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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20240403BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240403BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20240403BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240403BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
H04N23/52
G03B5/00 J
G03B17/55
H04N23/50
H04N23/57
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019068060
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167594
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-074722(JP,A)
【文献】特開2019-020466(JP,A)
【文献】特開2003-305004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50 -23/55
H04N 23/57
H04N 5/222- 5/257
G03B 5/00
G03B 17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と光学素子とを搭載したカメラモジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して移動可能に支持する支持機構と、
前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動部と、を備え、
前記可動体は、光軸方向において前記固定体と接触しない状態で前記支持機構に支持され、
前記撮像素子と前記支持機構とに接続される金属製の放熱部材を備え、
前記放熱部材は、前記撮像素子に設けられる金属製のランドに対してはんだ付けで固定され
前記金属製のランドは、光軸方向と交差する方向における前記撮像素子の端部に複数形成され、
前記放熱部材は、前記光軸方向に突出するとともに前記撮像素子の前記光軸方向と交差する側面と面接触する形状であって、複数の前記金属製のランドにはんだ付けされる、突出部を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記放熱部材は、前記支持機構における前記可動体を前記固定体に対して移動させる移動支点部分に接続されることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記放熱部材は、前記撮像素子における光軸方向と交差する側面と接触する配置となっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の光学ユニットにおいて、
前記放熱部材は、前記撮像素子を囲む配置となっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記支持機構は、前記可動体を前記固定体に対して光軸方向を回動軸として回動可能に支持する構成であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記支持機構は、
前記固定体に固定され、前記可動体を前記固定体に対して光軸方向と交差する第1方向を揺動軸として揺動可能に支持する第1支持機構と、
前記可動体に固定され、前記可動体を前記固定体に対して光軸方向及び前記第1方向の両方と交差する第2方向を揺動軸として揺動可能に支持する第2支持機構と、を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の光学ユニットにおいて、
前記放熱部材は、前記支持機構を介して前記可動体と前記固定体とに支持されるジンバルフレームであり、
前記ジンバルフレームは、球凸面と球凹面とが当接することにより前記支持機構に支持される構成であることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラモジュールで発生する熱を放熱することが可能な光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、放熱部材を介して撮像素子で発生した熱を放熱板に放熱する構成の撮像素子ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-70272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学ユニットとしては、カメラモジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して移動可能に支持する支持機構と、を備える構成のものがあるが、該光学ユニットは、その使用形態により小型化しなければならない場合がある。しかしながら、カメラモジュールを備える可動体と、固定体と、可動体を固定体に対して移動可能に支持する支持機構と、を備える従来の光学ユニットにおいては、小型化することに伴い、固定体に対する可動体の移動を妨げることなく、カメラモジュールで発生する熱を効率的に放熱することが困難である。そこで、本発明は、固定体に対する可動体の移動を妨げることなく、カメラモジュールで発生する熱を効率的に放熱することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、撮像素子と光学素子とを搭載したカメラモジュールを備える可動体と、固定体と、前記可動体を前記固定体に対して移動可能に支持する支持機構と、前記可動体を前記固定体に対して移動させる駆動部と、を備え、前記可動体は、光軸方向において前記固定体と接触しない状態で前記支持機構に支持され、前記撮像素子と前記支持機構とに接続される金属製の放熱部材を備えることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、可動体は光軸方向において固定体と接触しない状態で支持機構に支持されるので、固定体に対する可動体の移動が妨げられることを抑制できる。また、撮像素子と支持機構とに接続される金属製の放熱部材を備えることで、カメラモジュールで発生する熱を効率的に放熱することができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記放熱部材は、前記支持機構における前記可動体を前記固定体に対して移動させる移動支点部分に接続されることが好ましい。部材を追加することなく、カメラモジュールで発生する熱を放熱する構成を容易に形成できるためである。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記放熱部材は、前記撮像素子における光軸方向と交差する側面と接触する配置となっていることが好ましい。撮像素子における側面側から放熱できるので、光学ユニットの光軸方向における厚みの増加を抑制できるためである。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記放熱部材は、前記撮像素子を囲む配置となっていることが好ましい。光学ユニットの光軸方向における厚みの増加を抑制できるうえ、撮像素子との接触面積を大きくできカメラモジュールで発生する熱を特に効率的に放熱することができるためである。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記放熱部材は、前記撮像素子に設けられるランドに接続されることが好ましい。ランドから放熱することができ、カメラモジュールで発生する熱を特に効率的に放熱することができるためである。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記支持機構は、前記可動体を前記固定体に対して光軸方向を回動軸として回動可能に支持する構成であることが好ましい。可動体が固定体に対して光軸方向を回動軸として回動可能な構成において、固定体に対する可動体の移動を妨げることなく、カメラモジュールで発生する熱を効率的に放熱することができるためである。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記支持機構は、前記固定体に固定され、前記可動体を前記固定体に対して光軸方向と交差する第1方向を揺動軸として揺動可能に支持する第1支持機構と、前記可動体に固定され、前記可動体を前記固定体に対して光軸方向及び前記第1方向の両方と交差する第2方向を揺動軸として揺動可能に支持する第2支持機構と、を有することが好ましい。可動体が固定体に対して第1方向及び第2方向を揺動軸として揺動可能な構成において、固定体に対する可動体の移動を妨げることなく、カメラモジュールで発生する熱を効率的に放熱することができるためである。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記放熱部材は、前記支持機構を介して前記可動体と前記固定体とに支持されるジンバルフレームであり、前記ジンバルフレームは、球凸面と球凹面とが当接することにより前記支持機構に支持される構成であることが好ましい。固定体に対する可動体の移動を妨げることなく、カメラモジュールで発生する熱を放熱する構成を容易に形成できるためである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光学ユニットは、固定体に対する可動体の移動を妨げることなく、カメラモジュールで発生する熱を効率的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットの平面図である。
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの底面図である。
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図4】本発明の実施例1に係る光学ユニットの放熱機構の斜視図である。
図5】本発明の実施例1に係る光学ユニットの放熱機構の一部分の拡大斜視図である。
図6】本発明の実施例2に係る光学ユニットの放熱機構の一部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
【0017】
[実施例1](図1から図5
最初に、本発明の実施例1に係る光学ユニットについて図1から図5を用いて説明する。なお、図3において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示す。そして、図1及び図2において、符号L1が付された一点鎖線は光軸と交差する第1軸線を示し、符号L2が付された一点鎖線は光軸L及び第1軸線L1と交差する第2軸線L2を示している。また、各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。
【0018】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図1から図3を参照して、本実施例に係る光学ユニット10の構成について説明する。光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、Z軸方向(光軸方向)を回動軸とする方向(ローリング方向)、Y軸方向を回動軸とする方向(ピッチング方向)及びX軸方向を回動軸とする方向(ヨーイング方向)に変位可能な状態で可動体14を保持する固定体16と、を備えている。また、可動体14をローリング方向、ピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する回動駆動機構18A~18Cと、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回動可能に支持するスラスト受け部材20と、スラスト受け部材20に支持されるとともに固定体16に対して可動体14をローリング方向に回動可能に支持するロール固定体9と、を備えている。ここで、スラスト受け部材20及びロール固定体9は、可動体14を固定体16に対して移動可能に支持する支持機構としての役割をしている。
【0019】
また、光学ユニット10は、ジンバルフレーム25を有するジンバル機構21を備えている。ジンバルフレーム25は、第1軸線L1の両端部から光軸方向に沿って延設される第1支持部用延設部27aと、第2軸線L2の両端部から光軸方向に沿って延設される第2支持部用延設部27bと、を有している。そして、光学ユニット10は、可動体14のカメラモジュールである光学モジュール12に固定されたローリングフレーム11を備えている。
【0020】
<光学モジュール>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側にレンズ12a(光学素子)を備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学モジュール12は、一例として、光学モジュール12に生じたローリングの振れ(Z軸方向を回動軸とする回動方向の振れ)、ピッチングの振れ(Y軸方向を回動軸とする回動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(X軸方向を回動軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0021】
なお、本実施例において、光学モジュール12は、ローリングの振れ、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、この構成に限定はされない。例えば、ローリングの振れ、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れのいずれか1つまたは2つのみの補正が可能な構成でもよい。
【0022】
<撮像素子>
図2及び図3で表されるように、光学モジュール12は、被写体側とは反対側(後面)に撮像素子50を備えている。撮像素子50はハウジング12bの後面に固定されている。そして、図2で表されるように、撮像素子50は、複数のランド50aを有している。ランド50aは撮像素子50のグランドを構成する銅箔であるが、該ランド50aは、金属製のローリングフレーム11にはんだ付けにより固定されている。
【0023】
<可動体>
図1から図3において、可動体14は、光学モジュール12と、ホルダ枠22と、ロール固定体9と、磁石24A~24Cとを備えている。ホルダ枠22は、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ枠22は、一例として光学モジュール12及びロール固定体9を着脱可能に構成されている。ホルダ枠22において固定体16と対向する3面を利用して、ローリング、ピッチング及びヨーイングの補正用の磁石24A~24Cがこれらの外面に取り付けられている。なお、図3においては、磁石24A~24Cの設けられる位置が分かり易いようにホルダ枠22とは離れた位置にある状態で磁石24A~24Cを表しているが、磁石24A~24Cはホルダ枠22に取り付けられている。
【0024】
<固定体>
図1から図3において、固定体16は、固定枠28と、コイル32A~32Cと、を備えている。なお、コイル32A~32Cは、磁石24A~24Cと対向する位置において固定枠28に取り付けられている。図2で表されるように、本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、磁石24Cとコイル32C、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対、磁石24Cとコイル32Cとの対は、夫々回動駆動機構18A~18Cを構成している。すなわち、回動駆動機構18A~18Cは、可動体14と固定体16とが対向し光軸方向と交差する3面に設けられ、可動体14を固定体16に対して移動させる駆動部としての役割をしている。回動駆動機構18A~18Cにより、可動体14のローリング、ピッチング及びヨーイングの補正が行われる。なお、本実施例において、コイル32A~コイル32Cは一例としてシート状コイルとして構成されている。ただし、シート状コイルの代わりに巻線コイルなどを使用してもよい。
【0025】
また、ローリング、ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にローリング方向、ピッチング方向、ヨーイング方向の少なくともいずれか一方向の振れが発生すると、不図示の振れ検出センサ(ジャイロスコープ)によって振れを検出し、その結果に基づいて回動駆動機構18A~18Cを駆動させる。その後、不図示の磁気センサー(ホール素子)などを用いて、光学ユニット10の振れを精度よく回動駆動機構18A~18Cがその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A~32Cに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0026】
本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、光軸方向、並びに、第1軸線L1及び第2軸線L2を回動軸として、回動させる回動駆動機構18A~18Cを備えている。なお、第1軸線L1と第2軸線L2での回動の複合によりピッチングの軸方向及びヨーイングの軸方向に回動する。
【0027】
<ジンバル機構>
ジンバル機構21は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、図3で表されるように、本実施例のジンバル機構21は、ジンバルフレーム25を有し、ジンバルフレーム25の四方のコーナー部から被写体側とは反対側に光軸方向に90°折り曲げられて形成される、2つの第1支持部用延設部27aと、2つの第2支持部用延設部27bと、を備えることによって構成されている。なお、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bについては、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。本実施例のジンバル機構21は、このような構成となっていることで、外側方向に向けて与圧を与えることが可能な構成となっている。
【0028】
<スラスト受け部材>
スラスト受け部材20は、可動体14を固定体16に対して、第1軸線L1と第2軸線L2を回動軸として、回動可能に支持する。スラスト受け部材20としては、第1支持部用延設部27aを支持する2つの第1スラスト受け部材20aと、第2支持部用延設部27bを支持する2つの第2スラスト受け部材20bと、を有している。そして、第1スラスト受け部材20aは固定体16の矩形枠状の固定枠28における4隅のうちの対向する2か所に配置され、第2スラスト受け部材20bは矩形枠状の可動体14の4隅(詳細にはロール固定体9の折り曲げ部9b)のうちの対向する2か所に配置される。すなわち、第1スラスト受け部材20aは固定体16に固定され、第2スラスト受け部材20bは可動体14に固定される。なお、矩形枠状の固定枠28と矩形枠状の可動体14とは4隅の位置が揃うように配置され、第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bは該4隅に1つずつ配置される。
【0029】
なお、第1支持部用延設部27aには外側に向けて球凸面B1が設けられ(図3参照)、第1スラスト受け部材20aには該球凸面B1と当接する位置に外側に向かう球凹面B2(図2参照)が設けられ、該球凸面B1と球凹面B2とが当接することにより第1支持部用延設部27aは第1スラスト受け部材20aに支持されている。そして、同様に、第2支持部用延設部27bには内側に向けて球凸面B1が設けられ、第2スラスト受け部材20bには該球凸面B1と当接する位置に内側に向かう球凹面B2(図3参照)が設けられ、該球凸面B1と球凹面B2とが当接することにより第2支持部用延設部27bは第2スラスト受け部材20bに支持されている。
【0030】
<ロール固定体>
図1及び図2で表されるように、ロール固定体9は、第1軸線L1に沿う方向における2か所で第1スラスト受け部材20aを介してジンバルフレーム25と固定され、第2軸線L2に沿う方向における2か所で第2スラスト受け部材20bを介してジンバルフレーム25と固定されている。詳細には、ロール固定体9は、折り曲げ部9bに孔部B3が形成されており、該孔部B3を通して第1支持部用延設部27a及び第2支持部用延設部27bの球凸面B1が第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bの球凹面B2に当接されることで、ジンバルフレーム25と固定されている。
【0031】
ここで、ジンバルフレーム25は第1軸線L1に沿う方向における2か所で第1スラスト受け部材20aを介して固定体16の固定枠28に固定されている。すなわち、ロール固定体9は、固定体16に対して第1軸線L1を回動軸として回動可能である。そして、ジンバルフレーム25は、ロール固定体9に対して第2軸線L2を回動軸として回動可能である。ロール固定体9がこのような構成をしていることで、本実施例の可動体14は、光軸方向において固定体16の他の部材と接触しない状態で、支持機構としてのスラスト受け部材20及びロール固定体9に支持されていると言える。
【0032】
<ローリングフレーム11>
次に、図1図3に加えて、図4及び図5を参照して、本実施例の光学ユニット10の要部であるローリングフレーム11について詳細に説明する。
【0033】
本実施例のローリングフレーム11は、図4で表されるように、撮像素子50における光軸方向と交差する周囲方向に配置された矩形枠状部111と、矩形枠状部111から光軸方向に突出し、撮像素子50のランド50aにはんだ付けされる突出部112と、矩形枠状部111の4隅から外側に延びる延設部114と接続されたロール固定体9に対する接続部113と、を有している。突出部112は、矩形の撮像素子50の4つの側面各々に形成されたランド50aに対応して4つ形成されている。また、接続部113は、ロール固定体9の4隅に対応して4つ形成されている。
【0034】
ここで、接続部113は、延設部114に固定される固定部113aと、略U字形状のU字形状部113bと、ロール固定体9の折り曲げ部9bの先端部分に設けられた被係合部9aに移動可能に係合される係合部113cと、を備えている。U字形状部113bは、薄板形状なので、変形することでロール固定体9に対する光学モジュール12のローリング方向の回動を許容する。
【0035】
なお、光学ユニット10の使用に伴い、例えば撮像素子50等、光学モジュール12は発熱するが、本実施例の光学ユニット10においては、撮像素子50のランド50aと、撮像素子50の側面に接触するとともに、はんだによりランド50aと接続されるローリングフレーム11と、ローリングフレーム11と接続されるロール固定体9と、は何れも金属で構成されている。このため、本実施例の光学ユニット10は、撮像素子50の熱を効率的に放熱可能な構成となっている。ここで、これらを構成する金属としてはSUSや銅などが挙げられるが特に限定はない。
【0036】
このように、本実施例の光学ユニット10は、撮像素子50とロール固定体9とに接続される金属製の放熱部材であるローリングフレーム11を備えるので、光学モジュール12で発生する熱を効率的に放熱することができる。また、上記のように、本実施例の光学ユニット10においては、可動体14は、光軸方向において固定体16の他の部材と接触しない状態でスラスト受け部材20及びロール固定体9に支持されているので、固定体16に対する可動体14の移動が妨げられることを抑制できる。
【0037】
ここで、上記のように、本実施例の可動体14は、被係合部9aに移動可能に係合される係合部113cを備えるローリングフレーム11を有しているので、ロール固定体9の折り曲げ部9bの先端部分に設けられた被係合部9aを移動支点としてローリングすることが可能な構成となっている。すなわち、本実施例の光学ユニット10においては、ローリングフレーム11は、ロール固定体9における可動体14を固定体16に対して移動させる移動支点部分に接続されている。このような構成としていることで、本実施例の光学ユニット10は、部材を追加することなく、光学モジュール12で発生する熱を放熱する構成を容易に形成している。
【0038】
また、上記のように、本実施例のローリングフレーム11は、撮像素子50における光軸方向と交差する側面と接触(詳細には突出部112が撮像素子50の側面に対して面接触)する配置となっている。このため、本実施例の光学ユニット10は、撮像素子50における側面側から放熱する構成としており、光学ユニット10の光軸方向における厚みの増加を抑制している。
【0039】
また、上記のように、本実施例のローリングフレーム11は、撮像素子50を囲む配置となっている。このため、本実施例の光学ユニット10は、光軸方向における光学ユニット10の厚みの増加を抑制しているうえ、ローリングフレーム11と撮像素子50との接触面積を大きくし、光学モジュール12で発生する熱を特に効率的に放熱する構成としている。
【0040】
また、上記のように、本実施例のローリングフレーム11は、撮像素子50に設けられるランド50aに接続されている。このため、本実施例の光学ユニット10は、ランド50aから放熱することができ、光学モジュール12で発生する熱を特に効率的に放熱する構成としている。
【0041】
また、上記のように、本実施例のロール固定体9は、可動体14を固定体16に対して光軸方向を回動軸として回動可能(ローリング振れを補正可能)に支持する構成である。本実施例の光学ユニット10は、可動体14が固定体16に対して光軸方向を回動軸として回動可能な構成において、固定体16に対する可動体14の移動を妨げることなく、光学モジュール12で発生する熱を効率的に放熱することができる構成としている。
【0042】
[実施例2](図6
次に、実施例2の光学ユニット10について図6を用いて説明する。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0043】
上記のように、実施例1の光学ユニット10においては、支持機構が可動体14を固定体16に対してローリングの振れを補正可能に支持する構成であった。一方、本実施例の光学ユニット10は、ロール固定体9及びローリングフレーム11を有さず、ジンバルフレーム25及び金属製のスラスト受け部材20によってピッチングの振れ及びヨーイングの振れのみを支持機構が補正可能に支持する構成である。なお、本実施例の第1スラスト受け部材20aは固定体16の固定枠28に固定されており、本実施例の第2スラスト受け部材20bは可動体14のホルダ枠22に固定されている。
【0044】
図6で表されるように、本実施例の支持機構は、第1支持部用延設部27a及び第2支持部用延設部27bには内側に向かう球凹面B2が設けられ、第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bには該球凹面B2と当接する位置に内側に向かう球凸面B1が設けられ、該球凹面B2と球凸面B1とが当接することにより第1支持部用延設部27a及び第2支持部用延設部27bは第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bに支持されている。なお、本実施例の光学ユニット10においては、第1支持部用延設部27a及び第1スラスト受け部材20aと、第2支持部用延設部27b及び第2スラスト受け部材20bと、は同様の構成である。
【0045】
すなわち、本実施例の光学ユニット10においては、支持機構としてのスラスト受け部材20は、固定体16に固定され、可動体14を固定体16に対して光軸方向と交差する第1方向(第1軸線L1方向)を揺動軸として揺動可能に支持する第1支持機構としての第1スラスト受け部材20aと、可動体14に固定され、可動体14を固定体16に対して光軸方向及び第1方向の両方と交差する第2方向(第2軸線L2方向)を揺動軸として揺動可能に支持する第2支持機構としての第2スラスト受け部材20bと、を有している。本実施例の光学ユニット10は、可動体14が固定体16に対して第1方向及び第2方向を揺動軸として揺動可能な構成において、固定体16に対する可動体14の移動を妨げることなく、光学モジュール12で発生する熱を効率的に放熱することができる構成としている。
【0046】
ここで、本実施例の光学ユニット10においては、放熱部材は、スラスト受け部材20を介して可動体14と固定体16とに支持されるジンバルフレーム25であり、ジンバルフレーム25は、球凸面B1と球凹面B2とが当接することによりスラスト受け部材20に支持される構成である。本実施例の光学ユニット10は、このような構成としていることで、固定体16に対する可動体14の移動を妨げることなく、光学モジュール12で発生する熱を放熱する構成を容易に形成している。
【0047】
なお、実施例1の光学ユニット10においても、ジンバルフレーム25を介して光学モジュール12で発生する熱を効率的に放熱することができる構成となっており、本実施例の光学ユニット10と同様の特徴を有する。
【0048】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。
また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
9…ロール固定体(支持機構)、10…光学ユニット、
11…ローリングフレーム(放熱部材)、
12…光学モジュール(カメラモジュール)、12a…レンズ(光学素子)、
12b…ハウジング、14…可動体、16…固定体、
18A…回動駆動機構(駆動部)、18B…回動駆動機構(駆動部)、
18C…回動駆動機構(駆動部)、20…スラスト受け部材(支持機構)、
20a…第1スラスト受け部材(第1支持機構)、
20b…第2スラスト受け部材(第2支持機構)、21…ジンバル機構、
22…ホルダ枠、24A…磁石、24B…磁石、24C…磁石、
25…ジンバルフレーム(放熱部材)、27a…第1支持部用延設部、
27b…第2支持部用延設部、28…固定枠、32A…コイル、32B…コイル、
32C…コイル、50…撮像素子、111…矩形枠状部、112…突出部、
113…接続部、113a…固定部、113b…U字形状部、113c…係合部、
114…延設部、B1…球凸面、B2…球凹面、B3…孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6