(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】心臓シミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
G09B 23/30 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G09B23/30
(21)【出願番号】P 2021514547
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 US2019052207
(87)【国際公開番号】W WO2020061483
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518292265
【氏名又は名称】メンティス アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】Mentice AB
【住所又は居所原語表記】Odinsgatan 10, 411 03 Goteborg, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】サダジヴァン、チャンドラモウリ
(72)【発明者】
【氏名】リベール、バーチ、ビィ.
(72)【発明者】
【氏名】コヴァロビック、ブランドン、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】アベジャー、ルイ、イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウー、ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】カルソン、デイヴィッド、ジェフリィ
(72)【発明者】
【氏名】フィオレラ、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ロメオ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バンチ、ギャリー
(72)【発明者】
【氏名】ケペラー、カール
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-531838(JP,A)
【文献】特開2016-002438(JP,A)
【文献】特開2013-257563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/28-34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステムであって
、
制御ユニットを有し、前記制御ユニットは:
空気圧流体を、生成しまたは前記システムを通って移動させるように構成された空気圧フィードバック回路と;油圧流体を、前記システムを通って移動させるように構成された油圧フィードバック回路と;に動作可能に結合さ
れ、
前記空気圧フィードバック回路または前記油圧フィードバック回路は、心臓シミュレータモジュールに動作可能に接続され、コンピュータベースの前記制御ユニットは、前記システム内に配置されたセンサから得られたデータを受信または処理し、そして前記心臓シミュレータモジュールの少なくとも1つの要素を、前記受信または処理された前記データに基づいて機能させるように構成され
、
前記システム内に配置される少なくとも1つのセンサは、前記空気圧フィードバック回路の1つまたは複数のパラメータの変化を検出または応答するように
構築されそして配置され;
前記システム内に配置される少なくとも1つのセンサは、前記油圧フィードバック回路の1つまたは複数のパラメータの変化を検出または応答するように
構築されそして配置され;
空気圧加圧用に
構築されそして配置される、前記心臓シミュレータモジュールは、心臓の左側
の解剖学的構造および選択肢として前記心臓の右側の解剖学的構造を表す複数のチャンバを含み
、前記複数のチャンバのそれぞれは当該チャンバを取り囲む壁により画定され、前記複数のチャンバの少なくとも1つのチャンバの前記壁は、空気圧流体を受容するように構築されそして配置された、当該チャンバを取り囲む前記壁内の空洞を有し、前記空洞は前記壁を内側壁と外側壁に分離し、そして前記内側壁は、血液模擬流体が前記チャンバ内にある時に外側に拡張して前記空洞をつぶすことを防止するために所望の強度を有し、しかし前記内側壁は加圧された前記空気圧流体が前記空洞内に押し込まれる時に内側につぶれ、それにより前記血液模擬流体を前記チャンバから押し出し;
前記制御ユニットは、正常または疾患状態の心臓血管系の生理学的に正確な表現を提供し、それにより、1つまたは複数の動作パラメータが、手動調整を必要とせずに自動的に制御される、
ことを特徴とする、ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記心臓シミュレータモジュールは4つのチャンバを有し、
ここで
1つのチャンバは左心房を表し、
1つの第2のチャンバは左心室を表し、
1つの第3のチャンバは右心房を表し、
1つの第4のチャンバは右心室を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記左心房チャンバが
前記壁内
に前記空洞を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記左心室チャンバが
前記壁内
に前記空洞を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記右心房チャンバが
前記壁内
に前記空洞を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記右心室チャンバが
前記壁内
に前記空洞を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記心臓シミュレータモジュールが軟質プラスチック材料でできている、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記心臓の前記左側または前記心臓の前記右側を表す前記複数のチャンバの少なくとも1つのチャンバに空気圧で接続された空気圧モジュールをさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記空気圧モジュールが、
前記心臓の前記左側または前記心臓の前記右側を表す前記複数のチャンバの少なくとも1つのチャンバに圧縮空気を提供するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項10】
前記システム内の
前記血液模擬流体の流量を調整するように構成された少なくとも1つの抵抗弁をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの抵抗弁が電気的に調整可能な流体抵抗弁である、ことを特徴とする請求項
10に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項12】
前記制御ユニットは、前記システム内の加圧空気の生成のタイミングまたは速度を制御するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項13】
前記空気圧回路または前記油圧回路は、血管系システムモジュールにさらにリンクされ、そして前記心臓システムモジュールの少なくとも一部に流体的に接続され、ここで前記血管系システムモジュールは、ヒトまたは他の哺乳動物の動脈または静脈の特性を有するように適合される、少なくとも1つのチューブを有する、ことを特徴とする請求項
1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項14】
頭部モジュールをさらに有し、前記頭部モジュールは、ゲル状材料の中に懸架され、そして前記心臓システムモジュールまたは前記血管系システムモジュールに流体接続された複数のチューブを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項15】
前記頭部モジュールに入る前記
血液模擬流体の流量を調整するように
構築されそして配置される少なくとも1つの抵抗弁をさらに有する、ことを特徴とする請求項
14に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項16】
頭部領域に関連しない
前記血液模擬流体の体積流量を電気信号に変換するように
構築されそして配置された少なくとも1つの流量計、または前記頭部領域に関連する
前記血液模擬流体の体積流量を電気信号に変換するように
構築されそして配置された少なくとも1つの流量計をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項17】
加圧または圧縮空気を供給するように
構築されそして配置される、空気圧供給装置をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項18】
前記血液模擬流体をその中に受け入れるように
構築されそして配置された流体リザーバをさらに備える、ことを特徴とする、請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項19】
前記血液模擬流体を加熱するように
構築されそして配置された加熱装置をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項20】
前記制御ユニットに動作可能に接続されたコンピュータをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項21】
前記コンピュータが前記制御ユニットに無線でリンクされている、ことを特徴とする請求項
20に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項22】
前記
右および左心房チャンバは、患者の
右および左心房を解剖学的にモデル化している、ことを特徴とする請求項2に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項23】
前記
右および左心室チャンバは、患者の
右および左心室を解剖学的にモデル化している、ことを特徴とする請求項2に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項24】
調整可能な周辺器官/システムシミュレータモジュールをさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項25】
ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステムであって:
制御ユニットを有し、前記制御ユニットは:
空気圧流体または油圧流体を生成しまたは前記システムを通って移動させるように構成され、
コンピュータベースの前記制御ユニットは、前記システム内に配置されたセンサから得られたデータを受信または処理し、そして
心臓シミュレータモジュールの少なくとも1つの要素を、前記受信または処理されたデータに基づいて機能させるように構成され
、
前記システム内に配置される少なくとも1つのセンサは、前記空気圧フィードバック回路の1つまたは複数のパラメータの変化を検出または応答するように構成され;
前記システム内に配置される少なくとも1つのセンサは、前記油圧フィードバック回路の1つまたは複数のパラメータの変化を検出または応答するように構成され;
前記心臓シミュレータモジュールは、心臓の解剖学的
チャンバ、左心房、左心室、右心房および右心室を表す複数のチャンバ、
を有し、各前記チャンバは当該チャンバを取り囲む壁を有し、前記壁は第1の流体が1つのチャンバから他の1つのチャンバに移動するのを許容し、または前記第1の流体が前記チャンバ内に留まることを許容する、ように構築されそして配置され、前記複数のチャンバの少なくとも1つのチャンバでは、前記壁が当該チャンバを取り囲む前記壁内の空洞を有し、前記空洞は第2の空気圧流体を受容するように構築されそして配置され、前記空洞は前記壁を内側壁と外側壁に分離し、そして前記内側壁は、前記第1の流体が前記チャンバ内にある時に外側に拡張して前記空洞をつぶすことを防止するために所望の強度を有し、しかし前記内側壁は加圧された前記第2の空気圧流体が前記空洞内に押し込まれる時に内側につぶれ、それにより前記第1の流体を前記チャンバから押し出し;
前記システムは、血管系モジュールであって、前記ヒトまたは他の哺乳動物の動脈または静脈の特性を有するように適応され、そして前記心臓シミュレータモジュールの少なくとも一部に流体接続する少なくとも1つの管を備える、血管系モジュールを有し;
前記制御ユニットは、正常または疾患状態の心臓血管系の生理学的に正確な表現を提供し、それにより、1つまたは複数の動作パラメータが、手動調整を必要とせずに自動的に制御される、
ことを特徴とする、ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項26】
前記心臓の前記左側または選択肢として前記心臓の前記右側、を表す前記チャンバは患者を解剖学的にモデル化している、ことを特徴とする、請求項1に記載の、ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項27】
血液の1つまたはそれ以上の特性を有する前記第1の流体をさらに備える、ことを特徴とする、請求項25に記載の、ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項28】
前記複数のチャンバの少なくとも1つのチャンバは一方向弁を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の、ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【請求項29】
前記複数のチャンバの少なくとも1つのチャンバは一方向弁を有する、ことを特徴とする、請求項25に記載の、ヒトまたは他の哺乳動物の心臓血管系をシミュレートするための心臓血管シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外科シミュレーションシステム;訓練および医療機器テスト用の解剖学的に正確な心臓シミュレータを含む、正常および病状の心臓血管系の機能をシミュレートするための装置およびシステム;そしてより具体的には、センサおよび他の制御メカニズムを使用してシステムの油圧および/または空気圧要素を自動的に調整して生理学的に代表的な圧力および流量プロファイルを達成する、正常および病状の心臓機能をシミュレートするための装置およびシステム;に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓血管疾患、心臓と血管系に影響を与える疾患、および血管疾患、循環器系に影響を与える疾患は、世界中の何百万もの個人に影響を与える一般的な病状である。血管系疾患は、特定の場所で動脈壁が弱くなる、変形する、または硬化することで現れることがあるが、そのような病状は人体のすべての臓器に影響を及ぼす。長期の血管系疾患状態に関連するリスクを軽減または最小化するためのいくつかのオプションが存在する。重症度に応じて、ライフスタイルの変更、つまり食事療法や運動量の増加、または薬物の使用が役立つ場合がある。他の選択肢が機能しない状況や病気がひどい状況では、外科的介入が依然として主要な治療ツールである。従来の外科的処置は着実に、より低侵襲の血管内技術に置き換えられており、血管内技術におけるそのような低侵襲の進歩は、外科医が血管疾患を治療する方法を変えている。
【0003】
血管外科手術はこれまで以上に安全であるが、複雑な血管外科手術は患者に巻き添え被害をもたらす可能性がある。リスクのない手術はないが、外科医とそのチームのスキルのレベル、および外科手術を行う際の予期しない驚きを最小限に抑える能力は、患者の合併症や死亡を防ぐために最も重要である。多数の血管疾患手術を行った経験豊富な外科医は、経験の少ない外科医よりも合併症が少なく、そのような外科手術を完了する可能性がはるかに高い。そのような経験は多くの手順を訓練して実行することによって得られるが、利用可能な外科的手順の数は制限要因である。したがって、すべての外科医が、行われる手技のリスクを最小限に抑えるスキルレベルを取得するために必要な数の外科的手技を実行する同じ機会を持つわけではない。さらに、新しい手順が開発されると、上級外科医は必要な経験を得るのが難しいと感じうる。
【0004】
様々な外科的処置を実践するための訓練装置は、スキルを向上させるために外科医によって使用されており、当技術分野で知られている。例えば、米国特許第8,016,598号(特許文献1)、米国特許第7,976,313号(特許文献2)、および米国特許第7,976,312号(特許文献3)は、患者ケアを教えるための患者シミュレータシステムを記載している。米国特許第7,798,815号(特許文献4)は、心臓外科訓練環境における心臓の鼓動をシミュレートするための電気機械的ポンピングシステムを開示している。米国特許第7,866,983号(特許文献5)は、外科技術を教育、実践、および評価するための外科シミュレータを開示している。シミュレータは、使い捨て可能な臓器、血管、および組織のカセットを含むと記載されている。
【0005】
米国特許第7,083,418号(特許文献6)は、外科的および/または医学的技術を教育または説明するためのモデルを開示している。このシステムは、組織または器官を表す基本構成要素と、基本構成要素および/または相互に結合可能および取り外し可能であるように構造化および配置された、いくつかの構成要素を有し、外科的および/または医療技術の異なる段階を表す、構成要素の互いに対する異なる位置を示す。
【0006】
米国特許第7,063,942号(特許文献7)は、血行力学的シミュレーションのためのシステムを開示している。このシステムは、血管の特性を有する管、ある量の流体を含むリザーバ、血管とリザーバを接続するチューブ、およびシステム内で流体を循環させるための少なくとも1つのポンプを含むと記載されている。
【0007】
米国特許第6,843,145号(特許文献8)は、動的心室をシミュレートするための心臓ファントムを開示している。ファントムは、膜の壁の間の閉じた空間を定義する、同心円状に配置された、液密で柔軟な2つの膜を含むと記載されている。
【0008】
米国特許第6,685,481号(特許文献9)は、心臓手術および他の同様の手順のための訓練装置を開示している。この装置は、心臓モデルなどの器官モデル、対応する自然器官と同様の動きをモデルに与えるように適合されたアニメーションネットワーク、およびアニメーションネットワークの動作を制御するために使用される制御装置を含むものとして記載される。心臓モデルは、心筋をシミュレートする内側のキャストと心膜をシミュレートする外側のシェルの2つのセクションで構成されていると記載されている。
【0009】
米国特許第5,052,934号(特許文献10)は、人工弁および心臓超音波手順の評価のためのファントムとして機能する装置を開示し、血液模倣流体の制御された拍動流が、マルチチャンバ領域を通過し、そこには僧帽弁および大動脈弁および調節可能に配置可能な超音波変換器が取り付けられている。
【0010】
そのような訓練装置は当技術分野で知られているが、本発明に従って機能する正常および病状の心臓血管系をシミュレートするための装置およびシステムは、そのような従来技術の装置よりも生理学的に正しい訓練ツールを提供し、1つの自動調整を提供する。そのような訓練装置は当技術分野で知られているが、本発明に従って機能する正常および病状の心臓血管系をシミュレートするための装置およびシステムは、そのような従来技術の装置よりも生理学的に正しい訓練ツールを提供し、1つの自動調整を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第8,016,598号
【文献】米国特許第7,976,313号
【文献】米国特許第7,976,312号
【文献】米国特許第7,798,815号
【文献】米国特許第7,866,983号
【文献】米国特許第7,083,418号
【文献】米国特許第7,063,942号
【文献】米国特許第6,843,145号
【文献】米国特許第6,685,481号
【文献】米国特許第5,052,934号
【発明の概要】
【0012】
本発明は、訓練および医療機器試験のための、解剖学的に正確な要素、すなわち心臓(心臓)および血管系(血管)を含む、正常および病状の心臓および血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを記載する。システムと装置は、空気圧で加圧されたチャンバを使用して、心室と心房の収縮を生成する。駆動は、加圧空気を介して空気圧で駆動されるものとして仕様全体で記載されているが、駆動は、加圧液体の使用、または加圧空気と加圧液体の組み合わせなどの他のメカニズムを介して達成することもできる。このシステムは、合成または天然の僧帽弁と大動脈弁の相互作用と組み合わせて、拍動流のより正確な体積分率と圧力勾配を生成するポンプ作用を生成するように設計されており、人間の心臓のそれを複製する。本システムはさらに、1つまたは複数のセンサまたはメータを使用して、システムの1つまたは複数の特性を監視および/または変更する。たとえば、さまざまなセンサを使用して、必要に応じて収縮期および/または拡張期の圧力を適切に制御または提供する。システム全体の流量を決定および/または変更するための流量計も利用することができる。このように、1つまたは複数のフィードバックループを使用してそのような特性を調整し、それによって循環系のより正確な表現を可能にする。システムの全体的な機能を制御するために、1つまたは複数の制御ユニットまたは要素が提供される。システムの1つまたは複数の機能要素を自動的に変更する制御ユニットを提供することにより、手動調整を必要とせずに圧力および流量プロファイルを生成できる。
【0013】
医療機器の訓練および試験に適した心臓血管系の訓練および評価シミュレータシステムおよび装置は、正常または疾患状態の心臓血管系の解剖学的および生理学的に正確な表現を提供するように適合されている。例示的な実施形態では、システムは、患者の心臓機能をシミュレートするための空気圧駆動心臓モジュール、心臓モジュールに流体接続され、患者の血管系をシミュレートするように適合された血管系システムモジュール、および心臓に動作可能に結合された制御要素を含む。モジュールと血管系システムモジュール。制御ユニットは、心拍数、駆出率、全身血管抵抗、コンプライアンスなど、システムの1つまたは複数の動作パラメータを制御または変更するように構成されている。システムパラメータを変更することにより、敗血症、昇圧剤による超動的療法、または心房細動や粗動などの心不整脈を含むがこれらに限定されない病的な血行力学的状態を再現することができる。システムはまた、他の身体構成要素、好ましくは脳血管系の複製を含み得る。
【0014】
したがって、システムおよび装置は、外科医の経験不足または複雑な手順の経験不足に起因する、血管手術を受けている患者への巻き添え被害を軽減するために使用できるメカニズムを提供する。心臓と血管系を複製する装置を提供することにより、外科医は、実際の患者に対してそのような手順を実行しなければならない前に、血管内手順を実行することができる。装置の選択、配置、および最適化は、実際の手術の前に決定できるため、ライブ手順中にそのようなタスクを実行する必要があることに伴うリスクが排除される。
【0015】
したがって、本発明の主な目的は、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、訓練および医療機器試験のための解剖学的に正確な心臓シミュレータを含む、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、心臓の体積分率を複製して正確な体積分率を生成するポンプ作用を生成するように設計された、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、心臓および/または血管要素の圧力勾配を複製する拍動流の圧力勾配を提供するように設計された、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、空気圧レベル、流体圧、および心拍数を制御し、それによって多種多様な心臓状態をシミュレートする収縮を誘発する、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、正常な心臓機能を有する多種多様な心臓状態をシミュレートする収縮を誘発するために、空気圧レベル、流体圧、および心拍数を制御する正常な心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、空気圧レベル、流体圧、および心拍数を制御して、多種多様な疾患または損傷した心臓状態をシミュレートする収縮を誘発する、病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、正常状態または病的状態における心臓血管系の解剖学的および生理学的に正確な表現を提供するように適合された、医療機器の訓練および試験に適した訓練および評価シミュレータシステムおよび装置を提供することである。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、心拍数、駆出率、全身血管抵抗およびコンプライアンスを含む、システムの1つまたは複数の動作パラメータを制御または変更するように適合された制御モジュールを有する訓練および評価シミュレータシステムおよび装置を提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、限定されないが、敗血症、昇圧剤による超動的療法、または誘発された心臓の急速なペーシングを含む、心房細動またはフラッターなどの心不整脈を含む病的血行力学的状態を再現することができる、訓練および評価シミュレータシステムおよび装置を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる目的は、外科医が実際の患者に対してそのような手順を実行しなければならない前に、血管内手順を実行することを可能にする訓練および評価シミュレータシステムおよび装置を提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、外科医が実際の手術の前に装置の選択、配置、および最適化を決定することを可能にする、訓練および評価シミュレータシステムおよび装置を提供し、本番の手順中にそうしなければならないことに関連するリスクを排除することである。
【0027】
本発明のさらなる目的は、生理学的に代表的な生物学的プロファイルを達成するためにフィードバック制御メカニズムを利用する、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0028】
本発明のさらなる目的は、生理学的に代表的な生物学的プロファイルを達成するために流体要素を自動的に調整するシステムを利用する、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0029】
本発明のさらなる目的は、生理学的に代表的な生物学的プロファイルを達成するために、ポンプ機構を介して流体の流れを自動的に制御するシステムを利用する、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、生理学的に代表的な圧力および流量プロファイルを達成するために、フィードバック制御および流体要素の自動調整およびポンプ制御を利用する、正常および病状の心臓血管機能をシミュレートするための装置およびシステムを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の他の目的および利点は、例示および例として、本発明の特定の実施形態が示されている付随する図面と併せて、以下の記載から明らかになるであろう。本明細書に含まれる任意の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を含み、その様々な目的および特徴を例示する:
【0032】
【
図1A】心臓血管シミュレーションシステムの実施形態の斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示されている心臓血管シミュレーションシステムの上面図である。
【
図1C】心臓血管シミュレーションシステムの代替の実施形態の斜視図である。
【
図1D】
図1Cに示されている心臓血管シミュレーションシステムの上面図である。
【
図2】本発明の例示的な例によるシミュレータシステムに関連する一般的な油圧回路図のブロック図である。
【
図3】本発明の例示的な例によるシミュレータシステムに関連する一般的な空気圧回路図を含む、
図2に示されるブロック図である。
【
図4A】本発明の例示的な例によるシミュレータシステムに関連する一般的な電子回路図を含む、
図3に示されるブロック図である。
【
図4B】心臓モジュールを表すためにポンプを使用する本発明の例示的な例を示すブロック図である。
【
図5】心臓シミュレータモジュールおよび心室モジュールの部分斜視図である。
【
図9】心臓モジュールの断面図であり、左心室腔を示す図である。
【
図11】心臓モジュールの断面図であり、左心房および心室の空洞を示す図である。
【
図12】心臓モジュールの断面図であり、左心房の空洞を示す図である。
【
図13】頭部モジュールの例示的な例の斜視図である。
【
図14】
図13に示される頭部モジュールの斜視図であり、脳血管系とともに示す図である。
【
図15】
ガス充填アキュムレータを示す図である。
【
図16】
ガス充填ピストンアキュムレータを示す図である。
【
図17】
ばね式ピストンアキュムレータを示す図である。
【
図18】ハードウェア要素モジュールの斜視図である。
【
図19】ハードウェア要素モジュールの上面図である。
【
図20】シミュレータシステムに関連する空気圧回路図の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図21】シミュレータシステムに関連する油圧回路図の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図22】本発明の例示的な例による、シミュレータシステムに関連する電子回路図の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図23A】
図1Cまたは
図1Dに示される心臓血管シミュレーションシステムに関連するハードウェア要素モジュールの斜視図である。
【
図23B】
図1Cまたは
図1Dに示される心臓血管シミュレーションシステムに関連するハードウェア要素モジュールの斜視図であり、アセンブリブラケットが取り外されている。
【
図23C】
図1Cまたは
図1Dに示される心臓血管シミュレーションシステムに関連するハードウェア要素モジュールの上面図である。
【
図23D】ハードウェアモジュールから取り外されたアセンブリブラケットを示す図である。
【
図24】
図1Cまたは
図1Dに示される心臓血管シミュレーションシステムに関連する油圧回路図の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図25】
図1Cまたは
図1Dに示される心臓血管シミュレーションシステムに関連する電子回路図の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図26A】心臓シミュレータモジュールのいくつかの構成要素および血管系シミュレータモジュールが取り外された状態で示される、支持構造の斜視図であり、格納位置で示される調整可能な周辺器官/システムシミュレータモジュールマウント143を示す。
【
図26B】心臓シミュレータモジュールのいくつかの構成要素および血管系シミュレータモジュールを取り外した状態で示す、支持構造の斜視図であり、拡張位置に示される調整可能な周辺器官/システムシミュレータモジュールマウント143を示す。
【
図27A】ハンドヘルドタブレットコンピュータの例示的な例を示す図である。
【
図27B】
図27Aに示されるタブレットのスクリーンショットであり、ユーザが1つまたは複数のシステムパラメータを調整することを可能にするグラフィックユーザインターフェース(GUI)の例示的な例を提供する。
【
図27C】
図27Aに示されるタブレットのスクリーンショットであり、エキスパートモードの例示的な例を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は様々な形態の実施形態の影響を受けやすいが、限定的ではないが現在の好ましい1つの実施形態が図面に示され、そして以下に記載される。本開示は本発明の例示と見なされ、そして本発明を例示された特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが理解される。
【0034】
図1Aおよび1Bを参照して、一般に心臓血管シミュレーションシステム10と呼ばれるシミュレーションシステムまたは装置が示されている。心臓血管シミュレーションシステム10は、心臓血管システムとして示され、記載されている。ただし、シミュレータシステムは心臓血管系に限定されず、他のシステムを複製するように適合させることができる。心臓血管シミュレーションシステム10は、ハードウェア要素モジュールおよび解剖学的要素モジュールを含む1つまたは複数のモジュールを含む。ハードウェア要素モジュールと解剖学的要素モジュールは、身体システム、すなわち心臓および/または血管系の改善された解剖学的および機能的に正確な複製であるシステムを提供するように相互作用する。そのような改善された解剖学的に正しいシステムを提供することは、生体システム上でそのような行動を実行しなければならない前に、様々な外科的処置および/または技術について練習および訓練するための独自のツールをユーザに提供する。そのようなシステムは、人間の解剖学的構造およびシステムを使用して記載されるが、本発明による心臓血管シミュレーションシステム10は、犬または猫などの飼いならされた動物を含む他の哺乳動物、マウスやラットなどのげっ歯類、牛、馬、羊、豚/豚などの家畜、またはライオンやトラなどの野生動物などの他の生物システムを複製またはモデル化するように適合させることができる。
【0035】
全体として1000で参照されるハードウェア要素モジュールと、全体として2000で参照される解剖学的モジュールの両方に、さらにサブモジュールが含まれている。サブモジュールは、システムを駆動したり、生きているシステムの正確な構造的および機能的複製を提供したりする個々の要素で構成される。より詳細には、ハードウェア要素モジュール1000は、空気圧要素、油圧要素、および制御/電子要素を含む1つまたは複数のサブモジュールを含む。心臓血管シミュレーションシステム10は、システムのいくつかの重要な構成要素または特性、すなわち、流量および弁操作を含む、心臓血管系および脳血管系の生理学的に代表的な操作の、正確かつ自動表現を提供するように構成された1つまたは複数のフィードバックループを含むように設計されている。制御ユニットは、血流または圧力の所定の特性を提供するためにシステムの自動操作を提供するために必要なハードウェアおよび監視装置を含む。制御ユニットは、システム内の圧力および流れの生理学的値を監視および提供するために、動脈および静脈の圧力を表す圧力センサ、および/または頭、胸部、および内臓の流れを表す流れセンサを含み得る。圧力センサと流量センサから得られた情報は、生理学的に代表的な特性を実現するためのフィードバック制御メカニズムの一部として使用される。システム内の流体の流れを制御するために、1つまたは複数の弁を使用することもできる。本明細書で心臓血管系として示される解剖学的モジュール2000は、主に、心臓シミュレータモジュール2100、血管系シミュレータモジュール2200、および1つまたは複数の周辺器官/システムシミュレータモジュール2300を含む3つのサブモジュールから構成される。システム10は、心臓シミュレータモジュール2100、血管系シミュレータモジュール2200、および1つまたは複数の周辺器官/システムシミュレータモジュール2300を構成する1つまたは複数の個々の部品または構成要素を交換部品または構成要素と交換できるように設計することができる。この構成では、各モジュールの1つまたは複数の部品または要素を分解、交換、および新しい部品または要素と再組み立てすることができる。
【0036】
心臓血管シミュレーションシステム10は、支持構造142Aまたは142Bを含むことができ、
図1Aを参照、これは、心臓血管シミュレーションシステム10のさまざまな要素をサポートするために使用できる。各要素は、たとえば、ネジ、ナット、ボルト、または接着剤などの化学的固定を使用して固定することができる。心臓血管シミュレーションシステム10は、ハードウェア要素モジュールおよび解剖学的要素モジュールを含む1つまたは複数のモジュールを含む。ハードウェア要素モジュールと解剖学的要素モジュールは、身体システム、すなわち心臓および/または血管系の改善された解剖学的および機能的に正確な複製であるシステムを提供するように相互作用する。
【0037】
心臓シミュレータモジュール2100には、4つの心房すべて、左心房と右心房、左心室と右心室を含む人間の心臓のレプリカと、僧帽弁と大動脈弁、肺弁と三尖弁を含む心臓弁が含まれている。心臓シミュレータモジュール2100のいくつかの構成要素の機能は、空気圧によって駆動される。
【0038】
図1Cおよび1Dは、いくつかの追加の特徴または構成要素、ならびに
図1Aおよび1Bに記載されたものと同じ特徴または構成要素の多くを有する心臓血管シミュレーションシステム10の一実施形態を示す。したがって、後で記載する空気圧、油圧、または電気の概略図を含む、本明細書で記載する任意の特徴は、特に断りのない限り、
図1A、
図1B、
図1C、または
図1Dに示す心臓血管シミュレーションシステム10に適用可能であり得る。特に図示されていない場合でも、任意の組み合わせで。心臓血管シミュレーションシステム10は、心臓血管シミュレーションシステム10の様々な構成要素を支持するために使用され得る支持構造142を含み得る。心臓血管シミュレーションシステムは、一般に1000で参照されるハードウェア構成要素モジュールと、参照される解剖学的モジュールとを含む。本明細書で心臓血管系として示される解剖学的モジュール2000は、主に、心臓シミュレータモジュール2100、血管系シミュレータモジュール2200、および1つまたは複数の周辺器官/システムシミュレータモジュール2300を含む3つのサブモジュールから構成される。
図1Cは、下行大動脈2216、上行大動脈2217、左/右腸骨動脈2218、2220、左/右腸骨静脈、2222、2224、腎動脈2226、2228、下大静脈2230、肺動脈幹2232、および内臓動脈(すなわち、腹腔、上腸間膜、下腸間膜)2234、2236を含む、血管系シミュレータモジュール2200のいくつかの(すべてではない)要素を表すいくつかのチューブを示している。血管系シミュレータモジュール2200はまた、腕血管系、2238、2240を含み得る。動脈コンプライアンスチャンバ2114への円錐形の(または、大動脈でより小さな直径を有し、その後、大動脈から離れるにつれて必要に応じて大きくなる任意の形状)のコンプライアンスタップ2242を、流体接続の水力学的不活性を低減するために、使用することができる。センサ136および137も示されている。
【0039】
図2-4Bは、心臓血管シミュレーションシステム10の一般的な油圧回路図、空気圧回路図、および電子回路図を示すブロック図を提供する。
図2-4Bに示すように、心臓血管シミュレーションシステム10は、人間または他の動物の閉ループ循環システムを複製するように設計された閉ループシステムである。心臓血管シミュレーションシステム10は、解剖学的モジュール2000の第1の部分に流体的に接続された流体リザーバ(静脈チャンバとしても知られる)12、および心臓シミュレータモジュール2100を含む。流体リザーバまたは静脈チャンバ12は、流体を受け入れて保持するためのサイズおよび形状のハウジングユニット14を備える。ハウジングユニット14内で、流体リザーバまたは静脈チャンバ12は、心臓血管シミュレーションシステム10内の流体が体内の生理学的流体の温度に対応する所定の温度に暖められることを可能にする加熱コイルなどの1つまたは複数の加熱機構15を含み得る。流体は、血液をシミュレートする任意の液体でありうる。例示的な実施形態では、流体は、ヒトの血液の粘度を複製し、血管内装置、ワイヤ、およびカテーテルが血管系を横断するときの摩擦係数を模倣する特性を有する透明な血液類似体である。あるいは、流体は全血であるか、または単に水を利用することができる。したがって、任意の流体を使用および変更して、静脈または動脈を通る血流の粘度および/またはそれに近い粘度および/または流量を有することができる。流体は透明である場合もあれば、システム全体で流体の流れを視覚化できるように染料を含む場合もある。充填キャップ16は、心臓血管シミュレーションシステム10に水などの流体を追加するために使用される。流体リザーバまたは静脈チャンバ12は、密封および加圧されて、静脈圧を複製するベースライン圧力を提供し、あるいは、流体は、他の手段を介してシステムに引き込まれうる。
図1Cおよび
図1Dに示される心臓血管シミュレーションシステム10は、後述するように、遠心ポンプを含み得る。遠心ポンプは、流体リザーバまたは静脈チャンバ12を加圧する必要の代わりに、心臓血管シミュレーションシステム10を能動的に充填/プライミングするために使用され得る。使用される場合、遠心ポンプは、圧力センサ137によって制御され得る。遠心ポンプはそのセンサで読み取られた圧力に基づいてスロットルされ、静脈圧を10~20mmHgなどの所定の値に維持する。上部流体リザーバまたは静脈チャンバ12は、ゲージ(図示せず)などのインジケータを含むことができ、またはウィンドウを利用して、流量レベルの視覚的確認を提供することができる。あるいは、センサを使用して制御ユニットに結合し、高、低、または適切な液面レベルの表示を提供することができる。
【0040】
心臓血管シミュレーションシステム10は、心臓、特に心臓の左側から体の他の部分への血流を複製するように設計されている。したがって、心臓シミュレータモジュール2100は、流体をモジュールから心臓血管シミュレーションシステム10の他の構成要素に押し出すように設計されたポンプまたは空気圧縮器を含み得、それにより、心室、好ましくは、左心房と左心室だけでなく、必要に応じて右心房と右心室を介した血液の流れを複製する。心臓の解剖学的構造のレプリカを含む心臓シミュレータモジュール2100の実施形態を
図6~9に示す。図に示されるように、心臓シミュレータモジュール2100は、左心房2112、左心室2114、右心房2116、および右心室2118を含む心臓の左側および右側の解剖学的構造を表す4つのチャンバを有する心臓モジュール2110を備える。左心房および右心房ならびに左心室および右心室を表す個々のチャンバを含む心臓モジュール2110は、標準のサイズおよび形状を使用して成形することができる。適切な時間に、すなわち左心房が収縮したときに、弛緩時に流体が左心房に逆流することなく、左心室に流体が流れることを可能にするために、左心房2112は、本明細書では合成弁2129として示される一方向弁を含む。
図9を参照。弁2129は、僧帽弁を表し、例示的な例として、合成複製であり得る。あるいは、弁2129は、ブタまたはヒト僧帽弁などの実際の哺乳動物僧帽弁の移植片であり得る。適切な時間に、すなわち、弛緩時に流体が右心房に逆流することなく、右心房が収縮するときに、流体が右心室に流入することを可能にするために、右心房2116は、本明細書では合成弁2311として示される一方向弁を含む。
図9を参照。弁2131は三尖弁を表しており、記載のための例として、合成複製である可能性がある。あるいは、弁は、ブタまたはヒトの三尖弁などの実際の哺乳動物の三尖弁の移植片であり得る。心臓モジュール2110はまた、大動脈弁または肺動脈弁(図示せず)を表す追加の弁を含み得る。
【0041】
好ましくは、本発明は、心臓のコンピュータ断層撮影(CTスキャン)画像、ならびにその血管系を使用して心房および心室が成形された心臓モジュール2110を使用する。左心房2112、左心室2114、右心房2116、右心室2118、またはそれらの組み合わせは、個々の患者のものに類似した正確なサイズおよび形状を表すように成形することができる。心臓モジュール2110を示す図は、血管系を含まない。しかしながら、心臓モジュール2110を形成する本明細書に記載の構成要素のいずれも、左冠状動脈、左回旋枝、左縁動脈、左前下行枝、および左心室の斜枝などの解剖学的に正しい血管系を含むように適合させることができる。血管系は、「正常な」血管系である場合もあれば、病状の血管系のものである場合もある。さらに、正常または病状の血管系は、個々の患者の正確な血管系を表すように適合させることができ(CTスキャン、MRI、および/または回転血管造影法を使用して)、または特定の患者に関連しない正常または病状を表すように設計されうる。さらに、心臓モジュール2110を形成する本明細書に記載の構成要素のいずれかのセクションはまた、収縮および拡張に対する心臓の異なる抵抗をシミュレートするために、厚いセクション(心室肥大をシミュレートする)および/または薄いセクション(心室発育不全をシミュレートする)を含み得る。
【0042】
図5はまた、哺乳動物の血流に関連する様々な静脈または動脈を表す血管系シミュレータモジュール2200を示している。血管系シミュレータモジュール2200は、心臓シミュレータモジュール2100に出入りする流体の流れを提供する合成管などの複数の部材からなる。心臓シミュレータモジュール2100の心房および心室と同様に、血管系シミュレータモジュール2200は、チューブは、特定の患者の血管系のサイズ、形状、および眼圧測定を複製するように作成できる。好ましくは、チューブは、所望の必要性に対応する曲げモジュールまたは剛性を有する透明な医療グレードのプラスチックでできている。
図5を参照すると、流体は、左心室2414から出て、大動脈2202および大動脈弓2205を表すチューブに流れ込む。限定されないが、2204(鎖骨下動脈)、2206(総頸動脈)および2208(頸動脈)などの大動脈コネクタが心室動脈2310を表すチューブなどの血管系シミュレータモジュール2200の他の要素に流体的に接続し、そして左総頸動脈と右総頸動脈を表すチューブを使用して、周辺器官/システムモジュール2300に流体的に接続するために使用される(
図1A、1B、1C、1Dまたは
図2を参照)。流体はさらに下行大動脈2216に流れ込み、右腸骨動脈2218および左腸骨動脈2220を表す管に接続する。心臓シミュレータモジュール2100からの流体の流れは、システムのどの部分に流体が流れるかに応じて、追加の管を通って導かれる。
【0043】
心臓シミュレータモジュール2100、好ましくは左心房2112または左心室2114は、チューブ17および19を介して、コンプレッサーとして示されている空気圧モジュール100に空気圧で接続する(
図3を参照)。空気圧モジュール100は、心臓血管シミュレーションシステム10の1つまたは複数のモジュールに圧縮空気を提供するために必要な構成要素を含む。生成された圧縮空気は、圧縮機に空気圧で接続された心臓シミュレータモジュール2100の1つまたは複数の構成要素が、後述するように、そこに含まれる液体などの物質を圧縮して強制的に排出することを可能にする。したがって、空気圧縮機は、心臓シミュレータモジュール2100に心臓の動的機能の正確なシミュレーションを提供するように機能する。あるいは、圧縮空気は、1つまたは複数のポンプによって提供され得る。心臓血管シミュレーションシステム10内の様々な場所に染料または代表的な薬剤を注入するためのメカニズムを提供するために、注入ポートが含まれ得る。
【0044】
心臓モジュール2110は、好ましくは、シリコーンなどの柔らかいプラスチック材料でできている。各チャンバ、左心房2112、左心室2114、右心房2116、または右心室2118は、弾性膜壁内に成形された空洞で作られ、したがって、空気加圧の機構を提供する。機能する心臓モジュールの一部として使用されない場合、右心房2116、右心室2118、またはその両方は、心臓モジュール2110の一部として含まれ得るが、弾性膜壁内に成形された空洞を有さない。
図9および10を参照すると、心臓モジュール2110の断面図は、左心室膜壁2119を内側左心室膜壁2122Aおよび外側左心室膜壁2122Bに分離する左心室腔2120を備えた左心室2114を示している。
図10を参照。内側左心室膜壁2122Aは、流体が左心室2114内に配置されたときに外向きに伸びて左心室腔2120を崩壊させるのを防ぐための所望の強度を有するが、加圧空気が左心室腔2120内に押し込まれると内向きに崩壊し、したがって、流体を左心室2114から押し出す。好ましくは、左心室腔2120は、左心室2114の全周に沿って延びる。
図11は、左心房膜壁2126内の左心房腔2124を備える左心房2112を示す心臓モジュール2110の断面図である。左心房腔2124は、左心房膜壁2126を、内側左心房膜壁2128Aおよび外側左心房膜壁2128Bに分離する。好ましくは、左心房腔2124は、左心房2112の全周の周りに延在する。
図12を参照。内側左心房膜壁2128Aは流体が左心房2112内に配置されたときに外向きに伸びて左心房腔2124を崩壊させるのを防ぐための所望の強度を有するが、加圧空気が左心房腔2124内に押し込まれると内向きに崩壊し、したがって、流体を左心房2112から押し出す。図示されないが、右心房および右心室は同じ空洞特徴を含み得る。心臓血管シミュレーションシステム10のいくつかの構成要素の駆動は、加圧空気を介して空気圧で駆動されると記載されているが、駆動は、加圧液体の使用、または加圧空気と加圧液体の組み合わせなどの他のメカニズムを介して達成することもできる。
【0045】
心臓モジュール2110は、空気圧で加圧して、左心房2112および左心室2114を駆動させることができる。加圧された空気は、左心室腔2120または左心房腔2124に入り、したがって、それぞれの内側膜壁2122Aまたは2128Aに力を及ぼす。加圧空気によって加えられる力により、それぞれの内側膜壁2122Aまたは2128Aが部分的に崩壊するか、または内側に移動し、したがって、左心室2114または左心房2112内に貯蔵された流体が押し出されるかまたは排出される。
【0046】
図13および14を参照すると、周辺器官/システムモジュール2300は、頭部モジュール、または頭部2302として示されている。頭部2302は、ネジやナットなどの固定部材2308を介してボード2305および/または上部2306に接続された底部2304を含む。そのような配置は、上部2306を取り外して交換することを可能にする。底部2304は、頭部2302を血管系シミュレータモジュール2200の1つまたは複数の構成要素に流体接続するように適合された1つまたは複数の流体コネクタ2310および2312を含む。このような流体接続は、ユーザが外科手術または手順の周辺器官またはシステムへの影響を評価することを可能にする。
【0047】
図14は、脳血管系を表す複数の管2312および2314を備えた頭部モジュール2302の例示的な例を示している。脳血管系は、くも膜下腔および周囲の脳の血管のコンプライアンスを模倣するために、ゲル状材料2316内に配置される。頸動脈分岐部から頭蓋内循環までの血管系、およびあらゆる病状が再現されうる。頭部モジュール2302はまた、心臓血管シミュレータシステム10の他の部分に接続可能な追加の管2318を含み得る。
【0048】
心臓血管シミュレータシステム10は、1つまたは複数のコンプライアンスチャンバモジュールを使用することができる。コンプライアンスチャンバモジュールは、システム流体貯蔵装置として機能し、ユーザが必要とする血行動態に応じて、全身コンプライアンスを動的に制御するように機能的に適合されている。したがって、コンプライアンスチャンバは、心臓血管シミュレータシステム10がヒト心臓血管系全体に含まれるすべての血管系血管を複製しないことを前提として、解剖学的に正しい範囲の心臓システムコンプライアンスおよび補償を提供する。たとえば、下肢、特に脚への血管系は、通常、血管系シミュレータモジュール2200の一部として含まれない。不完全なモデル化された血管系にポンプで送り込みながら、解剖学的に正確な心臓生理学で正確な心臓ダイナミクスを再現するために、コンプライアンスチャンバが使用される。コンプライアンスチャンバは、システムの成形されていない部分の血管容積と眼圧測定をシミュレートする。血管トノメトリは動脈の緊張をシミュレートし、コンプライアンスチャンバに空気を追加または除去することで変更できる。空気の量に応じて、高血圧または低血圧の状態をシミュレートできる。
【0049】
図2-4Bを参照すると、コンプライアンスモジュールはアキュムレータとして示され、動脈コンプライアンスチャンバ18と呼ばれる。
図15-17は、アキュムレータのいくつかの実施形態を示している。
図15は、ガス充填アキュムレータ18Aを示している。アキュムレータ18Aは、内部空洞22を囲むハウジングユニット20を備える。内部空洞22内には、ガス26(ガス入口25を通して挿入される)および内部空洞22内に貯蔵された任意の液体を分離するためのゴムブラダー24がある。
図16は、18Bで参照される、ピストンを使用するガス充填アキュムレータを示している。アキュムレータ18Bはまた、内部空洞34を有するハウジングユニット32を有する。ピストン36は、内部空洞34内のガス38と液体を分離する。
図17は、ばね式ピストンアキュムレータ18Cを示している。ばね式ピストンアキュムレータ18Cはまた、内部空洞42を有するハウジングユニット40を含む。ばね46を備えたピストン44は、ばね46がピストンを貯蔵液体に押し付けることを除いて、ガス充填ピストンと同様に動作する。図示されていないが、当業者に知られているダイアフラムを使用するアキュムレータなどの代替のアキュムレータタイプも使用することができる。流体リザーバ12は、アキュムレータとしても構成することができる。
【0050】
図2に戻ると、心臓シミュレータモジュール2100からの流体は、直接、または動脈コンプライアンスチャンバ18に迂回して戻された場合、血管系シミュレータモジュール2200および/または1つ以上の周辺器官/システムシミュレータモジュール2300を含む解剖学的モジュール2000に向けられる。流量の調整は、制御機構によって達成することができる。例えば、血管系シミュレータモジュール2200に入る流体の流量は、体抵抗弁とも呼ばれる第1の抵抗弁48によって制御することができる。好ましくは、抵抗弁48は、線形ステッピングモーターおよびグローブ弁を含む電気的に調整可能な流体抵抗弁である。抵抗弁48は、身体への所望の流量を達成するために自動的に調整することができる。1つまたは複数の周辺器官/システムシミュレータモジュール、すなわち頭部に入る流体の流量は、頭部抵抗弁とも呼ばれる第2の抵抗弁50によって制御することができる。第2の抵抗弁50は、好ましくは、線形ステッピングモーターおよびグローブ弁を含む電気的に調整可能な流体抵抗弁である。抵抗弁50は、頭部への所望の流量を達成するために自動的に調整することができる。
【0051】
各経路、すなわち血管系経路および1つまたは複数の周辺器官/システム経路には、1つまたは複数の監視または検出メカニズムが含まれている。
図2に示されるように、血管系経路は、体流量計とも呼ばれる第1の流量計52を含む。体流量計52は、例えば、体積流量を電気信号に変換するように構成されたパドルホイール流量計であり得る。信号は、システムコントローラ(後述)によって使用され、所望の流量を達成するために、流量抵抗弁48の設定の変更がいつ必要になるかを決定する。1つまたは複数の周辺器官/システムは、頭部流量計とも呼ばれる第2の流量計54を含み得る。頭部流量計54はまた、体積流量を電気信号に変換するように構成された頭部ホイール流量計であり得る。信号は、システムコントローラによって使用され、所望の流量を達成するために、第2の流れ抵抗弁50の設定への変更がいつ必要とされるかを決定する。次に、流体は流体リザーバ12に戻されて戻される。逆止弁56は、逆流、すなわち流体リザーバ12からの逆流を防止しながら、逆流が流体リザーバ12に入るのを確実にし、解剖学的静脈の作用を複製する。
【0052】
流体は、シュレーダータイプのクイックディスコネクト弁58などのドレーンコネクタを介して心臓血管シミュレータシステム10から排出され得る。弁58は、排出サイクル動作中に取り付けられたドレナージホースまたはチューブ(図示せず)に接続され得る。流体は、好ましくは、流体保持容器または水差し60として示される容器に排出される。
【0053】
図3を参照すると、心臓血管シミュレータシステム10が空気圧要素とともに示されている。圧縮機100として記載される空気発生器100は、心臓血管シミュレータシステム10内のいくつかの機能を担当する。空気圧縮機100は、チューブ110または112を介して心臓シミュレータモジュール2100に加圧空気流を提供する。具体的には、加圧空気は左心房2112、具体的には左心房腔2124、および左心室2114、具体的には左心室腔2120に供給される。心臓シミュレータモジュール2100、すなわち左心房2112、具体的には左心房腔2124、および左心室2114、具体的には左心室腔2120への空気流の制御は、各構成要素が鼓動する心臓をシミュレートすることを可能にするために、1つまたは複数の制御機構によって提供される。左心房2112の制御は、
図3に示されている、心房作動ソレノイド弁としても知られている作動ソレノイド弁114を使用して達成することができる。心房作動ソレノイド弁114が通電されると、圧縮機100からの加圧空気が左心房腔2124に流入する。そのような作用は、左心房2112を圧縮する。心房作動電磁弁114が非通電になると、圧力が左心房腔2124から解放され、左心房2112が弛緩することを可能にする。心室作動電磁弁116と呼ばれる第2の作動ソレノイドは、左心室2114への空気を制御する。心室作動ソレノイド弁116が通電されると、圧縮機100からの加圧空気は、左心室2114を取り囲む左心室腔2120に入れられる。この動作により、左心室2114は、その中の流体を圧縮して押し出すことができる。心室作動電磁弁116が消勢されると、左心室空洞2120から圧力が解放され、左心室2114が弛緩することを可能にする。このような動作は、心臓の左側の生理学的収縮、つまり心拍をシミュレートする。加圧空気はまた、左心室2114などの心臓モジュールの1つまたは複数の部分をその軸の周りで部分的に動かして、心拍をより正確にシミュレートすることができる。このような動作は、右心房2116および右心室2118(図示せず)でも達成できる。左心房2112および左心室2114は、仕切りまたは壁2121を介して右心房2116および右心室2118から分離され得(
図9を参照)、したがって、それらの間の流体の流れを防止する。左チャンバと右チャンバとの間の仕切りまたは壁2121は、心臓中隔2121と呼ばれることがある。1つまたは複数のチャンバは、流体の流入または流出を可能にするために、チューブ2123A、2123B、または2123Cなどの流体出入チューブおよび/または開口部を有し得る。
【0054】
空気圧縮機100は、動脈コンプライアンスチャンバ18内の水位を低下させるために、チューブ118を介して動脈コンプライアンスチャンバ18に流体的に接続され得る。心臓血管シミュレータシステム10内からの流体の排出を助けるために、空気圧縮機100は、チューブ120を介して流体リザーバ12に流体的に接続されている。流体は、排出切断弁58を介して排出され、加圧空気を静脈チャンバ12および動脈コンプライアンスチャンバ18に送り込むことができる。空気圧縮機100からの圧縮空気の送達のための種々の制御機構が好ましくは利用される。静脈チャンバ通気弁122と呼ばれる弁は、静脈チャンバ12への空気の量、したがって圧力を制御するために使用される。例えば、静脈チャンバ12から空気圧を解放するための静脈チャンバ通気弁122の操作は、平均静脈圧が高すぎると判断された場合に使用することができる。静脈チャンバ加圧弁124と呼ばれる第2の弁を使用して、例えば、ベースライン静脈圧を増加させるために、加圧空気を静脈チャンバ12に入れることができる。静脈チャンバ加圧弁124の操作はまた、心臓血管シミュレータシステム10を通して加圧空気を強制するために排出サイクル中に使用され得る。心臓血管シミュレータシステム10を通して強制される加圧空気は、排出切断弁58を介して流体を追い出す。
【0055】
動脈チャンバ通気弁126と呼ばれる弁は、動脈コンプライアンスチャンバ18の油圧に影響を与えるように設計されている。動脈チャンバ通気弁126の操作は、動脈コンプライアンスチャンバ18から空気圧を解放する。これはより多くの水がチャンバに入り、それによって空気量が減少する効果を有する。これはまた、動脈コンプライアンスチャンバ18の油圧コンプライアンスを低下させる効果を有する。第2の弁である動脈チャンバ加圧弁128は、動脈コンプライアンスチャンバ18への空気の流れを制御するために使用され得る。動脈チャンバ加圧弁128の操作は加圧空気を動脈コンプライアンスチャンバ18に入れる。加圧空気の流入は、任意の流体を動脈コンプライアンスチャンバ18から追い出す。流体が追い出されると、空気量は、動脈コンプライアンスチャンバ18内で増加し、動脈コンプライアンスチャンバ18のコンプライアンスを増加させる。動脈チャンバ加圧弁128はさらに、排出サイクルにおいて使用されて、加圧空気を心臓血管シミュレータシステム10に強制的に通すことができる。加圧空気が心臓血管シミュレータシステム10全体を移動するとき、心臓血管システム10内の流体は、排出切断弁58を通って排出される。
【0056】
心臓血管シミュレータシステム10は、さまざまなパラメータの制御を自動的に実行できるように設計されている。そのような制御は、必要に応じて血流および/または他の身体的特徴を表すために、心臓血管系がより効率的かつ正確に機能することを可能にする。
図4Aを参照すると、制御ユニット130は、一般にコネクタ部材132と呼ばれるコネクタ部材132A~132Mを介して心臓システムの様々な構成要素に電子的に接続される。コネクタ部材132は、例えば、ブルートゥース(登録商標)技術を使用する無線接続であり、またはUSB(ユニバーサルシリアルバス)接続を使用するコンピュータケーブルなど、有線接続されている場合がある。制御ユニット130は、好ましくは、処理能力、記憶能力、および様々な構成要素の機能を駆動または制御するために必要なソフトウェアを有するコンピュータであり、例えば、必要な集積回路、中央処理装置、RAM、ROM、および/またはハードドライブを備える、プリント回路基板などの論理基板を含み得る。制御ユニット130は、単に、必要な集積回路を備えたプリント回路基板であり得る。制御ユニット130は、体流量計52および頭部流量計54によって測定される様々なシステムパラメータを処理するように設計されなければならない。さらに、心臓血管シミュレータシステム10は、センサ134、136、および137を含み得る。静脈圧センサは、流体チャンバ12のゲージ圧力測定値を電気信号に変換するように構成された圧力センサである。信号は、システム制御ユニット130に送信することができ、そこで、流体チャンバ12の加圧に対する調整の決定を行うことができる。あるいは、静脈チャンバまたはリザーバ12内のセンサ134は、単に受動センサとして機能して監視されるだけであるか、またはチャンバを加圧する代わりに静脈チャンバを通気するだけのために使用され得る。動脈圧センサとも呼ばれるセンサ136は、動脈コンプライアンスチャンバ18のゲージ圧測定値を電気信号に変換するように構成された圧力センサである。信号は、システム制御ユニット130に送信することができ、そこで心臓シミュレータモジュール2100のポンピング動作を調整して、様々なシステム圧力を達成する、すなわち、所定の収縮期および拡張期血圧を表すことができる。センサ136は、コンプライアンスチャンバ内の圧力ではなく、流体圧力を直接測定するために使用することができる。センサ136は、鎖骨下動脈を表す領域の圧力を測定するために使用することができるが、センサ136は、上行大動脈または左鎖骨下動脈を表すチューブ内など、近くのどこにでも配置することができる。
図1Cまたは1Dを参照。第3のセンサであるセンサ137は、アクティブセンサとして使用することができる。センサ137は、心臓または関心の他の領域での圧力の監視を提供するために、左心房2112に配置され得る。このセンサ137は、利用される場合、遠心ポンプを制御するために使用され得る。制御ユニット130はさらに、例えば、1)体抵抗弁48の設定、2)頭部抵抗弁50の設定、3)圧縮機100の速度プロファイル、および4)心房作動電磁弁114および心室作動電磁弁116のタイミングおよび作動、の制御を通じて、他のシステム動作に影響を与えるコマンド値を使用するように構成され得る。さらに、制御ユニット130は、動脈チャンバ通気弁126および動脈チャンバ加圧弁128と併せて圧縮機100の使用を制御し、動脈コンプライアンスチャンバ18内の流体のレベルを変更し、それによってコンプライアンスを変更するようにプログラムされうる。制御ユニット130は、ユーザとのインターフェースを提供する液晶画面などの情報ディスプレイを含むことができ、それにより1つまたは複数のパラメータの操作を可能にする。
【0057】
タブレットコンピュータ138として示される第2のコンピュータ装置(ハンドヘルドタブレット138の図については
図27Aを参照)は、制御ユニット130と組み合わせて使用されうる。タブレットコンピュータ138は、以下のような必要なハードウェアを含み得る。プロセッサとメモリ、およびシステムの1つ以上の操作を監視し、設定を調整するためのユーザインターフェイスを提供するために必要なソフトウェア。タブレットコンピュータ138は、無線または有線接続140(
図4A)によって制御ユニット130に電子的に接続され得る。好ましくは、接続140は、例えば、ブルートゥース(登録商標)技術を使用して、無線である。しかしながら、接続140は、USB接続を使用するケーブルなどの有線接続を介することができる。
図27Bは、タブレット138のスクリーンショット135を示しており、グラフィックユーザインターフェース(GUI)の例示的な例を提供している。GUIは、様々なグラフィカルアイコンおよび視覚的インジケータを提供し、それによりユーザは1つまたは複数の以下のパラメータを調整し、対応する調整結果を観察することができる:頭部139A、ボディ139B、レッグ139C、心拍数調整139D、システムの収縮期血圧139Eまたは拡張期血圧139F、心拍出量弁139G、心拍数139H、血圧(BP)139I、温度139J、または心電図(EKG)プリントアウト139Kの視覚的インジケータ。
【0058】
図27Cは、エキスパートモードの構成を示している。エキスパートモードは、ユーザが追加のパラメータを調整し、対応する調整結果を表示できるようにする追加の所定のアイコンと視覚的インジケータをユーザに提供する。これには、頭部弁139L、体部弁139M、脚部弁139N、収縮139O、強度139P、ヒーターの制御、すなわちオン/オフ139Q、フィードバック無効139R、およびエキスパートモードの出口139Sを含む。フィードバック無効139Rを使用すると、ユーザはアクティブフィードバックループを無効にできる。これは、パラメータが目的の設定値を満たしている場合に必要になることがある。エキスパートモード139Sモードでは、ユーザは特定の血行力学的機能を制御できる。したがって、エキスパートモードでは、図に示すように、1)頭部、体部、脚部抵抗の0~100%の間の制御、2)下大静脈の圧力制御、3)心臓ポンプのポンプ速度または収縮強度、および4)フィードバック制御の無効化または有効化、を制御する機能が追加される。頭部、体部、脚部の抵抗制御の0~100%の抵抗制御には、フィードバックを無効にする必要がある場合がある。フィードバックが無効になっている場合、エキスパートモードでは、動脈コンプライアンスチャンバの加圧を増減することもできる(サイクルの持続時間の割合を増減する)。減少へは積極的な停止のみがある。コンプライアンスが過度に低下した場合、すなわち、コンプライアンスチャンバ18内の流体が増加して流体レベルスイッチがトリガーされた場合、コンプライアンスのさらなる低下(コンプライアンスチャンバの充填)を停止する。
【0059】
図4Bは、心臓シミュレータモジュール2100が電気的に駆動されるポンプ141を使用する心臓血管シミュレータシステム10を示している。ポンプ141は、前述の解剖学的心臓モデルと同様の拍動流特性を提供する。そのような実施形態は、潜在的に低コスト、より小さなサイズ、より高い信頼性、またはより制御可能な流れ特性を備えた、同様の生理学的圧力および流れ特性を提供することができる。
【0060】
流体リザーバ12内に貯蔵された流体は、圧縮空気100を使用してシステムを通過し、加圧空気を流体リザーバ12に押し込む。加圧空気の作用により、心臓シミュレータモジュール2100は、収縮および拡張、血流を表す流体が血管系シミュレータモジュール2200内を移動するようにさせることにより、ヒトまたは動物の心筋のように機能する。制御ユニット130は、加圧空気のパルスを心臓シミュレータモジュール2100に供給するように設計されている。流体圧力および流体ダイナミクス/流れは、心臓モジュール自体ポンピング動作によって生成される。流体は、流体リザーバ12から押し出され、解剖学的モジュール2000に入る。これは、肺から戻る酸素を含む血液を表し、本明細書に記載されているシステムでは使用されず、下大静脈を通って(チューブおよび構造を表す)右心房、右心室、肺動脈、そして右肺静脈と左肺静脈に流れ込む。
【0061】
左心房2112は流体で満たされ、回路の収縮期側で測定された流体の圧力は、制御ユニット130によって制御され、人間の心臓の拡張期血圧の最小正常範囲(50~80mm HG)になる。システムによって得られる120/80(収縮期/拡張期)の実際の血圧は、流体流量(心臓シミュレータモジュールに関連する制御ユニット130の操作によってシミュレートされる)、心臓シミュレートされた心拍数、動脈圧迫、心室圧迫(または駆出率、心房チャンバまたは心室チャンバから排出される流体の量としてシミュレート)、毛細血管抵抗(抵抗弁の操作によるシミュレートされた効果)および血管眼圧測定または張力(コンプライアンスチャンバ18の操作によるシミュレートされた効果)の組合せ関数である。
【0062】
心臓血管シミュレータシステム10は、収縮期および拡張期の数値に様々な程度で影響を与えるパラメータの様々な組み合わせを使用して、収縮期および拡張期の値を独立して調整するように設計されている。拡張期血圧の値を正常範囲より上または下に操作して、制御モジュールを使用してさまざまな病状をシミュレートできる。前述の構成要素のいずれかに加えて、制御ユニット130は、制御プリント回路基板(PCB)および電圧感知の制御のための第2のPCBなどの1つまたは複数の回路基板を含み得る。電池を含むことができる電源は、心臓シミュレーションシステム10全体に電力を供給する。制御モジュール130によって開始され、左心房2112が収縮する。左心房の収縮は、圧縮空気がいつ、どのくらい左心房に押し込まれるかを制御する圧縮機100によって制御される。生成された加圧空気は、管を通って流れ、左心房腔2124に入る。空気は、左心房チャンバ2112内の容積の減少を引き起こす。容積の減少は、流体が僧帽弁2129を通って左心室2114に排出される結果となる。
【0063】
生成された加圧空気は、チューブを通って左心室腔2120に移動する。加圧流体は、左心室チャンバ2114内の容積の減少を引き起こし、その結果、合成大動脈弁2150を通って大動脈弓2203に流体が排出される。使用されるフィードバックシステムのうち、心臓血管シミュレーションシステム10は、様々な生理学的パラメータを調節するように構成される。流体の圧力は、例えば、正常な生理学的代表的な収縮期/拡張期の圧力の範囲内に設定することができる。例えば、心臓血管シミュレータシステム10は、以下の設定点を含み得る:1)収縮期圧を表すデフォルト120mmHg、2)拡張期圧を表すデフォルト80mmHg、3)静脈プール圧を表すデフォルト10mmHg、4)デフォルト12mL/秒の血流、平均頭蓋血流量(総頭流量)を表す、5)血流、デフォルトは80mL/秒、平均胸部大動脈流量を表す、6)体液温度、デフォルトは華氏98.6度。これらの値または設定値は、デフォルト以外の値を表すように変更することもできる。生理学的パラメータの設定値は、ユーザが調整できる。さらに、システムはフィードバック制御を使用して、設定値の変化を自動的に補正する。
【0064】
条件は、流体がシステム全体を移動するときに、対応する圧力、体積流量、駆出率、またはそれらの組み合わせを変更するために、制御ユニット130によって操作することができる。左心室から排出された液体は圧力がかかっており、椎骨動脈、左総頸動脈、右総頸動脈などの血管の解剖学的構造のさまざまな部分を表す、またはシミュレートするチューブを通って流れる。流体はまた、下行大動脈に流れ落ち、右腸骨動脈2218および左腸骨動脈2220に流れ込む。したがって、心臓血管シミュレータシステム10は、コンプレッサー100によって生成され、そして心房および心室を圧縮するために使用される、加圧空気の量を調整することによって収縮期および拡張期の圧力の平均を調節するように構成される。(一定の流れとは対照的に)サイクル内の時間変化する空気流量が生成されることが好ましい。代表的な収縮期圧と拡張期圧との間の圧力差の調節は、動脈コンプライアンスチャンバ18の空気の量(したがって油圧コンプライアンス)を調整することによって達成される。抵抗弁を調整することは、代表的な頭胸および胸部の流れの調節を提供する。流量計は、好ましくは、代表的な動脈部分ではなく、システムの代表的な静脈部分に配置される。したがって、流れはその時点で脈動よりも連続的であり、駆出率やピーク流量ではなく、平均流量の調整を使用できる。
【0065】
流体の加熱に関して、ヒーター表面温度およびレプリケーター流体温度は、ヒーター表面温度が所定の限界を超えないことを保証しながら、流体を所望の温度に加熱するために制御ユニット130を介して決定および制御することができる。
【0066】
最終的に、すべての流体は、流量が調整される流体リザーバ12に戻される。血管張力は、コンプライアンス弁および抵抗弁の使用などのいくつかのメカニズムを通じて、および様々なデュロメータ値を有する動脈を表す成形された血管系シミュレータモジュール2200を通じてシミュレートおよび調整することができる。図示されていないが、流体の流れは、周辺器官/システムモジュール、すなわち、頭部2302およびその代表的な血管系チューブに向けられ得る。心臓シミュレーションシステム10の一部として使用される場合、頭部2302は、頭部支持構造150を介して支持構造フレーム142Aおよび142Bに固定され得る。頭部2302は、支持構造フレーム142Aおよび142Bへ/から迅速かつ容易に接続/切断/接続し、および角度移動が可能であるためのクイック接続コネクタを含み得る。次に、流体は、肺の解剖学的構造を表すチューブに戻され、最終的には心臓シミュレータモジュール2100に戻されて、新しいサイクルを開始する。
【0067】
詳細には記載されていないが、右心房2116および右心室2118は、左心房2112および左心室2114について記載されたのと同じ方法で機能し、同じ特徴を有するように適合され得る。
【0068】
体抵抗弁48、頭部抵抗弁50、体流量計52および頭部流量計54は、ハウジング構造内に収容することができる。静脈チャンバ通気弁122、静脈チャンバ加圧弁124、動脈チャンバ通気弁126、および/または動脈チャンバ加圧弁128などのコンプライアンス調整弁は、ハウジング構造内に格納され得る。
【0069】
前述のように、異常な心臓の状態は、制御ユニットから送信されるコマンドとシステム内のさまざまな構造の調整を通じて心房/心室アセンブリによって生成されるエアバーストの力、持続時間、および頻度を変化させて、そのような変化を引き起こすことによってシミュレートできる。
【0070】
心臓血管シミュレータシステム10をX線で画像化できるようにするために、電気機械がハードウェア要素モジュール1010に配置され、心臓シミュレータモジュール2100、血管系シミュレータモジュール2200、および1つ以上の周辺器官/システムシミュレータモジュール2300から分離されている。
図1Aおよび1Cを参照されたい。
図18および19は、
図1Aおよび1Bに示される心臓血管シミュレータシステム10に関連するハードウェア要素モジュール1010の例示的な例を提供する。ハードウェア要素モジュール1010は、底壁1012、および側壁1014および1016を備えることができる。側壁1018および1020、ならびに上壁1022(
図1Aを参照)が取り外されている。内部領域部分は、ダイアフラムポンプ1024、抵抗弁1026、1028、および1030、ソレノイド1032、1034、流量計1036、1038、および1040、フィルタ1042、流体リザーバ1044を含む1つまたは複数のハードウェア要素、および制御ユニット回路基板および電源を格納する電源および回路基板格納ユニット1046を格納および固定する。ハードウェア要素モジュール1010の要素には、一般的な記載のために参照番号「1000」が与えられているが、参照される実際の要素は、前述の要素に対応し得るが、異なる番号が与えられている。例えば、抵抗弁1026~1030、ソレノイド1032~1034、または流量計1036~1040は、上記の抵抗弁、ソレノイド、または流量計のいずれかに対応し得る。
【0071】
図20~22を参照して、空気圧(
図20)、油圧(
図21)、および電子回路(
図22)の概略図を例として示す。図で記載されているシステムは、3つの解剖学的流路(頭部、腸/腕部、および脚部)を使用する血管系モジュールを提供する。さらに、心臓モジュールに流れを戻す解剖学的流路(下大静脈)もある。
図20に示されるように、加圧空気は、ツイン頭部ポンプまたはダイアフラムポンプなどのツインポンプ300を介して心臓血管シミュレータシステム10内に提供され、駆動され得る。ソレノイド302の使用によって制御され得るポンプ300は、加圧空気を提供して、左心房2112、左心室2114、コンプライアンスチャンバ18、または静脈リザーバ(流体リザーバ)12に機能的に作用する。
図21は心臓血管シミュレータシステム10内の血流をシミュレートする液体流体10を示す。静脈リザーバ(流体リザーバ)12からの流体は、右心室2118、右心房2116、左心房2112、および左心室2114、肺動脈304A、下大静脈304B、および腸骨304Cを介して、大動脈306、頭部308、腕310、および腹部領域312に至る、身体に関連するレプリカ構成要素内の流体流れを提供する。流体の流れは、動脈コンプライアンスチャンバ18からコンプライアンス接続2242を介して大動脈306にも方向付けられ得る。流体の流れは、ステップモータ316または抵抗弁318の機能を制御する流量計314を介して制御され得る。
図22に示されるように、コンピュータまたは単に集積回路基板であり得る制御ボード322は、ポンプ300、動脈コンプライアンスチャンバ液面スイッチ、高324Aおよび低324B、およびヒーター326、液面スイッチ、高328Aおよび低328B、およびサーミスタ330などの静脈リザーバ12の様々な機能を制御する。ユニットは、バッテリーまたは壁へのプラグ334などの電源332によって電力供給され得る。過熱を防ぐために、1つまたは複数のファン336を利用することができる。
【0072】
図23A~23Dは、
図1Cおよび1Dに示される心臓血管シミュレータシステム10に関連するハードウェア要素モジュール1010の例示的な例を提供する。ハードウェア要素モジュール1010は、底壁1012、側壁1014、およびハードウェア要素モジュールカバー1048を備えうる(
図23A~23Cで削除された
図1Cを参照)。内部領域は、1つまたは複数の抵抗器1052、1つまたは複数の流量計1054、および1つまたは複数のフィルタ1056を保持または格納する要素アセンブリブラケット1050を含む、1つまたは複数のハードウェア要素を格納および固定する。
図23Dを参照。内部領域はまた、オーバーフロータンク/チャンバ1058、遠心ポンプ1060、静脈リザーバ(流体リザーバ)12、静脈リザーバソレノイド1062、制御ユニット回路基板および電源を格納する回路基板格納ユニット1046、動脈コンプライアンスチャンバソレノイド1064、空気圧/心臓ソレノイド1066、逆止弁1068、ポンプ1070、流体を輸送または移動するためのさまざまなチューブ1072、およびハードウェア要素モジュール1010の外側に延びるチューブに接続するためのチューブスレッド1074を含む。一実施形態では、高または低流体レベルセンサを有する動脈コンプライアンスチャンバの代わりに、動脈コンプライアンスチャンバは、チューブを介してオーバーフローチャンバ1058に接続され得る。オーバーフローチャンバ1058は、流体レベルセンサ324Cを含み得る。ハードウェア要素モジュール1010はまた、心臓サイクルにタイミングを合わせたEKGトリガー信号を取得するためのBNC出力コネクタ1076、タブレット138との直接(有線接続)通信を容易にするためのUSB/B入力コネクタ1078(BLUETOOTH(登録商標)のような無線通信が失敗するため)、タブレット138のようなデバイスを充電するためのUSB/A出力コネクタ1080、電源プラグ1082、オン/オフスイッチ1084、緊急停止1086、排水管1088などを含みうる。静脈リザーバ(流体リザーバ)12は、キャップ1090と圧力センサおよび流体スイッチ接続制御ユニット1092を含みうる(
図1C)。
【0073】
図24および25は、
図1Cおよび1Dに示される心臓血管シミュレータシステム10に関連する油圧(
図24)および電子回路(
図25)の概略図を示す。これらの図には、
図21および22で記載したものと同じ要素と機能が含まれているが、
図24には:逆止弁1068、ポンプ1060、オーバーフロータンク/心房オーバーフローチャンバ1058、制御ボード137への圧力センサ、そして
図25には:液面スイッチ324Cを備える動脈オーバーフローチャンバ1058、I/Oボード333、BNC/EKG1076、および緊急停止1086など、
図1Cおよび1Dに示す心臓血管シミュレータシステム10で記載した機能が追加されている。
【0074】
図26Aおよび
図26Bは、いくつかの構成要素が取り外された、
図1Cおよび1Dに示される心臓血管シミュレータシステム10に関連する支持構造142を示している。支持構造142は、頭部2302をそれに固定し、直線運動でスライドして頭部を1つまたは複数の位置に配置するように構成された細長い本体145を有する調節可能な周辺器官/システムシミュレータモジュールマウント143を備える:引き込まれた位置、
図26A、または伸ばされた(または部分的に伸ばされた)位置、
図26B。細長い本体145は、チャネル149と係合する隆起147を含み得、その結果、細長い本体は、開口部に出入りする。調整可能な周辺器官/システムシミュレータモジュールマウント143は、より複雑な大動脈形状のより良い支持およびより長い使用を提供する。
【0075】
本明細書に記載されているすべての特許および刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示している。すべての特許および刊行物は、個々の刊行物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本発明の特定の形態が示されているが、それは、本明細書に記載および示されている特定の形態または配置に限定されるべきではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることは当業者には明らかであり、本発明は、本明細書および本明細書に含まれる任意の図面/図に示され、記載されるものに限定されると見なされるべきではない。
【0077】
当業者は、本発明が、目的を実行し、言及された目的および利点、ならびにそれに固有のものを得るのに十分に適合されていることを容易に理解するであろう。本明細書に記載の実施形態、方法、手順および技術は、現在、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であることが意図されており、範囲の制限として意図されていない。当業者に想起されるであろう変更および他の使用は、本発明の精神に包含され、添付の特許請求の範囲によって定義される。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して記載されてきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者に明らかな、本発明を実施するための記載されたモードの様々な修正は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図されている。