(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】配線器具
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20240403BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20240403BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20240403BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20240403BHJP
【FI】
F21V23/00 140
F21V29/70
F21V29/83
F21V29/508
(21)【出願番号】P 2019215522
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】宮内 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 禎治
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 寛成
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-213852(JP,A)
【文献】特開平11-096830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21V 29/508
F21V 29/70
F21V 29/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力制御素子が実装されたプリント配線基板と;
前記電力制御素子の熱を放熱する第1の放熱板と;
前記第1の放熱板に組み合わされる第2の放熱板と;
前記プリント配線基板、前記第1の放熱板および前記第2の放熱板を収納する収納部、および前記第2の放熱板が前記第1の放熱板に組み合わされる方向に向けて前記収納部内に突出する突部を有する筐体と;
を備え、
前記第2の放熱板は、前記第1の放熱板と前記突部との間に配置される一端側放熱板部、およびこの一端側放熱板部から折曲され前記第1の放熱板に接触する他端側放熱板部を有し、
前記突部が前記第2の放熱板に接触することで、前記第2の放熱板が凸湾曲状となるように撓み、前記第2の放熱板の周辺部が前記第1の放熱板と接触する
ことを特徴とする配線器具。
【請求項2】
前記第2の放熱板は、ばね性を有し、前記突部によって撓んだ状態で前記第1の放熱板に接触する
ことを特徴とする請求項1記載の配線器具
。
【請求項3】
前記電力制御素子を用いて照明負荷に入力される交流電圧の導通角を位相制御する調光器である
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の配線器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力制御素子を備える配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば調光器や人感スイッチ等の配線器具では、電力制御素子を含む回路構成を備えているものがある。電力制御素子は、発熱部品であり、負荷電流が大きい場合には発生する熱量も大きくなるため、電力制御素子を備える配線器具では放熱板を用いて電力制御素子が発生する熱を放熱している。
【0003】
配線器具は、規格化された取付枠に取り付けられる等の関係上、放熱板を大型化することが困難であることが多い。そこで、電力制御素子の放熱性の向上のために複数の放熱板を組み合わせて用いることが考えられるが、組み合わせる部品の位置等のばらつきに対応するためにはクリアランスを確保しておく必要があるため、放熱板同士を確実に接触させることができず、電力制御素子の放熱性の向上が十分にできない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電力制御素子の放熱性を向上できる配線器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の配線器具は、電力制御素子が実装されたプリント配線基板と、電力制御素子の熱を放熱する第1の放熱板と、第1の放熱板に組み合わされる第2の放熱板と、プリント配線基板、第1の放熱板および第2の放熱板を収納する収納部を有する筐体とを備える。筐体は、第2の放熱板が第1の放熱板に組み合わされる方向に向けて収納部内に突出する突部を有する。第2の放熱板は、第1の放熱板と突部との間に配置される一端側放熱板部、および一端側放熱板部から折曲され第1の放熱板に接触する他端側放熱板部を有する。突部が第2の放熱板に接触することで、第2の放熱板が凸湾曲状となるように撓み、第2の放熱板の周辺部が第1の放熱板と接触する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の配線器具によれば、電力制御素子の放熱性を向上させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態を示す配線器具を用いた配線器具ユニットの斜視図である。
【
図5】同上調光器の本体と電源部と第2放熱板との分解状態の前面側の斜視図である。
【
図6】同上調光器の本体と電源部と第2放熱板との分解状態の背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に配線器具ユニット10を示す。配線器具ユニット10は照明負荷とともに照明システムを構成する。照明システムでは、交流電源に対して照明負荷および配線器具ユニット10が直列に接続され、配線器具ユニット10によって照明負荷の点灯、消灯、および調光を制御する。
【0011】
配線器具ユニット10は、壁面の内側または外側に設置される配線ボックスに取り付けられ、配線器具ユニット10の前面側周囲を覆うプレートが取り付けられる。配線器具ユニット10は、配線ボックスに取り付けるためのサポートである取付枠11、この取付枠11にそれぞれ取り付けられた配線器具12,13を備えている。
【0012】
配線器具12は、JIS規格により規格化された大角連用形2個モジュールサイズに設けられている。配線器具12は、交流電源に対して配線器具13および照明負荷に直列に接続され、調光度に応じて交流電圧の導通角を可変制御する位相制御方式を採用した調光器である。配線器具12の前面側には、取付枠11の前側に配置される前面カバー14が取り付けられているとともに、この前面カバー14を挿通する摘み部15が配置されている。摘み部15の回動操作にて調光度が調整される。
【0013】
配線器具13は、JIS規格により規格化された大角連用形1個モジュールサイズに設けられている。配線器具13は、配線器具12と照明負荷との間に直列に接続され、配線器具12と照明負荷との間の電路を開閉するスイッチである。配線器具13の前面側には、配線器具13による電路の開閉を切換操作するためのスイッチカバー16が取り付けられている。
【0014】
また、照明負荷は、半導体発光素子等の光源、およびこの光源を点灯させるための電力変換部を有している。電力変換部は、配線器具12によって導通角が制御された交流電圧を入力し、その交流電圧を直流電圧に変換して光源に供給し、設定された調光度で光源を点灯させるか、あるいは、入力された交流電圧の導通角から調光度を検出し、検出された調光度に応じ交流電圧を直流電圧に変換して光源に供給し、設定された調光度で光源を点灯させる。
【0015】
【0016】
配線器具12は、筐体20、この筐体20内に収納される電源基板部21および制御基板部22、これら電源基板部21と制御基板部22を電気的に接続するリボン状のケーブル23、電源基板部21と制御基板部22の間に介在される絶縁紙24、および調光度を調整操作する摘み部15等を備えている。
【0017】
筐体20は、絶縁性を有する樹脂製である。筐体20は、本体27と、この本体27の前面側に組み合わせて取り付けられるカバー28を有している。本体27は、前面側が開口された箱状に設けられている。カバー28は、背面側が開口された箱状に形成されている。本体27とカバー28とが組み合わされて形成される内部空間に、電源基板部21および制御基板部22が収納される収納部29が形成されている。本体27の上下面側に複数の爪部30が突設され、カバー28の上下面側に複数の引掛部31が設けられ、カバー28の引掛部31が本体27の爪部30に引っ掛けられることにより、本体27とカバー28とが組み合わされた状態で固定されている。
【0018】
本体27は、背面部33、上面部34、下面部35、および左右の側面部36a,36bを有し、前面側が開口された箱状に形成されている。
【0019】
本体27内の前面側には、本体27内に挿入される電源基板部21(電源基板)の挿入位置を位置決め規制する複数の規制部37が設けられている。
【0020】
本体27内の左下側には、前面側に開口する端子収納部38が設けられている。端子収納部38内の背面側には2つの電線挿入孔39が設けられている。
【0021】
本体27の上面部34および下面部35には、前後方向に長いスリット状の通気溝40が左右方向に複数並んで設けられている。
【0022】
本体27の背面部33の前面側には、前方へ向けて、つまり収納部29内に向けて突出する突部41が設けられている。突部41は、本体27の上面部34、下面部35および左右の側面部36a,36bのそれぞれから離反した背面部33の中央域に位置されている。突部41は、例えば直径2.5mm、高さ0.9mmの円柱状に形成されている。なお、突部41は、円柱状に限らず、四角柱状、長方形状、あるいは球面状等のいずれでもよい。さらに、突部41は、本体27に一体に形成されているが、別体に設けて本体27に取り付けるようにしてもよい。
【0023】
カバー28の左右両側には、取付枠11に取り付けるための取付部43が設けられている。カバー28の前面側には、摘み部15を回動可能に保持するホルダ板44が取り付けられている。カバー28の前面側には、通常は前面カバー14で覆われていて前面カバー14を取り外すことによって露出する下限設定スイッチ用の窓部45が設けられている。カバー28の背面側には、本体27内に配置される電源基板部21(電源基板)の周辺部に当接し、電源基板部21を後方へ向けて、つまり本体27内に向けて押圧する複数の押圧部46が突設されている。カバー28の背面側には、制御基板部22(制御基板)をねじ47によって固定するためのボス48が設けられている。
【0024】
また、電源基板部21は、調光度に応じて交流電圧の導通角を可変制御する位相制御回路を備えている。電源基板部21は、プリント配線基板である電源基板50、この電源基板50に実装された位相制御回路の複数の電源部品51、電源部品51の中の発熱部品が発生する熱を放熱する第1の放熱板52および第2の放熱板53を備えている。
【0025】
電源基板50は、四角形状で、本体27内に前面側から挿入配置可能とする外形に形成されている。電源基板50は、一面側である前面側に配線パターンが形成され、他面側である背面側に電源部品51が配置され、電源部品51のリードが電源基板50を挿通して配線パターンにはんだ付け接続されている。
【0026】
電源部品51には、位相制御回路を構成する2つの電力制御素子55、コンデンサおよび抵抗等が含まれている。電力制御素子55は、例えばMOSFETである。電力制御素子55は、電力ロスによって熱が発生する発熱部品である。電力制御素子55は、絶縁性を有する樹脂製のパッケージ56内に素子本体が収容され、素子本体に接続されたゲート、ドレインおよびソースの3つのリード57がパッケージ56の端部から突出されている。パッケージ56には、挿通孔を有するねじ止め部58が設けられている。リード57は、電源基板50を挿通されて配線パターンにはんだ付け接続されている。ねじ止め部58は、挿通孔を挿通するねじ59によって第1の放熱板52に取り付けられている。ねじ59の締め付けによってパッケージ56の一面が第1の放熱板52に面接触されている。
【0027】
電源部品51には、本体27の端子収納部38に配置されるように電源基板50に実装された2つの端子60(
図8参照)が含まれている。この端子60は、板ばねを組み合わせて本体27の端子収納部38に配置され、電線挿入孔39から挿入される電線が電気的に接続される。一方の端子60には配線器具13と接続するための渡り配線が接続され、他方の端子60には交流電源を供給する一対の電源線のうちの一方が接続される。
【0028】
第1の放熱板52は、放熱性に優れた例えばアルミニウム等の金属材料によって形成されている。第1の放熱板52は、素子取付放熱板部61、この素子取付放熱板部61の両端から折曲して設けられた上側放熱板部62および下側放熱板部63を有する断面略コ字形に形成されている。第1の放熱板52の素子取付放熱板部61に電力制御素子55のねじ止め部58を挿通するねじ59が螺着され、ねじ59の締め付けによって素子取付放熱板部61に電力制御素子55のパッケージ56が面接触された状態に取り付けられている。
【0029】
第1の放熱板52は、電源基板50の周辺部に沿って配置されている。素子取付放熱板部61が電源基板50の一側辺に沿って配置され、上側放熱板部62が電源基板50の上辺に沿って配置され、下側放熱板部63が電源基板50の下辺に沿って配置されている。そのため、電源基板部21が本体27内に収納された状態では、素子取付放熱板部61が本体27の一側の側面部36bに所定の間隙をあけて対向され、上側放熱板部62が本体27の上面部34に所定の間隙をあけて対向され、下側放熱板部63が本体27の下面部35に所定の間隙をあけて対向される。上側放熱板部62および下側放熱板部63には、本体27に設けられた通気溝40と同様に、前後方向に長いスリット状の通気溝64が左右方向に複数並んで形成されている。上側放熱板部62および下側放熱板部63の通気溝64の開口位置は、本体27の通気溝40の開口位置に対して左右方向にずらして配置され、内部への埃の進入防止と、対流による空気の流れが第1の放熱板52に作用しやすくすることによる放熱性の向上が図られている。
【0030】
第1の放熱板52は、電力制御素子55によって電源基板50に支持されている。そのため、第1の放熱板52は、電力制御素子55の電源基板50に対する実装ばらつきによって、電源基板50の面に接触していたり離れていたりというように、電源基板50の面に対して垂直な方向の位置にばらつきが生じる場合がある。
【0031】
第2の放熱板53は、第1の放熱板52よりも板厚が薄く、ばね性を有している。第2の放熱板53は、放熱性に優れた金属製であって、例えば0.3mmの銅板によって形成されている。第2の放熱板53は、折曲部65を介して折曲形成された一端側放熱板部66および他端側放熱板部67を有している。一端側放熱板部66と他端側放熱板部67とのなす角度θは、90°よりも大きく、例えば100°程度になっている。
【0032】
第2の放熱板53は、第1の放熱板52に組み合わされている。第2の放熱板53の一端側放熱板部66は第1の放熱板52の背面側に組み合わされ、他端側放熱板部67は第1の放熱板52の素子取付放熱板部61の外側に組み合わされている。
【0033】
第2の放熱板53は、第1の放熱板52と組み合わされて本体27内に配置されている。第2の放熱板53の一端側放熱板部66は、本体27の背面部33に沿って配置されるとともに、第1の放熱板52の背面側と本体27の背面部33(突部41)の前面側との間に挟まれた状態に配置される。他端側放熱板部67は、本体27の一側の側面部36bに沿って配置されるとともに、第1の放熱板52の素子取付放熱板部61と本体27の一側の側面部36bとの間に挟まれた状態に配置される。
【0034】
一端側放熱板部66は、本体27の背面部33の形状に対応して、本体27の端子収納部38に対応する位置が切欠部68を有する形状に形成されている。一端側放熱板部66の上下方向の幅第1の放熱板52の上側放熱板部62と下側放熱板部63との間の間隔よりも広く、一端側放熱板部66の上下の縁部66a,66aが上側放熱板部62および下側放熱板部63の背面側に接触可能とする形状寸法に形成されている。
【0035】
他端側放熱板部67は、一端側放熱板部66に対する角度θが90°よりも大きいことにより、本体27内に挿入された際に他端側放熱板部67の先端側が本体27の一側の側面部36bに接触される。
【0036】
また、制御基板部22は、摘み部15によって調整操作される調光度に応じて電源基板部21の位相制御回路の電力制御素子55を制御する調光制御回路を備えている。制御基板部22は、プリント配線基板である制御基板70、およびこの制御基板70に実装された調光制御回路の制御部品71を備えている。制御基板70は、カバー28の内側に配置され、カバー28のボス48に螺着されるねじ47によってカバー28に取り付けられている。
【0037】
制御部品71には、ボリューム72および下限設定スイッチ73等が含まれている。ボリューム72は、制御基板70に実装されるボリューム本体74、およびこのボリューム本体74の前面側から突出する調整軸75を有し、調整軸75の先端に摘み部が連結される。下限設定スイッチ73は、操作部分がカバー28の窓部45から前面側に突出され、調光値の下限を設定するかしないかの設定を切り換えるものである。
【0038】
そして、配線器具12を組み立てる場合には、まず、制御基板部22をカバー28の背面側に組み込み、ねじ47で制御基板70をカバー28に取り付ける。カバー28の前面側から突出するボリューム72の調整軸75に摘み部15を嵌合し、ホルダ板44によって摘み部15を回動可能にカバー28に取り付ける。なお、先に摘み部15をカバー28に取り付け、このカバー28に制御基板部22を組み合わせるようにしてもよい。
【0039】
電源基板部21を本体27内に挿入配置する。この場合、本体27内に、第2の放熱板53を先に挿入してから第1の放熱板52を有する電源基板50を挿入するか、あるいは、本体27内に、第2の放熱板53を第1の放熱板52に組み合わせた状態で電源基板50を挿入する。このとき、電源基板50と制御基板70とがケーブル23で接続されている状態で作業する。
【0040】
カバー28を本体27の前面側に被せて取り付ける。
【0041】
また、配線器具12の組立状態では、第2の放熱板53の一端側放熱板部66が第1の放熱板52の背面側と本体27の背面部33(突部41)の前面側との間に配置され、他端側放熱板部67が第1の放熱板52の素子取付放熱板部61と本体27の一側の側面部36bとの間に配置されている。さらに、電源基板50が本体27の規制部37とカバー28の押圧部46との間に挟まれた状態で筐体20内に位置決め保持されている。
【0042】
上述したように電力制御素子55によって電源基板50に支持されている第1の放熱板52は電源基板50の面に対して垂直な方向の位置にばらつきが生じる場合があるので、このばらつきを吸収するために第1の放熱板52の背面側と本体27の背面部33との間には所定の間隙が設けられており、第1の放熱板52の背面側が本体27の背面部33に接触することはない。
【0043】
第1の放熱板52の背面側の位置は、第1の放熱板52の位置のばらつきにかかわらず、本体27の背面部33から突出する突部41の前面側の位置よりも後方に配置されている。
【0044】
そのため、第1の放熱板52の背面側と本体27の突部41との間に配置される第2の放熱板53の一端側放熱板部66は、本体27の突部41と第1の放熱板52の背面側との間に挟まれ、一端側放熱板部66の背面側中央域が本体27の突部41に接触するとともに、一端側放熱板部66の前面側周辺部が第1の放熱板52の背面側に接触し、一端側放熱板部66の中央域が前方へ向けて凸湾曲状となるように撓んだ状態となり、一端側放熱板部66の周辺部が第1の放熱板52の背面側に接触するとともに、撓んだ一端側放熱板部66のばね力によって一端側放熱板部66の周辺部が第1の放熱板52の背面側に向けて押圧される。したがって、第1の放熱板52と第2の放熱板53とが確実に接触されている。
【0045】
さらに、第1の放熱板52が本体27内に挿入できるように、第1の放熱板52の素子取付放熱板部61と本体27の一側の側面部36bとの間には所定の間隙が設けられている。第1の放熱板52の素子取付放熱板部61と本体27の一側の側面部36bとの間に配置される第2の放熱板53の他端側放熱板部67は、一端側放熱板部66に対する角度θが90°よりも大きいため、本体27内に挿入された際に他端側放熱板部67の先端側が本体27の一側の側面部36bに接触し、他端側放熱板部67の先端側に対して反対側である反先端側(一端側放熱板部66に連なる基端側)および一端側放熱板部66を本体27の一側の側面部36bから離反する方向に向けてばね力が生じる。これによって、少なくとも他端側放熱板部67の反先端側が第1の放熱板52の素子取付放熱板部61に押し付けられ、少なくとも他端側放熱板部67の反先端側が第1の放熱板52の素子取付放熱板部61に確実に接触されている。なお、他端側放熱板部67は、第1の放熱板52の素子取付放熱板部61を貫通したねじ59のねじ部先端側に当接する場合もある。
【0046】
そして、配線器具ユニット10は、交流電源に対して照明負荷とともに直列に配線され、壁面の配線ボックスに取り付けられる。配線器具13のスイッチのオンにより、配線器具12と照明負荷との間の電路が閉成され、配線器具12の調光器によって調整される調光度で照明負荷が調光される。
【0047】
配線器具12は、摘み部15の回動操作による調光度に応じて電力制御素子55を制御し、照明負荷に供給する交流電圧の導通角を可変制御する。電力制御素子55は交流電圧の導通角を可変制御することに伴う電力ロスによって発熱する。電力制御素子55の熱は、第1の放熱板52に伝達され、さらに第1の放熱板52から第2の放熱板53に伝達され、これら第1の放熱板52および第2の放熱板53から本体27内の空気中に放熱される。
【0048】
本体27の上下面には複数の通気溝40が設けられているため、本体27内で暖められた空気が上昇して本体27の上面側の通気溝40から外部に排出されるとともに、本体27内の温度に比べて温度の低い外気が本体27の下面側の通気溝40から本体27内に流入されるという対流が生じ、電力制御素子55の熱が放熱される。
【0049】
このとき、電力制御素子55の熱は、第1の放熱板52およびこの第1の放熱板52に接触された第2の放熱板53から効率よく放熱されるため、負荷電流が大きく、電力制御素子55の発熱量が増加した場合でも確実に放熱することができる。
【0050】
このように構成された配線器具12によれば、筐体20の収納部29に、第2の放熱板53が第1の放熱板52に組み合わされる方向に向けて突出する突部41を有するため、第2の放熱板53を第1の放熱板52に確実に接触させ、電力制御素子55の放熱性を向上できる。
【0051】
さらに、第2の放熱板53は突部41によって撓んだ状態で第1の放熱板52に接触するため、第2の放熱板53を第1の放熱板52に確実に接触させ、放熱性を向上できる。
【0052】
また、第2の放熱板53は、第1の放熱板52と突部41との間に配置される一端側放熱板部66、およびこの一端側放熱板部66から折曲され第1の放熱板52に接触する他端側放熱板部67を有するため、より放熱性を向上できる。
【0053】
また、配線器具12の構成は、電力制御素子55を用いて照明負荷に入力される交流電圧の導通角を位相制御する調光器に適用できる。
【0054】
なお、第2の放熱板53は、少なくとも一端側放熱板部66を備えていればよく、他端側放熱板部67を備えていなくても構わない。
【0055】
また、突部41は、例えば第2の放熱板53の一部を切り起して設けてもよいが、本体27に一体成形することで容易に設けることができる。
【0056】
また、配線器具は、発熱部品である電力制御素子を備えた配線器具であれば、調光器に限らず、例えば人感センサ等でもよい。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
12 配線器具
20 筐体
29 収納部
41 突部
50 プリント配線基板である電源基板
52 第1の放熱板
53 第2の放熱板
55 電力制御素子
66 一端側放熱板部
67 他端側放熱板部