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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020111252
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010592
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行者名:有限会社シン・ネットワーク 刊行物名:パンフレット 発行日:令和2年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】398035763
【氏名又は名称】有限会社シン・ネットワーク
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】中島 信一郎
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-049356(JP,A)
【文献】実公昭48-001993(JP,Y1)
【文献】実開平05-033742(JP,U)
【文献】特開2012-135598(JP,A)
【文献】特開2007-319421(JP,A)
【文献】特開2005-074022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体と、前記マスク本体の左右両端部にそれぞれ形成され、前記マスク本体に縫着された連結部と、前記連結部の端部にそれぞれ設けられた装着用具と、前記マスク本体の内側に位置し、前記左右の連結部に左右端部がそれぞれ取り付けられ、少なくとも口及び鼻を覆うことができるインナーマスクと、前記マスク本体と前記連結部との境界付近に設けられた通気部と、前記通気部付近に設けられ、前記通気部が閉塞しないように、その形状を保持することができる保持具とで構成され、
前記マスク本体と前記連結部の縫着部の上下方向の略中間部分付近に未縫着部が存在し、前記未縫着部が前記通気部となっており、
前記インナーマスクは、その上下方向の寸法が前記マスク本体の上下方向の寸法よりも小さく形成され、前記マスク本体と前記インナーマスクとの間には間隙が形成されているマスク。
【請求項2】
前記インナーマスクは、シート部材を収納できる収納部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重構造でマスク内の空気を換気することができるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二重構造のマスクとしては、「顔面の鼻口部を覆うよう装着される外側のマスク本体と、マスク本体の内側に配されて少なくとも外鼻に密着する内側マスクとを有し、マスク本体が、前面の左右中央において前方に突曲するよう立体形状に造形されており、マスク本体に対して内側マスクは、隙間Gが介在する状態で取り付けられていることを特徴とする衛生マスク。」等が知られている(特許文献1)。
しかし、このようなマスクでは、マスク内部の空気の換気を行うことができず、マスク内部の温度や湿度が高くなるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-49356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、飛沫等を確実に飛散させないとともに、マスク内部の空気を換気でき、マスク内部の温度や湿度を低減させることができるマスクを提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のマスクは、マスク本体と、前記マスク本体の左右両端部にそれぞれ形成され、前記マスク本体に縫着された連結部と、前記連結部の端部にそれぞれ設けられた装着用具と、前記マスク本体の内側に位置し、前記左右の連結部に左右端部がそれぞれ取り付けられ、少なくとも口及び鼻を覆うことができるインナーマスクと、前記マスク本体と前記連結部との境界付近に設けられた通気部と、前記通気部付近に設けられ、前記通気部が閉塞しないように、その形状を保持することができる保持具とで構成され、前記マスク本体と前記連結部の縫着部の上下方向の略中間部分付近に未縫着部が存在し、前記未縫着部が前記通気部となっており、前記インナーマスクは、その上下方向の寸法が前記マスク本体の上下方向の寸法よりも小さく形成され、前記マスク本体と前記インナーマスクとの間には間隙が形成されていることを特徴とする。
請求項2に記載のマスクの前記インナーマスクは、シート部材を収納できる収納部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、マスク本体に通気部が形成されており、かつ、インナーマスクの上下方向の寸法がマスク本体よりも小さくなっているとともに、インナーマスクとマスク本体の間に間隙を有しているため、人体から排出された息等が間隙に流れ込み、外気と換気することができる。
したがって、マスク内の温度や湿度を低減させることができる。
(2)また、通気部付近には、通気部が閉塞しないように、その形状を保持することができる保持具が設けられているため、通気部が閉塞して換気が妨げられることを防止できる。
(3)請求項2に記載の発明も前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、フィルター等を適宜収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1乃至図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図8乃至図10は本発明の第2の実施形態示す説明図である。
図1】第1の実施形態のマスクの正面図。
図2】第1の実施形態のマスクの平面図。
図3】第1の実施形態のマスクの側面図。
図4図1の4-4線断面図。
図5図1の5-5線断面図。
図6】マスクを装着した状態の説明図。
図7】マスク本体内の空気の流れを示す説明図。
図8】第2の実施形態のマスクの平面図。
図9】第2の実施形態のマスクの背面図。
図10】マスクを装着した状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は人体の鼻と口を覆うマスクである。ここでマスク本体(アウターマスク)2の「左右」及び「上下」の各用語は、図1を基準とする。また、前後方向は図3を基準に左側が前方、右側が後方とする。
【0010】
このマスク1は、マスク本体2と、前記マスク本体(アウターマスク)2の左右両端部2c、2cに対してさらに左右方向に連続して突出するようにそれぞれ形成された連結部3と、前記連結部3の端部にそれぞれ設けられかつ人の耳に引っ掛けることができる紐状の装着用具4と、前記マスク本体2の内側に位置し、前記左右の連結部3に左右端部がそれぞれ取り付けられ、少なくとも人の口及び鼻を覆うことができる断面やや「く」の字形状のインナーマスク5と、前記マスク本体2と前記連結部3との境界B付近に設けられた通気部6と、前記通気部6付近に固定され、前記通気部6が閉塞しないように、その形状を保持することができる保持具7とで構成されている。
【0011】
マスク本体2は、例えば図4で示すように、いわゆる立体型マスクのように、一対の通気性を有する布材2a、2aを外側に凸となるように縫い合わせたものである。この布材2aは、本実施形態においては多層構造となっており、通気性を有し、かつ、飛沫等の飛散を防止できるものであることが望ましい。具体的には、通気性のよいメッシュ素材、飛沫や微粒子の通過を阻害するフィルター素材、コットン、ガーゼ等を適宜重ね合わせて縫着することにより布材2a、2aを形成する。この、布材2a、2aは若干の伸縮性を有していることが望ましい。
【0012】
マスク本体2の左右端部(境界Bと略当接する部位)2c、2cには、このマスク本体2と連続するように幅広の連結部3が設けられている。この連結部3は、本実施形態においてはマスク本体2と別体で形成され、マスク本体2に縫着されているが、マスク本体2と一体に形成してもよい。
【0013】
マスク本体2と連結部3との境界B付近、本実施形態においては、マスク本体2と連結部3の縫着部には、マスク本体2の内部の温度、湿度を軽減させるための換気ができる開口状の通気部6が形成されている。具体的には、マスク本体2と連結部3は縫着されているが、その縫着部の上下方向の略中間部分付近には、未縫着部が存在しており、この未縫着部が通気部6となっている。
【0014】
また、この通気部6を形成するために、マスク本体2の左右端部にそれぞれ、上下方向に所定間隔を有して一対のタック部2bを形成し、このタック部2bの上下部(タック部2bを除く部位)を前記連結部3と縫着している。なお、タック部2bは、布材2aを前方に折り返して形成している。
【0015】
このようにマスク本体2と連結部3を縫着することにより、上下のタック部2bの間に開口状の通気部6が形成される。
また、この通気部6付近には、この通気部6の開口状態を保持するための保持具7が設けられている。
【0016】
この保持具7は、例えばハット形等に折り曲げられたワイヤー等が用いられており、樹脂、金属、繊維等の一定の形状を保持できる材質で形成されている。本実施形態においては、この保持具7は通気部6付近のマスク本体2の内部に固定されている。なお、通気部6の開口状態を維持できるものであれば、その形状や材質、取付状態はどのようなものでもよい。
【0017】
装着用具4は左右の連結部3の端部にそれぞれ取り付けられており、本実施形態においては、ループ状になるように一対のゴム紐4が溶着、縫着等の手段でそれぞれ取り付けられている。使用時にはこの一対のゴム紐4を左右の耳にかけて鼻と口をインナーマスク5及びマスク本体2で覆うように装着する。
【0018】
マスク本体2の内側(後方側)には、間隙Gを有してインナーマスク5が設けられており、このインナーマスク5の両端部は、それぞれ左右の連結部3に固定されている。すなわち、インナーマスク5の両端部は通気部6よりも外側(マスク本体2よりも連結部3側)に位置している。ところで、このインナーマスク5の縫着部分にガーゼやコットン等の当て布を設け、肌触り等を向上させても良い。
【0019】
このインナーマスク5は、略方形状で通気性を有する布材で、人体の口や鼻を略当接状態で覆うことができるように取り付けられている。その上下方向の寸法は、マスク本体2の上下方向の寸法よりも小さく、かつ、左右方向の寸法は連結部3の左右端部よりも内側になるように形成されている。このような寸法とすることで、インナーマスク5を通過した空気(息)だけではなく、インナーマスク5と顔表面との僅かな隙間(息を吐くことによりインナーマスク5がたわんで生じる隙間等)から流出した空気もマスク本体2の内側へ流れる。
【0020】
また、外気を吸引する場合についても、インナーマスク5の上下方向の寸法がマスク本体2よりも小さいため、マスク本体2の外周部は顔表面と密着状態であり、マスク本体2を通過又は通気部6を通過したものがマスク本体2とインナーマスク5の間の間隙Gへ流入し、その後インナーマスク5を通過して口又は鼻に吸引される。これにより、外気に混在する飛沫等が直接インナーマスク5の中に流入することを防止できる。
付言すると、通気部6を通過する空気については外気と同様の飛沫等を含む可能性があるが、息を吸う際にはインナーマスク5内部が負圧となり、インナーマスク5が顔表面とぴったり密着するため、口や鼻から吸引される空気はインナーマスク5を通過し、飛沫等が確実に除去される。
【0021】
インナーマスク5の素材としては、マスク本体2と同様に、通気性を有するとともに飛沫等の通過を阻止できるものであることが望ましく、マスク本体2と同様に、複数の素材を積層させて形成してもよい。
【0022】
また、本実施形態においてインナーマスク5は、上部が開口した袋状(ポケット状)の収納部8が形成されており、この収納部8には、例えばフィルター等のシート部材9を収納することができるように形成されている。
【0023】
使用時には、インナーマスク5が鼻及び口を覆えるようにマスク本体2を配置するとともに、ゴム紐4をそれぞれ左右の耳に引っ掛けることにより装着する。
この状態において呼吸をすると、インナーマスク5を透過した息やインナーマスク5の上下部分等から漏れた息は、インナーマスク5とマスク本体2の間の間隙Gに流れる。ここで、この間隙G内の空気は通気部6を介して外方へ排出されるため、マスク本体2の内部の温度や湿度を適切に保つことができる。
【0024】
また、この通気部6がマスク本体の両端部付近に形成され、かつ、その内側を覆うようにインナーマスク5が設けられている(通気部6の裏側部分にインナーマスク5の両端部が前後方向に重なるように位置している)ため、口や鼻が直接外気に触れることがなく、マスク本体2の内部の温度や湿度を適切に保ちつつ、マスクによる飛沫遮蔽効果等を適切に得ることができる。
【0025】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8乃至図10に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0026】
図8乃至図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、左右の連結部3の端部にそれぞれ固定された一対の紐状部材10と、この紐状部材10の端部にそれぞれ設けられた接続具11とで構成される装着用具4Aを用いた点で、このようなマスク1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0027】
このマスク1Aを使用する場合には、接続具11をそれぞれ両手でつまんで、インナーマスク5で鼻及び口を覆い、接続具11を後頭部付近で接続固定して装着する。なお、この接続具11は、任意のジョイント等を用いることができる。また、この接続具11又は紐状部材10には、マスク1Aを顔にぴったりフィットさせるために紐状部材10の長さを調節できる長さ調節手段を有することが望ましく、紐状部材10自体にも伸縮性を有することが望ましい。
【0028】
なお、本発明の実施形態においては、装着用具として、耳にかけるゴム紐状の部材や、後頭部付近でジョイントを接続することにより装着するものについて説明したが、その他、マスクを装着するために使用される公知の装着用具を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明はマスクを製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0030】
1、1A:マスク、 2:マスク本体、
3:連結部、 4、4A:装着用具、
5:インナーマスク、 6:通気部、
7:保持具、 8:収納部、
9:シート部材、 10:紐状部材、
11:接続具、 B:境界、
G:間隙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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