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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】実火災訓練装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
G09B9/00 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024022665
(22)【出願日】2024-02-19
【審査請求日】2024-02-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500561931
【氏名又は名称】JFEプロジェクトワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博志
(72)【発明者】
【氏名】岡田 康生
(72)【発明者】
【氏名】関根 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】西本 奏
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第117437819(CN,A)
【文献】米国特許第4526548(US,A)
【文献】特開2011-034024(JP,A)
【文献】特開2015-012942(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109118868(CN,A)
【文献】米国特許第5203707(US,A)
【文献】中国特許出願公開第112233484(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
G09B 17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿った第1の方向を長手方向として延伸する略矩形体形状の内部空間を有する本体部の内部において、燃焼を生じさせることにより発煙をする燃焼部と、訓練対象者を収容する空間である訓練室とが、前記第1の方向で隣接して形成された実火災訓練装置であって、
前記訓練室と前記燃焼部とは、前記第1の方向と交差する板状の構成を具備する煙区画板によって前記本体部の内部における上側では前記第1の方向で仕切られ、かつ前記本体部の内部における下側で前記第1の方向で連通するように構成され、
前記第1の方向に沿って前記燃焼部がある側と反対側から前記燃焼部がある側に向けて延伸し、水平方向において前記第1の方向と垂直な第2の方向と交差する前記訓練室の内部の2つの側面のうちの一方、及び前記訓練室の内部の底面、に近接して前記訓練室の内部に固定され、冷却水が内部で流される通水部と、
前記通水部の前記燃焼部側の端部と接続されて前記冷却水が流され、前記第1の方向と交差する方向で延伸し、当該方向の周りで前記冷却水を噴出させるように前記訓練室の内部において設けられ、前記通水部に対して前記第1の方向の周りで回動可能とされた散水部と、
を有し、
前記散水部の前記通水部と反対側の端部が2つの前記側面のうちの他方の側に移動するように前記散水部を回動させることにより前記散水部を前記底面と近接させた第1の状態と、
前記散水部の前記端部が2つの前記側面のうちの前記一方の側に移動するように前記散水部を回動させることにより前記散水部を2つの前記側面のうちの前記一方の側と近接させた第2の状態と、
が切り替え可能とされた散水機構を具備することを特徴とする実火災訓練装置。
【請求項2】
2つの前記側面の各々を前記一方として、2つの前記側面の各々に対応して前記散水機構がそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1に記載の実火災訓練装置。
【請求項3】
前記散水部において、前記散水部の延伸方向に沿って複数設けられた散水孔から前記冷却水が噴出することを特徴とする請求項1又は2に記載の実火災訓練装置。
【請求項4】
前記本体部の底面は、前記燃焼部が形成された側で前記訓練室が形成された側よりも高くなるように設置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の実火災訓練装置。
【請求項5】
前記底面は、木材で構成された表面を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の実火災訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐久性が高く訓練対象者が高温に曝されない実火災訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実際の火災と同様に木材等を燃焼させて濃煙を発生させた環境下で訓練を行わせるための実火災訓練装置が用いられている。こうした実火災訓練装置の構造は、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された実火災訓練装置9の構造を簡略化して示す透視斜視図である。この実火災訓練装置9においては、図中水平方向を長手方向(x方向)とする略矩形体形状の内部空間を有する本体部10が用いられる。本体部10の図中右側(x方向正側)の端部付近には、燃焼台21が設置され、この上で可燃対象物Aが着火されて燃焼する。この領域の左側には、板状の煙調整フラッパー(煙区画板)22が本体部10の上側の領域のみを仕切るように本体部10の内側に設置される。訓練対象者Hは、本体部10の図中左側に連結された前室30から本体部10の図中左側の端面に形成された扉23を通ってこの本体部10内に侵入することができる。
【0004】
図7の構造において、訓練対象者Hは右側の煙調整フラッパー22と左側の扉23の間に位置し、所望の訓練作業をすることができる。この際、燃焼が発生しているのは煙調整フラッパー22よりも右側となるため、本体部10の内部の空間は、煙調整フラッパー22を境界として、その右側(x方向正側)が燃焼部10A、左側(x方向負側)が訓練室10Bとなる。図7において、濃煙Sは煙調整フラッパーの下側を通り燃焼部10Aから訓練室10Bに流れ、扉23近くの天井に設けられた排気口24から排煙処理部40に流れる。
【0005】
訓練室10Bでは、図示されるように、濃煙Sが存在する内部空間の上部側における高温の領域である濃煙ゾーンと、下部側において低温であり濃煙Sによって視界が遮られない可視ゾーンとが形成される。このため、訓練対象者Hは可視ゾーンで活動をすることができるが、燃焼部10A近傍では、燃焼部10Aからの輻射熱によって、可視ゾーンの温度も上昇する。
【0006】
排煙処理部40は、排気口24から濃煙Sを排気し、例えば燃焼等の処理を行うことによって無害化して外気に排出する。
【0007】
上記の構成を実現するためには、少なくとも本体部10の内部には燃焼部10Aと、訓練対象者Hが活動できる訓練室10Bを設けることが必要であるため、本体部10は大型となる。このため、特許文献1に記載されるように、このような本体部10は、例えばISO規格の鋼製の40ftコンテナ(外寸長さ約12m、幅2.4m、高さ2.6m)を基にして、これに扉23等を設けて得られる。これによって、本体部10自身を安価とし、かつその機械的強度等を容易に確保することができる。
【0008】
訓練室10B内では燃焼中においても、特に内部空間の下部側では訓練対象者Hが活動できる程度の温度に維持される。これに対して、本体部10は前記のように熱伝導率が高い鋼製であるため、実際には訓練室10B内の底面には断熱のためにベニヤ板等が敷設される。これにより、訓練対象者Hに対する床面側からの燃焼部10Aからの熱伝導は抑制され、訓練対象者Hは安全に訓練を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2011-34024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の構造においては、訓練室10Bの床面のベニヤ板は燃焼部10Aからの輻射熱によって高温となり、焼損する場合があった。あるいは、同様に輻射熱によって訓練対象者Hのいる空間の温度も上昇することがあった。
【0011】
このため、訓練対象者が高温に曝されない実火災訓練装置の耐久性を高めることが望まれた。
【0012】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の実火災訓練装置は、水平方向に沿った第1の方向を長手方向として延伸する略矩形体形状の内部空間を有する本体部の内部において、燃焼を生じさせることにより発煙をする燃焼部と、訓練対象者を収容する空間である訓練室とが、前記第1の方向で隣接して形成された実火災訓練装置であって、前記訓練室と前記燃焼部とは、前記第1の方向と交差する板状の構成を具備する煙区画板によって前記本体部の内部における上側では前記第1の方向で仕切られ、かつ前記本体部の内部における下側で前記第1の方向で連通するように構成され、前記第1の方向に沿って前記燃焼部がある側と反対側から前記燃焼部がある側に向けて延伸し、水平方向において前記第1の方向と垂直な第2の方向と交差する前記訓練室の内部の2つの側面のうちの一方、及び前記訓練室の内部の底面、に近接して前記訓練室の内部に固定され、冷却水が内部で流される通水部と、前記通水部の前記燃焼部側の端部と接続されて前記冷却水が流され、前記第1の方向と交差する方向で延伸し、当該方向の周りで前記冷却水を噴出させるように前記訓練室の内部において設けられ、前記通水部に対して前記第1の方向の周りで回動可能とされた散水部と、を有し、前記散水部の前記通水部と反対側の端部が2つの前記側面のうちの他方の側に移動するように前記散水部を回動させることにより前記散水部を前記底面と近接させた第1の状態と、前記散水部の前記端部が2つの前記側面のうちの前記一方の側に移動するように前記散水部を回動させることにより前記散水部を2つの前記側面のうちの前記一方の側と近接させた第2の状態と、が切り替え可能とされた散水機構を具備する。
2つの前記側面の各々を前記一方として、2つの前記側面の各々に対応して前記散水機構がそれぞれ設けられていてもよい。
前記散水部において、前記散水部の延伸方向に沿って複数設けられた散水孔から前記冷却水が噴出してもよい。
前記本体部の底面は、前記燃焼部が形成された側で前記訓練室が形成された側よりも高くなるように設置されていてもよい。
前記底面は、木材で構成された表面を具備してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成されているので、訓練対象者が高温に曝されない実火災訓練装置の耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置の構造を示す透視斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置の、散水が行われている間の上面透視図(a)、背面透視図(b)である。
図3】本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置の、散水が行われていない間の上面透視図(a)、背面透視図(b)である。
図4】本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置における散水機構の、散水が行われている間の上面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置における散水機構の、散水が行われている間(実線)、行われていない間(点線)の背面図である。
図6】散水が行われている場合における散水機構を拡大した側面図である。
図7】従来の実火災訓練装置の構造を示す透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る実火災訓練装置1の構造を示す透視斜視図である。ここで、図7における燃焼台21等と訓練対象者Hは同様であるが、その記載は省略されている。以下では、図1に示されたようにx軸(図中左右方向)、y軸(図中紙面と交差する方向:紙面の奥が正側)、z軸(図中上下方向)をとった場合について説明する。前記の実火災訓練装置9と同様に、本体部10の内部は、x方向(第1の方向)において、煙調整フラッパー(煙区画板)22によって燃焼部10A、訓練室10Bに区分される。
【0017】
ここで、図1に示されるように、本体部10における訓練室10B中(煙調整フラッパー22よりもx方向負側)の底面11には、底面から訓練対象者Hへの熱伝導を抑制するための底板11Aが敷設されている。底板11Aは例えばベニヤ板(木材)で構成され、訓練対象者Hが訓練中にいる領域において敷設されている。また、本体部10において訓練室10Bを構成する側面12(図1における奥側:y方向正側)と、側面13(図1においては図示されず:y方向負側)が設けられる。
【0018】
図1において、本体部10の底面11側かつ側面12側においては、左側(x方向負側)から底板11Aの燃焼部10A側端部まで延伸する散水機構50が設けられる。図示が省略されているが、後述するように、本体部10の手前側(y方向負側)においても、これとy方向で対称に、同様の散水機構が設けられる。また、実際には本体部10は図1において左側(x方向負側)が僅かに低くなるように傾斜して設置され、この構造により、例えば本体部10内の排水は図中左側から行われる。この傾斜角は僅かであるため、ここで示される図ではこの傾斜角が零である(水平である)ものとして記載されている。
【0019】
図2(a)は、この本体部10中の構造を上側(z方向正側)からみた上面透視図であり、図2(b)は、同様の構造をx方向負側からみた背面透視図であり、ここでは図1で記載が省略された側の側面13、散水機構50も記載されている。燃焼部10Aで燃焼が行われて発熱している間(この実火災訓練装置1が使用されている間)は散水機構50を用いて訓練室10B内における本体部10の底板11Aには散水が行われる。一方、燃焼部10Aで燃焼が行われない場合(この実火災訓練装置1が使用されていない間)にはこの散水は行われず、かつこの散水機構50は散水時と異なる態様とされる。図2においては、このうち、散水が行われている状態での構造が記載されている。
【0020】
一方、図3(a)(b)は、散水が行われていない場合における図2(a)(b)に対応した上面透視図、背面透視図である。また、図4は、図2(a)における図中上側の散水機構50の構造を詳細に示す図であり、図5図2(b)におけるこれに対応した散水機構50の構造を詳細に示す図である。図5においては、図3(b)におけるこれに対応した散水機構50の形態も点線で示されている。図2、3に示されるように、散水機構50は、本体部10の底面11のy方向端部側(側面12側)において、前室30側(x方向負側)から燃焼部10A側(x方向正側)に向けて延伸するように設置されている。
【0021】
図2(a)、図4に示されるように、この散水機構50は、x方向に沿って延伸して内部をx方向負側から正側に向けて水(冷却水)が流される通水部51と、通水部51の燃焼部10A側(x方向正側)端部に接続されこれと直交して延伸する散水部52を具備する。散水部52は、図2(a)の状態(散水が行われている状態)ではy方向に沿ってその先端がy方向負側に向くように設定され、図3(a)の状態(散水が行われない状態)ではz方向に沿ってその先端がz方向正側に向くように、回動可能に設定される。なお、実際には通水部51を本体部10に固定するための構造が適宜用いられるが、その記載は図1~3では省略されている。
【0022】
通水部51は、本体部10内において固定された第1通水部511と、これに対して延伸方向(x方向)の周りで回動可能とされた第2通水部512が、回転継手513で連結されて構成される。第1通水部511、第2通水部512は共にx方向に沿って延伸する。回転継手513においては、Oリング等を用いて水を封止しつつ、以下に説明するような第2通水部512よりも先端側の構造全体の第1通水部511に対する回動を可能としつつ、これらの間で冷却水(水あるいは冷却媒体)を流すことができるように構成されている。通水部51は、これが固定されていても訓練対象者Hの活動の障害にはならないように、図2、3に示されるように略矩形形状の本体部10における内部空間の下側の両隅近傍で両隅に沿って設置される。
【0023】
散水部52は、第2通水部512と直交して第2通水部512に連結部514を介して固定され、通水部51内を流れた水はこの中を更に流れる。散水部52は、図5に示されるように、図5図2(a))の状態ではy方向に延伸する散水管521と、その先端(y方向負側端部)の先端部522と、先端部522の下側に設けられ水路を閉止する閉止プラグ523を具備する。散水管521には、その延伸方向に沿って複数の小径の散水孔52Aが配列して形成され、通水部51から供給された水はこの散水孔52Aから外部に放出される。前記のように本体部10はx方向負側が低くなるように傾斜しているため、この水は底板11Aを冷却した後で燃焼部10Aと反対側から排出される。
【0024】
また、図6は、図5において散水が行われている場合の散水部52をy方向負側からみた拡大図(側面図)である。この状態では、閉止プラグ523が本体部の底面(底板11A)と当接するため、図5において、散水管521と底板11Aの間の間隔を一定とすることができる。また、図6に示されるように、散水孔52Aは例えば散水管521の中心軸からみて水平方向(x方向負側)の下向き45°の角度に形成されている。このため、図5の状態で散水孔52Aから水を噴出させれば、効率的に底板11Aを冷却することができる。また、これによって、訓練室10B内の温度の上昇も抑制される。このような角度設定によって、特に下側かつ訓練室10B側の底板11Aを効率的に冷却することができる。また、複数設けられた散水孔52Aでこの角度が共通である必要はない。あるいは、散水孔52Aの間隔が一定である必要はなく、燃焼室10Aの構成等に依存し、y方向において特に温度が上昇しやすい箇所があれば、この箇所で散水孔52Aの密度を高く(間隔を短く)してもよい。
【0025】
図5の実線の形態(第1の状態)では、散水部52は、訓練対象者Hが足を置く底板11Aの上にあるが、図2(a)に示されるように、散水部52は、通常は訓練対象者Hが足を置かない燃焼部10A近くに位置するため、訓練対象者Hの作業の障害とはなりにくい。
【0026】
一方、このような散水を常時行う必要はなく、散水は底板11Aあるいは訓練室10B内部の温度が高くなった場合においてのみ行えばよい。このため、散水を行わない場合には、散水部52は図3あるいは図5の点線の形態(第2の状態)とされる。この状態では、散水部52は、本体部10内部の側面12、13上でこれらの表面に沿った形態とされるため、更に訓練対象者Hの作業の障害にはなりにくい。
【0027】
上記においては、図2(a)、図3(a)中における上側(y方向正側)の散水機構50のみが説明されたが、これらの図における下側(y方向負側)の散水機構は、上記の散水機構50とy方向の正負側で対称な構造を具備する。このため、2つの散水機構50において同様の動作を行わせることによって、底板11A全体の温度の上昇を抑制し、訓練室10B内の温度の上昇を抑制することができる。
【0028】
また、図2において底板11Aに対してy方向の全域で散水するために単一の散水機構50のみ(例えば図中上側のみ)を設けてもよい。ただし、この場合には、散水機構50の散水部52を底面11のy方向における幅に対応して長くする必要がある。この場合、散水を行わない図3の状態においては、本体部10の構成によっては、長い散水部52が本体部10の天井と干渉するおそれがある。これに対して、図2に示されたように2つの散水機構50を対称に設けた場合には、散水部52の長さを上記の幅の半分程度とすることができるため、散水部52が天井と干渉することは抑制される。本体部10として、鋼板で構成されたISO規格のコンテナ(40ft等)を用いる場合には、その内部空間の大きさ(長さ(x方向)、幅(y方向)、高さ(z方向))は予め一定値に限定され、例えば高さや幅のみを変えることができないため、こうした構成は特に有効である。
【0029】
図2の形態(散水を行う際の形態)と図3の形態(散水を行わない際の形態)の切替は、訓練対象者Hが散水部52を手動で操作して行うことができるが、電動で第2通水部512を回動させることによって行わせることもできる。
【0030】
上記の構成によって特に底板11Aが効率的に冷却されるため、上記の構成は、特に底面11の少なくとも一部が耐熱性の低い可燃性の木材(ベニヤ板等)で構成された場合において有効である。しかしながら、底面11が他の材料で構成された場合であっても、少なくとも訓練室10B内の温度の上昇を抑制することが可能であるため、上記の構成は有効である。
【0031】
また、上記の構成では、本体部10において、燃焼部10A、訓練室10Bは、本体部10内の上側では煙調整フラッパー(煙区画板)22によって仕切られ、かつ煙調整フラッパー22の下側では連通するように形成された。この構成では、特に訓練室10B内の底面11の温度が上昇しやすいために、上記の構成は特に有効である。しかしながら、燃焼室と訓練室が本体部の中で他の態様で設けられた場合であっても、これらが隣接(近接)している場合には、訓練室側の温度の上昇を抑制することができるため、上記の構成は有効である。
【0032】
また、図2等においては、散水部52は直線形状のパイプが結合されて構成されたが、同様の機能を実現できる限りにおいて、散水部の形態は任意である。
【0033】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0034】
1、9 実火災訓練装置
10 本体部
10A 燃焼部
10B 訓練室
11 底面
11A 底板
12、13 側面
21 燃焼台
22 煙調整フラッパー(煙区画板)
23 扉
24 排気口
30 前室
40 排煙処理部
50 散水機構
51 通水部
52 散水部
52A 散水孔
511 第1通水部
512 第2通水部
513 回転継手
514 連結部
521 散水管
522 先端部
523 閉止プラグ
A 可燃対象物
F 炎
H 訓練対象者
S 濃煙
【要約】
【課題】訓練対象者が高温に曝されない実火災訓練装置の耐久性を高める。
【解決手段】本体部の底面11側かつ側面側において、x方向負側から底板11Aの燃焼部側端部まで延伸する散水機構が設けられる。散水機構は、x方向に沿って延伸して内部を水が流される通水部と、通水部の燃焼部側端部に接続されこれと直交して延伸する散水部52を具備する。実線の形態(第1の状態)では、散水部52は、訓練対象者が足を置く底板11Aの上にある。散水を行わない場合には、散水部52は点線の形態(第2の状態)とされる。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7