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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】風力タービンを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20240402BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F03D7/04
G05B23/02 F
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022564271
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2021060414
(87)【国際公開番号】W WO2021214152
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】20171048.0
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519081710
【氏名又は名称】シーメンス ガメサ リニューアブル エナジー エー/エス
【氏名又は名称原語表記】Siemens Gamesa Renewable Energy A/S
【住所又は居所原語表記】Borupvej 16, 7330 Brande, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マリク アリ ザイブ コカール
(72)【発明者】
【氏名】ハビエル ビベス ハウメ
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/214785(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0275860(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0161949(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308413(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0328346(US,A1)
【文献】特開2016-217133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0167637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラ(10)を使用して風力タービン(100)を動作させる方法であって、前記コントローラ(10)は、前記風力タービン(100)の2つ以上の別個の制御特徴の各々をアクティブ化または非アクティブ化するように構成されており、それぞれの制御特徴は、前記風力タービン(100)の動作特性を変化させ、前記風力タービン(100)の寿命およびエネルギ生産量のうちの少なくとも1つに対して影響を与え、
・当該方法は、最適化パラメータの種類と、前記最適化パラメータに対する最適化目標とを決定することを含み、前記最適化パラメータは、(a)前記風力タービン(100)の寿命と、(b)前記風力タービン(100)のエネルギ生産量と、(c)前記風力タービン(100)が接続されている電力系統からの電力需要に対する電力需要充足とのうちの少なくとも1つに関連しており、
・当該方法は、1つまたは複数の最適化ステップを実施することを含み、それぞれの最適化ステップは、前記2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態のそれぞれ異なる組み合わせに対して実施され、それぞれの最適化ステップは、
○前記2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを選択することと、
○前記最適化パラメータを推定することであって、前記推定することは、前記最適化パラメータが前記風力タービンの寿命に関連している場合には、少なくとも残存寿命を推定することを含み、前記推定することは、前記最適化パラメータが前記風力タービンのエネルギ生産量または電力需要充足に関連している場合には、少なくとも前記風力タービン(100)のエネルギ生産量を推定することを含み、前記推定することは、前記最適化ステップにおいてアクティブ化された前記制御特徴が与える影響を考慮する、ことと、
○推定された前記最適化パラメータに基づいて、さらなる最適化ステップを実施すべきかどうかを判定することと
を含み、
・当該方法はさらに、前記1つまたは複数の最適化ステップに基づいて、推定された前記最適化パラメータが前記最適化目標を満たすような、前記2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを、アクティブ化状態の最適な組み合わせとして決定することを含み、前記アクティブ化状態の最適な組み合わせは、前記コントローラによって自動的に決定され、
・当該方法はさらに、決定された前記アクティブ化状態の最適な組み合わせに従って、前記風力タービン(100)の前記制御特徴をアクティブ化して、アクティブ化された前記制御特徴によって前記風力タービン(100)を動作させることを含む、
方法。
【請求項2】
前記最適化パラメータの種類は、エネルギ生産量と、残存寿命と、有効なエネルギ生産量とのうちの少なくとも2つを含む、少なくとも2種類の可能な最適化パラメータから選択され、
有効なエネルギ生産量は、系統からの電力需要が閾値を上回っている場合にはエネルギ生産量を最大化するという最適化目標に関連しており、前記系統からの電力需要が閾値を下回っている場合には残存寿命を最大化するという最適化目標に関連している
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記最適化パラメータの種類を決定することは、前記少なくとも2種類の可能な最適化パラメータから最適化パラメータの種類を選択するためのユーザ入力を受信することを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせの選択は、前記風力タービンの残存寿命および/またはエネルギ生産量に対して前記2つ以上の制御特徴が与える既定の影響に基づいている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
さらなる最適化ステップを実施すべきかどうかを判定することは、1つまたは複数の境界条件を評価することを含む、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
境界条件を評価することは、
それぞれの前記アクティブ化状態の組み合わせに従って前記制御特徴をアクティブ化することによって引き起こされる前記風力タービンの残存寿命および/またはエネルギ生産量の変化が、それぞれの閾値を超えているかどうかを判定すること、および/または
全体的な残存寿命が所定の期間閾値を超えているかどうかを判定すること
を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の最適化ステップを実施することは、前記最適化目標を最良に満たす最適化パラメータを結果的にもたらすような前記アクティブ化状態の組み合わせを見つけ出すための検索アルゴリズムまたは最適化アルゴリズムを実行することを含み、
前記検索アルゴリズムまたは最適化アルゴリズムによって見つけ出された前記アクティブ化状態の組み合わせが、前記アクティブ化状態の最適な組み合わせとして選択される、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記2つ以上の制御特徴は、
・所定の風条件において前記風力タービン(100)の出力電力を負荷に基づいて低減することを実施する強風時運転継続(HWRT)制御特徴と、
・前記風力タービン(100)において乱流が閾値を上回っていることが判定された場合に、前記風力タービンの出力電力を低減する適応制御システム(ACS)制御特徴と、
・所定の風条件下で前記風力タービンの電力限界を増大させることによって、前記風力タービン(100)の電力出力を増加させる電力ブースト(PB)制御特徴と、
・前記風力タービン(100)に対してインストールされるハードウェア変更に依存して、前記コントローラ(10)の制御機能を変更する電力曲線アップグレードキット(PCUK)制御特徴と、
・前記コントローラ(10)が前記風力タービン(100)を動作させる際に使用する動作曲線を変化させるピークシェービング特徴であって、前記動作曲線は、前記風力タービンの設定を風速に依存して決定する、ピークシェービング特徴と
が含まれる群から選択される、少なくとも2つまたは全ての制御特徴を含む、
請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記電力曲線アップグレードキット(PCUK)制御特徴は、ロータブレード(102)に対してインストールされるハードウェア変更に依存して、前記コントローラ(10)の制御機能を変更する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記電力曲線アップグレードキット(PCUK)制御特徴は、ピッチ角制御を変更する、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
前記動作曲線は、前記風力タービン(100)のロータ速度およびピッチを風速に依存して決定する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記最適化パラメータを推定することは、少なくとも前記残存寿命を推定することを含み、
前記残存寿命を推定することは、
前記風力タービン(100)および/または風力タービンフリートに関する統計データ(24)に基づいて、前記風力タービンについての故障率を推定することと、
前記風力タービン(100)のセンサ(110)によって行われた測定および/または現地測定に基づいて、前記風力タービン(100)に関する疲労評価(20)を実施することと
を含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記疲労評価(20)を実施することは、
前記風力タービン(100)の空力弾性モデル(21)を提供することと、
前記空力弾性モデルと、前記測定から得られた風力タービンデータとに基づいて、前記風力タービン(100)のコンポーネント(101,102,103,104)の疲労負荷を評価することと
を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記疲労評価(20)を実施することは、それぞれの前記最適化ステップに関連する前記アクティブ化状態の組み合わせに従ってアクティブ化された前記制御特徴に基づいて、前記風力タービン(100)の前記空力弾性モデル(21)を調整することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
最初の最適化ステップにおいて、前記アクティブ化状態の組み合わせの選択は、前記風力タービン(100)の残存寿命および/またはエネルギ生産量に対して前記2つ以上の制御特徴が与える所定の影響に基づいており、
前記最適化パラメータの推定は、選択された前記アクティブ化状態の組み合わせに従ってアクティブ化された前記制御特徴を考慮して、残存寿命および/またはエネルギ生産量のモデルベースの推定を実施し、
後続の最適化ステップは、前記所定の影響に基づいて、アクティブ化状態の別の異なる組み合わせを選択し、
前記別の異なる組み合わせは、追加的な制御特徴をアクティブ化すること、以前の最適化ステップでアクティブ化された制御特徴のうちの1つを非アクティブ化すること、またはアクティブ化された制御特徴を別の異なるアクティブ化された制御特徴に置き換えること、のうちの少なくとも1つに対応する、
請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記風力タービン(100)の前記残存寿命を推定することは、前記風力タービンの所定の構造的または機械的なコンポーネント(101,102,103,104)についての残存寿命を推定することを含み、
前記構造的または機械的なコンポーネント(101,102,103,104)に関して推定された最小の残存寿命が、前記風力タービン(100)の前記残存寿命を決定する、
請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
風力タービンの動作を制御するためのコントローラであって、
前記コントローラ(10)は、前記風力タービン(100)の2つ以上の別個の制御特徴の各々をアクティブ化または非アクティブ化するように構成されており、
それぞれの制御特徴は、前記風力タービンの動作特性を変化させ、前記風力タービン(100)の寿命および/またはエネルギ生産量に対して影響を与え、
前記コントローラ(10)は、データプロセッサ(11)と、前記データプロセッサ(11)に結合されたメモリ(12)とを含み、
前記メモリ(12)は、前記データプロセッサ(11)によって実行された場合に、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法を実施するための制御命令を格納している、
コントローラ(10)。
【請求項18】
前記コントローラ(10)は、前記風力タービン(100)の風力タービンコントローラによって、前記風力タービン(100)に結合されたウィンドファームコントローラによって、または前記風力タービンコントローラと前記ウィンドファームコントローラとの組み合わせによって実装されている、請求項17記載のコントローラ。
【請求項19】
風力タービン(100)の動作を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、前記風力タービン(100)を制御するコントローラ(10)のデータプロセッサ(11)によって実行された場合に、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法を前記データプロセッサ(11)に実施させるための制御命令を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項20】
風力タービン(100)であって、
当該風力タービン(100)は、ロータブレード(102)を有するロータ(101)と、風力タービンタワー(104)に回転可能に取り付けられるナセル(103)と、電気エネルギを生成するための発電機(106)と、請求項17または18記載のコントローラとを含む、
風力タービン(100)。
【請求項21】
電気エネルギを生成するための方法であって、
当該方法は、
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法に従って、請求項20記載の風力タービン(100)を動作させるステップと、
前記ロータブレード(102)によって風力エネルギを回転機械エネルギに変換するステップと、
前記ロータ(101)を回転させることによって前記発電機(106)を回転させるステップと、
前記回転機械エネルギを電気エネルギに変換するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラを使用して風力タービンを動作させる方法であって、コントローラは、風力タービンの複数の別個の制御特徴をアクティブ化または非アクティブ化することができる、方法に関する。本発明はさらに、それぞれのコントローラおよびコンピュータプログラムに関する。
【0002】
背景
風力エネルギの利用が急増している。風力タービンは、世界中の種々の場所に設置されており、したがって種々の環境条件に曝されている。風力タービンは、風力タービンのロータ、ナセル、およびタワーに作用する著しい風力に耐久しなければならない。風力タービンの寿命の間、風力タービンの構造的なコンポーネントは、最終的にコンポーネントの故障をもたらす可能性のある複数の負荷サイクルに曝されている。このような風力タービンのコンポーネントの構造的な故障は、一般的に、これらのコンポーネントの物理的な検査によって評価される。さらに、風力タービンの疲労評価を空力弾性モデルに基づいて実施することが知られている。
【0003】
最新の風力タービンにはさらに、風力タービンの動作を改善することができる複数の制御特徴が装備されている。このような制御特徴の一例は、強風時運転継続(high wind ride-through:HWRT)制御特徴であり、この強風時運転継続(HWRT)制御特徴によれば、風速が特定の時間にわたって特定の限界値を超えた場合に通常実施される風力タービンのシャットダウンを防止するために、風速の増加に伴って風力タービンのロータ速度および電力出力が低減される。別の例示的な制御機能は、電力ブースト(power boost:PB)機能であり、この電力ブースト(PB)機能は、特定の条件下で風力タービンの電力限界を一時的に増大させることによって風力タービンからのエネルギ生産量を増加させることができる。別の制御特徴は、例えば適応制御システム(adaptive control system:ACS)であり、この適応制御システム(ACS)は、測定されたデータに基づいて負荷管理をリアルタイムで実施し、特に、風力タービンにおいて乱流の増加が測定されると、風力タービンの電力出力を低減する。
【0004】
オペレータによって所望された動作特性を効率的に達成するように、このような風力タービンを動作させることが望ましい。例えば、オペレータは、風力タービンが最大寿命を達成するように風力タービンを動作させるという希望を抱く場合がある。別の異なるオペレータは、エネルギ生産量が最大化されるように風力タービンを動作させるという希望を抱く場合がある。オペレータは、一般的に、種々の環境条件、種々の種類の風力タービン、それらの種々の特性、および種々の利用可能な制御スキームに起因して、所望の結果をもたらすような風力タービンの動作スキームをオペレータが簡単に設定することを不可能にする問題に直面している。
【0005】
米国特許出願公開第2013/0161949号明細書から、例えば、風力タービンを動作させるための疲労負荷を考慮することが公知である。種々の風力タービンの動作範囲は、疲労負荷が最大値を有していない範囲内においてそれぞれの風力タービンが動作するように調整されている。これによって、風力タービンの平均寿命を改善することができる。
【0006】
国際公開第2019/214785号は、モデルを使用して、風力タービンに関するモデル化された疲労値を取得する方法を記載している。モデル化された疲労値は、風力タービンの制御ストラテジを修正する機会を特定するために、予測された疲労値と比較される。しかしながら、所望の結果を得るためにどのようにして制御ストラテジを修正する必要があるかについては記載されていない。
【0007】
概要
風力タービンの動作を改善することが必要であり、特に、タービンの動作を、最大寿命または最大エネルギ生産量のような動作目標がその動作によって達成されるように実施することが必要である。
【0008】
上記の必要性は、独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項は、本発明の実施形態を記載している。
【0009】
本発明の1つの実施形態によれば、コントローラを使用して風力タービンを動作させる方法が提供される。コントローラは、風力タービンの2つ以上の制御特徴の各々をアクティブ化または非アクティブ化するように構成されている。それぞれの制御特徴は、風力タービンの動作特性を変化させ、風力タービンの寿命およびエネルギ生産量に対して影響を与える。本方法によれば、最適化パラメータの種類と、最適化パラメータに対する最適化目標とが決定される。最適化パラメータは、風力タービンの寿命またはエネルギ生産量のうちの少なくとも1つに関連している。1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、または3つ以上)の最適化ステップが実施され、なお、それぞれの最適化ステップは、2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態のそれぞれ異なる組み合わせに対して実施される。それぞれの最適化ステップは、前述の2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを選択することと、風力タービンの残存寿命および/または(例えば年間の、または残存寿命にわたる)エネルギ生産量の推定に基づいて、最適化パラメータを推定することであって、推定することは、最適化ステップにおいてアクティブ化された制御特徴が与える影響を考慮する、ことと、推定された最適化パラメータに基づいて、さらなる最適化ステップを実施すべきかどうかを判定することとを含む。本方法はさらに、前述の1つまたは複数の最適化ステップに基づいて、推定された最適化パラメータが最適化目標を満たす(すなわち、達成する)ような、例えば目標閾値を上回っているか、または最適化目標に最も近いような、2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを決定することを含む。アクティブ化状態のこの決定された組み合わせは、アクティブ化状態の最適な組み合わせであると見なされる。
【0010】
したがって、このような方法により、選択された最適化パラメータに対する制御ストラテジを効率的に取得することができる。特に、アクティブ化状態の最適な組み合わせの形態のこのような制御ストラテジは、コントローラによって自動的に取得可能である。オペレータは、最適化パラメータの種類(と、選択された最適化パラメータにおいて示唆されていなければ最適化目標と)を選択するだけでよく、コントローラは、これに応答して効率的かつ自動的に制御ストラテジを選択して、風力タービンのそれぞれの制御を実施することができる。最適化パラメータが、寿命とエネルギ生産量との組み合わせに基づくものであってもよいことは明らかである。したがって、本方法は、アクティブ化/非アクティブ化された制御特徴(すなわち、アクティブ化状態の組み合わせ)が与える影響を考慮して、最適化パラメータを推定し、その結果、風力タービンの性能および故障リスクの正確な推定が得られる。したがって、全ての可能な制御特徴が与える影響を一緒に自動的に評価することができる。
【0011】
これまで、寿命とエネルギ生産量との最適化について論じた。寿命および/またはエネルギ生産量の代わりにまたはそれに加えて使用することができる第3の最適化目標は、風力タービンが接続されている電力系統からの電力需要に対する電力需要充足である。前述のように、コントローラは、風力タービンの2つ以上の制御特徴の各々をアクティブ化または非アクティブ化するように構成可能である。それぞれの制御特徴は、風力タービンの動作特性を変化させ、風力タービンの寿命およびエネルギ生産量に対して影響を与えるが、予測される将来の電力需要がどのくらい良好に満たされることになるかに対しても影響を与える。例えば、特定の曜日に電力需要が高くなることが予測される場合には、最適化プロセスは、例えば過剰生産を回避しながら電力需要を充足することが可能となるように、これらの日の生産量を増加させて、その他の日の生産量を低減することができる。それぞれの最適化ステップは、前述の2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを選択することと、風力タービンの残存寿命および/またはエネルギ生産量の推定に基づいて、かつ/または将来の電力需要の推定に基づいて、この需要を充足するための風力タービンの推定される動作に従って、最適化パラメータを推定することとを含むことができる。推定することは、最適化ステップにおいてアクティブ化された制御特徴が与える影響を考慮する。推定された最適化パラメータに基づいて、さらなる最適化ステップを実施すべきかどうかが判定される。本方法はさらに、前述の1つまたは複数の最適化ステップに基づいて、推定された最適化パラメータが最適化目標を満たす(すなわち、達成する)ような、例えば目標閾値を上回っているか、または最適化目標に最も近いような、2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを決定することを含む。アクティブ化状態のこの決定された組み合わせは、アクティブ化状態の最適な組み合わせであると見なされる。
【0012】
電力需要充足、すなわち、風力タービンが電力系統オペレータの需要を充足することができるかどうかにより、電力系統が安定的に動作することを保証することができる。ここでも、これにより、風力タービンが低電圧時継続運転(low voltage ride through operation)のような不安定な動作モードに突入しないことが保証される。系統オペレータは、通常、電力系統における予測される需要および供給に基づいて異なるエネルギ価格を提供するので、副次的な作用として、風力タービンのための収益を最適化することができる。
【0013】
最適化パラメータを推定することは、例えば、最適化パラメータが風力タービンの残存寿命に関連している(または残存寿命である)場合には、少なくとも残存寿命を推定することを含む(か、または少なくとも残存寿命を推定することによって実施され)、最適化パラメータが風力タービンのエネルギ生産量に、または風力タービンが接続されている電力系統からの電力需要に対する電力需要充足に関連している(またはエネルギ生産量または電力需要充足である)場合には、少なくとも風力タービンのエネルギ生産量を推定することを含む(か、または少なくともエネルギ生産量または電力需要充足を推定することによって実施される)。当然、推定することは、風力タービンの残存寿命とエネルギ生産量との両方を推定することを含むことができる。
【0014】
さらなる最適化ステップが実施されるべき場合には、本方法は、利用可能な制御特徴に対するアクティブ化状態の別の異なる組み合わせを選択し、そのような組み合わせを用いて最適化パラメータを再推定することができる。推定された最適化パラメータが目標を満たしている場合、例えば寿命/エネルギ生産量の増加に関する閾値を超えている場合、または例えばアクティブ化状態のそれぞれの可能な組み合わせごとに最適化パラメータが推定された後に、2つ以上の最適化ステップによって実施される検索アルゴリズムまたは最適化アルゴリズムの停止条件に到達した場合には、さらなる最適化ステップを実施すべきではないことを判定することができ、これにより、目標を最良に満たす最適化パラメータを結果的にもたらす組み合わせを決定することができる。
【0015】
コントローラが、風力タービンの制御を実施する制御ユニットと、制御ストラテジ、特にアクティブ化状態のそれぞれの最適な組み合わせを決定するストラテジ最適化ユニット/最適化器とを実装可能であることは明らかである。これらのユニットを、同じ1つの物理的なユニットの形態で、例えば風力タービンコントローラの形態で実装してもよいし、または物理的にそれぞれ別個のユニットの形態で実装してもよい。
【0016】
1つの実施形態では、最適化パラメータの種類を決定することは、少なくとも2種類の可能な最適化パラメータから最適化パラメータの種類を選択するためのユーザ入力を受信することを含む。最適化パラメータの種類は、例えば、エネルギ生産量(年間または残存)と、残存寿命とを含む、少なくとも2種類の可能な最適化パラメータから選択可能である。当然、風力タービンが接続されている電力系統からの電力需要に対する電力需要充足、または寿命とエネルギ生産量との組み合わせに関連する「有効なエネルギ生産量」のような、他の種類の最適化パラメータも考えられる。有効なエネルギ生産量を最適化パラメータとして使用する場合には、電力系統に対する電力需要のような外部パラメータを追加的に考慮することができる。例えば、電力需要が高い場合(例えば、所定の閾値を上回っている場合)には、風力タービンのエネルギ生産量を最大化することができ、電力需要が低い場合(例えば、そのような閾値を下回っている場合)には、寿命を最大化することができる。本方法を、風力タービンの動作中に繰り返し実施することができ、これにより、動作中に、例えば外部パラメータが変化した場合、例えば電力需要が上昇または下降した場合に、制御ストラテジを適応させることができることは明らかである。この場合にも、最適化パラメータの種類(有効なエネルギ生産量)を一度だけ選択すればよく、その後、本方法が、外部パラメータを追加的に考慮しながら最適な制御ストラテジを自動的に導出することは明らかである。
【0017】
これらの例示的な最適化パラメータの場合には、最適化目標は、一般的に最適化パラメータを最大化すること、または最適化パラメータが閾値を上回ることであるが、他の最適化パラメータの場合には、最適化パラメータを最小化すること、または最適化パラメータが閾値を下回ることであってよい。一例として、最適化パラメータの種類は、残存寿命であってよく、最適化目標は、残存寿命の最大化、または閾値を上回る残存寿命/寿命の増加であってよい。別の例として、最適化パラメータは、疲労負荷であってよく、最適化目標は、疲労負荷の最小化であってよく、この最適化目標に応答して、コントローラは、推定される最小の疲労負荷を結果的にもたらすような制御特徴の組み合わせを選択する。コントローラは、最適化目標を達成するような特徴の組み合わせを自動的に決定および選択する。
【0018】
選択可能な種類の最適化パラメータに最適化目標を関連付けることができ(例えば、エネルギ生産量というパラメータを「最大化」という目標に関連付けることができ)、選択された種類の最適化パラメータ(例えば、利用可能な制御特徴に関連する寿命および/またはエネルギ生産量に対する所定の予測される変化に基づく閾値)に基づいて、最適化目標をコントローラによって決定することができるか、または最適化目標をユーザ入力によって決定することができる。
【0019】
それぞれの最適化ステップにおける2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせの選択は、風力タービンの寿命および/またはエネルギ生産量に対して2つ以上の制御特徴が与える既定の影響に基づくことができる。そのような既定の影響は、利用可能な制御特徴に関連することができ、例えばコントローラまたはデータベースのメモリにコントローラによって格納可能であるか、またはコントローラにとってアクセス可能であってよい。そのような既定の影響は、それぞれの制御特徴に関する経験的データに基づくことができ、これらの制御特徴が他の制御特徴との組み合わせにおいて与える現実の影響には対応しない可能性がある。むしろ、現実の影響は、他の制御特徴のアクティブ化状態が考慮されるような、最適化パラメータの推定において決定可能である。例えば、寿命の最大化を実施する場合には、選択される組み合わせは、寿命に対してポジティブな影響を与える全ての特徴のアクティブ化を含むことができ、そのような組み合わせが所望の結果を達成しない場合には、次のステップにおいて、例えば寿命に対して限定的な影響しか与えない特徴をその後に非アクティブ化することによって、アクティブ化状態のこの組み合わせが変更される。
【0020】
さらなる最適化ステップを実施すべきかどうかを判定することは、1つまたは複数の境界条件(または停止基準)を、特に最適化パラメータ以外の動作パラメータについて評価することを含むことができ、境界条件を評価することは、好ましくは、それぞれのアクティブ化状態の組み合わせに従って制御特徴をアクティブ化することによって引き起こされる風力タービンの残存寿命および/またはエネルギ生産量の変化が、それぞれの閾値を超えているかどうかを判定することを含む。例えば、寿命の低減が過度である場合、またはエネルギ生産量の低減が過度である場合に、閾値が超えられるものとしてもよい。境界条件は、全体的な残存寿命が所定の期間閾値を超えているかどうかを判定することによっても評価可能である(例えば、全体的な残存寿命がそのような閾値を下回っている場合には、境界条件が満たされていない場合がある)。残存寿命に対するそのような固定の期間閾値は、例えば、残存寿命に関する最小の絶対値であってよい。境界条件のそのような閾値を超えた場合には、特徴の別の異なる組み合わせを用いたさらなる最適化ステップが実施される。このことは、結果的に得られたアクティブ化状態の組み合わせが、最適化目標に到達するだけでなく、残りの動作パラメータに対して許容可能な影響を与えることも保証することができるという利点を有する。境界条件に対する閾値は、既定(例えば、年間エネルギ生産量の最大10%の低下)であってもよいし、またはユーザ入力によって提供されてもよい。最適化目標に到達したときに1つまたは複数の境界条件が満たされている場合には、結果的に得られたアクティブ化状態の組み合わせが、最適な組み合わせであると見なされる。1つまたは複数の境界条件が満たされていないようなアクティブ化状態の組み合わせは、最適な組み合わせであると見なされない可能性があり、そのような組み合わせを、むしろ排除することができる。最適化目標と境界条件とを満たす組み合わせが見つからない場合には、最適化目標を調整することができ、かつ/または境界条件を緩和することができる。
【0021】
1つまたは複数の最適化ステップを実施することは、最適化目標を最良に満たす最適化パラメータを結果的にもたらすようなアクティブ化状態の組み合わせを見つけ出すための検索アルゴリズムまたは最適化アルゴリズムを実行することを含むことができ、前述のアルゴリズムによって見つけ出されたアクティブ化状態の組み合わせが、アクティブ化状態の最適な組み合わせとして選択される。そのような検索アルゴリズムは、例えばその後、最適化パラメータに対して影響を与えるさらなる制御特徴をアクティブ化することができ、停止基準が満たされている場合、例えば、推定された最適化パラメータが最適化目標によって設定された閾値を超えている場合には、検索を停止することができる。上で概説したように、境界条件を評価することができない限り、かつ境界条件が満たされていない場合には、これらの条件を満たす結果が見つけ出されるまで検索が継続される。そのようなアルゴリズムを使用することにより、特に、全ての可能な組み合わせを評価する必要がなくなるので、アクティブ化状態の最適な組み合わせを迅速かつ効率的に見つけ出すことができる。
【0022】
境界条件を満たすようなアクティブ化状態の最適な組み合わせが見つからない場合には、最適化目標または境界条件を調整することをオペレータに要求することができる。
【0023】
1つの実施形態では、最適化ステップを、2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態のそれぞれの可能な組み合わせごとに実施することができる。次いで、それぞれの最適化ステップが、最適化目標に最良に適合する(または最適化目標を満たす)最適化パラメータを結果的にもたらすような、かつ可能な境界条件が履行されているような、アクティブ化状態の組み合わせを、アクティブ化状態の最適な組み合わせとして選択することができる。このような方法を使用することにより、制御特徴の全ての可能な組み合わせが与える影響が評価において考慮され、最適化目標を最良に満たす最適化パラメータを結果的にもたらす制御ストラテジが得られることを保証することができる。
【0024】
最適化ステップと、アクティブ化状態の最適な組み合わせを決定することとを、風力タービンの動作中に繰り返し実施することができる。次いで、風力タービンの動作を、2つ以上の制御特徴のアクティブ化状態のそれぞれ決定された最適な組み合わせに従って調整することができる。このようにして、風力タービンの状況監視システムからのフィードバックによって決定することができる、評価に対する条件が変化した場合には、最良の可能な最適化パラメータを達成するように動作ストラテジを更新して、風力タービンを動作させることができることを保証することができる。
【0025】
本方法を、風力タービンに対して個別に実施することができ、すなわち本方法を、ウィンドファームのそれぞれの風力タービンごとに個別に実施することができる。したがって、最適化目標の観点からできるだけ最良の最適化パラメータが達成されるように、ウィンドファームのそれぞれの風力タービンを動作させることができる。それぞれ異なる風力タービンに対してそれぞれ異なる種類の最適化パラメータを設定することができ、すなわち、ある1つの風力タービンの動作が寿命を最大化することができる一方で、別の風力タービンの動作がエネルギ生産量を最大化することができることは明らかである。
【0026】
1つの実施形態では、2つ以上の制御特徴は、所定の風条件において(例えば、特定の期間にわたって特定の風速において)風力タービンの出力電力を負荷に基づいて低減することを実施する強風時運転継続(HWRT)制御特徴と、風力タービンにおいて乱流が閾値を上回っていることが判定された場合に、風力タービンの出力電力を低減する適応制御システム(ACS)制御特徴であって、なお、この乱流は、例えば測定された風速および負荷モデルに基づいて決定可能である、適応制御システム(ACS)制御特徴と、所定の風条件下で風力タービンの電力限界を増大させることによって、風力タービンの電力出力を増加させる電力ブースト(PB)制御特徴(例えば、出力電力の増加に比例してロータの回転速度を増加させることができる)と、風力タービンに対して、特にロータブレードに対してインストールされるハードウェア変更に依存して、コントローラの制御機能、特にピッチ角制御を変更する電力曲線アップグレードキット(power curve update kit:PCUK)制御特徴と、コントローラが風力タービンを動作させる際に使用する動作曲線を変化させるピークシェービング特徴であって、動作曲線は、風力タービンの設定、特にロータ速度およびピッチを風速に依存して決定する、ピークシェービング特徴とからなるか、またはこれらが含まれる群から選択される、少なくとも2つまたは全ての制御特徴を含む。
【0027】
実施形態は、上述した制御特徴に限定されているわけではなく、本発明の実施形態によれば、それぞれの風力タービンのために利用可能な追加的なまたは別の異なる制御特徴を採用することができることは明らかである。また、新しい制御特徴が利用可能になった場合には、これら新しい制御特徴を、本明細書に記載されているような制御特徴の最適な組み合わせの推定において使用することができる。
【0028】
これらの別個の制御特徴は、種々の風力タービンにおいて使用されており、(例えば、特定の状況において風力タービンの構造的なコンポーネントに対する負荷を低減することにより)風力タービンの残存寿命に対して影響を与え、(例えば、特定の状況においてエネルギ生産量を増減することにより)エネルギ生産量に対して影響を与える。例えば、風力タービンは、少なくともHWRT制御特徴およびACS制御特徴、またはHWRT制御特徴およびPB制御特徴、または少なくともHWRT制御特徴およびACS制御特徴およびPB制御特徴を含むことができる。制御特徴のアクティブ化は、風力タービンの特定の動作モードに対応することができ、すなわち、制御特徴は、例えば現在の風条件等に依存しうる特定の状況において、風力タービンが動作する方式を変化させることができる。したがって、アクティブ化されたそれぞれ異なる制御特徴は、風力タービンのそれぞれ異なる動作モードに対応することができる。
【0029】
最適化パラメータを推定することは、少なくとも残存寿命を推定することを含むことができ、残存寿命を推定することは、風力タービンおよび/または風力タービンフリート(特に、実際の風力タービンのモデルに対応するモデルの風力タービン)に関する統計データに基づいて、風力タービンについての故障率を推定することと、風力タービンのセンサによって行われた測定および/または現地測定(すなわち、気象条件、風速等に関連するような風力タービンの現場で行われる測定)に基づいて、風力タービンに関する疲労評価を実施することとを含む。残存寿命を特定する際に統計的な故障率と疲労評価とを組み合わせることによって、個々の特定の風力タービンと、(統計的な故障率を介して)それぞれの風力タービンモデルの全母集団から得られた知識との両方を考慮する、改善されたより正確な特定を行うことができる。この統計データは、例えば、検討中の風力タービンと同じモデルの風力タービンのフリートに関するデータ、または評価されるべき同じ風力タービンコンポーネントに関するデータを含むことができる。このようにして、風力タービンモデルまたはコンポーネントの全般的な挙動および故障に関する情報を取得して、残存寿命の推定において考慮することができる。残存寿命は、統計データと疲労評価とを組み合わせることによって、例えば、両方の方法から得られた寿命推定を重み付けすることによって導出される。
【0030】
疲労評価を実施することは、風力タービンの空力弾性モデルを提供することと、空力弾性モデルと、測定から得られた風力タービンデータとに基づいて、風力タービンのコンポーネントの疲労負荷を評価することとを含むことができる。これに加えてまたはこれに代えて、風力タービンの動作曲線をモデル化することができる制御モデルを、疲労評価において採用することができる。このような方法により、風力タービンコンポーネントの構造的な疲労損傷の現在のステータスを効率的に評価することが可能となる。例えば、風力タービンのBHawCモデルを採用することができる。
【0031】
他の実施形態では、このようなモデルを採用しなくてもよく、例えば、気象条件およびタービンデータ、特に風力タービンのそれぞれのセンサによる測定を、基本的な疲労評価のために採用することができる。
【0032】
疲労評価を実施することは、それぞれの最適化ステップに関連するアクティブ化状態の組み合わせに従ってアクティブ化された制御特徴に基づいて、風力タービンの空力弾性モデルおよび/または制御モデルを調整することを含むことができる。したがって、アクティブ化された制御特徴は、強風状況等のような種々異なる環境条件において風力タービンがどのように挙動するかを変化させるので、風力タービンモデルのフレームワーク内においてこれらの変化の影響を考慮することによって、アクティブ化状態のそれぞれの組み合わせごとに風力タービンの残存寿命および/またはエネルギ生産量を効率的かつ正確に推定することができる。
【0033】
最初の最適化ステップにおいて、アクティブ化状態の組み合わせの選択は、風力タービンの残存寿命および/またはエネルギ生産量に対して2つ以上の制御特徴が与える所定の影響に基づくことができる。最適化パラメータの推定は、好ましくは、選択されたアクティブ化状態の組み合わせに従ってアクティブ化された制御特徴を考慮して、寿命および/またはエネルギ生産量のモデルベースの推定を実施し、後続の最適化ステップは、所定の影響に基づいて、アクティブ化状態の別の異なる組み合わせを選択する。アクティブ化状態の別の異なる組み合わせは、(a)追加的な制御特徴をアクティブ化すること、(b)以前の最適化ステップでアクティブ化された制御特徴のうちの1つを非アクティブ化すること、または(c)アクティブ化された制御特徴を別の異なるアクティブ化された制御特徴に置き換えること、のうちの少なくとも1つに対応する。例えば、寿命を最大化する場合には、最初の最適化ステップにおいて、所定の最大の寿命増加に関連する2つの制御特徴を選択することができ、この組み合わせが、目標を満たすような推定される最適化パラメータをもたらさない場合には、制御特徴のうちの1つを、その次に最大の寿命増加に関連する制御特徴によって置き換えることができるか、またはそのような制御特徴を、追加的にアクティブ化することができる。
【0034】
いくつかの制御特徴が、互いに相互作用してもよいし、またはある程度オーバラップしてもよいことは明らかである。このような相互作用は、推定において使用される風力タービンの空力弾性/制御モデルによって考慮される。
【0035】
風力タービンの残存寿命を推定することは、風力タービンの特定の所定の構造的または機械的なコンポーネントについての残存寿命を推定することを含むことができる。次いで、このような構造的または機械的なコンポーネントに関して推定された最小の残存寿命が、風力タービンの残存寿命を決定することができる。特に、残存寿命を推定する際には、風力タービンのうちの負荷を支持するコンポーネントを考慮することができる。ロータブレード、ハブ、タワー、およびナセルを、少なくとも考慮することができる。ロータベアリング、ブレードベアリング、ブレードピッチ駆動装置、ヨー駆動装置、発電機、ギアボックス、および風力タービンの他のコンポーネントも同様に考慮することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、風力タービンに関して推定される残存寿命は、残存耐用期間(remaining useful lifetime:RUL)であってよく、この残存耐用期間(RUL)は、風力タービンの動作中に目標安全レベルを維持しながら風力タービンの構造的な予備力が消費されるまでの時間である。
【0037】
本方法はさらに、決定されたアクティブ化状態の最適な組み合わせに従って、風力タービンの制御特徴をアクティブ化して、アクティブ化された制御特徴によって風力タービンを動作させることを含むことができる。このようにして、最適化目標が達成されるように、例えば、残存寿命が最大化されるように、エネルギ生産量が最大化されるように、または別の最適化目標が達成されるように、風力タービンを動作させることができる。
【0038】
「アクティブ化状態の組み合わせ」とは、本方法によって、ひいてはそれぞれの最適化ステップにおいて考慮される個々の制御特徴のアクティブ化状態を表す。例えば、3つの制御特徴A、B、およびCが設けられている場合には、アクティブ化状態の1つの組み合わせは、制御特徴AおよびBが「オン」であるのに対し、制御特徴Cが「オフ」であるということであってよい。別の異なる組み合わせは、制御特徴AおよびCがオンであるのに対し、制御特徴Bがオフであることである。したがって、それぞれの最適化ステップごとにアクティブ化状態を変化させて、それぞれ異なる組み合わせごとに最適化パラメータを評価することができる。したがって、アクティブ化状態の組み合わせは、利用可能な制御特徴のうちのどれがスイッチオンされていて、どれがスイッチオフされているのかを示す。
【0039】
本発明のさらなる実施形態によれば、風力タービンの動作を制御するためのコントローラが提供される。コントローラは、風力タービンの2つ以上の別個の制御特徴の各々をアクティブ化または非アクティブ化するように構成されており、それぞれの制御特徴は、風力タービンの動作特性を変化させ、風力タービンの寿命およびエネルギ生産量に対して影響を与える。コントローラは、データプロセッサと、データプロセッサに結合されたメモリとを含む。メモリは、データプロセッサによって実行された場合に、上記または下記の方法のいずれかを実施するための制御命令を格納している。コントローラは、特に、上で列挙した方法ステップのいずれかを実施するように構成可能であり、したがって、本明細書に記載されているコンポーネントのいずれかと相互作用するためのインタフェースを有することができる。コントローラは、例えば、本明細書で開示されるセンサからデータを受信するように構成可能であるか、または制御特徴のアクティブ化状態の決定された最適な組み合わせに従って風力タービンを動作させるためのそれぞれの制御コマンドを送信することができる。このようなコントローラによって、本方法に関してさらに上で概説した利点と同様の利点を達成することができる。
【0040】
1つの実施形態によれば、コントローラは、風力タービンの風力タービンコントローラによって実装されている。したがって、風力タービン自体が、上で概説したようにそれぞれの制御ストラテジを決定することができる。他の実施形態では、コントローラは、風力タービンに結合されたウィンドファームコントローラであってもよいし、または風力タービンコントローラとウィンドファームコントローラとの組み合わせによって実装されていてもよい。その場合には、本方法の一部を、これらのコントローラの各々によって実施することができる。例えば、風力タービンコントローラは、タービンからデータを収集してウィンドファームコントローラに送信することができ、ユーザは、ウィンドファームコントローラにおいて最適化パラメータの種類を選択することができ、ウィンドファームコントローラは、アクティブ化状態の最適な組み合わせを決定して風力タービンコントローラに通信することができ、風力タービンコントローラは、決定および受信されたアクティブ化状態の組み合わせに従って、それぞれの制御特徴をアクティブ化することができる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態によれば、そのようなコントローラを含む風力タービンまたはウィンドファームが提供される。
追加的な態様によれば、風力タービンまたはウィンドファームを動作させることによって電気エネルギを生成するための方法が開示される。
【0042】
本発明のさらなる実施形態は、風力タービンの動作を制御するためのコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、風力タービンを制御するコントローラのデータプロセッサによって実行された場合に、本明細書で開示される方法のいずれかをデータプロセッサに実施させるための制御命令を含む。ここでも、そのようなコンピュータプログラムによって、さらに上で概説した利点と同様の利点を達成することができる。さらに、そのような制御命令を含むデータキャリアが提供される。
【0043】
上で説明した特徴および以下で説明される特徴は、提示されているそれぞれの組み合わせでのみ使用されるのではなく、本発明の範囲を逸脱することなく他の組み合わせでも、または単独でも使用可能であることが理解されるべきである。特に、別段の明記がない限り、本発明の複数の異なる態様および実施形態の特徴同士を互いに組み合わせることができる。
【0044】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面と併せて読まれる以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。図中における同様の参照符号は、同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の1つの実施形態によるコントローラを含む風力タービンを示す概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態によるコントローラの機能的なコンポーネントを示す概略図である。
図3】本発明の1つの実施形態によるコントローラの機能的なコンポーネントを示す概略図である。
図4】本発明の1つの実施形態によるコントローラと、制御されるコンポーネントとを示す概略図である。
図5】本発明の1つの実施形態による風力タービンを動作させる方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の1つの実施形態による風力タービンの制御特徴のアクティブ化状態の最適な集合を決定する方法を示すフローチャートである。
【0046】
詳細な説明
以下では、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態の以下の説明は、例示する目的で与えられたものに過ぎず、限定する意味で解釈されるべきではないことを理解すべきである。図面は、概略的な表現に過ぎないと見なされるべきであり、図中の要素は、必ずしも互いに縮尺どおりではないことに留意すべきである。むしろ、種々の要素の表現は、それらの機能および一般的な目的が当業者に明らかになるように選択されている。本明細書で使用される単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈から別段の明記がない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。“comprising(含む)”、“having(有する)”、“including(含む)”、および“containing(含む)”という用語は、別段の明記がない限り、オープンエンドの用語(すなわち「含むが、それに限定されない」を意味する)であると解釈されるべきである。
【0047】
図1は、ロータブレード102を有するロータ101を含む風力タービン100を概略的に示す。風力タービン100のナセル103は、風力タービンタワー104に取り付けられており、ヨー駆動装置(図示せず)によって回転可能である。風力タービン100はさらに、ギアボックス105と、発電機106と、コンバータ107とを含む。動作中、風力エネルギは、ロータのブレード102によって回転機械エネルギに変換され、ロータ101の回転が、今度は発電機106を回転させ、この発電機106が、機械エネルギを電気エネルギに変換する。コンバータ107によって電気エネルギを所望の交流周波数に変換することができ、これにより、風力タービン100の可変速運転が可能となる。風力タービン100が、図1に示されている構成とは異なる構成を有していてもよいことは明らかである。例えば、風力タービン100は、ギアボックス105を含まないダイレクトドライブ式のタービンであってよい。風力タービン100はさらに、フルコンバータ・ソリューションを採用してもよいし、または二重給電誘導発電機(DFIG)を使用してもよく、この場合、コンバータ107は、このような発電機のロータに結合されている。風力タービン100はさらに、変圧器(図示せず)を含むことができ、この変圧器は、例えばタワー104の基礎に配置可能である。
【0048】
さらに、コントローラ10が設けられており、このコントローラ10は、図1の実施例に示されているように、完全にまたは部分的に風力タービンコントローラとして実装可能である。このような風力タービンコントローラは、風力タービン100のコンポーネントを制御する。このような風力タービンコントローラは、例えば、ナセル103のヨー角と、ブレード102のピッチ角とを制御することができる。風力タービンコントローラはさらに、コンバータ107および/または発電機106のような電気的なコンポーネントを制御することができる。コントローラ10はさらに、特定の状況において風力タービン100をシャットダウンするように、かつ風力タービン100を始動するように構成可能である。
【0049】
コントローラ10は、以下の制御特徴のうちの1つまたは複数の組み合わせを実装することができる。コントローラ10は、例えば、強風時運転継続(HWRT)制御特徴を実装することができる。従来の風力タービンは、10分の時間間隔にわたって平均風速が25m/sを超える場合にはシャットダウンするようにプログラミング可能である。HWRT制御特徴がアクティブ化されている場合には、風力タービンは、そのような既定の条件下においてシャットダウンしなくなるが、特定の風速を上回っている場合には出力電力を負荷に基づいて低減することを採用する。例えば、特定の期間にわたって風速が23m/sを超えている場合には、ロータの回転速度と、風力タービンの電力出力とが徐々に低減されていく。例えば、変換される風力エネルギがより少なくなるように、ロータブレード102のピッチ角を変更することができる。したがって、HWRTは、所定の風条件において風力タービンの出力電力を負荷に基づいて低減することを実施する。
【0050】
コントローラ10によって実装されるさらなる制御特徴は、適応制御システム(ACS)制御特徴であってよい。風力タービンに衝突する比較的強力な乱流が空気中に存在する場合には、風力システムの過負荷が発生する可能性があり、また材料の過度な疲労が発生する可能性もある。従来の制御システムは、そのような過負荷状況を防止するために風力タービンをシャットダウンさせることができる。ACS制御特徴を採用することによって、風力タービンにおいて乱流が検出される。特定の閾値を上回る乱流が検出されると、コントローラは、風力タービンの出力電力を低減する。これにより、風力タービンに対する疲労負荷を低減することができる。空気流中の乱流が元通りに減少すると、出力電力を以前の値まで元通りに上昇させることができる。コントローラ10は、例えばACSコントローラを実装することができ、このACSコントローラは、風力タービンの過負荷を引き起こす可能性のあるそれぞれの乱流の発生を特定するために負荷モデルを使用する。したがって、ACS制御特徴は、風力タービンにおいてそのような閾値を上回る乱流が検出された場合に、風力タービンの出力電力を低減することにより、そのような状況における風力タービンのシャットダウンを効果的に防止する。したがって、ACS制御特徴は、それぞれの測定された風速と、それぞれの負荷モデルとに基づくことができる。ACS制御特徴は、複数の密集した風力タービンの集団が空気流中の乱流を増加させる可能性があるようなウィンドファームにおいて特に有用である。
【0051】
コントローラ10が実装することができるさらなる制御特徴は、電力ブースト(PB)制御特徴である。電力ブースト制御特徴は、所定の条件下で電力限界を増大させることによって風力タービンのエネルギ生産量を増加させる。風力タービンは、例えば出力電力の限界において動作することができるが、この動作は、風力タービンの構造的な負荷に対する負荷限界未満で実施可能である。PB制御特徴は、そのような状況において、出力電力の増加に比例してロータの回転速度を増加させる。このような手段により、正味の電力生産量を最大5%まで増加させることができる。
【0052】
コントローラ10によって実装することができるさらなる制御特徴は、タービン負荷制御(turbine load control:TLC)制御特徴である。コントローラ10は、風力タービンに対する構造的な負荷を連続的に監視するタービン負荷制御システムを実装することができる。測定された負荷が通常の動作値を超えた場合には、コントローラは、負荷を設計包絡線に戻すように風力タービンの動作を自動的に調整することができる。コントローラは、例えば、ロータブレードのそれぞれのピッチングによってロータの回転速度を低減することができる。
【0053】
コントローラ10が実装することができるさらなる制御特徴は、電力曲線アップグレードキット(PCUK)制御特徴である。例えば、揚力を増加させるためにブレード根元部の後縁に取り付けられるフラップ、またはブレードの翼弦を延ばすことによって揚力を増加させるためにブレード先端部の後縁に取り付けられる鋸歯状の縁を有するフラップのようなブレードに対する空気力学的な改善などの、風力タービンに対するハードウェアのアップグレードを、展開後にインストールすることができる。PCUK制御特徴は、そのようなハードウェア変更を考慮して、例えばピッチ制御を調整することによってエネルギ生産量を向上させるために、風力タービン制御を変更する。
【0054】
風力タービン100およびコントローラ10が、風力タービン100の動作を目下の状況に適応させるために使用することができるさらなる制御特徴を実装することができることは明らかである。このような制御特徴を使用して、風力タービンによるエネルギ生産量を増加させること、風力タービンのコンポーネントに対する疲労負荷を低減すること、安全対策を実施すること等が可能である。本開示の意味における制御特徴とは、風力タービン100の寿命および/またはエネルギ生産量に対して影響を与え、コントローラ10によってアクティブ化または非アクティブ化することができる専用特徴である制御特徴である。したがって、コントローラ10は、1つまたは複数の上述した制御特徴がオンまたはオフされた状態で動作するように、風力タービン100を制御することができる。したがって、風力タービン100は、一般的に、これらの制御特徴の特定の組み合わせがアクティブになっている状態で動作させられる。風力タービン100が、上で列挙した制御特徴を全て実装しなくてもよく、それらの制御特徴のうちのいくつかだけを実装してもよいことは明らかである。上で列挙した制御特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせを、コントローラ10および風力タービン100によって実装することができる。風力タービンの寿命またはエネルギ生産量に対する影響とは、それぞれの制御特徴のアクティブ化が、残存寿命を変化させること、および/または風力タービンによるエネルギ生産量(年間の生産量または残存寿命にわたる生産量)を変化させることを意味する。
【0055】
従来、このような制御特徴のアクティブ化または非アクティブ化が風力タービンの性能および故障リスクに対して与える全体的な影響は、考慮されていない。物理的な検査を通じて風力タービンの構造的な特徴を評価することができ、特定の制御特徴がオンされるべきか、またはオフされるべきかを判定することができる。風力タービンの全体的な実際の故障リスク、特に、制御特徴の組み合わせが与える影響は、考慮されていない。さらに、これは、従来のシステムにおいては手動で行われるプロセスである。
【0056】
コントローラ10は、最適化目標を達成するような、利用可能な制御特徴のアクティブ化状態の最適な組み合わせを決定するように構成されている。特に、ユーザは、自身が最適化させたい量(最適化パラメータの種類)を決定するだけでよく、コントローラ10が、それぞれの制御を達成するため、特に、所望の最適化を達成するような制御特徴のアクティブ化状態を達成するための制御パラメータを自動的に決定する。ユーザが、例えば最適化パラメータの種類として風力タービンの残存寿命を選択し、この残存寿命を最大化することが、関連する最適化目標である場合には、コントローラ10は、風力タービンの寿命を最大化するような、制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを自動的に決定する。同様に、最適化パラメータの種類がエネルギ生産量であって、このエネルギ生産量を最大化することが最適化目標である場合には、コントローラ10は、風力タービン100からの最大エネルギ出力を提供するような、アクティブ化状態の組み合わせを決定し、特に、決定された組み合わせに従ってそれぞれの制御特徴をアクティブ化/非アクティブ化することによって、風力タービン100を相応に制御する。
【0057】
図2は、コントローラ10によって実装される種々の機能と、コントローラ10によって使用される種々のデータとを示す、コントローラ10の機能図である。コントローラ10は、特に、制御特徴のアクティブ化状態の最適な組み合わせ、ひいては最適な制御ストラテジ80を決定することを実施する風力タービン管理ユニット15を実装している。風力タービンの残存寿命を特定するために、コントローラ10は、疲労評価ユニット20によって提供される疲労評価と、それぞれの風力タービンの故障率に関する統計データ24との両方を採用することができる。統計データ24に含まれる故障率を、例えば、同じモデルの風力タービンのフリート全体から、またはそれぞれの風力タービンの同じコンポーネントについて、それぞれの統計データから導出することができる。統計モデルを使用して、それぞれの故障率を導出することができる。統計データ24は、コントローラ10のメモリに設けられていてもよいし、またはコントローラ10が、データ接続、例えばサーバへのネットワーク接続を介して、または例えばオペレータによってコントローラ10に結合させることができるデータキャリアから統計データ24を取得してもよい。統計データ24を採用することにより、それぞれの風力タービンモデルまたはコンポーネントの一般的な挙動および故障に関する情報を処理することができ、残存寿命を推定する際に採用することができる。
【0058】
疲労評価(ユニット20)は、特に空力弾性モデルおよび/または制御モデルであるモデル21を採用する。好ましくは、少なくとも空力弾性モデルが採用される。風力タービンのモデル21は、例えばBHawCモデルであってよい。さらに、風力タービンデータ22が取得されて、疲労評価において採用される。風力タービンデータ22は、風力タービンに関する種々のデータソースからのデータ、または風力センサ、加速度計、空気密度センサ、温度センサのような関連するセンサからのデータ、および風力タービン100の動作、特に負荷にとって重要な他のデータを含むことができ、風力タービンデータ22はさらに、ロータ速度、トルク等のような風力タービンの内部のデータを含むことができる。風力タービンデータ22は、コントローラ10によって収集された、またはコントローラ10にとって既知の、タービンセンサからのデータを含む。したがって、特定の風力タービン100の動作に関する情報を取得して、処理することができる。
【0059】
モデル21は、風力タービンのコンポーネントの構造的な疲労損傷の現在のステータスを評価するために、風力タービンデータ22と一緒に使用される。特に、モデル21は、風力タービンの種々の構造的なコンポーネントに関して、これらのコンポーネントの疲労負荷および残存寿命が何であるか評価することができる。例えば、特定の種類の材料を有するコンポーネントの場合には、所定数の負荷サイクルを、この構造的なコンポーネントの寿命にわたって実施することができる。このコンポーネントの負荷は、データ22内の環境条件と測定された負荷とを入力として用いて、風力タービンの構造力学モデル21を使用して計算される。構造的なコンポーネントに関して推定された残存寿命は、風力タービン100の残存寿命を特定するための基礎を成すことができる。それぞれの疲労評価は、ユニット20によって実施される。
【0060】
風力タービン管理ユニット15は、ユニット20によって実施された疲労評価と統計データ24とに基づいて風力タービン100の残存寿命を推定する。例えば、管理ユニット15は、疲労評価20に基づく残存寿命推定値と、風力タービンのそれぞれの種類およびモデルに関する統計データ24に基づく残存寿命推定値とを組み合わせて、これらのそれぞれ異なる値に重み付けすることにより、1つの全体的な残存寿命推定値を取得することができる。疲労評価20は、風力タービンの実際のステータスを反映しているので、疲労評価20に対する重みをより大きくすることができる。一例として、疲労評価20は、全体的な残存寿命推定に対して60%寄与することができ、統計データ24は、全体的な残存寿命推定に対して40%寄与することができるが、これらの推定を組み合わせるための他の手法も考えられる。重みは、採用されたモデルに基づいて選択可能であり、風力タービンの製造業者によって事前に設定可能である。これらの重みは、それぞれの風力タービンモデルを用いた経験に依存して、例えば製造業者またはオペレータによって調整可能であってよい。
【0061】
風力タービンの既知の制御曲線と、年間の平均風条件とに基づいて、風力タービン管理ユニット15はさらに、1年間の(年間のエネルギ生産量、AEP)、または風力タービンの残存寿命に関する、風力タービンのエネルギ生産量を推定する。
【0062】
コントローラ10にはさらに、ユーザインタフェース60が接続されている。オペレータは、ユーザインタフェース60を介して最適化パラメータの種類を選択することができ、この最適化パラメータの種類に従って、風力タービンの動作を最適化することが求められる。そのような最適化パラメータを、最適化目標に関連付けることができるか、または最適化目標を、ユーザインタフェース60を介してオペレータによって入力することもできる。さらに、コントローラ10は、風力タービンの動作にとって重要であって、かつ風力タービンの動作のための基礎を成すことができる外部パラメータ70の形態の追加的な情報を受信することができる。一例として、そのような外部パラメータは、例えば風力タービンが接続されている電力系統のエネルギ需要に関連するデータを含むことができ、このデータは、電力需要がいつ高くなるか、またはいつ低くなるかを示す。例示的な最適化パラメータおよび最適化目標は、例えば系統の電力需要が高くなっている場合には電力生産量を優先し、電力需要が少ない場合には寿命を優先する(それぞれの電力需要の閾値によって決定可能)ことにより、エネルギ生産量(例えば、年間のエネルギ生産量または残存寿命にわたるエネルギ生産量)を最大化すること、残存寿命を最大化すること、疲労負荷を最小化すること、電力需要充足を最大化すること、および有効なエネルギ生産量を最大化することを含む。
【0063】
次いで、風力タービン管理ユニット15は、最適化目標を最良に満たすために、コントローラ10によって提供される制御特徴のうちのどれをアクティブ化すべきかを決定するための最適化方法を実施し、その一例は、図6を参照しながら後述される。すなわち、風力タービン管理ユニット15は、利用可能な制御特徴に対するアクティブ化状態の組み合わせを決定する。次いで、コントローラ10は、結果的に得られたアクティブ化状態の最適な組み合わせ80に従って風力タービン100を制御する。特に、コントローラ10は、決定された組み合わせに従って、風力タービン100の動作中にそれぞれの制御特徴をアクティブ化する。風力タービンは、状況監視システム110を含み、この状況監視システム110は、残存寿命を特定するために、それぞれの風力タービンコンポーネントの状況を監視するセンサを含むことができる。状況監視システム110からの情報を、フィードバックとして提供することができ、かつタービンデータ22において使用することができ、特に、それぞれの制御ストラテジ80が風力タービン寿命に対して与えた所望の影響を確認するために使用することができる。アクティブ化状態の最適な組み合わせを用いた動作に対して予測したような残存寿命の変化が達成されない場合には、状況監視システム110によって特定された寿命影響を考慮して、ユニット15によって制御ストラテジ80を修正することができる。風力タービンのコンポーネントの疲労に対する影響は、一般的に、長期間(数ヶ月または数年)の風力タービン動作の後にしか観察できないが、その一方で、短期間のイベントが疲労評価に対して影響を与える可能性は低いことは明らかである。
【0064】
図3は、コントローラ10が、制御特徴のアクティブ化状態の最適な組み合わせの形態の最適な制御ストラテジ80をどのようにして決定するかをより詳細に示す。図5には、それぞれの方法を示すフローチャートが示されている。ユーザインタフェース60を介して、コントローラ10は、最適化パラメータの種類のユーザ選択を受信し(ステップ501)、この最適化パラメータの種類のユーザ選択が、寿命の最大化、エネルギ生産量の最大化、または有効なエネルギ供給の最大化のようなそれぞれの最適化目標に関連付けられる(ステップ502)。他の最適化目標は、残存寿命またはエネルギ生産量における所定の変化、例えば5%または10%等の増加である。次いで、コントローラ10は、それぞれの風力タービンモデルについての故障率に関する統計データを取得し(ステップ503)、この場合、統計データ24は、コントローラ10のメモリに格納可能であるか、またはデータリンクを介して取得可能である。コントローラ10はさらに、ステップ504においてタービンデータ22を取得し、空力弾性モデルおよび制御モデル21を使用して、このデータに基づいて疲労評価を実施する(ステップ505;疲労評価ユニット20)。次いで、残存寿命推定ユニット25は、統計データ24と、疲労評価20とに基づいて風力タービンの残存寿命を推定する(ステップ506)。上述したように、疲労評価と統計データとを、例えばそれぞれ特定された寿命推定を重み付けすることによって組み合わせることができる。
【0065】
エネルギ生産量推定ユニット30はさらに、年間の(AEP)、または残存寿命に関する、風力タービンの基準エネルギ生産量を推定する(ステップ507)。コントローラ10はさらに、利用可能な制御特徴が寿命に対して与える影響を示す利用可能なデータ41と、利用可能な制御特徴がエネルギ生産量に対して与える影響を示すデータ42とを有する。このようなデータは、例えば、制御特徴Aが、寿命に対して+3年、および年間生産量(AEP)に対して-3%の所定の影響を与えることを示すことができる。別の制御特徴Bは、例えば、寿命に対して-6年、AEPに対して+4%の所定の影響を与えることができる。これらは、所定の影響値であり、これらの所定の影響値は、特に複数の異なる制御特徴を組み合わせた場合には、これらの制御特徴が個々の風力タービンに対して与えた実際の影響を反映していない可能性がある。
【0066】
ここで、ストラテジ最適化ユニット50は、ユーザによって選択された最適化パラメータに対する最適化目標を満たすような、アクティブ化状態の最適な組み合わせを決定する1つまたは複数の最適化ステップ(図5のステップ508)を含む、最適化方法を実施し、すなわち、ストラテジ最適化ユニット50は、最適化目標を達成するために、利用可能な制御特徴のうちのどれをアクティブ化すべきかを決定する。
【0067】
そのような最適化方法の一例が、図6のフローチャートに示されている。ステップ601では、利用可能な制御特徴のアクティブ化状態の組み合わせを、データ41および42に基づいて、これらの制御特徴が寿命および性能(エネルギ生産量)に対して与える所定の影響に基づいて選択する。例えばユーザが、最適化パラメータおよび最適化目標として寿命の最大化を選択した場合には、最適化ユニット50は、風力タービンの寿命を増加させる制御特徴、例えば上記の特徴Aに対してアクティブ状態を選択し、この際、特徴Bは、アクティブ状態の組み合わせにおいて非アクティブとして設定される。ステップ602および603では、ステップ601での選択に従って、すなわちアクティブ化された特徴Aに従ってアクティブ化された制御特徴を考慮して、風力タービンの「現実の」残存寿命およびエネルギ生産量が上で概説したように推定される。これは、(アクティブ化された特徴に従って調整される)モデル21と、データ22および24とに基づいて、ユニット25および30によって実施可能である。一例として、アクティブ化された制御特徴は、疲労評価20における構造的なコンポーネントに対する負荷を低減するが、ユニット30によって風力タービンの性能を推定する際に、エネルギ生産量の低減を結果的にもたらすという可能性がある。ステップ604では、適応させられた推定を使用して、この実施例では全体的な残存寿命である最適化パラメータが推定される。ステップ604では、少なくとも風力タービンの残存寿命と、年間または残りのエネルギ生産量とが推定されることが好ましい。ここでも、電力を供給することができる残存寿命と、年間のエネルギ生産量との両方を考慮した総電力供給量の最大化のような、他の最適化パラメータが選択されてもよいことは明らかである。
【0068】
ステップ605では、1つまたは複数の境界条件が評価される。例えば、推定された残存寿命および/または推定されたエネルギ生産量がそれぞれの閾値と比較されて、例えば、それぞれの量の変化がそれぞれの閾値を超えるかどうかが判定される。一例として、制御特徴のアクティブ化によって5%を超えるAEPの低減がもたらされるべきでないという閾値を設定することができる。AEPの最大化が最適化目標である場合には、適切な閾値は、制御特徴のアクティブ化によって5年を超える残存寿命の低減がもたらされるべきはでないということであってよい。このような閾値は、事前に設定された閾値であってもよいし、またはユーザインタフェース60の使用によりオペレータによって、または風力タービンの製造業者によって定義されてもよい。
【0069】
ステップ606では、最適化目標に到達したかどうかと、境界条件が満たされているかどうか、すなわち、残存寿命またはエネルギ生産量の値がそれぞれの閾値内にあるかどうかとが判定される。一例として、上述した制御特徴Aの他に、一般的に風力タービンの残存寿命を増加させるさらなる制御特徴が利用可能であってよい。しかしながら、両方の制御特徴の間の相互作用に起因して、所望の寿命増加が達成されない可能性があり、また制御特徴自体が部分的に打ち消される可能性がある。したがって、そのような組み合わせの場合には、最適化目標に到達しない可能性がある。最適化目標は、例えば寿命の既定の増加、またはエネルギ生産量の既定の増加として定義可能である。同様に、アクティブ化状態の決定された組み合わせが、残存寿命またはエネルギ生産量のそれぞれの閾値を超える変化をもたらす可能性があり、すなわち、残存寿命の過度の低減またはエネルギ生産量の過度の低減(境界条件が満たされていない)をもたらす可能性がある。
【0070】
したがって、最適化目標に到達していない場合、または境界条件が満たされていない場合には、ステップ601において、アクティブ化状態の別の異なる組み合わせが選択され、ここでも、この選択は、利用可能なデータ41,42に基づくことができる。最適化目標に到達している場合、かつ境界条件が満たされている場合には、ステップ607において、ステップ601で決定されたアクティブ化状態のそれぞれの組み合わせが、アクティブ化状態の最適な組み合わせであると見なされる。アクティブ化状態の最適な組み合わせ(最適なストラテジ80)は、ストラテジ最適化ユニット50によって出力され、風力タービン100を制御するためにコントローラ10によって使用される。
【0071】
例えば、さらなる制御特徴Bは、寿命に対して-6年の影響を与え、かつエネルギ生産量に対して+4%AEPの影響を与え、最適化目標は、エネルギ生産量の最大化である。特徴Bは、ステップ601においてストラテジ最適化ユニット50によってアクティブとして選択可能である。しかしながら、ステップ602~604での評価と、ステップ605での比較とによって寿命の低減が過度であると判定される可能性があり、本方法は、ステップ606からステップ601に戻って、例えば、風力タービンの寿命を改善するがエネルギ生産量に対してわずかな悪影響しか与えないような制御特徴を追加することにより、特徴の別の異なる組み合わせを選択することができる。これらの制御特徴の間の相互作用は、事前には未知であり、現実的にはステップ602~604において、とりわけモデル21を使用することによって推定され、これにより、最適化目標に到達するための最適な制御ストラテジが決定されることは明らかである。
【0072】
図5のステップ508において実施される上述した最適化方法は、単なる一例にすぎず、他の最適化方法を採用してもよいことは明らかである。一例として、アクティブ化状態の可能な組み合わせの全部または部分集合の中から検索を実施して、最適化目標を最良に満たし、かつ境界条件を満たすような組み合わせを見つけ出す検索アルゴリズムを採用することができる。その場合、検索アルゴリズムが、最適化目標を満たす組み合わせに達するなどの停止条件に遭遇すると、ステップ606において最適化目標に到達する。別の例は、最適化方法が、全ての可能なアクティブ化状態の組み合わせに対して最適化ステップ601~605を実施し、次いで、境界条件が満たされている一方で、最適化パラメータが最適化目標に最良に適合するような、アクティブ化状態の組み合わせを選択することである。したがって、アクティブ化状態の全ての可能な組み合わせが試験された後に、ステップ606において最適化目標に到達する。
【0073】
図5の方法では、推定ステップ506および507と、それぞれの先行するステップとを最適化方法508の一部として実施してもよく、追加的にかつ事前に実施しなくてもよい。同様に、ユニット25および30は、ストラテジ最適化ユニット50の一部を形成することができる。
【0074】
図4は、コントローラ10の例示的な実装を示す。コントローラ10は、プロセッサ11およびメモリ12を含む。プロセッサ11は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路、またはデジタル信号プロセッサ等のような任意の種類のプロセッサであってよい。メモリ12は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ、特にRAM、ROM、フラッシュメモリ、およびハードディスクドライブ等を含むことができる。コントローラ10は、データを受信するため、かつ制御データおよび制御コマンドを風力タービンのコンポーネントに送信するための入出力インタフェースを含む。そのような通信は、無線で実施されてもよいし、またはコントロールバス等のようなそれぞれの有線を介して実施されてもよい。コントローラは、(例えば、ディスプレイおよび入力装置を含む)ユーザインタフェース60を含むことができ、このユーザインタフェース60を介して、風力タービンのオペレータからのユーザ入力を受信することができる。コントローラ10はさらに、統計データ24と、外部パラメータ70と、状況監視システム110からのデータと、風力タービンの他のセンサからのデータとを受信する。決定された制御ストラテジに従って、すなわち制御特徴のアクティブ化状態の最適な組み合わせに従って、コントローラ10は、風力タービンの機械的なコンポーネント91および電気的なコンポーネント92を制御するための制御信号を供給する。一例として、コントローラ10は、風力タービンブレードのピッチ角を調整すること、ヨー角を制御すること、または制動システムを制御すること等が可能である。電気的な側面では、コントローラ10は、例えば、風力タービンのコンバータ107および/または発電機106を制御して、ロータ101に印加されるトルクを制御し、これによって回転速度および機械的負荷を制御することができる。風力タービン100の任意の公知の制御方法を採用することができ、コントローラ10によって実装することができる。
【0075】
本明細書に記載されている複数の異なる特徴および実施形態を組み合わせることができ、その全てをコントローラ10によって実装することができることは明らかである。コントローラ10は、風力タービンコントローラまたはウィンドファームコントローラによって完全にまたは部分的に実装可能である。好ましい実施形態である風力タービンコントローラとして実装されている場合には、コントローラは、風力タービン内において、最適化目標に依存してそれぞれの風力タービンに対する最適な制御ストラテジを決定することができ、それに応じて風力タービンを制御することができる。他方で、ウィンドファームコントローラとして実装されている場合には、コントローラは、ウィンドファームの複数の異なる風力タービンの各々に対してそれぞれの動作パラメータを個々に評価することができ、次いで、ウィンドファームのそれぞれの風力タービンごとに最適な制御ストラテジを個々に決定することができる。その場合、コントローラは、トルク設定点、回転速度設定点等のようなそれぞれの制御パラメータを個々の風力タービンコントローラに提供することができるか、またはコントローラは、それぞれの風力タービンに対して決定された制御ストラテジ80に従ってそれぞれの制御特徴をオンまたはオフするように、個々の風力タービンコントローラに命令することができる。次いで、オペレータは、ウィンドファームのための最適化パラメータ/最適化目標を入力することができ、これにより、全ての風力タービンをそのような目標に従って制御することができる。他の実装形態では、コントローラ10が、部分的にこのような風力タービンコントローラによって実装され、かつ部分的にこのようなウィンドファームコントローラによって実装されることは明らかであり、例えば、ウィンドファームコントローラにおいてユーザ入力を受信し、個々の風力タービンコントローラにおいて最適な制御ストラテジを決定することによって、これらのコントローラの間で機能を分散させることができる。当然、他の実装形態も考えられる。
【0076】
したがって、上で開示された実施形態により、自動的に実施され、かつユーザが最適化目標を入力するだけでよい、風力タービンの動作の最適化が可能となる。オペレータは、例えば、最大寿命ストラテジを指定することができ、コントローラは、(最適化パラメータとは異なる)他の動作パラメータに対するそれぞれの境界条件を考慮しながら、風力タービンのための最大寿命を提供するような、制御特徴の組み合わせを自動的に選択する。同様に、オペレータは、最大性能目標を選択することができ、コントローラは、風力タービンの最大エネルギ生産量を提供するような、制御特徴の組み合わせを決定することができる。例えば、年間のエネルギ生産量、または風力タービンの残存寿命にわたるエネルギ生産量を最大化することができる。さらに、寿命推定において疲労評価と統計データとの両方を考慮することにより、残存寿命の極めて正確な推定が達成される。
【0077】
本明細書では特定の実施形態が開示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更および修正を行うことができる。提示されている実施形態は、あらゆる点において例示的かつ非限定的であると見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味範囲内および均等範囲内の全ての変更は、本発明に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6