(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】カテーテルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240402BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/00 622
A61M25/00 504
(21)【出願番号】P 2021527404
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2020016267
(87)【国際公開番号】W WO2020261716
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019117003
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹村 征樹
(72)【発明者】
【氏名】木佐 俊哉
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-148472(JP,A)
【文献】特開2018-143603(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0119875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に第1端と第2端を有し、前記長手方向に延在している内腔を有するシャフトであって、前記内腔に連通する側孔を有するシャフトと、
前記側孔に挿入されている保護チューブと、
前記シャフトの外側に配置されている第1電極と、
該第1電極に電気的に接続され、前記保護チューブ内を通って前記シャフトの内腔に延在している導線と、を有
し、
前記側孔は、前記シャフトの外側に面している第1の開口と、前記シャフトの前記内腔に面している第2の開口とを備え、
前記第1電極は、前記側孔の第1の開口上に配置されているカテーテル。
【請求項2】
前記保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、
前記保護チューブは、前記保護チューブの前記第1端に第1開口、前記保護チューブの前記第2端に第2開口を有し、
前記第1開口は、前記第2開口よりも前記シャフトの径方向外方に位置しており、
前記第2開口の近位端は、前記第1開口の近位端よりも近位側に位置している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記保護チューブが、前記シャフトの径方向に沿って延在している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、
前記保護チューブは、前記保護チューブの前記第1端に第1開口、前記保護チューブの前記第2端に第2開口を有し、
前記第1開口は、前記第2開口よりも前記シャフトの径方向外方に位置しており、
前記第2開口の少なくとも一部が、前記シャフトの内側表面よりも前記シャフトの径方向内方に位置している請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、
前記保護チューブは、前記保護チューブの前記第1端に第1開口、前記保護チューブの前記第2端に第2開口を有し、
前記第1開口は、前記第2開口よりも前記シャフトの径方向外方に位置しており、
前記保護チューブ内であって前記第1開口側に内側接着材が配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記内側接着材は、前記第1電極の内側表面と前記保護チューブの前記第1端の端面の間に配置されている請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
さらに、前記シャフトのうち前記側孔を形成している内壁面と前記保護チューブの外側表面の間であって、前記保護チューブの周方向の少なくとも一部に外側接着材が配置されている請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記外側接着材が、前記保護チューブの周方向全体に配置されている請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記外側接着材が、前記保護チューブの外側表面上であって、前記シャフトの内側表面よりもシャフトの径方向内方に配置されている請求項7または8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、
前記保護チューブは、前記保護チューブの前記第1端に第1開口、前記保護チューブの前記第2端に第2開口を有し、
前記第1開口は、前記第2開口よりも前記シャフトの径方向外方に位置しており、
前記保護チューブ内であって前記第1開口側に内側接着材が配置されており、
前記内側接着材と前記外側接着材が同じ材料から構成されている請求項7~9のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記外側接着材は、互いに異なる材料から構成されている第1外側接着材と第2外側接着材を有し、
前記第1外側接着材は、前記保護チューブの周方向の第1区間に配置されており、
前記第2外側接着材は、前記保護チューブの前記周方向の前記第1区間とは異なる第2区間に配置されている請求項7~10のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、
前記保護チューブは、前記保護チューブの前記第1端に第1開口、前記保護チューブの前記第2端に第2開口を有し、
前記第1開口は前記第2開口よりも前記シャフトの径方向外方に位置しており、
前記保護チューブ内であって前記第1開口側に内側接着材が配置されており、
前記第1外側接着材と前記第2外側接着材のいずれか一方と、前記内側接着材が同じ材料から構成されている請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記シャフトの径方向において、前記第1電極の外側表面は、前記シャフトの外側表面と同一平面上または前記シャフトの外側表面よりも内方に配置されている請求項1~12のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記側孔の中心軸と前記シャフトの長手方向のなす角度が鋭角である請求項1~13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記保護チューブのうち、前記シャフトの内側表面よりもシャフトの径方向内方に配置されている部分の長さは、前記シャフトの内径よりも長い請求項1~14のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記シャフトの前記長手方向において、前記シャフトは補強区間と非補強区間を有し、
前記補強区間には、金属から構成されている補強材が配置されており、
前記非補強区間は、前記補強区間よりも遠位に位置し且つ前記補強材が配置されておらず、
前記第1電極が前記補強区間に配置されており、
前記第2電極が前記非補強区間であって前記第1電極よりも遠位側に配置されている請求項1~15のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項17】
長手方向に第1端と第2端を有するシャフトであって、前記長手方向に延在している内腔を有するシャフトに前記内腔と連通する側孔を開ける工程と、
前記側孔に保護チューブを挿入する工程と、
前記保護チューブの外側表面に外側接着材を付ける工程と、
前記保護チューブ内に、第1電極と電気的に接続している導線を挿入する工程と、
前記保護チューブ内に内側接着材を入れる工程と、
前記第1電極を前記側孔の上側に配置する工程と、を有するカテーテルの製造方法。
【請求項18】
前記側孔に保護チューブを挿入する工程の前に、
前記側孔の中心軸の方向を調整する工程をさらに有する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記保護チューブ内に導線を挿入する工程の前に、
前記保護チューブのうち前記シャフトから突出している部分の少なくとも一部を除去する工程をさらに有する請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記側孔に保護チューブを挿入する工程において、前記保護チューブを第1所定長さ分だけ挿入した後で、前記第1所定長さよりも短い第2所定長さ分だけ前記保護チューブを引き戻す請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内臓器、主に心臓の電位測定や体内組織の焼灼に用いる電極カテーテルと、この電極カテーテルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、主に心臓の電位測定を行うことで不整脈の診断を行う、あるいは不整脈を治療するために高周波電流を流して体内組織を焼灼する医療器具として用いられている。電極カテーテルでは、内腔を有するシャフトの外側に複数の電極が配置される。電極の内側表面に電気的に接続される導線はシャフトの内腔を通って心電図計まで延びている。導線と心電図計との接続にはコネクターが用いられる。このため、例えば、電極カテーテルを患者の心臓内に挿入してコネクターを心電図計に接続することにより、電極部近傍の心電図を測定して不整脈の原因となる心筋の様子を正確に把握することができる。例えば、特許文献1には直流組織治療のための電極を有するカテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電極を有するカテーテルを製造する際には、通常、側孔を有するシャフトと、電極が接続されている導線とを準備し、シャフトの側孔に導線を挿入する作業を行う。しかし、挿入時にシャフトの側孔を形成している内壁面と導線が互いに接触することにより、シャフトの内腔に導線をスムーズに挿入できないことがあり、改善の余地があった。そこで、本発明はシャフト内への導線の挿入作業が行いやすいカテーテルとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明のカテーテルの一実施態様は、長手方向に第1端と第2端を有し、長手方向に延在している内腔を有するシャフトであって、内腔と連通する側孔を有するシャフトと、側孔に挿入されている保護チューブと、シャフトの外側に配置されている第1電極と、第1電極に電気的に接続され、保護チューブ内を通ってシャフトの内腔に延在している導線と、を有する点に特徴を有する。上記カテーテルによれば、シャフトの側孔に保護チューブが挿入されているため、導線の挿入時にシャフトと導線が当接しにくくなり、シャフト内への導線の挿入作業が行いやすくなる。また、このようにシャフト内にスムーズに導線を挿入することができるため、導線のキンクや導線の表面被覆材の剥がれを防ぐこともできる。
【0006】
保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、保護チューブは、保護チューブの第1端に第1開口、保護チューブの第2端に第2開口を有し、第1開口は、第2開口よりもシャフトの径方向外方に位置しており、第2開口の近位端は、第1開口の近位端よりも近位側に位置していることが好ましい。
【0007】
保護チューブが、シャフトの径方向に沿って延在していることが好ましい。
【0008】
保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、保護チューブは、保護チューブの第1端に第1開口、保護チューブの第2端に第2開口を有し、第1開口は第2開口よりもシャフトの径方向外方に位置しており、第2開口の少なくとも一部が、シャフトの内側表面よりもシャフトの径方向内方に位置していることが好ましい。
【0009】
保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、保護チューブは、保護チューブの第1端に第1開口、保護チューブの第2端に第2開口を有し、第1開口は第2開口よりもシャフトの径方向外方に位置しており、保護チューブ内であって第1開口側に内側接着材が配置されていることが好ましい。
【0010】
内側接着材は、第1電極の内側表面と保護チューブの第1端の端面の間に配置されていることが好ましい。
【0011】
さらに、シャフトのうち側孔を形成している内壁面と保護チューブの外側表面の間であって、保護チューブの周方向の少なくとも一部に外側接着材が配置されていることが好ましい。
【0012】
外側接着材が、保護チューブの周方向全体に配置されていることが好ましい。
【0013】
外側接着材が、保護チューブの外側表面上であって、シャフトの内側表面よりもシャフトの径方向内方に配置されていることが好ましい。
【0014】
保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、保護チューブは、保護チューブの第1端に第1開口、保護チューブの第2端に第2開口を有し、第1開口は第2開口よりもシャフトの径方向外方に位置しており、保護チューブ内であって第1開口側に内側接着材が配置されており、内側接着材と外側接着材が同じ材料から構成されていることが好ましい。
【0015】
外側接着材は互いに異なる材料から構成されている第1外側接着材と第2外側接着材を有し、第1外側接着材は保護チューブの周方向の第1区間に配置されており、第2外側接着材は保護チューブの周方向の第1区間とは異なる第2区間に配置されていることが好ましい。
【0016】
保護チューブは、長手方向に第1端と第2端を有し、保護チューブは、保護チューブの第1端に第1開口、保護チューブの第2端に第2開口を有し、第1開口は第2開口よりもシャフトの径方向外方に位置しており、保護チューブ内であって第1開口側に内側接着材が配置されており、第1外側接着材と第2外側接着材のいずれか一方と、内側接着材が同じ材料から構成されていることが好ましい。
【0017】
シャフトの径方向において、第1電極の外側表面は、シャフトの外側表面と同一平面上またはシャフトの外側表面よりも内方に配置されていることが好ましい。
【0018】
側孔の中心軸とシャフトの長手方向のなす角度が鋭角であることが好ましい。
【0019】
保護チューブのうち、シャフトの内側表面よりもシャフトの径方向内方に配置されている部分の長さは、シャフトの内径よりも長いことが好ましい。
【0020】
シャフトの長手方向において、シャフトは補強区間と非補強区間を有し、補強区間には金属から構成されている補強材が配置されており、非補強区間は補強区間よりも遠位に位置し且つ補強材が配置されておらず、第1電極が補強区間に配置されており、第2電極が非補強区間であって第1電極よりも遠位側に配置されていることが好ましい。
【0021】
本発明は、カテーテルの製造方法も提供する。前記課題を解決することができた本発明のカテーテルの製造方法の一実施態様は、長手方向に第1端と第2端を有するシャフトであって、長手方向に延在している内腔を有するシャフトに内腔と連通する側孔を開ける工程と、側孔に保護チューブを挿入する工程と、保護チューブの外側表面に外側接着材を付ける工程と、保護チューブ内に、第1電極と電気的に接続している導線を挿入する工程と、保護チューブ内に内側接着材を入れる工程と、第1電極を側孔の上側に配置する工程と、を有する点に特徴を有する。上記製造方法は、側孔に挿入された保護チューブ内に導線を挿入する工程を有しているため、導線の挿入時にシャフトと導線が当接しにくくなり、シャフト内への導線の挿入作業が行いやすくなる。また、このようにシャフト内にスムーズに導線を挿入することができるため、導線のキンクや導線の表面被覆材の剥がれを防ぐこともできる。
【0022】
上記カテーテルの製造方法は、側孔に保護チューブを挿入する工程の前に、側孔の中心軸の方向を調整する工程をさらに有することが好ましい。
【0023】
上記カテーテルの製造方法は、保護チューブ内に導線を挿入する工程の前に、保護チューブのうちシャフトから突出している部分の少なくとも一部を除去する工程をさらに有することが好ましい。
【0024】
上記カテーテルの製造方法は、側孔に保護チューブを挿入する工程において、保護チューブを第1所定長さ分だけ挿入した後で、第1所定長さよりも短い第2所定長さ分だけ保護チューブを引き戻すことが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のカテーテルおよびその製造方法によれば、導線の挿入時にシャフトと導線が当接しにくくなり、シャフト内への導線の挿入作業が行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカテーテルの側面図を表す。
【
図2】
図1に示したカテーテルのII部分を拡大した側面断面図を表す。
【
図3】
図2に示したカテーテルの変形例を示す側面断面図を表す。
【
図4】
図2に示したカテーテルの他の変形例を示す側面断面図を表す。
【
図5】
図2に示したカテーテルのさらに他の変形例を示す側面断面図を表す。
【
図6】
図2に示したカテーテルのさらに他の変形例を示す側面断面図を表す。
【
図7】
図5に示したカテーテルのVII-VII断面図を表す。
【
図8】
図7に示したカテーテルの変形例を示す断面図を表す。
【
図9】
図7に示したカテーテルの他の変形例を示す断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0028】
本発明のカテーテルの一実施態様は、長手方向に第1端と第2端を有し、長手方向に延在している内腔を有するシャフトであって、内腔と連通する側孔を有するシャフトと、側孔に挿入されている保護チューブと、シャフトの外側に配置されている第1電極と、該第1電極に電気的に接続され、保護チューブ内を通ってシャフトの内腔に延在している導線と、を有する点に特徴を有する。上記カテーテルによれば、シャフトの側孔に保護チューブが挿入されているため、導線の挿入時にシャフトと導線が当接しにくくなり、シャフト内への導線の挿入作業が行いやすくなる。また、このようにシャフト内にスムーズに導線を挿入することができるため、導線の損傷を防ぐこともできる。
【0029】
図1~
図2を参照しながら、カテーテルの構成例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテルの側面図を表し、
図2は、
図1に示したカテーテルのII部分を拡大した側面断面図を表す。カテーテル1は、シャフト2と、保護チューブ10と、第1電極20と、導線30とを有している。シャフト2は長手方向を規定する第1端と第2端を有している。なお、カテーテル1およびシャフト2の遠位側とは、シャフト2の長手方向(換言すれば、シャフトの長手軸方向)の第1端側であって処置対象側を指す。カテーテル1およびシャフト2の近位側とはシャフト2の長手方向の第2端側であって使用者(術者)の手元側を指す。
図1においては左側が遠位側、右側が近位側を表している。また、シャフト2の径方向において、内方はシャフト2の長手軸中心に向かう方向を指し、外方は内方とは反対方向の放射方向を指す。
【0030】
カテーテル1は、例えば、不整脈の診断や治療に利用される。不整脈の診断では、カテーテル1を患者の体内に挿入し、電極を心臓の診断対象組織近傍に配置して、当該組織の電位を測定することにより心電図を得ることができる。また、不整脈の治療では、例えば、カテーテル1の電極に高周波電流を流すことにより体内組織を焼灼することができる。
【0031】
シャフト2はその遠位側が患者の体内に挿入される部材である。シャフト2は、長手方向に第1端と第2端を有している。シャフトはその長手方向に延在している内腔3を有している。シャフト2はその内腔3に導線30を配置するため、好ましくは筒状構造を有している。また、シャフト2は体内に挿入されるものであるため、好ましくは可撓性を有している。筒状構造を有するシャフト2としては、一または複数の線材を所定のパターンで配置することで形成された中空体;上記中空体の内側表面または外側表面の少なくともいずれか一方に樹脂をコーティングしたもの;筒状の樹脂チューブ;またはこれらを組み合わせたもの、例えばこれらをシャフト2の長手方向に接続したものが挙げられる。線材が所定のパターンで配置された中空体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが示される。線材は、一または複数の単線であってもよく、一または複数の撚線であってもよい。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。シャフト2が筒状の樹脂チューブである場合、シャフト2は単層または複数層から構成することができる。シャフト2はその長手方向または周方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。図示していないが、シャフト2の内腔3は複数設けられていてもよい。
図1に示すように、シャフト2の近位側には術者が把持するハンドル40が好ましく接続される。
【0032】
シャフト2は、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂や、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成することができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
図示していないが、シャフト2には、金属から構成されている補強材が配置されていてもよい。補強材は、層状に形成されていてもよく、単線または撚線の線材を特定のパターンで配置、または編組したものであってもよい。これにより、シャフト2の強度やトルク性を高めることができる。線材の断面の形状は、例えば、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状であってもよい。なお、補強材を構成する材料は、シャフト2を構成する金属の説明を参照することができる。補強材は、シャフト2の外側表面7上、内側表面6上、またはシャフト2の壁内に配置することができる。
【0034】
補強材は、シャフト2の長手方向の少なくとも一部に設けられていることが好ましい。例えば、
図1に示すように、シャフト2の長手方向において、シャフト2は補強区間2Aと非補強区間2Bを有していてもよい。補強区間2Aは、金属から構成されている補強材が配置されている区間である。非補強区間2Bは、補強区間2Aよりも遠位に位置し、補強材が配置されていない区間である。これにより、非補強区間2Bではシャフト2の柔軟性を高めることができるため、カテーテル1を体腔形状に沿って湾曲させやすくなる。また、補強区間2Aではシャフト2の寸法安定性を高めることができる。
【0035】
シャフト2は内腔3と連通する側孔4を有している。これにより、側孔4を通じてシャフト2の内腔3に導線30を挿入することができる。側孔4には保護チューブ10が挿入されている。側孔4はシャフト2の外から内腔3まで貫通するように設けられている。
【0036】
側孔4の中心軸がシャフト2の径方向と一致するように設けられていてもよい。また、側孔4の中心軸がシャフト2の遠位側から近位側に向かって径方向の外方から内方に延在していてもよい。
【0037】
側孔4の中心軸とシャフト2の長手方向のなす角度は鋭角であることが好ましい。これにより、保護チューブ10の向きをより効果的に制御することができる。具体的には、側孔4の中心軸とシャフト2の長手方向のなす角度は20度以上、25度以上、または30度以上とすることができ、あるいは、60度以下、55度以下、または50度以下とすることもできる。
【0038】
第1電極20は、電位測定時に測定用の電極または参照用の電極(例えばグランド用の電極)として機能するものである。第1電極20は、シャフト2の外側に配置されている。第1電極20の形状としては、例えば、リング状、リングに切れ込みが入った断面C字の形状、線材を巻回したコイル状が挙げられる。第1電極20をシャフト2にかしめることにより、シャフト2に電極を配置することができる。第1電極20は一または複数設けることができる。
【0039】
第1電極20は導電性を有していればよく、金属、または樹脂と金属を含む混合物から構成することができる。中でも、第1電極20の材料としては導電性樹脂、白金、白金イリジウム合金、ステンレス、タングステン等の金属を用いることが好ましい。X線透視下で目視可能とするために、上記導電性樹脂は硫酸バリウムや酸化ビスマス等の造影剤を含むことが好ましい。
【0040】
導線30は、第1電極20とカテーテル1の外部機器、例えば心電図計とを電気的に接続するものである。導線30は、第1電極20に電気的に接続され、保護チューブ10内を通ってシャフト2の内腔3に延在している。これにより、第1の電極20と心電図計は電気的導通性が確保された状態となる。このようにシャフト2の側孔4に保護チューブ10が挿入されているため、導線30の挿入時にシャフト2と導線30が当接しにくくなり、シャフト2内への導線30の挿入作業が行いやすくなる。また、シャフト2が補強材を有し、側孔4を形成している内壁面5において補強材が露出している場合であっても、保護チューブ10によって導線30を保護することができるため、導線30の損傷を防ぐこともできる。
【0041】
導線30は、導電性を有していればよく、例えば、銅線、鉄線、ステンレス鋼線、ピアノ線、タングステン線、ニッケルチタン線等を用いることができる。導線30は、長手方向の両端部以外の部分が被覆チューブ等の被覆材で覆われていてもよい。これにより、隣接する部材との短絡を防ぐことができる。導線30の被覆材は、例えばウレタン樹脂やエポキシ樹脂から構成することができる。
【0042】
第1電極20と導線30は、レーザー溶接、抵抗溶接、接着剤による接着等の方法で接続することができる。
【0043】
保護チューブ10は、導線30をシャフト2の内腔3に挿入しやすくするために設けられる。保護チューブ10は、側孔4の深さ方向の一部に挿入されていてもよく、側孔4の深さ方向全体に挿入されていてもよい。保護チューブ10は、樹脂チューブであることが好ましい。保護チューブ10の長手方向と垂直な断面の形状は、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの形状に切れ込みが入ったC字形状、U字形状等にすることができる。
【0044】
保護チューブ10を構成する材料としては、シャフト2を構成する材料のうち合成樹脂の説明を参照することができるが、中でも、寸法安定性と側孔4への挿入性が良好であることからポリイミド樹脂またはポリアミド樹脂が好ましい。
【0045】
保護チューブ10はその内腔に導線30を挿入可能な大きさを有していればよい。導線30の外径は、例えば、0.05mm以上、0.1mm以上、または0.2mm以上、あるいは、1mm以下、0.8mm以下、または0.5mm以下とすることができる。このため、保護チューブ10の内径は、0.1mm以上、0.2mm以上、または0.3mm以上、あるいは、1.2mm以下、1mm以下、または0.8mm以下とすることも許容される。
【0046】
保護チューブ10の内腔に導線30を挿入しやすくするために、保護チューブ10の内径は導線30の外径よりも大きいことが好ましい。詳細には、保護チューブ10の内径が、導線30の外径の1.1倍以上であることがより好ましく、あるいは3倍以下、2.4倍以下、または1.6倍以下とすることも許容される。
【0047】
保護チューブ10の肉厚は、その寸法を保持できる程度であれば特に限定されず、例えば、0.005mm以上、0.01mm以上、または0.02mm以上とすることができ、また、0.1mm以下、0.08mm以下、0.05mm以下とすることも許容される。
【0048】
図2に示すように、保護チューブ10は長手方向に第1端と第2端を有している。保護チューブ10は、保護チューブ10の第1端に第1開口11、保護チューブ10の第2端に第2開口12を有している。このように両端が開口していることにより、保護チューブ10に導線30を挿通することが可能となる。また、第1開口11は、第2開口12よりもシャフト2の径方向外方に位置しており、第2開口12の近位端12Aは、第1開口11の近位端11Aよりも近位側に位置していることが好ましい。このように保護チューブ10の長手方向において第1開口11と第2開口12の位置をずらすことにより、導線30に屈曲部が形成されにくくなるため、導線30のキンクを防ぐことができる。
【0049】
保護チューブ10の延在方向は特に限定されないが、導線30のキンクを防ぐ観点では、保護チューブ10がシャフト2の長手方向に対して傾斜するように延在していることが好ましい。保護チューブ10の長手方向とシャフト2の長手方向のなす角度が鋭角であることがより好ましい。具体的には、保護チューブ10の長手方向とシャフト2の長手方向のなす角度は20度以上、25度以上、または30度以上とすることができ、あるいは、60度以下、55度以下、または50度以下とすることもできる。
【0050】
図3~
図6は、
図2に示したカテーテルの変形例を示す側面断面図を表す。
図3に示すように、保護チューブ10がシャフト2の径方向に沿って延在していてもよい。これにより、シャフト2の側孔4への保護チューブ10の挿入作業が行いやすくなる。また、シャフト2の側孔4への保護チューブ10の挿入時において保護チューブ10のキンクを防ぐことができる。
【0051】
図4では、保護チューブ10は、長手方向に第1端と第2端を有している。保護チューブ10は、保護チューブ10の第1端に第1開口11、保護チューブ10の第2端に第2開口12を有している。第1開口11は、第2開口12よりもシャフト2の径方向外方に位置している。この場合、第2開口12の少なくとも一部が、シャフト2の内側表面6よりも径方向内方に位置していることが好ましい。これにより、保護チューブ10をシャフト2の内腔3に配置することができるため、シャフト2の内側表面6と導線30を当接しにくくすることができる。
【0052】
図4に示すように、保護チューブ10の長手方向において、シャフト2の内側表面6よりもシャフト2の径方向内方に配置されている部分が、シャフト2の側孔4内に配置されている部分よりも長いことが好ましい。このように保護チューブ10を配置することにより、保護チューブ10の第2開口12側では保護チューブ10はシャフト2の長手方向に沿って延在しやすくなる。その結果、導線30に屈曲部が形成されにくくなるため、導線30のキンクを防ぐことができる。
【0053】
図示していないが、保護チューブ10の第2端の端面(第2開口12の開口端面)は、シャフト2の内側表面6と当接していないことが好ましい。さらに、保護チューブ10の第2開口12側の外側表面が、シャフト2の内側表面6と当接していることが好ましい。このように保護チューブ10を配置することによっても導線30に屈曲部が形成されにくくなるため、導線30のキンクを防ぐことができる。
【0054】
保護チューブ10のうち、シャフト2の内側表面6よりもシャフト2の径方向内方に配置されている部分の長さは、シャフト2の内径よりも長いことが好ましい。このように保護チューブ10の長さを設定することにより、保護チューブ10の第2開口12側では保護チューブ10はシャフト2の長手方向に沿って延在しやすくなり、導線30に屈曲部が形成されにくくなるため、導線30のキンクを防ぐことができる。
【0055】
以下では、シャフト2からの保護チューブ10の抜けを防ぐための態様について説明する。
図5では、保護チューブ10は、長手方向に第1端と第2端を有している。保護チューブ10は、保護チューブ10の第1端に第1開口11、保護チューブ10の第2端に第2開口12を有している。第1開口11は、第2開口12よりもシャフト2の径方向外方に配置されている。この場合、保護チューブ10内であって第1開口11側に内側接着材35が配置されていることが好ましい。これにより、第1電極20と導線30と保護チューブ10を強固に固定することができるため、保護チューブ10のシャフト2からの抜けを防ぐことができる。第1電極20は、側孔4上に配置されることが好ましい。内側接着材35は、シャフト2の内側表面6よりもシャフト2の径方向内方まで配置されていてもよい。
【0056】
導線30のキンクを防ぐ観点からは、内側接着材35は、保護チューブ10のその長手方向の一部にのみ配置されており、長手方向全体には配置されていないことが好ましく、保護チューブ10内であって第2開口12側には内側接着材35が配置されていないことがより好ましい。
【0057】
内側接着材35は、第1電極20の内側表面21と保護チューブ10の内側表面13に当接していることが好ましい。これにより、第1電極20と保護チューブ10を強固に固定することができる。
【0058】
図6に示すように、内側接着材35は、第1電極20の内側表面21と保護チューブ10の第1端の端面15の間に配置されていることが好ましい。このように内側接着材35を配置することにより、第1電極20と保護チューブ10をより一層強固に固定することができる。
【0059】
図7は、
図5に示したカテーテルのVII-VII断面図を表している。
図7に示すように、シャフト2のうち側孔4を形成している内壁面5と保護チューブ10の外側表面14の間であって、保護チューブ10の周方向の少なくとも一部に外側接着材36が配置されていることが好ましい。これにより、保護チューブ10をシャフト2の側孔4に強固に固定することができるため、シャフト2からの保護チューブ10の抜けを防ぐことができる。
【0060】
図7に示すように、外側接着材36は、保護チューブ10の周方向全体に配置されていることがより好ましい。これにより、シャフト2の側孔4に保護チューブ10をより一層強固に固定することができる。
【0061】
図8~
図9は、
図7に示したカテーテルの変形例を示す断面図を表す。
図8に示すように、外側接着材36は、保護チューブ10の周方向の一部にのみ配置されていてもよい。このように外側接着材36を配置することによっても、シャフト2の側孔4に保護チューブ10を強固に固定することができる。
【0062】
外側接着材36や内側接着材35としては、ポリウレタン系、エポキシ系、シアノ系、またはシリコーン系の接着剤が好ましい。外側接着材36と内側接着材35は同じ材料から構成されていてもよく、互いに異なる材料から構成されていてもよい。
【0063】
保護チューブ10は、長手方向に第1端と第2端を有している。保護チューブ10は、保護チューブ10の第1端に第1開口11、保護チューブ10の第2端に第2開口12を有している。第1開口11は、第2開口12よりもシャフト2の径方向外方に配置されている。この場合、保護チューブ10内であって第1開口11側に内側接着材35が配置されており、内側接着材35と外側接着材36が同じ材料から構成されていることが好ましい。これにより、内側接着材35と外側接着材36が一体的に硬化されやすくなり、内側接着材35と外側接着材36の接合が良好となる。その結果、シャフト2からの保護チューブ10の抜けをより一層防ぐことができる。
【0064】
図9に示すように、外側接着材36は、互いに異なる材料から構成されている第1外側接着材38と第2外側接着材39を有し、第1外側接着材38は、保護チューブ10の周方向の第1区間に配置されており、第2外側接着材39は、保護チューブ10の周方向の第1区間とは異なる第2区間に配置されていることが好ましい。このように少なくとも2種類の接着材を用いることにより、シャフト2からの保護チューブ10の抜けをより一層防ぐことができる。
【0065】
図示していないが、保護チューブ10の周方向において第1外側接着材38と第2外側接着材39が少なくとも2箇所ずつ配置されていてもよい。即ち、保護チューブ10の周方向において、第1区間と第2区間が少なくとも2つずつ配置されていてもよい。その際、第1外側接着材38と第2外側接着材39が、保護チューブ10の周方向において交互に配置されていてもよい。
【0066】
保護チューブ10は、長手方向に第1端と第2端を有している。保護チューブ10は、保護チューブ10の第1端に第1開口11、保護チューブ10の第2端に第2開口12を有している。第1開口11は第2開口12よりもシャフト2の径方向外方に配置されている。この場合、保護チューブ10内であって第1開口11側に内側接着材35が配置されており、第1外側接着材38と第2外側接着材39のいずれか一方と、内側接着材35が同じ材料から構成されていることが好ましい。これにより、第1外側接着材38と第2外側接着材39のいずれか一方と内側接着材35が一体的に硬化されやすくなり、これら接着材どうしの接合が良好となる。その結果、シャフト2からの保護チューブ10の抜けをより一層防ぐことができる。
【0067】
図5~
図6に示すように、外側接着材36は、保護チューブ10の外側表面14上であって、シャフト2の内側表面6よりもシャフト2の径方向内方に配置されていることが好ましい。すなわち、外側接着材36は、保護チューブ10の第2開口12側にカエシ部37を有していることが好ましい。このように外側接着材36を配置することによっても、保護チューブ10をシャフト2に強固に固定することができるため、シャフト2からの保護チューブ10の抜けを防ぐことができる。
【0068】
シャフト2の径方向において、第1電極20の外側表面22は、シャフト2の外側表面7と同一平面上またはシャフト2の外側表面7よりも内方に配置されていることが好ましい。接着材のシャフト2の外側表面への露出を防ぐことができる。また、接着材が第1電極20とシャフト2との間で効果的に圧着されて密閉性が高まり、シャフト2内への液体の流入を防ぐ効果を高めることができる。
【0069】
図1では、シャフト2はその長手方向において補強区間2Aと非補強区間2Bを有している。補強区間2Aは、金属から構成されている補強材が配置されている区間である。非補強区間2Bは、補強区間2Aよりも遠位に位置し、補強材が配置されていない区間である。この場合、第1電極20が補強区間2Aに配置されており、第2電極25が非補強区間2Bであって第1電極20よりも遠位側に配置されていることが好ましい。その場合、第1電極20が参照用の電極であり、第2電極25が測定用の電極であることが好ましい。このように第1電極20を参照用の電極として用いることにより、シャープな心電図波形を得ることができる。また、得られた測定データを用いて3Dマッピングが可能となり、カテーテル1が挿入された部位の内部構造をより正確に把握することができる。参照用の電極は、電極電位の測定時に電位の基準点を与える電極である。様々な位置での電位を測定するためには、
図1に示すように第2電極25は複数設けられていることが好ましい。その他、第2電極25の構造、構成材料および導線との接続については、第1電極20の説明を参照することができる。
【0070】
シャフト2のうち第2電極25が設けられる非補強区間2Bには補強材が配置されないため、側孔4を形成している内壁面5には補強材が露出することがない。このため、第2電極25に電気的に接続されている導線(図示せず)は、保護チューブ10が挿入されていない側孔4からシャフト2の内腔3に挿入されていてもよい。
【0071】
次に、カテーテル1の製造方法について説明する。本発明のカテーテル1の製造方法の一実施形態は、長手方向に第1端と第2端を有するシャフト2であって、長手方向に延在している内腔3を有するシャフト2に内腔3と連通する側孔4を開ける工程と、側孔4に保護チューブ10を挿入する工程と、保護チューブ10の外側表面14に外側接着材36を付ける工程と、保護チューブ10内に、第1電極20と電気的に接続している導線30を挿入する工程と、保護チューブ10内に内側接着材35を入れる工程と、第1電極20を側孔4の上側に配置する工程と、を有する点に要旨を有する。
【0072】
まず、シャフト2と、保護チューブ10と、第1電極20と、導線30を準備する。
【0073】
長手方向に第1端と第2端を有するシャフト2であって、長手方向に延在している内腔3を有しているシャフト2に内腔3と連通する側孔4を開ける。側孔4の形成は、レーザー加工機やキリ等の穴開け具を用いることができる。側孔4は、シャフト2の外から内腔3まで貫通するように形成されることが好ましい。
【0074】
側孔4に保護チューブ10を挿入する。これにより、導線30の挿入時にシャフト2と導線30が当接しにくくなり、シャフト2内への導線30の挿入作業が行いやすくなる。また、シャフト2内にスムーズに導線30を挿入することができるため、導線30のキンクや導線30の表面被覆材の剥がれを防ぐこともできる。なお、側孔4の深さ方向の一部に保護チューブ10を挿入してもよく、深さ方向全体またはそれより長く保護チューブ10を挿入してもよい。
【0075】
側孔4に保護チューブ10を挿入する工程の前に、側孔4の中心軸の方向を調整する工程をさらに有することが好ましい。これにより、側孔4に挿入される保護チューブ10の延在方向を調整することができる。側孔4の中心軸の方向の調整は、例えば、側孔4の径と同一か、これよりも大きな外径を有する棒状部材を側孔4に挿入することにより行うことができる。棒状部材を側孔4に挿入した後、シャフト2の長手方向に対して棒状部材が傾斜して配置されるように棒状部材を動かすと、側孔4の中心軸をシャフト2の長手方向に対して傾斜させることができる。側孔4の中心軸の方向を調整する工程の前において、側孔4の中心軸は、シャフト2の径方向と平行であってもよい。棒状部材としては、例えばその長手方向と垂直な断面形状が円形または長円形を有し、ステンレス鋼等の金属から構成されているものを用いることができる。
【0076】
保護チューブ10の外側表面14に外側接着材36を付ける。これにより、保護チューブ10の外側表面14と側孔4を形成している内壁面5が互いに接合されるため、シャフト2からの保護チューブ10の抜けを防ぐことができる。外側接着材36を、保護チューブ10の周方向の一部に付けてもよく、周方向全体に付けてもよい。また、上述したように、第1外側接着材38と第2外側接着材39を保護チューブ10に付けてもよい。なお、側孔4に保護チューブ10を挿入する工程の後に、保護チューブ10の外側表面14に外側接着材36を付ける工程を行うことが好ましい。
【0077】
側孔4に保護チューブ10を挿入する工程において、保護チューブ10を第1所定長さ分だけ挿入した後で、第1所定長さよりも短い第2所定長さ分だけ保護チューブ10を引き戻すことが好ましい。これにより、外側接着材36に
図5~
図6に示すようなカエシ部37を形成することができる。その結果、保護チューブ10がシャフト2に強固に固定されるため、シャフト2からの保護チューブ10の抜けを防ぐことができる。
【0078】
保護チューブ10内に、第1電極20と電気的に接続している導線30を挿入する。電極と導線30は、レーザー溶接、抵抗溶接、接着剤による接着等により電気的に接続することができる。
【0079】
保護チューブ10内に導線30を挿入する工程の前に、保護チューブ10のうちシャフト2から突出している部分の少なくとも一部を除去する工程をさらに有することが好ましい。これにより、かしめ等によって第1電極20をシャフト2に取り付ける際に、シャフト2の径方向において第1電極20とシャフト2の間に保護チューブ10の一部が挟まれにくくなる。その結果、シャフト2の外側表面7から第1電極20が径方向の外方に突出しにくくなる。保護チューブ10の除去には、ナイフ、カミソリ等の刃物を用いることができる。刃物によって、保護チューブ10の一部を切り取ることができる。
【0080】
保護チューブ10内に内側接着材35を入れる。これにより、第1電極20と保護チューブ10と導線30とを強固に固定することができるため、シャフト2からの保護チューブ10の抜けを防ぐことができる。
【0081】
第1電極20を側孔4の上側に配置する。第1電極20の配置後、第1電極20をシャフト2にかしめることにより、シャフト2に第1電極20を固定することができる。なお、第1電極20を側孔4の上側に配置する工程の前に、保護チューブ10内に内側接着材35を入れる工程を行うことが好ましい。
【0082】
本願は、2019年6月25日に出願された日本国特許出願第2019-117003号に基づく優先権の利益を主張するものである。2019年6月25日に出願された日本国特許出願第2019-117003号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【符号の説明】
【0083】
1:カテーテル
2:シャフト
2A:補強区間
2B:非補強区間
3:内腔
4:側孔
5:側孔を形成している内壁面
6:内側表面
7:外側表面
10:保護チューブ
11:第1開口
11A:第1開口の近位端
12:第2開口
12A:第2開口の近位端
13:保護チューブの内側表面
14:保護チューブの外側表面
15:保護チューブの第1端の端面
20:第1電極
21:内側表面
22:外側表面
25:第2電極
30:導線
35:内側接着材
36:外側接着材
37:カエシ部
38:第1外側接着材
39:第2外側接着材