(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】尿試料分析のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20240402BHJP
G01N 27/447 20060101ALI20240402BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20240402BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALN20240402BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240402BHJP
C12M 1/12 20060101ALN20240402BHJP
G01N 27/453 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
C12N15/10 112Z
G01N27/447 315C
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6806 Z
C12M1/00 Z
C12M1/12
G01N27/453
(21)【出願番号】P 2022562428
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2021059784
(87)【国際公開番号】W WO2021209549
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-11-18
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ゲイビ,パンテア
(72)【発明者】
【氏名】ジェファーソン,ケインティシャ・エル
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/074742(WO,A1)
【文献】Anal Bioanal Chem,2005年,382,pp.535-558
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12M
G01N
C12Q
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿試料から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製する方法であって、
前記尿試料を濃縮して濃縮尿試料を形成すること、ここで、前記濃縮尿試料が、前記尿試料中の前記1つ以上の標的分析物の初期濃度よりも少なくとも10倍高い前記1つ以上の標的分析物の濃度を有する;
前記濃縮尿試料を第1の電解質に添加して、第1の混合物を形成すること;
第1の電極と第2の電極との間に電圧差を印加すること、ここで、
前記第1の電極が、前記第1の混合物中に配置され、
前記第2の電極が、第2の電解質中に配置され、
前記第1の電解質が、前記第2の電解質とは異なるものである;
前記電圧差を使用して、前記第2の電解質内の1つ以上の集束領域内
において前記1つ以上の標的分析物を前記第2の電極に流すこと;および
1つ以上の集束領域を含む第2の混合物を収集することによって前記1つ以上の標的分析物を収集すること、ここで、前記第2の混合物中の前記1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度が、前記濃縮尿試料中のそれぞれの標的分析物の濃度よりも高い;
を含み、
尿試料を濃縮することが、真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、または遠心分離ベースの細胞除去のうちの1つ以上を含み、
尿試料を濃縮することが、緩衝液交換を含み、前記濃縮尿試料のpHが、6.0~8.5の範囲内であり、
前記集束領域は、標的分析物が第2の電解質内に濃縮されるセクションであり、
前記1つ以上の標的分析物が核酸である、
前記方法。
【請求項2】
尿試料を濃縮することが、前記尿試料を遠心分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記尿試料を遠心分離することが、1,000~3,600×gの範囲の力で遠心分離することを含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の標的分析物が、DNA、RNA、またはそれらの組合せを含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の標的分析物が、無細胞核酸、循環腫瘍核酸
、またはそれらの組合せを含む、請求項
1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
尿試料を濃縮することが、前記尿試料を分子量によってフィルタにかけることを含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記尿試料を分子量によってフィルタにかけることが、3,000~10,000の範囲のカットオフを上回るまたは下回る分子量を有する前記尿試料の成分を除去することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記濃縮尿試料中の前記1つ以上の標的分析物の前記濃度が、前記初期濃度よりも少なくとも40倍高い、請求項
1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の混合物中の前記1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度が、前記濃縮尿試料中の前記それぞれの標的分析物の濃度よりも少なくとも2倍高い、請求項
1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記尿試料の体積が10ml~50mlである、請求項
1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記濃縮尿試料の体積が0.5ml~2.5mlである、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の混合物が2つ以上の集束領域を含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記尿試料を脱塩することをさらに含み、前記濃縮尿試料が脱塩される、請求項1~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の混合物中の前記1つ以上の標的分析物の標的分析物を配列決定することをさらに含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術の分野
本開示は、概して、試料分析のための電気泳動の分野に関し、より詳細には、例えば、エピタコフォレシスのためのデバイスおよび方法による、核酸を含む尿試料等の試料の選択的分離、検出、抽出、単離、精製および/または(予備)濃縮による尿試料分析または生物学的試料を含む他の高塩の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
「液体生検」の概念は、近年注目を集めている。固体組織から試料を採取する代わりに、液体生検は、細胞、エキソソーム等の細胞外小胞、および/またはDNA、RNA、もしくはタンパク質等の無細胞分子等のバイオマーカーを捕捉する。これらのバイオマーカーは、血液(または血漿もしくは血清)、尿、痰等の体液中に収集することができる。これらのバイオマーカーの存在は、例えば、癌、腫瘍、自己免疫疾患、心血管イベント、ウイルス、細菌もしくは病原性感染に関連し得るか、または薬物応答に関連し得る。これらの分子は、多くの場合、エキソソーム等の細胞外体と会合しているか、または流体中に「無細胞」であり得る。
【0003】
液体生検は、いくつかの体液のいずれかを使用して行うことができ、低侵襲性(例えば、静脈切開による採血)または非侵襲性(尿収集)であり得る。したがって、液体生検は、収集の容易さ、患者モニタリングのための反復収集の容易さ、患者の黙認の可能性の高さ、患者に対する試料収集の精通度、およびあまり特殊化されていない収集部位のために魅力的である。
【0004】
液体生検の1つの欠点は、バイオマーカー、例えば核酸の濃度が比較的低くなり得るため、下流の分析のために十分な物質を得るために大きな体積が必要となることである。核酸の場合、核酸捕捉キットおよびデバイスを使用する従来の技術は、一般的に、典型的には0.2~1mLの範囲内である小さな試料体積のために設計される。したがって、バイオマーカーリッチな資源であるにもかかわらず、尿からのバイオマーカーの効率的な単離および精製は、これまで困難であることが証明されている。さらに、尿からのバイオマーカーの抽出、単離および/または精製のための従来の技術は、多くの場合、時間がかかり、低品質の生成物が得られ、自動化にはあまり適していない。したがって、1つ以上のバイオマーカーの検出等のために、尿試料を分析するためのデバイスおよび方法のさらなる開発が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
簡単な概要
システムは、尿試料を濃縮して濃縮尿試料を形成することができる。濃縮尿試はが、尿試料中の1つ以上の標的分析物の初期濃度よりも少なくとも10倍高い、1つ以上の標的分析物の濃度を有し得る。システムは、濃縮尿試料を第1の電解質に添加して、第1の混合物を形成し得る。システムは、第1の電極と第2の電極との間に電圧差を印加し得る。第1の電極は、第1の混合物中に配置されている。第2の電極は、第2の電解質中に配置されている。第1の電極は、第2の電極と異なっていてもよい。システムは、電圧差を使用して、1つ以上の集束領域内の1つ以上の標的分析物を第2の電極に流し得る。システムは、1つ以上の集束領域を含む第2の混合物を収集することによって、1つ以上の標的分析物を収集することができる。第2の混合物中の1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度は、濃縮尿試料中のそれぞれの標的分析物の濃度よりも高い。さらなる分析の前に標的分析物をさらに抽出する必要はない。
【0006】
複数の実施形態において、システムは、エピタコフォレシス(「ETP」)デバイスを含み得る。デバイスは、円形チャネルの外縁部に配置された円形の第1の電極を含み得る。デバイスはまた、前記円形チャネルの中心にある試料収集リザーバを含み得る。システムは、第2の電極をさらに含み得る。第2の電極は、前記円形の第1の電極が前記試料収集リザーバと電気的に連通するよりも前記試料収集リザーバとより密接に電気的に連通するように構成されている。さらに、デバイスは、円形の第1の電極と前記第2の電極との間に電圧差を送達するように構成された電源を含み得る。システムはまた、試料内の1つ以上の標的分析物の濃度を少なくとも10倍高く増加させるように構成された試料濃縮デバイスを含み得る。
【0007】
本開示は、概して、ナトリウム塩またはカリウム塩等の生物学的試料を含む尿または他の高塩から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製する方法であって、試料が1つ以上の標的分析物を潜在的に含み、a.エピタコフォレシスを行うためのデバイスを提供すること;b.前記1つ以上の標的分析物を含む試料を提供すること;c.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域に集束させるために前記デバイスを使用してETPを行うことによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;およびd.前記1つ以上の標的分析物を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって、前記1つ以上の標的分析物を収集すること;それによって、1つ以上の単離および/または精製された標的分析物を得ることを含み、任意に前記標的分析物が1つ以上の核酸を含む、方法に関する。いくつかの実施形態において、工程cの前に、試料溶液が、前記尿または生物学的試料を含む他の高塩に対して1つ以上の試料前処理工程を実施することによって調製され得る。いくつかの実施形態において、試料は、尿試料を含み得る。いくつかの実施形態において、試料前処理工程は、真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、遠心分離ベースの細胞除去および/または濃縮工程のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、前記脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮工程および/または濃縮工程が遠心分離ベースであり得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物は、1つ以上の核酸;1つ以上のタンパク質;1つ以上の細胞;1つ以上の細胞外小胞;1つ以上の1つ以上のエキソソーム、微小胞、および/またはアポトーシス小体、任意に1つ以上の尿エキソソーム;および/または1つ以上のバイオマーカーのうちのいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物は、DNAおよび/またはRNAを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物は、1つ以上の循環核酸を含み得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された標的分析物は、DNAおよび/またはRNAを含み得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された核酸の量は、蛍光光度計ベースの方法によって測定された場合、カラムベースまたはビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の量と比較して多くなり得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された核酸の品質は、品質管理qPCRベースの方法によって測定された場合、カラムベースのプロトコルまたはビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の品質と比較して高くなり得る。いくつかの実施形態において、カラムベースまたはビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の量と比較して、1.25倍以上、1.5倍以上、1.75倍以上、2.0倍以上、2.25倍以上、2.5倍以上、2.75倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、100倍以上、または1000倍以上の核酸を収集することができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、単離および/または精製され、収集される元の試料に含まれる1つ以上の核酸の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の核酸を含む単離/精製試料の組成を決定するための分析技術等によって測定される、単離および/または精製された1つ以上の核酸の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、25%以上、20%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の純度をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、前記単離および/または精製された核酸の品質は、品質管理qPCRによって決定され得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された核酸は、任意の所望のサイズであり得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された核酸は、5nt以下、10nt以下、20nt以下、30nt以下、50nt以下、100nt以下、1000nt以下、10,000nt以下、100,000nt以下、1,000,000nt以下、または1,000,000nt以上のサイズであり得る。いくつかの実施形態において、試料体積は、0.25mL以下、0.25mL以上、0.5mL以上、0.75mL以上、1.0mL以上、2.5mL以上、5.0mL以上、7.5mL以上、10.0mL以上、12.5mL以上、または15.0mL以上、20.0mL以上、25.0mL以上、30.0mL以上、40.0mL以上、または50mL以上であり得る。いくつかの実施形態において、試料体積は、約1mL~約50mLであり得る。
【0009】
さらに、本開示は、概して、1つの標的分析物、任意に1つ以上の核酸を尿試料から単離および/または精製する方法であって、a.エピタコフォレシス(ETP)を行うためのデバイスを提供すること;b.1つ以上の標的分析物を含む尿試料を提供すること;c.前記尿試料に対して1つ以上の前処理工程を実施することによって尿試料溶液を調製すること;d.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域、例えば1つ以上のETPバンドに集束させるために前記デバイスを使用してETPを行うことによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;およびe.前記1つ以上の標的分析物を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって、前記1つ以上の標的分析物を収集すること;それによって、1つ以上の単離および/または精製された標的分析物を得ることを含み、任意に前記標的分析物が核酸、無細胞核酸、循環腫瘍核酸、バイオマーカー、タンパク質および/または細胞外小胞の1つ以上を含む、方法に関する。
【0010】
さらに、本開示は、概して、1つの標的分析物、任意に1つ以上の核酸を尿試料から単離および/または精製する方法であって、a.エピタコフォレシス(ETP)を行うためのデバイスを提供すること;b.1つ以上の標的分析物を含む尿試料を提供すること;c.前記尿試料に対して1つ以上の前処理工程を実施することによって尿試料溶液を調製することであって、前記前処理工程が、1つ以上の真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、遠心分離ベースの細胞除去および/または濃縮工程のうちの1つ以上を含む、調製すること;d.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域、例えば1つ以上のETPバンドに集束させるために前記デバイスを使用してETPを行うことによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;およびe.前記1つ以上の標的分析物を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって、前記1つ以上の標的分析物を収集すること;それによって、1つ以上の単離および/または精製された標的分析物を得ることを含み、任意に前記標的分析物が核酸、無細胞核酸、循環腫瘍核酸、バイオマーカー、タンパク質および/または細胞外小胞の1つ以上を含む、方法に関する。
【0011】
さらに、本開示は、概して、1つの核酸、任意に1つ以上の循環核酸を尿試料から単離および/または精製する方法であって、a.エピタコフォレシス(ETP)を行うためのデバイスを提供すること;b.1つ以上の標的分析物を含む尿試料を提供すること;c.前記尿試料に対して1つ以上の前処理工程を実施することによって尿試料溶液を調製することであって、前記前処理工程が、1つ以上の真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、遠心分離ベースの細胞除去および/または濃縮工程のうちの1つ以上を含む、調製すること;d.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域、例えば1つ以上のETPバンドに集束させるために前記デバイスを使用してETPを行うことによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;およびe.前記1つ以上の標的分析物を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって、前記1つ以上の標的分析物を収集すること;それによって、1つ以上の単離および/または精製された核酸を得ることを含む、方法に関する。
【0012】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態において、前記単離および/または精製された1つ以上の標的分析物は、1つ以上のインビトロ診断(「IVD」)アッセイに供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】エピタコフォレシスを行うための例示的なデバイスの概略図を提供している。
【
図2A】エピタコフォレシスを行うための例示的なデバイスの上面図の概略を提供している。
図2Aにおいて、番号1~7は以下を指す:1.外側円形電極;2.終端電解質リザーバ;3.任意にゲル内に含まれるか、または他の方法で終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質;4先行電解質電極/収集リザーバ;5.中央電極;6.電源;および7.間に集束された試料イオンを有する電解質の先行電解質と終端電解質との間の境界;記号rおよびdは、それぞれLE/TE境界によって移動される先行電解質リザーバ半径および距離を表すために使用される。
【
図2B】エピタコフォレシスを行うための例示的なデバイスの側面図の概略図を提供している。
図2Bにおいて、符号1~8は以下を指す:1.外側円形電極;2.終端電解質リザーバ;3.任意にゲル内に含まれるか、または他の方法で終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質;4.先行電解質電極/収集リザーバ;5.中心電極;6.電源;および7.間に集束された試料イオンを有する先行電解質と終端電解質との間の境界;および8.底部支持体;記号rおよびdは、それぞれ、LE/TE境界によって移動される先行電解質リザーバの半径および距離を表すために使用される。
【
図3】エピタコフォレシスを行うための例示的なデバイスの概略図を提供している。
【
図4】エピタコフォレシスを行うための例示的なデバイスの概略図を提供している。
図4において、符号1~10は以下を指す:1.外側円形電極;2.終端電解質リザーバ;3.任意にゲル内に含まれるか、または他の方法で終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質;4.先行電解質/収集リザーバへの開口部;5.中心電極;6.電源;および7.間に集束された試料イオンを有する先行電解質と終端電解質との間の境界;8.底部支持体;9.先行電解質リザーバへの管接続デバイス;10.先行電解質リザーバ.
【
図5】先行電解質の充填と終端電解質の充填との間に試料が充填される、エピタコフォレシスを行うための例示的なデバイスの概略図を提供している。
【
図6A】エピタコフォレシスを行うためのデバイスの概略図を提供している。
【
図6B】定電流を使用してエピタコフォレシスのための例示的なデバイス(
図6A)が作動されるときのcmの移動距離d対距離dにおける相対速度を表すグラフを提供している。
図6Bに示す例では、半径値5および開始速度値1が使用された。
【
図7】試料を濃縮するために使用されたエピタコフォレシスデバイスの画像を提供している。
【
図8A】エピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図8B】試料を集束領域に集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図8C】試料を集束領域に集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図9A】エピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図9B】使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの概略図を提供している。
図9Bにおいて、符号は、ミリメートル単位の寸法を指す。
【
図9C】試料を集束領域に集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図9D】試料を集束領域に集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図10】試料を集束領域に集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図11】2つの異なる試料を分離して集束領域に集束させるために使用されたエピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図12】エピタコフォレシスのための例示的なデバイスの画像を提供している。
【
図13A】例示的なエピタコフォレシスデバイスの画像を提供している。
【
図13B】例示的なエピタコフォレシスデバイスの概略図を提供している。「a」は中央収集ウェルに対応し、「b」は先行電解質リザーバに対応する。
【
図14A】エピタコフォレシスデバイスにおいて使用するための例示的な導電率測定プローブの画像を提供している。
【
図15A】導電率プローブを有する例示的なエピタコフォレシスデバイスの画像を提供している。
【
図15B】例示的なエピタコフォレシスデバイスの実行のための導電率トレースを提供している。
【
図16A】半透膜の下方に配置された導電率検出プローブを有する例示的なエピタコフォレシスデバイスの画像を提供している。
【
図16B】中心柱内の専用チャネルを介して接続された2つの導電率検出プローブを組み込んだ例示的な底部基材の画像を提供している。
【
図17A】フルオレセイン標識DNAラダー試料の集束を示す、例示的なエピタコフォレシスデバイスの画像を提供している。
【
図17B】例示的なエピタコフォレシスデバイスの実行のために表面導電性セルによってモニタリングされたLE/TE転移の抵抗率変化を示すトレースを提供している。
【
図17C】エピタコフォレシスを実行する前後の元の試料およびDNAラダー試料の収集された画分の吸光度スペクトルを提供している。
【
図17D】バイオアナライザ(Bioanalyzer)分離を介して測定した、エピタコフォレシス実行前後のDNAラダー試料の電気泳動図を提供している。
【
図18】3回の独立したETP実行の電圧プロファイルを提供している。
【
図19A】ETP実行中のETPデバイスの画像を提供している。
【
図19B】ETP実行中に撮影されたETPデバイスの蛍光ベースの画像を提供している。
【
図19C】ETP実行中に撮影されたETPデバイスの画像を提供している。
【
図19D】分析された集束および収集されたETP試料の電気泳動図を提供している。
【
図20A】ETP実行中に赤外線ベースの熱画像カメラを使用してキャプチャされた画像を提供している。
【
図20B】ETP実行中にキャプチャされた蛍光ベースの画像を提供している。
【
図20C】ETP実行中の経時的な電圧変化および温度変化に関するデータを提示している。
【
図21】ETPデバイス、および付属物の画像を提供している。a.は、ETPデバイスを示し、bは、ETPデバイスの長方形蓋を示し、c.は、ETPデバイスの円形蓋を示し、d.は、ETPデバイスの可動中央ピストンの位置を調整するために使用されるテフロン(登録商標)スティックを示している。
【
図23】1mLの血漿からのcfDNAの単離/精製の経時画像を提供している。
【
図24】ETPベースの単離/精製とそれに続くビーズベースの洗浄によって単離/精製されたcfDNAの濃度の(QUBITベースの)測定値を提供している。スピンカラムまたはビーズベースの方法によって単離/精製されたcfDNAの濃度の測定からのデータも提示されている。
【
図25】ETPベースの単離/精製によるDNAラダーを添加した血漿試料から単離/精製されたcfDNAおよびDNAラダーのサイズベースの分析からのデータを提供している。
【
図26】ETPベースの単離/精製による血漿試料から単離/精製されたcfDNAのサイズベースの分析からのデータを提供している。
【
図27】ETPベースの単離/精製による単離/精製されたcfDNAのサイズベースの分析からのデータを提供している。
【
図28】ETPベースの単離/精製とそれに続くビーズベースの洗浄によって単離/精製されたctDNAの濃度の測定値を提供している。スピンカラムベースの方法によって単離/精製されたctDNAの濃度の測定についてのデータも提示されている。
【
図29】ベクターを3つの制限酵素によって消化することによって生成されたETP上部マーカーの電気泳動に基づく分析からのデータを提供している。
【
図30】は、本発明の実施形態による、尿試料から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製するためのプロセスを示す。
【
図31】は、本発明の実施形態による、尿試料から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製するためのシステムを示す。
【
図32】は、本明細書で言及されるコンピュータシステムのいずれかで使用され得るサブシステムの例を示す。
【0014】
用語
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、特に明記しない限り、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているのと同じ意味を有する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「等速電気泳動」という用語は、一般に、電界を使用して物質間(例えば、荷電粒子と溶液中の他の物質との間)の境界または界面を形成することによる荷電粒子の分離を指す。ITPは、一般に、複数の電解質を使用し、試料イオンの電気泳動移動度は、ITPのためのデバイスに配置された先行電解質(LE)の電気泳動移動度よりも小さく、後行電解質(TE)の電気泳動移動度よりも大きい。先行電解質(LE)は、一般に、比較的高い移動度のイオンを含有し、後行電解質(TE)は、一般に、比較的低い移動度のイオンを含有する。TEおよびLEイオンは、目的の標的分析物イオンよりもそれぞれ低いおよび高い有効移動度を有するように選択される。すなわち、分析物イオンの実効移動度は、TEよりも高く、LEよりも低い。これらの標的分析物は、LEおよびTEイオン(すなわち、共イオン)と同じ電荷の符号を有する。印加された電界は、LEイオンをTEイオンから遠ざけ、TEイオンを後方に引き寄せる。移動界面は、隣接および連続するTE領域とLE領域との間に形成される。これは、(典型的にはLEの低電界からTEの高電界までの)電界勾配の領域を形成する。TE中の分析物イオンは、TEイオンを追い越すが、LEイオンを追い越すことができず、TEとLEとの間の界面に蓄積することができる(「集束」または「集束領域」を形成する)。あるいは、LE中の標的イオンは、LEイオンによって追い越され、界面にも蓄積する。LEおよびTE化学の賢明な選択により、ITPは、かなり一般的に適用可能であり、TEおよびLE電解質のいずれかまたは双方に最初に溶解した試料によって達成されることができ、非常に低い電気伝導率のバックグラウンド電解質を必要としなくてもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「エピタコフォレシス」という用語は、一般に、本明細書に記載の円形/同心および/または多角形デバイスの使用等によって、円形または回転楕円形および/または同心デバイスおよび/または円形および/または同心電極構成を使用して実行される電気泳動分離の方法を指す。エピタコフォレシス中に使用される円形/同心または別の多角形の配置に起因して、従来の等速電気泳動デバイスとは異なり、断面積は、イオンおよび領域の移動中に変化し、領域移動の速度は、断面積の変化に起因して時間的に一定ではない。したがって、エピタコフォレシス構成は、領域が一定の速度で移動する従来の等速泳動の原理に厳密にしたがわない。本明細書に示されるこれらの有意差にもかかわらず、エピタコフォレシスは、異なる電気泳動移動度を有することができる物質間(例えば、荷電粒子と溶液中の他の物質との間)の境界または界面を形成するために電界を使用することによって荷電粒子を効率的に分離および集束するために使用されることができる。LEおよびTEは、ITPを用いた使用について記載されているように、エピタコフォレシスにも使用されることができる。いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスは、定電流、定電圧、および/または定電力を使用して行うことができる。いくつかの実施形態において、変化する電流、変化する電圧、および/または変化する電力を使用して、エピタコフォレシスを行うことができる。いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスは、本明細書に記載されるようにエピタコフォレシスの基本原理が達成されることができるように、その形状が一般に円形または球状として説明されることができるデバイスおよび/または電極の配置の文脈内で達成されることができる。いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスは、本明細書に記載されるようにエピタコフォレシスの基本原理が達成されることができるように、その形状が一般的に多角形として説明されることができるデバイスおよび/または電極の配置の文脈内で達成されることができる。いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスは、円形の形状に配置された電極および/または多角形の形状に配置された電極等の電極の任意の非線形の連続的な配置によって達成されることができる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「インビトロ診断用途(IVD用途)」、「インビトロ診断方法(IVD方法)」、「インビトロ診断アッセイ」等の用語は、一般的に、対象、任意にヒト対象の疾患の同定等の診断および/またはモニタリング目的で試料を評価することができる任意の用途および/または方法および/またはデバイスを指す。いくつかの実施形態において、前記試料は、対象および/または試料からの核酸および/または標的核酸を含んでもよく、任意にさらに、前記核酸は、尿試料に由来する。いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスデバイスをインビトロ診断装置として使用することができる。いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスによって濃縮/富化/単離/精製された標的分析物を下流のインビトロ診断アッセイで使用することができる。いくつかの実施形態において、インビトロ診断アッセイは、核酸配列決定、例えばDNA配列決定、例えばRNA配列決定を含み得る。いくつかの実施形態において、IVDアッセイは、遺伝子発現プロファイリングを含み得る。いくつかの実施形態において、インビトロ診断方法は、これらに限定されないが、以下のうちのいずれか1つ以上であり得る:染色、免疫組織化学的染色、フローサイトメトリ、FACS、蛍光活性化液滴ソーティング、画像分析、ハイブリダイゼーション、DASH、分子ビーコン、プライマー伸長、マイクロアレイ、CISH、FISH、ファイバFISH、定量的FISH、フローFISH、比較ゲノムハイブリダイゼーション、ブロッティング、ウエスタンブロッティング、サザンブロッティング、イースタンブロッティング、ファーウエスタンブロッティング、サウスウエスタンブロッティング、ノースウエスタンブロッティング、およびノーザンブロッティング、酵素アッセイ、ELISA、リガンド結合アッセイ、免疫沈降、ChIP、ChIP-seq、ChIP-ChiP、ラジオイムノアッセイ、蛍光偏光、FRET、表面プラズモン共鳴、フィルタ結合アッセイ、アフィニティクロマトグラフィ、免疫細胞化学、遺伝子発現プロファイリング、DNAプロファイリングPCR、DNAマイクロアレイ、遺伝子発現の連続分析、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、ディファレンシャルディスプレイPCR、RNA-seq、質量分光分析、DNAメチル化検出、音響エネルギー、リピドミックベースの分析、免疫細胞の定量化、癌関連マーカーの検出、特定の細胞型のアフィニティ精製、DNA配列決定、次世代シーケンシング、癌関連融合タンパク質の検出、および化学療法抵抗性関連マーカーの検出。
【0018】
本明細書で使用される場合、「先行電解質」および「先行イオン」という用語は、一般的に、ITPおよび/またはエピタコフォレシス中に使用される目的の試料イオンおよび/または後行電解質のものと比較して、より高い有効電気泳動移動度を有するイオンを指す。いくつかの実施形態において、カチオン性エピタコフォレシスで使用するための先行電解質は、これらに限定されないが、例えば、ヒスチジン、TRIS、クレアチニン等の適切な塩基によって所望のpHに緩衝された塩化物、硫酸塩および/またはギ酸塩を含むことができる。いくつかの実施形態において、アニオン性エピタコフォレシスで使用するための先行電解質は、これらに限定されないが、酢酸塩またはギ酸塩とともにカリウム、アンモニウムおよび/またはナトリウムを含むことができる。いくつかの実施形態において、先行電解質の濃度の上昇は、試料領域の比例的な増加および所与の印加電圧に対する電流(電力)の対応する増加をもたらすことができる。典型的な濃度は、一般的に、10~100mMの範囲とすることができる。しかしながら、より高い濃度が使用されてもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「後行電解質」、「後行イオン」、「終端電解質」、および「終端イオン」という用語は、一般に、ITPおよび/またはエピタコフォレシス中に使用される目的の試料イオンおよび/または先行電解質の電気泳動移動度と比較して、より低い有効電気泳動移動度を有するイオンを指す。いくつかの実施形態において、カチオン性エピタコフォレシスで使用するための後行電解質は、これらに限定されないが、MES、MOPS、酢酸塩、グルタミン酸塩、ならびに弱酸および低移動度アニオンの他のアニオンを含むことができる。いくつかの実施形態において、アニオン性エピタコフォレシスで使用するための後行電解質は、これらに限定されないが、エピタコフォレシス中に任意の弱酸によって形成される移動する境界における反応ヒドロキソニウムイオンを含むことができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「集束領域」という用語は、一般的に、エピタコフォレシスを実施した結果として濃縮された(「集束された」)成分を含む溶液の体積を指す。集束領域は、デバイスから収集または除去されてもよく、前記集束領域は、富化および/または濃縮された量の所望の試料、例えば標的分析物、例えば標的核酸を含んでもよい。本明細書に記載のエピタコフォレシス方法では、標的分析物は、一般的に、デバイスの中心、例えば、円形または回転楕円形または他の多角形のデバイスに集束される。
【0021】
本明細書で使用される場合、「バンド」および「ETPバンド」という用語は、一般的に、電気泳動(例えば、等速電気泳動またはエピタコフォレシス)移動中に他のイオン、分析物、または試料とは別個に移動するイオン、分析物、または試料の領域(例えば、集束領域)を指す。エピタコフォレシスデバイス内の集束領域は、代替的に「ETPバンド」と呼ばれることがある。いくつかの実施形態において、ETPバンドは、1つ以上のタイプのイオン、分析物、および/または試料を含むことができる。いくつかの例では、ETPバンドは、試料中に存在する他の物質からの分離、例えば細胞残屑からの標的核酸の分離が望ましい単一の種類の分析物を含むことができる。いくつかの例では、ETPバンドは、1つを超える標的分析物、例えば配列が非常に類似したポリペプチドまたは核酸配列、例えば対立遺伝子変異体を含むことができる。いくつかの例では、ETPバンドは、同様のサイズまたは電気泳動移動度の異なる分析物を含むことができる。そのような場合、1つを超える標的分析物は、例えば前記の1つを超える分析物の分離を促進する異なる条件下で、さらなるETP実行によって分離されてもよく、および/または前記1つを超える分析物は、本明細書に記載されるもの等の分析物の分離のための当技術分野において公知の他の技術によって分離されてもよい。いくつかの実施形態において、ETPバンドは、収集され、任意に、1つ以上のETPベースの単離/精製および収集後にさらなる分析に供することができる。いくつかの実施形態において、ETPバンドは、例えばETP実行の一部として、ETPベースの単離/精製および任意に収集を受けているまたは受けた1つ以上の標的分析物を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用される「標的核酸」という用語は、検出、測定、増幅、単離、精製、および/またはさらなるアッセイおよび分析の対象となる任意の核酸を意味することを意図している。標的核酸は、任意の一本鎖および/または二本鎖核酸を含むことができる。標的核酸は、単離された核酸断片として存在することができるか、またはより大きな核酸断片の一部とすることができる。標的核酸は、培養微生物、未培養微生物、複合生物学的混合物、生物学的試料を含む試料、尿試料、組織、血清、古いまたは保存された組織または試料、環境単離株等の本質的に任意の供給源から誘導または単離されることができる。さらに、標的核酸は、cDNA、RNA、ゲノムDNA、クローニングされたゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、酵素的に断片化されたDNAもしくはRNA、化学的に断片化されたDNAもしくはRNA、物理的に断片化されたDNAもしくはRNA等を含むか、またはそれらに由来する。いくつかの実施形態において、標的核酸は、全ゲノムを含み得る。いくつかの実施形態において、標的核酸は、試料および/または生物学的試料、例えば尿試料の全核酸含有量を含み得る。標的は、例えば単純もしくは複雑な混合物または実質的に精製された形態を含む、様々な異なる形態になることができる。例えば、標的は、他の成分を含有する試料の一部であっても、または試料の唯一のもしくは主要な成分であってもよい。また、標的核酸は、既知または未知の配列のいずれかを有することができる。
【0023】
本明細書で使用される「標的微生物」という用語は、血液、血漿、他の体液、生物学的試料等の試料、および/または組織、例えば感染症状または疾患に関連するものに見られる任意の単細胞または多細胞微生物を意味することを意図している。例えば、細菌、古細菌、真核生物、ウイルス、酵母、真菌、原生動物、アメーバおよび/または寄生虫が挙げられる。さらに、「微生物」という用語は、一般的に、疾患が言及されているかまたは疾患を引き起こす微生物が言及されているかにかかわらず、疾患を引き起こすことができる微生物を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「バイオマーカー」または「目的のバイオマーカー」という用語は、正常もしくは異常な過程、または状態もしくは疾患(癌等)の徴候である組織、血液、血漿、尿、および/または他の体液中に見られる生物学的分子を指す。バイオマーカーが使用されて、身体が疾患または症状の処置にどの程度よく応答するかを確認することができる。癌の文脈において、バイオマーカーは、体内の癌の存在を示す生体物質を指す。バイオマーカーは、腫瘍によって分泌される分子、または癌の存在に対する身体の特異的応答とすることができる。遺伝子バイオマーカー、エピジェネティックバイオマーカー、プロテオミクスバイオマーカー、グリコームバイオマーカーおよびイメージングバイオマーカーは、癌の診断、予後診断および疫学のために使用されることができる。そのようなバイオマーカーは、血液、血清、および/または尿等の非侵襲的に収集された体液でアッセイすることができる。バイオマーカーは、診断薬(例えば、初期癌を同定するため)および/または予後診断薬(例えば、癌がどの程度侵攻性であるかを予測するため、および/または対象が特定の処置にどのように応答するかおよび/または癌がどの程度再発する可能性があるかを予測するため)として有用とすることができる。
【0025】
本明細書で使用される「試料」という用語は、1つ以上の標的分析物を含むかまたは含むと推定される検体または培養物(例えば、微生物培養物)を含む。「試料」という用語はまた、生物学的、環境的、および化学的試料、ならびには分析が所望される任意の試料を含むことを意味する。試料は、合成起源の検体を含むことができる。試料は、1つ以上の微生物が由来することができる任意の供給源からの1つ以上の微生物を含むことができる。試料としては、これらに限定されないが、全血、皮膚、血清、血漿、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、脳脊髄液、髄液、洗浄液(例えば、気管支肺胞上皮、胃、腹膜、管、耳、関節鏡視下)、組織試料、生検試料、尿、糞便、痰、唾液、鼻粘液、前立腺液、精液、リンパ液、胆汁、臓器、骨髄、涙液、汗、母乳、母体液、胚細胞、および胎児細胞が挙げられる。いくつかの例では、試料は、尿試料であり得る。
【0026】
本明細書で使用される「標的分析物」という用語は、検出、測定、分離、濃縮、単離、精製、および/またはさらなるアッセイおよび分析の対象となる任意の分析物を意味することを意図している。いくつかの実施形態において、前記分析物は、任意のイオン、分子、核酸、バイオマーカー、タンパク質、細胞または細胞集団、例えば所望の細胞等とすることができるが、これらに限定されず、さらなるアッセイにおけるその検出、測定、分離、濃縮および/または使用が望ましい。いくつかの実施形態において、標的分析物は、本明細書に記載の試料のいずれか、例えば尿試料に由来することができる。
【0027】
本開示の目的のために、層、領域、液体または基材等の所与の構成要素が、本明細書では他の構成要素「上に」、「内に」または「において」配置または形成されるものとして言及される場合、その所与の構成要素は、他の構成要素上に直接存在することができ、あるいは介在する構成要素(例えば、1つ以上のバッファ層、中間層、電極または接点)も存在することができることが理解されよう。「に配置される」および「に形成される」という用語は、所与の構成要素が別の構成要素に対してどのように配置または配置されるかを説明するために互換的に使用されることがさらに理解されよう。したがって、「に配置される」および「に形成される」という用語は、物質の移送、堆積、または製造の特定の方法に関するいかなる制限も導入することを意図していない。
【0028】
「連通する」という用語は、本明細書では、2つ以上の構成要素または要素間の構造的、機能的、機械的、電気的、光学的、熱的、もしくは流体的関係、またはそれらの任意の組合せを示すために使用される。したがって、1つの構成要素が第2の構成要素と連通すると言われているという事実は、追加の構成要素が第1の構成要素と第2の構成要素との間に存在することができる、および/または第1の構成要素と第2の構成要素と動作可能に関連付けられもしくは係合されることができる可能性を排除することを意図するものではない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「対象」は、処置される哺乳動物の対象(例えば、ヒト、げっ歯類、非ヒト霊長類、イヌ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ネコ等)および/または試料が得られる対象を指す。
【0030】
エピタコフォレシスデバイス、システムまたは機械の文脈内で試料を「検出すること」は、デバイス全体の1つ、いくつか、または多くの点でその位置を検出することを含むことができる。検出は、一般的に、所望のデバイス、システム、または機械の機能、および前記デバイス、システム、または機械を使用して実行される方法に干渉しない任意の1つ以上の手段によって行われることができる。いくつかの実施形態において、検出は、例えば、導電率、抵抗率、電圧、電流等の検出による電気的検出の任意の手段を包含する。さらにまた、いくつかの実施形態において、検出は、電気的検出、熱的検出、光学的検出、分光学的検出、光化学的検出、生化学的検出、免疫化学的検出、および/または化学的検出のうちの任意の1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物は、ETPベースの単離/精製および任意に前記1つ以上の標的分析物の収集中に検出されることができる。さらに、ETPデバイスおよびETPの方法の文脈内での試料検出は、米国特許出願第62/585,219号および米国特許出願第62/744,984号、およびPCT番号PCT/EP2018/081049およびPCT/EP2019/077714にさらに記載されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
試料分析デバイスまたはシステムでは、「試料収集体積」という用語は、分析中または分析後に、例えばロボット液体ハンドラによって収集することを意図した試料の体積を指す。エピタコフォレシスを行うためのデバイス、またはそのようなデバイスを含むシステムにおいて、試料収集体積は、エピタコフォレシス中またはエピタコフォレシス後の試料を含む収集を意図した体積である。いくつかの実施形態において、試料収集体積は、本明細書に記載のデバイスまたはシステムの中央ウェルに配置されることができる。いくつかの実施形態において、試料収集体積は、所望の試料の収集を可能にする任意の場所に配置されることができる。いくつかの実施形態において、試料収集体積は、試料充填領域と先行電解質電極/収集リザーバとの間のどこであってもよい。試料収集体積は、デバイスまたはシステムの任意の適切な領域、容器、ウェル、または空間によって構成されることができる。いくつかの実施形態において、試料収集体積は、ウェル、膜、区画、バイアル、ピペット等によって構成される。いくつかの実施形態において、試料収集体積は、デバイスまたはシステムの構成要素内または構成要素間の空間、例えば2つのゲル間の空間またはゲルの孔によって形成されることができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ETPデバイス」、「ETPを行うためのデバイス」、「ETP用のデバイス」等の用語は、ETPを実施することができる、またはETPが実施されることができるデバイスおよび/またはETPを含む方法を指すために互換的に使用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ETPベースの単離/精製」という用語は、一般的に、ETPを含むデバイスおよび方法、例えばETPを行うことができるデバイス、例えばETPを行うことを含む方法を指し、ETPは、1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域(例えば、1つ以上のETPバンド)に集束させ、それによって初期試料に含まれる他の物質から1つ以上の標的分析物を単離/精製する。「単離する」および「精製する」という用語は互換的に使用されることに留意されたい。さらにまた、ETPベースの単離/精製は、一般的に、前記1つ以上の標的分析物を含む1つ以上の集束領域(1つ以上のETPバンド)のその後の収集を可能にする。1つ以上のETPベースの単離/精製によってもたらされる1つ以上の標的分析物の単離/精製の程度は、他の物質からの1つ以上の標的分析物の任意の程度または量とすることができる。いくつかの実施形態において、試料からの標的分析物のETPベースの単離/精製は、例えば、1つ以上の標的分析物を含むETP単離/精製試料の組成を判定するための分析技術によって測定した場合に、前記標的分析物の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、60%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の純度をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、試料からの標的分析物のETPベースの単離/精製は、標的分析物の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上が元の試料から回収されることをもたらすことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物、例えば1つ以上の核酸を単離/精製するために、1つ以上のETPベースの単離/精製を行うことができる。例えば、いくつかの例では、1つ以上の標的分析物を含む試料に対してETPベースの単離/精製が行われて、1つ以上の標的分析物を1つの集束領域(ETPバンド)に集束させ、1つ以上の標的分析物を元の試料に含まれる他の物質から実質的に分離することができる。試料はETP単離/精製後に収集されることができ、単離/収集された試料は、さらに別のETPベースの単離/精製を受けることができる。任意に、第2のETPベースの単離精製は、1つを超える標的分析物の場合に、1つ以上の標的分析物のそれぞれを別個の集束領域に単離するような条件とすることができ、そのそれぞれは、任意に個別に収集されることができ、それによって、所望であれば、標的分析物を互いに分離する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「混合試料」という用語は、一般に、1つを超える供給源からの物質を含む試料を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「試料前処置」、「前処置された試料」等の用語は、一般的に、試料をETPデバイスに充填する前に前記試料に対して実行される任意の手順を指す。例えば、いくつかの例では、尿試料または生物学的試料を含む他の高塩は、当技術分野で公知の遠心分離ベースの方法を使用する等によって、前記試料を濃縮、緩衝交換および/または脱塩することによって前処理することができる。例えば、AMICON(登録商標)Ultra Centrifugalフィルタを使用して、任意の体積、例えば1~50mLの尿試料を濃縮、脱塩、および緩衝液交換することができる。いくつかの例において、脱塩および/または緩衝液交換は、透析ベースの方法の使用によって達成され得る。そのような手順の結果として、1つ以上の標的分析物、例えばcfNA、タンパク質、および/または細胞外小胞、例えば尿エキソソームの初期濃縮は、任意に所望の緩衝液中および/または手順の結果としての低塩溶液中で達成される。さらに、場合によっては、試料前処理は、例えば、望ましくない細胞および/または望ましくない細胞残屑などの望ましくない物質を除去するために、真空濾過工程等の濾過工程を含むことができる。そのような濾過工程は、望ましくない物質を除去するように選択されたフィルタサイズ、例えば0.22umのフィルタ膜を使用して前記望ましくない物質を除去する遠心分離ベースの濾過および/または真空ベースの濾過を使用することによって達成することができる。さらに、いくつかの例において、試料濃縮、脱塩および/または緩衝液交換の後、試料は、エキソソーム濃縮工程などの細胞外小胞濃縮工程に供される。そのような濃縮工程は、試料をETPデバイスに導入する前に、循環核酸、例えばDNAおよび/またはRNAを小胞から遊離させることができる。上記の手順ならびに当技術分野で周知の他の試料前処理手順のいずれか、全てを含む、またはいずれも含まない任意の所望の程度の試料前処理後、試料分析を行うために1回以上のETP実行のために試料をETPデバイスに充填することができる。いくつかの例において、試料の濃縮および緩衝液交換の後、試料をETPデバイスに導入する前に、溶解および/またはタンパク質消化工程を実行することができる。そのような工程は、単離/精製するための標的核酸および/または所望の標的核酸の起源に少なくとも部分的に基づいて行われ得る。尿中に見出される核酸の起源には、例えば、尿路から排出される上皮細胞、自由循環cfDNA、およびエキソソームが含まれる。いくつかの例において、全核酸回収が所望される場合、溶解工程および/またはタンパク質消化工程は、適切な試薬を使用して実施され得る。例えば、プロテイナーゼKを使用してタンパク質消化を行うことができる。さらに、そのような溶解およびタンパク質消化工程は、ETPベースの単離/精製の前に、例えば細胞、エキソソームおよびヒストン(cfDNAの場合)から全ての核酸を放出することを可能にし得る。いくつかの例において、尿路から排出された上皮細胞に由来する核酸を含まない核酸回収が望まれ、溶解および/またはタンパク質消化工程の前にこれらの上皮細胞の除去を行うために遠心分離ステップが行われ得る。遠心分離後、上清を回収し、上皮細胞を含むと推定されるペレットを廃棄してもよい。その後にETPによって単離/精製され得る標的核酸には、cfDNAならびにエキソソームに封入された核酸が含まれる。cfDNAを標的とする核酸回収が望まれるいくつかの例では、試料をETPデバイスに導入する前に、プロテイナーゼK等を用いてタンパク質消化工程を実施することができる。溶解工程は行われず、さらに、尿試料中に存在し得る細胞からの核酸の放出を防ぐために、意図しない溶解源は回避される。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「生体試料を含む高塩」は、一般的に、他の生物学的試料よりも高い塩濃度を含むと認識される生物学的試料を指す。例えば、生物学的試料を含む高塩は、尿試料を含む。いくつかの例において、ヒト尿試料は、約10mEq/lの尿ナトリウムを含み得る。いくつかの例において、生物学的試料を含む高塩は、ナトリウム塩および/またはカリウム塩および/またはカルシウム塩を含む。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「尿試料溶液」は、一般的に、尿試料に含まれる1つ以上の核酸を単離/精製するためにETPを行うためのデバイスに充填される前に試料前処理を受けた尿試料を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「無細胞核酸」(「cfNA」)という用語は、一般に、生物の尿および/または血流中に見られ得る非カプセル化核酸を指す。いくつかの例において、cfNAは、尿、血液、血漿および/または血清試料などから単離されることができる。いくつかの例において、無細胞核酸は、無細胞DNA(cfDNA)とすることができる。いくつかの例において、無細胞核酸は、無細胞RNA(cfRNA)であり得る。いくつかの例において、無細胞核酸は、無細胞DNA(cfDNA)と無細胞RNA(cfRNA)との混合物であり得る。いくつかの例において、cfNAは、胎児DNAおよび/または母体DNAを含むことができる。いくつかの例において、妊婦由来の尿試料は、cfNAを含むことができる。いくつかの例において、cfNAは、循環腫瘍核酸(ctNA)を含むことができる。いくつかの例では、cfNAは、長さが約1000bp以上、1000bp以下、900bp以下、800bp以下、700bp以下、600bp以下、500bp以下、400bp以下、300bp以下、250bp以下、200bp以下、150bp以下、例えば約180bp以下のDNAおよび/またはRNA断片を含むことができる。いくつかの例では、本明細書に記載のETPベースのデバイスおよび方法を使用して、cfNAが単離/精製され、任意に収集されることができる。いくつかの実施形態において、ETPベースの単離/精製に続いて、単離/精製されたcfNAを収集することができ、本明細書に記載のさらなる分析技術のいずれか1つ以上、例えば配列決定、例えば1つ以上のIVDアッセイに供することができる。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「循環腫瘍核酸NA」(ctNA)は、癌性細胞、例えば腫瘍細胞に由来するcfNAを指す。いくつかの例において、ctDNAは、癌性細胞のアポトーシスまたはネクローシス中に血流に入ることができる。いくつかの例において、このctDNAは、腎臓を通過することによって尿に入ることができる。いくつかの例において、腫瘍核酸は、循環腫瘍RNA(ctRNA)であり得る。いくつかの例において、循環腫瘍核酸は、循環腫瘍DNA(ctDNA)であり得る。ctNAは、ctDNAとctRNAとの混合物であり得る。いくつかの実施形態において、ctNAは、本明細書に記載のETPベースのデバイスおよび方法を使用して単離/精製され、任意に収集されることができる。いくつかの実施形態において、ETPベースの単離/精製に続いて、単離/精製されたctNAを収集することができ、本明細書に記載のさらなる分析技術のいずれか1つ以上、例えば配列決定、例えば1つ以上のIVDアッセイに供することができる。いくつかの例において、ctNAは、長さが約1000bp以上、1000bp以下、900bp以下、800bp以下、700bp以下、600bp以下、500bp以下、400bp以下、300bp以下、250bp以下、200bp以下、150bp以下、例えば長さが約150bpのDNA断片および/またはRNA断片を含むことができる。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「ETP上部マーカー」は、一般的に、標的核酸と比較してサイズがより大きいおよび/または長さがより長い化合物または分子を指し、それにより、ETPベースの単離/精製およびその後の標的分析物の収集中、ETP上部マーカーは、標的分析物の収集を停止することができるカットオフ点を示す。例えば、蛍光標識された、またはそうでなければ検出可能に標識されたETP上部マーカーは、ETPベースの単離/精製中に単離/精製および収集される標的DNAよりも大きいようなサイズで生成されることができる。ETPの実行全体にわたってマーカーをモニタリングすることにより、ユーザまたは自動化された機械は、マーカーが収集管に落下する前に実行を停止することができ、それにより、マーカーよりも小さいDNAを捕捉することができる一方で、より大きな汚染DNAは、上部マーカーの後ろに配置されるため除外される。さらに、ETP上部マーカー自体は収集されず、したがって、下流アッセイ、例えば1つ以上のIVDアッセイに干渉しないため、大量に様々な検出可能な標識とともに使用されることができる。いくつかの例において、ETP上部マーカーは、1つ以上の標的分析物の単離/精製および収集された試料からのゲノムDNAの排除を助けるため、ETPベースの単離/精製方法において使用されることができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「細胞外小胞」は、一般的に、体液、例えば尿中に存在する細胞由来小胞(膜封入体)を指す。細胞外小胞の例としては、エキソソーム、微小胞およびアポトーシス小体が挙げられる。細胞外小胞は、細胞から、例えば原形質膜から直接放出されても、または多小胞体が原形質膜と融合した際に形成されてもよい。細胞外小胞は、典型的には、それらの起源細胞由来の核酸および/またはタンパク質等の成分を含む。エキソソームは典型的には直径40~120nmであり、微小胞は典型的には直径50~1000nmであり、アポトーシス小体は典型的には直径500~2000nmである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
上記のように、尿試料から核酸を抽出、単離、および/または精製するための現在のアプローチには多くの欠点がある。例えば、そのような1つの欠点は、バイオマーカー、例えば核酸の濃度が比較的低くなり得るため、下流の分析のために十分な物質を得るために大きな体積が必要となることである。核酸の場合、核酸捕捉キットおよびデバイスを使用する従来の技術は、一般的に、典型的には0.2~1mLの範囲内である小さな試料体積のために設計される。したがって、バイオマーカーリッチな資源であるにもかかわらず、尿からのバイオマーカーの効率的な単離および精製は、これまで困難であることが証明されている。さらに、尿からのバイオマーカーの抽出、単離および/または精製のための従来の技術に関連する他の欠点には、低品質の生成物をもたらす時間のかかる手順、および自動化への適合性の欠如が挙げられることがしばしばである。従来の技術は、尿試料から特定の画分を抽出するための一連のアフィニティーカラムを含み得る。次いで、さらなる分析のために送られる前に画分を組み合わせることができる。そのような列ベースの技術は、ハイスループットではない。一例として、10mLの尿は、複数回(例えば、10)のカラム洗浄を経る必要があり得る。
【0043】
このような問題を解決するために、本開示は、一般的に、1つ以上の標的分析物を含む試料分析、例えば尿試料の分析のためのデバイスおよび方法を記載し、前記デバイスおよび方法は、前記試料から前記標的分析物を単離および/または精製するためにエピタコフォレシスを行うことを含み、単離および/または精製された核酸は、任意に、インビトロ診断(「IVD」)アッセイ等のさらなる下流アッセイに供され得る。さらに、本明細書に記載のデバイスおよび方法の使用によって得られる標的核酸の非常に効率的な抽出は、標的核酸、例えばDNAおよび/またはRNAの量が下流のインビトロ診断(IVD)アッセイにおいて達成されることができる感度と直接相関する前記下流のIVD方法に有用であり、これは現在の方法を超える顕著な利点であることは留意される。例えば、核酸の抽出を行うために、それらの表面上の核酸に結合するスピンカラムまたは磁性ガラス粒子が従来使用される。これらの従来の手法と比較して、本明細書に記載のデバイスおよび方法は、以下の利点のいずれか1つ以上を与えることができる:カラムまたはビーズベースの抽出方法と比較して、より高い抽出収率(潜在的に損失が少ない);ベンチトップ機器のより大きなフットプリントと比較してより単純なデバイスセットアップ;同様の用途に適用される他のデバイスと比較して、潜在的により高速な試料ターンアラウンドおよび高い並列化可能性;抽出物/精製された標的分析物、例えばバイオマーカー、例えば核酸の下流処理のための他のマイクロ流体ベースのシステムとの容易な統合。いくつかの実施形態において、試料、例えば尿試料のETPベースの単離/精製によって得られた標的分析物は、前記試料の全核酸含有量、例えば前記試料からのDNAとRNAの両方を含み得る。いくつかの例において、ETPベースの単離/精製を含む方法は、DNAおよびRNAを含む核酸の同時収集を含み得、収集された核酸は、さらなる下流アッセイ、例えば当技術分野で公知の任意の手段によるDNAおよびRNAの分離のためにDNAおよびRNAを分離する方法に供され得る。
【0044】
さらに、本開示は、一般的に、試料、例えば尿またはナトリウム塩および/またはカリウム塩等の生物学的試料を含む他の高塩から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製する方法であって、a.エピタコフォレシスを行うためのデバイスを提供すること;b.前記1つ以上の標的分析物、任意に1つ以上の標的核酸を潜在的に含む試料を提供すること;c.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域、例えば1つ以上のETPバンドに集束させるために前記デバイスを使用してETPを行うことによって1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;およびd.前記1つ以上の標的分析物を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって、前記1つ以上の標的分析物を収集すること;それによって、1つ以上の単離および/または精製された標的分析物を得ることを含み、任意に前記試料が核酸を含み、さらに任意に試料が尿試料を含み、工程cの前に尿試料が1つ以上の前処理に供される、方法に関する。例えば、いくつかの例では、尿試料は、当技術分野で公知の遠心分離ベースの方法を使用する等によって、前記尿試料を濃縮、緩衝交換および/または脱塩することによって前処理することができる。
【0045】
ETPは試料を濃縮するために使用されるので、当技術分野の当業者は、ETPの前に尿試料または他の試料に対してさらなる濃縮工程を実施することを予想しないであろう。非濃縮尿試料をETPに流しても、濃縮分析物は得られない。尿試料中の特定の成分(例えば、塩)は、ETPと適合しない。さらに、当技術分野の当業者は、尿試料をアフィニティーカラムで濃縮することを考慮し得る。そのようなカラムがある程度の濃度で使用された場合、アフィニティーカラムはスループットを制限し、ETPの利点を制限し得るため、当技術分野の当業者は、アフィニティーカラムと組み合わせてETPを使用するように動機付けられないであろう。したがって、ETPの前に試料を濃縮するように動機付けられないであろう。さらに、尿試料を濃縮することは、本明細書に記載の技術(例えば、遠心分離)およびシステムを使用することを期待されない場合がある。
【0046】
例えば、AMICON(登録商標)Ultra Centrifugalフィルタを使用して、任意の体積、例えば1~50mLの尿試料を濃縮、脱塩、および緩衝液交換することができる(例えば、下記実施例9)。いくつかの例において、脱塩および/または緩衝液交換は、透析ベースの方法の使用によって達成され得る。そのような手順の結果として、1つ以上の標的分析物、例えばcfNA、タンパク質、および/または細胞外小胞、例えば尿エキソソームの初期濃縮は、任意に所望の緩衝液中および/または手順の結果としての低塩溶液中で達成される。さらに、場合によっては、試料前処理は、例えば、望ましくない細胞および/または望ましくない細胞残屑などの望ましくない物質を除去するために、真空濾過工程等の濾過工程を含むことができる。そのような濾過工程は、望ましくない物質を除去するように選択されたフィルタサイズ、例えば0.22umのフィルタ膜を使用して前記望ましくない物質を除去する遠心分離ベースの濾過および/または真空ベースの濾過を使用することによって達成することができる。さらに、いくつかの例において、試料濃縮、脱塩および/または緩衝液交換の後、試料は、エキソソーム濃縮工程などの細胞外小胞濃縮工程に供される。そのような濃縮工程は、試料をETPデバイスに導入する前に、循環核酸、例えばDNAおよび/またはRNAを小胞から遊離させることができる。いくつかの例において、試料の濃縮および緩衝液交換の後、試料をETPデバイスに導入する前に、溶解および/またはタンパク質消化工程を実行することができる。そのような工程は、単離/精製するための標的核酸および/または所望の標的核酸の起源に少なくとも部分的に基づいて行われ得る。尿中に見出される核酸の起源には、例えば、尿路から排出される上皮細胞、自由循環cfDNA、およびエキソソームが含まれる。いくつかの例において、全核酸回収が所望される場合、溶解工程および/またはタンパク質消化工程は、適切な試薬を使用して実施され得る。例えば、プロテイナーゼKを使用してタンパク質消化を行うことができる。さらに、そのような溶解およびタンパク質消化工程は、ETPベースの単離/精製の前に、例えば細胞、エキソソームおよびヒストン(cfDNAの場合)から全ての核酸を放出することを可能にし得る。いくつかの例において、尿路から排出された上皮細胞に由来する核酸を含まない核酸回収が望まれ、溶解および/またはタンパク質消化工程の前にこれらの上皮細胞の除去を行うために遠心分離ステップが行われ得る。
【0047】
遠心分離後、上清を回収し、上皮細胞を含むと推定されるペレットを廃棄してもよい。その後にETPによって単離/精製され得る標的核酸には、cfDNAならびにエキソソームに封入された核酸が含まれる。cfDNAを標的とする核酸回収が望まれるいくつかの例では、試料をETPデバイスに導入する前に、プロテイナーゼK等を用いてタンパク質消化工程を実施することができる。溶解工程は行われず、さらに、尿試料中に存在し得る細胞からの核酸の放出を防ぐために、意図しない溶解源は回避される。上記の手順ならびに当技術分野で周知の他の試料前処理手順のいずれか、全てを含む、またはいずれも含まない任意の所望の程度の試料前処理後、試料分析を行うために1回以上のETP実行のために試料をETPデバイスに充填することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、尿または生物学的試料、例えばナトリウム塩またはカリウム塩を含む他の高塩等の試料から1つ以上の標的分析物、例えば核酸を単離および/または精製する方法は、a.エピタコフォレシス(ETP)を実行するためのデバイスを提供すること;b.1つ以上の標的分析物を潜在的に含む、生物学的試料、任意に尿試料を含む高塩を提供すること;c.前記尿試料に対して1つ以上の前処理工程を実施すること;d.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域に、例えば1つ以上のETPバンドとして集束させるために前記デバイスを使用してETPを行うことによって、1つ以上のエピタコフォレシス実行を実行すること;およびe.前記1つ以上の核酸を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって前記1つ以上の標的分析物を収集すること;それによって、1つ以上単離および/または精製された標的分析物を得ることを含む。いくつかの場合において、標的分析物は、1つ以上の核酸、例えば1つ以上のcfNAを含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、1つ以上の標的分析物のETPベースの単離および/または精製のための前記方法は、例えば自動化ETPシステムを使用することによって自動化され得る。例えば、2018年11月13日に出願された米国特許出願公開第2020/0282392号;2018年10月12日に出願された米国特許出願第62/744,984号;2019年5月14日に出願された米国特許出願第62/847,678号;2018年11月13日に出願された国際公開第2019/092269号;2019年10月14日に出願されたPCT特許出願、国際公開第2020/074742号は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する方法による使用のためのETPデバイスは、2018年11月13日に出願された米国特許出願公開第2020/0282392号;2018年10月12日に出願された米国特許出願第62/744,984号;2019年5月14日に出願された米国特許出願第62/847,678号;2018年11月13日に出願された国際公開第2019/092269号;2019年10月14日に出願されたPCT特許出願、国際公開第2020/074742号に記載のETPデバイスを含んでいてもよく、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の尿試料からの1つ以上の核酸のETPベースの単離および/または精製を含み得、前記核酸はcfNA、例えばcfDNAおよび/またはcfRNAを含む。いくつかの例では、前記方法は、単一のETP実行中に1つ以上のETPバンドおよび/または集束領域でDNAとRNAの両方を単離および/または精製することをもたらし得る。いくつかの例では、ETPベースの単離および/または精製の後、RNAおよびDNAを互いに分離することができ、RNAおよび/またはDNAを1つ以上のIVDアッセイ、配列決定、および/または遺伝子発現プロファイリング等のさらなる下流アッセイに供することができる。いくつかの実施形態において、前記尿試料は、尿試料の1つ以上の前処理から生じる尿試料溶液を含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の尿試料からの1つ以上の核酸のETPベースの単離および/または精製を含んでいてもよく、前記核酸は、1つ以上の細胞、例えば上皮細胞、白血球、悪性細胞、および/または尿中に存在し得る任意の他の細胞、例えば自発的に尿中に遊離した細胞に由来する。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記方法は、1つ以上の尿試料からの1つ以上のバイオマーカーのETPベースの単離および/または精製を含でいてもよく、前記バイオマーカーは、核酸、cfNA、タンパク質、および/または細胞外小胞のいずれか1つ以上を含み得る。いくつかの例において、前記方法は、単一のETP実行中に1つ以上のETPバンドおよび/または集束領域で1つ以上のバイオマーカーのいずれかを単離および/または精製することをもたらし得る。いくつかの例では、ETPベースの単離および/または精製の後、DNAを1つ以上のIVDアッセイ、配列決定、および/または遺伝子発現プロファイリング等のさらなる下流アッセイの前に1つ以上のバイオマーカーを互いに分離することができる。いくつかの実施形態において、前記尿試料は、尿試料の1つ以上の前処理から生じる尿試料溶液を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、エピタコフォレシスのためのデバイスおよび/または方法は、所望の集束および収集を可能にする任意の所望の時間量で標的分析物の集束および収集を可能にすることができる。いくつかの実施形態において、前記方法は、120分以上、120分以下、100分以下、80分以下、60分以下、50分以下、または40分以下のETPを行うことを含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、尿試料からの核酸のETPベースの単離/精製によって得られた標的分析物、例えば核酸は、従来の技術、例えば上記の、例えばビーズベースおよび/またはカラムベースの方法を使用して尿試料から得られた標的分析物と比較して、より高い収率および/またはより高い品質であり得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の尿試料からの核酸のETPベースの単離/精製によって得られた標的分析物は、適用可能な技術、例えばqPCRベースの分析によって測定した場合(例えば品質管理(qc)qPCR等の前記qPCRベースの分析から得られたQスコア)、同等またはより高い品質であり得る。Qスコアは0(低品質)から1(高品質)の範囲であり、配列決定ベースの用途等の下流のIVD用途には、より高品質の試料が一般に好ましいことに留意されたい。いくつかの実施形態において、ビーズベースおよび/またはカラムベースの方法を含むもののような従来の方法と比較して、1つ以上の尿試料からの標的分析物のETPベースの単離/精製を含む方法を使用して、1.25倍以上、1.5倍以上、1.75倍以上、2.0倍以上、2.25倍以上、2.5倍以上、2.75倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、100倍以上、または1000倍以上の核酸を得ることができる。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法から得られる単離された核酸および/または精製された核酸の量は、どのような量であってもよく、使用される試料に対して少なくとも部分的に存在し得る。いくつかの例において、単離および/または精製された核酸の量は、ナノグラム以下からマイクログラム以上および/またはマクログラム以上の任意の範囲であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、試料分析のためのデバイスは、先行電解質を安定化させるために使用されることができるゲルまたは他の物質を含むことができる。さらなる実施形態において、試料分析のためのデバイスは、ゲルを含むことができ、前記ゲルは、望ましくない試料汚染を回避するのに役立つことができる。例えば、試料分析用のデバイスが使用されてctDNAを抽出することができ、前記ゲルが使用されてctDNAのゲノムDNAおよび/または細胞残屑による汚染を回避するのを助けることができる。前記望ましくない汚染を回避するために、ゲルは、ゲノムDNAまたは細胞残屑ではなくctDNAが前記ゲルを通って移動することを可能にするような組成物であり得る。そのような原理は、目的の試料/標的分析物の汚染を回避することが有益とすることができる他の試料分析に適用されることができる。いくつかの実施形態において、メッシュポリマーおよび/または多孔質物質は、例えば濾紙またはヒドロゲルなどの試料分析用のデバイスのゲルと同様の方法で使用されることができる。前記メッシュポリマーおよび/または多孔質物質の選択は、所望の分離/濃縮を達成し、および/または望ましくない試料汚染を防止するのに役立つものであってもよい。例えば、タンパク質の通過/移動を可能にしないが、標的核酸の通過/移動を可能にすることができる物質が選択されることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、試料分析のためのデバイスを使用して、腫瘍DNAおよび/または循環腫瘍DNA(ctDNA)、および/または循環cfDNA、例えば、妊婦由来の尿中に存在するもの、および/または特定の条件下で発現されたタンパク質を発現する循環DNAを集束および収集することができ、次いで、核酸配列決定および/または他のインビトロ診断用途などのさらなる下流分析に任意に供されることができる。そのような下流のインビトロ用途は、例として、無数の他の潜在的な用途の中でも、癌診断および/または癌予後および/または癌病期分類などの疾患検出、感染状態の検出、親子分析、異数性などの胎児染色体異常の検出、胎児遺伝形質の検出、妊娠関連状態の検出、自己免疫または炎症状態の検出を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、試料分析のための方法は、標的核酸を集束および収集することを含むことができ、前記標的核酸は、任意の所望のサイズとすることができる。例えば、前記標的核酸は、5nt以下、10nt以下、20nt以下、30nt以下、50nt以下、100nt以下、1000nt以下、10,000nt以下、100,000nt以下、1,000,000nt以下または1,000,000nt以上とすることができる。
【0059】
さらにまた、本開示は、一般的に、ETPを行うためのデバイスを提供することによって、無細胞核酸(cfNA)、例えばcfDNAを含むことができる1つ以上の標的分析物、例えば1つ以上の標的核酸のETPベースの単離/精製、前記1つ以上の無細胞核酸を含む試料、尿試料、例えば尿試料溶液を提供すること;前記デバイスを使用してETPを実行することであって、前記ETP実行が、前記1つ以上のcfNAを1つ以上の集束領域に、例えば1つ以上のETPバンドとして集束させる実行すること;および前記1つ以上のcfNAを収集し、それによって1つ以上の単離/精製cfNAを取得することを含む、デバイスおよび方法に関する。
【0060】
いくつかの実施形態において、ETPベースの方法およびデバイスによって単離/精製されたcfNA、例えばcfDNAは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0034685号明細書に記載されているように、非多型および多型検出の双方を利用して混合試料、例えば尿試料内の単一供給源からの発生源寄与およびコピー数変異(CNV)を判定するアッセイシステムにさらに供されることができる。
【0061】
さらに、本開示は、一般的に、ETPベースのデバイスおよび方法によって、1つ以上の試料、例えば尿試料からの1つ以上のcfNA、例えば1つ以上のcfDNAおよび/または1つ以上のcfRNAの単離/精製に関し、前記単離/精製された1つ以上のcfNAは、胎児異数性を検出するためにさらに分析される。例えば、胎児の異数性を検出するためのそのようなアッセイは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0034685号明細書に一般的に記載されており、特に引用される参照文献の実施例7に記載されている。
【0062】
異数性の検出に加えて、特定の多型もまた、母体試料、例えば尿試料に対する胎児寄与率を判定するために使用されることができ、ここで、cfNA、例えば、本明細書に記載されるETPベースのデバイスおよび方法によって単離される/精製されるcfDNAが、そのような判定において使用される。これらの胎児寄与率の判定に使用される一般的な方法論は、2012年7月19日に出願された米国特許出願公開第2013/0024127号に記載されており、その全体が参照により組み込まれる。
【0063】
さらにまた、本明細書に記載されるETPベースの方法およびデバイスによって、試料、例えば尿試料から単離/精製されたcfNA、例えばcfDNAの使用は、混合試料中のCNVおよび感染因子の双方の同定を可能にすることができる上記のものなどのCNV分析にさらに供されることができる。
【0064】
さらに、本明細書に記載されるものなどのETPベースのデバイスおよび方法によって、試料、例えば尿試料から単離/精製されたcfNA、例えばcfDNAは、癌患者における診断マーカー、予後マーカーおよびモニタリングマーカーとして、cfDNA鎖の完全性、突然変異の頻度、マイクロサテライトの異常、および遺伝子のメチル化などのcfNAの定量的および定性的な腫瘍特異的変化の検出にさらに供されることができ、必要に応じてCNV検出と組み合わせて、悪性腫瘍を有するまたは有する疑いがある患者における臨床診断、治療、転帰予測および進行モニタリングを支援する方法を提供することができる。さらなる考察については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0034685号を参照されたい。
【0065】
さらにまた、本明細書に記載のもの等のETPベースのデバイスおよび方法によって試料、例えば尿試料から単離/精製されたcfNA、例えばcfDNAは、cfDNAの検出と1つ以上の単一遺伝におけるSNPまたは突然変異の検出との組合せを使用して移植患者の臓器の健康をモニタリングするために使用されることができるアッセイシステムにさらに供されることができる子(さらなる考察については、本明細書にその全体が組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0034685号明細書を参照されたい)。移植された臓器は、レシピエント患者のゲノムとは異なるゲノムを有し、そのようなアッセイシステムを使用して臓器の健康が検出されることができる。例えば、急性細胞拒絶は、心臓移植レシピエントにおけるドナーゲノムからの無細胞DNAのレベルの有意な増加に関連することが示されている。
【0066】
いくつかの例では、ETPベースのデバイスおよび方法によって、試料、例えば尿試料から単離され回収された標的分析物、例えばcfNAは、米国特許出願公開第2012/0034685号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)の方法および/またはアッセイ、例えば上記の方法およびアッセイに加えて、「アッセイ方法」;「コピー数のばらつきの検出」;「疾患または素因に関連する多型」;「選択増幅」;「ユニバーサル増幅」;「試料内および試料間のばらつきの最小化」;「癌患者からの混合試料における検出のためのアッセイシステムの使用」;「移植患者からの混合試料の検出のためのアッセイシステムの使用」;「母体試料中の検出のためのアッセイシステムの使用」;および「混合試料中の副源DNA含有量の判定」と題するセクションに記載されているそれらの方法およびアッセイのいずれか1つ以上に供されることができる。
【0067】
本開示は、さらに一般に、1つ以上の標的分析物、例えば1つ以上の標的核酸を単離/精製する方法を包含し、この方法は、ETP上部マーカーの使用をさらに含む前記1つ以上の標的分析物のETPベースの単離/精製を含む。いくつかの実施形態において、前記ETP上部マーカーは、標的分析物のETPベースの単離/精製中に、ETP上部マーカーが標的分析物の収集を停止することができるカットオフ点を示すように、標的分析物と比較してサイズが大きいおよび/または長さが長い化合物または分子を含むことができる。例えば、蛍光標識された、またはそうでなければ検出可能に標識されたETP上部マーカーは、それがETPベースの単離/精製中に収集される標的DNAよりも大きいようなサイズで生成されることができる。ETPの実行全体にわたってマーカーをモニタリングすることにより、ユーザまたは自動化された機械は、マーカーが収集管に落下する前に実行を停止することができ、それにより、マーカーよりも小さいDNAを捕捉することができる一方で、より大きな汚染DNAは、ETP上部マーカーの後ろに配置されるため除外される。さらに、マーカー自体は収集されず、したがって、下流アッセイ、例えばIVDアッセイに干渉しないため、大量に様々な検出可能な標識とともに使用されることができる。いくつかの例において、ETP上部マーカーは、望ましくない物質の排除、例えば単離/精製cfDNAからのゲノムDNAの排除を助けるため、ETPベースの単離/精製方法において使用されることができる。いくつかの実施形態において、ETP上部マーカーは、約1000bp以上の長さであり得る。
【0068】
さらに、本開示は、一般的に、試料、例えば尿試料由来のctNA、例えばctDNAのETPベースの単離/精製を包含し、前記ctNAは、さらに、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20160032396号明細書に記載されているような、ディープシーケンシングによるCAncer個別化プロファイリング(CAPP-Seq)を含む方法に供されることができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、本方法およびデバイスにおいて荷電粒子を移動させるために、好都合な時間枠内で、電界強度は、約1mW~約100Wの範囲の電力で約10V~約10kVであり得る。いくつかの実施形態において、最も速い分析に適用される最大電力は、試料および電解質溶液の電気抵抗率、ならびに本明細書に記載のデバイスの構築に使用され得る物質の冷却能力に依存し得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、1つ以上の尿試料由来の1つ以上の核酸の前記ETPベースの単離および/または精製は、元の試料に含まれる1つ以上の標的分析物の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上を単離および収集することをもたらし得る。いくつかの実施形態において、前記方法は、例えば、1つ以上の標的分析物を含むETP単離/精製された試料の組成を判定するための分析技術によって測定した場合に、単離/精製された前記1つ以上の標的分析物の1%以下、1%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、85%以上、90%以上、95%以上、または99%以上の純度をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の緩衝液濃度、例えばLEおよび/またはTE緩衝液濃度、前記ETPデバイスに含まれるゲルの割合、および/またはETPベースの単離および収集実行の停止時間は、試料に含まれる他の物質からの前記1つ以上の核酸の分離を促進するために変更および/または最適化され得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、ETPベースの単離/精製によって単離/精製される1つ以上の核酸は、任意の所望のサイズであり得る。いくつかの実施形態において、核酸は、5nt以下、10nt以下、20nt以下、30nt以下、50nt以下、100nt以下、1000nt以下、10,000nt以下、100,000nt以下、1,000,000nt以下、または1,000,000nt以上のサイズであり得る。いくつかの実施形態において、前記方法は、前記ETPベースの単離および/または精製の間および/または後に前記1つ以上の核酸を検出することをさらに含むことができ、例えば、前記検出は、いくつかの例では、光学的検出を含み、前記光学的検出は、前記1つ以上の核酸に結合するおよび/または会合されるインターカレート色素および/または光学的標識の検出を含む。いくつかの実施形態において、前記検出は、電気的検出、例えば電圧モニタリングを含み得る。いくつかの実施形態において、検出は、色素、例えばブリリアントブルーの動きをモニタリングすることと、前記色素の動きに基づいて、任意の1つ以上のETPパラメータ、例えば試料収集の開始または停止を調整することとを含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、任意に1つ以上の尿試料からの1つ以上の標的分析物のETPベースの単離/精製の方法は、試料が前記デバイスに自動的に充填される、および/または前記1つ以上の標的分析物が前記デバイスから自動的に収集される自動化された方法であり得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された1つ以上の標的分析物は、当該1つ以上の標的分析物をさらに単離および/または精製するために、1つ以上のさらなるETP実行に供されることができる。
【0073】
さらにまた、本開示は、一般的に、腫瘍由来SNVを同定する方法であって、(a)癌に罹患しているかまたは癌に罹患している疑いがある対象から試料(任意に、試料が尿試料、例えば尿試料溶液である)を取得することと、(b)ETPベースの単離および/または精製を実施して、標的核酸を単離および/または精製して単離および/または精製試料を取得することと、(c)単離された試料および/または精製された試料に対して配列決定反応を行って配列決定情報を生成することと、(d)工程(c)からの配列決定情報に基づいて候補腫瘍対立遺伝子のリストを形成するために配列決定情報にアルゴリズムを適用することであって、候補腫瘍対立遺伝子が生殖系列SNPではない非優性塩基を含む、適用することと、(e)候補腫瘍対立遺伝子のリストに基づいて腫瘍由来SNVを同定することと、を含む、方法に関する。いくつかの実施形態において、候補腫瘍対立遺伝子は、候補SNVを含むゲノム領域を含むことができる。
【0074】
さらにまた、本開示は、一般的に、ウイルス由来核酸を同定する方法であって、(a)ウイルス感染症を有すると疑われる、またはウイルスに曝露されたと疑われる対象から試料、例えば尿試料を取得することと、(b)ETPベースの単離および/または精製を実施して、標的核酸を単離および/または精製して単離および/または精製された核酸を取得することと、(c)単離および/または精製された核酸に対して配列決定反応を行って配列決定情報を生成することと、(d)配列決定情報に基づいて、対象が1つ以上のウイルスに感染しているかどうかを判定することと、を含む、方法に関する。
【0075】
さらに、さらなる例示的な実施形態において、本明細書に記載の試料分析用のデバイスは、0.25mL以下、0.25mL以上、0.5mL以上、0.75mL以上、1.0mL以上、2.5mL以上、5.0mL以上、7.5mL以上、10.0mL以上、12.5mL以上、または15.0mL以上、20.0mL以上、25.0mL以上、30.0mL以上、40.0mL以上、または50mL以上の試料体積を収容する寸法を含み得る。いくつかの実施形態において、単離および/または精製された1つ以上の核酸の濃度が測定されることができる。いくつかの実施形態において、ETPベースの単離/精製のためにETPデバイスに充填される試料の試料体積は、0.25mL以下、0.25mL以上、0.5mL以上、0.75mL以上、1.0mL以上、2.5mL以上、5.0mL以上、7.5mL以上、10.0mL以上、12.5mL以上、または15.0mL以上、20.0mL以上、25.0mL以上、30.0mL以上、40.0mL以上、または50mL以上であり得る。いくつかの実施形態において、試料体積は、0.25mL以下、0.25mL以上、0.5mL以上、0.75mL以上、1.0mL以上、2.5mL以上、5.0mL以上、7.5mL以上、10.0mL以上、12.5mL以上、または15.0mL以上、20.0mL以上、25.0mL以上、30.0mL以上、40.0mL以上、または50mL以上であり得る。
【0076】
さらなる例示的な実施形態において、前記デバイスが使用されて、例えば約2倍以上~約1000倍以上の標的分析物を濃縮することができる。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、1つ以上の核酸を含み得る。さらなる実施形態において、前記標的分析物は、小さな無機および有機イオン、ペプチド、タンパク質、多糖類、DNA、または細菌および/もしくはウイルス等の微生物を含み得る。いくつかの実施形態において、前記標的分析物は、細胞外小胞、例えば尿エキソソームを含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、ETPベースの単離/精製によって収集された前記核酸は、1つ以上の下流のインビトロ診断用途に使用され得る。さらにまた、いくつかの実施形態において、試料分析のためのETPデバイスは、例えば、毛細管分析器、クロマトグラフィ、PCRデバイス、酵素反応器等の他の装置、および/またはさらなる試料分析を行うために使用されることができる任意の他のデバイス、例えば、IVD用途に関連するデバイスにオンラインで接続され得る。いくつかの実施形態において、ETPデバイスは、核酸配列決定ライブラリーの調製を伴うワークフローで使用され得る。さらに、いくつかの実施形態において、ETPデバイスは、前記デバイスから集束および/または収集された可能性がある試料の下流分析を行うために任意に使用されることができる液体処理ロボットとともに使用することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、試料は、1つ以上の種類の癌に関連する1つ以上のバイオマーカー、例えば1つ以上のctNA、例えば1つ以上のタンパク質を含む尿試料を含み得る。いくつかの実施形態において、癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、エイズ関連癌(例えば、カポジ肉腫、リンパ腫)、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、胆管癌、肝外癌、膀胱癌、骨癌(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍(例えば、星状細胞腫、脳および脊髄腫瘍、脳幹神経膠腫、中枢神経系非定型奇形腫様/横紋筋肉腫様腫瘍、中枢神経系胚性腫瘍、中枢神経系生殖細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫、上衣腫、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍(例えば、小児期、胃腸)、心臓腫瘍、子宮頸癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、管癌、例えば(胆汁、肝外)、腺管上皮内癌(DCIS)、胚性腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、感覚神経芽細胞腫、頭蓋外生殖細胞腫瘍、性腺外生殖細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、骨の線維性組織球腫、悪性、骨肉腫、胆嚢癌、胃(gastric)(胃(stomach))癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、生殖細胞腫瘍(例えば、卵巣癌、精巣癌、頭蓋外癌、性腺外癌、中枢神経系)、妊娠絨毛芽球腫瘍、脳幹癌、有毛細胞白血病、頭頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝臓)癌、組織球症、ランゲルハンス細胞癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌(例えば、腎細胞、ウィルムス腫瘍、および他の腎臓腫瘍)、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病、急性リンパ芽球性(ALL)、急性骨髄性(AML)、慢性リンパ球性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、有毛細胞、口唇および口腔癌、肝癌(原発性)、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺癌(例えば、小児期、非小細胞、小細胞)、リンパ腫(例えば、AIDS関連)、バーキット(例えば、非ホジキンリンパ腫)、皮膚T細胞(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、ホジキン、非ホジキン、原発性中枢神経系(CNS))、マクログロブリン血症、ワルデンストローム、男性乳癌、骨の悪性線維性組織球腫および骨肉腫、黒色腫(例えば、小児期、眼内(眼))、マークル細胞癌、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌(metastatic squamous neck cancer)、正中路癌(midline tract carcinoma)、口腔癌、多発性内分泌新生物症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、慢性(CML)、多発性骨髄腫、鼻腔および副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、口腔癌、口唇および中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、膵臓神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、乳頭腫、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、腎盂および尿管、移行性細胞癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(例えば、ユーイング、カポジ、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟部組織、子宮)、セザリー症候群、皮膚癌(例えば、黒色腫、マークル細胞癌、基底細胞癌、非黒色腫)、小腸癌、扁平上皮癌、原発不明の頸部扁平上皮癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、絨毛性腫瘍、尿管および腎盂癌、尿道癌、子宮癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、ウィルム腫瘍等からなる群から選択される癌を含む。
【0079】
本明細書に例示的に開示されたデバイスおよび方法は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素および/または本明細書に具体的に開示された任意の要素の非存在下で適切に実施され得る。
電気泳動用デバイス
【0080】
エピタコフォレシスのためのデバイスは、一般的に、例えば
図1~
図4に示すように、同心または多角形のディスクアーキテクチャを使用する。これらの物質は、デバイス動作中に有益な改善された熱伝達特性をもたらすため、ガラスまたはセラミックがシステム(すなわち、同心円または多角形のディスクの物質)の製造に使用される。例えば、エピタコフォレシスデバイスの平坦なチャネルは、狭いチャネルと比較して良好な熱伝達能力を有するため、集束物質の過熱(または沸騰)は一般的に防止される。電流/電圧プログラミングは、デバイスのジュール加熱を調整するのにも適している。プラスチック物質もデバイス製造に使用される。一般的に、デバイスは、所望の試料体積、例えばミリリットルスケールの試料体積、例えば最大15mLを収容するような寸法で製造される。
【0081】
図1~
図3を参照すると、2つの同心ディスクがスペーサによって分離され、それにより、エピタコフォレシス試料処理のための平坦なチャネルが形成される。電流は、複数の高電圧接続部(HV接続部)およびシステムの中央の接地接続部(例えば、
図1および
図3を参照されたい)を介して印加される。いくつかの例では、試料は、デバイスの開口部、例えば上部または側部(例えば、
図3を参照されたい)を通してデバイスに注入される。電気の印加は、ディスクの中心に移動する同心リングとして試料の標的分析物を集束させ(以下にさらに説明する)、次いで標的分析物は、デバイスの底部のシリンジを通して収集される(例えば、
図3を参照されたい)。
図2A(上面図)および
図2Bに示すように、デバイス構成の一例は、外側円形電極(1)、終端電解質(2)、および先行電解質(3)を含む。一般的に、外側円形電極(1)の直径は約10~200mmであり、先行電解質の直径は、約10μm~約20 mmの厚さ(高さ)の範囲である。先行電解質は、ゲル、粘性添加剤によって安定化されるか、または他の方法で、例えば膜等によって終端電解質から流体力学的に分離される。ゲルまたは流体力学的分離は、デバイスの動作中に先行電解質と終端電解質の混合を防止する。また、いくつかのデバイスでは、さらに後述するように、電解質の非常に薄い(100μm未満)層を使用することによって混合が防止される。
【0082】
図2A~
図2Bを参照すると、先行電解質の中心には、電極(5)を有する電極リザーバ(4)がある。電極(1、5)および電解質(2、3)のアセンブリは、平坦な電気絶縁支持体(8)上に配置される。電解質リザーバ(4)は、例えばリザーバから試料をピペットで取り出す等の分離プロセス後に濃縮試料溶液を除去するために使用される。電極リザーバ(4)は試料収集リザーバでもある。外側円形電極(1)は、先行電解質(3)および終端電解質(2)が配置されている円形チャネルの端部に配置されてもよい。
【0083】
代替的な構成(
図4を参照)では、中心電極(5)は、管(9)によって濃縮器に接続された先行電解質リザーバ(10)に移動される。管(9)は、半透膜(図示せず)によって一端が直接的に接続されているか、または閉鎖されている。この配置は、使用される膜の特性に従って大きな分子の移動を停止することによって収集を容易にする。この配置は、試料の収集を単純化し、例えば、毛細管分析器、クロマトグラフィ、PCRデバイス、酵素反応器等の他のデバイスにオンラインで濃縮器を接続する手段を提供する。管(9)が使用されて、先行電解質を含有するゲルを含まない構成で先行電解質の向流を供給することもできる。
【0084】
一般的に、先行電解質安定化のためのゲルは、例えばアガロース、ポリアクリルアミド、プルラン等の任意の非荷電物質によって形成される。いくつかのデバイスにおいて、実行される分離の性質に応じて、上面が開いたままにされるか、またはいくつかのデバイスでは上面が閉鎖される。閉鎖している場合、デバイスを覆うために使用される物質は、好ましくは、エピタコフォレシスデバイスの動作中の蒸発を防止するために、熱伝導性絶縁物質である。
【0085】
一般的に、リング(円形)電極は、最大の耐薬品性および電界均一性を可能にするため、優先的には金メッキまたは白金メッキされたステンレス鋼リングである。あるいは、ステンレス鋼およびグラファイト電極は、いくつかのデバイス、特に使い捨てデバイスに使用されてもよい。また、リング(円形)電極は、同様の機能を提供する他の部分、例えばワイヤ電極のアレイによって置換されることができる。さらに、規則的に離間された電極の2次元アレイが、追加的または代替的に、エピタコフォレシスデバイスに使用されてもよい。円形配向の規則的に離間された電極のアレイもまた、エピタコフォレシスデバイスに使用され得る。さらにまた、他の電極構成が使用されて、所望の試料分離(例えば、集束領域を方向付けるために)に基づいて異なる電界形状をもたらすこともできる。そのような構成は、電極の多角形配置として説明される。電気的に分離されたセグメントに分割されると、駆動電界の時間依存形状に対して切り替えられた電界が生成される。そのようなデバイスは、いくつかの装置における試料収集を容易にする。
【0086】
エピタコフォレシスデバイスの動作
図1~
図4に示されている設計のもの等のエピタコフォレシスデバイスは、
図5に示されているように、2つの電解質リザーバ配置、先行電解質とそれに続く終端電解質と混合された試料、または先行電解質とそれに続く終端電解質と混合された試料、または3つの電解質リザーバ配置のいずれかで動作される。そのような構成では、試料は、任意の導電性溶液と混合されることができる。あるいは、試料が適切な終端イオンを含む場合、終端電解質領域は排除されることができる。
図2A~
図2Bを参照すると、終端電解質リザーバ(2)に試料と適切な終端電解質との混合物を充填し、電源(6)をオンにすると、イオンは中心電極(5)に向かって移動し始め、先行電解質と終端電解質(7)との間の境界に領域を形成する。泳動中の試料領域の濃度は、一般的な等張性の原理[Foret,F.,Krivankova,L.,Bocek,P.,Capillary Zone Electrophoresis.Electrophoresis Library,(Editor Radola,B.J.)VCH,Verlagsgessellschaft,Weinheim,1993.]に従って調整される。これにより、低濃度の試料イオンは濃縮され、高濃度の試料イオンは希釈される。試料領域が電解質リザーバ(4)に入ると、分離プロセスが停止され、集束物質がデバイスの中心に収集される。実際には、泳動領域の最終濃度は、先行イオンの濃度に匹敵する濃度を有する。典型的には、2から1000またはそれ以上の任意の濃度因子が、エピタコフォレシスを使用して達成される。
【0087】
3電解質リザーバ配置では、試料は、先行電解質と終端電解質との間に適用され(例えば、
図5を参照されたい)、そのような配置は、2電解質リザーバ配置と比較して僅かに速い試料濃度および分離をもたらす。
【0088】
混合を避けるために、先行電解質および後行電解質は、中性(非荷電)粘性媒体、例えば、アガロースゲル(例えば、任意にゲル内に含まれるか、または終端電解質から流体力学的に分離された先行電解質を表す
図2A~
図2B、
図3を参照されたい)によって安定化される。
【0089】
等速電気泳動に使用される当業者に知られている全ての一般的な電解質は、先行イオンが目的の試料イオンの有効電気泳動移動度よりも高い有効電気泳動移動度を有する場合、本発明のエピタコフォレシスデバイスとともに使用されることができる。選択された終端イオンについては反対である。
【0090】
デバイスは、ポジティブモード(カチオン種の分離/濃縮)またはネガティブモード(アニオン種の分離/濃縮)のいずれかで作動される。エピタコフォレシスを使用したアニオン分離のための最も一般的な先行電解質は、例えば、適切な塩基、例えばヒスチジン、TRIS、クレアチニン等で所望のpHに緩衝された塩化物、硫酸塩、またはギ酸塩を含む。アニオン分離のためのエピタコフォレシスのための先行電解質の濃度は、主要なイオンに対して5mM~1Mの範囲である。その場合、終端イオンは、多くの場合、MES、MOPS、HEPES、TAPS、アセテート、グルタメートおよび弱酸および低移動度アニオンの他のアニオンを含む。正モードでのエピタコフォレシスのための終端電解質の濃度は、以下の範囲である:終端イオンに対して5mM~10M。
【0091】
カチオン分離のために、エピタコフォレシスのための一般的な先行イオンとしては、例えば、カリウム、アンモニウムまたはナトリウムを含み、酢酸塩またはギ酸塩が最も一般的な緩衝対イオンである。そして、反応ヒドロキソニウムイオン移動境界は、任意の弱酸によって形成される万能終端電解質として機能する。
【0092】
正モードおよび負モードの双方において、先行イオンの濃度の増加は、所与の印加電圧に対する電流(電力)の増加を犠牲にして、試料領域の比例的な増加をもたらす。典型的な濃度は、10~100mMの範囲である;しかしながら、より高い濃度も可能である。
【0093】
さらにまた、領域電気泳動分離のみで十分である場合、デバイスは、ただ1つのバックグラウンド電解質によって動作されることができる。
【0094】
電流および/または電圧プログラミングは、試料の移動速度を調整するのに適している。この同心配置では、移動中に断面積が変化し、領域移動の速度は時間的に一定ではないことに留意されたい。したがって、この配置は、領域が一定の速度で移動する等速電気泳動の原理に厳密にしたがわない。電源(6)の動作モードに応じて、以下の3つの基本的なケースが区別されることができる:1.定電流分離;2.定電圧分離;および3.定電流分離。
【0095】
以下に説明する式の変数は以下のとおりである:d=移動距離(d<0;r>);E=電界強度;H=電解質(ゲル)高さ;I=電流;J=電流密度;κ=電解質導電率;r=半径;S=断面積(2つの電解質の間の面積);u=電気泳動移動度;v=速度;X=中心電極からエピタコフォレシス境界までの長さ。
【0096】
高電圧電源(HVPS)によって供給される定電流を使用する共通の動作モードでは、移動領域は、電流密度の増加に起因して中心に近付くにつれて加速される。定電流での分離に関して、円形構造を含むデバイス、例えば1つ以上の円形電極を含むデバイスを使用すると、距離dにおける相対速度は、以下のように開始半径rから距離dにおけるvでのエピタコフォレシス境界速度の導出によって実証されるように、先行電解質の移動度(導電率)にのみ依存する。
一般式:
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
開始から半径rの距離dにおけるエピタコフォレシス境界速度v:
【数6】
【0097】
定電流での距離dにおける移動距離(d)対相対速度の関係のプロットについては、
図6Bを参照されたい。
【0098】
ETPデバイスは、定電圧または定電力でも動作し得る。エレクトロマイグレーションの速度はまた、定電圧および定電力で実行される分析中に加速する。
例示的なデバイスを使用したエピタコフォレシス
【0099】
図7に示すように、エピタコフォレシスデバイスを使用して、スルファニル酸色素(SPADNS)を同心リングに集束させるエピタコフォレシス分離を行った。1Wの定電力を印加して、エピタコフォレシスデバイス内でエピタコフォレシスを実行した。
【0100】
図7を参照すると、SPADNSは、
図7の赤色領域として見ることができる同心リング状の集束領域に集束された。赤い円の上半分は、領域の高さが約5mmであることを示した。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束領域がデバイスの中心に進入し、デバイスの中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望のデバイスの集束および回収が実証された。
【0101】
エピタコフォレシスデバイス(
図8A)を使用して、スルファニル酸(SPADNS)を集束させるためにエピタコフォレシスを実施した。
図8Aのデバイスは、円形構造および直径10.2cmの円形金電極を有していた。先行電解質が直径5.8cmの0.3%アガロースゲル10mLに含まれていた場合、10mM HCl-ヒスチジン(pH6.25)を使用した。15mLのMES Tris(pH 8.00)を後続電解質として使用した。デバイスのシリンジリザーバは、先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。0.137mMの濃度の300μlのSPADNSを後行電解質中で調製し、デバイスに充填した。エピタコフォレシスを行うために、1Wの定電力を使用した。
【0102】
図8Bを参照すると、SPADNSは、
図8Bの赤色領域として見ることができる同心リング状の集束領域に集束された。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束領域がデバイスの中心に進入し、デバイスの中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望のデバイスの集束および回収が実証された。
【0103】
さらにまた、
図8Aのエピタコフォレシスデバイスを用いてエピタコフォレシスを行い、30ntのオリゴマー(ROX-オリゴ)を集束させた。
図8Aのデバイスは、円形構造および直径10.2cmの円形金電極を有していた。10mM HCl-ヒスチジン(pH6.25)を先行電解質として使用し、直径5.8cmの0.3%アガロースゲル10mLに含めた。15mLの10mM MES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用した。デバイスのシリンジリザーバは、100mMの濃度の先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。100μmの濃度の75μlのROX-オリゴを後行電解質中で調製し、デバイスに充填した。エピタコフォレシスを行うために、1Wの定電力を使用した。
【0104】
図8Cを参照すると、R0X-オリゴは、
図8Cの青色領域として見ることができる同心リング状の集束領域に集束された。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にROX-オリゴの集束領域がデバイスの中心に進入し、デバイスの中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の集束および回収が実証された。
【0105】
エピタコフォレシスデバイス(
図9A~
図9B)を使用してエピタコフォレシスを実施してスルファニル酸色素(SPADNS)を集束させ、その後、これをデバイス(
図9C~
図9D)から収集した。
図9A~
図9Bのデバイスは、円形構造および直径11.0cmの円形ステンレス鋼ワイヤ電極(902)を有していた。円形ステンレス鋼ワイヤ電極902は、エピタコフォレシスが行われる円形チャネルの外側をマークする。電極リザーバまたは試料収集リザーバ(904)は、円形チャネルの中心にある。
図9Bを参照すると、概略図の数字は、ミリメートル単位の寸法を表す。20mM HCl-ヒスチジン(pH6.20)を先行電解質として使用した。5mLの10mM MES Tris(pH8.00)をLE中の0.3%アガロースゲルを有する後行電解質として使用し、ゲルは8.9cm(
図9C)の直径を有し、TEの導入前に形成されたか、または15mLの10mM MES Tris(pH8.00)を、5.8cm(
図9D)の直径を有し、TEの導入前に形成された0.3%ゲルに含まれる後行電解質として使用した。デバイスの電極リザーバは、100mMの濃度の先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。
【0106】
図9Cを参照すると、0.137mMの濃度の150μlのSPADNSを15mLの後行電解質中で調製し、デバイスに充填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSを、
図9Cの赤色領域として見ることができる同心リング状の集束領域に集束させた。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束領域がデバイスの中心に進入し、デバイスの中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望のデバイスの集束および回収が実証された。回収されたSPADNSは、最初の15mLのSPADNS含有試料の吸光度と比較して40倍の吸光度増加を有した。
【0107】
図9Dを参照すると、0.137mMの濃度の150μlのSPADNSを15mLの後行電解質中で調製し、デバイスに充填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSを、
図9Dの赤色領域として見ることができる同心リング状の集束領域に集束させた。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束領域がデバイスの中心に進入し、デバイスの中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望のデバイスの集束および回収が実証された。回収されたSPADNSは、最初の15mLのSPADNS含有試料の吸光度と比較して40倍の吸光度増加を有した。
【0108】
図9A~
図9Bのエピタコフォレシスデバイスを使用して、ゲルを使用せずにデバイス内の生理食塩水からSPADNSを集束させるためにエピタコフォレシスを実施した。20mM HCl-ヒスチジン(pH6.20)を先行電解質として使用した。13mLの10mM MES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用し、これを3mLの0.9% NaClとさらに混合した。デバイスの電極リザーバは、100mMの濃度の先行電解質HClヒスチジン(pH6.25)を含有していた。
【0109】
図10を参照すると、0.137mMの濃度の150μlのSPADNSを、3mLの0.9% NaClと混合した13mLの後行電解質中で調製し、デバイスに充填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSを、
図10の赤色領域として見ることができる同心リング状の集束領域に集束させた。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSの集束領域がデバイスの中心に進入し、デバイスの中心に収集され、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望のデバイスの集束および回収が実証された。
【0110】
図9A~
図9Bのエピタコフォレシスデバイスを使用して、スペーサとして酢酸を用いてSPADNSおよびPatent Blue色素を分離および集束するためにエピタコフォレシスを実施した。20mM HCl-ヒスチジン(pH6.20)を先行電解質として使用した。5mLの10mM MES Tris(pH8.00)を後行電解質として使用し、これを150μlの10mm酢酸、150μlの0.1mM Patent Blue色素、および150μlの0.137mM SPADNSとさらに混合した。SPADNS、酢酸およびPatent Blue色素の有効移動度値(10
-9m
2/Vs)は、それぞれ55、42、7および32であった。デバイスの電極リザーバは、100mMの濃度の先行電解質His(pH6.25)を含んでいた。この実験のためにこのデバイスのチャネルにゲルを使用しなかったが、ゲルはデバイスプラットフォームの上部に存在した。
【0111】
図11を参照すると、後行電解質、SPADN、酢酸、およびPatent Blue色素の混合物をデバイスに充填した。エピタコフォレシスを行うために、2Wの定電力を使用した。SPADNSは、
図11の赤色領域/内側領域として見ることができる同心リング状集束領域に集束され、Patent Blue色素は、
図11の青色領域/外側領域として見ることができる同心リング状集束領域にも集束された。エピタコフォレシス領域がデバイスの縁部から中心に向かって移動すると、最終的にSPADNSおよびPatent Blue色素の集束領域がデバイスの中心に順次進入し、デバイスの中心で別々に収集されることができ、それにより、エピタコフォレシスを使用した所望の試料の分離、集束および回収が実証された。
【0112】
エピタコフォレシスデバイスは、エピタコフォレシスを行うために設計された(
図12)。
図12のデバイスは、円形構造および直径5.8cmの円形銅テープ電極を有していた。
【0113】
導電性ベースの試料検出を用いてエピタコフォレシスを実施するためのシステム
デバイスの構築
【0114】
先の実施例によれば、大きな試料体積容量を有するエピタコフォレシスデバイスを円形分離チャネルで機械加工した。
図13Aおよび
図13Bは、デバイスの構造の2つの図を示している。ワイヤリング電極(直径1mmのステンレス鋼ワイヤ;半径55mm)を円形の分離区画の縁部に取り付けた。試料体積は、リング電極とアガロース安定化先行電解質ディスク(半径35mm)との間の空間によって定義された。したがって、適用可能な試料体積は、その高さのmmごとに5.7mLであった。第2の電極を、デバイスの側面の先行電解質リザーバに配置した。リング電極は、
図13Aに示す上部バナナ型コネクタに接続した。下部バナナコネクタを、リード電極リザーバ(
図13Bに示す方式における「b」)に配置された長さ3cm、直径0.4mmの白金ワイヤ電極に取り付けた。先行電解質リザーバから中央収集ウェル(
図13Bに示す方式における「a」)に向かって移動する電解生成物からの起こり得る干渉を防ぐために、全長20cmの内径9mmの内部チャネルをデバイスの内部に穿孔した。デバイスの穿孔後の側面開口部は、ケイ素隔壁によって塞がれた。直径9mmの中央収集ウェルをデバイスに穿孔し、ゴム製Oリングで密封した可動式Ertacetal(登録商標)ロッドによって底部から閉鎖した。
【0115】
全ての分析について、半透膜(Slide-A-Lyzer(商標)MINI透析ユニット2000 Da MWCO、Thermo Fisher Scientific、米国)を備えたプラスチックバイアルを、リード電極リザーバまで先行電解質で満たした後に中央収集ウェルに挿入した。体積を最小限に抑えるために、Slide-A-Lyserをカミソリ刃で半分に切断して、200マイクロリットル未満の体積を有する収集カップを生成した。次に、中心8mmの孔を有する0.3%アガロースゲルディスク(直径70mm、厚さ4mm)を先行電解質中に調製し、デバイスの中心に配置し、気泡の蓄積を避けるために同じく中心8mmの孔を有する75×1mmの円形ガラス板で覆った。様々な電気泳動分離モードを適用することができるが(例えば、領域電気泳動、等電点電気泳動、または変位電気泳動)、本発明者らは、先導(LE)および終端(TE)電解質を含む電解質システムを用いたエピタコフォレシスを使用した。ゲルディスクとリング電極との間の空間に、終端電解質中の試料溶液をシリンジによって塗布した。アニオン性試料成分がリング電極からデバイス中心の収集ウェルに向かって移動するように、電流接続の極性を選択した。集束された試料領域が収集カップに入った後、電流をオフにし、試料をさらなる使用のためにピペットで取り出した。空の回収カップを移動棒で持ち上げて廃棄した。
【0116】
電気駆動分離条件
【0117】
分離は、Cl-イオンが先行イオン(有効移動度79.1×10-9m2V-1s-1)として機能する負モードで行った。先行電解質(LE)は、pH6.2の100mM HCl-ヒスチジン緩衝液を含み、終端電解質(TE)は、TRISによってpH8.30に滴定された10mM TAPSを含んでいた。アガロース安定化先行電解質ディスクを、20mmの先行電解質(HCl-ヒスチジン;pH6.25)中で調製した。全ての緩衝液を脱イオン水中で調製した。電源は、PowerPac 3000(BioRad)によって提供され、これは2Wの定電力モードで実行された(これは分析開始時におよそ16mAおよび120Vに相当する)。分析にはおよそ1時間を要した(分析終了時におよそ10mAおよび200V)。
【0118】
試料検出
【0119】
試料を検出するために、表面抵抗率検出セルを構築し、市販のITP機器(Villa Labeco,Sp.N.Ves,Slovakia)の導電率検出器に接続した。検出セルを以下のように調製した:2本の白金(Pt)ワイヤ(300μm×長さ2cm)をITP機器に適合するコネクタに取り付けた。Ptワイヤの両端を1mLピペットチップに挿入し、次いで、迅速に硬化するエポキシ樹脂を充填した。最後に、内部にエポキシワイヤが埋め込まれたピペットチップの1mmを、2つの丸いPt電極を有する平坦なエポキシ表面を露出させるカミソリ刃によって切断した。
図14Aおよび
図14Bを参照されたい。検出セルを、
図15Aに例示するように、収集バイアルに近いアガロースゲルディスクの表面に穏やかに接触する実験台に取り付けた。この検出システムを使用して、
図15Bおよび
図17Bの導電率トレースを生成した。
【0120】
別の例示的なシステムもまた、エピタコフォレシス中の試料検出のために構築された。このシステムでは、
図16Aおよび
図16Bに示すように、直径500μmの2つの白金(Pt)ワイヤからなる表面抵抗率検出プローブを、エピタコフォレシスデバイスの下部基材(すなわち、下部プレート)内に組み込んだ。ワイヤの先端は、下部基材上の中心柱内の専用チャネルを介して下部から半透膜の近くにあった。ワイヤの両端を市販のITP装置(Villa Labeco,Sp.N.Ves,Slovakia)の導電率検出器に接続した。エピタコフォレシスデバイスとして機能する上部プレートは、磁石を使用して下部基材と組み立てられ、一方、Oリング(
図16Bを参照)は、漏れを防止するために2つの基材間の完全な封止を可能にした。
【0121】
化学物質
【0122】
緩衝液成分:L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物(99%)、L-ヒスチジン(99%)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(テープ;99.5%)およびトリス-(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス;99.8%)は、Sigma-Aldrich(USA)から購入した。低電気内浸透を有するアガロース NEEO ultra-quality Roti(登録商標)garoseをCarl Roth(Germany)から購入した。酢酸およびアニオン性色素Patent blue Vナトリウム塩は、Sigma-Aldrichから入手した。赤色アニオン性色素SPADNS(1,8-ジヒドロキシ-2-(4-スルホフェニルアゾ)ナフタレン-3,6-ジスルホン酸三ナトリウム塩は、Lachema,Brno,Czech Republicから入手した。
【0123】
SPADNSとPatent Blueの集束
【0124】
エピタコフォレシスおよび電気試料検出を含む上記の例示的なデバイスを試験するために、デバイスを使用して試験分析物を集束および検出した:SPADNSおよびPatent Blue。先行電解質(LE):HCl-HISをpH6.2に緩衝した。後行電解質(TE):TAPS-TRISをpH8.3に緩衝した。ゲルは、20mmLE中の20mLのポリアクリルアミドゲル6%から形成された。100mMのLEを電極リザーバに添加した。試料溶液:15mLの10mMのTE+150μlの0.1mMのSPADNS+150μlの0.1mMのPatent Blue。ゲルディスクとリング電極との間の空間に、終端電解質中の試料溶液をシリンジによって塗布した。デバイスは、P=2Wの定電力モードで作動させた。
図15Aは、SPADNSおよびPatent Blueの集束の画像を提供し、試料収集ウェル付近の導電率試料検出を示す。
図15Bは、この試料集束のための導電率トレースを提供し、試料の集束領域(SPADNSおよびPatent Blue)を包含するLEとTEとの間の遷移による導電率/抵抗率の著しい変化を示している。
【0125】
DNA分析
【0126】
フルオレセインで標識された低分子量dsDNAラダー(75塩基対-bp~1622bpの10断片)は、Bio-Rad,米国製であった。収集した画分中のDNA濃度を、高感度dsDNA Qubit定量アッセイキットを使用することにより、Qubit蛍光光度計(Invitrogen,Carlsbad,CA,USA)を使用して評価した。試料中の標的分子の濃度は、DNAに結合した場合にのみ発光する蛍光色素によって報告した。回収した画分を、チップCGE-LIF機器Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent,Santa Clara,CA,United States)を用いてさらに分析した。この分析により、高感度DNA試薬キット(Agilent,United States)を用いて、試料中の回収されたDNA断片のサイズ情報が得られた。
【0127】
DNA集束
【0128】
50bpを超えるDNA断片の電気泳動移動度は、遊離溶液中でおよそ37×10
-9m
2/Vsであり、短い断片(約20~50bp)は僅か約10%ずれることができる。これらの移動度に基づいて、本発明者らは、全ての試料DNA断片を単一の濃縮領域に集束させるのに適した不連続電解質システムを設計した。不連続電解質システムは、異なるゲル構造(またはゲルの存在)、緩衝液のpH値、緩衝液のイオン強度、および/またはイオンを含み得る。実験試験のために、本発明者らは、75~1632bpの範囲の断片サイズを有するフルオレセイン標識低分子範囲DNAラダーを選択した。DNA断片あたり1つのフルオロフォアのみを有する試料の蛍光を、半径2cmのレーザービームによって照射した(
図17A)。表面抵抗率検出を使用して、収集ウェルに近いLE/TE境界の遷移を示した(
図17Bに示す導電率トレース)。LEからTEへの抵抗率の全体的な変化を試料位置の指標として使用した。この変化に基づいて、電圧をオフにし、分離を停止した。収集した画分を、UV分光法(吸光度測定)(
図17C)およびバイオアナライザベースの分析(
図17D)の双方によって分析した。
図17Dの前部および後部マーカーのより低い信号強度(製造業者の指示に従って初期試料および最終試料に同じ量で添加された)は、収集された画分中のより高いDNA濃度によるものであった。どちらの場合も、収集された画分の約30倍の濃度増加は、この例示的な実施形態において、開始時の15mLから280μLの試料収集体積までの試料体積の減少に対応した。収集カップに入る前の移動DNA領域の体積ははるかに小さく(約3μL)、最終画分濃度は、選択された収集バイアルの体積に主に依存する。
【0129】
電圧ベースの試料検出を伴うETP
本実施例では、ETPデバイスを使用して1mLの血漿からcfDNAを集束および収集するために3回の独立したETP実行を行い、3回の独立したETP実行のそれぞれの時間経過中に電圧を測定した。3回のETP実行の各々は、75分の長さであった。各ETP実行の開始時の電力レベルは6Wであった。その後、電力レベルを30分で3Wに下げ、次いで60分で2Wに下げた。3つの独立したETP実行の各々の間に得られた結果を
図18に示す。
【0130】
ここで
図18を参照すると、電力が一定に保たれた各段階において、電圧は徐々に増加した。最後の段階(2W出力、60分~75分)では、核酸分子を含む集束領域が収集カップ内に移動したとき、電圧は65Vであった。3つの独立した実行のそれぞれを比較すると、電圧プロファイルは一貫していることが観察され、電源からの電圧フィードバックを使用してデバイス内の核酸分子の位置をモニタリングできることが示された。
【0131】
光学ベースの試料検出を伴うETP
本実施例では、ETP実行中に核酸の位置をモニタリングするために、着色色素を用いた光学検出を使用してETP実行を行った。核酸よりも低い電気泳動移動度を有する色素を使用して、核酸の位置の光学的追跡を可能にすることができる。例えば、そのような色素としては、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン、サンセットイエローFCF、アルラレッド、ファーストグリーンFCF、パテントブルーVおよびカルモイシンが挙げられる。本実施例では、2回の独立したETP実行を行って、光学マーカーとしてブリリアントブルー色素を使用して核酸分子を集束および収集した(ETP実行1:
図19A~
図19B;およびETP実行2:
図19C~
図19Dを参照されたい)。
【0132】
図19Aは、核酸分子の集束および収集中にブリリアントブルー色素を光学マーカーとして使用し、SYBR-ゴールド色素をさらに使用して核酸分子の位置をモニタリングしたETP実行中のETPデバイスの画像を示す。青色色素の電気泳動移動度は、核酸の電気泳動移動度よりも低く、したがって、青色色素は、核酸を含む集束領域の後に移動した。汚染物質は、褐色の集束領域として現れた(
図19Aを参照されたい)。
図19Aの写真画像に加えて、ETP実行中に蛍光ベースの画像を撮影した(
図19Bを参照されたい)。
図19Bの蛍光ベースの画像は、SYBR-ゴールドで標識されたDNAを含むバンドを含む集束領域がブリリアントブルー色素よりも速く移動したことを実証する。
【0133】
図19Cは、核酸分子の集束および収集中にブリリアントブルーを光学マーカーとして使用したETP実行中のETPデバイスの画像を示す。
図19Cおよび
図19DのETP実行のために、cfDNAを含む血漿試料を使用した。色素のバンドが収集ウェルに到達したら、ETPの実行を停止した。cfDNAを集束して収集した後、Agilent TapeStationシステム(
図19Dを参照されたい)を用いて、集束して収集したcfDNA試料に対して分析を行った。電気泳動図(
図19Dを参照されたい)は、ETP実行中に集束され収集された所望のcfDNA分子を表す179bpのピークを示し、それにより、核酸の位置をモニタリングするためのブリリアントブルー色素の有用性を実証した。
【0134】
熱ベースの試料検出を伴うETP
本実施例では、DNAラダーの集束および収集中に熱画像化を使用するETPの実行を行った。本実施例の熱画像化には、赤外線ベースの熱画像カメラ(SEEK thermal ShotPro)を使用した。さらに、蛍光イメージングを使用した。20分、40分、42分、および44分の4つの連続した時点で、熱画像および蛍光画像を撮影した。(
図20A~
図20Bを参照されたい)。さらに、電源からの電圧フィードバックをETP実行中に測定した。
【0135】
図20Aは、ETP実行中の4つの時点:20分、40分、42分、および44分で撮影された熱画像を示す。デバイスの中心の温度は、40分から44分の間に17℃(38℃から55℃)上昇し、その間に、
図20Bで緑色蛍光リングとして見えるDNAラダーが中心収集カップ内に移動したことが観察された。
【0136】
図20Cは、本実施例のETP実行中の経時的な電圧および温度変化を示す。経時的な電圧変化の傾向は、経時的な温度変化の傾向と同様であることが観察された。したがって、電源からの電圧フィードバックは、デバイス内のDNAラダー分子の位置をモニタリングするための追加の手段を提供した。
【0137】
実施例1:ETPによる無細胞核酸の単離/精製
無細胞DNAを含む無細胞核酸の単離(精製)を行うために、エピタコフォレシスデバイスおよび実験装置(
図21~
図23を参照)を使用してETPを行った。デバイスは、円形構造および円形電極(
図21および
図23を参照)を有していた。
【0138】
cfDNAを単離/精製するためにETPを設定および実施する前に、ETP緩衝液、ETPデバイスのアガロースゲル、短縮された透析ユニット、およびプロテイナーゼK消化血漿の試料を調製した。HCl-ヒスチジンpH6.25を含む先行電解質(LE)緩衝液を調製し、TAPS-Tris pH8.30を含む後行電解質(TE)緩衝液を調製した。ETPデバイスとともに使用されるアガロースゲルは、三角フラスコ中で所望のアガロース割合のゲルに適切な量のアガロースをLE緩衝液と混合することによって調製した。
【0139】
最初に血漿試料を室温で解凍することによってプロテイナーゼK消化血漿を調製し、その後、試料を混合し、所望の体積を抜き取り、ヌクレアーゼフリー管に分注した。次に、プロテイナーゼKを添加し、溶液をよく混合し、次いで、試料に応じて37~70℃でインキュベートした。
【0140】
cfDNAのETPベースの単離/精製は、一般に以下のように進行した。ETPシステムは、最初にテフロンスティック(
図21を参照)または一対のピンセットを使用して可動中央ピストン(
図21を参照)をより低い位置に移動させることによって準備した。中心電極チャネルを、ETPプラットフォームの角開口部を介してLE緩衝液(25mLのLE+1.25μL SYBRゴールド(DNAバンドの可視化に使用される場合))で充填し、中心開口部が完全に充填されたときに充填を停止した。透析ユニットを、Oリングを介して中央開口部に固定した(
図21を参照)。次いで、透析ユニットをLE緩衝液(および所望であればSYBRゴールド溶液)で満たした。上記のように調製したアガロースゲルをテンプレートからETPデバイスに慎重に移し、固定した。次いで、円形カバーをゲル上に置いた。
【0141】
一般的に15mLのTE緩衝液+1μLのSYBRゴールド(DNAバンドの可視化に使用する場合)+50bpのDNAラダー(マーカーとして使用する場合)+PK前処理した血漿試料を含む試料混合物を調製し、ゲルとETPデバイスの円形電極との間のギャップにピペットで入れた。最後に、二次蓋をデバイスの上に置いた。
【0142】
次に、ETPデバイスを電源に差し込むことによって電源を準備した。電源を1から8W(使用される血漿試料の量に依存する)の一定電力に設定し、ETPを約1~2時間行った。電源をオンにすることによって、1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域(1つ以上のETPバンド)に集束させた。
【0143】
いくつかの例では、試料を以下のようにモニタリングし、収集した。SYBRゴールドがETP実行に含まれる場合、青色光源および適切なフィルタを使用して、DNA集束領域(ETPバンド)の動きをモニタリングした。DNAが透析ユニットに回収されると、電源をオフにした。DNA/分析物のサイズ選択が所望される場合、以下にさらに記載されるように、目的のDNA集束領域または複数の集束領域(ETPバンド)のみを収集した。電源をオフにした後、LE緩衝液をETPデバイスの角開口部から除去し、次いでTE緩衝液およびゲルをデバイスから除去した。次に、透析ユニットに収容された試料を収集した。次いで、可動中央ピストンを上方位置に移動させた。いくつかの例では、収集したDNA溶液を、続いてKAPA純ビーズの混合物を使用して洗浄し、30~50μLのTRIS.HCl溶液に溶出した。
【0144】
いくつかの例では、収集されたcfDNAの分析を、高感度dsDNA Qubit定量アッセイキットを使用することによって、Qubit蛍光光度計(Invitrogen(米国カリフォルニア州カールスバッド))を使用することによって行った。試料中の標的分子の濃度は、DNAに結合した場合にのみ発光する蛍光色素によって報告した。いくつかの例では、収集されたcfDNAの分析を、チップCGE-LIF機器Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent、米国カリフォルニア州サンタクララ)を使用することによって行った。この分析により、高感度DNA試薬キット(Agilent,United States)を用いて、試料中の回収されたDNA断片のサイズ情報が得られた。
【0145】
実施例2:cfDNAのETPベースの単離/精製
本実施例では、以下の修正を加えて実施例1に一般的に記載されているように、ETPベースの単離/精製によってcfDNAを単離/精製した。血漿試料にDNAラダーを添加し、SYBRゴールドを用いてDNA領域を可視化した。試料は、cfDNAを含む1mLの血漿および200ngのDNAラダーを含んでいた。
【0146】
ここで
図23を参照すると、cfDNAおよびDNAラダーを単離/精製した1mLの血漿試料からのDNAのETPベースの単離/精製のタイムラプス写真が撮影された。SYBRゴールドをDNA領域の可視化に使用した(
図23を参照)。
【0147】
実施例3:cfDNAのETPベースの単離/精製
本実施例では、以下の修正を加えて、実施例1に一般的に記載されているように、ETPベースの単離/精製によって1mLの血漿試料からcfDNAを単離し、収集した。SYBRゴールドは使用しなかった。ETPベース/精製およびその後のcfDNAの収集の後、単一のKAPA純粋ビーズベースの洗浄工程(1×SPRIビーズ)または2つのKAPA純粋ベースの洗浄工程(2×SPRIビーズ)のいずれかを行った。また、血漿試料(1mL)から、AVENIOキットを使用するスピンカラム法を用いてcfDNAを単離/精製した後、単一のKAPA純ビーズベースの洗浄ステップを行った。それぞれが同じ種類のビーズを使用する2つのビーズベースの洗浄、すなわち2つの洗浄ステップを使用したゲノムDNA汚染の除去を含む「UNA法」を使用し、続いて、AVENIOキットを使用したスピンカラム法を使用した。上記の方法を用いたcfDNAの単離/精製および洗浄後、QUBITベースの分析を用いてcfDNAの濃度を測定し、ng単位のcfDNAの濃度を記録した。
【0148】
ここで
図24を参照すると、結果は、1つまたは2つのビーズ洗浄ステップのいずれかを含むETPベースの単離および収集を使用することによるcfDNAの抽出を実証した。ETPベースの単離および収集によるcfDNAの単離および収集は、本実施例で使用される他の方法と比較して約2.5倍の量のcfDNAをもたらした。ETPベースの単離およびcfDNAの収集とそれに続く1回のビーズベースの洗浄ステップを行うことは、2回のビーズベースの洗浄ステップを含むETPベースの単離およびcfDNAの収集と比較して、より多量のcfDNAを含むことが注目された。
【0149】
実施例4:cfDNAのETPベースの単離/精製
本実施例では、cfDNAおよびDNAラダーを含むDNAを、以下の修飾を用いて、実施例1に一般的に記載されているように、ETPベースの単離/精製によって1mLの血漿から単離/精製した。1mLの血漿に60ngのDNAラダーを添加した。cfDNAおよびDNAラダーの単離/精製およびその後の収集の後、実施例1に一般的に記載されるようなBioanalzyer実行を使用して、単離/精製および収集されたDNA試料のサイズベースの分析を行った。
【0150】
ここで
図25を参照すると、結果は、単離/精製および収集された試料中のcfDNAの存在を示し、これは、cfDNAが約150~約200bp長(
図25を参照)のバンドとして出現したため、DNAラダーのものに対応しない蛍光信号およびバンドの出現によって証明された。
【0151】
実施例5:cfDNAのETPベースの単離/精製
本実施例では、以下の修飾を用いて、実施例1に一般的に記載されているように、ETPベースの単離/精製によって1mLの血漿試料からcfDNAを単離/精製した。本実施例では、SYBRゴールドまたはDNAラダーを使用しなかった。cfDNAの単離/精製およびその後の収集の後、実施例1に一般的に記載されるようなBioanalzyer実行を使用して、単離/精製および収集されたDNA試料のサイズベースの分析を行った。
【0152】
ここで
図26を参照すると、結果は、約150~約200bp長(
図26を参照)の蛍光信号およびバンドの出現によって証明されるように、単離/精製および収集された試料中のcfDNAの存在を実証した。25bpおよび10,300bpのマーカーを標準として使用したことに留意されたい。
【0153】
実施例6:cfDNAのETPベースの単離/精製
本実施例では、以下の修飾を用いて、実施例1に一般的に記載されているように、ETPベースの単離/精製によって1mLの血漿試料からcfDNAを単離/精製した。本実施例では、様々な異なるサイズ範囲のDNAが単離/精製され、続いて収集され、断片化ゲノムDNAからのcfDNAの単離/精製の向上を可能にするように、緩衝液濃度、ゲルの割合、およびETP実行の停止時間を変えることによって、1mLの血漿試料からcfDNAを単離/精製し、続いて収集した。
【0154】
ここで
図27を参照すると、様々な緩衝液濃度、ゲル割合および停止時間を用いたETPベースの単離/精製およびその後の収集の結果が示されている。ETP実行の結果の電気泳動に基づく分析は、ETPベースの単離/精製およびその後の収集によって様々なDNAサイズのカットオフが達成されたことを実証した(
図27を参照)。
【0155】
実施例7:循環腫瘍DNAのETPベースの単離/精製
本実施例では、循環腫瘍DNAを単離/精製し、続いて、以下の修正を加えて、実施例1に一般的に記載されているように、ETPベースの単離/精製によって1mLの血漿試料から収集した。ETPベースの単離/精製に加えて、AVENIOキットを使用するスピンカラムに基づく方法を使用して、別のアッセイで4mLの血漿試料からctDNAを単離した。また、ETPベースの単離/精製およびその後のctDNAの収集の後、KAPA純ビーズに基づく洗浄ステップを行った。さらに、単離/精製され、続いて回収されたctDNAのQUBITに基づく分析を、実施例1に一般的に記載されているように行った。
【0156】
ここで
図28を参照すると、ETPベースの単離/精製およびその後の0.5mLの血漿からのctDNAの収集の結果が示されている。スピンカラムに基づく方法の結果は、4mLの試料から0.5mLに逆算したことに留意されたい。各試料について5回の読み取りを行った。
図29に示す結果は、単離/精製され、続いてETPベースの方法によって回収されたctDNAの収率がスピンカラムベースの方法の収率を超えたことを実証している。ETPベースの方法によるctDNAの収率は、平均約5.7ngであり、最高収率は6.8ngであり、約5.1ngから約6.8ngの範囲であった。
【0157】
ETP上部マーカーを用いたETPベースの単離/精製
本実施例では、ETPベースの単離/精製中に使用されるETP上部マーカーを生成した。
【0158】
ETP中に使用される標識された上部マーカーを生成するための1つの手法は、プラスミドを一方の制限部位で消化し、その後、適切なプライマーを使用して所望のサイズのアンプリコン、例えば1003bpのアンプリコンを生成し、1003bpのサイズのアンプリコンを生成することである。必要に応じて、アンプリコンを蛍光標識することができる。
【0159】
あるいは、標識された上部マーカーを以下のように生成した。ベクターを、3つの異なる制限酵素を使用して3つの異なる制限部位で切断して、744bp、875bpおよび1067bpの断片を生成した。消化後、消化生成物を洗浄し、続いて3つのベクターをそれぞれ蛍光標識した。洗浄後、Agilent Bioanalyzerを使用してETP上部マーカー(
図29を参照)を分析したところ、744bp、875bpおよび1067bpの3片で上部マーカーの生成が確認された。
【0160】
そのようなETP上部マーカーは、標的分析物、例えばDNAの収集を停止することができるカットオフ点を示すために、ETPベースの方法中におよびETPベースのデバイスとともに使用することができる。例えば、蛍光標識された、またはそうでなければ検出可能に標識されたETP上部マーカーは、ETPベースの方法の間に収集される標的分析物よりも大きいようなサイズで生成することができる。ETPの実行中にマーカーをモニタリングすることにより、ユーザまたは自動化された機械は、マーカーが収集管に落下する前に実行を停止することができ、それにより、マーカーよりも小さい標的分析物を捕捉することができる一方で、より大きな汚染分析物は、上部マーカーの後ろに配置されるため除外される。さらに、ETP上部マーカー自体は収集されず、したがって、下流アッセイに干渉しないため、大量に様々な検出可能な標識とともに使用されることができる。特に、ETP上部マーカーは、ゲノムDNAの排除を助けることができるため、cfDNA単離/精製方法において使用されることができる。例えば、ETP上部マーカーは、場合によっては約1000bpであり得る。
【0161】
尿からの標的分析物のETPベースの単離
本実施例では、ETPベースの単離および/または精製を使用して、尿試料から1つ以上の標的分析物を単離/精製する。
【0162】
尿試料は、一般的に、例えば核酸、cfNA、バイオマーカー、タンパク質、および/または細胞外小胞等の様々な異なる標的分析物を含む。ETPベースの単離および/または精製は、以下のように1つ以上のETP実行を使用してこれらの標的分析物のいずれか1つ以上を単離および/または精製するために使用することができる。一般的に1mL~約50mLの体積の任意の体積の尿試料が提供され、この尿試料は1つ以上の標的分析物を含む。尿試料を濃縮し、AMICON(登録商標)Ultra Centrifugalフィルタの使用を含む遠心分離ベースの方法を用いて緩衝液交換する。緩衝液交換および濃縮手順の結果として、cfNA、タンパク質、および/または細胞外小胞、例えば尿エキソソーム等の1つ以上の標的分析物の初期濃縮が達成され、尿試料の脱塩が達成される。
【0163】
場合によっては、遠心分離ベースの濃縮および緩衝液交換の前に、例えば望ましくない細胞および/または望ましくない細胞残屑等の望ましくない物質を除去するために、真空濾過工程等の濾過工程を実施することができる。そのような濾過工程は、尿中の固体残屑を含む望ましくない物質を除去するように選択されたフィルタサイズ、例えば0.22umのフィルタ膜を使用して前記望ましくない物質を除去する遠心分離ベースの濾過および/または真空ベースの濾過を使用することによって達成することができる。フィルタは、0.10~0.20μm、0.20~0.25μm、0.25~0.35μm、0.35~0.45μm、0.45~0.50μm、0.50~1μm、1~10μm、10~25μm、25~30μm、30~45μm、45~55μm、または55μmより大きいサイズを有し得る。
【0164】
任意選択の濾過工程に続いて、遠心分離ベースの濃縮および緩衝液交換が行われる。試料を、3K~10Kの分子量カットオフ(MWCO)を有するAMICON(登録商標)Ultra Centrifugal Filterを使用する等の遠心分離によって濃縮する。濃縮後、所望の緩衝液、例えば洗浄緩衝液等を濃縮試料に添加し、混合し(添加した緩衝液が遠心分離前の緩衝液と異なる場合、「緩衝液交換」と呼ばれることもある)、さらなる遠心分離を行う。洗浄および/または緩衝液交換が行われるこの工程は、所望の回数繰り返すことができる。
【0165】
遠心分離は、1,000~2,000、2,000~3,000、3,000~4,000、4,000~5,000、5,000~6,000、6,000~7,000、7,000~8,000、8,000~9,000、9,000~10,000、10,000~15,000、または15,000~20,000の分子量カットオフのためのフィルタであり得る。いくつかの実施形態において、MWCOより下の物質をETPデバイスで使用することができる。他の実施形態において、MWCOより上の物質を使用することができる。遠心分離機は、3~100×g、100~200×g、200~500×g、500~1,000×g、1,000~3,600×g、3,600~5,000×g、または5,000×g超の力で運転され得る。遠心分離の回転半径は、50~100mm、100~200mm、200~300mm、300~400mm、400~500mm、または500mm超であり得る。毎分回転数(RPM)は、200~1,000、1,000~5,000、5,000~10,000、10,000~15,000、15,000~20,000、20,000~25,000、または20,000超であってもよい。遠心分離機は、1~5分、5~10分、10~15分、15~20分、20~25分、25~30分、30~60分、または60分を超えて回転することができる。
【0166】
いくつかの例では、必要に応じて、透析ベースの方法によって緩衝液交換を達成することができ、次いで、この緩衝液交換試料を上記のような遠心分離ベースの方法によって濃縮することができる。
【0167】
いくつかの例では、試料濃縮および緩衝液交換後、試料は、1つ以上のバイオマーカー、例えば1つ以上の核酸および/または1つ以上のタンパク質のETPベースの単離/精製に使用される。そのような核酸のETPベースの単離/精製は、血漿試料からの無細胞核酸の単離/精製を論じる例を含む、本実施例に記載されるETPベースの単離/精製手順によって行うことができる。
【0168】
いくつかの例において、試料の濃縮および緩衝液交換の後、試料をETPデバイスに導入する前に、溶解および/またはタンパク質消化工程を実行することができる。そのような工程は、収集するための標的核酸および/または所望の標的核酸の起源に少なくとも部分的に基づいて行われ得る。尿中に見出される核酸の起源には、例えば、尿路から排出される上皮細胞、自由循環cfDNA、およびエキソソームが含まれる。
【0169】
全核酸回収が望ましい場合、その起源にかかわらず全ての核酸が単離/精製されるべきであり、溶解工程および/またはタンパク質消化工程は、適切な試薬を使用して実施することができる。例えば、プロテイナーゼKを使用してタンパク質消化を行うことができる。さらに、そのような溶解およびタンパク質消化工程は、ETPベースの単離/精製の前に、例えば細胞、エキソソームおよびヒストン(cfDNAの場合)から全ての核酸を放出することを可能にし得る。
【0170】
尿路から排出された上皮細胞に由来する核酸を含まない核酸回収が望ましい場合、溶解および/またはタンパク質消化工程の前にこれらの上皮細胞の除去を行うために遠心分離ステップが行われる。遠心分離後、上清を回収し、上皮細胞を含むと推定されるペレットが廃棄される。その後にETPによって単離/精製され得る標的核酸には、cfDNAならびにエキソソームに封入された核酸が含まれる。
【0171】
cfDNAを標的とする核酸回収が望まれる場合、試料をETPデバイスに導入する前に、プロテイナーゼK等を用いてタンパク質消化工程を実施することができる。溶解工程は行われず、さらに、尿試料中に存在し得る細胞からの核酸の放出を防ぐために、意図しない溶解源は回避される。
【0172】
上記の溶解および/またはタンパク質分解工程のいずれかの後、試料をETPデバイスに充填し、血漿試料からの無細胞核酸の単離/精製を論じている実施例8等の本実施例に記載のETPベースの単離/精製手順によって、1つ以上の標的分析物、例えば核酸を単離/精製するためにETPベースの単離/精製を行うことができる。本開示を通して論じられるように、例えば、緩衝液条件、アガロースゲルのパーセント比率等の、ETPが行われる条件の任意の1つ以上は、核酸の混合物からの標的核酸の単離/精製等、分析物の混合物からの標的分析物の単離/精製を可能にするように最適化することができる。
【0173】
ETPのための尿前処理
尿試料を得ることができる。尿試料は、排出尿であってもよい。細菌および任意の固体残屑は、0.25μm~45μmのフィルタによるフィルタ滅菌によって除去することができる。尿試料は、分子量カットオフ3k~10kのAMICON(登録商標)Ultra Centrifugalフィルタを使用して、3000×gで20分間、遠心分離機で回転させることができる。緩衝液交換は、10mM Tris HCl pH8または10mM終端電解質緩衝液を用いて実施し得る。10ml体積の緩衝液をAMICON(登録商標)管に添加してもよく、管をさらに20分間または濃縮物の体積が1mlになるまで回転させてもよい。
【0174】
図30は、尿試料分析のためのデバイスおよび方法に関連する例示的なプロセス3000のフローチャートである。いくつかの実施形態において、
図30の1つ以上のプロセスブロックは、システム(例えば、システム3100)によって実行され得る。いくつかの実装形態において、
図30の1つ以上のプロセスブロックは、システムとは別個の、またはシステムを含む他のデバイスまたはデバイスの群によって実行されてもよい。追加的または代替的に、
図30の1つ以上のプロセスブロックは、ETPデバイス3110、試料濃縮デバイス3120、ロボットハンドラ3130、および/またはプロセッサ3140等の
図31のシステム3100の1つ以上の構成要素によって実行されてもよい。
【0175】
ブロック3010において、プロセス3000は、尿試料を濃縮して濃縮尿試料を形成することを含み得る。濃縮尿試はが、尿試料中の1つ以上の標的分析物の初期濃度よりも少なくとも10倍高い、1つ以上の標的分析物の濃度を有し得る。いくつかの実施形態において、濃縮尿試料中の濃度は、初期濃度の20~30倍、30~40倍、40~50倍、または50倍以上であり得る。1つ以上の標的分析物は、DNA、RNA、またはそれらの組合せを含む。追加的または代替的に、1つ以上の標的分析物は、無細胞核酸、循環腫瘍核酸、バイオマーカー、タンパク質、細胞外小胞、またはそれらの組合せを含み得る。1つ以上の標的分析物は、本明細書に記載の任意の分析物を含み得る。
【0176】
前記尿試料を濃縮することが、真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、または遠心分離ベースの細胞除去のうちの1つ以上を含み得る。尿試料を濃縮することは、緩衝液交換を含み得、濃縮尿試料のpHは、約8.0を含む、6.0~8.5の範囲内である。緩衝液は、Tris HClであってもよく、または本明細書に記載の任意の終端電解質緩衝液であってもよい。緩衝液は、ETP適合緩衝液である。
【0177】
尿試料を濃縮することは、尿試料を遠心分離することを含み得る。尿試料を遠心分離することは、1,000~3,600×gの範囲の力または本明細書に記載の任意の力で遠心分離することを含む。
【0178】
尿試料を濃縮することは、尿試料を分子量によってフィルタにかけることを含み得る。尿試料を分子量によってフィルタにかけることは、3,000~10,000の範囲のカットオフを上回るまたは下回る分子量を有する前記尿試料の成分を除去することを含み得る。
【0179】
ブロック3020において、プロセス3000は、濃縮尿試料を第1の電解質に添加して第1の混合物を形成することを含み得る。第1の電解質は、終端電解質であってもよい。
【0180】
ブロック3030において、プロセス3000は、第1の電極と第2の電極との間に電圧差を印加することを含み得る。第1の電極は、第1の混合物中に配置されていてもよい。第2の電極は、第2の電解質中に配置されていてもよい。第2の電解質は、先行電解質であってもよい。第1の電極は、第2の電極と異なっていてもよい。第2の電解質は、ゲルに含まれていてもよい。第2の電解質は、第1の電解質から流体力学的に分離されてもよい。第1の電解質と第2の電解質とは、膜によって分離されていてもよい。第1の電極および第2の電極は、本明細書に記載のETPデバイスを有する任意の電極であってもよい。
【0181】
ブロック3040において、プロセス3000は、電圧差を使用して、第2の電解質内の1つ以上の集束領域内の1つ以上の標的分析物を第2の電極に流すことを含み得る。集束領域は、標的分析物が第1の電解質または第2の電解質内に濃縮されるセクションであってもよい。特定の集束領域内の標的分析物は、印加された電界内で同じまたは同様の移動度を有するイオンを含むことができる。1つ以上の集束領域は、本明細書に記載の任意のそのような集束領域またはETPバンドであってもよい。各集束領域は、別個の標的分析物を含み得る。プロセス3000はまた、第2の電解質内の1つ以上の集束領域に1つ以上の標的分析物を流す前に、第1の混合物(または第1の電解質)内の1つ以上の集束領域に1つ以上の標的分析物を流すことを含み得る。領域は、第1の電解質を有する領域を出て、第2の電解質を有する領域に入ることができる。集束領域は、1、2、3、4、5、または5を超える数であってもよい。
【0182】
ブロック3050において、プロセス3000は、1つ以上の集束領域を含む第2の混合物を収集することによって、1つ以上の標的分析物を収集することを含み得る。第2の混合物中の1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度は、濃縮尿試料中のそれぞれの標的分析物の濃度よりも高い。第2の混合物中の1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度は、濃縮尿試料中のそれぞれの標的分析物の濃度よりも2~5倍、5~10倍、10~50倍、または50倍超高い。例として、初期尿試料は10~50mlであってもよく、10~20ml、20~30ml、30~40ml、または40~50mlを含む。例として、濃縮尿試料の体積は、0.5ml~1.0ml、1.0~1.5ml、1.5~2.0ml、または2.0~2.5mlであり得る。プロセス3000は、従来の技術(例えば、カラム)よりも、少なくとも50%、または少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍の因子によって、非濃縮尿試料から分析物を得る処理量を増加させることができる。
【0183】
プロセス300は、第2の混合物中の1つ以上の標的分析物のいずれかまたは全てに対して、本明細書に記載の任意のインビトロ診断アッセイまたは方法を実施することを含み得る。
【0184】
プロセス3000は、本明細書の他の箇所に記載された1つ以上の他のプロセスに関連して記載された任意の単一の実装または実装の任意の組合せなどの追加の実装を含み得る。
【0185】
図31は、尿試料から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製するためのシステム3100を示す。システムは、エピタコフォレシス(ETP)デバイス3110を含み得る。ETPデバイスは、円形チャネルの外縁部に配置された円形の第1の電極を含み得る。円形チャネルは、本明細書で説明されるいずれであってもよい。ETPデバイスはまた、前記円形チャネルの中心にある試料収集リザーバを含み得る。試料収集リザーバは、本明細書に記載の任意の試料収集リザーバまたは電極リザーバであってもよい。試料収集リザーバは、円形チャネルの中心内の空洞であってもよい。試料収集リザーバは、円形チャネルへの円形開口部を有していてもよい。1つ以上の集束領域内の1つ以上の標的分析物は、試料収集リザーバに流入し得る。ETPデバイスは、第2の電極をさらに含み得る。第2の電極は、前記円形の第1の電極が前記試料収集リザーバと電気的に連通するよりも前記試料収集リザーバとより密接に電気的に連通するように構成されていてもよい。より近い電気的連通は、同じ電圧が印加された際に、抵抗がより低いこと、または電流がより高いことを指し得る。さらに、ETPデバイスは、円形の第1の電極と前記第2の電極との間に電圧差を送達するように構成された電源を含み得る。
【0186】
システム3100はまた、試料内の1つ以上の標的分析物の濃度を少なくとも10倍高く増加させるように構成された試料濃縮デバイス3120を含み得る。いくつかの局面において、試料濃縮デバイスは遠心分離機を含み得る。いくつかの実施形態において、遠心分離機を細胞外小胞濃縮に使用することができる。いくつかの局面において、試料濃縮デバイスは真空フィルタを含む。試料濃縮デバイスは、脱塩および/または緩衝液交換を行うように構成され得る透析管を含み得る。試料濃縮デバイスはまた、細胞溶解および/またはタンパク質分解のための温度に達するように構成され得るヒートブロックを含み得る。試料濃縮デバイスは、本明細書に記載の尿試料を濃縮するための任意のデバイスであり得る。
【0187】
システム3100は、ロボットハンドラ3130を含み得る。例えば、ロボットハンドラ3130は、試料濃縮デバイス3120からの出力をETPデバイス3110に転送するように構成された自動化ロボットハンドリングデバイスであってもよい。さらに、ロボットハンドラ3130は、ETPデバイス3110からの出力を、本明細書に記載の任意のそのようなデバイスであってもよい、さらなる分析デバイスに転送するように構成されていてもよい。
【0188】
システム3100は、プロセッサ3140を含み得る。プロセッサ3140は、ETPデバイス3110、試料濃縮デバイス3120、および/またはロボットハンドラ3130を制御して、プロセス3000の工程のいずれかを実行することができる。プロセッサ3140は、コンピュータシステムの一部であってもよい。
【0189】
本明細書で言及されるコンピュータシステムのいずれも、任意の適切な数のサブシステムを利用することができる。そのようなサブシステムの例が、
図32において、コンピュータシステム1200において示されている。いくつかの実施形態において、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、サブシステムは、そのコンピュータ装置の構成要素とすることができる。他の実施形態において、コンピュータシステムは、それぞれが内部の構成要素を備えたサブシステムであり、複数のコンピュータ装置を含むことができる。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話、ならびに他の携帯デバイスを含み得る。
【0190】
図32に示されるサブシステムは、システムバス75を介して相互接続されている。プリンタ74、キーボード78、記憶デバイス79、ディスプレイアダプタ82に結合されたモニタ76(例えば、LED等のディスプレイスクリーン)等の追加のサブシステムが示されている。I/O制御デバイス71に結合された外付けおよび入/出力(I/O)デバイスは、入出力(I/O)ポート77(例えば、USB)等の当技術分野で知られている任意の数の手段によって、コンピュータシステムに接続され得る。例えば、I/Oポート77または外部インターフェース81(例えば、Ethernet、Wi-Fi等)は、コンピュータシステム1200を、インターネット等のワイドエリアネットワーク、マウス入力デバイス、またはスキャナに接続するために使用されることができる。システムバス75を介した相互接続は、セントラルプロセッサ73が、サブシステムのそれぞれと連通し、システムメモリ72または記憶デバイス79(例えば、ハードドライブ等の固定ディスク、または、光ディスク)からの複数の命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換の制御を可能にする。システムメモリ72および/または記憶デバイス79(複数可)は、コンピュータ可読媒体を統合することができる。別のサブシステムは、カメラ、マイクロフォン、加速度計などのデータ収集デバイス85である。ここに説明されるデータのいずれは、1つの構成要素から別の構成要素に出力されることができ、ユーザに出力されることができる。
【0191】
コンピュータシステムは、例えば、外部インターフェース81により、内部インターフェースにより、または、1つの構成要素から別の構成要素に接続および取り外されることができる、リムーバブル記憶デバイスを介して、共に接続された複数の同じ構成要素またはサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを通して連通することができる。そのような例では、1つのコンピュータは、クライアントと見なされることができ、別のコンピュータは、サーバと見なされることができ、それらのそれぞれは、同じコンピュータシステムの一部とすることができる。クライアントおよびサーバは、それぞれ、複数のシステム、サブシステム、または構成要素を含むことができる。
【0192】
実施形態の態様は、ハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を用いて、および/またはモジュラーまたは統合された様式の一般にプログラム可能なプロセッサを伴う、コンピュータソフトウェアを用いて、制御ロジックの形態で実施され得る。本明細書で使用される場合、プロセッサは、単一のコアプロセッサ、同じ集積チップ上のマルチコアプロセッサ、または、単一の回路基板、もしくは、ネットワーク化されたもの、ならびに専用のハードウェア上の、複数の処理ユニットを含むことができる。本開示に提供される開示および教示に基づいて、当業者は、ハードウェア、および、ハードウェアならびにソフトウェアの組合せを使用する、本発明の実施形態のそれぞれを実装する他の様式および/または方法を知り、理解するであろう。
【0193】
本出願で説明されるソフトウェアの構成要素または機能のいずれも、例えばJava、C、C++、C#、Objective-C、Swiftなどの任意の適切なコンピュータ言語、または例えば、従来のもしくはオブジェクト指向の手法を用いたPerlもしくはPythonなどのスクリプト言語を用いて、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装され得る。ソフトウェアコードは、一連の命令または指令として、記憶および/または送信用の、コンピュータ可読媒体上に格納され得る。好適な非一時的コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハ-ドドライブもしくはフロッピ-ディスクなどの磁気的媒体、または、コンパクトディスク(CD)もしくはDVD(デジタルバ-サタイルディスク)またはブルーレイディスク等の光学的媒体、フラッシュメモリなどを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、そのような記憶デバイスまたは送信デバイスの任意の組合せであり得る。
【0194】
そのようなプログラムはまた、インターネットを含む様々なプロトコルに準拠する有線、光、および/または無線ネットワークを介した送信に適合されたキャリア信号を使用して符号化および送信され得る。そのように、コンピュータ可読媒体は、そのようなプログラムを用いてエンコードされたデータ信号を使用して作成され得る。プログラムコードで符号化されたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスと一緒にパッケージ化されるか、または(例えば、インターネットを介してダウンロードされる)他のデバイスとは別に提供され得る。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、1つのコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、または完全なコンピュータシステム)上にまたは内部に備えられ得、また、システムまたはネットワーク内の異なるコンピュータ製品上にまたは内部に存在し得る。コンピュータシステムは、本明細書に記載の結果のいずれかをユーザに提供するためのモニタ、プリンタ、または他の適切なディスプレイを含み得る。
【0195】
ここに説明される方法のいずれは、上記の工程を行うよう構成され得る、1つ以上のプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて完全に、または、部分的に行われてよい。したがって、実施形態のそれぞれは、潜在的に工程のそれぞれまたは工程の群のそれぞれを行う異なる構成要素を用いて、本明細書に記載される方法のいずれかの工程を行うように構成されているコンピュータシステムを対象とすることができる。本明細書における方法の工程は、番号付けされた工程として提示されているが、同時に、または、異なるときに、または、論理的に可能な異なる順序で行われることができる。さらに、これらの工程の一部を、他の方法からの別の工程の一部とともに使用することができる。また、工程の全てまたは一部は、任意であり得る。追加的に、これらの方法のいずれかの工程のいずれかは、これらの工程を行うためのシステムのモジュ-ル、ユニット、回路、または他の手段を用いて行われることができる。
【0196】
前述の手順では、様々な工程が説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載された手順のより広い範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができ、追加の手順を実施することができることは明らかであろう。
以下に出願時の特許請求の範囲を記載する。
[請求項1]
尿試料から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製する方法であって、
前記尿試料を濃縮して濃縮尿試料を形成すること、ここで、前記濃縮尿試料が、前記尿試料中の前記1つ以上の標的分析物の初期濃度よりも少なくとも10倍高い前記1つ以上の標的分析物の濃度を有する;
前記濃縮尿試料を第1の電解質に添加して、第1の混合物を形成すること;
第1の電極と第2の電極との間に電圧差を印加すること、ここで、
前記第1の電極が、前記第1の混合物中に配置され、
前記第2の電極が、第2の電解質中に配置され、
前記第1の電解質が、前記第2の電解質とは異なるものである;
前記電圧差を使用して、前記第2の電解質内の1つ以上の集束領域内の前記1つ以上の標的分析物を前記第2の電極に流すこと;および
前記1つ以上の集束領域を含む第2の混合物を収集することによって前記1つ以上の標的分析物を収集すること、ここで、前記第2の混合物中の前記1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度が、前記濃縮尿試料中のそれぞれの標的分析物の濃度よりも高い;
を含む、前記方法。
[請求項2]
前記尿試料を濃縮することが、真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、または遠心分離ベースの細胞除去のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
[請求項3]
前記尿試料を濃縮することが、緩衝液交換を含み、
前記濃縮尿試料のpHが、6.0~8.5の範囲内である、
請求項2に記載の方法。
[請求項4]
前記尿試料を濃縮することが、前記尿試料を遠心分離することを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項5]
前記尿試料を遠心分離することが、1,000~3,600×gの範囲の力で遠心分離することを含む、請求項4に記載の方法。
[請求項6]
前記1つ以上の標的分析物が、DNA、RNA、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項7]
前記1つ以上の標的分析物が、無細胞核酸、循環腫瘍核酸、バイオマーカー、タンパク質、細胞外小胞、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項8]
前記尿試料を濃縮することが、前記尿試料を分子量によってフィルタにかけることを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項9]
前記尿試料を分子量によってフィルタにかけることが、3,000~10,000の範囲のカットオフを上回るまたは下回る分子量を有する前記尿試料の成分を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
[請求項10]
前記濃縮尿試料中の前記1つ以上の標的分析物の前記濃度が、前記初期濃度よりも少なくとも40倍高い、請求項1に記載の方法。
[請求項11]
前記第2の混合物中の前記1つ以上の標的分析物のいずれかの濃度が、前記濃縮尿試料中の前記それぞれの標的分析物の濃度よりも少なくとも2倍高い、請求項1に記載の方法。
[請求項12]
前記尿試料の体積が10ml~50mlである、請求項1に記載の方法。
[請求項13]
前記濃縮尿試料の体積が0.5ml~2.5mlである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
[請求項14]
前記第2の混合物が2つ以上の集束領域を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
[請求項15]
前記尿試料を脱塩することをさらに含み、前記濃縮尿試料が脱塩される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
[請求項16]
前記第2の混合物中の前記1つ以上の標的分析物の標的分析物を配列決定することをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
[請求項17]
以下を含むエピタコフォレシスデバイス;
円形チャネルの外縁部に配置された円形の第1の電極、
前記円形チャネルの中心にある試料収集リザーバ、
第2の電極であって、前記円形の第1の電極が前記試料収集リザーバと電気的に連通するよりも前記試料収集リザーバとより密接に電気的に連通するように構成された、前記第2の電極、および、
前記円形の第1の電極と前記第2の電極との間に電圧差を送達するように構成された電源、
ならびに、
試料内の1つ以上の標的分析物の濃度を少なくとも10倍高く増加させるように構成された試料濃縮デバイス;
を含む、システム。
[請求項18]
前記試料濃縮デバイスが遠心分離機を含む、請求項17に記載のシステム。
[請求項19]
前記試料濃縮デバイスが真空フィルタを含む、請求項17に記載のシステム。
[請求項20]
前記試料濃縮デバイスからの出力を前記エピタコフォレシスデバイスに移送するように構成された自動ロボットハンドリングデバイスをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
[請求項21]
尿またはナトリウム塩もしくはカリウム塩等の生物学的試料を含む他の高塩から1つ以上の標的分析物を単離および/または精製する方法であって、前記試料が1つ以上の標的分析物を潜在的に含み、
a.エピタコフォレシス(「ETP」)を実行するためのデバイスを提供すること;
b.前記1つ以上の標的分析物を含む前記試料を提供すること;
c.前記1つ以上の標的分析物を1つ以上の集束領域に集束させるために前記デバイスを使用してETPを実行することによって、1つ以上のエピタコフォレシス実行を行うこと;
d.前記1つ以上の標的分析物を含む前記1つ以上の集束領域を収集することによって、前記1つ以上の標的分析物を収集すること;および
それによって、1つ以上の単離および/または精製された標的分析物を得ることを含み、任意で前記標的分析物が1つ以上の核酸を含む、前記方法。
[請求項22]
工程cの前に、試料溶液が、前記尿または生物学的試料を含む他の高塩に対して1つ以上の試料前処理工程を実施することによって調製される、請求項21に記載の方法。
[請求項23]
前記試料が尿試料を含む、請求項21または22に記載の方法。
[請求項24]
前記試料前処理工程が、真空濾過、脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮、細胞溶解、タンパク質分解、遠心分離ベースの細胞除去および/または濃縮工程のうちの1つ以上を含む、請求項22に記載の方法。
[請求項25]
前記脱塩、緩衝液交換、細胞外小胞濃縮、エキソソーム濃縮工程および/または濃縮工程が遠心分離ベースである、請求項24に記載の方法。
[請求項26]
前記1つ以上の標的分析物が、1つ以上の核酸;1つ以上のタンパク質;1つ以上の細胞;1つ以上の細胞外小胞;1つ以上の1つ以上のエキソソーム、微小胞、および/またはアポトーシス小体、任意に1つ以上の尿エキソソーム;および/または1つ以上のバイオマーカーのうちのいずれか1つ以上を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
[請求項27]
前記1つ以上の標的分析物がDNAおよび/またはRNAを含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
[請求項28]
前記1つ以上の標的分析物が、1つ以上の循環核酸を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
[請求項29]
前記単離および/または精製された標的分析物がDNAおよび/またはRNAを含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
[請求項30]
単離および/または精製された核酸の量が、蛍光光度計ベースの方法によって測定される、カラムベースまたはビーズベースのプロトコルを使用して得られた核酸の量と比較して多い、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。