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特許7464812ミトコンドリアDループ塩基配列を標識母系とする栽培漁業事業化法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ミトコンドリアDループ塩基配列を標識母系とする栽培漁業事業化法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/10 20170101AFI20240403BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20240403BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20240403BHJP
【FI】
A01K61/10
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021189662
(22)【出願日】2021-11-22
(65)【公開番号】P2023076313
(43)【公開日】2023-06-01
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】508350889
【氏名又は名称】有限会社ジェノテックス
(72)【発明者】
【氏名】添田 栄一
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-148505(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110135720(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 - 63/10
C12Q 1/686
C12Q 1/6869
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継代養殖した人工孵化種苗のミトコンドリア(mt)DループからDNA塩基配列を採集し、分子系統樹のホモロジー解析(Multiple Sequence Alignment)によって母系特異的塩基配列別に分割し、標識放流後、該漁獲成魚個体及びその加工品のmtDループ塩基配列が上記種苗の母系特異的塩基配列と一致し、分布密度と比例関係にある場合を種苗の母系多型遺伝子と同定し、その成魚として再生・確保する孵化放流による事業化法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エビ、カニの甲殻類を含む水産魚介類のミトコンドリア(mt)Dループを母系多型遺伝子と定義し、遺伝子構成と分布による母系集団遺伝学を創設し、継代養殖で増幅した人工孵化種苗放流による栽培漁業の事業化のための調査技術分野。
【背景技術】
【0002】
激減する漁獲資源の再生・確保のために、1974年、栽培漁業法が制定された。全国の種苗養殖場では、海洋で漁獲した繁殖用親魚数百尾から数百万尾の人工孵化種苗を育成し放流しているが、人工孵化種苗の標識と漁獲成魚との識別ができず、事業化は停滞している。
【0003】
当初、養殖魚との形態的相違や物理的標識、あるいは耳石温度法によって識別していたが、分析精度、調査規模に限界があった。21世紀初めから遺伝子解析技術が導入され、ゲノムDNAやミトコンドリアによる制限酵素地図法(RFLP)やマイクロサテライト(MS)等のDNAマーカーを用いた「ハプロタイプ」あるいは「親子識別」(非特許文献1-3)で、標識、識別を試みたが、ゲノム構造の複雑性、および遺伝子の多様性が障害となった。
【0004】
本発明者らは、近畿大学水産研究所で完全養殖した3代目太平洋クロマグロ、および8代目マダイの親子間、受精卵のmtDループ塩基配列が一致し、継代遺伝することを発見し、「ミトコンドリアDNA可変領域塩基配列による水産魚介類の標識、および識別のための方法」として特許文献1を、マグロ属のmtDループ多型と識別できる実例をもって漁獲量への貢献度を判定する方法として特許文献2を公開した。これらは、個体間の標識・識別法であり、数千万尾を対象とする漁獲資源の増減を推定する内容ではなかった。
【0005】
有明海沿岸のクルマエビ、ガザミの資源激減は深刻であり、このために沿岸4県は、2009年から毎年、クルマエビ850万尾、及びガザミ300万尾を放流し絶滅を食い止めたと推定しているが、事業化による回復の目度は立っていない(表1)。
【0006】
【表1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ジェノテックス(2009)特許第495801号 「ミトコンドリアDNA可変領域塩基配列による水産魚介類の標識および識別のための方法」
【文献】ジェノテックス(2009)特許第5767143号 「ミトコンドリアDNA可変領域塩基配列による水産魚介類の標識および識別のための方法」
【非特許文献】
【0008】
【文献】菅谷琢磨ら(2001) 「クルマエビmtDNA調節領域のPCR-RFLP分析によるハプロタイプの検出」、水産育種、31巻、11~15頁
【文献】藤井徹生(2006) 「開放性海域におけるヒラメ放流魚の移動および産卵群への加入過程の定量的評価」、水産総合研究センター報告、別冊5,143~146
【文献】水産総合研究センター報告(2007)「ヒラメの見えない放流効果に迫る」、養殖、12巻81~83頁
【文献】ジェノテックス(2009)「DNA識別商品」(商標登録第52277171号)
【文献】添田栄一(2017)「クロマグロ資源の再生・確保へ」養殖ビジネス8巻 39~40頁
【文献】Davis,P., K. Byrne,J.David,S.Hetzel, N, Preston (1999):The development and application of genetic markersfor the Kuruma prawn Penaeus japonicas Aquaculture 173巻 19-32頁.
【文献】Tamura, K. Dudley, J. Nei, M. & Kumar(2007): Molecular Evolutionary Genetic Analysis (MEGA) Software Version 4.0. Mol.Biol. Evol. 24巻, 1596-1599頁
【文献】Ling F., R. Niu, H. Hatakeyama, Y.Goto, T. Shibata & M.Yoshida, ”ROS stimulate mitochondrial allele segregationtowards homoplasmy in human cells”, Molecular Biology of the Cell, doi:10.1091/mbc.E15-10-0690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
激減する漁獲資源の再生・確保のために、孵化放流による栽培漁業の事業化課題を解決する。すなわち、養殖場で育成した人工孵化種苗のmtDループを、標識母系とし放流後、漁獲採集した成魚のmtDループを分子系統樹による母系集団遺伝学によって該種苗の成魚と選択・同定し、地域特産の天然魚として「DNA識別商品」として再生・確保する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
東日本大震災で自然発生した36尾の抱卵ガザミ(図2)を採取し、mtDループの分子系統樹を構築した結果、同母系親子間のmtDループは完全に一致していたが、異母系間の配列は33の母系統に分離し、母系からゾエア幼生まで継代遺伝することを発見し、mtDループを母系多型遺伝子と定義し、母系集団遺伝学を創設し、該種苗の「母系別加入量変動調査法」を発明とした。
【0011】
本調査法の実施試験のために、抱卵ガザミ40尾のゾエア幼生と養殖クルマエビの孵化種苗のmtDループを採取し、標識母系として放流し、漁獲成魚から収集したmtDループを分子系統樹により母系多型遺伝子に分離・識別し、遺伝子構成の分布による「母系別加入量変動調査法」によって再生・確保する。なお、漁獲した母系多型遺伝子の大部分は、海洋での生存・再生率の低い野生地魚由来であり、とりわけ、消費圧力の強い魚種では世代を重ねる毎に分散し1尾以下の未漁獲魚となる事を発見した。
【発明の効果】
【0012】
母系多型遺伝子を継代養殖により選択育種し、再生・確保を事業化する。すなわち、消費予測量の継代種苗を大量調製し標識放流する。漁獲した成魚のmtDループ配列を分子系統樹で野生地魚と識別し、継代種苗の成魚を地域特産天然魚として「DNA識別商品」とし、栽培漁業の生産・流通基盤を確保し、受益者負担の事業化を樹立する。
で漁獲資源を維持する。
【0013】
本発明に係る栽培漁業の事業化法は、抱卵ガザミ、クルマエビに人工孵化種苗に限定するものでない。海洋水産魚類のmtDループ配列が、分子系統樹で数百~数千で分離し、数千の受精卵が均一の塩基配列で標識していることは、特許文献1、2等で明らかにしている。従って、他の魚種のmtDループも、あらためて確認することなく栽培漁業の事業化調査法として本法を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】天然クロマグロのmtDループ多型配列の分布を示すグラフである。
図2】那珂湊で入手した天然抱卵ガザミを示す写真である。
図3】ガザミmtDループ一塩基多型配列の分布を示すグラフである。
図4】ミトコンドリアDNAの複製と体細胞分配機構を示す説明図である。
図5】抱卵ガザミ標識種苗の漁獲分布を示すグラフである。
図6】クルマエビの親子を示す写真である。
図7】漁獲クルマエビの母系別分布を示すグラフである。
図8】継代養殖クルマエビの母系別分布を示すグラフである。
図9抱卵ガザミ孵化種苗による再生・確保の事業化の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
≪1≫抱卵ガザミのmtDループ配列と母系多型遺伝子
<1-1:抱卵ガザミの人工孵化種苗>
抱卵ガザミは1回に80万~450万粒を産卵・孵化し、そのうち数十万尾を抱卵し海洋で脱皮するが(図2)、ほとんどがプランクトンとして捕食され死滅する。種苗養殖場では、1回に約40尾の抱卵ガザミから脱皮した数百万尾の人工孵化種苗を作製し放流しているが、40以下のmtDループ配列で標識されていることを発見し、mtDループを母系多型遺伝子と定義し、遺伝子構成の分布による母系集団遺伝学を導入し、孵化放流による栽培漁業に「母系別加入量変動調査法」を発明し、事業化課題を解決した。
【0016】
<1-2:遺伝子材料と解析方法>
甲殻類を含む水産魚介類の筋肉を、プロテアーゼKで55℃、一晩溶解してDNAを抽出し、フェノール処理をした後、NLS/酢酸カリウムによってミトコンドリアDNAを抽出する。PCRによるサイクル・シーケンスによってmtDループ塩基配列(約1kb)を決め、分子系統樹(非特許文献7)により母系多型遺伝子を分離する。
【0017】
<1-3:ガザミのmtDループ塩基配列決定法>
1)エタノール保存された筋肉片からmtDNAを抽出する。
2)プライマーCrab12s-4及びD-drを用いてPCR増幅を行う。
3)プライマーCrab12s-5を用いサイクル・シーケンスでmtDループを読み取る。
4)分子系統樹からmtDループ塩基配列を抽出し、標識母系とする。
PCRプライマーの塩基配列は、
Crab12s-4 5'-GACAAGACTAAACCACCG-3'
D-dr 5'-GCTACCCTTTTAAATCAGGCAC-3'
Crab12s-5 5'-CCGCGACTGCTGGCACAATATT-3'
【0018】
<1―4:抱卵ガザミのmtDループ配列>
東日本大震災で自然発生し那珂湊で捕獲した抱卵ガザミ36尾のmtDループ塩基配列(約1kb)を決定し、分子系統樹を構築した結果、同母系親子間の配列は完全に一致したが、異母系間のmtDループ配列は異なり、33の母系統に分れたが、同母系からガザミ幼生までで継代遺伝していることを発見した。
【0019】
<1-5:mtDループの遺伝子構造と機能(図3)>
中国上海ガザミ43尾を加えた計79尾のmtDループ塩基配列を整列化し、相同解析をした結果、約千塩基配列に長さの異なるAT反復配列(~30bp)と211部位に一塩基多型配列(SNP)クラスターが2箇所あり、分子系統樹で75系統に分離した。ただし、SNPクラスター間に連続した制限酵素EcoT22-I切断部位、11塩基の共通配列が見られ(図3)、体細胞遺伝の開始とローリングサークルによるmtDNAのθ型複製と長鎖DNAの切断と分配のための異母系間での共通遺伝子機能と想定した。
【0020】
<1-6:mtDループによる個体識別から母系識別へ>
特許文献1および2では、完全養殖した人工孵化種苗のmtDループが母系特異的配列で標識され、放流後、漁獲した成魚、あるいはその加工品のmtDループ配列と一致した場合を、該種苗の後代とし個体識別を行なったが、数百万~数千万尾の栽培漁業の事業化は困難である。このために個体識別から母系識別へ転換し、継代養殖によって母系多型遺伝子を選択育種し、増殖による栽培漁業の事業化法を発明した。
【0021】
≪2≫mtDループ塩基配列と母系多型遺伝
海洋で捕獲された40尾の抱卵ガザミから160万尾の人工孵化種苗を作製し、モニタリングで採取した36尾のmtDループから分子系統樹で26の塩基配列を分離し標識母系とした。放流半年後、漁獲収集した314尾のガザミのmtDループを分子系統樹で分離し、標識母系20に161尾を非標識母系76に153尾を検出した(表2)。ただし、非標識には標識漏れがあり標識母系から補正すると、人工孵化種苗の母系39で240尾を、非標識母系65で74尾の野生地魚を漁獲し、標識種苗の76.4%の漁獲成魚により母系多型遺伝子の証明とした。なお、表2の母系別漁獲数は、(同母系漁獲数)×(標識母系)=(標識母系漁獲数)、及び(同母系漁獲数)×(非標識母系)=(非標識母系漁獲数)で算出した。
【0022】
【表2】
【0023】
<2-1:抱卵ガザミ種苗の漁獲分布>
漁獲採集した抱卵ガザミ種苗のmtDループを分子系統樹で標識、および非標識母系に分け、母系多型遺伝子別に分配すれば、野生ガザミとの生存率の差によって母系別加入量変動調査ができる。表2の同母系漁獲1~40尾を横軸に、同母系漁獲数の積算を縦軸に棒グラフにすると(図5)、非標識母系76の同母系漁獲数(□棒)は急降下するが、標識種苗の母系20の同母系漁獲数(■棒)は、種苗養殖場での母系多型遺伝子の増幅再生率によって右肩上がりとなる。なお、同母系漁獲40尾は4尾で標識し、継代養殖による増幅が認められる。
【0024】
<2-2:抱卵ガザミ事業化調査>
標識母系漁獲率:20/26=77%
種苗漁獲(補正)率:(161+79)/314=76.4%
160万×0.77×0.764×498=4.7億円(1尾当り粗利益;500-2≒498円)
【0025】
≪3≫クルマエビ母系別加入量変動調査法
<3-1:栽培漁業の実施試験>
クルマエビは1回の産卵で70~100万尾が孵化するが、海洋ではほとんどがプランクトンとして死滅する。 種苗養殖場では、海洋で捕獲した繁殖用親エビ数百尾が産卵し、育成した人工孵化種苗として数百万尾を放流し、資源の再生・確保を試みているが、種苗の標識と漁獲成魚の識別法がなく、栽培漁業の評価は定まっていない(表1)。
【0026】
<3-2:試験材料・方法>
1)エタノール保存された筋肉片(体細胞)からDNAを抽出。
2)下記プライマーF2及びPJCRr-Tを用いたPCRでmtDNAを増幅する。
3)サイクル・シーケンス反応には、プライマーF3を用いてmtDループ塩基配列を読み取る。
4)クルマエビ人工孵化種苗1,700万尾からmtDループ配列を採集し、標識母系とし放流後、漁獲収集した標識母系を分子系統樹で分離し、母系別加入量変動調査法で事業化調査をする。
プライマーの塩基配列
F2:5'-AAAATGAAAGAATAAGCCAGGATAA-3'
PJCRr-T:5‘-AGTTTTGATCTTTGGGGTAATGGTG-3'
F3:5'-GAAAGAATAAGCCAGGATAA-3’
【0027】
<3-3:母系別加入量変動調査>
繁殖用親エビ数百尾から育成した人工孵化種苗1,700万尾から1,159尾を採取し、分子系統樹でmtDループを473の標識母系に分離し(標識母系当り平均2.45尾)有明海に放流した。半年後、漁獲採集した9,623尾のmtDループを分子系統樹で解析し、その内1,252尾を標識母系215(漁獲母系当たり平均5.82尾)に、残り8,371尾に非標識母系5,955(漁獲母系当り1.42尾)に分離し、同母系多型遺伝子別に漁獲尾数を積算し、母系遺伝子の分布を調べた(表3、表4)。
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】
<3-4:漁獲成魚の母系多型遺伝子分布>
表3の上段の同母系漁獲1~4尾は、人工孵化種苗239尾の標識母系182を放流し328尾を漁獲したが、母系分布は平均1.80尾で生産性は低い。残り漁獲エビ7,440尾には非標識母系5,778があり、母系遺伝子当り平均1.29尾であるが、大部分は野生地エビであるが、再生率の低さによって次世代では1尾以下となる。
同表中段の同母系漁獲5~19尾は、人工孵化種苗79尾による標識種苗24で168尾を漁獲した。非標識母系137に931尾があり、母系当り平均7尾対6.8尾であり、人工種苗の標識漏れとし補正した。
同表下段の同母系漁獲29~129尾は、種苗563尾を9母系多型遺伝子で標識し(標識62.6尾/母系)、放流後756尾(漁獲84尾/母系)を漁獲回収した。非標識ないことから継代養殖によって母系多型遺伝子473が9母系に選択育種されたことを示す。
【0030】
<3-5:栽培漁業事業化調査>
非標識母系の補正の結果、漁獲成魚の生産履歴は、野生地魚は7,740尾(1.29尾/母系)、一般養殖は1,427尾(4.16尾/母系)、継代養殖は756尾(84尾/母系)に分離でき(表4)、海洋での生存漁獲率は(1,472+756)/9,604=22.7%となる。クルマエビ種苗1尾を2円、漁獲成魚1尾を700円とすると、粗収入は700-2=698円となる。
1)標識母系漁獲率:(473-258)/473=45%(765万尾)
2)母系漁獲(補正)率:(1,252+931)/9,604=22.7%(173万尾)
3)事業粗収入:173万尾×698円=12億円
【0031】
<3-6:「一世代回収型」の栽培漁業の事業化>
表3の同母系遺伝子漁獲数1~129尾までを横軸に、同母系漁獲数の積算を縦軸の棒グラフにした(図7-1)。非標識同母系(■棒)は、海洋での孵化再生率、生存率が低いために急激に減少し、L字型の分布となる。同母系標識数(□棒)特に5尾以上は、養殖場での増殖率と海洋での生存率が高く、栽培漁業に適応した母系多型遺伝子では右肩上がりにV字型となり、野生地エビと識別できる(図7-2)。このことは、漁獲制限や放流種苗を海洋で再生する「資源増殖型」は、消費圧力が強い現状では絶滅の運命にある。ただし、継代養殖による選択育種による「一世代回収型」の栽培漁業の事業化によって、資源の再生・確保の可能性はある。
【0032】
≪4≫継代養殖によるクルマエビの選択育種
<4-1:母系多型遺伝子の減縮と増幅>
継代養殖によるクルマエビ人工孵化種苗850万尾から採取した1,209尾のmtDループを299の塩基配列に分離し(標識4.04尾/母系)、標識母系として有明海に放流した。半年後、漁獲採集した5,660尾のmtDループ配列を決め、その内1,452尾を標識母系160に(漁獲9.08尾/母系)に、残り4,208尾を非標識母系3,123(漁獲1.35尾/母系)を分子系統樹で分離し、さらに母系多型遺伝子別に分配した(表5)。遺伝子構成の分布から漁獲エビの生産起源を、海洋再生、1世代養殖、継代養殖型に分離した(表6)。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
<4-2:継代種苗の母系別加入量変動調査>
表5および表6は、同母系多型遺伝子別に漁獲尾数を積算し、母系の分布を調べた。表5の下段の同母系漁獲90~378尾は、継代種苗798尾で6母系多型遺伝子を標識し(標識133尾/母系)、放流後、1,066尾を漁獲し母系多型遺伝子別に分配した(漁獲178尾/母系)。非標識漁獲エビが1尾もない分布から継代種苗の成魚と同定しDNA識別商品とした。
表中段の同母系漁獲5~45尾には、標識母系17よる138尾の識別は(8.11尾/母系)は、非標識母系42を312尾と(7.61尾/母系)と類似することから標識モレを含む一般養殖種苗とした。
表5上段の同母系漁獲1~4尾では、標識母系137で248尾を(1.81尾/母系)、非標識母系3,082で3,896尾を漁獲したが(1.26尾/母系)、ほとんどが再生産率の低い養殖、あるいは野生エビの母系多系遺伝子である。
【0036】
<4-3:継代種苗の母系別調査>
以上の標識モレを補正した結果、漁獲成魚5,660尾の生産履歴と漁獲尾数を、野生エビ3,896尾、養殖エビ450尾、継代養殖エビ1,066尾に分離し、継代養殖による栽培漁業の事業化効果を示した。
1)標識漁獲率:(299-139)/299=53.5%(検索数1,209尾)
2)種苗漁獲(補正)率:(1,066+450)/5,660=31.2%(生存数:265万尾)
3)漁獲粗収入:850万×0.535×0.312×(700-2)=9,8億円:稚魚1尾を2円、漁獲活エビ1尾を700円で販売。
【0037】
<4-4:一世代回収型の栽培漁業の事業化>
表5の同母系漁獲1~378尾までを横軸に、同母系漁獲の積算数を縦軸に棒グラフにした(図8)。継代養殖により標識母系(■棒)の同母系漁獲数は多いが母系は少なく、逆に、非標識母系(□棒)では母系と漁獲数が多いためにU字型を示す。中央の凹みは両者を繋ぐ標識モレである。いずれの場合も、海洋での再生産率は低いために「資源増殖型」では激減し、漁獲エビは一尾以下に収斂するために、遺伝子多様性や生態系への影響は少ない。一方、継代養殖によって選択育種した母系多型遺伝子は、養殖場で必要量だけ生産でき、放流後「餌要らず、世話いらず」の自然力で成長し、生存率が高いために、「一世代回収型」の栽培漁業の事業化で地域特産天然の「DNA標識商品」として確保できる。近海沿岸漁業を活性化し、排他的経済水域(EEZ)の実効支配ができる。
【0038】
<4-5:継代養殖による選択育種>
表3の人工孵化種苗から接種し継代した表5の継代種苗の標識母系は473から299に減縮され、放流後、同母系漁獲数は平均5.82尾から9.08尾に上がった。特に、継代種苗850万尾から798尾で6母系多型遺伝子を標識し、放流後、1,066尾を漁獲確保したことは、継代養殖で選択育種と増幅で、放流後、効率よく漁獲確保した結果であり、地域特産の天然魚としてDNA識別商品に登録できる。他の水産魚介類のmtDループ配列も数多く分離し、数十万尾を産卵・孵化することから、母系集団遺伝学が漁獲資源再生・確保のための原理となる。
【0039】
≪5≫発見・発明の要約と事業化課題の解決手段
<5-1:発見・発明の要約>
自然発生した抱卵ガザミ36尾のmtDループ塩基配列を分子系統樹で母系統33に分離し、継代遺伝することを発見した。そこでmtDループを母系多型遺伝子と定義し、母系集団遺伝学を創設し、遺伝子構成の分布による「母系別加入量変動調査法」を発明し、栽培漁業の事業化調査法とした。その実施試験として継代養殖したクルマエビ種苗850万尾を有明海に放流し、漁獲採集した5,660尾の母系多型遺伝子3,277から、純化・増幅した6母系多型遺伝子で1,066尾を検出・識別し、母系集団遺伝学を栽培漁業の事業化調査法に組み入れた。
【0040】
<5-2:生産・流通基盤>
継代養殖によって純化・増幅した母系多型遺伝子の遺伝子別の分布により種苗成魚を同定し、地域特産の天然魚とする「DNA識別商品」を栽培漁業の生産・流通基盤とし、事業化課題を解決する。他の遺伝子同様
【0041】
<5-3:一世代回収型栽培漁業>
継代養殖した人工孵化種苗の海洋での生存・成長率は高いが、再生率は低いために、生態環境への影響は少ない事を発見し、継代養殖で消費需要量だけの標識種苗を生産し、放流後、「一世代回収型」で成魚を漁獲確保することで生態系環境を維持する。
【0042】
<5-4:漁業権の課題解決>
漁業権は漁「場」でなく漁「業」を排他的に営む権利であり、受益者負担を原則に漁獲資源、及び、生態系環境を維持する義務がある。継代養殖で選択育種した標識母系を漁獲成魚として回収し「DNA識別商品」として地域特産の天然魚とすれば、密漁や密売を監視し、漁業権者あるいは地元漁業関係者の協力が得られ、日本の排他的経済水域(EEZ)を保全する。
【0043】
≪6≫補足;特許文献1、2と本発明との比較
<6-1:ミトコンドリア遺伝子の変異速度>
細胞質ミトコンドリア遺伝子は核ゲノム遺伝子と比較して塩基置換速度が5~10倍早いといわれる。ただし、細胞遺伝では核ゲノム1コピーが複製する間にミトコンドリアは数百コピーが複製するために、核、ミトコンドリアに共通するリボソーム遺伝子等で塩基置換速度の差を測定できた。一方、海洋水産類細胞間のmtDループ配列は、数十以上の塩基配列が異なるために、分子遺伝学ではジャンク(ガラクタ)として処理されていた。今回、抱卵ガザミのmtDループは異母系間で分離するが同母系親子間の塩基配列は一致し継代遺伝すること、ローリングサークルによる細胞質遺伝のための共通遺伝子構造や、クルマエビの継代養殖でmtDループが母系多型遺伝子であり、母系集団遺伝学に従うことを実証し、突然変異を否定した。
【0044】
<6-2:特許文献1、2と本発明とに共通する技術>
特許文献1、2の個体識別は他の遺伝子同様の塩基配列の相同性比較であり、本発明の母系識別と共通技術でない。
【0045】
<6-3:特許文献1、2には無い本発明に特有の技術>
特許文献1、2は完全養殖によるmtDループ塩基配列による個体識別であり、本発明は継代養殖による母系識別であり、技術的に異なる。mtDループ配列を母系多型遺伝子と定義し、遺伝子構成の分布による母系集団遺伝学の創設は、他の海洋漁獲資源にも適用できる生命遺伝学の共通原理の発見・発明である
【0046】
<6-4:特許文献1、2の課題解決>
特許文献1、2では、完全養殖による同母系mtDループ配列が均一、かつ継代遺伝すること証明し、個体識別による追跡調査、生態調査では役立った。しかし、元々海洋地魚を養殖し人工孵化種苗を海洋で育成し、個体識別によって漁獲成魚を識別することは、ゲノムDNAによる「ハプロタイプ解析」「親子識別」を加えても解決できなかった。
【0047】
<6-5:本発明による事業化課題の解決法>
抱卵ガザミのmtDループを母系多型遺伝子と定義し、遺伝子構成の分布による母系集団遺伝学を創設した。ついで栽培漁業の事業化試験のために、継代養殖したクルマエビ人工孵化種苗850万尾のmtDループ配列299を標識母系として有明海に放流した。その結果、漁獲採集した5,660尾のうち1,066尾に6母系多型遺伝子を検出し、選択育種したDNA識別商品と同定した。地域特産天然魚として栽培漁業の生産・流通基盤とすれば「一世代回収型」栽培漁業の事業化調査法として地元漁業従事者や漁業権者の合意が得られ課題は解決する。
【0048】
<6-6:漁獲資源の再生・確保>
有明海でのガザミ、及びクルマエビ事業の実施形態を参照し、母系別加入量変動調査法の開発を行なったが、上記2魚種に限定するものでない。特許文献1、2、及び非特許文献5では、完全養殖したマダイ、本マグロのmtDループを母系特異的塩基配列で標識し、放流後、漁獲した成魚との個体識別で生態調査等を行った。今回、漁獲資源の再生・確保のためにクルマエビ継代養殖による選択育種と母系識別により漁獲調査を行い、養殖場での再生産率と海洋での生存率の高い母系6種を選択したが、他の水産資源にも適用できる母系集団遺伝学による事業調査法である。
【0049】
≪7≫添付図の詳しい説明
図1>クロマグロのミトコンドリア(mt)Dループの母系分布
図1の横軸に、太平洋クロマグロ(□棒)、および大西洋クロマグロ(■棒)の同母系漁獲数を、縦軸にその積算数を示す。完全養殖した太平洋クロマグロマは、1回の産卵で数百万尾の稚魚が孵化し、mtDループは同一塩基配列で標識されているが、同母系当たりの漁獲数は数尾である。2009年冬、津軽海峡で漁獲した太平洋クロマグロ405尾、及び築地市場で入手した大西洋クロマグロ352尾のmtDループ塩基配列を決め、分子系統樹でそれぞれ395、及び295の母系多型配列に分離した。母系当たりの平均漁獲数は、1.03尾と1.19尾である。なお、タイ、サバ、ブリ等漁獲資源のmtDループからも多くの母系多型配列を分離した。
【0050】
図2>自然発生した抱卵ガザミと母系標識
ガザミは1回に80万~450万粒を産卵し(黒デコ;図2)、このうち数十万尾がゾエア幼生として海洋で脱皮するが、ほとんどプランクトンとして捕食される。東北大震災で自然発生した抱卵ガザミ36尾を那珂湊で入手し、同母系親子間のmtDループは同一の塩基配列で標識していたが、異母系間の配列は分子系統樹で33の系統に分離したが、継代遺伝することを発見し、母系多型遺伝子と定義した。
【0051】
図3>ガザミmtDループ一塩基多型配列(SNP)の分布図
那珂湊で入手した天然抱卵ガザミ36尾に、中国上海産ガザミ43尾を加え、75の母系統に分離した。図3では、mtDループ塩基番号1,134を横軸に、79尾から積算したSNP数を縦軸に示す。211部位にSNPクラスターが2箇所、その間に長さの異なるAT反復配列(~30bp)が分散している。
SNPは通常、核のゲノムDNAに1%以上、500塩基に1回の頻度で現れる一塩基多型配列である。水産魚介類のmtDループでは5塩基に1回以上のSNPが現れ、意味不明(ジャンク)のDNAとされていた。しかし、異母系間で配列が異なり安定的に維持されかつ継代遺伝することを発見し、mtDループを母系多型遺伝子と定義した。
【0052】
図4>ガザミのミトコンドリアDNA複製と体細胞分配機構
抱卵ガザミの同母系親子のmtDループは、生殖細胞遺伝により同一塩基配列で標識されるが、ミトコンドリアDNA配列の両末端に分断されている。体細胞遺伝では環状化し、ローリング・サークルによるDNA複製が始まり、生成した長鎖DNAの切断によって、各体細胞に数百コピーが分配されるが、母親から子に継代遺伝する。図4は、ミトコンドリアDNAの複製工程を示す図である。mtDループ配列のSNPクラスター間に制限酵素EcoT22-1切断部位2ヶ所を含む11の共通配列があり、ローリング・サークルの切り替え点となる。3重螺旋を形成した後、途中で合流し、2重螺旋2本のθ型を形成する。
【0053】
図5>抱卵ガザミ人工種苗漁獲成魚の母系遺伝子分布図
抱卵ガザミ40尾から育成した160万尾の人工孵化種苗から36尾を採取し、26のmtDループ多型を分離し、標識母系として有明海に放流した。半年後、漁獲採集した314尾からで161尾に20の標識母系を、153尾に70の非標識母系を分子系統樹で分離した。図5は同母系漁獲数を横軸に、漁獲数の積算を縦軸に作成した棒グラフである。標識魚(■棒)では同母系漁獲尾数は多いが母系は少ないために母系当たりの漁獲数は平均6.2尾となった。逆に、非標識魚では(□棒)同母系漁獲尾数は少ないが母系が多いために、母系当たりの漁獲数は平均1.6尾でV字型を示した。非標識母系には標識漏れも含まれ、標識母系の分布から補正すると、160万尾の人工孵化種苗の漁獲成魚は、37の母系多型遺伝子で標識、識別される。
【0054】
図6>クルマエビの親子を示す写真
クルマエビは一回の産卵で70~100万尾が孵化する。海洋ではプランクトンとしてほとんどが捕食される。有明海沿岸4県では、海洋で捕獲した数百尾の繁殖用親エビから毎年850万尾の稚エビ(3cm)を育成、人工孵化種苗として海洋に放流する。半年後に16~20cmのエビを漁獲し出荷している。
【0055】
図7>漁獲クルマエビの同母系遺伝子の分布
クルマエビ人工孵化種苗1,700万尾を放流し、半年後、漁獲採取した9,623尾のうち1,252尾に215の標識母系を検出したが、残り8,372尾は5,955の非標識母系に分離した(表3、図7-1)。母系別に漁獲数の分布を示すと、非標識(□棒)の同母系漁獲4尾以下は急降下しL字型となる。その理由としては、海洋地エビの母系種は多いが海洋での生存率が低いので、母系当たりの漁獲分布が平均1.4尾と少ないと推測できる。ただし、拡大図7-2の同母系漁獲数5~19尾における標識/非標識の比は平均7尾対6.8尾であり、標識漏れによる養殖種苗由来と推定した。なお、同母系漁獲数32~129尾での標識/非標識の比は平均84尾対0尾であり(表5)、継代養殖による種苗増幅と母系減縮の結果である(図7-2)。該漁獲量に対する種苗成魚の割合は23%であった。
【0056】
図8>継代養殖人工孵化種苗による栽培漁業
栽培漁業事業化では、人工孵化種苗の放流量と標識母系による漁獲成魚の確保が鍵となる。表5の継代養殖クルマエビ漁獲成魚の分布を標識(■棒)、および非標識(□棒)に分けた。非標識同母系漁獲数4尾以下は急降下するが、母系当たりの漁獲数1.26尾は海洋地魚再生の分布であり、次世代では1尾以下の母系多型遺伝子に吸収される。ただし、同母系漁獲数5~45尾は、17の標識母系で138尾を、42の非標識母系で312尾を検出した。その母系漁獲比は平均8.11尾対7.61尾であり、標識漏れと養殖再生エビの分布である。一方、同母系漁獲数60~378尾の標識と非標識母系漁獲比は、178尾対0尾であり、海洋で漁獲できない人工孵化種苗の天然エビとしてDNA識別商品に同定した。その結果、生産履歴と漁獲尾数により人工種苗850万尾の内、海洋再生3,896尾、養殖再生386尾、継代養殖1,066尾を分離した。図7と比べ、473の母系が299に減縮し、漁獲量は23%から31.2%に増えた。
【0057】
≪8≫付記
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。例えば、次のように表現してもよい。
【0058】
<付記1>水産魚介類のミトコンドリアDNAのDループ塩基配列を母系多型遺伝子と定義し、遺伝子構成の分布による母系集団遺伝学を人工孵化種苗による栽培漁業に導入する方法であって、
該水産魚介類の同母系親子間のDループを同一塩基配列で標識し、異母系親子間の塩基配列とは一塩基多型のクラスター配列とAT反復配列による分子系統樹解析で識別する方法。
【0059】
<付記2>種苗養殖場で継代養殖した人工孵化種苗を標識母系として登録し、前記人工孵化種苗を放流後、成長した捕獲魚のDループ塩基配列から分子系統樹解析で母系多型遺伝子を分離し、遺伝子構成の分布による母系別加入量変動調査法で、捕獲魚の生産履歴や漁獲高への貢献度を明らかにする付記1記載の方法。
【0060】
<付記3>水産魚介類を放流する事業の漁獲高への貢献度を判定する方法であって、
前記水産魚介類の雌親又は前記雌親に由来する受精卵、仔魚、稚魚、成魚若しくは種苗から採取されるミトコンドリアDNADループの母系特異的塩基配列(第1の塩基配列)を決定し、
次いで、前記雌親に由来する受精卵、仔魚、稚魚又は成魚を放流し、
次いで、漁獲された前記水産魚介類から採取されるミトコンドリアDNADループの母系特異的塩基配列(第2の塩基配列)を決定し、
次いで、漁獲された前記水産魚介類の総数に占める、前記第1の塩基配列と同じ前記第2の塩基配列を持つ前記水産魚介類の割合を求めることにより、前記漁獲高への貢献度を判定する、
ことを含む方法。
【0061】
<付記4>前記漁獲された前記水産魚介類の総数に占める、前記第1の塩基配列と同じ前記第2の塩基配列を持つ前記水産魚介類の割合を求める際に、
前記第1の塩基配列を母系特異的遺伝子、前記第2の塩基配列を母系多型遺伝子とし、分子系統樹解析に基づく母系集団遺伝学の母系別加入量変動調査によって、生産履歴を同定することを利用する、
付記3記載の方法。
【0062】
<付記5>前記第1の塩基配列と前記第2の塩基配列とが同母系であることはホモプラスミーの母系特異的塩基配列で判定し、前記第1の塩基配列と前記第2の塩基配列とが異母系であることは一塩基多型クラスターと反復配列とに着目して分子系統樹解析で判定する、
付記4記載の方法。
【0063】
<付記6>前記雌親に由来する受精卵、仔魚、稚魚又は成魚を放流する際に、
前記雌親に由来する受精卵、仔魚、稚魚又は成魚をDNA識別商品として放流する、
付記4又は5記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9