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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/18 20060101AFI20240402BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
G05B19/18 W
G05B19/4155 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022541567
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 JP2021028788
(87)【国際公開番号】W WO2022030496
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2020135198
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀧井 コウ
(72)【発明者】
【氏名】板倉 慎一郎
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153042(JP,A)
【文献】特開2001-014013(JP,A)
【文献】特開2017-016233(JP,A)
【文献】特開2003-076405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18
G05B 19/4155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムに基づいて産業機械を制御する制御装置であって、1つ以上のプログラムを格納するプログラム記憶部を備え、プログラムから他のプログラムを呼び出して実行できる制御装置において、
プログラムを呼び出す際に検索するフォルダの優先順位を定義するフォルダ検索優先順位設定を少なくとも記憶する設定情報記憶部と、
予め前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムにおける呼出し元のプログラムと呼出し先のプログラムの対応関係に係る情報である呼出し情報を記憶する呼出し情報記憶部と、
前記プログラムの対応関係が変化する可能性がある契機において、前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムと、前記設定情報記憶部に記憶されるフォルダ検索優先順位設定とに基づいて呼出し情報を生成する呼出し情報生成部と、
前記呼出し情報生成部が生成した呼出し情報と、前記呼出し情報記憶部に記憶された呼出し情報とを比較して、プログラムの対応関係が変化したか否かを判定する呼出し情報判定部と、
前記呼出し情報判定部がプログラムの対応関係が変化したと判定した場合に警告を出力する警告部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記呼出し情報判定部がプログラムの対応関係が変化したと判定した場合に産業機械の運転を停止する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
オペレータの操作に基づいて、前記呼出し情報生成部が生成した呼出し情報で、前記呼出し情報記憶部に記憶された呼出し情報を更新する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記呼出し情報には、少なくとも呼出し元のプログラム及び呼出し先のプログラムの、プログラムが格納されるフォルダのパス名およびプログラム名を含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記呼出し情報には、更に呼出し元のプログラム及び呼出し先のプログラムの、ファイルサイズ及びタイムスタンプの少なくともいずれかを含む、
請求項4に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置は、加工プログラムを読み出し、読み出した指令に従って工作機械等の作業機械を制御する。オペレータは、制御に必要な指令を必ずしも1つの加工プログラムに含める必要は無い。例えば、加工プログラム内に、他の加工プログラムを呼び出す指令を埋め込むことができる。この呼び出す指令を、サブプログラム呼出し指令と呼ぶ(例えば、特許文献1等)。
【0003】
加工プログラムから他の加工プログラムを呼び出す際には、その加工プログラムは、呼出し先の他のプログラムが格納されているフォルダのパスを指定することができる。また、呼出し先のプログラムが格納されているフォルダのパスを指定することなく、サブプログラム呼出しをすることもできる。制御装置では、プログラムを格納する複数のフォルダに対して優先順位が予め設定されている。フォルダのパスを指定しない後者の場合には、フォルダに設定されている優先順位に従って、指定する名称のプログラムがフォルダ内に存在するか否かを検索する。そして、指定された名称のプログラムが見つかると、そのプログラムがサブプログラムとして呼び出される。
【0004】
例えば、以下の1.~5.のようにフォルダの優先順位が設定されていたとする。この場合、呼出し元のプログラムから呼出し先のプログラムがパスの指定無しで呼び出された場合、呼出し先のプログラムは、呼出し元のプログラムが格納されているフォルダから最初に検索され、次いで、LIBRARYフォルダ->MTB2フォルダ->MTB1フォルダ->SYSTEMフォルダの順に検索される。
1.呼出し元のプログラムが格納されているフォルダ
2.初期フォルダの共有プログラムフォルダ(LIBRARY)
3.初期フォルダのMTB(Machine Tool Builder)専用フォルダ2(MTB2)
4.初期フォルダのMTB専用フォルダ1(MTB1)
5.初期フォルダのシステムフォルダ(SYSTEM)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-153042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
制御装置は、複数の同名のプログラムを記憶することができる。このような同名のプログラムは、フォルダのパスを指定することで使い分けることができる。また、フォルダのパスを指定しないでサブプログラム呼び出しをする場合であっても、フォルダの呼出しに係る優先順位を把握していれば問題は生じない。
【0007】
しかしながら、オペレータが意図せずして、呼び出すべきプログラムと同名のプログラムが優先順位の高いフォルダに存在するように変更した場合、工作機械の運転時に加工プログラムの流れが意図した流れとは異なるものとなってしまうことがある。
【0008】
例えば、上記した優先順位が設定されている場合であって、メインとなるプログラムであるO0001から、サブプログラムとしてプログラムO1003を呼び出す場合を考える。この例では、MTB1フォルダ内に呼出し先のプログラムO1003が格納されており、他のフォルダにはO1003という名称のプログラムは格納されていなかったとする。この場合、プログラムO0001が実行されると、メインプログラムにおけるサブプログラムにフォルダ名の指定が無くとも、設定されている優先順位に従ってフォルダの検索が行われ、MTB1フォルダに格納されているプログラムO1003がサブプログラムとして呼び出される。
【0009】
ここで、オペレータが外部装置からあるプログラムを読みだして、同名のプログラムO1003(以下では、区別するためにO1003’と記載する)をLIBRARYフォルダに格納したとする。その後、プログラムO0001を実行すると、今度はMTB1フォルダに格納されているプログラムO1003ではなく、優先順位が高いフォルダであるLIBRARYフォルダに格納されているプログラムO1003’がサブプログラムとして呼び出される。そして、このままオペレータが気付かずにプログラムを実行して工作機械の運転を開始すると、オペレータの意図とは異なる加工が行われることになる。
【0010】
オペレータが意図して呼出し先のプログラムを編集した場合や、呼出し先のプログラムの名称やフォルダの変更を行った場合には問題とならない。しかしながら、上記のように、たまたま同名のプログラムを優先順位が高いフォルダに格納してしまった場合等には、オペレータはサブプログラム呼び出しの変更に気付きにくいという問題がある。制御装置には多くのプログラムが格納されているため、一人のオペレータが全てのプログラム間の呼出し関係を把握することは困難である。また、一つの機械(制御装置)を複数のオペレータが利用する場合、別のオペレータがフォルダ内のプログラムの配置を変更した場合等にも、これを把握することは難しい。このようなことを防止するために、同名ファイルを禁止するなどの手段が考えられるが、フォルダを利用するメリットが損なわれてしまう。
そこで、プログラムの対応関係が変化したことを容易に把握できるようにする技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様では、プログラムの対応関係が変更された際に、これを自動的に制御装置が検知してオペレータに通知することで、上記課題を解決する。
【0012】
そして、本発明の一態様は、プログラムに基づいて産業機械を制御する制御装置であって、1つ以上のプログラムを格納するプログラム記憶部を備え、プログラムから他のプログラムを呼び出して実行できる制御装置において、プログラムを呼び出す際に検索するフォルダの優先順位を定義するフォルダ検索優先順位設定を少なくとも記憶する設定情報記憶部と、予め前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムにおける呼出し元のプログラムと呼出し先のプログラムの対応関係に係る情報である呼出し情報を記憶する呼出し情報記憶部と、前記プログラムの対応関係が変化する可能性がある契機において、前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムと、前記設定情報記憶部に記憶されるフォルダ検索優先順位設定とに基づいて呼出し情報を生成する呼出し情報生成部と、前記呼出し情報生成部が生成した呼出し情報と、前記呼出し情報記憶部に記憶された呼出し情報とを比較して、プログラムの対応関係が変化したか否かを判定する呼出し情報判定部と、前記呼出し情報判定部がプログラムの対応関係が変化したと判定した場合に警告を出力する警告部と、を備える制御装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様により、ファイル操作やフォルダ検索順位の変更などが行われ、プログラムの呼出し情報が変化した場合、これを自動的に検知しオペレータに通知することができるようになる。これにより、実加工時の意図しない加工が行われることや、装置の破損、人員の怪我を未然に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態による制御装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態による制御装置の概略的な機能ブロック図である。
図3】呼出し情報の例を示す図である。
図4】呼出し情報記憶部に記憶される呼出し情報の例を示す図である。
図5】呼出し情報判定部による呼出し情報の比較について説明する図である。
図6】警告メッセージの例を示す図である。
図7】呼出し情報の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の第1実施形態による制御装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明の制御装置1は、例えば加工を行う工作機械等の産業機械3を制御する数値制御装置として実装することができる。
【0016】
本発明の制御装置1が備えるCPU11は、制御装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って制御装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0017】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされたメモリやSSD(Solid State Drive)等で構成され、制御装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータや加工プログラム、入力装置71を介して入力されたデータや加工プログラム、工作機械から取得される各データ等が記憶される。不揮発性メモリ14に記憶されたデータや加工プログラムは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システム・プログラムが予め書き込まれている。
【0018】
インタフェース15は、制御装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば工作機械の制御に用いられる加工プログラムや各パラメータ等を読み込むことができる。また、制御装置1内で編集した加工プログラムや各パラメータ等は、外部機器72を介して外部記憶手段に記憶させることができる。PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)16は、制御装置1に内蔵されたシーケンス・プログラムによって、工作機械及び該工作機械の周辺装置(例えば、工具交換装置や、ロボット等のアクチュエータ、工作機械に取付けられているセンサ等)にI/Oユニット17を介して信号を出力し制御する。また、PLC16は、産業機械の本体に配備された操作盤の各種スイッチや周辺装置等からの信号を受け、必要な信号処理をした後、CPU11に渡す。
【0019】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データ、加工プログラムやシステム・プログラム等が実行された結果として得られたデータ等が、インタフェース18を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、インタフェース19を介して作業者による操作に基づく指令,データ等をCPU11に渡す。
【0020】
工作機械が備える軸を制御するための軸制御回路30は、CPU11からの軸の移動指令量を受けて、軸の指令をサーボアンプ40に出力する。サーボアンプ40はこの指令を受けて、産業機械3の工作機械が備える駆動部を軸に沿って移動させるサーボモータ50を駆動する。軸のサーボモータ50は位置・速度検出器を内蔵し、この位置・速度検出器からの位置・速度フィードバック信号を軸制御回路30にフィードバックする。軸制御回路30は、サーボモータ50の位置・速度のフィードバック制御を行う。なお、図1のハードウェア構成図では、軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50は1つずつしか示されていないが、実際には制御対象となる工作機械に備えられた軸の数だけ用意される。例えば、一般的な工作機械を制御する場合には、工具が取り付けられた主軸とワークとを直線3軸(X軸,Y軸,Z軸)方向に相対的に移動させる3組の軸制御回路30、サーボアンプ40、サーボモータ50が用意される。
【0021】
スピンドル制御回路60は、主軸回転指令を受け、スピンドルアンプ61にスピンドル速度信号を出力する。スピンドルアンプ61はこのスピンドル速度信号を受けて、工作機械のスピンドルモータ62を指令された回転速度で回転させ、工具を駆動する。スピンドルモータ62にはポジションコーダ63が結合されている。ポジションコーダ63が主軸の回転に同期して帰還パルスを出力し、その帰還パルスはCPU11によって読み取られる。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態による制御装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態による制御装置1が備える各機能は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、制御装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0023】
本実施形態の制御装置1は、制御部100、呼出し情報生成部110、呼出し情報判定部130、警告部150、操作受付部160、呼出し情報更新部170を備える。また、制御装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14には、メインプログラムとして実行されるプログラムやサブプログラムとして呼び出されるプログラム等が記憶される領域であるプログラム記憶部200、プログラム呼出しにおけるフォルダ検索優先順位の設定を含む制御装置の各種設定情報を記憶する設定情報記憶部210、プログラムの対応関係に係る情報を記憶するための領域である呼出し情報記憶部220とが予め設けられている。
【0024】
制御部100は、図1に示した制御装置1に備えられたCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、軸制御回路30、サーボアンプ40によるサーボモータ50の制御処理、及びスピンドル制御回路60、スピンドルアンプ61によるスピンドルモータ62の制御処理、PLC16を用いた周辺装置等の制御処理とが行われることで、実現される。制御部100は、プログラム記憶部200から読み出されたプログラムによる指令を解析する。そして、その解析結果に基づいて、各サーボモータの移動指令データや主軸の回転数を指令する主軸指令データ、周辺装置の制御を指令する制御指令データ等を生成する。そして、生成した各指令データを各部に出力することで、サーボモータ50、スピンドルモータ62及び周辺装置等を制御する。制御部100が行う制御動作の詳細については、すでに十分に公知になっているので本明細書における詳細な説明は省略する。
【0025】
呼出し情報生成部110は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。呼出し情報生成部110は、プログラム記憶部200に格納される複数のプログラムに含まれるサブプログラム呼出し指令と、設定情報記憶部210に設定されるプログラム呼出しにおけるフォルダ検索優先順位の設定とに基づいて、プログラムの対応関係に係る情報を含む呼出し情報を生成する。なお、本明細書では「サブプログラム呼出し指令」とは、呼出し先のプログラムを呼び出して処理が行われた後、呼出し元のプログラムに処理が復帰する指令だけでなく、呼出し先のプログラムを呼び出した後、呼出し元のプログラムに処理が復帰しない指令も含む。呼出し情報生成部110は、各プログラムの中から、サブプログラム呼出し指令を抽出する。次に、呼出し情報生成部110は、抽出したサブプログラム呼出し指令がフォルダのパスを含む場合には、該プログラムを呼出し元のプログラムとし、該プログラムからサブプログラム呼出しがされるプログラムを呼出し先のプログラムとする呼出し情報を生成する。
【0026】
図3は、呼出し情報の例を示す図である。図3の例では、FOLDER1というフォルダに格納されているO0001という名前のプログラムから、LIBRARYというフォルダに格納されているO1001という名前のプログラムが呼び出されていることを示す呼出し情報、LIBRARYというフォルダに格納されているO4002という名前のプログラムが呼び出されていることを示す呼出し情報、MTB2というフォルダに格納されているO5003という名前のプログラムが呼び出されていることを示す呼出し情報がそれぞれ示されている。図3に例示されるように、呼出し情報は、呼出し元のプログラムと、呼出し先のプログラムとの対応関係を示す。呼出し情報は、少なくとも呼出し元のプログラムのフォルダパスを含むプログラム名と、呼出し先のプログラムのフォルダパスを含むプログラム名との組を含む。各プログラム名にフォルダパスを含めることで、制御装置1のプログラム記憶部200の中に格納されているプログラムを一意に特定することができる。このような形式で記憶することで、異なるフォルダに格納される同名のプログラムであっても、異なるプログラムとして一意に特定することができる。
【0027】
呼出し情報生成部110は、プログラムの対応関係が変化する可能性があることを契機として呼出し情報を生成する。プログラムの対応関係が変化する可能性がある契機には、例えば、プログラム記憶部200に対するプログラムの追加、プログラム削除、プログラムの移動、プログラム名の変更が含まれる。また、このプログラムの対応関係が変化する可能性がある契機には、設定情報記憶部210に記憶されるプログラム呼出しにおけるフォルダ検索優先順位の設定の変更が含まれる。更に、このプログラムの対応関係が変化する可能性がある契機には、例えばプログラム記憶部200に格納されるプログラムの編集が含まれても良い。プログラムの編集が行われることで、サブプログラム呼出し指令が変更される場合があるからである。
【0028】
呼出し情報判定部130は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。呼出し情報判定部130は、プログラムの対応関係に実際に変化したか否かを判定する。呼出し情報判定部130は、呼出し情報生成部110が生成した呼出し情報と、呼出し情報記憶部220に記憶される呼出し情報とを比較する。そして、お互いの呼出し情報に差異があった場合、プログラムの対応関係が実際に変化したと判定して、警告を出力するように警告部150に指令する。また、呼出し情報判定部130は、制御部100により現在運転中のプログラムに係る呼出し情報について差異を検出した場合には、制御部100に対して運転を一時停止するように指令しても良い。
【0029】
図4は、呼出し情報記憶部220に記憶される呼出し情報の例を示している。呼出し情報記憶部220には、予め呼出し情報生成部110により生成された呼出し情報が記憶されている。呼出し情報記憶部220に記憶する呼出し情報は、例えば制御装置1が初めて起動したことを契機に、プログラム記憶部200に記憶されるプログラムについて、呼出し情報生成部110により生成させて、生成された呼出し情報を記憶するようにして良い。また、呼出し情報記憶部220に記憶する呼出し情報は、例えばオペレータの指令を契機に、プログラム記憶部200に記憶されるプログラムについて、呼出し情報生成部110により生成させて、生成された呼出し情報を記憶するようにして良い。そして、必要に応じて呼出し情報更新部170により更新される。
【0030】
呼出し情報判定部130は、図5に例示されるように、呼出し情報記憶部220に記憶されている呼出し情報の中に、プログラムの対応関係が変化する可能性がある契機において、呼出し情報生成部110が生成した呼出し情報と一致するものが記憶されているか否かを比較する。そして、一致するものが記憶されていない場合には、呼出し情報に差異があったと判定して、警告を出力するように警告部150に指令するようにすれば良い。
【0031】
警告部150は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、例えばインタフェース18を用いた出力処理とが行われることで実現される。警告部150は、呼出し情報判定部130から指令を受けると、プログラムの対応関係に係る情報が変更された旨の警告を出力する。警告部150は、典型的には表示装置70に対してプログラムの対応関係に係る情報が変更された旨の警告を表示出力するようにして良い。また、警告部150は、これに併せて音やランプ等でオペレータに対して警告するようにして良い。更に、警告部150は、図示しないネットワークを介して工場を管理するホストコンピュータなどに対して送信出力するようにしても良い。
【0032】
図6は、警告部150が表示装置70に表示出力する警告メッセージの例を示している。警告部150が表示装置70に表示出力する警告メッセージには、例えばどのような変更が行われたことでプログラムの対応関係が変化したのかを示すメッセージを含んでいて良い。どのような変更が行われたことでプログラムの対応関係が変化したのかについては、例えば制御装置1の操作ログや動作ログ等と、呼出し情報判定部130が一致しないと判定した呼出し情報における呼出し先のプログラムの名前とを突き合わせ照合することで特定することができる。また、警告部150が表示装置70に表示出力する警告メッセージには、例えば変更前のプログラムの対応関係と、変更後のプログラムの対応関係とを示すメッセージを含んでいてよい。このメッセージについても、例えば制御装置1の操作ログや動作ログ等と、呼出し情報判定部130が一致しないと判定した呼出し情報における呼出し先のプログラムの名前とを突き合わせ照合することで特定することができる。
【0033】
操作受付部160は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、例えばインタフェース19を用いた入力処理とが行われることで実現される。操作受付部160は、警告部150からの警告に対してオペレータからの操作を受け付ける。操作受付部160は、オペレータが、プログラムの対応関係が変化したことに対して、問題が無い旨を示す入力をした場合に、呼出し情報更新部170に対して、呼出し情報生成部110が生成した呼出し情報で、呼出し情報記憶部220に記憶される呼出し情報を更新するように指令する。この時、制御部100による運転が一時停止されていた場合、操作受付部160は、制御部100に対して運転を再開するように指令しても良い。一方で、操作受付部160は、オペレータが、プログラムの対応関係が変化したことに対して、問題が有る旨を示す入力をした場合に、図示しないプログラム記憶部200に記憶されるプログラムの管理機能等に指令して、オペレータに問題を是正するように促しても良い。
【0034】
呼出し情報更新部170は、図1に示した制御装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。呼出し情報更新部170は、操作受付部160からの指令を受けて、プログラムの対応関係が変化する可能性がある契機において、呼出し情報生成部110が生成した呼出し情報で、呼出し情報記憶部220に記憶される呼出し情報を更新する。
【0035】
上記構成を備えた本実施形態による制御装置1は、プログラムの追加や削除、プログラム呼出しにおけるフォルダ検索優先順位の設定変更等、プログラムの対応関係が変化する可能性がある契機に、プログラムの対応関係が実際に変化したかどうかを判定し、変化した場合には運転を停止してオペレータに警告する。そのため、本来ではオペレータが気付きにくいプログラムの対応関係の変化を容易に把握できるようになる。本実施形態による制御装置1では、オペレータ自身によるプログラムの追加や削除だけでなく、他のオペレータによるプログラムの追加や削除、制御装置1を管理するコンピュータからのネットワークを介したプログラムの自動更新等が原因でプログラムの対応関係が変更された場合も、対応可能である。
【0036】
本実施形態による制御装置1の一変形例として、呼出し情報生成部110が生成する呼出し情報には、図7に例示されるように、それぞれ呼出し元及び呼出し先のプログラムのフォルダのパスを含むプログラム名に加えて、ファイルサイズやタイムスタンプ等のファイル属性の情報を含めるようにしても良い。このようにすることで、例えばフォルダに既に格納されているプログラムに対して、同名の異なるプログラムを上書きされた場合等においても、ファイル属性が変化したことでプログラムが変化したことを検出することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 制御装置
3 産業機械
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,18,19 インタフェース
16 PLC
17 I/Oユニット
22 バス
30 軸制御回路
40 サーボアンプ
50 サーボモータ
60 スピンドル制御回路
61 スピンドルアンプ
62 スピンドルモータ
63 ポジションコーダ
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 制御部
110 呼出し情報生成部
130 呼出し情報判定部
150 警告部
160 操作受付部
170 呼出し情報更新部
200 プログラム記憶部
210 設定情報記憶部
220 呼出し情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7