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特許7464938ストッパ機構およびこれを備えた気液混合装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ストッパ機構およびこれを備えた気液混合装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/08 20060101AFI20240403BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20240403BHJP
   B01F 35/43 20220101ALI20240403BHJP
【FI】
F17C13/08 301Z
B01F23/20
B01F35/43
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020001489
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021110362
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】506018547
【氏名又は名称】宮下 敏夫
(73)【特許権者】
【識別番号】504303780
【氏名又は名称】株式会社タケシタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 敏夫
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-046139(JP,A)
【文献】特開平10-089154(JP,A)
【文献】米国特許第05080414(US,A)
【文献】特開2014-004566(JP,A)
【文献】特開2013-185671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/08
B01F 23/20
B01F 35/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部に対し回転可能に支持され、且つ回転正方向と反対向きに付勢される可動部と、
前記可動部の回転範囲に対し、揺動方向が前記可動部の回転に沿った向きの成分を有するように揺動する揺動体とを備え、
前記可動部は、回転軸に関して径方向外側に突出する保持突起、押込突起および引戻突起を備え、
前記揺動体は、前記保持突起、前記押込突起および前記引戻突起にそれぞれ回転正方向に関して対向する接触部を備え、
前記接触部は、回転正方向に関して相対的に後方に位置する一側端点と、前方に位置する他側端点の間の軌跡上を揺動し、且つ前記軌跡上の境界点を境として一側端点または他側端点へ付勢され、
前記保持突起の先端の描く円周に対し、対向する接触部の軌跡の境界点は外側、一側端点は内側に位置し、前記保持突起の先端の描く円周は、対向する接触部の軌跡に対して境界点と一側端点の間で交差し、
前記押込突起の先端の描く円周に対し、対向する接触部の軌跡の境界点は内側、他側端点は外側に位置し、前記押込突起の先端の描く円周は、対向する接触部の軌跡に対して境界点と他側端点の間で交差し、
前記引戻突起の先端の描く円周に対し、対向する接触部の軌跡の境界点および一側端点は内側に位置し且つ他側端点は重なるか内側に位置し、
初期状態において、
前記保持突起と対向する接触部は、回転正方向に関し前記保持突起の前方で一側端点に位置し、
前記押込突起と対向する接触部は、回転正方向に関し前記押込突起の前方で一側端点に位置し、
前記引戻突起と対向する接触部は、回転正方向に関し前記引戻突起の後方の一側端点で前記引戻突起に接触し、
前記可動部を回転正方向に回転させると、前記保持突起と対向する接触部が前記保持突起と接触し、続いて前記押込突起と対向する接触部が前記押込突起に接触するよう構成されていること
を特徴とするストッパ機構。
【請求項2】
前記揺動体は、前記可動部の回転軸をなす第一の軸体と平行に設けられた第二の軸体を介し、前記固定部に対して回転可能に一端を支持され、
前記第二の軸体に関して前記揺動体の他端と反対側に、前記第一および第二の軸体と平行に設けられた第三の軸体と、
前記第三の軸体を介して前記固定部に対し回転可能に設置された揺動補助体を備え、
前記揺動補助体は、一端側を前記第三の軸体に回転可能に支持された制限部と、
前記制限部の他端側と、前記揺動体とにそれぞれ端部を接続された付勢部とを備え、
前記制限部は、中間部に前記第二の軸体が貫通する貫通部を備え、該貫通部内に前記第二の軸体が位置する範囲で、前記制限部が前記第三の軸体に対し回転可能に構成されていること
を特徴とする請求項1に記載のストッパ機構。
【請求項3】
前記揺動体は、
該揺動体の他端側を構成し、前記付勢部の端部が接続される底部と、
回転軸の軸方向に関して前記底部の両端部から前記第二の軸体に向かって伸び、先端部が前記第二の軸体に回転可能に支持される腕部とを備え、
回転軸の軸方向に関して前記腕部の外側または内側に突出するように前記接触部を備えていること
を特徴とする請求項2に記載のストッパ機構。
【請求項4】
前記可動部にガスボンベの口部を接続することで前記ガスボンベを支持可能に構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のストッパ機構。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のストッパ機構を備えたことを特徴とする気液混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスボンベ等の被支持物を適当な角度に保持するためのストッパ機構、および該ストッパ機構を備えた気液混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスボンベ等の物体(以下、「被支持物」と称する)を何らかの装置等に支持する場合、その支持具としては、例えば下記の特許文献1に記載されているような容器保持装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-87755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上のように被支持物が装置に支持されている場合、装置に対する被支持物の付け外しやメンテナンスを行う際に、被支持物を斜めに保持すると作業を行いやすいことがある。多くの場合、装置側にはそういった保持のための構造は備えられておらず、作業者自身が被支持物を適当な角度に保持することになる。しかしながら、そのようにすると、作業者にとっては片手が塞がってしまうため、特に被支持物の重量や寸法が大きい場合には作業の実行に支障を来しかねない。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、被支持物を適当な角度に保持し得るストッパ機構およびこれを備えた気液混合装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固定部に対し回転可能に支持され、且つ回転正方向と反対向きに付勢される可動部と、前記可動部の回転範囲に対し、揺動方向が前記可動部の回転に沿った向きの成分を有するように揺動する揺動体とを備え、前記可動部は、回転軸に関して径方向外側に突出する保持突起、押込突起および引戻突起を備え、前記揺動体は、前記保持突起、前記押込突起および前記引戻突起にそれぞれ回転正方向に関して対向する接触部を備え、前記接触部は、回転正方向に関して相対的に後方に位置する一側端点と、前方に位置する他側端点の間の軌跡上を揺動し、且つ前記軌跡上の境界点を境として一側端点または他側端点へ付勢され、前記保持突起の先端の描く円周に対し、対向する接触部の軌跡の境界点は外側、一側端点は内側に位置し、前記保持突起の先端の描く円周は、対向する接触部の軌跡に対して境界点と一側端点の間で交差し、前記押込突起の先端の描く円周に対し、対向する接触部の軌跡の境界点は内側、他側端点は外側に位置し、前記押込突起の先端の描く円周は、対向する接触部の軌跡に対して境界点と他側端点の間で交差し、前記引戻突起の先端の描く円周に対し、対向する接触部の軌跡の境界点および一側端点は内側に位置し且つ他側端点は重なるか内側に位置し、初期状態において、前記保持突起と対向する接触部は、回転正方向に関し前記保持突起の前方で一側端点に位置し、前記押込突起と対向する接触部は、回転正方向に関し前記押込突起の前方で一側端点に位置し、前記引戻突起と対向する接触部は、回転正方向に関し前記引戻突起の後方の一側端点で前記引戻突起に接触し、前記可動部を回転正方向に回転させると、前記保持突起と対向する接触部が前記保持突起と接触し、続いて前記押込突起と対向する接触部が前記押込突起に接触するよう構成されていることを特徴とするストッパ機構にかかるものである。
【0007】
本発明のストッパ機構において、前記揺動体は、前記可動部の回転軸をなす第一の軸体と平行に設けられた第二の軸体を介し、前記固定部に対して回転可能に一端を支持され、前記第二の軸体に関して前記揺動体の他端と反対側に、前記第一および第二の軸体と平行に設けられた第三の軸体と、前記第三の軸体を介して前記固定部に対し回転可能に設置された揺動補助体を備え、前記揺動補助体は、一端側を前記第三の軸体に回転可能に支持された制限部と、前記制限部の他端側と、前記揺動体とにそれぞれ端部を接続された付勢部とを備え、前記制限部は、中間部に前記第二の軸体が貫通する貫通部を備え、該貫通部内に前記第二の軸体が位置する範囲で、前記制限部が前記第二の軸体に対し回転可能に構成されていてもよい。
【0008】
本発明のストッパ機構において、前記揺動体は、該揺動体の他端側を構成し、前記付勢部の端部が接続される底部と、回転軸の軸方向に関して前記底部の両端部から前記第二の軸体に向かって伸び、先端部が前記第二の軸体に回転可能に支持される腕部とを備え、回転軸の軸方向に関して前記腕部の外側または内側に突出するように前記接触部を備えていてもよい。
【0009】
本発明のストッパ機構においては、前記可動部にガスボンベの口部を接続することで前記ガスボンベを支持可能に構成してもよい。
【0010】
また、本発明は、上述のストッパ機構を備えたことを特徴とする気液混合装置にかかるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のストッパ機構およびこれを備えた気液混合装置によれば、被支持物を適当な角度に保持し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施による気液混合装置の全体構成を説明する概要図である。
図2】ガスボンベを取り付けたストッパ機構の形状を示す斜視図である。
図3】ガスボンベをストッパ機構に取り付けた状態で、ガスボンベが傾斜状態にて保持された状態を示す斜視図である。
図4】ストッパ機構の構成を示す正面図である。
図5】ストッパ機構の構成を示す平面図である。
図6】ストッパ機構の構成を示す分解斜視図である。
図7図4のVII-VII矢視相当図である。
図8】固定部に設けられた軸体、可動部に設けられた突起、揺動体に設けられた接触部といった各部間の位置関係を説明する概念図である。
図9】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部をやや回転させた状態を示している。
図10】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部をさらに回転正方向へ回転させ、これに伴って揺動体が一側から他側へ押された状態を示している。
図11】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部をさらに回転正方向へ回転させ、揺動体が一側へ戻った状態を示している。
図12】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部が傾斜状態にて保持された状態を示している。
図13】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部をさらに回転正方向へ回転させた状態を示している。
図14】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部をさらに回転正方向へ回転させ、揺動体が他側に移動した状態を示している。
図15】ストッパ機構の作動を説明する概念図であり、可動部と共に揺動体を引き戻す途中の状態を示している。
図16】本発明の実施によるストッパ機構の別の形態を示す概念図である。
図17】本発明の実施によるストッパ機構のさらに別の形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1図7は本発明の実施によるストッパ機構、および気液混合装置の形態の一例を示している。本実施例では、ストッパ機構10を気液混合装置1に組み込んだ場合を例示している。
【0015】
気液混合装置1は、液体入口2aから液体出口2bまで延び、液体である湯水Wが流通する流路を構成する液体流通管2と、該液体流通管2に対し気体Gを導く気体引込管3とを備えている。
【0016】
液体入口2aには、図示しない配管が接続され、ここから液体流通管2に湯水Wが供給される。また、液体出口2bには、図示しないホースやシャワーヘッド等が接続され、液体流通管2を通った湯水Wがここから放出されるようになっている。
【0017】
液体流通管2は、液体入口2aから液体出口2bに至る途中で枝管(第一の枝管4および第二の枝管5)に分岐し、該枝管4,5は、液体出口2bの手前で再び合流している。液体流通管2における枝管4,5への分岐箇所には流路切換部としての三方弁6が設けられており、液体入口2aから下流へ流れる湯水Wの流路を、第一の枝管4と第二の枝管5との間で切り替えられるようになっている。
【0018】
第一の枝管4には、液体流通管2以外の配管は接続されないが、第二の枝管5には気体引込管3が接続され、ここで気体引込管3から供給される気体Gが湯水Wに混合されるようになっている。すなわち、流路切換部(三方弁)6は、湯水Wをそのまま液体出口2bから放出するか、湯水Wに気体Gを混合して放出するかを切り替える操作を行う部分である。
【0019】
気体引込管3は、入側の端部をガスボンベ7に接続され、出側の端部を液体流通管2の第二の枝管5に接続されている。ガスボンベ7には、例えば炭酸ガスが封入されており、気体引込管3は、気体である炭酸ガスGを液体流通管2へ導くようになっている。
【0020】
気体引込管3の出側端部と、第二の枝管5との接続部は、気液混合部8として構成されている。気液混合部8は、液体流通管2の途中に取り付けられて湯水Wの流路の一部を構成すると共に、気体引込管3から引き込まれる炭酸ガスGを湯水Wに混合する機能を備えている。
【0021】
液体入口2aへ湯水Wを供給すると、湯水Wは液体流通管2を通って液体出口2bから放出される。この際、三方弁6を操作することにより、湯水Wの流路を第一の枝管4と第二の枝管5との間で切り替えることができる。湯水Wを第一の枝管4に通す場合には、湯水Wはそのまま液体出口2bから放出されるが、第二の枝管5に通す場合は、気体引込管3から炭酸ガスGが供給され、気液混合部8において混合されたうえで液体出口2bから放出される。
【0022】
このような本実施例の気液混合装置1は、さらに被支持物としてのガスボンベ7を支持する支持体としての筐体9と、ガスボンベ7を適当な角度に保持するためのストッパ機構10を備えている。
【0023】
筐体9は、ガスボンベ7の両側面と背面、および底面を囲むように板材で成形された箱状の部材であり、背面部9aにストッパ機構10が取り付けられている。
【0024】
ストッパ機構10は、図2図7に示す如く、筐体9に対し固定される固定部11と、該固定部11に対し回転可能に支持された可動部12とを備えている。
【0025】
固定部11は、平面視でU字状に形成された固定板13を備えており、固定板13は、背面部13aと、該背面部13aの左右両端から手前側に向かって延びる面をなす左右一対の側面部13bとを備えている。左右の側面部13b同士の間には、それぞれ別の部材(可動部12、揺動体21および揺動補助体22)の回転軸をなす3本の軸体(第一~第三の軸体14,15,16)が左右方向に沿って互いに平行に張り渡されている。
【0026】
第一の軸体14は、可動部12の回転軸をなす部材であり、側面部13bの上下および前後方向における中間部に張り渡されている。第二の軸体15は、後述する揺動体21の回転軸をなす部材であり、第一の軸体14の上方、やや奥側に張り渡されている。第三の軸体16は、揺動体21の動作を補助し、また揺動の範囲を制限する揺動補助体22の回転軸をなす部材であり、第二の軸体15のやや上方に張り渡されている。
【0027】
また、第一の軸体14の下方には、可動部12の回転を制限する突当部17が張り渡されている。第二の軸体15の下方且つ奥側の位置には、揺動体21の後方への回転を制限する止め部18が取り付けられている。本実施例の場合、止め部18は、正面から見て左側の側面部13bから内側に突出する棒状の部材として設けられている。
【0028】
固定部11の背面部13aは、筐体9の背面部9aに対しボルト等の締結具により固定され、これにより、固定部11は、ストッパ機構10の全体およびガスボンベ7を筐体9に支持するようになっている。
【0029】
可動部12は、図2図3に示す如く、第一の軸体14を中心としてガスボンベ7と共に固定部11に対し回転する部分であり、ガスボンベ7が取り付けられる本体部19と、可動部12の全体を第一の軸体14に対し回転可能に支持する回転支持部20を備えている。
【0030】
本体部19は、下面にガスボンベ7の口部が接続できるようになっており、該ガスボンベ7の取付部は、ガスボンベ7から供給される炭酸ガスG(図1参照)の流路の入口部をも兼ねている。すなわち、本体部19の内部には炭酸ガスGの流路が形成されており、ガスボンベ7の口部が取り付けられる部分に前記流路の入口が開口し、取り付けられたガスボンベ7の出口と連通するようになっている。本体部19の背面には、図示しない炭酸ガスGの出口管が備えられており、ここに気体引込管3(図1参照)の入側が接続されるようになっている。
【0031】
回転支持部20は、本体部19の前面部および左右両側面の3面を取り囲むように設けられた板状の部材であり、回転支持部20によって囲まれた空間の手前側に本体部19が支持される。回転支持部20の前面20aには該前面20aを前後に貫通する孔が設けられており、ここを通って本体部19の前面に取り付けられた開閉つまみ19aが手前側に突出している。この開閉つまみ19aは、本体部19内部に設けられた前記流路(図示せず)の開閉を操作するためのつまみである。
【0032】
回転支持部20のうち、本体部19の左右を覆う一対の側板(第一、第二の側板20b,20c)は、本体部19よりも奥側へ突出しており、本体部19より奥側における中間部には、第一の軸体14を通すための孔が設けられている。すなわち、可動部12はこの位置で第一の軸体14に対し回転可能に支持される。回転支持部20の幅、すなわち側板20b,20cの外面同士の距離は、固定部11を構成する固定板13の一対の側面部13bの内壁同士の距離よりも小さく、可動部12が固定部11の側面部13bに挟まれるようにして固定部11に対し支持されるようになっている。
【0033】
可動部12の回転軸は第一の軸体14であるが、本体部19が可動部12において第一の軸体14より手前に配置されることにより、可動部12の重心や、本体部19にガスボンベ7が取り付けられた状態でのガスボンベ7を含めた可動部12の重心は、第一の軸体14より手前側に位置する。このため、可動部12は、可動部12自身の自重や、ガスボンベ7の荷重により、手前側から下方へ(すなわち、装置の左側から見て時計回りの向きに)回転する向きに付勢されている。この付勢力による回転は、可動部12の下部が突当部17に突き当たることにより制限され、初期状態においては、可動部12の向きは図2に示す如くガスボンベ7を真下(鉛直方向に対して0°)に保持する向きに保たれる。作業者は、この位置からガスボンベ7を手前へ引き起こす向き(すなわち、装置の左側から見て反時計回りの向き)に、可動部12やガスボンベ7を回転させることになる(尚、以下では、第一の軸体14を中心としてガスボンベ7を引き起こす動作の向きを回転正方向と定義することとする)。
【0034】
第一、第二の側板20b,20cの上部には、それぞれ回転軸に関して径方向外側(本実施例の場合、上方)へ突出する突起(保持突起20d、押込突起20e、引戻突起20f)が設けられている。正面から見て右側に位置する第一の側板20bには保持突起20dが設けられ、左側に位置する第二の側板20cには押込突起20eおよび引戻突起20fが設けられている。これらの突起は、図7に示す如く、回転正方向に関して前方から引戻突起20f、保持突起20d、押込突起20eの順に配列している。
【0035】
第二の軸体15には、揺動体21が回転可能に支持されている。揺動体21は、可動部12の回転に伴って揺動する部材であり、可動部12の回転範囲に対し、揺動方向が可動部12の回転に沿った向きの成分を有するような動きで揺動するよう、第二の軸体15に取り付けられている。ここで、「揺動方向が可動部12の回転に沿った向きの成分を有する」とは、揺動体21の揺動の向きが、可動部12の回転軸に関する径方向と一致しないことを指す。つまり、例えば図7に示すように、可動部12の回転正方向から見て前後に揺動することを指す。
【0036】
本実施例の場合、揺動体21は、底部21aと、回転軸の軸方向に関して該底部21aの両端部から第二の軸体15に向かって延びる一対の腕部21bとを備えたU字状の部材である。揺動体21の一端をなす各腕部21bの先端部には孔が形成されており、ここに第二の軸体15が通され、揺動体21の全体が固定部11に対し回転可能に支持される。揺動体21の他端側をなす底部21aは、第二の軸体15に関して第三の軸体16と反対側に位置している。
【0037】
腕部21b同士の距離は、可動部12における側板20b,20c同士の距離よりも小さく設定されており、揺動体21は、一対の腕部21bが回転軸の軸方向に関して側板20b,20cの内側に位置するように第二の軸体15に支持される。
【0038】
一対の腕部21bは、可動部12の側板20b,20cの回転面よりも軸方向に関して内側の回転面に沿って回転するが、これらの腕部21bには、それぞれ軸方向外側に突出するように接触部(第一、第二の接触部21c,21d)が設けられており、この第一の接触部21cと第二の接触部21dの回転面は、それぞれ第一の側板20bおよび第二の側板20cの回転面と重複している。そして、第一の接触部21cは、正面から見て右側の腕部21bの右側に突出し、第一の側板20bに設けられた保持突起20dと回転正方向に関して対向する。また、第二の接触部21dは、正面から見て左側の腕部21bの左側に突出し、第二の側板20bに設けられた押込突起20eおよび引戻突起20fと回転正方向に関して対向する。そして、初期状態においては図7に示す如く、第一の接触部21cは回転正方向に関し、対向する保持突起20dの前方に位置する。第二の接触部21dは、対向する押込突起20eの前方に位置し、また、引戻突起20fの後方において該引戻突起20fと接触している。そして、後述するように、可動部12を回転正方向に回転させると、まず第一の接触部21cに保持突起20dが接触し、続いて第二の接触部21dに押込突起20eが接触するようになっている。
【0039】
尚、各突起20d,20e,20fや接触部21c,21dの配置はここに図示した例に限定されない。後述するような作動を適切に実行できる限りにおいて、これらの位置は適宜設定することができる。例えば、ここでは揺動体21の腕部21bに対し、各突起20d,20e,20fの設けられた回転支持部20の側板20b,20cを軸方向に関して外側に配置し、接触部21c,21dを腕部21bから軸方向外側に突出するように設けた場合を例示したが、これとは逆に、側板20b,20cを軸方向に関して腕部21bの内側に配置し、接触部21c,21dを腕部21bの内側に設けることもできる。また、周方向に関する位置についても適宜変更することができ、例えばここでは各突起20d,20e,20fを第一の軸体14から見て上方に配置した例を説明したが、側方や下方に設けることもできる。
【0040】
第三の軸体16には、揺動補助体22が支持されている。揺動補助体22は、第三の軸体16の軸方向中間の位置に一端を回転可能に支持され、第二の軸体15と交差して下方に伸び、他端は揺動体21の底部21aに接続されている。揺動補助体22の一端側(上部)は制限部22aとして構成され、他端側(下部)は付勢部22bとして構成されている。
【0041】
制限部22aは、一端側にあたる上部に回転孔22cを、中間部に貫通部22dをそれぞれ備えた板状の部材である。回転孔22cは、第三の軸体16を通される孔であり、制限部22aはここで第三の軸体16に対し回転可能に支持される。貫通部22dは、第二の軸体15により貫通される。貫通部22dは、第三の軸体16を中心とする制限部22aの回転方向に関して幅を設定されており、制限部22aは、第二の軸体15が貫通部22dの内側に位置する範囲で、第三の軸体16に対し回転できるようになっている。
【0042】
回転孔22cより下方の他端側には、付勢部22bの一端が取り付けられ、付勢部22bの他端は、揺動体21の底部21aに接続されている。付勢部22bは、揺動体21の動きを、ある位置を境にして第二の軸体15の回転方向に関する一方または他方へ付勢する弾性体である。本実施例の場合、付勢部22bは、制限部22aの他端側と、揺動体21の底部21aを接続する弦巻ばねである。
【0043】
揺動体21は、第二の軸体15を中心に回転する一方、揺動補助体22は、第三の軸体16を中心に回転するようになっており、両者の回転軸はずれている。したがって、揺動体21が第二の軸体15に対して回転すると、揺動体21の底部21aと、第三の軸体16の相互間の距離は変動する。第二の軸体15と第三の軸体16を通る仮想的な面を考えると、底部21aの位置が前記面の位置にある時に、底部21aと第三の軸体16との距離は最大となり、底部21aの位置が前記面の位置からずれると、底部21aと第三の軸体16との距離は小さくなる。
【0044】
そして、第三の軸体16と、揺動体21の底部21aの間は、付勢部22bを備えた揺動補助体22を介して接続されている。弦巻ばねである付勢部22bの付勢力は、底部21aと第三の軸体16との距離が小さくなる向きに、揺動体21を付勢する。したがって、揺動体21の回転方向に関し、底部21aにおける付勢部22bの接続部分が前記面より一側にある時には、揺動体21は一側に付勢され、前記接続部分が前記面より他側にある時には、揺動体21は他側に付勢される。
【0045】
揺動体21の底部21aは、第二の軸体15に関して第三の軸体16と反対側に位置しており、また、揺動体21の可動範囲は、該揺動体21に接続された揺動補助体22の制限部22aにより制限される。すなわち、第三の軸体16を中心とした制限部22aの回転範囲は、第二の軸体15を通される貫通部22dの寸法により決定され、揺動体21の可動範囲は、制限部22aの回転範囲と連動して決まる。そして、貫通部22dの寸法を調整することにより、揺動体21の回転範囲を、前記面を中心とした適宜範囲に設定しておけば、揺動体21は、前記面に対して手前寄りにある時には可動範囲の最も手前側まで付勢され、前記面に対して奥寄りにある時には可動範囲の最も奥側まで付勢される。こうして、簡単な構成の揺動補助体22により、揺動体21を揺動範囲内において好適に付勢することができる。
【0046】
尚、揺動体21の揺動を付勢する機構については、ここに説明したような付勢部22bや揺動補助体22に限らず、同等の作用を奏する(すなわち、適当な位置を境として揺動体21が回転方向の一側にある時は一側に、他側にある時は他側に付勢する)機構であれば適宜採用することができる。また、揺動体21の可動範囲を制限する機構についても、揺動補助体22の制限部22aや貫通部22dに代えてあるいは加えて、適宜別の機構を採用してよい。尚、本実施例の場合、揺動体21の奥側への回転は、上述のように制限部22aの貫通部22dと第二の軸体15によって制限されるほか、奥側に備えた止め部18に揺動体21が当接することによっても制限されるようになっている。また、揺動体21の手前側への回転は、制限部22aの貫通部22dと第二の軸体15によって制限されるほか、突当部17によっても間接的に制限される。すなわち、可動部12の回転は揺動体21の動作と連動するが、揺動体21を手前側に引き戻すように可動部12が動作する際、可動部12の動きは、該可動部12の下部が突当部17に突き当たることによって止まる。これにより、揺動体21の手前側への動きも同時にそこで止まる(これらの部材の詳しい動作については、後に再度説明する)。
【0047】
尚、上に説明した以外に、気液混合装置1(図1参照)は、ガスボンベ7から供給される炭酸ガスGの圧力を測定する圧力計や、湯水Wの圧力に応じて炭酸ガスGの流路を開閉する開閉弁、その他の計器や機器類を各所に備えているが、本発明の要旨とは直接関係しない部分については適宜図示を省略している。
【0048】
固定部11に設けられた軸体14,15,16、可動部12に設けられた突起20d,20e,20f、揺動体21に設けられた接触部21c,21dといった各部間の位置関係について、図8を参照してさらに詳述する。
【0049】
図8は、装置における左方から見た軸体14,15,16や突起20d,20e,20f、接触部21c,21dの初期状態(ガスボンベ7をストッパ機構10に対し真下(鉛直方向に対して0°の向き)に吊り下げた状態)における位置関係を示す模式図であり、図中、右側が装置における手前側、左側が装置における奥側である。第一の軸体14の左上方には第二の軸体15が位置し、第二の軸体15の上方に第三の軸体16が位置している。
【0050】
可動部12(図2図7参照)の一部である保持突起20d、押込突起20e、引戻突起20fは第一の軸体14の上方に位置し、且つ第一の軸体14を中心に回転するようになっている。第一の軸体14を中心とし、反時計回りの向きが回転正方向である。保持突起20d、押込突起20e、引戻突起20fの先端の軌跡は、それぞれ第一の軸体14を中心として円周C1,C2,C3を描く。
【0051】
揺動体21、およびこれに取り付けられた第一、第二の接触部21c,21dは、第二の軸体15を中心に回転し、その軌跡は弧A1,A2を描く。弧A1,A2上を動く接触部21c,21dと、第三の軸体16との距離は、第二の軸体15と第三の軸体16を結ぶ直線L0と、弧A1,A2の交点(それぞれ最遠点P1,P2とする)において、それぞれ最大となる。
【0052】
接触部21c,21dの回転範囲は、上述の如く揺動補助体22や突当部17、止め部18(図8には図示せず)により制限される。これにより、第一の接触部21cは、最遠点P1を挟んで相対的に後方(図中右側)に位置する一側端点Q1と、前方(図中左側)に位置する他側端点R1を両端とし、この間の軌跡(弧)A1上を揺動する。同様に、第二の接触部21dは、最遠点P2を挟んで後方に位置する一側端点Q2と、前方に位置する他側端点R2を両端とし、この間の軌跡(弧)A2上を揺動する。そして、接触部21c,21dは、最遠点P1,P2を付勢力の境界点とし、ここを境に一側端点Q1,Q2または他側端点R1,R2へ付勢される。すなわち、最遠点P1,P2に対して一側端点Q1,Q2寄りにある時には該一側端点Q1,Q2側に付勢され、最遠点P1,P2に対して他側端点R1,R2寄りにある時には該他側端点R1,R2側に付勢される。
【0053】
保持突起20dの回転面(円周C1を含む面)は、押込突起20eと引戻突起20fの回転面(円周C2,C3を含む面)に対し、紙面に直交する方向に関して奥側に位置する。また、第一の接触部21cの回転面(弧A1を含む面)は、第二の接触部21dの回転面(弧A2を含む面)に対し、紙面に直交する方向に関して奥側に位置する。そして、保持突起20dの回転面は、第一の接触部21cの回転面と重複し、また、押込突起20eと引戻突起20fの回転面は、第二の接触部21dの回転面と重複する。よって、可動部12や揺動体21が動作する際、保持突起20dは第一の接触部21cと接触し、押込突起20eと引戻突起20fは第二の接触部21dと接触する。
【0054】
保持突起20dの先端が描く円周C1は、第一の接触部21cの描く軌跡(弧A1)に対し、付勢力の境界点である最遠点P1と、一側端点Q1の間で交差する。一側端点Q1は円周C1の内側に位置し、最遠点P1および他側端点R1は円周C1の外側に位置する。
【0055】
また、押込突起20eの先端が描く円周C2は、第二の接触部21dの描く軌跡(弧A2)に対し、付勢力の境界点である最遠点P2と、他側端点R2の間で交差する。一側端点Q2および最遠点P2は円周C2の内側に位置し、他側端点R2は円周C2の外側に位置する。
【0056】
引戻突起20fは、第一の軸体14から先端までの距離を、押込突起20eと比較して長く設定してある。引戻突起20fの先端が描く円周C3は、弧A2に対し、他側端点R2の位置で交差するか、あるいは弧A2と交差しない。一側端点Q2および最遠点P2は円周C3の内側に位置し、他側端点R2は、円周C3上に位置するか、円周C3の内側に位置する(ここでは、他側端点R2が円周C3の内側に位置する場合を例示している)。
【0057】
図2に示す如く、ガスボンベ7をストッパ機構10に対し真下(鉛直方向に対して0°の向き)に吊り下げた状態において、引戻突起20fは図8に示す如く第二の接触部21dに対し左側(回転正方向に関して前方)に位置し、且つ第二の接触部21dに接している。尚、引き戻突起20fには、この状態において第二の接触部21dに接する部分に凹部を設けてあり、第二の接触部21dは前記凹部に嵌まり込んでいる。
【0058】
接触部21c,21dは、一側端点Q1,Q2の位置にある。保持突起20dは第一の接触部21cに対し右側(回転正方向に関して後方)に位置し、また、押込突起20eは第二の接触部21dに対し右側に位置している。
【0059】
ガスボンベ7を取り付けられた可動部12は、可動部12自身およびガスボンベ7の自重によって回転正方向と反対向きに付勢されているが、この向きの回転は、引戻突起20fの接触する揺動体21が揺動補助体22の制限部22aと第二の軸体15の接触により回転を制限されること、および、回転支持部20の下部が突当部17に当接することで止められている(図7参照)。
【0060】
以上のような初期状態から、ガスボンベ7(図2図3参照)を引き起こす向き(回転正方向)に可動部12を回転させていくと、図9に示す如く、引戻突起20fは第二の接触部21dから回転正方向(左向き)に離間する。また、保持突起20dは、第一の接触部21cに対して回転正方向に接近する。揺動体21は図中右側に対して付勢されているので、第一、第二の接触部21c,21dは一側端点Q1,Q2の位置から動かない。
【0061】
可動部12の回転を進めると、図10に示す如く、保持突起20dが第一の接触部21cに接触し、該第一の接触部21cを弧A1に沿って回転正方向に押し込んでいく。ただし、保持突起20dと第一の接触部21cが接触するのは、円周C1と弧A1の交点までである。保持突起20dの先端が前記交点を越えると、保持突起20dと第一の接触部21cは接触しなくなり、保持突起20dによる第一の接触部21cの押し込みは解除される。前記交点は最遠点P1よりも一側端点Q1側であるので、第一の接触部21cは一側端点Q1に向かって付勢され、図11に示す如く、一側端点Q1の位置に戻る。
【0062】
可動部12の回転を行う作業者は、保持突起20dと第一の接触部21cとの接触状態が解除されたことを、揺動補助体22の付勢部22b(図7参照)による付勢力の解消により把握することができる。また、第一の接触部21cが付勢力により一側端点Q1に戻ったことを、制限部22a(図7参照)と第二の軸体15との衝突音により把握することができる。そこで、作業者は、可動部12を一旦、回転正方向と反対側に回転させる。
【0063】
図11の状態において、保持突起20dは第一の接触部21cの左側(回転正方向に関して前方)に位置している。ここから可動部12を回転正方向と反対側に回転させていくと、図12に示す如く、保持突起20dが第一の接触部21cの左側に接触する。保持突起20dは、自重により第一の接触部21に対し右向きの力を加えるが、第一の接触部21cは一側端点Q1にあり、それより右側には動かない。これにより、可動部12およびガスボンベ7の自重による回転正方向と反対側への回転が制限され、可動部12は、図3に示す如くガスボンベ7を適当な角度に保持した傾斜状態で止まる。作業者は、この状態でガスボンベ7の付け外し等の作業を行えばよい。ガスボンベ7が鉛直状態にある場合と比較して、ガスボンベ7や、該ガスボンベ7の取付対象である可動部12の本体部19が作業者にとって手前側に突出するので、作業をしやすい。また、被支持物であるガスボンベ7を手等により保持しなくとも、自動的にガスボンベ7が適当な角度に保持されるので、作業を両手で行うことができて簡便である。
【0064】
作業が済んだら、可動部12およびガスボンベ7の傾斜状態を解除する。図12に示す状態から、可動部12を回転正方向へ回転させると、図13に示す如く、保持突起20dが第一の接触部21cから左へ離間し、押込突起20eが右側から第二の接触部21dに接触し、第二の接触部21dは押込突起20eに押し込まれて弧A2上を他側端点R2に向かって移動する。
【0065】
さらに可動部12を回転させていくと、押込突起20eと第二の接触部21dの接触は、最遠点P2よりも他側端点R2側まで持続する。第二の接触部21dが最遠点P2を越えると、第二の接触部21dは、図14に示す如く、付勢力により他側端点R2まで移動する。これにより、押込突起20eと第二の接触部21dの接触が解除される。ここで、第二の接触部21dが設けられた揺動体21は、揺動範囲の他側において止め部18と接触すること、および、揺動補助体22の制限部22aが第二の軸体15を接触することにより、さらなる他側への回転を制限される(図7参照)。
【0066】
可動部12の回転を行う作業者は、保持突起20eと第二の接触部21dとの接触状態が解除されたことを、揺動補助体22の付勢部22bによる付勢力の解消により把握することができる。また、第二の接触部21dが付勢力により他側端点R2に移動したことを、制限部22a(図7参照)と第二の軸体15との衝突音や、揺動体21と止め部18との衝突音により把握することができる。そこで、作業者は、可動部12を回転正方向と反対側に回転させる。
【0067】
図14の状態においては、第一、第二の接触部21c,21dは他側端点R1,R2の位置にあり、保持突起20dおよび押込突起20eの先端の軌跡である円周C1,C2の外側にあるので、この状態から可動部12を回転正方向と反対側に回転させても、保持突起20dおよび押込突起20eは第一、第二の接触部21c,21dと接触しない。ただし、回転正方向に関して最も前方に位置する引戻突起20fの先端の軌跡である円周C3に対しては、第二の接触部21dは内側に位置している。このため、可動部12を回転正方向と反対側に回転させていくと、図15に示す如く、第二の接触部21dに対して左側から引戻突起20fが接触し、そのまま第二の接触部21dを一側端点Q2に向かって引き戻すことになる。ガスボンベ7が真下の位置に来るまで可動部12を回転させると、可動部12や揺動体21は図8に示す如き初期状態に戻る。
【0068】
上記の如き一連の操作は、ガスボンベ7や可動部12を傾けるだけで済み、例えばガスボンベ7を下方から支持する支持具のような別の器具等を用意する必要がないので、非常に簡便である。また、ガスボンベ7が傾斜したまま保持できる角度や、傾斜状態を解除可能な角度については、上述のように手応えや音によって直感的に把握できる。
【0069】
尚、上述の操作は、ガスボンベ7の取り付けの有無にかかわらず可能であり、ガスボンベ7を取り付けた状態であればガスボンベ7または可動部12を回転操作すればよいし、ガスボンベ7を取り付けていない状態であれば可動部12を回転操作すればよい。例えば、ガスボンベ7を新たに取り付けたいような場合には、まず可動部12を操作して該可動部12が傾斜して保持された状態とし、その状態でガスボンベ7を取り付け、その後、ガスボンベ7および可動部12をさらに引き起こして傾斜状態を解除し、初期状態に戻す、といった手順での作業が可能である。
【0070】
図16図17は、それぞれストッパ機構を構成する各部の配置に関する別の例を示している。図16は、可動部12に設けられる保持突起20d、押込突起20eおよび引戻突起20fが全て同じ回転面上に位置し、該回転面に接触部21cが位置する場合を示している。図1図15に示した実施例においては、保持突起20dの回転面と、押込突起20eおよび引戻突起20fの回転面が異なっており、揺動体21側に設けられる接触部としては、保持突起20dに対向する第一の接触部21cと、押込突起20eおよび引戻突起20fに対向する第二の接触部21dを備えていたが、図16に示すように、各突起の高さ、すなわち先端部の描く円周C1~C3を接触部21cに対して適切に設定すれば、接触部21cを一個のみ備え、該接触部21cと対向するように保持突起20d、押込突起20eおよび引戻突起20fを全て同じ回転面上に配置しても、図8図15に説明したのと同様の作動を実現することが可能である。尚、図示は省略するが、各突起を全て互いに異なる回転面に設け、それぞれと対向するように接触部を個別に設けた構成とすることもできる。
【0071】
あるいは、図示は省略するが、揺動体を複数備えることも可能である。例えば、第二の軸体に、第一および第二の揺動体を設置し、それぞれに接触部を設ける。ここで、第一の揺動体と第二の揺動体は、同じ第二の軸体に軸方向に沿って並列に支持してもよいし、第二の軸体にあたる軸体を、第一の揺動体と第二の揺動体のそれぞれについて別個に設置することもできる。可動部側には、第一、第二の揺動体に設けた前記各接触部と対向するように、保持突起や押込突起、引戻突起をそれぞれ備えておく。このようにしても、図8図15に説明したのと同様の作動を実現することができる。
【0072】
また、図17は保持突起20dを回転正方向に関して前後に複数(ここでは2個)設けた場合を例示している。このようにすると、可動部をある角度まで引き起こした段階で前方の保持突起20dにより前記可動部が保持され、さらに引き起こすと後方の保持突起20dにより前記可動部が別の角度で保持される。このように、保持突起を複数設置することで、可動部の保持角度を多段に設定することも可能である。このほか、ストッパ機構における各部の配置は、ストッパ機構を設置する部分や被支持物の大きさや形状といった条件に応じ、適宜設定することができる。
【0073】
また、被支持物としては、上では気液混合装置1のガスボンベ7を例示したが、これ以外にも、何らかの物体を保持する場面において、上に説明したようなストッパ機構を適宜採用することができる。勿論、同様のストッパ機構を気液混合装置以外に適用してもよい。
【0074】
以上のように、本実施例のストッパ機構10は、固定部11に対し回転可能に支持され、且つ回転正方向と反対向きに付勢される可動部12と、可動部12の回転範囲に対し、揺動方向が可動部12の回転に沿った向きの成分を有するように揺動する揺動体21とを備え、可動部12は、回転軸に関して径方向外側に突出する保持突起20d、押込突起20eおよび引戻突起20fを備え、揺動体21は、保持突起20d、押込突起20eおよび引戻突起20fにそれぞれ回転正方向に関して対向する接触部21c,21dを備え、接触部21c,21dは、回転正方向に関して相対的に後方に位置する一側端点Q1,Q2と、前方に位置する他側端点R1,R2の間の軌跡A1,A2上を揺動し、且つ軌跡A1,A2上の境界点P1,P2を境として一側端点Q1,Q2または他側端点R1,R2へ付勢され、保持突起20dの先端の描く円周C1に対し、対向する接触部(第一の接触部)21cの軌跡A1の境界点P1は外側、一側端点Q1は内側に位置し、保持突起20dの先端の描く円周C1は、対向する接触部(第一の接触部)21cの軌跡A1に対して境界点P1と一側端点Q1の間で交差し、押込突起20eの先端の描く円周C2に対し、対向する接触部(第二の接触部)21dの軌跡A2の境界点P2は内側、他側端点R2は外側に位置し、押込突起20eの先端の描く円周C3は、対向する接触部(第二の接触部)21dの軌跡A2に対して境界点P2と他側端点R2の間で交差し、引戻突起20fの先端の描く円周C3に対し、対向する接触部(第二の接触部)21dの軌跡A2の境界点P2および一側端点Q2は内側に位置し且つ他側端点R2は重なるか内側に位置し、初期状態において、保持突起20dと対向する接触部(第一の接触部)21cは、回転正方向に関し保持突起20dの前方で一側端点Q1に位置し、押込突起20eと対向する接触部(第二の接触部)21dは、回転正方向に関し押込突起20eの前方で一側端点Q2に位置し、引戻突起20fと対向する接触部(第二の接触部)21fは、回転正方向に関し引戻突起20fの後方の一側端点Q2で引戻突起20fに接触し、可動部12を回転正方向に回転させると、保持突起20dと対向する接触部(第一の接触部)21cが保持突起20dと接触し、続いて押込突起20eと対向する接触部(第二の接触部)21dが押込突起20eに接触するよう構成されている。このようにすれば、可動部12を傾けるだけの操作により、被支持物(ガスボンベ)7を適当な角度に傾斜させて保持し、また、傾斜状態を解除することができる。
【0075】
また、本実施例のストッパ機構10において、揺動体21は、可動部12の回転軸をなす第一の軸体14と平行に設けられた第二の軸体15を介し、固定部11に対して回転可能に一端を支持され、第二の軸体15に関して揺動体21の他端と反対側に、第一および第二の軸体14,15と平行に設けられた第三の軸体16と、第三の軸体16を介して固定部11に対し回転可能に設置された揺動補助体22を備え、揺動補助体22は、一端側を第三の軸体16に回転可能に支持された制限部22aと、制限部22aの他端側と、揺動体21とにそれぞれ端部を接続された付勢部22bとを備え、制限部22aは、中間部に第二の軸体15が貫通する貫通部22dを備え、該貫通部22d内に第二の軸体15が位置する範囲で、制限部22aが第三の軸体16に対し回転可能に構成されている。このようにすれば、簡単な構成の揺動補助体22により、揺動体21を好適に付勢することができる。
【0076】
また、本実施例のストッパ機構10において、揺動体21は、該揺動体21の他端側を構成し、付勢部22bの端部が接続される底部21aと、回転軸の軸方向に関して底部21aの両端部から第二の軸体15に向かって伸び、先端部が第二の軸体15に回転可能に支持される腕部21bとを備え、回転軸の軸方向に関して腕部21bの外側または内側に突出するように接触部21c,21dを備えている。このようにすれば、揺動体21を簡単な構成にて設置することができる。
【0077】
また、本実施例のストッパ機構10において、被支持物7は気液混合装置1のガスボンベであり、可動部12にガスボンベ7の口部が接続されるようになっている。このようにすれば、気液混合装置1において、ガスボンベ7を簡便な操作で適当な角度に傾斜させて保持し、また、傾斜状態を解除することができる。
【0078】
また、本実施例の気液混合装置1は、上述のストッパ機構10を備えているので、同様の作用効果を奏することができる。
【0079】
したがって、上記本実施例によれば、被支持物を適当な角度に保持し得る。
【0080】
尚、本発明のストッパ機構およびこれを備えた気液混合装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
1 気液混合装置
7 被支持物(ガスボンベ)
10 ストッパ機構
11 固定部
12 可動部
14 第一の軸体
15 第二の軸体
16 第三の軸体
20d 保持突起
20e 押込突起
20f 引戻突起
21 揺動体
21a 底部
21b 腕部
21c 接触部(第一の接触部)
21d 接触部(第二の接触部)
22 揺動補助体
22a 制限部
22b 付勢部
22d 貫通部
A1 軌跡(弧)
A2 軌跡(弧)
C1 円周
C2 円周
C3 円周
P1 境界点(最遠点)
P2 境界点(最遠点)
Q1 一側端点
Q2 一側端点
R1 他側端点
R2 他側端点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17