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特許7464696設計支援装置、設計支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/12 20200101AFI20240402BHJP
   G06F 30/398 20200101ALI20240402BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20240402BHJP
   G06F 119/10 20200101ALN20240402BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F30/398
G01R29/08 D
G06F119:10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022510371
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014225
(87)【国際公開番号】W WO2021192272
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390015587
【氏名又は名称】株式会社図研
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 政司
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓馬
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-20403(JP,A)
【文献】国際公開第2010/090152(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/12
G06F 30/398
G01R 29/08
G06F 119/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波の計測結果を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を取得する取得部と、
前記電子機器の形状を示すCAD図面と前記撮像画像における前記電子機器の画像である機器画像とがアライメントされるように前記CAD図面と前記電磁波画像とを重ねて表示部に表示させる合成部と、
を備えることを特徴とする設計支援装置。
【請求項2】
前記合成部は、前記機器画像の輪郭に基づいて前記CAD図面と前記機器画像とをアライメントする、
ことを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記CAD図面は、前記電子機器の複数の面にそれぞれ対応する複数の部分を含み、
前記機器画像は、前記複数の面にそれぞれ対応する複数の領域を含み、前記合成部は、前記複数の領域のそれぞれの輪郭に基づいて前記複数の部分の各々と前記複数の領域のうち対応する領域とをアライメントする、
ことを特徴とする請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記合成部は、前記電磁波画像から前記機器画像における前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の部分画像を抽出し、前記複数の部分画像の各々を前記複数の部分のうち対応する部分に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項3に記載の設計支援装置。
【請求項5】
指定された視点に応じて前記CAD図面の3D版を生成する3D画像生成部を更に備え、
前記合成部は、前記3D版における前記複数の部分の各々に対して、前記複数の部分画像のうち対応する部分画像を前記視点に応じた変換した変換画像を重ねて前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の設計支援装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記電子機器の複数の面のそれぞれについて、前記電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波の計測結果を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた前記電磁波画像を取得し、
前記CAD図面は、前記電子機器の複数の面にそれぞれ対応する複数の部分を含み、
前記合成部は、前記複数の部分の各々について、前記部分に対応する前記機器画像の輪郭に基づいて前記部分と前記機器画像とをアライメントする、
ことを特徴とする請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項7】
前記合成部は、前記機器画像の領域を示す複数のポインタに基づいて、前記CAD図面と前記機器画像とをアライメントする、
ことを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項8】
前記電磁波画像に対して、予め定められた規則に従って前記複数のポインタを設定するための設定部を更に備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の設計支援装置。
【請求項9】
前記規則は、前記機器画像の外形を示すように前記複数のポインタを決定させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の設計支援装置。
【請求項10】
前記電子機器は、矩形形状を有し、前記規則は、前記矩形形状の頂点を特定するように前記複数のポインタを決定させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の設計支援装置。
【請求項11】
前記規則は、前記電子機器の複数の面にそれぞれ対応する、前記機器画像における複数の領域を特定するように前記複数のポインタを決定させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の設計支援装置。
【請求項12】
前記規則は、前記複数の領域をそれぞれ特定する頂点を特定するように前記複数のポインタを決定させる、
ことを特徴とする請求項11に記載の設計支援装置。
【請求項13】
前記CAD図面は、前記電子機器の複数の面にそれぞれ対応する複数の部分を含み、
前記合成部は、前記電磁波画像から前記機器画像における前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の部分画像を抽出し、前記複数の部分画像の各々を前記複数の部分のうち対応する部分に貼り付ける、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の設計支援装置。
【請求項14】
指定された視点に応じて前記CAD図面の3D版を生成する3D画像生成部を更に備え、
前記合成部は、前記3D版における前記複数の部分の各々に対して、前記複数の部分画像のうち対応する部分画像を前記視点に応じた変換した変換画像を重ねて前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項13に記載の設計支援装置。
【請求項15】
前記設定部は、前記電子機器の複数の面をそれぞれ撮像して得られる複数の撮像画像のそれぞれに対応する複数の電磁波画像を特定するように前記複数のポインタを設定し、
前記CAD図面は、前記電子機器の複数の面にそれぞれ対応する複数の部分を含み、
前記合成部は、前記複数の部分の各々と前記複数の撮像画像のうち対応する撮像画像とがアライメントされるように前記複数の電磁波画像の各々と前記複数の部分のうち対応する部分とを重ねて前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の設計支援装置。
【請求項16】
前記CAD図面と前記撮像画像とのアライメントは、前記CAD図面および前記撮像画像の少なくとも一方に対して変形、移動および回転の少なくとも1つを施すことを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の設計支援装置。
【請求項17】
前記合成部は、前記電磁波画像からアライメントのための第1基準を抽出し、前記第1基準と前記電子機器に設けられた第2基準とが重なるように前記CAD図面と前記撮像画像とのアライメントを行う、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の設計支援装置。
【請求項18】
前記合成部は、前記電磁波画像からマークを検出することによって前記第1基準を抽出する、
ことを特徴とする請求項17に記載の設計支援装置。
【請求項19】
設計支援装置によって実行される設計支援方法であって、
前記設計支援装置が、電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を取得する工程と、
前記設計支援装置が、前記電子機器の形状を示すCAD図面と前記撮像画像における前記電子機器の画像である機器画像とがアライメントされるように前記CAD図面と前記電磁波画像とを重ねて表示部に表示させる合成工程と、
を含むことを特徴とする設計支援方法。
【請求項20】
コンピュータを請求項1乃至18のいずれか1項に記載の設計支援装置として動作させるためのコンピュータプログラム。
【請求項21】
コンピュータ設計支援方法を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記設計支援方法は、
電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を取得する工程と、
前記電子機器の形状を示すCAD図面と前記撮像画像における前記電子機器の画像である機器画像とがアライメントされるように前記CAD図面と前記電磁波画像とを重ねて表示部に表示させる合成工程と、を含む、
ことを特徴とするコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置、設計支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器から放射される電磁波は、当該電子機器または他の電子機器の誤動作を誘発したり、人体に影響を与えたりしうる。そこで、電子機器には、EMC規格を満たすことが要求される。電子機器は、EMC規格を満たすように経験あるいはシミュレーション等に基づいて設計された後に試作され、その後に試験がなされうる。この試験において、EMC規格を満たさないエラーが発生した場合、それを設計にフィードバックする必要がある。
【0003】
本出願人は、上記のようなエラーを電子機器の設計にフィードバックする設計支援ツールに関する先行技術文献を認識していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子機器から放射される電磁波の計測結果を該電子機器の設計にフィードバックするために有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、設計支援装置に係り、前記設計支援装置は、電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波の計測結果を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を取得する取得部と、前記電子機器の形状を示すCAD図面と前記撮像画像における前記電子機器の画像である機器画像とがアライメントされるように前記CAD図面と前記電磁波画像とを重ねて表示部に表示させる合成部と、を備える。
【0006】
本発明の第2の側面は、設計支援装置によって実行される設計支援方法に係り、前記設計支援方法は、前記設計支援装置が、電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を取得する工程と、前記設計支援装置が、前記電子機器の形状を示すCAD図面と前記撮像画像における前記電子機器の画像である機器画像とがアライメントされるように前記CAD図面と前記電磁波画像とを重ねて表示部に表示させる合成工程と、を含む。
本発明の第3の側面は、コンピュータを第1の側面に係る設計支援装置として動作させるためのコンピュータプログラムに係る。
本発明の第4の側面は、コンピュータに設計支援方法を実行させるためのコンピュータプログラムに係り、前記設計支援方法は、電子機器を撮像して得られる撮像画像と前記電子機器が放射する電磁波を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を取得する工程と、前記電子機器の形状を示すCAD図面と前記撮像画像における前記電子機器の画像である機器画像とがアライメントされるように前記CAD図面と前記電磁波画像とを重ねて表示部に表示させる合成工程と、を含む
【0007】
本発明の第3の側面は、コンピュータを前記第1の側面に係る設計支援装置として動作させるためのコンピュータプログラムに関する。
【0008】
本発明の第4の側面は、コンピュータに前記第2の側面に係る設計支援方法を実行させるためのコンピュータプログラムに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子機器から放射される電磁波の計測結果を該電子機器の設計にフィードバックするために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の設計支援装置の構成を示す図。
図2】電子機器から放射される電磁波を計測器によって計測する動作の例を模式的に示す図。
図3】電子機器から放射される電磁波を計測器によって計測する動作を実行している際に計測器の表示部に表示される画像の例を模式的に示す図。
図4】設計支援装置の動作を例示的に示す図。
図5】計測器の表示部に表示される撮像画像および計測器による電磁波の計測結果を例示する図。
図6】2次元構造物と見做しうる電子機器の画像である機器画像の輪郭を抽出した結果を模式的に示す図。
図7】2次元構造物と見做しうる電子機器の画像である機器画像の領域を示す複数のポインタを設定する例を模式的に示す図。
図8】3次元構造物と見做しうる電子機器の画像である機器画像の複数の領域の輪郭を抽出した結果を模式的に示す図。
図9】CAD装置の合成部によって電子機器の形状を示すCAD図面と電磁波画像とを重ねて表示部の表示画面に表示した結果を模式的に示す図。
図10】合成部の動作例を模式的に示す図。
図11図10を参照して説明される合成部の動作によって提供される効果を模式的に示す図。
図12】3次元構造物と見做しうる電子機器の画像である機器画像の複数の領域の輪郭の各々を特定するための複数のポインタを設定する例を模式的に示す図。
図13】CAD装置の合成部によって電子機器の形状を示すCAD図面と電磁波画像とを重ねて表示部の表示画面に表示した結果を模式的に示す図。
図14】合成部の動作例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1には、実施形態の設計支援装置1の構成が示されている。設計支援装置1は、例えば、計測器100と、CAD装置200とを備えうる。設計支援装置1は、例えば、計測器100とCAD装置200とが一体化された構成を有してもよいし、計測器100とCAD装置200とが別体をなすように構成されてもよい。計測器100とCAD装置200とが一体化された構成を有する設計支援装置1であっても、それは計測器100とCAD装置200とを備える装置であると理解することができる。
【0013】
計測器100は、例えば、撮像部102、電磁波計測部104、電磁波画像生成部106、設定部108、表示部110および入出力部112を含みうる。撮像部102は、電子機器を撮像して撮像画像を生成しうる。電磁波計測部104は、電子機器から放射される電磁波を計測しうる。電磁波画像生成部106は、撮像部102が電子機器を撮像して得られる撮像画像と電磁波計測部104による電磁波の計測結果を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を生成しうる。設定部108は、撮像画像における電子機器の画像である機器画像の領域を特定しうる。設定部108は、例えば、撮像画像における電子機器の画像である機器画像の輪郭を抽出しうる。あるいは、設定部108は、電磁波画像に対して複数のポインタを設定しうる。ここで、複数のポインタは、撮像画像における電子機器の画像である機器画像の領域を特定するように設定されうる。
【0014】
表示部110および入出力部112は、ユーザインターフェースを構成しうる。表示部110の表示画面には、撮像部102が電子機器を撮像して得られる撮像画像、電磁波計測部104による電磁波の計測結果を2次元空間にマッピングしたマップ、および、電磁波画像等が表示されうる。入出力部112は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、通信部、メディアドライブ等の複数の入出力機器(入力機器および/または出力機器)の全部又は一部を含みうる。計測器100は、撮像機能が設けられた専用又は汎用のコンピュータにソフトウエア(コンピュータプログラム)を組み込むとともに、電磁波計測部104を追加することによって構成されうる。電磁波計測部104は、電磁波を検出する検出器(後述の検出器DET)と、該検出器を駆動するドライバとを含みうる。該ドライバの一部は、計測部100を構成しうるコンピュータに込み込まれるソフトウエアでありうる。
【0015】
CAD装置200は、専用又は汎用のコンピュータにソフトウエア(コンピュータプログラム)を組み込むことによって構成されうる。CAD装置200は、例えば、CADツール210、表示部220および入出力部230を含みうる。CADツール210は、CAD装置200を構成しうるコンピュータに込み込まれるソフトウエアでありうる。表示部220および入出力部230は、ユーザインターフェースを構成しうる。
【0016】
CADツール210は、例えば、合成部212、3D画像生成部214および編集部216を含みうる。合成部212は、CADツール210によって生成されうるCAD図面と計測器100から提供される電磁波画像とを重ねた合成画像を生成しうる。CAD図面は、電子機器の形状を示すデータである。CAD図面と電磁波画像との重ね合わせは、CAD図面と、計測器100の撮像部102によって撮像されCAD装置200に提供される撮像画像における電子機器の画像(撮像画像のうち電子機器の部分の画像)である機器画像とがアライメントされるように実施されうる。
【0017】
3D画像生成部214は、指定された視点に応じてCAD図面の3D版を生成しうる。編集部216は、電子機器EDを編集あるいは設計するための機能を使用者に提供しうる。編集部216は、例えば、1又は複数のプリント基板等の電子部品、および、それらを収容する筐体等を編集または設計するための機能を提供しうる。
【0018】
計測器100の電磁波画像生成部106によって生成される電磁波画像は、計測器100の入出力部112およびCAD装置200の入出力部230を介して計測器100からCAD装置200に提供されうる。この提供は、例えば、入出力部112と入出力部230との間の通信の形態によりなされてもよし、メモリ媒体を介してなされてもよいし、他の形態でなされてもよい。1つの側面において、CAD装置200の入出力部230は、計測器100から電磁波画像を取得する取得部を構成しうる。他の側面において、計測器100の電磁波画像生成部106および入出力部112、ならびにCAD装置200の入出力部230は、電磁波画像を取得する取得部を構成しうる。更に他の側面において、計測器100の撮像部102、電磁波計測部104、電磁波画像生成部106および入出力部112、ならびにCAD装置200の入出力部230は、電磁波画像を取得する取得部を構成しうる。
【0019】
計測器100とCAD装置200とが別体をなす場合において、電磁波画像生成部106の全部又は一部は、CAD装置200に設けられてもよく、また、設定部108の全部又は一部は、CAD装置200に設けられてもよい。
【0020】
図2には、電子機器EDから放射される電磁波を計測器100によって計測する動作の例が模式的に示されている。図3には、電子機器EDから放射される電磁波を計測器100によって計測する動作を実行している際に表示部110に表示される画像の例が模式的に示されている。電子機器EDは、撮像部102によって撮像され、表示部110には、撮像部102によって撮像された撮像画像IMが表示される。撮像画像IMは、電子機器EDの画像である機器画像EDIMを含む。電磁波計測部104は、不図示の移動機構または使用者によって、例えば電子機器EDIMの表面に沿って移動されうる検出器DETを含みうる。撮像画像IMは、電磁波計測部104の画像DETIMを含みうる。電磁波計測部IMは、例えば、撮像画像IMにおける検出器DETの画像DETIMを識別することによって、撮像画像IMにおける検出器DETの位置(換言すると、電子機器EDに対する検出器DETの相対位置)を検出しうる。検出器DETは、電子機器EDから放射される電磁波を検出しうる。これにより、電磁波計測部104は、撮像部102の視野(あるいは撮像画像IM)、即ち2次元空間に対して検出器DETによって検出された電磁波の強度をマッピングしたマップを生成しうる。電磁波画像生成部106は、撮像部102によって電子機器EDを撮像して得られる撮像画像IM(典型的には、検出器DETの画像DETIMを含まない撮像画像)と電子機器EDが放射する電磁波を検出器DETによって検出した結果(計測結果)を2次元空間にマッピングしたマップとを重ねた電磁波画像を生成し、入出力部112を通してCAD装置200に提供しうる。これにより、CAD装置200は、電磁波画像を取得することができる。
【0021】
図4には、設計支援装置1の動作が例示的に示されている。工程S402では、CAD装置200から計測器100に対して計測仕様が転送される。計測仕様は、計測器100を使って実施される計測のための仕様であり、例えば、電子機器EDのどの方向に計測器100の撮像部102を配置して電子機器EDから放射される電磁波の計測を行うかを指示しうる。ここで、電子機器EDのどの方向に撮像部102を配置して計測を実施するのかを示すために、基準が提示されうる。例えば、電子機器EDがプリント配線基板のように2次元構造物であると見做せる場合、該2次元構造物の表側の面の所定位置を示す基準が設けられうる。該基準は、切り欠き、マーク、文字等でありうる。一例において、2次元構造物には、その表側の面の所定の角部(例えば、左上)であることを示す基準が設けられうる。
【0022】
電子機器EDが直方体のような3次元構造物である場合に、例えば、計測の際に電子機器EDを支持する支持面に対面する面が第1基準面とされ、電子機器EDのいずれかの側面が第2基準面とするように基準が設けられうる。この場合、第1基準面および第2基準面を示す基準は、例えば、切り欠き、マーク、文字等で示されうる。一例において、第1基準面は底面図として観察される面(底面)であり、第2基準面は正面図として観察される面(正面)でありうる。第1基準面(底面)および第2基準面(正面)を特定することにより、他の面(左側面、右側面、背面、上面)を特定することができる。
【0023】
計測仕様は、電子機器EDのどの方向に計測器100の撮像部102を配置して計測を実施するのかを示すために、電子機器EDを表した図面(例えば、CAD図面、イラスト)又は写真を含んでよい。計測は、当該図面又は写真と同様のアングルで電子機器EDを観察可能な位置に計測器100の撮像部102を配置して実施されうる。
【0024】
工程S404では、計測器100は、工程S402でCAD装置200から転送されてきた計測仕様を表示部110に表示しうる。使用者は、その計測仕様に従って計測の準備(例えば、電子機器EDおよび計測器100の配置)をしうる。工程S406では、計測器100は、計測の準備が完了するまで待機し、計測の準備が完了したら、工程S408に進みうる。計測の準備は、それを知らせる情報が入出力部112に入力することによって完了したものと判断されうる。
【0025】
工程S408では、計測器100は、撮像部102によって電子機器EDを撮像し、撮像画像IMを生成しうる。撮像画像IMは、表示部110の表示画面に表示されうる。工程S410では、計測器100は、電磁波計測部104によって、電子機器EDから放射される電磁波の強度を2次元空間(撮像部102視野)内における位置と対応させながら検出器DETによって検出(すなわち計測)する。これにより、電子機器EDが放射する電磁波の計測結果を2次元空間にマッピングしたマップが得られる。工程S412では、計測器100は、電磁波画像生成部106によって、工程S408で撮像された撮像画像IMと、工程S410で検出器DETを使って得られたマップとを重ねた電磁波画像EIMを生成しうる。
【0026】
工程S414では、例えば、計測器100は、設定部108により、機器画像EDIMの輪郭を抽出し、その輪郭を示す情報を付加情報として設定しうる。この場合、CAD装置200の合成部212は、その輪郭を示す付加情報に基づいて、機器画像EDIMの領域を認識することができる。あるいは、工程S414では、計測器100は、設定部108により、電磁波画像EIMに対して複数のポインタを付加情報として設定してもよい。複数のポインタは、撮像画像IMにおける電子機器EDの画像である機器画像EDIMの領域を特定するために使用されうる。複数のポインタは、計測対象の電子機器EDを2次元構造物として取り扱う場合は、例えば、4つのポインタでありうる。複数のポインタは、計測対象の電子機器EDを3次元構造部として扱い、かつ、その3つの面を同時に観察する場合には、7つのポインタでありうる。ただし、ポインタの個数は、計測仕様に応じて自由に設定されうる。
【0027】
工程S414は、CAD装置200の合成部212が付加情報を必要としない場合には、計測器100において実行されなくてもよい。例えば、CAD装置200の合成部212が機器画像EDIMの輪郭を抽出する機能を有する場合、即ち、撮像画像IMにおける機器画像EDIMの領域を特定する機能を有する場合には、工程S414は、計測器100において実行されなくてもよい。あるいは、CAD装置200の合成部212が複数のポインタを設定する機能を有する場合、工程S414は、計測器100において実行されなくてもよい。また、他の観点で表現すれば、設定部108に相当する機能がCAD装置200に設けられる場合、工程S414は、工程S416の後にCAD装置200の合成部212において実行されうる。
【0028】
工程S416は、計測器100は、工程S412で生成した電磁波画像IMを入出力部112によりCAD装置200に転送しうる。ここで、工程S418が実行された場合には、付加情報も、工程S415において、入出力部112によりCAD装置200に転送されうる。
【0029】
工程S418では、CAD装置200は、合成部212により、電子機器EDの形状を示すCAD図面と撮像画像IMにおける電子機器EDの画像である機器画像EDIMとがアライメントされるように、CAD図面と電磁波画像とを重ねて表示部220の表示画面に表示させうる。CAD図面と撮像画像IMとのアライメントは、CAD図面および撮像画像IMの少なくとも一方に対して変形、移動および回転の少なくとも1つを施すことを含みうる。
合成部212は、例えば、電磁波画像からアライメントのための第1基準(例えば、ロゴ等のマーク、頂点または角)を抽出し、該第1基準と電子機器EDに設けられた第2基準(例えば、第1基準に対応する基準)とが重なるようにCAD図面と撮像画像IMとのアライメントを行いうる。使用者は、表示部220の表示画面に表示された画像により、電子機器EDから放射される電磁波の計測結果を該電子機器EDの設計にフィードバックすることができる。
【0030】
図5には、計測器100の表示部110の表示画面に表示される撮像画像IMおよび計測器100による電磁波の計測結果EWが例示されている。撮像画像IMは、電子機器EMの画像である機器画像EDIMを含む。電磁波の計測結果EW(例えば、強度分布)は、階調で表現されうる。図5の例では、より濃い濃度は、より強い強度を示す。図6には、計測器100の設定部108又はCAD装置200の合成部212によって、2次元構造物と見做しうる電子機器EMの画像である機器画像EDIMの輪郭を抽出した結果が模式的に示されている。該輪郭は、図6において太線で示されている。計測器100の設定部108によって抽出された機器画像EDIMの輪郭は、機器画像EDIMと重ねて表示部110の表示画面に表示されうる。CAD装置200の合成部212によって抽出された機器画像EDIMの輪郭は、機器画像EDIMと重ねて表示部220の表示画面に表示されうる。
【0031】
図7には、計測器100の設定部108又はCAD装置200の合成部212によって、2次元構造物と見做しうる電子機器EMの画像である機器画像EDIMの領域を示す複数のポインタPを設定する例が模式的に示されている。図7の例では、ポインタPは、X印で表現されている。ポインタPは、例えば、表示部110および入出力部112によって構成されるユーザインターフェースを介して使用者によって設定されてもよい。あるいは、ポインタPは、設定部108又は合成部212によって、計測仕様(予め定められた規則)に従って自動で設定されてもよい。計測仕様は、例えば、機器画像EDIMの外形を示すように複数のポインタPを決定させうる。あるいは、電子機器EDが矩形形状を有する場合において、計測仕様は、該矩形形状の頂点を特定するように複数のポインタを決定させる複数のポインタPを決定させうる。
【0032】
ポインタPは、設定部108又は合成部212によって自動で生成された仮ポインタを使用者が確認し、必要に応じて変更あるいは調整することによって確定されてもよい。使用者にポインタPの設定を促す場合、設定部108又は合成部212は、計測仕様に従って、ポインタPの設定を使用者に促しうる。例えば、設定部108又は合成部212は、電子機器EDの左上の角又は頂点を示すポインタ、右上の角又は頂点を示すポインタ、右下の角又は頂点を示すポインタ、左下の角又は頂点を示すポインタを順に設定するように表示部110の表示画面にメッセージを表示しうる。使用者は、そのメッセージに応答して入出力部112又は入出力部230(例えば、マウス)によってポインタの座標を入力することができる。計測器100の設定部108によって設定されたポインタPは、機器画像EDIMと重ねて表示部110の表示画面に表示されうる。CAD装置200の合成部212によって設定されたポインタPは、機器画像EDIMと重ねて表示部220の表示画面に表示されうる。
【0033】
図8には、計測器100の設定部108又はCAD装置200の合成部212によって、3次元構造物と見做しうる電子機器EMの画像である機器画像EDIMの複数の領域の輪郭を抽出した結果が模式的に示されている。該輪郭は、図8において太線で示されている。機器画像EDIMは、電子機器EMの複数の面にそれぞれ対応する複数の領域R1、R2、R3を含み、設定部108又は合成部212は、複数の領域R1、R2、R3のそれぞれの輪郭を抽出しうる。計測器100の設定部108によって抽出された機器画像EDIMの複数の領域R1、R2、R3の輪郭は、機器画像EDIMと重ねて表示部110の表示画面に表示されうる。CAD装置200の合成部212によって抽出された機器画像EDIMの複数の領域R1、R2、R3の輪郭は、機器画像EDIMと重ねて表示部220の表示画面に表示されうる。
【0034】
図9には、CAD装置200の合成部212によって電子機器EDの形状を示すCAD図面EDFと電磁波画像EIMとを重ねて表示部220の表示画面に表示した結果が模式的に示されている。CAD図面EDFは、電子機器EDの複数の面にそれぞれ対応する複数の部分P1、P2、P3を含みうる。CAD図面EDFと電磁波画像EIMとを重ねる際に、合成部212は、複数の領域R1、R2、R3のそれぞれの輪郭に基づいて、CAD図面EDの複数の部分P1、P2、P3の各々と複数の領域R1、R2、R3のうち対応する領域とをアライメントしうる。
【0035】
図10には、合成部212の動作例が模式的に示されている。合成部212は、電磁波画像EIMから、機器画像EDIMにおける複数の領域R1、R2、R3にそれぞれ対応する複数の部分画像PIM1、PIM2、PIM3を上記の輪郭に基づいて抽出し、複数の部分画像PIMの各々を複数の部分P1、P2、P3のうち対応する部分に貼り付けうる。このような機能は、図11に例示されるように、任意に指定されうる視点に応じて3D画像生成部214によって生成されるCAD図面EDFの3D版における複数の部分P1、P2、P3の各々に対して、複数の部分画像PIM1、PIM2、PIM3のうち対応する部分画像を当該視点に応じて変換した変換画像PIM1’、PIM2’、PIM3’を重ねて、表示部220の表示画面に表示するために有用でありうる。
【0036】
図12には、計測器100の設定部108又はCAD装置200の合成部212によって、3次元構造物と見做しうる電子機器EMの画像である機器画像EDIMの複数の領域の各々を特定するための複数のポインタPを設定する例が模式的に示されている。図12の例では、ポインタPは、X印で表現されている。ポインタPは、例えば、表示部110および入出力部112によって構成されるユーザインターフェースを介して使用者によって設定されてもよい。あるいは、ポインタPは、設定部108又は合成部212によって、計測仕様(予め定められた規則)に従って自動で設定されてもよい。計測仕様は、例えば、電子機器EDの複数の面にそれぞれ対応する、機器画像EDIMにおける複数の領域R1、R2、R3の各々を特定するように複数のポインタPを決定させる。
【0037】
ポインタPは、設定部108又は合成部212によって自動で生成された仮ポインタを使用者が確認し、必要に応じて変更あるいは調整することによって確定されてもよい。使用者にポインタPの設定を促す場合、設定部108又は合成部212は、計測仕様に従って、ポインタPの設定を使用者に促しうる。例えば、機器画像EDIMが3つの面を有する場合において、設定部108又は合成部212は、7つのポインタP、即ち、ポインタPTR1~PTR7を順に設定するように表示部110の表示画面にメッセージを表示しうる。機器画像EDIMにおける3つの領域R1、R2、R3の各々は、4つのポインタによって特定されうる。使用者は、そのメッセージに応答して入出力部112又は入出力部230(例えば、マウス)によってポインタの座標を入力することができる。計測器100の設定部108によって設定されたポインタPは、機器画像EDIMと重ねて表示部110の表示画面に表示されうる。CAD装置200の合成部212によって設定されたポインタPは、機器画像EDIMと重ねて表示部220の表示画面に表示されうる。
【0038】
図13には、CAD装置200の合成部212によって電子機器EDの形状を示すCAD図面EDFと電磁波画像EIMとを重ねて表示部220の表示画面に表示した結果が模式的に示されている。CAD図面EDFは、電子機器EDの複数の面にそれぞれ対応する複数の部分P1、P2、P3を含みうる。CAD図面EDFと電磁波画像EIMとを重ねる際に、合成部212は、複数のポインタP(PTR1~PTR7)に基づいて、CAD図面EDの複数の部分P1、P2、P3の各々と機器画像EDIMの複数の領域R1、R2、R3のうち対応する領域とをアライメントしうる。
【0039】
図14には、合成部212の動作例が模式的に示されている。合成部212は、電磁波画像から機器画像EDIMにおける複数の領域R1、R2、R3にそれぞれ対応する複数の部分画像PIM1、PIM2、PIM3を複数のポインタP(PTR1~PTR7)に基づいて抽出し、複数の部分画像PIM1、PIM2、IM3の各々を複数の部分P1、P2、P3のうち対応する部分に貼り付けうる。このような機能は、図11に例示されるように、任意に指定されうる視点に応じて3D画像生成部214によって生成されるCAD図面EDFの3D版における複数の部分P1、P2、P3の各々に対して、複数の部分画像PIM1、PIM2、PIM3のうち対応する部分画像を当該視点に応じた変換した変換画像PIM1’、PIM2’、PIM3’を重ねて、表示部220の表示画面に表示するために有用でありうる。
【0040】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1:設計支援装置、ED:電子機器、DET:検出器、DETIM:検出器の画像、EDIM:機器画像、EW:電磁波の計測結果、EIM:電磁波画像、IM:撮像画像、P:ポインタ、R1、R2、R3:機器画像における領域、EDF:CAD図面、P1、P2、P3:CAD図面における部分、110、220:表示部
図1
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