには、水硬度及び低pHに起因するフェザリングと関連した、酸を感じる異臭ノートがあった。クエン酸カリウムが0.3重量%未満であった領域Fは、水硬度に起因してフェザリングによる欠陥を示した。領域D及びEにおいて良好な結果が得られ、最良の結果は領域Dで得られた。
【0062】
重炭酸ナトリウム及びクエン酸カリウムが、それぞれ0.1~0.2及び0.3~0.4重量/重量%の範囲、すなわち、重炭酸塩及びクエン酸塩が、それぞれ0.1~0.2及び0.3~0.4重量/重量%の範囲である組み合わせでは、液体クリーマーをコーヒーに添加したときに、飲料には、液体クリーマーの良好な物理化学的安定性、並びに良好な外観、白色付与、口当たり、滑らかな質感、及び異味のない良好な風味、が認められた。
【0063】
重炭酸ナトリウム及びクエン酸カリウムの特に良好な組み合わせは、それぞれ0.1~0.15及び0.3~0.4重量/重量%の範囲、すなわち、重炭酸塩及びクエン酸塩が、それぞれ0.1~0.15及び0.3~0.4重量/重量%である範囲で見出された。
図1