(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】グラフト化ポリビニルアルコールポリマー、それを含む製剤、およびクレーピング方法
(51)【国際特許分類】
C08F 261/04 20060101AFI20240402BHJP
C08L 51/08 20060101ALI20240402BHJP
C09J 151/08 20060101ALI20240402BHJP
C09J 129/04 20060101ALI20240402BHJP
D06M 15/333 20060101ALI20240402BHJP
D06M 15/263 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C08F261/04
C08L51/08
C09J151/08
C09J129/04
D06M15/333
D06M15/263
(21)【出願番号】P 2022515946
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 US2020049088
(87)【国際公開番号】W WO2021050339
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518022813
【氏名又は名称】バックマン ラボラトリーズ インターナショナル,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ,アハメド
(72)【発明者】
【氏名】グラバー,ダニエル
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-506279(JP,A)
【文献】特開平01-230681(JP,A)
【文献】特開平08-246388(JP,A)
【文献】特開昭60-104597(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104119480(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 261/04
C08L 51/08
C09J 151/08
C09J 129/04
D06M 15/333
D06M 15/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール主鎖およびポリビニルアルコール主鎖にグラフト化された複数の側鎖を含むグラフト化ポリビニルアルコールポリマーであって、複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ、から選択される1つ以上の単位を含む、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーであって、
ここで、該脂肪族カルボン酸が存在し、およびアクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも1つを含み、
該脂肪族アミドが存在し、およびアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジプロピルアクリルアミド、およびN-t-ブチルアクリルアミドの少なくとも1つを含み、ならびに、
該ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートが存在し、および2-ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートの少なくとも1つを含み、
並びに、該グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、以下の特徴を有する:
a)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーがラテックスである;
b)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、2~5のpHで1重量%~25重量%の量で水に完全に分散可能である;
c)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、いかなるpHでも不可逆的なゲルではない;
d)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、pH8でゲルフリーである;および
e) -40℃~60℃の第1ガラス転移温度および70℃~90℃の第2ガラス転移温度である、
グラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項2】
前記脂肪族カルボン酸はメタクリル酸であり、
前記脂肪族アミドはアクリルアミドであり、ならびに
前記ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、
請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項3】
複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、
(i) 脂肪族カルボン酸の単位、脂肪族アミドの単位、アミノアルキル(メタ)アクリレートの単位、およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位、
(ii) 脂肪族カルボン酸の単位、
(iii) 脂肪族アミドの単位、
(iv) ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位、
(v) 脂肪族カルボン酸の単位および脂肪族アミドの単位、
(vi) 脂肪族カルボン酸の単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位、または
(vii) 脂肪族アミドの単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位、を含む、請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項4】
前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、
(i) 25℃および1気圧で、22.5~25重量%の濃度で、pH3を有する水性分散液中に存在する場合、500 cP・s未満の粘度を有する、
(ii) 25℃および1気圧で、2.5~10重量%の濃度で、pH3を有する水溶液中に存在する場合、100 cP・s未満の粘度を有する、
(iii) 10重量%~40重量%の濃度で水溶液中に分散することができる、
(iv) 水溶液中に分散することができるものであり、および、25℃および1気圧の圧力で少なくとも6ヶ月間以内はグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない安定した水性分散液を形成することができる、または
(v) 2~5のpHを有する水溶液中に存在する場合、凝縮形態であることができ、および、4~5.5のpHを有する水溶液中に存在する場合、半凝縮形態であることができ、ならびに、5.5~8のpHを有する水溶液中に存在する場合、アモルファス形態であることができる、
請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項5】
前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、
(i) 5,000ダルトン~1,500,000ダルトンの重量平均分子量、
(ii) 1,000ダルトン~50,000ダルトンの数平均分子量、または
(iii) 少なくとも1.5の多分散度Mw/Mn
を有する、請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項6】
未反応の形態のポリビニルアルコール主鎖は、
(i) 5,000ダルトン~1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有する、
(ii) 5,000ダルトン~1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有し、分子量分布は、単峰性、二峰性、または多峰性の分子量分布である、
(iii) 1,000ダルトン~50,000ダルトンの数平均分子量を有する、または
(iv) 2~7の多分散度Mw/Mnを有する、
請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項7】
ポリビニルアルコール主鎖は、74モル%~95モル%の加水分解度を有する、請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項8】
以下の構造(I)を含み:
【化1】
単位(a)の総重量パーセントは、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの総重量に基づいて、74重量%~95重量%であり、
単位(b)の総重量パーセントは、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの総重量に基づいて5重量%~26重量%であり、
Rは、酢酸ビニルまたは複数の側鎖由来の側鎖である、
請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【請求項9】
水相および請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む、製剤。
【請求項10】
前記製剤は、
(i) 水相の100重量部、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの10重量部~40重量部を含み、該グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは水相で分散している、
(ii) 少なくとも6ヶ月の期間内にグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない安定な水性分散液である、
(iii) 2~5のpHを有し、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは凝縮形態である、
(iv) 4~5.5のpHを有し、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは半凝縮形態である、または、
(v) 5.5~8のpHを有し、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーはアモルファス溶解形態である、
請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
乾燥機表面を含む、回転円筒形乾燥機を提供すること、
請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む製剤を乾燥機表面に適用すること、
繊維状ウェブを乾燥機表面に移すこと、
前記乾燥機表面上で繊維状ウェブを乾燥させて、乾燥繊維状ウェブを形成すること、および
乾燥繊維状ウェブを乾燥機表面からクレーピングすること、
を含む、繊維状ウェブをクレーピングするための処理方法。
【請求項12】
前記製剤は分散液であり、
(i)前記クレーピングの乾燥機表面から製剤を除去することをさらに含む、
または、
(ii) 前記クレーピングの乾燥機表面から製剤を除去することをさらに含み、乾燥機表面から製剤を除去する前に、前記乾燥機表面上の製剤のpHを6を超えるpHに上げる、
請求項11に記載の処理方法。
【請求項13】
(i) 複数の側鎖はビニルモノマーの単位を含まない、、または
(ii)複数の側鎖はもっぱらアクリルモノマーの単位である、
請求項1に記載のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年9月11日に出願された先行する米国仮特許出願第62/898,719号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、本明細書で参照することによりその全体が組込まれる。
【0002】
本発明は、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーと、それを含む製剤、例えば、クレーピング接着剤製剤またはヤンキードライヤーコーティング組成物に関する。本発明はさらに、クレープ製品に粘着特徴および剥離特徴および/または粘着特性および剥離特性をもたらすそのような製剤および方法を含むクレーピング方法に関する。本発明の目的のために、ヤンキードライヤーへの言及は、一般にクレーピング用の回転式乾燥機を含む。ヤンキーコーティング、ヤンキー表面などへの言及は、回転式乾燥機コーティングおよび表面を含む。
【背景技術】
【0003】
水と繊維とのスラリーから薄いペーパーウェブを形成するために、湿潤ウェブを脱水し、次にその脱水したウェブを少なくとも部分的に乾燥させる。ティッシュや同様の紙製品の製造では、柔軟性や嵩高性(bulk)などの望ましい特性を与えるために、このような脱水したウェブにクレーピングが一般的に使用される。クレーピングは典型的には、加熱式回転ドラム(ヤンキードライヤーと呼ばれることもある)まで、布地上にウェブを載せて運搬または運ぶことによって達成される。ウェブは一般的に、乾燥機の接着性の乾燥機表面に移され、ウェブがドラムから脱離するウェブ帯域に到達する前に、乾燥機の主要な円周部分の周りに運ばれる。脱離帯域は、ウェブが後方に押されるか、またはウェブ自体をウェブの機械方向に圧縮するようにウェブが隣接するクレーピングブレードを備えているため、得られるクレープウェブは乾燥機から剥離して、通常は巻き取った形で回収され、よく知られているティッシュクレープ紙構造を達成する。
【0004】
ウェブがヤンキードライヤーに運ばれる前に、通常、業界では「コーティングパッケージ」と呼ばれることもある接着剤組成物を、乾燥機の乾燥機表面に直接適用して、接着性の乾燥機表面を形成する。クレーピング作用は、典型的には、一貫した均一なクレーピング作用をもたらすために、乾燥機の外面へのウェブのある程度の接着を必要とする。クレーピング接着剤は、単独で、または剥離剤もしくは他の補助剤と組み合わせて、乾燥およびクレーピングの目的でウェブと乾燥機表面との間の接着および剥離のバランスをもたらすように、ウェブまたは乾燥機表面のいずれかに適用されている。
【0005】
クレーピング接着剤のさまざまな特性が、得られるクレーピング性能の因子となる可能性がある。ドラム乾燥機表面へのクレーピング接着剤の接着レベルは、クレーピング性能と結果に影響を与える別の因子になる可能性がある。接着が不十分な場合、クレーピング、シートの浮き、シートの取り扱いが悪くなるなどの問題が発生する可能性があり、一方で、接着が過剰な場合、クレーピングブレードのピッキング、クレーピングブレードの後ろのウェブの詰まり、過度の張力によるウェブの破損などの問題が発生する可能性がある。
【0006】
繊維状ウェブをヤンキードライヤーなどの回転式乾燥機に接着するために、様々なタイプのクレーピング接着剤が使用されてきた。未修飾のポリビニルアルコール(「PVOH」)が知られており、クレーピングプロセスの接着剤として使用されてきた。これは広く入手可能で費用効果が高い一方で、乾燥とクレーピングが進むにつれて蓄積する硬くて不均一なフィルムで乾燥機をコーティングする傾向があり、不均一なクレーピングまたは他の問題を引き起こす。未修飾のPVOHの別の欠点は、製造工場(mill)でのPVOHの取り扱いに見られるものであり、PVOHはしばしば遠隔地(off-site)で得られ、製造工場に出荷されなければならない。その分子量と水溶液中でゲル化する能力のために、水中のPVOHの総量は低くなる(例えば、8重量%)傾向がある。したがって、「濃縮された」またはバルク量のPVOHは、実際には非常に低濃度のPVOHであり、これは、PVOHを製紙工場に出荷するコストを大幅に増加させる。
【0007】
PVOHの水溶液の別の欠点は、これらの水溶液が時間とともに粘度を増加させる傾向があることである。PVOHの水溶液は、固形分、加水分解度、および分子量に基づいて2,000~100,000 cP・sの粘度に達する可能性があり、製造工場でのPVOHの取り扱いが困難になる。さらに、ある時点で(例えば、PVOHの分子量および加水分解の程度に応じて、数日から数ヶ月)、PVOHの水溶液は不可逆的にゲルに変化する可能性があり、クレーピングプロセスにおける接着剤組成物としてPVOHを本質的に役に立たなくする。
【0008】
PVOHで行われる前のグラフト重合は、主に、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、エチレン、およびビニルエステルなどのビニルモノマーのグラフト重合を含んでいた。いくつかのアクリルモノマーがモノマー混合物に含まれているが、PVOHの存在下での重合速度が高すぎ、粒子が非常に大きくなり、そして凝固するため、過去のグラフト重合ではグラフト重合アクリルモノマーに問題が見られた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記を考慮して、上記の欠点に対処する改良されたPVOH組成物が必要である。特に、未修飾のPVOHで見られるコストおよび取り扱いの欠点に対処できる製剤を提供することが望ましいであろう。さらに、貯蔵が経時的に安定であり、経時的にゲル化し不可逆的に高粘度のゲルを形成するPVOH組成物に関連する廃棄物を低減するPVOHを有することが望ましい。本発明は、これらの課題によりよく対処するための方法および製剤を提供することを含むこれらの解決策を提供する。PVOHポリマーの存在下でアクリルモノマーをグラフト重合して、新規のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを形成することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
改良されたPVOH製剤を提供することが本発明の特徴である。改良されたPVOH製剤は、コスト効率の高い方法で製造工場において使用できる。
【0011】
本発明の別の特徴は、高濃度で水ベースの液体中に存在することができるPVOHベースの接着剤を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる特徴は、長期間にわたって貯蔵安定性である改良されたPVOH製剤を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる特徴は、高いpH(例えば、未修飾のPVOHが不可逆的なゲルを形成し得るpH 8)でより分散可能であるPVOHベースの製剤を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる特徴は、様々な濃度で低粘度を有するPVOHベースの製剤を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる特徴および利点は、部分的には以下の説明に記載され、部分的には説明から明らかになるか、または本発明の実施によって学習され得る。本発明の目的および他の利点は、説明および添付の特許請求の範囲で特に指摘される要素および組み合わせによって実現および達成されるであろう。
【0016】
前述の特徴の1以上は、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを提供することにより、本発明により達成された。グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、ポリビニルアルコール主鎖およびポリビニルアルコール主鎖にグラフト化された複数の側鎖を有するか、またはそれらを含む。複数の側鎖からの1以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレート、および/またはアルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の単位を有する。
【0017】
本発明はさらに、水相および本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む製剤に関する。例えば、該製剤は、100重量部の水相と、10重量部から40重量部のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーから構成することができる。該グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは水相に分散している。
【0018】
本発明はさらに、本発明によるグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を製造する方法に関する。この方法は、分散液にアルカリを添加する工程を含むことができ、それにより、分散液のpHを4から8または5から8より上に上げ、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を形成する。この方法では、分散液は水相および水相に分散されるグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む。この分散液は、添加する工程の前にpH 2~5またはpH 2~3であってよい。
【0019】
本発明はさらに、繊維状ウェブをクレーピングするための工程に関する。この工程は、乾燥機表面を含む回転円筒形乾燥機を提供する工程を含むことができ、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む製剤を乾燥機表面に適用することを含むことができる。この工程において、繊維状ウェブを乾燥機表面に運ぶことができる。繊維状ウェブはまた、乾燥機表面上で乾燥されて乾燥繊維状ウェブを形成することができ、次いで、乾燥繊維状ウェブは、乾燥機表面からクレーピングされ得る。
【0020】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本発明のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明はグラフト化ポリビニルアルコールポリマーおよび本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む製剤に関する。製剤は、クレーピング接着剤製剤またはヤンキードライヤーコーティング組成物であり得る。接着剤製剤は、繊維状ウェブがヤンキードライヤーまたは乾燥機表面上にある場合、繊維状ウェブに粘着特性および剥離特性を提供することができる。特に明記しない限り、本明細書における「ポリマー(a polymer)」または「ポリマー(the polymer)」への言及は、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーへの言及である。
【0022】
本明細書で使用される「モノマー」(例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ)は、モノマーそれ自体のようなモノマー、または他のモノマーまたはモノマー単位または主鎖との化学的結合によってポリマーを形成するために反応することができる分子を指す。
【0023】
本明細書で使用される「モノマー単位」または「単位」(例えば、脂肪族カルボン酸の単位など)は、モノマーに由来するポリマー中の化学的に結合した単位を指す。
【0024】
本明細書では、モノマーまたはモノマーの単位が記載または言及されているが、グラフトポリマー自体は、各モノマーのラジカルバージョンを有し、したがって、モノマー単位またはモノマーの単位(例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレート、またはそれらの任意の組み合わせの単位)と呼ばれることが理解されるべきである。すなわち、本明細書に記載の各モノマーの反応性官能基(またはより反応性の高い官能基)は、重合反応中に開くか、または反応する(例えば、ビニル基またはヒドロキシル基またはカルボニル基など)。このような反応では、形成されたポリマーの末端基が残る。したがって、本発明のポリマーは、本明細書に記載のモノマー単位の構造繰り返し単位を有する。ポリマーまたはグラフトポリマーは、主鎖としてのポリビニルアルコール部分とともに、本明細書に記載のモノマーから誘導されるポリマーと見なすことができる。
【0025】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、ポリビニルアルコール主鎖およびポリビニルアルコール主鎖にグラフト化された複数の側鎖、を含むか、それらから本質的になるか、それらからなるか、それらを包含するか、または、それらである。複数の側鎖からの1以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレート、および/またはアルキルアミノ(メタ)アクリレート、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の単位を含むことができるか、それらから本質的になることができるか、それらからなることができるか、またはそれらを包含することができる。
【0026】
「1以上の側鎖…」というフレーズの説明のポイントとして、このフレーズは、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーが側鎖を有し、および該側鎖の全部または一部または1つが脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートを含むことができるか、またはそれらであることができるという事実を指す。一般的に、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートを含むか、またはそれらである側鎖の合計パーセントは、少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも85%、または少なくとも95%、例えば、10%~100%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、または40%~100%(すべて数値で%)である。側鎖が脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートではないか、それらを含まない場合、該側鎖は酢酸部分またはアルコール部分であってよい。
【0027】
側鎖が、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートを含むか、これらである場合、これらの側鎖の1つ、2つ、3つ、または4つすべてが単一の側鎖に存在する可能性があることを理解する必要がある。また、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートを含むか、またはそれらである各側鎖は、他の側鎖と同じであっても異なっていてもよい。側鎖が、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートを含む場合、そのような側鎖は、任意で、以下の置換基の1以上を含むことができる:ヒドロキシプロピルメタクリレート、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトンアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ステアリルポリエチレングリコールメタクリレート、N(3-アミノプロピル)-2-プロペンアミド、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩。
【0028】
選択肢として、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する: 脂肪族カルボン酸の単位、脂肪族アミドの単位、およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位。さらなる選択肢として、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:脂肪族カルボン酸の単位、脂肪族アミドの単位、アルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位、およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位。本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーのこれらの例において、少なくとも1つの側鎖は、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの3つすべての単位を有する。側鎖それ自体は、これらのモノマーのコポリマー(copolymer)またはターポリマー(terpolymer)と見なすことができる。
【0029】
別の選択肢として、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:脂肪族カルボン酸の単位; または脂肪族アミドの単位; またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位; またはアルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位。本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーのこれらの例において、少なくとも1つの側鎖は、脂肪族カルボン酸のみ、または脂肪族アミドのみ、またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートのみ、またはアルキルアミノ(メタ)アクリレートのみの単位を有する。側鎖それ自体は、この側鎖を作るために使用されるモノマーのホモポリマーと見なすことができる。
【0030】
別の選択肢として、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:脂肪族カルボン酸の単位および脂肪族アミドの単位の両方。あるいは、または前の選択肢に加えて、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:脂肪族カルボン酸の単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位の両方。あるいは、または前の選択肢に加えて、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:脂肪族アミドの単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位の両方。あるいは、または前の選択肢に加えて、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:脂肪族アミドの単位およびアルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位の両方。あるいは、または前の選択肢に加えて、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:アルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位の両方。あるいは、または前の選択肢に加えて、複数の側鎖からの1以上の側鎖は、以下を含むか、以下から本質的になるか、以下からなるか、または以下を包含する:アルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位および脂肪族カルボン酸の単位の両方。本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーのこれらの例において、少なくとも1つの側鎖は、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートのうちの2つの単位を有する。側鎖それ自体は、この側鎖を作るために使用される2つのモノマーのコポリマーと見なすことができる。
【0031】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、25℃および1気圧で、22.5~25重量%の濃度で、pH3~5(例えば、3)を有する水溶液中に存在する場合、500 cP・s未満の粘度を有することができる。粘度は、300 cP・s未満、250 cP・s未満、200 cP・s未満、150 cP・s未満、または100 cP・s未満にすることができる。粘度は一般に固有の特性と見なされ、したがって、超流動状態にない場合、ポリマーの水溶液は正の非ゼロの粘度値を有する。したがって、これらの範囲の最小値は、0.001 cP・s、または0.005 cP・s、または0.01 cP・s、または0.1 cP・sであってよい。
【0032】
流体の粘度を測定するのに適した任意の粘度計(viscometer)(または粘度計(viscosimeter))を使用して、水溶液中にあるときのグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの粘度を測定することができる。
【0033】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、0.1重量%~40重量%以上、例えば、1重量%~40重量%、または5重量%~40重量%、または10重量%~40重量%の濃度で水溶液中に分散させることができる。エンドポイントを含め、10重量%~40重量%のすべての値がこの範囲に含まれる。例えば、該ポリマーの濃度は、12重量%~38重量%、または15重量%~35重量%、または20重量%~30重量%、または25重量%~28重量%であり得る。本明細書で使用されるように、重量パーセントは、溶質の重量を溶液の重量で割ったものとして定義され、その商に100%が掛けられる。例えば、溶質はグラフト化ポリビニルアルコールポリマーであり、溶液は溶質と水性溶媒の合計重量になる。
【0034】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、水溶液に分散することができるものであり、25℃および1気圧の圧力で保存された場合に少なくとも6ヶ月間はグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない安定した水性分散液を形成することができる。該安定した水性分散液は、好ましくは、25℃および1気圧の圧力で少なくとも1年間、より好ましくは同じ条件で少なくとも2年間、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない。本明細書で使用されているように、用語 「凝固」は、水性分散液中の個々のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの不可逆的に結合(combination)または凝集して、いくつかのまたは複数のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの塊または集団を形成することを意味し得る。本明細書で使用されているように、用語「沈殿」は、重力によって水溶液からグラフト化ポリビニルアルコールポリマーが沈降することを意味し得る。グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、ポリマー粒子凝固物の形で沈殿させることができる。
【0035】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、約2~約5または2~約3(例えば、1.5~3.5、または2~3.5、または2.2~3、または2.2~2.8、または3~5、または2~5、または4~5、または4または4.5または5)のpHを有する水溶液中に存在する場合、凝縮形態(condensedform)であることができ、そして、約4~約5.5(例えば、3.8~5.8、または4.0~5.5、または4.2~5.2)のpHを有する水溶液中に存在する場合、半凝縮形態であることができ、また、約5.5~約8(例えば、5.3~8.5、または5.5~8.3、または5.5~7.5、または5.8~8、または6.0~7.5)のpHを有する水溶液中に存在する場合、アモルファス形態であることができる。個々の範囲の終点を含め、約2~約5、約2~約3、約4~約5.5、および約5.5~約8の範囲のすべての値がこれらの範囲に含まれる。
【0036】
グラフト化ポリビニルアルコールポリマーが凝縮形態である場合、個々のポリマーはそれ自体の上に折り畳まれ、その結果、個々のポリマーが絡み合ったグループとなり一緒に凝集してポリマー粒子を形成する。個々のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの折り畳みは、個々のポリマーの部分間の分子内相互作用によって起こる。これらの分子内相互作用は、共有結合または静電相互作用である可能性があり、最も一般的な相互作用は、個々のポリマーの部分間の静電相互作用である。例えば、特定の理論に縛られないことを望むが、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーのアミド単位は、静電相互作用を介して、ポリマーの主鎖に沿ったビニルアルコール単位と相互作用することができる。この例において、ポリマーの主鎖に沿ったアミド単位の-NH2基は、低pH環境でプロトン化される。静電相互作用の例は、ファンデルワールス相互作用である。
【0037】
グラフト化ポリビニルアルコールポリマーが凝縮形態である場合、ポリマー粒子は水懸濁液中で形成することができる。一つの例として、該ポリマーがpH2の水性分散液である場合、平均粒子サイズは100nm~1,000nm、100nm~200nm、50nm~150nm、および/または150nm~300nmであり、この範囲のすべての値が、これらの値の小数およびこれらの値の分数とともに含まれる。例えば、平均粒子サイズは約170nmである可能性がある。粒子サイズ分布は多峰性(multimodal)である可能性があり、例として、全体の平均粒子サイズは170nmであり、ポリマー粒子の約65%(数で)が平均直径470 nmを有し、およびポリマー粒子の約25%が平均直径50ミクロンを有する。ポリマーの粒子サイズは、動的光散乱実験によって決定できる。
【0038】
グラフト化ポリビニルアルコールポリマーが半凝縮形態である場合、分子内相互作用の力は、凝縮形態でのこれらの相互作用の力に比べて弱くなり、個々のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーがアンフォールド(unfold)し始める。この形態において、分子内相互作用の力は、個々のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの完全なアンフォールディングを回避するのに十分に高く、結果として、凝縮形態のポリマー粒子は膨潤するので、凝縮形態のポリマー粒子はより大きなサイズおよび半凝縮形態に移行する。個々のポリマーのほとんどはサイズが膨潤し大きくなるが、一部のポリマーは凝縮形態のままである可能性がある。
【0039】
グラフト化ポリビニルアルコールポリマーが半凝縮形態である場合、より大きな、膨潤したポリマー粒子が溶液中で形成され得る。一つの例として、ポリマーがpH4.5の水溶液である場合、平均粒子サイズは175nm~375nmになり、この範囲のすべての値が、これらの値の小数およびこれらの値の小数とともに含まれる。例えば、平均粒子サイズは約300 nmであり得る。粒子サイズは多峰性である可能性があり、例として、全体の平均粒子サイズは300nmであり、ポリマー粒子の約95%(数で)が平均直径38 nmを有する。ポリマーの粒子サイズは、動的光散乱実験によって決定できる。
【0040】
グラフト化ポリビニルアルコールポリマーがアモルファス形態である場合、分子内相互作用の力は、個々のポリマーがアンフォールドし、線形形態または実質的に線形形態であるように十分に弱くなる。個々のポリマーのほとんどがアンフォールドするが、一部のポリマーは凝縮形態または半凝縮形態で残る可能性がある。
【0041】
凝縮形態は、水溶液中のポリマーの最も溶解性の低い形態であり、アモルファス形態は、3つの形態すべてと比較して、水溶液中のポリマーの最も溶解性の高い形態である。アモルファス形態は、存在することができ、および/またはより高い集団であり、および/またはより高いpH(pH塩基性条件)で存在し得、および/または本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの濃度が水溶液中で十分に低い場合である(例えば、0.1重量%~5重量%)。
【0042】
水溶液中の場合、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、水溶液中で可逆的分散性または可逆的溶解性を示すことができる。より分散またはより溶解する能力、および、より分散しないまたはより溶解しない能力は、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを有する溶液のpHを変更することによって達成することができる。例えば、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを凝縮形態で有する水溶液は、約2~約5または約2~約3のpHを有することができ、このpHで、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは溶液中での低い分散性または低い溶解性を示す可能性がある。水溶液にアルカリを加えることにより、水溶液のpHを約5.5~約8に上げると、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、アモルファス溶解形態に移行し、水溶液中での分散性または溶解性の増加を示し得る。その後、水溶液のpHは、可逆的に、例えば、約2~約5まで、または約2~約3まで低下させることができ、そして、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは凝縮形態に戻ることがでる。凝縮形態に戻ると、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、再び、水溶液中で低い分散性または溶解性を示し得る。本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを有する水溶液に酸を加えることにより、アモルファス溶解またはアモルファス分散させた水溶液中のpHが下がる。
【0043】
水溶液のpHは、アルカリの分配または酸の分配をそれぞれ段階的に加えることによって、段階的に、または変化の勾配で、増加または減少させることができる。アルカリまたは酸の分配は、例えば、アルカリまたは酸を含むスポイトによって加えることができる。アルカリまたは酸は、好ましくは、アルカリまたは酸の水溶液である。アルカリは、本明細書に記載の任意のアルカリであってよく、酸は、例えば、酢酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、および硫酸であってよい。アルカリまたは酸が水溶液のpHを変化させることができる限り、アルカリまたは酸の濃度は特に制限されない。濃度は、例えば、0.01モル~5モル、または0.05モル~3モル、または0.1~1モルであってよく、それらの間の任意のサブ値(sub-value)を含む。
【0044】
本発明において、脂肪族カルボン酸は、アクリル酸および/またはメタクリル酸、を含むことができるか、それらから本質的になることができるか、それらからなることができるか、それらを包含することができるか、またはそれらである。脂肪族アミドは、不飽和脂肪族アミドであってよい。脂肪族アミドは、飽和脂肪族アミドであってよい。脂肪族アミドは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジプロピルアクリルアミド、および/またはN-t-ブチルアクリルアミドの少なくとも1つ、を含むことができるか、それらから本質的になることができるか、それらからなることができるか、それらを包含することができるか、またはそれらである。ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルカプロラクトンアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、および/またはヒドロキシプロピルメタクリレート、を含むことができるか、それらから本質的になることができるか、それらからなることができるか、それらを包含することができるか、またはそれらである。側鎖のいずれかまたはすべての追加のモノマーには、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、N(3-アミノプロピル)-2-プロペンアミド、N-3(アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩、およびステアリルポリエチレングリコールメタクリレートを含むことができる。
【0045】
より特定の例において、脂肪族カルボン酸はメタクリル酸である。 脂肪族アミドはアクリルアミドである。 そして、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0046】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーにおいて、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、以下の構造(I)を含むことができるか、それから本質的になることができるか、それからなることができるか、またはそれを包含することができる:
【化1】
【0047】
この構造において、単位(a)の総重量パーセントは、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの総重量に基づいて、74重量%~95重量%であり得る。74重量%~95重量%のすべての値がこの範囲に含まれ、エンドポイントが含まれるため、範囲は74重量%~90重量%、77重量%~92重量%、80重量%~95重量%、80重量%~92重量%、80重量%~90重量%、82重量%~95重量%、82重量%~92重量%、または82重量%~90重量%であってよい。単位(b)の総重量パーセントは、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの総重量に基づいて5重量%~26重量%である。5%~26重量%までのすべての値がこの範囲に含まれ、エンドポイントが含まれるため、範囲は5重量%~23重量%、5重量%~20重量%、8重量%~26重量%、8重量%~23重量%、8重量%~20重量%、10重量%~26重量%、10重量%~23重量%、10重量%~20重量%、12重量%~26重量%、12重量%~23重量%、または12重量%~20重量%であってよい。単位(a)および単位(b)の合計重量パーセントは、100重量パーセントに等しくなる。構造(I)において、Rは、酢酸(acetate)または複数の側鎖由来の側鎖である。構造(I)によって示される複数の単位は、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマー全体に含まれるか、またはその一部に含まれ得る。構造(I)の複数の単位が存在する場合、a、b、および/またはRは、存在する構造(I)ごとに同じかまたは異なる可能性がある。
【0048】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーにおいて、 グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、以下の構造(II)を含むことができるか、それから本質的になることができるか、それからなることができるか、またはそれを包含することができる:
【化2】
【0049】
このポリマーでは、相対量として、aは1~10の可能性があり、bは35~55の可能性があり、 cは、a+ b + c = 100に基づいて、35~55の可能性がある。これらの範囲内のすべての値が含まれる。したがって、 aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10のいずれかになり得る。bは、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、および55のいずれかになり得る。そして、cは、a+ b + c = 100に基づいて、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、および55のいずれかになり得る。構造(II)によって示される複数の単位は、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーに含まれ得るか、またはその一部であることができる。構造(II)の複数の単位が存在する場合、a、b、および/またはcは、存在する構造(II)ごとに同じかまたは異なる可能性がある。
【0050】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、以下の特徴の1つ以上を示す、または有するものである可能性がある: a)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーがラテックスである;b)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、2~5または2~3のpHで1重量%~25重量%の量で水に完全に分散可能である;c)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、いかなるpHでも不可逆的なゲルではない;および/またはd)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、pH8でゲルフリーである。
【0051】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、1つ以上のガラス転移温度を示す可能性がある。例えば、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、-40℃~60℃または40℃~60℃の第1ガラス転移温度および70℃~90℃の第2ガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、これらの範囲内の任意の値にすることができる。例えば、第1ガラス転移温度は、-40℃~50℃、または-40℃ ~40℃または-40℃~30℃または-40℃~20℃または-40℃~20℃または-30℃~60℃または-20℃~60℃ または-10℃~60℃または0℃~60℃または10℃~60℃または20℃~60℃または 30℃~60℃または40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃または60℃であってよい。第2ガラス転移温度は、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、または 90℃であってよい。これらの数値は、より広い範囲のサブ範囲の最小値または最大値として機能し得る。
【0052】
特定の理論に縛られることを望まないが、第1ガラス転移温度は、ポリビニルアルコール主鎖にグラフト化された1つ以上の側鎖のガラス転移温度であり、第2ガラス転移温度は、ポリビニルアルコール主鎖のガラス転移温度である。ガラス転移温度を測定するのに適した任意の方法および/または技術を使用して、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーのガラス転移温度を測定することができる。1つの例として、ガラス転移温度は動的機械熱分析レオメーターで測定できる。
【0053】
本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの他の特徴には、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの重量平均分子量と数平均分子量が含まれる。例えば、本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、約50,000ダルトン~約1,500,000ダルトン(たとえば、100,000ダルトン~1,000,000ダルトン、または250,000ダルトン~750,000ダルトン)の重量平均分子量を持つことができる。本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの数平均分子量は、2,000ダルトン~約50,000ダルトンの数平均分子量を持つことができる。グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの重量平均分子量および数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0054】
ポリマーの多分散度は、一般に、ポリマーの重量平均分子量をポリマーの数平均分子量で割ったものとして定義される(PD= Mw/Mn)。本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、少なくとも1.5の多分散度Mw/Mnを有し得る。
【0055】
1つの例示的な本発明のグラフト化ポリビニルアルコールにおける2つのガラス転移温度によって示されるように、ポリマーの主鎖は、遊離の未反応の形態の場合、主鎖自体に特徴的な特性を有する可能性がある。例えば、主鎖にモノマーをグラフト化する前に、未反応の形態のポリビニルアルコール主鎖は、約5,000ダルトン~約1,000,000ダルトンの分子量分布を有することができる。この例において、遊離の未反応形態のポリビニルアルコール主鎖の分子量分布は、単峰性、二峰性、または多峰性の分子量分布である。遊離の未反応形態のポリビニルアルコール主鎖は、2,000ダルトン~500,000ダルトンの重量平均分子量を持つことができる、および/または、約1,000ダルトン~約50,000ダルトンの数平均分子量を有することができる。すなわち、遊離の未反応形態のポリビニルアルコール主鎖は、2~7の多分散度Mw/Mnを有することができる。
【0056】
さらに、遊離の未反応形態のポリビニルアルコール主鎖は、約74モル%~約98モル%またはこの範囲より下または上の他の量の加水分解度を有することができる。74 モル%~98 モル%までのすべての値がこの範囲に含まれ、エンドポイントが含まれ、したがって、その範囲は、74 モル%~95 モル%、74 モル%~90 モル%、74 モル%~88 モル%、76 モル%~95 モル%、76 モル%~90 モル%、および 76 モル%~88モル%であってよい。74 モル%~98モル%までのすべての値がこの範囲に含まれるため、加水分解の程度は74 モル%、75モル%、76 モル%、77 モル%、78 モル%、79 モル%、80 モル%、81 モル%、82 モル%、83 モル%、84 モル%、85 モル%、86 モル%、87 モル%、88 モル%、89 モル%、90 モル%、91 モル%、92 モル%、93 モル%、94 モル%、95 モル%、 96 モル%、97 モル%、および98 モル%であり、小数とその端数が含まれる。
【0057】
加水分解度は、ポリビニルアルコール主鎖の主鎖にいくつ遊離アルコール部分(-OH)存在するかが指標となり得る。ポリビニルアルコールの合成は、最初に酢酸ビニルの重合を含み、これはポリ酢酸ビニルを形成する。その後、酢酸部分(-O-(CO)-CH3)は、加水分解反応を介してアルコール部分に置換される。したがって、本明細書で使用される場合、「加水分解度」は、ポリ酢酸ビニルのエステル転移反応によりアルコール部分で置換される酢酸部分のモル%を指すことができる。したがって、1つの例として、74モル%の酢酸部分は、74モル%の加水分解度を特徴とするポリビニルアルコール主鎖のアルコール部分に置換される。
【0058】
未反応形態のポリビニルアルコール主鎖は、1つ以上のPOVAL(商標)(Kurary Co., Ltd.) 5/88、3/80 3/82、3/85、4/85、4/88、5/82、6/88、13/88、3/88、5/74、5/88、8/88およびRS2117、1以上のSELVOL(商標)(Sekisui Specialty ChemicalsAmerica, LLC) 5002、513、518、418、425、443、203、523、205、および540、ならびにこれらの任意の組合せであり得る。
【0059】
本発明の別の態様または特徴は、水相および本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含むことができるか、それらからなることができるか、それらから本質的になることができるか、それらを包含することができるか、またはそれらである、製剤に関する。1つの態様において、該製剤は、水相の100重量部、および1重量部~40重量部以上、例えば、10重量部~40重量部の本発明のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含むことができるか、それらからなることができるか、それらから本質的になることができるか、またはそれらを包含することができるものであって、この製剤では、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは水相に分散している。1重量部~40重量部までのすべての値がこの範囲に含まれ、およびエンドポイントが含まれ、したがって、その範囲は、5重量部~35重量部、10重量部~35重量部、10重量部~30重量部、12重量部~40重量部、12重量部~38重量部、12重量部~35重量部、14重量部~40重量部、14重量部~35重量部、15重量部~40重量部、15重量部~38重量部、および15重量部~35重量部であってよい。この範囲には、1重量部~40重量部までのすべての値が含まれるため、重量部は、例えば、2重量部、5重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部、30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、および40重量部であってよく、これらの値の小数およびこれらの値の分数とともに含まれる。
【0060】
本発明の製剤は、25℃および1気圧で保存した場合、少なくとも6ヶ月の期間内にグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない安定な水性分散液であり得る。あるいは、水性分散液は、25℃および1気圧で保存した場合、少なくとも1年間、または少なくとも2年間安定している。ここの「凝固」および「沈殿」という用語は、上記と同じ定義を持つ。
【0061】
本発明の製剤は、約2~約5または約2~約3のpHを有することができ、該製剤(the formation)がこのpHを有する場合、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、上記のように凝縮形態であり得る。別の選択肢として、本発明の製剤は、約4~約5.5のpHを有することができ、該製剤(the formation)がこのpHを有する場合、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、上記のように半凝縮形態である。さらなる選択肢として、本発明の製剤は、約5.5~約8のpHを有することができ、該製剤(the formation)がこのpHを有する場合、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、上記のようにアモルファス溶解形態である。
【0062】
本発明の製剤において、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、少なくとも10g/100gの水量で製剤の水相に可溶である。1つの選択肢として、本発明の製剤におけるグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの最大量は、約50g/100g水以上であり得る。他の範囲、たとえば、水10g/100g~45g/100gまで、水12g/100g~ 45g/100gまで、水15g/100g~45g/100gまで、水15g/100g~40g/100gまで、水 18g/100g~45g/100gまで、水18g/100g~40g/100gまで、水20g/100g~45g/100g まで、水20g/100g~40g/100g まで、のこれらの制限内であってよい。これらの範囲内のすべての数値、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、 24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および 50またはこれらの数値の小数およびこれらの数値の分数が利用可能である。
【0063】
水中でのこれらの濃度のポリマーでの本発明の製剤は、高濃度の製品であってよく、輸送および保管のためのかさばりを低減する。グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、ゲル化または他の粘度の問題なしに、水溶液に分散可能または可溶性であるため、特に従来のポリビニルアルコールと比較して、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの濃度がより高い製剤である可能性がある。製紙会社や他のユーザーなど、濃縮された製品のエンドユーザーは、濃縮物を用途に応じて固形分に希釈したり、直接ポンプで送ったり、ヤンキーまたは回転ドラム式スプレーブームコーティング溶液(a Yankee or rotary drum spray boom coatingsolution)に移すことも可能である。
【0064】
本発明の製剤は、水相およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーに加えて、少なくとも1つの可塑剤を含むことができる。可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコール、2-オキシジプロピルジベンゾエート、3-ジプロピレングリコールジベンゾエート、および4-ジエチレングリコールジベンゾエートのうちの少なくとも1つであってよい。存在する場合、可塑剤は、分散液の100重量パーセントに対して、1~15重量%の量で存在することができる。例えば、グリセリンが存在する場合、グリセリンは、分散液の100重量%に対して、1~15重量%の量で存在することができる。2-オキシジプロピルジベンゾエートの場合、分散液の100重量%に対して、1~5重量%の量で存在することができる。3-ジプロピレングリコールジベンゾエートが存在する場合、分散液の100重量%に対して、1~5重量%の量で存在することができる。4-ジエチレングリコールジベンゾエートが存在する場合、分散液の100重量%に対して、1~5重量%の量で存在することができる。プロピレングリコールが存在する場合、分散液の100重量%に対して、1~5重量%の量で存在することができる。
【0065】
本発明の製剤は、水相およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーに加えて、1つ以上の界面活性剤を含むか、または界面活性剤を含まないことができる。本発明の製剤には界面活性剤は必要ないが、それらは任意の従来の量で存在することができる。界面活性剤は必要ないので、界面活性剤の量は、界面活性剤の1重量%未満であり得る(例えば、0重量%~0.9重量%、0.001重量%~0.5重量%、0.001重量%~0.1重量%)。本発明の製剤は、界面活性剤を含まないものであってもよく、または含まない。界面活性剤は、存在する場合、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および/または非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも1つであり得る。
【0066】
界面活性剤の例には、これらに限定されないが以下のものが含まれる:セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリル硫酸ナトリウム、および/またはアルキレンオキシド(エチレンオキシド(EO)など)と疎水性分子との凝縮製品。疎水性分子の例には、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、トリグリセリド、脂肪アミン、脂肪アミド、アルキルフェノール、多価アルコールおよびそれらの部分脂肪酸エステルが含まれる。他の例には、ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、ポリアルキレンオキシドのエチレンジアミンテトラブロックコポリマー、およびアルキルポリグリコシドが含まれる。例としては、脂肪アルコールエトキシレートである非イオン性界面活性剤があり、そのアルコールは約C10~C18の分岐または線状、例としては、SURFONIC L(ハンツマンコーポレーション、テキサス州ヒューストン)またはTDAシリーズ、NEODOLシリーズ(シェルケミカルカンパニー、テキサス州ヒューストン)およびTERGITOLシリーズ(ユニオンカーバイドコーポレーション、コネチカット州ダンベリー)である。非イオン性界面活性剤の他の例には、アルキルフェノールエトキシレート、長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、エトキシル化脂肪アミン、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドブロックを含むポリマー、およびアルキルポリグリコシドが含まれる。
【0067】
高分子界面活性剤などの界面活性剤は、1,000~約20,000、例えば、約2,000~約15,000、約3,000~約12,000、約5,000~約20,000、約10,000~約20,000、約12,000~約17,000、約13,500~約16,000、少なくとも約20,000、少なくとも約 50,000、少なくとも約100,000、または少なくとも約500,000の平均分子量(ダルトン単位)を有することができる。
【0068】
本発明の別の態様は、本発明によるグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの製造方法である。本方法は、フリーラジカル重合を介して、遊離ポリビニルアルコールの存在下で脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、および/またはヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを重合する工程、を含むことができるか、それらから本質的になることができるか、それらからなることができるか、またはそれらを包含することができるか、それらであり得る。
【0069】
本方法は、モノマーおよび遊離PVOHの水溶液を得るために、水およびポリビニルアルコールポリマー、を含むか、それらから本質的になるか、それらからなるか、またはそれらを包含する、水溶液中で脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アルキルアミノ(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの少なくとも1つを一緒に添加または混合する工程、を含むことができるか、それらから本質的になることができるか、それらからなることができるか、またはそれらを包含することができるか、それらを有し得る。追加または混合の工程は、少なくとも15分以上、例えば15分~2時間以上行うことができる。重合の工程は、モノマーおよび遊離PVOHの水溶液に、過硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシドなどの開始剤を添加することによって開始される。
【0070】
別法として、本方法は、35℃~80℃の温度で反応器にモノマーを段階的または半連続的に添加する工程を含むか、その工程から本質的になるか、その工程からなるか、その工程を包含するか、またはそれを有することができる。反応器は、反応器へのモノマーの段階的または半連続的添加の前に、未反応の形態のポリビニルアルコール主鎖を含むことができる。温度範囲は、例えば、40℃~70℃であってよく、好ましくは65℃である。本方法はまた、モノマーおよび遊離PVOH混合物の水溶液に、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、およびt-ブチルヒドロペルオキシドなどの開始剤を添加することによる重合の工程、を含むか、その工程から本質的になるか、その工程からなるか、その工程を包含するか、またはその工程を有することができる。亜硫酸水素ナトリウムは、開始剤の一部として含めることができ、特定の理論に拘束されることを望まないが、亜硫酸水素ナトリウムは、開始剤に存在する過酸化物の解離温度を下げることができ、したがって、重合の開始に関連するエネルギーコストを削減できると考えられる。
【0071】
開始剤は、一度に、そして重合の開始時に添加することができ、または時間の経過とともに、例えば、滴下して、ある期間にわたって添加することができる。滴下して添加する場合、モノマーを半連続的に滴下し添加する時間は、15分~5時間以上、30分~3時間、または45分~2時間であり得る。
【0072】
開始剤を全体的または部分的に添加すると、モノマーおよび遊離PVOHの水溶液は反応性溶液と見なすことができ、モノマーのグラフト重合は反応性溶液中で起こり得る。重合中の反応性溶液の温度は、30℃~100℃、例えば、30℃~85℃であってよく、その中のすべての数値と値はこの範囲に含まれる。
【0073】
本方法は、重合工程を停止する工程を含むことができるか、その工程から本質的になることができるか、その工程からなることができるか、その工程を包含することができるか、またはその工程を有し得る。重合停止は、反応性溶液にヒドロキノンを加えることによって起こり得る。
【0074】
本発明の1つの興味深い態様は、本発明におけるモノマーのグラフト重合が完全にアクリルモノマーであり得ることである。別の言い方をすれば、グラフト重合は、ビニルモノマーが実質的にまたは完全に存在しない状態で行うことができる。本発明では、グラフト重合に使用されるアクリルモノマーの割合は、例えば、ポリビニルアルコール主鎖上のグラフト部位の総数に基づいて、50%以上、例えば、数で50%~数で100%、または数で75%~数で99%または数で85%~数で98%であり得る。ビニルモノマーの存在は、ポリビニルアルコール主鎖上のグラフト部位の総数に基づいて、数で0または5%未満または3%未満または1%未満または0.5%未満または0.1%未満であり得る。
【0075】
本発明の別の態様は、本発明によるグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を製造する方法である。本方法は、分散液にアルカリを添加して、分散液のpHを4~8に(例えば、5~8より上に)上昇させ、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を形成する工程を含むことができるか、その工程から本質的になることができるか、その工程からなることができるか、その工程を包含することができるか、またはその工程であり得る。本方法において、分散液は、水相および水相に分散しているグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含んでよいか、それらから本質的になるものでよいか、それらからなるものでよいか、それらを包含するものでよいか、またはそれらであってよい。分散液は、アルカリを分散液に加える工程の前に、2~5または2~3のpHを有してよい。
【0076】
アルカリは、塩基性pHを有し、分散液のpHを上昇させることができる任意の化合物または組成物であってよい。アルカリの例はこれに限定されるものではないが、以下を含む:苛性材料、アルカリ材料(例えば、アルカリ金属材料、アルカリ土類金属材料)、および塩基性緩衝材料、またはそれらの任意の組み合わせ。アルカリは、無機または有機、あるいはこれらの異なるタイプのアルカリ材料の組み合わせまたは混合物であってよい。アルカリは、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類水酸化物、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類リン酸塩、アルカリ土類炭酸塩、炭酸ジルコニウムアンモニウム、有機チタン酸塩、有機ジルコン酸塩、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アルカリ金属ケイ酸塩、尿素、置換尿素、シアン酸塩、アルキルアミン、アルカノールアミン、第四アンモニウム塩、弱酸と強塩基の塩、アルカリ性緩衝液、ポリアルカリ金属ピロリン酸、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。使用可能なアルカリ金属水酸化物の例の1つは、NaOHである。アルカリ塩は、塩の形態として、または水溶性の塩の形態で使用できる。選択肢の1つとして、アルカリ性緩衝剤を接着剤ベース製剤に使用し、アルカリ性を確立し、pH変化に抵抗することができる。使用できるアルカリ性緩衝液の例には、例えば、酸化マグネシウム、ならびにリン酸二ナトリウムおよびリン酸一ナトリウムの水溶液が含まれる。アルカノールアミンの例には、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはモノエタノールアミンが含まれる。アルカリは、その導入が接着剤ベース製剤のpHの上昇に影響を与える可能性があるという条件で、例えば、アレニウス塩基(すなわち、水中でイオン化して水酸化物イオンを生成する物質)、ブレンステッド-ローリー塩基(すなわち、プロトンまたは水素カチオン(H+)を受け入れることができる物質)、またはルイス塩基(すなわち、電子対を提供する種)であってよい。
【0077】
アルカリの添加量(dosage rate of the alkali)は、求められるpH上昇のレベル、特定の材料の塩基強度、および添加速度の要因に依存する。非限定的な例の1つとして、分散液のpHを約0.5単位上げるために、10重量%のNaOH溶液を、重量:重量比(固形分のみに基づく)で、約1/30~約30/1、例えば、1/10または10/1、または他の範囲の範囲量で、水中の元のpHが約4.0~約6.0の範囲にある分散液に加えることができる。アルカリの添加量をさらに増加させて得られるpHのさらなる上昇の大きさは、ほぼ比例する可能性があるか、または少なくとも一緒に推移する可能性がある。
【0078】
アルカリを加える代わりに、水性分散液を水で希釈してpHを上昇させることができる。水が低pHの水性分散液に添加されている間に、水性分散液中のグラフト化ポリビニルアルコールポリマーが凝縮形態から半凝縮形態、アモルファス形態へ移行が起こり得る。
【0079】
本発明はさらに、クレーピング接着剤としての本発明の製剤の使用を含むクレーピングの工程に関する。例えば、繊維状ウェブをクレーピングするための処理工程は、乾燥機表面を含む、回転円筒形乾燥機または同様のローラーを提供することを含むことができる。本発明の製剤を含む接着剤製剤は乾燥機表面に適用され、繊維状ウェブが乾燥機表面に移される。繊維状ウェブは乾燥機表面上で乾燥されて乾燥繊維状ウェブを形成し、乾燥繊維状ウェブは乾燥機表面からクレーピングされる。1つの選択肢として、クレーピングされる繊維状ウェブは、改良クレーピング接着剤製剤で事前に覆われたヤンキードライヤー表面に移す前に、空気乾燥させることができる。
【0080】
1つの選択肢として、本接着剤製剤は、本明細書に記載の分散液である。クレーピング工程の間、製剤は約4.5~約6のpHを有することができ、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、分散液中にアモルファス溶解することができる。製剤は、すべて接着剤製剤の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、例えば、約0.5重量%~3重量%または他の量の濃度で存在するグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを有することができる。
【0081】
クレーピングの工程はまた、クレーピングの乾燥機表面から製剤を実質的に除去する工程を含むことができるか、それからなることができるか、それから本質的になることができるか、またはそれを包含することができる。この乾燥機表面から製剤を実質的に除去する工程の前に、前記乾燥機表面上の製剤のpHは、6を超えるpHに上げることができ、これにより乾燥機表面からの製剤の除去を容易にし得る。
【0082】
本製剤は、そのようなクレーピング工程で使用されるヤンキードライヤーまたは他の円筒形乾燥機に適用することができる。本製剤は、回転前、回転中、またはその両方で、連続ベース、半連続ベース、断続ベース、または1回ベースで円筒形乾燥機表面に適用することができる。本発明の製剤は、円筒形乾燥機表面への繊維状ウェブ適用前、または円筒形乾燥機表面への繊維状ウェブの適用中、および/または円筒形乾燥機表面への繊維状ウェブの適用後、円筒形乾燥機表面(例えば、クレーピングブレードの後、ウェブ移送位置の前)に適用することができる。本製剤は、スプレーブームの1つ以上のスプレーノズル、ロールコーター(roll coater)、繊維状ウェブ用の含浸槽(impregnation bath)、または他のコーティング装置を使用することによって適用することができる。接着剤製剤の適用量または使用量は、乾燥機表面の0.1 mg/m2~乾燥機表面の40 mg/m2、例えば、乾燥機表面の0.1 mg/m2~乾燥機表面の20 mg/m2、または、乾燥機表面の0.1 mg/m2~乾燥機表面の10 mg/m2、または乾燥機表面の1 mg/m2~乾燥機表面の10 mg/m2、または乾燥機表面の5 mg/m2~乾燥機表面の10 mg/m2、または他の量であり得る。
【0083】
クレーピングのシステム、方法、および接着剤については以下の米国特許に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組込まれる:米国特許3,640,841; 米国特許4,304,625; 米国特許4,440,898; 米国特許4,788,243; 米国特許4,994,146; 米国特許5,025,046; 米国特許5,187,219; 米国特許5,326,434; 米国特許5,246,544; 米国特許5,370,773; 米国特許5,487,813; 米国特許5,490,903; 米国特許5,633,309; 米国特許5,660,687; 米国特許5,846,380; 米国特許4,300,981; 米国特許4,063,995; 米国特許4,501,640; 米国特許4,528,316; 米国特許4,886,579; 米国特許5,179,150; 米国特許5,234,547; 米国特許5,374,334; 米国特許5,382,323; 米国特許5,468,796; 米国特許5,902,862; 米国特許5,942,085; 米国特許5,944,954; 米国特許3,301,746; 米国特許3,879,257; 米国特許4,684,439; 米国特許3,926,716; 米国特許4,883,564; および米国特許5,437,766。
【0084】
本発明の接着剤製剤は、製紙産業または他の産業の他の用途で使用することができる。本発明の接着剤製剤は、生分解性、および/または非毒性であると見なすことができ、および/または1つ以上の食品グレードの成分を含むことができる。
【0085】
本発明は、本発明の例示を意図した以下の実施例によってさらに明らかにされる。
【実施例】
【0086】
実施例1 - ポリマー1の合成
ポリビニルアルコールポリマーを水に溶解して樹脂を調製した。メタクリル酸、アクリルアミド、および2-ヒドロキシエチルメタクリレートをPVOH水溶液中で少なくとも30分間混合して、前駆体溶液を形成した。
【0087】
前駆体溶液に過硫酸アンモニウム開始剤の溶液を60℃で添加することによりバッチ重合を開始し、重合を80℃で2時間進行させた。過硫酸アンモニウムを80℃で120分間一定の供給速度に保った。残留モノマーは、t-ブチルヒドロペルオキシドと過酸化水素により40℃で30分間抑制された。表1に、この重合における反応物と相対量を示す。
【0088】
【0089】
ポリマー1をゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)で分析した。GPCトレースが得られ、このGPCトレースから、ポリマー1の重量平均および数平均分子量が得られた。ポリマー1の重量平均分子量は194,831ダルトンであり、ポリマー1の数平均分子量は25,790ダルトンだった。ポリマー1の多分散度指数値Mw/Mnは7.74だった。
【0090】
ポリマー1を水製剤の水相に分散させ、製剤のpHを2に調整した。pHの調整は、水酸化ナトリウムの10%水溶液を製剤に加えることによって行われた。製剤を動的光散乱で分析して、このpHでのポリマーの粒子サイズ分布を決定した。ポリマーの平均粒子サイズは170nmであることがわかり、粒子の66.1体積%の平均直径は470 nmであり、粒子の24体積%の平均直径は50ミクロンだった。
【0091】
pH 2の製剤にアルカリを添加することにより、製剤のpHを4.5に上昇させ、そして、pH4.5を有する製剤を動的光散乱で分析して、このpHでのポリマーの粒子サイズ分布を決定した。ポリマーの平均粒子サイズは300nmであることがわかり、粒子の95体積%の平均直径は380nmだった。
【0092】
実施例2 - ポリマー1での試験
100℃で15秒間加熱した後、不織布をポリマー溶液でラミネートし、異なる時間間隔(15、30、60秒)で乾燥させる試験方法を開発した。剥離力(debonding force)は、時間間隔ごとに個別に独立して測定される。15秒の測定値は、ポリマーフィルムがまだ湿っているときのピックアップ接着値(pick-upadhesion value)として定義され、30秒の測定値は、半乾燥組織基質(semi-dried tissue substrate)に対する半乾燥フィルムの保持力であり、そして、最後に60秒の測定値は、乾燥した組織と乾燥したフィルムがクレーピングブレードに当たったときの接着力(adhesion force)である。この前提は、100℃の高温ステンレス鋼板上での2.5%ポリマー溶液0.8mlの乾燥プロファイルに基づく。
【0093】
表2:他のポリマー組成物と比較したポリマー1の接着力。
【表2】
【0094】
実施例3 - さまざまなpHでの水性媒体中のポリマー1の粒子サイズ分析
ポリマー1の水性分散液がpH 2で得られた。下の表3に示すように、pHを2から4.5に上げると、平均粒子サイズは170から300nmに増加した。この増加は、ポリマーのカルボキシル基、ヒドロキシル基、およびアミド基による粒子の水膨潤が原因である可能性がある。pH 4.5では、粒子集団の95%の平均直径が380 nmであり、多分散度指数は、水の膨潤により、pH2の0.61からpH4.5の0.39に低下した。
【0095】
pHをさらに6に上げると、コロイド状の粒子状態から折りたたまれていない自由流動性のアモルファスポリマーに変換されたため、平均粒子径が80nmに劇的に減少した。pH6での多分散度指数は0.8に増加した。 この幅広い多分散性は、凝縮した粒子が折りたたまれていない完全に水和したポリマーに完全に分解したことに起因していた。pH 2では、分子内引力のレベルが上昇するため、粒子と遊離PVOH粒子は強制的に収縮し、したがって、体積加重粒子の72%の平均直径は29nmだった。pH4.5では、分子内の物理的引力のレベル、および粒子間の物理的引力のレベルが低下した。これは、粒子の88%で平均直径が500nmに増加したという発見を裏付ける。粒子がpH 6で溶液に変換されるか、展開されるかした場合、粒子の99.8%の平均直径はわずか6 nmだった。この結果は、このポリマー分散液が粒子状と遊離の親水コロイド分子間で変換されたことを示す。
【0096】
表3:さまざまなpHでのポリマー1の粒子サイズ
【表3】
【0097】
本発明は以下の任意の順でのおよび/または任意の組み合わせでの態様/実施態様/特徴を包含する。
1. ポリビニルアルコール主鎖およびポリビニルアルコール主鎖にグラフト化された複数の側鎖を含むグラフト化ポリビニルアルコールポリマーであって、複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアミノ(メタ)アクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ、から選択される1つ以上の単位を含む、グラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
2. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸の単位、脂肪族アミドの単位、およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
3. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸の単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
4. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族アミドの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
5. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
6. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、アルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
7. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸の単位および脂肪族アミドの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
8. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族カルボン酸の単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
9. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族アミドの単位およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
10. 複数の側鎖からの1つ以上の側鎖は、脂肪族アミドの単位およびアルキルアミノ(メタ)アクリレートの単位を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
11. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、25℃および1気圧で、22.5~25重量%の濃度で、pH3を有する水性分散液中に存在する場合、500 cP・s未満の粘度を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
12. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、25℃および1気圧で、2.5~10重量%の濃度で、pH3を有する水溶液中に存在する場合、100 cP・s未満の粘度を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
13. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、10重量%~40重量%の濃度で水溶液中に分散することができる、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
14. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、水溶液中に分散することができるものであり、および、25℃および1気圧の圧力で少なくとも6ヶ月間以内はグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない安定した水性分散液を形成することができる、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
15. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、約2~約5または2~約3のpHを有する水溶液中に存在する場合、凝縮形態であることができ、および、約4~約5.5のpHを有する水溶液中に存在する場合、半凝縮形態であることができ、ならびに、約5.5~約8のpHを有する水溶液中に存在する場合、アモルファス形態であることができる、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
16. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、以下の特徴の1つ以上を有する:
a)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーがラテックスである;
b)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、2~5または2~3のpHで1重量%~25重量%の量で水に完全に分散可能である;
c)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、いかなるpHでも不可逆的なゲルではない;および
d)グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、pH8でゲルフリーである、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
17. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、-40℃~60℃の第1ガラス転移温度および70℃~90℃の第2ガラス転移温度を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
18. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、5,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
19. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、1,000ダルトン~約50,000ダルトンの数平均分子量を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
20. 前記グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、少なくとも1.5の多分散度Mw/Mnを有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
21. 未反応の形態のポリビニルアルコール主鎖は、約5,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
22. 分子量分布は、単峰性、二峰性、または多峰性の分子量分布である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
23. 未反応の形態のポリビニルアルコール主鎖は、約1,000ダルトン~約50,000ダルトンの数平均分子量を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
24. 未反応の形態のポリビニルアルコール主鎖は、2~7の多分散度Mw/Mnを有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
25. ポリビニルアルコール主鎖は、約74モル%~約95モル%の加水分解度を有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
26. 脂肪族カルボン酸が存在し、およびアクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも1つを含み、
脂肪族アミドが存在し、およびアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジプロピルアクリルアミド、およびN-t-ブチルアクリルアミドの少なくとも1つを含み、ならびに
ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートが存在し、および2-ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートの少なくとも1つを含む、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
27. アルキルアミノ(メタ)アクリレートが存在し、およびN(3-アミノプロピル)-2-プロペンアミドおよび/またはN-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩の少なくとも1つを含む、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
28. 脂肪族カルボン酸が存在し、およびメタクリル酸である、
脂肪族アミドが存在し、およびアクリルアミドである、ならびに
ヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートが存在し、および2-ヒドロキシエチルメタクリレートである、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
29. 以下の構造(I)を含み:
【化3】
単位(a)の総重量パーセントは、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの総重量に基づいて、74重量%~95重量%であり、
単位(b)の総重量パーセントは、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの総重量に基づいて5重量%~26重量%であり、
Rは、酢酸または複数の側鎖由来の側鎖である、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
30. 以下の構造(II)を含み:
【化4】
aは1~10であり;bは35~55であり、cは、a+ b + c = 100に基づいて、35~55である、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマー。
31. 水相および前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む、製剤。
32. 製剤は、水相の100重量部、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの10重量部~40重量部を含み、該グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは水相で分散している、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
33. 製剤は、少なくとも6ヶ月の期間内にグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの凝固または沈殿を示さない安定な水性分散液である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
34. 製剤は約2~約3のpHを有し、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは凝縮形態である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
35. 製剤は約4~約5.5のpHを有し、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーは半凝縮形態である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
36. 製剤は約5.5~約8のpHを有し、およびグラフト化ポリビニルアルコールポリマーはアモルファス溶解形態である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
37. グラフト化ポリビニルアルコールポリマーは、少なくとも10g/100gの水量で製剤の水相に可溶である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
38. 製剤は1重量%未満の界面活性剤を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
39. 製剤は界面活性剤を含まない、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製剤。
40. フリーラジカル重合を介して、遊離ポリビニルアルコールの存在下で脂肪族カルボン酸、脂肪族アミド、アミノアルキル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシル化アルキル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを重合する工程を含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを製造する方法。
41. 分散液にアルカリを添加して、分散液のpHを4~8に上昇させ、グラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を形成する工程を含むグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を製造する方法であって、該分散液は、水相、および水相に分散しているグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含み、ならびに、該分散液は、アルカリを分散液に添加する前に、2~3または2~5のpHを有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマーの水溶液を製造する方法。
42. 乾燥機表面を含む、回転円筒形乾燥機を提供すること、
前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかのグラフト化ポリビニルアルコールポリマーを含む製剤を乾燥機表面に適用すること、
繊維状ウェブを乾燥機表面に移すこと、
前記乾燥機表面上で繊維状ウェブを乾燥させて、乾燥繊維状ウェブを形成すること、および
乾燥繊維状ウェブを乾燥機表面からクレーピングすること、
を含む、繊維状ウェブをクレーピングするための処理方法。
43. 製剤は分散液である、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの処理方法。
44. 製剤は約4.5~約6のpHを有する、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの処理方法。
45. 前記クレーピングの乾燥機表面から製剤を実質的に除去することをさらに含む、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの処理方法。
46. 乾燥機表面から製剤を実質的に除去する前に、前記乾燥機表面上の製剤のpHを6を超えるpHに上げる、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの処理方法。
47. 複数の側鎖はビニルモノマーを含まない、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製品またはいずれかの処理方法。
48. 複数の側鎖は実質的にビニルモノマーを含まない、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製品またはいずれかの処理方法。
49. 複数の側鎖はもっぱらアクリルモノマーである、前記または下記実施態様/特徴/態様のいずれかの製品またはいずれかの処理方法。
【0098】
本発明は文章および/または段落に記載されている上記および/または下記のこれらのさまざまな態様、特徴、または実施形態の任意の組み合わせを包含することができる。本明細書で開示される特徴の任意の組み合わせは、本発明の一部と見なされ、組み合わせ可能な特徴に関して限定することを意図するものではない。
【0099】
出願人は、本開示において引用されたすべての参考文献の内容全体を本明細書に組み込む。さらに、量、濃度、またはその他の値またはパラメータが、範囲、優先範囲、または上位の推奨値と下位の推奨値のリストのいずれかとして指定されている場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかに関係なく、任意の上限または優先値と任意の下限または優先値の任意のペアから形成されるすべての範囲を具体的に開示することとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に記載されている場合、特に明記しない限り、その範囲は、その端点、および範囲内のすべての整数および分数を含むことを意図している。本発明の範囲が、範囲を定義するときに列挙される特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0100】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にあるという条件で、本発明の他の修正および変形をカバーすることが意図されている。