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特許7464759睡眠者タイプに基づくユーザ分類により睡眠データの測定を改善する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】睡眠者タイプに基づくユーザ分類により睡眠データの測定を改善する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20240402BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240402BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20240402BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/11 200
G16H10/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022580526
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021056027
(87)【国際公開番号】W WO2023069102
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタタン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ケーナソフスキー,サラ・アン・ストークス
(72)【発明者】
【氏名】パンテロポウロス,アレクサンドロス・アントニオス
(72)【発明者】
【氏名】ヘネガン,コナー・ジョセフ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0230790(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0213450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0064388(US,A1)
【文献】特開2017-533034(JP,A)
【文献】特開2020-022732(JP,A)
【文献】特開2021-049068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/16
A61B 5/11
G16H 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルコンピューティングデバイスであって、
ユーザの運動に基づいてモーションセンサデータを生成するように構成されたモーションセンサと、
1つ以上のプロセッサとを備え、前記1つ以上のプロセッサは、
第1の期間中の前記ユーザについて、前記モーションセンサからモーションセンサデータの第1のセットを取得し、
前記モーションセンサから受信した前記モーションセンサデータの第1のセットに基づいて、前記ユーザについて、複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定し、
前記ユーザについて判定された前記睡眠者タイプに基づいて、複数の睡眠分析モデルから睡眠分析モデルを選択し、
選択された前記睡眠分析モデルを使用して、第2の期間からのモーションセンサデータの第2のセットを分析して、前記第2の期間中の前記ユーザについて1つまたは複数の睡眠特性を判定するコンピュータ読取可能命令を実行する、ウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記第1の期間は、1つ以上の睡眠セッションを含む、請求項1に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記モーションセンサは加速度計である、請求項1又は2に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサは、前記モーションセンサデータの第1のセット中で前記加速度計によって検出された運動の範囲に基づいて睡眠係数データを生成することによって、前記モーションセンサから受信した前記モーションセンサデータの第1のセットに基づいて、前記ユーザについて、複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定する、請求項3に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記プロセッサは、1つまたは複数の時間間隔における各々の前記時間間隔中に、前記ユーザを動いているか静止しているかのいずれかとして分類する、請求項4に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記複数の睡眠者タイプは、高運動睡眠者タイプを含む、請求項5に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサは、前記モーションセンサから受信した前記モーションセンサデータの第1のセットに基づいて、前記ユーザについての睡眠者タイプを、
前記第1の期間中のユーザ運動平均回数を判定することと、
前記第1の期間中の前記ユーザによる前記ユーザ運動平均回数が高運動閾値を超えていると判定することと、
前記第1の期間中の前記ユーザによる前記ユーザ運動平均回数が高運動閾値を超えていると判定することに応答して、前記ユーザについての前記睡眠者タイプが前記高運動睡眠者タイプであると判定することとによって判定する、請求項6に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサは、前記モーションセンサから受信した前記モーションセンサデータの第1のセットに基づいて、前記ユーザについての睡眠者タイプを、
前記ユーザが動いていると分類される時間間隔の間の平均時間量を判定することと、
前記ユーザが動いていると分類される時間間隔の間の平均時間量が、高運動閾値未満であると判定することと、
前記ユーザが動いていると分類される時間間隔の間の前記平均時間量が高運動閾値未満であると判定することに応答して、前記ユーザについての前記睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプであると判定する、請求項6または7に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記複数の睡眠分析モデルは機械学習モデルである、請求項1~8のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記複数の睡眠分析モデル内の各睡眠分析モデルは、前記複数の睡眠者タイプの異なる睡眠者タイプからのデータを分析するように訓練されている、請求項9に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項11】
選択された前記睡眠分析モデルは、1つまたは複数の後処理ルールを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記1つまたは複数の睡眠特性は、前記ユーザが前記第2の期間中に起きていたかどうかを示すデータを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数の睡眠特性は、前記第2の期間中に前記ユーザの睡眠状態を示すデータを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記1つまたは複数の睡眠特性は、睡眠セッションの長さを示すデータを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のウェアラブルコンピューティングデバイス。
【請求項15】
コンピュータによって実行される方法であって、
1つまたは複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスが、第1の期間中のユーザについて、モーションセンサからモーションセンサデータの第1のセットを取得することと、
前記コンピューティングデバイスが、前記モーションセンサから受信した前記モーションセンサデータの第1のセットに基づいて、前記ユーザについて、複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定することと、
前記コンピューティングデバイスが、前記ユーザについて判定された前記睡眠者タイプに基づいて、複数の睡眠分析モデルから睡眠分析モデルを選択することと、
前記コンピューティングデバイスが、選択された前記睡眠分析モデルを使用して、第2の期間からのモーションセンサデータの第2のセットを分析して、前記第2の期間中の前記ユーザについて1つまたは複数の睡眠特性を判定することとを備える、コンピュータによって実行される方法。
【請求項16】
前記第1の期間は、1つまたは複数の睡眠セッションを含む、請求項15に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項17】
前記モーションセンサは加速度計である、請求項15または16に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項18】
前記コンピューティングデバイスが、1つまたは複数の時間間隔中に前記加速度計によって検出される運動範囲に基づいて、睡眠係数データを生成することをさらに備える、請求項17に記載のコンピュータによって実行される方法。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか1項に記載の方法をプロセッサに実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、ウェアラブルコンピューティングデバイス内のセンサによって収集されたデータのデータ分析精度を向上させることに関する。より詳細には、本開示は、睡眠者タイプに基づいてユーザを分類することによって、睡眠データの測定を改善する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
近年のフィットネストラッカーおよびスマートウォッチなどのウェアラブル技術の進歩により、ウェアラブルコンピューティングデバイスに含まれるセンサに基づいて、ユーザからデータを収集することが可能になってきた。収集されたデータの用途の1つに、ユーザの睡眠パターンの分析がある。たとえば、加速度計などのモーションセンサが収集するデータを用いて、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、特定の睡眠セッション中のユーザについて睡眠の量および質を推定することができる。しかしながら、ユーザの睡眠パターンおよび行動は変化することがあるため、あるタイプのユーザについて睡眠データを正確に判定するシステムおよびツールが、別のタイプのユーザによって生成された睡眠データを分析するために使用される場合に不正確になる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
概要
本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明で部分的に示される、または説明から知ることができる、または実施形態の実施によって知ることができる。
【0004】
実施形態の一例は、ウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ユーザの運動に基づいてモーションセンサデータを生成するように構成されたモーションセンサを備える。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、第1の期間中のユーザについて、モーションセンサからモーションセンサデータの第1のセットを取得するコンピュータ読取可能命令を実行する、1つまたは複数のプロセッサを備える。1つまたは複数のプロセッサはさらに、モーションセンサから受信したモーションセンサデータの第1のセットに基づいて、ユーザについて、複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定するコンピュータ読取可能命令を実行し得る。1つまたは複数のプロセッサはさらに、ユーザについて判定された睡眠者タイプに基づいて、複数の睡眠分析モデルから睡眠分析モデルを選択するコンピュータ読取可能命令を実行し得る。1つまたは複数のプロセッサはさらに、選択された睡眠分析モデルを使用して、第2の期間からのモーションセンサデータの第2のセットを分析して、第2の期間中のユーザについて1つ以上の睡眠特性を判定するコンピュータ読取可能命令を実行し得る。
【0005】
実施形態の他の例は、1つまたは複数のプロセッサを含むコンピューティングデバイスが、第1の期間中のユーザについて、モーションセンサからモーションセンサデータの第1のセットを取得することを備える、コンピュータで実行される方法を含み得る。方法はさらに、コンピューティングデバイスが、モーションセンサから受信したモーションセンサデータの第1のセットに基づいて、ユーザについて複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定することを備える。方法はさらに、コンピューティングデバイスが、ユーザについて判定された睡眠者タイプに基づいて、複数の睡眠分析モデルから睡眠分析モデルを選択することを備える。方法はさらに、コンピューティングデバイスが、選択された睡眠分析モデルを使用して、第2の期間からのモーションセンサデータの第2のセットを分析して、第2の期間中のユーザについて1つ以上の睡眠特性を判定することを備える。
【0006】
実施形態の他の例は、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサに、第1の期間中のユーザについて、モーションセンサからモーションセンサデータの第1のセットを取得させるコンピュータ読取可能プログラム命令が具体化された非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であり得る。命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、モーションセンサから受信したモーションセンサデータの第1のセットに基づいて、ユーザについて、複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定させ得る。命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、ユーザについて判定された睡眠者タイプに基づいて、複数の睡眠分析モデルから睡眠分析モデルを選択させ得る。命令はさらに、1つまたは複数のプロセッサに、選択された睡眠分析モデルを使用して、第2の期間からのモーションセンサデータの第2のセットを分析して、第2の期間中のユーザについて1つ以上の睡眠特性を判定させ得る。
【0007】
本開示の他の態様の例は、ユーザの睡眠者タイプを判定するためのシステム、装置、コンピュータプログラム製品(有形の非一時的なコンピュータ読取可能媒体などであるが、必ずしも非一時的な形態で格納されていなくても通信ネットワーク上でダウンロード可能なソフトウェアなど)、ユーザインターフェイス、メモリデバイス、および電子デバイスに関する。
【0008】
さまざまな実施形態のこれらおよび他の特徴、態様、ならびに利点は、以下の説明および添付の請求項を参照することにより、より良く理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示の実施形態を示し、説明と合わせて、関連する原理を説明するのに役立つ。
【0009】
当業者を対象とする実施形態の詳細な議論は、添付の図面を参照する明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態例に係るウェアラブルコンピューティングデバイスの例を示す図である。
図2】本開示の実施形態例に係る、センサを有するウェアラブルコンピューティングデバイスを含むコンピューティング環境の例を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態例に係る、ネットワークを介してサーバコンピューティングシステムに接続されたウェアラブルコンピューティングデバイスを含むコンピューティング環境を示すブロック図である。
図4】本開示の実施形態例に係る、ユーザの睡眠者タイプを判定するための処理の例を示すブロック図である。
図5】本開示の実施形態例に係る、時系列動作データの例を示す図である。
図6】本開示の実施形態例に係る、考えられる睡眠状態の表現を示す図である。
図7】本開示の実施形態例に係る、ユーザについて睡眠者タイプを判定するための処理の例を示す図である。
図8】本開示の実施形態例に係る、ジェスチャ分類機械学習モデルの例を示すブロック図である。
図9】本開示の実施形態例に係る、動作データに基づいてユーザの睡眠者タイプを判定する処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
その1つ以上の例が図面に示されている実施形態について、以下で詳細に参照する。各例は、実施形態の説明のために提供されており、本開示を限定するものではない。実際、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に対してさまざまな修正および変形を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。たとえば、ある実施形態の一部として図示また説明される特徴は、別の実施形態と共に使用されて、さらに別の実施形態をもたらし得る。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形を含むことが意図されている。
【0012】
本開示の態様の例は、ユーザの睡眠者タイプを判定し、ユーザの睡眠者タイプに基づいて睡眠データ(たとえば、モーションセンサデータ)をより正確に解釈するための睡眠分析モデルを選択することによって、睡眠データの分類を改善するためのシステムに関する。たとえば、一部のユーザは、他のユーザについて通常予想されるよりも睡眠中に著しく多く動く(たとえば、高運動睡眠者(high-movement sleepers)または落ち着きのない睡眠者)。その結果、睡眠分析モデルによって生成される睡眠データは、そのような高運動ユーザの場合、不正確になる可能性がある。したがって、精度を向上させるために、ユーザ分類システムは、ユーザの睡眠者タイプを判定し、ユーザの特定の睡眠者タイプについて睡眠特性(たとえば、ユーザの睡眠セッションまたは睡眠習慣に関する情報)を正確に判定するように訓練された、または他の態様では設計された睡眠分析モデルを選択することができる。
【0013】
ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ウェアラブルコンピューティングデバイスを装着しているユーザの運動を検出するモーションセンサ(たとえば、加速度計)を備え得る。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つ以上の睡眠セッションにわたって、ユーザからモーションセンサデータを収集し得る。このデータ(たとえば、過去の睡眠セッション)に基づいて、コンピューティングデバイスは、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。たとえば、コンピューティングデバイスは、睡眠セッション中のユーザについて検出された運動の間の平均時間を判定し得る。運動の間の平均時間が閾値未満である場合、ユーザは、高運動睡眠者タイプ(たとえば、落ち着きのない睡眠者タイプ)であると判定することができる。特定のユーザについて睡眠者タイプが判定されると、ユーザ分類システムは、そのユーザから受信した将来の睡眠データを分析する際に使用するために、複数の睡眠分析モデルから特定の睡眠分析モデルを選択し得る。
【0014】
たとえば、ユーザは、特にユーザが経験する睡眠の量および質に関する情報を表すことが可能な測定基準を検出するために、ウェアラブルコンピューティングデバイス(たとえば、フィットネスバンド)を装着する場合がある。ウェアラブルコンピューティングデバイスによって生成されたセンサデータに基づいて1つ以上の睡眠特性を正確に判定するために、ユーザ分類システム(たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイス自体、またはリモートコンピューティングシステムに含まれる)は、過去の睡眠データを使用して、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。たとえば、ユーザ分類システムは、1つまたは複数の睡眠因子に基づいて、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。1つまたは複数の睡眠因子は、ユーザから以前に収集された睡眠データに基づいて判定され得る。いくつかの例では、1つまたは複数の睡眠因子は、運動の間の平均時間、睡眠セッションの任意の100分の期間内にユーザが動く最小回数もしくは平均回数、ならびに/または睡眠中の運動の量、頻度、および/もしくは持続時間の他の表示を含み得る。
【0015】
ユーザ分類システムは、1つまたは複数の睡眠因子を、1つまたは複数の高運動閾値と比較し得る。1つまたは複数の睡眠因子が閾値(複数可)を超えている場合、ユーザ分類システムは、ユーザの睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプであると判定し得る。これに応答して、ユーザ分類システムは、高運動睡眠者タイプのユーザ用に構成された睡眠分析モデルまたは他の分析ツールを選択し得る。
【0016】
睡眠分析モデルが選択されると、ユーザ分類システムは、ユーザに関してさらに別のモーションセンサデータを取得し、選択された睡眠分析モデルへの入力としてさらに別のモーションセンサデータを使用して、睡眠特性データを判定し得る。たとえば、ユーザ分類システムは、ユーザが眠っているかどうか、ユーザの現在の睡眠状態、ユーザが睡眠状態の間で移行しているかどうか、および移行している場合、それらの移行がいつ起こったかを含む、さらに別のモーションセンサデータが取得された時間におけるユーザの睡眠セッションを記述する1つまたは複数の睡眠特性を判定し得る。
【0017】
より具体的には、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ユーザが装着することが意図される物体に統合される任意のコンピューティングデバイスを備え得る。たとえば、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、スマートウォッチ、フィットネスバンド、スマートリングまたはスマートネックレスなどの宝飾品に組み込まれたコンピューティングデバイス、ジャケット、靴、およびズボンなどの衣類に組み込まれたコンピューティングデバイス、ならびにコンピューティング要素が含まれるウェアラブルグラスを含み得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ウェアラブルコンピューティングデバイスを装着しているユーザの許可を得て情報を収集することを意図した1つまたは複数のセンサを備え得る。
【0018】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、1つまたは複数のモーションセンサを備え得る。モーションセンサは、3つの軸(たとえば、x次元、y次元およびz次元)に沿ったユーザの運動を測定することができる加速度計を含み得る。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイスは、分析のためにモーションセンサデータをサーバシステムに送信し得る。他の例では、分析は、ウェアラブルコンピューティングデバイスによって実行され得る。したがって、ユーザ分類システムは、ウェアラブルコンピューティングデバイス、リモートサーバシステム、またはモーションセンサデータの分析を実行し、モーションセンサデータを受信するためにウェアラブルコンピューティングデバイスと通信することができる別のコンピューティングシステム内の1つ以上において使用可能になり得る、または実行され得る。
【0019】
コンピューティングシステム(たとえば、リモートサーバシステムまたはウェアラブルコンピューティングデバイスのいずれか)に含まれるユーザ分類システムは、特定の期間(たとえば、30秒間隔)、3次元の各々におけるユーザからの運動の範囲を判定し得る。特定の間隔の運動範囲は、睡眠係数を求めるために使用することができる。この範囲は、特定の期間中の軸ごとの最小値および軸ごとの最大値を判定し、最大値から最小値を減算することによって、判定することができる。
【0020】
睡眠係数は、時間間隔中のユーザの運動に基づいて求めることができる。たとえば、睡眠係数は、3軸すべての運動範囲を合計することによって生成することができる。別の例では、睡眠係数は、3軸すべてのうちの最大運動範囲に設定することができる。さらに他の例では、睡眠係数は、3軸すべての平均運動範囲に設定され得る。
【0021】
いくつかの例では、ユーザの動作を検出するために他のセンサを使用することができる。たとえば、赤外線センサを、ユーザの動作を感知するために使用することができる。さらに、ユーザの呼吸などの他の因子は、赤外線センサによって測定することができ、ユーザの運動を推定し、他の態様ではユーザの睡眠データを判定するために、使用することができる。同様に、ステップカウンタは、ユーザの睡眠状態(たとえば、歩行中のユーザは一般に眠っていない)を判定するために使用することができる。いくつかの例では、センサは、ユーザの心拍を測定し、そのデータを使用してユーザの動作を判定し得る。同様に、ウェアラブルコンピューティングデバイスに含まれるセンサを、光電式容積脈波記録法(photoplethysmography:PPG)を実行するために使用することができる。PPGデータは、ユーザの動作を判定するために使用することができる。
【0022】
睡眠係数に基づいて、ユーザ分類システムは、それぞれの間隔がユーザの運動を含むか否かを判定し得る。いくつかの例では、ユーザ分類システムは、複数の間隔を含む期間中のユーザの運動の量を判定し得る。たとえば、各間隔が30秒の長さである場合、ユーザ分類システムは、その期間に含まれる複数の間隔に基づいて、ユーザが10分間の期間眠っているかどうかを判定し得る。いくつかの例において、運動の量が特定の閾値を超えている場合、ユーザ分類システムは、ユーザが眠っていないと判定し得る。
【0023】
いくつかの例では、所与の時間間隔の睡眠係数は、複数のカテゴリまたは区間のうちの1つに分類可能であり、各区間は、睡眠係数値の所定範囲を表す。各区間は、ユーザに関する特定の判定と関連付けることができる。したがって、最小の区間は、当該間隔中に運動がないことと関連付けることができ、高い信頼度で睡眠と関連付けることができる。同様に、特定のレベルを超える睡眠係数を分類可能である。
【0024】
ユーザ分類システムは、複数の連続した間隔を表す時系列のモーションセンサデータを生成することができ、各間隔は、運動を含む、または運動を含まないと分類される。複数の連続した間隔を表す時系列のモーションセンサデータは、睡眠ログと呼ばれることもある。ユーザ分類システムは、時系列のモーションセンサデータに基づいて、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。したがって、ユーザの睡眠者タイプを判定するために、ユーザ分類システムは、睡眠セッションに関するモーションセンサデータを取得し得る。ユーザ分類システムは、睡眠セッションに関するモーションセンサデータに基づいて、1つ以上の因子を判定し得る。因子は、睡眠セッション中の運動の間の平均時間、睡眠セッション中の任意の100分の期間中の最小睡眠係数もしくは平均睡眠係数、および/または睡眠中の運動の量、頻度、もしくは持続時間の他の表示を含み得る。
【0025】
1つまたは複数の睡眠因子(たとえば、期間内の最小運動回数および運動の間の平均時間)に基づいて、ユーザ分類システムは、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。たとえば、ユーザが睡眠期間中に動く回数が特定の閾値を超えている場合、ユーザ分類システムは、そのユーザの睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプ(たとえば、落ち着きのない睡眠者タイプ)であると判定し得る。他の考えられる睡眠者タイプは、睡眠障害(たとえば、不眠症)と関連付けることができ、ユーザの睡眠習慣(たとえば、1つの長い睡眠セッションではなく、複数の短い睡眠セッションを有するユーザ)などに基づくことができる。
【0026】
ユーザについて睡眠者タイプが判定されると、ユーザ分類システムは、ユーザの睡眠データを分析する際に使用する特定の睡眠分析モデルを選択し得る。たとえば、ユーザ分類システムは、複数の異なるコンピュータ学習モデルを含むことができ、各モデルは、特定の睡眠者タイプからのデータまたはそれに関連するデータに基づいて訓練されている。このように、ユーザの睡眠者タイプが判定されると、ユーザ分類システムは、その睡眠者タイプを有するユーザによって生成されるモーションセンサデータまたは他の睡眠データをより正確に分析するように訓練された睡眠分析モデルを選択し得る。
【0027】
他の例では、単一の睡眠分析モデルが使用されるが、そのモデルに関連付けられた特定のパラメータ値は、ユーザの睡眠者タイプに基づいて調整することができる。したがって、ユーザの睡眠者タイプが判定されると、ユーザ分類システムは、睡眠者タイプに関連付けられた特定のパラメータを選択し、ユーザに関連付けられた睡眠データの分析中にそれらのパラメータを使用し得る。
【0028】
さらにまたは代替的に、いくつかの例では、睡眠分析モデルは、1つ以上の特定の状況において睡眠分析モデルによって判定された睡眠特性データの追加の分析を行うことができる1つ以上のルールに基づく分類ステップを含み得る(または後処理システムとして使用し得る)。いくつかの例では、ルールに基づく分類ステップは、(たとえば、第1の睡眠者タイプのユーザおよび第2の睡眠者タイプのユーザについて異なる睡眠特性を生成するように)ユーザの睡眠者タイプに基づいて変更することができる。このようにして、ユーザ分類システムは、ユーザの睡眠者タイプに基づいて、ユーザのモーションセンサデータを分析するための最も適切なツールを選択し得る。
【0029】
睡眠分析モデルへの入力として第2の期間中にユーザから検出されたモーションセンサデータ(たとえば、ユーザの睡眠者タイプを判定するために使用された第1の期間のデータとは異なる)を使用して、ユーザ分類システムは、第2の期間の1つ以上の睡眠特性を判定し得る。いくつかの例では、ユーザ分類システムは、ユーザが第2の期間の1つまたは複数の部分について眠っていたかどうかを判定し得る。ユーザが眠っていた場合、ユーザ分類システムは、睡眠セッションがいつ開始していつ終了したかを判定し得る。さらに、ユーザ分類システムは、ユーザの現在の睡眠状態を判定し得る。睡眠状態は、レム睡眠状態、浅い睡眠状態、および深い睡眠状態を含み得る。いくつかの例では、他の睡眠特性は、睡眠分析モデルに基づいて判定可能である。たとえば、睡眠分析モデルは、(たとえば、睡眠セッションの長さおよび各睡眠状態で費やされた時間に基づく)睡眠セッションの全体的な質を表す睡眠スコアまたは他のデータを生成し得る。睡眠に特に関連しない追加のパラメータは、ストレススコアおよび/またはフィットネス準備スコアといった、睡眠分析モデルからのデータをそれらの分析に使用する1つの因子として使用することができる。
【0030】
開示された技術の実施形態は、特にユーザコンピューティングデバイスの分野において、多くの技術的効果および利益を提供する。特に、開示された技術の実施形態は、眠っているユーザに関連付けられたセンサデータを分析するための改善された技術を提供する。たとえば、開示された技術の実施形態を利用して、コンピューティングシステムは、ユーザの睡眠者タイプを判定し、睡眠者タイプに基づいて、ユーザが装着するウェアラブルコンピューティングデバイスによって生成されたモーションセンサデータを分析する際に使用する睡眠分析モデルを選択し得る。特定のユーザに関するデータを評価するために使用する睡眠分析モデルをカスタマイズすることにより、コンピューティングシステムによって生成される睡眠特性の精度を高めることができ、より良好でより有用なユーザエクスペリエンスをもたらすことができる。さらに、この効果は、比較的低コストで達成される。このように、開示された実施形態は、ウェアラブルデバイスの総コストを大幅に増加させることなく、追加の機能を実現可能にする。
【0031】
次に図を参照して、本開示の態様の例についてより詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態例に係るウェアラブルコンピューティングデバイス100の例を示す正面図である。一実施形態では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、リストバンド、ブレスレット、腕時計、アームバンド、ユーザの指の周りに配置されるリング、または本開示で説明するようなセンサを備え得る他のウェアラブル製品であってもよい。実施形態例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ディスプレイ102と、デバイス筐体104と、バンド106と、1つまたは複数のセンサとで構成されている。実施形態において、ディスプレイ102は、ユーザの皮膚温度、心拍数、睡眠状態、脳波、心電図、筋電図、眼電図、およびユーザの他の生理学的データ(たとえば、血中酸素濃度)に関連するデータをユーザに提示するように構成され得る。また、ディスプレイ102は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100内に含まれる追加の周囲センサからのデータを伝えるように構成され得る。これらの追加の周囲センサからディスプレイ102上に伝えられる情報の例は、ユーザに関連付けられた場所の位置、高度、および天候を含み得る。また、ディスプレイ102は、ユーザの動作に関するデータ(たとえば、ユーザが静止しているか、歩いているか、および/または走っているか)を伝え得る。
【0032】
実施形態例では、ディスプレイ102は、ユーザが入力したデータを受信するように構成され得る。実施形態において、ユーザは、ディスプレイ上の入力によって、ウェアラブルコンピューティングデバイス100がユーザに表示するための追加データ(たとえば、睡眠データ)を生成するように要求することがある。これに応答して、ディスプレイは、要求されたデータを取得するためのユーザへの指示(たとえば、センサ310に1本以上の指を置く指示)を提示し得る。さらに、追加のデータが収集されている間に、追加のデータが必要であるとウェアラブルコンピューティングデバイス100が判断する場合、ディスプレイ102は、ユーザに対する指示を表示(たとえば、「センサに対して指を10秒間保持し続けてください」と表示)し得る。
【0033】
実施形態例において、デバイス筐体104は、本開示において説明される1つまたは複数のセンサを含むように構成され得る。デバイス筐体104が含むセンサの例として、モーションセンサ(たとえば、加速度計)、パルスオキシメータ、IRモーションセンサ、皮膚温度センサ、内部デバイス温度センサ、位置センサ(たとえば、GPS)、高度センサ、心拍数センサ、音声センサ、圧力センサ、ジャイロスコープ、環境センサ(たとえば、ベッドサイド超音波センサ)、および他の生理センサ(たとえば、血中酸素濃度センサ)を含み得る。また、実施形態において、デバイス筐体104は、1つまたは複数のプロセッサを含むように構成され得る。バンド106は、たとえば、バックル、クラスプ、または他の同様の固定装置でバンド106の端部を接続することによって、ウェアラブルコンピューティングデバイス100をユーザの腕の周りに固定し、それによってウェアラブルコンピューティングデバイス100をユーザによって装着されるように構成することができる。
【0034】
図2は、本開示の実施形態例に係るウェアラブルコンピューティングデバイス100を含むコンピューティング環境の例を示す図である。この例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1つまたは複数のプロセッサ202、メモリ204、1つまたは複数のセンサ210、ユーザ分類システム212、睡眠分析システム220、および表示システム222を備え得る。
【0035】
より詳細には、1つまたは複数のプロセッサ202は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100の構成要素に埋め込むことができる任意の適切な処理デバイスであり得る。たとえば、そのようなプロセッサ202は、1つまたは複数のプロセッサコア、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、FPGA、コントローラ、マイクロコントローラなどのうちの1つ以上を含み得る。1つまたは複数のプロセッサ202は、1つのプロセッサ、または動作可能に接続される複数のプロセッサであり得る。メモリ204は、RAM、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリデバイス等、およびそれらの組み合わせなどの1つ以上の非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体を含み得る。
【0036】
特に、いくつかのデバイスでは、メモリ204は、ユーザ分類システム212、睡眠分析システム220、および/または表示システム222を実装するための命令を格納し得る。したがって、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ユーザ分類システム212、睡眠分析システム220、または表示システム222を実装して、本開示の態様を実行し得る。
【0037】
「システム」という用語は、特殊なハードウェア、より一般的なプロセッサ上で実行されるコンピュータロジック、またはそれらの何らかの組み合わせを指し得ることが理解されるであろう。したがって、システムは、汎用プロセッサを制御するハードウェア、特定用途向け回路、ファームウェア、および/またはソフトウェアで実装することができる。一実施形態では、システムは、記憶装置に格納され、メモリにロードされ、プロセッサによって実行されるプログラムコードファイルとして実装することができるか、または、RAM、ハードディスクまたは光学もしくは磁気媒体などの有形コンピュータ読取可能記憶媒体に格納されるコンピュータ実行可能命令などのコンピュータプログラム製品から提供することができる。
【0038】
メモリ204は、1つまたは複数のプロセッサ202によって取得、操作、作成、または格納可能なデータ206および命令208も含み得る。いくつかの実施形態例では、そのようなデータは、アクセス可能であり、ユーザ分類システム212、睡眠分析システム220、および/または表示システム222への入力として使用可能である。いくつかの例では、メモリ204は、1つ以上の処理を実行するために使用されるデータ、およびそれらの処理がどのように実行され得るかを記述する指示を含み得る。
【0039】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、1つまたは複数のセンサ210を備え得る。たとえば、センサ210は、モーションセンサ(たとえば、加速度計)、パルスオキシメータ、IRモーションセンサ、皮膚温度センサ、内部デバイス温度センサ、位置センサ(たとえば、GPS)、高度センサ、心拍数センサ、音声センサ、圧力センサ、および他の生理センサ(たとえば、血中酸素濃度センサ)のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0040】
いくつかの例では、1つまたは複数のセンサ210は、ユーザの運動を検出し、その運動を表す動作データをウェアラブルコンピューティングデバイス100に提供し得る。たとえば、加速度計は、3つの軸にわたってユーザの運動を測定し得る。たとえば、加速度計は、X軸、Y軸、およびZ軸を測定し得る。したがって、ユーザが動くと、加速度計は、運動を表すデータを生成し、ウェアラブルコンピューティングデバイス100に提供し得る。IRレーザーセンサ、心拍数センサおよびパルスオキシメータなどの他のセンサを、ユーザの運動または活動レベルを判定するために使用することができる。
【0041】
センサ210によって生成される動作データは、ユーザ分類システム212に送信され得る。ユーザ分類システム212は、記録された動作データを使用して、ユーザの睡眠者タイプを推定し得る。たとえば、記録された動作データは、ユーザから以前に記録され、ユーザの睡眠セッションに関連すると判断された時系列データであり得る。具体的には、動作データ処理システム214は、動作データを使用して、特定の期間についての睡眠係数を生成し得る。いくつかの例では、特定の期間は、30秒の時間ウィンドウであり得る。他の時間増分を使用可能である。動作データ処理システム214は、1つまたは複数のセンサ210によって生成された動作データに基づいて、それぞれの時間間隔における運動の量を判定し得る。
【0042】
たとえば、動作データ処理システム214は、それぞれの時間間隔中に発生する各軸の運動の合計を計算し得る。睡眠係数は、それぞれの時間間隔中の3つの軸すべてでの運動の合計を表し得る。たとえば、動作データ処理システム214は、それぞれの時間間隔中の軸ごとの最小値および最大値を判定し得る。軸の各々に沿った総運動範囲は、軸の最大値から軸の最小値を減算することによって求めることができる。
【0043】
したがって、動作データ処理システム214は、その時間の増分の間、そのユーザの総運動範囲を判定し得る。いくつかの例では、軸ごとの総範囲は、睡眠係数を生成するために合計することができる。代替的にまたはさらに、睡眠係数は、3軸すべてについて検出された総運動範囲の平均でもよい。さらに別の例では、睡眠係数は、3つの軸についての3つの異なる範囲値から最も高い範囲値に設定することができる。さらにまたは代替的に、睡眠係数はまた、少なくとも部分的に、総運動範囲以外のデータに基づき得る。たとえば、1つまたは複数のセンサは、ウェアラブルコンピューティングデバイスが現在ユーザによって装着されているかどうか(たとえば、フィットネスバンドが現在ユーザの手首にあるかどうか)を記述するデータを提供し得る。さらに、1つまたは複数のセンサは、時間間隔中にユーザが歩いた歩数を求め得る。これらの追加のデータ入力は、特定の時間間隔についての動作係数を生成または更新するために使用することができる。
【0044】
睡眠係数がそれぞれの間隔について求められると、動作データ処理システム214は、その特定の間隔を、運動を含む、または運動を含まないと分類し得る。いくつかの例では、睡眠係数は、複数の睡眠係数値区間のうちの1つに分類することができ、各区間は、睡眠係数値の範囲を表し、特定の運動の量と関連付けられている。したがって、類似の睡眠係数値を一緒にグループ化することができ、区間ごとに決定されたルールに基づいて運動を判定することができる。
【0045】
睡眠係数を区間にグループ化するまたは特徴付けることにより、精度を大きく損なうことなく、睡眠係数情報を生成するために必要な処理時間および電力の量を低減することができる。各区間が表す範囲は、(たとえば、小さな運動を表す)小さな係数範囲において各区間の範囲が比較的小さくなり得るように、変化し得る。対照的に、高運動範囲(たとえば、ユーザが大きく運動する)において、高い運動レベルではユーザはほぼ確実に起きているため、区間の範囲はより大きくなる可能性がある。
【0046】
動作データ処理システム214は、睡眠ログと呼ばれることもある連続した時間間隔のシーケンスに対する睡眠係数のシーケンスを生成し得る。たとえば、動作データ処理システム214は、40分間の連続した時間間隔について睡眠係数を生成し、それを睡眠ログとして格納し得る。他の長さの時間を使用することができる。シーケンス内の各時間間隔は、それらの関連する睡眠係数に基づいて(または、それらの関連する睡眠係数が分類される区間に基づいて)、運動を含む、または運動を含まないと指定することができる。睡眠ログ内のデータは、睡眠ログが表す期間中にユーザが眠っているか否かを判定する機械学習モデルの入力として使用することができる。しかしながら、機械学習モデルが特定の睡眠者タイプについて訓練されていない場合、モデルの出力は不正確になる可能性がある。このように、ユーザ分類システム212は、ユーザの睡眠ログデータが正確に分析されることを保証するために、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。
【0047】
時間間隔のシーケンスは、睡眠者タイプ判定システム218に送信することができる。睡眠者タイプ判定システム218は、モーションセンサデータの時間間隔のシーケンス内の各時間間隔の分類に基づいて、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。睡眠者タイプ判定システム218は、睡眠セッションのモーションセンサデータに基づいて、1つ以上の因子を判定し得る。因子は、睡眠セッション中の運動の間の平均時間、睡眠セッション中の任意の100分の期間における最小運動回数もしくは平均運動回数、および/または睡眠中の運動の量、頻度、もしくは持続時間の他の表示を含み得る。
【0048】
1つまたは複数の睡眠因子に基づいて、睡眠者タイプ判定システム218は、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。たとえば、睡眠期間中のユーザの運動のインスタンスの数が特定の閾値を超えている場合、睡眠者タイプ判定システム218は、ユーザの睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプ(たとえば、落ち着きのない睡眠者タイプ)であると判定し得る。他の考えられる睡眠者タイプは、睡眠障害(たとえば、不眠症)に関連し得る、ユーザの睡眠習慣(たとえば、1つの長い睡眠セッションではなく、複数の短い睡眠セッションを有するユーザ)に基づき得る、などである。睡眠者タイプ判定システム218は、主に、以前に収集された睡眠運動データを使用してユーザの睡眠者タイプを判定するものとして説明されていることに留意されたい。しかしながら、人口統計学的データ、位置データ、および周囲温度データなどの他のデータも、この判定の一部として使用することができる。
【0049】
ユーザ分類システム212は、判定された睡眠者タイプを睡眠分析システム220に送信し得る。いくつかの例では、ユーザ分類システム212は、判定された睡眠者タイプをメモリ204に格納することができ、睡眠分析システム220は、必要に応じてそれにアクセスし得る。
【0050】
睡眠分析システム220は、ユーザの睡眠データを分析する際に使用する特定の睡眠分析モデルを選択し得る。たとえば、睡眠分析システム220は、複数の異なるコンピュータ学習モデルにアクセスすることができ、各モデルは、特定の睡眠者タイプからのデータまたはそれに関連するデータに基づいて訓練されている。したがって、ユーザの睡眠者タイプが判定されると、睡眠分析システム220は、モーションセンサデータまたは睡眠セッション中にその睡眠者タイプを有するユーザによって生成された他の睡眠データを分析するように訓練された睡眠分析モデルを選択し得る。
【0051】
さらにまたは代替的に、単一の睡眠分析モデルが使用されるが、モデルに関連付けられた特定のパラメータ値は、ユーザの睡眠者タイプに基づいて調整することができる。したがって、ユーザの睡眠者タイプが判定されると、睡眠分析システム220は、ユーザに関連付けられた睡眠データの分析中に、睡眠者タイプに関連付けられた特定のパラメータを選択し、モデルパラメータを特定のパラメータに設定し得る。
【0052】
さらにまたは代替的に、いくつかの例では、睡眠分析モデルは、1つまたは複数の特定の状況において睡眠分析モデルによって生成された睡眠特性データの追加の分析を行うことができる1つまたは複数のルールに基づく分類ステップを含む(または後処理システムとして使用する)ことが可能である。いくつかの例では、ルールに基づく分類ステップは、(たとえば、第1の睡眠者タイプのユーザおよび第2の睡眠者タイプのユーザについて異なる睡眠特性を生成するように)ユーザの睡眠者タイプに基づいて変更することができる。このようにして、睡眠分析システム220は、ユーザの睡眠者タイプに基づいて、ユーザのモーションセンサデータを分析するために最も適切なツールを選択し得る。
【0053】
ルールに基づく分類ステップの例は、特定の時間間隔についての睡眠係数が所定の閾値を超えている場合、特定の時間間隔についてユーザの分類を睡眠から覚醒に変更する後処理ルールを含み得る。しかしながら、ユーザが高運動ユーザであると判定された場合、所定の閾値の値を上げるか、または後処理ルール全体を無効にすることができる。別の例では、後処理ルールは、その中に含まれる一定割合の睡眠間隔が閾値を超える睡眠係数を有する場合、睡眠期間についての分類を睡眠から覚醒に変更することができる。第1の例と同様に、ユーザが高運動タイプユーザであると判定された場合、ルールに基づく分類ステップの閾値を上げるか、またはルール自体を中断することができる。このように、ユーザの睡眠者タイプに基づいて特定の睡眠分析モデルを選択することに加えて、ハードコードされた後処理ルールを、高運動睡眠者タイプのユーザに適用しないように変更する(たとえば、閾値を調整する)または中断することも可能である。
【0054】
睡眠分析システム220への入力として第2の期間中にユーザから検出されたモーションセンサデータ(たとえば、ユーザの睡眠者タイプを判定するために使用された第1の期間についてのデータとは異なる)を使用して、睡眠分析システム220は、第2の期間について1つ以上の睡眠特性を判定し得る。たとえば、睡眠データの第1のセットは、ユーザの過去の睡眠データ(たとえば、複数の睡眠セッションからのデータ)でもよく、睡眠データの第2のセットは、ユーザの直近の睡眠セッション中にセンサによって生成されたデータでもよい。
【0055】
いくつかの例では、睡眠分析システム220は、ユーザが第2の期間の1つ以上の部分の間に眠っていたかどうかを判定し得る。ユーザが眠っていた場合、睡眠分析システム220は、睡眠セッションがいつ開始していつ終了したかを判定し得る。さらに、睡眠分析システム220は、睡眠セッション中のユーザの1つ以上の睡眠状態、各睡眠状態で過ごした時間の量、およびユーザがある睡眠状態から別の睡眠状態へ移行した時間を判定し得る。睡眠状態は、レム睡眠状態、浅い睡眠状態、および深い睡眠状態を含み得る。いくつかの例では、他の睡眠特性は、睡眠分析モデルに基づいて判定可能である。たとえば、睡眠分析モデルは、(たとえば、睡眠セッションの長さおよび各睡眠状態で費やされた時間に基づく)睡眠セッションの全体的な質を表す睡眠スコアを生成することができる。睡眠に特に関連しない追加のパラメータは、ストレススコアおよび/またはフィットネス準備スコアなど、その分析において使用される1つの因子として睡眠分析モデルからのデータを使用することができる。
【0056】
1つ以上の睡眠が生成されると、睡眠分析システム220は、1つ以上の睡眠パラメータを表示システム222に提供し得る。表示システム222は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100に含まれるディスプレイを介して、1つまたは複数の睡眠パラメータをユーザに提示し得る。いくつかの例では、ユーザは、ウェアラブルコンピューティングデバイス100とのインターフェースを介して、デバイスが1つまたは複数の睡眠パラメータを表示するように要求することができる。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、睡眠パラメータ(たとえば、睡眠の量、睡眠の質、および睡眠セッションの時間など)をユーザに提示し得る。
【0057】
図3は、本開示の実施形態例に係るクライアント-サーバ環境の例を示す図である。クライアント-サーバシステム環境300は、1つまたは複数のウェアラブルコンピューティングデバイス100と、サーバコンピューティングシステム330とを含む。1つまたは複数の通信ネットワーク320は、これらのコンポーネントを相互接続し得る。通信ネットワーク320は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、無線ネットワーク、有線ネットワーク、インターネット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、またはそのようなネットワークの組み合わせを含むさまざまなネットワークタイプのいずれであってもよい。
【0058】
ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、スマートウォッチ、フィットネスバンド、スマートリングまたはスマートネックレスなどの宝飾品に組み込まれたコンピューティングデバイス、ジャケット、靴、およびズボンなどの衣類に組み込まれたコンピューティングデバイス、ならびにコンピューティング要素が含まれるウェアラブルグラスを含み得るが、これらに限定されるものではない。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ウェアラブルコンピューティングデバイスを装着しているユーザの許可を得て情報を収集することを意図した1つまたは複数のセンサを含み得る。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、携帯電話、車両の電気部品、または通信ネットワーク320と通信可能な任意の他の電子デバイスなどの別のコンピューティングデバイスに接続し得る。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、検索アプリケーション、通信アプリケーション、ナビゲーションアプリケーション、生産性アプリケーション、ゲームアプリケーション、ワードプロセッシングアプリケーション、または任意の他のアプリケーションといった、1つまたは複数のユーザアプリケーションを含み得る。ユーザアプリケーション(複数可)は、ウェブブラウザを含み得る。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、ウェブブラウザ(または他のアプリケーション)を使用して、サーバコンピューティングシステム330との間で要求を送信および受信し得る。
【0059】
いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、特定の時間におけるユーザの運動を判定するために使用することができる1つまたは複数のセンサを備え得る。たとえば、センサ210は、モーションセンサ(たとえば、加速度計)、パルスオキシメータ、IRモーションセンサ、皮膚温度センサ、内部デバイス温度センサ、位置センサ(たとえば、GPS)、高度センサ、心拍数センサ、音声センサ、圧力センサ、および他の生理センサを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0060】
図3に示すように、サーバコンピューティングシステム330は、一般に、フロントエンド層、アプリケーション論理層、およびデータ層からなる3層アーキテクチャに基づき得る。関連するコンピュータおよびインターネット関連技術分野の当業者によって理解されるように、図3に示す各コンポーネントは、実行可能なソフトウェア命令のセットと、命令を実行するための対応するハードウェア(たとえば、メモリおよびプロセッサ)とを表すことができる。不必要な詳細を避けるために、さまざまな例の理解を伝えるのに適切でないさまざまなコンポーネントおよびエンジンは、図3から省略されている。しかしながら、当業者は、本明細書に具体的に記載されていない追加の機能を容易にするために、さまざまな追加のコンポーネントおよびエンジンが、図3に例示されているようなサーバコンピューティングシステム330と共に使用することができることを容易に認識するであろう。さらに、図3に描かれたさまざまなコンポーネントは、単一のサーバコンピュータ上に存在してもよく、またはさまざまな配置で複数のサーバコンピュータに分散されてもよい。さらに、サーバコンピューティングシステム330は、3層アーキテクチャを有するものとして図3に描かれているが、さまざまな実施形態例は、このアーキテクチャに限定されるわけではない。
【0061】
図3に示すように、フロントエンドは、1つまたは複数のウェアラブルコンピューティングデバイス100から通信を受信し、ウェアラブルコンピューティングデバイス100に適切な応答を伝達するインターフェースシステム(複数可)322で構成され得る。たとえば、インターフェースシステム(複数可)322は、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)要求、または他のウェブベースのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)要求の形態で要求を受信してもよい。ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、従来のウェブブラウザアプリケーション、または多種多様なモバイルデバイスおよびオペレーティングシステムのいずれかを含むように特定のプラットフォーム用に開発されたアプリケーションを実行し得る。
【0062】
図3に示すように、データ層は、睡眠分析データベース134を含み得る。いくつかの実施形態例では、睡眠分析データベース134は、複数の睡眠分析モデル(たとえば、睡眠者タイプごとの1つまたは複数の睡眠分析モデル)に関連するデータを含むが、これに限定されないさまざまなデータを格納し得る。睡眠分析データベース134は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100から受信され、ウェアラブルコンピューティングデバイス100に含まれる1つまたは複数のセンサ210によって収集されたデータを表す睡眠データおよび動作データを含み得る。睡眠分析データベース134は、1つ以上の時間間隔についての運動分類(たとえば、特定の時間間隔がユーザの運動を含むか否かの分類)など、ユーザ分類システム212によって生成されたデータも含み得る。睡眠分析データベース134は、ユーザが特定の時間に眠っていたかどうかの判定、ユーザの睡眠の長さおよび質といった、睡眠分析システム220によって生成された情報も含み得る。
【0063】
アプリケーション論理層は、ユーザがナビゲーションもしくは他の目的のために地理データにアクセスまたは受信することを可能にする、広範な他のアプリケーションおよびサービスを提供することができるアプリケーションデータを含み得る。アプリケーション論理層は、ユーザ分類システム212および睡眠分析システム220を含み得る。
【0064】
ユーザ分類システム212は、情報インターフェースシステム322を介して、ウェアラブルコンピューティングデバイス100に含まれるセンサ210から動作データを受信し得る。ユーザ分類システム212は、動作データを分析して、複数の時間間隔の各間隔について、ユーザがその時間間隔中に動いていたかどうかを判定し得る。いくつかの例では、ユーザ分類システム212は、動作データと、ユーザが複数の時間間隔の各々で動いていたかどうかの情報とに基づいて、1つまたは複数の睡眠因子を生成し得る。1つまたは複数の睡眠因子に基づいて、ユーザ分類システム212は、ユーザに関連付けられた睡眠者タイプを特定し得る。
【0065】
睡眠分析システム220は、ユーザの睡眠者タイプが特定されると、ユーザの睡眠データを分析する際に使用する特定の睡眠分析モデルを選択するために使用され得る。たとえば、睡眠分析システム220は、(たとえば、睡眠分析データベース134内の)複数の異なるコンピュータ学習モデルにアクセスすることができ、各モデルは、特定の睡眠者タイプからのデータまたはそれに関連するデータに基づいて訓練されている。したがって、ユーザの睡眠者タイプが判定されると、睡眠分析システム220は、睡眠期間中にその睡眠者タイプを有するユーザによって生成されるモーションセンサデータまたは他の睡眠データを、より正確に分析するように訓練されている睡眠分析モデルを選択し得る。
【0066】
睡眠分析モデルが選択されると、睡眠分析システム220は、ウェアラブルコンピューティングデバイス100に含まれるセンサ210からさらに別の動作データを受信し得る。この検出されたモーションセンサデータを睡眠分析モデルへの入力(たとえば、ユーザの睡眠者タイプを判定するために使用された第1の期間についてのデータとは異なる)として使用して、睡眠分析システム220は、第2の期間について1つ以上の睡眠特性を判定し得る。いくつかの例では、睡眠分析システム220は、ユーザが第2の期間中に眠っていたかどうかを判定し得る。ユーザが眠っていた場合、睡眠分析システム220は、睡眠セッションがいつ開始していつ終了したかを判定し得る。
【0067】
さらに、睡眠分析システム220は、ユーザの現在の睡眠状態を判定し得る。睡眠状態は、レム睡眠状態、浅い睡眠状態、および深い睡眠状態を含み得る。いくつかの例では、他の睡眠特性は、睡眠分析モデルに基づいて判定することができる。たとえば、睡眠分析モデルは、睡眠セッションの全体的な質を表す睡眠スコアを(たとえば、睡眠セッションの長さおよび各睡眠状態で費やされた時間に基づいて)生成することができる。ストレススコアおよび/またはフィットネス準備スコアといった、睡眠に特に関連しない追加の特性を判定することができる。1つまたは複数の睡眠特性は、ユーザに表示するためにウェアラブルコンピューティングデバイス100に送信することができる。
【0068】
特定のウェアラブルコンピューティングデバイス100で取り込まれたセンサデータを分析のためにサーバシステムに送ることによって、ウェアラブルコンピューティングデバイス100は、相当数のリソースを使用して機械学習モデルによって判定された睡眠特性を依然として受信しつつ、ウェアラブルコンピューティングデバイス100で使用されるメモリおよび電力の量を最小限に抑え得る。睡眠データの分析をサーバシステムに集中させることによって、ウェアラブルコンピューティングデバイス100のコストを最小限に抑えつつ、ユーザエクスペリエンスが改善される。
【0069】
図4は、本開示の実施形態例に係る、ユーザの睡眠者タイプを判定するための処理の例を示すブロック図400である。この例では、ユーザ分類システム(たとえば、図2のユーザ分類システム212)は、402において、ユーザについて以前に検出された動作データを取得し得る。たとえば、ユーザ分類システムは、少なくとも1つの睡眠セッションまたは睡眠セッションと思われるものを含む、ユーザについての格納された過去の動作データにアクセスし得る。
【0070】
以前に検出された動作データは、モーションセンサ(たとえば、図2のセンサ210)によって生成された動作データを含み得る。いくつかの例では、モーションセンサは加速度計であり、動作データは、データが収集された期間中の3軸(x軸、y軸およびz軸)に沿った動作の範囲として表される。たとえば、加速度計は、3次元で加速度を測定し、測定された加速度を特定のタイムスタンプ(または特定の運動が発生した時を判定する別の方法)に関連付け得る。いくつかの例では、ユーザ分類システム212は、動作データを1つまたは複数の時間間隔に分割し得る。たとえば、各時間間隔は30秒を表し得る。他の時間の長さを時間間隔に使用することができる。ユーザ分類システム212は、それぞれの時間間隔ごとに分類を生成することができ、分類は、ユーザがそのそれぞれの時間間隔中に動いていると検出されるかどうかを示す。
【0071】
ユーザ動作データが分析されると、ユーザ分類システム212は、404において、動作データの分析に基づいて、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。いくつかの例では、睡眠者タイプは、高運動睡眠者タイプでもよい。高運動睡眠者タイプの具体例では、判定は、特定の間隔において(たとえば、1時間以内に)ユーザが動く回数に基づき得る。高運動ユーザタイプの具体例では、ユーザが特定の間隔内で動く回数を閾値と比較することができる。それぞれの間隔内の運動回数が閾値を超えている場合、ユーザ分類システム212は、ユーザが高運動睡眠者タイプのユーザであると判定し得る。
【0072】
それぞれのユーザについて睡眠者タイプが判定されると、睡眠分析システム220は、406において、その睡眠者タイプに基づいて睡眠分析モデルを選択し得る。したがって、408において、高運動睡眠者タイプのユーザの動作データを分析するために使用される睡眠分析モデルは、高運動睡眠者タイプのユーザではないユーザについて選択される睡眠分析モデルとは異なるものとなる。これにより、睡眠分析モデルは、他の態様ではユーザの睡眠者タイプに基づいて睡眠特性を判定することが困難な場合に、ユーザの睡眠特性を正確に判定可能になる。たとえば、高運動睡眠者タイプ以外の睡眠者タイプのユーザ用に訓練された睡眠分析モデルを用いて高運動ユーザの動作データを分析した場合、睡眠分析モデルは、睡眠セッションの間に高運動ユーザからの睡眠を全く検出しない可能性がある。
【0073】
睡眠分析システム220は、選択された睡眠分析モデルを用いて、ユーザの1つまたは複数の睡眠特性を判定し得る。たとえば、睡眠特性は、ユーザが特定の時点で眠っているかどうか、睡眠セッションの開始および停止、ユーザの特定の睡眠状態などの判定を含み得る。
【0074】
図5は、本開示の実施形態例に係る時系列動作データの例を示す図である。この例では、睡眠セッション506全体は、複数の時間間隔502に分割することができる。複数の時間間隔502における各々の間隔は、間隔ごとに睡眠係数に基づいて(それぞれの時間間隔が表す時間中に取り込まれたセンサデータに基づいて)分類され得る。睡眠係数は、時間間隔502の間に加速度計によって検出された運動の範囲に基づいて、生成され得る。運動範囲が閾値を超えている場合、時間間隔502は、ユーザによる運動と関連付けることができる。運動範囲が閾値を超えていない場合、時間間隔502は、運動なしと関連付けることができる。
【0075】
いくつかの例では、1つ以上の時間間隔502は、睡眠期間504にグループ化することができる。睡眠期間504は、睡眠セッション506全体よりも短いが単一の時間間隔502よりも長い時間を共に構成する時間間隔502のグループを指し得る。いくつかの例では、睡眠期間504は、1つ以上の運動期間によって分離された睡眠セッション506中の睡眠の期間を表すことができる。
【0076】
図6は、本開示の実施形態例に係る、考えられる睡眠状態の表現を示す図である。たとえば、1つの考えられる状態は、ユーザが眠っていないと判定される覚醒状態602である。いくつかの例では、覚醒状態602は、ユーザがウェアラブルコンピューティングデバイスと対話することを含む複数の活動構成要素に基づいて、またはユーザから検出された運動の量が運動に関する所定の閾値を超えていることに基づいて、特定され得る。
【0077】
いくつかの例では、睡眠状態610は、目の急速な運動および体内の低い筋緊張(たとえば、残留筋張力)によって特徴付けられるレム状態612などの、1つ以上の別個の状態を含み得る。睡眠の別の状態は、筋肉の弛緩、眼球運動の停止、呼吸数および心拍数の減少、体温の低下、および脳波の低下によって特徴付けられ得る浅い睡眠状態614であり得る。浅い睡眠状態614の間、ユーザは比較的容易に目を覚ますことができる。
【0078】
第3の睡眠状態は、深い睡眠状態616であり得る。深い睡眠状態616は、筋肉のさらなる弛緩、浅い睡眠状態と比較して少ない呼吸数および心拍数、脳波のさらなる低下、およびユーザを睡眠から目覚めさせることの困難さによって特徴付けることができる。
【0079】
図7は、本開示の実施形態例に係る、ユーザの睡眠者タイプを判定するための処理の例を示す図である。いくつかの例では、ユーザ分類システム(たとえば、図2のユーザ分類システム212)は、702において、ある期間中のユーザの動作データを取得し得る。いくつかの例では、この期間は、ユーザが寝ていたとユーザ分類システム212が判定する期間であり得る。
【0080】
ユーザ分類システム212は、704において、1つまたは複数の睡眠因子を判定するために、動作データを分析し得る。たとえば、動作データを分析して、動作データの間でユーザがいつ眠っていたのか、およびいつ起きていたのかを判定することができる。ユーザ分類システム212は、睡眠期間中にユーザが動いた各時間を判定し得る。上述のように、ユーザの運動は、ユーザの運動を測定する加速度計、空間におけるユーザの運動を検出する赤外線感知システム、心拍に基づいてユーザの活動を判定する心拍モニタ、およびユーザから取得された信号に基づいてユーザの運動を推定することが可能な任意の他のセンサを含むさまざまな異なるセンサに基づいて、判定することができる。
【0081】
いくつかの例では、睡眠者タイプ判定システムは、704で、動作データに基づいて1つ以上の睡眠因子を判定し得る。睡眠因子は、ユーザの睡眠者タイプを判定するのに有用な、ユーザの睡眠に対する品質持続時間の任意の尺度であり得る。具体的な例としては、1時間の睡眠中にユーザが動く回数を挙げることができる。いくつかの例では、1時間当たりユーザが動く回数は、睡眠セッション全体にわたって平均化することができる。別の因子としては、運動の間の平均時間の長さを挙げることができる。ここで挙げた2つの具体例に加えて、ユーザの睡眠者タイプを評価する際に、他のさまざまな測定値を睡眠因子として使用することができる。たとえば、睡眠中の運動の量、頻度、または持続時間の表示である任意のデータを、考えられる睡眠因子として使用することができる。
【0082】
いくつかの例では、1つ以上の睡眠因子は、複数の入力に基づいてユーザの睡眠者タイプを判定することができる分類システムへの入力として使用することができる。1つまたは複数の睡眠因子は、直接使用することができる、または、動作データに基づいて睡眠因子スコアを生成するために使用することができる。ユーザ分類システム212は、706において、1つ以上の睡眠因子(または睡眠因子スコア)が閾値を超えているかどうかを判定し得る。閾値は、ある睡眠者タイプを別の睡眠者タイプから分離するために使用することができる所定の値であり得る。1つ以上の睡眠因子(または睡眠因子スコア)が閾値を超えている場合、ユーザ分類システムは、708において、ユーザの睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプであると判定し得る。その判定に基づいて、ユーザ分類システム212は、710において、高運動睡眠者タイプのユーザに関連付けられた睡眠分析モデルを選択し得る。
【0083】
睡眠因子(または睡眠スコア)が閾値を超えていないという判定に従って、ユーザ分類システム212は、712において、ユーザが高運動睡眠者タイプのユーザではないと判定し得る。ユーザ分類システム212は、714において、高運動睡眠者タイプのユーザであると判定されないユーザと関連付けられる睡眠分析モデルを選択し得る。
【0084】
睡眠分析モデルが選択されると、睡眠分析システム220は、選択された睡眠分析モデルを使用して、716において、1つまたは複数のセンサによって取り込まれた動作データに基づいて、睡眠パラメータを判定し得る。
【0085】
図8は、本開示の実施形態例に係る睡眠分析モデルの例を示すブロック図である。機械学習睡眠分析モデル800は、ユーザからの動作データを入力データ806とみなし得る。たとえば、睡眠分析モデル800は、入力動作データに基づいて、1つまたは複数の睡眠パラメータを生成し得る。機械学習睡眠分析モデルは、訓練されると、入力された動作データが表す特定の期間中にユーザが眠っているかどうかの判定などの1つまたは複数の睡眠因子を出力することができる(808)。
【0086】
いくつかの例では、機械学習データ分析モデル1810は、他の態様では、ニューラルネットワーク(たとえば、ディープニューラルネットワーク)、非線形モデルおよび/もしくは線形モデルを含む他のタイプの機械学習モデル、または二値分類器などのさまざまな機械学習モデルを含み得る。ニューラルネットワークは、フィードフォワードニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワーク(たとえば、長短期記憶リカレントニューラルネットワーク)、畳み込みニューラルネットワーク、または他の形態のニューラルネットワークを含み得る。
【0087】
機械学習睡眠分析モデル800を訓練するために、さまざまな訓練法を使用することができる。具体的には、機械学習睡眠分析モデル800は、複数の半教師付き訓練法のうちの1つを使用して訓練することができる。また、機械学習睡眠分析モデル800は、たとえば、誤差の逆伝播などの教師付き学習法を用いて訓練することができる。たとえば、損失関数は、(たとえば、損失関数の勾配に基づいて)モデル(複数可)の1つまたは複数のパラメータを更新するために、モデル(複数可)を通じて逆伝播可能である。平均二乗誤差、尤度損失、クロスエントロピー損失、ヒンジ損失、および/または他のさまざまな損失関数等のさまざまな損失関数を使用することができる。勾配降下法を、複数の訓練反復にわたってパラメータを反復して更新するために使用することができる。いくつかの実装では、誤差の後方伝搬を実行することは、時間を通じて切断された逆伝搬を実行することを含み得る。一般化法(たとえば、重み減衰、ドロップアウトなど)は、訓練されるモデルの汎化能力を改善させるために実行することができる。
【0088】
図9は、本開示の実施形態例に係る、動作データに基づいてユーザの睡眠者タイプを判定する処理の例を示すフローチャートである。いくつかの例では、ウェアラブルコンピューティングデバイス(たとえば、フィットネスバンドまたはスマートウォッチ)100は、ユーザの運動に基づいてモーションセンサデータを生成するように構成されたモーションセンサを備え得る。モーションセンサは、加速度計であり得る。加速度計は、3つの軸の各々における運動(または加速度)を測定し得る。ウェアラブルコンピューティングデバイスは、ユーザ分類システム(たとえば、図2のユーザ分類システム212)および睡眠分析システム(たとえば、図2の睡眠分析システム220)を備え得る。ユーザ分類システム212は、902において、第1の期間中のユーザについて、モーションセンサからモーションセンサデータの第1のセットを取得し得る。いくつかの例では、第1の期間は、1つまたは複数の睡眠セッションを含む。
【0089】
ユーザ分類システム212は、1つ以上の時間間隔中に加速度計によって検出された運動の範囲に基づいて、睡眠係数データを判定し得る。ユーザ分類システム212は、1つ以上の時間間隔における各々の時間間隔中に、ユーザを動いているかまたは静止しているかのいずれかとして分類し得る。
【0090】
ユーザ分類システム212は、904において、モーションセンサから受信したモーションセンサデータに基づいて、ユーザについて、複数の睡眠者タイプから睡眠者タイプを判定し得る。いくつかの例では、複数の睡眠者タイプは、高運動睡眠者タイプを含み得る。ユーザ分類システム212は、第1の期間中のユーザの平均運動回数を判定することによって、モーションセンサから受信したモーションセンサデータに基づいて、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。ユーザ分類システム212は、第1の期間中のユーザによるユーザの運動の平均回数が高運動閾値を超えていると判定し得る。ユーザ分類システム212は、第1の期間中のユーザによるユーザ運動の平均回数が高運動閾値を超えていると判定することに応答して、ユーザの睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプであると判定し得る。
【0091】
ユーザ分類システム212は、ユーザが動いていると分類される1つ以上の時間間隔における時間間隔の間の平均量を求めることによって、モーションセンサから受信したモーションセンサデータに基づいて、ユーザの睡眠者タイプを判定し得る。ユーザ分類システム212は、ユーザが動いていると分類される1つ以上の時間間隔における時間間隔の間の平均量が高運動閾値を超えていると判定し得る。ユーザが動いていると分類される1つ以上の時間間隔における時間間隔の間の平均量が高運動閾値を超えていると判定することに応答して、ユーザ分類システム212は、ユーザの睡眠者タイプが高運動睡眠者タイプであると判定し得る。
【0092】
ユーザ分類システム212は、906において、ユーザについて判定された睡眠者タイプに基づいて、複数の睡眠分析モデルから睡眠分析モデルを選択し得る。いくつかの例では、複数の睡眠分析モデルは、機械学習モデルであり得る。いくつかの例では、複数の睡眠分析モデル内の各睡眠分析モデルは、複数の睡眠者タイプ内の異なる睡眠者タイプからのデータを正確に分析するように訓練される。いくつかの例では、睡眠分析モデルは、1つまたは複数の後処理ルールを含む。
【0093】
いくつかの例では、睡眠分析システム220は、908において、選択された睡眠分析モデルを使用して、第2の期間からのモーションセンサデータの第2のセットを分析して、第2の期間中のユーザについて1つまたは複数の睡眠特性を判定し得る。いくつかの例では、1つ以上の睡眠特性は、ユーザが第2の期間中に眠っていたかどうかを示すデータを含む。いくつかの例では、1つまたは複数の睡眠特性は、第2の期間中のユーザの睡眠状態を示すデータを含む。いくつかの例では、1つまたは複数の睡眠特性は、睡眠セッションの長さを示すデータを含む。
【0094】
本明細書で論じる技術は、サーバ、データベース、ソフトウェアアプリケーション、および他のコンピュータベースのシステム、ならびにそのようなシステムとの間で行われる動作および送信される情報を指す。当業者であれば、コンピュータベースのシステム固有の柔軟性により、コンポーネントの間およびコンポーネントの中のタスクおよび機能の非常に多様な潜在的な構成、組み合わせ、および分割が可能であることを認識するであろう。たとえば、本明細書で論じるサーバプロセスは、単一のサーバ、または組み合わせて動作する複数のサーバを用いて実装してもよい。データベースおよびアプリケーションは、単一のシステムで実装されてもよく、または複数のシステムに分散されてもよい。分散されたコンポーネントは、順次または並行して動作し得る。
【0095】
本主題は、その特定の実施形態例に関して詳細に説明されてきたが、当業者は、前述の理解に達すると、そのような実施形態に対する変更、変形、および等価物を容易に作り出すことができると理解するであろう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例示的なものであり、主題の開示は、当業者に容易に明らかになるような本主題に対する変更、変形、および/または追加を含むことを排除するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9