(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】医療用チューブ位置確認システム
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20240403BHJP
A61M 25/095 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61J15/00 A
A61M25/095
(21)【出願番号】P 2022033581
(22)【出願日】2022-03-04
(62)【分割の表示】P 2019529677の分割
【原出願日】2018-05-07
【審査請求日】2022-04-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
(73)【特許権者】
【識別番号】514283054
【氏名又は名称】株式会社ニューロシューティカルズ
(73)【特許権者】
【識別番号】520127188
【氏名又は名称】株式会社PAX
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】三池 信也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-518738(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133119(WO,A1)
【文献】特開2013-198644(JP,A)
【文献】特開2018-175023(JP,A)
【文献】特許第7069161(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を胃に留置し経管的に栄養を体内に補給するための医療用チューブの位置を確認する医療用チューブ位置確認システムの作動方法であって、
前記医療用チューブ位置確認システムは、
入射端部から入射する光を導光して出射端部から出射するように構成された導光体であって、前記出射端部が生体の内部に配置された前記医療用チューブ内に挿入された導光体と、
前記導光体の前記入射端部に光学的に接続され、生体を透過する波長を含む光を発するように構成された光源と、
処理部と、を備え、
前記作動方法は、胃の内部から体外へ光が透過するために必要な第1強度以上であって、且つ、肺及び気管の内部から体外へ光が透過するために必要な第2強度より小さい強度で発光するように前記光源を制御する前記処理部が作動するステップ、を含むことを特徴とする作動方法。
【請求項2】
端部を胃に留置し経管的に栄養を体内に補給するための医療用チューブの位置を確認する医療用チューブ位置確認システムが生成する画像を処理するための情報処理装置の制御方法であって、
前記医療用チューブ位置確認システムは、
入射端部から入射する光を導光して出射端部から出射するように構成された導光体であって、前記出射端部が生体の内部に配置された前記医療用チューブ内に挿入された導光体と、
前記導光体の前記入射端部に光学的に接続され、生体を透過する波長を含む光であって、胃の内部から体外へ光が透過するために必要な第1強度以上であって、且つ、肺及び気管の内部から体外へ光が透過するために必要な第2強度より小さい強度の光を発するように
制御可能に構成された光源と、
前記医療用チューブ及び前記導光体が内部に配置された生体を撮像する撮像部と、を備え、
前記画像処理方法は、
前記情報処理装置が、前記撮像部の撮像により生成された画像を取得するステップと、
前記情報処理装置が、前記画像を解析して、生体を透過した光が検出された場合は、前記医療用チューブが胃の内部に配置されていると判定し、生体を透過した光が検出されなかった場合は、前記医療用チューブが胃の内部に配置されていないと判定するステップと、を含む制御方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、取得された画像データを所定の記憶部に記憶させるステップを更に含む、請求項2に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用チューブ位置確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より医療現場において、飲食物の経口摂取が困難な患者に対して、経鼻経管栄養と呼ばれる方法によって飲食物を直接胃に供給することが行われている。具体的には、患者の鼻腔から柔らかな経鼻チューブを挿入し、その先端部を胃まで到達させ、このチューブの基端部から、流動食や栄養剤を注入するといったものである。
【0003】
このような経鼻経管栄養においては、潤滑ゼリーを塗布した経鼻チューブを鼻孔に挿入し、少しずつ経鼻チューブの先端部を奥へ送りながら、患者に嚥下動作を繰り返してもらい、経鼻チューブの先端部を食道側へ導いて胃に到達させる方法で行われる。
【0004】
しかしながら、人間の喉の奥は、気管と食道の二つの流路に分岐しているため、このような経鼻チューブの挿入作業は非常に難しく、飲食物等が肺に入ってしまった場合には、誤嚥性肺炎等を起こしてしまうこともある。そのため、経鼻チューブの先端部が胃まで到達したことの確認作業が必須となっている。
【0005】
特許文献1には、対の絶縁電線とその先端に形成されたセンサ部とを有する検知線が開示されている。検知線は医療用チューブに挿入され、センサ部が胃液に接触すると対の絶縁電線の間の抵抗値が変化する。これにより、対の絶縁電線の間の抵抗値の変化を検出することで、センサ部が胃液に接触したことを判定でき、以て医療用チューブが正しく胃に到達していることを判定できる。
【0006】
また、特許文献2には、筐体と、筐体から外部に連通し且つ患者の体内に挿入される経鼻チューブの基端側と接続される接続部と、筐体内に配置されるセンサエレメントと、電子回路と、表示手段とを備える経鼻チューブ先端位置確認装置が開示されている。電子回路は、センサエレメントが受ける空圧変化を電気信号として出力し、表示手段は、電子回路からの出力を受けて空圧変化を認識可能状態に表示する。これにより、患者の腹部を外部から押圧することにより胃に空圧変化を生じさせ、センサエレメントが空圧変化を受けたことを表示手段に表示させることにより経鼻チューブが適切な位置に挿入されたか否かを判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-77450号公報
【文献】特許第6245870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のように検知線を用いる方法では、胃液が適切な場所で分泌されていることが必要であるため、適用できる患者の様態も制限があり、また、医療用チューブの位置判定の精度にもとる。また、特許文献2のように空圧変化を利用する方法では、空圧を制御するために構成が複雑となり、製造コストも高くなる。
【0009】
そこで、本発明は、医療用チューブの位置をより簡便に確認することができる医療用チューブ位置確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る医療用チューブ位置確認システムは、端部を胃に留置し経管的に栄養を体内に補給するための医療用チューブの位置を確認する医療用チューブ位置確認システムであって、入射端部から入射する光を導光して出射端部から出射するように構成された導光体であって、出射端部が胃の内部に配置されるように医療用チューブ内に挿入される導光体と、導光体の入射端部に光学的に接続され、生体を透過する波長を含む光を発する光源と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この態様によれば、光源から発せられた生体を透過する波長を含む光が、医療用チューブ内に挿入された導光体の内部を導光され、胃内に配置された導光体の出射端部から出射される。そして、出射端部から出射された光は胃及び生体を透過する。そのため、作業者は生体の外部から当該透過した光の位置を確認することにより、医療用チューブの位置を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、医療用チューブの位置をより簡便に確認することができる医療用チューブ位置確認システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る医療用チューブ位置確認システム1の構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】ライト10の機能上の構成の一例を示す模式的な図である。
【
図3】ライト10が発する光の波長について説明するための図である。
【
図4】カメラ30の機能上の構成の一例を示す模式な図である。
【
図5】ユーザ端末40の機能上の構成の一例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。(なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。)
【0015】
(1)全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る医療用チューブ位置確認システム1の構成の一例を模式的に示す図である。
図1に示すとおり、医療用チューブ位置確認システム1は、例えば、ライト10と、光ファイバ20と、カメラ30と、ユーザ端末40と、データベース50とを備える。ユーザ端末40は、通信ネットワークを介して、ライト10、カメラ30、及びデータベース50それぞれと通信可能に接続されている。
【0016】
(2)各部の構成
(2-1)ライト10
図2は、ライト10の機能上の構成の一例を示す模式的な図である。ライト10は、光源の一例であって、生体を透過する波長を含む光を発する。ライト10は、例えば、発光部11と、駆動回路12と、処理部13と、記憶部14と、通信部15とが、金属や樹脂等で形成された略円筒状の筐体内に設けられて構成される。
【0017】
発光部11は、例えば、発光LEDで構成され、生体を透過する波長を含む光を発する。ライト10に設けられたスイッチ(不図示)がONすると、駆動回路12を介して電源(不図示)から電気エネルギーの供給を受けると、当該電気エネルギーを光エネルギーに変換することにより、所定の波長の光を発する。なお、発光部11は、発光LEDに限らず、生体を透過する波長を含む光を発するものであれば、任意の発光体であってよい。
【0018】
ライト10は後述する光ファイバ20の入射端部20Iに光学的に接続されており、ライト10の発光部11が発した光は、光ファイバ20の入射端部20Iに入射される。
【0019】
処理部13は、例えば、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備えたCPU等であり、記憶部14に記憶されているプログラム等に基づいて当該ライト10の全体的な動作を統括的に制御する。
【0020】
記憶部14は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリ等で構成され、予め設定されたライト10の制御情報等を記憶する。
【0021】
通信部15は、ライト10を通信ネットワークに接続するための通信インターフェース回路を備え、当該通信ネットワークとの間で通信を行う。なお、ライト10は、通信部15等を備えない簡素な構成であってもよい。
【0022】
ここで、
図3を用いて、ライト10が発する光の波長について説明する。
図3には、生体の主要な構成要素である酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、メラニン、及び水のそれぞれの光の吸収係数が示されている。
図3に示すグラフにおいて、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は吸収係数を表す。
【0023】
図3に示すとおり、約650nm以下の波長領域では血液(即ちヘモグロビン)による吸収が大きく、約950nmよりも長い波長領域では水による吸収が大きい。一方、約650nm以上約950nm以下の波長領域内では、ヘモグロビン及び水の吸収係数が比較的低い。したがって、この波長領域内(約650nm以上、約950nm以下)の光は、他の波長領域と比較して、生体を透過しやすいといえる。
【0024】
ライト10の発光部11が発する光の波長は、生体を透過する波長を含んでいれば特に限定されないが、上述のとおり、約650nm以上、約950nm以下の範囲の波長を含むことが好ましい。
【0025】
また、
図3に示すとおり、酸化ヘモグロビンの吸収率は、約650nm以上、約800nm以下の波長領域において特に低い。そのため、好適には、ライト10の発光部11が発する光の波長は、約650nm以上、約800nm以下の波長領域の少なくとも一部を含んでもよい。
【0026】
また、
図3に示すとおり、還元ヘモグロビンの吸収率は、約800nm以上、約950nm以下の波長範囲において特に低い。そのため、好適には、ライト10の発光部11が発する光の波長は、約800nm以上、約950nm以下の波長領域の少なくとも一部を含んでもよい。
【0027】
また、
図3に示すとおり、水の吸収率は、約650nm以上、約700nm以下の波長範囲において特に低い。そのため、好適には、ライト10の発光部11が発する光の波長は、約650nm以上、約700nm以下の波長領域の少なくとも一部を含んでもよい。
【0028】
(2-2)光ファイバ20
光ファイバ20は、導光体の一例であって、例えば、可塑性を有する細い繊維状を呈しており、
図1に示すとおり、医療用チューブTの内部に挿入可能である。光ファイバ20は、例えば、石英ガラスやプラスチック等によって形成された中心部のコア(不図示)と、その周囲を覆うクラッド(不図示)とから成る二層構造を有している。
【0029】
図1に示すとおり、光ファイバ20の一端には、ライト10等が発した光が入射するための入射端部20Iが形成されている。入射端部20Iは、光ファイバ20が医療用チューブTの内部に挿入された状態において、ライト10と光学的に接続することが可能な位置に配置される。
【0030】
また、
図1に示すとおり、光ファイバ20の他端には、光が出射するための出射端部20Eが形成されている。出射端部20Eは、光ファイバ20が医療用チューブTの内部に挿入された状態において正しく胃に到達できた場合、胃(
図1において符号Sで示されている)の内部に配置される。
【0031】
光ファイバ20のコアの屈折率は、光ファイバ20のクラッドの屈折率よりも高く設定されている。そのため、入射端部20Iから入射した光は、コア及びクラッドの境界において全反射することにより、コア内を伝搬する。コア内を伝搬し、出射端部20Eに到達した光は、出射端部20Eから出射される。出射端部20Eから出射した光は、胃及び他の生体部位を透過して生体外に出射され、その一部はカメラ30に到達する。
【0032】
(2-3)カメラ30
図4は、カメラ30の機能上の構成の一例を示す模式的な図である。
【0033】
カメラ30は、撮像部の一例であって、ファイバ20の出射端部20Eから出射されて生体を透過した光に少なくとも基づいて生体(生体の一部を含む)を撮像し、画像データを生成する。カメラ30は、例えば、撮像素子31、処理部32、記憶部33、及び通信部34を備える。カメラ30は、例えば、特に赤外線に感度が高いカメラであってもよい。
【0034】
撮像素子31は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等で構成され、処理部32の制御によって、不図示のレンズにより集光された光を検知し、当該光を電気信号に変換する。
【0035】
処理部32は、例えば、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備えたCPU等であり、記憶部33に記憶されているプログラム等に基づいて当該情報処理装置の全体的な動作を統括的に制御する。処理部32は、例えば、撮像素子31が生成した電気信号に基づいて画像データを生成する。また、処理部32は、通信部34を介して、生成した画像データをユーザ端末40又はデータベース50に送信する。
【0036】
記憶部33は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備え、処理部での処理に用いられるコンピュータプログラム及びデータ等を記憶する。記憶部33は、カメラ30が生体を撮像することにより生成された画像データを記憶する画像データ記憶部の一例である。
【0037】
通信部34は、カメラ30を通信ネットワークに接続するための通信インターフェース回路を備え、当該通信ネットワークとの間で通信を行う。
【0038】
なお、カメラ30は、処理部32が生成した画像データ等を表示するための表示部(不図示)を備えていてもよい。
【0039】
(2-4)ユーザ端末40
図5は、ユーザ端末40の機能上の構成の一例を示す模式的な図である。ユーザ端末40は、任意の汎用的な情報処理端末であってよく、例えば、通信部41、記憶部42、処理部43、操作部44、及び表示部45等を備える。
【0040】
通信部41は、ユーザ端末40を通信ネットワークに接続するための通信インターフェース回路を備え、当該通信ネットワークとの間で通信を行う。
【0041】
記憶部42は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備え、処理部での処理に用いられるコンピュータプログラム及びデータ等を記憶する。記憶部42は、カメラ30が生体を撮像することにより生成された画像データを記憶する画像データ記憶部の一例である。
【0042】
処理部43は、例えば、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備えたCPU等であり、記憶部に記憶されているプログラム等に基づいて当該情報処理装置の全体的な動作を統括的に制御する。処理部43は、例えば、カメラ30から通信ネットワークを介して受信した画像データを解析して、医療用チューブTの位置が適切であるか否かを判定してもよい。また、処理部13は、例えば、カメラ30から通信ネットワークを介して受信した画像データを、データベース50に送信してもよい。また、処理部13は、例えば、ライト10のスイッチのON及びOFFを切り替える制御信号をライト10に送信してもよい。
【0043】
操作部44は、例えば、タッチパネルやキーボタン等で構成され、ユーザによる文字、数字、記号等の入力の操作を受け付け、当該操作に対応する信号を処理部に供給する。
【0044】
表示部45は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成され、処理部から供給された表示データに基づいた画像等を表示する。
【0045】
(2-5)データベース50
データベース50は、例えば、病院等の医療機関が管理するデータベースであって、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。データベース50は、例えば、カメラ30又はユーザ端末40から画像データを受信し、これを記憶する。すなわち、データベース50は、カメラ30が生体を撮像することにより生成された画像データを記憶する画像データ記憶部の一例である。データベース50は、例えば、医療機関等が利用する管理サーバ等の任意の外部情報処理装置と通信ネットワークを介して接続されていてもよい。当該外部情報処理装置は、データベース50に記憶された画像データを取得し、当該画像データについて種々の目的に応じた処理を行ってもよい。
【0046】
(3)使用方法及び動作
次に、医療用チューブ位置確認システム1の使用方法及び動作を説明する。
【0047】
まず、作業者は、患者の鼻腔内等において医療用チューブTの端部を確認し、光ファイバ20を、出射端部20Eを先にして医療用チューブTの内部へと所定の長さだけ挿入する。
【0048】
次に、ライト10に設けられたスイッチ(不図示)がONすることにより、ライト10が発光する。このとき、例えば、作業者がライト10のスイッチを操作することにより、ライト10を発光させてもよい。或いは、作業者は、ユーザ端末40を操作することにより、ユーザ端末40からライト10へ、ライト10のスイッチをONさせるための制御信号を送信することにより、ライト10を発光させてもよい。
【0049】
ライト10が発光すると、ライト10が発した光は光ファイバ20の入射端部20Iに入射する。入射端部20Iに入射した光は、全反射によって光ファイバ20の内部を伝搬し、出射端部20Eに到達する。出射端部20Eに到達した光は、出射端部20Eから出射され患者の生体を透過する。
【0050】
作業者は、患者の生体を透過した光の位置を確認し、当該光の位置が胃に対応する位置であるか否かを判断する。当該光の位置が胃に対応する位置にあれば、医療用チューブTは適切に胃に到達していると判断することができる。当該光の位置が胃に対応する位置にない場合、或いは、当該光の有無を確認できない場合は、医療用チューブTが胃に到達していないと判断することができる。ここで、光の位置の確認は、作業者による目視による方法、及びカメラ30により生成した画像データを用いる方法のいずれであってもよい。カメラ30により生成した画像データを用いる方法では、例えば、ユーザ端末40が、胃及び他の生体部分を透過した光に少なくとも基づいてカメラ30が生成した画像データを、カメラ30から受信する。そして、ユーザ端末40は、当該画像データを解析することにより、当該光の位置が胃に対応する位置であるか否かを判断する。
【0051】
(4)その他
なお、一般に、胃の内部から体外へ光が透過するために必要な光の強度は、肺及び気管の内部から体外へ光が透過するために必要な光の強度より小さい。そのため、ライト10等の光源は、胃の内部から体外へ光が透過するために必要な第1強度以上であって、且つ、肺及び気管の内部から体外へ光が透過するために必要な第2強度より小さい強度の光を発するように設定されていてもよい。当該構成により、作業者による光の目視や、画像データの解析において、胃の位置がどこであるかを判断するまでもなく、光が確認できるか否かを判断するだけで、医療用チューブTが適切に胃に到達していると判断することができる。
【0052】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…医療用チューブ位置確認システム、10…ライト、11…発光部、12…駆動回路、13…処理部、14…記憶部、15…通信部、20…光ファイバ、20I…入射端部、20E…出射端部、30…カメラ、31…撮像素子、32…処理部、33…記憶部、34…通信部、40…ユーザ端末、41…通信部、42…記憶部、43…処理部、44…操作部、45…表示部