(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】射出成形機の操作パネル
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20240402BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20240402BHJP
B22D 17/32 20060101ALI20240402BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20240402BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20240402BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/76
B22D17/32 Z
G06F3/0484
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2022541479
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2021028007
(87)【国際公開番号】W WO2022030341
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020132086
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】内山 辰宏
(72)【発明者】
【氏名】丸山 淳平
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214212(JP,A)
【文献】特開2014-19039(JP,A)
【文献】実開平6-7916(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/17
B29C 45/76
B22D 17/32
G06F 3/0484
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の操作パネルであって、
表示画面を有し、射出成形機の駆動対象を選択する対象選択ボタン、および前記駆動対象の動作を開始させる動作開始ボタンを前記表示画面に表示する表示部と、
前記表示画面に設けられ、オペレータの前記表示画面上におけるタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記対象選択ボタンがタッチされ、そのタッチが維持された状態で、前記動作開始ボタンがタッチされた場合は、前記対象選択ボタンによって選択された
前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する操作認識部と、
を備え
、
前記駆動対象は、移動可能であり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の移動を開始させるボタンであり、
前記表示部は、前記対象選択ボタンの表示位置に対する前記動作開始ボタンの表示位置の方向が、前記駆動対象の移動方向となるように前記対象選択ボタンおよび前記動作開始ボタンを表示させ、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の前記移動方向における複数の移動速度に対応して複数設けられ、
前記表示部は、前記対象選択ボタンの表示位置に対する前記動作開始ボタンの表示位置の距離が、前記動作開始ボタンの操作によって前記駆動対象が移動する移動速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタンおよび複数の前記動作開始ボタンを表示させる、射出成形機の操作パネル。
【請求項2】
請求項
1に記載の射出成形機の操作パネルであって、
前記駆動対象は、複数の移動方向に移動可能であり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の複数の移動方向に対応して複数設けられ、
前記表示部は、前記対象選択ボタンの表示位置に対する複数の前記動作開始ボタンの表示位置の方向が、前記動作開始ボタンの操作によって前記駆動対象が移動する方向となるように前記対象選択ボタンおよび複数の前記動作開始ボタンを表示させる、射出成形機の操作パネル。
【請求項3】
射出成形機の操作パネルであって、
表示画面を有し、射出成形機の駆動対象を選択する対象選択ボタン、および前記駆動対象の動作を開始させる動作開始ボタンを前記表示画面に表示する表示部と、
前記表示画面に設けられ、オペレータの前記表示画面上におけるタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記対象選択ボタンがタッチされ、そのタッチが維持された状態で、前記動作開始ボタンがタッチされた場合は、前記対象選択ボタンによって選択された前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する操作認識部と、
を備え、
前記駆動対象は、移動可能であり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の移動を開始させるボタンであり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の複数の移動速度に対応して複数設けられ、
前記表示部は、前記対象選択ボタンの表示位置に対する前記動作開始ボタンの表示位置の距離が、前記動作開始ボタンの操作によって前記駆動対象が移動する移動速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタンおよび前記動作開始ボタンを表示させる、射出成形機の操作パネル。
【請求項4】
射出成形機の操作パネルであって、
表示画面を有し、射出成形機の駆動対象を選択する対象選択ボタン、および前記駆動対象の動作を開始させる動作開始ボタンを前記表示画面に表示する表示部と、
前記表示画面に設けられ、オペレータの前記表示画面上におけるタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記対象選択ボタンがタッチされ、そのタッチが維持された状態で、前記動作開始ボタンがタッチされた場合は、前記対象選択ボタンによって選択された前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する操作認識部と、
を備え、
前記駆動対象は、回転可能であり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の回転を開始させるボタンであり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の正の回転方向と前記正の回転方向とは逆の回転方向とに対応して少なくとも2つ設けられ、
前記表示部は、前記正の回転方向で前記駆動対象を回転させる前記動作開始ボタンの表示位置の前記対象選択ボタンの表示位置に対する方向と、前記逆の回転方向で前記駆動対象を回転させる前記動作開始ボタンの表示位置の前記対象選択ボタンの前記表示位置に対する方向とが、互いに反対となるように前記対象選択ボタンおよび少なくとも2つの前記動作開始ボタンを表示させ、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の回転方向における複数の回転速度に対応して複数設けられ、
前記表示部は、前記対象選択ボタンの表示位置に対する前記動作開始ボタンの表示位置の距離が、前記動作開始ボタンの操作によって前記駆動対象が回転する回転速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタンおよび前記動作開始ボタンを表示させる、射出成形機の操作パネル。
【請求項5】
射出成形機の操作パネルであって、
表示画面を有し、射出成形機の駆動対象を選択する対象選択ボタン、および前記駆動対象の動作を開始させる動作開始ボタンを前記表示画面に表示する表示部と、
前記表示画面に設けられ、オペレータの前記表示画面上におけるタッチ位置を検出するタッチパネルと、
前記対象選択ボタンがタッチされ、そのタッチが維持された状態で、前記動作開始ボタンがタッチされた場合は、前記対象選択ボタンによって選択された前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する操作認識部と、
を備え、
前記駆動対象は、回転可能であり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の回転を開始させるボタンであり、
前記動作開始ボタンは、前記駆動対象の複数の回転速度に対応して複数設けられ、
前記表示部は、前記対象選択ボタンの表示位置に対する前記動作開始ボタンの表示位置の距離が、前記動作開始ボタンの操作によって前記駆動対象が回転する回転速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタンおよび前記動作開始ボタンを表示させる、射出成形機の操作パネル。
【請求項6】
請求項1
~5のいずれか1項に記載の射出成形機の操作パネルであって、
前記操作認識部は、前記対象選択ボタンがタッチされた後にタッチ位置がスライドされ、且つ、そのタッチが継続された状態で、前記動作開始ボタンがタッチされた場合は、前記対象選択ボタンによって選択された
前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する、射出成形機の操作パネル。
【請求項7】
請求項
6に記載の射出成形機の操作パネルであって、
前記操作認識部は、前記対象選択ボタンからスライドされるタッチ位置が前記動作開始ボタンに到達した場合に、前記対象選択ボタンによって選択された
前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する、射出成形機の操作パネル。
【請求項8】
請求項1
~5のいずれか1項に記載の射出成形機の操作パネルであって、
前記操作認識部は、前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識した後に、前記対象選択ボタンおよび前記動作開始ボタンのいずれか一方のタッチが解除された場合は、前記駆動対象の動作の停止が指示されたと認識する、射出成形機の操作パネル。
【請求項9】
請求項1
~5のいずれか1項に記載の射出成形機の操作パネルであって、
前記操作認識部は、前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識した後に、前記対象選択ボタンおよび前記動作開始ボタンの両方のタッチが解除された場合は、前記駆動対象の動作の停止が指示されたと認識する、射出成形機の操作パネル。
【請求項10】
請求項
7に記載の射出成形機の操作パネルであって、
前記操作認識部は、前記駆動対象の動作の開始が指示されたと認識した後に、前記動作開始ボタンのタッチが解除された場合は、前記駆動対象の動作の停止が指示されたと認識する、射出成形機の操作パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機の操作パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の分野において、タッチ操作式の操作パネルが知られている(例えば、特公平07-004845号公報)。
【発明の概要】
【0003】
タッチ操作式の操作パネルは、オペレータが意図しない操作を認識することがある。その原因としては、例えばオペレータによる誤操作、およびタッチパネルの誤動作がある。この場合、射出成形機の駆動対象がオペレータの意図しない動作を行う。
【0004】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【0005】
本発明の態様は、射出成形機の操作パネルであって、表示画面を有し、射出成形機の駆動対象を選択する対象選択ボタン、および前記駆動対象の動作を開始させる動作開始ボタンを前記表示画面に表示する表示部と、前記表示画面に設けられ、オペレータの前記表示画面上におけるタッチ位置を検出するタッチパネルと、前記対象選択ボタンがタッチされ、そのタッチが維持された状態で、前記動作開始ボタンがタッチされた場合は、前記対象選択ボタンによって選択された駆動対象の動作の開始が指示されたと認識する操作認識部と、を備える。
【0006】
本発明によれば、駆動対象の誤動作のおそれが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態の操作パネルが適用される射出成形機の構成図である。
【
図4】操作認識部による駆動対象の動作の開始指示の認識処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】エジェクタ装置の操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図7】中子の操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図9】金型クランプ装置の操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図11】スクリュの前進移動の操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図12】スクリュの回転の操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図14】金型の回転操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図15】射出成形機に備わるロボットの模式的な構成図である。
【
図16】ロボットの操作に適用された操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図17】変形例2の操作認識部による駆動対象の動作の開始指示および停止指示の認識処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図18】
図18Aは、変形例2における駆動対象の選択手順を説明するための第1の図である。
図18Bは、変形例2における駆動対象の選択手順を説明するための第2の図である。
【
図19】変形例5の操作パネルの表示画面を例示する図である。
【
図20】変形例7の操作パネルの表示画面を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施の形態]
図1は、実施の形態の操作パネル10が適用される射出成形機12の構成図である。
図1に矢印で示す開方向と閉方向とは互いに相反する方向である。本実施の形態では、開方向と閉方向とはいずれも水平に平行である。
【0009】
まず、
図1を参照して、本実施の形態の操作パネル10が適用される射出成形機12について説明する。
図1に示すように、射出成形機12は、金型14と、型締装置16と、機台18と、制御装置20とを備える。
【0010】
金型14は、固定金型22と、可動金型24とを有する。固定金型22は、開閉方向に関して移動しないように、機台18上に設置される。可動金型24は、開閉方向に沿って移動可能に、機台18上に設置される。
【0011】
型締装置16は、可動金型24を開閉方向に沿って移動させる装置である。型締装置16は、機台18上に設置される。型締装置16は、固定プラテン26と、可動プラテン28とを備える。固定プラテン26は、取付板102を介して固定金型22を支持する。可動プラテン28は、取付板104を介して可動金型24を支持する。また、型締装置16は、金型開閉機構30と、リアプラテン32と、複数のタイバー33とをさらに備える。金型開閉機構30は、可動プラテン28を開閉方向に沿って移動させる。可動金型24は、可動プラテン28と一緒に移動する。リアプラテン32は、可動プラテン28から開方向に離れた位置に設置される。複数のタイバー33は、固定プラテン26とリアプラテン32とを連結する。
【0012】
金型開閉機構30は、本実施の形態ではトグル式の開閉機構である。すなわち、金型開閉機構30は、クロスヘッド36と、ナット38と、ボールネジ40とを備える。クロスヘッド36は、トグルリンク34を介して可動プラテン28に接続される。また、ナット38は、クロスヘッド36に連結される。ボールネジ40には、ナット38が螺合する。ボールネジ40の軸線方向は開閉方向である。ボールネジ40はリアプラテン32によって回転可能に支持される。また、金型開閉機構30は、従動プーリ42と、モータ44と、駆動プーリ46と、ベルト48とをさらに備える。従動プーリ42は、ボールネジ40と一体的に回転する。駆動プーリ46は、モータ44の回転軸(シャフト)と一体的に回転する。ベルト48は、駆動プーリ46から従動プーリ42へと回転力を伝達する。なお、モータ44は、図示しないアンプによって駆動される。このアンプは制御装置20に接続されている。このアンプは、制御装置20によって制御される。したがって、モータ44は、制御装置20によって、実質的に制御される。
【0013】
モータ44は、ボールネジ40を回転させる。ボールネジ40が回転すると、クロスヘッド36およびナット38が開閉方向に沿って移動する。クロスヘッド36が開閉方向に沿って移動すると、可動プラテン28および可動金型24が、開閉方向に沿って一体的に移動する。可動金型24は、閉方向に移動することで、固定金型22と接する(型閉じ)。型閉じを行うと、金型14にキャビティが形成される。また、可動金型24は、開方向に移動することで、固定金型22から離れる(型開き)。
【0014】
制御装置20は、射出成形機12全体の制御を担う電子装置(コンピュータ)である。制御装置20は、図示しないプロセッサおよびメモリを備える。制御装置20のメモリには、所定のプログラムが格納される。制御装置20のプロセッサは、所定のプログラムを実行することで、射出成形機12を制御する。
【0015】
制御装置20には操作パネル10が設けられる。オペレータは、制御装置20に指示(駆動対象50の動作に関する指示)を出すために、操作パネル10を使用する。
【0016】
駆動対象50は、射出成形機12において所定の動作を行う要素である。例えば前述した金型14(より正確には、金型14の可動金型24)は、射出成形機12において型開きおよび型閉じを行う。したがって、金型14は駆動対象50の具体例の1つである。この場合、操作パネル10は、型開きの開始、および型閉じの開始を、オペレータが制御装置20に指示するために使用される。以下の説明では、金型14を駆動対象50として、型開き(開始/停止)、および型閉じ(開始/停止)の各々をオペレータが指示するための操作パネル10の一例を説明する。
【0017】
図2は、実施の形態の操作パネル10の正面図である。
【0018】
図2に示すように、操作パネル10は表示部54と、タッチパネル56とを備える。表示部54は表示画面52を有する。表示画面52は例えば液晶画面である。ただし、表示画面52の材料は液晶に限定されない。例えば表示画面52の材料は、有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)であってもよい。なお、
図2の表示画面52に表示されているユーザインターフェース(UI:User Interface)は、本実施の形態をできるだけ簡単に説明するための例示である。操作パネル10のUIは
図2に限定されず、表示画面52には
図2に示す以外にも複数のボタンが表示されてもよい。
【0019】
表示画面52には、対象選択ボタン58と、動作開始ボタン60とが表示される。対象選択ボタン58と、動作開始ボタン60との各々は、いずれも表示制御部66が行う処理によって表示される。表示制御部66の詳細な説明は後述する。対象選択ボタン58は、射出成形機12の駆動対象50を選択する仮想的なボタンである。
図2の金型ボタン58
1は、駆動対象50として金型14を選択する対象選択ボタン58の具体例である。動作開始ボタン60は駆動対象50の動作を開始させる仮想的なボタンである。
図2の型開きボタン60
1は、金型14の型開きを開始させる動作開始ボタン60の具体例である。
図2の型閉じボタン60
2は、金型14の型閉じを開始させる動作開始ボタン60の具体例である。
【0020】
タッチパネル56は、オペレータが表示画面52にタッチしたときに、そのタッチ位置を検出するための電子部品である。タッチパネル56は、オペレータが表示画面52にタッチしたときに、そのタッチ位置に応じた信号(
図3の位置信号S
T)を操作認識部68に入力する。操作認識部68の詳細は後述する。
【0021】
図3は、操作パネル10の機能的な概略構成図である。
【0022】
図3に示すように、操作パネル10は、演算部62と記憶部64とをさらに備える。演算部62は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを含む。記憶部64は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリを含む。なお、演算部62は、前述した制御装置20の不図示のプロセッサを含んでもよい。また、記憶部64は、前述した制御装置20の不図示のメモリを含んでもよい。
【0023】
演算部62は、表示制御部66と、操作認識部68とを有する。記憶部64には、制御プログラム70が記憶される。制御プログラム70は、操作パネル10の制御機能を実現するためのプログラムである。演算部62は、制御プログラム70を実行することで、表示制御部66と操作認識部68との各々を実現する。
【0024】
表示制御部66は、対象選択ボタン58および動作開始ボタン60の各々を表示画面52に表示させる。表示制御部66は、駆動対象50が複数の移動方向に移動可能であれば、その複数の移動方向に対応して複数の動作開始ボタン60を表示画面52に表示させる。これにより、例えば
図2に例示される金型ボタン58
1と、型開きボタン60
1と、型閉じボタン60
2とが表示画面52に表示される。
【0025】
表示画面52上においては、対象選択ボタン58から動作開始ボタン60に向かう方向が、駆動対象50の移動方向に合っていると、好ましい。これにより、動作開始ボタン60で指示できる駆動対象50の移動方向が、オペレータにとって分かりやすくなる。例えば、操作パネル10が設置される位置から見て開方向が左方向であれば、表示制御部66は型開きボタン601を表示画面52上で金型ボタン581の左方に表示させる。同様に、操作パネル10が設置される位置から見て閉方向が右方向であれば、表示制御部66は型閉じボタン602を表示画面52上で金型ボタン581の右方に表示させる。このようにすれば、例えば型開きボタン601について、可動金型24を開方向に移動させたいとき(型開きを指示するとき)にタッチするボタンであるとオペレータが直感的に理解しやすくなる。
【0026】
また、動作開始ボタン60の形状(アイコン)は、移動方向を指すような形状であることが好ましい。移動方向を指すような形状とは、例えば矢印状である。例えば
図2の例示では、型開きボタン60
1は、開方向を指す矢印アイコンで表示されている。また、
図2の例示では、型閉じボタン60
2は閉方向を指す矢印アイコンで表示されている。
【0027】
操作認識部68には、タッチパネル56から位置信号STが入力される。操作認識部68は、位置信号STに基づいて、表示画面52上のどこがタッチされたのかを認識する。例えば、位置信号STが金型ボタン581の表示領域を示していた場合には、操作認識部68は、金型ボタン581がタッチされたと認識する。
【0028】
また、操作認識部68は、対象選択ボタン58がタッチされた状態で、動作開始ボタン60がタッチされた場合は、対象選択ボタン58によって選択された駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識する。これについて、以下、具体的に説明する。
【0029】
図4は、操作認識部68による駆動対象50の動作の開始指示の認識処理の流れを例示するフローチャートである。
【0030】
操作認識部68は、対象選択ボタン58のタッチがなければ(S1:NO)、動作開始ボタン60のタッチの有無に関わらず、駆動対象50の動作の開始が指示されたとは認識しない。例えば
図2の例において、金型ボタン58
1がタッチされていない状態で型開きボタン60
1がタッチされても、操作認識部68は、型開きが指示されたとは認識しない。また例えば、金型ボタン58
1がタッチされていない状態で型閉じボタン60
2がタッチされても、操作認識部68は金型14の型閉じが指示されたとは認識しない。
【0031】
操作認識部68は、対象選択ボタン58がタッチされたまま(S1:YES)、動作開始ボタン60がタッチされた場合に(S2:YES)、対象選択ボタン58によって選択された駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識する(S3)。例えば
図2の例において、金型ボタン58
1がタッチされ、そのタッチが維持された状態で型開きボタン60
1がタッチされると、操作認識部68は型開きの開始が指示されたと認識する。別の例として、例えば金型ボタン58
1がタッチされ、そのタッチが維持された状態で型閉じボタン60
2がタッチされると、操作認識部68は型閉じの開始が指示されたと認識する。
【0032】
以上の認識方法によれば、駆動対象50である金型14がオペレータの意図なしに開閉動作を開始するおそれが低減される。すなわち、オペレータは、金型14の開閉を指示するときは、金型ボタン581をタッチした後、そのタッチを維持したまま型開きボタン601または型閉じボタン602をさらにタッチする。このように、上記認識方法は、オペレータが金型14の開閉を指示するときに複数の操作ステップを必須とする。これにより、操作認識部68は、オペレータの不用意な表示画面52への接触(タッチ)を動作の開始指示であると認識しにくくなる。また、タッチパネル56の誤検出を原因として、操作認識部68が金型14の開閉指示があったと誤認識するおそれが低減される。
【0033】
操作認識部68は、金型14の動作の開始が指示されたと認識すると、金型14の開閉指示があった旨を示す信号を制御装置20に出力する。これにより、制御装置20は、モータ44を駆動するためのアンプを制御してオペレータの指示通りに金型14を開閉させることができる。
【0034】
また、操作認識部68は、駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識した後に、対象選択ボタン58および動作開始ボタン60の両方のタッチが解除された場合は、駆動対象50の動作の停止が指示されたと認識する。これについて、以下、
図4をさらに参照して具体的に説明する。
【0035】
操作認識部68は、駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識した後に対象選択ボタン58および動作開始ボタン60のいずれか一方のタッチが維持されている間は、駆動対象50の動作の停止が指示されたとは認識しない。すなわち、操作認識部68は、対象選択ボタン58のタッチが解除されていなければ(S4:NO)、駆動対象50の動作の停止が指示されたとは認識しない。また、操作認識部68は、対象選択ボタン58のタッチが仮に解除されても、動作開始ボタン60のタッチが解除されていなければ(S5:NO)、駆動対象50の動作の停止が指示されたとは認識しない。操作認識部68は、例えば
図2の例において、型開きの開始が指示されたと認識した後は、金型ボタン58
1と型開きボタン60
1とのうち金型ボタン58
1のタッチが解除されるのみでは、型開きの停止が指示されたとは認識しない。同様に、操作認識部68は、型開きの開始が指示されたと認識した後は、金型ボタン58
1と型開きボタン60
1とのうち型開きボタン60
1のタッチのみが解除されても、型開きの停止が指示されたとは認識しない。
【0036】
操作認識部68は、駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識した後に対象選択ボタン58および動作開始ボタン60の両方のボタンのタッチが解除された場合に(S4:YES、S5:YES)、駆動対象50の動作の停止が指示されたと認識する(S6)。操作認識部68は、例えば
図2の例において型開きの開始が指示されたと認識した後に金型ボタン58
1と型開きボタン60
1との両方のタッチが解除されると、型開きの停止が指示されたと認識する。その後、操作認識部68は駆動対象50を停止させる指示があった旨を示す信号を制御装置20に出力する。この信号を受けて、制御装置20は、駆動対象50を停止させる。
【0037】
以上の認識方法によれば、オペレータの意図なしに駆動対象50である金型14が開閉動作を停止するおそれが低減される。すなわち、金型14の開動作の停止を指示するためには、オペレータは金型ボタン581のタッチと、型開きボタン601のタッチとの両方を解除する必要がある。これにより、例えば金型ボタン581と型開きボタン601とのいずれか一方のタッチが(例えば指の位置ずれ等によって)オペレータの意図なしに解除されたとしても、型開き動作は停止しない。また、例えばタッチパネル56の調子が悪い場合において、オペレータがタッチを継続しているのにも関わらず、操作認識部68が型開きの停止が指示されたと誤認識するおそれが低減される。
【0038】
以上が、本実施の形態の操作パネル10の全体的な構成例である。ただし、駆動対象50は金型14に限定されない。以下の説明では、駆動対象50について具体例をいくつか挙げる。また、例に挙げた駆動対象50を操作する場合における操作パネル10の適用例を説明する。
【0039】
以下の適用例1~適用例3では、型締装置16に備わる駆動対象50の具体例を挙げる。
【0040】
(適用例1)
図1に示すように、前述の型締装置16は、エジェクタ装置72をさらに備える。エジェクタ装置72は、可動金型24から成形品を取り外すために駆動する装置である。エジェクタ装置72は、エジェクタピン74と、エジェクタプレート76と、ナット78と、ボールネジ80とを備える。エジェクタピン74は、成形品を突き出すためのピン(棒状部材)である。エジェクタプレート76は、エジェクタピン74を支持する。ナット78は、エジェクタプレート76に連結される。ボールネジ80にはナット78が螺合する。ボールネジ80の軸線方向は、エジェクタピン74が金型14に向かう
図1の突き出し方向(突き出し方向とは逆向きの後退方向)と平行である。また、エジェクタ装置72は、従動プーリ82と、モータ84と、駆動プーリ86と、ベルト88とをさらに備える。従動プーリ82は、ボールネジ80と一体的に回転する。駆動プーリ86は、モータ84の回転軸(シャフト)と一体的に回転する。ベルト88は、駆動プーリ86から従動プーリ82へと回転力を伝達する。
【0041】
エジェクタ装置72は、モータ84を駆動させることでボールネジ80を回転させる。また、エジェクタ装置72は、ボールネジ80の回転によってエジェクタプレート76およびエジェクタピン74を移動させる。エジェクタピン74の移動方向は、モータ84の回転軸の回転方向を切り替えることで、突き出し方向と後退方向とに切り替え可能である。エジェクタピン74は、突き出し方向に移動することで可動金型24から成形品を押し出す。これにより、成形品が可動金型24から取り外される。エジェクタピン74は、可動金型24から成形品を押し出した後は、後退方向に移動することで元の位置に戻る。モータ84は、図示しないアンプによって駆動される。このアンプは制御装置20に接続されている。このアンプは、制御装置20によって制御される。したがって、モータ84は、制御装置20によって、実質的に制御される。
【0042】
図5は、エジェクタ装置72の操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0043】
以上のように突き出し動作および後退動作の各々を行うエジェクタ装置72(エジェクタピン74)は、駆動対象50の具体例の1つである。操作パネル10は、エジェクタ装置72を操作するために適用されてもよい。具体的には例えば、操作パネル10はエジェクタピン74の突き出しと後退との各々を指示するために適用されてもよい。この場合、表示画面52に表示されるUIは、例えば
図5のようになる。
図5の表示画面52には、エジェクタボタン58
2、突き出しボタン60
3、および後退ボタン60
4が表示されている。エジェクタボタン58
2は、駆動対象50としてエジェクタ装置72(エジェクタピン74)を選択するための対象選択ボタン58である。突き出しボタン60
3は、エジェクタピン74の突き出し動作の開始を指示するための動作開始ボタン60である。後退ボタン60
4は、エジェクタピン74の後退動作の開始を指示するための動作開始ボタン60である。後退ボタン60
4は、表示画面52上でエジェクタボタン58
2より開方向側に表示されると好ましい。また、突き出しボタン60
3は表示画面52上でエジェクタボタン58
2から閉方向の方の領域に表示されると好ましい。
【0044】
本適用例では、オペレータはエジェクタボタン582にタッチしたまま突き出しボタン603にタッチする。これにより、エジェクタピン74の突き出しが制御装置20に指示される。また、オペレータは、エジェクタボタン582にタッチしたまま後退ボタン604にタッチする。これにより、エジェクタピン74の後退が制御装置20に指示される。
【0045】
(適用例2)
図6は、中子駆動装置90の模式的な構成図である。
【0046】
図1では割愛したが、型締装置16は
図6に示すような中子駆動装置90をさらに備える。中子駆動装置90は、中子92と、油圧シリンダ94とを備える。油圧シリンダ94は、金型14のキャビティの内外に中子92を移動させるアクチュエータである。油圧シリンダ94は、
図6の例では紙面の上下方向に沿って中子92を移動させる。油圧シリンダ94は制御装置20によって制御される。
【0047】
図7は、中子92の操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0048】
以上の中子駆動装置90(中子92)は、駆動対象50の具体例の1つである。操作パネル10は、中子駆動装置90を操作するために適用されてもよい。具体的には例えば、操作パネル10はキャビティの内外への中子92の移動を操作するために適用されてもよい。この場合、表示画面52に表示されるUIは例えば
図7のようになる。
図7の表示画面52には、中子ボタン58
3と、中子セットボタン60
5と、中子プルボタン60
6とが表示されている。中子ボタン58
3は、駆動対象50として中子駆動装置90(中子92)を選択するための対象選択ボタン58である。中子セットボタン60
5は、キャビティ内への中子92の移動(中子セット)の開始を指示するための動作開始ボタン60である。中子プルボタン60
6は、キャビティ外への中子92の移動(中子プル)の開始を指示する動作開始ボタン60である。
【0049】
本適用例では、オペレータは、中子ボタン583にタッチしたまま中子セットボタン605にタッチする。これにより、中子セットの開始が制御装置20に指示される。また、オペレータは、中子ボタン583にタッチし、そのタッチを維持した状態で中子プルボタン606にタッチする。これにより、中子プルの開始が制御装置20に指示される。
【0050】
なお、中子92を移動させるアクチュエータは、油圧シリンダ94に限定されない。例えば中子92を移動させるアクチュエータは、モータであってもよい。
【0051】
(適用例3)
図8は、金型クランプ装置96の模式的な構成図である。
【0052】
図1では割愛したが、型締装置16は
図8に示す金型クランプ装置96をさらに備える。金型クランプ装置96は、この例では油圧式のクランプ装置である。すなわち、金型クランプ装置96は、クランパ98と、油圧シリンダ100と、を備える。クランパ98は、固定プラテン26に取り付けられるクランパ98と、可動プラテン28に取り付けられるクランパ98とがある。油圧シリンダ100は、クランパ98を駆動させる。固定プラテン26に取り付けられたクランパ98は、固定金型22が取り付けられた取付板102に係合(クランプ)する。これにより、固定金型22が固定プラテン26に固定される。可動プラテン28に取り付けられたクランパ98は、可動金型24が取り付けられた取付板104に係合(クランプ)する。これにより、可動金型24が可動プラテン28に固定される。油圧シリンダ100はクランパ98の係合とその解除(アンクランプ)とを切り替える。
【0053】
図9は、金型クランプ装置96の操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0054】
金型クランプ装置96(クランパ98)は、駆動対象50の具体例の1つである。操作パネル10は、金型クランプ装置96を操作するために適用されてもよい。具体的には例えば、操作パネル10は、金型クランプ装置96による金型14のクランプとアンクランプとの切り替えを指示するために適用されてもよい。この場合、表示画面52に表示されるUIは、例えば
図9のようになる。
図9の表示画面52には、クランパボタン58
4、クランプボタン60
7、およびアンクランプボタン60
8が表示されている。クランパボタン58
4は、駆動対象50として金型クランプ装置96(クランパ98)を選択するための対象選択ボタン58である。クランプボタン60
7は、金型14のクランプを指示するための動作開始ボタン60である。アンクランプボタン60
8は、金型14のアンクランプを指示するための動作開始ボタン60である。
【0055】
本適用例では、オペレータは、クランパボタン584にタッチしたままクランプボタン607にタッチする。これにより、金型14のクランプが制御装置20に指示される。また、オペレータは、クランパボタン584にタッチしたままアンクランプボタン608にタッチする。これにより、金型14のアンクランプが制御装置20に指示される。
【0056】
以上、型締装置16に備わる駆動対象50の具体例を挙げた適用例1~適用例3を説明した。続いて、以下の適用例4~適用例5では、射出装置106に備わる駆動対象50の具体例を挙げる。
【0057】
(適用例4)
図1に示すように、射出成形機12は、射出装置106をさらに備える。射出装置106は、成形品の材料(樹脂材料)を溶融して金型14に射出する装置である。
【0058】
図10は、射出装置106の模式的な構成図である。
図10に示す射出装置106の前後方向は、金型14の開閉方向と平行である。
図10では割愛しているが、金型14と、型締装置16とは、射出装置106よりも前方向の位置に設置される。
【0059】
図10により詳しく示すように、射出装置106は、シリンダ108と、ノズル110と、スクリュ112とを備える。シリンダ108は筒状の部材である。ノズル110は、シリンダ108の前方向の先端に取り付けられる。スクリュ112は、シリンダ108内に設置される。スクリュ112の軸線方向は前後方向に平行である。
【0060】
射出装置106は、第1駆動装置114と、スクリュ112をシリンダ108内で回転させる第2駆動装置116とをさらに備える。第1駆動装置114は、スクリュ112をシリンダ108内で移動させる装置である。第1駆動装置114は、モータ118と、駆動プーリ120と、従動プーリ122と、ベルト124とを備える。駆動プーリ120は、モータ118の回転軸(シャフト)と一体的に回転する。従動プーリ122は、スクリュ112と一体的に回転する。ベルト124は、駆動プーリ120から従動プーリ122へと回転力を伝達する。また、第1駆動装置114は、ボールネジ126と、ナット128とをさらに備える。ボールネジ126は、スクリュ112の軸線方向に延在する。ナット128は、ボールネジ126に螺合する。この第1駆動装置114は、モータ118を駆動させることでスクリュ112を前後方向に移動させる。モータ118は図示しないアンプによって駆動される。このアンプは制御装置20に接続されている。このアンプは制御装置20によって制御される。したがって、モータ118は、制御装置20によって、実質的に制御される。
【0061】
第2駆動装置116は、スクリュ112をシリンダ108内で回転させる装置である。第2駆動装置116は、モータ130と、駆動プーリ132と、従動プーリ134と、ベルト136とを備える。駆動プーリ132は、モータ130の回転軸(シャフト)と一体的に回転する。従動プーリ134は、スクリュ112と一体的に回転する。ベルト136は、駆動プーリ132から従動プーリ134へと回転力を伝達する。この第2駆動装置116は、モータ130の駆動に応じてスクリュ112を回転させる。モータ130は図示しないアンプによって駆動される。このアンプは制御装置20に接続されている。このアンプは制御装置20によって制御される。したがって、モータ130は、制御装置20によって、実質的に制御される。
【0062】
射出装置106は、ホッパ138と、ヒータ140とをさらに備える。ホッパ138は、樹脂材料を貯蔵する。樹脂材料は、ホッパ138からシリンダ108に投入される。ヒータ140は、シリンダ108に投入された樹脂材料を熱で溶融する。
【0063】
ホッパ138に貯蔵される樹脂材料は、例えば粒状の固形物(ペレット)である。このペレットは、ヒータ140の熱と、スクリュ112の回転によって生じるせん断熱とによって、固形物から可塑性の溶融樹脂に変化する。スクリュ112は、所定の回転方向に沿って回転する。これにより、溶融樹脂は、シリンダ108内で前方向(ノズル110の方)に向かって圧送される。この圧送に伴い、スクリュ112は溶融樹脂から反力を受けて後退する。射出装置106は、所定量の溶融樹脂をノズル110の方に圧送した後は、スクリュ112を前進させる。これにより、シリンダ108内の溶融樹脂がノズル110を通じてシリンダ108の外に射出される。
【0064】
射出装置106(スクリュ112)は、駆動対象50の具体例の1つである。操作パネル10は、以上の射出装置106を操作するために適用されてもよい。具体的には例えば、操作パネル10は、溶融樹脂の射出時におけるスクリュ112の前進移動を指示するために適用されてもよい。
【0065】
図11は、スクリュ112の前進移動の操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0066】
スクリュ112の前進移動を操作パネル10で操作する場合、表示画面52に表示されるUIは例えば
図11のようになる。
図11の表示画面52には、第1のスクリュボタン58
5および射出ボタン60
9が表示されている。第1のスクリュボタン58
5は、駆動対象50としてスクリュ112を選択するための対象選択ボタン58である。射出ボタン60
9は、射出時におけるスクリュ112の前進移動の開始を指示するための動作開始ボタン60である。前述したように、射出ボタン60
9は、表示画面52上で第1のスクリュボタン58
5よりも前方向(
図11の紙面左方向)側に表示されると好ましい。
【0067】
本適用例では、オペレータは第1のスクリュボタン585にタッチしたまま射出ボタン609にタッチする。これにより、スクリュ112の前進移動(射出)の開始が制御装置20に指示される。
【0068】
(適用例5)
操作パネル10は、適用例4で説明した溶融樹脂の圧送時におけるスクリュ112の回転動作を指示するために適用されてもよい。
【0069】
図12は、スクリュ112の回転の操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0070】
スクリュ112の回転を操作パネル10で操作する場合、表示画面52に表示されるUIは例えば
図12のようになる。
図12の表示画面52には、第2のスクリュボタン58
6およびスクリュ回転ボタン60
10が表示されている。第2のスクリュボタン58
6は駆動対象50としてスクリュ112を選択するための対象選択ボタン58である。スクリュ回転ボタン60
10は、溶融樹脂の圧送(スクリュ112の所定の回転方向に沿った回転)の開始を指示するための動作開始ボタン60である。
【0071】
図12に示したスクリュ回転ボタン60
10は、略円弧状の矢印形状を有する。このように、駆動対象50の回転を指示する動作開始ボタン60の形状(アイコン)は、その指示する動作が回転であることを示すような形状であることが好ましい。これにより、その動作開始ボタン60を操作することで制御装置20に指示される動作内容が、オペレータにとって分かりやすくなる。
【0072】
本適用例では、オペレータは、第2のスクリュボタン586にタッチしたままスクリュ回転ボタン6010にタッチする。これにより、溶融樹脂の圧送(スクリュ112の所定の回転方向に沿った回転)の開始が制御装置20に指示される。
【0073】
以上、射出装置106に備わる駆動対象50の具体例を挙げた適用例4~適用例5を説明した。以下の適用例6~適用例7では、上記以外の駆動対象50の具体例を挙げて操作パネル10の適用例を説明する。
【0074】
(適用例6)
図13は、金型回転装置142を例示する模式図である。
図13は、金型14の開閉方向に沿った視点である。
【0075】
射出成形機12は、
図13に示す金型回転装置142をさらに備えてもよい。金型回転装置142は、金型14を回転させるための装置である。金型回転装置142は、例えば
図13に示すように、回転盤144と、モータ146とを備える。回転盤144は、固定プラテン26に設置される。回転盤144は、固定金型22を回転可能に支持する。モータ146は、回転盤144に回転力を与える。なお、
図13では簡単に示しているが、回転盤144とモータ146との間には、実際には、モータ146の回転力を回転盤144に伝達するための複数の部材(プーリ、ギア)が設置される場合がある。回転盤144は、モータ146の駆動に応じて回転する。その結果、固定金型22は、回転盤144と一緒に回転する。モータ146は、例えばサーボモータである。モータ146は、制御装置20によって制御される。なお、回転盤144は、可動プラテン28に設置されてもよい。その場合、回転盤144は、固定金型22ではなく可動金型24を回転可能に支持する。これにより、可動金型24は、回転盤144と一緒に回転する。
【0076】
図14は、金型14の回転操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0077】
金型回転装置142を備える射出成形機12においては、金型14は回転動作を行う駆動対象50である。この場合、操作パネル10は、金型14(回転盤144)の回転を操作するために適用されてもよい。この場合に表示画面52に表示されるUIは例えば
図14のようになる。
図14の表示画面52には、金型ボタン58
7が表示されている。金型ボタン58
7は、回転する駆動対象50として金型14(回転盤144)を選択するための対象選択ボタン58である。また、
図14の表示画面52には、正回転ボタン60
11と、逆回転ボタン60
12とが表示されている。正回転ボタン60
11は、金型14を正の回転方向に沿って回転させるための動作開始ボタン60である。逆回転ボタン60
12は、金型14を逆回転方向(正の回転方向とは逆の回転方向)に沿って回転させるための動作開始ボタン60である。なお、本適用例では、正の回転方向を
図13の視点での右回り方向としている(逆回転方向は、左回り方向)。
【0078】
図14では、金型14の右回りを指示するための正回転ボタン60
11が、表示画面52のうち金型ボタン58
7の右方に表示されている。これにより、正回転ボタン60
11を操作することで制御装置20に指示される金型14の回転方向(右回り方向)が、オペレータにとって直感的に分かりやすくなる。また、
図14では、金型14の左回りを指示する逆回転ボタン60
12が、表示画面52のうち金型ボタン58
7の左方に表示されている。これにより、逆回転ボタン60
12を操作することで制御装置20に指示される金型14の回転方向(左回り方向)が、オペレータにとって直感的に分かりやすくなる。このように、駆動対象50が複数の回転方向に回転可能である場合には、その複数の回転方向に応じて複数の動作開始ボタン60の配置を決めることが好ましい。
【0079】
本適用例では、オペレータは、金型ボタン587にタッチしたまま正回転ボタン6011にタッチする。これにより、金型14の回転(右回り)の開始が制御装置20に指示される。また、オペレータは金型ボタン587にタッチしたまま逆回転ボタン6012にタッチする。これにより、金型14の回転(左回り)の開始が制御装置20に指示される。
【0080】
(適用例7)
図15は、射出成形機12に備わるロボット148の模式的な構成図である。
【0081】
射出成形機12は、
図15に示すようなロボット148をさらに備えてもよい。ロボット148は、アーム150を備える。アーム150は、不図示の複数のモータにより駆動する。
図15において、アーム150の周囲の複数の矢印は、アーム150の駆動方向を示す。ただし、アーム150の駆動方向は
図15の例示に限定されない。ロボット148は、例えば金型14の近傍(側方)に、金型14とは間隔をおいて配置される。ロボット148のアーム150は、例えばインサート品を保持する。また、アーム150は、例えばインサート品をキャビティに挿入する。あるいは、ロボット148のアーム150は、成形品を金型14から取り出して、その成形品を成形品置き場(コンベヤ)に置く。
【0082】
図16は、ロボット148の操作に適用された操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0083】
本実施の形態の操作パネル10は、以上のロボット148を操作するために適用されてもよい。具体的には例えば、操作パネル10はアーム150の移動先を操作するために適用されてもよい。この場合、表示画面52に表示されるUIは例えば
図16のようになる。
図16の表示画面52には、ロボットボタン58
8と、複数のアーム移動ボタン60
13とが表示されている。ロボットボタン58
8は、駆動対象50としてロボット148(アーム150)を選択するための対象選択ボタン58である。複数のアーム移動ボタン60
13の各々は、対応する駆動方向に沿ったアーム150の移動を指示するための動作開始ボタン60である。複数のアーム移動ボタン60
13の各々は、互いに異なる駆動方向に対応する。例えば表示画面52上でロボットボタン58
8の右方に表示されたアーム移動ボタン60
13は、
図15の紙面右方向に沿うアーム150の移動を指示するための動作開始ボタン60である。また、例えば表示画面52上でロボットボタン58
8の下方に表示されたアーム移動ボタン60
13は、
図15の紙面下方向に沿うアーム150の移動を指示するための動作開始ボタン60である。
【0084】
本適用例では、オペレータは、ロボットボタン588にタッチしたまま複数のアーム移動ボタン6013のいずれかにタッチする。これにより、アーム150の移動が制御装置20に指示される。
【0085】
[変形例]
以下、実施の形態に係る変形例について、いくつか具体例を挙げて説明する。ただし、以下の説明では、実施の形態で既に説明した要素については同名同符号を付す。また、実施の形態と重複する説明は適宜割愛する。
【0086】
(変形例1)
実施の形態の操作認識部68は、駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識した後に対象選択ボタン58および動作開始ボタン60の両方のボタンのタッチが解除された場合に、駆動対象50の動作の停止が指示されたと認識した。操作認識部68はこれに限定されない。すなわち、操作認識部68は、駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識した後に対象選択ボタン58および動作開始ボタン60のいずれか一方のボタンのタッチが解除された場合に、駆動対象50の動作の停止が指示されたと認識してもよい。この場合、オペレータは、駆動対象50の動作を停止させたいときは、対象選択ボタン58へのタッチと、動作開始ボタン60へのタッチとのうち、いずれか一方を解除する。これにより、駆動対象50の動作が、容易且つ速やかに停止される。
【0087】
(変形例2)
駆動対象50が選択されたと操作認識部68に認識させるために必要なタッチ操作には、いわゆるスライド操作が含まれてもよい。これにより、駆動対象50の誤動作のおそれがより一層低減される。以下、そのような本変形例について、図面を参照しつつ説明する。
【0088】
図17は、変形例2の操作認識部68による駆動対象50の動作の開始指示および停止指示の認識処理の流れを例示するフローチャートである。
【0089】
図17に示すように、本変形例の操作認識部68は、対象選択ボタン58がタッチされた後(S11:YES)、そのままタッチ位置がスライドされて動作開始ボタン60まで到達すると(S12:YES)、動作の開始が指示されたと認識する(S13)。仮に対象選択ボタン58から動作開始ボタン60までスライドする間にタッチが解除された場合には(S12:NO)、操作認識部68は駆動対象50の動作の開始が指示されたとは認識しない。また、本変形例の操作認識部68は、駆動対象50の動作開始が指示されたと認識した後に動作開始ボタン60のタッチが解除された場合は(S15:YES)、駆動対象50の動作の停止が指示されたと認識する(S16)。
【0090】
図18Aは、変形例2における駆動対象50の選択手順を説明するための第1の図である。
図18Bは、変形例2における駆動対象50の選択手順を説明するための第2の図である。
【0091】
図17に例示した操作の流れをオペレータの視点から説明する。すなわち、本変形例において駆動対象50の動作開始を指示しようとする場合、
図18Aに示すように、オペレータはまず対象選択ボタン58にタッチする。これにより、駆動対象50が選択される。次に、
図18Bに示すように、オペレータは、対象選択ボタン58をタッチしたまま、そのタッチ位置を動作開始ボタン60までスライドさせる。これにより、選択した駆動対象50が動作を開始する。オペレータは、駆動対象50の動作を停止させたい場合には、
図18Bの状態から動作開始ボタン60のタッチを解除する。これにより、駆動対象50の動作が速やかに停止する。
【0092】
本変形例によれば、駆動対象50は、対象選択ボタン58から動作開始ボタン60までタッチ位置がスライドされない限り動作を開始しない。したがって、例えばオペレータが不用意に対象選択ボタン58や動作開始ボタン60に触れてしまったとしても、それだけでは駆動対象50は動作を開始しない。すなわち、本変形例によれば、駆動対象50がオペレータの意図なしに停止するおそれが、実施の形態と比較してより一層低減される。
【0093】
また、本変形例によれば、駆動対象50の選択、選択した駆動対象50の動作の開始指示、および該動作の停止指示の各々が、オペレータの指一本による操作で完結する。したがって、オペレータは、簡単な操作で駆動対象50に指示を出すことができる。
【0094】
(変形例3)
変形例2に関連して、操作認識部68は、対象選択ボタン58がタッチされたまま、タッチ位置が所定のスライド方向に所定の距離だけスライド(スワイプ)された場合に、駆動対象50が選択されたと認識してもよい。この場合、操作認識部68は、スワイプ先のタッチが維持されたままで、動作開始ボタン60がタッチされた場合に、駆動対象50の動作の開始が指示されたと認識する。
【0095】
本変形例では、対象選択ボタン58のタッチ後、そのタッチ位置を動作開始ボタン60までスライドさせなくてもよい。この点は変形例2とは異なる点である。ただし、本変形例は、駆動対象50の動作の開始指示にスワイプ(スライド)操作を必要とする。したがって、本変形例においても、駆動対象50がオペレータの意図なしに停止するおそれが、実施の形態と比較してより一層低減される。
【0096】
(変形例4)
表示制御部66は、駆動対象50(制御装置20)に速い移動を指示する動作開始ボタン60であるほど、対象選択ボタン58から離れた位置に表示させてもよい。これにより、オペレータは、動作開始ボタン60で指示される駆動対象50のおおよその移動速度を、上記距離から把握できる。
【0097】
なお、表示制御部66は、駆動対象50(制御装置20)に速い移動を指示する動作開始ボタン60であるほど、大きく(幅広にあるいは長く)表示画面52に表示させると、より好ましい。これにより、動作開始ボタン60が指示する駆動対象50の移動速度が、オペレータにとって分かりやすくなる。
【0098】
(変形例5)
動作開始ボタン60は、駆動対象50の複数の移動速度に対応して複数設けられてもよい。これにより、オペレータは、駆動対象50の移動速度を選択できる。
【0099】
図19は、変形例5の操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0100】
本変形例は前述の変形例4と組み合わせるとより有用である。これについて、
図19を参照して説明する。
【0101】
図19の表示画面52には、3つの型開きボタン60
1と、3つの型閉じボタン60
2とが表示されている。3つの型開きボタン60
1は、型開き時の可動金型24の許容最大速度の20%、50%および100%の移動速度をそれぞれ指定する。この場合、オペレータは、型開きを指示する場合において、可動金型24の移動速度を許容最大速度の20%、50%および100%の中から選択する。3つの型閉じボタン60
2は、型閉じ時の可動金型24の許容最大速度の20%、50%および100%の移動速度をそれぞれ指定する。したがって、オペレータは型閉じを指示する場合において、可動金型24の移動速度を許容最大速度の20%、50%および100%の中から選択できる。
【0102】
本変形例は、変形例4と組み合わせると、より好ましい。すなわち、
図19の例示では、駆動対象50(制御装置20)に速い移動を指示する型開きボタン60
1であるほど、金型ボタン58
1から離れた位置に表示されている。同様に、駆動対象50(制御装置20)に速い移動を指示する型閉じボタン60
2であるほど、金型ボタン58
1から離れた位置に表示されている。これにより、例えば3つの型開きボタン60
1のうちのどの型開きボタン60
1が最も速い型開きを駆動対象50(制御装置20)に指示するためのボタンであるかが、オペレータにとって直感的に分かりやすくなる。
【0103】
なお、本変形例は、複数の移動速度で動作可能な駆動対象50を操作する場合に適用され得る。したがって本変形例は、金型14の開閉動作を操作する場合のみに限定されない。また、本変形例では、金型14の移動速度の場合分けを、例示のために許容最大速度の20%、50%および100%の3つとした。しかしながら、金型14(可動金型24)の移動速度の場合分けは、これに限定されない。
【0104】
(変形例6)
表示制御部66は、駆動対象50(制御装置20)に速い回転を指示する動作開始ボタン60であるほど、対象選択ボタン58から離れた位置に表示させてもよい。これにより、オペレータは、動作開始ボタン60で指示される駆動対象50のおおよその回転速度を、上記距離から把握できる。
【0105】
なお、表示制御部66は、駆動対象50(制御装置20)に速い回転を指示する動作開始ボタン60であるほど大きく(幅広にあるいは長く)表示画面52に表示させると、より好ましい。これにより、動作開始ボタン60が指示する駆動対象50の回転速度が、オペレータにとって分かりやすくなる。
【0106】
(変形例7)
動作開始ボタン60は、駆動対象50の複数の回転速度に対応して複数表示されてもよい。これにより、オペレータは、駆動対象50の回転速度を、複数の回転速度の中から選択できる。
【0107】
本変形例は前述の変形例6と組み合わせるとより有用である。これについて、
図20を参照して説明する。
【0108】
図20は、変形例7の操作パネル10の表示画面52を例示する図である。
【0109】
図20の表示画面52には、金型ボタン58
7と、3つの正回転ボタン60
11と、3つの逆回転ボタン60
12とが表示されている。なお、
図20に示した正回転ボタン60
11および逆回転ボタン60
12の各々の数は、3つに限定されない。
【0110】
3つの正回転ボタン6011の各々は、互いに異なる回転速度での金型14の回転を指示する。同様に、3つの逆回転ボタン6012の各々は、互いに異なる回転速度での金型14の回転を指示する。この場合、オペレータは、金型14の正回転を指示する場合と、金型14の逆回転を指示する場合とのそれぞれにおいて、異なる3つの回転速度の中から金型14の回転速度を選択できる。
【0111】
本変形例は、変形例6と組み合わせると、より好ましい。すなわち、
図20の例示では、駆動対象50(制御装置20)に速い回転を指示する正回転ボタン60
11であるほど、金型ボタン58
7から離れた位置に表示されている。同様に、
図20の例示では、駆動対象50(制御装置20)に速い回転を指示する逆回転ボタン60
12であるほど、金型ボタン58
7から離れた位置に表示されている。これにより、例えば3つの正回転ボタン60
11のうちのどの正回転ボタン60
11が最も速い回転を駆動対象50(制御装置20)に指示するためのボタンであるかが、オペレータにとって直感的に分かりやすくなる。
【0112】
なお、本変形例は、複数の回転速度で動作可能な駆動対象50を操作する場合に適用され得る。したがって本変形例は、金型14の回転動作を操作する場合のみに限定されない。また、本変形例では、金型14の回転速度の場合分けを、例示のために許容最大速度の20%、50%および100%の3つとした。しかしながら、金型14の回転速度の場合分けは、これに限定されない。
【0113】
(変形例8)
上記した各変形例は、矛盾の生じない範囲内であれば、適宜組み合わされてもよい。
【0114】
なお、本発明は、上述した実施の形態、および変形例に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0115】
[実施の形態から得られる発明]
上記実施の形態および変形例から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0116】
射出成形機(12)の操作パネル(10)であって、表示画面(52)を有し、射出成形機(12)の駆動対象(50)を選択する対象選択ボタン(58)、および前記駆動対象(50)の動作を開始させる動作開始ボタン(60)を前記表示画面(52)に表示する表示部(54)と、前記表示画面(52)に設けられ、オペレータの前記表示画面(52)上におけるタッチ位置を検出するタッチパネル(56)と、前記対象選択ボタン(58)がタッチされ、そのタッチが維持された状態で、前記動作開始ボタン(60)がタッチされた場合は、前記対象選択ボタン(58)によって選択された駆動対象(50)の動作の開始が指示されたと認識する操作認識部(68)と、を備える。
【0117】
これにより、駆動対象(50)の誤作動のおそれが低減される射出成形機(12)の操作パネル(10)が提供される。
【0118】
前記操作認識部(68)は、前記対象選択ボタン(58)がタッチされた後にタッチ位置がスライドされ、且つ、そのタッチが継続された状態で、前記動作開始ボタン(60)がタッチされた場合は、前記対象選択ボタン(58)によって選択された駆動対象(50)の動作の開始が指示されたと認識してもよい。これにより、例えばオペレータが不用意に対象選択ボタン(58)や動作開始ボタン(60)に触れてしまった場合において、駆動対象(50)が意図せず動作を開始するおそれを低減させることが可能となる。
【0119】
前記操作認識部(68)は、前記対象選択ボタン(58)からスライドされるタッチ位置が前記動作開始ボタン(60)に到達した場合に、前記対象選択ボタン(58)によって選択された駆動対象(50)の動作の開始が指示されたと認識してもよい。これにより、例えばオペレータが不用意に対象選択ボタン(58)や動作開始ボタン(60)に触れてしまった場合において、駆動対象(50)が意図せず動作を開始するおそれを低減させることが可能となる。また、オペレータは、駆動対象(50)の選択から選択した駆動対象(50)に動作を開始させるまでの操作を、指一本による簡単な操作で完結させることができる。また、その場合において、前記操作認識部(68)は、前記駆動対象(50)の動作の開始が指示されたと認識した後に、前記動作開始ボタン(60)のタッチが解除された場合は、前記駆動対象(50)の動作の停止が指示されたと認識してもよい。これにより、オペレータは、駆動対象(50)の選択、選択した駆動対象(50)の動作の開始指示、および駆動対象(50)の動作の停止指示までを、指一本による簡単な操作で完結させることができる。
【0120】
前記操作認識部(68)は、前記駆動対象(50)の動作の開始が指示されたと認識した後に、前記対象選択ボタン(58)および前記動作開始ボタン(60)のいずれか一方のタッチが解除された場合は、前記駆動対象(50)の動作の停止が指示されたと認識してもよい。これにより、オペレータは、駆動対象(50)の動作を容易且つ速やかに停止させることができる。
【0121】
操作認識部(68)は、前記駆動対象(50)の動作の開始が指示されたと認識した後に、前記対象選択ボタン(58)および前記動作開始ボタン(60)の両方のタッチが解除された場合は、前記駆動対象(50)の動作の停止が指示されたと認識してもよい。これにより、オペレータの意図なしに駆動対象(50)が動作を停止するおそれが低減される。また、例えばタッチパネル(56)の調子が悪い場合において、オペレータがタッチを継続しているのにも関わらず、動作の停止が指示されたと操作認識部(68)が誤認識するおそれを低減することができる。
【0122】
前記駆動対象(50)は、移動可能であり、前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の移動を開始させるボタンであってもよい。これにより、オペレータは、操作パネル(10)を用いて、移動する駆動対象(50)に対して移動の開始を指示することができる。
【0123】
前記表示部(54)は、前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する前記動作開始ボタン(60)の表示位置の方向が、前記駆動対象(50)の移動方向となるように前記対象選択ボタン(58)および前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の移動方向がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。
【0124】
前記駆動対象(50)は、複数の移動方向に移動可能であり、前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の複数の移動方向に対応して複数設けられ、前記表示部(54)は、前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する複数の前記動作開始ボタン(60)の表示位置の方向が、前記動作開始ボタン(60)の操作によって前記駆動対象(50)が移動する方向となるように前記対象選択ボタン(58)および複数の前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の移動方向がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。
【0125】
前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の前記移動方向における複数の移動速度に対応して複数設けられ、前記表示部(54)は、前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する前記動作開始ボタン(60)の表示位置の距離が、前記動作開始ボタン(60)の操作によって前記駆動対象(50)が移動する移動速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタン(58)および複数の前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の各移動方向での移動速度がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。
【0126】
前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の複数の移動速度に対応して複数設けられ、前記表示部(54)は、前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する前記動作開始ボタン(60)の表示位置の距離が、前記動作開始ボタン(60)の操作によって前記駆動対象(50)が移動する移動速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタン(58)および前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の移動速度がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。
【0127】
前記駆動対象(50)は、回転可能であり、前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の回転を開始させるボタンであってもよい。これにより、オペレータは、操作パネル(10)を用いて、回転する駆動対象(50)に対して回転の開始を指示することができる。
【0128】
前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の正の回転方向と前記正の回転方向とは逆の回転方向とに対応して少なくとも2つ設けられ、前記表示部(54)は、前記正の回転方向で前記駆動対象(50)を回転させる前記動作開始ボタン(60)の表示位置の前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する方向と、前記逆の回転方向で前記駆動対象(50)を回転させる前記動作開始ボタン(60)の表示位置の前記対象選択ボタン(58)の前記表示位置に対する方向とが、互いに反対となるように前記対象選択ボタン(58)および少なくとも2つの前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の回転方向がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。
【0129】
前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の回転方向における複数の回転速度に対応して複数設けられ、前記表示部(54)は、前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する前記動作開始ボタン(60)の表示位置の距離が、前記動作開始ボタン(60)の操作によって前記駆動対象(50)が回転する回転速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタン(58)および前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の各回転方向での回転速度がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。
【0130】
前記動作開始ボタン(60)は、前記駆動対象(50)の複数の回転速度に対応して複数設けられ、前記表示部(54)は、前記対象選択ボタン(58)の表示位置に対する前記動作開始ボタン(60)の表示位置の距離が、前記動作開始ボタン(60)の操作によって前記駆動対象(50)が回転する回転速度が速いほど長くなるように前記対象選択ボタン(58)および前記動作開始ボタン(60)を表示させてもよい。これにより、指示できる駆動対象(50)の回転速度がオペレータにとって直感的に分かりやすいUIを提供することができる。