(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】メディア切断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/02 20060101AFI20240402BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240402BHJP
B26D 1/04 20060101ALI20240402BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B26D7/02 C
B41J11/70
B26D1/04 Z
B26D7/20
(21)【出願番号】P 2022177939
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2018226198の分割
【原出願日】2018-12-03
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2018140885
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】野中 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】田中 一平
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-072594(JP,A)
【文献】特開2009-203057(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0055508(US,A1)
【文献】特開2004-106143(JP,A)
【文献】特許第3979903(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/02
B41J 11/70
B26D 1/04
B26D 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアが搬送される上面部及び前記上面部に凹設され、前記メディアの搬送方向に直交する方向に延びる溝を有するテーブルと、
前記溝に沿って移動可能に設けられ、前記メディアを切断するカッター機構と、
前記テーブルに取り付けられ、前記テーブルの前記上面部に対向配置されるクランプ部材と、を有し、
前記カッター機構は、前記テーブルの前記上面部に向かって付勢される押さえ部と、前記メディアを切断可能な刃と、を有し、
前記押さえ部は、前記刃が前記メディアに当接する際に、前記クランプ部材を前記上面部に向かって付勢する位置に配置されている、メディア切断装置。
【請求項2】
メディアが搬送される上面部及び前記上面部に凹設され、前記メディアの搬送方向に直交する方向に延びる溝を有するテーブルと、
前記溝に沿って移動可能に設けられ、前記メディアを切断するカッター機構と、
前記メディアを前記テーブルに押さえつけるクランプ部材と、を有し、
前記カッター機構は、前記テーブルの前記上面部に向かって付勢される押さえ部と、前記メディアを切断可能な刃と、を有し、
前記押さえ部は、前記カッター機構の前記刃よりも前方に配置されて
おり、前記刃が前記メディアに当接する際に、前記クランプ部材を前記上面部に向かって付勢する位置に配置されている、メディア切断装置。
【請求項3】
前記クランプ部材は、前記テーブルの前記上面部との間に所定の隙間を介して前記テーブルの前記上面部に対向配置されており、
前記押さえ部は、前記刃が前記メディアに当接する際に、前記クランプ部材を前記隙間の分だけ前記テーブルの前記上面部側に撓ませることで、前記メディアを前記テーブルの前記上面部に押しつける、請求項1または2に記載のメディア切断装置。
【請求項4】
前記押さえ部は、回転可能なローラによって構成されている、請求項
1~3のいずれか一つに記載のメディア切断装置。
【請求項5】
前記クランプ部材は、前記テーブル上に配置される前記メディアを前記テーブルの上面部に向かって付勢する第1のクランプ部及び第2のクランプ部を有し、
前記第2のクランプ部は、前記第1のクランプ部の前方に配置され、
前記第1のクランプ部と前記第2のクランプ部との間に、前記テーブルの前記溝の上方に位置する隙間が形成されている、請求項
1~4のいずれか一つに記載のメディア切断装置。
【請求項6】
前記クランプ部材は、スペーサを介して前記テーブルの前記上面部に対向する
延出部と、隙間を介して前記テーブルの前記上面部に対向する
クランプ部と、を有し、
前記押さえ部は、前記カッター機構が移動するときに、前記
延出部に当接した後、前記
クランプ部に当接する、請求項
1~5のいずれか一つに記載のメディア切断装置。
【請求項7】
前記刃は、前記押さえ部の中心を通り前記上面部に垂直に延びる線に対して、交差する位置に配置されている、請求項
1~6のいずれか一つに記載のメディア切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル上に配置されたメディアのクランプ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリンタ装置において、被印刷物としてのメディアの浮き上がりを防止するために、メディアをテーブルにクランプすることが知られている。メディアのテーブルへのクランプに関する従来技術として特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、プリンタ装置は、上面部にメディアが搬送されるテーブルと、このテーブルの上面部に向かってメディアを押さえるクランプ部材と、を有している。
【0004】
クランプ部材は、メディアの搬送方向に沿って設けられた一対の板ばねによって形成されている。一対の板ばねは、印刷範囲を避けて配置されている。
【0005】
クランプ部材を用いることにより、メディアの浮き上がりを抑制した状態で印刷を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、クランプ部材は、メディアを切断する際にも用いられる。
【0008】
本発明は、メディアの切断作業を容易に行うことのできるクランプ技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るメディア切断装置は、メディアが搬送される上面部及び前記上面部に凹設され、メディアの搬送方向に直交する方向に延びる溝を有するテーブルと、前記溝に沿って移動可能に設けられ、前記メディアを切断するカッター機構と、前記メディアを前記テーブルに押さえつけるクランプ部材と、を有する。前記カッター機構は、前記テーブルの前記上面部に向かって付勢される押さえ部と、前記メディアを切断可能な刃と、を有している。前記押さえ部は、前記刃が前記メディアに当接する際に、前記クランプ部材を前記上面部に向かって付勢する位置に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メディアの切断作業を容易に行うことのできるクランプ技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1によるクランプ部材が搭載されたプリンタ・メディア切断装置の正面図である。
【
図6】
図3に示されたクランプ部材を詳細に説明する図である。
【
図7】
図3に示されたクランプ部材の溝への取付方法を説明する図である。
【
図8】
図3に示されたクランプ部材の基部の作用について説明する図である。
【
図9】
図4に示されたクランプ部材の変形例について説明する図である。
【
図10】
図9に示されたクランプ部材の平面図である。
【
図11】実施例2によるプリンタ・メディア切断装置の要部を示した図である。
【
図12】
図11に示したプリンタ・メディア切断装置の作用を説明する図である。
【
図13】実施例3によるプリンタ・メディア切断装置の要部を示した図である。
【
図15】
図13に示したプリンタ・メディア切断装置の作用を説明する図である。
【
図16】実施例4によるプリンタ・メディア切断装置の斜視図である。
【
図19】
図18に示されたプラテン及び右の押さえ具を示した斜視図である。
【
図20】
図19に示された右の押さえ具によって記録媒体をプラテンに押し付けた状態の斜視図である。
【
図22】
図20に示した右の押さえ具の変形例による右の押さえ具によって記録媒体をプラテンに押し付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、前後とはメディアの搬送方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは左、Riは右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例1>
【0013】
[プリンタ・メディア切断装置10について]
図1を参照する。
図1には、メディアに印刷を行うと共にメディアを切断可能なプリンタ・メディア切断装置10(以下、単に「プリンタ装置10」という。)が示されている。なお、プリンタ装置10は、メディアを切断可能である点において、メディア切断装置10ということもできる。
【0014】
図2を併せて参照する。プリンタ装置10は、上面部にメディアMeが搬送されるテーブル20と、搬送されるメディアMeに対して印刷を行うキャリッジ12と、メディアMeを切断可能なカッター機構13と、メディアMeの端部をテーブル20にクランプするクランプ部材30、30と、を有している。
【0015】
プリンタ装置10は、前後方向にメディアMeを搬送可能である。キャリッジ12、及び、カッター機構13は、左右方向に移動可能に設けられている。前後に搬送されるメディアMeに対して、キャリッジ12を左右に移動させることにより、メディアMeに印刷を行うことができる。一方、メディアMeの切断時には、メディアMeを所定の位置に搬送し、左右の端部をクランプ部材30、30によってクランプした状態で、カッター機構13を左右に移動させる。カッター機構13に設けられた刃13aによって、メディアMeを切断する。
【0016】
[メディアMeについて]
メディアMeは、例えば、ロールに巻かれたロールメディアであり、メディアMeの材質としては、普通紙などの紙類であってもよく、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂類であってもよく、アルミニウム材、鉄材等の金属類であってもよく、様々な材料で構成可能である。メディアMeは、搬送装置によって後方から前方に向かって送られる。
【0017】
[テーブル20について]
図3及び
図4を参照する。テーブル20は、上面部21が平面状に形成され、この上面部21の上をメディアMeが搬送される。上面部21の一部には、左右方向に亘って溝22が形成されている。即ち、溝22は、メディアMeの搬送方向に直行する方向に形成されている。なお、上面部21には、メディアMeを下方に吸引するための吸引穴等が形成されていてもよい。
【0018】
[溝22について]
溝22は、上下が反転した略T字状を呈し、左右(
図4の表裏方向)に延びる底面部22aと、この底面部22aの前後からそれぞれ立ち上げられた側壁部22b、22bと、これらの側壁部22b、22bの上端からそれぞれ近づくように突出しクランプ部材30が上方へ抜け出すことを抑制する抜け止め部22c、22cと、これらの抜け止め部22c、22cの端部から上方に向かって延び外部に開口する開口部22d、22dと、を有している。
【0019】
一方の開口部22d(図面左)の上部は、上方に向かって広がるテーパ状に形成されている。他方の開口部22d(図面右)は、上下に延びている。開口部22dの上部を両方ともテーパ状に形成することも可能である。
【0020】
[キャリッジ12について]
図2を参照する。キャリッジ12は、左右に延びるレール15上を移動可能に支持されている。キャリッジ12には、それぞれ異なる色を吐出する複数のインクヘッドが収納されている。
【0021】
[カッター機構13について]
カッター機構13は、左右に延びるレール15上を移動可能に支持されている。カッター機構13は、メディアMeを切断可能な刃13aを有している。刃13aは、上下方向にスイング可能に設けられている。刃13aを回転させることにより、メディアMeから離間した退避位置から、メディアMeに当接する当接位置まで変位させることができる。メディアMeを切断する際には、刃13aを当接位置まで回転させ、カッター機構13を左右方向に移動させる。
【0022】
[クランプ部材30について]
図3及び
図4を参照する。クランプ部材30は、メディアMeの左右の端部をそれぞれクランプするよう2つ用いられる(
図1参照)。以下、右のクランプ部材30について説明する。左のクランプ部材30についても構成は同じであり、説明を省略する。
【0023】
クランプ部材30は、溝22に収納されている基部31と、この基部に支持された第1部材32及び第2部材33と、第1部材32に連続して形成されメディアMeをテーブル20の上面部21に向かって付勢する第1のクランプ部34と、第2部材33に連続して形成されメディアMeをテーブル20の上面部21に向かって付勢する第2のクランプ部35と、第1部材32の下面に固定されテーブル20の上面部21に当接する第1のスペーサ36と、第2部材33の下面に固定されテーブル20の上面部21に当接する第2のスペーサ37と、を有している。
【0024】
[基部31について]
基部31は、硬質樹脂を素材とした樹脂成形品である。より具体的には、基部31の素材としてはポリアセタール(POM)やポリプロピレン(PP)を採用することができる。基部31は、上面が溝22の抜け止め部22cに当接している。
【0025】
基部31の第1部材32が差し込まれている部位と第2部材33が差し込まれている部位の間の部位は、第1部材及び第2部材32、33が差し込まれている部位に比べて、肉厚が薄い薄肉部31aとされている。薄肉部31aは、溝22に沿って基部31の全体に形成されている。薄肉部31aは、第1部材及び第2部材32、33が差し込まれている部位に比べて、上面が下方に向かって抉られた形状を呈する。
【0026】
図3及び
図5を参照する。溝22に沿った方向を基準として、基部31の長さL5は、第1の延出部42の長さ及び第1のクランプ部34の長さの和L6よりも長く、且つ、第2の延出部47の長さ及び第2のクランプ部35の長さの和L7よりも長い。なお、L6≒L7である。
【0027】
[第1部材32について]
図3及び
図4を参照する。第1部材32は、例えば、鋼板をプレス成形することにより、形成される。第1部材32は、プリンタ装置10の側面視を基準として、略L字状を呈する。第1部材32は、基部31から立ち上げられ溝22の側壁部22bに沿って配置される第1の立ち上げ部41と、この第1の立ち上げ部41の先端からテーブル20の上面部21に沿って延びる第1の延出部42と、を有している。第1の延出部42の先端部42aは、斜め上方に向かって曲げられている。
【0028】
なお、第1部材32の素材には、鉄鋼材以外の金属や樹脂等、任意の素材を採用することができる。
【0029】
[第2部材33について]
第2部材33は、例えば、鋼板をプレス成形することにより、形成される。第2部材33は、プリンタ装置10の側面視を基準として、略L字状を呈する。第2部材33は、基部31から立ち上げられ第1の立ち上げ部41に対向して延びる第2の立ち上げ部46と、この第2の立ち上げ部46の先端から第1の延出部42に対して離間するようテーブル20の上面部21に沿って延びる第2の延出部47と、を有している。第2の延出部47の先端部47aは、斜め上方に向かって曲げられている。
【0030】
第2の立ち上げ部46は、第1の立ち上げ部41に対して略平行に設けられている。
【0031】
溝22に直交する方向(メディアMeの搬送方向)を基準として、第1の延出部42の長さL1は、第2の延出部47の長さL2よりも短い。溝22に沿った方向を基準として、第1の延出部42の長さL3は、第2の延出部47の長さL4と略同じである。
【0032】
なお、第2部材33の素材には、鉄鋼材以外の金属や樹脂等、任意の素材を採用することができる。
【0033】
[第1のクランプ部34について]
第1のクランプ部34は、第1部材32と共に1枚の板材によって構成されている。第1のクランプ部34は、第1の延出部42のメディアMeに臨む辺の全体からテーブル20の幅方向中央に向かって延びている。第1のクランプ部34の先端部34aは、斜め上方に向かって曲げられている。メディアMeの端部は、第1のクランプ部34に覆われることにより、メディアMeを切断する場合にメディアMeの浮き上がりを防止できる。
【0034】
[第2のクランプ部35について]
第2のクランプ部35は、第2部材33と共に1枚の板材によって構成されている。第2のクランプ部35は、第2の延出部47のメディアMeに臨む辺の全体からテーブル20の幅方向中央に向かって延びている。第2のクランプ部35の先端部35aは、斜め上方に向かって曲げられている。メディアMeの端部は、第2のクランプ部35に覆われることにより、メディアMeを切断する場合にメディアMeの浮き上がりを防止できる。
【0035】
クランプ部34、35の先端に形成され、クランプ部34、35の一般面から斜め上方に延びる先端部34a、35aは、メディアMeをそれぞれのクランプ部34、35の下方に導くためのガイドの役割を果たす。先端部34a、35aは、クランプ部34、35の溝22に沿った端部のみならず、溝22に直交する端部に形成されても良い。
【0036】
押さえ部13bB(
図2参照)により、クランプ部34、35を押圧した状態でカッティング動作を行うことにより、メディアMeの浮きを解消した状態で刃13をメディアMeに当てることができ、切断精度が向上する。この点については後に詳しく説明する。
【0037】
図4を参照する。クランプ部材30は、インサート成形によって製造することができる。より詳細には、クランプ部材30は、略L字状の2枚の金属板の縦辺をそれぞれ向かい合わせにすると共に、横辺をそれぞれ離間する方向に向けて型にセットし、縦辺の先端同士を樹脂によって連結させることにより、形成される。
【0038】
なお、第1及び第2の立ち上げ部41、46の基部31に覆われている部位には、それぞれ貫通穴41a、46aが開けられていてもよい。貫通穴41a、46aに樹脂が充填されることにより、基部31は、より強固に第1及び第2の立ち上げ部41、46を支持することができる。
【0039】
[第1のスペーサ36について]
図3を併せて参照する。第1のスペーサ36は、略矩形状を呈する樹脂製の板である。第1のスペーサ36は、例えば、第1のクランプ部34の裏面に接着剤を介して接着している。第1のクランプ部34は、第1のスペーサ36の板の厚みの分、テーブル20の上面部21から離間している。
【0040】
[第2のスペーサ37について]
第2のスペーサ37は、略矩形状を呈する樹脂製の板である。第2のスペーサ37は、例えば、第2のクランプ部35の裏面に接着剤を介して接着している。第2のクランプ部35は、第2のスペーサ37の板の厚みの分、テーブル20の上面部21から離間している。
【0041】
第1のスペーサ36及び第2のスペーサ37には、同じ部品を用いることができる。
【0042】
以上に説明したクランプ部材30は、テーブル20に対して着脱可能に設けられている。クランプ部材30のテーブル20への取り付け方について説明する。
【0043】
[クランプ部材30のテーブル20への取付方法について]
図6(a)及び
図6(b)を参照する。
図6(a)には、テーブルに取り付けられる前の状態のクランプ部材が示されている。
図6(b)には、テーブルが側方から見た状態において示されている。
【0044】
テーブル20に取り付けられる前の状態において、例えば、第1の立ち上げ部41と第1の延出部42とがなす角は、θ1である。第2の立ち上げ部46と第2の延出部47とがなす角も、θ1である。ここで、θ1<90°である。
【0045】
基部31の上面から第1のスペーサ36までの高さは、H1である。基部31の上面から第2のスペーサ37までの高さも同じである。一方、抜け止め部22cからテーブル20の上面までの高さは、H2である。ここで、H1<H2である。
【0046】
なお、第2の立ち上げ部46と第2の延出部47とがなす角は、90°未満であれば、第1の立ち上げ部41と第1の延出部42とがなす角と異なる角度であってもよい。
【0047】
また、基部31の上面から第2のスペーサ37までの高さは、H2未満であれば、基部31の上面から第1のスペーサ36までの高さと異なる高さであってもよい。
【0048】
図7を参照する。クランプ部材30をテーブル20に取り付ける際には、テーブル20の側方からクランプ部材30をスライドさせて、溝22に差し込む。より詳細には、底面部22a、側壁部22b、22b、及び、抜け止め部22c、22cによって囲われた領域に、基部31を差し込む。それぞれのクランプ部34、35(
図6(a)も参照)がメディアMeの上方に位置するまで、基部31を押し込む。
【0049】
図6(a)及び
図6(b)を併せて参照する。基部31からそれぞれのスペーサ36、37までの高さH1は、抜け止め部22cからテーブル20の上面までの高さH2よりも低い。それぞれの延出部42、47を弾性変形させながら、基部31を押し込む。
【0050】
図6(c)を参照する。
図6(c)には、テーブルに取り付けられたクランプ部材が側面から見た状態によって示されている。延出部42、47を弾性変形させながら基部31を押し込むため、基部31の上面が抜け止め部22c、22cに当接し、それぞれのスペーサ36、37がテーブル20の上面に当接する。テーブル20の上面には、スペーサ36、37を介して延出部42、47からの付勢力が加わる。
【0051】
テーブル20に取り付けられた状態において、第1の立ち上げ部41と第1の延出部42とがなす角は、θ2である。第2の立ち上げ部46と第2の延出部47とがなす角も、θ2である。ここで、θ2=90°である。
【0052】
なお、θ2は、θ1よりも大きければよく、必ずしも90°である必要はない。また、第2の立ち上げ部46と第2の延出部47とがなす角は、第1の立ち上げ部41と第1の延出部42とがなす角と異なる角度であってもよい。
【0053】
図6(d)を参照する。
図6(d)には、クランプ部材をスライドさせる際の作用が示されている。クランプ部材30を溝22に沿ってスライドさせる際には、第1の立ち上げ部41と第1の延出部42の境界部B1、及び、第2の立ち上げ部46と第2の延出部47の境界部B2を下方に押しながらスライドさせる。
【0054】
スライド操作の際には、スペーサ36、37の一部のみがテーブル20の上面に当接することになる。加えて、立ち上げ部41、46を介して基部31が押し下げられるため、基部31が抜け止め部22cから離間する。
【0055】
基部31の一部は、他の部位に比べて薄肉に形成された薄肉部31aとされている。これにより、基部31を容易に撓ませることができる。薄肉部31aは、第1の立ち上げ部41と第2の立ち上げ部46の間に連続して形成されていることが好ましい。
【0056】
[クランプ部材の取付操作時における作用の説明]
図8(a)を参照する。
図8(a)には、比較例によるクランプ部材が模式的に示されている。比較例によるクランプ部材230は、基部231の長さL15が、第1の延出部42の長さ及び第1のクランプ部34の長さの和L6よりも短い。その他の構成要素については、実施例1によるクランプ部材と同じであり、符号を流用する。
【0057】
図8(b)を参照する。
図8(b)には、比較例によるクランプ部材が溝の内部で回転した際の作用が示されている。クランプ部材230を溝22に沿ってスライドさせることがある。基部231と溝22との隙間分だけ、基部231が回転することがある。例えば、基部231は、溝22の中心軸に対して、角度θ3だけ回転する。
【0058】
図8(c)を参照する。
図8(c)には、実施例1によるクランプ部材が模式的に示されている。クランプ部材30は、基部31の長さL5が、第1の延出部42の長さ及び第1のクランプ部34の長さの和L6よりも長い。
【0059】
図8(d)を参照する。
図8(d)には、実施例1によるクランプ部材が溝の内部で回転した際の作用が示されている。クランプ部材30を溝22に沿ってスライドさせることがある。基部31と溝22との隙間分だけ、基部31が回転することがある。例えば、基部31は、溝22の中心軸に対して、角度θ4だけ回転する。
【0060】
図8(b)を併せて参照する。基部31が長い実施例1によるクランプ部材30は、基部31が短い比較例によるクランプ部材230に比べて、溝22内において回転する量が少ない。
なお、クランプ部材30は、次図に示すような構成とすることもできる。
【0061】
[変形例について]
図9及び
図10を参照する。
図9及び
図10には、変形例によるプリンタ・メディア切断装置10Aに用いられるクランプ部材30Aが示されている。第1部材32及び第2部材33は、1枚の金属板によって構成されている。その他の基本的な構成については、実施例1によるプリンタ装置と共通する。共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0062】
詳細には、クランプ部材30Aは、第1の立ち上げ部41の下端と、第2の立ち上げ部46の下端とが、接続部38によって接続されている。加えて、接続部38から連続する左右方向の端部は、前後方向に突出し基部31からの抜けを防止する抜け防止部39とされている。
【0063】
図6(d)を併せて参照する。境界部B1、B2を下方に押すと、クランプ部34、35は、両端側の隙間(テーブルとの間隔)が中央側に比べて大きい状態で開く(上方に持ち上がる)。
【0064】
クランプ部34、35は隙間(テーブルとの間隔)が大きい部分である端部側が中央側に比べて主走査方向に長い(溝22から離れるにつれて主走査方向に突出する)ので、クランプをセットする際にメディアを主走査方向に移動させると、メディアMeが隙間の大きい部分(端部側)に先に入り込む。
【0065】
切断した後のメディアMeの浮き上がりを防止できるので、主走査方向(切断方向)と直交する搬送方向にメディアMeが移動する際に、クランプ部材30にメディアMeが引っかかることを防止できる。
【0066】
以上に説明したクランプ部材30は、以下の効果を奏する。
【0067】
図4を参照する。第1の立ち上げ部41及び第2の立ち上げ部46は、溝22の側壁部22bに沿って互いに対向して配置されている。加えて、第1のクランプ部34と第2のクランプ部35との間に、隙間が形成されている。第1の立ち上げ部41及び第2の立ち上げ部46の間及び第1のクランプ部34と第2のクランプ部35との間にカッター機構13の刃13aを通すことができる。
図3を併せて参照する。クランプ部材30によってメディアMeをクランプした状態のまま、溝22に沿ってメディアMeを切断することができる。本発明によるクランプ部材30を用いることにより、容易且つ正確にメディアMeを切断することができる。即ち、メディアMeの切断作業を容易に行うことのできるクランプ技術を提供することができる。
【0068】
加えて、基部31によって第1部材及び第2部材32、33を支持する構造とすることにより、第1部材及び第2部材32、33をそれぞれ正確な位置に配置することができる。このため、溝22の幅が小さい場合であっても、第1部材及び第2部材32、33の間に所定の隙間を正確に形成することができ、カッター機構13の刃13aを通過させることができる。
【0069】
図6(a)を参照する。クランプ部材30は、略L字状に形成された2枚の第1及び第2部材32、33を基部31によって支持する構成とされている。テーブル20に取り付けられた際に、テーブル20に付勢力を加えられるものであれば、第1及び第2部材32、33が曲げられる角度θ1は、多少の誤差が認められる。このため、寸法管理が容易である。
【0070】
さらに、基部31は、硬質樹脂によって形成されている。これにより、基部31を溝22に配置された状態のまま溝22に沿って容易にスライドさせることができる。クランプ部材30を溝22に沿って容易に移動させることができるため、容易に位置を調整することができる。
【0071】
図3を参照する。第1部材及び第2部材32、33の下面には、それぞれ、所定の高さを有し、テーブル20の上面部21に当接する第1のスペーサ及び第2のスペーサ36、37が設けられている。これにより、それぞれの第1及び第2部材32、33及びそれぞれのクランプ部34、35がテーブル20の上面部21に直接的に当接するのを抑制しつつ、メディアMeの浮き上がりを防止することができる。それぞれの第1及び第2部材32、33及びそれぞれのクランプ部34、35がテーブル20の上面部21に直接的に当接するのを抑制することにより、クランプ部材30をスライドさせる際に、これらの部位がスライド操作の抵抗になることを抑制することができる。これにより、クランプ部材30の高い操作性を確保することができる。
【0072】
図8(d)を併せて参照する。溝22に沿った方向を基準として、基部31の長さL5は、第1の延出部42の長さ及び第1のクランプ部34の長さの和L6よりも長く、且つ、第2の延出部47の長さ及び第2のクランプ部35の長さの和L7よりも長い。基部31の長さを長くすることにより、スライド操作時における溝22内での基部31の回転量を小さくすることができる。これにより、クランプ部材30をスライドさせる際に、基部31がスライド操作の抵抗になることを抑制することができる。これにより、クランプ部材30の高い操作性を確保することができる。
【0073】
図4を参照する。溝22は、基部31の上方への抜けを防止するために、両方の側壁部22bからそれぞれ近づくように突出した抜け止め部22cを有している。抜け止め部22cを有することにより、基部31が溝22から抜け出すことを抑制し、より確実にメディアMeをクランプすることができる。
【0074】
ところで、
図4に示される状態において、第1の立ち上げ部41の下端及び第2の立ち上げ部42の下端において、基部31には、応力が集中する。この場合、基部31の樹脂に埋設される部分の長さが短い場合は、クランプ部材30(第1の立ち上げ部41の下端及び第2の立ち上げ部42の下端)にぐらつきが発生する。
図9を参照する。第1の立ち上げ部41の下端及び第2の立ち上げ部46の下端は、接続部38によって接続されている。よって、第1の立ち上げ部41の下端及び第2の立ち上げ部42の下端に応力が集中した場合であっても、第1の立ち上げ部41の下端及び第2の立ち上げ部42の下端は連結され、樹脂に埋設されているので、応力を分散させ、基部31に加わる負荷を軽減することができる。よって、クランプ部材30のぐらつきを防止できる。
【0075】
以下に、実施例2によるプリンタ装置について説明する。
<実施例2>
【0076】
図11及び
図12には、実施例2によるプリンタ装置10Bの要部が示されている。実施例2によるプリンタ装置10Bは、カッター機構13Bの構成が実施例1によるプリンタ装置10(
図2参照)とは異なる。その他の基本的な構成については、実施例1によるプリンタ装置と共通する。実施例1と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0077】
図11及び
図12には、テーブル20と、キャリッジ12と、カッター機構13Bと、左のクランプ部材30(
図1も参照)と、メディアMeが示されている。
【0078】
[カッター機構13Bの構成について]
カッター機構13Bは、上面部21に向かって付勢されている押さえ部13bBと、メディアMeを切断可能な刃13aBと、を有している。
【0079】
[押さえ部13bBについて]
押さえ部13bBは、回転可能なローラによって構成され、刃13aBがメディアMeに当接する際に、クランプ部材30、具体的には第2の延出部47に当接することでメディアの動きを規制している。具体的に説明すると、押さえ部13bBは、テーブル20の上面部21側に付勢されており、延出部47に当接した後クランプ部35に当接する。延出部47における中央側(クランプ部材30の長手方向の中央部分)及びクランプ部35はスペーサ37の厚み分だけテーブル20の上面部21との間に隙間が介在されている。よって、キャリッジ12が走査方向の一方側(
図11の左側)に移動し、上面部21に向かって付勢される押さえ部13bBが、延出部47における中央側(クランプ部材30の長手方向の中央部分)に当接すると、押さえ部13bBの付勢力により隙間の分だけ当接部分が下方に撓み、これによりクランプ部35も下方に撓んでメディアMeが上面部21に押し付けられ、メディアMeの移動が制限される。さらに、キャリッジ12が移動して押さえ部13bBがクランプ部35に当接する場合は、押さえ部13bの付勢力により第2のクランプ部35の全体でメディアMe(テーブル20の上面部21)を押圧される。よって、第2のクランプ部35に押さえ部13bBを当接させることにより、第2延出部4に当接させる場合に比べて、確実にメディアMeの動きを規制できる。よって、シートカット時にメディアの動きを規制した状態で刃が紙の端面に切り込むので、メディアの浮きが発生することを防止できる。よって、メディアの端面における切り口の歪みを防止でき、きれいな仕上がりを実現できる。
【0080】
なお、押さえ部13bBが付勢するのは、第1のクランプ部34であってもよい。又は、第1の延出部42や第2延出部47であってもよい。第1の延出部42や第2延出部47の場合はメディアMeを直接押圧するものではないが、延出部42,47はクランプ部34,35と同じ一枚板で構成されており、スペーサの厚み分だけ撓むので、第1の延出部42や第2延出部47に当接させることで、間接的にメディアMeがテーブル20の上面部21に押圧され、その動きが規制される。
【0081】
[刃13aBについて]
刃13aBは、押さえ部13bBの中心C1を通り上面部21に垂直に延びる線CLに対して、交差する位置に配置されている。即ち、ローラの最下点より、カッター機構13Bの移動方向で後方に配置されている。よって、メディアクランプが無い状態で切断すると、カッターの刃がメディアに当接した後、ローラがメディアを押圧する、即ち、メディアの移動が規制されていない状態で、刃がメディアに当接するので、切り残し等が発生し切断面ががたつく虞がある。これに対し、メディアクランプを用いた状態で切断すると、ローラによりメディアクランプを押圧し、メディアクランプによりメディアが押圧された後、カッターの刃がメディアに当接する。即ち、メディアの移動が規制された状態でメディアを切断できる。よって、メディアの端面における切り口の歪みを防止でき、きれいな仕上がりを実現できる。
【0082】
以上に説明したプリンタ装置10Bも本発明所定の効果を奏する。
【0083】
さらに、カッター機構13Bは、上面部21に向かって付勢されている押さえ部13bBと、メディアMeを切断可能な刃13aBと、を有し、
押さえ部13bBは、刃13aBがメディアMeに当接する際に、クランプ部材30を上面部21に向かって付勢する位置に配置されている。
【0084】
刃13aBがメディアMeに当接する際に、クランプ部材30は、押さえ部13bBによって上面部21に向かって付勢されている。メディアMeは、クランプ部材30及び上面部21によって挟み込まれ、移動が規制される。特に、メディアの動きが規制されない状態で、メディアMeの端部には、刃13aBが当接することにより折れ曲がり等が発生することがある。メディアMeの変位を規制した状態で、刃13aBをメディアMeの端部に接触させることができるため、折れ曲がりの発生を抑制することができる。
【0085】
押さえ部13bBは、回転可能なローラによって構成され、
刃13aBは、押さえ部13bBの中心C1を通り上面部21に垂直に延びる線CLに対して、交差する位置に配置されている。
【0086】
押さえ部13bBは、中心C1を通り上面部21に垂直に延びる線CL上において、クランプ部材30に当接する。刃13aBが線CLに交差しているため、押さえ部13bBがクランプ部材30に当接する部位の近傍に刃13aBを配置することができる。メディアMeを押さえている部位とメディアMeを切断する位置とを近接させることにより、よりメディアMeが折れ曲がることを抑制することができる。
【0087】
以下に、実施例3によるプリンタ装置について説明する。
<実施例3>
【0088】
図13及び
図14には、実施例3によるプリンタ装置10Cの要部が示されている。実施例3によるプリンタ装置10Cは、実施例2によるプリンタ装置10Bとクランプ部材30Cが異なる。その他の基本的な構成については、実施例1又は実施例2によるプリンタ装置と共通する。実施例1又は実施例2と共通する部分については、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0089】
[クランプ部材30Cについて]
クランプ部材30Cは、第1の可撓部51及び第2の可撓部52を有しており、第1立ち上げ部41から第1延出部42に至る部分や第2立ち上げ部46から第2延出部47に至る部分と比べて弾性変形しやすく構成されている。よって、ローラ13bBがこの部分に直接乗り上げると抵抗となるが、第1の可撓部51及び第2の可撓部52は弾性変形しやすく構成されており、スロープの役割を果たすので、抵抗が小さくて済む。
具体的には、第1から第3実施例に示すクランプ部材30,30A,30Bでは、上記ローラが外側から中央に向かって移動する場合(
図3、
図10おいて左向きに向かって進む場合)、ローラは、まず、第1立ち上げ部41から第1延出部42に至る部分の端面及び第2立ち上げ部46や第2立ち上げ部46に至る部分の端面に突き当たる。第1立ち上げ部41と第1延出部42との間には曲げが介設されているので、ローラがこの部分を乗り上げる際には抵抗が発生し、クランプ部材30,30A,30Bがローラの進行方向(左方)に押され、クランプ部材30,30A,30Bの位置がずれることが懸念される。
【0090】
第1の可撓部51は、第1部材32に一体的に形成され、略三角形状を呈する。第1の可撓部51は、第1の立ち上げ部41(
図4参照)に接続されていない分、第1の延出部42に比べて上面部21に向かって容易に撓む。
【0091】
第1の可撓部51は、溝22の上方に位置する第1の延出部42の一端部42bから溝22に平行に延びる第1の平行辺部51aと、この第1の平行辺部51aの先端から第1の延出部42の他端部42cまで延びる第1の斜辺部51bと、を有している。第2の可撓部52も、第1の可撓部51と同じ構成とされている。なお、第1の可撓部51及び第2の可撓部52は、ローラ13bBに押圧される部分であり、どちらか一方のみが形成されていてもよい。加えて、第1の可撓部51及び/又は第2の可撓部52は、それぞれの延出部42、47から上面部22に向かって下り勾配に形成されていてもよい。
【0092】
図13及び
図15を参照する。キャリッジ12が移動することにより、押さえ部13bBは、第2の斜辺部52bから第2の可撓部52に乗り上げる。押さえ部13bBは、第2の可撓部52の上面から第2の延出部47の上面を移動する。
【0093】
以上に説明したプリンタ装置10Cも本発明所定の効果を奏する。
【0094】
加えて、プリンタ装置10Cは、
第1の延出部42から上面部21に沿って延び、第1のクランプ部34と共に第1の延出部42を挟み込むように形成された第1の可撓部51をさらに有し、
第1の可撓部51は、第1の延出部42よりも容易に上面部21に向かって撓む構成とされ、
第2の延出部47から上面部21に沿って延び、第2のクランプ部35と共に第2の延出部47を挟み込むように形成された第2の可撓部52をさらに有し、
第2の可撓部52は、第2の延出部47よりも容易に上面部21に向かって撓む構成とされている。
【0095】
第2の可撓部52は、第2の延出部47よりも容易に上面部21に向かって撓む。このため、押さえ部13bBを、第2の延出部47の上面により確実に乗り上げさせることができる。メディアMeの切断時に、より確実にメディアMeの移動を規制することができる。
【0096】
第1の可撓部51は、溝22の上方に位置する第1の延出部42の一端部42bから溝22に平行に延びる第1の平行辺部51aと、この第1の平行辺部51aの先端から第1の延出部42の他端部42cまで延びる第1の斜辺部51bと、を有し、
第2の可撓部52は、溝22の上方に位置する第2の延出部47の一端部47bから溝22に平行に延びる第2の平行辺部52aと、この第2の平行辺部52aの先端から第2の延出部47の他端部47cまで延びる第2の斜辺部52bと、を有している。
【0097】
押さえ部13bBは、キャリッジ12の進行方向に対して斜めに形成された第2の斜辺部52bからクランプ部材30Cに乗り上げる。キャリッジ12の進行方向に対して垂直に形成されている場合に比べて、押さえ部13bBを容易に乗り上げさせることができる。
【0098】
なお、押さえ部13bBは、第2の延出部47にのみ乗り上げる。このため、プリンタ装置10Cにおいては、第1の可撓部51がない場合であっても上述の効果を奏する。押さえ部13bBが第1の延出部42にのみ乗り上げるプリンタ装置においては、少なくとも第1可撓部51が形成されている必要がある。これにより、上記効果を奏する。
【0099】
以下に、実施例4によるプリンタ装置について説明する。実施例4はメディアクランプを一枚ばねで構成している点で、基部31と第1部材32及び第2部材33とが一体的に形成されている点で、上記実施例1と異なる。
<実施例4>
【0100】
〔1.印刷装置の構成〕
図16はプリンタ装置101の斜視図であり、
図17はプリンタ装置101の内部の正面図であり、
図18はプリンタ装置101の内部の側面図である。以下の説明では、プリンタ装置101によって印刷されるメディアMeが搬送される方向を搬送方向といい、搬送方向の上流側を後方といい、搬送方向の下流側を前方という場合がある。また、搬送方向に対して垂直な方向を主走査方向といい、主走査方向を左右方向という場合がある。また、搬送方向の下流側から上流側に向かって見て、左右の向きを定める。
【0101】
図16に示すように、プリンタ装置101は、印刷機構部102と、筐体110と、テーブル151と、カッター機構125と、テーブル151に対して着脱可能な左右一対のクランプ部材160R,160Lとを有する。ここで、
図16では、クランプ部材160R,160Lがテーブル151から外れた状態が示されており、
図17及び
図18では、クランプ部材160R,160Lがテーブル151に取り付けられた状態が示されている。
【0102】
筐体110の前面及び後面には開口が形成され、それら開口がそれぞれカバーによって開閉される。
図16では、筐体110の前面の開口を開閉するカバーが外された状態が図示されている。
【0103】
テーブル151は、筐体110内に取り付けられている。テーブル151の上面は、前後左右に広がった平面状に形成されている。テーブル151の上面には、溝152が形成されている。溝152は主走査方向に延在している。
メディアMeは、テーブル151に支持される印刷用の媒体である。メディアMeは、たとえば、樹脂製シート、金属シート又は紙製シートである。
メディアMeは、その幅方向が主走査方向となるようにテーブル151上に支持される。このとき、メディアMeは、その幅方向両側の縁が溝152を搬送方向に跨ぐように溝152を覆っている。
【0104】
図17及び
図18に示すように、印刷機構部102はインクジェットプリンタ式の印刷を行うための各種構成を備える。具体的には、印刷機構部102は、ガイドレール111、キャリッジ120、印刷ヘッド121、キャリッジ駆動機構112、駆動ローラ141、搬送モーター142及びピンチローラ146を有する。
【0105】
ガイドレール111は、テーブル151の上方において、主走査方向に延在するよう筐体110に取り付けられている。ガイドレール111によってキャリッジ120がテーブル151の上方且つ駆動ローラ141の前側において主走査方向に案内される。
キャリッジ駆動機構112は、ガイドレール111に沿って、キャリッジ120を主走査方向に往復移動させる。
【0106】
キャリッジ120には、テーブル151及びメディアMeに対して上下に対向する複数の印刷ヘッド121が搭載されている。印刷ヘッド121はインクジェットヘッドである。つまり、印刷ヘッド121の下面には複数のノズルが形成されており、印刷ヘッド121がノズルから下方のメディアMeに向けてインクを吐出し、これによりメディアMeに画像が形成される。
【0107】
駆動ローラ141は溝152よりも搬送方向上流側に配置されている。駆動ローラ141は一部がテーブル151に埋設され、駆動ローラ141の上側の周面がテーブル151の上面から露出している。
【0108】
駆動ローラ141の上方には、昇降可能なピンチローラ146が配設されている。ピンチローラ146が下降した状態では、メディアMeはピンチローラ146と駆動ローラ141との間に挟持される。その状態において駆動ローラ141が搬送モーター142によって回転駆動されると、メディアMeが搬送方向に搬送される。すなわち、駆動ローラ141、搬送モーター142及びピンチローラ146からなる機構は、メディアMeを搬送する搬送機構である。
【0109】
印刷機構部102による印刷動作は、搬送モーター142によるメディアMeの所定距離の搬送と、キャリッジ120の移動及び印刷ヘッド121のインク吐出とを交互に繰り返すことにより実行される。具体的には、駆動ローラ141が搬送モーター142によって間欠的に回転駆動されることによって、メディアMeが前方へ間欠的に所定距離搬送される。メディアMeの各回の一時停止中に、キャリッジ120がサーボモーター116により主走査方向に移動するとともに、キャリッジ120の移動中に印刷ヘッド121がインクを吐出する。
【0110】
カッター機構125は、メディアMeを裁断するための機構である。カッター機構125は駆動機126及び刃127を有する。駆動機126はキャリッジ120に搭載されている。刃127は、駆動機126に連結されている。駆動機126は例えばソレノイド又はモーターであり、刃127をテーブル151に対して昇降させるように駆動する。上述の溝152は、刃127の下方に形成されており、下降した刃127は、溝152に挿入される。
【0111】
例えばカッター機構125は、印刷動作後にメディアMeを裁断する。具体的に、搬送モーター142によるメディアMeの搬送が停止した状態で、駆動機126は、刃127を下降させる。そして、サーボモーター116は、キャリッジ120を主走査方向に移動させる。キャリッジ120の移動に伴い、刃127は、溝152に沿って主走査方向に移動して、メディアMeを裁断する。
【0112】
〔2.クランプ部材〕
ピンチローラ146は印刷ヘッド121よりも搬送方向の上流側に配置されているので、ピンチローラ146よりも下流側ではメディアMeがテーブル151から浮き上がってしまう虞がある。また、メディアMeの幅方向の側部がピンチローラ146から主走査方向にずれて配置された場合にも、メディアMeがテーブル151から浮き上がってしまう虞がある。以上のようなことを防止するべく、クランプ部材160R,160LはメディアMeの幅方向両側の側部をテーブル151に押さえる。
【0113】
図19及び
図20はテーブル151及び右のクランプ部材160Rの斜視図であり、
図21は
図18の18部拡大図である。
図19では、クランプ部材160Rがテーブル151から外れた状態が示されており、
図20では、クランプ部材160Rがテーブル151に装着された状態が示されている。
図21では、テーブル151に装着された状態のクランプ部材160Rを実線により示し、テーブル151から外れた状態のクランプ部材160Rを二点鎖線により示す。なお、左のクランプ部材160Lの形状は、右のクランプ部材160Rの形状に対して、主走査方向に直交する面に関して鏡像の関係にあるため詳細な説明を省略する。
【0114】
図19及び
図20に示すように、クランプ部材160Rは、メディアMeをテーブル151に押さえるための部材であり、金属薄板(例えば、ステンレス鋼薄板)をプレス加工することによって成形された板ばねにより構成されている。クランプ部材160Rは、クランプ部161R、クランプ部162R、先端部166R~169R及び固定部材170Rを有する。本実施形態において、クランプ部材160Rは、クランプ部161R、クランプ部162R、先端部166R~169R及び固定部材170Rが一体成形されてなる一体成形品である。
【0115】
クランプ部161R,162Rは薄板状に形成されている。クランプ部161Rは溝152の搬送方向下流側においてメディアMeの右側部をテーブル151に押さえ、クランプ部162Rは溝152の搬送方向上流側においてメディアMeの右側部をテーブル151に押さえる。クランプ部161R,162Rは間隔を置いて配されており、クランプ部161Rとクランプ部162Rの間には間隙163Rが形成されている。そのため、溝152がクランプ部161R,162Rの間の間隙163Rを主走査方向に横切るように、クランプ部161R,162Rが溝152の両側に配されている。また、メディアMeを押さえた状態において、メディアMeがクランプ部161R,162Rの間の間隙163Rにおいて露出し、メディアMeの右側縁109eがクランプ部161R,162Rの間の間隙163Rを搬送方向に横切るように、クランプ部161R,162Rが配されている。
【0116】
クランプ部161Rには貫通孔164R,165Rが形成されている。貫通孔164R,165Rを通じてメディアMeやその右側縁109eを視認することにより、メディアMeに対するクランプ部材160Rの左右方向の相対的な位置を調整することができる。なお、クランプ部161Rと同様に、クランプ部162Rにも貫通孔が形成されていてもよい。
【0117】
クランプ部161R,162Rは、固定部材170Rによってテーブル151に固定される。
固定部材170Rは、連結部171R,172Rと、溝152に嵌合するとともに上方に向けて開口する嵌合部173Rとを有する。
【0118】
連結部171Rは嵌合部173Rとクランプ部161Rを連結する。連結部171Rはクランプ部161Rと面一となるような薄板状に形成されている。薄板状の部位のうち、嵌合部173Rの下流側の部位が連結部171Rであり、間隙163Rの下流側の部位がクランプ部161Rである。連結部171Rは、クランプ部161RからメディアMeの右側縁109eの外方に延出するとともに、嵌合部173Rの開口の下流側の縁部から搬送方向の下流側へ延出する(
図20参照)。
【0119】
連結部171Rが上述の態様のように嵌合部173Rとクランプ部161Rを連結するのと同様にして、上流側の連結部172Rが嵌合部173Rとクランプ部162Rを連結するので、上流側の連結部172R及びクランプ部162Rについての詳細な説明を省略する。
【0120】
嵌合部173Rは、弾性的に圧縮された状態で、溝152に嵌合する部分である(
図20参照)。嵌合部173Rは、凹形状に形成されている。嵌合部173Rを溝152に嵌合する位置は、メディアMeの右側縁109eの外方である。嵌合部173Rは、V字型、半円弧型、門形型の凹形状に形成されていてもよい。
なお、嵌合部173Rが弓型(U字型又は半長円弧型)に形成されている場合には、嵌合部173Rが溝152に沿って滑らかに嵌まりやすい。
【0121】
嵌合部173Rを溝152から抜脱することにより、クランプ部材160Rはテーブル151から外れる。
【0122】
図21中の二点鎖線で示すように、溝152から外れた嵌合部173Rに外力が作用していない自然状態では、嵌合部173Rの開口の幅W1は、溝152の開口の幅W2よりも広い(
図19も参照)。そのため、
図21中の実線で示すように、嵌合部173Rが溝152に嵌合した状態では、嵌合部173Rの開口の幅W1が狭まるように嵌合部173Rが弾性的に圧縮されている(
図20も参照)。これにより、嵌合部173Rが溝152から外れ難い。なお、嵌合部173Rが溝152に嵌合した状態での嵌合部173Rの開口の幅W1は、刃127の刃先が通過可能な幅である。
【0123】
図19及び
図21に示すように、クランプ部材160Rがテーブル151から外れた状態では、連結部171Rとクランプ部161Rとによって構成される1枚の薄板状の部位と、連結部172Rとクランプ部162Rとによって構成される1枚の薄板状の部位とが挟む入角(テーブル側の角度)は、180度未満である。そして、嵌合部173Rは、連結部171Rと連結部172Rとの挟む出角側に向かって開口した状態にある。
【0124】
一方、
図20及び
図21に示すように、嵌合部173Rが溝152に嵌合してクランプ部材160Rがテーブル151に取り付けられた状態では、連結部171Rとクランプ部161Rとによって構成される1枚の薄板状の部位や、連結部172Rとクランプ部162Rとによって構成される1枚の薄板状の部位が、テーブル151の面上に位置することになるため、嵌合部173Rの開口が狭まるように嵌合部173Rが弾性変形する。つまり、嵌合部173Rが溝152に嵌合してクランプ部材160Rがテーブル151に取り付けられた状態では、連結部171Rとクランプ部161Rとによって構成される1枚の薄板状の部位と、連結部172Rとクランプ部162Rとによって構成される1枚の薄板状の部位とが挟むテーブル側の角度は180度に拡開される。それゆえ、連結部171R,172R及びクランプ部161R,162Rがテーブル151から反力を受けて、上述のように嵌合部173Rが弾性変形している。従って、嵌合部173Rの弾性力は、連結部171R,172Rをテーブル151に押し付ける力として連結部171R,172Rに作用するとともに、クランプ部161R,162RをメディアMe及びテーブル151に押し付ける力としてクランプ部161R,162Rに作用する。
【0125】
また、嵌合部173Rが溝152に嵌合した状態では、連結部171Rと嵌合部173Rの成す入角部174Rが拡開するように弾性変形している。入角部174Rの弾性変形によって、連結部171Rがテーブル151に押し付けられるとともに、クランプ部161RがメディアMeをテーブル151に押し付けている。同様に、嵌合部173Rが溝152に嵌合することによって、連結部172Rと嵌合部173Rの成す入角部75Rが拡開するように弾性変形している。なお、嵌合部173R及び入角部174R,75Rの弾性力は、駆動ローラ141及びピンチローラ146によって搬送されるメディアMeがクランプ部161R,162R及びテーブル151に対して..動するように設計されている。
【0126】
また、
図18に示すように、嵌合部173Rが溝152に嵌合した状態において、クランプ部材160Rの前後長、つまりクランプ部161Rの下流側の端からクランプ部162Rの上流側の端までの長さは、印刷ヘッド121の前後長及びキャリッジ120の前後長よりも長い(
図18参照)。そして、クランプ部161Rの下流側の端は印刷ヘッド121の前端及びキャリッジ120の前端よりも前に位置し、クランプ部162Rの上流側の端は印刷ヘッド121の後端及びキャリッジ120の後端よりも後ろに位置する。そのため、印刷ヘッド121の前後長及びキャリッジ120の下方において、テーブル151からメディアMeの側部の浮き上がりを抑制できる。
なお、駆動ローラ141及びピンチローラ146からクランプ部162Rの後端までの距離が短い程、テーブル151からメディアMeの浮き上がりの抑制効果が高くなる。
【0127】
図19に示すように、クランプ部161R及び連結部171Rの搬送方向下流側の端部には、先端部166Rが設けられている。先端部166Rは、クランプ部161R及び連結部171Rに対して反り上がった状態に形成されている。そのため、
図20に示すように、嵌合部173Rが溝152に嵌合した状態では、先端部166Rがテーブル151の上面に対して傾斜している。クランプ部161Rの搬送方向下流側においてメディアMeがテーブル151から浮き上がった状態であっても、上流へ搬送されるメディアMeが先端部166Rに対して..動して、クランプ部161Rに入り込む。つまり、この先端部166Rは、上流へ搬送されるメディアMeをクランプ部161Rとテーブル151との間に誘導する。
同様にしてメディアMeを誘導すべく、クランプ部161Rの搬送方向上流側の端部には先端部167Rが設けられ、クランプ部162R及び連結部172Rの搬送方向上流側の端部には先端部169Rが設けられ、クランプ部162Rの搬送方向下流側の端部には先端部168Rが設けられている。
【0128】
〔3.クランプ部材の使用方法(クランプ部材の装着方法)〕
クランプ部材160R,160Lの使用方法について説明する。
筐体110内において溝152を搬送方向に横切るようにメディアMeをテーブル151上に載置する。ここで、メディアMeの幅は溝152の左右方向の長さよりも短い。そのため、溝152の中央部をメディアMeによって覆い、溝152の左右の部分をメディアMeによって覆わずに露出させる。
【0129】
次に、
図19に示すように、メディアMeの右側縁109eの上方に右のクランプ部材160Rを位置させて、右のクランプ部材160Rの姿勢を決める。具体的には、嵌合部173Rの開口を上に向けて、クランプ部161R及び連結部171Rを搬送方向下流側に配し、クランプ部162R及び連結部172Rを搬送方向上流側に配する。
【0130】
そして、クランプ部161R,162RをメディアMeの右側縁109eに被せるようにしてクランプ部材160Rを下降させて、嵌合部173RをメディアMeの右側縁109eの外側の位置において溝152に嵌め込む。これにより、
図20に示すように、クランプ部161R,162Rとテーブル151との間にメディアMeを挟む。この際、貫通孔164R,165R越しにメディアMeの右側縁109eを視認して、貫通孔164R,165RをメディアMeの右側縁109eに重ねるようにして、メディアMeをクランプ部161Rによって押さえる。これにより、クランプ部材160Rの左右方向の位置を決めることができる。
【0131】
以上のように嵌合部173Rを溝152に嵌め込む際には、嵌合部173Rの開口の幅W1が狭まるように嵌合部173Rが弾性的に圧縮される。また、クランプ部161R,162R及び連結部171R,172Rがテーブル151からの反力を受けて、連結部171Rと連結部172Rの挟む入角が180°に拡開する。更に、入角部174R,75Rが弾性的に拡開する。このような弾性力がクランプ部161R,162RをメディアMe及びテーブル151に押し付ける力としてクランプ部161R,162Rに作用する。
【0132】
左のクランプ部材160Lも同様にしてテーブル151に装着して、クランプ部材160Lのクランプ部とテーブル151との間にメディアMeを挟む。
【0133】
〔4.クランプ部材の使用方法(クランプ部材の取り外し方法)〕
嵌合部173Rを溝152から上に抜き、クランプ部161R,162Rをテーブル151から上方に引き上げれば、クランプ部材160Rをテーブル151から取り外すことができる。
具体的には、次のようにする。
【0134】
まず、指先等を先端部169Rに引っ掛けて先端部169Rを引き上げることによって、嵌合部173Rを支点にしてクランプ部162R及び連結部172Rを起こし上げる。そうすると、嵌合部173Rはその開口が狭まるように弾性的に圧縮されるとともに、入角部174R,75Rが弾性的に拡開するので、嵌合部173Rが溝152から上に抜ける。これにより、クランプ部161R及び連結部172Rをテーブル151から上方へ離間させることができる。なお、指先等を先端部166Rに引っ掛けて先端部166Rを引き上げることによっても、嵌合部173Rを溝152から簡単に抜き出すことができる。
【0135】
左のクランプ部材160Lも同様にしてテーブル151から取り外す。
【0136】
〔5.効果〕
以上のような本発明の実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1) クランプ部162Rが溝152の搬送方向における上流側に配され、クランプ部161Rがクランプ部162Rから間隔を置いて溝152の搬送方向における下流側に配され、これらクランプ部161R,162RがメディアMeをテーブル151に押さえている。従って、メディアMe及びその右側縁109eがクランプ部161R,162Rの間の間隙163Rにおいて露出し、メディアMeのうち溝152に重なる部分はクランプ部161R,162Rに接触していない。そのため、下降した刃127がクランプ部161R,162Rの間の間隙163Rを主走査方向に通過する際にメディアMeの右側縁109eも通過する。よって、クランプ部材160Rによって押さえられた状態のメディアMeを裁断することができる。
(2) 嵌合部173Rが弾性変形した状態で溝152に嵌合するため、嵌合部173Rが溝152の内面に押し付けられる。それゆえ、クランプ部材160Rをテーブル151に固定することができるとともに、クランプ部161R,162RがメディアMeを押さえた状態を維持することができる。
(3) 嵌合部173RがメディアMeの右側縁109eの外側において溝152に嵌合するため、刃127が嵌合部173Rまで移動せずとも、メディアMeを裁断することができる。
【0137】
(4) 嵌合部173Rが凹状に形成されているので、クランプ部材160Rをテーブル151に装着してメディアMeを押さえた状態であっても、嵌合部173Rの凹状の隙間に刃127を入り込むことで刃127が嵌合部173Rまで移動できる。よって、刃127の可動範囲を広くとることができ、クランプ部材160Rによって押さえられた状態のメディアMeを裁断することができる。
【0138】
(5) 先端部167R,169Rがテーブル151に対して反り上がっているので、メディアMeがテーブル151から浮き上がった状態であっても、下流側へ搬送されるメディアMeが先端部167R,169Rによって案内されて、クランプ部161R,162Rとテーブル151との間に滑らかに誘導される。よって、テーブル151から浮き上がったメディアMeがクランプ部161R,162Rの搬送方向上流側の端部に引っ掛からず、メディアMeを下流側へスムーズに搬送することができる。同様に、先端部166R,68Rの反り形状によって、メディアMeを上流側へスムーズに搬送することができる。
【0139】
(6) 拡開するように弾性変形した入角部174R,75Rの弾性力によって、メディアMeを挟む力が向上する。これにより、テーブル151からメディアMeの浮き上がりを抑えることができる。
【0140】
(7) 圧縮された嵌合部173Rの弾性力によってクランプ部161R,162RがメディアMeを介してテーブル151に押し付けられ、クランプ部161R,162Rとテーブル151との間にメディアMeを挟む力が生じる。
【0141】
(8) 指等によって先端部166R又は先端部169Rを引き上げるだけで、クランプ部材160Rをテーブル151から簡単に取り外すことができる。
【0142】
(9) クランプ部材160R,160Lがテーブル151に対して着脱可能に構成されているので、メディアMeの幅に合わせてクランプ部材160R,160Lの装着位置を定めることができる。つまり、メディアMeの幅の広狭に関わらず、メディアMeの左右の側部をクランプ部材160R,160Lによって押さえることができる。
【0143】
(10) クランプ部材160Rを取り付ける際に、貫通孔164R,165Rによってクランプ部材160Rの左右方向の位置を決めることができる。従って、クランプ部161RとメディアMeが重なり合う範囲を適切に調整することができ、クランプ部161Rに誤って印刷してしまうことを防止できる。
【0144】
〔6.変形例〕
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する変更点は、可能な限り組み合わせて適用してもよい。
【0145】
(a) 上述の実施形態では、クランプ部材160R,160Lが金属からなるが、クランプ部材160R,160Lの材種を変更してもよい。例えば、クランプ部材160R,160Lが樹脂、繊維強化樹脂又は複合材(例えば金属と樹脂の複合材)からなるものとしてもよい。
【0146】
(b) 上述の実施形態では、クランプ部材160Rが左右非対称な形状であり、メディアMeの右側専用のものであった。それに対して、
図22に示すようにクランプ部材160Rを左右対称な形状として、メディアMeの右側及び左側に兼用できるようにしてもよい。具体的には、連結部171Rと面一となるように薄板状に形成されたクランプ部181Rが、連結部171Rを基準として、連結部171Rからのクランプ部161Rの延出方向とは反対側の方向に連結部171Rから延出している。同様に、連結部172Rと面一となるように薄板状に形成されたクランプ部182Rが、連結部172Rを基準として、連結部172Rからのクランプ部162Rの延出方向とは反対側の方向に連結部172Rから延出している。クランプ部181Rとクランプ部182Rとの間には間隙83Rが形成されている。先端部166Rは、クランプ部161R及び連結部171Rの搬送方向下流側の端部のみならず、クランプ部181Rの搬送方向下流側の端部にも及ぶよう、クランプ部161R、連結部171R及びクランプ部181Rの搬送方向下流側の端部に形成されている。先端部169Rは、クランプ部162R及び連結部172Rの搬送方向上流側の端部のみならず、クランプ部182Rの搬送方向上流側の端部にも及ぶよう、クランプ部162R、連結部172R及びクランプ部182Rの搬送方向下流側の端部に形成されている。クランプ部181Rの搬送方向上流側の端部には、先端部87Rが設けられている。この先端部87Rは、クランプ部181Rに反り上がった状態に形成されている。クランプ部182Rの搬送方向下流側の端部には、先端部188Rが設けられている。この先端部188Rは、クランプ部182Rに対して反り上がった状態に形成されている。
図22に示すクランプ部材160RによってメディアMeの左側部を押さえる場合には、クランプ部181R,82RをメディアMeの左側縁に被せるようにしてクランプ部材160Rを下降させて、嵌合部173RをメディアMeの左側縁の外側の位置において溝152に嵌め込む。これにより、クランプ部181R,82Rとテーブル151との間にメディアMeを挟む。
【0147】
(c) 上述の実施形態では、プリンタ装置101がカッター機構125を有していた。それに対して、プリンタ装置101がカッター機構125を有さなくてもよい。この場合でも、溝152がテーブル151に形成され、クランプ部材160R,160Lをテーブル151に装着することができる。
プリンタ装置101がカッター機構125を有さなくても、ユーザーが手持ちのカッターをメディアMeの上から溝152に差し込んで、そのカッターをクランプ部材160R,160Lによって干渉されることなく左右に移動させることによって、メディアMeを裁断することができる。
【0148】
(d) 上述の実施形態では、溝152が有底状であった。それに対して、溝152がテーブル151を上下に貫通していてもよい。
【0149】
(e) 上述の実施形態では、メディアMeを貫通した刃127の逃げ用のために溝152が形成されていたが、溝152が他の用途にも利用されてもよい。例えば、メディアMeを検出する媒体検出センサ(例えば、光学センサ)が溝152に設けられていてもよい。この場合、媒体検出センサはクランプ部材160Rの嵌合部173Rに干渉しないように設けられている。
【0150】
(f) 上述の実施形態では、印刷機構部102がインクジェットプリンタ式の印刷機構部であったが、他の印刷方式(例えば、レーザープリンタ式若しくはLEDプリンタ式等の感光式、熱転写式)の印刷機構部であってもよい。
【0151】
以上を纏めると以下のように言うことができる。
【0152】
刃127が移動する溝152を有し、メディアMeの縁MeaがメディアMeの搬送方向に溝152を跨ぐように溝152を覆ったメディアMeを支持するテーブル151と、
テーブル151に装着されるクランプ部材160Rと、を備えるプリンタ装置101であって、
クランプ部材160Rが、
間隔を置いて溝152の搬送方向における上流側と下流側に配され、メディアMeをテーブル151に押さえる一対のクランプ部161R、162Rと、
クランプ部161R、162Rをテーブル151に固定する固定部材170Rと、を有し、
固定部材170Rが、
弾性変形した状態で、記録媒体の縁の外側において溝152に嵌合する嵌合部173Rと、
嵌合部173Rとクランプ部161R、162Rとを連結する一対の連結部171R、72Rと、を有する。
【0153】
嵌合部173Rは、凹状に形成されている。
【0154】
クランプ部材160Rは、クランプ部161R、162Rの搬送方向端部に形成され、クランプ部161R、162Rに対して反り上がった状態に形成された先端部166R~169Rを更に有する。
【0155】
一対の連結部171R、72Rが嵌合部173Rから溝152の搬送方向上流側と下流側に延出し、嵌合部173Rが溝152に嵌合することによって、連結部171R、72Rと嵌合部173Rの成す入角部が拡開するよう弾性変形している。
【0156】
テーブル151に形成された溝152をメディアMeの縁MeaがメディアMeの搬送方向に跨ぐように溝152を覆ったメディアMeを支持するテーブル151に対して装着されるクランプ部材160Rであって、
間隔を置いて溝152の搬送方向上流側と下流側に配され、メディアMeをテーブル151に押さえる一対のクランプ部161R、162Rと、
クランプ部161R、162Rをテーブル151に固定する固定部材170Rと、を有し、
固定部材170Rが、
弾性変形した状態で、メディアMeの縁Meaの外側において溝152に嵌合する嵌合部173Rと、
嵌合部173Rとクランプ部161R、162Rとを連結する一対の連結部171R、72Rと、を有する。
【0157】
尚、本発明によるクランプ部材は、プリンタ・メディア切断装置に搭載された例に基づいて説明したが、メディアに印刷する機能のみを有するプリンタ装置や、メディアを切断する機能のみを有するメディア切断装置であっても適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。
【0158】
各実施例は、適宜組み合わせることができる。
【0159】
本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明は、切断時におけるメディアのクランプに好適である。
【符号の説明】
【0161】
10・10A・10B・10C・101…プリンタ・メディア切断装置(メディア切断装置)
13B…カッター機構
13aB…刃
13bB…押さえ部
20…テーブル
21…上面部
22…溝
22b…側壁部
22c…抜け止め部
31…基部
32…第1部材
33…第2部材
34…第1のクランプ部
35…第2のクランプ部
36…第1のスペーサ
37…第2のスペーサ
41…第1の立ち上げ部
42…第1の延出部
42b…一端部
42c…他端部
46…第2の立ち上げ部
47…第2の延出部
47b…一端部
47c…他端部
51…第1の可撓部
51a…第1の平行辺部
51b…第1の斜辺部
52…第2の可撓部
52a…第2の平行辺部
52b…第2の斜辺部
Me…メディア