(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】リチウム-硫黄二次電池用電解液及びこれを含むリチウム-硫黄二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0566 20100101AFI20240402BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240402BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240402BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240402BHJP
H01M 10/0567 20100101ALI20240402BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240402BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20240402BHJP
【FI】
H01M10/0566
H01M4/13
H01M4/134
H01M10/052
H01M10/0567
H01M10/0568
H01M10/0569
(21)【出願番号】P 2022560128
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 KR2022000232
(87)【国際公開番号】W WO2022149876
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0001815
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウンホ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジェギル・イ
(72)【発明者】
【氏名】キヒョン・キム
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-198276(JP,A)
【文献】特表2018-530132(JP,A)
【文献】特開2007-048545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0566
H01M 10/0568
H01M 10/0569
H01M 10/0567
H01M 10/052
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム塩、非水系溶媒及び添加剤を含むリチウム-硫黄二次電池用電解液であって、
前記非水系溶媒は線状エーテル及び環状エーテルを含み、
前記添加剤は1個以上のフッ素に置換されたピリジン系化合物を含
み、
前記ピリジン系化合物の含量が電解液の全体重量に対して0.1重量%ないし10重量%である、リチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項2】
前記リチウム塩がLiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiB(Ph)
4、LiC
4BO
8、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、LiSO
3CH
3、LiSO
3CF
3、LiSCN、LiC(CF
3SO
2)
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(SO
2F)
2及び低級脂肪族カルボン酸リチウムからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項3】
前記リチウム塩が0.1Mないし5.0Mの濃度で含まれる、請求項1または2に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項4】
前記線状エーテルがジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチレンエーテル、ブチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、及びエチレングリコールエチルメチルエーテルからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項5】
前記環状エーテルがジオキソラン、メチルジオキソラン、ジメチルジオキソラン、ビニルジオキソラン、メトキシジオキソラン、エチルメチルジオキソラン、オキサン、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフラン、エトキシテトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、フラン及び2-メチルフランからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項6】
前記線状エーテルと環状エーテルの体積比が9:1ないし1:9である、請求項1から5のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項7】
前記添加剤が下記化学式1で表される化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
前記Xはフッ素原子を示し、前記nは1ないし5の正数である。
【請求項8】
前記添加剤が2-フルオロピリジン(2-Fluoropyridine)、2,3-ジフルオロピリジン(2,3-Difluoropyridine)、2,4-ジフルオロピリジン(2,4-Difluoropyridine)、2,5-ジフルオロピリジン(2,5-Difluoropyridine)、3,4-ジフルオロピリジン(3,4-Difluoropyridine)、3,5-ジフルオロピリジン(3,5-Difluoropyridine)、2,6-ジフルオロピリジン(2,6-Difluoropyridine)、2,3,5,6-テトラフルオロピリジン(2,3,5,6-Tetrafluoropyridine)及びペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)からなる群から選択された1種以上を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項9】
前記添加剤の含量が電解液の全体重量に対して0.1重量%ないし10重量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項10】
前記添加剤が硝酸リチウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸バリウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸アンモニウム、メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラート、ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、ピリジンN-オキサイド、アルキルピリジンN-オキサイド、及びテトラメチルピペリジニルオキシルからなる群から選択される1種以上をさらに含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のリチウム-硫黄二次電池用電解液。
【請求項11】
正極;
負極;
前記正極と負極との間に介在される分離膜;及び
電解液を含むリチウム-硫黄二次電池であって、
前記電解液が請求項1から
10のいずれか一項に記載の電解液である、リチウム-硫黄二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウム-硫黄二次電池用電解液及びこれを含むリチウム-硫黄二次電池に関する。
【0002】
本出願は2021年1月07日付韓国特許出願第10-2021-0001815号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として組み込む。
【背景技術】
【0003】
二次電池の応用領域が電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵装置(ESS)などで拡がるにつれ、重さに対比して相対的に低いエネルギー貯蔵密度(~250Wh/kg)を持つリチウム-イオン二次電池は、このような製品に対する適用に限界がある。これと違って、リチウム-硫黄二次電池は重さに対比して理論上高いエネルギー貯蔵密度(~2,600Wh/kg)を具現することができるので、次世代二次電池技術として脚光を浴びている。
【0004】
リチウム-硫黄二次電池はS-S結合(Sulfur-Sulfur Bond)を持つ硫黄系列物質を正極活物質で使用し、リチウム金属を負極活物質で使用した電池システムを意味する。前記正極活物質の主材料である硫黄は世界中に資源量が豊かで、毒性がなく、単位原子あたり低い重さを持つ長所がある。
【0005】
リチウム-硫黄二次電池は放電時に負極活物質であるリチウムが電子を出してイオン化しながら酸化され、正極活物質である硫黄系列物質が電子を受け入れて還元される。ここで、リチウムの酸化反応はリチウム金属が電子を出してリチウム陽イオン形態に変換される過程である。また、硫黄の還元反応はS-S結合が2個の電子を受け入れて硫黄陰イオン形態に変換される過程である。リチウムの酸化反応によって生成されたリチウム陽イオンは電解質を通して正極に伝達され、硫黄の還元反応によって生成された硫黄陰イオンと結合して塩を形成する。具体的に、放電前の硫黄は環状のS8構造を持っていて、これは還元反応によってリチウムポリスルフィド(Lithium polysulfide、LiSx)に変換される。リチウムポリスルフィドが完全に還元される場合はリチウムスルフィド(Li2S)が生成される。
【0006】
正極活物質である硫黄は、低い電気伝導率の特性によって、固相形態では電子及びリチウムイオンとの反応性を確保しにくい。既存のリチウム-硫黄二次電池は、このような硫黄の反応性を改善するためにLi2Sx形態の中間ポリスルフィド(intermediate polysulfide)を生成し、液状反応を誘導して反応性を改善する。この場合、電解液の溶媒としてリチウムポリスルフィドに対して溶解性の高いジオキソラン(dioxolane)、ジメトキシエタン(dimethoxyethane)などのエーテル系溶媒が使われる。
【0007】
しかし、このようなエーテル系溶媒を使用する場合、多様な原因によってリチウム-硫黄二次電池の寿命特性が低下される問題点が存在する。例えば、正極からのリチウムポリスルフィドの溶出、リチウム負極上でのデンドライト成長によるショート(short)発生、電解液の分解による副産物の堆積などによってリチウム-硫黄二次電池の寿命特性が低下することがある。
【0008】
特に、このようなエーテル系溶媒を使用する場合、リチウムポリスルフィドを多量に溶解させることができて反応性が高いが、電解液内に溶けるリチウムポリスルフィドの特性のため、電解液の含量によって硫黄の反応性及び寿命特性が影響を受けるようになる。
【0009】
前記リチウム-硫黄二次電池において、寿命に影響を与える要因の一つは、リチウム負極の劣化であって、正極活物質との反応、電解液との反応などに起因する。その結果、リチウムデンドライトの形成及び充放電効率の低下が発生する。特に、リチウムデンドライトが1次元的な形態で形成されると、気孔がある分離膜を通過して電池の内部短絡(internal short circuit)が発生するようになり、安定性及び寿命低下の問題を発生させる。このようなリチウムデンドライトの問題を減少させるために負極表面を均一にストリッピング/プレーティング(stripping/plating)する研究が行われているが、従来の技術では負極表面を充分に均一にストリッピング/プレーティングできないため、負極表面を均一にストリッピング/プレーティングしてリチウムデンドライトの問題を解決するための方案についてもっと研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第10-2007-0027512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、本発明ではリチウム-硫黄二次電池のリチウムデンドライトの成長を抑制し、電池の寿命特性を向上させるために、リチウム塩及び非水系溶媒を含むリチウム-硫黄二次電池に1個以上のフッ素に置換されたピリジン系化合物を添加剤で含むことで前記問題を解決し、リチウム-硫黄二次電池の性能を向上させることができることを確認して本発明を完成した。
【0012】
したがって、本発明の目的はリチウムデンドライトの問題を解消し、電池の寿命特性を向上させることができるリチウム-硫黄二次電池用電解液を提供することにある。また、本発明の他の目的は前記電解液を備えて電池性能が向上されたリチウム-硫黄二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明は、リチウム塩、非水系溶媒及び添加剤を含むリチウム-硫黄二次電池用電解液であって、前記非水系溶媒が線状エーテル及び環状エーテルを含み、前記添加剤が1個以上のフッ素に置換されたピリジン系化合物を含むリチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0014】
本発明は、前記リチウム塩がLiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiB(Ph)4、LiC4BO8、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiSO3CH3、LiSO3CF3、LiSCN、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(SO2F)2及び低級脂肪族カルボン酸リチウムからなる群から選択される1種以上である、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記リチウム塩が0.1Mないし5.0Mの濃度で含まれるものである、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記線状エーテルがジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチレンエーテル、ブチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、及びエチレングリコールエチルメチルエーテルからなる群から選択されるものである、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0017】
また、本発明は、前記環状エーテルがジオキソラン、メチルジオキソラン、ジメチルジオキソラン、ビニルジオキソラン、メトキシジオキソラン、エチルメチルジオキソラン、オキサン、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフラン、エトキシテトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、フラン及び2-メチルフランからなる群から選択されるものである、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0018】
また、本発明は、前記線状エーテルと環状エーテルの体積比が9:1ないし1:9である、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記添加剤が下記化学式1で表される化合物を含む、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0020】
【0021】
前記化学式1において、
前記Xはフッ素原子を示し、前記nは1ないし5の正数である。
【0022】
また、本発明は、前記添加剤が2-フルオロピリジン(2-Fluoropyridine)、2,3-ジフルオロピリジン(2,3-Difluoropyridine)、2,4-ジフルオロピリジン(2,4-Difluoropyridine)、2,5-ジフルオロピリジン(2,5-Difluoropyridine)、3,4-ジフルオロピリジン(3,4-Difluoropyridine)、3,5-ジフルオロピリジン(3,5-Difluoropyridine)、2,6-ジフルオロピリジン(2,6-Difluoropyridine)、2,3,5,6-テトラフルオロピリジン(2,3,5,6-Tetrafluoropyridine)及びペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)からなる群から選択された1種以上を含む、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記添加剤の含量が電解液の全体重量に対して0.1重量%ないし10重量%である、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0024】
また、本発明は、前記ピリジン系化合物の含量が電解液の全体重量に対して0.1重量%ないし10重量%である、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0025】
また、本発明は、前記添加剤が硝酸リチウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム、硝酸バリウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸アンモニウム、メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラート、ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、ピリジンN-オキサイド、アルキルピリジンN-オキサイド、及びテトラメチルピペリジニルオキシルからなる群から選択される1種以上をさらに含む、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0026】
また、本発明は、正極;負極;前記正極と負極との間に介在される分離膜;及び上述した電解液を含むリチウム-硫黄二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるリチウム-硫黄二次電池用電解液は、リチウム塩、非水系溶媒及び添加剤を含み、前記添加剤が特定有機化合物を含むことによって、リチウム-硫黄二次電池の駆動中、リチウムデンドライトの成長を抑制し、電池の寿命特性を向上させる効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例1及び比較例1の電解液を使用したリチウム-硫黄二次電池の寿命特性を示すグラフである。
【
図2】実施例1及び比較例1の電解液を使用したリチウム-硫黄二次電池の充放電効率を示すグラフである。
【
図3】実施例2及び比較例1の電解液を使用したリチウム-硫黄二次電池の寿命特性を示すグラフである。
【
図4】実施例2及び比較例1の電解液を使用したリチウム-硫黄二次電池の充放電効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明によって提供される具体例は下記の説明によって全て達成される。下記説明は本発明の好ましい具体例を記述するものとして理解しなければならず、本発明が必ずこれに限定されるものではないことを理解すべきである。
【0030】
本発明は、リチウム塩、非水系溶媒及び添加剤を含むリチウム-硫黄二次電池用電解液であって、前記非水系溶媒が線状エーテル及び環状エーテルを含み、前記添加剤が1個以上のフッ素に置換されたピリジン系化合物を含む、リチウム-硫黄二次電池用電解液を提供する。
【0031】
本発明のリチウム-硫黄二次電池用電解液は、リチウム塩及び非水系溶媒を含むことができるし、前記リチウム塩は非水系有機溶媒に溶解されやすい物質であって、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiB(Ph)4、LiC4BO8、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiSO3CH3、LiSO3CF3、LiSCN、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(SO2F)2及び低級脂肪族カルボン酸リチウムからなる群から選択されるものであってもよく、好ましくはLiN(CF3SO2)2である。
【0032】
前記リチウム塩の濃度は、電解質混合物の正確な組成、塩の溶解度、溶解された塩の伝導性、電池の充電及び放電条件、作業温度及びリチウムバッテリー分野に公知された他の要因のような多くの要因によって、0.1~5.0M、好ましくは0.2~3.0M、より具体的に0.5~2.0Mである。0.1M未満で使用すれば電解質の伝導率が低くなって電解質の性能が低下されることがあるし、5.0Mを超えて使用すれば電解質の粘度が増加してリチウムイオン(Li+)の移動性が減少されることがある。
【0033】
前記非水系溶媒はエーテル系溶媒であってもよく、前記エーテル系溶媒は線状エーテル及び環状エーテルを含むことができる。
【0034】
一方、通常的なリチウムイオン電池で通用されるカーボネート系列の電解液は、リチウム-硫黄二次電池の正極で放出するリチウムポリスルフィドとi)求核置換反応(nucleophilic reaction)をしてジメチルカーボネートによるチオレートのメチレーションと類似な反応を起こし、ii)エチレンカーボネートとチオエーテルを形成するなど、活物質であるリチウムポリスルフィドと溶媒であるカーボネート系列の電解液の消耗を起こして電池の劣化を加速化させることがあるので、本発明のリチウム-硫黄二次電池用電解液にはカーボネート系列の電解液を含まないことが好ましい。
【0035】
前記線状エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチレンエーテル、ブチレングリコールエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、及びエチレングリコールエチルメチルエーテルからなる群から選択されることができるし、好ましくはジメトキシエタンである。
【0036】
前記環状エーテルは、ジオキソラン、メチルジオキソラン、ジメチルジオキソラン、ビニルジオキソラン、メトキシジオキソラン、エチルメチルジオキソラン、オキサン、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフラン、エトキシテトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、フラン及び2-メチルフランからなる群から選択されることができるし、好ましくはジオキソランである。
【0037】
前記線状エーテルと環状エーテルの体積比は9:1ないし1:9であってもよく、好ましくは8:2ないし2:8であってもよく、より好ましくは7:3ないし3:7である。前記線状エーテルと環状エーテルの体積比が前記範囲を脱する場合、電池の寿命特性の改善効果が不十分であって所望の効果を得られないので、前記線状エーテルと環状エーテルの体積比は前記範囲を満たすことが好ましい。
【0038】
本発明のリチウム-硫黄二次電池用電解液は添加剤として1個以上のフッ素に置換されたピリジン系化合物を含むことができるし、好ましくは1個以上5個以下のフッ素に置換されたピリジン系化合物を含むことができる。
【0039】
前記添加剤は下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0040】
【0041】
前記化学式1において、
前記Xはフッ素原子を示し、前記nは1ないし5の正数である。
【0042】
また、前記添加剤は2-フルオロピリジン(2-Fluoropyridine)、2,3-ジフルオロピリジン(2,3-Difluoropyridine)、2,4-ジフルオロピリジン(2,4-Difluoropyridine)、2,5-ジフルオロピリジン(2,5-Difluoropyridine)、3,4-ジフルオロピリジン(3,4-Difluoropyridine)、3,5-ジフルオロピリジン(3,5-Difluoropyridine)、2,6-ジフルオロピリジン(2,6-Difluoropyridine)、2,3,5,6-テトラフルオロピリジン(2,3,5,6-Tetrafluoropyridine)及びペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)からなる群から選択された1種以上を含むことができるし、好ましくは2-フルオロピリジン(2-Fluoropyridine)またはペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)を含むことができるし、より好ましくはペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)を含むことができる。
【0043】
前記添加剤の含量は電解液の全体重量に対して0.1重量%ないし10重量%であってもよく、好ましくは0.1重量%ないし7重量%であってもよく、より好ましくは0.1重量%ないし5重量%である。また、前記ピリジン系化合物の含量は電解液の全体重量に対して0.1重量%ないし10重量%であってもよく、好ましくは0.1重量%ないし7重量%であってもよく、より好ましくは0.1重量%ないし5重量%である。前記添加剤及びピリジン系化合物の含量が0.1重量%未満の場合は、リチウムデンドライトの成長を充分に抑制することができず、前記添加剤及びピリジン系の含量が10重量%を超える場合は、リチウム電極の被膜によって抵抗が増加する恐れがあるので、前記添加剤及びピリジン系化合物の含量は前記範囲を満たすことが好ましい。
【0044】
本発明のリチウム-硫黄二次電池用電解液は、添加剤として硝酸または亜硝酸系化合物をさらに含むことができる。前記硝酸または亜硝酸系化合物はリチウム電極に安定的な被膜を形成して充放電効率を向上させる効果を示す。このような硝酸または亜硝酸系化合物は本発明で特に限定しないが、硝酸リチウム(LiNO3)、硝酸カリウム(KNO3)、硝酸セシウム(CsNO3)、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、亜硝酸リチウム(LiNO2)、亜硝酸カリウム(KNO2)、亜硝酸セシウム(CsNO2)、亜硝酸アンモニウム(NH4NO2)などの無機系硝酸または亜硝酸化合物;メチルニトラート、ジアルキルイミダゾリウムニトラート、グアニジンニトラート、イミダゾリウムニトラート、ピリジニウムニトラート、エチルニトラート、プロピルニトラート、ブチルニトラート、ペンチルニトラート、オクチルニトラートなどの有機系硝酸または亜硝酸化合物;ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエンなどの有機ニトロ化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種であってもよく、好ましくは硝酸リチウム(LiNO3)である。
【0045】
また、前記電解液は、充放電特性、難燃性などの改善を目的としてその他添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の例示では、トリエチルホスファイト、トリエチルアルコールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、プロフェンスルトン(PRS)、ビニレンカーボネート(VC)などを挙げることができる。
【0046】
本発明のリチウム-硫黄二次電池用電解液の製造方法は本発明で特に限定せず、当業界で公知された通常の方法によって製造されることができる。
【0047】
本発明は上述したリチウム-硫黄二次電池用電解液を含むリチウム-硫黄二次電池を提供する。
【0048】
前記リチウム-硫黄二次電池は、正極、負極、前記正極と負極との間に介在される分離膜及び電解液を含むことができるし、前記電解液として本発明によるリチウム-硫黄二次電池用電解液を含むことができる。
【0049】
前記正極は正極集電体と前記正極集電体の一面または両面に塗布された正極活物質を含むことができる。
【0050】
前記正極集電体は正極活物質を支持し、当該電池に化学的変化を引き起こさずに高い導電性を持つものであれば特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチール表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使われることができる。
【0051】
前記正極集電体はその表面に微細な凹凸を形成して正極活物質との結合力を強化させることができるし、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を使用することができる。
【0052】
前記正極活物質は正極活物質と選択的に導電材及びバインダーを含むことができる。
【0053】
前記正極活物質は硫黄元素(Elemental sulfur、S8);Li2Sn(n≧1)、有機硫黄化合物または炭素-硫黄ポリマー((C2Sx)n:x=2.5~50、n≧2)からなる群から選択された1種以上である。好ましくは無機硫黄(S8)を使用することができる。
【0054】
前記正極は前記正極活物質以外に遷移金属元素、IIIA族元素、IVA族元素、これらの元素の硫黄化合物、及びこれらの元素と硫黄の合金の中で選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0055】
前記遷移金属元素では、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、AuまたはHgなどが含まれることができるし、前記IIIA族元素ではAl、Ga、In、Tiなどが含まれることができるし、前記IVA族元素ではGe、Sn、Pbなどが含まれることができる。
【0056】
前記導電材は電気伝導性を向上させるためのもので、リチウム二次電池において化学変化を起こさない電子伝導性物質であれば特に制限されないし、一般的にカーボンブラック(carbon black)、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属粉末、導電性金属酸化物、有機導電材などを使用することができるし、現在導電材で市販されている商品としては、アセチレンブラック系列(シェブロンケミカルカンパニー(Chevron Chemical Company)またはガルフオイルカンパニー(Gulf Oil Company)製品など)、ケッチェンブラック(Ketjen Black)EC系列(アルマックカンパニー(Armak Company)製品)、バルカン(Vulcan)XC-72(キャボットカンパニー(Cabot Company)製品)及びスーパーP(エムエムエム(MMM)社製品)などがある。例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などを挙げることができる。
【0057】
また、前記正極活物質は正極活物質を正極集電体に維持させ、活物質の間をつなぐ機能を持つバインダーをさらに含むことができる。前記バインダーとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(PVDF-co-HFP)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、スチレン-ブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose、CMC)などの多様な種類のバインダーが使われることができる。
【0058】
前記正極では硫黄のローディング量が高い正極を使用することができる。前記硫黄のローディング量は3.0mAh/cm2以上であってもよく、好ましくは4.0mAh/cm2以上であってもよく、より好ましくは5.0mAh/cm2以上である。
【0059】
前記負極は負極集電体及び前記負極集電体上に位置する負極活物質を含むことができる。または、前記負極はリチウム板金である。
【0060】
前記負極集電体は負極活物質を支持するためのもので、優れる導電性を持ち、リチウム二次電池の電圧領域で電気化学的に安定したものであれば特に制限されないし、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチール表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使われることができる。
【0061】
前記負極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して負極活物質との結合力を強化させることができるし、フィルム、シート、ホイル、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を使用することができる。
【0062】
前記負極活物質は、リチウム(Li+)を可逆的に吸蔵(Intercalation)または放出(Deintercalation)できる物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質、リチウム金属またはリチウム合金を含むことができる。前記リチウムイオン(Li+)を可逆的に吸蔵または放出できる物質は、例えば結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの混合物である。前記リチウムイオン(Li+)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成できる物質は、例えば、酸化スズ、窒化チタンまたはシリコンである。前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)とナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群から選択される金属の合金である。好ましくは、前記負極活物質はリチウム金属であってもよく、具体的に、リチウム金属薄膜またはリチウム金属粉末の形態である。
【0063】
前記負極活物質の形成方法は特に制限されず、当業界で通常使われる層または膜の形成方法を利用することができる。例えば、圧搾、コーティング、蒸着などの方法を利用することができる。また、集電体にリチウム薄膜がない状態で電池を組み立てた後、初期充電によって板金上に金属リチウム薄膜が形成される場合も本発明の負極に含まれる。
【0064】
前記分離膜は本発明のリチウム-硫黄二次電池において正極と負極を物理的に分離するためのもので、通常リチウム-硫黄二次電池で分離膜として使われるものであれば特に制限せずに使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液の含湿能力に優れるものが好ましい。
【0065】
前記分離膜は多孔性基材からなることができ、前記多孔性基材は通常的に電気化学素子に使われる多孔性基材であればいずれも使用可能であり、例えば、ポリオレフィン系多孔性膜または不織布を使用することができるが、これに特に限定されない。
【0066】
前記ポリオレフィン系多孔性膜の例では、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成した膜(membrane)を挙げることができる。
【0067】
前記不織布としては、ポリオレフィン系不織布の他に例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)及びポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)などをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成した不織布を挙げることができる。前記不織布の構造は張繊維で構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布である。
【0068】
前記多孔性基材の厚さは特に制限されないが、1ないし100μm、好ましくは5ないし50μmである。
【0069】
前記多孔性基材に存在する気孔の大きさ及び気孔率も特に制限されないが、それぞれ0.001ないし50μm及び10ないし95%である。
【0070】
前記電解液はリチウムイオンを含み、これを媒介にして正極と負極で電気化学的酸化または還元反応を起こすためのものであって、前述した内容にしたがう。
【0071】
前記電解液の注入は最終製品の製造工程及び要求物性によって、電気化学素子の製造工程中に適切な段階で行われることができる。すなわち、電気化学素子の組み立て前または電気化学素子の組み立て最終段階などで適用されることができる。
【0072】
本発明によるリチウム-硫黄二次電池は、一般的な工程である巻取(winding)以外も分離膜と電極の積層(lamination、stack)及びフォールディング(folding)工程が可能である。
【0073】
前記リチウム-硫黄二次電池の形状は特に制限されないし、円筒状、積層型、コイン型など多様な形状にすることができる。
【0074】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0075】
実施例
リチウム-硫黄二次電池用電解液の製造
実施例1
1,3-ジオキソラン(DOL)及び1,2-ジメトキシエタン(DME)の体積比(v/v)を50:50にする混合溶媒にLiTFSI((CF3SO2)2NLi)1.0M、LiNO3 1重量%及びペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)0.1重量%を添加してリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0076】
実施例2
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)を5重量%添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0077】
実施例3
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)の代わりに2-フルオロピリジン(2-Fluoropyridine)を添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0078】
実施例4
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)の代わりに2,6-ジフルオロピリジン(2-Difluoropyridine)を添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0079】
実施例5
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)0.1重量%の代わりに2,3,5,6-テトラフルオロピリジン(2,3,5,6-Tetrafluoropyridine)1.0重量%添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0080】
比較例1
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)を添加しないことを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0081】
比較例2
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)を20重量%添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0082】
比較例3
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)の代わりに2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルピリジン(2-tert-butyl-4-methylpyridine)を添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0083】
比較例4
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)の代わりに2-tert-ブチルピリジン(2-tert-butylpyridine)を添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0084】
比較例5
前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)の代わりに2-プロピルピリジン(2-propylpyridine)を添加することを除いては、実施例1と同様の方法でリチウム-硫黄二次電池用電解液を製造した。
【0085】
前記実施例1ないし5及び比較例1ないし5のリチウム-硫黄二次電池用電解液中の添加剤の成分及び含量は下記表1に示すとおりである。
【0086】
【0087】
実験例
リチウム-硫黄二次電池の寿命特性評価
硫黄をアセトニトリルの中で導電材及びバインダーと一緒にボールミルを使ってミキシングすることで正極活物質スラリーを製造した。このとき、導電材としてはカーボンブラックを、バインダーとしてはSBRとCMCの混合形態のバインダーをそれぞれ使用し、混合の割合は重量比で硫黄:導電材:バインダーが72:24:4になるようにした。前記正極活物質スラリーをアルミニウム集電体にローディング量が5.4mAh/cm2になるように塗布した後、乾燥して孔隙率が70%の正極を製造した。また、厚さ35μmのリチウム金属を負極にした。
【0088】
上述した方法で製造した正極と負極を対面するように位置させた後、厚さ16μm、気孔率45%のポリエチレン分離膜を前記正極と負極との間に介在した。
【0089】
その後、ケース内部に前記実施例1ないし5及び比較例1ないし5による電解液を注入してリチウム-硫黄二次電池を製造した。
【0090】
前記方法で製造されたリチウム-硫黄二次電池を0.1Cの電流密度で1.8Vになるまで放電した後、0.1Cの電流密度で2.5Vになるまで充電する過程を2回遂行し、0.2Cの電流密度で充/放電過程を1回繰り返した後、0.3Cの電流密度で充電し、0.5Cの電流密度で放電する過程を200回繰り返して電池の寿命特性及び充放電効率を評価した。このとき、得られる結果は表2及び
図1ないし
図4に示すとおりある。
【0091】
【0092】
前記表2で示すように、ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)が添加された実施例1及び実施例2の電解液を使用した場合、初期放電容量または公称電圧(nominal voltage)が増加する傾向を示し、前記ペンタフルオロピリジン(Pentafluoropyridine)が添加されていない比較例1の電解液を使用した場合に比べて、寿命が2倍以上増加したことを確認することができた。また、電池が劣化する時点(57サイクル後)での効率を比較したとき、実施例1及び2の電解液を使用した場合、比較例1の電解液を使用した場合に比べてさらに高い効率を示すことを確認することができた。また、実施例3ないし5の電解液を使用した場合も実施例1及び2の電解液を使用した場合と同一な傾向を示すことを確認することができた。
【0093】
一方、本発明による実施例1ないし5の電解液を使用した場合、フッ素に置換されていないピリジン系化合物を添加した比較例3ないし5の電解液の場合に比べて、電池の寿命及び充放電効率が改善されることを確認することができた。
【0094】
本発明の単純な変形ないし変更は、全て本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求範囲によって明確になる。