(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】OPH活性増強剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/44 20060101AFI20240403BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240403BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20240403BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20240403BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/288 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/37 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/535 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/738 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20240403BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240403BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K36/44
A23L33/105
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K36/185
A61K36/28
A61K36/288
A61K36/37
A61K36/48
A61K36/535
A61K36/63
A61K36/73
A61K36/738
A61K36/899
A61P43/00 107
A61P43/00 111
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2017137758
(22)【出願日】2017-07-14
【審査請求日】2020-06-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2016139662
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506164198
【氏名又は名称】株式会社アンチエイジングコミュニケーション
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】八木 雅之
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和利
【合議体】
【審判長】冨永 みどり
【審判官】井上 典之
【審判官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-83838(JP,A)
【文献】Glycative Stress Research,2015,Vol.2,No.4,P.156-162
【文献】八木雅之ほか,「茶・健康茶中の酸化蛋白質分解酵素(OPH)活性化成分の探索」,日本抗加齢医学会総会 第12回プログラム・抄録集,2012年,12th,P.219,P081
【文献】八木雅之ほか,「糖化ストレスに着目した抗糖化食品・化粧品の有用性評価法」,FRAGRANCE JOURNAL(フレグランスジャーナル),2016年11月号(Vol.44,No.11),P.56-64
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A23L
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JMEDPlus/JST7580/JSTPlus(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カキノキ
の葉、チコリ
の根、シソ
の葉、ルイボス
の葉、サラシア
の根、サラシアの地下茎、テンヨウケンコウシ
の葉、月見草
の葉、月見草の茎、玄米、タンポポ
の花、タンポポの葉、タンポポの茎、バラ
の果実、キャンドルブッシュ
の葉、キャンドルブッシュの茎、モリンガ
の葉、モリンガの茎、アマチャ
の葉、アマチャの茎、オリーブ
の葉、ナタマメ
の種子、バナバ
の葉、バナバの茎の抽出物のいずれか1種類以上を含有するOPH活性増強剤。
【請求項2】
クマザサ
の葉、カキノキ
の葉、テンヨウケンコウシ
の葉、バナバ
の葉、バナバの茎の各抽出物を含む混合物を含有するOPH活性増強剤。
【請求項3】
請求項1から
2のいずれか一に記載のOPH活性増強剤を含有する
OPH活性増強用食品。
【請求項4】
請求項1から
2のいずれか一に記載のOPH活性増強剤を含有する
OPH活性増強用食品添加物。
【請求項5】
請求項1から
2のいずれか一に記載のOPH活性増強剤を含有する
OPH活性増強用医薬品。
【請求項6】
請求項1から
2のいずれか一に記載のOPH活性増強剤を含有する
OPH活性増強用医薬部外品。
【請求項7】
請求項1から
2のいずれか一に記載のOPH活性増強剤を含有する
OPH活性増強用化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化蛋白質を分解する生体内酵素である酸化蛋白質分解酵素(oxidized protein hydrolase:OPH)の活性を増強させるOPH活性増強剤、及び、当該OPH活性増強剤を含有する飲食品や医薬品などに関する。
【背景技術】
【0002】
OPHは、蛋白のN末端アシル化アミノ酸を遊離するセリンプロテアーゼの一種で、アシルアミノ酸遊離酵素(acylamino-Acid Releasing Enzyme:AARE)、アシル化ペプチド分解酵素(acylpeptide hydrolase:APH)などとも言われている。また、OPHは、アシル化だけでなく、ホルミル化(Formyl)、アセチル化(Acetyl)、ブチル化(Butyl)、プロピル化(Propyl)された蛋白質のN末端アミノ酸に対しても作用する。
【0003】
OPHはブタ肝臓、ラット脳、ヒト血液、角層などの生体組織に広く存在している。OPHは酸化蛋白質や糖化蛋白質を優先的に分解するとともにプロテアソームと協働して老化蛋白質を分解すること、アルツハイマー病の原因であるアミロイドβ蛋白質を減少させることが報告されている。またOPHがAGEs(終末糖化産物)を分解することも確認されている。これらのことから生体中のOPHの活性を増強させることは、老化蛋白質の分解を促進し、老化や疾患を予防・治療できる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の事情を鑑み、本発明は、OPHの活性を増強させるOPH活性増強剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、以下の発明などを提供する。すなわち、カキノキ、チコリ、シソ、ルイボス、サラシア、テンヨウケンコウシ、月見草、玄米、タンポポ、バラ、キャンドルブッシュ、モリンガ、アマチャ、オリーブ、ナタマメ、バナバのいずれか一種類以上を含有するOPH活性増強剤を提供する。
【0007】
また、クマザサ、カキノキ、テンヨウケンコウシ、バナバの各抽出物を含む混合物を含有するOPH活性増強剤を提供する。
【0008】
また、マスリン酸、(+)カテキン、イソクェルシトリンのいずれか1種類以上を含有するOPH活性増強剤を提供する。
【0009】
また、前記いずれか一のOPH活性増強剤を含有する食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品及び化粧品を提供する。
【0010】
本発明により、酸化蛋白質を分解する生体内酵素であるOPHの活性を増強させるOPH活性増強剤などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】OPH活性増強作用の測定試験1の結果を示す表
【
図2】OPH活性増強作用の測定試験2の結果を示す表
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<実施形態>
<構成>
【0013】
本実施例に係るOPH活性増強剤は、カキノキ、チコリ、シソ、ルイボス、サラシア、テンヨウケンコウシ、月見草、玄米、タンポポ、バラ、キャンドルブッシュ、モリンガ、アマチャ、オリーブ、ナタマメ、バナバの抽出物のいずれか1種類以上を含有するOPH活性増強剤である。「OPH活性増強剤」とは、酸化蛋白質の分解酵素であるOPHの酸化蛋白質分解活性(以下、単にOPH活性)を増強させる剤を意味する。
【0014】
本実施形態における植物の抽出物は、植物のどの部位から抽出したものであってもよく、例えば、全草、花、種子、果実、枝、茎、樹皮、根などから抽出したものであってよい。また、抽出物の性状を限定するものではない。以下に、本実施形態における各植物について説明する。
【0015】
また、前記の各植物を水又は湯により抽出した物は、例えば、カキノキを湯や水で抽出した物は柿の葉茶といった称呼で茶外茶として喫飲されている。なお、茶外茶とは、チャノキ以外の植物の葉、芽、花、樹皮、根などを材料として水又は湯を注ぎ抽出した飲料のことをいう。
【0016】
「カキノキ(Diospyros kaki)」は、カキノキ科カキノキ属の植物である。サンプルとして、カキノキの葉を原料とする茶外茶である柿の葉茶を用いた。
【0017】
「チコリ(Cichorium intybus)」は、キク科キクニガナ属の植物であり、菊苣とも称される。サンプルとして、乾燥させたチコリの根を原料とする茶外茶であるチコリ茶を用いた。なお、茶外茶とは、チャノキ以外の植物の葉、芽、花、樹皮、根などを材料として水又は湯を注ぎ抽出した飲料のことをいう。
【0018】
「シソ」は、シソ科シソ属の植物であり、この属には、アオジソ(Perilla frutescens var. crispa f. viridis)、アカジソ(Perilla frutescens var. crispa f. purpurea)などがある。サンプルとして、アカジソの葉を原料とする茶外茶であるシソ葉茶を用いた。
【0019】
「ルイボス(Aspalathus linearis)」は、マメ科アスパラトゥス属の植物である。サンプルとして、ルイボスの葉を原料とする茶外茶であるルイボス茶を用いた。
【0020】
「サラシア」は、ニシキギ科サラシア属の植物であり、この属には、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)などがある。サンプルとして、サラシア・レティキュラータの根や地下茎を原料とする茶外茶であるサラシア茶を用いた。なお、サラシア・オブロンガはインド産やブラジル産のものが知られており、サラシア・レティキュラータはスリランカ産のものが知られている。いずれのサラシアも基本的な性質は同様であるが、サラシア・レティキュラータの方が、糖尿病予防などについての効能がより高いと言われることがある。
【0021】
「テンヨウケンコウシ(Rubus suavissimus)」は、バラ科キイチゴ属の植物である。サンプルとして、テンヨウケンコウシの葉を原料とする茶外茶である甜茶を用いた。
【0022】
「月見草(Oenothera tetraptera)」は、アカバナ科マツヨイグサ属の植物である。サンプルとして、月見草の葉と茎を原料とする茶外茶である月見草茶を用いた。
【0023】
「玄米」は、イネ科イネ属のイネ(O.sativa.subsp.japonica)の果実である籾から籾殻を除去したものである。サンプルとして、焙煎した玄米を用いた。なお、番茶に玄米を混ぜたいわゆる玄米茶をサンプルとするものではない。
【0024】
「タンポポ(Taraxacum)」は、キク科タンポポ属の植物である。サンプルとして、タンポポの花、葉、茎を原料とする茶外茶であるタンポポ茶を用いた。
【0025】
「ローズヒップ」は、バラ科バラ属のイヌバラ(Rosa canina)の果実である。サンプルとしては、ローズヒップを原料とする茶外茶であるローズヒップ茶を用いた。
【0026】
「キャンドルブッシュ(Cassia alata)」は、マメ科カッシア属の植物であり、ゴールデンキャンドルとも呼ばれる。サンプルとしては、キャンドルブッシュの葉や茎を原料とする茶外茶であるキャンドルブッシュ茶を用いた。
【0027】
「モリンガ(Moringa oleifera)」は、ワサビノキ科ワサビノキ属の植物である。サンプルとしては、モリンガの葉や茎を原料とする茶外茶であるモリンガ茶を用いた。
【0028】
「アマチャ(Hydrangea macrophylla Ser.var.thunbergii)」は、アジサイ科アジサイ属の植物である。サンプルとしては、アマチャの葉や茎を原料とする茶外茶である甘茶を用いた。
【0029】
「オリーブ(olea europaea)」は、モクセイ科オリーブ属の植物である。サンプルとしては、オリーブの葉を主原料とする茶外茶であるオリーブリーフ茶を用いた。
【0030】
「ナタマメ(Canavalia gladiate)」は、マメ科ナタマメ属の植物である。サンプルとして、ナタマメの種子を主原料とする茶外茶であるナタマメ茶を用いた。
【0031】
「バナバ(Lagerstroemia speciosa)」は、ミソハギ科サルスベリ属の植物である。サンプルとして、バナバの葉や茎を原料とする茶外茶であるバナバ茶を用いた。
【0032】
本実施例におけるOPH活性増強剤は、さらに既知の方法を用いることにより、当該OPH活性増強剤を含有する食品、食品添加物、医薬品、医薬部外品、化粧品などとして提供することが可能である。
【0033】
例えば、医薬品とする場合には、本実施例のOPH活性増強剤を粉体や粒体としカプセルに充填したり、あるいは、賦形剤、結合剤、崩壊剤などを添加して打錠機等を用いて製造することができる。また、食品とする場合には、各植物を適宜乾燥や破砕等を湯で煮出すことで提供できる。また、医薬品のようにカプセルや錠剤のような形態で提供してもよいし、他の飲料、調味料、菓子等の各種の食品にOPH活性増強剤を添加した態様で提供することもできる。
【0034】
また、美容液、クリーム、ローションなどの化粧品とすることもできる。例えば、美容液とする場合には、本実施例のOPH活性増強剤の他、水、コメヌカ油、ペンチレングリコール、グリセリン、スクワラン、パルミチン酸セチル、ダイマージリノール酸などを主成分とし、ヒアルロン酸Na、水添ナタネ油アルコール、カルボマー、キサンタンガム、水酸化カリウム、ジメチコン、ポリソルベート-60、ステアリン酸グリセリル、水添ヒマシ油、フェノキシエタノール、尿素、アルギニン、アルブチン、クエン酸などを添加剤とする。そして、各成分を水溶性原料・油溶性原料に分けて溶解してから、それらを加熱して混合・乳化する。これを冷却しながらエキスなどの添加物を配合し、さらに低温になったところで精油や香料などの揮発性の高いものを添加する。その後、所定の安全性の検査(菌、pH、温度安定性、粘度等)を行い、瓶などに充填して製品として提供することができる。
≪試験1≫
【0035】
本試験において、上記各植物の抽出物のOPH活性の増強作用について測定する。本測定ではOPHとその反応基質であるN-acetyl-L-alanine p-nitro-anilide(AAPA)との反応系に試料溶液を添加し、OPHの酵素反応への影響を評価した。試料には、前述のカキノキ、チコリ、ルイボス、サラシア、テンヨウケンコウシ、月見草、植物のサンプルを用いた。併せて、イネ科ササ属のクマザサの葉を原料とするクマザサ茶、ミソハギ科サルスベリ属のバナバの葉を原料とするバナバ茶、フトモモ科バンジロウ属のガァバの葉を原料とするガァバ茶、バラ科バラ属のハマナスの花を原料とするメイグイ茶についても測定した。また、植物抽出物を組み合わせた場合のOPH活性増強作用を確認するために、「クマザサ茶、柿の葉茶、甜茶、バナバ茶」を等量で混合した混合茶についても測定した。
【0036】
また、バナバなどの含有成分であるマスリン酸(Maslinic Acid)(C30H48O4)、チャノキなどの含有成分である(+)カテキン(C15H14O6)、柿の葉などの含有成分であるイソクェルシトリン(isoquercitin)(C21H20O12)についても測定を行った。
<測定方法>
【0037】
OPHとしてacylamino-acid releasing enzyme(AARE)、OPHの反応基質としてAAPA溶液を使用した。測定にはOPHを0.01U/mL、0.005U/mL、0.001U/mLに調製して使用した。
【0038】
96ウェルマイクロプレートの各wellにOPH、AAPA、試料溶液(ジメチルスルホキシドを溶媒)を混合添加し、37℃に設定したインキュベーター内で4時間反応させた反応液の405nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。OPHの酵素活性は1時間当たりの吸光度変化量(反応速度)を求めた。同時にreference(Ref)として試料無添加時の反応速度を求め、下式に従ってRefの反応速度を100%とした時の活性増強作用を算出した。OPH活性増強作用のネガティブコントロールにはエピガロカテキンガレート(EGCg)を使用した。
(式)OPH活性増強作用(%)=(試料のOPH反応速度/RefのOPH反応速度)×100
<測定結果>
【0039】
図1は、測定結果を示す表である。表に示すように、本実施形態に係る、カキノキ、チコリ、シソ、ルイボス、サラシア、テンヨウケンコウシ、月見草の抽出物はいずれもOPH活性増強作用を有することが分かった。また、混合茶についてもOPH活性増強作用を有することが分かった。また、マスリン酸、(+)カテキン、イソクェルシトリンについてもOPH活性増強作用を有することが分かった。
≪試験2≫
【0040】
上述の試験1と同様に本実施形態の植物抽出物のOPH活性の増強作用について測定した。前述の玄米、タンポポ、バラ、キャンドルブッシュ、モリンガ、アマチャ、オリーブ、ナタマメ、バナバを測定対象とし、併せてジャスミン茶、紅茶、メイグイ茶、緑茶についても測定対象とした。
【0041】
試料として、以下の通り植物抽出液を調整した。まず、秤量した2gの各茶葉を40mLの熱水(80℃)で1時間抽出し、常温まで冷ましてから市販のお茶パックで濾して上清を回収して抽出液とした。また、抽出液原液だけでなく10倍希釈液も測定対象に加えた。さらに、希釈して活性化率がアップしそうな試料については100倍希釈液でも測定した。
<測定方法>
【0042】
OPHとしてacylamino-acid releasing enzyme(AARE)(タカラバイオ)を、50mmol/L リン酸緩衝液(pH7.2)にて0.025U/mLに調製した。また、反応基質としてAAPA溶液(BACHEM)を、50%エタノール液で25mmol/Lに調製した。また、反応緩衝液として、120mmol/L Tris-HCl(pH7.4)を用いた。また、ポジティブコントロールとして1mg/mLのルブソシド、ネガティブコントロールとして1mg/mLのEGCg(エピガロカテキンガレート)を用いた。
【0043】
そして、マイクロプレート1ウェルに、試料10uL、0.025U/mL OPH 10uL、反応緩衝液210uLを入れて、37℃で60分間予備加温(プレインキュベーション)した。一旦、室温に戻してから、25mmol/L AAPA溶液(基質液)20uLを加え、よく混合してOPH反応を開始した。反応は37℃の恒温槽で行った。
【0044】
30分、あるいは60分間隔でマイクロプレートを恒温槽から取り出し、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定し、OPH反応によって生じるpNA(パラニトロアニリン)を測定した。
【0045】
ここで、試料のうちキャンドルブッシュについてのOD(光学密度)が0.5を上回ったので、吸光度が0.5以下に収まるように蒸留水で2倍希釈したものを原液として用いることにした。
【0046】
そして、OPHの活性の増強作用は、試験1と同様に1時間当たりの吸光度変化量(反応速度)を求めた。同時にreference(Ref)として試料無添加時の反応速度を求め、下式に従ってRefの反応速度を100%とした時の活性増強作用を算出した。
(式)OPH活性増強作用(%)=(試料のOPH反応速度/RefのOPH反応速度)×100
<測定結果>
【0047】
図2は、測定結果を示す表である。図中の「濃度1」は抽出液原液を試料として用いた場合のOPH活性増強作用を示している。また、「濃度2」は10倍希釈液を、「濃度3」は100倍希釈液を用いた結果を示している。ただし、キャンドルブッシュについては上記の通り「濃度1」において2倍希釈液を、「濃度2」において20倍希釈液を用いた。また、最大活性増強作用(%)を下線を付した斜字で示した。表に示すように、本実施形態に係る、玄米、タンポポ、バラ、キャンドルブッシュ、モリンガ、アマチャ、オリーブ、ナタマメ、バナバの抽出物はいずれもOPH活性増強作用を有することが分かった。
<効果>
【0048】
試験1及び試験2の結果として示すように、本実施形態により、カキノキ、チコリ、シソ、ルイボス、サラシア、テンヨウケンコウシ、月見草、玄米、タンポポ、バラ、キャンドルブッシュ、モリンガ、アマチャ、オリーブ、ナタマメ、バナバのいずれか一種類以上を含有するOPH活性増強剤などを提供することができる。
【0049】
また、クマザサ、カキノキ、テンヨウケンコウシ、バナバの各抽出物を含む混合物を含有するOPH活性増強剤などを提供することができる。
【0050】
また、マスリン酸、(+)カテキン、イソクェルシトリンのいずれか1種類以上を含有するOPH活性増強剤などを提供することができる。