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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】画像処理装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/70 20230101AFI20240403BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240403BHJP
   H04N 23/45 20230101ALI20240403BHJP
   H04N 23/71 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
H04N23/70
H04N1/387 110
H04N23/45
H04N23/71
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019209005
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2020102839
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2018238650
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 直宏
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195085(JP,A)
【文献】特開2014-135627(JP,A)
【文献】特開2017-157902(JP,A)
【文献】特開2006-227876(JP,A)
【文献】国際公開第2017/099150(WO,A1)
【文献】特開2007-089096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/70
H04N 1/387
H04N 23/45
H04N 23/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視画像と赤外画像とを取得する画像取得手段と、
前記可視画像の輝度を取得する輝度取得手段と、
前記輝度取得手段により取得された輝度に基づいて、前記赤外画像と前記可視画像とを合成した合成画像を生成するための前記赤外画像と前記可視画像との合成比率を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された合成比率に基づいて前記赤外画像と前記可視画像とを合成する合成手段と、
前記合成比率の変化量が閾値を超えた場合に、前記合成比率の変化量が前記閾値を超えないように前記合成比率を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記輝度の変化が閾値を超えた場合に、前記輝度の変化が閾値を超えないように前記輝度を補正し、
前記決定手段は、前記補正手段により補正された輝度に基づいて、前記合成比率を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記決定手段は、相対的に低い輝度における変化量が、相対的に高い輝度における変化量よりも小さくなるよう前記合成比率を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記輝度が大きいほど、前記合成画像における前記赤外画像の割合が小さくなるように前記合成比率を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記輝度取得手段は、取得される時間がそれぞれ異なる第1の輝度第2の輝度および第3の輝度を順次取得し、
前記決定手段は、前記第1の輝度と前記第2の輝度との間の時間方向の第1の輝度変化を算出するとともに、前記第2の輝度と前記第3の輝度との間の時間方向の第2の輝度変化を算出し、
前記補正手段は、第1の輝度変化と前記第2の輝度変化とに基づいて前記第2の輝度を補正する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記第1の輝度と前記第3の輝度との間の第3の輝度変化を算出し、
前記補正手段は、前記第3の輝度変化が前記第1の輝度変化より小さくかつ前記第2の輝度変化より小さい場合に、前記第2の輝度を補正する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置の周辺輝度情報を生成する輝度センサを更に有し、
前記輝度取得手段は、前記輝度センサにより生成された輝度情報に基づいて前記輝度を取得する
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
可視画像と赤外画像とを合成する画像処理装置の制御方法であって、可視画像と赤外画像とを取得する画像取得工程と、
前記可視画像の輝度を取得する輝度取得工程と、
前記輝度取得工程により取得された輝度に基づいて、前記赤外画像と前記可視画像とを合成した合成画像を生成するための前記赤外画像と前記可視画像との合成比率を決定する決定工程と、
前記決定工程により決定された合成比率に基づいて前記赤外画像と前記可視画像とを合成する合成工程と、
前記合成比率の変化量が閾値を超えた場合に、前記合成比率の変化量が前記閾値を超えないように前記合成比率を補正する補正工程と、
を含むことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記補正工程では、前記輝度の変化が閾値を超えた場合に、前記輝度の変化が閾値を超えないように前記輝度を補正し、
前記決定工程では、前記補正工程により補正された輝度に基づいて、前記合成比率を決定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記決定工程では、相対的に低い輝度における変化量が、相対的に高い輝度における変化量よりも小さくなるよう前記合成比率を決定する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視画像と赤外画像とを合成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークカメラのシステムは、例えば、公共の建物や場所、銀行、スーパー等の店舗、ダム、基地、飛行場等の立入り禁止区域等への侵入者あるいは侵入物体を監視する目的で数多く用いられている。例えば、ネットワークカメラで撮像された画像データはネットワークを介してサーバーに保存され、保存された画像データに基づいてサーバーは侵入物体が存在するか否かの解析を行う。また、暗い場所でも鮮明に撮像するために、可視光の光源だけでなく赤外光の光源も持つ撮像装置も出ている。この場合、可視光での撮像と赤外光での撮像をあらかじめ決められた条件に従って切り替える操作をしている。例えば、撮像された画像データの輝度情報をもとに、特定の輝度値以上であれば可視光の光源を用いて撮像を行い、特定の輝度値以下であれば赤外光の光源を用いて撮像を行う。一般に、可視光の光源で撮像された可視画像はカラー画像として取得され、赤外光の光源で撮像された赤外画像はモノクロ画像として取得される。
【0003】
さらに、可視画像と赤外画像とを合成して合成画像を生成する手法もある。例えば、可視画像と赤外画像とを合成して疑似カラー画像である合成画像(以下、MIX画像と呼ぶ)を生成する手法が知られている。また、特許文献1では、可視画像と赤外画像とを合成することにより、霧が発生している状況における画像の画質を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-157902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、輝度閾値に基づいて合成画像を生成する際の可視画像と赤外画像との合成比率を切り替える場合、当該切り替えの前後で出力される合成画像における輝度値が大きく変化することがある。そのため、被写体の輝度が輝度閾値周辺で変動する場合においては、輝度変化が小さい場合であっても合成比率が変化し合成画像における輝度値が大きく変化することがある。その結果、合成画像に基づいて認識処理を行う場合には、このような輝度値の変化に起因して被写体の状態を誤認識することになる。また、合成画像をユーザーが目視する場合においては、このような輝度値の変化は当該ユーザーに違和感を抱かせることになる。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、より好適な合成画像を生成可能とする技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するため、本発明に係る画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、画像処理装置は、
可視画像と赤外画像とを取得する画像取得手段と、
前記可視画像の輝度を取得する輝度取得手段と、
前記輝度取得手段により取得された輝度に基づいて、前記赤外画像と前記可視画像とを合成した合成画像を生成するための前記赤外画像と前記可視画像との合成比率を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された合成比率に基づいて前記赤外画像と前記可視画像とを合成する合成手段と、
前記合成比率の変化量が閾値を超えた場合に、前記合成比率の変化量が前記閾値を超えないように前記合成比率を補正する補正手段と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より好適な合成画像を生成可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるカメラ装置の構成を示す図である。
図2】カメラ装置の設置形態を説明する図である。
図3】輝度値と合成比率の関係を示す図である。
図4】カメラ装置の全体動作を示すフローチャートである。
図5】合成比率の更新処理を示す詳細フローチャートである。
図6】時間に対する輝度値の閾値の関係を示す図である。
図7】時間に対する輝度値変化の一例を示す図である。
図8図7に示す輝度値変化の補正結果の例を示す図である。
図9】第1実施形態における合成比率の補正処理を示す詳細フローチャートである。
図10】時間に対する輝度値変化の他の例を示す図である。
図11図10に示す輝度値変化の補正結果の例を示す図である。
図12】第2実施形態における合成比率の補正処理を示す詳細フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、この発明の実施の形態の一例を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る画像処理装置の第1実施形態として、可視光領域及び赤外光領域で同一の被写体の撮像を行い、撮像により得られた可視画像および赤外画像を合成して得られる合成画像をネットワーク配信するカメラ装置を例に挙げて以下に説明する。なお、以下の説明では、所定のフレームレートで可視動画像および赤外動画像を取得し、同じタイミングで取得された可視フレーム画像および赤外フレーム画像の画像ペアを合成し配信することを想定する。また、以下の説明では、合成画像として疑似カラー画像(MIX画像)を生成する形態について説明するが、モノクロ画像を生成する形態にも適用可能である。
【0012】
<装置構成>
図1は、第1実施形態におけるカメラ装置の構成を示す図である。また、図2は、カメラ装置の設置形態を説明する図である。
【0013】
カメラ装置100は、ネットワーク121を介してユーザーインターフェース(UI)部120と通信可能に接続されている。カメラ装置100で撮像された可視画像、赤外画像、もしくはこれらの画像に基づき生成された合成画像であるMIX画像はネットワーク121を介してUI部120に送られる。
【0014】
カメラ装置100は、可視撮像用のズームレンズ101、撮像素子102、A/D変換処理部103、現像処理部104と、赤外撮像用のズームレンズ111、撮像素子112、A/D変換処理部113、現像処理部114と、を有する。また、カメラ装置100は、画像合成部105、配信部106、輝度センサ107、輝度判定部108、合成比率算出部109を有する。
【0015】
カメラ装置100は、ズームレンズ101、111によるズーム制御に加え、パン・チルト制御が可能に構成されている。なお、ズーム制御及びパン・チルト制御は、駆動モーター等を制御することにより撮像範囲や撮像方向を物理的に制御するものであってもよいし、画像処理により撮像範囲や撮像方向を論理的に制御するものであってもよい。UI部120は、ユーザーからの指示に基づいて、カメラ装置100にパン・チルト・ズームなどの制御コマンドを送信する。カメラ装置100は、受信した制御コマンドに従って、ズームレンズ101、111及び不図示の架台の駆動モーターを駆動する。例えば、制御コマンドがズーム指示である場合には、当該ズーム指示が示す撮影範囲(撮影画角)となるようズームレンズ101、111の駆動モーターを駆動する。
【0016】
ズームレンズ101は可視光の領域を透過する光学レンズで構成され、撮像素子102は、可視光の領域に感度がある素子で構成される。また、ズームレンズ111は赤外光の領域を透過する光学レンズで構成され、撮像素子112は、赤外光の領域に感度がある素子で構成される。撮像素子102、112は、受光強度に応じた電気信号を出力する素子であり、CCDセンサやCMOSセンサが利用可能である。なお、ここでは、所定のフレームレートで順次撮像を行うことを想定する。
【0017】
撮像素子102、112が出力したアナログ信号は、A/D変換処理部103、113にてデジタル信号に変換され、デジタルデータであるRAW画像データが生成される。現像処理部104、114は、受信したRAW画像データを現像し画像データを生成する。ここでは、現像処理部104はカラー画像データを生成し、現像処理部114はモノクロ画像データを生成することを想定する。例えば0.1~30フレーム/秒の範囲で設定され得るが、この範囲に限定されるものではない。
【0018】
画像合成部105は、後述する手法により決定された合成比率に従って、現像処理部104から画像取得した可視画像と現像処理部114から画像取得した赤外画像とを合成し、MIX画像を生成する。配信部106は、画像合成部105で生成されたMIX画像を、ネットワーク121に配信する。なお、配信部106は、UI部120からの指示に応じてMIX画像を圧縮処理した圧縮画像を配信してもよい。
【0019】
輝度センサ107は、カメラ装置100の設置された場所周辺での可視光の輝度情報を生成するセンサである。なお、輝度センサ107を設置する替わりに、撮像素子102により得られた情報に基づき可視画像の輝度の情報生成をするよう構成してもよい。輝度判定部108は、輝度センサ107で生成された輝度情報を取得(輝度取得)し、合成比率の決定に利用されることになる輝度値を算出する。合成比率算出部109は、輝度判定部108で算出された輝度値に基づいて合成比率を算出する。
【0020】
図3は、輝度値と合成比率の関係(特性グラフ)を示す図である。横軸は画像合成における合成比率(合成画像における赤外画像の割合)であり、縦軸は可視画像の輝度値である。可視画像の輝度値が高いほど被写体(撮影範囲)は明るいと考えられるため、可視画像の比率が高い(合成比率の値が低い)画像合成となる。そして、輝度値の変化に応じて合成比率が連続的に変化するような関係となっている。合成比率算出部109は、輝度判定部108で判定された輝度値に対して、図3の特性グラフに基づいて合成比率の値を決定する。画像合成部105は、決定された合成比率の値に基づいて、可視画像と赤外画像とを合成してMIX画像を生成する。
【0021】
なお、可視画像配信から合成画像配信への切り替え(あるいはその逆)においても連続的な変化となるように、当該切り替えを行う輝度値での合成画像における赤外画像の合成比率を0(ゼロ)%(すなわち、可視画像100%)とするとよい。また、赤外画像配信から合成画像配信への切り替え(あるいはその逆)においても連続的な変化となるように、当該切り替えを行う輝度値での合成画像における赤外画像の合成比率を100%(すなわち、可視画像0%)とするとよい。更に、相対的に低い輝度(図3の右側)における合成比率の変化率が、相対的に高い輝度(図3の左側)における合成比率の変化率よりも小さくなるよう設定するとよい。
【0022】
<装置の動作>
図4は、カメラ装置の全体動作を示すフローチャートである。具体的には、可視画像、赤外画像を取得し、MIX画像を配信するまでのカメラ装置100の動作を示している。なお、以下の説明では、あるタイミングでの注目フレーム画像(可視画像および赤外画像のペア)について記載しているが、撮像素子102、112により撮像された各フレーム画像について実行される。
【0023】
S101では、画像合成部105は、可視光での画像データの取得し、S102では、赤外光での画像データの取得を行う。S103では、輝度判定部108は、輝度センサ107からのデータを取得し輝度値を取得する。
【0024】
S104では、画像合成部105は、UI部120によって予め指定された配信画像の種類に応じて合成画像を配信するか否かを判断する。合成画像を配信すると判断した場合はS105に進み、合成画像を配信しない(すなわち、赤外画像または可視画像を配信する)と判断した場合はS110に進む。
【0025】
S110では、画像合成部105は、赤外画像を配信するか否かを判断する。赤外画像を配信すると判断した場合はS111に進み、赤外画像を配信しない(すなわち、可視画像を配信する)と判断した場合はS112に進む。S111では、画像合成部105は、赤外画像を選択し配信部106へ出力する。一方、S112では、画像合成部105は、可視画像を選択し配信部106へ出力する。
【0026】
S105では、輝度判定部108は、輝度値の時間的な変化(輝度値変動)が発生したかを判断する。輝度値変動がある場合にはS106に進み、輝度値変動がない場合はS107に進む。S106では、合成比率算出部109は、合成比率の更新を行う。合成比率の更新の詳細については、図5を参照して後述する。S107では、画像合成部105は、決定された合成比率に従って赤外画像と可視画像とを合成し、合成画像であるMIX画像を生成する。S108では、画像合成部105は、生成した合成画像を選択し配信部106へ出力する。
【0027】
S109では、配信部106は、S108、S111、S112の何れかで選択され、画像合成部105から受信した画像をネットワーク121へ配信する。
【0028】
図5は、合成比率の更新処理(S106)を示す詳細フローチャートである。具体的には、合成比率算出部109が実行する、MIX画像生成に使用する合成比率の更新(算出)処理である。なお、この更新処理は、図4に示す全体動作と同期して実行するよう構成してもよいし、図4の全体動作とは独立して実行するよう構成してもよい。
【0029】
S201では、輝度判定部108は、輝度値を算出する。S202では、合成比率算出部109は、輝度値と合成比率の関係を示す特性情報(例えば、図3に示す特性グラフ)を取得する。特性情報は、カメラ装置100内の記憶部に予め格納しておくよう構成してもよいし、UI部120又は他の装置から取得するよう構成してもよい。
【0030】
S203では、合成比率算出部109は、S202で読み出した特性情報に基づいて、輝度値に対する合成比率の値を決定する。S204では、合成比率算出部109は、S203で決定した合成比率の値を画像合成部105へ出力する。
【0031】
S205では、輝度判定部108は、輝度センサ107での輝度情報に更新通知があったかを判断する。更新があればS201に移行し処理を繰り返す。更新がなければ処理を終了する。
【0032】
上述のように、カメラ装置100の設置された場所周辺での輝度に応じて連続的に合成比率を変化させることにより、輝度変化が小さい場合であっても合成画像における輝度値が大きく変化するといった動作を防ぐことが可能となる。すなわち、適切なMIX画像を生成し出力することが可能となる。
【0033】
ところで、輝度値の急激な変化が生じた場合には、合成比率も併せて急変する可能性がある。そこで、更に、注目フレーム画像(注目画像ペア)に対する合成比率を、当該注目フレーム画像を取得したタイミングでの輝度値の変化率に応じて補正する。具体的には、輝度値変化が生じた場合に、当該輝度値変化に対応する時間に応じて輝度値変動に閾値を設け、合成比率の急変を防止する。
【0034】
図6は、時間に対する輝度値の閾値の関係を示す図である。輝度判定部108は、図6に示す輝度値の閾値以上の輝度変化が発生した場合、閾値で示される輝度値に補正する。
【0035】
図7は、時間に対する輝度値変化の一例を示す図である。具体的には、輝度センサ107で検知した輝度値の時間推移の一例をプロットしたものである。マーカ200、201、202、203、204は、連続する5つのタイミングでの輝度値を丸印としてプロットしたものである。5つのマーカの中で、マーカ202の時間的変化が、閾値を超えて下回っている。この場合、輝度判定部108はマーカ202を閾値の傾き情報に従って補正を行う。
【0036】
図8は、図7に示す輝度値変化の補正結果の例を示す図である。図7のマーカ202の補正を行った結果が図8のマーカ205になる。また、マーカ202の位置がマーカ205の位置に補正されたことで、補正後のマーカ202に対するマーカ203の時間的変化が閾値を超えて下回ることになる。そのため、マーカ203の位置も図8のマーカ206の位置に補正される。
【0037】
図9は、第1実施形態における合成比率の補正処理を示す詳細フローチャートである。具体的には、輝度判定部108及び合成比率算出部109が実行する、輝度変化に応じた合成比率を補正(算出)する処理である。なお、この補正処理は、所定の時間間隔で実行することを想定する。また、図5に示す更新処理と同期して実行するよう構成してもよいし、図5の更新処理とは独立して実行するよう構成してもよい。
【0038】
S301では、輝度判定部108は、注目画像ペアに先行する画像ペアに対応する前回読み出した輝度値を読み出す。なお、前回読み出した輝度値は記録媒体に記録されており、輝度判定部108は、その記録媒体から前回の輝度値を読み出す。S302では、輝度判定部108は、輝度センサ107から今回の輝度値を取得し、S301で読み出した前回の輝度値との差分を算出する。S303では、輝度判定部108は、輝度センサ107から輝度値を取得する時間間隔を算出する。
【0039】
S304では、輝度判定部108は、S302で算出した輝度値の差分とS303で算出した時間間隔の値とから、時間に対する輝度値の変化量である傾き(変化率)の値を算出する。S305では、合成比率算出部109は、S304で算出した傾きの値に対して、例えば図3で示した特性グラフに基づいて合成比率の変化量を算出する。
【0040】
S306では、合成比率算出部109は、S305で算出された合成比率の変化量と合成比率の特性グラフとを比較し、変化量が特性グラフにより規定される閾値を超過するか否かを判定する。変化量が特性グラフにより規定される閾値を超過する場合はS307に進み、変化量が特性グラフにより規定される閾値を超過しない場合は、S308に進む。
【0041】
S307では、急激な合成比率の変動であると判断し、合成比率の補正を行う。すなわち、図7及び図8に示したように、緩やかな合成比率の変動となるように補正する。一方、S308では、緩やかな合成比率の変動であると判断し、特性グラフに応じた合成比率を算出する。
【0042】
S309では、輝度判定部108は、輝度センサ107での輝度情報に更新通知があったかを判断し、更新があればS301へ移行し処理を繰り返す。
【0043】
以上の処理により、輝度値の急激な変化が生じた場合における合成比率の急激な変動を抑制することが可能となる。
【0044】
以上説明したとおり第1実施形態によれば、赤外光と可視光の2つの光源を持つ撮像装置で撮像した映像の合成画像の合成比率を輝度値に応じて制御する。これにより、撮影中に輝度変動が生じた際にも、被写体の状態の誤認識やユーザーの違和感が軽減された合成画像を出力することが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態では、急な輝度変化に対する合成比率の算出処理の他の形態について説明する。装置構成及び全体動作については第1実施形態と同様であるため説明は省略する。以下では、第1実施形態(図7図9)と異なる部分について主に説明を行う。
【0046】
<装置の動作>
図10は、時間に対する輝度値変化の他の例を示す図である。具体的には、輝度センサ107で検知した輝度値の時間推移の一例をプロットしたものである。マーカ300、301、302、303、304は、連続する5つのタイミングでの輝度値を丸印としてプロットしたものである。5つのマーカの中で、マーカ302の時間的変化が、閾値を超えて下回っている。特に、マーカ302の前後のマーカ301、303の輝度値はほぼ同じであり、マーカ302の輝度値のみが急激に落ち込んでいる。この場合、輝度判定部108はマーカ302を閾値の傾き情報に従って補正を行う。
【0047】
図11は、図10に示す輝度値変化の補正結果の例を示す図である。図10のマーカ302の補正を行った結果が図11のマーカ305になる。ここでは、マーカ302は、そのタイミングだけの急激な変化と判断され、マーカ302の前後のマーカ301、303の輝度値に従ってマーカ305の輝度値に補正される。
【0048】
図12は、第2実施形態における合成比率の補正処理を示す詳細フローチャートである。具体的には、輝度判定部108及び合成比率算出部109が実行する、輝度変化に応じた合成比率を補正(算出)する処理である。
【0049】
S401では、輝度判定部108は、評価対象である注目画像ペアに対応する輝度値と当該注目画像ペアの前後(先行及び後続の画像ペア)に対応する輝度値を読み出す(順次取得する)。例えば、評価対象がマーカ302の輝度値である場合、マーカ301~マーカ303の3点のタイミングでの輝度値を読み出す。
【0050】
S402では、輝度判定部108は、S401で読み出した評価対象の輝度値と当該輝度値の前後のタイミングで取得した輝度値それぞれとの差分を算出する。S403では、輝度判定部108は、S401で読み出した輝度値の時間間隔を算出する。例えば、図10に示す例では、マーカ301、302、303の輝度値を取得した時間間隔に相当する。
【0051】
S404では、輝度判定部108は、S402で算出した輝度差分とS403で算出した時間間隔とから、評価対象の輝度値の前後における輝度値の時間に対する変化量(傾き、変化率)を算出する。これにより、3点の輝度値のうち中間のマーカ302の輝度値の変化の状態を判定することが出来る。特に、中間に位置するマーカ302の周囲に対する急激な一時的変化をしているか否かを判定することができる。
【0052】
S405では、輝度判定部108は、中間に位置する輝度値の変化率(輝度変化量)が閾値以上か否かを判断する。図10に示す例では、マーカ301とマーカ302との間の第1の輝度変化率、マーカ302とマーカ303との間の第2の輝度変化率、マーカ301とマーカ303との間の第3の輝度変化率、を算出する。そして、マーカ302の輝度値が閾値以上か否かを判断する。例えば、第3の輝度変化率が第1の輝度変化率より小さくかつ第3の輝度変化率が第2の輝度変化率より小さい場合に、中間に位置するマーカ302の輝度が急激な一時的変化であると判定しS406に進み、閾値未満と判断された場合はS407に進む。
【0053】
S406では、輝度判定部108は、中間に位置する輝度値を閾値に従って補正を行う。例えば、図10のマーカ302を図11のマーカ305の位置に補正する。すなわち、第1の輝度変化率と第2の輝度変化率の双方が閾値未満となるようにマーカ302の輝度値を補正する。一方、S407では、輝度判定部108は、中間に位置する輝度値を補正しない。S408では、合成比率算出部109は、S406及びS407で決定した輝度値をもとに、特性グラフに応じた合成比率を算出する。
【0054】
S409では、輝度判定部108は、輝度センサ107での輝度情報に更新通知があったかを判断し、更新があればS401へ移行し処理を繰り返す。
【0055】
以上の処理により、輝度値の急激な一時的変化が生じた場合における合成比率の急激な変動を抑制することが可能となる。
【0056】
以上説明したとおり第2実施形態によれば、赤外光と可視光の2つの光源を持つ撮像装置で撮像した映像の合成画像の合成比率を輝度値に応じて制御する。これにより、撮影中に一時的な輝度変動が生じた際にも、被写体の状態の誤認識やユーザーの違和感が軽減された合成画像を出力することが可能となる。
【0057】
(変形例)
上述の実施形態において、合成画像の合成比率を輝度値に応じて間接的に制御する例を説明したが、合成比率を直接的に制御することも可能である。例えば、合成比率が急激に変化した場合に、その変化が一時的なものであれば、その急激な変化が生じる前の合成比率の経時変化のデータに基づいて、急激な変化が生じた後の合成比率を補正する。具体的には、急激な変化が生じる前の合成比率の経時変化のデータから急激な変化が生じた後の合成比率の予測データを外挿補完し、この予測データに近づけるように合成比率を補正する。ここで、合成比率の変化が急激なものである否かは、合成比率の変化量が所定値(閾値)以上か否かにより判定する。また、合成比率の変化が一時的なものであるか否かは、合成比率の変化量が所定値(閾値)以上の状態が所定時間未満であるか否かにより判定する。以上の処理により、輝度値の急激な一時的変化が生じた場合における合成比率の急激な変動を抑制することが可能となる。
【0058】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 カメラ装置; 101 ズームレンズ; 102 撮像素子; 103 A/D変換処理部; 104 現像処理部; 105 画像合成部; 106 配信部; 107 輝度センサ; 108 輝度判定部; 109 合成比率算出部; 111 ズームレンズ; 112 撮像素子; 113 A/D変換処理部; 114 現像処理部; 120 ユーザーインターフェース部; 121 ネットワーク
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