(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】フロー電池及び充電状態均衡化の方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20240402BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240402BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240402BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20240402BHJP
H01M 8/249 20160101ALI20240402BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240402BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/249
H02J7/02 F
(21)【出願番号】P 2021531188
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2019071372
(87)【国際公開番号】W WO2020030762
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521058508
【氏名又は名称】インヴィニティ エナジー システムズ (アイルランド) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】リチャード アンダーウッド
(72)【発明者】
【氏名】アダム ホワイトヘッド
(72)【発明者】
【氏名】ピーター リドレー
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156325(JP,A)
【文献】特開2011-182599(JP,A)
【文献】特開2009-219350(JP,A)
【文献】特開2003-217675(JP,A)
【文献】国際公開第97/049158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列
に接続された複数のフロー電池スタックを有し、少なくとも2個の蓄積部から電解質の供給を受ける電池における電解質の充電状態均衡化の方法であって、
前記スタックの各々は複数のセルを有し、
それぞれの前記蓄積部の前記電解質の前記充電状態を測定及び比較し、
それぞれの前記蓄積部の前記電解質の前記充電状態が
異なる前記蓄積部の前記電解質における前記充電状態の差に対する閾値よりも大きく異なるかを示すステップと、
前記充電状態の差の閾値の超過の場合に、
前記スタックの直列接続の
複数のセル数を制御するステップであって、それにより、低充電側の電解質が、高充電側の電解質よりも少ないセルを介して放電する、ステップ、及び/又は
前記スタックの直列接続の
複数のセル数を制御するステップであって、それにより、低充電側の電解質が、高充電側の電解質よりも多くのセルを介して充電される、ステップと
を備える充電状態均衡化の方法。
【請求項2】
前記蓄積部の直列
接続の
複数のセル数は、スタック内の中間電極への接続を構成して前記スタックにおける所定数の
複数のセルを非接続とすることによって制御される、請求項1に記載の充電状態均衡化の方法。
【請求項3】
前記蓄積部の直列
接続の
複数のセル数は、1以上のスタック全体を前記直列のスタックに対して投入し又は切り離すことによって制御される、請求項1に記載の充電状態均衡化の方法。
【請求項4】
前記蓄積部の直列
接続の
複数のセル数は、直列セル又は1以上のスタック全体を切り離すことによって制御され、それにより、
放電時に、低充電側の電解質は、減少した数のセルに供給され、及び
充電時に、高充電側の電解質は、減少した数のセルに供給される、
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の充電状態均衡化の方法。
【請求項5】
前記電池は少なくとも1対のスイッチを含み、一方は所定数のセルをバイパスするためのノーマリオープン
のバイパス用のスイッチのものであり、他方は前記直列接続のスタックからこれらのバイパスセルを切り離すためのノーマリクローズ
の切離し用のスイッチのものであり、前記方法は、バイパス用の前記スイッチ及び切離し用の前記スイッチの同時のスイッチングを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の充電状態均衡化の方法。
【請求項6】
前記電池は少なくとも1対のスイッチを含み、一方は所定数のセルをバイパスするためのノーマリオープン
のバイパス用のスイッチのものであり、他方は前記直列接続のスタックからこれらのバイパスセルを切り離すためにノーマリクローズ
の切離し用のスイッチのものであり、前記方法は、バイパス用の前記スイッチ及び切離し用の前記スイッチの
間の順次のスイッチングを含む、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の充電状態均衡化の方法。
【請求項7】
前記電池は
少なくとも1つの前記スイッチに並列接続された一方向性導電素子を含み、前記方法は、
バイパス用の前記スイッチ
及び切り離し用の前記スイッチの双方が開放される場合に、前記順次のスイッチング中に、最初に動作した側のスイッチのスイッチングの際の電流フローの連続性のために前記一方向性導電素子の1つに電流を流すことを含む、請求項6に記載の充電状態均衡化の方法。
【請求項8】
フロー電池であって、
少なくとも2個のそれぞれの電解質蓄積部を有する、セルの少なくとも2個のスタックの直列アレイと、
前記それぞれの蓄積部における前記電解質の充電状態を測定及び比較する手段と、
前記セル又はセルのスタックの少なくとも一部のバイパスされるものの代わりにバイパスシャントを前記直列アレイに投入するスイッチ手段であって、当該バイパス用のスイッチ手段はノーマリオープンである、スイッチ手段と、
前記セル又はセルのスタックの前記バイパスされるものを前記直列アレイから切り離すためのスイッチ手段であって、当該切離し用のスイッチ手段はノーマリクローズである、スイッチ手段と、
前記測定及び比較する手段が前記それぞれの蓄積部における充電状態における閾値以上の差を検出した場合に
バイパス用の前記スイッチ手段
と切り離し用の前記スイッチ手段とを作動させるコントローラであって、それにより充電及び/又は放電中に差の状態が低減可能となる、コントローラと
を備えるフロー電池。
【請求項9】
前記切離し用のスイッチ手段は、前記バイパスされるセルに、それらの直列接続の一端において接続される、請求項8に記載のフロー電池。
【請求項10】
前記スイッチ手段の双方が、トランジスタスイッチである、請求項8又は請求項9に記載のフロー電池。
【請求項11】
前記スイッチ手段の双方が、電磁リレーである、請求項8又は請求項9に記載のフロー電池。
【請求項12】
前記バイパス用のスイッチ手段が接続されたシャントラインを含み、前記シャントラインは、前記セル又はセルのスタック
のバイパスされるものの両端にわたる、請求項8から11のいずれか一項に記載のフロー電池。
【請求項13】
前記シャントラインは、セルのスタックにおける中間端子に対して、該中間端子を有する該スタックの所定数のセルをバイパスするために接続される、請求項12に記載のフロー電池。
【請求項14】
前記シャントラインは、前記電解質蓄積部の特定のものによって供給を受ける直列のスタック内でセルのスタック全体をバイパスするために、2つのスタック間に接続される、請求項12に記載のフロー電池。
【請求項15】
前記電解質蓄積部の特定のものによって供給を受けるセルのスタックのグループの全てを切り離すために設けられた追加のシャントラインであって、該追加のシャントラインは、前記切離し用のスイッチ手段が接続される端部の遠隔側の前記グループの端部に設けられる、追加のシャントラインと、
前記追加のシャントラインに設けられた追加のバイパス用のスイッチ手段と、
前記スタックの前記グループの遠隔側に前記切離し用のスイッチ手段と直列に設けられた追加の切離し用のスイッチ手段と
を含み、
前記シャントラインは、前記切離し用のスイッチ手段と前記追加の切離し用のスイッチ手段との間に接続され、
前記追加のバイパス用のスイッチ手段は、前記追加の切離し用のスイッチ手段の遠隔側に接続される構成の、請求項14に記載のフロー電池。
【請求項16】
前記切離し用のスイッチ手段及び前記バイパス用のスイッチ手段に並列に接続された一方向性導電素子、並びに設けられる場合には前記追加のスイッチ手段を含み、
これにより、前記切離し用のスイッチ手段及び前記バイパス用のスイッチ手段の双方又は前記追加の切離し用のスイッチ手段及び前記追加のバイパス用のスイッチ手段の双方が開放される場合に、順次のスイッチング中に、前記スイッチ手段のうちの最初に動作した側のスイッチングの際の電流フローの連続性のために前記一方向性導電素子の1つに電流が通過可能となる、請求項8から15のいずれか一項に記載のフロー電池。
【請求項17】
前記一方向性導電素子はダイオードである、請求項
16に記載のフロー電池。
【請求項18】
前記測定及び比較する手段は、共通の電解質蓄積部から供給を受ける各スタック又はスタックのグループについて少なくとも1つの基準セルを備える、請求項8から17のいずれか一項に記載のフロー電池。
【請求項19】
セルの少なくとも2個のスタックの前記
直列アレイは、
直列に接続された前記直列アレイのセルスタックに
対して並列に接続された
追加のセルスタックを備え、
前記追加のセルスタックは、直列に接続された前記直列アレイのセルスタック間の直列接続点で並列に接続される、請求項8から17のいずれか一項に記載のフロー電池。
【請求項20】
前記電池は、バナジウムレドックスフロー電池である、請求項8から
19のいずれか一項に記載のフロー電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフロー電池スタックを含むフロー電池、特に、バナジウムレドックスフロー電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
バナジウムレドックス電池スタックは特許文献1に記載され、その要約書は以下の通りであり、最初の部分のみは本発明の理解のために言及される必要がある。
「レドックスフロー電池1は、イオン選択的でかつ導電性のセパレータ4によって相互に分割されてそれぞれの電極4及び5を有する陽極液コンパートメント2及び陰極液コンパートメント3を有する単一のセル1として図示される個々のセルのスタックを有する。電池は、それぞれのポンプ8及び9並びに配管10及び11とともに陽極液タンク6及び陰極液タンク7を有する。使用に際して、それらのポンプが電解質An及びCaをタンク8及び9との間、すなわち、コンパートメント2及び3へ、その後にタンクに戻るように循環させる。電気が負荷Lに流れる。電解質ラインには、新たな電解質Fが追加されるタッピング21及び22並びに使用済み電解質Sが引き抜かれる更なるタッピング23及び24が設けられ、それぞれのタッピングは陽極液及び陰極液のためのものである。再充電中には、通常、遠隔のポンプ27が、全てのタッピングに対するライン26のためのカップリング25を介して、遠隔の貯蔵部28から新たな陽極液及び新たな陰極液をポンピングし、使用済み電解質を他の遠隔の貯蔵部29に引き出す。この電解質は、通常、従来的な燃料電池再充電方法によって、再充電され、貯蔵部28に戻される。」
【0003】
上記要約書では、電解質の交換が言及されている。電流反転によって再充電することは、再充電可能電池では一般的であるように、より一般的である。
【0004】
そのようなセルのスタックを有する電池は、直列接続されることが多い。全部ではないが一部のスタックは、共通のタンクから電解質を供給され得る。例えば、4個のスタックが直列となっている場合、それらは2対のタンクから電解質を供給され得る。+ve電解質タンクから-ve電解質タンクへの及びその逆への、それ自体が状況を悪化させる電解質のオーバーフローをもたらし得る公差の蓄積に起因して、電解質は異なる速度で放電してしまう。言い換えると、電解質のそれぞれの充電状態(SOC)が不均衡となり得る。低充電側の電解質が放電されるまでしか高充電側の電解質は放電できず、高充電側の電解質が完全に充電されるまで低充電状態の電解質は再充電できないために容量の大幅な喪失をもたらし得る。
【0005】
この問題に対する解決手段が特許文献2に提案され、それは、個々のスタックのグループ又は個々のスタックに接続された別個の電力変換システムが使用されてタンク対との間で個々に電力を変調して電解質間のSOCを均衡化し得ることを提案する。これは、全ての電池スタックで起こるとは限らない問題に対して高価な解決手段となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第03/069692号
【文献】国際公開第2018/032409号
【文献】国際公開第1990/003666号
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、複数のフロー電池の電解質の充電状態を均衡化する改善された方法を提供することである。
【0008】
直列の複数のフロー電池スタックを有し、少なくとも2個の蓄積部から電解質の供給を受ける電池における電解質の充電状態を均衡化する方法であって、スタックの各々は複数のセルを有し、方法は、
それぞれの蓄積部の電解質の充電状態を測定及び比較し、充電状態が閾値よりも大きく異なるかを示すステップと、
充電状態の差の閾値の超過の場合に、
スタックの直列接続のセル数を制御するステップであって、それにより、低充電側の電解質が、高充電側の電解質よりも少ないセルを介して放電する、ステップ、及び/又は
スタックの直列接続のセル数を制御するステップであって、それにより、低充電側の電解質が、高充電側の電解質よりも多くのセルを介して充電される、ステップと
を備える。
【0009】
直列のセル数は、スタック内の中間電極への接続を構成すること及びスタックにおける所定数のセルを非接続のままとすることによって制御され得る。なお、好ましくは、1以上のスタック全体が、直列接続に投入され又は直列接続から切り離される。
【0010】
直列接続されるセル数の制御は、実際には、通常はセルを直列接続から切り離すだけで実行可能であり、他の電解質が供給される追加のセルを投入するという代替策は、通常は実用的ではない。そのため、放電時には、減少した数のセルに低充電側の電解質が供給されることにより、高充電側の電解質よりも電解質の需要を少なくする。そして、充電時には、少ないセルに高電圧側の電解質が供給され、それは電解質を充電することからセルを切り離すことを伴うので、低充電側の電解質は、高充電側の電解質よりも多くの充電を受ける。
【0011】
完全なスタックとして又はスタックにおける所定比率のセルとしてのセルの投入及び切離しは、トランジスタスイッチによるものが想定され得るが、物理的スイッチによるものが好ましい。通常、一方は常用の電池端子を負荷ラインに接続するための、他方は臨時の(少ないセル側の)端子を負荷ラインに接続するための、2つのスイッチがあることになる。好ましくは、それらは一組となり、それにより双方は同時に閉成されることはない。その結果として、スイッチングの処理の中間位置において、それら双方は同時に開放されることになる。これが負荷ラインへの電力供給又は実際には負荷ラインからの充電の中断をもたらすことを回避するために、各スイッチには、好ましくは、両スイッチが開放される場合に充電/放電電流が臨時端子から及び常用端子へ流れることを可能とするように配置されたそれぞれの一方向性導電素子、簡便にはダイオードが設けられる。
【0012】
本発明の他の態様によると、フロー電池であって、
少なくとも2個のそれぞれの電解質蓄積部を有する、セルの少なくとも2個のスタックの直列アレイと、
それぞれの蓄積部における電解質の充電状態を測定及び比較する手段と、
セル又はセルのスタックの少なくとも一部のバイパスされるものの代わりにバイパスシャントを直列アレイに投入するスイッチ手段であって、このバイパス用のスイッチ手段はノーマリオープンである、スイッチ手段と、
セル又はセルのスタックのバイパスされるものを直列アレイから切り離すスイッチ手段であって、この切離し用のスイッチ手段はノーマリクローズである、スイッチ手段と、
測定及び比較する手段がそれぞれの蓄積部における充電状態における閾値以上の差を検出した場合に両スイッチ手段を作動させるコントローラであって、それにより充電及び/又は放電中に差の状態が低減可能となる、コントローラと
を備えるフロー電池が提供される。
【0013】
好ましくは、測定手段は、各電解質蓄積部に対応付けられたそれぞれの基準セルである。あるいは、基準セルは、電解質蓄積部に接続された1以上のスタックに対応付けられ得る。ここでも、充電状態は、特許文献3に記載される態様で測定可能である。
【0014】
好ましくは、切離し用のスイッチ手段は、バイパスされたセルにそれらの直列接続の一端において接続される。
【0015】
好ましくは、バイパス用のスイッチ手段は、セル又はセルのスタックの前記バイパスされたものの両端にわたってシャントラインで接続される。
【0016】
スイッチ手段は、トランジスタスイッチで構成されてもよい。ただし、電磁リレーを用いることが好適である。
【0017】
切離し用のスイッチは、切り離されるセル/スタックのいずれかの側に複製されてもよいが、好ましくは一方側のみに設けられ、これは、それらが電池内で活性とならないようにするのに効果的である。
【0018】
スイッチが開放される時に供給又は実際には充電の中断を回避するために、各々が、好ましくはスイッチに対して並列なダイオードを有し、それにより、最初のスイッチの開放後、他方のスイッチの閉成前に、他方のスイッチのダイオードを介した瞬間的な導通が続く。
【0019】
好ましくは、バイパスダイオード、すなわち、バイパスシャントにおけるスイッチに対して並列なダイオードは、放電中に電流を導通するように方向付けられ、切り離されているセル/スタックがもはやアレイにない場合に連続的な放電を促進する。そして、切離し用のスイッチに対して並列なダイオードは、充電中に電流を導通するように方向付けられて、切り離されたセル/スタックがアレイに再投入されるので、連続的な充電を促進する。
【0020】
一実施形態では、前記電池は、
電解質蓄積部の特定のものによって供給を受けるセルのスタックのグループの全てを切り離すために設けられた追加のシャントラインであって、追加のシャントラインは、切離し用のスイッチ手段が接続される端部の遠隔側のグループの端部に設けられる、追加のシャントラインと、
追加のシャントラインに設けられた追加のバイパス用のスイッチ手段と、
スタックのグループの遠隔側に前記切離し用のスイッチ手段と直列に設けられた追加の切離し用のスイッチ手段と
を含み、その構成は、
前記シャントラインは、前記切離し用のスイッチ手段と追加の切離し用のスイッチ手段との間に接続され、
追加のバイパス用のスイッチ手段は、追加の切離し用のスイッチ手段の遠隔側に接続されるものであり、さらに、
セル又はセルのスタックのバイパスされるものを直列アレイから切り離すためのスイッチ手段であって、この切離し用のスイッチ手段はノーマリクローズである、スイッチ手段と、
測定及び比較する手段がそれぞれの蓄積部における充電状態における閾値以上の差を検出した場合に両スイッチ手段を作動させるコントローラであって、それにより充電及び/又は放電中に差の状態が低減される、コントローラと
を含む。
【0021】
好ましくは、電池は、バナジウムレドックスフロー電池である。
【0022】
本発明の理解を深めるために、その具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明によるフロー電池のブロック図である。
【
図3】6個のスイッチ状態図(a)~(f)による
図1の電池についての投入用スイッチ及びバイパス用スイッチのより詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、図面の
図2~4を参照すると、フロー電池1は、通常は直列接続される一連の4個のバナジウムレドックススタック2
1~2
4からなる。スタックは、電解質タンク3に対して対とされる。対とされることによって、各タンクが2個のスタックに配管4を介して電解質ポンプ5によって並列に供給することが、意図される。図示するように、各タンクは、+veコンパートメント及び-veコンパートメント並びにそれぞれのポンプに分割される。これは従来的なものであり、更には説明しない。
【0025】
各タンクは、タンクの電解質が供給される基準セルの適宜の形態で充電状態計7を有する。
【0026】
電池は、電源8からの充電を受けて必要に応じてそれを負荷9に供給するインバータ/充電器6に接続される。
【0027】
本発明によると、端部側のスタック、すなわち、スタック21、24の各々は、その両端にわたってシャントライン、すなわち、バイパスライン121、124においてシャントスイッチ、すなわち、バイパススイッチ111、114を有する。通常、シャントスイッチは開放されている。バイパスラインは、スタック21及び22の共通点141からインバータ/充電器6への+ve供給ライン15+veへ延び、スタック23及び24の共通点143からインバータ/充電器6への-ve供給ライン15-veへ延びる。+ve供給ライン15+veの端部は、スタック21の各+ve端子と、シャントライン121と+ve供給ライン15+veの接続点と、の間に切離し用スイッチ161を有し、-ve供給ライン15-veの端部は、スタック24の各-ve端子と、シャントライン124と-ve供給ライン15-veの接続点と、の間に切離し用スイッチ164を有する。
【0028】
電池のコントローラ17は、スイッチ111、114及び161、164並びにインバータ/充電器6に、それらの制御の全てのために接続される。それは、充電状態計7にも接続される。それぞれのスタック21及び22並びに23及び24について電解質の充電状態の5%超の差を検出した場合、コントローラは、どちらが高充電側であるのか、及び電池が充電されているのか、あるいは給電しているのかに応じて、スタック21及び24の一方を切り離すように動作する。
【0029】
スイッチは一組として同時に切り替えられてもよいが、これはスタックの1つの瞬時的短絡又は瞬時的開放をもたらすことになり、それはインバータ/充電器6又はそれに接続された何らかの装置若しくはデバイスにダメージを与えかねない。したがって、スイッチには、スタックについての他方のスイッチが開放された直後でかつそれまで開放していたスイッチが閉成する前に導通するダイオードD11及びD16が設けられる。
【0030】
【0031】
スタック21、22の電解質の充電状態の増加は、スタック23、24の電解質の充電状態の低下に等しいことが分かるはずである。
【0032】
また、端部側のスタックにおけるスイッチ(及びそれらのダイオード)の構成によって、それぞれのタンクに接続されたスタックの双方に対する電解質の充電状態を変更することが可能となる。
【0033】
コントローラは、スタックの電解質の充電状態を監視する。異なるタンクからの電解質の充電状態が閾値、標準的には5%を超える場合、コントローラは(i)より重度に放電された電解質を選好的に充電し、又は(ii)より重度に充電された電解質を選好的に放電するように、インバータ充電器を介した充電又は放電のモードを変更する。実際には、閾値に達すると、モード変更は(i)又は(ii)のいずれかとなり得る。より多くのスタック、特に、より多くのタンクがある場合、超過した閾値を担う電解質は(i)又は(ii)に応じて扱われる論理的なものとなる。なお、例えば、一方のタンクに対して(i)で動作し、他方のタンクに対して(ii)で動作することも、やはり可能である。通常は、充電中に動作することが好ましく、それによって最大速度の放電が利用可能に保たれる。
【0034】
以下の詳細なステップのシーケンスは、放電中及び充電中の双方における一端側のスタックの切離し及び再投入に制限される。
【0035】
放電中にスタック2
1をバイパスするステップは、スタック2
1、2
2の電解質がスタック2
3、2
4のものよりも5%閾値だけ低充電状態であること(これはスタック2
3、2
4の電解質が高充電状態であることと同じである)の検出に対して、以下の通りとなる。
1.まず、
図3(a)に示すように、スタックをバイパスする前に、スイッチ11
1が開放され、ダイオードD11
1に逆バイアスがかかり、電流はバイパスライン12
1には流れない。切離し用スイッチ16
1が閉成され、スタック2
1から放電する。
2.切離し用スイッチ16
1が開放され、ダイオードD16
1に逆バイアスがかかった状態で、電流はスタック2
1を流れ出なくなる。同時に、ダイオードD11
1に、その両端のスタック電圧が除去された状態で、順バイアス状態となる。それは、瞬時に導通を開始し、スイッチ11
1が開放されていない状態で、電流はライン12
1に流れる。
3.ここで、スイッチ11
1が閉成され、電流はそこに流れるが、ダイオードD11
1には流れない。結果として、スタック2
2の電解質からのエネルギーの2倍のエネルギーが、
図3(a)~(b)に別途示していないスタック2
3、2
4の電解質から引き出され、それにより、その低充電側の電解質は、それがスタック2
3、2
4のものと揃うまで、より遅く充電状態を低下させる。
4.ここで、スイッチ11
1が開放され、電流がダイオードD11
1を流れる状態で
図3(b)の状態に戻る。
5.ここで、切離し用スイッチ16
1が閉成され、それぞれのスタック対の電解質が等しく充電/放電されているという相違を以て
図3(a)の状況に戻る。それらは、他の公差及びイベントの蓄積によって充電状態閾値との差が再度超過して同じ調整が再度なされるまで、そのままとなる。
【0036】
充電状態の閾値との差が充電中に検出された場合には、中間ステップ中にダイオードD161が導通することを除いて同様のステップのシーケンスが行われる。
【0037】
充電中にスタック2
1をバイパスするステップは、スタック2
1、2
2の電解質がスタック2
3、2
4のものよりも5%閾値だけ高充電状態であること(これはスタック2
3、2
4の電解質が低充電状態であることと同じである)の検出に対して、以下の通りとなる。
11.まず、
図3(a)に示すように、スタックをバイパスする前に、上記のステップ(1)のように、スイッチ11
1が開放され、ダイオードD11
1に逆バイアスがかかり、電流はバイパスライン12
1には流れない。切離し用スイッチ16
1が閉成され、スタック2
1から放電する。
12.切離し用スイッチ16
1が開放されるが、上記ステップ(2)とは逆に、電流が逆方向に流れる状態で、ダイオードD16
1に順バイアスがかかり、電流はスタック2
1を流れ続ける。ダイオードD11
1には逆バイアスがかかったままであり、電流はシャントライン12
1には流れない。
13.ここで、スイッチ11
1が閉成され、電流はシャントラインにおいてスイッチ11
1を流れる。ダイオードD11
1は逆バイアス状態となり、充電電流はダイオードD11
1及びスタック2
1を流れなくなる。結果として、スタック2
2の電解質へのエネルギーの2倍のエネルギーが、
図3(a)~(b)に別途示していないスタック2
3、2
4の電解質を通過し、それにより、その高充電側の電解質は、それがスタック2
3、2
4のものと揃うまで、より遅く充電状態を上昇させる。
14.ここで、スイッチ11
1が開放され、電流がダイオードD16
1を流れる状態で
図3(b)の状態に戻り、スタック2
1の充電が再開する。
15.ここで、切離し用スイッチ16
1が閉成され、全てのスタックの充電が継続し、それぞれのスタック対の電解質が等しく充電/放電されているという相違を以て
図3(a)の状況に戻る。それらは、充電状態閾値との差が再度超過して同じ調整が再度なされるまで、そのままとなる。
【0038】
スイッチは、トランジスタスイッチであってもよいが、電気機械的リレーである。
【0039】
ここで
図4を参照すると、より多くのスタックを有する電池が、様々なスタックの選好的な充電/放電の可能性とともに示される。これを実施するための基本回路は、同じである。
【0040】
電池は48個のスタックを有するが、それらは3個組のスタック102で常時接続されている。それらは、12個のスタックのグループである符号1021、1022、1023及び1024にグループ化される。各グループの全てのスタックは、共通の電解質蓄積部1031、1032、1033及び1034からそれぞれ供給される。
【0041】
各グループ内において、一端のバスバー105と「四分点」バスバー106との間に並列配置された3個のスタックの3個組104がある。他端のバスバー107には、1つを直列の3個のスタックの3個の並列体として、バスバー107と四分点の間に配列された9個のスタックのセット108が設けられる。3個組の両端電圧、すなわち、バスバー105とバスバー106の間の電圧は、当然に、9個のセットの両端電圧、すなわち、バスバー106とバスバー107の間の電圧の3分の1となる。
【0042】
グループを代表するものにおいてセルを代表するものは、基準セル1091、1092、1093及び1094を有する。これらは全て、電池のためのコントローラ110に接続される。
【0043】
スタックの各グループは、そのセルの3個組を投入し又は切り離すための内側スイッチ及びダイオード回路111、並びに12個のセルのグループ全体を投入し又は切り離すための外側スイッチ及びダイオード回路112を有する。これらは、上記実施形態と同じ詳細では記載されない。それらのダイオードは、同様の態様で電流フローの連続性を維持するように動作する。内側回路スイッチ1121、1122は、必要に応じて3個組のセルをバイパス又は再接続するように択一的に開閉可能である。外側回路スイッチ1221、1222は、同様に、セルのグループ全体を投入し又は切り離すことができる。前者のスイッチングは、充電状態の調整のためのものとなることが多い。後者のスイッチングは、頻繁には発生せず、電解質の漏出又は交換などの偶発的なものに対するものとなる。