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特許7464601臭気の低減に有用な熱可塑性ポリオレフィン組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】臭気の低減に有用な熱可塑性ポリオレフィン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/10 20060101AFI20240402BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C08L23/10
C08L23/16
C08K5/07
C08K3/26
C08K3/34
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021530914
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 CN2018118093
(87)【国際公開番号】W WO2020107304
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リ、ハイイン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、アントン
(72)【発明者】
【氏名】フォン、シャオカン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シウハン
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ、チアン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ミン
(72)【発明者】
【氏名】コン、ヨンファ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ、シウメイ
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-516389(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106046541(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106009541(CN,A)
【文献】特開2014-196379(JP,A)
【文献】特表2020-521847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/
C08K 5/07
C08K 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリプロピレンポリマーと、
(B)エラストマー成分と、
(C)添加剤成分と、
(D)ポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む、捕捉剤成分であって、
前記ポリアセトアセテート化合物が、以下からなる群から選択される、
【化1】

捕捉剤成分と、を含む、熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
(A)29.99重量%~99.99重量%のポリプロピレンポリマーと、
(B)0重量%~70重量%のエラストマー成分と、
(C)0重量%~40重量%の添加剤成分と、
(D)ポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む、0.01重量%~5重量%の捕捉剤成分であって、
前記ポリアセトアセテート化合物が、以下からなる群から選択される、
【化2】

捕捉剤成分と、を含む、熱可塑性ポリオレフィン組成物。
【請求項3】
前記(D)捕捉剤成分が、1:0.1~1:10のポリアセトアセテート化合物対炭酸カルシウムの比を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(B)エラストマー成分が、エチレン/α-オレフィンコポリマーである、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記(C)添加剤成分が、タルクおよび酸化防止剤を含む、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、VOC試験方法に従って、0mg/m~0.05mg/m以下のホルムアルデヒド、0mg/m~1mg/m以下のアセトアルデヒド、0mg/m~0.05mg/m以下のアクロレイン、0mg/m~0.05mg/m以下のプロピオンアルデヒド、および0mg/m~0.05mg/m以下のクロトンアルデヒドを含有する、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、臭気グレード試験に従って、前記(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、より低い臭気グレードを有する、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、以下(i)~(vi)のうちの少なくとも1つに関して10%未満の差を呈する、
(i)ISO527によって測定した、MPaでの引張弾性率、
(ii)ISO527によって測定した、MPaでの引張降伏強度、
(iii)ASTM D790によって測定した、MPaでの曲げヤング率、
(iv)ASTM D790によって測定した、MPaでの曲げ降伏強度、
(v)ISO180によって23℃で測定した、kJ/mでのアイゾット衝撃強度、および
(vi)ISO180によって-30℃で測定した、kJ/mでのアイゾット衝撃強度、
請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の組成物から作製された物品。
【請求項10】
自動車内装部品の形態である、請求項9に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、臭気の低減に有用な熱可塑性ポリオレフィン組成物に関する。そのような組成物は、アルデヒドの軽減、ならびに機械的特性のバランスの維持または改善にさらに有用である。
【背景技術】
【0002】
自動車内装部品は、典型的には、ポリオレフィンエラストマー(POE)を含有するTPO組成物などの熱可塑性ポリオレフィン(TPO)組成物から作製されている。車内の空気品質に関する消費者の懸念の高まりにより、アルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)の、自動車内装部品において許容可能な濃度を制限する政府の規制が導入されている。VOCの低減とは別に、臭気の低減または増加させないこと、自動車内装部品として重要な機械的特性を維持または改善することが重要である。本組成物は、最新技術におけるそのような必要性に対処する。
【発明の概要】
【0003】
特定の実施形態では、本開示は、熱可塑性ポリオレフィン組成物に関し、本熱可塑性ポリオレフィン組成物は、
(A)ポリプロピレンポリマーと、
(B)エラストマー成分と、
(C)添加剤成分と、
(D)ポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む、捕捉剤成分であって、
ポリアセトアセテート化合物が、式(I)を有し、
【化1】

式中、
Aが、ポリマー骨格、C~C30置換または非置換の直鎖または分岐アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルカリール基であり、置換基が、1つ以上のO、N、S、ハロゲン、またはホスフィンであってもよく、
が、結合またはC~C30直鎖もしくは分岐アルキル、アリール、アリールアルキル、もしくはアルカリール基であり、
が、置換もしくは非置換C~Cアルキル基、または置換もしくは非置換アリール基であり、
nが、2~100の数である、捕捉剤成分と、を含む。
【0004】
任意選択的に、特定の実施形態では、本開示の組成物は、(E)相溶化剤をさらに含み得る。
【0005】
さらなる実施形態では、本開示は、熱可塑性ポリオレフィン組成物であって、
(A)29.99重量%~99.99重量%のポリプロピレンポリマーと、
(B)0重量%~70重量%のエラストマー成分と、
(C)0重量%~40重量%の添加剤成分と、
(D)ポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む、0.01重量%~5重量%の捕捉剤成分であって、
ポリアセトアセテート化合物が、式(I)を有し、
【化2】

式中、
Aが、ポリマー骨格、C~C30置換または非置換の直鎖または分岐アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルカリール基であり、置換基が、1つ以上のO、N、S、ハロゲン、またはホスフィンであってもよく、
が、結合またはC~C30直鎖もしくは分岐アルキル、アリール、アリールアルキル、もしくはアルカリール基であり、
が、置換もしくは非置換C~Cアルキル基、または置換もしくは非置換アリール基であり、
nが、2~100の数である、捕捉剤成分と、を含む、熱可塑性ポリオレフィン組成物に関する。
【0006】
任意選択的に、特定の実施形態では、本開示の組成物は、0重量%~10重量%の(E)相溶化剤をさらに含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
米国特許実務を目的として、任意の参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に定義の開示(本開示に具体的に提供される任意の定義に矛盾しない範囲で)、およびこの技術分野における一般的知識に関して、参照によりこれらの全体が組み込まれる(または、その同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値から上限値(これらを含む)までのすべての値、ならびに10進値を含む。明示的な値(例えば、1~7)を含む範囲に関して、任意の2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含有する(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0009】
反対の記載がない限り、または当技術分野において慣習的にそうでないと述べられていない限り、文脈から示唆されない限り、すべての部およびパーセントは重量を基準としており、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0010】
「エラストマー」は、比較的低い応力下で大きな可逆的変形を受けるポリマーである。エラストマーは、熱可塑性または熱硬化性のいずれかであり得る。「熱可塑性エラストマー」は、熱可塑性の特性を有するエラストマーである。すなわち、熱可塑性エラストマーは、任意選択的に成形されるか、または他の方法で形成され、溶融点または軟化点を超える温度で再処理される。本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、熱可塑性エラストマーである。
【0011】
「エチレン系ポリマー」、「エチレンポリマー」、「ポリエチレン」、または同様の用語は、(ポリマーの総重量に基づいて)50重量%以上、または過半量の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る、ポリマーを意味する。
【0012】
「エチレン/α-オレフィンポリマー」または「エチレン/アルファ-オレフィンポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、50重量%以上、または過半量の重合エチレン、および1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー含有し得る、ポリマーである。
【0013】
「ホモポリマー」は、単一のモノマー型に由来する反復単位を含むポリマーであるが、連鎖移動剤などのホモポリマーを調製する際に使用される残存量の他の成分を除外しない。
【0014】
「オレフィンポリマー」、「オレフィン性ポリマー」、「オレフィン性インターポリマー」、「ポリオレフィン」などの用語は、単純なオレフィンから誘導されたポリマーを指す。「ポリオレフィン」は、(ポリマーの総重量に基づいて)50重量%以上または過半量の重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有してもよい。α-オレフィンモノマーの非限定的な例としては、C、またはC~C、またはC、またはC、またはC10、またはC12、またはC16、またはC18、またはC20α-オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、および1-オクテンなどが挙げられる。代表的なポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、およびこれらの様々なインターポリマーが挙げられる。
【0015】
「ポリマー」は、同じタイプまたは異なるタイプであるかに関わらず、重合モノマーによって調製される化合物であり、重合形態で、ポリマーを成す複数ならびに/または反復「単位」もしくは「構造単位」を提供する。「ポリマー」としては、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマーなどが含まれる。「ポリマー」はまた、例えば、ランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーも包含する。「インターポリマー」は、少なくとも2種類のモノマーまたはコモノマーの重合によって調製されるポリマーである。インターポリマーには、これらに限定されないが、(通常、2種の異なる種類のモノマーまたはコモノマーから調製されるポリマーを指す)コポリマー、(通常、3種の異なる種類のモノマーまたはコモノマーから調製されるポリマーを指す)ターポリマー、(通常、4種の異なる種類のモノマーまたはコモノマーから調製されるポリマーを指す)テトラポリマーなどが含まれる。「エチレン/α-オレフィンコポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、それぞれエチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合可能なα-オレフィンモノマーとを重合することから調製される、上記のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマーまたはモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残留物を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意する。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0016】
「ポリプロピレンポリマー」、「プロピレン系ポリマー」、または「プロピレンポリマー」は、(ポリマーの総重量に基づいて)50重量%以上また過半量の重合プロピレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有してもよい。したがって、「ポリプロピレン」という一般用語は、プロピレンホモポリマー、プロピレンインターポリマー、2つ以上のプロピレンホモポリマーのブレンド、2つ以上のプロピレンインターポリマーのブレンド、および1つ以上のプロピレンホモポリマーと1つ以上のプロピレンインターポリマーとのブレンドを含む。
【0017】
「ポリスチレン」は、モノマーの唯一の種類としてスチレンモノマーから調製された芳香族ポリマーである。したがって、ポリスチレンはスチレンホモポリマーである。「ポリスチレン」という総称は、耐衝撃性改良ポリスチレンを含む。
【0018】
「スチレンブロックコポリマー」は、別のコモノマーの別のブロックセグメントと組み合わせて少なくとも1つのスチレンモノマーのブロックセグメントを有するエラストマーである。スチレンブロックコポリマーの構造は、直鎖または放射型、およびジブロックまたはトリブロック型であり得る。スチレンブロックコポリマーは、登録商標名VECTORの下でDexco Polymersから、登録商標名KRATONの下でKraton Corporationから、および登録商標名SOLPRENEの下でDynasolから入手可能である。
【0019】
「熱可塑性」材料は、加熱すると繰り返し軟化して流動可能になり、室温まで冷却すると硬化状態に戻ることができる直鎖または分岐ポリマーである。さらに、熱可塑性プラスチックは、軟化状態に加熱されると、いずれかの所定の形状の物品に成形または押し出されることができる。
【0020】
(A)ポリプロピレンポリマー
本組成物は、ポリプロピレンポリマーを含む。特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、29.99重量%~99.99重量%(例えば、30重量%~99.99重量%、35重量%~90重量%、40重量%~90重量%、45重量%~90重量%、50重量%~90重量%、50重量%~85重量%、55重量%~80重量%、60重量%~75重量%、65重量%~75重量%、70重量%~75重量%、または70重量%~71重量%)のポリプロピレンポリマーを含む。言い換えれば、特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、29.99重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%~71重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または99.99重量%のポリプロピレンポリマーを含む。
【0021】
特定の実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、50重量%超、または60重量%、または70重量%、または75重量%から、80重量%、または90重量%、または95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%までの重合プロピレンモノマーを含有する。ポリプロピレンポリマーの残部は、エチレンおよび/または4、もしくは6~8、もしくは12、もしくは16、もしくは20個の炭素原子を有するα-オレフィンの単位に由来する。一実施形態では、α-オレフィンは、C~C20の直鎖、分岐、または環状α-オレフィンである。
【0022】
好適なポリプロピレンポリマーの非限定的な例には、ポリプロピレンホモポリマー(Braskem(商標)ポリプロピレンH502-25RZなど)、ポリプロピレンランダムコポリマー(Braskem(商標)ポリプロピレンR751-12Nなど)、ポリプロピレンインパクトコポリマー(SK Global Chemicalから入手可能なYUPLENE(商標)BX3900、およびBraskem(商標)ポリプロピレンT702-12Nなど)、グラフトポリプロピレンコポリマー、およびブロックプロピレンコポリマー(Dow Chemical Companyから入手可能なポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー(PP-OBC)など)が挙げられる。
【0023】
様々な実施形態では、ポリプロピレンポリマーはポリプロピレン衝撃コポリマーである。
【0024】
様々な実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、ASTM D792に従って、0.890~0.920g/cm(例えば、0.890~0.915g/cm、0.890~0.910g/cm、0.895~0.905g/cmなど)の密度を有する。言い換えれば、様々な実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、ASTM D792に従って、0.890g/cm、または0.895g/cm、または0.900g/cmから、0.905g/cm、または0.910g/cm、または0.915g/cm、または0.920g/cmまでの密度を有する。
【0025】
様々な実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、ASTM D1238に従って230℃/2.16kgで1g/10分~200g/10分(例えば、1g/10分~150g/10分、15g/10分~100g/10分、30g/10分~100g/10分、40~90g/10分、45~80g/10分、50~70g/10分、55~65g/10分など)のメルトフローレートを有する。言い換えれば、様々な実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、ASTM D1238に従って230℃/2.16 kgで、1g/10分、または15g/10分、または30g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または55g/10分、または60g/10分から、65g/10分、または70g/10分、または80g/10分、または90g/10分、または100g/10分、または150g/10分、または200g/10分までのメルトフローレートを有する。
【0026】
本明細書での使用に好適なポリプロピレンは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有し得る:
(a)ASTM D792に従って、0.890g/cm、もしくは0.895g/cm、もしくは0.900g/cm~0.905g/cm、もしくは0.910g/cm、もしくは0.915g/cm、もしくは0.920g/cmの密度、および/または
(b)ASTM D1238に従って230℃/2.16kgで、50g/10分、もしくは55g/10分、もしくは60g/10分~65g/10分、もしくは70g/10分、もしくは80g/10分、もしくは90g/10分、もしくは100g/10分のメルトフローレート。
【0027】
1つ以上の実施形態では、ポリプロピレンポリマーは、0.900g/cmの密度(ASTM D792)および60g/10分のメルトフローレート(ASTM D1238、230℃/2.16kg)を有するポリプロピレンインパクトコポリマーである。
【0028】
ポリプロピレンポリマーは、本明細書に開示される1つ以上の実施形態を含み得る。
【0029】
(B)エラストマー成分
本組成物はエラストマー成分を含む。特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%~70重量%(例えば、1重量%~65重量%、1重量%~60重量%、1重量%~55重量%、1重量%~50重量%、1重量%~45重量%、1重量%~40重量%、5重量%~35重量%、5重量%~30重量%、5重量%~25重量%、10重量%~20重量%、10重量%~15重量%、12重量%~15重量%、または12重量%~13重量%)のエラストマー成分を含む。別の言い方をすると、特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または12重量%~13重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%のエラストマー成分を含む。
【0030】
本組成物のエラストマー成分は、ポリオレフィンエラストマー、スチレンブロックコポリマー、エラストマーアロイ、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0031】
特定の実施形態では、本組成物のエラストマー成分はポリオレフィンエラストマーである。
【0032】
特定の実施形態では、本組成物のポリオレフィンエラストマーは、ポリオレフィンエラストマーまたはポリオレフィンエラストマーの混合物である。「ポリオレフィンエラストマー」は、1つ以上のα-オレフィン(重合性モノマーの総量に基づく)に由来する単位の少なくとも50モルパーセント(mol%)含有するか、または50重量以上もしくは過半量の重合α-オレフィンモノマー(エラストマーの総重量に基づく)を含有する、エラストマーポリマーである。様々な実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレンを含むα-オレフィンモノマー残基のみからなる。かかるポリオレフィンエラストマーは、ホモポリマーまたはインターポリマーのいずれかであり得る。ポリオレフィンホモポリマーの例は、エチレンまたはプロピレンのホモポリマーである。ポリオレフィンインターポリマーの例は、エチレン/α-オレフィンインターポリマーおよびプロピレン/α-オレフィンインターポリマーである。そのような実施形態では、α-オレフィンは、C3~20線状、分岐または環状α-オレフィンであり得る(プロピレン/α-オレフィンインターポリマーの場合、エチレンは、α-オレフィンと見なされる)。C3~20α-オレフィンの例には、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含有することができ、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンをもたらす。例示的なポリオレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテンなどが含まれる。例示的なターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、およびエチレン/ブテン/1-オクテンが挙げられる。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレン/オクテンコポリマーである。さらに、コポリマーはランダムまたはブロック状であり得る。
【0033】
ポリオレフィンエラストマーはまた、不飽和エステルまたは酸またはシランなどの1つ以上の官能基を含むことができ、これらのエラストマー(ポリオレフィン)は周知であり、従来の高圧技術によって調製することができる。不飽和エステルは、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、またはカルボン酸ビニルであり得る。アルキル基は、1~8個の炭素原子を有することができ、好ましくは1~4個の炭素原子を有することができる。カルボキシレート基は、2~8個の炭素原子を有することができ、好ましくは2~5個の炭素原子を有することができる。エステルコモノマーに起因するコポリマーの部分は、コポリマーの重量に基づいて1~最大50重量パーセントの範囲であり得る。アクリレートおよびメタクリレートの例は、エチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、および2-エチルヘキシルアクリレートである。ビニルカルボキシレートの例は、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、およびビニルブタネートである。不飽和酸の例には、アクリル酸またはマレイン酸が含まれる。不飽和シランの一例は、ビニルトリアルコキシシランである。
【0034】
官能基はまた、当該技術分野で一般的に知られているように達成できるグラフト化を介してポリオレフィンエラストマーに含まれ得る。一実施形態では、グラフト化は、典型的にはポリオレフィンエラストマー、フリーラジカル開始剤(過酸化物など)、および官能基を含有する化合物の溶融ブレンドを含有するフリーラジカル官能化によって起こり得る。溶融ブレンド中、フリーラジカル開始剤は、ポリオレフィンエラストマーと反応して(反応性溶融ブレンド)、ポリマーラジカルを形成する。官能基を含有する化合物は、ポリマーラジカルの骨格に結合し、官能化ポリマーを形成する。官能基を含有する例示的な化合物には、これらに限定されないが、アルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン)およびビニルカルボン酸および無水物(例えば、無水マレイン酸)が挙げられる。
【0035】
本明細書で有用なポリオレフィンエラストマーの市販例としては、超低密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、The Dow Chemical Companyによって作製されたFLEXOMER(商標)エチレン/1-ヘキセンポリエチレン)、均一に分岐した直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company LimitedによるTAFMER(商標)およびExxon Chemical CompanyによるEXACT(商標))、均一に分岐した実質的に直鎖のエチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマーおよびENGAGE(商標)ポリオレフィンエラストマー)、アモルファスポリオレフィン(APO)(例えば、Eastman Chemical Companyから入手可能なEASTOFLEX(商標)アモルファスプロピレンホモポリマー)、オレフィンブロックコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なINFUSE(商標)およびINTUNE(商標)オレフィンブロックコポリマー)、ポリブテン-1コポリマー(例えば、Lyondellbasellから入手可能なKoattroプラストマー)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。様々な実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、均一に分岐した直鎖および実質的に直鎖状のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。実質的に直鎖状のエチレンコポリマーは、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、および同第5,986,028号において、より完全に記載されている。別の実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、米国出願公開第2004/0081795号により完全に記載されているものなどの非晶質ポリオレフィンである。
【0036】
本明細書で有用なポリオレフィンエラストマーとしては、プロピレン系、ブテン系、および任意の他のアルケン系コポリマーが挙げられる。そのようなコポリマーは、アルケン(例えば、プロピレン)から誘導された過半量(すなわち、50重量パーセント(「重量%」)超)の単位、および別のα-オレフィン(エチレンを含む)から誘導された少量の単位を含み得る。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーとしては、プロピレン系コポリマーが挙げられる。さらなる実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン-エチレンコポリマーである。本明細書で有用な例示的なプロピレン系コポリマーとしては、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、およびExxonMobil Chemical Companyから入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマーが挙げられる。特定の実施形態では、成分(B)エラストマー成分がポリプロピレンを含む場合、それは成分(A)ポリプロピレンとは異なる。
【0037】
ポリオレフィンエラストマーにはまた、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)ターポリマーエラストマーおよび塩素化ポリエチレン(CPE)が挙げられ得る。好適なEPDMの市販例としては、Dow Chemical Companyから入手可能なNORDEL(商標)EPDMが挙げられる。好適なCPEの市販例としては、Dow Chemical Companyから入手可能なTYRIN(商標)CPEが挙げられる。
【0038】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレン系ポリオレフィンエラストマー、プロピレン系ポリオレフィンエラストマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。かかる実施形態では、エチレン系ポリオレフィンエラストマーは、エチレン系ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、50重量%超または60重量%超のエチレン含有量を有することができ、残部は1つ以上のアルファ-オレフィンモノマーからなる。さらに、エチレン系ポリオレフィンエラストマーは、エチレン系ポリオレフィンエラストマーの全重量に基づいて50重量%超、または60重量%から、75重量%、または90重量%までの範囲のエチレン含有量を有することができ、残部は1つ以上のアルファ-オレフィンモノマーからなる。様々な実施形態では、アルファ-オレフィンモノマーは、1-オクテンである。
【0039】
さらに、ポリオレフィンエラストマーがプロピレン系である場合、プロピレン系ポリオレフィンエラストマーの全重量に基づいて50重量%超、70重量%超、または90重量%超のプロピレン含有量を有することができ、残部が1つ以上のα-オレフィンモノマー(エチレンを含む)からなる。さらに、プロピレン系ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン系ポリオレフィンエラストマーの全重量に基づいて50重量%超、または70重量%、または90重量%から、97重量%、または98重量%、または99重量%までの範囲のプロピレン含有量を有することができ、残部は1つ以上のアルファ-オレフィンモノマー(エチレンを含む)からなる。様々な実施形態では、ポリオレフィンエラストマーがプロピレン系である場合、アルファ-オレフィンコモノマーはエチレンである。好適なプロピレン系ポリオレフィンエラストマーの非限定的な例としては、プロピレンコポリマーおよびプロピレンホモポリマーが挙げられる。(B)エラストマー成分がポリプロピレンを含む場合、それは成分(A)ポリプロピレンとは異なる。
【0040】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0041】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、ASTM D792に従って、0.850g/cm~0.930g/cm(例えば、0.850g/cm~0.920g/cm、0.850g/cm~0.910g/cm、0.850g/cm~0.900g/cm、0.850g/cm~0.890g/cm、0.850g/cm~0.880g/cm、または0.860g/cm~0.870g/cmなど)の密度を有し得る。言い換えれば、様々な実施形態では、本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、ASTM D792に従って、0.850g/cm、または0.860g/cm~0.870g/cm、または0.880g/cm、または0.890g/cm、または0.900g/cm、または0.910g/cm、または0.920g/cm、または0.930g/cmの密度を有する。
【0042】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、ASTM D1238に従って190℃/2.16kgで)、0.1g/10分~100g/10分(例えば、0.1g/10分~75g/10分、0.5g/10分~50g/10分、1g/10分~40g/10分、1g/10分~30g/10分、5g/10分~20g/10分、10g/10分~20g/10分、または10g/10分~15g/10分)のメルトインデックスを有し得る。言い換えれば、特定の実施形態では、本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、ASTM D1238に従って190℃/2.16kgで、0.1g/10分、または0.5g/10分、または1g/10分、または5g/10分、または10g/10分~15g/10分、または20g/10分、または30g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または75g/10分、または100g/10分のメルトインデックスを有し得る。
【0043】
本発明の使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、以下の特性の1つまたは両方を有することができる:
(a)ASTM D792に従って、0.850g/cm、もしくは0.860g/cm~0.870g/cm、もしくは0.880g/cm、もしくは0.890g/cm、もしくは0.900g/cm、もしくは0.910g/cm、もしくは0.920g/cm、もしくは0.930g/cmの密度、および/または
(b)ASTM D1238に従って190℃/2.16kgで、0.1g/10分、もしくは0.5g/10分、もしくは1g/10分、もしくは5g/10分、もしくは10g/10分~15g/10分、もしくは20g/10分、もしくは30g/10分、もしくは40g/10分、もしくは50g/10分、もしくは75g/10分、もしくは100g/10分のメルトインデックス。
【0044】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、0.864g/cm(ASTM D792)の密度および13g/10分(ASTM D1238、190℃/2.16kg)のメルトインデックスを有する、エチレン/1-オクテンコポリマーを含む。
【0045】
ポリオレフィンエラストマーは、本明細書に開示される1つ以上の実施形態を含み得る。
【0046】
(C)添加剤成分
特定の実施形態では、本組成物は、1つ以上の任意の添加剤を含む添加剤成分を含み得る。特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%~40重量%(例えば、1重量%~40重量%、1重量%~35重量%、1重量%~30重量%、1重量%~25重量%、1重量%~20重量%、5重量%~20重量%、10重量%~20重量%、15重量%~20重量%、または16重量%~17重量%)の添加剤成分を含む。言い換えれば、特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または16重量%~17重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%の添加剤成分を含む。
【0047】
組成物に導入することができる従来の添加剤を例示すると、タルク、酸化防止剤、鉱油、顔料、加工助剤、パーティショニング剤、スリップ剤、難燃剤、紫外線(UV)安定剤、補強充填剤、雲母、ガラス繊維、ウィスカ、傷防止添加剤、およびそれらの組み合わせである。
【0048】
特定の実施形態では、組成物は、HOUYINGから入手可能なHYST 1250T、およびIMERYSから入手可能なJetFil(商標)700などのタルクを含む。タルクは、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または16重量%~17重量%、18重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%の量で使用され得る。
【0049】
特定の実施形態では、組成物は、酸化防止剤を含む。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、50%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイトと50%のペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート]とのブレンドなどの、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、ペンタエリスリトールテトラキス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、組成物は、Irgafos(登録商標)168、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)B225、またはそれらの組み合わせなどの酸化防止剤を含有する。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%~2重量%、または0.01重量%~1重量%、または0.1重量%~0.5重量%、または0.2重量%~0.3重量%の酸化防止剤を含む。
【0050】
一実施形態では、組成物は加工助剤を含む。好適な加工助剤の非限定的な例としては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。加工助剤は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0.05重量%、または0.1重量%~0.5重量%、または1重量%、または2重量%の量で使用し得る。
【0051】
一実施形態では、組成物は、紫外線(UV)安定剤を含む。好適な紫外線(UV)安定剤の非限定的な例には、ビス(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)セバセエート(BASFからTinuvin(商標)770として市販されている)などのヒンダードアミン光安定剤(HALS)、およびポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]-1,6-ヘキサンジイル[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]](BASFからChimassorb(商標)944として市販されている)を含む。UV安定剤は、組成物の総重量に基づいて、0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%~1重量%、または2重量%の量で使用することができる。
【0052】
一実施形態では、組成物は補強充填剤を含む。補強充填剤の非限定的な例としては、ガラス繊維、雲母、ウィスカ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。補強充填剤は、組成物の総重量に基づいて、2重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%の量で使用することができる。
【0053】
一実施形態では、(C)添加剤成分は、タルクおよび酸化防止剤を含む。
【0054】
添加剤成分は、本明細書に開示の1つ以上の実施形態を構成し得る。
【0055】
(D)捕捉剤成分
本組成物は、式(I)を有するポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む、捕捉剤成分を含む。捕捉剤成分は、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%(例えば、0.05重量%~4重量%~0.1重量%~3重量%~0.2重量%~2重量%~0.3重量%~1重量%~0.4重量%~0.75重量%、または0.5重量%~0.7重量%、または0.6重量%~0.7重量%、または0.6重量%~0.65重量%)の量で組成物中に存在し得、式(I)を有するポリアセトアセテート化合物対炭酸カルシウムの重量比が、捕捉剤成分の総重量に基づいて、1:0.1~1:10(例えば、1:0.5~1:5)である。言い換えれば、特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、式(I)を有するポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%~0.7重量%、または0.75重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%の捕捉剤成分を含み、式(I)を有するポリアセトアセテート化合物対炭酸カルシウムの重量比が、捕捉剤成分の総重量に基づいて、1:0.1~1:10(例えば、1:0.5~1:5)である。
【0056】
さらなる実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~5重量%(例えば、0.01重量%~4重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~2重量%、0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.75重量%、または0.05重量%~0.5重量%、または0.1重量%~0.5重量%、または0.2重量%~0.3重量%)の式(I)を有するポリアセトアセテート化合物を含む。さらなる実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて0.01重量%~5重量%(例えば、0.05重量%~4重量%、0.1重量%~3重量%、0.2重量%~2重量%、0.2重量%~1重量%、0.3重量%~0.75重量%、または0.3重量%~0.6重量%、または0.4重量%~0.5重量%)の炭酸カルシウムを含む。
【0057】
本明細書で定義されるように、ポリアセトアセテート化合物は、2つ以上のアセトアセテート(-O-C(O)CHC(O)-)基を含有する化合物である。好適なポリアセトアセテート化合物は、式(I)のものであり、
【化3】

式中、
Aは、ポリマー骨格、C~C30置換または非置換の直鎖または分岐アルキル、アリール、アリールアルキルまたはアルカリール基であり、置換基は、1つ以上のO、N、S、ハロゲン、またはホスフィンであってもよく、
が、結合またはC~C30直鎖もしくは分岐アルキル、アリール、アリールアルキル、もしくはアルカリール基であり、
が、置換もしくは非置換C~Cアルキル、または置換もしくは非置換アリール基であり、
nが、2~100の数である。
【0058】
特定の実施形態では、Rは、Cアルキル基、または置換もしくは非置換エーテル部分である。特定の実施形態では、Rは、CまたはCアルキル基である。特定の実施形態では、nは、2~20、2~10、または2~4の数である。
【0059】
本開示による好適なポリアセトアセテートは、2-エチル-2-(((3-オキソブタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-オキソブタノエート)(すなわち、トリメチロールプロパントリアセトアセテートまたは「AATMP」)およびその異性体、2,2-ビス(((3-オキソブタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-オキソブタノエート)およびその異性体、2-(((3-オキソブタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-オキソブタノエート)およびその異性体、2-メチル-2-(((3-オキソブタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-オキソブタノエート)およびその異性体、1,2-ジエチロールジアセトアセテートおよびその異性体、アセトアセテート化ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのいずれかの同族体(アセトアセテート化ポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールは、直鎖または分岐のアセトアセテート分岐ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールであり得る)、ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサイルヘキサキス(3-オキソブタノエート)およびその異性体、プロパン-1,2,3-トリイルトリス(3-オキソブタノエート)およびその異性体、またはそれらの混合物である。
【0060】
好ましいポリアセトアセテート化合物には、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる。
【化4-1】
【化4-2】
【0061】
特定の実施形態では、本組成物の(D)捕捉剤成分の式(I)を有するポリアセトアセテート化合物は、2-エチル-2-(((3-オキソブタノイル)オキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイルビス(3-オキソブタノエート)(すなわち、トリメチロールプロパントリアセトアセテート、または「AATMP」)である。
【0062】
式(I)を有するポリアセトアセテート化合物は、本明細書に開示の1つ以上の実施形態を構成し得る。
【0063】
(E)相溶化剤
特定の実施形態では、本組成物は、任意選択的に相溶化剤を含み得る。特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%~10重量%の相溶化剤を含む。特定の実施形態では、本組成物は、組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%~0.8重量%、または1重量%、または1.5重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%、または8重量%、または10重量%の相溶化剤を含む。
【0064】
相溶化剤は、スチレンブロックコポリマー、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー、エチレンエチルアクリレート(EEA)コポリマー、ブロック複合体、特定のブロック複合体、結晶性ブロック複合体、エチレン/ビニルアセテート(EVA)コポリマー、エチレン-カルボン酸コポリマー、イオノマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、またはエチレンイソブチルアクリレートコポリマー、アクリレートと酸とのターポリマー、またはエチレンジポリマーE/A(Eが、エチレンであり、Aが、アクリル酸またはメタクリル酸である)、またはエチレンターポリマーE/A/B(Eが、エチレンであり、Aが、アクリル酸またはメタクリル酸であり、Bが、n-ブチルまたはイソブチルアクリレートである)、またはエチレンターポリマーE/X/Y(Eが、エチレンであり、Xが、ビニルアセテートまたはC1~C8アルキルアクリレートであり、Yが、COもしくはSO、またはそれらの組み合わせ、またはそれらの塩、またはそれらの中和型である)であり得る。様々な実施形態では、相溶化剤はまた、エチレンジポリマーE/AまたはエチレンターポリマーE/A/Bであり得、Eが、エチレンであり、Aが、アクリル酸またはメタクリル酸であり、Bが、n-ブチルまたはイソブチルアクリレートであり、ジポリマーおよびターポリマーの両方中のモノマーAの重量割合が、約2~20%であり、20ターポリマー中のモノマーBの重量割合が、最大約23%であり、ポリマーのいずれかのタイプ中のカルボン酸基が、未中和であるか、または1~3の原子価を有する金属イオンで最大約71%程度まで中和されているかのいずれかである。E/AジポリマーおよびE/A/Bターポリマーの両方がよく知られていて、市販されており、そのいくつかは、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Companyから、およびDow Chemical Co.からのエチレン/アクリル酸コポリマーである。中和されたジおよびターポリマーも、とりわけ、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能である。ダイポリマーまたはターポリマー中のアクリル酸またはメタクリル酸の例示的な量は、8~15重量パーセントである。この群のポリマーのさらなる例示的な量は、約75~90部である。カルボン酸基が中和されるとき、中和金属イオンは、好ましくは、ナトリウム、亜鉛、マグネシウム、またはアルミニウムであるが、元素周期表の最初の25の3つの族からの他の金属であってもよい。
【0065】
様々な実施形態では、相溶化剤は、エチレンターポリマーE/X/Yであることができ、Eは、エチレンであり、Xは、ビニルアセテートまたはC1~C8アルキルアクリレートであり、Yは、COまたはSOであり、XおよびYの重量比率は、Yが約1~15%であり、Xは、ビニルアセテートのときには、約15~30%であり、アルキルアクリレートのときには、約10~55%である。E/X/Yターポリマーは、市販されており、他のものは既知のプロセスに従って作製することができる。例えば、VAがビニルアセテートのときには、E/VA/COターポリマーは、E.I.du Pont de Nemours and Companyから30のElvaloyDという名称で入手することができる。Xがビニルアセテートであるターポリマーにおける一酸化炭素含有量は、好ましくは約7重量%以下であるべきであり、そうでないと、ポリマーの適合性が悪影響を受ける可能性がある。YがSO2であるターポリマーは、Hammerの米国特許第3,684,778号に記載されており、Xがアルキルアクリレートであるターポリマーは、Brubakerの米国特許第2,495,286号に記載されている。Xがアルキルアクリレート5である好ましいターポリマーは、エチレン/n-ブチルアクリレート/COターポリマーであり、それはBrubakerによって教示された一般的な方法に従って作製することができる。ターポリマーにおけるn-ブチルアクリレートの重量割合は、約15~35%である。10ターポリマーにおける他の典型的なアルキルアクリレートおよびそれらの重量割合としては、メチルアクリレート(15~55%)、エチルアクリレート(15~40%)、およびt-ブチルアクリレート(10~25%)が挙げられる。組成物中のE/X/Yターポリマーの好ましい量は10~30部である。他のアルキルアクリレートとしては、とりわけ、プロピル、イソプロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、およびイソオクチルアクリレートが挙げられる。
【0066】
好適な相溶化剤としては、参照により本明細書に組み込まれるEP134501A1に開示されているものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0067】
様々な実施形態では、相溶化剤はスチレンブロックコポリマーである。スチレンブロックコポリマーは、本明細書に開示される任意のスチレンブロックコポリマーであり得る。一実施形態では、スチレンブロックコポリマーはSEBSである。
【0068】
本明細書で使用するのに好適なスチレンブロックコポリマーは、D792に従うと、0.850g/cmから、または0.860g/cm、または0.870g/cm、または0.880g/cm~0.885g/cm、または0.890g/cm、または0.900g/cmまでの密度を有することができる。
【0069】
本発明の使用に好適なスチレンブロックコポリマーは、D1238(230℃/5.00kg)に従うと、5g/10分から、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分~25g/10分、または30g/10分、または40g/10分、または50g/10分までのメルトフローレートを有することができる。
【0070】
本明細書での使用に好適なスチレンブロックコポリマーは、以下の特性の一方または両方を有することができる:
(a)0.850g/cm、もしくは0.860g/cm、もしくは0.870g/cm、もしくは0.880g/cm~0.885g/cm、もしくは0.890g/cm、もしくは0.900g/cmの密度、および/または
(b)5g/10分、もしくは10g/10分、もしくは15g/10分~20g/10分、もしくは25g/10分、もしくは30g/10分、もしくは40g/10分、もしくは50g/10分のメルトフローレート(230℃/5.00kg)。
【0071】
1つ以上の実施形態では、相溶化剤は、0.880g/cmの密度および22g/10分のメルトフローレート(230℃/5.00kg)を有するSEBSであるスチレンブロックコポリマーである。
【0072】
様々な実施形態では、相溶化剤はエチレンアクリル酸(EAA)コポリマーである。一実施形態では、EEAコポリマーは、EEAコポリマーの総重量に基づいて1重量%、または5重量%、または10重量%、または12重量%、または15重量%、または18重量%~19重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%未満の重合エチルアクリレートを含有し得る。本発明の使用に好適なEEAコポリマーは、ASTM D792に従うと、0.920g/cm、または0.925g/cm、または0.930g/cmから、0.935g/cm、または0.940g/cm、または0.945g/cmまでの密度を有することができる。本発明の使用に好適なEEAコポリマーは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従うと、0.5g/10分、または1g/10分、または2g/10分、または5g/10分から、6g/10分、または8g/10分、または10g/10分、または15g/10分、または20g/10分までのメルトインデックスを有することができる。
【0073】
1つ以上の実施形態では、相溶化剤は、EEAコポリマーの総重量に基づいて、18.5重量%の重合エチルアクリレートを含有し、0.931g/cmの密度(ASTM D792)および6.0g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238、190℃/2.16kg)を有するEEAコポリマーである。
【0074】
一実施形態では、相溶化剤はブロック複合体である。「ブロック複合体」は、10mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)、90mol%を超えるα-オレフィン含有量を有するα-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)、ならびにエチレンブロック/セグメント(EB)およびα-オレフィンブロック/セグメント(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロック)を含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、ブロック複合体のエチレン系ポリマーと同じ組成物であり、ブロックコポリマーのα-オレフィンブロックは、ブロック複合体のα-オレフィン系ポリマーと同じ組成物である。エチレン系ポリマーの量とアルファ-オレフィン系ポリマーの量の間の組成分裂は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分裂と本質的に同じである。本開示のブロック複合体は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,053,529号、同第8,686,087号、および同第8,716,400号に開示されているものと同様である。
【0075】
一実施形態では、相溶化剤は特定のブロック複合体である。「特定のブロック複合体」は、78mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)、61mol%~90mol%のα-オレフィン含有量を有するα-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)、ならびにエチレンブロック/セグメント(EB)およびα-オレフィンブロック/セグメント(AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロック)を含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、特定のブロック複合体のエチレン系ポリマーと同じ組成物であり、ブロックコポリマーのα-オレフィンブロックは、特定のブロック複合体のα-オレフィン系ポリマーと同じ組成物である。エチレン系ポリマーの量とα-オレフィン系ポリマーの量との間の組成分裂は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分裂と本質的に同じになる。本開示の特定のブロック複合体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2017/044547に開示されているものと同様である。
【0076】
一実施形態では、相溶化剤は結晶性ブロック複合体である。「結晶性ブロック複合体」は、90mol%を超えるエチレン含有量を有する結晶性エチレン系ポリマー(CEP)と、90mol%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有する結晶性アルファ-オレフィン系ポリマー(CAOP)と、結晶性エチレンブロック(CEB)および結晶性アルファ-オレフィンブロック(CAOB)を有するブロックコポリマー(ジブロック)とを含むポリマーを指し、ブロックコポリマーのCEBは、結晶性ブロック複合体のCEPと同じ組成物であり、ブロックコポリマーのCAOBは、結晶性ブロック複合体のCAOPと同じ組成物である。CEPの量とCAOPの量の間の組成分裂は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分裂と本質的に同じである。本開示の結晶性ブロック複合体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2016/0028961A1に開示されているものと同様である。
【0077】
相溶化剤は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態を含み得る。
【0078】
組成物
特定の実施形態では、本組成物は以下を含む:
(A)29.99重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%~71重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または99.99重量%のポリプロピレンインパクトポリマー、
(B)0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または12重量%~13重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%のエチレン/1-オクテンコポリマー、
(C)0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または16重量%~17重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%の、タルクおよび酸化防止剤を含む添加剤組成物、
(D)AATMPおよび炭酸カルシウムを含む、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%~0.7重量%、または0.75重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%の捕捉剤成分の捕捉剤成分であって、AATMP対炭酸カルシウムの比が、1:0.1~1:10である、捕捉剤成分、ならびに
(E)0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%~0.8重量%、または1重量%、または1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%、または3.5重量%、または4重量%、または5重量%、または8重量%、または10重量%の相溶化剤。
【0079】
前述の組成物の各々における成分の合計は、100重量パーセントとなることが理解される。
【0080】
本組成物は、有利には、アルデヒドの軽減(すなわち、低減)を生じるか、またはアルデヒドを捕捉する。アルデヒドは、人間や動物の健康にとって危険である。アルデヒドは環境にも有害である。さらに、アルデヒドおよびケトンは、臭気の発生に大きく寄与することはよく知られている。アルデヒドの非限定的な例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、およびクロトンアルデヒドが挙げられる。
【0081】
これに加えて、本組成物は、良好な機械的特性を驚くほど維持しながら、臭気を驚くほど低減(または増加を防止)する。
【0082】
特定の実施形態では、本組成物は、以下に記載のVOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のホルムアルデヒドを含有する。
【0083】
特定の実施形態では、本組成物は、VOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~1mg/m以下、または0.5mg/m以下、または0.1mg/m以下、または0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のアセトアルデヒドを含有する。
【0084】
特定の実施形態では、本組成物は、VOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のアクロレインを含有する。
【0085】
特定の実施形態では、本組成物は、VOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のプロピオンアルデヒドを含有する。
【0086】
特定の実施形態では、本組成物は、VOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のクロトンアルデヒドを含有する。
【0087】
特定の実施形態では、本組成物は、ISO527に従って測定すると、1000MPa、または1200MPa、または1500MPa~1600MPA、または1700MPa、または1800MPa、または1900MPa、または2000MPaの引張弾性率を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO527に従って測定すると、1570MPa以上~2000Mpa未満、または1900MPa未満、または1800MPa未満、または1700MPa未満、または1600MPa未満の引張弾性率を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO527に従って測定すると、1570MPa以上の引張弾性率を有する。特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、ISO527によって測定した際のMPaでの引張弾性率に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差)を呈する。
【0088】
特定の実施形態では、本組成物は、ISO527に従って測定すると、10MPa、または15MPa、または20MPa、または21MPa~22MPa、または25MPa、または30MPa、または35MPaの引張降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO527に従って測定すると、21.5MPa以上の引張降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO527に従って測定すると、21.5MPa以上~30MPa未満、または25MPa未満、または22MPa未満の引張降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、ISO527によって測定した際のMPaでの引張降伏強度に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差、または1%未満の差)を呈する。
【0089】
特定の実施形態では、本組成物は、ASTM D790に従って測定すると、1000MPa、または1100MPa、または1200MPa、または1300MPa、または1500MPa、1600MPa~1700MPa、または1800MPa、または1900MPa、または2000MPaの曲げ弾性率(ヤング率)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ASTM D790に従って測定すると、1665MPa以上の曲げ弾性率(ヤング率)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ASTM D790に従って測定すると、1665MPa以上~2000MPa未満、または1900MPa未満、または1800MPa未満、または1700MPa未満の曲げ弾性率(ヤング率)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、ASTM D790によって測定した際のMPaでの曲げ弾性率(ヤング率)に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差)を呈する。
【0090】
特定の実施形態では、本組成物は、ASTM D790に従って測定すると、20MPa、または25MPa、または30MPa、または33MPa~34MPa、または35MPa、または40MPa、または45MPa、または50MPaの曲げ降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ASTM D790に従って測定すると、33MPa以上の曲げ降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ASTM D790に従って測定すると、33MPa以上~40MPa未満、または35MPa未満、または34MPa未満の曲げ降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、ASTM D790によって測定した際のMPaでの曲げ降伏強度に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差、または1%未満の差)を呈する。
【0091】
特定の実施形態では、本組成物は、ISO180に従って23℃で測定すると、1kJ/m、または5kJ/m、または7kJ/m、または8kJ/m~9kJ/m、または10kJ/m、または15kJ/m、または20kJ/m、または25kJ/m、または30kJ/mの衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO180に従って23℃で測定すると、8.3kJ/m以上の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO180に従って23℃で測定すると、8.3kJ/m以上~10kJ/m未満の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、ISO180によって23℃で測定した際のkJ/mでのアイゾット衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)に関して10%未満の差(または7%未満の差、または6%未満の差)を呈する。
【0092】
特定の実施形態では、本組成物は、ISO180に従って-30℃で測定すると、1kJ/m、または2kJ/m、または3kJ/m、または4kJ/m~5kJ/m、または7kJ/m、または8kJ/m、または10kJ/mの衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO180に従って-30℃で測定すると、4.15kJ/m以上の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、ISO180に従って-30℃で測定すると、4.15kJ/m以上~10kJ/m未満、または7kJ/m未満、6kJ/m未満、または5kJ/m未満の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、ISO180によって-30℃で測定した際のkJ/mでのアイゾット衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)に関して10%未満の差(7%未満の差、または5%未満の差、または4%未満の差)を呈する。
【0093】
特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、下記の臭気グレード試験に従って、より低い臭気グレードを有する。したがって、特定の実施形態では、本組成物は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物と比較して、少ない臭気を有する。実際、特定の実施形態では、組成物の臭気は、式(I)を有するポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む(D)捕捉剤成分を組成物に添加することで低減される。
【0094】
論文
特定の実施形態では、本開示は、以下を含む熱可塑性ポリオレフィン組成物から作製された物品を提供する:
(A)29.99重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%~71重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または99.99重量%のポリプロピレンインパクトポリマー、
(B)0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または12重量%~13重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%、または50重量%、または55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%のエチレン/1-オクテンコポリマー、
(C)0重量%、または1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または16重量%~17重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%の、タルクおよび酸化防止剤を含む添加剤組成物、
(D)AATMPおよび炭酸カルシウムを含む、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%~0.7重量%、または0.75重量%、または1重量%、または2重量%、または3重量%、または4重量%、または5重量%の捕捉剤成分であって、AATMP対炭酸カルシウムの比が、1:0.1~1:10である、捕捉剤成分、ならびに
(E)0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.4重量%、または0.5重量%、または0.6重量%~0.8重量%、または1重量%、または1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%、または3.5重量%、または4重量%、または5重量%、または8重量%、または10重量%の相溶化剤。
【0095】
様々な実施形態では、物品は成形品である。物品は、射出成形または圧縮成形によって形成され得る。
【0096】
物品は、計器パネル、ドアパネル、またはシートなどの自動車内装部品の形態であってもよいが、それらに限定されない。
【0097】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、以下に記載のVOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のホルムアルデヒドを含有する。
【0098】
様々な実施形態では、本組成物から作製された物品は、VOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~1mg/m以下、または0.5mg/m以下、または0.1mg/m以下、または0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のアセトアルデヒドを含有する。
【0099】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、以下に記載のVOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のアクロレインを含有する。
【0100】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、以下に記載のVOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のプロピオンアルデヒドを含有する。
【0101】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、以下に記載のVOC試験方法に従って測定すると、0mg/m~0.05mg/m以下、または0.03mg/m以下、または0.01mg/m以下、または0.005mg/m以下、または0.001mg/m以下のクロトンアルデヒドを含有する。
【0102】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO527に従って測定すると、1000MPa、または1200MPa、または1500MPa~1600MPA、または1700MPa、または1800MPa、または1900MPa、または2000MPaの引張弾性率を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO527に従って測定すると、1570MPa以上~2000Mpa未満、または1900MPa未満、または1800MPa未満、または1700MPa未満、または1600MPa未満の引張弾性率を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO527に従って測定すると、1570MPa以上の引張弾性率を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、ISO527によって測定した際のMPaでの引張弾性率に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差)を呈する。
【0103】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO527に従って測定すると、10MPa、または15MPa、または20MPa、または21MPa~22MPa、または25MPa、または30MPa、または35MPaの引張降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO527に従って測定すると、21.5MPa以上の引張降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO527に従って測定すると、21.5MPa以上~30MPa未満、または25MPa未満、または22MPa未満の引張降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、ISO527によって測定した際のMPaでの引張降伏強度に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差、または1%未満の差)を呈する。
【0104】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ASTM D790に従って測定すると、1000MPa、または1100MPa、または1200MPa、または1300MPa、または1500MPa、1600MPa~1700MPa、または1800MPa、または1900MPa、または2000MPaの曲げ弾性率(ヤング率)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ASTM D790に従って測定すると、1665MPa以上の曲げ弾性率(ヤング率)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ASTM D790に従って測定すると、1665MPa以上~2000MPa未満、または1900MPa未満、または1800MPa未満、または1700MPa未満の曲げ弾性率(ヤング率)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、ASTM D790によって測定した際のMPaでの曲げ弾性率(ヤング率)に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差)を呈する。
【0105】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ASTM D790に従って測定すると、20MPa、または25MPa、または30MPa、または33MPa~34MPa、または35MPa、または40MPa、または45MPa、または50MPaの曲げ降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ASTM D790に従って測定すると、33MPa以上の曲げ降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ASTM D790に従って測定すると、33MPa以上~40MPa未満、または35MPa未満、または34MPa未満の曲げ降伏強度を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、ASTM D790によって測定した際のMPaでの曲げ降伏強度に関して10%未満の差(または5%未満の差、または3%未満の差、または2%未満の差、または1%未満の差)を呈する。
【0106】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO180に従って23℃で測定すると、1kJ/m、または5kJ/m、または7kJ/m、または8kJ/m~9kJ/m、または10kJ/m、または15kJ/m、または20kJ/m、または25kJ/m、または30kJ/mの衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO180に従って23℃で測定すると、8.3kJ/m以上の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO180に従って23℃で測定すると、8.3kJ/m以上~10kJ/m未満の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、ISO180によって23℃で測定した際のkJ/mでのアイゾット衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)に関して10%未満の差(または7%未満の差、または6%未満の差)を呈する。
【0107】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO180に従って-30℃で測定すると、1kJ/m、または2kJ/m、または3kJ/m、または4kJ/m~5kJ/m、または7kJ/m、または8kJ/m、または10kJ/mの衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO180に従って-30℃で測定すると、4.15kJ/m以上の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、ISO180に従って-30℃で測定すると、4.15kJ/m以上~10kJ/m未満、または7kJ/m未満、6kJ/m未満、または5kJ/m未満の衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)を有する。特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、ISO180によって-30℃で測定した際のkJ/mでのアイゾット衝撃強度(ノッチ付きアイゾット)に関して10%未満の差(または7%未満の差、または5%未満の差、または4%未満の差)を呈する。
【0108】
特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、下記の臭気グレード試験に従って、より低い臭気グレードを有する。したがって、特定の実施形態では、本組成物から作製された物品は、(D)捕捉剤成分を含まない組成物から作製された物品と比較して、少ない臭気を有する。実際、特定の実施形態では、組成物から作製された物品の臭気は、式(I)を有するポリアセトアセテート化合物および炭酸カルシウムを含む(D)捕捉剤成分を組成物に加えることで低減される。
【0109】
本物品は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態を含み得る。
【0110】
実施例として、限定するものではないが、本開示の実施例を提供する。
【実施例
【0111】
試験方法
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定され、結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm)で記録される。
【0112】
ポリプロピレンのメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238、条件230℃/2.16キログラム(kg)の重量に従って測定する。結果を、10分あたりに溶出されるグラム(g)(g/10分)で記録する。
【0113】
としても知られているメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16キログラム(kg)の重量に従って測定する。結果はg/10分で報告する。
【0114】
ノッチ付きアイゾット衝撃強度を、室温(23℃)および-30℃でISO 180に従って測定する。結果を、1平方メートルあたりのキロジュール(kJ)(kJ/m)で記録する。
【0115】
引張弾性率は、ISO527に従って測定する。結果は、メガパスカル、すなわちMPaで記録する。
【0116】
引張降伏強度は、ISO527に従って測定する。結果は、メガパスカル、すなわちMPaで記録する。
【0117】
曲げ弾性率(ヤング率)は、ASTM D790に従って測定する。結果は、MPaで報告する。
【0118】
曲げ降伏強度は、ASTM D790に従って測定する。結果は、MPaで報告する。
【0119】
臭気グレード試験:臭気グレードは、VDA270試験手順と同様の官能評価によって決定する。詳細な手順は、以下の通りである。10gの試料ペレットのアリコートを1リットルのガラスバイアルに入れ、80℃で2時間加熱する。加熱後、官能評価のためにガラスバイアルを60℃に冷却する。官能評価は、訓練を受けた8~9人のパネリストによって行われ、パネリストは、表1に記載のランク付けに基づいて臭気のグレードを提供する。報告された結果は、パネリストの平均グレードである。評価は、一対比較を介して行われる。具体的には、パネリストは、1回の試験で対照を比較例と比較する。次いで、同じパネリストが別個の試験で対照を本発明の実施例と比較する。
【表1】
【0120】
VOC試験方法:揮発性有機化学物質(VOC)試験を、Toyota(商標)ガスバッグ法TSM 0508Gから改訂された以下の「VOC試験方法」に従って行う。以下の作業実施例では、試料は、各成分を秤量し、Coperon28mm押出機を使用して押し出すことによって、調製する。化合物は、サイドカッター造粒機によって小さいペレットに造粒する。造粒された化合物を、以下で説明するVOC試験方法を使用する試験に使用する。
【0121】
VOC試験方法は、200gの試料を10リットル(L)のガス容量のTedlar(商標)PVF(ポリフッ化ビニル)バッグ(Delin Co.ltd、Chinaから)に秤量し、次いで、バッグ内で5Lの窒素を供給することによって行う。次いで、そのバッグを、分析前に2時間、65℃で保管する。次いで、ガスバッグ内の窒素ガスを、カルボニル分析のためにエアポンプで排出させる。カルボニル分析のさらなる詳細。
【0122】
バッグからの4リットルの試料を使用して、カルボニル分析を行う。試料を、ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)で誘導体化する。次いで、カルボニル化合物を抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムに注入され、勾配溶出を使用して分離する。次いで、分離した化合物を、0.001mg/mの検出限界のUV検出により、360nmで定量化する。カルボニル分析により、試料に存在するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、およびクロトンアルデヒドなどのアルデヒドの濃度が得られる。カルボニル分析に関するさらなる詳細を、以下の段落、ならびに表2のHPLC条件で提供する。
【0123】
DNPHカートリッジ(CNWBOND DNPH-シリカ カートリッジ,350mg,Cat.No.SEEQ-144102、Anple Co.,Ltd.)を用いて、ガスバッグから放出されたカルボニルを吸収する。サンプリング速度は330mL/分であり、サンプリング時間は13分である。吸収後、DNPHカートリッジを1グラム(正確な重量)のACNで溶出し、ACN溶液をHPLCによって分析し、試料中のカルボニルを定量化する。6つのDNPH誘導体(TO11A カルボニル-DNPH 混合物、Cat.No.48149-U、各個々の化合物15ppm、Supelco Co.,Ltd)を含む標準溶液をアセトニトリルによって希釈し、機器較正のために最終溶液(0.794ppm重量/重量)を-4℃(冷蔵庫)で2mLバイアルに戻す。0.794ppm(重量/重量)標準溶液を、試料中のカルボニルを定量化するための一点外部標準としてHPLCシステムに注入する。最初の2つのピークを、標準仕様に従ってホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとして識別する。応答係数は、以下の式に従って各誘導体に関して計算される:
【数1】
式中、
応答係数i=誘導体iの応答係数
ピーク面積i=標準溶液中の誘導体iのピーク面積
0.794=0.794ppmの標準濃度
【0124】
試料溶液中のアルデヒド-DNPH誘導体の濃度は、以下の式に基づいて計算される:
【数2】
式中、
iの濃度=溶液中のアルデヒド-DNPH誘導体の濃度
ピーク面積i=試料溶液中の誘導体iのピーク面積
応答係数i=誘導体iの応答係数
【0125】
HPLC条件を、以下の表2に示す。
【表2】
【0126】
材料
実施例で使用した材料を、以下の表3に提供する。
【表3】
【0127】
手順
対照、比較例(CE)、および本発明の実施例(IE)を、各成分をCoperon(商標)28mm押出機に秤量し、組成物を押し出すことによって各々調製する。押出後、LABTECH Engineering companyによって製造されたサイドカッター造粒機(モデル:LSC-108)を使用して、組成物を小さなペレットに造粒する。ペレットは2.3~3.0mmの直径、2.3~3.0mmの長さを有する。次いで、ペレットを試験用の試料に成形する。表4は、対照、比較例、および本発明の実施例に含まれる各成分の、phrおよびおおよその重量パーセントでの量を示している。
【0128】
揮発性有機化学物質(VOC)について、上記のVOC方法を介してペレットを試験する。また、機械的特性について、および臭気グレード試験を介してペレットを試験する。結果を、表5に示す。表5に関して、NDは検出不能を意味する。検出不能なアルデヒド含有量を有する試料は、0.001mg/m(すなわち、0mg/m~0.001mg/m未満)の検出限界未満のアルデヒド含有量を有する。
【表4】
【表5】
【0129】
対照は、自動車産業の最新技術を代表するものである。表5に示されるように、比較例(CE)は、ポリアセトアセテート化合物(AATMP)を添加することにより、対照と比較してアルデヒド濃度を有利に低減しながら、機械的特性のバランスを維持することを示している。しかしながら、臭気グレード試験を介した一対比較から、ポリアセトアセテート化合物単独の導入は、対照と比較して最終TPO製品の臭気を増加させたことが明らかである。
【0130】
対照的に、本発明の実施例(IE)は、驚くべきことに、機械的特性への影響を制限しながら、比較例と比較してアルデヒド濃度の同様の低減を呈した。これに加えて、本発明の実施例は、臭気グレード試験を介した一対比較から、対照よりも良好である臭気グレードを有する。したがって、本発明の実施例は、驚くべきことに、ポリアセトアセテート化合物と炭酸カルシウムとの組み合わせが、機械的特性への影響を制限し、臭気を改善しながら、アルデヒドの低減を呈することを示している。
【0131】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、ポリアセトアセテート化合物(AATMP)単独が、例えば高温下で生じる加水分解中に酸またはアセトンを生成し、それにより最終TPO製品により強い悪臭をもたらすと考えられる。弱無機塩基である炭酸カルシウムは、ポリアセトアセテート化合物との強い相乗効果を有すると考えられる。具体的には、炭酸カルシウムは、ポリアセトアセテート化合物のアルデヒド低減効率に悪影響を有さず、同時に、ポリアセトアセテート化合物(AATMP)の分解から形成される酸を中和する。したがって、炭酸カルシウムとの組み合わせを介して、ポリアセトアセテート化合物(AATMP)によって誘発される臭気を制御することができる。
【0132】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されないが、以下の特許請求の範囲内の実施形態の一部および異なる実施形態の要素の組み合わせを含有する、それらの実施形態の修正形態を含むことが特に意図される。