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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】患者の鼻弁狭窄を測定するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/233 20060101AFI20240402BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61B1/233
A61B1/00 551
A61B5/087
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076518
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2019536474の分割
【原出願日】2017-09-15
(65)【公開番号】P2022119786
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】62/395,936
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518100339
【氏名又は名称】スピロックス,インク.
【氏名又は名称原語表記】SPIROX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】バーロン,スコット,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール,マイケル,エイチ.
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/007749(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0051449(US,A1)
【文献】国際公開第2012/133115(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の鼻弁狭窄を測定するシステムにおいて、
患者の顔面構造を有するシールを形成するように構成された顔面マスクであって、内視鏡ポートと空気流を可能にする開口部とを具える顔面マスクと、
前記顔面マスクの開口部と流体連通しており、患者が吸気するときに前記開口部を横切る空気流を測定するように構成された空気流センサと、
前記顔面マスクの前記内視鏡ポートを通過し、鼻弁を撮像するように構成されたカメラを有する内視鏡と、
前記空気流センサで測定された空気流測定値に基づいて、前記カメラで撮像された複数の画像から、(i)吸気中に撮像された前記鼻弁の第1の画像と、(ii)前記空気流がゼロ流量のときに撮像された前記鼻弁の第2の画像と、を選択するために、前記カメラからの複数の画像と前記空気流センサからの複数の空気流測定値とを受信して同期させ、前記第1の画像と前記第2の画像とに基づいて、吸気中の鼻弁と前記空気流がゼロ流量のときの鼻弁とのサイズの差を決定し、前記サイズの差に基づいて患者の鼻弁狭窄を定量化するように構成されたデータ取得モジュールと、
を具える、システム。
【請求項2】
鼻弁のサイズの差を決定するために、前記データ取得モジュールが、
前記第1の画像に基づいて、吸気中における鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の距離を決定し、
前記第2の画像に基づいて、前記空気流がゼロ流量のときにおける鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の距離を決定し、
前記第1の距離を前記第2の距離で割算することによって、前記サイズの差を決定するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の画像が、互いに異なる複数の空気流量のそれぞれについて選択されたものであり、前記複数の空気流量のそれぞれが、患者に異なるレベルで呼吸させたときの各レベルの呼吸における吸気中の一つの空気流量であり、前記データ取得モジュールが、
前記複数の空気流量のそれぞれについて選択された前記第1の画像に基づいて、吸気中における鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の距離を前記複数の空気流量のそれぞれについて決定し、
前記第2の画像に基づいて、前記空気流がゼロ流量のときにおける鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の距離を決定し、
前記第1の距離を前記第2の距離で割算することによって、前記複数の空気流量のそれぞれについて前記サイズの差を決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
(i)前記複数の空気流量のそれぞれについて決定された前記サイズの差に基づいて定量化された前記鼻弁狭窄対(ii)前記複数の空気流量のそれぞれに対応する空気流測定値のグラフを表示するように構成されたディスプレイ装置をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記データ取得モジュールが、前記第1の画像に対して画像分析を適用し、鼻中隔と鼻弁の外壁との間のスペースの面積を自動的に測定し、鼻中隔と外壁との間の面積又は長さを自動的に決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記カメラが前記複数の画像を鼻弁のビデオとして撮像できるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
吸気中の鼻弁と、前記空気流がゼロ流量のときの鼻弁と、の面積又は一若しくはそれ以上の寸法の差のパーセンテージ差を計算し、吸気中の鼻弁と、前記空気流がゼロ流量のときの鼻弁と、のサイズの差を決定できるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示するためのディスプレイ装置をさらに備え、前記グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が(i)前記複数の画像から第1の時間に撮像された画像を表示するとともに、(ii)前記第1の時間の空気流測定値を表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
吸気中の鼻弁の第1の画像の注釈を受け取り、前記第1の画像の注釈は、鼻弁の第1の画像内の鼻中隔と外壁との間の距離を示し、
吸気中の鼻弁の第1の画像の注釈に基づいて、鼻中隔と外壁との間の第1の距離を決定し、
前記空気流がゼロ流量のときの第2の画像の注釈を受け取り、前記第2の画像の注釈は、鼻弁の第2の画像内の鼻中隔と外壁との間の距離を示し、
前記空気流がゼロ流量のときの鼻弁の第2の画像の注釈に基づいて、鼻中隔と外壁との間の第2の距離を決定し、
前記第1の距離と前記第2の距離に基づいて、前記サイズの差を決定するように、前記データ取得モジュールが構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
(i)前記グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)は、前記第1の画像の注釈と前記第2の画像の注釈を表示するように構成されること、
(ii)前記第1の画像の注釈は、前記第1の画像の外壁と鼻中隔の間の鼻弁を横切るラインを含み、前記第2の画像の注釈は、前記第2の画像の外壁と鼻中隔の間の鼻弁を横切るラインを含むこと、
(iii)前記第1の画像の注釈は、前記第1の画像における鼻弁の周囲のトレースを含み、前記第2の画像の注釈は、前記第2の画像における鼻弁の周囲のトレースを含むこと、
(iv)前記グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が、時間に対する空気流測定値を含むグラフを表示するように構成されていること、及び
(v)前記第1の画像が、互いに異なる複数の空気流量のそれぞれについて選択されたものであり、前記複数の空気流量のそれぞれが、患者に異なるレベルで呼吸をさせたときの各レベルの呼吸における吸気中の一つの空気流量であり、前記データ取得モジュールは、前記複数の空気流量のそれぞれについて選択された前記第1の画像の注釈に基づいて前記複数の空気流量のそれぞれについて前記第1の距離を決定し、前記第1の距離と前記第2の距離に基づいて、前記複数の空気流量のそれぞれについて前記サイズの差を決定し、前記複数の空気流量のそれぞれについて決定された前記サイズの差に基づいて前記鼻弁狭窄を定量化し、前記グラフィカルユーザーインターフェースは、前記複数の空気流量のそれぞれについて決定された前記サイズの差に基づいて定量化された前記鼻弁狭窄対前記複数の空気流量のそれぞれに対応する前記空気流測定値のグラフを表示すること、
の少なくとも一つを含む、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願のクロスリファレンス〕
本出願は、2016年9月16日に出願された米国特許出願第62/395,936号「診断ツールおよび使用方法」の優先権を主張しており、この開示は全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
〔参照による組み込み〕
本明細書で言及されている全ての刊行物および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれると表示されているように全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
本開示は、一般的に、鼻弁狭窄などの鼻閉塞の観察と治療に関する。
【背景技術】
【0004】
鼻閉塞は、通常、NOSE問診表(鼻閉塞症状評価)と呼ばれる定性的QOL質問票を介して評価される。鼻閉塞には、鼻中隔弯曲、鼻甲介肥大、および鼻弁の狭窄という3つの主な要因がある。鼻弁狭窄は、吸気中に発生する負圧による鼻弁の動的狭窄である。鼻中隔湾曲および鼻甲介肥大は内視鏡的に診断することができ、耳鼻咽喉科医によって外科的に治療されることが多い。
【0005】
鼻弁狭窄は診断がより困難であり、重篤な症例は、通常、バッテン移植片、スプレッダ移植片、蝶型移植片、翼状支柱移植片、その他といった、軟骨移植に依存した実質的に侵襲的な外科的処置で顔面形成外科医によって治療される。Spirox社のLatera吸収性経鼻インプラントは、グラフト軟骨に依存する最小侵襲的な方法で鼻弁狭窄の治療を可能にするポリマーグラフトである。鼻インプラントの例は、米国特許出願公開第2016/0058556号に開示されている。上記で特定した鼻弁狭窄の治療は、通常、鼻の外壁に剛性を加えて吸気中の狭窄を減らすことによって機能する。
【0006】
外科的処置の前と後に鼻弁狭窄の程度を定量化して、狭窄を減らす特定の治療の有効性を客観的に評価できるようにすることが非常に望ましい。現在のところ、鼻弁狭窄の程度を定量化する広く受け入れられている方法はない。
【0007】
鼻閉塞を定量化するいくつかの方法が開発されてきたが、これらの方法は、魅力的ではなく、時には鼻弁狭窄の動的効果を隠してしまうことがある。これらの方法には、音響鼻腔計測法、鼻腔通気度測定法、及び鼻腔通気耐性検査システム計測がある。これらの方法は、NOSE(鼻閉塞症状評価)スコアを介して、主観的な鼻閉塞を報告している患者との相関性の欠如により、関連性が限られていると報告されている。それにもかかわらず、これらの方法は、鼻弁狭窄を定量化するようには設計されていない。
【0008】
音響鼻腔計測法は、鼻気道の断面積の静的(例えば、非呼吸)定量化である。静的測定であるため、この方法は動的な鼻弁狭窄の収縮効果を捕らえることは本質的に不可能である。図1は、音響鼻腔測定器10と出力20の例示を含む音響鼻腔測定法の一例を示す図である。
【0009】
鼻腔通気度測定法は、一方の鼻孔を塞いで、反対側の鼻孔を通る流量と、同時に塞いだ鼻孔内の圧力を測定するようにしている。この方法では、一方の鼻孔にマスクと接着シールを使用する。その結果、マスクとテープが鼻弁の位置で鼻の外壁に影響を及ぼし、動的狭窄の量を著しく変えて、測定を混乱させる。加えて、鼻弁狭窄が高い吸気圧で生体構造学的な自己制限された流れを引き起こす場合には、正確でない圧力と流れとの間の線形関係を仮定して収集したデータが処理されることが多い。図2A乃至2Dは、鼻孔通気度測定装置30、35、40、および45の例を示す。
【0010】
鼻孔通気耐性検査法には、鼻腔通気度測定法と同じ圧力測定および流量測定に関する追加のデータ分析が含まれており、動的な鼻弁狭窄に関する同じ欠点を抱えている。
【0011】
鼻弁狭窄(または外側鼻壁機能不全)を定量化する一つの既知の方法は、Tsao、Fijalkowskiおよび Mostによる等級付けシステムであり、内弁位置における外壁と鼻中隔との間の距離が低減するパーセンテージの評価者の視覚的評価に基づいて、狭窄度をグレード0、1、2又は3として分類する。図3Cは、吸い込み55および吐き出し50中の鼻弁の画像(図3Aおよび図3B)と共に、鼻弁狭窄用のMost等級付けスケールを示す。外壁と鼻中隔との間の距離は、線52、57で示されている。この線52、57の長さは、Most等級付けスケールに基づいて比較および分類することができる(図3C)。Most等級付けシステムの解像度を1乃至3に制限する変数は多数ある。これらの変数の最も重要なものは、評価を行うときに患者が発生する吸気流の大きさである。吸気努力が高いほど、肺の負圧が大きくなり、狭窄した鼻弁を通る空気速度がより高くなって、弁内の圧力を低下させて狭窄を増加させる。したがって、吸息努力の程度は鼻弁狭窄の程度に大きく影響し、この変数は制御されていない。
【0012】
鼻弁狭窄の大きさをより高い解像度で定量化する方法は現在のところ存在しない。鼻弁狭窄を定量化する改善されたシステムと方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、患者の鼻弁狭窄を定量化する診断ツールと、この診断ツールを使用する方法に関する。
【0014】
一般に、一実施形態では、患者の鼻弁狭窄を判定する方法が提供されている。この方法は、患者が吸気している間および呼気と吸気との間に撮像した患者の鼻弁の一又はそれ以上の画像を受け取るステップであって、この画像が、患者の顔面構造を有するシールを形成しているマスクのポートを通過するカメラを有する内視鏡で撮像されたものであるステップと;患者が吸気している間および呼気と吸気の間にマスクの開口部を横切る患者の空気流量を測定するステップと;患者が吸気している間および呼気と吸気との間に鼻弁の一又はそれ以上の画像を比較し、それによって吸気中および呼気と吸気との間の期間中の鼻弁間のサイズ差を定量化するステップと;を具える。
【0015】
この実施形態およびその他の実施形態は、以下の一又はそれ以上の特徴を具えていてもよい。吸気中および呼気と吸気との間の期間中の鼻弁間のサイズ差を定量化するステップがさらに、吸気中の鼻中隔と鼻弁外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;呼気と吸気との間の期間中の、鼻中隔と鼻弁外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと;第1の相対距離を第2の相対距離で除した値を計算して鼻弁狭窄を定量化するステップ。
【0016】
この方法はさらに、複数の吸気速度で撮像した患者の鼻弁の一又はそれ以上の画像を受けとるステップを具えていてもよい。この方法は、複数の吸気速度について、鼻中隔と鼻弁外壁との間の複数の相対距離を決定するステップをさらに具えていてもよい。
【0017】
この方法はさらに、患者が吸気したときの鼻弁の画像の注釈を受信するステップを具えていてもよく、医師によって行われるこの注釈は、鼻弁の画像における鼻中隔と外壁との間の距離を示す。この方法はさらに、患者が吸気したときの鼻弁の画像の注釈に基づいて、鼻中隔と外壁との間の相対距離を決定するステップを具えていてもよい。
【0018】
この方法はさらに、呼気と吸気との間の期間中に鼻弁の画像の注釈を受け取るステップを具え、医師によって行われるこの注釈は鼻弁の画像中の鼻中隔と外外壁の間の距離を示す。この方法は、さらに、呼気と吸気との間の期間中に鼻弁の画像の注釈に基づいて、鼻中隔と外壁との間の相対距離を決定するステップを具えていてもよい。
【0019】
この方法はさらに、鼻弁と測定した空気流量の複数の画像のタイムスタンプを受信するステップを具えていてもよい。この方法は、さらに第1の時間の空気流量と、対応する最初の鼻弁の画像を表示するステップをさらに具えていてもよい。
【0020】
この方法はさらに、時間に対する空気流量を表す空気流量グラフ表示するステップを具えていてもよい。この方法は、さらに、鼻弁の画像を表示するステップを具えていてもよい。この方法はさらに、空気流量グラフ上の関心のある時間を示すユーザからの入力を受信するステップと;この関心のある時点における鼻弁の対応する画像を表示するステップを具えていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、吸気中、及び呼気と吸気との間の期間中の鼻弁間のサイズの差を定量化するステップが、吸気中及び呼気と吸気との間の期間中に、鼻弁の面積または一又はそれ以上の寸法の差のパーセンテージを計算するステップを具えていてもよい。
【0022】
この方法はさらに、空気流量に対する複数の吸気量における鼻弁狭窄を定量化したグラフを表示するステップを具えていてもよい。
【0023】
この方法はさらに、患者の顔の領域とマスクを係合させて、患者の鼻と口の周りにシールを形成し、実質的にマスクの外部から鼻と口を実質的に密封するステップを具えていてもよい。この方法はさらに、患者をあらかじめ決められた吸気速度に導くステップを具えていてもよい。いくつかの実施形態では、一又はそれ以上の画像が、鼻弁の画像を具える。いくつかの実施形態では、マスクは患者の鼻組織の物理的構造または物理的性質を変えるものではない。この方法は、患者の鼻弁に隣接したカメラを設けた内視鏡を位置決めるステップをさらに具えていてもよい。
【0024】
概して、一実施形態では、鼻弁狭窄を判定する方法が提供されている。この方法は、第1の時点における患者の鼻弁の第1の画像を受信するステップと;ほぼ第1の時間で、患者の鼻弁を通る気流の第1の測定値を受信するステップと;第1の時間における鼻弁の第1の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;第1の時間とは異なる第2の時間に、患者の鼻弁の第2の画像を受信するステップと;ほぼ第2の時点で、患者の鼻弁を通過する空気流の第2の測定値を受信するステップと;第2の時点における鼻弁の第2の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと;第1の相対距離と第2の相対距離とを比較して、鼻弁狭窄の定量的表示を提供するステップと;を具える。いくつかの実施形態では、第1の時間は患者が吸気しているときに対応し、第2の時間は呼気と吸気との間の期間に対応する。いくつかの実施形態では、第1の時間および第2の時間は第1日目にあり、第1日目は患者に治療を提供する前である。
【0025】
この方法はさらに、2日目の第1の時間に撮影された患者の鼻弁の第1の画像を受信するステップであって、ここで2日目とは患者に治療を行った最初の日の後であるステップと;実質的に2日目の第1の時間における、患者の鼻弁を通過する空気流の第1の測定値を受信するステップと;2日目の第1の時間における鼻弁の第1の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;2日目の第1の時間とは異なる第2の時間に患者の鼻弁の第2の画像を受信するステップと;2日目のほぼ第2の時間において、患者の鼻弁を通過する空気流の第2の測定値を受信するステップと;2日目の第2の時間の鼻弁の第2の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと;第1の相対距離と第2の相対距離を比較して、二日目の鼻弁狭窄の定量的表示を提供するステップと;を具えていてもよい。本方法はさらに、1日目の鼻弁狭窄の定量的表示と2日目の鼻弁狭窄の定量的表示とを比較するステップを具えていてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、鼻弁狭窄の定量的表示は、第1の相対距離を第2の相対距離で除した値に相関する。この方法はさらに、鼻弁狭窄の定量的表示と空気流の第2の測定値を表示するステップを具える。
【0027】
いくつかの実施形態では、患者の鼻中隔と鼻腔の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップが、第1の画像の鼻中隔と外壁の間に医師が線を引くことによって提供される注釈内のピクセル数を決定するステップを具える。
【0028】
いくつかの実施形態では、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップが、第2の画像の鼻中隔と外壁の間に医師が線を引くことによって提供される注釈内のピクセル数を決定するステップを具える。
【0029】
この方法はさらに、空気流量対時間を示す空気流量のグラフ表示するステップを具えていてもよい。この方法は、さらに、鼻弁の画像を表示するステップを具えていてもよい。この方法は、さらに、空気流量グラフの関心のある時点を表示するユーザからの入力を受け取るステップと;関心のある時点における鼻弁の対応する画像を表示するステップと;を具えていてもよい。
【0030】
この方法はさらに、空気流量に対する鼻弁狭窄の定量的表示のグラフを表示するステップを具えていてもよい。
【0031】
一般的に、一実施形態では、患者の鼻弁狭窄を測定するシステムが提供されている。このシステムは、患者の顔面構造を有するシールを形成するように構成された顔面マスクであって、内視鏡ポートと空気を流通させる開口部とを具える顔面マスクと;顔面マスクの開口部と流体連通しており、患者の吸気時に開口部を横切る空気流を測定するように構成された空気流センサと;顔面マスクの内視鏡ポートを通過するように構成されたカメラを有する内視鏡と;カメラからの複数の画像と空気流量センサからの複数の空気流量測定値とを受信するように構成されたデータ取得モジュールと;を具える。一態様では、データ取得モジュールは、複数の画像および複数の空気流量測定値に関連する複数のタイムスタンプを使用して、カメラからの複数の画像と空気流量センサからの複数の空気流量測定値を同期させるように構成されている。いくつかの実施形態では、顔面マスクは、患者の鼻の生体構造を変えることなく患者の顔面構造と係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、データ取得モジュールがさらに、気流測定値、吸気中に撮像した鼻弁の写真、およびゼロ流量中の鼻弁の写真を分析し、それによって患者の鼻弁狭窄を定量化するように構成されている。いくつかの実施形態では、患者の鼻弁狭窄を定量化するステップが、吸気中に撮像した鼻弁の写真とゼロ流量中の鼻弁の写真とを比較して、吸気中に撮像した鼻弁の写真とゼロ流量中の鼻弁の写真間の鼻弁の面積または一又はそれ以上の寸法のパーセンテージ差を算出するステップを具える。いくつかの実施形態では、このシステムは、本明細書に記載されているステップのいずれかを実行するように構成されている。
【0032】
一般に、一実施形態では、力を測定する装置が提供されている。この装置は、シャフトの遠位端に設けられたプランジャであって、このプランジャにかかる力を測定するように構成された力ゲージに連結されており、患者の鼻の外壁の外側面と係合するように構成されたプランジャと;このプランジャの変位の長さの視覚的指示を提供するように構成され、所定の距離を有する変位ガイドと;を具える。いくつかの実施形態では、変位ガイドがルーラを具える。いくつかの実施形態では、所定の距離が約5mm以下である。
【0033】
一般的に、一実施形態に、患者の鼻の外壁の特性を測定する方法が提供されている。この方法は、力ゲージに連結されたプランジャを鼻の外壁の外側部分と係合させるステップと;プランジャに力を加えて、プランジャを所定の距離に偏向させるステップと;プランジャが所定の距離に偏向したときの力ゲージの読みを記録するステップと;を具える。この方法は、プランジャの一部の上またはその近傍にあるルーラを使用してプランジャの偏向を測定するステップをさらに具えていてもよい。いくつかの実施形態では、所定の距離が約5mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴と利点のよりよい理解は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
図1図1は、従来技術による鼻閉塞を観察する方法を示す写真である。
図2A図2A乃至2Dは、鼻閉塞を観察する別の従来技術を示す図である。
図2B図2A乃至2Dは、鼻閉塞を観察する別の従来技術を示す図である。
図2C図2A乃至2Dは、鼻閉塞を観察する別の従来技術を示す図である。
図2D図2A乃至2Dは、鼻閉塞を観察する別の従来技術を示す図である。
図3A図3A及び3Bはそれぞれ、呼気および吸気中の鼻弁の画像である。
図3B図3A及び3Bはそれぞれ、呼気および吸気中の鼻弁の画像である。
図3C図3Cは、鼻弁狭窄の内視鏡的評価用のMost等級付けスケール示す図である。
図4A図4A乃至4Dは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する診断ツールを示す図である。
図4B図4A乃至4Dは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する診断ツールを示す図である。
図4C図4A乃至4Dは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する診断ツールを示す図である。
図4D図4A乃至4Dは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する診断ツールを示す図である。
図5A図5A及び5Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法と共に使用することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一例を示す図である。
図5B図5A及び5Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法と共に使用することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一例を示す図である。
図6A図6A及び6Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法と共に使用することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一例を示す図である。。
図6B図6A及び6Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法と共に使用することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一例を示す図である。
図7A図7A及び7Bは、いくつかの実施形態による、患者の左鼻孔と右鼻孔について、それぞれ鼻弁狭窄対気流を示す例示的なグラフを示す。
図7B図7A及び7Bは、いくつかの実施形態による、患者の左鼻孔と右鼻孔について、それぞれ鼻弁狭窄対気流を示す例示的なグラフを示す。
図8A図8A及び8Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法と共に使用することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のさらなる例を示す。
図8B図8A及び8Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法と共に使用することができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のさらなる例を示す。
図9図9は、いくつかの実施形態による鼻外壁の一部を偏向させる力を測定する装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
鼻弁狭窄に対するMost等級付けスケールの分解能を向上させるために、外壁の動きを物理的に妨げることなく鼻腔内空気流速を同時に捕捉しながら、外壁の動きの内視鏡的可視化を捕捉する方法が開発された。
【0036】
本方法は、フルフェイスマスクに接続して吸気空気流量を捕捉する空気流センサの使用を具える。このマスクはシールを通しての内視鏡の導入を可能にするポートを鼻の下に備えるように設計されている。したがって、空気流測定値と内視鏡ビデオの両方を同時に収集することができる。この方法はさらに、外壁の動きの内視鏡ビデオと空気流量データの両方を同期させて取り込むソフトウェアを具える。
【0037】
患者の鼻弁狭窄を判定する方法が提供されている。この方法は、患者が吸気している間および呼気と吸気との間に撮像した患者の鼻弁の一又はそれ以上の画像を受け取るステップであって、この画像が患者の顔の構造をしたシールを形成するマスク内のポートを通過するカメラを有する内視鏡で撮像されたものであるステップと;患者が吸気する間および呼気と吸気の間に、マスクの開口部を横切る患者の空気流量を測定するステップと;患者が吸気している間および呼気と吸気との間の、一又はそれ以上の鼻弁の画像を比較して、それによって吸気中および呼気と吸気との間の鼻弁間のサイズ差を定量化するステップと;を具える。
【0038】
吸気中および呼気と吸気との間の期間中の鼻弁間のサイズ差を定量化するステップは、吸気中の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと、呼気と吸息との間の期間中に鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと、第2の相対距離で除した第1の相対距離を計算して、鼻弁狭窄を定量化するステップとを具えていてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、この方法はさらに、複数の吸気速度で撮像した、患者の鼻弁の一又はそれ以上の画像を受信するステップを具えていてもよい。この方法はまた、複数の吸気速度についての鼻中隔と鼻弁の外壁との間の複数の相対距離を決定するステップを具えていてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、患者が吸気したときの鼻弁の画像の注釈を受け取るステップを具え、この注釈は、鼻弁の画像内の鼻中隔と外壁との間の距離を示すためのものである。この方法は、患者が吸気したときの鼻弁の画像の注釈に基づいて、鼻中隔と外壁との間の相対距離を決定するステップを具えていてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、この方法は、呼気と吸気との間の期間中の鼻弁の画像の注釈を受け取るステップを具え、この注釈は鼻弁の画像の鼻中隔と外壁との間の距離を示すためのものである。この方法は、呼気と吸気との間の期間中の鼻弁の画像の注釈に基づいて鼻中隔と外壁との間の相対距離を決定するステップを具えていてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、方法は、鼻弁の複数の画像と測定した空気流量のタイムスタンプを受信するステップを具える。この方法は、第1の時間に空気流量を表示し、この第1の時間における鼻弁の対応する画像を表示するステップをさらに具えていてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、この方法は、空気流量対時間を示す空気流量グラフを表示するステップを具える。この方法は、鼻弁の画像を表示するステップをさらに具えていてもよい。この方法は、また、空気流量グラフ上の関心のある時間を表すユーザからの入力を受け取るステップと、関心のある時間における鼻弁の対応する画像を表示するステップを具えていてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、この方法は、吸気中と呼気と吸気との間の期間の鼻弁間のサイズ差を定量化するステップと、吸気中と呼気と吸気との間の期間の鼻弁の面積または一又はそれ以上の寸法の差のパーセンテージ差を計算するステップを具える。
【0045】
いくつかの実施形態において、この方法は、複数の吸気レート対空気流量における鼻弁狭窄の定量化グラフを表示するステップを具える。
【0046】
いくつかの実施形態では、この方法は、マスクを患者の顔面領域と係合させて患者の鼻および口の周りにシールを形成し、鼻および口をマスクの外側から実質的にシールするステップを具える。いくつかの実施形態では、この方法は、患者を所定の吸気速度に導くステップを具える。いくつかの実施形態では、方法は、一またはそれ以上の画像が鼻弁のビデオを具える。いくつかの実施形態では、この方法は、マスクが患者の鼻腔組織の物理的構造または物理的特性を変えない。いくつかの実施形態では、この方法は、患者の鼻弁の近傍のカメラを用いて、内視鏡を位置決めするステップを具える。
【0047】
鼻弁狭窄を判定する方法が提供されている。いくつかの実施形態では、この方法は、第1の時間に撮像された患者の鼻弁の第1の画像を受信するステップと、実質的に第1の時間において患者の鼻弁を通過する空気流の第1の測定値を受信するステップと、第1の時間における鼻弁の第1の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと、第1の時間とは異なる第2の時間における患者の鼻弁の第2の画像を受信するステップと、実質的に第2の時間において、患者の鼻弁を通過する気流の第2の測定値を受信するステップと、第2の時間における鼻弁の第2の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離とを決定するステップと。第1の相対距離と第2の相対距離とを比較して鼻弁狭窄の定量的表示を提供するステップと、を具える。いくつかの実施形態では、第1の時間が、患者が吸気しているときに対応し、第2の時間が呼気と吸気との間の期間に対応する。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の時間と第2の時間が1日目であり、最初の日は、患者に治療を提供する前である。いくつかの実施形態では、この方法は、2日目の第1の時間に撮像された患者の鼻弁の第1の画像を受信するステップであって、この2日目は1日目の後であり、患者に治療が提供された後であるステップと;2日目の実質的に第1の時間において、患者の鼻弁を通過する気流の第1の測定値を受信するステップと;2日目の第1の時間における鼻弁の第1の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;2日目の第1の時間と異なる第2の時間における患者の鼻弁の第2の画像を受信するステップと;2日目の実質的に第2の時間に、患者の鼻弁を通過する気流の第2の測定値を受信するステップと;2日目の第2の時間における鼻弁の第2の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと;第1の相対距離と第2の相対距離とを比較して、2日目の鼻弁狭窄の定量的表示を提供するステップと;を具える。この方法はまた、1日目の鼻弁狭窄の定量的表示と2日目の鼻弁狭窄の定量的表示とを比較するステップを具えていてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、鼻弁狭窄の定量的表示は、第2の相対距離で除した第1の相対距離に相関する。この方法はさらに、鼻弁狭窄の定量的表示と空気流の第2の測定値を表示するステップを具えていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、この方法は、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと、医師が第1の画像における鼻中隔と外壁との間に線を引くことによって提供される注釈内のピクセル数を決定するステップを具える。
【0051】
いくつかの実施形態では、この方法は、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと、医師が第2の画像における鼻中隔と外壁との間に線を引く医師によって提供される注釈内のピクセル数を決定するステップを具える。
【0052】
いくつかの実施形態において、この方法は、空気流量対時間を表す空気流量のグラフを表示するステップを具える。この方法はまた、鼻弁の画像を表示するステップを具えていてもよい。この方法はまた、空気流量グラフ上の関心のある時間を示すユーザからの入力を受信するステップと、この関心のある時間における対応する鼻弁の画像を表示するステップを具えていてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、この方法は、鼻弁狭窄対空気流量の定量的表示のグラフを表示するステップを具える。
【0054】
鼻弁狭窄を測定するシステムも本明細書に提供されている。いくつかの実施形態では、このシステムは:患者の顔面構造を有するシールを形成するように構成された顔面マスクであって、内視鏡ポートと空気流を可能にする開口部とを具える顔面マスクと;患者の吸気時にこの開口部を横切る空気流を測定するように構成された顔面マスクの開口部と流体連通する空気流センサと;顔面マスクの内視鏡ポートを通過するように構成したカメラを有する内視鏡と;カメラからの複数の画像と空気流量センサからの複数の空気流量測定値を受信するように構成されたデータ取得モジュールと;を具える。データ取得モジュールは、複数の画像および複数の空気流量測定値に関連する複数のタイムスタンプを使用して、カメラからの複数の画像および空気流量センサからの複数の空気流量測定値を同期させるように構成することができる。顔面マスクは、患者の鼻の生体構造を変えることなく患者の顔面構造と係合するように構成することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、データ取得モジュールがさらに、空気流測定値、吸気中に撮影された鼻弁の写真、およびゼロフロー中の鼻弁の写真を分析し、それによって患者の鼻弁狭窄を定量化するように構成されている。患者の鼻弁狭窄の定量化には、吸気間に撮像した鼻弁の写真とゼロフロー中の鼻弁の写真を比較して、吸気中に撮像した鼻弁の写真とゼロフロー中の鼻弁の写真との間の鼻弁の面積又は一又はそれ以上の寸法のパーセンテージ差を計算するステップを具えていてもよい。
【0056】
また、力を測定する装置が提供されている。いくつかの実施形態では、この装置は、シャフトの遠位端にプランジャであって、プランジャにかかる力を測定するように構成した力ゲージに連結されており、患者の鼻の外壁の外面と係合するように構成されたプランジャと;プランジャの変位の長さの視覚的表示を提供するように構成した変位ガイドであって、所定の距離を含む変位ガイドと;を具える。この変位ガイドはルーラーを具えていてもよい。所定の距離は、約5mm以下である。
【0057】
患者の鼻の外壁の特性を測定する方法も提供されている。この方法は、力ゲージに連結されたプランジャを鼻の外壁の外側部分と係合させるステップと、プランジャに力を加えてプランジャを所定の距離まで偏向させるステップと、プランジャが所定の距離に変更したときに力ゲージの読みを記録するステップを具える。この方法はまた、プランジャの一部にまたはその近傍でルーラーを使用してプランジャの変更を測定するステップを具えていてもよい。所定の距離は、約5mm以下である。
【0058】
図4A乃至4Dに、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する装置を示す。図4Aは、呼気弁104と、内視鏡102を受けるポートとを有するフルフェイスマスク100を示す。呼気弁は、管106と係合して、呼気弁が流量センサ108と流体連通するようにしている(図4B)。内視鏡を受けるポート104は、内視鏡とシールを形成して、内視鏡がポートを通過するときにシールを横切る空気流を最小にしている。図4Bは、管106、流量センサ108、電源110、およびデータ取得モジュール112を具えるシステムの一部も示している。図4Cは、マスク100のポート102を通過する内視鏡120を示す図である。内視鏡120は、生体構造の画像を記録し、その画像をデータ取得モジュール112に送信する内視鏡カメラと共に、生体構造の画像を取得する光学系を含む。データ取得モジュール112は、内視鏡のカメラが捕捉した任意の画像またはビデオと共に、流量センサ108から空気流データを受信できる。内視鏡からのデータは、USBケーブルなどのケーブル114を介してデータ取得モジュール112に提供される。場合によっては、データ送信を無線で行ってもよい。
【0059】
データ取得モジュール112は、内視鏡画像を流量センサ108からの流量計データに時間同期させることができる。例えば、データ取得モジュール112は、空気流データと内視鏡からの画像フレームに時間スタンプを割り当てて、気流データと画像フレームを同期させることができる。フローセンサ108は、内視鏡カメラによって撮像された画像の周波数よりも高い周波数で空気流をサンプリングすることができる。例えば、空気流データは、KHZ付近の周波数、例えば毎秒1000回のオーダーで測定することができる。対照的に、内視鏡カメラは、通常、毎秒30乃至60フレームのオーダーで画像を取り込む。データ取得モジュール112は、画像のタイムスタンプと気流データとを同期させ、同期した画像と気流データを、患者を診察および/または治療している医師などのユーザに提供することができる。
【0060】
データ取得モジュール112は、本明細書に記載されているように、受信したデータを分析するプロセッサを具えていてもよい。データ取得モジュール112は、ハンドヘルドコンピュータなどの外部コンピュータ装置と通信して、画像およびデータはリアルタイムで表示してもよく、あるいはデータを取得した後にユーザによって操作することができる。タブレットまたはスマートフォンアプリケーションといったコンパニオンアプリケーションをこの装置に設けて、患者データの収集および分析を容易にすることができる。外部コンピュータ装置またはコンパニオンアプリケーションとともに使用できるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一例を図5A乃至6Bに示す。
【0061】
エアフローセンサ108は、通常、ヒトが生成する空気流量を測定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、空気流量センサは、毎分約0リットルから毎分約100リットルまでの空気流量を測定することができる。
【0062】
この装置によって、医師は一貫性のある測定を行うための目標となる吸気量で呼吸するように患者に助言することができる。医師は、所望のまたは所定のレベルを満たすように吸気または吸気流量を修正するように使用者に指示することができる。通常、医師は、いくつかの異なるレベルで呼吸するように患者に指示し、例えば、患者は、低呼吸、中呼吸、および高呼吸で呼吸するように指示される。いくつかの異なる空気流量で鼻弁狭窄を測定することにより、医師が、様々な空気流量で鼻弁狭窄を定量化し、観察することが可能になる。また、様々な測定値により、以下に詳細に説明するように、狭窄対決定すべき空気流量のプロットが可能になる。通常、狭窄対空気流量の相関は、ほぼ線形の関係に対応する。プロットの傾きは、患者の生体構造のばね定数に対応する。
【0063】
また、このシステムによって医師は鼻弁を通過する空気流を測定すると同時に、鼻弁狭窄の量を観察することができる。呼吸中の鼻弁と外壁の動きを観察することによって、医師は患者の生体構造に関する追加情報を取得して、患者が経験している可能性がある問題の診断を改善することができる。鼻閉塞の原因はいくつかある。したがって、医師が吸気中に鼻弁を観察し、外壁が著しく狭窄していない場合、医師は、患者がLatera(登録商標)インプラントのような鼻インプラントから利益を得る可能性が低いことがわかり、さらに鼻閉塞のさらなる原因を探すことができる。医師はまた、患者の鼻弁が大きく開いているか、鼻弁が静的に狭いかなど、患者の鼻弁の大きさを観察することもできる。医師はまた、外壁の柔軟性を直接観察することもできる。したがって、患者が柔軟な外壁と大きな鼻弁を有する場合には、鼻弁狭窄が問題になる可能性は低い。対照的に、患者が柔軟な外壁と狭い鼻弁を有する場合、鼻弁狭窄は、呼吸に影響を及ぼし得る問題である可能性が高い。
【0064】
いくつかの例では、医師は、患者がかなりの鼻弁狭窄を経験しているかどうかが空気流量対時間のプロットからわかる。例えば、吸気中の空気流量のプロットが最初に上昇し、その後より低いプラトーに急激に減少している場合、鼻弁が初期吸気と共に狭窄して空気流量をより低いプラトー値に制限している可能性が高い。
【0065】
図5A及び5Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法の一例を示す。図5A及び5Bに示すグラフィカルユーザインタフェース(GUI)200は、コンピュータ画面、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、またはそのほかのディスプレイ付コンピュータ装置に表示できる。図5Aは、診断ツールの空気流センサによって捕捉したユーザの吸気量の空気流測定値204と共に、内視鏡のカメラで捕捉した外壁と鼻弁の画像202を有するGUI200を示す。空気流量は標準リットル/分(SLM)対時間で示されている。図5Bは、図5Aと同様のGUI200を示しているが、鼻弁202の画像が、吸気中に鼻外壁が狭窄していることを示している。
【0066】
さらに、内視鏡カメラで撮影した映像からのフレームは、非吸気ベースライン画像、及び、所望の吸気流量の画像の両方についての対応する流量に基づいて選択することができる。
【0067】
装置上のソフトウェアまたは遠隔コンピュータによって操作されるソフトウェアによって、ベースライン画像と吸気画像の両方について線形測定値を得ることができ、これらの測定値を使用して、鼻弁狭窄に起因する鼻中隔と外壁との間の距離の減少率を計算することができる。
【0068】
この装置と方法は、特定の空気流量での外壁狭窄の高分解能測定を出力する。いくつかの従来技術とは対照的に、この出力は鼻弁狭窄の定量的測定値である。フルフェースマスクの使用により、鼻外壁の特性を変更することを防ぎ、診断ツールおよび関連する方法の有用性をさらに改善することができる。本開示は、鼻弁狭窄の程度の診断の有意な改善を可能にし、外壁が外科的矯正後の狭窄に抵抗する能力の変化を客観的に測定できるようにして、様々な外科的矯正方法の比較を可能にする。
【0069】
図6A及び図6Bは、医師またはその他のユーザがどのようにして収集したデータを、GUI200を用いて検討し、これに注釈を付けることができるかを示す。GUI200によって、医師またはその他のユーザは、空気流測定値および対応する鼻中隔および外壁の画像202を示すタイムライン上のプロットを選ぶことができる。ユーザは、外壁と鼻中隔との間の距離を示すライン210a、210bを引くことができる。ライン210aは、外壁と鼻中隔との間の距離を示し、GUI200はSLPM内の空気流をゼロとして示している(例えば、ゼロフロー)。ライン210bは、外壁と鼻中隔との間の距離を示し、GUI200は34.08SLPMの空気流を示している。狭窄の程度は、線210b/210aの割算で決定できる。場合によっては、描かれる線210a/210bの長さを、その線の中のピクセルを計数することで決定できる。
【0070】
いくつかの実施形態では、ユーザは鼻弁の周囲(例えば、鼻中隔と外壁)をトレースすることができ、プログラムで鼻弁に含まれる相対面積を計算できる。場合によっては、この方法は、画像解析技術を適用して鼻中隔と外壁との間の空間の面積を測定し、ゼロ流量および別の流量で鼻中隔と外壁との間の面積または長さを自動的に決定し、次いで二つの測定値のパーセンテージ差を計算するステップを具えていてもよい。
【0071】
医師または使用者は、GUI200を使用して観察するための、特定の時間と空気流および鼻の生体構造の画像を選択することができる。場合によっては、医師が自分の知識と専門技術を使用して、鼻弁狭窄の測定に使用する特定のポイントと対応する空気流量を選択する。このシナリオでは、次いでシステムが、医師が選択した測定時間に基づいてデータの定量化を提供する。通常、これらの領域はぼやけた画像または解像度が良くない画像となる可能性があるので、空気流量が急激に移行したり変化したりする場合には、測定値は使用されない。時間プロット対空気流のより一定で平坦な領域が望ましい。いくつかの実施形態では、医師は、弛緩状態で外壁を観察するためにゼロ流量または静止位置を選択する。医師は、別の空気流量における外壁位置、通常は所与の吸気に対する最大狭窄点での外壁位置を観察することができる。所与の吸気サイクルについて、医師は空気流が安定しており、カーブがプラトーにある点を選択するであろう。プラトーは、通常、鼻の生体構造と気道に基づいて流量が制限される場合に生じる。
【0072】
いくつかの実施形態において、医師は、小吸気、中吸気、および大吸気といった、変化する吸気の大きさを取るようにユーザに指示する。目的は、様々な空気流量で鼻の生体構造を観察して、 図7A及び7Bについて詳細に説明したように、鼻弁狭窄対空気流量をプロットするデータを生成することである。
【0073】
医師は、吸気または呼吸パターンの所定の回数について、または所望量のデータが受信されるまで患者を観察することができる。場合によっては、患者が観察した一回の吸気に基づいて、外壁に関する十分なデータを得ることが可能である。例えば、空気流量が吸気の過程にわたって十分に変化する場合、十分な離散的測定値が達成され、図7Aおよび7Bに記載されているように線形プロットを作成できる。
【0074】
場合によっては、静的状態で鼻弁を観察して、その静的サイズを動的状態にある外壁構造と比較することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、内視鏡のオペレータは、鼻中隔と外壁にマーキングを施して、鼻弁狭窄を測定するポイントをより容易に決定できる。外壁と鼻中隔にマーキングすると、鼻中隔と外壁の間の距離が正確に測定される可能性が高くなる。例えば、内視鏡の向きおよび外壁の可撓性が、気道内の所定のポイントについて、鼻中隔に対して外壁の相対位置を比較することが困難にすることがある。場合によっては、可撓性のある外壁があると、ユーザは、鼻中隔と、その外壁のポイントの後方または前方のポイントとの間の距離を誤って測定する可能性がある。マーキングは、可視スペクトルにあるペンカラーを使用して行うことができる。場合によっては、インクを含む内視鏡の一部に触れることによってペンを当てて、毛管現象によってインクが流動して、鼻中隔/外壁の表面をマーキングすることができる。
【0076】
図8A及び8Bは、いくつかの実施形態による鼻弁狭窄を定量化する方法で使用できるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のさらなる例を示す。図8A及び8Bは、GUI300用のレビューモードを示す。GUI300は、医師がレビューし分析するための患者に関する様々な情報を示す。GUI300は、患者番号、試験を行う場所、試験プロトコル、日付などの情報を示す。GUI300は、医師がレビューモードにあることを示す。GUI300は、フレームの特定の詳細、およびその特定の画像についての吸気レベルなどその他の関連データと共に、鼻弁の画像を提供する。図示した鼻弁の画像は、鼻中隔と外壁との距離の決定を容易にするための、医師が使用できる鼻中隔及び外壁上のマーキングを示す。GUI300はまた、時間対SLPM内空気流のプロットも具えている。SLPMにおける空気流のプロットは、プロットに沿って特定の時点を選択するために医師によって使用され、その時間が選択された後に鼻弁の対応する画像が医師に示される。GUI300は、鼻弁狭窄の定量化について画像に注釈を付ける。医師は、必要に応じて「ベースライン」または「吸気」ボタンをクリックし、次いで、鼻中隔と外壁との間に線を引くように画像に注釈を付ける。GUI300がベースラインおよび吸気ラインを受け取った後、鼻弁狭窄が計算され、GUI300上に示されているように、パーセンテージで提供することができる。システムがいくつかのデータ点を受け取った後、鼻弁狭窄対空気流量のグラフを作成してユーザに提示することができる。このグラフの一例を図7A及び7Bに示す。
【0077】
図7A及び7Bは、本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して得た、鼻弁狭窄対毎分標準リットル数(SLPM)空気流量グラフの例を示す図である。多くの患者は、鼻弁狭窄対空気流量は、外壁のばね定数に対応する線の勾配と実質的に線形の関係にある。図7Aは、外壁を硬くするインプラントを提供する前及びその後の患者の左鼻孔の狭窄を示す。プロットの前後は、それぞれ5つのデータ点に基づいており、点線はデータ点の線形近似に対応している。図7Aのグラフは、外壁硬化後の全体的なより低い狭窄値を伴う適合線の有意に平坦な傾斜によって、外壁の硬化に使用するインプラントの改善を明確に示している。図7Bは、外壁を硬くするインプラントを提供する前及びその後の患者の左鼻孔の狭窄を示す。図7Bにおいて、プロットの前後は、それぞれ3つのデータ点に基づいており、点線はデータ点の線形近似に対応している。図7Bのグラフも、外壁硬化後の全体的なより低い狭窄値を伴う適合線の優位に平坦な傾斜によって、外壁を硬くするインプラントの改善を明確に示している。
【0078】
場合によっては、空気流量および鼻弁狭窄との関係が非線形な関係になることがある。いくつかの実施形態では、空気流量と鼻弁狭窄は、より複雑な式を用いてモデル化することができる。例えば、より複雑なモデルは、鼻弁の完全な狭窄または完全な狭窄に近い、優位な鼻弁狭窄を有する患者に使用することができる。
【0079】
このシステムを使用して得られた患者のデータを集めて、外壁のばね定数の範囲を決定することができる。ばね定数の値は、柔軟、平均、硬いなど、さまざまなカテゴリに分類できる。
【0080】
本明細書に記載したように、患者の生体構造についてのバネ定数値を測定し、患者を治療する医師によって、患者が経験している可能性のある呼吸の問題を診断し、治療するのに使用する情報の一つとして、これを考慮することができる。例えば、外壁のばね定数や鼻弁全体の大きさは、患者の治療計画を策定するときに考慮に入れることができる。例えば、外壁のばね定数がフレキシブルであったり、鼻弁のサイズが小さい場合は、鼻腔インプラントを使用して鼻弁を硬くすることが患者に有益であり得ることを表示できる。別の例では、外壁のばね定数がより硬い場合および/または鼻弁のサイズが大きい場合は、鼻閉塞が主に鼻中隔または鼻甲介に関連する問題に起因することを表示できる。このシナリオでは、経鼻弁を硬くするために経鼻インプラントを使用して鼻弁を硬くすることは、患者に利益をもたらす可能性が低いことがある。
【0081】
図9は、いくつかの実施形態による、患者の鼻400の外壁402の偏向の測定に使用できる装置を示す図である。装置404は、鼻400の外壁402に押し付けて、所定の撓みについての力ダイヤル406にかかる力を測定するプランジャ408を具える。装置404は、ルーラー410又はマーキングを具えており、所望の偏向長さについての力を測定することができる。望ましい偏向長さは、医師の好み、装置400の構成、患者の生体構造などに基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、望ましい偏向長さは3mmである。装置404のプランジャに望ましい撓み長さを示す印を付けることができる。ユーザは、望ましい偏向長さが達成されたときに力ダイヤル406に示されるピーク力を記録することがきる。いくつかの実施形態では、望ましい偏向長さは、約10mm、9mm、8mm、7mm、6mm、5mm、4mm、3mm、2mm、または1mm未満である。望ましい偏向における力の読みを得て、本明細書で測定したばね定数値の範囲と比較することができる。装置404は、患者の外壁の特性の指標を得る、迅速で、簡単かつ便利な方法である。この情報は、患者の診断や治療に役立つ。いくつかの実施形態では、装置404は、選択的に患者の顔の一部に当接し得る患者係合面を具えていてもよく、これは望ましい偏向長さの力を測定しながら、装置の安定性および患者に対する装置の向きを補助する。
【0082】
本明細書で特徴または要素が、他の特徴または要素「上に」あるとされている場合、それは他の特徴または要素の上に直接あってもよく、または介在する特徴および/または要素が存在していてもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素の「直接上に」あるとされている場合は、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が他の特徴または要素に「接続」、「取り付け」または「結合」されているとされている場合は、それは他の特徴または要素に直接、接続、取り付けまたは結合されていても、あるいは介在する特徴または要素が存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続」、「直接取り付け」または「直接結合」されているとされている場合は、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または図示したが、このように説明または図示した特徴および要素は、他の実施形態にも適用することができる。他の特徴に「隣接して」配置されている構造または特徴への言及が、隣接する特徴と重なり合うかまたはその下にある部分を有することは当業者には自明である。
【0083】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用されているように、文脈が明らかにそうでないと示さない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数形も含むことを意図する。本明細書で使用されているように、用語「具える」および/または「具えている」は、述べられた特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、一またはそれ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書で使用されているように、用語「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの一又はそれ以上のあらゆる組合せを含み、「/」と省略されることがある。
【0084】
「下」、「下方」、「上」、「上方」などの空間的な相対的用語は、図面に示すように、位置の要素又は特徴の、他の要素又は特徴に対する関係を容易に記述するために使用されている。空間的な相対的用語は、図に示されている向きに加えて、使用または動作中の装置の様々な向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図中の装置が反転している場合、他の要素または特徴の「下」または「真下」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、「下」という例示的な用語は、「上」と「下」の両方の向きを包含することができる。装置は他の方向を向いていてもよく(90度回転して、またはその他の方向を向いて)、本明細書で使用される空間的な相対的記載は、それに応じて解釈される。同様に、「上に」、「下に」、「垂直に」、「水平に」などの用語は、特に明記しない限り、本明細書では説明の目的のためだけに使用されている。
【0085】
用語「第1」および「第2」は、様々な特徴/要素 (ステップを含む)の説明に使用でき、文脈上別段の指示がない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、一の特徴/要素を他の特徴/要素から区別するために使用できる。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に論じる第1の特徴/要素を第2の特徴/要素と呼んでもよく、同様に、以下に論じる第2の特徴/要素を第1の特徴/要素と呼んでもよい。
【0086】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、用語「具える」、および「具えている」などの変形は、方法および物(例えば、装置および方法を含む組成および装置)において様々な構成要素を共通して使用できることを意味する。例えば、用語「具える」は、任意の述べられた要素またはステップの包含を意味するが、他の任意の要素またはステップの排除を意味しないと理解される。
【0087】
本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、実施例で使用されているものも含め、他に明示的に指定されていない限り、すべての数字は、その用語が明示的に現れていなくても、「約」または「およそ」が付いているものと読むことができる。「約」または「およそ」という句は、大きさおよび/または位置を説明するときに、説明された値および/または位置が妥当な予想範囲内の値および/または位置内にあることを示すのに使用できる。例えば、数値は、表示値の±0.1%(または値の範囲)、表示値の±1%(または値の範囲)、表示値の±2%(または値の範囲)、表示値の±5%(または値の範囲)、表示値の±10%(または値の範囲)などの値をとり得る。文脈がそうでないと示さない限り、約またはおよその値を含むと理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書中に列挙される数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことを意図している。また、値が開示されるとき、当業者に自明であるように、「その値以下」、「その値以上」および値の間の可能な範囲も開示されていることも理解される。例えば、値「X」が開示されている場合、「X以下」および「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示されている。本出願を通して、データは多数の様々なフォーマットで提供され、そしてこのデータは終点および開始点を表し、そしてデータ点の任意の組み合わせの範囲を表していることもまた理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示されている場合、10以上15以下、10以下、15以下であると理解される。2つの特定の単位の間の各単位もまた開示されていることも理解される。例えば、10と15が開示されている場合は、11、12、13、および14も開示されている。
【0088】
様々な例示的な実施形態が上記に記載されているが、変更の数のいずれも、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態でなされ得る。例えば、説明された様々な方法のステップが実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更されることがあり、他の代替の実施形態では、一又はそれ以上の方法のステップを完全にスキップすることがある。様々な装置およびシステムの実施形態の選択的な特徴は、いくつかの 実施形態に含まれてもよく、他の実施形態には含まれなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示を目的として提供されており、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0089】
実施例および図面は、限定ではなく例示として、主題を実施することができる特定の実施形態を示している。上述したように、他の実施形態をそこから利用および導出して、本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更を行うことができる。本発明の主題のこのような実施形態は、単に便宜上、かつ本出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、個々にまたは集合的に用語「発明」として本明細書で言及することができる。したがって、本明細書では特定の実施形態を例示し説明したが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態の代わりに使用することができる。本開示は、様々な実施形態の
ありとあらゆる適応または変形を網羅することを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。
本願の出願当初の特許請求の範囲に記載されていた請求項は、以下の通りである。
請求項1:
患者の鼻弁狭窄を判定する方法において:
患者の吸気中および呼気と吸気の間に撮像した患者の鼻弁の一又はそれ以上の画像を受信するステップであって、当該画像が、患者の顔面構造とのシールを形成するマスクのポートを通過するカメラを有する内視鏡で撮像されたものである、ステップと;
患者の吸気中および呼気と吸気の間に、前記マスクの開口部を横切る患者の空気流量を測定するステップと;
患者の吸気中および呼気と吸気との間に、前記鼻弁の一又はそれ以上の画像を比較して、吸気中および呼気と吸気との間の鼻弁間のサイズ差を定量化するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
請求項2:
前記吸気中および呼気と吸気との間に鼻弁間のサイズ差を定量化するステップがさらに、
吸気中の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;
呼気と吸気との間に、鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップ と;
前記第1の相対距離を第2の相対距離で除する計算を行って、鼻弁狭窄を定量化するステップと;
を具えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
請求項3:
複数の吸気速度で撮像された前記患者の鼻弁の一又はそれ以上の画像を受信するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
請求項4:
前記複数の吸気速度について、前記鼻中隔と鼻弁の外壁との間の複数の相対距離を決定するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
請求項5:
患者が吸気したときの鼻弁の画像の注釈を受け取るステップであって、当該注釈が、医師によって鼻中隔と外壁の間の距離を鼻弁の画像中に示すために行われることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
請求項6:
患者が吸気したときの鼻弁の前記画像の注釈に基づいて、前記鼻中隔と外壁との間の相対距離を決定するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
請求項7:
呼気と吸気との間に前記鼻弁の画像の注釈を受信するステップをさらに具え、当該注釈が、医師によって前記鼻中隔と外壁の間の距離を前記鼻弁の画像中に示すために行われることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
請求項8:
呼気と吸気との間に前記鼻弁の画像の注釈に基づいて鼻中隔と外壁との間の相対距離を決定するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
請求項9:
前記鼻弁の複数の画像と前記測定された空気流量のタイムスタンプを受け取るステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
請求項10:
第1の時間における空気流量を表示し、前記第1の時間に対応する前記鼻弁の画像を表 示するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
請求項11:
時間対空気流量を示す空気流量グラフを表示するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
請求項12:
前記鼻弁の画像を表示するステップをさらに具えることを特徴とする、 請求項11に記載の方法。
請求項13:
前記空気流量グラフ上の関心のある時間を表示するユーザからの入力を受信するステップと;関心のある時点における前記鼻弁の対応する画像を表示するステップと;をさらに具えることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
請求項14:
吸気中及び呼気と吸気の間の鼻弁間のサイズの差を定量化するステップが、吸気中及び呼気と吸気の間の鼻弁の面積または一又はそれ以上の寸法のパーセンテージ差を計算するステップを具えることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
請求項15:
複数の吸気速度対空気流量における鼻弁狭窄の定量化のグラフを表示するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
請求項16:
前記マスクを前記患者の顔面領域に係合させて、前記患者の鼻および口の周囲にシールを形成して、前記患者の鼻および口を前記マスクの外部から実質的にシールするステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
請求項17:
前記患者を所定の吸気速度に導くステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
請求項18:
前記一又はそれ以上の画像が前記鼻弁のビデオを具えることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
請求項19:
前記マスクが、前記患者の鼻腔組織の物理的構造または物理的性質を変えないことを特徴とする、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
請求項20:
前記カメラを伴う内視鏡を前記患者の鼻弁に隣接して位置決めするステップをさらに具えることを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
請求項21:
鼻弁狭窄を判定する方法において:
第1の時間に撮像された患者の鼻弁の第1の画像を受信するステップと; 実質的に前記第1の時間に、患者の鼻弁を通過する空気流の第1の測定値を受信するステップと;
前記第1の時間における鼻弁の第1の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻腔弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;
前記第1の時間とは異なる第2の時間に患者の鼻弁の第2の画像を受信するステップと;
実質的に前記第2の時間に、患者の鼻弁を通過する空気流の第2の測定値を受信するステップと;
前記第2の時間における前記鼻弁の第2の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと;
前記第1の相対距離と前記第2の相対距離とを比較して鼻弁狭窄の定量的表示を提供するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
請求項22:
前記第1の時間が、前記患者が吸気しているときに対応し、前記第2の時間が呼気と吸気の間に対応する、請求項21に記載の方法。
請求項23:
前記第1の時間と前記第2の時間が、初日であり、当該初日は、患者に治療を提供する前であることを特徴とする、請求項21または22に記載の方法。
請求項24:
請求項23に記載の方法がさらに:
2日目の第1の時間に撮像された患者の鼻弁の第1の画像を受信するステップであって、当該2日目は前記初日の後であり、患者に治療を提供した後である、ステップと;
実質的に前記2日目の第1の時間に患者の鼻弁を通過する空気流の第1の測定値を受信するステップと;
前記2日目の第1の時間における前記鼻弁の第1の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップと;
前記2日目の第1の時間とは異なる第2の時間に、患者の鼻弁の第2の画像を受信するステップと;
前記2日目の実質的に第2の時間に、患者の鼻弁を通過する空気流の第2の測定値を受 信するステップと;
前記2日目の第2の時間における鼻弁の第2の画像に基づいて、患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップと;
前記第1の相対距離と第2の相対距離を比較して、二日目の鼻弁狭窄の定量的表示を提供するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
請求項25:
前記1日目の鼻弁狭窄の定量的表示と前記2日目の鼻弁狭窄の定量的表示とを比較するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
請求項26:
前記鼻弁狭窄の定量的表示が、第2の相対距離で除した第1の相対距離と相関することを特徴とする、請求項21乃至25のいずれか1項に記載の方法。
請求項27:
前記鼻弁狭窄の定量的表示と、前記空気流の第2の測定値を表示するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
請求項28:
前記患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第1の相対距離を決定するステップが、前記第1の画像の鼻中隔と外壁との間にラインを引く医師によって提供される注釈内のピクセル数を決定するステップを具えることを提供する、請求項21乃至27のいずれか1項に記載の方法。
請求項29:
前記患者の鼻中隔と鼻弁の外壁との間の第2の相対距離を決定するステップが、前記第2の画像の鼻中隔と外壁との間にラインを引く医師によって提供される注釈内のピクセル数を決定するステップを具えることを特徴とする、請求項21乃至28のいずれか1項に記載の方法。
請求項30:
時間対空気流量を示す空気流量グラフを表示するステップをさらに具えることを特徴と する、請求項21乃至29のいずれか1項に記載の方法。
請求項31:
前記鼻弁の画像を表示するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
請求項32:
前記空気流量グラフ上の関心のある時間を示すユーザからの入力を受信するステップと;
前記関心のある時点における鼻弁の対応する画像を表示するステップと; をさらに具えることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
請求項33:
前記鼻弁狭窄対空気流量の定量的表示のグラフを表示するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項21乃至32のいずれか1項に記載の方法。
請求項34:
患者の鼻弁狭窄を測定するシステムにおいて:
患者の顔面構造を有するシールを形成するように構成された顔面マスクであって、内視鏡ポートと空気流を可能にする開口部とを具える顔面マスクと;
顔面マスクの開口部と流体連通しており、患者が吸気するときに前記開口部を横切る空気流を測定するように構成された空気流センサと;
前記顔面マスクの内視鏡ポートを通過するように構成されたカメラを有する内視鏡と;
前記カメラから複数の画像と前記空気流センサからの複数の空気流測定値を受信するように構成されたデータ取得モジュールと;
を具えることを特徴とするシステム。
請求項35:
前記データ取得モジュールが、前記カメラからの複数の画像と、前記空気流センサからの複数の空気流測定値を、前記複数の画像に関連する複数のタイムスタンプを用いて同期させるように構成されていることを特徴とする、請求項34に記載のシステム。
請求項36:
前記顔面マスクが、前記患者の鼻の生体構造を変えることなく。前記患者の顔面構造と係合するように構成されていることを特徴とする、請求項34又は35に記載のシステム。
請求項37:
前記データ取得モジュールが、前記空気流測定値、吸気中に撮像した前記鼻弁の写真、およびゼロ流量中の前記鼻弁の写真を分析して、前記患者の鼻弁狭窄を定量化するようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項34乃至36のいずれか1項に記載のシステム。
請求項38:
前記患者の鼻弁狭窄定量化するステップが、吸気中に撮像された前記鼻弁の写真と、ゼロフロー中に撮像された前記鼻弁の写真とを比較して、前記吸気中に撮像された鼻弁の写真とゼロフロー中の鼻弁の写真との間の鼻弁の面積または一又はそれ以上の寸法における パーセンテージ差を計算するステップを具えることを特徴とする、請求項37に記載のシステム。
請求項39:
前記システムが請求項1乃至33に記載のいずれかのステップを実行するように構成されていることを特徴とする、請求項34乃至38のいずれか1項に記載のシステム。
請求項40:
力を測定する装置において:
シャフトの遠位端にあるプランジャであって、当該プランジャにかかる力を測定するように構成された力ゲージに連結され、患者の鼻の外壁の外面と係合するように構成されたプランジャと;
プランジャの変位長の視覚的表示を提供するように構成された変位ガイドであって、所定の距離を有する変位ガイドと;
を具えることを特徴とする装置。
請求項41:
前記変位ガイドがルーラを具えることを特徴とする、請求項40に記載の装置。
請求項42:
前記所定の距離が約5mm又はそれ以下であることを特徴とする、請求項40または41に記載の装置。
請求項43:
患者の鼻の外壁の特性を測定する方法において:
力ゲージに連結されたプランジャを前記鼻の外壁の外側部分に係合させるステップと;
前記プランジャに力を加えて、当該プランジャを所定の距離に偏向させるステップと;
前記プランジャが所定の距離まで撓んだときの力ゲージの読みを記録するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
請求項44:
前記プランジャの一部の上またはそれに隣接するルーラを使用して前記プランジャの偏向を測定するステップをさらに具えることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
請求項45:
前記所定の距離が約5mm又はそれ以下であることを特徴とする、請求項43又は44に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9