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  • 特許-金属-有機骨格体を含む傷治癒用組成物 図1
  • 特許-金属-有機骨格体を含む傷治癒用組成物 図2a
  • 特許-金属-有機骨格体を含む傷治癒用組成物 図2b
  • 特許-金属-有機骨格体を含む傷治癒用組成物 図3a
  • 特許-金属-有機骨格体を含む傷治癒用組成物 図3b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】金属-有機骨格体を含む傷治癒用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/28 20060101AFI20240403BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20240403BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240403BHJP
   A61L 26/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K31/28
C08K5/09
C08L101/00
A61P17/02
A61L26/00
A61K47/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022515570
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 KR2020018159
(87)【国際公開番号】W WO2021118292
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0167194
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0172690
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522089675
【氏名又は名称】ラビンキューブ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ホ,チャン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ソン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,キョンミン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ドン-シク
(72)【発明者】
【氏名】リュ,オン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウォンイル
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジェジン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ミンギ
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0091503(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236122(US,A1)
【文献】特表2018-507198(JP,A)
【文献】国際公開第2020/147754(WO,A1)
【文献】Yue Luo, et al.,ACS CENTRAL SCIENCE,2019年,Vol.5,Pages 1591-1601
【文献】J. Am. Chem. Soc.,2019年02月,Vol.141,pp.2568-2576
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61L 26/00
A61K 47/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)と親水性高吸水性高分子とを含み、
前記金属-有機骨格体は、MOF-808(Zr(OH)(BTC)(HCOO) )、MOF-801(Zr(OH)(fumarate))、およびZr(BDC)、からなる群から選ばれる1種以上を含む、創傷被覆材。
【請求項2】
前記金属-有機骨格体は、AlおよびZrからなる群から選ばれる1種以上の金属イオンと、4,4’-ビフェニルジカルボン酸(4,4’-biphenyldicarboxilic acid)、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸(benzene-1,4-dicarboxylic acid)、9,10-アントラセンジカルボン酸(9,10-anthracenedicarboxylic acid)、ビフェニル-3,3,5,5’-テトラカルボン酸(biphenyl-3,3,5,5’-tetracarboxylic acid)、ビフェニル-3,4’,5-トリカルボン酸(biphenyl-3,4’,5-tricarboxylic acid)、5-ブロモイソフタル酸(5-bromoisophthalic acid)、5-シアノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸(5-cyano-1,3-benzenedicarboxylic acid)、2,2-ジアミノ-4,4’-スチルベンジカルボン酸(2,2-diamino-4,4’-stilbenedicarboxylic acid)、2,5-ジアミノテレフタル酸(2,5-diaminoterephthalic acid)、1,1,2,2-テトラ(4-カルボキシルフェニル)エチレン(1,1,2,2-tetra(4-carboxylphenyl)ethylene)、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸(2,5-dihydroxyterephthalic acid)、2,2-ジニトロ-4,4-スチルベンジカルボン酸(2,2-dinitro-4,4-stilbenedicarboxylic acid)、5-エチニル-1,3-ベンゼンジカルボン酸(5-ethynyl-1,3-benzenedicarboxylic acid)、2-ヒドロキシテレフタル酸(2-hydroxyterephthalic acid)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(2,6-naphthalenedicarboxylic acid)、1,2,4,5-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン(1,2,4,5-tetrakis(4-carboxyphenyl)benzene)、4,4,4’’-s-トリアジン-2,4,6-トリイル-三安息香酸(4,4,4’’-s-triazine-2,4,6-triyl-tribenzoic acid)、1,3,5-トリカルボキシベンゼン(1,3,5-tricarboxybenzene)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ酢酸(1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N’,N’’,N’’’-tetraacetic acid)、1,3,5-トリス(4-カルボキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(4-carboxy[1,1’-ビフェニル]-4-yl)benzene)、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン(1,3,5-tris(4-carboxyphenyl)benzene)、1,3,5-トリスカルボキシフェニルエチニルベンゼン(1,3,5-triscarboxyphenylethynylbenzene)からなる群から選ばれる1種以上の有機リガンドを含む、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
前記親水性高吸水性高分子は、ヒドロゲル(hydrogel)である、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記金属-有機骨格体は、親水性高吸水性高分子の総重量を基準として0.01~10重量%で含まれる、請求項1に記載の創傷被覆材。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本明細書には、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を有効成分として含む傷治癒用組成物および前記金属-有機骨格体と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材が開示される。
【0002】
〔この発明を支援した国家研究開発事業〕
本研究は、中小ベンチャー企業部の技術開発事業[S2737226]の支援による研究である。
【0003】
〔背景技術〕
皮膚は、表皮、真皮、皮下脂肪など大きく3つの層で構成されていて、各層の皮膚組織は、皮膚の色々な機能を担当する多様な細胞とこれを取り囲む物質で構成されている。皮膚が損傷を受けた場合、損傷部位が細菌と外部の毒素により侵入を受けることになり、これに対する皮膚の防御機能として炎症が誘発されることがある。
【0004】
創傷治癒(wound healing)は、損傷した皮膚に対する組織の反応であり、組織回復過程として化学走性、細胞の分化および複製、脂質タンパク質の合成、血管生成などを含む複雑な生物学的過程である。
【0005】
損傷した皮膚に対する組織回復過程は、細胞の増殖と共に、損傷した皮膚部位を回復させるための細胞移動過程が複合的に作用する。すなわち損傷した皮膚組織を復旧するために、皮膚細胞生成が活発になり、新しく生成された細胞を損傷した部位に移動させて新しい皮膚組織を形成する過程を経る。したがって、創傷治癒のためには、皮膚細胞の増殖を促進し、生成された皮膚細胞が損傷した皮膚部位に移動することを調節する作用を担当する薬物の使用が必須である。
【0006】
一方、傷の治療を迅速にし、二次的な各種副作用を最小化するためには、適切な被覆材またはドレッシングを用いた傷の治療が必須である。火傷、外傷、創傷、床擦れなどのような皮膚の傷の従来治療方法としては、創傷に消毒薬を塗布し、ガーゼ、コットンのような吸水性材料を用いて創傷部位を覆うことで創傷から発生する滲出液を吸収して傷の部位を乾燥させる方法で治療したが、近年の研究結果では、創傷部位に適当な湿潤環境が維持されることが、かえって創傷の治療に効果があることが明らかにされて、多様な形態、材料の創傷被覆材が開発され、市販されている。
【0007】
このような背景下に、本発明者らは、優れた傷治癒効果を示すと同時に、創傷被覆材として製造可能な物質に関して研究を行うことによって、本発明を完成した。
【0008】
〔先行技術文献〕
〔特許文献〕
〔特許文献1〕KR10-2019-0072333A
〔特許文献2〕KR10-2019-0083593A
〔特許文献3〕KR10-2010-0023073A
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
一態様において、本発明の目的は、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を有効成分として含む傷治癒用組成物を提供することにある。
【0009】
他の態様において、本発明の目的は、金属-有機骨格体と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材を提供することにある。
【0010】
〔課題を解決するための手段〕
一態様において、本発明は、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を有効成分として含む傷治癒用組成物を提供する。
【0011】
他の態様において、本発明は、金属-有機骨格体と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材を提供する。
【0012】
〔発明の効果〕
本発明は、金属-有機骨格体(MOF)を含む組成物に関し、傷治癒能、具体的に線維芽細胞の移動を促進させて創傷を治癒する優れた効果があり、細胞毒性において対照群と有意差がないため、創傷部位への適用時に優れた安全性を有し、前記金属-有機骨格体と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材の場合、時間が経過するにつれて目視で確認できるほどに優れた創傷回復率を有する効果がある。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体が処理された線維芽細胞の細胞毒性実験結果を示すグラフである。x軸は、24、48、72時間の時間帯別に処理された金属-有機骨格体の濃度(対照群(Control)、0.1、1および10μg/ml)を、y軸は、線維芽細胞の生存率を示す。
【0014】
図2aおよび図2bは、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体をスクラッチが生成されたマウス線維芽細胞に処理したとき、金属-有機骨格体の傷治癒能を示す図であり、図2aは、前記傷治癒能を時間による線維芽細胞の移動を撮影した写真であり、図2bは、前記線維芽細胞の移動面積を比較したグラフである。図2bのグラフのx軸は、5、10、20時間の時間帯別に処理された金属-有機骨格体の濃度(対照群(Control)、1、10および100ng/mlの濃度)であり、y軸は、線維芽細胞の移動面積(%)を示し、線維芽細胞の移動面積値が高いほど優れた傷治癒能を有する。
【0015】
図3aおよび図3bは、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体が分散したヒドロゲル(対照群(Control)、0重量%、0.2重量%の含有量)を背中部位に創傷が作られた白鼠にドレッシングした後、0、3、7、10および14日が経過したときの写真(図3a)と創傷拘縮面積を比較したグラフ(図3b)である。図3bのグラフのx軸は、前記ドレッシング後に経過した時間(日)を、y軸は、傷拘縮(contracture)面積(%)を示し、傷拘縮面積が低いほど優れた傷治癒能を有する。
【0016】
〔発明を実施するための形態〕
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の一態様において、用語「金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)」は、金属クラスターと有機リンカー(organic linkerまたは有機ブリッジリガンド(organic bridging ligands))が配位結合により連結されて3次元的な構造を形成する多孔性物質を意味し、金属イオンと有機リガンドの選択によって多様なMOFを作成できる。前記MOFは、構造内に空いた空間が存在する多孔性を有するという特徴があり、MOFを成す金属イオンおよび有機リガンドの種類と結合方式によって気孔のサイズ、気孔度、3次元構造、表面積などが多様に設計可能である。このような多孔性によって、MOFは、非常に表面積が広いだけでなく、オプンされた気孔構造を有しているので、従前に知られた他の多孔性物質に比べて大量の分子または溶媒などの移動が可能であり、触媒やガス貯蔵体として使用される場合、活性部位(active site)が多いため、効率の最大化をもたらすことができるという長所がある。また、前記MOFは、高い温度で変形が容易に起こらず、丈夫な骨格を有していて、化学的安定性および熱安定性に優れている。
【0018】
一態様において、本発明は、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を有効成分として含む傷治癒用組成物を提供する。
【0019】
本発明の一態様において、前記金属-有機骨格体は、AlおよびZrよりなる群から選ばれる1種以上の金属イオンと、4,4’-ビフェニルジカルボン酸(4,4’-biphenyldicarboxilic acid)、ベンゼン-1,4-ジカルボン酸(benzene-1,4-dicarboxylic acid)、9,10-アントラセンジカルボン酸(9,10-anthracenedicarboxylic acid)、ビフェニル-3,3,5,5’-テトラカルボン酸(biphenyl-3,3,5,5’-tetracarboxylic acid)、ビフェニル-3,4’,5-トリカルボン酸(biphenyl-3,4’,5-tricarboxylic acid)、5-ブロモイソフタル酸(5-bromoisophthalic acid)、5-シアノ-1,3-ベンゼンジカルボン酸(5-cyano-1,3-benzenedicarboxylic acid)、2,2-ジアミノ-4,4’-スチルベンジカルボン酸(2,2-diamino-4,4’-stilbenedicarboxylic acid)、2,5-ジアミノテレフタル酸(2,5-diaminoterephthalic acid)、1,1,2,2-テトラ(4-カルボキシルフェニル)エチレン(1,1,2,2-tetra(4-carboxylphenyl)ethylene)、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸(2,5-dihydroxyterephthalic acid)、2,2-ジニトロ-4,4-スチルベンジカルボン酸(2,2-dinitro-4,4-stilbenedicarboxylic acid)、5-エチニル-1,3-ベンゼンジカルボン酸(5-ethynyl-1,3-benzenedicarboxylic acid)、2-ヒドロキシテレフタル酸(2-hydroxyterephthalic acid)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(2,6-naphthalenedicarboxylic acid)、1,2,4,5-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン(1,2,4,5-tetrakis(4-carboxyphenyl)benzene)、4,4,4’’-s-トリアジン-2,4,6-トリイル-三安息香酸(4,4,4’’-s-triazine-2,4,6-triyl-tribenzoic acid)、1,3,5-トリカルボキシベンゼン(1,3,5-tricarboxybenzene)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラ酢酸(1,4,7,10-tetraazacy clododecane-N,N’,N’’,N’’’-tetraacetic acid)、1,3,5-トリス(4-カルボキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(4-carboxy[1,1’-ビフェニル]-4-yl)benzene)、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン(1,3,5-tris(4-carboxyphenyl)benzene)、1,3,5-トリスカルボキシフェニルエチニルベンゼン(1,3,5-triscarboxyphenylethynylbenzene)からなる群から選ばれる1種以上の有機リガンドを含んでもよい。具体的に、前記金属-有機骨格体は、MOF-808(Zr(OH)(BTC)(HCOO))、MOF-801(Zr(OH)(fumarate))、Zr(BDC)、Zr(NH--BDC)、Zr(OH)(BPDC)、AlO(OH)(HO)(BDC-NHおよびAl(OH)(BDC)であってもよく、より具体的に、MOF-808(Zr(OH)(BTC)(HCOO))であってもよいが、皮膚の傷部位に処理時、安全性が保障され、傷治癒用途に使用でき、また、創傷被覆材の有効成分として含むことに安全性、安定性および傷治癒能を有する金属-有機骨格体であれば、その種類は限定されない。
【0020】
本発明の一態様において、前記金属-有機骨格体は、皮膚細胞移動を促進させることができる。また、本発明の一態様において、前記金属-有機骨格体を含む組成物は、皮膚細胞移動を促進させることができる。創傷治癒過程の場合、細胞増殖(proliferation)および移動(migration)が重要であるが、前記金属-有機骨格体は、細胞の移動を促進することによって傷治癒効果を向上させることができる。具体的に、前記皮膚細胞は、皮膚線維芽細胞であってもよいが、これに限定されない。本発明の一実施例によれば、スクラッチが生成された線維芽細胞に金属-有機骨格体を処理する場合、時間が経過するほど、また、金属-有機骨格体の濃度が高いほど、対照群に比べて線維芽細胞の移動が速いことを確認したところ、前記金属-有機骨格体を含む組成物は、線維芽細胞の移動促進による優れた傷治癒効果を有することを確認した(実験例2および図2aおよび図2b)。
【0021】
本発明の一態様において、前記金属-有機骨格体は、0.001~10μg/mlであってもよい。具体的に、前記金属-有機骨格体は、0.001μg/ml以上、0.005μg/ml以上、0.01μg/ml以上、0.02μg/ml以上、0.03μg/ml以上、0.04μg/ml以上、0.05μg/ml以上、0.06μg/ml以上、0.07μg/ml以上、0.08μg/ml以上、0.09μg/ml以上、0.1μg/ml以上、0.11μg/ml以上、0.12μg/ml以上、0.13μg/ml以上、0.14μg/ml以上、0.15μg/ml以上、0.16μg/ml以上、0.17μg/ml以上、0.18μg/ml以上、0.19μg/ml以上、0.2μg/ml以上、0.3μg/ml以上、0.4μg/ml以上、0.5μg/ml以上、0.6μg/ml以上、0.7μg/ml以上、0.8μg/ml以上、0.9μg/ml以上、1μg/ml以上、2μg/ml以上、4μg/ml以上、6μg/ml以上、8μg/ml以上または10μg/ml以上であってもよく、前記金属-有機骨格体は、10μg/ml以下、8μg/ml以下、6μg/ml以下、4μg/ml以下、2μg/ml以下、1μg/ml以下、0.9μg/ml以下、0.8μg/ml以下、0.7μg/ml以下、0.6μg/ml以下、0.5μg/ml以下、0.4μg/ml以下、0.3μg/ml以下、0.2μg/ml以下、0.19μg/ml以下、0.18μg/ml以下、0.17μg/ml以下、0.16μg/ml以下、0.15μg/ml以下、0.14μg/ml以下、0.13μg/ml以下、0.12μg/ml以下、0.11μg/ml以下、0.1μg/ml以下、0.09μg/ml以下、0.08μg/ml以下、0.07μg/ml以下、0.06μg/ml以下、0.05μg/ml以下、0.04μg/ml以下、0.03μg/ml以下、0.02μg/ml以下、0.01μg/ml以下、0.005μg/ml以下または0.001μg/ml以下であってもよいが、皮膚の傷部位に処理時、細胞毒性が安全性が保障される程度であり、傷治癒用途に使用でき、また、創傷被覆材の有効成分として含むことに安全性、安定性および傷治癒能を有する程度の濃度であれば、これらに限定されない。
【0022】
本発明の一態様において、前記金属-有機骨格体は、組成物の総重量を基準として0.01~10重量%で含まれてもよい。具体的に、前記金属-有機骨格体は、組成物の総重量を基準として0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.11重量%以上、0.12重量%以上、0.13重量%以上、0.14重量%以上、0.15重量%以上、0.16重量%以上、0.17重量%以上、0.18重量%以上、0.19重量%以上、0.2重量%以上、0.25重量%以上、0.3重量%以上、0.35重量%以上、0.4重量%以上、0.45重量%以上、0.5重量%以上、0.55重量%以上、0.6重量%以上、0.65重量%以上、0.7重量%以上、0.71重量%以上、0.72重量%以上、0.73重量%以上、0.74重量%以上、0.75重量%以上、0.76重量%以上、0.77重量%以上、0.78重量%以上、0.79重量%以上、0.8重量%以上、0.85重量%以上、0.9重量%以上、0.95重量%以上、1重量%以上、5重量%以上または10重量%以上で含まれてもよく、前記金属-有機骨格体は、組成物の総重量を基準として10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、0.95重量%以下、0.9重量%以下、0.89重量%以下、0.88重量%以下、0.87重量%以下、0.86重量%以下、0.85重量%以下、0.84重量%以下、0.83重量%以下、0.82重量%以下、0.81重量%以下、0.8重量%以下、0.75重量%以下、0.7重量%以下、0.65重量%以下、0.6重量%以下、0.55重量%以下、0.5重量%以下、0.45重量%以下、0.4重量%以下、0.35重量%以下、0.3重量%以下、0.29重量%以下、0.28重量%以下、0.27重量%以下、0.26重量%以下、0.25重量%以下、0.24重量%以下、0.23重量%以下、0.22重量%以下、0.21重量%以下、0.2重量%以下、0.15重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下または0.01重量%で含まれてもよいが、皮膚の傷部位に処理時、細胞毒性が安全性が保障される程度であり、傷治癒用途に使用でき、また、創傷被覆材の有効成分として含むことに安全性、安定性および傷治癒能を有する程度の含有量であれば、これらに限定されない。
【0023】
本発明の一態様において、傷は、生体が損傷したものを総称する意味であり、生体が損傷した状態を言うものであり、創傷ともいう。前記傷は、創傷、非治癒外傷性傷、放射線照射による組織の破壊、擦過傷、裂傷、引き抜き損傷、貫通傷、銃傷、切創、火傷、凍傷、皮膚潰瘍、皮膚乾燥、皮膚角化症、割れ、破裂、皮膚炎、手術の傷または血管疾患の傷、打撲傷、角膜創傷、床擦れ、臥瘡、慢性潰瘍、手術後の縫合部位、脊椎傷害性傷、婦人科的傷、化学損傷およびにきびからなる群から選ばれるいずれか一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。また、本発明の一態様において傷と創傷は、相互交換的に使用できる。本発明の一実施例によれば、皮膚全層に創傷が誘発された白鼠の背中部位に本発明の一態様による金属-有機骨格体を含む被覆材でドレッシングした場合、時間が経過するにつれて創傷が治るところ、本発明の一実施例による金属-有機骨格体を含む組成物は、創傷治癒能を有することによって高機能性創傷治療または傷治癒用被覆材として活用が可能であることを確認した(実験例3および図3)。
【0024】
本発明の一態様において、前記組成物は、皮膚外用剤組成物であってもよく、液状、クリーム状、ペースト状または固体状でありうる。
【0025】
本発明の一態様において、前記組成物は、薬学的組成物または化粧料組成物でありうる。
【0026】
本発明の一態様において、前記薬学的組成物は、創傷治癒または治療用組成物でありうる。
【0027】
前記薬学的組成物は、局所適用に適したすべての剤形として提供できる。例えば、皮膚外用液剤、懸濁剤、乳液剤、ゲル、パッチまたは噴霧剤であってもよいが、これらに限定されるものではない。前記剤形は、当該分野における通常の方法によって容易に製造でき、界面活性剤、賦形剤、水和剤、乳化促進剤、懸濁剤、浸透圧調節のための塩または緩衝剤、着色剤、香辛料、安定化剤、防腐剤、保存剤またはその他常用の補助剤を適当に使用できる。
【0028】
前記薬学的組成物には、前記成分の他に必要に応じて薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤は、本発明の効果を損傷しない限り、限定されず、例えば充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤、潤滑剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含んでもよい。
【0029】
前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤の代表的な例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、デンプン、ゼラチン、グリセリン、アカシアガム、アルギネート、カルシウムホスフェート、カルシウムカーボネート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレート、鉱物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性オイル、注射可能なエステル、ウィテップゾール、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂などが挙げられる。
【0030】
また、本発明の一態様において、金属-有機骨格体を医薬部外品として使用する場合、さらに、同一または同様の機能を示す有効成分を1種以上含有できる。例えば、公知の傷治癒成分を含んでもよい。さらなる成分は、全体組成物の重量に対して0.0001重量%~10重量%で含まれてもよく、前記含有量の範囲は、皮膚安全性、本発明の一態様による金属-有機骨格体の剤形化時の容易性などの要件によって調節できる。
【0031】
本発明の一実施例による薬学的組成物の有効成分は、対象の年齢、性別、体重、病理状態およびその深刻度、投与経路または処方者の判断によって変わる。このような因子に基づく適用量の決定は、当業者のレベル内にあり、1日使用用量は、例えば0.1mg/kg/日~5000mg/kg/日、より具体的には、50mg/kg/日~500mg/kg/日になり得るが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の一態様において、前記化粧料組成物は、傷緩和または回復用組成物でありうる。
【0033】
前記化粧料組成物は、局所適用に適したすべての剤形として提供できる。例えば、溶液、水相に油相を分散させて得られたエマルジョン、油相に水相を分散させて得られたエマルジョン、懸濁液、固体、ゲル、粉末、ペースト、泡沫(foam)またはエアロゾル組成物の剤形で提供できる。このような剤形の組成物は、当該分野における通常の方法によって製造できる。
【0034】
前記化粧料組成物は、上記した物質以外に、主効果を損傷させない範囲内で、具体的には、主効果に相乗効果を与えることができる他の成分を含有できる。本発明の一態様による化粧料組成物は、ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖およびスフィンゴ脂質からなる群から選ばれた物質を含んでもよい。また、本発明の一態様による化粧料組成物は、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、pH調整剤、有機および無機顔料、香料、冷感剤または制汗剤を含んでもよい。前記成分の配合量は、本発明の目的および効果を損傷させない範囲内で当業者が容易に選定可能であり、その配合量は、組成物の全体重量を基準として0.01~5重量%、具体的に0.01~3重量%でありうる。
【0035】
本発明の一態様において、前記組成物は、医薬部外品組成物でありうる。また、具体的に、本発明の一態様において、前記組成物は、金属-有機骨格体を有効成分として含む傷治癒用医薬部外品組成物でありうる。
【0036】
前記医薬部外品組成物には、前記成分の他に、必要に応じて、薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤をさらに含んでもよい。前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤は、本発明の効果を損傷しない限り、限定されず、例えば充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤、潤滑剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などを含んでもよい。
【0037】
前記薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤の代表的な例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、デンプン、ゼラチン、グリセリン、アカシアガム、アルギネート、カルシウムホスフェート、カルシウムカーボネート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、タルク、マグネシウムステアレート、鉱物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物性オイル、注射可能なエステル、ウィテップゾール、マクロゴール、ツイン61、カカオ脂、ラウリン脂などが挙げられる。
【0038】
また、本発明の一態様による金属-有機骨格体を医薬部外品として使用する場合、さらに、同一または同様の機能を示す有効成分を1種以上含有できる。例えば、公知の傷治癒成分を含んでもよい。さらなる成分は、全体組成物の重量に対して0.0001重量%~10重量%で含まれてもよく、前記含有量の範囲は、皮膚安全性、本発明の一態様による金属-有機骨格体の剤形化時の容易性などの要件によって調節できる。
【0039】
本発明の一態様による医薬部外品組成物は、消毒清潔剤、シャワーフォーム、軟膏液、ウェットティッシュ、コート剤などを例示できるが、これらに限定されるものではなく、医薬部外品の製剤化方法、用量、利用方法、構成成分などは、技術分野に公知となった通常の技術から適切に選択できる。
【0040】
他の態様において、本発明は、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材を提供する。前記創傷被覆材は、傷治癒用でありうる。前記金属-有機骨格体および傷に対する説明は、上述した通りである。
【0041】
本発明の一態様において、前記親水性高吸水性高分子は、高い吸水力を示す高吸水性高分子(Super Absorbent Polymer,SAP)のうち親水性を示す高分子を意味する。前記高吸水性高分子は、一般的に澱粉、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなどの水溶性高分子を架橋により水に不溶化して得られ、分子中の数百倍の水を吸収できる。前記高吸水性高分子は、具体的にポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルギネートまたはキトサンであってもよいが、これらに限定されない。また、前記親水性高吸水性高分子は、ヒドロゲル(hydrogel)、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル セルロース、キサンタンガムおよびソジウムハイアルロネートからなる群から選ばれた一つ以上であってもよく、具体的にヒドロゲルであってもよいが、本発明の一態様による金属-有機骨格体が分散することができ、皮膚の傷部位にドレッシングしたとき、安全性が保障され、傷治癒効果を示し、創傷被覆材の有効成分として含むことに安全性、安定性および傷治癒能を有する程度の親水性高吸水性高分子であれば、その種類が限定されない。
【0042】
本発明の一実施例によれば、皮膚全層に創傷が誘発された白鼠の背中部位に本発明の一態様による金属-有機骨格体が分散したヒドロゲルを含む創傷被覆材でドレッシングした場合、時間が経過するにつれて創傷が治るところ、本発明の一実施例による金属-有機骨格体と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材は、優れた傷治癒または創傷治癒効果を有することを確認した(実験例3および図3)。
【0043】
本発明は、他の観点において、傷治癒が必要な被験者に金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を含む組成物を投与または塗布することを含む傷治癒方法に関するものであってもよい。本発明の一観点において、前記方法の投与または塗布は、本明細書に記載された投与または塗布方法および投与または塗布用量によって行われ得る。
【0044】
本発明は、さらに他の観点において、傷治癒用薬学組成物を製造するための金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)の用途に関するものであってもよい。
【0045】
本発明は、さらに他の観点において、傷治癒用化粧料組成物を製造するための金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)の用途に関するものであってもよい。
【0046】
本発明は、さらに他の観点において、傷治癒用医薬部外品組成物を製造するための金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)の用途に関するものであってもよい。
【0047】
本発明は、さらに他の観点において、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を含む組成物の傷治癒用途に関するものであってもよい。
【0048】
本発明は、さらに他の観点において、傷治癒用途の金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)を含む組成物に関するものであってもよい。
【0049】
本発明は、さらに他の観点において、創傷治癒が必要な被験者に金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材をドレッシングすることを含む傷治癒方法に関するものであってもよい。
【0050】
本発明の一観点において、前記方法のドレッシングは、本明細書に記載されたドレッシング方法およびドレッシング用量によって行われ得る。
【0051】
本発明は、さらに他の観点において、創傷被覆材を製造するための金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材の用途に関するものであってもよい。
【0052】
本発明は、さらに他の観点において、金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材の傷治癒用途に関するものであってもよい。
【0053】
本発明は、さらに他の観点において、傷治癒用途の金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)と親水性高吸水性高分子とを含む創傷被覆材を含む組成物に関するものであってもよい。
【0054】
以下、実施例および実験例により本発明の構成および効果をより具体的に説明する。しかしながら、下記の実施例および実験例は、本発明に対する理解を助けるために例示の目的だけで提供されるものであり、本発明の範疇および範囲がそれによって限定されるものではない。
【0055】
〔実施例1〕金属-有機骨格体としてMOF-808製造
創傷治癒用組成物および創傷被覆材の有効成分として含まれる金属-有機骨格体(metal-organic framework,MOF)としてMOF-808を製造するために、下記のような過程を行った。
【0056】
具体的に、50mLガラスバイアルに金属部分である0.485g(1.5mmol)のZrOCl・8HOを11.25mLのN,N’-ジメチルホルムアミド(N,N’-dimethylformamide,DMF)に溶かした後、ギ酸22.5mLをさらに混合した。ここへ、トリメシン酸(trimesic acid)0.105g(0.5mmol)が混合されている11.25mLのDMF溶液を混合した後、130℃で2日間反応させた。その後、蒸留水とアセトンで洗浄した後、蒸留水に移して凍結乾燥して、MOF-808を製造した。
【0057】
〔実施例2〕創傷被覆材の製造
前記実施例1で製造された金属-有機骨格体であるMOF-808を含む創傷被覆材を製造するために、下記のような過程を行った。
【0058】
親水性高吸水性高分子としてヒドロゲル(シグマアルドリッチ社、Poly(acrylic acid)306223)を所要の粘度に合うように超純水に500ml総重量を基準として0.1~10重量%で溶かした。完全に溶かした高分子溶液に前記実施例1で製造されたMOF-808を0.1重量%ぐらい入れ、超音波分散機(ホモジナイザー)(CAT社、X1740)に2,500rpm~10,000rpmの速度で1時間分散させた後、機械攪拌器(machanical stirrer)(大韓科学、HT-120DX)に溶液を移した後、pH調節剤としてトリエタノールアミン(KPX社)0.1重量%をドロッピングしつつ、500rpm~1,000rpmの速度で1時間撹拌して、MOF-808を含むヒドロゲルを製造した。
【0059】
〔実験例1〕金属-有機骨格体(MOF)の細胞毒性の確認
前記実施例1で製造された金属-有機骨格体であるMOF-808の細胞に及ぼす毒性程度と傷治癒用組成物の有効成分としての適合性を確認するために、下記のような実験を行った。実験方法は、ISO 10993 biological evaluation of medical devices-Part 5:test for in vitro cytotoxicity,test on extractsに提示された方法を活用し、この際に使用された細胞株は、マウス線維芽細胞(NIH3T3,ATCC)である。
【0060】
細胞毒性の評価は、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum)(Gibco,Certified FBS)を含むDMEM培養液(Gibco,DMEM,powder,high glucose)を使用して前記マウス線維芽細胞を3~4次継代培養した後に使用した。前記継代培養された細胞を1×10個の濃度で96ウェル プレート(well plate)に分注してDMEM培養液で単層培養した後、前記培養液を除去し、ここへ前記実施例1で製造されたMOF-808をそれぞれ0.1、1および10μg/mlの濃度で処理した。この際、対照群には、何も処理せずに、DMEM培養液のみを処理した。その後、それぞれの線維芽細胞を5%CO、37℃培養器で24、48、72時間培養した後、顕微鏡(OLYMPUS,CKX53 Inverted Microscope)で観察し、MTT assayを通じて細胞の生存率を測定し、その結果は図1に示された通りである。
【0061】
図1に示されたように、24、48および72時間の実験で0.1~10μg/ml濃度のMOF-808が処理された線維芽細胞は、対照群に相当する程度の細胞生存率を示した。具体的に、24、48および72時間の間に0.1および1μg/ml濃度での細胞生存率が、対照群と同様であるか、または優れていた。また、10μg/ml濃度での48および72時間細胞生存率は、対照群の約87.9%、88.5%に該当する細胞生存率を示した。特に、対照群と比較して、0.1μg/mLの濃度以下のMOF-808が処理された線維芽細胞では、約100%程度と細胞生存率が良好に維持されていることが分かった。
【0062】
これを通じて、本発明の一実施例による金属-有機骨格体を含む組成物は、対照群と比較して、細胞毒性において有意差がないことが分かる。この数値は、食品医薬品安全庁における創傷治療材の製品許可基準の細胞毒性規格(ISO10993-5細胞毒性試験(溶出法)による評価でGrade 2、細胞が50%以上で生存し、細胞溶血および細胞間の空いた空間が広くない場合には適合)を満たすGarde 1(細胞生存率80%以上)に該当するので、本発明の一態様による金属-有機骨格体を含む組成物は、創傷部位への適用時に優れた安全性を有する。
【0063】
〔実験例2〕MOFの傷治癒能の評価(Migration assay)
前記実施例1で製造された金属-有機骨格体であるMOF-808の傷治癒能の評価のために、生体外スクラッチ傷分析(in vitro scratch wound assay)実験を下記のように行った。
【0064】
まず、6ウェルプレート(well plate)に前記実験例1のマウス線維芽細胞と同じ線維芽細胞を5×10個の濃度で分注し、DMEM培養液(Gibco,DMEM,powder,high glucose)で単層培養した後、100%融合(confluent)状態でスクラッチを生成し、浮遊細胞を除去した。次に、前記実施例1のMOF-808の有効性を確認するために、MOF-808を1、10および100ng/mlの濃度で無血清(serum free)DMEM培養液に分散させて処理した後、指定時間(0、5、10、20時間)を基準として顕微鏡(OLYMPUS,CKX53 Inverted Microscope)で細胞を観察し、Image J(NIH)を通じて面積を計算し、その結果は、図2aおよび図2bに示された通りである。この際、対照群には、何も処理しない無血清DMEM培養液を処理した。
【0065】
図2aおよび図2bに示されたように、対照群に比べて1、10および100ng/mlの濃度のMOF-808が処理された実験群は、高い傷治癒能を示した。これは、MOF-808の有無に起因したのであり、時間による線維芽細胞の移動を測定した結果、時間が経過するほど、また、MOF-808の濃度が高いほど、すなわち100ng/mlの濃度の実験群において線維芽細胞の移動が速いことを確認した。
【0066】
これを通じて、本発明の一実施例による金属-有機骨格体を含む組成物は、優れた傷治癒能があり、これは、線維芽細胞の移動促進による傷治癒能であるところ、本発明の一態様による金属-有機骨格体を含む組成物は、時間が経過するほど優れた傷治癒効果を有する。
【0067】
〔実験例3〕MOFを含む創傷被覆材の動物モデルでの傷修復能の評価
前記実施例1で製造された金属-有機骨格体であるMOF-808の動物モデルでの傷治癒能の評価および創傷被覆材としての効能を確認するために、前記実施例2で製造された創傷被覆材、すなわちMOF-808を含む創傷被覆材を用いて下記のような動物実験を行った。本動物実験は、4週齢の雌(240g~270g)Sprague-Dawley種の白鼠を動物モデルとして利用した。
【0068】
具体的に、実験を進める前に1週間実験室環境に適応させるために、20~24℃、40~60%の湿度で12時間周期で明暗が自動で調節される環境で白鼠を飼育した。動物実験用被覆材である対照群および実験群は、ドレッシング前にアルミニウムパウチに封止した後、ガンマ線滅菌処理(25kGy)した。対照群としては、有効成分、すなわち前記実施例1で製造されたMOF-808を含まないヒドロゲル(0% MOF)を使用し、実験群は、前記実施例2で製造されたヒドロゲルとしてMOF-808をヒドロゲル総重量を基準として0.2重量%含有するヒドロゲル(0.2%MOF)を使用した。動物実験は、白鼠の背中部位に直径12mmの円形で皮膚全層に創傷を作った後、前記対照群および実験群の各ヒドロゲルを傷部位の全体に均一にドレッシングするほどにドレッシングし、傷部位の保護のために防水フィルムであるテガダーム(3M、テガダーム1626W)で傷部位を包んだ後、4日間隔で交換し、その結果は、図3aおよび図3bに示された通りである。この際、前記ヒドロゲルおよびMOF-808を全部傷部位にドレッシングしない白鼠の背中部位の創傷治癒経過も、同じ時間間隔で観察し、これは、図3aおよび図3bの対照群(control)に該当する。
【0069】
図3aおよび図3bに示されたように、白鼠の背中部位に誘発させた皮膚全層の創傷が、前記実施例2で製造された創傷被覆材(MOF-808を含むヒドロゲル)の処理後、時間が経過するにつれて上皮化が進行されて創傷が治ることを確認できる。対照群と比較して、実験群の創傷回復率が目視で確認できるほどに高いことを確認した。
【0070】
これを通じて、本発明の一実施例による金属-有機骨格体を含む組成物および創傷被覆材は、傷治癒能を有することによって、高機能性創傷治療用被覆材として活用可能であることが分かった。
【0071】
したがって、本発明の一態様による金属-有機骨格体(MOF)は、優れた傷治癒能を有し、前記金属-有機骨格体が分散した親水性高吸水性高分子を含む創傷被覆材は、優れた傷修復能および傷治癒能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体が処理された線維芽細胞の細胞毒性実験結果を示すグラフである。x軸は、24、48、72時間の時間帯別に処理された金属-有機骨格体の濃度(対照群(Control)、0.1、1および10μg/ml)を、y軸は、線維芽細胞の生存率を示す。
図2a図2aおよび図2bは、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体をスクラッチが生成されたマウス線維芽細胞に処理したとき、金属-有機骨格体の傷治癒能を示す図であり、図2aは、前記傷治癒能を時間による線維芽細胞の移動を撮影した写真であり、図2bは、前記線維芽細胞の移動面積を比較したグラフである。図2bのグラフのx軸は、5、10、20時間の時間帯別に処理された金属-有機骨格体の濃度(対照群(Control)、1、10および100ng/mlの濃度)であり、y軸は、線維芽細胞の移動面積(%)を示し、線維芽細胞の移動面積値が高いほど優れた傷治癒能を有する。
図2b図2aおよび図2bは、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体をスクラッチが生成されたマウス線維芽細胞に処理したとき、金属-有機骨格体の傷治癒能を示す図であり、図2aは、前記傷治癒能を時間による線維芽細胞の移動を撮影した写真であり、図2bは、前記線維芽細胞の移動面積を比較したグラフである。図2bのグラフのx軸は、5、10、20時間の時間帯別に処理された金属-有機骨格体の濃度(対照群(Control)、1、10および100ng/mlの濃度)であり、y軸は、線維芽細胞の移動面積(%)を示し、線維芽細胞の移動面積値が高いほど優れた傷治癒能を有する。
図3a図3aおよび図3bは、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体が分散したヒドロゲル(対照群(Control)、0重量%、0.2重量%の含有量)を背中部位に創傷が作られた白鼠にドレッシングした後、0、3、7、10および14日が経過したときの写真(図3a)と創傷拘縮面積を比較したグラフ(図3b)である。図3bのグラフのx軸は、前記ドレッシング後に経過した時間(日)を、y軸は、傷拘縮(contracture)面積(%)を示し、傷拘縮面積が低いほど優れた傷治癒能を有する。
図3b図3aおよび図3bは、本発明の一実施例による、金属-有機骨格体が分散したヒドロゲル(対照群(Control)、0重量%、0.2重量%の含有量)を背中部位に創傷が作られた白鼠にドレッシングした後、0、3、7、10および14日が経過したときの写真(図3a)と創傷拘縮面積を比較したグラフ(図3b)である。図3bのグラフのx軸は、前記ドレッシング後に経過した時間(日)を、y軸は、傷拘縮(contracture)面積(%)を示し、傷拘縮面積が低いほど優れた傷治癒能を有する。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b