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特許7464787前部及び股部チャネルを有するテープ式吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】前部及び股部チャネルを有するテープ式吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20240402BHJP
   A61F 13/533 20060101ALI20240402BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20240402BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20240402BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20240402BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/533 100
A61F13/537 310
A61F13/537 330
A61F13/15 390
A61F13/15 355A
A61F13/56 210
A61F13/53 100
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023504703
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 US2021041793
(87)【国際公開番号】W WO2022026202
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】20188701.5
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】エルネスト、ガブリエル、ビアンキ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン、ハインリッヒ、クロイツァー
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0117478(US,A1)
【文献】特開2017-012714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側(10)と、後側(12)と、前記前側の中央から前記後側の中央まで長手方向に概念的に延在する長手方向軸(80)と、を有する個人衛生吸収性物品(20)であって、前記物品は、前記長手方向軸に沿って測定された長さ(L)を有し、前記物品は、前記物品の前記長さの3分の1の長さを有する前部領域(62)と、前記物品の前記長さの3分の1の長さを有する後部領域(64)と、前記物品の前記長さの残りの3分の1の長さを有する、前記前部領域と前記後部領域との間の股部領域(63)と、を概念的に有し、
前記吸収性物品は、液体透過性トップシート(24)と、液体不透過性バックシート(25)と、前記後部領域内の前記長手方向軸の両側に対称的に配設された一対の締着テープ(42)であって、前記締着テープは、前記物品の前記前部領域内のランディングゾーン(44)に解放可能に締着されて、腰部開口部及び2つの脚部開口部を有する閉鎖物品を形成し得る、締着テープ(42)と、
前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収性コア(28)であって、前記吸収性コアは、上部基材層(16)と下部基材層(16’)との間に吸収性材料層(60)を含む、吸収性コア(28)と、を備え、前記吸収性材料層は、
i)吸収性材料を実質的に含まず、主に前記物品の前記股部領域(63)内に配設された少なくとも1つの股部チャネル(26、26’、26’’、26’’’)であって、前記上部基材層及び前記下部基材層は、股部チャネル結合強度を有する股部チャネル結合部(27)によって、前記股部チャネルを介して互いに結合されている、少なくとも1つの股部チャネル(26、26’、26’’、26’’’)と、
ii)吸収性材料を実質的に含まず、主に前記物品の前記前部領域(62)内に配設された少なくとも1つの前部チャネル(56、56’)であって、前記前部チャネルは、前記ランディングゾーン(44)と少なくとも部分的に重ねておかれ、前記上部基材層及び前記下部基材層は、前記前部チャネル(56’)を介して互いに結合されていないか、又は前部チャネル結合強度を有する前部チャネル結合部(57)によって前記前部チャネル(56)を介して互いに結合されているかのいずれかであり、前記前部チャネル結合強度は、前記股部チャネル結合強度よりも弱い、少なくとも1つの前部チャネル(56、56’)と、を含む、個人衛生吸収性物品(20)。
【請求項2】
前記股部チャネル結合部(27)は、第1の結合手段及び追加の結合手段を含み、前記前部チャネル結合部(57)は、前記第1の結合手段を含むが、前記追加の結合手段を含まない、請求項1に記載の吸収性物品(20)物品。
【請求項3】
前記第1の結合手段は、ホットメルト接着剤であり、前記追加の結合手段は、前記接着剤が開状態にある間に前記接着剤によるこれらの層の結合を改善するための、前記股部チャネル内の前記上部基材層と前記下部基材層との間の圧力印加、補助的接着剤、熱結合、機械的結合、超音波結合、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1の結合手段の前記ホットメルト接着剤は、前記吸収性材料層(60)と前記上部基材層(16)との間、及び/又は前記吸収性材料(60)と前記下部基材層(16’)との間に存在する内側コア糊である、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記前部チャネル及び前記股部チャネルは、前記吸収性材料層の縁部のいずれかまで延在しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
少なくとも1つの股部チャネルの長さ(L26)は、前記長手方向軸上に投影して測定されたときに、少なくとも1つの前部チャネルの長さ(L56)の少なくとも2倍である、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
少なくとも1つの股部チャネルは、前記長手方向軸上に投影して測定されたときに、前記吸収性コアの長さ(L’)の少なくとも50%である長さを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記前部チャネル及び前記股部チャネルは、前記チャネル間の最も近い距離(d)が少なくとも5mm、特に5mm~20mmであるように、吸収性材料によって分離されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記長手方向軸に平行な仮想線上の前記前部チャネル及び前記股部チャネルの前記投影は、重なり合っているか、10mm未満の距離(l)だけ分離しているかのいずれかである、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記物品は、前記トップシート(24)と前記吸収性コア(28)との間に捕捉層(52)を更に備え、好ましくは、前記捕捉層は不織布捕捉層である、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品は、前記吸収性材料層(60)と前記バックシート(25)との間に下部捕捉及び分配システム(「下部ADS」)を備え、前記下部ADSは、前記コアの前記下部基材層のみからなるか、あるいは前記下部ADSは、前記下部基材層及び1つ以上の追加層からなるかのいずれかであり、前記下部ADSの坪量は20g/m2~120g/m2の範囲であり、好ましくは、前記下部ADSは、本明細書に記載のZ-コンプライアンス指数及び回復百分率測定方法で測定されたときに、4を超えるZ-コンプライアンス指数と、50%を超える回復百分率と、を有する少なくとも1つの嵩高層を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記股部チャネル結合部(27)は、前記前部チャネル結合部(57)の静的剥離力時間より少なくとも20分大きい静的剥離力時間を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記長手方向軸に対して対称的に配設された一対の股部チャネルであって、前記股部チャネルは、互いに接続又は切断され得る、一対の股部チャネルと、前記長手方向軸に対して対称的に配設された一対の前部チャネルであって、前記前部チャネルは、互いに接続又は切断され得る、一対の前部チャネルと、を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記長手方向軸に対して対称的に配設され、第1の股部チャネルと第2の股部チャネルとの間に配設された吸収性材料を含む中央吸収ゾーンを画定する、第1の股部チャネル及び第2の股部チャネルと、吸収性材料を含み、前記第1の股部チャネル及び前記第2の股部チャネルの横方向外側にそれぞれ配設された第1の横方向吸収ゾーン及び第2の横方向吸収ゾーンと、を備え、前記中央吸収ゾーン内の前記吸収性材料の坪量は、前記長手方向に少なくとも10mmの第1の長さを有する前記コアの少なくとも第1の横断面について、前記横方向吸収ゾーンのそれぞれにおける前記吸収性材料の坪量より高く、前記中央吸収ゾーン内の前記吸収性材料の前記坪量は、前記長手方向に少なくとも10mmの第2の長さを有する前記コアの少なくとも第2の横断面について、前記横方向吸収ゾーンのそれぞれにおける前記吸収性材料の前記坪量より低い、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の吸収性物品を作製するためのプロセスであって、前記プロセスは、
i)上部基材層及び下部基材層を提供するステップと、
ii)任意選択的に、前記上部基材層及び/又は前記下部基材層上にホットメルト接着剤を塗布するステップと、
iii)吸収性材料を前記上部基材層又は前記下部基材層のうちの少なくとも1つに堆積させて、吸収性材料層を形成するステップであって、前記吸収性材料層は、少なくとも1つの股部チャネル及び前部チャネルを含み、前記チャネルは、吸収性材料を実質的に含まず、接着剤が塗布されている場合、この接着剤は、前記吸収性材料層と前記上部基材層及び/又は前記下部基材層との間に存在する、ステップと、
iv)股部チャネル結合部によって前記股部チャネルを介して、及び任意選択的により弱い前部チャネル結合部によって前記前部チャネルを介して、前記上部基材層及び前記下部基材層を互いに結合するステップと、
v)1つ以上のコアラップ封止部(280’、282’、284’、286’)を形成して、吸収性コアを形成するステップと、
vi)このようにして取得された前記吸収性コアを、前記前部チャネルが前記ランディングゾーンと少なくとも部分的に重ねておかれるように前記トップシート、前記バックシート、前記一対の締着テープ、及び前記ランディングゾーンを含む他の吸収性物品構成要素に組み付けて、請求項1~14のいずれか一項に記載の物品を取得するステップと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿及び糞便などの身体滲出液を吸収するための個人衛生吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつなどの個人衛生用の吸収性物品は、身体滲出液、特に多量の尿を吸収し収容するように設計されている。おむつは、典型的には、テープ式物品又はパンツ様物品の2つのカテゴリーに分けられ得る。テープ式物品は、物品の背面に一対の締着テープを備え、物品の前面でランディングゾーン材料に締着されて、閉鎖物品を形成し得る。この物品は、典型的には、最初に物品を置き、その内側を上に向けた状態で開くことによって着用者に適用される。次いで、着用者は、殿部を物品のこの内側の中央に向けて寝かせられる。次いで、物品の前半分及び外側部は、着用者の脚部及び前方股部上に折り畳まれ、物品は、テープをランディングゾーン材料に締着させることによって着用者の脚部及び腰部の周りで閉鎖される。一方、パンツ型物品は、事前に封止されたサイドシームを有し、着用者の脚部に沿って予め形成された脚穴を着用者の股部まで摺動させることによって下着のように着用される。
【0003】
おむつなどの吸収性物品は、典型的には、着用者に面する側の液体透過性トップシートと、衣類に面する側の液体不透過性バックシートと、これらの2つの層間の流体滲出液を吸収するための吸収性コアと、を含む。吸収性コアは、典型的には、コア上部基材層と下部基材層との間に挟まれた吸収性材料の層を含む。下部基材層及び上部基材層は、典型的には、コアの長手方向縁部に沿って封止され、それらの前縁部及び後縁部で開放又は封止され得る。上部基材層及び下部基材層は、典型的には、低坪量不織布又は紙組織であり、合わせてコアラップと称される場合がある。
【0004】
吸収性材料は、典型的には、当該技術分野において既知であるように、超吸収性ポリマー(superabsorbent polymer、SAP)を含む。SAPは、典型的には、セルロース繊維と混合され得る小さい粒子の形態である。SAPは、典型的には、吸収性材料の40重量%~70重量%を表し、残りはセルロース繊維である。更に最近では、吸収性材料がセルロース繊維を含まない、いわゆるパルプフリー又はエアフェルトフリーの吸収性コアが市販されている。これらのエアフェルトフリーのコアでは、SAP粒子は、ポケット内に封入され得(例えば、米国特許第5,433,715号(Tanzerら)、国際公開第2012/052172号(Van Malderen)を参照されたい)、又は接着剤繊維の繊維網によって固定化される(例えば、米国特許出願公開第2008/312617号(Hundorfら)を参照されたい)。
【0005】
吸収性材料を実質的に含まないチャネルを吸収層に含む吸収性コアが提案されている。これらのチャネルは、拡散よりも効率的な方法で吸収性コアのより長い区域にわたって流体を方向付けるのに役立ち得るか、又は使用中にコアを所望の形状に適合させるのに役立ち得る。当該技術分野において、様々なチャネル構成体が提案されている。上部基材層と下部基材層との間に結合部を伴わずに形成されたチャネルは、吸収性材料が膨潤し、チャネルを満たすにつれて、又は更には着用者の動きを通してより早期に、急速に消失する。コアの上部基材層がチャネルを介してコアの下部基材層に結合される結合型チャネルも提案されている。結合型永続的チャネルは、吸収性コアが相当量の流体を吸収した後でも、所定の位置に留まり得る。上部基材層及び下部基材層は、接着剤結合、機械的結合、熱結合、又は超音波結合などの既知の結合技術を使用してチャネル内で結合され得る。そのような結合型チャネルの例は、例えば、国際公開第2012/170778(A1)号、同第2012/170779(A1)号(いずれもRosatiら)及び同第2014/93129号(Roeら)に開示されている。そのような結合型チャネルの利点は、使用中のフィット感の改善、コアのたるみの減少、及び流体分配の向上である。例えば国際公開第2014/200794号(Bianchiら)に開示されているように、使用中に徐々に開いて、膨潤するSAPのためのより多くの空間を解放する一時的な結合部を有するチャネルも提案されている。永続的チャネルの利点がより低い負荷で維持される一方、そのような一時的チャネルは、吸収性コアに負荷がかかったときに、吸収性材料が膨潤するためのより多くの体積を解放するのに有利であり得る。国際公開第2019/083767(A1)号(Bianchi)は、吸収性コア内の異なる位置にチャネルを含み、チャネルの段階的な制御された開放を可能にするために異なる結合強度を有する吸収性物品を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5,433,715号
【文献】国際公開第2012/052172号
【文献】米国特許出願公開第2008/312617号
【文献】国際公開第2012/170778(A1)号
【文献】国際公開第2012/170779(A1)号
【文献】国際公開第2014/93129号
【文献】国際公開第2014/200794号
【文献】国際公開第2019/083767(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、吸収性コアに股部チャネル及び前部チャネルを含む吸収性物品を対象とする。物品の前端部に比較的近く延在する前部チャネルは、おむつを着用者の身体の前側に近づけ、テープがランディングゾーン上で最適ではない方法で締着されたときに物品の前端部が反転したり折り畳まれたりすることを防止するという利点を提供し得ることが見出された。そのような前部チャネルは、吸収性材料が膨潤するときに、物品の前面でコアの隆起を低減し、適切な長手方向の剛性を維持し得ることも見出された。しかしながら、前部チャネルが吸収性物品の前縁部に近接して配置されるこの構成では、前部チャネルは、使用中に締着テープが締着されるランディングゾーンと少なくとも部分的に重ねておかれる。コアが膨潤するにつれ、三次元の起伏のあるプロファイルが前部チャネルの形状に従って出現し、ランディングゾーン材料が同様の方法で変形することが見出された。吸収性材料が比較的高い負荷まで膨潤すると、これは、ランディングゾーンに対する応力を引き起こし、その結果、締着テープが偶発的に解放される場合がある。本発明は、これらの問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「特許請求の範囲」に示されるように、本発明は、第1の態様では、テープ式吸収性物品を対象とし、第2の態様では、そのような物品を作製するためのプロセスを対象とする。物品の吸収性コアは、上部基材層と下部基材層との間に配設された吸収性材料層を含む。吸収性材料層は、主に物品の股部領域に配設された少なくとも1つの股部チャネルと、主に物品の前部領域に配設された少なくとも1つの前部チャネルとを含み、前部チャネルは、少なくとも部分的にランディングゾーンと重ねておかれる。
【0009】
本発明によれば、上部基材層及び下部基材層は、股部チャネル(複数可)を介して互いに結合されるが、前部チャネル(複数可)は、あまり強力には結合されないか、又は更には実質的に結合されず、その結果、吸収性材料が流体を吸収した後に膨潤するとき、吸収性材料は、前部チャネル(複数可)内の上部基材層を下部基材層からより容易に層間剥離させ得る。
【0010】
本発明は、前部チャネルが存在するランディングゾーン下で吸収性材料を膨潤させることによって生じる応力を大幅に低減し、テープがランディングゾーンから偶発的に外れる上記の問題を解消する。一方、股部チャネルは、前部チャネルのチャネル強度よりも高い股部チャネル結合強度を有する。したがって、股部チャネルは、より大きな吸収荷重範囲にわたる吸収層の長手方向の流体分配などの機能を実行し得る。
【0011】
本発明の更なる有利な態様は、以下の説明及び「特許請求の範囲」に開示される。股部チャネル及び前部チャネルは、特に、それぞれ、物品の長手方向軸に対して対称的に配設された一対のチャネルとして提供されてもよい。前部チャネルは、吸収性材料を含む分離ゾーンによって、股部チャネルから分離されてもよい。前部チャネル及び股部チャネルは、任意選択的に、吸収性材料層の縁部のいずれにも到達せず、よって吸収性材料層内に完全に包含される。吸収性材料は、セルロース繊維とSAP粒子との混合物であってもよく、あるいは、吸収性材料は、実質的にセルロース繊維を含まないSAP粒子からなるものでもよい。本発明のこの態様及び様々な他の態様は、以下の説明及び添付の「特許請求の範囲」に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】引っ張って平坦にされた例示的なテープ式おむつの着用者に面する側の平面図であり、いくつかの層が部分的に除去されている。
図2図1のテープ式おむつの部分分解図を示す。
図3】股部チャネルの領域における図1のおむつの概略横断面図を示す。
図4a】前部チャネルの領域における図1のおむつの概略横断面図を示し、前部チャネルは結合されている。
図4b】前部チャネルの領域における図1のおむつの代替の概略横断面図を示し、前部チャネルは結合されていない。
図5】前の図の例示的な吸収性コアを単独で示した平面図であり、コアの上部基材層が部分的に除去されている。
図6】成形された吸収層を有する代替コアの平面図である。
図7】直線チャネルを有する代替コアの平面図である。
図8】X字型を形成する股部チャネルを有する代替コアの平面図である。
図9】本明細書に更に記載される静的剥離力時間試験を行う方法を示す。
図10】本明細書に更に記載される静的剥離力時間試験を行う方法を示す。
図11】本明細書に更に記載される静的剥離力時間試験を行う方法を示す。
図12】本明細書に更に記載される静的剥離力時間試験を行う方法を示す。
【0013】
考察を容易にするために、本発明の吸収性コア及び物品は、これらの図を参照して論じられるが、その中で言及される数字は、具体的に記載のない限り、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0014】
本明細書で使用する場合、「含む(comprise(s))」及び「備える(comprising)」という用語は、非限定的(open-ended)である。それぞれは、続いて記載される特徴、例えば構成要素の存在を特定するものであるが、他の特徴、例えば、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に開示される要素、工程、構成要素の存在を除外するものではない。「含む、備える(comprise)」という動詞に基づくこれらの用語は、特徴がその機能を実施する方法に著しく影響を及ぼす言及されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、「から本質的になる(consisting essentially of)」というより狭義の用語、及び明記されていないあらゆる要素、工程、又は成分を除外する、「からなる(consisting of)」という用語を包含すると解釈されるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特に具体的に示さない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。「典型的に」、「通常は」、「好ましくは」、「有利には」、「特に」、「任意選択的に」などのワードも、特許請求の範囲を限定することが具体的に記載のない限り、特許請求の範囲を限定することを意図しない特徴を修飾する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
吸収性物品20の概説
乳児用テープ式おむつ20の形態の本発明による例示的な吸収性物品が図1図4に示されている。図1は、例示的なおむつの着用者に面する面を平らに広げた状態の平面図であり、おむつの構造をより明快に示すために構造の一部を切り欠いている。図2は、図1のおむつの異なる層を示す分解図である。図3図4は、それぞれ、図1の線3-3及び4-4に沿って取られたおむつ20の横断面図である。このおむつ20は、当然のことながら、例示目的のみのために示されており、具体的に記載のない限り、限定するものではない。以下の説明では、「おむつ」及び「吸収性物品」という用語は、互換的に使用される。
【0016】
図1に示されるように、吸収性物品20は、前縁部10、後縁部12、及び2つの長手方向に延在する側(横)縁部13、14を含む。前縁部10は、着用時にユーザーの前方に向かって置かれるように意図された、物品の縁部であり、後縁部12はその反対側の縁部である。図1に例示的に示されるように、平らに広げた構成で物品を着用者に面する面から見ると、この吸収性物品は、長手方向軸80によって概念的に分割され、この長手方向軸80は、物品の前縁部10の中央から後縁部12の中央まで長手方向に沿って延在し、この軸に対して、物品を2つの実質的に対称な半部に分割するものである。物品の特定の部品に伸縮性の構成要素によって張力が作用している場合、物品は典型的に、物品の外周及び/又は粘着表面に沿ってクランプを使用して平らにすることができ、それによって、物品をピンと引っ張って実質的に平らにすることができる。別途記載のない限り、本明細書に開示される寸法及び面積は、この平らに広げられた構成の吸収性物品及び吸収性コアに適用される。
【0017】
物品は、前端部12の中央から後縁部10の中央まで長手方向軸80に沿って測定される長さLを有する。吸収性物品はまた、横断方向軸90によって概念的に分割され得る。横断方向軸90は、長手方向軸80に垂直であり、長さLの半分で交差する。長手方向軸80と横断方向軸90との交差は、本明細書では物品の中心点Cとして定義される。物品は、長手方向軸に沿ってLの3分の1である等しい長さを有する3つの領域に概念的に更に分割され得るが、それらの領域は、前縁部10から、Lの3分の1にわたって股部領域に向かって延在する前部領域62、おむつの真ん中の3分の1にある股部領域63、及びLの残りの3分の1にわたって物品の股部領域から後縁部12へと延在する後部領域64である。全ての3つの領域は、物品がそのような平坦な状態にあるときに、長手方向軸で測定された長さが等しくなる。前部領域、股部領域、後部領域、並びに長手方向及び横方向軸は、本明細書において概念的に定義されるものであり、それらは典型的には、実際のおむつで具体化されるものではないが、互いに対して、またおむつに対して本発明の様々な構成要素の位置を記述するのに有用である。
【0018】
吸収性物品20は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、及びトップシートとバックシートとの間の吸収性コア28を備える。吸収性コアは、上部基材層16と下部基材層16’との間に挟まれた吸収性材料60を含む。上部基材層及び下部基材層は、合わせてコアラップと称される。吸収性材料層60は、長手方向軸及び横断方向軸によって形成された、長方形であるか又は成形され得る平面から見られるような輪郭を有する。吸収性材料層60は、少なくとも1つの股部チャネル26及び少なくとも1つの前部チャネル56を含む。股部チャネル26は、主に物品の股部領域に配設され(物品の前部領域及び/又は後部領域内に延在し得る)、前部チャネル56は、主に物品の前部領域に配設される。股部チャネル56は、上部基材層と下部基材層との間に結合部27を含み、前部チャネルは、結合部を有さないか、又は股部チャネル結合部より弱い結合部57のみを有する。前部チャネル及び股部チャネル並びにそれらのそれぞれの結合部は、以下で更に詳細に論じられる。前部チャネル及び股部チャネルはそれぞれ、好ましくは、長手方向軸に対して対称的に配設された一対のチャネルとしてそれぞれ配設される。対を形成するチャネルは、長手方向軸に沿って互いに接続されてもよく、又は接続されなくてもよく、対は、例えば、U、V、又はX字型を形成する。本明細書で使用する場合、「チャネル」又は「少なくとも1つのチャネル」という用語は、具体的に記載のない限り、「1つ以上のチャネル、特に少なくとも一対のチャネル」を意味する。
【0019】
本発明の物品は、図1のおむつに例示的に示されるように、物品の後部領域に提供された一対の締着テープ42と、物品の前部領域上のランディングゾーン44と、を含むテープ式物品である。ランディングゾーンは、典型的には、バックシートの外面に取り付けられた別個の材料片、典型的には不織布である。ランディングゾーンはまた、そのような層が存在する場合、バックシートの不織布外側カバーと一体であってもよいが、これは、分離しているランディングゾーンと比較してバックシートの全体的な価格を増加させ得る。
【0020】
物品の着用者に面する側は、主としてトップシート24によって形成される。ローション(図示せず)は、典型的には、トップシート上に直接、長手方向に延在するストライプ状に存在してもよい。図には、伸縮性ガスケットカフ32(外側カフとも呼ばれる)、直立バリアレッグカフ34(内側カフとも呼ばれ、典型的には同じく伸縮性である)のような他の典型的なおむつ構成要素が表されている。図面を明確にするために、それぞれのタイプのカフについて1つの弾性ストランド33、35のみが示されているが、典型的にはそれぞれのカフは、典型的には1~4個の弾性ストランドを含んでもよい。
【0021】
吸収性物品は、トップシートと吸収性コアと間に1つ以上の捕捉層及び/又は分配層52を更に備えてもよい。捕捉層52は、トップシートの直下に配設されてもよく、分配層(図示せず)は、任意選択的に、捕捉層52と吸収性コア28との間に存在する。任意の捕捉層又は分配層はまた、捕捉材料又は分配材料を含まないチャネル(図示せず)を含んでもよい。物品の異なる構成要素は、典型的には、接着剤結合などの任意の既知の手段によって隣接する構成要素に取り付けられ、例えば、当該技術分野において既知であるようなスパイラル接着剤又はスロットコーティングによって、トップシートは捕捉層に取り付けられ、捕捉層は吸収性コアの上部基材層に取り付けられてもよい。これらの接着剤は、簡略化のために図には示されていない。
【0022】
これらの構成要素及び更なる構成要素が、以下で更に詳細に論じられる。吸収性物品はまた、後部の弾性的腰部機構、前部の弾性的腰部機構、横断バリアカフ、尿との接触時に色を変化させるバックシートと吸収性コアとの間の湿り度インジケータなど、図示されていない他の典型的な構成要素を備えてもよい。
【0023】
締着システム42、44
吸収性物品は、物品の前部領域上のランディングゾーン44に締着されて、腰部開口部及び2つの脚部開口部を有する閉鎖物品を形成し得る、物品の後部領域上の一対の締着テープ42を備える。締着システムは、吸収性物品を着用者の腰部周りに保持するために吸収性物品の周囲に横方向の張力を提供する。締着テープ42は、物品の後部領域の両側に配設された延伸可能な後耳部40に取り付けられてもよい。後耳部40は、当技術分野において既知であるように、例えば国際公開第2006/138、725(A2)号(Lamら)に開示されているように、物品のシャーシに取り付けられてもよい。
【0024】
締着システムは、当該技術分野において既知の任意の典型的な構成体によるものでもよい。締着システムは、典型的には、フックアンドループシステムにおいて既知であるように、インターロック締着具を含む。締着テープ42は、典型的には、「フック」部品42aを含み、「ループ」は、ランディングゾーン材料の一部であり、典型的には、好適に成形された繊維を有する不織布材料を含む。インターロック締着具を含む他の既知の締着システムは、タブ&スロット、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は雌雄同体締着構成要素である。任意の既知の締着手段は、一般に許容可能である。締着システムは、好ましくは、ユーザーがテープの締着を再調整することができるように再締着可能である。締着具は、典型的には、ランディングゾーンに解放可能に取り付けられる。
【0025】
ランディングゾーン44は、物品の前側腰部領域に提供され、締着テープ42は、物品が着用者に着用されたときにランディングゾーンと係合する。ランディングゾーンは、典型的には分離している単一材料であるが、ランディングゾーンは、例えば、長手方向軸のそれぞれに配設され、かつ左右の締着テープにそれぞれ係合するための間隙で分離された2つの別個の部分を含むことは除外されない。
【0026】
いくつかの例示的な締着システムは、米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号(Buell)に開示されている。例示的なインターロック締着システムが米国特許第6,432,098号に開示されている。締着システムはまた、米国特許第4,963,140号(Robertsonら)に開示されるように、使い捨て構成で物品を保持するための手段を提供し得る。
【0027】
吸収性コア28の概説
本発明による第1の例示的な吸収性コア28は、図1に示される物品20の残りの部分と切り離して図5に示されている。ランディングゾーン44の位置は、図5に点線で、並びに他の図6図8に示されている。本明細書で使用する場合、「吸収性コア」又は「コア」という用語は、合わせてコアラップと称される上部基材層16と下部基材層16’との間に挟まれた吸収性材料層60を含む、吸収性物品の構成要素を指す。本明細書で使用する場合、「吸収性コア」という用語は、トップシート、バックシート、又は分配/捕捉層を含まない。吸収性コアは、典型的には、吸収性物品の全ての構成要素のうちで最も高い吸収能力を有し、物品内の超吸収性ポリマー(SAP)の全部又は少なくとも大部分を含む。したがって、コアは、典型的には、コアラップと、吸収性材料と、任意選択的に接着剤とから本質的になるか、又はこれらからなる。「糊」及び「接着剤」という用語は、互換的に使用される。吸収性材料は、SAP粒子とセルロース繊維とのブレンドからなり得るが、本発明はまた、例えば、100%SAP粒子からなる、及び/又はセルロース繊維を含まない他の吸収性材料にも適用可能である。「吸収性コア」及び「コア」という用語は、本明細書では互換的に用いられる。
【0028】
吸収性コアは、典型的には薄く、柔軟性があり得るため、平坦な表面、並びに湾曲した表面、例えば、その作製プロセス中にドラムの曲面に置くことができる。図5は、図1図4の物品の吸収性コアの平面図である。上部基材層16は、コアの頂部側を形成し、下部基材層16’は、吸収性コアの底部側を形成する。上部基材層及び下部基材層は、2つの別個の基材によって形成され得るが、コアラップの上部基材層及び下部基材層の両方を形成する単一の基材を有することも可能である。吸収性コアは、典型的に前縁部280、後縁部282、及び前縁部と後縁部との間に延在する2つの長手方向に延在する側縁部284、286を含む。コア280の前縁部は、吸収性物品の前縁部10に向けて配置されるか又は配置されるように意図される縁部である。典型的には、吸収性材料は、より高い吸収性が物品の前半分に向かって典型的には求められることから、後縁部に向かうよりも股部領域及び前部領域に向かって、幾分より多くの量を有利に分配させ得る。典型的には、前縁部280及び後縁部282は、長手方向に延在する側縁部284、286より短い。コアラップの上部基材層16は、任意選択的に下部基材層16’よりも親水性が高い。
【0029】
吸収性材料はまた、交差方向にプロファイルされてもよい。一対の股部チャネルを含む吸収性コアでは、吸収性材料の坪量は、股部チャネル間の吸収性材料の坪量が、それぞれのチャネルとコアの対応する長手方向縁部との間の吸収性材料の坪量とは異なるように、プロファイルされ得る。坪量は、例えば、国際公開第2017/189150(A1)号(Bianchiら)に教示されるように、考慮される長手方向位置に応じて、より高くても、より低くてもよく、又はより高いとより低いとの両方であってもよい。本出願に示されるように、一対の股部チャネルを含む吸収性コアについて、第1の股部チャネルと第2の股部チャネルとの間に配設された吸収性材料を含む中央吸収ゾーンと、股部チャネルの両側でそれぞれ外向きに配設された第1及び第2の横方向吸収ゾーンとは、中央吸収ゾーンの吸収性材料の坪量が、長手方向に少なくとも10mmの第1の長さを有するコアの少なくとも第1の横断面について、横方向吸収ゾーンのそれぞれにおける吸収性材料の坪量より高いこと、及び中央吸収ゾーン内の吸収性材料の坪量が、長手方向に少なくとも10mmの第2の長さを有するコアの少なくとも第2の横断面について、横方向吸収ゾーンのそれぞれにおける吸収性材料の坪量より低いことを特徴とし得る。
【0030】
一方、吸収性材料の坪量が、前部チャネルが存在する区域では交差方向に一定のままであることは、有利であり得る(例えば、一対の前部チャネルについて、吸収性材料の坪量は、前部チャネル間、及びそれぞれのチャネルと対応する吸収層の長手方向縁部との間で同じであることを意味する)。前部チャネルの区域で坪量を一定に保つことは、テープの機能性に影響を与え得る堅すぎる三次元構造を作製する前に、チャネルが膨潤圧力下で層間剥離するのに役立ち得る。しかしながら、吸収性材料の坪量はまた、前部チャネルが存在する区域において機械横方向にプロファイリングされ得る。
【0031】
吸収性コアのフットプリント全体は、コアラップによって定義され、典型的に、吸収性材料を封入していないコアラップの領域を含む縁部から縁部まで、特に、存在する場合は前端封止部280’及び後端封止部282’で測定したときに、横断方向のコア幅W’と長手方向のコア長さL’と有する略長方形である。コアラップは、典型的には長手方向に封止され、任意選択的にその後端部及び前端部で横断方向に封止される。コアが長方形でない場合には、横断方向及び長手方向に沿って測定される最大の寸法を用いて、コアの幅及び長さがそれぞれ報告され得る。コアの幅及び長さは、目的とする用途に応じて異なってもよい。乳児及び幼児用のおむつでは、幅W’は、例えば、40mm~200mm、長さL’は100mm~600mmの範囲であり得る。成人用失禁製品は、より高い最大寸法を有し得る。吸収性コアは、長手方向軸80に対して対称であり得る。コアの長手方向軸は、典型的には、コアが物品に組み込まれたときに吸収性物品の長手方向軸と重なり合うため、図では、両方の長手方向軸が同じ数字80で指定されている。
【0032】
吸収性材料は、吸収性物品で使用される任意の従来の吸収性材料であってもよい。吸収性材料は、吸収性ゲル化材料(absorbent gelling material、AGM)とも呼ばれるセルロース繊維と超吸収性ポリマー(SAP)粒子とのブレンドであり得る。例えば、米国特許第5,151,092号(Buell)を参照されたい。吸収性材料は、特に、吸収性材料の総重量に対して、30重量%~75重量%のSPA粒子、特に40重量%~70重量%のSAP粒子、又は45重量%~65重量%のSAP粒子を含んでもよい。吸収性材料の残りの部分は、典型的には、セルロース繊維であってもよい。したがって、吸収性材料は、25重量%~70重量%のセルロース繊維を含んでもよい。合成繊維はまた、吸収性コアに含まれ得るが、典型的には吸収性材料と見なされない。吸収性材料はまた、吸収性材料の最大75重量%、80重量%のより多量のSAPを含んでもよく、又はより多くがセルロース又は他の繊維と混合されてもよい。吸収性コアはまた、当技術分野において既知のように、吸収性材料としてセルロース繊維を含まないSAP(いわゆる「エアフェルトフリー」コア)から本質的になり得る。例えば、国際公開第2008/155699号(Hundorf)は、SAPの層上に堆積された繊維状の熱可塑性接着材のネットによって固定化されたSAPのパターン化層を有する吸収性コアを開示している。
【0033】
好適なSAPは、当技術分野において既知であるように、大量の流体を吸収することができる任意の非水溶性、水膨潤性ポリマーであり得る。本明細書で使用する「超吸収性ポリマー」という用語は、遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity、CRC)試験(EDANA法WSP241.2.R3(12))を用いて測定されたときに、それらの重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水を吸収し得る、吸収性材料、典型的には架橋ポリマー材料を指す。SAPは、具体的には、20g/g超、若しくは24g/g超、又は20~50g/g、20~40g/g、若しくは24~30g/gのCRC値を有し得る。
【0034】
吸収性材料層60は、図5に示されるように略長方形であってもよいが、他の形状も可能である。吸収層は、成形された吸収層60’について図6に示されるように、コアの長手方向縁部284、286が股部領域に、前部領域及び後部領域に対するテーパ部分を有するように成形されてよい。後部区域より大きい前部区域を有する代替的に成形された吸収層が、図7に示されている。小サイズの乳児用おむつはまた、臍帯の残りの存在に適合するように、吸収性材料層の前縁部にノッチを含んでもよい。
【0035】
吸収性コアは、特定の厚さ(キャリパー)に限定されない。典型的には、物品の長手方向軸及び横断方向軸が交わる中心点(C)で測定したときのコア(乾燥、すなわち、使用前)の厚さは、2.0mm~10.0mmの範囲、特に、17.0mm(±0.2mm)の直径を有する平坦な円形フット付きで、2.07kPa(0.30psi)で測定されたときに3.0mm~7.0mmの範囲であり得る。
【0036】
吸収性材料は、堆積基材として層を使用する上部基材層又は下部基材層のいずれかに堆積され得、次いで、このように堆積された吸収層の上に他方の層が適用されるか又は折り畳まれる。あるいは、吸収性材料は、上部基材層16及び下部基材層16’上にそれぞれ第1及び第2の吸収層として堆積されてよく、その後、両方の吸収層は、向かい合わせに接触するように一緒に挟まれて、単一層を形成する。この構成体は、例えば、国際公開第2008/155699号(Hundorfら)に開示されているような、特定のエアフェルトフリー吸収性コアで使用される。
【0037】
本発明の吸収性コアは、それらを作製するための特定のプロセスに限定されず、本発明のコアは、これらの区域に実質的に吸収性材料が堆積されないように、所望のチャネルの形状に一致する起立部分が装着された従来のエアレイイングドラム上にセルロース繊維と超吸収性粒子との混合物をエアレイイングすることによって、より慣習的に作製され得る。例えば、異なる坪量を有する区域を作製するための起立部分を有する修正されたドラムについて、国際公開第2004/011,723号(Venturinoら)を参照されたい。起立部分の形状は、任意の所望のチャネル形状を作製するように適合され得る。
【0038】
股部チャネル26及び前部チャネル56
吸収性材コア28は、吸収性材料層60内に少なくとも股部チャネル26と、少なくとも前部チャネル56と、を含む。チャネルは、吸収性材料を実質的に含まない区域である。「実質的に含まない」とは、高速な作製プロセスにより、チャネルの不随意汚染によって微量の吸収性材料が偶発的に存在する可能性があることを意味する。本明細書で使用される単数形のワード「チャネル」は、別途具体的に記載のない限り、「1つ以上の、特に少なくとも一対のチャネル」を意味し、一対のチャネルは、長手方向軸の一方の側に1つのチャネルを含み、長手方向軸の他方の側に対称的に他方のチャネルを含むことが理解される。
【0039】
股部チャネル26は、主に物品の股部領域63に存在する。股部チャネルは、物品の前部領域62及び後部領域64内に有利に延在し得るか、又は少なくとも前部領域内に延在し得るか、又は少なくとも後部領域内に延在し得る。これらの長手方向に延在するチャネルは、吸収性物品のより良好な湿潤適合、並びに吸収性材料の効率的な利用を提供すると考えられる。「主に」股部領域に存在するとは、股部チャネルの長さが、物品の前部領域又は後部領域内より股部領域においてより高いことを意味する。本明細書に示される全長は、長手方向軸80(又は長手方向軸に平行な任意の他の仮想線)上に投影されるように測定される。股部チャネル長の少なくとも40%は、股部領域内、特に股部チャネル長の少なくとも50%にあってもよい。例えば、股部チャネルは、その長さの少なくとも50%が股部領域内にあり、25%以下がそれぞれ後部領域内及び前部領域内にあるように構成されてもよい。
【0040】
前部チャネル56は、主に物品の前部領域62内に存在する。「主に」存在するとは、前部チャネル長の少なくとも50%、特に少なくとも60%及び最大100%(100%の前部チャネルが完全に前部領域内に存在し、股部領域まで延在しない)が、物品の前部領域内にあることを意味する。前部チャネル56は、ランディングゾーン44と少なくとも部分的に垂直方向に重ねておかれる。本発明によれば、前部チャネルは、物品の前縁部に向かって比較的遠くまで延在し、その結果、前部チャネルは、ランディングゾーン44と少なくとも部分的に(垂直方向に)重ねておかれる。
【0041】
長手方向軸上に投影された吸収性コアの全てのチャネルの累積長さは、コア内に存在する全てのチャネルの長さの合計であるが、2つのチャネルが長手方向軸上の重なり合う位置に位置付けられている場合、いずれの重なりも二重に計数されない。例えば、図5では、チャネルの累積長はL56+L26である(股部チャネルの長さ+前部チャネルの長さ)。コア内の全てのチャネルの累積投影長さをコアL’の長さで除算し、パーセンテージで表すと、有利には、30%~95%、好ましくは50%~90%、特に60%~90%の範囲となり得る。
【0042】
本発明によれば、例えば、図3に示されるように、股部チャネル26は、コアラップの上部基材層16と下部基材層16’との間に結合部27を含む。この結合部27は、乾燥状態及び湿潤状態における股部チャネルの構造的一体性を提供する。当該技術分野において既知の任意の既知の結合技術、特に接着剤結合、熱結合、機械的結合、超音波結合、又はそれらの任意の組み合わせから選択される結合を使用して、この結合部が提供され得る。内側コア接着剤(図示せず)は、例えば、少なくとも、コアラップの上部基材層及び/又は下部基材層上のチャネルの区域内に、典型的にはスロットグルーの塗布又は任意の他の手段によって塗布され、その後、接着剤が依然として開口状態にある間に(ホットメルト接着剤の場合)、これらの領域に良好な接着剤結合を提供するために、チャネルの区域に圧力が加えられ得る。そのような接着剤結合プロセスの例示的な特許開示は、エアフェルト又はエアフェルトフリー吸収性コアについて国際公開第2012/170,798(A1)号(Jackelsら)、欧州特許第2,905,000号(Jackelsら)及び同第2,905,001号(Armthold-Osmolら)で見出すことができる。
【0043】
熱結合、機械的結合、超音波結合などの他の結合手段も、追加の結合又は代替結合として使用され得る。例えば、股部チャネルでは、接着剤結合は、熱結合、機械的結合、又は超音波結合によって補強されてもよい。そのような熱結合、機械的結合、又は超音波結合は、コアラップの外側を通るチャネル区域に適用され得る。例えば、耐水性接着剤又は熱結合を含む二次結合を開示する国際公開第95/11652号(Tanzerら)を参照されたい。
【0044】
典型的には、股部チャネル結合部27は、一般に、それらが収容される吸収性材料フリーのチャネル26と同じ輪郭及び形状を有してよく、この結合部は、最適な位置合わせからのいくらかの偏差が高速プロセス中に起こり得るため、許容誤差(例えば、数mm)を可能にするためにわずかに小さい。チャネル結合部27は、無視できない量の吸収性材料を含む領域に提供される結合部と比較して、チャネル結合部27が吸収性材料を含まない(過程の偶発的な汚染を除く)巨視的な区域に提供される場合、より効率的に作製され、より強力になり得ることが予想される。典型的なチャネル幅は、2mm~20mm、特に4mm~12mmの範囲である。
【0045】
吸収性コアは、少なくとも1つの前部チャネル56を更に含み、コアラップの上部基材層16及び下部基材層16’は、股部チャネル(複数可)ほど強力には結合されない。これらの2つの層はまた、前部チャネルを介した実質的な結合部を有さなくてもよい。非結合チャネルは、例えば、接着剤を提供しない、又は接着剤が存在する場合に、接着剤が依然として粘着性である間に基材を一緒に意図的に押圧しない、又は前部チャネルの区域内に任意の他の結合手段を提供しない、などによって得られてもよく、その結果、これらの区域内のコアラップの頂部側及び底部側は互いに結合されなくなる。これは、例えば、前部チャネル56’について図4bに示されている。
【0046】
結合部がない又は弱い前部チャネルは、それらが存在するコアの前部区域において初期の急速流体分配を提供し得る。しかしながら、これらの前部チャネルは、股部チャネルほど永続的ではなく、一旦吸収層が流体を吸収し膨潤すると、これらの前部チャネルの上部基材層及び下部基材層は、吸収性材料の膨潤圧力によって層間剥離し得、よって追加の体積を直ちに又は徐々に解放し得、膨張した吸収性材料がそこに充填され得る。
【0047】
非永続的結合は、典型的には、コアラップを形成する上部基材層及び/又は下部基材層の内面上に存在する内側コア接着剤(補助糊とも呼ばれる)によって提供され得る。そのような内側コア接着剤は、典型的には、コアラップ内に吸収性材料を部分的に固定化するために使用される。内側コア接着剤は、当技術分野において既知であるように、典型的には、基材の内面上の長手方向ストライプ又はらせん状コーティングの形態でスロットコーティングによってコアラップの少なくとも一方の側に広く塗布される。いくつかのエアフェルトフリーコアでは、SAP粒子も、追加の糊の繊維網を使用して固定化される。したがって、接着剤がコアラップ内に存在する場合、前部チャネルに対応する堆積区域内の比較的狭いゾーン内に任意の接着剤を塗布することを回避することは困難又は複雑であり得る。しかしながら、これらの接着剤は、接着剤が比較的低い坪量で提供される場合、及び/又はコアの作製プロセス中にこれらの領域でコアラップの2つの側の間に圧力が加えられないか、又はほとんど加えられない場合、チャネル結合部を提供しないか又は弱い結合部のみを提供する。ホットメルト接着剤は、典型的には数秒で冷却し、この開口時間後にその接着特性を緩めるため、塗布後にチャネル区域に直接圧力が加えらないか又はほとんど加えらない場合、補助糊又は繊維網ホットメルト接着剤は、結合部を生成しないか、又は例えば、糊を塗布してから数ミリ秒後に強力な圧力が加えられた場合より、少なくともはるかに弱い結合部を生成することになる。代替的又は追加的に、同じ接着剤又は異なる接着剤(本明細書では補助的接着剤)のより多くは、前部チャネルではなく股部チャネルの区域内に塗布されて、股部チャネル内に、前部チャネル内より強い結合部を提供し得る。代替的に、又は追加的に、熱結合又は超音波結合などの追加の結合は、両方のタイプのチャネルで以前に示された構造用接着剤のいずれかに加えて使用されてもよい。
【0048】
まとめると、股部チャネルには、例えば、内側コア接着剤などの第1の結合手段と、これらのチャネルに対して特に追加の圧力印加、補助接着剤、熱結合、超音波結合、又は機械的結合(エンボス加工など)などの追加の結合手段と、を使用することによって、コアの上層と下層との間に比較的強い結合部が意図的に提供される。一方、前部チャネルは、図4aに示されるようなより弱い結合部57が提供されるか、又は図4bに示されるように結合部を伴わない。より弱い結合部57が前部チャネル内に存在する場合、これらの結合部は、例えば、股部チャネルに対するものと同じ第1の結合手段を含み得るが、股部チャネル結合部の追加の結合手段は含まない。したがって、前部チャネル結合部57は、それらが存在する場合、股部チャネルの結合部27より容易に層間剥離することになる。したがって、使用中、前部チャネル結合部57は、股部チャネル結合部27より速く層間剥離することになる。股部チャネル結合部は、典型的には物品の長期間の摩耗時間中に解放されないように、更に実質的に永続的であってもよい。
【0049】
チャネル内の上部基材層と下部基材層との間の結合の強度は、その静的剥離力時間によって特徴付けられ得る。要するに、このパラメータは、1インチ(2.54cm)幅の試料が、試料の一方の側が150gの重り付きで吊り下げられているときに層間剥離するのにかかる時間を分単位で測定する。したがって、股部チャネルの静的剥離力時間は、前部チャネルの静的剥離力時間より大きくなる。特に、股部チャネルの静的剥離力時間は、50分超、又は60分超、又は70分超であり得るが、前部チャネルの静的剥離力時間は、50分未満、特に40分未満、又は30分未満である。股部チャネルは、前部チャネルの静的剥離力時間より大きい、少なくとも20分、又は少なくとも30分、又は少なくとも40分の静的剥離力時間を有し得る。
【0050】
股部チャネル及び前部チャネルは、前部チャネルに対しては存在しないか又ははるかに弱い股部チャネルに対する結合ステップを除いて、同じ方法で一般に形成され得る。本明細書では、「チャネル」という用語が更なる指示なしに使用される場合、特定のタイプのチャネルを意味する文脈から明らかでない限り、股部チャネル及び/又は前部チャネルのいずれか又は全てを意味する。
【0051】
横漏れ防止の点で、チャネルの全て又は少なくともいくつかが吸収性材料層の周辺のいずれかまで延在しないことは有利である。言い換えれば、それぞれのタイプのチャネルのうちの少なくとも1つは、有利には、吸収性材料によって形成された堆積区域内に完全に包含されてもよい。コア内のチャネルは、特に、吸収層の周辺の任意の外縁部から少なくとも5mmの距離で終了してもよい。股部チャネル及び前部チャネルは、吸収性材料を含む分離ゾーン又は緩衝材によって互いに分離され得る。図5図8に表されるように、前部チャネルと股部チャネルとの間の最短距離dは、例えば、少なくとも5mm、特に5mm~20mmであってもよい。前部チャネルと股部チャネルとの間にある程度の距離にわたって吸収性材料を保持することは、股部チャネル内に収集される流体が、前部チャネル内に直ちに伝達され、その結果、これらの前部チャネルが排泄された液体の最初の噴出で早々に消失することを回避するのに役立ち得る。
【0052】
一方、長手方向軸上に投影されたときに考慮されるように、前部チャネル及び股部チャネルの長手方向位置は、重なり合ってもよく、又は前部チャネルと股部チャネルとの間が0mm~20mm未満、又は0mm~10mm未満、又は0mm~5mm未満の範囲の距離lで分離されてもよい。このようにして、前部チャネルは、股部チャネルが終了する位置と略同じ長手方向位置で開始してもよく、その結果、吸収性コアは、意味なく中断されることなく、前部領域から少なくとも股部領域、好ましくは物品の後部領域までのチャネルを含む。この連続的な存在は、吸収性コアの延在する長さにわたってチャネルの利点を提供する。前部チャネル及び股部チャネルはまた、長手方向に部分的に重なり合ってもよい。これらの距離l及びdはまた、図7及び図8に示されるように、特に比較的短い股部チャネルが使用される場合、より大きくてもよい。
【0053】
前部チャネル及び股部チャネルは、それぞれ、長手方向軸に対して対称的に配設された1つ以上の対のチャネルとして配設されてもよく、その結果、股部チャネルは、長手方向軸に対して互いに鏡像であり、同様に前部チャネルは、長手方向軸に対して互いに鏡像である。これは、典型的には、チャネルがランダムに又は非対称的に配設された場合より良好なフィット感及び流体分配を提供する。任意の対のチャネルは、長手方向軸に沿って、例えば、それらの前部末端及び/又は後部末端で、又はそれらの中心で一緒に接合されて、例えば、図8のようなX字型チャネル、又はU字型若しくはV字型などの別の対称形状を形成してもよい。
【0054】
股部チャネル及び前部チャネルは、典型的には長手方向に延在し、これは、それぞれのチャネルが、横断方向より少なくとも長手方向に長く延在することを意味する。股部チャネルは、典型的には、前部チャネルより長手方向に長く、例えば、前部チャネルの少なくとも2倍(長手方向軸上に投影後に前述したように測定したとき)長く長手方向に延在する。少なくともいくつかのチャネルは、その長さの少なくとも一部に沿って、少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mm、最大で例えば20mm、又は16mm、又は12mmの幅を有してもよい。それぞれのチャネルの幅は、実質的にそのチャネルの全長を通して一定であってもよく、又はその長さに沿って異なってもよい。例えば、チャネルは、直線状であり、幅が物品の前部から後部まで徐々に減少するか又は増加するように長手方向に配向されてもよい。チャネルの幅は、異なるチャネル間で同じであっても異なっていてもよい。
【0055】
図5の平面図に単独で示される例示的なコアは、一対の股部チャネル26及び一対の前部チャネル56を有する。当然ながら、本発明による吸収性コアは、図に表されるより多い又は少ないチャネルを含んでもよい。吸収性コアはまた、例えば、物品の後部領域64に一対のチャネルを含んでもよい。
【0056】
図5のチャネルは湾曲している。前部チャネル及び股部チャネルのいくつか又は全ては、特に、反転ブラケット(特に、少なくとも股部チャネル26)のように長手方向軸80に向かって凹状であってもよい。チャネルのいずれも弓状部を有し、弓状部の接線と長手方向軸との間の角度は20度以上である。そのような弓状部を有するチャネルは、例えば、国際公開第2014/093130(A1)号(Roeら)に開示されている。当然ながら、前部チャネル及び/又は股部チャネルの異なる形状及び配向が可能である。例えば、図7に例示的に示されるように、前部チャネルのうちの少なくとも1つ、及び/若しくは股部チャネルのうちの少なくとも1つ、又は両方のチャネルは、直線状であり、長手方向軸に平行であってもよい。チャネルはまた、部分的又は完全的に直線状であり、長手方向軸に対して斜めであってもよい。チャネルは、上記のもののように他の形状又は配向を有してよい。例えば、チャネルは、国際公開第2014/093129(A)号(Roeら)に開示された例示のように、特に結合された股部チャネルについて、分岐しているか若しくはU字型であってもよく、かつ/又は物品の後部に向かってポケットを形成してもよい。部分的に長手方向に延在し、物品の長手方向軸と一致するチャネルが存在しても又は存在しなくてもよいが、そのようなチャネルは、物品の中央に折り畳み線を生成し得、それによって物品を下向きに折り畳むことが可能になり、接触がある程度失われ得る。
【0057】
長手軸に対して1つ以上の対称的な対(複数可)として存在する場合、それぞれの対のチャネルは、それらの全長手方向寸法にわたって、又はその一部にわたって互いに離間配置されてもよい。離間距離は、チャネルのいくつかの点で、又はその全長にわたって、横断方向に測定したときに例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも16mmであってもよい。いくつかのチャネルは、一対が、それらの基部でU字型又はV字型に接合され得るように、又はそれらの中央に向かって接続され、例えば、図8に示されるように十字型若しくはX字型を形成し得るように存在する。
【0058】
上部基材層16及び下部基材層16’
吸収性コア28は、吸収性材料を挟むコアラップを形成する上部基材層16と下部基材層16’とを含む。様々なコアラップ構成体が可能である。コアラップは、特に、図に表されるように、コアラップの頂部側及び底部側をそれぞれ形成する2つの別個の基材16、16’を含んでもよい。例えば、2つの異なる基材を有することにより、これらの基材を組み合わせてコアラップを形成する前に、コアラップの頂部側の内面及び底部側の内面の両方に内側コア糊をより容易に堆積させることが可能になる。2つの基材は、2つの長手方向封止部284’、286’、及び任意選択的に前部シール280’及び後部シール282’を有するCラップ又はサンドイッチ構成で取り付けられてもよい。しかしながら、このコアラップ構成体は、本発明を限定するものではなく、任意の従来のコアラップ構成体が使用されてもよく、例えば、単一基材の一部に吸収性材料が堆積され、次いで、基材の残りの部分が堆積された吸収性材料の上に折り畳まれてコアの他方の側を形成する。次いで、この単一の基材構成体は、単一の長手方向縁部の封止部で長手方向に封止され得る。コアラップはまた、それらの長手方向側に沿って長手方向側封止部と向かい合わせの関係(サンドイッチ)で平坦に配設された2つの基材を含んでもよい。
【0059】
コアラップ材料は、吸収性材料を受容かつ収容するのに好適な任意の材料であってもよい。従来のコアの生産において使用される典型的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体が使用され得る。コアラップは、特に、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、又はメルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのうちのいずれかの積層体などの不織布ウェブによって形成されてもよい。例えば、スパンメルト法で製造したポリプロピレン不織布、特に、積層ウェブSMS、又はSMMS、又はSSMMS構造を有し、約5gsm~15gsmの範囲の坪量を有する不織布が好適である。好適な材料は、例えば、米国特許第7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0,268,932(A1)号、同第2011/0,319,848(A1)号、及び同第2011/0,250,413(A1)号に開示されている。不織布材料は、典型的には、PE、PET、特にPP繊維などの合成繊維で作製される。コアラップは、吸収性材料の基材として単に機能するのは別の機能を有する物品の構成要素から少なくとも部分的に形成され得ることも可能である。例えば、バックシートは、コアラップの底部側を形成し得、かつ/又は分配層若しくはトップシートは、コアラップの頂部側を形成し得ることが可能である。しかしながら、典型的にはコアラップは、前述のように、吸収性材料を受容し、封入するための唯一の又は主な機能をもつ1つ以上の基材から作製される。
【0060】
本明細書で使用する場合、「不織布層」又は「不織布ウェブ」という用語は、一般に、摩擦、及び/又は粘着、及び/又は接着により結合された、一方向又は無作為に配向された繊維から製造されたシート、ウェブ、又はバットを意味し、紙、及び追加のニードル加工の有無を問わず、織られた、編まれた、タフト加工された、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだステッチボンド、又は湿式粉砕によってフェルト加工された製品を含まない。繊維は、天然起源であっても合成起源であってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満~約0.2mm超の範囲の直径を有し、短繊維(ステープル又はチョップドとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、未撚連続フィラメント束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などの、いくつかの異なる形態で提供される。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常、グラム毎平方メートル(g/m又はgsm)で表される。
【0061】
図3図4に示されるように、上部基材層16は、コアラップの頂部側の実質的に全体を形成し得、下部基材層16’は、コアラップの底部側の実質的に全体を形成し得るが、これがその逆であり得ることも除外されない。「表面の実質的に全体を形成する」とは、存在する場合、長手方向に折り畳まれた他の基材の外向きに延在するフラップも、考慮される表面の一部を形成し得ることを意味する。第1の層16は、コアの長さに沿って横方向に延在し、吸収性コアの両側縁部284、286上で内側に折り畳まれる2つの側部フラップを含んでもよく、フラップは、例えば、それぞれのCラップ封止部に沿った接着封止部を使用することによって、第2の基材16’の外面に取り付けられてもよい。1つ又は2つの連続的又は半連続的なラインの糊が、フラップの内面を他の基材の外面に結合するために、典型的にはフラップの長さに沿って塗布され得る。当然のことながら、底部基材が頂部基材上にフラップを形成する逆の構成体も使用されてもよい。
【0062】
コアはまた、いわゆるサンドイッチ封止部を含んでもよく、下部基材層及び上部基材層は、それぞれの基材の内面が他方の基材の内面に結合される向かい合わせの関係で、コアの一方の縁部に沿って互いに結合される。これらのサンドイッチ封止部は、例えば、コアの前縁部280及び後縁部282に垂直な方向に、一連のストライプに塗布されたホットメルト糊を使用して形成され得る。しかしながら、多くの吸収性コアは、前端部及び後端部で開放されたままであるため、これらの端部封止部280’、282’は任意選択である。長手方向縁部も、そのようなサンドイッチ封止部によって結合されてもよい。
【0063】
本発明の主要な特徴を詳細に説明してきたが、以下のセクションは、吸収性物品に見られる典型的な構成要素のうちのいくつかに関する更なる詳細を提供する。別途明示的に記載されない限り、以下に記載される材料は、当然ながら任意選択であり、非限定的である。
【0064】
内側コア糊
コアの上部基材層と下部基材層との間に内側コア糊を有することは有利である。内側コア糊は、上部基材層及び/又は下部基材層への吸収性材料の接着を改善する。内側コア糊はまた、股部チャネル内の基材と任意選択的に前部チャネルとの間に結合部27を少なくとも部分的に形成し得る。これらの前部チャネルが少しでも結合部を有する場合、内側コア糊は、前部チャネル内のより弱い結合部57にも関与し得る。コアラップの両側は、糊が依然として高温であり、流体である間に股部チャネルの区域内で局所的に一緒に押圧されて、これらの区域における接着剤結合の強度を増加させ得る。
【0065】
内側コア糊は、吸収性材料を少なくとも部分的に固定化するために、吸収性材料の堆積区域に少なくとも部分的に(例えば、少なくとも50%及び最大100%)対応する区域で上部基材及び/又は下部基材の内面に塗布され得る。内側コア糊は、任意の既知の技術に従って塗布されてもよく、特に、吸収性材料が不織布上に堆積される前に、当技術分野において既知であるように一連の長手方向に延在する糊のスロットとして、代替的にらせん状糊塗布器などの他の非接触塗布器によって塗布されてよい。したがって、内側糊は、特に吸収性材料とコアラップの底部側の内面との間、及び/又は吸収性材料とコアラップの頂部側の内面との間に存在してもよい。吸収性材料を固定化するため、及びチャネル結合を形成するための内側コア糊(補助糊とも呼ばれる)による堆積区域の部分的被覆の例は、例えば、欧州特許第2,886,092号(Stelzigら)に開示されている。特にコアがセルロース繊維を含まない場合、AGM粒子を固定化するのを助けるために、繊維状の熱可塑性材料もコアラップ内に存在してもよい。
【0066】
トップシート24
トップシートは、典型的には、物品の着用者に面する面の大部分を形成し、身体滲出液が接触する第1の層である。トップシートは、柔軟で、柔らかな感触で、着用者の皮膚を刺激しないものであることが好ましい。更に、トップシートの少なくとも一部は、液体透過性であり、液体が容易にその厚さを浸透できる。本発明では任意の既知のトップシートが使用され得る。適切なトップシートは、広範囲の材料から製造され得る。ほとんどのトップシートは、不織布材料又は孔あき成形フィルムであるが、多孔質発泡体、網状発泡体、織布材料などの他の材料が可能である。典型的なおむつのトップシートの坪量は、約10gsm~約28gsmであり、特に約12gsm~約18gsmであるが、例えば、非常に柔らかい感触の着用者接触面を提供することが所望される場合、より高い坪量も可能である。
【0067】
不織布トップシートは、天然繊維(例えば、木材繊維若しくは綿繊維)、合成繊維若しくはフィラメント(例えば、ポリエステル繊維若しくはポリプロピレン繊維若しくは2成分PE/PP繊維、又はそれらの混合物)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから製造されてもよい。トップシートが不織布繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド法、カーディング法、湿式法、メルトブローン法、水流交絡法、又は当該技術分野において既知であるように別の方法で処理されてもよい。特に、トップシートは、スパンボンドPP不織布であってもよい。ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含む好適なトップシートとしては、International Paper Company(Walpole,MA)の一部門であるVeratec,Inc.によってP-8の製品名にて製造されるものがある。
【0068】
トップシートは、複数の開口部を含むタイプのものであってもよい。開口部のうちの少なくともいくつかは、1mm~20mmの範囲の面積を有してもよく、トップシートは、特に、平均して1cm当たり1~20個の開口部を含んでもよい。開口率(トップシートが弛緩状態にあるときに、すなわち、しわを滑らかにするための十分な張力で測定された、全ての開口部の表面をトップシートの全面で除算した値)は、有利には、10%~45%、特に25%~40%、より具体的には30%~35%の範囲である。典型的には、おむつの表面の開口部の合計面積は、約10mm~約50mm、特に、約15mm~35mmの面積を有してもよい。有孔トップシートの例は、米国特許第6,632,504号(Gillespieら)に開示されている。
【0069】
更に、国際公開第2011/163582号(Rinnertら)にも、12~18gsmの坪量を有し、かつ複数の結合点を含む、好適な着色不織布トップシートが開示されている。各結合点は、2mm~5mmの表面積を有し、複数の接合点の累積表面積は、トップシートの合計表面積の10~25%である。
【0070】
好適な成形フィルムのトップシートがまた、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、及び同第5,006,394号に記載されている。他の好適なトップシートが、米国特許第4,609,518号及び同第4,629,643号に従って作製され得る。かかる成形フィルムは、The Procter&Gamble Company(Cincinnati,Ohio)から「DRI-WEAVE」として、及びTredegar Corporation(Richmond,VAを拠点とする)から「CLIFF-T」として入手可能である。トップシートはまた、三次元の外観及び感触を有してもよく、又はトップシートの上に配置された追加のより小さい三次元層が存在してもよい。そのような三次元の追加層は、例えば、乳児の便などの低粘度の滲出液を受容するために特に有用であり得る。そのような流体交絡二重層三次元材料及びそれらを取得するためのプロセスの例は、米国特許出願公開第2014/0,121,623(A1)号、同第2014/0,121,621(A1)号、同第2014/0,121,624(A1)号、同第2014/0,121,625(A1)号に開示されている。
【0071】
トップシートはまた、湿潤剤で処理してより親水性にしてもよい。湿潤剤は、当該技術分野で既知のように、界面活性剤であってもよい。その他の可能な処理は、例えば米国特許第6,645,569号、同第6,863,933号、米国特許出願公開第2003/148684号、及び同第2005/008839号(Cramerら)、並びに米国特許第7,112,621号(Rohrbaughら)に記載されるような、例えばナノ粒子による特殊コーティングである。トップシートの任意の部分はまた、当該技術分野において既知のローションでコーティングしてもよい。好適なローションの例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、及び同第6,716,441号に記載されるものが挙げられる。トップシートはまた、抗菌剤を含むか、あるいは抗菌剤で処理されてもよく、そのいくつかの例は国際公開第95/24173号に開示されている。更に、トップシート、バックシート、又はトップシート若しくはバックシートの任意の部分には、より布に近い外観をもたせるためにエンボス加工及び/又はつや消し加工を施してもよい。
【0072】
バックシート25
バックシートは、吸収性物品に関して当該技術分野において周知の任意のバックシートであってよい。バックシートは、吸収性コアの衣類に面する表面に直接隣接して位置付けられてもよい。バックシートは、その中に吸収及び収容された排泄物がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すことを防止する、又は少なくとも阻止する。バックシートは、典型的には、液体(例えば、尿)に対して不透過性であるか、又は少なくとも実質的に不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm~約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであってもよい。それらのフィルムの坪量は、通常、材料コストを節約するために可能な限り低く、典型的には、10gsm~30gsm、特に20gsmを下回る。カバーである低坪量の不織布は、フィルムの外側表面に貼付されて、より柔らかな感触を提供することができる。
【0073】
好適なバックシート材料としては、蒸気が吸収性物品から逃れるのを可能にする一方で、排泄物がバックシートを通り抜けるのを防止するか又は少なくとも阻害する、通気性材料を挙げることができる。通気性材料の例としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブなどの複合材料、Mitsui Toatsu Co.(Japan)から商品名ESPOIR NOで製造される、及びTredegar Corporation(Richmond,VA)が製造し、商品名EXAIREで販売されるものなどの微孔性フィルム、並びにClopay Corporation(Cincinnati,OH)から商品名HYTRELブレンドP18-3097で製造されるものなどのモノリシックフィルムといった材料を挙げることができる。
【0074】
フィルムは、少なくとも約10重量パーセントの充填剤粒子、例えば、炭酸カルシウムを含む充填剤粒子を含んでもよく、その結果、フィルムは、機械方向に、例えば少なくとも約150パーセント延伸され、当該充填剤粒子が位置する場所に破断部が形成される。フィルムは、機械方向及び横断方向に少なくとも約150パーセント、2軸的に延伸されて、当該充填剤粒子が位置する場所に破断部を形成させ得る。通気性フィルムは、一般に、24時間毎1平方メートル当たり300グラムを超える水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。WVTRは、ASTME96/E96M-14に示されるようなDesiccant法によって測定され得る。
【0075】
米国特許第6,075,179号は、例えば、押出可能な熱可塑性ポリマーから作製されたコア層であって、コア層は第1の外面及び第2の外面を有する、コア層と、当該コア層の第1の外面に取り付けられて多層フィルムを形成する第1の表面薄層であって、多層フィルムは全厚を画定する、第1の表面薄層と、を含む、好適な多層フィルムを開示している。第1の表面薄層は、第1の表面厚を画定し、当該全厚の約10パーセント未満を構成する。全厚は約30マイクロメートルを超えず、多層フィルムは液体バリアであり、少なくとも300g/m2/24時間のWVTRを有する。
【0076】
バックシートは、更に典型的には、柔軟性を改善するために、その最も外側上に不織布を含み得る。通気性フィルム及び不織布層を含む例示的な積層体は、例えば、国際公開第2014/022、362(A1)号、同第2014/022、652(A1)号、及び米国特許第5,837,352号に開示されている。不織布ウェブは、特に、スパンボンド不織布ウェブ及び/又はスパンボンド不織布ウェブとメルトブローン不織布ウェブとの積層体を含み得る。積層体も同様に、少なくとも300g/m2/24時間の水蒸気透過率を有し得る。例えば、米国特許第5,843,056号は、実質的に液体不透過性の蒸気透過性複合バックシートを開示している。
【0077】
前耳部46及び後側耳部40
吸収性物品は、典型的に、テープ式おむつ内に当該技術分野において既知であるような前耳部46と後耳部40とを含む。耳部は、例えば、トップシート及び/又はバックシートからサイドパネルとして形成される、シャーシの一体部分であり得る。あるいは、図1に表われるように、耳部は、糊付け及び/又は熱エンボス加工によって取り付けられる別個の要素であってもよい。後耳部40は、好ましくは、ランディングゾーン44への締着テープ42の取り付けを容易にし、かつテープ式おむつを着用者の腰部周辺の所定の位置に維持するように延伸可能である。前耳部46は、より快適で輪郭に沿ったフィット感を提供するために、任意選択的に弾性又は伸展性であってもよい。
【0078】
バリアレッグカフ34及びガスケットカフ32
吸収性物品は、典型的には、着用者の脚部周りの物品のフィット感を改善するカフ構成要素30を更に含んでもよい。そのようなカフは、典型的には、バリアレッグカフ34及びガスケットカフ32を含む。カフ30は、典型的には、一方の側が物品に部分的に結合され、他方の側がトップシートから離れる方向に部分的に起立することで、例えば図3に示されるようにトップシートによって画定される平面から立ち上がることができる一片の材料、典型的には不織布を含んでもよい。カフの両方の部分は、有利には伸縮性であり得る。カフ構成要素の起立部分は、本明細書でバリアレッグカフ34と称され、およそ着用者の胴部と脚部との接合部において、液体及び他の身体滲出液の改善された収容を提供し得る。バリアレッグカフ34は、長手方向軸の両側にある吸収性物品の前縁部と後縁部との間に少なくとも部分的に延在し、物品の中心点Cに少なくとも隣接して存在する。
【0079】
バリアレッグカフ34は、物品の残りの部分、典型的にはトップシートに接合される近位縁部37と、着用者の皮膚と接触し封止部を形成することが意図された自由端縁部38とによって境界が定められてもよい。バリアレッグカフ34は、例えば、国際公開第2014/168,810(A1)号に開示されるように、接着剤結合、溶融結合、又は既知の結合手段の組み合わせによってなされ得る結合によって、近位縁部37で物品のシャーシと接合されてもよい。近位縁部37の結合部は、連続的であってもよく、又は断続的であってもよい。
【0080】
バリアレッグカフ34は、トップシート若しくはバックシートと一体である(すなわちこれから形成される)か、又はより典型的には、物品の残りの部分に接合される別個の材料から形成され得る。典型的に、バリアレッグカフの材料は、物品の全長を通って延在してもよいが、物品の前縁部及び後縁部に向かってトップシートに「タック結合」され、その結果、これらのセクションでは、バリアレッグカフ材料はトップシートと同一平面のままとなる。それぞれのバリアレッグカフ34は、より良好な封止部を提供するように、この自由端縁部38に近接して1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング35を含んでもよい。
【0081】
バリアレッグカフ34に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシと同じ平面内で形成され、特にトップシートとバックシートとの間に少なくとも部分的に封入され、典型的にはバリアレッグカフ34に対して更に横方向外側に配置され得る、ガスケットカフ32を含んでもよい。ガスケットカフ32は、着用者の大腿の周りにより良好な封止部を提供し得る。通常、各ガスケットレッグカフ32は、例えば、脚部開口部の領域のトップシートとバックシートとの間でおむつのシャーシに含まれる、1つ若しくは2つ以上のゴムひも又は弾性要素33を含むであろう。典型的には、バリアレッグカフ34は、ガスケットカフ32より内部に配設される。したがって、バリアレッグカフは内側カフとも称され、ガスケットカフは外側カフとも称される。
【0082】
例えば、米国特許第3,860,003号は、伸縮性レッグカフ(ガスケットカフ)を提供するためにサイドフラップ及び1つ以上の弾性部材を有する収縮性脚部開口部を提供する、使い捨ておむつを記載している。米国特許第4,808,178号(Aziz)及び同第4,909,803号(Aziz)は、脚部領域の収容を改善させる「立ち上がった」伸縮性フラップ(バリアレッグカフ)を有する使い捨ておむつを記載している。米国特許第4,695,278号(Lawson)及び同第4,795,454号(Dragoo)は、ガスケットカフとバリアレッグカフとを含む二重カフを有する使い捨ておむつを記載している。バリアレッグカフ及び/又はガスケットカフの全て又は一部分は、ローションで処理されてもよい。
【0083】
捕捉層52
吸収性物品は、有利には、時に二次トップシートと称される捕捉層52を備えてもよく、その機能は、流体をトップシートから離して素早く捕捉し、着用者に優れた乾燥性を提供することである。捕捉層は、典型的には、トップシートの直下に配置される。任意選択的に、捕捉層52の下に少なくとも部分的に配設された分配層(図示せず)が存在してもよい。捕捉層は、典型的には、不織布材料、例えば、スパンボンド加工、メルトブロー加工、及び更なるスパンボンド加工層を含むSMS又はSMMS材料であるか又はそれを含み得るが、多くの他の代替材料が当技術分野において既知であり、特にカーディングされた不織布の代わりに使用され得る。不織布は、加工ラインの外側で製造され、ロール材料として保管及び使用され得るという利点を有している。不織布材料は、ラテックス結合されてもよい。例示的な上部捕捉層52は、米国特許第7,786,341号に開示されている。特に、使用される繊維が、中実で円形又は円形で中空のPETステープル繊維(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50若しくは40/60の混合)である場合、カーディングされた樹脂結合不織布が使用されてもよい。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。更なる有用な不織布が、米国特許第6,645,569号(Cramerら)、同第6,863,933号(Cramerら)、同第7,112,621号(Rohrbaughら)、米国特許出願公開第2003/148684号(Cramerら)、及び同第2005/008839号(Cramerら)に記載されている。捕捉層は、例えば、スチレンーブタジエンラテックスバインダ(SBラテックス)などのラテックスバインダにより、安定化されてもよい。かかるラテックスを得るための方法は、例えば、欧州特許第149880号(Kwok)及び米国特許出願公開第2003/0105190号(Diehlら)で既知である。結合剤は、典型的には捕捉層の総重量の約12%~約50%の範囲、例えば、約30%の量で捕捉層内に存在してもよい。SBラテックスは、GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.;(Akron,Ohio))の商品名にて入手可能である。
【0084】
別の典型的な捕捉層は、結合カードウェブ、特に、通気結合カードウェブ(through-air bonded carded web、「TABCW」)であってもよい。「結合カードウェブ」とは、概ね機械方向に配向された繊維不織布ウェブを形成するために、短繊維を機械方向に分離して整列させるコーミング又はカーディングユニットから送られる短繊維から作製されるウェブを指す。続いてこのウェブを加熱ドラムに引き込み、特定の圧力を加えることなく布地全体に結合部を形成する(通気結合プロセス)。TABCW材料は、低密度の嵩高性通気結合カードウェブをもたらす。ウェブは、例えば、約15gsm~約120gsm(1平方メートル当たりのグラム)、特に約30gsm~約80gsmの特定の重量基準レベルを有してもよい。TABCW材料は、例えば約3~約10デニールの短繊維を含み得る。こうしたTABCWの例は、国際公開第2000/71067号(KIM DOO-HONGら)に開示されている。TABCWは、吸収性物品に使用するための不織布ウェブの通常の供給業者の全て、例えばFitesa Ltd又はFiberweb Technical Nonwovensから直接入手可能である。
【0085】
上述した第1の捕捉層に加えて、更なる捕捉層(図示せず)が使用されてもよい。例えば、ティッシュ層が、第1の捕捉層と分配層との間に置かれてもよい。このティッシュ層は、上述した捕捉層と比較して、向上した毛管分配特性を有してもよい。ティッシュ層と第1の捕捉層は同じサイズのものであってもよく、又は異なるサイズのものであってもよく、例えば、ティッシュ層は、第1の捕捉層よりも更に吸収性物品の後ろに延びていてもよい。親水性ティッシュの例は、供給業者Havixによるセルロース繊維製の13~15gsmの高湿潤強度である。
【0086】
分配層
物品は、トップシートと吸収性コアとの間に、本明細書では分配層と称される更なる中間層(図示せず)を備えてもよい。分配層の機能は、コアの吸収性能がより効率的に使用され得るように、排泄された流動液を物品内のより大きい表面にわたって広げることである。そのような分配層は、吸収性コアのフットプリントより表面が小さくてもよく、典型的にはコアのフットプリントの縁部を越えて延在しない。分配層は、典型的には、合成繊維又はセルロース繊維に基づき得る繊維状材料で作製される。分配層はまた、吸収性コアのチャネルの全て又はいずれかの位置及び形状に少なくとも部分的に又は完全に一致し得るチャネルを含んでもよい。吸収性コアのチャネルの形状、位置、及び配向に関する同じ考慮事項が分配層のチャネルに再適用され得るため、本明細書では繰り返さない。
【0087】
したがって、分配層は、少なくとも50g/m、特に50g/m~300g/m、有利には少なくとも少なくとも100g/mの平均坪量を有する繊維層であってもよい。平均坪量は、繊維の重量を、繊維が存在する分配面積(分配層内のチャネル面積を含む)で除算することによって計算される。分配層は、比較的低い密度を有してもよい。分配層の密度は、物品の圧縮度に応じて異なってもよいが、典型的には、0.30psi(2.07kPa)で測定して、0.03g/cm~0.25g/cm、特に0.05g/cm~0.15g/cmの範囲であってもよい。中間層の密度は、この目的のために物品の中心点Cで測定される。
【0088】
繊維材料は、所望の繊維材料構成に対して必要な深度プロファイルをそれぞれ有するいくつかの金型を含むドラム上に繊維をエアレイイングすることによって製造されてもよい。次いで、形成された分配層は、不織布キャリア層などの物品の別の構成要素へと直接型から外され、次いで、物品の残りの部分と一体化され得る。分配層とトップシート及び吸収性コアのいずれかとの間に他の層、例えば捕捉層52が存在してもよい。不織布捕捉層が物品内に存在する場合、分配層は、例えば、この捕捉層上に堆積されてもよく、2つの層は、当技術分野において既知であるように、吸収性コア及び物品の残りの部分に更に接合される。
【0089】
分配層は、典型的に繊維層である。分配層は、層が強い一体性を有し、基材とは独立して操作され得るように、互いに結合された繊維を含む不織布材料であってもよい。あるいは、分配層は、別のタイプの繊維層であってもよく、特に、分配層は、繊維内結合部がないか又は弱い、緩い繊維を含むか又はそれからなり得、繊維は、様々な坪量で支持基材上に堆積されて、プロファイルされた分配を形成する。分配/中間材料の典型的な例は、架橋セルロース繊維を含むか又はそれからなる。分配/中間層は例えば、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含んでもよい。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むこれらの組み合わせであってもよい。この種類の材料は、過去に、例えば米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)の捕捉システムの一部として、使い捨ておむつに使用されてきた。架橋セルロース繊維は、製品の包装における、又は、例えば、赤ちゃんの重量下の使用条件下における圧縮に対する高い復元力、ひいては高い耐性を提供する。
【0090】
例示的な化学架橋セルロース繊維は分配層に好適であり、米国特許第5,549,791号、同第5,137,537号、国際公開第95/34329号、又は米国特許公開第2007/118087号に開示されている。架橋セルロース繊維を含む分配層は他の繊維を含んでもよいが、この層は、層の少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100重量%の(架橋剤を含む)架橋セルロース繊維を含み得る。分配材料は、セルロース繊維、特に架橋セルロース繊維で構成され得るが、他の材料が可能である。
【0091】
下部捕捉及び分配層(ADS)
吸収性物品は、本明細書では「下部ADS」と称される、下部捕捉層及び分配層を含んでもよい。下部ADSは、吸収性材料によって十分に急速に吸収されなかったため、吸収性材料層を通って流れた液体のための一時的なリザーバとして機能する。下部ADSは、吸収性材料層と流体不透過性バックシートとの間に配設される。下部ADSは、単一層であり、したがって、下部基材層16’の役割及び機能を果たし得るか、又は下部ADSは、標準的な低坪量下部基材層16’などのいくつかの層と、下部基材層16’とバックシートとの間に配設された少なくとも1つの追加の嵩高層と、を含み得るかのいずれかである。
【0092】
下部ADSは、好ましくは、吸収性材料の層を貫通する流体を捕獲し、保持するのに十分な空隙体積を提供する、比較的嵩高な材料の層を含む。下部ADSは、例えば国際公開第2019/241,009(A1)号(P&G,Tallyら)に開示されているようなマスキング層材料を含んでもよい。嵩高層は、典型的に超吸収性ポリマーを含まない。同時に、嵩高層は、好ましくは柔らかさを提供し、過度に高い曲げ剛性を有しない。そのような層は、特に、スパンレース、エアスルー結合不織布、又は捲縮繊維スパンボンド不織布であり得る。
【0093】
嵩高層は、スパンレイド不織布ウェブなどのような連続繊維を含んでもよい。スパンレイド不織布ウェブは、好ましくは、エアスルー接着されたものか又はスパンレースである。水流交絡(スパンレース)又はエアスルー接着に加えて、スパンレイド不織布ウェブは、熱及び/又は圧力(例えば、点結合)並びにいくらかの局所的結合を受け、繊維が互いに融合される局所的な結合領域が導入されてもよい。
【0094】
好ましくは、嵩高層はステープル繊維を含む。連続繊維で作製された不織布ウェブと同様に、ステープル繊維の不織布ウェブは、好ましくは、エアスルー接着されたものか又はスパンレースである。水流交絡(スパンレース)又はエアスルー接着に加えて、ステープル繊維の不織布ウェブは、熱及び/又は圧力(例えば、点結合)並びにいくらかの局所的結合を受け、繊維が互いに融合される局所的な結合領域が導入されてもよい。
【0095】
嵩高ウェブが連続繊維又はステープル繊維で作製されているかどうかに関係なく、局所的結合は、しかしながら、過度に大きな表面積に結合し、よって不織布ウェブの嵩高性及び空隙体積に悪影響を及ぼしてはならない。好ましくは、(水流交絡又はエアスルー結合に加えて)熱及び/又は圧力での局所的結合によって得られる合計結合面積は、嵩高ウェブの合計表面積の20%より大きい、又は15%より大きい、又は10%より大きくあるべきではない。代替的に、下部ADSに含まれる嵩高ウェブは、水流交絡(スパンレース)又はエアスルー結合に加えて、任意の結合及び固結を受けていないべきである。これにより、そのような不織布ウェブの有利な特性を、最適に使用することができる。
【0096】
吸収性物品に提供される追加の層は、一般に、物品の厚さ及びバルクを増加させる。これにより、曲げ剛性の増加、したがって、物品の着用者の身体への適合性及び密接な接触に関する欠点につながる可能性があり、それによって着用者の快適さを低減する。また、特に着用者の脚の間でのバルクの増加は、一般に望ましくない。しかしながら、本発明によれば、長手方向に延在する股部チャネル及び前部チャネルの存在は、吸収性物品の改善された曲げを提供するため、これらの欠点のいずれかは軽減され得る。したがって、本発明の物品は、下部ADS、特に比較的高い坪量を有する下部ADSを提供するのに特に好適であり得る。
【0097】
したがって、吸収性物品は、任意選択的に、吸収性材料層とバックシートとの間に配設された下部ADSを含んでもよい。そのような下部ADSは、典型的には約10g/mの、典型的なコア基材層より高い坪量を有する。単一層又は2つ以上の層の組み合わせからなり得る下部ADSの坪量は、典型的には20g/m~120g/m、又は25g/m~110g/m、又は30g/m~100g/mの範囲であり得る。下部ADSの坪量は、吸収性材料層とバックシートとの間に配設されたそれぞれの層の坪量を加算することによって計算される。典型的には、この坪量は、単一層の下部ADSのための嵩高下部基材層16’、又は下部基材層16’及び下部基材層16’とバックシートとの間に配設された1つ(又はそれ以上)の追加の嵩高層の坪量であってもよい。下部ADSに含まれる層(複数可)の坪量は、典型的に均質であり、供給元によって示されるが、そうでない場合、平均坪量は、単にそれぞれの層の重量をそれらの面積で除算することによって計算され得る。
【0098】
下部ADSは、好ましくは、嵩高構造を有する少なくとも1つの層を含む。捲縮繊維の使用は、嵩高層を形成するのに有益であり得る。そのような繊維はまた、良好な復元性を有する不織布層を提供すること、すなわち、不織布ウェブは、長い時間圧縮された後(例えば、高度に圧縮された吸収性物品を収容する閉じたパッケージに収容されている間に)元のキャリパー(又は元のキャリパーのほとんど)を回復する能力を有することを示している。捲縮繊維は、平坦な捲縮(いわゆる2次元捲縮)又はらせん捲縮などの3次元捲縮を有し得る。二成分繊維は、捲縮繊維を得るのに好適であるものとして周知である。したがって、下部ADSは、下部ADSの一部として層の総重量に基づいて、30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも90重量%、又は100重量%の捲縮繊維を有する少なくとも1つの層を含んでもよい。捲縮繊維は、二成分繊維であってもよい。
【0099】
下部ADSのキャリパーは、望ましくは、良好な液体吸収及び液体保持特性(すなわち、不織布ウェブ内の十分な空隙体積)と、下部ADSが吸収性物品に過剰なバルクを追加し、よって着用者の快適さを低下させることを回避する必要性とのバランスをとる範囲である。下部ADSのキャリパーは、本明細書で以下に記載の試験方法に従って測定した場合、0.1~2.0mm、又は0.2~1.0mmであり得る。ADSが2つ以上の層を含む場合、下部ADSのキャリパーを報告するために、それぞれの層のキャリパーが別々に測定され、加算されてもよい。
【0100】
また、下部ADSは、吸収性物品がしばしば比較的高い圧縮下で包装されることを考慮すると、圧縮後に良好な回復を示す少なくとも1つの層を含むことが望ましい。最初に、下部ADSとして使用するのに好適な特徴、例えば十分な厚み及び空隙体積を有する材料は、回復する能力が不十分である場合、包装物における圧縮時にこれらの有益な特性の多くを失う場合がある。この能力は、以下に記載されるZ-コンプライアンス指数及び回復百分率測定方法に反映される。下部ADSは、4を超える、好ましくは10を超えるコンプライアンス指数、及び50%を超える、好ましくは60%を超える回復百分率を有する層からなるか又はそれを含み得る。
【0101】
下部ADSに含まれるか、又は下部ADSを形成する不織布は、機械的変形を受けている可能性がある。そのような機械的変形は、不織布ウェブの厚み及び開放性に寄与し得、したがって、下部ADSとしての使用に望ましい不織布ウェブの特性を改善する。下部ADSは、(例えば、機械的変形によって得られ得るような)三次元表面トポグラフィを有する層、いわゆる「エアポケット」を含んでもよい。
【0102】
吸収性物品の剛性を過度に増加させないために、下部ADSの層(単数又は複数)は、60より大きい、好ましくは70より大きい、以下に記載の試験方法による水平曲げ降下を有してもよい。水平曲げ降下のより高い値は、より低い値に対して材料がより柔軟であることを示す。
【0103】
他の構成要素
本発明の吸収性物品は、トップシートを横切って延在して排便の収容部を形成する横断バリア要素、トップシート上のローション外用薬、吸収性コアとバックシートとの間に配設されたpH指示薬を含む湿り度インジケータなど、図に示されていない物品の、意図された目的で知られる任意の他の典型的な構成要素を更に含み得る。これらの構成要素は、当該技術分野において既知であり、本明細書ではこれ以上考察されない。これらの構成要素のいくつかの例がより詳細に開示されている国際公開第2014/093310号を参照されたい。
【0104】
吸収性物品はまた、物品の後縁部に対して平行に、かつそれに沿って配設された少なくとも1つの弾性ウエストバンド(弾性腰部機構とも呼ばれる)と、物品の前縁部に対して平行に、かつそれに沿ってあまり一般的でない別の弾性ウエストバンドと、を含んでもよい。このようなウエストバンドは、物品の後縁部及び/又は前縁部における改善されたフィット及び収容を提供するのに役立つ。弾性腰部機構は、概して、弾性的に伸縮して、着用者の腰部に動的にフィットすることが意図されている。弾性ウエストバンドは、多数の異なる構成で構築されてもよい。後側ウエストバンド及び前側ウエストバンドの非限定的な例は、国際公開第2012/177,400号及び同第2012/177,401号(Lawson)、並びに米国特許第4,515,595号、同第4,710,189号、同第5,221,274号、及び同第6,336,922号(VanGompelら)に見出すことができる。
【0105】
パッケージ
本発明による複数の物品は、輸送及び販売のためにパッケージに包装されてもよい。パッケージ内の物品の少なくとも50%、好ましくは全ての物品は、本発明によるものであってもよい。物品は、当該技術分野において既知であるように、折り畳まれて包装されてもよい。パッケージは、例えば、プラスチックバッグ又は段ボール箱であってもよい。おむつは、包装される前に、典型的には横断方向軸線に沿って2つに折り畳まれ、耳部は内向きに折り畳まれてもよい。吸収性物品は、パッケージのサイズを小さくする一方で、1パッケージ当たりに適切な数の吸収性物品を提供するように、圧縮下で包装することができる。吸収性物品を圧縮下で包装することにより、介護者はパッケージを容易に扱い、保管することができると同時に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造者にもたらし得る。
【0106】
したがって、吸収性物品は、少なくとも10%、特に10%~50%、特に20%~40%のバッグ内圧縮率で圧縮され、包装されてよい。本明細書で使用される「バッグ内圧縮率」は、1から、10個の折り畳まれた物品をバッグ内の圧縮下で測定したスタック高さ(「バッグ内スタック高さ」)を10個の折り畳まれた同じタイプの物品の圧縮前スタック高さで乗算した数を引いてから100倍した数であり、すなわち、(1-バッグ内スタック高さ/圧縮前スタック高さ)×100を百分率として報告したものである。当然のことながら、バッグ内スタックは、厳密に10個の物品を有する必要がなく、パッケージ内の物品のスタック高さについて測定された値を、スタック内の物品数で乗算し、次いで10倍した数である。バッグ内スタック高さを測定するために用いられる方法については、試験手順において更に詳細に記載する。圧縮前の物品は、折り畳みユニットとスタック包装ユニットとの間の生産ラインからサンプリングされる。圧縮前のスタック高さは、圧縮及び包装前に10個の物品を取り、IBSHについて示されるようにそれらのスタック高さを測定することによって測定される。
【0107】
本開示の吸収性物品のパッケージは、特に、本明細書で説明するバック内スタック高さ試験により、110mm未満、105mm未満、100mm未満、95mm未満、90mm未満、具体的には指定される範囲、及び指定される範囲内に又は指定される範囲によって形成される全ての範囲内の0.1mm刻みの増分が全て列挙されるバッグ内スタック高さを有し得る。前の文で示される値のそれぞれについて、60mm超、又は70mm超、又は75mm超、又は80mm超のバッグ内スタック高さを有することが望ましい場合がある。あるいは、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書で説明するバック内スタック高さ試験により、60mm~110mm、75mm~110mm、80mm~110mm、80mm~105mm、又は80mm~100mm、具体的には指定される範囲、及び指定される範囲内に又は指定される範囲によって形成される全ての範囲内の0.1mm刻みの増分が全て列挙されるバッグ内スタック高さを有し得る。
【0108】
作製プロセス
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、捕獲層52、及び他の物品の構成要素は、特に当該技術分野において既知であるように糊付け、熱結合、超音波結合、及び/又は圧力結合によって、種々の周知の構成に組み付けられてもよい。典型的に、隣接した層は、層の表面の全体若しくは一部に対するスロットコーティング若しくは吹き付けを介した接着剤コーティング、又は熱結合、又は圧力結合、あるいはこれらの組み合わせなど、従来の結合方法を使用して互いに接合される。構成要素間の結合部のほとんどは、明確にするため及び読み取りやすくするために図に表されていない。物品の各層間の結合部は、特に除外されない限りは存在するものと見なすべきである。接着剤は、通常、異なる層の接着性、例えば、バックシートとコアラップとの間の接着性を改善するために使用することができる。使用される接着剤は、当該技術分野において既知の任意の標準的ホットメルト粘着剤であってよい。個々の構成要素は、当該技術分野において既知のプロセスのいずれかに従って、吸収性物品に変換されてもよい。これらの結合は、図の読み取りやすさを維持するために、典型的には図に表されていないが、当該技術分野において既知であるように存在する。
【0109】
物品が、材料を含まないチャネルを含む捕捉又は分配層を含む場合、トップシートは、これらのチャネルを介して吸収性コアに直接的又は間接的に取り付けられ得る。したがって、トップシートは、例えば接着剤結合(糊付け)によって、捕捉又は分配層内のチャネルを介して吸収性コアの頂部側に結合されてもよい。また、チャネルを含まない捕捉層がトップシートとチャネルを有する分配層との間に存在するとき、下地層へのトップシートの間接結合が提供されてもよい。
【0110】
本発明の一態様によれば、吸収性物品を作製するためのプロセスは、
i)上部基材層及び下部基材層を提供するステップと、
ii)任意選択的に、上部基材層及び/又は下部基材層上に接着剤を塗布するステップと、
iii)吸収性材料を上部基材層又は下部基材層のうちの少なくとも1つに堆積させて、吸収層を形成するステップであって、吸収層は、少なくとも1つの股部チャネル及び前部チャネルを含み、チャネルは、吸収性材料を実質的に含まず、接着剤が塗布されている場合、この接着剤は、吸収層と上部基材層及び/又は下部基材層との間に存在する、ステップと、
iv)股部チャネル結合部によって股部チャネルを介して、及び任意選択的により弱い前部チャネル結合部によって前部チャネルを介して、上部基材層及び下部基材層を互いに結合して吸収性コアを形成するステップと、
v)1つ以上のコアラップ封止部(280’、282’、284’、286’)を形成して、吸収性コアを取得するステップと、
vi)このようにして取得された吸収性コアを、前部チャネルがランディングゾーンと少なくとも部分的に重ねておかれるように、ランディングゾーン材料を含む他の吸収性物品の構成要素に組み付けるステップと、を含み得る。
【0111】
このプロセスは、吸収性材料領域の少なくとも一部分がコアラップの頂部側及び/又は底部側に接着固定化されるように、上部基材層又は下部基材層の内面上に内側コア糊を塗布するステップを有利に含み得る。
【0112】
内側コア糊は、典型的には、コアラップの頂部側及び/又は底部側の内面の少なくとも一方、又は両方にあり、吸収性材料のより良好な固定化を提供し得る。内側コア糊はまた、股部チャネル(並びに、前部チャネルの結合部が弱い限り、任意選択的に前部チャネル)の結合部を形成するか又は少なくとも結合部に寄与し得る。内側コア糊は、長手方向に延在するストライプのパターン、又はらせん状、又は当技術分野において既知であるような任意の他のパターンとして塗布され得る。内側コア糊は、吸収性材料がその上に堆積される前にコアラップ材料に塗布されてもよく、又は代替的にコアラップ材料の上に折り畳まれるか、若しくはコアラップ材料に別途追加されるコアラップの第2の部分に塗布されてもよい。
【0113】
上部基材層及び下部基材層は、上記のように、当該技術分野において既知の任意の通常の材料、典型的には不織布であり得る。吸収性材料は、任意の既知の好適な技術を使用して、コアラップ材料上に層として堆積されてもよい。堆積は、例えば、一定の流量の粒子及びセルロース繊維がチャンバ内で混合されてから、エアレイイングチャンバの他方の側のコアラップ材料に向かって陰圧によって引っ張られるエアレイイングプロセスに見られるように、連続的であってもよい。基材の上部層又は下部層は、典型的には、エアレイイングチャンバが静止している状態で、吸収性材料が堆積される間に回転ドラム上に置かれ得る。ドラムの外面は、これらの区域内に吸収性材料が実質的に堆積されないように、所望のチャネルの形状に一致する起立部分を含む。チャネル区域が吸収性材料を実質的に含まないようにしながら、吸収性材料を堆積させるための代替プロセスは、AGM印刷の一般的な説明の下で、エアフェルトフリーの吸収性コアに使用されるプロセスを含み、一般に、欧州特許第2,532,329号、同第2,905,000(A1)号、及び同第2,905,001号(全てJackelsら)に開示されている。
【0114】
上記のように、コアの上部基材層及び下部基材層を結合して、1つ以上のチャネル結合部27が作製される。股部チャネル結合部は、特に、内側コア糊及び追加の結合手段によって提供されてもよく、特に、追加の結合手段は、補強糊及び/又は超音波結合及び/又は熱結合及び/又は上部基材層と下部基材層との間の接着剤結合に対する追加の圧力である。前部チャネルは、完全に非結合であってもよく、又はそれらがより弱い結合部を含む場合、この結合部は、特に、例えば、股部チャネルの結合部と同じ内側コア糊によって提供される結合部に限定され得るが、上記のような追加の結合手段を含まない。例えば、股部チャネル結合部は、接着剤結合部であってもよく、コアラップの頂部側及び底部側は局所的に一緒に押圧されて接着剤結合部の強度が増加される一方、前部チャネルのコアラップ層は一緒に押圧されず、したがって、それらが内側コア糊の一部を含む場合であっても強い結合部を形成しない。別の例では、股部チャネル結合部は、熱結合又は超音波結合などの追加の結合手段で補完された接着結合部であってもよく、前部チャネル結合部は、結合部を含まないか、又は追加の結合手段なしで股部チャネル結合部と同じタイプの接着剤結合部のみを含んでもよい。
【0115】
試験手順
別段の指示がない限り、本明細書に示された値は、本明細書で以下に示される方法に従って計測されたものである。全ての測定は、21℃±2℃及び50%±5%RHで実行され、別途記載のない限り、この試験を実施する前に、試料は少なくとも24時間、これらの条件に保たれて平衡化されるべきである。例えば、以下に示されるように、静的剥離力時間は23度で測定される。
【0116】
静的剥離力時間
静的剥離力時間(Static Peel Force Time、SPFT)試験方法の目的は、チャネル内のコアラップの頂部側と底部側との間の結合強度を測定することである。この試験方法は、結合部が、標準状態で約150グラムの絶えず加えられる垂直力にどれだけ長く耐えることができるかどうか(静的剥離力時間)を測定する。
【0117】
機器
中型クリップ 中型バインダークリップ 最大限度25mm(#72050)。ACCO World Product。その他の供給元:Yihai Products(#Y10003)、Universal Office Products(#10210)、Diamond(#977114)、又は同等物。クリップ重量4.5g+/-1g。
大型クリップ 大型バインダークリップ 2インチ(50.8mm)。ACCO World Product。その他の供給元:Yihai Products、Universal Office Products、Diamond、又は同等物
試験台 RT-10 室温(剪断試験機)、タイマー付き。ChemInstruments,510 Commercial Drive,Fairfield Ohio 45014-9797,USA;又は同等物。振動のない区域に定置すること。
重量 150g(+/-1g) 頂部にフックを有する(クリップに取り付けるため)TW150剪断試験機重量。ChemInstruments,510 Commercial Drive,Fairfield Ohio 45014-9797,USA;又は同等物
切断ツール ハサミ及び25.4mm(1インチ)カッター(便利なソース、例えば、Thwings-Albert Instrument Company Philadelphia(USA)製JDC Precision Sample Cutter、カタログ番号99、切断幅25.4mm、少なくとも+/-0.1mmの精度)
金属定規 トレーサビリティが確保できる、NIST、DIN、JIS、又はその他の同等の国家規格に準拠している、mm目盛が付いている金属定規であって、測定する長さよりも長いもの。
温度 -10℃~+50℃の範囲内の±0.5℃及び±2.5%RHの精度で試料高さの温度を測定するための試験温度デバイス(又は同等物)。Testo GmbH & Co.,Postbox 1140,D-79849 Lenzkirch(www.testo.com) Testo商品コード625:0563 6251。
【0118】
コアの調整:
典型的には、吸収性コアは、商業用物品(例えば、おむつ)から取られ、以下のように物品から抽出され得る。
1. トップシート面を上にしておむつを開き、テーブル上に平坦に設置する。おむつを片手で保持し、物品の両側のカフ連続結合部(外縁部)に沿って耳部(40)及びバリアカフ(30)を慎重に除去する。
2. コア端部封止部が存在する場合はコア端部封止部に損傷を与えずに、トップシート及び捕捉システムをそっと除去する。バックシートを除去する必要はない。
【0119】
チャネル試料の調製(図9):
1. それぞれのコアをランプテーブル又はUV光の下に置き、それぞれのチャネルの開始及び終了を識別する。
2. 定規を使用してチャネル領域の長手方向の中心を定義し、チャネル領域の中心を通過する長手方向軸に垂直な線を引く。
3. 25.4mm幅カッター(901)を取り付けた支持台(900)上にコア(28)を置き、チャネルの中心線に整列させる。試料を所定の位置に保つために、両面テープ(902)が使用されてもよい。台は、カッターの刃がコアの厚さを貫通し得るように、切断される領域の両側に2つの溝又は隙間を含む。
4. コアを横断方向に切断して、チャネルの中心線を中心とする試料バンドを取得し、任意選択的に、切断された試料バンドの幅(目標=25±2mm)をチェックする。
5. ハサミを使用して、1インチ幅の試料バンドを長手方向に切断して、チャネル結合部(27)を含む試料(100)を取得する。試料の適切な操作を確実にするために、試料のチャネル結合部と内縁部(102)との間に少なくとも5mmのチャネルフリーフラップ(101)が存在する必要がある。図10を参照されたい。該当する場合、左の試料及び右の試料を取得する。切断された試料に、左/右チャネルなど適切なラベルを付ける。
6. 試験中、試料は外縁部(103)にクランプされる。試料の外縁部(103)は、ハサミでトリミングされ得るが、試験を行うために、試料の外縁部(103)までの最小チャネル距離(104)が、コアラップ材料をクランプに適切にクランプすることを確実にするのに十分である必要がある。典型的には、チャネルと外縁部との間の最小距離(104)は、この目的のために少なくとも5mmであるべきであり、20mmが理想的である。
7. コアラップの底部側と頂部側との間にあるチャネルの外側の任意のコア吸収性材料をそっと除去する(図11を参照)。このために、封止部がすでにトリミングされている場合、必要に応じて、外縁部(103)上の任意のコアラップの長手方向側ディールを開く。
【0120】
試験手順(図12を参照):
温度が23℃で一定である区域に試験機をセットし、試験機及び試料がこの温度に到達するために少なくとも2時間の時間を有することを確実にする。
1. 試料の底部側(16’)の外縁部(103’)を、試験機バーの頂部に吊り下げられた大型バインダー(120)クリップの顎部にクランプする。
2. 他のバインダークリップ(中型)(121)を、その外縁部(103)でコアラップの頂部側(16)にクランプする。試料の内縁部(102)は、実験者とは反対側を向いている。
3. 150gの重り(122)を中型バインダークリップにゆっくりと取り付け、重りが試験試料上に自由に吊り下がるまでゆっくりと下げる。
4. 重りを放したらすぐに、タイマーを0分から開始させるためにこの試料のタイマーリセットボタンを押す。注記:タイマーが0.0分からカウントを開始したことを確認するために、タイマーをチェックする必要がある。操作者は数が0.0分から0.1分に変わったことを、見て確認しなければならない。
5. 各調製済み試料について上記手順を繰り返す。試験台は、いくつかの試料を並行して試験することを可能にする。
6. 結合破壊により、試料の重りが底板に落下すると、タイマーは停止する。底板は、重りが落下したときに自動的に停止するようにタイマーに連結されたスイッチを含む。記録された時間が、その試料の静的剥離力時間(分で表される)である。注:結合破壊なしに、試料がクリップ(121)から滑り落ちることで重りが落下した場合、試験は新しい試料で再実行する必要がある。
7. 999分後に試料の重りが落下していない場合、静的剥離力時間は999分(静的剥離力時間の最大時間)であると報告される。
8. 所与の構成体の商業用物品について、10個の個々の物品又はコア、例えば、商業的に供給されたおむつパッケージ内でランダムに選択された10個のおむつから抽出された10個の異なる試料に対して実験が繰り返され、結果が平均化される。静的剥離力時間は、この平均である。
【0121】
遠心保持容量(CRC)
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。CRCは、EDANA法WSP241.2.R3(12)に従って測定される。
【0122】
キャリパー試験方法
下部ADSのキャリパーは、キャリパー試験方法を使用して決定される。キャリパー試験方法では、2つの平坦な平行表面が、基材試験片の両側に一方向の圧力を加えるために使用され、結果として生じる平行表面間の分離が測定される。全ての測定は、23℃±2℃及び相対湿度50%±2%で維持された実験室で実施され、試験片は、試験前に少なくとも2時間、この環境で馴化される。下部ADSが2つ以上の層を含む場合、手順はそれぞれの構成層について繰り返され、中間結果が追加されて、下部ADSの組み合わされたキャリパーが報告される。
【0123】
直径5.6cmの2つの平行な円形表面が水平に配向される。可能な場合、試料材料の測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、生成物から試料材料を取り出す際には、他の層からの試料層の除去中に試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasなどの極低温スプレーを使用して)。それぞれの試験片の中心が物品の中心点Cの位置に対応するように、5つの同等の長方形の試験片が5つの製品の材料から取り出される。それぞれの試験片の長さ及び幅は、5.6cmを超える。次いで、試験片は、平行な表面のそれぞれを完全に覆うように、また、材料試験片の中心が平行な円形表面の中心と一致するように、2つの平行な円形表面の間に配置される。
【0124】
次いで、平行表面は、0.3psi(2.1kPa)の圧力が達成されるまで3.0±1.0mm/秒の速度で合わされ、プレート間の分離が、2秒以内に最も近い0.01mmまで測定され、記録される。5個の個々の複製試験片のプレート分離の算術平均を計算し、2.1kPa下でのミリメートル(mm)単位での最も近い0.01mmまでの基材のキャリパーとして報告する。
【0125】
キャリパー法で使用するための装置の1つの好適な例は、インジケータゲージの移動シャフトの端部に円形の平坦な「フット」が取り付けられたMitutoyo Digimaticシリーズ543ID-Cデジタルインジケータ(Mitutoyo America Corp.、Aurora,Illinois,USA)、又は同等物である。インジケータは、インジケータゲージのシャフトが垂直方向に配向され、円形フットの平面が花崗岩基盤と平行になるように、水平に花崗岩基盤に取り付けられる。円形のフットは、フットの質量とインジケータシャフトとに関連付けられた重力を一緒に円形フットの面積で割った値が、花崗岩基盤の円形フットからの0.3psiの下向きの圧力をなすようにサイズ決定及び重量測定される。円形フットと花崗岩基盤との間で、少なくとも円形フットと同じ大きさの試験片を分析する。
【0126】
Z-コンプライアンス指数及び回復百分率測定方法
原理:この方法は、不織布などのウェブが、適用された圧力下で、z方向に圧縮され、その後、その適用された圧力を除去した後に元のキャリパーに回復する能力を測定する。
設定:直径40mmの円形フットを有する少なくとも0.01mmの精度を有する垂直方向の電子キャリパー試験機を使用することができる。フットによって試験片に加えられる圧力は、事前選択された重量の追加を介して調整可能である。測定は、0.85±0.05kPa及び15.4±0.1kPaで行われる。
手順:測定は、23℃±2℃及び50%±2%RHで行われる。別段の指定がない限り、この試験を実施する前に、全ての試料が少なくとも24時間、これらの条件に保たれて平衡化されるべきである。可能な場合、試料試験片の測定は、それが吸収性物品に組み込まれる前に行われる。これが不可能である場合、試料を取り出す際には、他の層からの材料の除去中に試験試料層にいかなる汚染又は歪みも付与しないように注意する必要がある(必要に応じて、Cyto-Freeze、Control Company、Houston,Texasを使用して)。試料試験片は、約80mmの幅を有する正方形の試料から(又は代替的に、材料が好適なサイズで入手可能でない場合は、約50mmの幅を有する材料試験片において)切断される。
【0127】
正方形の試料試験片は、キャリパーフット下の中心に位置付けられ、0.85±0.05kPa(P1)でのキャリパーを最も近い0.01mm(C1)まで測定し、記録する。装置から試料を除去することなく、圧力を15.4±0.1kPa(P2)に増加し、キャリパーを最も近い0.01mm(C2)まで測定し、記録する。圧力は、キャリパーフットに好適な重量を加えることによって増加させることができる。再び試料を移動せずに、加えられた圧力を0.85±0.05kPaに低減し(例えば、余分な重量を除去することによって)、キャリパーに対して、3度目の測定(C3)を行い、最も近い0.01mmまで記録する。
【0128】
測定される試験片について、コンプライアンス指数は、
Z-コンプライアンス指数=(C1-C2)/(P2-P1)
として定義され、最も近い0.1mm/Nまで報告される。
【0129】
回復は、
回復率=C3/C1100%
として計算され、パーセントで表され、最も近い0.1%まで記録する。
【0130】
上記の手順は、同じ不織布の5つの同様の試験片に対して行われる。5つの試験片の間のコンプライアンス指数値の算術平均を計算し、コンプライアンス指数として最も近い0.1mm/Nまで報告する。5つの試験片の間の百分率回復値の算術平均を計算し、回復百分率として最も近い0.1%まで報告する。
【0131】
バッグ内積み重ね高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内スタック高さは、以下のとおりに判定される。
設備:平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さ試験機を使用する。厚さ試験機は、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートのすぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成されている。厚さ試験機は、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を±0.5mm以内で測定するのに好適なデバイスを含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(すなわち、各プレートは全ての方向において吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、吸収性物品パッケージに下方への力850±1重量グラム(8.34N)を加えるが、これは、スライディングプレートの合計質量に付加重量を足して850±1グラムとなるように、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置くことによって達成し得る。そのような試験装置は、例えば、米国特許出願公開第2008/0312624(A1)号の図19に示されている。
試験手順:吸収性物品パッケージを、測定前に、21±2℃及び50±5%の相対湿度で平衡化する。水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平の配向になるようにして吸収性物品パッケージを水平スライディングプレート下で中心に置く。プレートのいずれかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を±0.5mm以内になるように測定する。5つの同じパッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内積み重ね高さ」=(パッケージ幅/積み重ね当たりの吸収性物品数)×10を計算し、±0.5mm以内で報告する。
【0132】
その他
別段の指定がない限り、明細書及び特許請求の範囲は、少なくとも24時間、21℃±2℃且つ相対湿度(RH)50±5%で調整された、使用前の(すなわち乾燥しており、液体を含んでいない)吸収性コア及び物品を指す。
【0133】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12