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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】電池及び電池の冷却システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6569 20140101AFI20240403BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 10/6572 20140101ALI20240403BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240403BHJP
【FI】
H01M10/6569
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M10/6572
H01M50/204 401H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020029669
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021136093
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吹野 真人
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正義
【審査官】大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-030670(JP,A)
【文献】特開2010-267977(JP,A)
【文献】特表2015-536036(JP,A)
【文献】特開2009-009873(JP,A)
【文献】特開2013-161528(JP,A)
【文献】特開2014-071936(JP,A)
【文献】特開2007-018917(JP,A)
【文献】特開2006-012792(JP,A)
【文献】特開2008-159332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0148542(US,A1)
【文献】特開2008-293771(JP,A)
【文献】特表2014-531111(JP,A)
【文献】米国特許第06146786(US,A)
【文献】国際公開第2012/089133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6569
H01M 10/613
H01M 10/6556
H01M 10/6563
H01M 10/6572
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを複数積層した電池セル群を備えた電池であって、
前記電池セルは、第1の面に形成された正極と、前記第1の面の反対側の第2の面に形成された負極と、を有し、
前記電池セル群は、隣り合う前記電池セルの前記正極と前記負極とが接触するようにして構成され、
前記電池セルには、前記正極から前記負極に貫通し、冷媒が供給される切欠きが設けられる、
ことを特徴とする電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池と、
前記冷媒を前記切欠きへ供給する冷媒供給機構と、
を備える、
ことを特徴とする電池冷却システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電池と、
前記電池と前記冷媒とを収容する収容部材と、
前記冷媒を冷却する冷却機構と、を備え、
前記冷媒は、液体であって、
前記電池は、少なくとも前記切欠きの一部まで前記冷媒に浸されている、
ことを特徴とする電池冷却システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電池冷却システムであって、
前記冷媒の沸点は前記電池セルの運転温度の最小値以下である、
ことを特徴とする電池冷却システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電池冷却システムであって、
前記冷却機構は、気化した前記冷媒を空冷で液化させる空冷機構である、
ことを特徴とする電池冷却システム。
【請求項6】
請求項4に記載の電池冷却システムであって、
前記冷却機構は、気化した前記冷媒を液化させるペルチェ素子を備える、
ことを特徴とする電池冷却システム。
【請求項7】
請求項3から6のいずれかひとつに記載の電池冷却システムであって、
記切欠き内に配置され、毛細管現象により前記冷媒を吸い上げて前記冷媒に浸っていない部分に前記冷媒を接触させる冷媒供給部材をさらに備える、
ことを特徴とする電池冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池及び電池の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の面に正極が形成され他方の面に負極が形成されるバイポーラ構造である電池セルを複数個積層した電池セル群を発電要素とした双極型二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6342519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電池は、発熱の影響による熱的な制限によって供給電流が制限される。そのため、電池を効率よく冷却することが求められる。電池を効率よく冷却するためには、電池自体を冷却されやすい構成にすることや、電池を冷却するための装置を採用することが考えられる。
【0005】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、バイポーラ構造の電池セル同士を接触させて積層する電池セル群を備える双極型二次電池を効率よく冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、電池セルを複数積層した電池セル群を備えた電池であって、前記電池セルは、第1の面に形成された正極と、前記第1の面の反対側の第2の面に形成された負極と、を有し、前記電池セル群は、隣り合う前記電池セルの前記正極と前記負極とが接触するようにして構成され、前記電池セルには、前記正極から前記負極に貫通し、冷媒が供給される切欠きが設けられる、ことを特徴とする電池が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、電池セル(電池セル群)は、孔または切欠きが設けられることで表面(放熱面)の面積が広くなる。そのため、電池セル(電池セル群)は、表面に冷媒が接触した際には、孔または切欠きを設けられない場合よりも効率よく冷却される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電池セル及び電池セル群の概要図と、電池セル同士の積層状態の概要を示す拡大図である。
図2図1の電池セルのII-II断面の概要図である。
図3A】電池セル群の冷却システムの第1の実施形態の概要図である。
図3B図3AのIII-III断面の概要図である。
図4A】電池セル群の冷却システムの第2の実施形態の概要図である。
図4B図4AのIV-IV断面の概要図である。
図5A】電池セル群の冷却システムの第3の実施形態の概要図である。
図5B図5AのV-V断面の概要図である。
図6】電池セル群の冷却システムの第4の実施形態の概要図である。
図7A】電池セル群の冷却システムの第5の実施形態の概要図である。
図7B図7AのVII-VII断面の概要図である。
図8A】本発明の実施形態に係る電池セルの変形例の概要図である。
図8B】本発明の実施形態に係る電池セルの別の変形例の概要図である。
図8C】本発明の実施形態に係る電池セルのさらに別の変形例の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、電池セル1a及び電池セル群1の概要図と、電池セル1a同士の積層状態の概要を示す拡大図である。図2は、図1に示す電池セル1aのII-II断面の概要図である。電池セル群1は、電池セル1aを複数積層して構成される。電池セル1aは、いわゆる全樹脂電池であり、特許第6342519号公報に記載されるような樹脂型リチウムイオン電池として知られている。
【0011】
図2に示すように、電池セル1aは、第1の面に形成された正極1bと、正極1bの反対側の第2の面に形成された負極1cと、正極1bと負極1cとの間に介在するゲル状の電解質層(セパレータ)1dと、を有する。電池セル1aは、一方の面に正極1bが形成され、正極1bの反対側の面に負極1cが形成される、バイポーラ構造の電池セル1aである。
【0012】
正極1bは、正極活物質層1fと、集電体1eとを有する。負極1cは、負極活物質層1gと、集電体1eと、を有する。
【0013】
正極活物質層1fは、樹脂材料や正極活物質などから構成される。
【0014】
集電体1eは、正極活物質層1fと接する面から、隣り合う電池セル1aの負極活物質層1gと接する面へと電子の移動を媒介する機能を有する。集電体1eを構成する材料は、例えば、金属や導電性を有する樹脂である。本実施形態では、集電体1eは、導電性を有する樹脂によって構成される。
【0015】
負極活物質層1gは、樹脂材料や負極活物質などから構成される。
【0016】
図1における拡大図部分に示すように、電池セル群1は、バイポーラ構造の電池セル1aを、隣り合う電池セル1aの正極1bと負極1cとが接触するように積層することにより構成される。なお、図1における拡大図部分では、隣り合う電池セル1aの正極1bと負極1cとを区別できるようにするために電池セル1a同士を僅かに離間させて図示している。実際には、隣り合う電池セル1aの正極1bと負極1cとは接触している。
【0017】
電池セル1aの積層個数は、必要とされる電圧に応じて調節される。具体的には、高電圧の電池を得たい場合には、電池セル1aの積層個数を増やせばよい。
【0018】
ところで、電池セル群1は、発熱の影響による熱的な制限によって供給電流が制限される。そのため、電池セル群1を効率よく冷却することが求められる。電池セル群1を効率よく冷却するためには、電池セル群1自体を冷却されやすい構成にすることや、電池セル群1を冷却するための装置を採用することが考えられる。
【0019】
上記したように、電池セル群1を構成する電池セル1aは、主に樹脂によって構成される。電池セル1aは、樹脂を型に流しこんで製造するため、形状自由度が高く、様々な形状に成形することが可能である。
【0020】
そこで本実施形態では、電池セル1aは、切欠きとしての切欠き部1hを所定の間隔をあけて複数個有する櫛歯形状に成形される。切欠き部1hは、電池セル1aの正極1bから負極1cに貫通するように電池セル1aに設けられる。
【0021】
図1に示すように、複数の切欠き部1hを有する櫛歯形状の電池セル1aを複数個積層すると、隣り合う切欠き部1h同士が連通して切欠き溝1iが複数個設けられる。各々の切欠き溝1iは、電池セル群1における一端の電池セル1aの正極1bから他端の電池セル1aの負極1cにかけて、電池セル群1を貫通して設けられる。
【0022】
電池セル群1(電池セル1a)は、切欠き溝1i(切欠き部1h)が設けられることで、切欠き溝1i(切欠き部1h)が設けられない場合よりも、表面(放熱面)の面積が広くなる。そのため、電池セル群1(各々の電池セル1a)は、表面(放熱面)に空気や冷媒液などの冷媒が接触した際には、切欠き溝1i(切欠き部1h)が設けられない場合よりも効率よく冷却される。また、電池セル群1(電池セル1a)は、切欠き溝1i(切欠き部1h)が設けられることで、切欠き溝1i(切欠き部1h)が設けられない場合よりも、電池セル群1(電池セル1a)の表面(放熱面)と電池セル群1(電池セル1a)の内部との距離が短くなる。そのため、切欠き溝1i(切欠き部1h)内に空気や冷媒液などの冷媒が供給された際には、電池セル群1(電池セル1a)は内部まで効率よく冷却される。
【0023】
切欠き溝1iは、電池セル1aを複数個積層することで電池セル群1に設けられるものであって、言い換えれば、電池セル群1の積層構造を保持したまま適用できるものである。つまり、切欠き溝1iは、積層構造を保持する必要がある電池セル群1に採用するのに好適である。切欠き溝1iを有する電池セル群1は、電池セル群1自体に冷却フィンが形成されているとも言える。
【0024】
続いて、電池セル群1を冷却する電池冷却システムについて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、図3A図3Bを参照して、電池セル群1を冷却する第1の実施形態としての電池冷却システム100について説明する。図3Aは、電池冷却システム100の概要図である。図3Bは、図3Aの電池冷却システム100のIII-III断面の概要図である。
【0026】
電池冷却システム100は、電池セル群1と、電池セル群1を収容する収容部10と、を備える。収容部10は、収容部材11と、吸入口12と、排出口13と、保持部材14と、ファン15と、を有する。収容部材11と、吸入口12と、排出口13と、ファン15とは、電池冷却システム100の冷媒供給機構を構成する。
【0027】
収容部材11は、上部ケース11aと下部ケース11bとから構成される。なお、図3Bでは、構造を示すために上部ケース11aと下部ケース11bとを離間させて図示している。実際には、上部ケース11a及び下部ケース11bは、密着している。収容部材11の内部には電池セル群1を保持するための保持部材14が設けられる。本実施形態では、収容部材11内部のそれぞれの隅に保持部材14が設けられる。電池セル群1は、保持部材14によって保持されることで、収容部材11の内壁と接触しない位置に保持される。これにより、収容部材11の内壁と電池セル群1との間には、冷媒である空気が通過可能な空間が設けられる。
【0028】
吸入口12及び排出口13は、収容部材11の内部と外部とを連通する開口部である。排出口13には、ファン15が設けられる。ファン15が駆動すると、吸入口12近傍の空気が吸入口12から収容部材11の内部へ吸入されるとともに、収容部材11の内部の空気が排出口13から収容部材11の外部へ排出される。
【0029】
電池冷却システム100は、ファン15を駆動することで、空気を収容部材11の内壁と電池セル群1との間の空間や切欠き溝1iに供給し、空気を電池セル群1の表面(放熱面)と接触させて、電池セル群1を冷却する。このように、電池冷却システム100は、切欠き部1h(切欠き溝1i)が設けられることで表面(放熱面)の面積が広くなった電池セル1a(電池セル群1)に、空気を接触させることで、電池セル1a(電池セル群1)を効率よく冷却できる。また、電池冷却システム100は、電池セル1a(電池セル群1)の内部との距離が短い切欠き部1h(切欠き溝1i)内に空気を供給することで、電池セル1a(電池セル群1)の内部まで効率よく冷却できる。
【0030】
なお、電池冷却システム100は、ファン15を吸入口12に設けてもよい。当該構成によっても、空気を収容部材11の内壁と電池セル群1との間の空間や切欠き溝1i内に供給し、電池セル1a(電池セル群1)を効率よく冷却できる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、図4A図4Bを参照して、電池セル群1を冷却する第2の実施形態としての電池冷却システム200について説明する。図4Aは、電池冷却システム200の概要図である。図4Bは、図4Aの電池冷却システム200のうち電池セル群1及び収容部20をIV-IV断面の概要図である。以下に示す各実施形態では、説明した実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の機能を有する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
電池冷却システム200は、冷媒として液体(冷媒液R)を用いる点で特に電池冷却システム100と相違する。
【0033】
電池冷却システム200は、電池セル群1と、収容部20と、ポンプ24と、冷媒冷却機構としてのラジエータ25と、パイプ26,27,28と、を備える。図4Aに示すように、収容部20及びポンプ24は、パイプ26によって連結している。ポンプ24及びラジエータ25は、パイプ27によって連結している。ラジエータ25及び収容部20は、パイプ28によって連結している。
【0034】
収容部20は、電池セル群1及び冷媒液Rを収容する収容部材21と、蓋部材22と、保持部材23と、を有する。収容部材21には冷媒流出口21aが形成される。蓋部材22には冷媒流入口22aが形成される。冷媒流出口21aは、パイプ26によってポンプ24の吸入口に接続される。冷媒流入口22aは、パイプ28によってラジエータ25の冷媒流出口25cに接続される。ラジエータ25の冷媒流入口25bは、パイプ27によってポンプ24の吐出口に接続される。
【0035】
収容部材21の内部には電池セル群1を保持するための保持部材23が設けられる。本実施形態では、電池セル群1のそれぞれの隅を保持する位置に保持部材23が設けられる。電池セル群1は、保持部材23によって保持されることで、収容部材21の内壁と接触しない位置に保持される。これにより、収容部材21の内壁と電池セル群1との間には、冷媒が通過可能な空間が設けられる。
【0036】
収容部20の内部空間(収容部材21と蓋部材22との間の空間)は、収容部材21の開口部分を蓋部材22が覆うことで、密閉される。なお、図4A,4Bでは、構造を示すために収容部材21と蓋部材22とを離間させて図示している。
【0037】
収容部材21には、電池セル群1全体を浸す量の冷媒液Rが収容される。つまり、電池セル群1は、全体が冷媒液Rに浸漬されている。電池セル群1は、充分に冷却されるならば、切欠き溝1iの少なくとも一部まで冷媒液Rに浸されていればよい。
【0038】
冷媒液Rは、絶縁性を有する液体である。かつ、冷媒液Rは、沸点が、電池セル1aが電気を供給することによって熱くなる温度(以下、電池セル1aの運転温度という。)の最大値を超える液体である。つまり、冷媒液Rは、電池セル1aとの熱交換により液温が上昇しても気化することがない液体である。冷媒液Rは、例えばフッ素系不活性流体液のうち、沸点が電池セル1aの運転温度の最大値を超えるものが用いられる。なお、冷媒液Rは、絶縁性を有しない冷媒液を用いることもできる。この場合には、電池セル群1に絶縁処理を施す構成にすればよい。
【0039】
冷媒液Rは、ポンプ24によって収容部材21内からラジエータ25へ送られて、ラジエータ25にて冷却されて収容部材21内に戻される。つまり、冷媒液Rは収容部20-ラジエータ25間を循環し、ポンプ24、ラジエータ25、パイプ26~28から構成される冷媒供給機構によって収容部材21内の電池セル群1(電池セル1a)へ供給される。収容部材21内へ供給された冷媒液Rは、収容部材内21内を通過するときに、電池セル群1の表面(放熱面)や切欠き溝1i(切欠き部1h)に供給されて、電池セル群1(電池セル1a)と熱交換を行い、電池セル群1を冷却する。
【0040】
このように、電池冷却システム200は、切欠き部1h(切欠き溝1i)が設けられることで表面(放熱面)の面積が広くなった電池セル1a(電池セル群1)に、収容部20-ラジエータ25を循環して低温に保たれる冷媒液Rを接触させることで、電池セル1a(電池セル群1)を効率よく冷却できる。また、電池冷却システム200は、電池セル1a(電池セル群1)の内部との距離が短い切欠き部1h(切欠き溝1i)内に冷媒液Rを供給することで、電池セル群1の内部まで効率よく冷却できる。
【0041】
なお、電池セル1a(電池セル群1)を冷却した冷媒液Rを、別の機構に供給して当該機構を冷却してからラジエータ25へ送る構成としてもよい。例えば、電池セル1a(電池セル群1)を冷却した冷媒液Rをインバータへ送り、インバータで冷却される必要がある構成(例えば、インバータ内の電気回路)を冷却させてから、冷媒液Rをラジエータ25へ送る構成としてもよい。
【0042】
または、ラジエータ25で冷却した冷媒液Rを、別の機構に供給して当該機構を冷却してから収容部20へ送り、電池セル1a(電池セル群1)を冷却する構成としてもよい。
【0043】
(第3実施形態)
次に、図5A図5Bを参照して、電池セル群1を冷却する第3の実施形態としての電池冷却システム300について説明する。図5Aは、電池冷却システム300の概要図である。図5Bは、図5Aの電池冷却システム300のV-V断面の概要図である。
【0044】
電池冷却システム300は、冷媒液Fによる液浸冷却及び沸騰冷却で電池セル群1を冷却する点で特に他の電池冷却システム100,200と相違する。
【0045】
電池冷却システム300は、電池セル群1と、収容部30と、を備える。
【0046】
収容部30は、電池セル群1及び冷媒液Fを収容する収容部材21と、内蓋部材31と、外蓋部材32と、保持部材23と、ファン15と、を有する。
【0047】
冷媒液Fは、絶縁性を有する液体である。かつ、冷媒液Fは、沸点が電池セル1の運転温度の最小値以下の液体である。つまり、冷媒液Fは、発熱した電池セル1aとの熱交換によって気化する液体である。冷媒液Fは、例えばフッ素系不活性流体液のうち、沸点が電池セル1aの運転温度の最小値よりも低いものが用いられる。また、冷媒液Fは、絶縁性を有しない冷媒液を用いることもできる。この場合には、電池セル群1に絶縁処理を施す構成にすればよい。
【0048】
収容部材21には、電池セル群1全体を浸す量の冷媒液Fが収容される。つまり、電池セル群1は、全体が冷媒液Fに浸漬されている。電池セル群1は、充分に冷却されるならば、切欠き溝1iの少なくとも一部まで冷媒液Fに浸されていればよい。
【0049】
収容部30の内部空間(収容部材21と内蓋部材31との間の空間)は、収容部材21の開口部分を内蓋部材31が覆うことで、密閉される。内蓋部材31は、フィン構造のインナーフィンである。内蓋部材31は、外蓋部材32に覆われている。図5Bに示すように、内蓋部材31と外蓋部材32との間には、一方側に空気を取り込み可能な吸入口33が設けられ、対向側に空気を排出するファン15及び排出口34が設けられる。吸入口33とファン15及び排出口34との間は、空気が通過可能に連通している。なお、図5A,5Bでは、構造を示すために、収容部材21、内蓋部材31、外蓋部材32を離間させて図示している。
【0050】
吸入口33近傍の空気は、ファン15が駆動することで吸入口33から吸入されて、内蓋部材31と外蓋部材32との間の空間を通過し、ファン15及び排出口34より排出される。空気が内蓋部材31と外蓋部材32との間を通過して内蓋部材31と接触することで、内蓋部材31は冷却される。内蓋部材31、外蓋部材32、ファン15、吸入口33、排出口34は、後述する気化した冷媒液Fを液化させる空気を流すための空冷機構を構成する。
【0051】
冷媒液Fは、電池セル群1の表面(放熱面)にて熱交換を行い、電池セル群1を冷却する(液浸冷却)。それとともに、電池セル群1の表面(放熱面)近傍の冷媒液Fは、電池セル群1との熱交換により液温が上昇する。冷媒液Fの沸点は電池セル1aの運転温度の最小値よりも小さいため、電池セル群1が発熱していると、冷媒液Fの液温が沸点を超える。つまり、冷媒液Fは気化する。冷媒液Fは気化する際に気化熱によって電池セル群1の表面(放熱面)からさらに熱を奪い、電池セル群1を冷却する。
【0052】
冷媒液Fは、気化すると、内蓋部材31側に向かって上昇する。上記したように内蓋部材31はファン15の駆動によって冷却されているため、気化した冷媒液Fは、内蓋部材31の表面で凝縮液化され、電池セル群1側へ流下する。
【0053】
このように、電池冷却システム300は、沸点が電池セル1aの運転温度の最小値以下である冷媒液Fを用いることで沸騰冷却によっても電池セル1a(電池セル群1)を冷却できる。電池セル1aの切欠き部1h(電池セル群1の切欠き溝1i)は、上方に向かって開口しているため、気化した冷媒液Fが内蓋部材31の方向へ上昇しやすい形状である。そのため、沸騰冷却による電池セル1a(電池セル群1)の冷却効果は、より発揮される。
【0054】
なお、電池冷却システム300は、ファン15を吸入口33に設けてもよい。当該構成によっても、ファン15の駆動によって内蓋部材31を冷却し、気化した冷媒液Fを凝縮液化させることができる。また、冷媒液Fは、気化熱によって電池セル1aを充分に冷却できるならば、沸点が電池セル1aの運転温度の最小値以上のものを用いてもよい。
【0055】
(第4実施形態)
次に、図6を参照して、電池セル群1を冷却する第4の実施形態としての電池冷却システム400について説明する。図6は、電池冷却システム400の概要図である。なお、図6では、構造を示すために、収容部材21、内蓋部材31、外蓋部材32を離間させて図示している。
【0056】
電池冷却システム400は、切欠き溝1i内に冷媒供給部材としてのウィック40が配置される点と、切欠き溝1iの一部が冷媒液Fに浸される(切欠き溝1iのうち冷媒液Fに浸されない箇所が現れる)点で特に他の電池冷却システム100,200,300と相違する。
【0057】
電池セル群1の切欠き溝1i内には、ウィック40が配置される。ウィック40は、毛細管現象により冷媒液Fを吸い上げる毛細管構造を有する部材であって、例えば多孔性弾性体や綿部材などである。ウィック40は、切欠き溝1iの内壁と接触する形状に形成される。
【0058】
収容部材21には、少なくとも電池セル群1の切欠き溝1iの一部を浸す程度の量の冷媒液Fが収容されている。冷媒液Fの液面Faの高さは、切欠き溝1i及びウィック40の一部に達するまでの高さである。
【0059】
ウィック40は、毛細管現象によって、冷媒液Fに浸されている箇所から冷媒液Fに浸されていない部分(図6で言えばウィック40のうち、液面Faよりも内蓋部材31側の部分)に向かって冷媒液Fを吸い上げて、全体が冷媒液Fに浸潤される。切欠き溝1iの内壁面は、冷媒液Fに浸潤されるウィック40と接触していることで、冷媒液Fと接触する。電池セル群1は、冷媒液Fに浸っている部分とウィック40によって冷媒液Fに接触する部分にて、冷媒液Fとの熱交換が行われて冷却される。また、電池セル群1の表面(放熱面)と接触する冷媒液Fは、電池セル群1との熱交換によって液温が沸点を超えると気化し、気化の際の気化熱でも電池セル群1を冷却する。
【0060】
このように、電池冷却システム400は、電池セル群1の切欠き溝1i(電池セル1aの切欠き部1h)内に配置されるウィック40を介して、冷媒液Fに浸漬されていない切欠き溝1i(切欠き部1h)の内壁に冷媒液Fを接触させる。これにより、冷媒液Fの使用量を減らしつつ、電池セル群1を効率よく冷却できる。
【0061】
なお、ウィック40は、電池セル群1を充分に冷却することが可能であれば、必ずしも切欠き溝1iの内壁全体と接触しなくてもよい。言い換えれば、ウィック40の長さや幅は、電池セル群1を充分に冷却することが可能であれば、切欠き溝1iの長さや深さよりも短くても良い。
【0062】
(第5実施形態)
次に、図7A図7Bを参照して、電池セル群1を冷却する第5の実施形態としての電池冷却システム500について説明する。図7Aは、電池冷却システム500の概要図である。図7Bは、図7Aの電池冷却システム500のVII-VII断面の概要図である。
【0063】
電池冷却システム500は、沸騰冷却にて気化した冷媒液Fをペルチェ素子52にて液化する点で特に他の電池冷却システム100、200、300、400と相違する。
【0064】
電池冷却システム500は、電池セル群1と、収容部50と、直流電源53と、を備える。
【0065】
収容部50は、収容部材21と、蓋部材51と、ペルチェ素子52と、を有する。
【0066】
蓋部材51は、収容部材21の開口部を覆い、収容部材21内部を密閉する部材である。なお、図7A,7Bでは、構造を示すために、収容部材21及び蓋部材51を離間させて図示している。蓋部材51には、ペルチェ素子52が固定される。
【0067】
ペルチェ素子52は、吸熱部52aと、放熱部52bと、吸熱部52aと放熱部52bとの間に介在してP型半導体52dとN型半導体52eとを導電部材52f,52gによって交互に接続させた接続部52cと、リード電極52h,52iと、を有する。
【0068】
吸熱部52a及び放熱部52bは、熱伝導率性の大きい電気絶縁性に優れたセラミック材料から形成される。ペルチェ素子52は、吸熱部52aにおける導電部材52fが接触する面と反対の面を蓋部材51に接触固定することで、蓋部材51に固定される。
【0069】
P型半導体52d及びN型半導体52eは、一端が導電部材52fを介して吸熱部52aと接合し、他端が導電部材52gを介して放熱部52bと接合している。また、接続部52cのうち両端に位置する導電部材52f,52fのそれぞれには、リード電極52h,52iが接続される。
【0070】
リード電極52h,52i間には、直流電源53が接続される。直流電源53は、リード電極52hが正極となり、リード電極52iが負極となるように接続される。
【0071】
直流電源53からペルチェ素子52へ電流が印加されると、N→P接合部分(吸熱部52a側)では吸熱現象が発生し、P→N接合部分(放熱部52b側)では放熱現象が発生する。これにより、吸熱部52aが接触固定する蓋部材51が冷却される。
【0072】
このように、電池冷却システム500では、ペルチェ素子52の冷却作用により蓋部材51を冷却することで、気化した冷媒液Fを液化する。ペルチェ素子52に印加する電流を制御することで、ペルチェ素子52の冷却作用によって冷却される蓋部材51の温度を制御することが可能である。蓋部材51の温度を制御することで、空冷機構で気化した冷媒液Fを液化する場合では液化させることができない液化点の低い冷媒液Fを電池セル群1の冷却に用いることができる。また、電池冷却システム500は、ペルチェ素子52を用いることで、冷媒冷却機構を有する電池冷却システム200や、空冷機構を有する電池冷却システム300,400よりもコンパクトにすることができる。
【0073】
第1~第5実施形態では、電池セル1aが複数の切欠き部1hを有する場合(電池セル群1が複数の切欠き溝1iを有する場合)を説明したが、切欠き部1h(切欠き溝1i)の形状は、(1)正極1bから負極1cにかけて貫通する、(2)電池セル1aの電極同士を接触させて積層する構造を維持できる、の条件を満たせば、図1に示す形状に限られない。
【0074】
図8A図8Cは、上記(1)(2)の条件を満たす形状の例である切欠き部2h,3hが設けられる電池セル2a,3a及び孔4hが設けられる電池セル4aを正極2b~4b方向から見た概要図である。図8Aは、半円状の切欠き部2hが設けられる電池セル2aを示す。図8Bは、正極3b方向から見て上下左右の辺に切欠き部3hが設けられる電池セル3aを示す。図8Cは、複数の孔4hが設けられる電池セル4aを示す。切欠き部2h,3hまたは孔4hは、いずれも(1)正極2b~4bから負極2c~4cにかけて貫通し(図示省略)、(2)電池セル2a~4aの電極同士を接触させて積層する構造を維持できるものである。そのため、電池セル2a~4aは、正極2b~4bと負極2c~4cとが接触するように積層することが可能である。
【0075】
電池セル2a~4aを複数個積層すると、隣り合う切欠き部2h,3h同士、または隣り合う孔4h同士が連通して、切欠き溝2i,3iまたは連通孔4iが設けられる電池セル群2~4が構成される。
【0076】
電池セル群2~4は、いずれの電池冷却システム100,200,300,400,500であっても、空気や冷媒液などの冷媒と接触した際に、効果的に冷却される。特に、切欠き溝2i,3i、または連通孔4iに冷媒が供給されて、切欠き溝2i,3iの内壁(切欠き部2h,3hの内壁)または連通孔4iの内壁(孔4hの内壁)に冷媒が接触することで、電池セル群2~4(電池セル2a~4a)の内側や中心部まで効率よく冷却される。
【0077】
なお、沸騰冷却を伴う電池冷却システム300,400,500は、気化した冷媒液Fが上方(内蓋部材31や蓋部材51の方向)へ上昇しやすい切欠き溝2i、3iを有する電池セル群2,3を冷却するのに特に適している。
【0078】
また、電池容量の観点で言えば、電池セル群1~4のうち、電池セル1a~4aの電極(正極1b~4b及び負極1c~4c)の面積が最大限広くなる形状のセルで構成されるものが、最も電池容量を高くできる電池である。電池セル1a~4aのうち電極の面積が最も広くできるのは櫛歯形状の電池セル1aであるため、電池セル1aから構成される電池セル群1が、最も電池容量が高い電池であって、かつ効果的に冷却される電池である。
【0079】
以上の本実施形態の構成及び作用効果について、まとめて説明する。
【0080】
本実施形態の電池は、電池セル1a~4aを複数積層した電池セル群1~4を備える。電池セル1a~4aは、第1の面に形成された正極1b~4bと、第1の面の反対側の第2の面に形成された負極1c~4cと、を有する。電池セル群1~4は、隣り合う電池セル1a~4aの正極1b~4bと負極1c~4cとが接触するようにして構成される。電池セル4a~4aには、正極1b~4bから負極1c~4cに貫通し、冷媒が供給される孔4hまたは切欠き1h~3hが設けられる。
【0081】
この構成によれば、電池セル1a~4aは、孔4hまたは切欠き部1h~3hが設けられることで、孔4hまたは切欠き部1h~3hが設けられない場合よりも、表面(放熱面)の面積が広くなる。そのため、電池セル1a~4aは、表面(放熱面)に空気や冷媒液などの冷媒が接触した際には、孔4hまたは切欠き部1h~3hが設けられない場合よりも効率よく冷却される。また、電池セル1a~4aは、孔4hまたは切欠き部1h~3hが設けられることで、孔4hまたは切欠き部1h~3hが設けられない場合よりも、電池セル1a~4aの表面(放熱面)と電池セル1a~4aの内部との距離が短くなる。そのため、孔4hまたは切欠き部1h~3h内に空気や冷媒液などの冷媒が供給された際には、電池セル1a~4aの内部まで効率よく冷却される(請求項1に対応する効果)。
【0082】
また、孔4hまたは切欠き部1h~3hが設けられる電池セル1a~4aを複数個積層すると、隣り合う孔4hまたは切欠き部1h~3h同士が連通して連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iが電池セル群1に設けられる。電池セル群1~4は、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iが設けられることで、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iが設けられない場合よりも、表面(放熱面)の面積が広くなる。そのため、電池セル群1~4は、表面(放熱面)に空気や冷媒液などの冷媒が接触した際には、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iが設けられない場合よりも効率よく冷却される。また、電池セル群1~4は、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iが設けられることで、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iが設けられない場合よりも、電池セル群1~4の表面(放熱面)と電池セル群1~4の内部との距離が短くなる。そのため、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3i内に空気や冷媒液などの冷媒が供給された際には、電池セル群1~4の内部まで効率よく冷却される(請求項1に対応する効果)。
【0083】
また、電池冷却システム100は、電池セル群1~4と、空気を孔4h(連通孔4i)または切欠き部1h~3h(切欠き溝1i~3i)へ供給する冷媒供給機構(収容部材11、吸入口12、排出口13、ファン15)と、を備える。
【0084】
この構成によれば、電池冷却システム100は、孔4h(連通孔4i)または切欠き部1h~3h(切欠き溝1i~3i)が設けられることで表面(放熱面)の面積が広くなった電池セル1a~4a(電池セル群1~4)に、空気を接触させることで、電池セル1a~4a(電池セル群1~4)を効率よく冷却できる。また、電池冷却システム100は、電池セル1a~4a(電池セル群1)の内部との距離が短い孔4h(連通孔4i)または切欠き部1h~3h(切欠き溝1i~3i)内に空気を供給することで、電池セル1a~4a(電池セル群1~4)の内部まで効率よく冷却できる(請求項2に対応する効果)。
【0085】
また、電池冷却システム200は、電池セル群1~4と、電池セル群1~4と冷媒液Rとを収容する収容部材21と、冷媒液Rを冷却するラジエータ25と、を備える。電池セル群1~4は、少なくとも連通孔4iまたは切欠き溝1i~3iの一部まで冷媒液Rに浸されている。
【0086】
この構成によれば、電池冷却システム200は、孔4h(連通孔4i)または切欠き部1h~3h(切欠き溝1i~3i)が設けられることで表面(放熱面)の面積が広くなった電池セル1a~4a(電池セル群1~4)に、収容部20-ラジエータ25を循環して低温に保たれる冷媒液Rを接触させることで、電池セル1a~4a(電池セル群1~4)を効率よく冷却できる。また、電池冷却システム200は、電池セル1a~4a(電池セル群1)の内部との距離が短い孔4h(連通孔4i)または切欠き部1h~3h(切欠き溝1i~3i)内に冷媒液Rを供給することで、電池セル1a~4a(電池セル群1~4)の内部まで効率よく冷却できる(請求項3に対応する効果)。なお、電池冷却システム200のポンプ24、ラジエータ25、パイプ26~28が、冷媒供給機構も構成する。
【0087】
また、電池冷却システム300は、冷媒が、沸点が電池セル1aの運転温度の最小値以下である冷媒液Fである。また、冷却機構として、気化した冷媒液Fを空冷で液化させる空冷機構(内蓋部材31、外蓋部材32、ファン15、吸入口33、排出口34)を備える。
【0088】
この構成によれば、電池冷却システム300は、冷媒液Fの沸騰冷却によっても電池セル1a~4a(電池セル群1~4)を冷却できる(請求項4、5に対応する効果)。
【0089】
また、電池冷却システム500は、冷媒が、沸点が電池セル1aの運転温度の最小値以下である冷媒液Fである。また、気化した冷媒液Fを液化させるペルチェ素子52を備える。
【0090】
この構成によれば、電池冷却システム500は、冷媒液Fの沸騰冷却によっても電池セル1a~4a(電池セル群1~4)を冷却できる(請求項6に対応する効果)。
【0091】
また、電池冷却システム500では、ペルチェ素子52に印加する電流を制御することで、ペルチェ素子52の冷却作用によって冷却される蓋部材51の温度を制御することが可能である。そのため、空冷機構で気化した冷媒液Fを液化させる場合では液化させることができない液化点の低い冷媒液を電池セル1a~4a(電池セル群1~4)の冷却に用いることができる(請求項6に対応する効果)。
【0092】
また、電池冷却システム400は、連通孔4iまたは切欠き溝1i~3i内に配置される、毛細管現象により冷媒液Fを吸い上げて冷媒液Fに浸っていない部分に冷媒液Fを接触させるウィック40をさらに備える。
【0093】
この構成によれば、冷媒液Fの使用量を減らしつつ、電池セル1a~4a(電池セル群1~4)を効率よく冷却できる(請求項7に対応する効果)。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0095】
1,2,3,4 電池セル群
1a,2a,3a,4a 電池セル
1b,2b,3b,4b 正極
1c,2c,3c,4c 負極
1h,2h,3h 切欠き部(切欠き)
4h 孔
11 収容部材(冷媒供給機構)
12 吸入口(冷媒供給機構)
13 排出口(冷媒供給機構)
15 ファン(冷媒供給機構、空冷機構)
21 収容部材
24 ポンプ(冷媒供給機構)
25 ラジエータ(冷媒冷却機構、冷媒供給機構)
26,27,28 パイプ(冷媒供給機構)
31 内蓋部材(冷却機構、空冷機構)
32 外蓋部材(冷却機構、空冷機構)
33 吸入口(冷却機構、空冷機構)
34 排出口(冷却機構、空冷機構)
40 ウィック(冷媒供給部材)
52 ペルチェ素子(冷却機構)
R 冷媒液(冷媒)
F 冷媒液(冷媒)
100,200,300,400,500 電池冷却システム
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C