(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ヨードオキサゾール化合物の製造方法、オキサゾール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 263/34 20060101AFI20240403BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
C07D263/34
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020031314
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】392000888
【氏名又は名称】株式会社合同資源
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】東郷 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 絢
(72)【発明者】
【氏名】宮本 充彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 紳一郎
【審査官】長谷川 莉慧霞
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-518110(JP,A)
【文献】Andrew D. CHEN et al.,Radical cascade synthesis of azoles via tandem hydrogen atom transfer,Chemical Science,2020年01月30日,Vol. 11, No. 9,pp. 2479-2486,DOI: 10.1039/c9sc06239d
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07B
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式(1)に基づいてイミノエーテル化合物と、上
記イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤を3~10当量と
、上記イミノエーテル化合物に対して塩基を1~5当量とを混合すると共に、光を照射しつつ
0~80℃の温度条件下で反応させることにより、ヨードオキサゾール化合物を製造すること
を特徴とするヨードオキサゾール化合物の製造方法。
【化1】
・・・・・・・・・・(1)
ここで、R
1、R
2は、芳香族基である。
【請求項2】
以下の化学式(2)に基づいてイミノエーテル化合物と、
上記イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤
を1~6当量と
、上記イミノエーテル化合物に対して塩基
を1~5当量とを混合すると共に、光を照射しつつ
0~80℃の温度条件下で反応させることにより、オキサゾール化合物を製造すること
を特徴とするオキサゾール化合物の製造方法。
【化2】
・・・・・・・・・・(2)
ここで、R
1、R
2は、芳香族基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミノエーテル化合物を原料とするヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物の製造方法に関し、特に酸化剤を利用することなく、1工程での製造を行う上で好適なヨードオキサゾール化合物の製造方法、オキサゾール化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物は、オキサゾール環を有する芳香族系化合物であり、医薬や農薬等の骨格として利用されている重要な化合物である。
【0003】
従来のオキサゾール化合物の製造方法として、イミノエーテル化合物からC-Hアミノ化反応を利用した方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】J.Am. Chem. Soc. 2017, 139, 10204-10207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した非特許文献1記載の従来のオキサゾール化合物の製造方法は、環化工程と酸化工程の2工程で合成を行う必要がある。このため、オキサゾール化合物を製造するために必ず2工程を要することになることから、製造コストが上昇してしまうという問題点があった。また環化工程後に酸化工程を導入する必要が生じてしまい、そのためには酸化剤を準備する必要があり、これも製造コストの上昇の要因になるという問題点もあった。また酸化剤の添加を製造プロセスに導入する場合には、そのプロセスの危険性を伴う場合があることから、より安全性の高いオキサゾール化合物の製造方法が求められていた。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、イミノエーテル化合物を原料とするヨードオキサゾール化合物の製造方法、オキサゾール化合物の製造方法において、特に酸化剤を利用することなく安価でしかも安全に製造することができ、また環化工程と酸化工程の2工程で合成を行うことなく1工程での製造が可能なヨードオキサゾール化合物の製造方法、オキサゾール化合物の製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るヨードオキサゾール化合物の製造方法は、イミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤とを混合すると共に、光を照射しつつ反応させることにより、ヨードオキサゾール化合物を製造するものである。酸化剤を使用することなく1工程で製造することができ、ヨードオキサゾール化合物を製造する上での新たな手法となりえるものである。
【0008】
本発明に係るオキサゾール化合物の製造方法は、イミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤と塩基とを混合すると共に、光を照射しつつ反応させることにより、オキサゾール化合物を製造するものである。酸化剤を使用することなく1工程で製造することができ、オキサゾール化合物を製造する上での新たな手法となりえるものである。
【0009】
第1発明に係るヨードオキサゾール化合物の製造方法は、以下の化学式(1)に基づいてイミノエーテル化合物と、上
記イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤を3~10当量と
、上記イミノエーテル化合物に対して塩基を1~5当量とを混合すると共に、光を照射しつつ
0~80℃の温度条件下で反応させることにより、ヨードオキサゾール化合物を製造することを特徴とする。
【化1】
・・・・・・・・・・(1)
ここで、R
1、R
2は、芳香族基である。
【0010】
第2発明に係るヨードオキサゾール化合物の製造方法は、以下の化学式(2)に基づいてイミノエーテル化合物と、
上記イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤
を1~6当量と
、上記イミノエーテル化合物に対して塩基
を1~5当量とを混合すると共に、光を照射しつつ
0~80℃の温度条件下で反応させることにより、オキサゾール化合物を製造することを特徴とする。
【化2】
・・・・・・・・・・(2)
ここで、R
1、R
2は、芳香族基である。
【発明の効果】
【0014】
上述した方法からなる本発明によれば、反応溶媒中にイミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤と塩基とを混合し、化学式(1)又は化学式(2)に基づいて反応を1工程で進めることが可能となる。このため、従来のように環化工程と酸化工程の2工程で合成を行うことなく、1工程でヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物を製造することができるため、製造コストを抑制することが可能となる。また、従来のように環化工程後に酸化工程を導入する必要が無くなり、また酸化剤を準備する必要も無くなることから、製造コストをより安価に抑えることが可能となる。更に酸化剤を使用することなく製造することができることから、プロセスの危険性を伴うことなくより安全にヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るヨードオキサゾール化合物の製造方法、オキサゾール化合物の製造方法について詳細に説明する。
【0016】
本発明を適用したヨードオキサゾール化合物の製造方法は、以下の化学式(1)に基づいて、反応溶媒中にイミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤とを混合する。このとき、必要に応じて塩基を混合してもよいが、塩基の混合は必須ではない。
【0017】
以下の化学式(1)に基づいてイミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤と、必要に応じて塩基とを混合すると共に、光を照射しつつ反応させることにより、 ヨードオキサゾール化合物を製造する。
【化1】
・・・・・・・・・・(1)
ここで、R
1、R
2は、芳香族基である。
【0018】
本発明を適用したオキサゾール化合物の製造方法は、溶媒中で、以下の化学式(2)に基づいて、反応溶媒中にイミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤と、塩基とを混合する。
【化2】
・・・・・・・・・・(2)
【0019】
[イミノエーテル化合物]
ここで、R1、R2は、芳香族基である。
芳香族基は、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基が挙げられ、具体的にはフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ビナフチル基、アズレニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、インドリル基、ベンゾチアゾリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
【0020】
置換されていてもよい芳香族基における置換基の数は、置換可能であれば特に制限はなく、1又は複数であり、置換してもよい基としてはハロゲン原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖状の炭素数1~12のアルキル基、置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよい非芳香族複素環式基、カルボキシル基、直鎖又は分岐状の炭素数1~12のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基などが挙げられる。
【0021】
置換されていてもよい基としてはハロゲン原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖状の炭素数1~12のアルキル基、置換されていてもよい芳香族基、置換されていてもよい非芳香族複素環式基、直鎖又は分岐状の炭素数1~12のアルコキシ基、シアノ基又はニトロ基等が挙げられる。
【0022】
[ヨウ素化剤]
ヨウ素化剤は、ヨウ素、一塩化ヨウ素、N-ヨードコハク酸イミド、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン等であるがこれらに限定されるものでは無く、ヨウ素化を促進可能な、ヨウ素原子を含む化合物であればいかなるもので構成されていてもよい。
【0023】
[塩基]
塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩類、ピリジン又はトリエチルアミン等である。塩基の添加量は、イミノエーテル化合物に対して1~5当量であり、好ましくは3当量である。塩基を添加する理由としては、反応過程で発生するヨウ化水素を中和して、反応を円滑に進行させるためである。
【0024】
ここでいうアルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。またアルカリ土類金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等である。更にアルカリ金属炭酸塩類は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等である。
【0025】
[溶媒]
反応溶媒は、無溶媒、あるいはヨウ素化剤によるヨウ素化反応を阻害しない溶媒であれば何でもよいが、好ましくは、一般的なヨウ素化反応で用いられ、ラジカル反応条件下においても安定に存在する溶媒がよい。この反応溶媒の具体例としては、例えば、ジクロロエタンやクロロホルムなどのハロゲン系溶媒や、テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル系溶媒等があげられる。
【0026】
本発明を適用した本発明に係るヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物の製造方法における合成条件としては、イミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤と塩基とを反応溶媒中にて混合する。塩基を混合することで、反応過程で発生するヨウ化水素を中和し、反応を円滑に進行させることが可能となる。
【0027】
これらの混合において、イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤を1~10当量混合させることが望ましい。
【0028】
特に化学式(1)に示す反応を進めることでヨードオキサゾール化合物を製造したい場合には、イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤を3~10当量混合させることが望ましい。
【0029】
特に化学式(2)に示す反応を進めることでオキサゾール化合物を製造したい場合には、イミノエーテル化合物に対してヨウ素化剤を1~6当量混合させることが望ましい。
【0030】
また、これら化学式(1)、(2)の反応を進める上では、光を照射しつつ反応させる必要がある。また、これに加えて、反応溶媒の沸点以下の温度で反応させる必要がある。反応時間は、15分~25時間である。このとき、化学式(1)、(2)の反応を進める上で、光を照射しつつ0~80℃の温度条件下で反応させることが望ましい。
【0031】
光を照射する場合、使用する光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、LEDランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。使用する光源として好ましいものとしては、タングステンランプ、LEDランプ等である。
【0032】
上述した方法からなる本発明によれば、反応溶媒中にイミノエーテル化合物と、ヨウ素化剤と塩基とを混合し、化学式(1)又は化学式(2)に基づいて反応を1工程で進めることが可能となる。このため、従来のように環化工程と酸化工程の2工程で合成を行うことなく、1工程でヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物を製造することができるため、製造コストを抑制することが可能となる。また、従来のように環化工程後に酸化工程を導入する必要が無くなり、また酸化剤を準備する必要も無くなることから、製造コストをより安価に抑えることが可能となる。更に酸化剤を使用することなく製造することができることから、プロセスの危険性を伴うことなくより安全にヨードオキサゾール化合物、オキサゾール化合物を製造することができる。
【0033】
以下、本発明の実施例について説明をする。
【実施例】
【0034】
【0035】
アルゴンガス雰囲気下、50mL二口フラスコにイミノエーテルトリフルオロメタンスルホン酸塩(1.0 mmol)、THF(4.0 mL)を加え、室温でNaH(1.5 mmol)を添加し、15分撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、イミノエーテルを得た。イミノエーテルの単離はおこなわず、次工程に用いた。イミノエーテルにジクロロエタン(5.0 mL)、ヨウ素化剤としてN-ヨードこはく酸イミド(NIS)、または1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)を所定量加えた。必要に応じ、塩基として炭酸カリウム(3.0 mmol)を加え、アルゴンガス雰囲気下、タングステンランプ(300W)を照射し、所定の時間撹拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルム(20mL)で3回抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル= 9 : 1)で精製し、ヨードオキサゾール化合物を得た。なお、各化合物の合成条件や収率は表1の通りである。
【0036】
【0037】
また、実施例1、6、7、8、10の各化合物の1H NMRおよび13C NMRの測定結果を以下に示す。
【0038】
実施例1の化合物5-ヨード-4-フェニル-2-(p-トリル)オキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.42 (s, 3H), 7.28 (d, 2H, J = 8.1 Hz), 7.38 (tt, 1H, J = 7.4, 1.4 Hz), 7.47 (td, 2H, J = 7.4, 1.6 Hz), 7.98 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 8.04 (dd, 2H, J = 7.0, 1.6 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 21.9, 34.3, 74.0, 121.8, 127.2, 128.8 (2C), 128.9 (2C), 129.2 (2C), 130.2 (2C), 136.1, 147.8, 172.3
【0039】
実施例6の化合物5-ヨード-2,4-ジ-p-トリルオキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.40 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 7.26-7.28 (m, 4H), 7.93 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 7.97 (d, 2H, J = 8.2 Hz) ; 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 21.4, 21.6, 81.9, 124.1, 126.3 (2C), 126.8 (2C), 127.7, 129.1 (2C), 129.4 (2C), 138.3, 141.1, 145.0, 166.0
【0040】
実施例7の化合物4-(4-フルオロフェニル)-5-ヨード-2-(p-トリル)オキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.42 (s, 3H), 7.15 (t, 2H, J = 8.6 Hz), 7.29 (d, 2H, J = 7.93 Hz), 7.97 (d, 2H, J = 8.38 Hz), 8.00-8.05 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 21.6, 82.1, 115.4 (d, 2C, JC-F = 21.6 Hz), 123.9, 126.3 (2C), 126.7, 128.8 (d, 2C, JC-F = 8.5 Hz), 129.5 (2C), 141.3, 144.2, 162.8 (d, JC-F = 248.1 Hz), 166.1
【0041】
実施例8の化合物4-(4-クロロフェニル)-5-ヨード-2-(p-トリル)オキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.42 (s, 3H), 7.28 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.43 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.96 (d, 2H, 8.1 Hz), 8.00 (d, 2H, J = 8.4 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 21.6, 82.6, 123.9, 126.3 (2C), 128.1 (2C), 128.6 (2C), 129.1, 129.5 (2C), 134.3, 141.3, 144.0, 166.2
【0042】
実施例10の化合物5-ヨード-2-フェニル-4-(p-トリル)オキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.41 (s, 3H), 7.28 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.47-7.49 (m, 3H), 7.94 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 8.08-8.10 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 21.4, 82.4, 126.3 (2C), 126.7, 126.8 (2C), 127.6, 128.8 (2C), 129.2 (2C), 130.7, 138.4, 145.2, 165.8
【0043】
【0044】
アルゴンガス雰囲気下、50mL二口フラスコにイミノエーテルトリフルオロメタンスルホン酸塩(1.0 mmol)、THF(4.0 mL)を加え、室温でNaH(1.5 mmol)を添加し、15分撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、イミノエーテルを得た。イミノエーテルの単離はおこなわず、次工程に用いた。イミノエーテルにジクロロエタン(5.0 mL)、塩基として炭酸カリウム(3.0 mmol)、ヨウ素化剤としてN-ヨードこはく酸イミド(NIS)、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン(DIH)、またはヨウ素を所定量加え、アルゴンガス雰囲気下、タングステンランプ(300W)を照射し、所定の時間撹拌した。反応終了後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、クロロホルム(20mL)で3回抽出した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル= 9 : 1)で精製し、オキサゾール化合物を得た。なお、各化合物の合成条件や収率は表2の通りである。
【0045】
【0046】
また、実施例30、33、35の各化合物の1H NMRおよび13C NMRの測定結果を以下に示す。
【0047】
実施例30の化合物4-(4-ニトロフェニル)-2-(p-トリル)オキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.44 (s, 3H), 7.31 (d, 2H, J = 8.2 Hz), 8.00 (tt, 4H, J = 8.6, 2.0 Hz), 8.10 (s, 1H), 8.30 (td, 2H, J = 9.1, 2.0 Hz); (100 MHz, CDCl3): δ = 21.6, 124.2 (2C), 126.0 (2C), 126.6 (2C), 129.6 (2C), 135.1, 137.5, 140.0, 140.0, 141.3, 147.2, 162.8
【0048】
実施例33の化合物4-(4-ニトロフェニル)-2-フェニルオキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.49-7.53 (m, 3H), 8.00 (td, 2H, J = 9.0, 2.0 Hz), 8.11-8.16 (m, 3H), 8.30 (td, 2H, J = 9.0, 2.0 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 124.2 (2C), 126.1 (2C), 126.6 (2C), 126.9, 128.9 (2C), 130.9, 135.4, 137.4, 140.1, 147.2, 162.6
【0049】
実施例35の化合物4-(4-ニトロフェニル)-2-(3,5-ジメチルフェニル)オキサゾール:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 2.41 (s, 6H), 7.14 (s, 1H), 7.75 (s, 2H), 7.99 (td, 2H, J = 9.0, 2.0 Hz), 8.11 (s, 1H), 8.30 (td, 2H, J = 9.0, 2.0 Hz); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 21.2 (2C), 124.1 (2C), 124.3 (2C), 126.0 (2C), 126.6, 132.6, 135.2, 137.5, 138.5 (2C), 140.0, 147.1, 162.9