(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/122 20230101AFI20240403BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240403BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240403BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240403BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240403BHJP
H10K 59/80 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
H10K59/122
G09F9/30 309
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K50/15
H10K50/17
H10K50/844 445
H10K59/80
(21)【出願番号】P 2019205043
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0139326
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0033816
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジェクォン
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-174906(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190847(WO,A1)
【文献】特開2014-072186(JP,A)
【文献】特開2018-087906(JP,A)
【文献】特許第6378856(JP,B1)
【文献】特開2007-242592(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110021629(CN,A)
【文献】特開2004-086014(JP,A)
【文献】特開2016-181498(JP,A)
【文献】特開2018-129471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
H05B 33/00-33/28
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを含む回路素子層と、
前記トランジスタと接続された第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される有機発光層、前記第1電極と前記有機発光層との間に配置される正孔制御層、前記第1電極を露出させる第1開口部が定義された第1ピクセル定義層及び前記第1ピクセル定義層上に配置され、前記第1開口部と重畳する第2開口部が定義された第2ピクセル定義層を含むディスプレイ素子層と、
前記ディスプレイ素子層上に配置された封入層と、を備え、
前記第1ピクセル定義層の上面は、前記有機発光層及び前記正孔制御層から露出され、
前記正孔制御層は、前記第1ピクセル定義層のうち前記第1開口部を定義する側面全体と前記第1電極に接触
し、
前記第1ピクセル定義層及び前記第2ピクセル定義層は同じ撥液性物質を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記有機発光層に対する第2ピクセル定義層の撥液性は、前記第1ピクセル定義層の撥液性よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1開口部の一方向での幅は、前記第2開口部の前記一方向での幅よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1開口部及び前記第2開口部のそれぞれは、複数提供され、
前記第1開口部及び前記第1開口部と対応する前記第2開口部は、平面上で互いに重畳することを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1電極は、複数提供され、それぞれが対応する前記第1開口部と重畳し、
前記第2電極は、前記第1電極と重畳することを特徴とする、請求項4に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第2電極は、前記第2ピクセル定義層、前記第1ピクセル定義層の前記上面と前記有機発光層をカバーすることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記封入層は、
前記第2電極をカバーする第1封入無機層、前記第1封入無機層と対向する第2封入無機層、及び前記第1封入無機層と前記第2封入無機層との間に配置される封入有機層を含むことを特徴とする、請求項6に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第2ピクセル定義層は、前記有機発光層と離隔されたことを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1ピクセル定義層のうち前記第1開口部を定義する側面及び前記第2ピクセル定義層のうち前記第2開口部を定義する側面は、互いに段階的な構造であることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
第1開口部が定義された第1ピクセル定義層と、
前記第1ピクセル定義層上に配置され、前記第1開口部と重畳する第2開口部が定義された第2ピクセル定義層と、
前記第1開口部によって露出される第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された有機発光層及び前記第1電極と前記有機発光層との間に配置される正孔制御層を含む有機発光素子と、を備え、
前記第2ピクセル定義層の前記有機発光層に対する撥液性は、前記第1ピクセル定義層の前記有機発光層に対する撥液性よりも大きく、
前記正孔制御層は、前記第1ピクセル定義層のうち前記第1開口部を定義する側面全体と前記第1電極に接触
し、
前記第1ピクセル定義層及び前記第2ピクセル定義層は同じ撥液性物質を含むことを特徴とする、ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1ピクセル定義層の上面は、
前記有機発光層及び前記正孔制御層から露出されたことを特徴とする、請求項10に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第2ピクセル定義層は、前記有機発光層と離隔されたことを特徴とする、請求項10に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記有機発光層及び前記正孔制御層のそれぞれは、対応する前記第1開口部及び前記第2開口部に重畳することを特徴とする、請求項10に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記第1開口部の一方向での幅は、前記第2開口部の前記一方向での幅よりも小さいことを特徴とする、請求項10に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置及びその製造方法に関し、詳細には、工程の信頼性が向上したディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は、携帯が可能な薄型のフラットパネルディスプレイ装置に代替される傾向にある。フラットパネルディスプレイ装置の中でも、発光ディスプレイ装置は、自己発光型ディスプレイ装置として視野角が広く、コントラストが優れているだけでなく、応答速度が速いという利点を有していて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。なお、有機発光層の形成物質が有機物で構成される有機発光ディスプレイ装置は、無機発光ディスプレイ装置に比べて輝度、駆動電圧、応答速度、並びに多色特性の実現の観点から優れている。
【0003】
有機発光ディスプレイ装置は、天然色画面を実現するために赤色光、緑色光、及び青色光を放出するサブピクセルを含む。赤色サブピクセルでは、赤色光を発する有機発光層が形成され、緑色サブピクセルは、緑色光を発する有機発光層が形成され、青色サブピクセルでは、青色光を発する有機発光層が形成される。
【0004】
このとき、有機発光層が望みのサブピクセルに形成されないか、又は隣接したサブピクセルに形成されると、異なる色を発光する有機発光層が混ざって有機発光ディスプレイ装置の画質が低下するという問題点がある。
【0005】
特に、有機発光層を形成するにあたって、ノズルを用いて、溶液を下に落とすノズルプリンティング技法を利用する場合には、これらの問題点に起因して画質を向上させるのに限界が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8389323号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0007398号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0191781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0071885号明細書
【文献】特許第4857688号公報
【文献】韓国登録特許第10-0606948号公報
【文献】韓国登録特許第10-0619486号公報
【文献】韓国公開特許第10-2016-0129995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、撥液性の向上されたピクセル定義層を有するディスプレイ装置と、その装置における有機発光素子の有機層を容易に形成する製造方法と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスプレイ装置は、トランジスタを含む回路素子層、前記トランジスタと接続された第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に配置される有機層、前記第1電極を露出させる第1開口部が定義された第1ピクセル定義層及び前記第1ピクセル定義層上に配置され、前記第1開口部と重畳する第2開口部が定義された第2ピクセル定義層を含むディスプレイ素子層、並びに前記素子層上に配置された封入層を備え、前記第1ピクセル定義層の上面は、前記有機層から露出される。
【0009】
前記有機層に対する第2ピクセル定義層の撥液性は、前記第1ピクセル定義層の撥液性よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
前記有機層は、前記第1ピクセル定義層のうち前記第1開口部を定義する第1ピクセル定義層の側面及び前記第1電極と接触することを特徴とする。
【0011】
前記第1開口部の一方向での幅は、前記第2開口部の前記一方向での幅よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
前記第1開口部及び前記第2開口部のそれぞれは、複数で提供され、前記第1開口部及び前記第1開口部に対応する前記第2開口部は、平面上で互いに重畳することを特徴とする。
【0013】
前記第1電極は、複数で提供され、それぞれが対応する前記第1開口部と重畳し、前記第2電極は、前記第1電極と重畳することを特徴とする。
【0014】
前記第2電極は、前記第2ピクセル定義層、前記第1ピクセル定義層の前記上面、及び前記有機層をカバーすることを特徴とする。
【0015】
前記封入層は、前記第2電極をカバーする第1封入無機層、前記第1封入無機層と対向する第2封入無機層、及び前記第1封入無機層と前記第2封入無機層との間に配置される封入有機層を含むことを特徴とする。
【0016】
前記第2ピクセル定義層は、前記有機層と離隔されたことを特徴とする。
【0017】
前記第1ピクセル定義層のうち前記第1開口部を定義する側面及び前記第2ピクセル定義層のうち前記第2開口部を定義する側面は、互いに階段状の構造であることを特徴とする。
【0018】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、及び有機発光層のうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置は、第1開口部が定義される第1ピクセル定義層と、前記第1ピクセル定義層上に配置されて前記第1開口部と重畳する第2開口部が定義される第2ピクセル定義層と、有機発光素子と、を備える。前記有機発光素子は、前記第1開口部によって露出される第1電極、前記第1電極と対向する第2電極、及び前記第1電極と前記第2電極との間に配置された有機層を含む。前記第2ピクセル定義層の前記有機層に対する撥液性は、前記第1ピクセル定義層の前記有機層に対する撥液性よりも大きいことを特徴とする。
【0020】
前記第1ピクセル定義層の上面は、前記有機層から露出されたことを特徴とする。
【0021】
前記有機層は、前記第1ピクセル定義層のうち前記第1開口部を定義する側面及び前記第1電極と接触することを特徴とする。
【0022】
前記第2ピクセル定義層は、前記有機層と離隔されたことを特徴とする。
【0023】
前記有機層は、前記第1開口部及び前記第2開口部のそれぞれに重畳することを特徴とする。
【0024】
前記第1開口部の一方向での幅は、前記第2開口部の前記一方向での幅よりも小さいことを特徴とする。
【0025】
本発明の一実施形態によるディスプレイ装置の製造方法は、第1電極が形成されたベース基板上に第1材料をコーティングして予備的(preliminary)な第1ピクセル定義層を形成する段階と、予備的な第1ピクセル定義層で第1電極を露出する第1開口部を形成して第1ピクセル定義層を形成する段階と、第1ピクセル定義層上にプラズマ処理を実行する段階と、第1有機物質を提供して予備的な有機層を形成する段階と、第1ピクセル定義層上に第2材料をコーティングして予備的な第2ピクセル定義層を形成する段階と、予備的な第2ピクセル定義層で第1開口と重畳する第2開口を形成することにより第2ピクセル定義層を形成する段階と、第2有機物質を提供することにより有機層を形成する段階と、を備える。有機層の厚さは、予備的な有機層の厚さより大きいことを特徴とする。
【0026】
有機層を形成することは、第1開口部および第2開口部を充填する第2有機物質を提供し、第2有機物質を乾燥させることを含むことを特徴とする。
【0027】
第2有機物質の乾燥後、第1ピクセル定義層の上面が有機層から露出されることを特徴とする。
【0028】
予備的な有機層の形成は、第1ピクセル定義層の上面を露出させるために第1開口部で第1有機物質を提供する段階と、前記第1有機物質を乾燥させる段階と、を備えることを特徴とする。
【0029】
第1有機物質の乾燥後、第1ピクセル定義層の上面が予備的な有機層から露出されることを特徴とする。
【0030】
第1有機物質は第2有機物質と同一であることを特徴とする。
【0031】
予備的な第1ピクセル定義層は、第1有機物質に対して初期の撥液性を有してもよい。第1ピクセル定義層は、第1有機物質に対して、初期の撥液性よりも低い第1撥液性を有してもよい。第1撥液性は、プラズマ処理により初期の撥液性を低下させることで得られることを特徴とする。
【0032】
第1有機物質は、第2有機物質と異なることを特徴とする。
【0033】
前記方法は、第2ピクセル定義層の形成後に、予備的な有機層を除去する段階と、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、プラズマ処理の進行後に減少した第1ピクセル定義層の撥液性を補完するために、第2ピクセル定義層を第1ピクセル定義層上に配置させることで、信頼性の向上した有機発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示する斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示する断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示するブロック図である。
【
図3C】本発明の一実施形態によるディスプレイパネルの一部分を簡略に図示する平面図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示する断面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示する拡大された断面図である。
【
図4C】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示する断面図である。
【
図5A】ピクセル定義層の撥液性による有機物質の充填率の差を示すグラフである。
【
図5B】ピクセル定義層の撥液性による有機物質の充填率の差を示すグラフである。
【
図5C】ピクセル定義層の撥液性による有機物質の充填率の差を示すグラフである。
【
図5D】ピクセル定義層の撥液性による有機物質の充填率の差を示すグラフである。
【
図6A】ピクセル定義層のプラズマ処理による有機物質の充填状態の変化を示す平面図である。
【
図6B】ピクセル定義層のプラズマ処理による有機物質の充填状態の変化を示す平面図である。
【
図7A】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7B】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7C】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7D】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7E】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7F】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7G】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7H】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7I】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図7J】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図8B】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9A】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9C】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9D】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9E】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9F】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図9G】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法を図示する断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置を図示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書では、ある構成要素(又は領域、層、部分など)が、他の構成要素に対して「上にある」、「接続される」、又は「結合される」と述べられている場合に、これは、他の構成要素上に直接配置/接続/結合されることができるか、又はそれらの間に第3構成要素が配置される可能性もあることを意味する。
【0037】
同一の図面符号は同一の構成要素を指し示す。また、図面において、構成要素の厚さ、比率、及び寸法は、技術的な内容の効果的な説明のために誇張されたものである。
【0038】
「及び/又は」は、関連する構成要素が定義されうる、1つ以上の組み合わせをすべて含む。
【0039】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用されるものの、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱せずに、第1構成要素は、第2構成要素として命名されることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素として命名されることができる。単数の表現は、文脈上明らかに別のことを示していると判定されない限り、複数の表現を含む。
【0040】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示されたエレメントの相関関係を説明するために使用される。前記用語は、相対的な概念で、図面に示されている方向を基準に説明される。
【0041】
別の方法で定義されていない限り、本明細書で使用されたすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連技術のコンテキストでの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきで、明細書で明示的に定義されない限り、理想的な、又は過度に形式的な意味に解釈されてはならない。
【0042】
「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在を指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在若しくは付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の断面図である。
図3Aは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置のブロック図である。
図3Bは、
図3Aに図示されたピクセルの等価回路図である。
図3Cは、本発明の一実施形態によるディスプレイパネルの一部分を簡略に図示した平面図である。以下、
図1~
図3Cを参照して、本発明に係るディスプレイ装置を説明する。
【0044】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置(DD)は、ディスプレイ面(DD-IS)を介してイメージ(IM)をディスプレイする。ディスプレイ面(DD-IS)は、第1方向(DR1)及び第2方向(DR2)が定義する面と平行である。ディスプレイ面(DD-IS)の法線方向、すなわちディスプレイ装置(DD)の厚さ方向は、第3方向(DR3)と称される。
【0045】
本実施形態において、携帯電話端末に適用されうるディスプレイ装置(DD)を例として図示した。図示していないものの、マザーボードに実装された電子モジュール、カメラモジュール、電源モジュールなどがディスプレイ装置(DD)とともにブラケット/ケースなどに配置されることにより、携帯電話端末を構成する。本発明に係るディスプレイ装置(DD)は、テレビ、モニター、などのような大型電子装置をはじめ、タブレット、カーナビゲーション、ゲーム機、スマートウォッチなどのような中小型電子装置などに適用されうる。
【0046】
一実施形態によるアクティブ領域(DD-DA)は、長方形である。非アクティブ領域(DD-NDA)は、活性領域(DD-DA)と隣接する。非アクティブ領域(DD-NDA)は、活性領域(DD-DA)を取り囲むことができる。ただし、これに限定されず、活性領域(DD-DA)の形状と非アクティブ領域(DD-NDA)の形状は、補完的にデザインされ、非アクティブ領域(DD-NDA)は、省略されることができる。
【0047】
図2を参照すると、ディスプレイ装置(DD)は、ベース層(BL)、回路素子層(CL)、ディスプレイ素子層(OL)、及び封入層(TFE)を含む。
【0048】
ベース層(BL)は、ディスプレイ装置(DD)の他のエレメントが配置される基底層である。ベース層(BL)は、合成樹脂層を含む。ディスプレイ装置(DD)の製造時に利用される作業基板上に合成樹脂層を形成する。以降、合成樹脂層上に導電層及び絶縁層などを形成する。作業基板が除去されると、合成樹脂層は、ベース層(BL)に対応する。合成樹脂層は、フレキシブルなポリイミド系の樹脂層である。なお、ベース層(BL)は、リジッド(rigid)なガラス基板、金属基板、又は有機/無機複合材料基板などであってもよく、いずれか一つの実施形態に限定されるものではない。
【0049】
回路素子層(CL)は、ベース層(BL)上に配置される。回路素子層(CL)は、少なくとも一つの絶縁層と回路素子を含む。回路素子層(CL)に含まれている絶縁層は、少なくとも一つの無機層及び/又は少なくとも一つの有機層を含む。回路素子は、信号ライン、ピクセルの駆動回路などを含む。コーティングや蒸着等による絶縁層、半導体層及び導電層の形成工程と、フォトリソグラフィ工程による絶縁層、半導体層及び導電層のパターニング工程を介して回路素子層(CL)が形成される。
【0050】
ディスプレイ素子層(OL)は、回路素子層(CL)上に配置されて回路素子層(CL)と電気的に接続される。ディスプレイ素子層(OL)は、後述する有機発光素子(OD:
図4A)を含む。ディスプレイ素子層(OL)は、後述するピクセル定義層(PLE:
図4A)のような有機層を包含できる。
【0051】
封入層(TFE)はディスプレイ素子層(OL)上に配置される。封入層(TFE)はディスプレイ素子層(OL)をカバーし、外部から流入される水分や酸素を遮断してディスプレイ素子層(OL)を保護する。封入層(TFE)は、複数の無機層及び有機層を含む薄膜の形態で提供される。
【0052】
図3Aに示されたように、ディスプレイ装置(DP)は、タイミング制御部(TC)、ゲート駆動部(SD)、データ駆動部(DG)、並びにピクセル領域(PXP)を含む。一方、これは例として示されたものであり、本発明の一実施形態で、タイミング制御部(TC)、ゲート駆動部(SD)、データ駆動部(DG)のうち少なくともいずれか一つは、ディスプレイ装置(DD)とは別途に提供される。一実施形態に係るタイミング制御部(TC)、ゲート駆動部(SD)、データ駆動部(DG)、並びにピクセル領域(PXP)は、回路素子層(CL)に形成される。
【0053】
タイミング制御部(TC)は、入力映イメージ信号を受信し、ディスプレイ装置(DD)の動作モードに適合するように変換されたイメージデータ(IDATA)と多様な制御信号(SCS、DCS)を出力する。
【0054】
ゲート駆動部(SD)は、タイミング制御部(TC)からゲート駆動制御信号(SCS)を受信する。ゲート駆動制御信号(SCS)を供給されたゲート駆動部(SD)は、複数のゲート信号を生成する。ゲート信号は、ディスプレイ装置(DD)に順次供給される。
【0055】
データ駆動部(DG)は、タイミング制御部(TC)からデータ駆動制御信号(DCS)と変換された映像データ(IDATA)を受信する。ゲート駆動部(SD)は、データ駆動制御信号(DCS)と変換された映像データ(IDATA)に基づいて、複数のデータ信号を生成する。データ信号は、ディスプレイ装置(DD)に供給される。
【0056】
ディスプレイ装置(DD)は、外部から電気的信号を印加されてイメージをディスプレイする。ディスプレイ装置(DD)は、複数のゲートライン(SL1~SLn)、複数のデータライン(DL1~DLm)、及び複数のピクセル(PX11~PXnm)を含む。
【0057】
ゲートライン(SL1~SLn)は、第1方向(DR1)に配列され、第1方向(DR1)と交差する第2方向(DR2)に延長される。ゲートライン(SL1~SLn)は、ゲート駆動部(SD)からゲート信号を順次供給される。
【0058】
データライン(DL1~DLm)は、ゲートライン(SL1~SLn)に絶縁されるように交差する。データライン(DL1~DLm)は、第2方向(DR2)に配列され、第1方向(DR1)に延長される。データライン(DL1~DLm)は、ゲート駆動部(SD)からデータ信号を受信する。
【0059】
ディスプレイ装置(DD)は、外部から第1電源電圧(ELVDD)及び第2電源電圧(ELVSS)を供給される。ピクセルの(PX11~PXnm)それぞれは、対応するゲート信号に応答してターンオン(turn on)される。ピクセル(PX11~PXnm)のそれぞれは、第1電源電圧(ELVDD)及び第2電源電圧(ELVSS)を受信して、対応するデータ信号に応答して光を生成する。第1電源電圧(ELVDD)は、第2電源電圧(ELVSS)よりも高いレベルの電圧である。
【0060】
ピクセル(PX11~PXnm)は、ゲートライン(SL1~SLn)のうち対応するゲートラインに接続され、ピクセル(PX11~PXnm)は、データライン(DL1~DLm)のうち対応するデータラインに接続される。
【0061】
ピクセル(PX11~PXnm)のそれぞれは、対応するゲートラインからゲート信号を受信し、対応するデータラインからデータ信号を受信する。ピクセル(PX11~PXnm)のそれぞれは、対応するゲート信号に応答してターンオンされる。ピクセル(PX11~PXnm)のそれぞれは、対応するデータ信号に応答してイメージを構成する光を生成する。
【0062】
ピクセル(PX11~PXnm)のそれぞれは、少なくとも1つのトランジスタ、少なくとも一つのキャパシタ、並びに有機発光素子を含む。
図3Bには、ゲートライン(SL1~SLn)のうち1つのゲートライン(SL)、データライン(DL1~DLm)のうち1つのデータライン(DL)、及び電源ライン(PL)に接続された1つのピクセル(PX)の等価回路が例として示された。
【0063】
ピクセル(PX)は、第1トランジスタ(T1)、第2トランジスタ(T2)、キャパシタ(Cst)、並びに有機発光素子(OD)を含む。第1トランジスタ(T1)は、入力電極、及び出力電極を含む。第1トランジスタ(T1)は、ゲートライン(GL)に印加されたゲート信号に応答して対応するデータライン(DL)に印加されたデータ信号を出力する。
【0064】
キャパシタ(Cst)は、第1トランジスタ(T1)に接続された第1キャパシタ電極及び第1電源電圧(ELVDD)を受信する第2キャパシタ電極を含む。キャパシタ(Cst)は、第1トランジスタ(T1)から受信したデータ信号に対応する電圧と第1電源電圧(ELVDD)との間の差に対応する電荷量を充電する。
【0065】
第2トランジスタ(T2)は、第1トランジスタ(T1)の出力電極及びキャパシタ(Cst)の第1キャパシタ電極に接続された制御電極、電源ライン(PL)を介して提供された第1電源電圧(ELVDD)を受信する入力電極、及び出力電極を含む。第2トランジスタ(T2)の出力電極は、有機発光素子(OD)に接続される。
【0066】
第2トランジスタ(T2)は、キャパシタ(Cst)に貯蔵された電荷量に対応して有機発光素子(OD)に流れる駆動電流を制御する。キャパシタ(Cst)に充電された電荷量に応じて、第2トランジスタ(T2)のターンオン時間が決定される。実質的に第2トランジスタ(T2)の出力電極は、有機発光素子(OD)に第1電源電圧(ELVDD)より低いレベルの電圧を供給する。
【0067】
有機発光素子(OD)は、第2トランジスタ(T2)に接続された第1電極及び第2電源電圧(ELVSS)を受信する第2電極を含む。有機発光素子(OD)は、第1電極と第2電極との間に配置された発光パターンを含む。
【0068】
有機発光素子(OD)は、第2トランジスタ(T2)のターンオン区間内で発光される。有機発光素子(OD)で生成された光の色は、発光パターンをなす物質によって決定される。例えば、有機発光素子(OD)で生成された光の色は、赤色、緑色、青色、及び白色のいずれか一つである。
【0069】
図3Cを参照すると、ディスプレイ装置(DD)は、有機発光素子(OD)から生成された光が放出される複数の発光領域及び発光領域に隣接する非発光領域に区分される。
図3Cには、発光領域のうちの一部の発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)の含まれている領域が示された。
【0070】
発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)は、非発光領域(NPXA)を間に置いて互いに離隔される。発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)は、多様な形態に配列される。例えば、発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)はマトリックス状に配列されることができる。これにより、非発光領域(NPXA)は格子形状を有する。ただし、これは例としてのものであり、発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)の配列形態は、いずれか1つの実施形態に限定されない。
【0071】
発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)は、後述するピクセル定義層(PLE)の複数提供された第1開口部(OP1)と対応する。なお、発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)は、後述する有機発光素子(OD:
図4参照)の第1電極(E1:
図4参照)と重畳して配置される。
図3Cには、発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)と重畳する第1電極(E1)を点線で示した。
【0072】
図4Aは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の断面図である。
図4Bは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の断面図である。
図4Cは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の一構成を図示する拡大された断面図である。
図5Aから
図5Dは、ピクセル定義層の撥液性による有機物質の充填率の差を示すグラフである。
図6A及び
図6Bは、ピクセル定義層のプラズマ処理による有機物質の充填状態の変化を示す平面図である。
【0073】
図4Aを参照すると、回路素子層(CL)は、トランジスタ(TR)と複数の絶縁層(BI、IL1、IL2、IH)を含む。回路素子層(CL)は、ベース層(BL)上に配置される。
【0074】
バリア層(BI)は、ベース層(BL)上に配置される。バリア層(BI)は、ベース層(BL)をカバーする。バリア層(BI)は、無機物質を含む絶縁層である。例えば、バリア層(BI)は、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸窒化シリコン(SiOxNy)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、及び酸化ハフニウム(HfOx)のうち少なくとも一つを含む。バリア層(BI)は、多層構造の無機層に形成される。バリア層(BI)は、外部からの汚染物質が流入されることを防止する。
【0075】
図示されていないが、一実施形態に係るディスプレイ装置(DD)は、バッファ層(図示せず)をさらに含むことができる。バッファ層は、バリア層(BI)上に配置されることができる。バッファ層は、無機物又は有機物を含む。バッファ層は、後述する半導体パターン(SLP)や第1絶縁層(IL1)に対しバリア層(BI)よりも高い粘着力を有する。これにより、回路素子層(CL)は、ベース層(BL)上に安定的に形成される。
【0076】
トランジスタ(TR)は、半導体パターン(SL)、制御電極(CE)、入力電極(IE)、及び出力電極(OE)を含む。トランジスタ(TR)は、制御電極(CE)を介して、半導体パターン(SL)での電荷移動を制御して、入力電極(IE)から入力される電気信号を出力電極(OE)を介して出力する。
図4Aは、
図3Bに示されたトランジスタ(TR1、TR2)のうち、第2トランジスタ(T2)(つまり、駆動トランジスタ)に該当する1つのトランジスタ(TR)を示した。
【0077】
半導体パターン(SL)は、バリア層(BI)上に配置される。半導体パターン(SL)は、結晶半導体物質、金属酸化物半導体物質、多結晶シリコン、およびアモルファスシリコンの少なくともいずれか1つを含む。一実施形態に係るトランジスタ(TR)は、半導体パターン(SL)上に配置された制御電極(CE)を図示したが、これに限定されるものではなく、制御電極(CE)がベース層(BL)上に配置され、第1絶縁層(IL1)によってカバーされ、第1絶縁層(IL1)上に半導体パターン(SL)が配置されるボトムゲート(bottom-gate)構造を有することができ、いずれか1つの実施形態に限定されない。
【0078】
第1絶縁層(IL1)は、半導体パターン(SL)と制御電極(CE)との間に配置される。第1絶縁層(IL1)は、ベース層(BL)と半導体パターン(SL)をカバーする。第1絶縁層(IL1)は無機物質を包含し、いずれか1つの実施形態に限定されない。
【0079】
制御電極(CE)は、半導体パターン(SL)上に配置される。制御電極(CE)は、第1絶縁層(IL1)を間に置いて、半導体パターン(SL)と離隔される。制御電極(CE)は、半導体パターン(SL)と重畳する。
【0080】
第2絶縁層(IL2)は、制御電極(CE)と入力電極(IE)との間や制御電極(CE)と出力電極(OE)の間に配置されることができる。第2絶縁層(IL2)は、第1絶縁層(IL1)と制御電極(CE)をカバーする。第2絶縁層(IL2)は無機物質を包含し、いずれか1つの実施形態に限定されない。
【0081】
入力電極(IE)及び出力電極(OE)は、第2絶縁層(IL2)上に配置される。入力電極(IE)及び出力電極(OE)は、第1絶縁層(IL1)及び第2絶縁層(IL2)を貫通して半導体パターン(SL)にそれぞれ接続される。ただし、これは例として示したものであり、入力電極(IE)及び出力電極(OE)は、半導体パターン(SL)に直接接続される可能性もある。
【0082】
第3絶縁層(IH)は、第2絶縁層(IL2)上に配置される。第3絶縁層(IH)は、トランジスタ(TR)をカバーする。第3絶縁層(IH)は、トランジスタ(TR)とディスプレイ素子層(OL)との間に配置され、トランジスタ(TR)とディスプレイ素子層(OL)を電気的に絶縁させる。
【0083】
ディスプレイ素子層(OL)は、ピクセル定義層(PLE)と有機発光素子(OD)を含む。
【0084】
有機発光素子(OD)は、第1電極(E1)、第2電極(E2)、正孔制御層(HL)、及び有機発光層(EL)を含む。有機発光素子(OD)は、アクティブ領域(DD-DA)と重畳する。本発明に係る有機発光素子(OD)は、有機発光層(EL)及び正孔制御層(HL)のうちの少なくともいずれか1つの層を含むものとして定義される。
【0085】
第1電極(E1)は、第3絶縁層(IH)上に配置される。第1電極(E1)は、第3絶縁層(IH)を貫通してトランジスタ(TR)に電気的に接続される。第1電極(E1)は、複数提供される。複数の第1電極のそれぞれは、
図3Cに説明した発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)のうち対応する発光領域に重畳して配置される。
【0086】
第2電極(E2)は、第1電極(E1)上に配置される。第2電極(E2)は、第1電極(E1)と対向して配置される。第2電極(E2)は、複数の第1電極とピクセル定義層(PLE)と重畳して配置される。例えば、第2電極(E2)は、第2ピクセル定義層(PD2)、第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)及び有機発光層(EL)をカバーする。第2電極(E2)は、ベース層(BL)の前面に配置される一体の形状を有してもよい。
【0087】
第2電極(E2)は、光学的に透明な透過型電極を含む。たとえば、第2電極(E2)は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム・ガリウム酸化物(IGO)、インジウム・亜鉛・ガリウム酸化物(IGZO)、及びこれらの混合物/化合物のうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。これにより、ディスプレイ装置(DD)は、前面に映像を表示する。ただし、これは例として示されたものであり、映像を表示する方向に応じて、第2電極(E2)は、反射型電極又は半透過型電極で形成されてもよく、いずれかの実施形態に限定されない。
【0088】
有機発光層(EL)は、第1電極(E1)と第2電極(E2)との間に配置される。有機発光層(EL)は、複数提供され、対応する第1電極のそれぞれに重畳する。有機発光素子(OD)は、第1電極(E1)と第2電極(E2)との間の電位差に応じて有機発光層(EL)を活性化させ、光を生成する。
【0089】
一実施形態に係る有機発光層(EL)は、低分子又は高分子の有機物を含む。例えば、有機発光層(EL)で赤色可視光線を発光する場合、テトラフェニルナフタセン(Tetraphenylnaphthacene)(ルブレン:Rubrene)、トリス(1-フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq)3)、ビス(2-ベンゾ[b]チオフェン-2-イル-ピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(btp)2(acac))、トリス(ジベンゾイルメタン)フェナントロリンユウロピウム(III)(Eu(dbm)3(phen))、トリス[4,4′-ジ-tert-ブチル-(2,2′)-ビピリジン]ルテニウム(III)錯体(Ru(dtb-bpy)3*2(PF6))、DCM1、DCM2、Eu(テノイルトリフルオロアセトン:thenoyltrifluoroacetone)3(Eu(TTA)3)、ブチル-6-(1,1,7,7-テトラメチルジュロリジン-9-エニル)-4H-ピラン)(butyl-6-(1,1,7,7-tetramethyljulolidyl-9-enyl)-4H-pyran:DCJTB) などを包含でき、その外にポリフルオレン系高分子(polyfluorene polymers)、ポリビニル系高分子(polyvinyl polymers)などのような高分子発光物質を包含できる。
【0090】
また、緑色の可視光線を発光する有機発光層(EL)である場合には、緑色発光材料である3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン(Coumarin 6) 2,3,6,7-テトラヒドロ-1,1,7,7,-テトラメチル-1H,5H,11H-10-(2-ベンゾチアゾリル)キノリジノ-[9,9a,1gh]クマリン(C545T)、N,N′-ジメチル-キナクリドン(DMQA)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)などを含むことができ、その他にポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子などのような高分子発光物質を包含できる。
【0091】
また、青色可視光線を発光する有機発光層(EL)である場合には、青色発光材料であるオキサジアゾールダイマー染料(oxadiazole dimer dyes(Bis-DAPOXP))、スピロ化合物(spiro compounds)(Spiro-DPVBi、Spiro-6P)、トリアリールアミン化合物(triarylamine compounds)、ビス(スチリル)アミン(bis(styryl)amine)(DPVBi、DSA)、ペリレン(perylene)、4,4′-ビス(9-エチル-3-カルバゾールビニレン)-1,1′-ビフェニル(BCzVBi)、2,5,8,11-テトラ-tert-ブチルペリレン(TPBe)、9H-カルバゾール-3,3′-(1,4-フェニレン-ジ-2,1-エテン-ジイル)ビス[9-エチル-(9C)](BCzVB)、4,4-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4′-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(DPAVB)、4,4′-ビス[4-(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル(BDAVBi)、ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジル)フェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウムIII(FIrPic)などを包含でき、そのほかにポリフルオレン系高分子、ポリビニル系高分子などのような高分子発光物質を含む。
【0092】
一実施形態に係る有機発光層(EL)が低分子有機物質を含む場合、電子制御層をさらに含む。電子制御層は、電子輸送層及び電子注入層を含む。
【0093】
電子制御層は複数提供されることができる。電子制御層のそれぞれは、インクジェットプリンティング方法により対応する発光領域(
図3C参照)上に提供される。これにより、電子制御層は、格子状の非発光領域(
図3C参照)によって区画される。
【0094】
正孔制御層(HL)は、第1の電極(E1)と有機発光層(EL)との間に配置される。正孔制御層(HL)は、正孔注入層および正孔輸送層を包含できる。
【0095】
正孔制御層(HL)は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方に対する単層構造を有してもよいし、又は正孔注入物質及び正孔輸送物質の両方からなる単層構造を有することもできる。あるいは、正孔制御層(HL)は、複数の異なる物質からなる単層構造を有したり、第1電極(E1)から順番に積層された正孔注入層/正孔輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/正孔バッファ層、正孔注入層/正孔バッファ層、正孔輸送層/正孔バッファ層又は正孔注入層/正孔輸送層/電子ブロッキング層の構造を有してもよいが、これに限定されるものではない。
【0096】
正孔制御層(HL)は、真空蒸着技法、スピンコーティング技法、キャスト技法、LB技法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング技法、レーザープリンティング技法、レーザー熱転写技法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)など、多様な技法を用いて形成することができる。
【0097】
正孔注入層は、例えば、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)などのフタロシアニン(phthalocyanine)の化合物、DNTPD(N,N′-diphenyl-N,N′-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4′-diamine)、m-MTDATA(4,4′,4″-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)、TDATA(4,4′4″-Tris(N,N-diphenylamino)triphenylamine)、2-TNATA(4,4′,4″-tris{N,-2-naphthyl}-N-phenylamino}-triphenylamine)、PEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene/Poly(4-styrenesulfonate))、PANI/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、PANI/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)、PANI/PSS((Polyaniline/Poly(4-styrenesulfonate))、NPB(N,N′-di(naphthalene-l-yl)-N,N′-diphenyl-benzidine)、トリフェニルアミンを含むポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-Isopropyl-4′-methyldiphenyliodonium Tetrakis(pentafluorophenyl)borate]、HAT-CN(dipyrazino[2,3-f:2′,3′-h]quinoxaline-2,3,6,7,10,11-hexacarbonitrile)などを含むこともできる。
【0098】
正孔輸送層は、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカバゾール系誘導体、フルオレン(fluorine)系誘導体、TPD(N,N′-bis(3-methylphenyl)-N,N′-diphenyl-[1,1-biphenyl]-4,4′-diamine)、TCTA(4,4′,4″-tris(N-carbazolyl)triphenylamine)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N,N′-di(naphthalene-l-yl)-N,N′-diphenyl-benzidine)、TAPC(4,4′-Cyclohexylidene bis[N,N-bis(4-methylphenyl)benzenamine])、HMTPD(4,4′-Bis[N,N′-(3-tolyl)amino]-3,3′-dimethylbiphenyl)、又はmCP(1,3-Bis(N-carbazolyl)benzene)などを含むこともできる。
【0099】
前述したように、正孔制御層(HL)は、正孔注入層および正孔輸送層のほかに、正孔バッファ層及び電子ブロッキング層のうち少なくとも一つをさらに含む。
【0100】
正孔バッファ層は、有機発光層(EL)から放出される光の波長に応じた共振距離を補償して光放出効率を増加させることができる。正孔バッファ層に含まれる物質としては、正孔制御層(HL)に含まれる物質を使用できる。電子ブロッキング層は、電子輸送領域から正孔輸送領域への電子注入を防止する役割を行う層である。
【0101】
一実施形態に係る有機発光層(EL)は、量子ドット(Quantum Dot)物質を含む。量子ドットのコアは、II-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、IV族元素、IV族化合物及びこれらの組み合わせから選択される。
【0102】
II-VI族化合物は、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS及びこれらの混合物からなる群から選択されるが2元素化合物と、AgInS、CuInS、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnS及びこれらの混合物からなる群から選択される3元素化合物と、HgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe及びこれらの混合物からなる群から選択される4元素化合物と、から構成される群から選択される。
【0103】
III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群から選択されるが2元素化合物と、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP及びこれらの混合物からなる群から選択される三元素化合物と、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb及びこれらの混合物からなる群から選択される4元素化合物と、から構成される群から選択される。
【0104】
IV-VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群から選択されるが2元素化合物と、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe及びこれらの混合物からなる群から選択される3元素化合物と、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe及びこれらの混合物からなる群から選択される4元素化合物と、から構成される群から選択される。IV族元素ではSi、Ge、及びこれらの混合物からなる群から選択される。IV族化合物としてはSiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群から選択される2元素化合物であってもよい。
【0105】
このとき、2元素化合物、3元素化合物又は4元素化合物は、均一な濃度で粒子内に存在してもよいし、濃度分布が部分的に異なる状態に分けられて同じ粒子内に存在するものであってもよい。また、一つの量子ドットが、他の量子ドットを取り囲むコア/シェル構造を有することもできる。コアとシェルの界面は、シェルに存在する元素の濃度が中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有してもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、量子ドットは、前述したナノ結晶を含むコアと前記コアを取り囲むシェルと、を含むコア/シェル構造を有してもよい。量子ドットのシェルは、コアの化学的変性を防止して、半導体特性を維持するための保護層の役割及び/又は量子ドットの電気泳動特性を付与するためのチャージング層(charging layer)の役割を遂行する。シェルは、単層または複数層でできている。コアとシェルの界面は、シェルに存在する元素の濃度が中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有してもよい。量子ドットのシェルの例としては、金属又は非金属の酸化物、半導体化合物、又はこれらの組み合わせなどを挙げられる。
【0107】
例えば、金属又は非金属の酸化物は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZnO、MnO、Mn2O3、Mn3O4、CuO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、NiOなどの2元素化合物、又はMgAl2O4、CoFe2O4、NiFe2O4、CoMn2O4などの3元素化合物を例示できるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0108】
また、前記半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSbなどを例示することができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0109】
量子ドットは、約45nm以下、好ましくは約40nm以下、より好ましくは約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(Full Width of Half Maximum:FWHM)を有することができ、この範囲で色純度や色再現性を向上させることができる。なお、これらの量子ドットを介して発光される光は、全方向に放出されるところ、広視野角が向上される。
【0110】
なお、量子ドットの形状は、当分野で一般的に使用される形態のものに特に限定されないものの、より具体的には、球形、ピラミッド型、マルチアーム型(multi-arm)、又は立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノ繊維、板状ナノ粒子などの形態のものが使用されることができる。
【0111】
量子ドットは、粒子の大きさに応じて放出する光の色を調節することができ、これにより、量子ドットは、青、赤、緑などの多様な発光色を有することができる。
【0112】
封入層(TFE)は、有機発光素子(OD)上に配置される。本実施形態で、封入層(TFE)は、第1封入無機層(LIL)、封入有機層(OEL)、及び第2封入無機層(UIL)を含む。
【0113】
第1封入無機層(LIL)はディスプレイ素子層(OL)上に配置される。第1封入無機層(LIL)は、ベース層(BL)の前面に配置された第2電極(E2)をカバーする。第2封入無機層(UIL)は、第1封入無機層(LIL)上に配置される。第1封入無機層(LIL)及び第2封入無機層(UIL)は封入有機層(OEL)を密封する。第1封入無機層(LIL)及び第2封入無機層(UIL)のそれぞれは無機物質を包含できる。例えば、第1封入無機層(LIL)及び第2封入無機層(UIL)のそれぞれは、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸窒化シリコン(SiOxNy)、炭化シリコン(SiCx)、酸化チタン(TiOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、及び酸化亜鉛(ZnOx)のうちの少なくともいずれか一つを含む。
【0114】
封入有機層(OEL)は、第1封入無機層(LIL)と第2封入無機層(UIL)との間に配置される。封入有機層(OEL)は有機物を含む。例えば、封入有機層(OEL)はエポキシ(epoxy)、ポリイミド(Polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalat)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエチレン(polyethylene)、及びポリアクリレート(polyacrylate)のうち少なくともいずれか一つを含む。
【0115】
第1封入無機層(LIL)及び第2封入無機層(UIL)は平面上でディスプレイ装置(DD)の前面に配置される一体の形状を有してもよい。第1封入無機層(LIL)及び第2封入無機層(UIL)のそれぞれは、封入有機層(OEL)と部分的に重畳する。これにより、第1封入無機層(LIL)及び第2封入無機層(UIL)は、いくつかの領域では、封入有機層(OEL)を間に置いて第3方向(DR3)で互いに離隔され、他のいくつかの領域では、第3方向(DR3)で直接接触する。封入層(TFE)は、有機発光素子(OD)を密封して、外部から流入される異物から有機発光素子(OD)を保護する。
【0116】
本発明に係るピクセル定義層(PLE)は、第1ピクセル定義層(PD1)及び第2ピクセル定義層(PD2)を含む。
【0117】
第1ピクセル定義層(PD1)は、第3絶縁層(IH)上に配置される。第1ピクセル定義層(PD1)は、第1開口部(OP1)が定義されることができる。詳細には、第1開口部(OP1)は、第1ピクセル定義層(PD1)を貫通して露出された第1ピクセル定義層(PD1)の第1側面(PD1-S)から定義される。
【0118】
一実施形態に係る第1側面(PD1-S)は、第1電極(E1)から第1ピクセル定義層(PD1)の第1上面(PD1-U)に向けるアセントシェープ(ascent shape)で傾斜する。これにより、第1開口部(OP1)の断面上での形状は、台形の形状を有する。ただし、これに限定されるものではなく、第1側面(PD1-S)は、第1電極(E1)と第1上面(PD1-U)と垂直を成すことができ、いずれか一つの実施形態に限定されない。
【0119】
第1の開口部(OP1)は、第1電極(E1)の少なくとも一部を露出させる。一実施形態によると、第1開口部(OP1)は、複数提供して対応する第1電極と重畳する。複数提供された第1開口部は、実質的に
図3Cに説明した発光領域(PXA22、PXA23、PXA24、PXA32、PXA33、PXA34)と対応する。
【0120】
本発明によると、第1ピクセル定義層(PD1)の第1上面(PD1-U)は、有機層(正孔制御層(HL)及び有機発光層(EL)のいずれか一つ)から露出される。
【0121】
一実施形態に基づいて有機層がインクジェットプリンティング工程により形成される場合には、有機層を形成する有機物質を第1開口部(OP1)上に充填した後、乾燥、ベーク(bake)工程などを介して目的しようとする厚さに有機層を成膜する。
【0122】
このとき、有機物質が第1開口部(OP1)の内部にのみ充填されるようにするために、第1ピクセル定義層(PD1)は、有機物質の撥液性を有する。これにより、有機物質によって形成された有機層は、第1開口部(OP1)の内部、すなわち、第1電極(E1)と第1側面(PD1-S)にのみ接触されるように配置され、第1上面(PD1-U)を露出させるように配置されることができる。有機層の形成過程は、後述する。
【0123】
第2ピクセル定義層(PD2)は、第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)上に配置される。第2ピクセル定義層(PD2)は、第2開口部(OP2)が定義される。詳細には、第2開口部(OP2)は、第2ピクセル定義層(PD2)を貫通して露出された第2ピクセル定義層(PD2)の第2側面(PD2-S)から定義される。
【0124】
一実施形態に係る第1ピクセル定義層(PD1)の第1上面(PD1-U)上で第2ピクセル定義層(PD2)の第2上面(PD2-U)に向ける方向に傾斜する。ただし、これに限定されるものではなく、第2側面(PD2-S)は、第1上面(PD1-U)及び第2上面(PD2-U)と垂直を成すことができ、いずれか一つの実施形態に限定されない。
【0125】
第2開口部(OP2)は、第1開口部(OP1)と重畳する。一実施形態によると、第2開口部(OP2)は、複数提供され、対応する第1開口部と重畳する。
【0126】
本発明によると、第2ピクセル定義層(PD2)は有機層と離隔される。第2ピクセル定義層(PD2)は、有機層(正孔制御層(HL)及び有機発光層(EL)の中のいずれか一つ)を形成する有機物質に対する撥液性を有する。これにより、有機層は、第1の開口部(OP1)の内部にのみ配置され、第2ピクセル定義層(PD2)は有機層と離隔して配置される。
【0127】
図4Bを参照すると、断面上で一方向における第1開口部(OP1)の第1幅(W1)は、第2開口部(OP2)の第2幅(W2)よりも小さい。
[0128]
第1幅(W1)は、傾斜を有する第1側面(PD1-S)により定義された第1開口部(OP1)の最大幅であり、第2幅(W2)は、傾斜を有する第2側面(PD2-S)により定義された第2開口部(OP2)の最大幅である。
【0128】
第1ピクセル定義層(PD1)は有機層(正孔制御層(HL)と有機発光層(EL)のいずれか一つ)を形成する有機物質に対する第1撥液性を有する。第2ピクセル定義層(PD2)は有機層(正孔制御層(HL)と有機発光層(EL)のいずれか一つ)を形成する有機物質に対する第2撥液性を有する。ピクセル定義層(PD1、PD2)の撥液性は、撥液特性を有する物質を塗布して形成される。例えば、ピクセル定義層(PD1、PD2)にフッ素系(Fluorine)成分を含む物質を塗布してベーク工程を実行し、フッ素がピクセル定義層(PD1、PD2)の外表面に凝集されて撥液性を有する。一実施形態に係る第2撥液性は、第1撥液性よりも大きい可能性がある。
【0129】
第1撥液性と第2発液性の差は、第1ピクセル定義層(PD1)上にプラズマ処理を行うことによって、発生される。一実施形態によると、第1電極(E1)上に残っている残留物は、有機発光素子(OD)の信頼性の低下に影響を与える。第1ピクセル定義層(PD1)を形成するフォトリソグラフィ工程後、第1の電極(E1)上に残っている残留物を除去するためにプラズマ処理が遂行される。プラズマ処理後、第1ピクセル定義層(PD1)の第1撥液性が低下する。プラズマ処理により、第1ピクセル定義(PD1)の外表面に凝集されたフッ素成分が第1ピクセル定義層(PD1)との結合力が減少して剥離されていくことにより、第1ピクセル定義層(PD1)の第1撥液性は低下される。
【0130】
第1ピクセル定義層(PD1)及び第2ピクセル定義層(PD2)に含まれている撥液性物質が同じ場合には、第2ピクセル定義層(PD2)の第2撥液性は、プラズマ処理を行った第1ピクセル定義層(PD1)の第1撥液性よりも大きい値を有する。
【0131】
撥液性の違いに応じて、有機物質をプリンティングしてピクセル定義層の(PD1、PD2)の開口部(OP1、OP2)に充填させる場合には、第1ピクセル定義層(PD1)が有する撥液性よりも比較的大きな撥液性を有する第2ピクセル定義層(PD2)には、有機物質がカバーされない可能性がある。これにより、ピクセル定義層(PD1、PD2)の高さを増加させることによって、有機物質が開口部(OP1、OP2)内に充填される充填率を増加させることができ、撥液性の違いにより目的しようとする第1ピクセル定義層(PD1)の第1開口部(OP1)に有機層を形成することができる。
【0132】
本発明によると、有機発光素子(OD)の有機層をインクジェットプリンティング工程により形成する。有機層を形成するための有機物質は、ピクセル定義層(PLE)に定義された開口部(OP1、OP2)に充填されて乾燥及びベーク工程を介して成膜される。
【0133】
インクジェットプリンティング工程時の不要な領域に有機物質が塗布されることを防止するために、本発明に係るピクセル定義層(PD1、PD2)は、撥液性を有するため、有機物質を効率的に充填させることができる。
【0134】
さらに、プラズマ処理の進行から生じた第1ピクセル定義層(PD1)の撥液性の減少を補完するために、第2ピクセル定義層(PD2)を、第1ピクセル定義層(PD1)上に配置させることで、目的しよう量の有機物質を充填して、信頼性が向上した有機発光素子(OD)を提供できる。
【0135】
図5Aは、第1ピクセル定義層(PD1)にプラズマ処理をしていない場合の接触角(CA1)を示したグラフである。
図5B~
図5Dは、第1ピクセル定義層(PD1)を形成した後、第1電極(E1)上に残っている残留物を除去するためにプラズマ処理をした後の接触角(CA2、CA3、CA4)を示したグラフである。以下、
図5A~
図5D及び表1を参照して、第1ピクセル定義層(PD1)のプラズマ処理に対する撥液性の減少について説明する。
【0136】
【0137】
表1を参照すると、最大充填量は、接触角度に応じて、第1開口部(OP1)内に充填される有機物質の量を示したものである。以下、説明する比較例及び実験例のそれぞれの接触角は、第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)と第1開口部(OP1)に充填された有機物質(HL-A)がなす角度を示したものである。
【0138】
比較例は、第1ピクセル定義層(PD1)にプラズマ処理を行わずに、第1開口部(OP1)に有機物質(HL-A)を充填させた場合の最大充填量を示したものであり、これによる接触角(CA1)を表示した。
【0139】
図5Aに示されたように、比較例に係る第1接触角(CA1)が50度のとき、第1開口部(OP1)に有機物質(HL-A)を充填させうる最大充填量は84plである。
【0140】
第1実験例~第3実験例は、プラズマ処理後に、第1開口部(OP1)の有機物質(HL-A)を充填させた場合、それぞれの接触角を示したものである。
【0141】
図5Bに示されたように、第1実験例による第2接触角(CA2)が40度のとき、有機物質(HL-A)を第1開口部(OP1)に充填させうる最大充填量は66plである。
【0142】
図5Cに示されたように、第2実験例による第3接触角(CA3)が30度のとき、有機物質(HL-A)を第1開口部(OP1)に充填させることができる最大充填量は51plである。
【0143】
図5Dに示されたように、第3実験例による第4接触角(CA4)が20度のとき、有機物質(HL-A)を第1開口部(OP1)に充填させうる最大充填量は36plである。
【0144】
第1~第3実験例のように、接触角が大きくなるに伴い、開口部内に充填される有機物質の充填量が増加する。充填量が増加するにつれて、目的とする厚さの有機層を形成できるので、信頼性が向上したディスプレイ装置を提供できる。
【0145】
実験例と同様に、第1ピクセル定義層(PD1)のプラズマ処理を行った場合には、プラズマ処理を進めていない比較例よりも小さい接触角を有し、有機物質(HL-A)を第1開口部(OP1)に充填させることができる最大充填量は、接触角が減少するにつれて、減少する。
【0146】
図6Aは、プラズマ処理を行っていない第1ピクセル定義層(PD1)上に有機層を形成した平面図を図示したものであり、
図6Bは、プラズマ処理を行った第1ピクセル定義層(PD1)上に同じ量の有機物質を塗布して有機層を形成した平面図を示したものである。
【0147】
図6Aを参照すると、プラズマ処理をしていない第1ピクセル定義層(PD1)に形成された比較有機層(NOL)は、非発光領域(NPXA)と重畳するように形成される。一方、
図6Bを参照すると、プラズマ処理をした第1ピクセル定義層(PD1)に形成された実験有機層(OFL)の一部は、非発光領域(NPXA)と重なるように形成される。これは、プラズマ処理(PD1)によって減少した撥液性によって、有機物質が第1開口部(OP1)以外の領域である非発光領域(NPXA)にオーバーフロー(over flow)されて形成された可能性がある。
【0148】
このように、プリンティング工程により有機発光素子(OD)の有機層を形成する場合には、有機発光素子(OD)の信頼性向上のために、第1電極(E1)上に残っている残留物を除去するためにプラズマ処理が要求され、プラズマ処理によって、第1ピクセル定義層(PD1)の撥液性が減少し、目的の量の有機物質を第1開口部(OP1)内に充填させる場合、非発光領域(NPXA)へオーバーフロー(over flow)される問題が発生することがある。
【0149】
本発明によると、プラズマ処理によって減少した第1ピクセル定義層(PD1)の撥液性を補完するために、第2ピクセル定義層(PD2)を、第1ピクセル定義層(PD1)上に配置させることで、目的の量の有機物質を充填して、信頼性が向上した有機発光素子(OD)を提供できる。
【0150】
図4Cを参照すると、
図4Aとは異なり、一実施形態に係るディスプレイ装置(DD-1)は、電子制御層(ECL)を含む。一実施形態によると、正孔制御層(HL)と有機発光層(EL)は、インクジェットプリンティング工程により形成されて第1開口部(OP1)の内部に配置され、電子制御層(ECL)は、蒸着工程によりベース層(BL)の全上面に配置される。したがって、一実施形態に係る正孔制御層(HL)は、第1ピクセル定義層(PD1)と有機層(正孔制御層(HL)と有機発光層(EL)のいずれか1つ)をカバーする。電子制御層(ECL)は、
図4Aの説明で述べたように有機発光層(EL)に含まれている電子輸送層及び電子注入層を包含できる。
【0151】
図7A~
図7Jは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法の断面図である。
図1~
図4Bに説明した構成と同じ構成には同じ参照符号を使用し、重複した説明は省略する。以下、
図7A~
図7Jを参照して、本発明に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する。
【0152】
図7Aを参照すると、本発明に係るディスプレイ装置の製造方法は、予備的な第1ピクセル定義層を形成する段階を含む。予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)は、第1電極(E1)が形成されたベース基板(SB)上に配置される。一実施形態に係るベース基板(SB)は、
図4Aで説明したベース層(BI)、回路素子層(CL)を含む層である。本発明に係る予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)は、所定の有機物質に対する撥液性を有する。所定の有機物質は、後述する第1有機物質(HL-A)及び第2有機物質(HL-B)の中のいずれか1つである。
【0153】
続いて、
図7Bを参照すると、第1ピクセル定義層を形成する段階を含む。第1ピクセル定義層(PD1)は予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)に、第1開口部(OP1)を形成することによって形成される。
【0154】
第1開口部(OP1)は、予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)に、フォトリソグラフィ工程を実行して形成される。第1開口部(OP1)を形成するフォトリソグラフィ工程は、第1マスク(MS1)を利用して実行される。第1開口部(OP1)は、第1電極(E1)を露出させるように予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)を貫通して形成される。
【0155】
本発明によれば、フォトリソグラフィ工程を通して、第1ピクセル定義層(PD1)を形成すときに、第1電極(E1)上に予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)をなす物質の中から除去されていない残留物(PD1-P)が残っている可能性がある。残留物(PD1-P)は、有機発光素子(OD:
図4A参照)の信頼性を低下させる。
【0156】
続いて、
図7Cを参照すると、プラズマ処理を実行する段階を含む。プラズマ処理を実行する段階は、第1ピクセル定義層(PD1)上で行われる。プラズマ処理(PT)を介して、第1電極(E1)の上面(E1-U)に残っている残留物(PD1-P)を除去する。これにより、信頼性が向上した有機発光素子(OD)を提供する。
【0157】
ただし、第1ピクセル定義層(PD1)上でプラズマ処理(PT)が行われる場合には、第1ピクセル定義層(PD1)の撥液性は低下される。例えば、予備的な第1ピクセル定義層(PD1-A)が所定の有機物質(第1物質)に対する初期の撥液性を有し、プラズマ処理(PT)の後に、第1ピクセル定義層(PD1)が前記有機物質(第1物質)に対する第1撥液性を有する場合には、第1撥液性は、プラズマ処理(PT)によって初期発液性から減少して得られたものとして定義される。
【0158】
第1ピクセル定義層(PD1)の撥液性が低下するに伴い、以後、有機物質をプリンティングして有機層を形成する過程で有機物質が第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)にオーバーフローする問題が発生する。
【0159】
続いて、
図7D及び
図7Eを参照すると、予備的な有機層を形成する段階を含む。予備的な有機層(HL1)はインクジェットプリンティング工程により形成される。例えば、予備的な有機層を形成する段階は、第1上面(PD1-U)が露出されるように第1開口部(OP1)の内部に第1有機物質(HL-A)を提供する段階、及び第1有機物質(HL-A)を乾燥させる段階を含む。
【0160】
一実施形態によると、第1上面(PD1-U)は、第1有機物質(HL-A)から露出される。すなわち、第1有機物質(HL-A)は、第1上面(PD1-U)にオーバーフローされないことがある。これは、第1ピクセル定義層(PD1)は、プラズマ処理(PT)により撥液性が低下されたが、第1ピクセル定義層(DP1)の最大充填率に合わせて、第1有機物質(HL-A)を充填させることで制御できる。
【0161】
予備的な有機層(HL1)は、第1有機物質(HL-A)に含まれている有機溶媒(solvent)を除去することによって形成される。
【0162】
本発明に係る第1上面(PD1-U)は、予備的な有機層(HL1)から露出される。予備的な有機層(HL1)は、第1ピクセル定義層(PD1)の第1有機物質(HL-A)に対する撥液性によって、第1上面(PD1-U)上に形成されずに、第1開口部(OP1)の内部にのみ形成する。
【0163】
続いて、
図7Fを参照すると、予備的な第2ピクセル定義層を形成する段階を含む。予備的な第2ピクセル定義層(PD2-A)は、第1ピクセル定義層(PD1)の第1上面(PD1-U)と予備的な有機層(HL1)をカバーする。本発明に係る予備的な第2ピクセル定義層(PD2-A)は、所定の有機物質に対する撥液性を有する。所定の有機物質は、上述した第1有機物質(HL-A)及び後述する第2有機物質(HL-B)のいずれか1つである。
【0164】
続いて、
図7Gを参照すると、第2ピクセル定義層を形成する段階を含む。第2ピクセル定義層(PD2)は、予備的な第2ピクセル定義層(PD2-A)に、第2開口部(OP2)を形成することによって形成される。
【0165】
第2開口部(OP2)は、予備的な第2ピクセル定義層(PD2-A)に、フォトリソグラフィ工程を実行して形成される。第2開口部(OP2)を形成するフォトリソグラフィ工程は、第2マスク(MS2)を利用して行われる。第2開口部(OP2)は、第1開口部(OP1)と重なるように予備的な第2ピクセル定義層(PD2-A)が貫通されて形成される。
【0166】
続いて、
図7Hと7Iを参照すると、上部有機層を形成する段階を含む。上部有機層(HL2)はインクジェットプリンティング工程により形成される。例えば、上部有機層(HL2)を形成する段階は、第1開口部(OP1)及び第2開口部(OP2)が充填されるように、第2有機物質(HL-B)を提供する段階と、第2有機物質(HL-B)を乾燥させる段階と、を含む。
【0167】
上部有機層(HL2)は、第1ノズル(NZ1)を利用して、第1開口部(OP1)及び第2の開口部(OP2)の内部に、第2有機物質(HL-B)を充填させることによって形成される。例えば、第2有機物質(HL-B)は、予備的な有機層(HL1)、第1上面(PD1-U)、第2側面(PD2-S)がカバーされるように、第1開口部(OP1)及び第2開口部(OP2)に充填される。第2上面(PD2-U)は、第2有機物質(HL-B)から露出される。
【0168】
上部有機層(HL2)は、第2有機物質(HL-B)に含まれている有機溶媒(solvent)を除去することによって形成される。
【0169】
一実施形態によると、第1有機物質(HL-A)及び第2有機物質(HL-B)が同一の物質で構成された場合、予備的な有機層(HL1)及び上部有機層(HL2)は、有機層(HL)として定義される。
【0170】
第1有機物質(HL-A)及び第2有機物質(HL-B)が同一である場合には、有機層(HL)の厚さは、予備的な有機層(HL1)と上部有機層(HL2)と合計として定義され、有機層(HL)の厚さは、予備的な有機層(HL1)の厚さよりも厚く形成される。
【0171】
本発明に係る有機層(HL)は2回のインクジェットプリンティング工程により形成されるにつれて、目的しようとする厚さの有機層(HL)の形成が可能である。したがって、有機発光素子(OD)の信頼性が改善される。
【0172】
本発明に係る第1上面(PD1-U)は、有機層(HL)から露出され、第2ピクセル定義層は、有機層(HL2)から離間される。有機層(HL)は、ピクセル定義層(PD1、PD2)の撥液性によって、第1上面(PD1-U)上に形成されずに、第1開口部(OP1)の内部にのみに形成される。
【0173】
以後、
図7Jを参照すると、ベース基板(SB)上に複数の蒸着、コーティング工程を介して有機発光素子(OD)と封入層(TFE)を形成する。
【0174】
一実施形態によると、有機発光素子(OD)に含まれている有機層(HL)は、
図4Aに説明した正孔制御層(HL)と同じ層である。
【0175】
図8A及び
図8Bは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法の断面図である。
図1~
図7Jに説明した構成と同じ構成に対して、同じ参照符号を使用し、重複した説明は省略する。
【0176】
図8Aには、
図7Eの構成と対応する構成が図示された。一実施形態によると、第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)に追加の撥液性の処理段階をさらに含む。追加の撥液性の処理段階は、予備的な有機層(HL1)が形成された後に、実行される。
【0177】
追加の撥液性の処理段階は、プラズマ処理(PT)によって低下した撥液性を補うために、第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)上で実行される。追加の撥液性の処理段階は、反応ガスとしてフッ素化合物(CF4)を使用する。フッ素化合物(CF4)に含まれているフッ素(F)が分解され、フッ素イオンが生成され、生成されたフッ素イオンは、第1ピクセル定義層(PD1)の上面(PD1-U)に吸着される。フッ素(F)の上面(PD1-U)に吸着された撥液層(FL)をドット状に示した。撥液層(FL)が形成された上面(PD1-U)は、低い表面エネルギーを有し、以後塗布された有機物質の疎水性表面を有する。
【0178】
続いて、
図8Bを参照すると、撥液層(FL)が形成されたベース基板(SB)上に、インクジェット工程及び蒸着工程を介して有機発光素子(OD)を形成する。
【0179】
図9A~
図9Gは、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の製造方法の断面図である。
図1~
図7Jに説明した構成と同じ構成に対し同じ参照符号を使用し、重複した説明は省略する。
【0180】
図9Aには、
図7Cの構成と対応する構成が図示された。一実施形態によれば、ベース基板(SB)上に第1電極(E1)を露出させる第1開口部(OP1)が形成された第1ピクセル定義層(PD1)が提供される。
【0181】
続いて、
図9B及び9Cを参照すると、保護層を形成する段階を含む。保護層(PTL)はインクジェットプリンティング工程により形成される。例えば、保護層を形成する段階は、第1上面(PD1-U)が露出されるように第1開口部(OP1)の内部に第1有機物質(PTL-A)を提供する段階と、第1有機物質(PTL-A)を乾燥させる段階と、を含む。
【0182】
一実施形態によると、第1上面(PD1-U)は、保護層(PTL)から露出される。保護層(PTL)は、第1の有機物質(PTL-A)に含まれている有機溶媒(solvent)を除去することによって形成される。
【0183】
続いて、
図9D及び
図9Eを参照すると、第2ピクセル定義層を形成する段階を含む。第2ピクセル定義層を形成する段階は、
図7Gで説明した第2ピクセル定義層を形成する段階と同様に実行される。
【0184】
以後、
図9Fを参照すると、保護層を除去する段階を含む。
図7Hに説明した一実施形態は、第1有機物質(HL-A)及び第2有機物質(HL-B)が同一の物質からなる場合を含む。これにより、有機層(HL)は、2回のインクジェットプリンティング工程により形成される。
【0185】
これとは異なり、一実施形態によると、保護層(PTL)をなす第1有機物質(PTL-A)及び上部有機層(HL2:
図7I参照)をなす第2有機物質(HL-B:
図7H)が異なる場合には、保護層(PTL)は、第2ピクセル定義層(PD2)を形成するための機能層として使用された後、有機層(HL:
図7J)を形成する前に実行される工程で除去される。
【0186】
図10は、本発明の一実施形態に係るディスプレイ装置の断面図である。
図1~
図4Cに説明した構成と同じまたは類似した構成と同じまたは類似した参照符号を使用し、重複した説明は省略する。
図10には、
図4Aに説明した回路素子層(CL)の構成が省略されて示された。
【0187】
図10を参照すると、一実施形態に係るディスプレイ装置(DD-A)は、少なくとも一つ以上の発光層を含む有機発光素子(OD-A)を含む。一実施形態に係るディスプレイ装置(DD-A)は、カバーパネル(CU)をさらに含む。カバーパネル(CU)は、Wウィンドウ層(WM)と光学層(CF)を含む。
【0188】
一実施形態に係る有機発光素子(OD-A)は、第1電極(E1)、第2電極(E2)、複数の発光層(EML1、EML2)、電荷生成層(CGL)、複数の正孔制御層(HCL1、HCL2)、並びに複数の電子制御層(ECL1、ECL2)を含む。
【0189】
複数の発光層(EML1、EML2)は、第1電極層(E1)と第2電極層(E2)との間に配置される。発光層(EML1、EML2)のそれぞれは、ホスト物質(host material)とドーパント物質(dopant material)を含む。発光層(EML1、EML2)のそれぞれは、ホスト物質に燐光または蛍光の発光物質をドーパントとして使用して形成する。
【0190】
ホスト物質は、通常使用される物質であれば特に限定されないが、例えば、Alq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)、CBP(4,4′-bis(N-carbazolyl)-1,1′-biphenyl)、PVK(poly(n-vinylcabazole))、ADN(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、TCTA(4,4′,4″-Tris(carbazol-9-yl)-triphenylamine)、TPBi(2,4,6-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene)、TBADN(3-tert-butyl-9,10-di(naphth-2-yl)anthracene)、DSA(distyrylarylene)、CDBP(4,4′-bis(9-carbazolyl)-2,2′-dimethyl-biphenyl)、MADN(2-Methyl-9,10-bis(naphthalen-2-yl)anthracene)などが使用される。
【0191】
ホスト物質とドーパント物質の組み合わせにより、当該層の発光色を決定することができる。たとえば、当該層が赤色を発光するときは、当該層は、PBD:Eu(DBM)3(Phen)(tris(dibenzoylmethanato)phenanthoroline europium)又はペリレン(Perylene)を含む蛍光物質を包含する。
【0192】
このとき、当該層に含まれるドーパント物質は、例えば、PIQIr(acac)(bis(1-phenylisoquinoline)acetylacetonate iridium)、PQIr(acac)(bis(1-phenylquinoline)acetylacetonate iridium)、PQIr(tris(1-phenylquinoline)iridium)とPtOEP(octaethylporphyrin platinum)のような金属錯体(metal complex)又は有機金属錯体(organometallic complex)から選択される。
【0193】
また、例えば、当該層が緑色を発光するときは、当該層は、Alq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)を含む蛍光物質を包含する。このとき、当該層に含まれるドーパント物質は、例えば、Ir(ppy)3(fac-tris(2-phenylpyridine)iridium)のような金属錯体(metal complex)または有機金属錯体(organometallic complex)から選択される。
【0194】
また、例えば、当該層がブルー色(blue color)を発光するときは、当該層はスピロ-DPVBi(spiro-DPVBi)、スピロ-6P(spiro-6P)、DSB(distyryl-benzene)、DSA(distyryl-arylene)、PFO(Polyfluorene)系高分子及びPPV(poly(p-phenylene) vinylene)系高分子からなる群から選択された、いずれか一つを含む蛍光物質を包含する。このとき、当該層に含まれるドーパント物質は、例えば、(4,6-F2ppy)2Irpicのような金属錯体(metal complex)又は有機金属錯体(organometallic complex)から選択される。
【0195】
複数の発光層(EML1、EML2)は、第1発光層(EML1)及び第1発光層(EML1)上に配置された第2発光層(EML2)を含む。本実施形態では、第1発光層(EML1)及び第2発光層(EML2)は、互いに異なる色を有する光をそれぞれ生成する。
【0196】
第1発光層(EML1)は、第1光を生成する。第1発光層(EML1)は、第2発光層(EML2)に比べて相対的に第1電極層(E1)の近くに配置される。
【0197】
第1発光層(EML1)は、第2発光層(EML2)に比べて相対的に短い波長の光を生成する。第1光は、概ね450nm~595nmの波長範囲を有する。例えば、第1光は、ブルー色を有する光である。
【0198】
第2発光層(EML2)は、第2光を生成する。第2発光層(EML2)は、第1発光層(EML1)に比べて相対的に第1電極層(E1)から離れて配置される。第2発光層(EML2)は、第2発光層(EML2)に比べて相対的に長い波長を有する光を生成する。
【0199】
第2光は、第1光と組み合わされて白色の光を生成できる色を有する。第2光は、概ね570nm~590の波長範囲を有する。例えば、第2光は、黄色光である
【0200】
一方、これは例示として図示したものであり、本発明の一実施形態に係る第1及び第2の発光層(EML1、EML2)は、多様な色の光を生成するように設計され、いずれか1つの実施形態に限定されない。
【0201】
一方、第1及び第2発光層(EML1、EML2)は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング技法、レーザープリンティング技法、レーザー熱転写技法(Laser induced thermal imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0202】
電荷発生層(CGL)は、第1と第2発光層(EML1、EML2)との間に配置されて一つの発光層で発生した電流効率を2倍に増加させる。電荷発生層(CGL)に電圧が印加されると、酸化還元反応が発生して錯体を形成することにより電荷を生成する。
【0203】
電荷発生層(CGL)は、n-typeアリールアミン系物質を含むか、又はp-type金属酸化物を含む。例えば、電荷発生層(CGL)はアリールアミン系の有機化合物、金属、金属酸化物、炭化物、フッ化物、又はそれらの混合物からなる電荷発生化合物を含む。
【0204】
例えば、アリールアミン系の有機化合物は、α-NPD、2-TNATA、TDATA、MTDATA、sprio-TAD、又はsprio-NPBである。例えば、金属は、セシウム(Cs)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、チタニウム(Ti)、タングステン(W)、バリウム(Ba)、又はリチウム(Li)である。また、例えば、金属酸化物、炭化物、およびフッ化物は、Re2O7、MoO3、V2O5、WO3、TiO2、Cs2CO3、BaF、LiF、又はCsFである。
【0205】
第1正孔制御層(HCL1)は、第1電極層(E1)と第1発光層(EML1)との間に配置される。第2正孔制御層(HCL2)は、電荷発生層(CGL)と第2発光層(EML2)との間に配置される。
【0206】
第1電極層(E1)がアノード電極層として定義されるとき、第1電極層(E1)から注入された正孔は、第1正孔制御層(HCL1)を経由して第1発光層(EML1)に達する。電荷発生層(CGL)で生成された正孔は、第2正孔制御層(HCL2)を経由して第2発光層(EML2)に達する。
【0207】
第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、正孔注入領域、正孔輸送領域、バッファ領域、及び電子ブロッキング領域のうち少なくともいずれか一つの領域を含む。第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、単一の物質からなる単一層、複数の異なる材料からなる単一層、または複数の異なる材料からなる複数の層を含む多層構造を有する。
【0208】
例えば、第1および第2正孔の制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、正孔注入領域に対応する正孔注入層、正孔輸送領域に対応する正孔輸送層、および正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する単一層のうち少なくともいずれか一つを含む。
【0209】
第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、正孔注入物質や正孔輸送物質の少なくともいずれか1つで構成される。正孔注入物質や正孔輸送物質は、それぞれ公知の物質である。
【0210】
正孔輸送物質は、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、フッ素(fluorine)系誘導体、TPD(N,N′-bis(3-methylphenyl)-N,N′-diphenyl-[1,1-biphenyl]-4,4′-diamine)、TCTA(4,4′,4″-tris(N-carbazolyl)triphenylamine)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N,N′-di(1-naphthyl)-N,N′-diphenylbenzidine)、またはTAPC(4,4′-Cyclohexylidene bis[N,N-bis(4-methylphenyl)benzenamine)などを含むが、これに限定されるものではない。正孔注入物質は、例えば、銅フタロシアニン(copper phthalocyanine)などのフタロシアニン(phthalocyanine)化合物、DNTPD(N,N′-diphenyl-N,N′-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4′-diamine)、m-MTDATA(4,4′,4″-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine)、TDATA(4,4′4″-Tris(N,N-diphenylamino)triphenylamine)、2TNATA(4,4′,4″-tris {N,-(2-naphthyl)-N-phenylamino}-triphenylamine)、PEDOT/PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、PANI/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、PANI/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)、およびPANI/PSS((Polyaniline)/ Poly(4-styrenesulfonate))のうち少なくともいずれか一つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0211】
第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、第1および第2発光層(EML1、EML2)と類似した工程により形成される。例えば、第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング技法、レーザープリンティング技法、レーザー熱転写技法(Laser induced thermal imaging、LITI)など、多様な方法を利用して形成することができる。
【0212】
一方、第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、正孔ブロッキング領域に対応する正孔ブロッキング層を含む。このとき、第1および第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、公知の正孔ブロッキング物質を含む。なお、第1及び第2正孔制御層(HCL1、HCL2)のそれぞれは、電荷生成物質をさらに含むこともできる。
【0213】
第1電子制御層(ECL1)は、第1発光層(EML1)と電荷発生層(CGL)との間に配置される。電荷発生層(CGL)で生成された電子は、第1電子制御層(ECL1)を経由して第1発光層(EML1)に達する。
【0214】
第2電子制御層(ECL2)は、第2発光層(EML2)と第2電極層(E2)との間に配置される。第2電極層(E2)がカソード電極層であるとき、第2電極層(E2)から注入された電子は、第2電子制御層(ECL2)を経由して第2発光層(EML2)に達する。
【0215】
第1および第2電子制御層(ECL1、ECL2)のそれぞれは、電子注入領域、電子輸送領域、および正孔ブロッキング領域のうち少なくともいずれか一つの領域を含む。第1および第2電子制御層(ECL1、ECL2)のそれぞれは、単一の物質からなる単一層、複数の異なる物質からなる単一層、または複数の異なる物質からなる複数の層を含む多層構造を有する。
【0216】
例えば、第1および第2電子制御層(ECL1、ECL2)のそれぞれは、電子注入領域に対応する電子注入層、電子輸送領域に対応する電子輸送層、並びに電子注入機能及び電子輸送機能を同時に有する単一層のうち少なくともいずれか一つを含む。
【0217】
第1および第2電子制御層(ECL1、ECL2)のそれぞれは、電子輸送物質及び電子注入物質の少なくともいずれか一つを含む。例えば、電子輸送物質は、Alq3(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum)、TPBi(1,3,5-Tri(1-phenyl-1H-benzo[d]imidazol-2-yl)phenyl)、BCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)、Bphen(4,7-Diphenyl-1,10-phenanthroline)、TAZ(3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5 tert-butylphenyl-1,2,4-triazole)、NTAZ(4-(Naphthalen-1-yl)-3,5-diphenyl-4H-1,2,4-triazole)、tBu-PBD(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1,3,4-oxadiazole)、BAlq(Bis(2-methyl-8-quinolinolato-N1,O8)-(1,1′-Biphenyl-4 olato)aluminum)、Bebq2(berylliumbis(benzoquinolin-10-olate))、ADN(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、及びこれらの混合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0218】
なお、例えば、電子注入物質は、LiF、LiQ(Lithium quinolate)、Li2O、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタノイド金属、またはRbCl、RbIのようなハロゲン化金属、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metallic salt)が混合された物質などであるが、これに限定されるものではない。
【0219】
有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が約4eV以上の物質になる。具体的には、例えば、有機金属塩は、金属アセテート(metal acetate)、金属ベンゾアート(metal benzoate)、金属のアセトアセテート(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)または金属ステアレート(stearate)を含む。
【0220】
第1および第2電子制御層(ECL1、ECL2)のそれぞれは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法、インクジェットプリンティング技法、レーザープリンティング法、レーザー熱転写技法などのような多様な方法を利用して形成される。
【0221】
カバーパネル(CU)は、ウィンドウ層(WM)と光学層(CF)を含む。カバーパネル(CU)は、封入層(TFE)上に配置されてディスプレイ素子層(OL)の全面をカバーする。ウィンドウ層(WM)は、外部に露出される前面を含む。ディスプレイ素子層(OL)にディスプレイされるイメージは、ウィンドウ層(WM)の前面を通して外部から視認される。
【0222】
ウィンドウ層(WM)は、単層または多層構造を有する。たとえば、ウィンドウ層(WM)は接着剤で結合された複数のプラスチックフィルムの積層構造を有したり、接着剤で結合されたガラス基板とプラスチックフィルムの積層構造を有したりすることもできる。ウィンドウ層(WM)は、光学的に透明である。たとえば、ウィンドウ層(WM)は、ガラスまたはプラスチックを含む。
【0223】
ウィンドウ層(WM)の前面は、平面上で透過領域とベゼル領域に区分される。透過領域は、ディスプレイ素子層(OL)から提供された光を透過させる領域である。透過領域は、ディスプレイ装置(DD-A)のアクティブ領域(DD-DA)と対応する形状を有する。例えば、透過領域は、アクティブ領域(DD-DA)の前面または少なくとも一部と重なる。続いて、ディスプレイ装置(DD-A)のアクティブ領域(DD-DA)にディスプレイされるイメージ(IM)は、透過領域を通して外部から視認される。
【0224】
ベゼル領域は透過領域に比べて相対的に光透過率が低い領域である。ベゼル領域は透過領域の形状を定義する。ベゼル領域は、透過領域に隣接し、透過領域を取り囲む、クローズドループ(closed loop)形状を有する。
【0225】
ベゼル領域は、所定の色を有する。ベゼル領域は、非アクティブ領域(DD-NDA)をカバーして、非アクティブ領域(DD-NDA)が外部から視認されることを遮断する。例えば、ディスプレイ素子層(OL)で生成された光が非アクティブ領域(DD-NDA)に漏れる場合には、ベゼル領域によって漏れる光を遮断して、非アクティブ領域(DD-NDA)が外部から視認されることを遮断する。
【0226】
カバーパネル(CU)は、封入層(TFE)のうち、第2封入無機層(UIL)上に配置される。光学層(CF)は、透過領域に配置された隔壁層(WA)、反射層(CC)、遮光層(ABM)、および色フィルター層(CP)を含む。
【0227】
隔壁層(WA)は、ウィンドウ層(WM)上に配置される。例えば、隔壁層(WA)は、ウィンドウ層(WM)の裏面上に配置される。隔壁層(WA)は、ウィンドウ層(WM)の裏面に配置されて、外部からウィンドウ層(WM)の前面に流入される光によってディスプレイ装置(DD-A)のエレメントが視認されることを防止する。隔壁層(WA)は、光を遮断する有機物質を含む。隔壁層(WA)は、所定の色を有する。例えば、隔壁層(WA)は、青色を有してもよい。
【0228】
隔壁層(WA)は、複数の開口部が定義される。ウィンドウ層(WM)の裏面の少なくとも一部は、隔壁層(WA)から開口部を介して露出される。
【0229】
反射層(CC)は、ウィンドウ層(WM)の裏面に配置される。反射層(CC)は、隔壁層(WA)とともに、外部から流入される光によってディスプレイ装置(DD-A)のエレメントが視認されることを防止する。
【0230】
反射層(CC)は、第1~第3反射パターン(CC1、CC2、CC3)を含む。第1~第3反射パターン(CC1、CC2、CC3)のそれぞれは、開口部のうち対応する開口部に配置される。
【0231】
第1~第3反射パターン(CC1、CC2、CC3)は、異なる色の光を遮断・透過させることができる。例えば、第1反射パターン(CC1)は、青色光のみを透過させることができ、第2反射パターン(CC2)は、青色光を遮断し、赤色光のみを透過させることができる。第3反射パターン(CC3)は、青色光を遮断し、緑色光だけを透過させることができる。
【0232】
第1~第3反射パターン(CC1、CC2、CC3)のそれぞれは、異なる色の光を遮断する有機物質を含む。第1~第3反射パターン(CC1、CC2、CC3)のそれぞれは、異なる色を有する。例えば、第1反射パターン(CC1)は青色、第2反射パターン(CC2)は赤色、第3反射パターン(CC3)は、緑色を有する。
【0233】
一実施形態に係る第1反射パターン(CC1)は、隔壁層(WA)と同じ工程によって形成される。これにより、第1反射パターン(CC1)は、隔壁層(WA)は同じ物質を含むことができ、同じ色を有する。説明の便宜上、第1反射パターン(CC1)と隔壁層(WA)は、点線を介して、別のエレメントとして図示されたが、第1反射パターン(CC1)は、実質的に隔壁層(WA)の一部であってもよい。
【0234】
遮光層(ABM)は隔壁層(WA)上に配置される。遮光層(ABM)は、アクティブ領域(DD-DA)と重畳しない。遮光層(ABM)は、光を透過させない物質を含む。例えば、遮光層(ABM)はクロム(Cr)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)のうち少なくともいずれか一つを含む金属粒子、前記金属粒子の酸化物、または有機物質を含む。
【0235】
色フィルター層(CP)は、ディスプレイ装置(DD-A)から提供された光の色再現性を向上させる。色フィルター層(CP)は、第1~第3色パターン(CP1、CP2、CP3)を含む。第1~第3色パターン(CP1、CP2、CP3)のそれぞれは、対応する第1~第3反射パターン(CC1、CC2、CC3)と重畳して配置される。例えば、第1色パターン(CP1)は、第1反射パターン(CC1)上に配置される。第2色パターン(CP2)は、第2反射パターン(CC2)上に配置され、第3色パターン(CP1)は、第3反射パターン(CC3)上に配置される。
【0236】
本発明に係る第1色パターン(CP1)は、ディスプレイ素子層(OL)から供給される光と同じ色を表示する。例えば、ディスプレイ素子層(OL)により発生された青色光は、第1色パターン(CP1)をそのまま透過する。青色光を放出する領域に該当する第1色パターン(CP1)は、別途の蛍光体又は量子ドットなしに入射された青色光を透過する物質を含む。第1色パターン(CP1)は散乱体をさらに包含できる。
【0237】
例えば、第1色パターン(CP1)は、酸化チタン(TiO2)、感光性樹脂などのポリマー、青染料、青色顔料のうち少なくともいずれか一つ以上を包含できるが、青色光を変換せずに散乱させる物質であれば、これに限定されず、多様に変形される。
【0238】
第2色パターン(CP2)及び第3色パターン(CP3)は、それぞれ光を変換させる複数の量子ドットを含む。量子ドット(Quantum Dot)は、コアを含む。量子ドットのコアは、II-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、IV族元素、IV族化合物及びこれらの組み合わせから選択される。
【0239】
II-VI族化合物は、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgS及びこれらの混合物からなる群から選択される2元素化合物と、AgInS、CuInS、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnS及びこれらの混合物からなる群から選択される3元素化合物と、HgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe及びこれらの混合物からなる群から選択される4元素化合物と、から構成される群から選択される。
【0240】
III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群から選択される2元素化合物と、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP及びこれらの混合物からなる群から選択される3元素化合物と、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb及びこれらの混合物からなる群から選択される4元素化合物と、から構成される群から選択される。
【0241】
IV-VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群から選択される2元素化合物と、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe及びこれらの混合物からなる群から選択される3元素化合物と、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe及びこれらの混合物からなる群から選択される4元素化合物からなる群から選択される。IV族元素ではSi、Ge、及びこれらの混合物からなる群から選択される。IV族化合物としてはSiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群から選択される2元素化合物であってもよい。
【0242】
このとき、2元素化合物、3元素化合物または4元素化合物は、均一な濃度で粒子内に存在してもよいし、濃度分布が部分的に異なる状態に分けられて同じ粒子内に存在するものであってもよい。また、一つの量子ドットが、他の量子ドットを取り囲むコア/シェル構造を有することもできる。コアとシェルの界面は、シェルに存在する元素の濃度が、中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有してもよい。
【0243】
いくつかの実施形態では、量子ドットは、前述したナノ結晶を含むコアと、コアを囲むシェルを含むコア/シェル構造を有してもよい。量子ドットのシェルは、コアの化学的変性を防止して、半導体特性を維持するための保護層の役割及び/又は量子ドットに電気泳動特性を付与するためのチャージング層(charging layer)の役割を実行する。シェルは、単層又は多層でできている。コアとシェルの界面は、シェルに存在する元素の濃度が中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有してもよい。量子ドットのシェルの例としては、金属または非金属の酸化物、半導体化合物、またはこれらの組み合わせなどを挙げられる。
【0244】
例えば、金属又は非金属の酸化物は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZnO、MnO、Mn2O3、Mn3O4、CuO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、NiOなどの2元素化合物、又はMgAl2O4、 CoFe2O4、NiFe2O4、CoMn2O4などの3元素化合物を例として挙げられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0245】
なお、半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSbなどを例として挙げられるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0246】
量子ドットは、約45nm以下、好ましくは約40nm以下、より好ましくは約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(Full Width of Half Maximum:FWHM)を有することができ、この範囲で色純度や色再現性を向上させることができる。さらに、これらの量子ドットを介して発光される光は、全方向に放出されるところ、広視野角が向上される。
【0247】
なお、量子ドットの形状は、当分野において一般的に使用される形態のものに特に限定されないが、より具体的には、球形、ピラミッド型、マルチアーム(multi-arm)であり、立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノ繊維、板状ナノ粒子などの形態のものが使用される。
【0248】
量子ドットは、粒子の大きさに応じて放出される光の色を調節することができ、これにより、量子ドットは、青、赤、緑などの多様な発光色を有することができる。
【0249】
以上では、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練された当業者または当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲に記載された本発明の思想と技術領域から逸脱せずに、本発明を多様に修正及び変更させうることが理解できるはずである。
【0250】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきであろう。
【符号の説明】
【0251】
DD:ディスプレイ装置
PLE:ピクセル定義層
PD1:第1ピクセル定義層
PD2:第2ピクセル定義層
OD:有機発光素子
BL:ベース層
CL:回路素子層
OL:ディスプレイ素子層
TFE:封入層