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  • 特許-医薬品製剤(2) 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】医薬品製剤(2)
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/472 20060101AFI20240402BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240402BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61K31/472
A61K9/08
A61K31/4725
A61K47/18
A61P27/02
A61P27/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022166447
(22)【出願日】2022-10-17
(62)【分割の表示】P 2020503175の分割
【原出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2022186821
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520000722
【氏名又は名称】アルコン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】山北 佳央
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515520(JP,A)
【文献】特開2008-154810(JP,A)
【文献】特開2006-249055(JP,A)
【文献】特開2005-261598(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086941(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181294(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/08
A61P 27/02-27/14
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(4):
【化1】

で表される化合物と、エデト酸及びその塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上とを含有し、pH(25℃)が4~7である水性組成物を、ポリエチレン製の透明容器に収容する工程を含む、前記式(4)で表される化合物の前記水性組成物中での熱安定性を向上させる方法。
【請求項2】
前記水性組成物のpH(25℃)が5~6である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記透明容器が、点眼剤用容器である、請求項1又は2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、いくつかのイソキノリン-6-アミノ誘導体が、高眼圧症や緑内障等の眼疾患の予防や治療に有用であることが知られている。
具体的には例えば、以下の構造式:
【0003】
【化1】
【0004】
で表される化合物(化学名:{4-[(2S)-3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]フェニル}メチル 2,4-ジメチルベンゾエート([4-[(2S)-3-amino-1-(isoquinolin-6-ylamino)-1-oxopropan-2-yl]phenyl]methyl 2,4-dimethylbenzoate)、国際一般名:netarsudil。なお、以下、本明細書において、「ネタースジル」と表記することがある。)は、AR-13324としても知られ、Rhoキナーゼ阻害作用、ノルエピネフリントランスポーター阻害作用等の薬理作用を有し、高眼圧症や緑内障等の眼疾患の予防や治療に有用であることが報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、2)。
【0005】
また、同様に、以下の構造式:
【0006】
【化2】
【0007】
で表される化合物(化学名:rac-(2R)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド(rac-(2R)-2-(dimethylamino)-N-(1-oxo-1,2-dihydroisoquinolin-6-yl)-2-(thiophen-3-yl)acetamide)、国際一般名:verosudil。なお、以下、本明細書において、「ヴェロスジル」と表記することがある。)は、AR-12286としても知られ、Rhoキナーゼ阻害作用を有し、高眼圧症等の眼疾患の予防や治療に有用であることが報告されている(例えば、特許文献2、非特許文献1、3)。
そのため、これらのイソキノリン-6-アミノ誘導体を、例えば眼科用剤等として安定的に製剤化する技術を確立することは、極めて有用である。
【0008】
ところで、特許文献3には、ネタースジルやヴェロスジルを含有する組成物を150mLプラスチック容器中にて調製したことが記載されている。しかしながら、当該文献において、各組成物の調製は薬理試験での使用に向けてなされたものであり、組成物中のネタースジルやヴェロスジルの安定性については一切記載されておらず、また、当該容器がいかなる材質・特性のものであるかについても一切記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特表2012-525386号公報
【文献】WO2009/091898号パンフレット
【文献】特表2016-515520号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】Bacharach J. et al., Ophthalmology 122 (2) 302-7 (2015)
【文献】Sturdivant JM. et al., Bioorg Med Chem Lett. 26(10) 2475-80 (2016)
【文献】Williams RD. et al., Am. J. Ophthalmol. 152(5) 834-41 (2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
眼科用剤等は、通常、水を含有する組成物(水性組成物)である。そこで本発明者は、ネタースジルなどのイソキノリン-6-アミノ誘導体を含有する水性組成物を調製し、これを容器に収容してその保存性を確認した。
しかるところ、意外なことに、高温で保存すると、経時的に水性組成物が白濁し澄明性が低下することが明らかとなった。水性組成物の白濁による澄明性の低下はその品質の低下を意味するのみならず、水性組成物への異物混入の有無の確認をも困難にするため、製造時の品質管理において大きな問題となり得る。
そこで、本発明の課題は、ネタースジルやヴェロスジルなどのイソキノリン-6-アミノ誘導体を含有する水性組成物の製剤であるにも拘らず、高温でも安定な医薬製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明者は、イソキノリン-6-アミノ誘導体を含有する水性組成物の高温での安定性を改善するため更に鋭意検討した。しかるところ、イソキノリン-6-アミノ誘導体を含有する水性組成物を、ポリオレフィン系樹脂製容器又はポリエステル系樹脂製容器という特定の材質の容器に収容した場合に高温保存時の澄明性低下が抑制されることを見出し、さらに容器を透明のものとすれば容器外部から肉眼による観察で水性組成物への異物混入の有無の確認が可能となり、高温での安定性の改善された品質管理可能な医薬製剤となることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、下記の一般式(1)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、R1とR2はそれぞれ独立して水素原子又はC1~C4アルキル基を示し、
3は水素原子又はヒドロキシ基を示し、
Aは-CH(R4)-又は-CH2-CH(R4)-(ここでR4は置換基を有してもよいC6~C10アリール基、又は置換基を有してもよい5~10員のヘテロアリール基を示す。)を示し、
さらに、式(1)には、その互変異性体も含まれる。)
で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物が、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の樹脂製の透明容器に収容されてなる、医薬製剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネタースジルに代表されるイソキノリン-6-アミノ誘導体を含有する水性組成物の高温での安定性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】試験例8で使用した、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を練り込んだポリプロピレン製の点眼剤用の透明容器の、270~800nmの波長範囲での光線の透過率(%)を示すグラフである。
図2】試験例9で使用した、紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを備えたポリプロピレン製の点眼剤用の透明容器の、容器側面(シュリンクフィルムが巻きつけられた部分)の270~800nmの波長範囲での光線の透過率(%)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、「一般式(1)
【0019】
【化4】
【0020】
(式中、R1とR2はそれぞれ独立して水素原子又はC1~C4アルキル基を示し、
3は水素原子又はヒドロキシ基を示し、
Aは-CH(R4)-又は-CH2-CH(R4)-(ここでR4は置換基を有してもよいC6~C10アリール基、又は置換基を有してもよい5~10員のヘテロアリール基を示す。)を示し、
さらに、式(1)には、その互変異性体も含まれる。)
で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」には、一般式(1)で表される化合物そのもののほか、その塩や溶媒和物も含まれる。
【0021】
ここで、一般式(1)で表される化合物の塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、具体的には例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられ、塩酸塩、メタンスルホン酸塩が好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物やその塩の溶媒和物としては、水和物やアルコール和物等が挙げられる。
さらに、一般式(1)で表される化合物の化学構造中に不斉炭素が存する場合には、種々の立体異性体が存在し得るが、一般式(1)で表される化合物としてはその立体配置は特に限定されず、単一の立体異性体でも、各種立体異性体の任意の割合の混合物でもよい。
なお、本明細書において、各種の式で表される化合物がその化学構造中に不斉炭素を有する場合においては、特に立体配置を指定しない限り、斯かる式は各種立体異性体単独及びそれらの任意の割合の混合物の全てを包含する。従って、特に立体配置を指定しない式で表される化合物は、単一の立体異性体であってもよく、また、各種立体異性体の任意の割合の混合物であってもよい。
【0022】
また、一般式(1)には、一般式(1)で直接的に表される化合物そのもののほか、その互変異性体も包含される。具体的には例えば、R3がヒドロキシ基である下記一般式(1a)の場合には、その互変異性体(一般式(1b))が生じ得るが、「一般式(1)で表される化合物」には、下記一般式(1a)で表される化合物のほか、一般式(1b)で表される化合物も包含される。
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
本明細書において、「C1~C4アルキル基」とは、直鎖状、分枝鎖状又は環状の炭素数1~4のアルキル基を意味する。「C1~C4アルキル基」としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
本明細書において、「C6~C10アリール基」とは、炭素数6~10のアリール基を意味する。「C6~C10アリール基」としては、具体的には例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0026】
本明細書において、「5~10員のヘテロアリール基」とは、酸素原子、イオウ原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を環構成原子として1~4個含有する5~10員の単環式、多環式又は縮合環式の芳香族へテロ環基を意味する。「5~10員のヘテロアリール基」としては、具体的には例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、フロピリジル基、チエノピリジル基、ピロロピリジル基、オキサゾロピリジル基、チアゾロピリジル基、イミダゾピリジル基等が挙げられ、チエニル基が好ましい。
【0027】
本明細書において、「置換基を有してもよいC6~C10アリール基」、「置換基を有してもよい5~10員のヘテロアリール基」における「置換基」としては、具体的には例えば、ハロゲン原子、-CH2-OC(=O)-R5(ここで、R5としては、置換基としてC1~C4アルキル基を1~3個有してもよいC6~C10アリール基(例えば、2,4-ジメチルフェニル基)を意味する。)が挙げられ、塩素原子、2,4-ジメチルフェニルカルボキシメチル基が好ましい。
本明細書において、「置換基を有してもよいC6~C10アリール基」としては、4-クロロフェニル基、4-(2,4-ジメチルフェニルカルボキシメチル)フェニル基が好ましい。
本明細書において、「置換基を有してもよい5~10員のヘテロアリール基」としては、3-チエニル基が好ましい。
3がヒドロキシ基である場合、R3の置換位置はイソキノリン環上であれば限定されないが、イソキノリン環の1位が好ましい。
【0028】
本明細書において、「一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」としては、下記式(2):
【0029】
【化7】
【0030】
で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が好ましく、下記式(3):
【0031】
【化8】
【0032】
で表される化合物(ネタースジル)(化学名:{4-[(2S)-3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]フェニル}メチル 2,4-ジメチルベンゾエート([4-[(2S)-3-amino-1-(isoquinolin-6-ylamino)-1-oxopropan-2-yl]phenyl]methyl 2,4-dimethylbenzoate)、国際一般名:netarsudil)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物がより好ましく、下記式(4):
【0033】
【化9】
【0034】
で表される、前記式(3)で表される化合物の2メタンスルホン酸塩(化学名:{4-[(2S)-3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル]フェニル}メチル 2,4-ジメチルベンゾエート 2メタンスルホン酸塩( [4-[(2S)-3-amino-1-(isoquinolin-6-ylamino)-1-oxopropan- 2-yl]phenyl]methyl 2,4-dimethylbenzoate dimethanesulfonate)。なお、以下、本明細書において特に「ネタースジル2メシル酸塩」と表記することがある。)が特に好ましい。
また、別の態様として、「一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」としては、下記式(5)又は(5'):
【0035】
【化10】
【0036】
【化11】
【0037】
で表される化合物若しくはそれらの塩又はそれらの溶媒和物が好ましく、下記式(6):
【0038】
【化12】
【0039】
で表される化合物(ヴェロスジル)(化学名:rac-(2R)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド(rac-(2R)-2-(dimethylamino)-N-(1-oxo-1,2-dihydroisoquinolin-6-yl)-2-(thiophen-3-yl)acetamide)、国際一般名:verosudil。)、その互変異性体若しくはそれらの塩又はそれらの溶媒和物がより好ましく、下記式(7):
【0040】
【化13】
【0041】
で表される、前記式(6)で表される化合物の1塩酸塩(化学名:rac-(2R)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド 1塩酸塩(rac-(2R)-2-(dimethylamino)-N-(1-oxo-1,2-dihydroisoquinolin-6-yl)-2-(thiophen-3-yl)acetamide monohydrochloride)。なお、以下、本明細書において特に「ヴェロスジル1塩酸塩」と表記することがある。)が特に好ましい。
【0042】
さらに、別の態様として、「一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物」としては、下記式(8):
【0043】
【化14】
【0044】
で表される化合物(3-アミノ-2-(4-クロロフェニル)-N-(イソキノリン-6-イル)プロパンアミド)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が好ましい。
【0045】
一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は公知であり、公知の方法により製造できる。具体的には例えば、特許文献1~3に記載の方法や、非特許文献2記載の方法を参考に製造することが出来る。なお、これらの文献の内容は、参照として本明細書に組み込まれる。
また、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は市販されており、これらの市販品を用いてもよい。市販品としては、具体的には例えば、Medchemexpress社製やChemscene LLS社製のネタースジル2メシル酸塩(式(4)で表される化合物)や、Shanghai biopharmaleader社製のネタースジルの1塩酸塩(式(3)で表される化合物の1塩酸塩)、MedKoo biosciences社製のヴェロスジル(式(6)で表される化合物のフリー体)などが挙げられる。
【0046】
水性組成物中の一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の含有量は特に限定されず、適用疾患や患者の性別、年齢、症状等に応じて適宜検討して決定すればよいが、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して、一般式(1)で表される化合物をフリー体に換算して0.0001~5w/v%含有するのが好ましく、0.001~3w/v%含有するのがより好ましく、0.005~2w/v%含有するのがさらに好ましく、0.01~1w/v%含有するのが特に好ましい。
特に、一般式(1)で表される化合物としてネタースジルを使用する場合においては、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して、ネタースジルをフリー体に換算して0.0001~1w/v%含有するのが好ましく、0.001~0.5w/v%含有するのがより好ましく、0.005~0.1w/v%含有するのがさらに好ましく、0.01~0.04w/v%含有するのが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物としてヴェロスジルを使用する場合においては、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して、ヴェロスジルをフリー体に換算して0.01~3.5w/v%含有するのが好ましく、0.1~2.5w/v%含有するのがより好ましく、0.2~1.5w/v%含有するのがさらに好ましく、0.3~0.8w/v%含有するのが特に好ましい。
さらに、一般式(1)で表される化合物として式(8)で表される化合物を使用する場合においては、優れた薬理作用を得る観点から、水性組成物全容量に対して、式(8)で表される化合物をフリー体に換算して0.0001~3w/v%含有するのが好ましく、0.001~2w/v%含有するのがより好ましく、0.005~1w/v%含有するのがさらに好ましく、0.01~0.5w/v%含有するのが特に好ましい。
【0047】
本明細書において、「水性組成物」とは、少なくとも水を含有する組成物を意味し、その性状としては、後述する容器に収容可能なものである限り特に限定されず、例えば、液状(溶液又は懸濁液)、半固形状(軟膏)が挙げられる。また、透明容器に収容した場合に容器外部からの肉眼での観察により異物混入の有無等の確認が可能な程度に澄明であるのが好ましく、例えば、第十七改正日本薬局方に規定の「点眼剤の不溶性異物検査法」を行った場合に、澄明であると判断されるものが好ましい。なお、組成物中の水としては例えば、精製水、注射用水、滅菌精製水等を用いることができる。
水性組成物に含まれる水の含有量は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、90~99.99質量%が特に好ましい。
【0048】
水性組成物は、さらに任意に酸類を含むものであってもよい。
後記試験例に具体的に開示されるとおり、前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物に、さらに酸類を含有せしめ、これをポリオレフィン系樹脂製の透明容器又はポリエステル系樹脂製の透明容器に収容することによって、高温条件下で保存した場合の澄明性の低下がより一層抑制されることが明らかとなった。
【0049】
本明細書において、「酸類」としては特に限定されず、有機酸でも無機酸でもよい。「酸類」としては、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、「ホウ酸類」、「リン酸類」、及び「脂肪族カルボン酸類」よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、「ホウ酸類」、「脂肪族カルボン酸類」が特に好ましい。
【0050】
本明細書において、「ホウ酸類」とは、ホウ酸及びその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等)並びにそれらの溶媒和物(水和物等)よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。
ホウ酸類としては、具体的には例えば、ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等が挙げられる。本明細書において、「ホウ酸類」としては、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ホウ酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ホウ酸が特に好ましい。
なお、これらのホウ酸類はいずれも公知であり、公知の方法により製造しても良く、市販品を使用しても良い。
【0051】
本明細書において、「リン酸類」とは、リン酸及びその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等)並びにそれらの溶媒和物(水和物等)よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。
このようなリン酸類としては、具体的には例えば、医薬品添加物辞典2016(株式会社薬事日報社発行)に収載の、以下の成分:リン酸、リン酸一水素カルシウム、リン酸一水素ナトリウム・七水和物、リン酸三ナトリウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸水素カルシウム造粒物、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸水素ナトリウム七水和物、リン酸水素ナトリウム二水和物、リン酸水素二ナトリウム二水和物、リン酸二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、結晶リン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、無水ピロリン酸ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸三ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム造粒物、無水リン酸二水素ナトリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中では、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、リン酸、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、結晶リン酸二水素ナトリウム、無水リン酸一水素ナトリウム及び無水リン酸二水素ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
なお、これらのリン酸類はいずれも公知であり、公知の方法により製造しても良く、市販品を使用しても良い。また、リン酸類としては、他の成分と塩や錯体を形成したものを用いても良い。
【0052】
本明細書において、「脂肪族カルボン酸類」とは、脂肪族カルボン酸及びその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩等)並びにそれらの溶媒和物(水和物等)よりなる群から選ばれる1種以上を意味する。ここで、脂肪族カルボン酸における炭素数は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、2~20個が好ましく、4~18個がより好ましく、6~16個が特に好ましい。また、炭素鎖は、直鎖状であっても分枝鎖状であっても良く、また、飽和であっても不飽和であっても良く、さらに、炭素-炭素原子間に3級アミノ基等を有していても良い。さらに、脂肪族カルボン酸におけるカルボキシル基の数は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、1~4個が好ましく、2~4個が特に好ましい。
なお、「脂肪族カルボン酸類」としては、置換基としてアミノ基を有するカルボン酸(アミノ酸)、置換基としてヒドロキシ基を有するカルボン酸(オキシカルボン酸)であっても良い。この場合、置換基の置換数は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、1~3個であるのが好ましく、1~2個であるのが特に好ましい。
【0053】
このような脂肪族カルボン酸類としては、具体的には例えば、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸カリウム、L-アスパラギン酸マグネシウムなどのアスパラギン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;DL-アラニン、L-アラニンなどのアラニン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;L-アルギニン、L-アルギニン塩酸塩などのアルギニン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;イプシロン-アミノカプロン酸;エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物、エデト酸四ナトリウム等のエデト酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;クエン酸カルシウム、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物(クエン酸三ナトリウム二水和物)、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、無水クエン酸、無水クエン酸ナトリウムなどのクエン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;グリシン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;グルコン酸、グルコン酸カルシウム水和物、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウムなどのグルコン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;グルタミン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;L-グルタミン酸、L-グルタミン酸塩酸塩、L-グルタミン酸カリウム、L-グルタミン酸ナトリウムなどのグルタミン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム六水和物などのコハク酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;酢酸、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム水和物、氷酢酸、無水酢酸ナトリウム等の酢酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;L-シスチン、L-システイン、L-システイン塩酸塩水和物などのシステイン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;酒石酸、D-酒石酸、酒石酸水素カリウム、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムカリウムなどの酒石酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどのソルビン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;乳酸、乳酸ナトリウム液、乳酸カルシウム水和物、乳酸アルミニウムなどの乳酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;L-ヒスチジン、L-ヒスチジン塩酸塩水和物などのヒスチジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;フェニルアラニン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;マロン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;DL-メチオニン、L-メチオニンなどのメチオニン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;L-リシン、L-リシン塩酸塩などのリシン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;リンゴ酸、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウムなどのリンゴ酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;dl-ロイシン、L-ロイシンなどのロイシン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物等が挙げられる。脂肪族カルボン酸類としては、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、カルボキシル基が2~4個の脂肪族カルボン酸若しくはその塩又はそれらの溶媒和物が好ましく、エデト酸、クエン酸、酒石酸若しくはそれらの塩又はそれらの溶媒和物が特に好ましい。
なお、これらの脂肪族カルボン酸類はいずれも公知であり、公知の方法により製造しても良く、市販品を使用しても良い。また、脂肪族カルボン酸類としては、他の成分と塩や錯体を形成したものを使用しても良い。
【0054】
水性組成物中の酸類の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、水性組成物全容量に対して、0.0001~4w/v%含有するのが好ましく、0.001~3w/v%含有するのがより好ましく、0.002~2.5w/v%含有するのが特に好ましい。特に、酸類としてホウ酸類を使用する場合においては、ホウ酸類の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、水性組成物全容量に対して、0.003~2w/v%含有するのが好ましく、0.01~1w/v%含有するのがより好ましく、0.03~0.5w/v%含有するのが特に好ましい。また、酸類として脂肪族カルボン酸類を使用する場合においては、脂肪族カルボン酸類の含有量は特に限定されず、適宜検討して決定すればよいが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、水性組成物全容量に対して、0.001~3.5w/v%含有するのが好ましく、0.003~2.5w/v%含有するのがより好ましく、0.005~1w/v%含有するのが特に好ましい。
【0055】
水性組成物中の一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と酸類の含有質量比率は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、酸類を0.0003~200質量部含有するのが好ましく、0.003~80質量部含有するのがより好ましく、0.02~30質量部含有するのが特に好ましい。中でも、酸類としてホウ酸類を使用する場合においては、ホウ酸類の含有質量比率は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、ホウ酸類を0.0005~150質量部含有するのが好ましく、0.005~75質量部含有するのがより好ましく、0.03~25質量部含有するのが特に好ましい。また、酸類として脂肪族カルボン酸類を使用する場合においては、脂肪族カルボン酸類の含有質量比率は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、脂肪族カルボン酸類を0.05~150質量部含有するのが好ましく、0.1~100質量部含有するのがより好ましく、0.3~75質量部含有するのが特に好ましい。
【0056】
特に、一般式(1)で表される化合物としてネタースジルを使用し、酸類としてホウ酸類を使用する場合においては、ネタースジルを含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ネタースジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、ホウ酸類を0.5~100質量部含有するのが好ましく、1~50質量部含有するのがより好ましく、2~20質量部含有するのが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物としてヴェロスジルを使用し、酸類としてホウ酸類を使用する場合においては、ヴェロスジルを含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ヴェロスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、ホウ酸類を0.001~5質量部含有するのが好ましく、0.01~1質量部含有するのがより好ましく、0.05~0.5質量部含有するのが特に好ましい。
さらに、一般式(1)で表される化合物として式(8)で表される化合物を使用し、酸類としてホウ酸類を使用する場合においては、式(8)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、式(8)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、ホウ酸類を0.01~80質量部含有するのが好ましく、0.05~40質量部含有するのがより好ましく、0.1~20質量部含有するのが特に好ましい。
【0057】
また、一般式(1)で表される化合物としてネタースジルを使用し、酸類として脂肪族カルボン酸類を使用する場合においては、ネタースジルを含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ネタースジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、脂肪族カルボン酸類を0.1~180質量部含有するのが好ましく、0.3~130質量部含有するのがより好ましく、0.5~80質量部含有するのが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物としてヴェロスジルを使用し、酸類として脂肪族カルボン酸類を使用する場合においては、ヴェロスジルを含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ヴェロスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、脂肪族カルボン酸類を0.01~30質量部含有するのが好ましく、0.03~20質量部含有するのがより好ましく、0.5~10質量部含有するのが特に好ましい。
さらに、一般式(1)で表される化合物として式(8)で表される化合物を使用し、酸類として脂肪族カルボン酸類を使用する場合においては、式(8)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、式(8)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、脂肪族カルボン酸類を0.1~180質量部含有するのが好ましく、1~130質量部含有するのがより好ましく、3~80質量部含有するのが特に好ましい。
【0058】
水性組成物は、上記した以外に、剤形に応じて、医薬品や医薬部外品等で利用される添加物を含んでいても良い。このような添加物としては、例えば、無機塩類、等張化剤、キレート剤、安定化剤、pH調節剤、防腐剤、抗酸化剤、粘稠化剤、界面活性剤、可溶化剤、懸濁化剤、清涼化剤、分散剤、保存剤、油性基剤、乳剤性基剤、水溶性基剤等が挙げられる。
【0059】
こうした添加物としては、具体的には例えば、亜硫酸水素ナトリウム、安息香酸ベンジル、ウイキョウ油、エタノール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、カルボキシビニルポリマー、乾燥亜硫酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、d-カンフル、dl-カンフル、キシリトール、グリセリン、クレアチニン、クロロブタノール、ゲラニオール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、酸化チタン、ジェランガム、ジブチルヒドロキシトルエン、臭化カリウム、臭化べンゾドデシニウム、水酸化ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル45、精製ラノリン、D-ソルビトール、ソルビトール液、タウリン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物、チメロサール、チロキサポール、デヒドロ酢酸ナトリウム、トロメタモール、濃グリセリン、濃縮混合トコフェロール、白色ワセリン、ハッカ水、ハッカ油、濃ベンザルコニウム塩化物液50、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、人血清アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ピロ亜硫酸ナトリウム、フェニルエチルアルコール、ブドウ糖、プロピレングリコール、ベルガモット油、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物液、ベンジルアルコール、ベンゼトニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物液、ポビドン、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレングルコール(70)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、d-ボルネオール、マクロゴール4000、マクロゴール6000、D-マンニトール、メチルセルロース、l-メントール、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ユーカリ油、ヨウ化カリウム、硫酸オキシキノリン、流動パラフィン、リュウノウ、ワセリン等が例示される。
【0060】
添加物としては、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、グリセリン、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、濃グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポビドン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、マクロゴール4000、マクロゴール6000、メチルセルロース、モノエタノールアミン、ブドウ糖、l-メントール等が好ましい。
【0061】
水性組成物は、さらに、上記した以外に、適用疾患等に応じて、他の薬効成分を含んでいても良い。このような薬効成分としては、例えば、ブナゾシン塩酸塩などのブナゾシン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むα1受容体遮断薬;ブリモニジン酒石酸塩などのブリモニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、アプラクロニジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むα2受容体作動薬;カルテオロール塩酸塩などのカルテオロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ニプラジロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、チモロールマレイン酸塩などのチモロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ベタキソロール塩酸塩などのベタキソロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、レボブノロール塩酸塩などのレボブノロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ベフノロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、メチプラノロール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むβ遮断薬;ドルゾラミド塩酸塩などのドルゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ブリンゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、アセタゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ジクロルフェナミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、メタゾラミド若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含む炭酸脱水酵素阻害剤;イソプロピルウノプロストン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、タフルプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、トラボプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ビマトプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ラタノプロスト若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、クロプロステノール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、フルプロステノール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むプロスタグランジンやその誘導体(例えばプロスタグランジンF2α誘導体);リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、Y-39983、H-1129を含むRhoキナーゼ阻害剤;ジピべフリン塩酸塩などのジピべフリン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、エピネフリン、エピネフリンホウ酸塩、エピネフリン塩酸塩などのエピネフリン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含む交感神経作動薬;ジスチグミン臭化物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、ピロカルピン、ピロカルピン塩酸塩、ピロカルピン硝酸塩などのピロカルピン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、カルバコール若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含む副交感神経作動薬;ロメリジン塩酸塩などのロメリジン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むカルシウム拮抗薬;デメカリウム若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、エコチオフェート若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、フィゾスチグミン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むコリンエステラーゼ阻害剤;オミデネパグ イソプロピルなどのオミデネパグ若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含むEP2受容体作動薬などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合できる。
他の薬効成分としては、β遮断薬が好ましく、チモロールが好ましい。
【0062】
なお、水性組成物は、上記プロスタグランジンやその誘導体を含まないものでもよい。例えば、一つの態様の水性組成物としては、以下の<A-1>~<A-10>以外のものが好ましい。
<A-1> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、トラボプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリエチレングリコール400、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-2> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、トラボプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、塩化ベンザルコニウム、クレモフォールRH40、ポリエチレングリコール400、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-3> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、トラボプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリエチレングリコール400、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-4> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、ラタノプロスト、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-5> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、ラタノプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、塩化ベンザルコニウム、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-6> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、ビマトプロスト、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-7> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、ビマトプロスト、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ナトリウム、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-8> (rac)-2-(ジメチルアミノ)-N-(1-ヒドロキシイソキノリン-6-イル)-2-(チオフェン-3-イル)アセトアミド塩酸塩、ビマトプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、及び精製水を含む組成物。
<A-9> 2,4-ジメチル安息香酸(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル、トラボプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリエチレングリコール400、EDTA、及び精製水を含む組成物。
<A-10> 2,4-ジメチル安息香酸(S)-4-(3-アミノ-1-(イソキノリン-6-イルアミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)ベンジル、ラタノプロスト、ホウ酸、D-マンニトール、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリエチレングリコール400、EDTA、及び精製水を含む組成物。
【0063】
水性組成物のpH(25℃)は特に限定されないが、3~9が好ましく、3.5~8がより好ましく、4~7がさらに好ましく、5~6が特に好ましい。また、生理食塩水に対する浸透圧比は特に限定されないが、0.6~3が好ましく、0.6~2が特に好ましい。
【0064】
本発明の医薬製剤は、ポリオレフィン系樹脂製の透明容器又はポリエステル系樹脂製の透明容器を用いたものである。
本明細書において、「容器」とは、前記水性組成物を直接的に収容する容器を意味する。容器は、第十七改正日本薬局方 通則に定義される「密閉容器」、「気密容器」、「密封容器」のいずれをも包含する概念である。
【0065】
本明細書において、「透明容器」とは、その内部を肉眼で観察可能な程度の透明性(内部視認性)を備えている部分を有する容器を意味する。イソキノリン-6-アミノ誘導体を含有する水性組成物を透明容器に収容することにより、容器外部からの肉眼での観察により水性組成物への異物混入の有無等の確認が可能となるため、医薬製剤の製造時において適切な品質管理が可能となる。なお、医薬製剤の流通段階においては、透明容器はその表面に成分や商品名を表示するためのラベルやシュリンクフィルム等が施されることによりその透明性が損なわれていることを妨げるものではない。しかし、医薬製剤の使用時において、使用者をして異物混入の有無や水性組成物の残量の確認を可能ならしめる観点から、透明性を備えている部分が、使用者において透明容器内の水性組成物を肉眼で観察可能な程度に確保されていることが好ましい。
【0066】
透明性の程度は、容器内部を肉眼で観察可能な限り特に限定されず、例えば、第十七改正日本薬局方に規定の「点眼剤の不溶性異物検査法」を行うのに差し支えない透明性があればよい。具体的には例えば、透明容器における、透明性を備えている部分での可視光領域(400~750nm)の光線の透過率の平均値が10%程度以上(より好適には20%程度以上、さらに好適には30%程度以上、さらにより好適には40%程度以上、特に好適には50%程度以上)確保されていればよいが、これに限定されるものではない。
なお、本明細書において、特定の波長範囲の光線の透過率の平均値の測定は、分光光度計を用いて当該範囲内において5nm毎に、空気中での容器の光線の透過率を測定した後、その平均値を算出することにより測定することができる。分光光度計としては例えば、U-3900(日立ハイテクノロジーズ(株))が挙げられる。
【0067】
また、透明容器における、透明性を備えている部分は容器の一部分であっても全体であってもよい。容器の少なくとも一部分で透明性が確保されていれば、当該部分から容器内部に収容された水性組成物が観察可能となる。このような透明容器としては、その外表面を基準として、外表面の総面積に対し10%以上の部分が透明性を備えている部分であるのが好ましく、30%以上の部分が透明性を備えている部分であるのがより好ましく、50%以上の部分が透明性を備えている部分であるのが特に好ましい。
【0068】
透明容器の形態は、前記水性組成物を収容可能であることを限度として特に限定されず、剤形、医薬製剤の用途等に応じて適宜選択、設定すればよい。このような容器の形態としては、具体的には例えば、注射剤用容器、吸入剤用容器、スプレー剤用容器、ボトル状容器、チューブ状容器、点眼剤用容器、点鼻剤用容器、点耳剤用容器、バッグ容器等が挙げられる。
容器としては、一般式(1)で表される化合物の有する薬理作用を有利に利用する観点から、点眼剤用容器であるのが好ましい。
【0069】
本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂製の透明容器」とは、容器のうち少なくとも水性組成物と接する部分が「ポリオレフィン系樹脂製」である透明容器を意味する。従って、例えば、水性組成物と接する内層にポリオレフィン系樹脂の層を設け、その外側に他の材質の樹脂等を積層等させてなる透明容器も、「ポリオレフィン系樹脂製の透明容器」に該当する。ここで、ポリオレフィン系樹脂は特に限定されず、単一種のモノマーの重合体(ホモポリマー)であっても、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、コポリマーである場合においては、その重合様式は特に限定されず、ランダム重合でもブロック重合でもよい。さらに、その立体規則性(タクティシティー)は特に限定されない。
このようなポリオレフィン系樹脂としては、具体的には例えば、ポリエチレン(より詳細には例えば低密度ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレンを含む)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、ポリ(4-メチルペンテン)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組合わせて使用できる。ポリオレフィン系樹脂としては、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンが好ましく、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましく、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンがさらにより好ましく、低密度ポリエチレンが特に好ましい。
なお、本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂製」とは、その材質の少なくとも一部にポリオレフィン系樹脂を含んでいることを意味し、例えば、ポリオレフィン系樹脂と他の樹脂との2種以上の樹脂の混合体(ポリマーアロイ)も「ポリオレフィン系樹脂製」に含まれる。
【0070】
本明細書において、「ポリエステル系樹脂製の透明容器」とは、容器のうち少なくとも水性組成物と接する部分が「ポリエステル系樹脂製」である透明容器を意味する。従って、例えば、水性組成物と接する内層にポリエステル系樹脂の層を設け、その外側に他の材質の樹脂等を積層等させてなる透明容器も、「ポリエステル系樹脂製の透明容器」に該当する。ここで、ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸、ジオールは特に限定されず、ジカルボン酸としては例えばフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが、ジオールとしては例えばエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールなどが挙げられる。また、単一種のポリエステル単位の重合体であっても、複数種のポリエステル単位の重合体であってもよい。また、複数種のポリエステル単位の重合体の場合には、その重合様式は特に限定されず、ランダム重合でもブロック重合でもよい。さらに、その立体規則性(タクティシティー)は特に限定されない。
このようなポリエステル系樹脂としては、具体的には例えば、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアルキレンナフタレート(例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等)、ポリシクロアルキレンテレフタレート(例えば、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)等)、ポリアリレート(例えば、ビスフェノールとフタル酸で構成された樹脂等)等のホモポリエステルや、これらのホモポリエステル単位を主成分として含むコポリエステル、さらには前記ホモポリエステルの共重合体などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組合わせて使用できる。ポリエステル系樹脂としては、一般式(1)で表される化合物を含有する水性組成物の高温保存時の澄明性の低下を抑制する観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、本明細書において、「ポリエステル系樹脂製」とは、その材質の少なくとも一部にポリエステル系樹脂を含んでいることを意味し、例えば、ポリエステル系樹脂と他の樹脂との2種以上の樹脂の混合体(ポリマーアロイ)も「ポリエステル系樹脂製」に含まれる。
【0071】
ポリオレフィン系樹脂製の透明容器やポリエステル系樹脂製の透明容器は、容器が透明となる限り特定の波長範囲の光線を遮断するものであってもよい。
後記試験例に具体的に示される通り、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、波長320~380nmの光線を遮断する透明容器に収容することにより、水性組成物中の一般式(1)で表される化合物の、曝光による含量低下が更に抑制されることが明らかとなった。
なお、透明容器により遮断する光線の波長範囲は、医薬製剤の通常の保存環境を考慮すれば320~380nmの範囲(好適には、320~395nmの範囲)で十分であるが、光に対する安定性をより向上させる観点から、300~380nmが好ましく、300~395nmがより好ましい。また、特に300nm未満の波長に曝される危険性が高い保存条件下での利用を考慮すれば、270~380nmが好ましく、270~395nmが特に好ましい。
【0072】
本明細書において、前記波長範囲の「光線を遮断する」とは、当該波長範囲の光線の透過率の平均値が40%以下であることを意味する。従って、例えば「波長320~380nmの光線を遮断する容器」とは、波長320~380nmの光線の透過率の平均値が40%以下である容器を意味する。
なお、透明容器の、前記波長範囲の光線の透過率の平均値は、光に対する安定性をより向上させる観点から、35%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましく、25%以下であるのがさらに好ましく、20%以下であるのがさらにより好ましく、15%以下であるのがさらにより好ましく、10%以下であるのがさらにより好ましく、5%以下であるのが特に好ましい。
【0073】
上記のような光線を遮断する透明容器に収容することにより、具体的には、D65蛍光ランプを光源として25±5℃の温度条件下で積算照射量が120万lux・hrとなるように光を照射した場合に、照射後の水性組成物中の一般式(1)で表される化合物の残存率を、例えば80%以上(好適には85%以上、より好適には90%以上、特に好適には95%以上)とし得る。なお、水性組成物中の、一般式(1)で表される化合物の残存率は、光の照射の前後でそれぞれ水性組成物中の化合物の濃度を測定し、得られた濃度の比率より、下記式により算出できる。
【0074】
一般式(1)で表される化合物の残存率(%)={(光照射後の水性組成物中の一般式(1)で表される化合物の濃度)/(光照射前の水性組成物中の一般式(1)で表される化合物の濃度)}×100
【0075】
透明容器に、前記波長範囲の光線を遮断する特性を付与する具体的な手段としては特に限定されないが、例えば、前記波長範囲の光線を遮断する物質を利用する方法が挙げられ、より詳細には、例えば、
透明容器中に、前記波長範囲の光線を遮断する物質を含有せしめる方法(例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂に前記波長範囲の光線を遮断する物質を添加し、これを容器形状に成形する方法等);
透明容器の表面(容器の内側、外側のうち少なくとも一方の面)に前記波長範囲の光線を遮断する物質を含有する部材(例えば、フィルム等)を備えさせる方法(例えば、樹脂に前記波長範囲の光線を遮断する物質を添加して熱収縮フィルムとし、これを容器外側面に巻き付ける方法等);
透明容器の表面(容器の内側、外側のうち少なくとも一方の面)に前記波長範囲の光線を遮断する物質を塗布する方法;
等が挙げられる。
【0076】
前記波長範囲の光線を遮断する物質としては特に限定されないが、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの紫外線の透過を妨げる物質が好ましい。具体的には例えば、紫外線散乱剤としては、酸化チタン;酸化亜鉛等が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール(例えば、Tinuvin P:BASF社)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(例えば、Tinuvin 234:BASF社)、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(例えば、Tinuvin320:BASF社)、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール(例えば、Tinuvin 326:BASF社)、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(例えば、Tinuvin327:BASF社)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール(例えば、Tinuvin PA328:BASF社)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(例えば、Tinuvin 329:BASF社)、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(例えば、Tinuvin 360:BASF社)、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300の反応生成物(例えば、Tinuvin 213:BASF社)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール(例えば、Tinuvin 571:BASF社)、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(3'',4'',5'',6''-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5'-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2'-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2,2-ビス{[2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイルオキシ]メチル}プロパン-1,3-ジイル=ビス(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート)(例えば、Uvinul 3030 FF:BASF社)、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル(例えば、Uvinul 3035:BASF社)、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルへキシル(例えば、Uvinul 3039:BASF社)等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(例えば、Tinuvin 1577 ED:BASF社)等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン(例えば、Chimassorb 81:BASF社)、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン(例えば、Uvinul 3049:BASF社)、2,2'-4,4'-テトラヒドロベンゾフェノン(例えば、Uvinul 3050:BASF社)、オキシベンゾン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、シノキサート、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ケイ皮酸ベンジル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;グアイアズレン;ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル;2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5-トリアジン;パラヒドロキシアニソール;4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン;フェニルベンズイミダゾールスルホン酸;2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)-安息香酸ヘキシルなどが挙げられる。前記波長範囲の光線を遮断する物質としては例えば、これらの1種又は2種以上を適宜組み合わせて前記波長範囲の光線を遮断し得るように設定すればよい。前記波長範囲の光線を遮断する物質としては、酸化チタン;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0077】
前記波長範囲の光線を遮断する物質を透明容器の材料や部材に含有せしめる場合、その配合割合は、当該物質の種類や、容器、別部材の材質等によって異なるが、例えば、容器の材料や別部材中に、0.001~50質量%、好ましくは0.002~25質量%、特に好ましくは0.01~10質量%程度とすればよい。
【0078】
なお、本明細書において、「光線を遮断する容器」には、当該容器の一部分のみが光線を遮断する場合も含まれる。このような容器としては、その内表面を基準として、内表面の総面積に対し10%以上の部分が光線を遮断する部分であるのが好ましく、30%以上の部分が光線を遮断する部分であるのがより好ましく、50%以上の部分が光線を遮断する部分であるのがさらに好ましく、70%以上の部分が光線を遮断する部分であるのが特に好ましい。
【0079】
容器への水性組成物の収容手段は特に限定されず、容器の形態等に従って常法により充填等すればよい。
【0080】
医薬製剤あるいは水性組成物は、例えば、第十七改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に従って、種々の剤形とすることができる。剤形としては、例えば、注射剤、吸入液剤、点眼剤、眼軟膏剤、点耳剤、点鼻液剤、注腸剤、外用液剤、スプレー剤、軟膏剤、ゲル剤、経口液剤、シロップ剤等が挙げられる。剤形としては、一般式(1)で表される化合物の有する薬理作用を有利に利用する観点から、眼疾患用剤、具体的には点眼剤、眼軟膏剤が好ましく、点眼剤が特に好ましい。
【0081】
医薬製剤の適用疾患は特に限定されず、一般式(1)で表される化合物の有する薬理作用等に応じて適宜選択すればよい。
具体的には例えば、一般式(1)で表される化合物の有するRhoキナーゼ阻害作用、ノルエピネフリントランスポーター阻害作用や眼圧低下作用に基づき、高眼圧症や緑内障の予防又は治療剤として利用できる。ここで、緑内障としては、より詳細には例えば、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、plateau iris syndrome、混合型緑内障、ステロイド緑内障、水晶体の嚢性緑内障、色素緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障などが挙げられる。
【0082】
なお、水性組成物や医薬製剤を、眼疾患(好適には、高眼圧症及び緑内障から選ばれる疾患)の予防又は治療剤として利用する場合においては、例えば、1日1~3回程度、適量を投与すればよい。
【0083】
本明細書は、これらに何ら限定されるものではないが、例えば以下の態様の実施形態を開示する。
[1] 下記の一般式(1)
【0084】
【化15】
【0085】
(式中、R1とR2はそれぞれ独立して水素原子又はC1~C4アルキル基を示し、
3は水素原子又はヒドロキシ基を示し、
Aは-CH(R4)-又は-CH2-CH(R4)-(ここでR4は置換基を有してもよいC6~C10アリール基、又は置換基を有してもよい5~10員のヘテロアリール基を示す。)を示し、
さらに、式(1)には、その互変異性体も含まれる。)
で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物が、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の樹脂製の透明容器に収容されてなる、医薬製剤。
[2] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(2)、(5)、(5')又は(8):
【0086】
【化16】
【0087】
【化17】
【0088】
【化18】
【0089】
【化19】
【0090】
で表される化合物である、[1]記載の医薬製剤。
[3] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(3)又は(6):
【0091】
【化20】
【0092】
【化21】
【0093】
で表される化合物である、[1]記載の医薬製剤。
【0094】
[4] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記式(4)又は(7):
【0095】
【化22】
【0096】
【化23】
【0097】
で表される化合物である、[1]記載の医薬製剤。
【0098】
[5] 前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである、[1]~[4]のいずれか記載の医薬製剤。
[6] 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン又はポリプロピレンである、[1]~[5]のいずれか記載の医薬製剤。
[7] 前記容器が、点眼剤用容器である、[1]~[6]のいずれか記載の医薬製剤。
[8] 前記水性組成物が、さらに酸類を含有するものである、[1]~[7]のいずれか記載の医薬製剤。
[9] 前記酸類が、ホウ酸、脂肪族カルボン酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[8]記載の医薬製剤。
[10] 前記酸類が、ホウ酸、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[8]記載の医薬製剤。
【0099】
[11] 前記容器が、波長320~380nm(好適には、320~395nm)の光線を遮断する容器である、[1]~[10]のいずれか記載の医薬製剤。
[12] 前記容器が、波長300~380nm(好適には、300~395nm)の光線を遮断する容器である、[1]~[10]のいずれか記載の医薬製剤。
[13] 前記容器が、波長270~380nm(好適には、270~395nm)の光線を遮断する容器である、[1]~[10]のいずれか記載の医薬製剤。
[14] D65蛍光ランプを光源として25±5℃の温度条件下で積算照射量が120万lux・hrとなるように光を照射した場合における、照射後の水性組成物中の前記一般式(1)で表される化合物の残存率が、80%以上(好適には85%以上、より好適には90%以上、さらに好適には95%以上、特に好適には97%以上)である、[1]~[13]のいずれか記載の医薬製剤。
[15] 前記容器が、以下の1)又は2):
1)紫外線の透過を妨げる物質(より好適には、紫外線散乱剤及び紫外線吸収剤から選ばれる1種以上;特に好適には、酸化亜鉛、酸化チタン及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上)を練り込んだ、ポリオレフィン系樹脂(好適には、ポリプロピレン)製容器(好適には、内部が視認可能な容器);
2)紫外線の透過を妨げる物質(より好適には、紫外線散乱剤及び紫外線吸収剤から選ばれる1種以上;特に好適には、酸化亜鉛、酸化チタン及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれる1種以上)を練り込んだ部材(好適には、熱収縮フィルム(シュリンクフィルム))を側面に巻き付けた、ポリオレフィン系樹脂(好適には、ポリプロピレン)製容器(好適には、内部が視認可能な容器);
である、[1]~[14]のいずれか記載の医薬製剤。
【0100】
[16] 前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の樹脂製の透明容器に収容する工程を含む、前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の水性組成物中での熱安定性を向上させる方法(ここで、「熱安定性を向上させる方法」とは、高温で保存した場合の澄明性の低下を抑制する方法を意味する。そして、例えば、同一の水性組成物をガラス製の容器に収容した場合と比較して、高温(例えば、80℃)で一定期間(例えば、1週間)保存した後の澄明性(例えば、500nmの波長の光の透過率(%)で評価され得る)の低下が抑制されていれば、「熱安定性を向上させ」たことになる。)。
[17] 前記一般式(1)で表される化合物が、前記式(2)、(5)、(5')又は(8)で表される化合物である、[16]記載の方法。
[18] 前記一般式(1)で表される化合物が、前記式(3)又は(6)で表される化合物である、[16]記載の方法。
[19] 前記一般式(1)で表される化合物が、前記式(4)又は(7)で表される化合物である、[16]記載の方法。
[20] 前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである、[16]~[19]のいずれか記載の方法。
[21] 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン又はポリプロピレンである、[16]~[20]のいずれか記載の方法。
[22] 前記容器が、点眼剤用容器である、[16]~[21]のいずれか記載の方法。
[23] 前記水性組成物に、さらに酸類を含有せしめる工程を含む、[16]~[22]のいずれか記載の方法。
[24] 前記酸類が、ホウ酸、脂肪族カルボン酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[23]記載の方法。
[25] 前記酸類が、ホウ酸、エデト酸及びそれらの塩並びにそれらの溶媒和物よりなる群から選ばれる1種以上である、[23]記載の方法。
【実施例
【0101】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
また、以下の試験例において、HPLCを用いたネタースジルの測定は、カラムとしてODSカラムを、移動相として0.01モル/L リン酸緩衝液とアセトニトリルを、検出器として紫外吸光光度計(波長:254nm)をそれぞれ用いて行った。
【0102】
[試験例1]澄明性試験 その1
ネタースジルを含有する水性組成物の高温保存後の澄明性の低下の有無(白濁の有無)を、水性組成物の500nmの波長の光の透過率を測定することにより評価するとともに、目視でも評価した。
すなわち、表1に示す処方の水性組成物を常法により調製した。なお、調製時において水性組成物は澄明であり、肉眼による観察で白濁等は確認されなかった。その後、下記のポリプロピレン(PP)製の透明容器に入れて、実施例1の医薬製剤とした。また、別途、同一の水性組成物を下記のガラス製の透明容器に入れて、比較例1の医薬製剤とした。
得られた各医薬製剤を、80℃で1週間保存した。保存後の医薬製剤における水性組成物の澄明性の低下の有無を評価するため、各透明容器から水性組成物を取り出した後、分光光度計(U-3900:日立ハイテクノロジーズ)を用いて、500nmの波長の光の透過率を測定した。また、各医薬製剤における水性組成物の白濁の有無を、透明容器の外部からの肉眼での観察により以下の評価基準に従い評価した。
<評価基準>
○:水性組成物が澄明であり、異物が仮に混入した場合でも明瞭に視認できる。
×:水性組成物に白濁が生じており、異物が仮に混入した場合には視認に困難を伴う。
【0103】
<ポリプロピレン(PP)製の透明容器>
ポリプロピレン製の点眼剤用容器を用いた。当該容器はキャップの部分以外は外見上ほぼ透明であり、容器内部を肉眼で観察できる状態であった(例えば、可視光領域(400~750nm)での光線の透過率は全ての波長において70%を超えており、平均は80.9%であった。)。
なお、容器に対する光線の透過率の測定には、分光光度計(U-3900:日立ハイテクノロジーズ)を用いた。具体的には、容器を切断して板状片とした後、光が板状片に対し略垂直に入射するよう光路上にセットしたうえで、5nm毎に測定した。光線の透過率の平均値は、所定の波長範囲内の5nm毎の光線の透過率の平均値として算出した。
【0104】
<ガラス製の透明容器>
ガラス製の容器を用いた。当該容器はキャップの部分以外は外見上ほぼ透明であり、容器内部を肉眼で観察できる状態であった(例えば、可視光領域(400~750nm)での光線の透過率は全ての波長において70%を超えており、平均は75.1%であった。)。
なお、容器に対する光線の透過率は、ポリプロピレン製の透明容器と同様の方法により測定した。
結果を表2に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
表2記載の結果の通り、ネタースジルを含有する水性組成物をガラス製の透明容器に収容した場合、高温条件下で保存したときに白濁が生じ、澄明性の低下により500nmの波長の光の透過率が低下した(比較例1)。これに対し、ネタースジルを含有する水性組成物をポリプロピレン製の透明容器に収容した場合、澄明性の低下が抑制され、異物が仮に混入した場合でも容器の外部から肉眼で異物を明瞭に視認することが可能であることがわかった(実施例1)。
【0108】
以上の試験例1の結果から、ネタースジルに代表される前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂製の透明容器に収容することによって、高温条件下で保存した場合の澄明性の低下が相対的に低く抑えられ、異物が仮に混入した場合でも容器外部からの肉眼での観察により異物混入の確認が可能であることが明らかとなった。
【0109】
[試験例2]澄明性試験 その2
ネタースジルを含有する水性組成物に更にホウ酸を含有せしめた場合の澄明性の低下の抑制の程度を確認するため、以下の試験を実施した。
すなわち、表3に示す処方の水性組成物を常法により調製した。なお、調製時において水性組成物は澄明であり、肉眼による観察で白濁等は確認されなかった。その後、試験例1で使用したポリプロピレン(PP)製の透明容器、又はガラス製の透明容器に入れて、それぞれ実施例2、比較例2の医薬製剤とした。
得られた各医薬製剤について試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を実施例1、比較例1の結果と併せて表4に示す。
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
表4記載の比較例1と比較例2との対比から明らかなように、ネタースジルを含有する水性組成物をガラス製の透明容器に収容した医薬製剤(比較例1)において、その水性組成物にさらにホウ酸を含有せしめた場合(比較例2)は、高温条件下で保存したときの澄明性の低下の度合いがより大きくなった。
ところが、実施例1と実施例2との対比から明らかなように、ネタースジルを含有する水性組成物をポリプロピレン製の透明容器に収容した医薬製剤(実施例1)において、その水性組成物にさらにホウ酸を含有せしめた場合(実施例2)には、驚くべきことに、澄明性の低下がより一層抑制され、異物が仮に混入した場合でも容器の外部からの肉眼での観察により異物をより一層明瞭に視認することが可能であった。
【0113】
[試験例3]澄明性試験 その3
ネタースジルを含有する水性組成物に更にエデト酸を含有せしめた場合の澄明性の低下の抑制の程度を確認するため、以下の試験を実施した。
すなわち、表5に示す処方の水性組成物を常法により調製した。なお、調製時において水性組成物は澄明であり、肉眼による観察で白濁等は確認されなかった。その後、試験例1で使用したポリプロピレン(PP)製の透明容器、又はガラス製の透明容器に入れて、それぞれ実施例3、比較例3の医薬製剤とした。
得られた各医薬製剤について試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を実施例1、比較例1の結果と併せて表6に示す。
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
表6記載の比較例1と比較例3との対比から明らかなように、ネタースジルを含有する水性組成物をガラス製の透明容器に収容した医薬製剤(比較例1)において、その水性組成物にさらにエデト酸を含有せしめた場合(比較例3)は、高温条件下で保存したときの澄明性の低下の度合いがより大きくなった。
ところが、実施例1と実施例3との対比から明らかなように、ネタースジルを含有する水性組成物をポリプロピレン製の透明容器に収容した医薬製剤(実施例1)において、その水性組成物にさらにエデト酸を含有せしめた場合(実施例3)には、驚くべきことに、澄明性の低下がより一層抑制され、異物が仮に混入した場合でも容器の外部からの肉眼での観察により異物をより一層明瞭に視認することが可能であった。
【0117】
以上の試験例2、3の結果から、ネタースジルに代表される前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物に、さらにホウ酸、エデト酸に代表される酸類を含有せしめ、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂製の透明容器に収容することによって、高温条件下で保存した場合の澄明性の低下がより一層低く抑えられ、異物が仮に混入した場合でも容器外部からの肉眼での観察により異物混入の確認が可能であることが明らかとなった。
【0118】
[試験例4]澄明性試験 その4
透明容器の材質を変更した場合の澄明性の低下の抑制の程度を確認するため、以下の試験を実施した。
すなわち、表3に示す処方の水性組成物を常法により調製した後、下記の低密度ポリエチレン(LDPE)製の透明容器、又はポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明容器に入れて、それぞれ実施例4、5の医薬製剤とした。
得られた各医薬製剤について試験例1と同様の方法により試験を実施した。
【0119】
<低密度ポリエチレン(LDPE)製の透明容器>
低密度ポリエチレン製の点眼剤用容器を用いた。当該容器はキャップの部分以外は外見上ほぼ透明であり、容器内部を肉眼で観察できる状態であった(例えば、可視光領域(400~750nm)での光線の透過率は全ての波長において30%を超えており、平均52.0%であった。)。
なお、光線の透過率は、試験例1に記載のポリプロピレン製の透明容器と同様の方法により測定した。
【0120】
<ポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明容器>
ポリエチレンテレフタレート製の点眼剤用容器を用いた。当該容器はキャップの部分以外は外見上ほぼ透明であり、容器内部を肉眼で観察できる状態であった(例えば、可視光領域(400~750nm)での光線の透過率は全ての波長において75%を超えており、平均80.5%であった。)。
なお、光線の透過率は、試験例1に記載のポリプロピレン製の透明容器と同様の方法により測定した。
【0121】
結果を実施例2の結果と併せて表7に示す。
【0122】
【表7】
【0123】
表7記載の結果の通り、ネタースジルを含有する水性組成物を低密度ポリエチレン製の透明容器に収容した場合(実施例4)やポリエチレンテレフタレート製の透明容器に収容した場合(実施例5)も、ポリプロピレン製の透明容器に収容した場合と同様、澄明性の低下が抑制され、異物が仮に混入した場合でも容器の外部からの肉眼での観察により異物を明瞭に視認することが可能であった。なお、低密度ポリエチレン製の透明容器に収容した場合、澄明性の低下の抑制の度合いは特に良好であった。
【0124】
[試験例5]澄明性試験 その5
透明容器の材質を変更した場合の澄明性の低下の抑制の程度を確認するため、以下の試験を実施した。
すなわち、表5に示す処方の水性組成物を常法により調製した後、試験例4で使用した低密度ポリエチレン(LDPE)製の透明容器、又はポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明容器に入れて、それぞれ実施例6、7の医薬製剤とした。
得られた各医薬製剤について試験例1と同様の方法により試験を実施した。
結果を実施例3の結果と併せて表8に示す。
【0125】
【表8】
【0126】
表8記載の結果の通り、ネタースジルを含有する水性組成物を低密度ポリエチレン製の透明容器に収容した場合(実施例6)やポリエチレンテレフタレート製の透明容器に収容した場合(実施例7)も、ポリプロピレン製の透明容器に収容した場合と同様、澄明性の低下が抑制され、異物が仮に混入した場合でも容器の外部からの肉眼での観察により異物を明瞭に視認することが可能であった。なお、低密度ポリエチレン製の透明容器に収容した場合、澄明性の低下の抑制の度合いは特に良好であった。
【0127】
以上の試験例4、5の結果から、ネタースジルに代表される前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、ポリプロピレン、低密度ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系樹脂製の透明容器やポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系樹脂製の透明容器に収容することによって、高温条件下で保存した場合の澄明性の低下が相対的に低く抑えられ、異物が仮に混入した場合でも容器外部からの肉眼での観察により異物混入の確認が可能であることが確認された。
【0128】
[試験例6]光安定性試験 その1
ネタースジルを水性組成物に配合した場合の光に対する安定性を、曝光によるネタースジルの含量低下の有無を確認することにより評価した。
すなわち、表9に示す処方の水性組成物を調製し、これをポリプロピレン製の点眼剤用の透明容器に収容した。その後、光安定性試験装置(LT-120A:ナガノサイエンス(株))を用いて、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が120万lux・hrとなるように300時間照射した。
【0129】
曝光によるネタースジルの含量低下の有無を確認するため、曝光前後の水性組成物中のネタースジルの濃度を測定した。水性組成物中のネタースジルの濃度は、HPLCを用いて、濃度既知のネタースジル溶液のピーク面積に対する水性組成物中のピーク面積の比率を測定することにより算出した。
そして、得られた水性組成物中のネタースジルの濃度より、以下の式に従い、ネタースジルの残存率(%)を評価した。
【0130】
残存率(%)=[(曝光後の水性組成物中のネタースジルの濃度)/(曝光前の水性組成物中のネタースジルの濃度)]×100
【0131】
結果を表10に示す。
【0132】
【表9】
【0133】
【表10】
【0134】
表10記載の結果の通り、曝光によって水性組成物中のネタースジルの含量が低下することが明らかとなった。なお、光源としたD65蛍光ランプは300nm以上の波長の光線を照射するものである。
以上の試験結果から、ネタースジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、水性組成物中において光に対して不安定であることが明らかとなった。
【0135】
[試験例7]光安定性試験 その2
試験例6で確認された水性組成物中でのネタースジルの曝光による含量低下について、その原因となる光線の波長を、特定の範囲の波長を有する光線を照射し、曝光による含量低下の有無を評価することにより確認した。
すなわち、表9に示す処方の水性組成物を調製し、これをガラス製の透明の容器に収容して、医薬製剤を得た。その後、光学フィルターを備えた分光照射装置(分光ユニット:HSU-100S、光源:MAX-302FBD、いずれも朝日分光(株))を用いて、概ね270~335nm、320~395nm、380~410nm、430~475nm、470~535nm又は350~800nmの範囲の波長を有する光線を、医薬製剤に対して25℃の条件下で照射した。なお、いずれの波長の光線も、照射エネルギーを約200W・h/m2とした。
【0136】
曝光によるネタースジルの含量低下の有無を確認するため、試験例6と同様の方法によりネタースジルの残存率(%)を評価した。
結果を表11に示す。
【0137】
【表11】
【0138】
表11記載の結果の通り、380nm以上の波長の光線の照射では含量低下はほぼ認められず、それより短波長側、特に320~380nmの光線の照射で大幅な含量の低下が認められた。
なお、医薬品の保存安定性を確認する試験の一つに光安定性試験があるが、当該試験のガイドラインでは光源としてD65光源を用いることが定められている。D65光源は、ISO10977(1993)に規定されている屋外の昼光の標準として国際的に認められたものであり、300~830nmの波長域の分光分布の値で規定されている。これらのことから、医薬品について通常想定される保存条件下においては、300nm以上の波長の光を考慮すれば十分であると考えられる。
以上の点から、ネタースジルに代表される、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物の光安定性を確保するうえでは、特に320~380nmの波長の光線を遮断することが重要であると結論付けられた。
【0139】
[試験例8]光安定性試験 その3
試験例7で得られた結果を基に、ネタースジルを含有する水性組成物を、紫外線吸収剤を配合した透明容器に収容することにより安定化することを試みた。
すなわち、表9に示す処方の水性組成物を調製し、これを下記の紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製の点眼剤用の透明容器に収容し、医薬製剤を得た。得られた医薬製剤に対し、光安定性試験装置(LT-120A:ナガノサイエンス社)を用いて、D65蛍光ランプを光源として、25℃の条件下、4000luxの光を、積算照射量が120万lux・hrとなるように300時間照射した。
【0140】
曝光によるネタースジルの含量低下の有無を確認するため、試験例6と同様の方法によりネタースジルの残存率(%)を評価した。
【0141】
<紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製の透明容器>
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を練り込んだポリプロピレン製の点眼剤用容器を用いた。容器の、光線の透過率の平均値は、320~380nmで18.6%(なお、300~380nmで平均18.2%;270~380nmで平均21.5%;320~395nmで平均23.7%;300~395nmで平均22.3%;270~395nmで平均24.3%)であった。
当該容器は外見上ほぼ透明であり、容器内部を肉眼で観察できる状態であった(例えば、可視光領域(400~750nm)での光線の透過率は全ての波長において60%を超えており、平均80.5%であった。)。
なお、光線の透過率は、分光光度計(U-3900:日立ハイテクノロジーズ)を用い、容器を切断して板状片とした後、これを光が略垂直に入射するよう光路上にセットしたうえで、5nm毎に測定した。光線の透過率の平均値は、所定の波長範囲内の5nm毎の光線の透過率の平均値として算出した。
また、当該容器における、270nm~800nmの範囲での、光線の波長と透過率(%)の関係を示すグラフを図1に示す。
【0142】
結果を表12に示す。なお、比較のため、紫外線吸収剤を含有しないポリプロピレン製の点眼剤用容器(320~380nmの光線の透過率の平均値:68.4%)を用いた試験結果(試験例6の結果)と並べて表示する。
【0143】
【表12】
【0144】
表12記載の結果より、ネタースジルを含有する水性組成物を、320~380nmでの光線の透過率の平均値が18.6%の透明容器に収容することにより、水性組成物中のネタースジルの含量低下が顕著に抑制され、光安定性が改善することが明らかとなった。
【0145】
[試験例9]光安定性試験 その4
試験例8と同様、ネタースジルを含有する水性組成物を、紫外線散乱剤を配合したポリプロピレン製容器に収容することにより安定化することを試みた。
すなわち、紫外線吸収剤を配合したポリプロピレン製の透明容器の代わりに下記の紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを備えたポリプロピレン製の透明容器を使用したほかは、試験例8と同様の方法により、試験を実施した。
【0146】
<紫外線散乱剤を配合したシュリンクフィルムを備えたポリプロピレン製容器>
紫外線散乱剤として酸化チタン40~45質量%を練り込んだ白色のシュリンクフィルム(熱収縮フィルム)((株)岩田レーベル)を、試験例1で使用したポリプロピレン製の点眼剤用の透明容器の側面に、常法に従って巻きつけたものを用いた。酸化チタンを含有するシュリンクフィルムの光線の透過率の平均値は、320~380nmで0%(なお、300~380nm、270~380nm、320~395nm、300~395nm、270~395nmのいずれも平均0%)であった。
当該シュリンクフィルムは透明では無いため、そのままでは容器側面からは内容物を視認できる状態でなかった。そのため、容器側面の下半分に、幅5mm程のスリットを設け、容器内部を肉眼で観察できるようにした(この部分では光線を遮断できない状態であった。)。また、容器底面にはシュリンクフィルムが巻きつけられていないため、底面からは容器内部を肉眼で観察できる状態であった(スリット部分及び底面での可視光領域(400~750nm)での光線の透過率は、試験例1で使用したポリプロピレン製の透明容器と同様であった。)。
なお、光線の透過率は、分光光度計(U-3900:日立ハイテクノロジーズ)を用い、5nm毎に測定した。光線の透過率の平均値は、所定の波長範囲内の5nm毎の光線の透過率の平均値として算出した。
また、当該容器における、270nm~800nmの範囲での、容器側面(シュリンクフィルムが巻きつけられた部分)の光線の波長と透過率(%)の関係を示すグラフを図2に示す。
【0147】
結果を表13に示す。
【0148】
【表13】
【0149】
表13記載の結果より、ネタースジルを含有する水性組成物を、320~380nmでの光線の透過率の平均値が0%のポリプロピレン製の透明容器に収容することにより、水性組成物中のネタースジルの含量低下が概ね完全に抑制され、光安定性がより改善することが明らかとなった。
【0150】
試験例8、9の結果から、ネタースジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を含有する水性組成物を、波長320~380nmの光線を遮断するポリオレフィン系樹脂製容器に収容することにより、水性組成物中の前記一般式(1)で表される化合物の光安定性が改善することが確認された。
【0151】
[製造例1~36]
表14~表22に記載の成分及び分量(水性組成物100mL当たりの量(g))を含有する水性組成物を常法により調製し、これを低密度ポリエチレン製の点眼剤用の透明容器に収容して、製造例1~36の医薬製剤を製造できる。
【0152】
【表14】
【0153】
【表15】
【0154】
【表16】
【0155】
【表17】
【0156】
【表18】
【0157】
【表19】
【0158】
【表20】
【0159】
【表21】
【0160】
【表22】
【0161】
[製造例37~72]
製造例1~36において、低密度ポリエチレン製の代わりに高密度ポリエチレン製の点眼剤用の透明容器を用いて、製造例37~72の医薬製剤を製造できる。
【0162】
[製造例73~108]
製造例1~36において、低密度ポリエチレン製の代わりにポリプロピレン製の点眼剤用の透明容器を用いて、製造例73~108の医薬製剤を製造できる。
【0163】
[製造例109~144]
製造例1~36において、低密度ポリエチレン製の代わりにポリエチレンテレフタレート製の点眼剤用の透明容器を用いて、製造例109~144の医薬製剤を製造できる。
【0164】
[製造例145~288]
製造例1~144において、ネタースジル2メシル酸塩の代わりに、フリー体として0.5gのヴェロスジル1塩酸塩を用いたものを、製造例145~288の医薬製剤として、常法により製造できる。
【0165】
[製造例289~432]
製造例1~144において、ネタースジル2メシル酸塩の代わりに、フリー体として0.7gのヴェロスジル1塩酸塩を用いたものを、製造例289~432の医薬製剤として、常法により製造できる。
【0166】
[製造例433~576]
製造例1~144において、ネタースジル2メシル酸塩の代わりに、0.02gの式(8)で表される化合物を用いたものを、製造例433~576の医薬製剤として、常法により製造できる。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明によれば、安定性に優れた医薬製剤を提供でき、医薬品産業等において好適に利用できる。
図1
図2