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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】製造管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240402BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240402BHJP
   G05D 1/225 20240101ALI20240402BHJP
   G05D 1/467 20240101ALI20240402BHJP
   G05D 1/667 20240101ALI20240402BHJP
   G05D 1/69 20240101ALI20240402BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240402BHJP
   G05D 105/28 20240101ALN20240402BHJP
   G05D 107/40 20240101ALN20240402BHJP
   G05D 109/20 20240101ALN20240402BHJP
   G05D 111/30 20240101ALN20240402BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B64C39/02
G05D1/225
G05D1/467
G05D1/667
G05D1/69
G06Q50/04
G05D105:28
G05D107:40
G05D109:20
G05D111:30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022540296
(86)(22)【出願日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2021027555
(87)【国際公開番号】W WO2022024998
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2020128116
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】森岡 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】榊原 伸介
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117197(JP,A)
【文献】特開2020-98541(JP,A)
【文献】特開2014-103316(JP,A)
【文献】特開2010-55158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B64C 39/02
G05D 1/225
G05D 1/467
G05D 1/667
G05D 1/69
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間内に設置される固定装置と、
前記作業空間内を移動可能な移動装置と、
前記固定装置及び前記移動装置の稼働状態データを少なくとも抽出し、前記稼働状態データに基づいて生産状況を監視するサーバと、を備え、
前記サーバは、
前記生産状況と予め定められた生産計画との乖離を生産乖離として導出し、前記生産乖離を小さくするように、前記固定装置及び前記移動装置の少なくともいずれかの稼働状態を修正し、
前記生産計画に基づいて、移動計画情報を算出し、前記移動計画情報は、搬送タイミング、単位時間又は単位期間あたりに搬送される数量、搬送に係る移動経路、及び搬送に係る移動時間の少なくとも1つを含み、
前記サーバは、前記固定装置の稼働率を上昇させるために、前記固定装置の加工速度を上昇させること、又は、前記移動装置によって前記固定装置の1つへ搬送されるワークの数量を増加させること、又は、前記固定装置の不具合を解消することを管理者又はオペレータに通知する通知部を更に備える、
製造管理システム。
【請求項2】
前記移動装置は、前記作業空間内で用いられる物品を搬送可能な無人航空機を少なくとも含む、請求項1に記載の製造管理システム。
【請求項3】
前記移動装置の前記稼働状態データは、前記移動装置の位置、前記移動装置の稼働率及び前記移動装置による物品の搬送時間を含む、請求項1又は2に記載の製造管理システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記稼働状態データに基づいて、複数の前記固定装置及び前記移動装置のうち、稼働率の低い前記固定装置及び/又は前記移動装置を導出し、前記生産乖離が小さくなるように、稼働率の低い前記固定装置及び/又は前記移動装置の前記稼働状態を修正する、請求項2又は3に記載の製造管理システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量が少ないことによって前記固定装置における前記生産乖離が生じている場合、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量を増加させるように、前記移動計画情報を修正することによって前記生産乖離を小さくするように稼働状態を修正する、請求項1に記載の製造管理システム。
【請求項6】
前記サーバは、
前記固定装置によって加工又は組み立てられるワークの数量が少ないことによって前記生産乖離が生じている場合、前記固定装置を増設すること及び増設に伴うレイアウト変更によって、生産数量を増加させることで稼働状態を修正し、
前記固定装置の増設は、新たな固定装置を設置すること、又は未稼働の固定装置を稼働させることによって行われ、
前記稼働状態の修正と共に、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量を増加させるように、前記移動計画情報を修正する、請求項1に記載の製造管理システム。
【請求項7】
前記サーバは、
前記移動装置によって搬送されるワークの供給量が少ないことによって前記固定装置における前記生産乖離が生じている場合、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量を増加させるように、前記移動計画情報を修正することによって前記生産乖離を小さくするように稼働状態を修正し、
前記固定装置によって加工又は組み立てられるワークの数量が少ないことによって前記生産乖離が生じている場合、前記固定装置を増設すること及び増設に伴うレイアウト変更によって、生産数量を増加させることで稼働状態を修正し、
前記固定装置の増設は、新たな固定装置を設置すること、又は未稼働の固定装置を稼働させることによって行われ、
前記稼働状態の修正と共に、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量を増加させるように、前記移動計画情報を修正する、請求項1に記載の製造管理システム。
【請求項8】
前記サーバは、
前記移動装置によって搬送されるワークの供給量が少ないことによって前記固定装置における前記生産乖離が生じている場合、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量を増加させるように、前記移動計画情報を修正することによって前記生産乖離を小さくするように稼働状態を修正し、
前記固定装置によって加工又は組み立てられるワークの数量が少ないことによって前記生産乖離が生じている場合、前記固定装置を増設すること及び増設に伴うレイアウト変更によって、生産数量を増加させることで稼働状態を修正し、
前記固定装置の増設は、新たな固定装置を設置すること、又は未稼働の固定装置を稼働させることによって行われ、
前記稼働状態の修正と共に、前記移動装置によって搬送されるワークの供給量を増加させるように、前記移動計画情報を修正し、
前記固定装置を実際に増設する前に、前記固定装置の増設及び前記固定装置の増設に伴うレイアウトの変更及び前記移動計画情報の追加をシミュレーションするシミュレーション部を更に備える、請求項1に記載の製造管理システム。
【請求項9】
前記固定装置の稼働状態を修正するタイミングは、前記固定装置においてワークを加工する又は組み立てるためのプログラムを変更するとき、若しくは前記固定装置において加工する又は組み立てるワークを切り替えるときである、請求項1に記載の製造管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工作機械、数値制御装置、ロボット、ロボット制御装置等の製造装置を備える加工システムを用いてワークの加工及び組み立てを行うための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の加工システムは、稼働率を高めるために、製造装置の加工完了時刻を予測する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-182173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような複数の製造装置を有する加工システムは、製造工場内において、製造装置の稼働率や、加工及び組み立てのスループット等を向上させることができるように適切な位置に配置されている。
【0005】
しかし、既存の製造工場のレイアウトは、製造装置の台数を増やした場合や、製造装置によって加工又は組み立てされるワークを増やした場合に柔軟に対応することが困難であった。そこで、生産状況に応じて柔軟な対応を行うことができるシステムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る製造管理システムは、作業空間内に設置される固定装置と、前記作業空間内を移動可能な移動装置と、前記固定装置及び前記移動装置の稼働状態データを少なくとも抽出し、前記稼働状態データに基づいて生産状況を監視するサーバと、を備え、前記サーバは、前記生産状況と予め定められた生産計画との乖離を生産乖離として導出し、前記生産乖離を小さくするように、前記固定装置及び前記移動装置の少なくともいずれかの稼働状態を修正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生産状況に応じて柔軟な対応を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る製造管理システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る製造管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るサーバの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。図1は、本実施形態に係る製造管理システム1の概要を示す図である。
製造管理システム1は、サーバ10と、固定装置11A~11Eと、移動装置12A,12Bと、を備える。製造管理システム1は、サーバ10、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bを用いて、材料及び部品を含むワークを加工及び組み立てることによって所定の製品を製造する。
【0010】
図2は、本実施形態に係る製造管理システム1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、サーバ10は、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12BとネットワークNWを介して通信可能に接続される。サーバ10は、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bから各種情報を取得する、又は固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bに対して各種制御信号を送信する。
【0011】
また、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bは、各々がネットワークNWを介してサーバ10と通信可能に接続される。固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bは、例えば、無線通信を介してサーバ10と通信可能に接続されることが望ましい。
【0012】
図3は、本実施形態に係るサーバ10の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、サーバ10は、制御部100と、記憶部110と、通信部120と、を備える。
【0013】
制御部100の各種機能は、例えば、CPU等のプロセッサが記憶装置に格納されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。これらの機能部のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0014】
記憶部110は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM等の非一過性の記憶媒体を備える記憶装置、又はRAM等により実現される。記憶部110は、製造管理システム1に関する各種情報を記憶する。
【0015】
通信部120は、ネットワークNWを介して固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bと通信するための通信インターフェースである。通信部120は、主に無線通信によって固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bと通信する。
【0016】
また、制御部100は、生産計画算出部101と、移動計画算出部102と、生産乖離算出部103と、稼働状態修正部104と、シミュレーション部105と、通知部106と、を備える。
【0017】
生産計画算出部101は、要求される製品の設計仕様、製造設備や顧客の注文などの情報を分析する。そして、生産計画算出部101は、分析結果に基づいて、どのような材料及び部品を使用し、どの装置(例えば、固定装置11A~11E)を何台備え、どのようにレイアウトして、どのような順番で使用することで、単位時間(又は単位期間)あたりに生産される製品の種類、種類毎の生産数量、また製品を生産するのに必要とされるワークの種類、ワークの数量等といった情報を含む生産計画を算出する。生産計画算出部101により算出される生産計画は、記憶部110に記憶される。
【0018】
また、移動計画算出部102は、算出された生産計画に基づいて、例えば固定装置11A~11E間で搬送されるワーク、部品、又は製品ごとに、どの固定装置からどの固定装置までどの移動装置12A,12Bにより搬送するのか、例えば、搬送タイミング、単位時間(又は単位期間)あたりに搬送される数量、搬送に係る移動経路(搬送経路)、及び搬送に係る移動時間(搬送時間)等を含む移動計画(搬送計画)情報を算出する。移動計画算出部102により算出される移動計画(搬送計画)情報は、記憶部110に記憶される。
【0019】
また、移動計画(搬送計画)情報は、ネットワークNW(例えば無線通信)を介して、サーバ10から移動装置12A,12B等に通知される。また、サーバ10は、各固定装置11A~11Eに対して、ワーク等の搬入タイミング及び加工されたワーク等の搬出タイミングを通知する。そうすることで、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12B間で、最適な搬送計画に基づいて生産を行うことができる。
【0020】
なお、移動装置12A,12Bと、当該移動装置の搬送する各ワークと、の間のマッチングを行うために、各ワークの個体を識別する必要がある。このため、例えば、ワークにそれぞれ固有の無線タグを付けることが好ましい。移動装置12A,12Bは、無線通信により無線タグのIDを読込むと共にサーバ10に通知することでマッチングが可能である。これにより、移動装置12A,12Bは、各ワークを特定することで、搬送先を特定することができる。
【0021】
次に、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bについて説明する。生産乖離算出部103以降の説明は、後述する。
【0022】
固定装置11A~11Eは、製造工場等のような作業空間内に固定された製造装置である。具体的には、固定装置11A~11Eは、加工、組立て、塗装、洗浄、検査及び梱包のうち少なくともいずれか1つを行うための製造装置であり、例えば、工作機械、数値制御装置、ロボット、ロボット制御装置、射出成形機等を含む。例えば、図1に示すように、固定装置11A~11Dは、ワークを加工するための工作機械であり、固定装置11Eは、ワークを組み立てるためのロボットであってもよい。
【0023】
移動装置12A,12Bは、作業空間内で用いられる物品(例えばワーク)を搬送可能な装置である。具体的には、移動装置12A,12Bは、無人航空機、搬送装置、AGV(Automated guided vehicle)等であってもよい。
【0024】
また、無人航空機は、人が搭乗していない航空機であり、電池等によって駆動されるモータによって飛行する。無人航空機は、例えば、ドローン、ヘリコプタ、マルチコプタ、クアッドコプタ、ティルトウィング航空機等を含む。
【0025】
移動装置12A,12Bは、部品及び材料を含むワークを保管するストッカー13又は固定装置11A~11Eからワークを搬送するために使用される。例えば、図1に示すように、移動装置12Aは、ドローンであり、ワークを吊下げる及び解放するための機構部を有している。また、移動装置12Bは、AGVであり、ワークを搬送するための搬送機構を有している。
【0026】
また、移動装置12A,12Bは、サーバ10により集中管理するようにしてもよい。具体的には、サーバ10は、所定の動作プログラムに従って、移動装置12A,12Bの移動経路、移動速度、高さ位置等を集中管理する。なお、移動装置12A,12Bの移動速度は、同一の所定速度に設定されるようにしてもよい。
【0027】
本実施形態において、生産乖離算出部103は、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bの稼働状態データを少なくとも抽出し、稼働状態データに基づいて生産状況を監視する。
【0028】
ここで、固定装置11A~11Eの稼働状態データは、固定装置11A~11Eの各々の稼働率、加工されるワークの数量が生産計画通りであるか否か、加工される最終製品の数量が生産計画通りであるか否か等を示す情報を含む。
【0029】
また、移動装置12A,12Bの稼働状態データは、移動装置12A,12Bの位置、移動装置12A,12Bの稼働率及び移動装置12A,12Bによるワークの搬送時間等を示す情報を含む。更に、移動装置12A,12Bの稼働状態データは、移動装置12A,12Bが、どのワークをどの固定装置間で搬送中であるか否か、移動装置12A,12Bが停止しているか否か、搬送されるワークの数量が生産計画通りであるか否か、ワークを生産計画において予定された場所へ搬送したか否か等を示す情報を含んでもよい。ここで、生産状況は、製造管理システム1によって現在生産されている製品の数量及び進捗状況を示す。
【0030】
生産乖離算出部103は、生産状況と予め定められた生産計画との乖離を生産乖離として導出する。ここで、生産乖離は、生産計画において予め定められた製品の生産数量及び進捗状況と、実際に生産された製品の生産数量及び進捗状況との乖離(差分)を示す。
【0031】
そして、稼働状態修正部104は、導出した生産乖離を小さくするように、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bの少なくともいずれかの稼働状態を修正する。
【0032】
具体的には、稼働状態修正部104は、例えば移動装置12Aによって搬送されるワークの供給量が少ないことによって固定装置11A~11Eにおける生産乖離が生じている場合、移動装置12Aによって搬送されるワークの供給量を増加させるように、移動計画(搬送計画)情報を修正することによって生産乖離を小さくするように稼働状態を修正するようにしてもよい。
【0033】
また、稼働状態修正部104は、例えば固定装置11Aによって加工又は組み立てられるワークの数量が少ないことによって生産乖離が生じている場合、例えば、固定装置11Aを増設すること(レイアウト変更を伴う)によって、生産数量を増加させることで稼働状態を修正するようにしてもよい。固定装置11A~11Eの増設は、例えば、新たな固定装置を設置することや、未稼働の固定装置を稼働させること等によって行われる。これに合わせて、稼働状態修正部104は、移動装置12Aによって搬送されるワークの供給量を増加させるように、移動計画情報を修正してもよい。
【0034】
なお、シミュレーション部105は、稼働状態を実際に修正する前に、例えば、移動計画(搬送計画)情報を修正することで、生産乖離が少なくなることを例えばシミュレーションして、確認するようにしてもよい。同様に、シミュレーション部105は、固定装置11Aを実際に増設する前に、固定装置の増設及びそれに伴うレイアウトの変更及び移動計画(搬送計画)情報の追加等を含めて、シミュレーションすることで、生産乖離が少なくなることを確認するようにしてもよい。
【0035】
なお、固定装置11A~11Eの稼働状態を修正するタイミングは、例えば、固定装置11A~11Eにおいてワークを加工する又は組み立てるためのプログラムを変更するときや、固定装置11A~11Eにおいて加工する又は組み立てるワークを切り替えるとき等が望ましい。
【0036】
また、稼働状態修正部104は、稼働状態データに基づいて、複数の固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bのうち、稼働率の低い固定装置11A~11E及び/又は移動装置12A,12Bを導出することができる。そして、稼働状態修正部104は、導出した稼働率が大きくなるように、稼働率の低い固定装置11A~11E及び/又は移動装置12A,12Bの稼働状態を修正することで、生産乖離を小さくするようにしてもよい。
【0037】
具体的には、稼働状態修正部104は、例えば、固定装置11A~11E及び/又は移動装置12A,12Bの稼働率を導出した結果、固定装置11Aの稼働率が低い場合、固定装置11Aの稼働率を上昇させることによって固定装置11Aの稼働状態を修正する。
【0038】
また、通知部106は、固定装置11Aの稼働率を上昇させるために、例えば、固定装置11Aの加工速度を上昇させること、移動装置12A,12Bによって固定装置11Aへ搬送されるワークの数量を増加させること、固定装置11Aの不具合(例えば、工具の損傷等)を解消すること等を管理者(又はオペレータ)に通知することができる。そうすることで、管理者(又はオペレータ)は、固定装置11A及び/又は移動装置12A,12Bに対して適切な指令を行うことができる。
【0039】
前述したように、固定装置11Aの稼働率が低い原因が、例えば移動装置12Aによって当該固定装置11Aに搬送されるワーク又は部品等の数量が生産計画における搬送計画数量に比べて少ないことに起因する場合、稼働状態修正部104は、移動装置12Aに係る稼働状態を修正するようにしてもよい。
【0040】
また、固定装置11Aは、アイドル時間もなく稼働しているが、生産数量が計画に比べて少ない場合、前述したように、稼働状態修正部104は、固定装置11Aの生産数量を増加するように、固定装置11Aの稼働状態を修正するようにしてもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、製造管理システム1は、作業空間内に設置される固定装置11A~11Eと、作業空間内を移動可能な移動装置12A,12Bと、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bの稼働状態データを少なくとも抽出し、稼働状態データに基づいて生産状況を監視するサーバ10と、を備え、サーバ10は、生産状況と予め定められた生産計画との乖離を生産乖離として導出し、生産乖離を小さくするように、固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bの少なくともいずれかの稼働状態を修正する。これにより、製造管理システム1は、生産乖離を小さくするように固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bの稼働状態を修正するため、生産状況に応じた柔軟な対応を行い、生産性を向上させることができる。
【0042】
また、固定装置11A~11Eは、加工及び組立てのうち少なくともいずれか1つを行うための製造装置であり、移動装置12A,12Bは、作業空間内で用いられる物品を搬送可能な無人航空機を少なくとも含む。これにより、製造管理システム1は、無人航空機を用いることによって、作業空間の床面のレイアウト構成に影響を受けることなく、自在にワークを搬送することができる。よって、製造管理システム1は、生産状況に応じた柔軟な対応を行い、生産性を向上させることができる。
【0043】
また、移動装置12A,12Bの稼働状態データは、移動装置12A,12Bの位置、稼働率及び搬送時間を含む。これにより、製造管理システム1は、移動装置12A,12Bの稼働状態データに基づいて、移動装置12A,12Bの稼働状態を適切に修正することができる。
【0044】
また、サーバ10は、稼働状態データに基づいて、複数の固定装置11A~11E及び移動装置12A,12Bのうち、稼働率の低い固定装置11A~11E及び/又は移動装置12A,12Bを導出し、生産乖離が小さくなるように、稼働率の低い固定装置11A~11E及び/又は移動装置12A,12Bの稼働状態を修正する。これにより、製造管理システム1は、稼働率の低い固定装置11A~11E及び/又は移動装置12A,12Bの稼働状態を適切に修正することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の製造管理システム1は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の製造管理システム1により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0046】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0047】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 製造管理システム
10 サーバ
11A~11E 固定装置
12A,12B 移動装置
13 ストッカー
100 制御部
101 生産計画算出部
102 移動計画算出部
103 生産乖離算出部
104 稼働状態修正部
105 シミュレーション部
106 通知部
110 記憶部
120 通信部
図1
図2
図3