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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】レクテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/26 20060101AFI20240403BHJP
   H02J 50/27 20160101ALI20240403BHJP
【FI】
H01Q9/26
H02J50/27
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020137485
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2021118536
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2020008813
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「IoE 社会のエネルギーシステム」委託研究(管理法人:JST)、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】伊東 健治
(72)【発明者】
【氏名】野口 啓介
(72)【発明者】
【氏名】坂井 尚貴
(72)【発明者】
【氏名】麦谷 彰彦
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0379134(US,A1)
【文献】特開2011-120303(JP,A)
【文献】特開2005-006345(JP,A)
【文献】特開2015-092802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/26
H02J 50/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の面に形成した主素子と、前記主素子から折り返し配置した一対の第1素子及び第2素子を有し、
前記第1素子と第2素子にアンテナ給電点を形成してあり、
前記基板の他方の面に形成し、前記第1素子に対向配置された第1給電線路と前記第2素子に対向配置された第2給電線路とを有し、
前記第1給電線路と前記第2給電線路は、前記アンテナ給電点に概ね対向する位置に整流器給電点を有することを特徴とするレクテナ装置。
【請求項2】
基板の一方の面に第1素子と第2素子とを左右対称、直線状に配置し、前記第1素子と第2素子にアンテナ給電点を形成してあり、
前記基板の他方の面に前記第1素子に対向配置した第1給電線路と前記第2素子に対向配置された第2給電線路を有し、
前記第1給電線路と前記第2給電線路は前記アンテナ給電点に概ね対向する位置に整流器給電点を有することを特徴とするレクテナ装置。
【請求項3】
前記第1給電線路及び第2給電線路は、それぞれ第1インダクタと第2インダクタが挿入され、
前記アンテナ給電点と整流器給電点の間にそれぞれ第1容量性スタブと第2容量性スタブを有していることを特徴とする請求項1又は2記載のレクテナ装置。
【請求項4】
前記第1素子と第2素子の一対のアンテナ給電点の間又は前記第1給電線路と第2給電線路の一対の整流器給電点の間に並列インダクタが挿入されていることを特徴とする請求項1又は2記載のレクテナ装置。
【請求項5】
前記第1給電線路と第2給電線路はそれぞれ第1インダクタと第2インダクタが挿入されていることを特徴とする請求項1記載のレクテナ装置。
【請求項6】
前記主素子又は前記第1素子と第2素子の中心に対してその左右の一方を、地導体として形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のレクテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナと整流器の複合デバイスであるレクテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリッジ型の整流器を用いるレクテナの構成例として非特許文献1,2に開示する例を図26に示す。
レクテナは高周波の受電電力を直流電力に変換する機能を有し、アンテナ部分と整流器と有している。
図26の上側に示した回路図は、整流用ダイオードにDCブロック,整合回路を有すると共にダイオードの容量をキャンセルするためにインダクタを接続してある。
また、ダイオードから発生する高調波を反射し、ダイオードに戻す高調波反射回路を有する。
【0003】
図26の下段側に示した回路図は、高インピーダンスの折り返しダイポールアンテナを用いた例で有り、ブリッジダイオードをアンテナインピーダンスに整合させるためにL形LPF(ローパスフィルター)を用い、高周波で開放となるようにしてあるとともに、DCブロックを用いてアンテナへの直流電流の漏洩を抑制してある。
しかし、この回路では高調波反射機能が不充分であり、DCカットやローパスフィルタのチップコンデンサやチップインダクタによる損失も認められた。
そこで本発明は、これらを改善すべく、なされたものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「High Efficient Bridge Rectifiers in 100 MHz and 2.4 GHz bands」 , Motoki ITO , kenji ITOH 他 , 2014 IEEE wireless Power Transfer Conference , p64-67
【文献】「直接整合による2.4GHz帯高効率レクテナの検討」,廣野 敦哉,伊東 健治 他,信学技報,vol.119,no.135,WPT2019-22,P.1-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、無線電力伝送において、さらなる高効率化を図ったレクテナ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレクテナ装置は、基板の一方の面に形成した主素子と、前記主素子から折り返し配置した一対の第1素子及び第2素子を有し、前記第1素子と第2素子にアンテナ給電点を形成してあり、前記基板の他方の面に形成し、前記第1素子に対向配置された第1給電線路と前記第2素子に対向配置された第2給電線路とを有し、前記第1給電線路と前記第2給電線路は、前記アンテナ給電点に概ね対向する位置に整流器給電点を有することを特徴とする。
ここで、アンテナ給電点と整流器給電点とが概ね対向する位置と表現したのは、必ずしも厳密に対向している必要はなく、電気的作用上、許容される範囲で相互にずれていてもよい趣旨である。
あるいは整合のため、リアクタンス挿入のため、設計上オフセットさせる場合もあってもよい。
【0007】
上記発明は、主素子から第1素子と第2素子とを折り返した、いわゆる折り返しダイポールアンテナとして構成したものであるが、本発明はダイポールアンテナとして、基板の一方の面に第1素子と第2素子とを左右対称、直線状に配置し、前記第1素子と第2素子にアンテナ給電点を形成してあり、前記基板の他方の面に前記第1素子に対向配置した第1給電線路と前記第2素子に対向配置された第2給電線路を有し、前記第1給電線路と前記第2給電線路は前記アンテナ給電点に概ね対向する位置に整流器給電点を有するようにしてもよい。
【0008】
このようにすると、第1素子と第2素子とがそれぞれ第1給電線路及び第2給電線路に基板表裏で概ね対向しているので、直流的には接続されず、DCカットと同様の効果を有する。
さらに具体的に説明すると、第1素子と第1給電線路で構成される伝送線路と、第2素子と第2給電線路で構成される伝送線路は、概ね電気長90度に設計され、アンテナ給電点と整流器給電点の間は概ね短絡となり、低損失に接続することができる。
このようなDCカット構造は、低損失な分布定数線路となるのでアンテナ効率の低下を防ぐ。
【0009】
本発明においては、さらに前記第1給電線路及び第2給電線路は、それぞれ第1インダクタと第2インダクタが挿入され、前記アンテナ給電点と整流器給電点の間にそれぞれ第1容量性スタブと第2容量性スタブを有するようにするのが好ましい。
【0010】
このようにすると、第3高調波の周波数は整流器から見て開放端となり、高調波反射回路と同様の動作となる。
一方、所望の動作周波数において、前記第1インダクタを挿入した前記第1給電線路と、前記第2インダクタを挿入した前記第2給電線路を整流器給電点とアンテナ給電点の間が短絡となるように設計することで、低損失に接続することができる。
【0011】
また、本発明においては、第1素子と第2素子の一対のアンテナ給電点の間又は前記第1給電線路と第2給電線路の一対の整流器給電点の間に並列インダクタが挿入されていてもよい。
本発明においては、前記主素子又は前記第1素子と第2素子の中心に対してその左右の一方を、地導体として形成されているようにすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るレクテナ装置は、高インピーダンス動作により整流器の高電圧駆動が可能で、高効率動作が可能になる。
例えば、次のような作用効果を有している。
(1)折り返しダイポールアンテナあるいはダイポールアンテナの給電部を1/4波長スタブを用いた電磁界結合とし、DCカットをアンテナ給電部に実装した分布定数回路となるので、ほぼ無損失である。
(2)第1及び第2給電線路にインダクタを挿入し、整流器給電点とアンテナ給電点の間に分布定数による容量を接続した場合に、第3高調波周波数で並列共振させ、開放とすることができる。
これにより、第3高調波反射回路を低損失に実現できる。
(3)折り返しダイポールアンテナは、短絡点位置を給電点に近づけた誘導性折り返しダイポールアンテナであってもよく、同様の効果を奏する。
(4)折り返しダイポールアンテナは、2導体や3導体あるいはN(整数)導体であってもよく、いずれに対しても効果を奏する。
(5)折り返しダイポールアンテナ又はダイポールアンテナの中心に対して、その一方の、片側の素子を地導体とするモノポールアンテナ形状であってもよく、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るレクテナの実施例1を(a)~(c)に示し、比較例を(d)に示す。(a)は基板の表面、(b)は基板の裏面を示し(c)は給電点に位置する基板の断面図を示す。比較例(d)は基板の表面にのみ形成した従来の折り返しダイポールアンテナである。
図2】スミスチャートに示したインピーダンスの計算例を示し、(a)は実施例1、(b)は比較例を示す。
図3】実施例2の構成例を示し、(a)は基板の表面、(b)は裏面を示す。
図4】(a)はスミスチャートに示した実施例2のインピーダンスの計算例を示し、(b)はアンテナ効率の比較例を示す。グラフ中、本発明の構成(2)は実施例2に相当し、従来の構成[1]は図19に示したLPFを用いた例、従来の構成[2]は、非特許文献2に開示する直接接合の例である。
図5】実施例2における等価回路の説明図である。
図6図5の等価回路におけるインピーダンスの計算例を示し、(a)は、インピーダンスA、(b)はインピーダンスBである。
図7】実施例3を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図8】実施例3のスミスチャートに示したインピーダンスの計算例を示す。
図9】実施例4を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図10】実施例4のスミスチャートに示したインピーダンスの計算例を示す。
図11】実施例5を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図12】実施例6を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図13】実施例7を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図14】実施例8を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図15】実施例9を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図16】実施例10を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図17】実施例11を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図18】実施例12を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図19】実施例13を示す。
図20】実施例14を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図21】実施例13又は14のスミスチャートに示したインピーダンスの計算例を示す。
図22】実施例15を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図23】実施例16を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図24】実施例17を示す。(a)は基板の表面、(b)は裏面である。
図25】実施例17の等価回路を示す。
図26】レクテナの従来の回路図の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るレクテナ装置の例として、アンテナ部分をブリッジ型の整流器に直接接合した例で説明するが、整流器の構成としてはダイオード1つのシングルシャット型,ダイオード2つの倍電圧型、あるいはコッククロフト・ウォルトン型等、いろいろなものを採用できる。
図1、(a)~(c)に実施例1を示し、(a)は基板の表面、(b)は基板の裏面を示し(c)は給電点に位置する基板の断面図を示す。
本発明の特徴を明確にするために、従来の折り返しダイポールアンテナを比較例として図1(d)に示した。
比較例は主素子10の両端から折り返した第1素子11、第2素子12を有し、主素子10(概ね自由空間で1/2波長)を励振し、アンテナ動作する。
このときのアンテナ給電点をA,Aに示す。
本実施例1では、基板1の一方の面である表面に主素子10の両側から短絡点11a、12aを介して折り返した第1素子11、第2素子12に対向して基板1の他方の面である裏面にそれぞれ、第1給電線路21,第2給電線路22を形成し、整流器給電点P,Pを有する。
第1給電線路21、第2給電線路22は基板上で第1素子11、第2素子12と対向し、伝送線路を構成していて、概ね基板上で1/4波長の長さを有する。
第1給電線路21と第2給電線路22は先端開放スタブとして動作し、基板表裏の整流器給電点とアンテナ給電点は短絡し、接続される。
ここで、第1給電線路21と第2給電線路22は第1素子11、第2素子12に基板表裏で対向しているので、直流的には接続されず、DCカットと同様の効果を有する。
このDCカット構造は低損失な分布定数線路で構成され、アンテナ効率の低下を招かず、レクテナの高効率化に資する。
図2にスミスチャートを示し、(a)は実施例1、(b)は比較例を示す。
(a)、(b)に矢印で示した値は2.4GHzに対応し、約500Ωにて共に整合していることがわかる。
【0015】
図3に示した実施例2は、次のような構成になっている。
本実施例2は先の実施例1において、第1給電線路21、第2給電線路22にそれぞれ第1インダクタ21c、第2インダクタ22cを挿入し、さらに整流器給電点P,Pとアンテナ給電点A,Aの間に第1容量性スタブ(21b、11b)、第2容量性スタブ(22b、12b)を挿入している。
ここで、第1容量性スタブ(21b、11b)、第2容量性スタブ(22b、12b)はそれぞれ基板の表裏のパターンで構成されている。
第1インダクタ21c、第2インダクタ22cを挿入した第1給電線路21、第2給電線路22は、動作周波数で概ね90°の電気長(1/4波長に相当)となるよう設計される。
第3高調波の周波数では、第1インダクタ21c、第2インダクタ22cが呈するリアクタンスは基本波周波数の3倍となる。
第1インダクタ21c、第2インダクタ22cと給電点の間が第3高調波周波数で概ね1波長であれば、第3高調波周波数での給電点から第1給電線路21、第2給電線路22をみたインピーダンスは誘導性(L)となる。
これと並列接続となるよう容量性スタブを挿入すると、並列共振し、開放となる。
従い、第3高調波の周波数では、整流器からみて開放端となり、高調波反射回路と同様の動作となる。
基本波での給電点は短絡なので、容量性スタブは作用しないので、動作周波数(基本波周波数)では短絡となり、実施例1と同じ動作となる。
また、このDCカット構造、高調波反射構造は分布定数線路で構成されているので低損失である。
図4(a)にスミスチャートを示し、矢印で示したm1は2.4GHz(500Ω、VSWR<2)、m2は7.2GHz(約2kΩ)に相当する。
図4(b)にアンテナ効率を比較したグラフを示し、本発明の構成(2)は実施例2に相当し、従来の構成[1]は図19に示したLPFを用いた例、従来の構成[2]は、非特許文献2に開示する直接接合の例である。
このグラフからも本発明に係るレクテナ装置はアンテナ効率が向上していることがわかる。
【0016】
図5に実施例2の回路図の等価回路を示し、図6(a)にインピーダンスA、(b)に給電点から見たインピーダンスBを参考に示す。
【0017】
図7に実施例3を示す。
本実施例は実施例1における短絡点を主素子10の端部から内側に移動させた短絡点111a、112aとした例である。
この場合、容量性のインピーダンスを呈する整流器との直接接合が可能となる。
図8にスミスチャートによる説明図を示す。
【0018】
図9に実施例4を示し、本実施例は実施例2における短絡点を主素子10の端部から内側に移動させた短絡点111a、112aとした例である。
そのインピーダンスの計算例を図10に示す。
【0019】
図11に実施例5を示す。
本実施例は実施例1に示したアンテナが2導体で構成されていたのに対して第2主素子10aを形成し3導体とした例である。
図12に示した実施例6は実施例2に対して3導体とした例である。
これらは給電線路に変化がなく、同様の動作を示し、導体の数に制限はない。
【0020】
図13に実施例7、図14に実施例8を示す。
これらは、実施例1,2の半分を地導体13とし、その鏡像により動作させるモノポールアンテナ構造にした例である。
【0021】
次に、本発明を第1素子と第2素子とを左右対称となるように、概ね直線状に配置したダイポールアンテナに適用した例を説明する。
図15は実施例9を示し、図1に示した実施例1の折り返しダイポールアンテナ構造の替わりに、基板1の表面に直線状のエレメントとして第1素子11Aと第2素子12Aとを左右対称に配置し、中央側にアンテナ給電点A,Aを形成し、基板の裏面側に実施例1と同様に第1給電線路21,第2給電線路22を形成したものである。
この場合も表面のアンテナ給電点A,Aにそれぞれ対向するように裏面側の第1給電線路21と第2給電線路22とに整流器給電点P,Pを有している。
【0022】
図16は、実施例10を示す。
本実施例は、図3に示した実施例2の折り返しダイポールアンテナの替わりに、第1素子11Aと第2素子12Aとからなるダイポールアンテナとしたものであり、実施例2と同様に第1給電線路21,第2給電線路22にそれぞれ第1インダクタ21c,第2インダクタ22cを挿入し、アンテナ給電点A,Aと整流器給電点P,Pとの間に容量性スタブを挿入した例である。
図17は、実施例11,図18は実施例12を示し、それぞれ図15図16のうち半分を地導体13としたものである。
なお、この場合には第2給電線路は地導体13へのスルーホール接続であってもよい。
【0023】
図19は実施例13を示し、図20は実施例14を示す。
図21は、実施例13又は14のスミスチャートに示したインピーダンスの計算例を示す。
実施例13はアンテナ給電点側に並列インダクタ14を設けたものであり、実施例14は整流器給電点側に並列インダクタ23を設けた例を示す。
本実施例は、図7に示した実施例3に並列インダクタを追加したものである。
実施例3は、誘導性のアンテナインピーダンス特性を有するようにしたものであり、容量性のインピーダンスを呈する整流器との直接整合が可能となるものの、図21に示すように放射特性との兼ね合いから短絡点に近い部分まで実現できてなかったが、並列のインダクタを設けることで可能になる。
【0024】
図22は実施例15を示し、図23は実施例16を示す。
本実施例は、ダイポールアンテナに並列インダクタ14又は23を設けた例である。
ダイポールアンテナの場合は、素子長,幅の設定により、ある程度の範囲のインビーダンスは実現できるが、並列インダクタを挿入することで、より広い範囲で実現できるとともに低損失である。
【0025】
図24は、実施例17を示す。
本実施例は、図1に示した実施例1の構成に対して第1給電線路21,第2給電線路22にそれぞれインダクタ21c,22cを挿入した例である。
その等価回路を図25に示す。
インダクタを挿入した給電線路は、動作周波数で概ね90°の電気長(1/4波長に相当)となるよう設計される。
図25(a)では87度で概ね90度であり、動作周波数で短絡となる。
第3高調波の周波数では、動作周波数と比較し線路の電気長が3倍、インダクタが呈するリアクタンスも3倍となり、線路の全電気長も概ね270度となる(図では261度)。
インダクタの値と挿入位置を動作周波数で短絡、第3高調波の周波数で開放となるよう設計することができる。
スミスチャートにその様子を示す。
動作周波数では給電点とアンテナ給電点は接続され、第3高調波の周波数で開放となる。
第3高調波の周波数では、整流器からみて開放端となり、高調波反射回路と同様の動作となる。
この構成は、折り返しダイポールアンテナ、ダイポールアンテナ、モノポール形状のアンテナの何れにも適用でき、また並列インダクタの接続も可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19
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図22
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