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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240403BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L29/78 653C
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/44 P
H01L29/44 S
H01L29/50 M
H01L29/58 G
H01L29/78 652F
H01L29/78 652M
H01L29/78 652P
H01L29/78 652Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020042970
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021145046
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】菊地 拓雄
(72)【発明者】
【氏名】川口 雄介
(72)【発明者】
【氏名】西脇 達也
(72)【発明者】
【氏名】薮原 秀彦
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115611(JP,A)
【文献】特開2006-216927(JP,A)
【文献】特開2019-165182(JP,A)
【文献】特開2016-046416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06、29/41、
29/417、29/423、
29/49、29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に選択的に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向に垂直であり前記第2方向に交差する第3方向と、において、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と並ぶ絶縁部と、
前記絶縁部中に設けられ、前記第2方向及び前記第3方向において前記第1半導体領域と対向する部分を有する導電部と、
を有する構造体と、
前記第2方向及び前記第3方向において前記第2半導体領域と対向するゲート電極と、
前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記構造体の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記導電部と電気的に接続された第2電極と、
を備え、
前記構造体は、前記第2方向及び前記第3方向に沿って複数設けられ、
複数の前記構造体は、第1構造体と、前記第2方向において前記第1構造体と隣り合う第2構造体と、前記第3方向において前記第1構造体と隣り合う第3構造体と、を有し、
前記第1構造体、前記第2構造体、及び前記第3構造体のそれぞれの前記第2方向及び前記第3方向における中心を通る仮想円の円心と、前記第1構造体の前記第2方向及び前記第3方向における第1中心と、の間の距離をRsi、前記第1中心から前記第1構造体と前記第1半導体領域との境界面までの距離をRox、前記第1中心から前記第1構造体の前記絶縁部と前記導電部との境界面までの距離をR、前記第1構造体の前記絶縁部における電界強度をEox、前記第1半導体領域における電界強度をEsi、臨界電界強度をEDB、製品耐圧をV1としたとき、以下の各式を満たす半導体装置。

【請求項2】
前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な方向に対して傾斜している請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記ゲート電極が、複数の前記絶縁部中にそれぞれ設けられた請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極は、前記第2方向において隣り合う前記構造体同士の間及び前記第3方向において隣り合う前記構造体同士の間に設けられた請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。半導体装置について、耐圧の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-225976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、耐圧を向上できる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、構造体と、ゲート電極と、第2電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられる。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の上に設けられる。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の上に選択的に設けられる。前記構造体は、絶縁部及び導電部を有する。前記絶縁部は、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向に垂直であり前記第2方向に交差する第3方向と、において、前記第1半導体領域の一部、前記第2半導体領域、及び前記第3半導体領域と並ぶ。前記導電部は、前記絶縁部中に設けられ、前記第2方向及び前記第3方向において前記第1半導体領域と対向する部分を有する。前記ゲート電極は、前記第2方向及び前記第3方向において前記第2半導体領域と対向する。前記第2電極は、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記構造体の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記導電部と電気的に接続される。前記構造体は、前記第2方向及び前記第3方向に沿って複数設けられる。前記第1方向に垂直な方向における前記絶縁部の厚さ[μm]の、前記半導体装置の製品耐圧[V]に対する比[μm/V]は、0.0055以下である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2図1の部分IIを表す平面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5図3及び図4のV-V断面図である。
図6】参考例に係る半導体装置を表す平面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の特性を表すグラフである。
図8】第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の特性を模式的に表すグラフである。
図9】第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の特性を表すグラフである。
図10】第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の設計値を例示する表である。
図11】第1実施形態の変形例に係る半導体装置を表す平面図である。
図12】第1実施形態の変形例に係る半導体装置を表す平面図である。
図13】第2実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図14図13のXIV-XIV断面図である。
図15図14のXV-XV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n、n及びp、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2は、図1の部分IIを表す平面図である。図2では、ソース電極32、絶縁層51、絶縁層52などが省略されている。
図3は、図2のIII-III断面図である。図4は、図2のIV-IV断面図である。
【0009】
第1実施形態に係る半導体装置100は、例えばMOSFETである。図1図4に表したように、第1実施形態に係る半導体装置100は、n形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2(第2半導体領域)、n形ソース領域3(第3半導体領域)、p形コンタクト領域4、n形ドレイン領域5、ゲート電極10、ゲート配線15、構造体20、ドレイン電極31(第1電極),ソース電極32(第2電極)、ゲートパッド33、接続部41~43、絶縁層51、及び絶縁層52を有する。
【0010】
以下の各実施形態の説明では、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3を用いる。ドレイン電極31からn形ドリフト領域1に向かう方向を第1方向D1とする。第1方向D1に垂直な一方向を、第2方向D2とする。第1方向D1に垂直であり、第2方向D2と交差する方向を、第3方向D3とする。また、説明のために、ドレイン電極31からn形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、ドレイン電極31とn形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0011】
図1に表したように、半導体装置100の上面には、ソース電極32及びゲートパッド33が設けられている。ソース電極32とゲートパッド33は、互いに電気的に分離されている。
【0012】
図3及び図4に表したように、半導体装置100の下面には、ドレイン電極31が設けられている。ドレイン電極31の上には、n形ドレイン領域5を介してn形ドリフト領域1が設けられている。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域5を介してドレイン電極31と電気的に接続されている。p形ベース領域2は、n形ドリフト領域1の上に設けられている。p形ベース領域2の上には、n形ソース領域3及びp形コンタクト領域4が選択的に設けられている。
【0013】
構造体20は、絶縁部21及び導電部22を有する。絶縁部21は、第2方向D2及び第3方向D3において、n形ドリフト領域1の一部、p形ベース領域2、及びn形ソース領域3と並んでいる。導電部22は、絶縁部21中に設けられている。導電部22の少なくとも一部は、第2方向D2及び第3方向D3においてn形ドリフト領域1の一部と並んでいる。
【0014】
半導体装置100では、ゲート電極10も絶縁部21中に設けられている。ゲート電極10は、X-Y面に沿って導電部22上部の周りに設けられている。ゲート電極10と導電部22との間には、絶縁部21の一部が設けられている。これにより、ゲート電極10と導電部22は、互いに電気的に分離されている。
【0015】
ゲート電極10は、第2方向D2及び第3方向D3において、ゲート絶縁層11を介してp形ベース領域2と対向している。ゲート電極10は、ゲート絶縁層11を介して、n形ドリフト領域1及びn形ソース領域3とさらに対向しても良い。半導体装置100では、絶縁部21の一部が、ゲート絶縁層11として機能する。
【0016】
図2に表したように、ゲート電極10及び構造体20のそれぞれは、第2方向D2及び第3方向D3に沿って複数設けられている。例えば、複数のゲート電極10のそれぞれの周りに、1つの連続したp形ベース領域2が設けられている。複数のゲート電極10の周りに、複数のn形ソース領域3がそれぞれ設けられている。
【0017】
図3及び図4に表したように、n形ドリフト領域1は、第1領域1a、第2領域1b、及び第3領域1cを有しても良い。第1領域1aは、ドレイン電極31と複数の構造体20との間、及び導電部22の下端同士の間に位置する。各第2領域1bは、隣り合う構造体20同士の間に位置する。第3領域1cは、第1方向D1において、第2領域1bとp形ベース領域2との間に位置する。第2領域1bにおけるn形不純物濃度は、第1領域1aにおけるn形不純物濃度よりも低い。第3領域1cにおけるn形不純物濃度は、第2領域1bにおけるn形不純物濃度よりも低い。例えば、第2領域1bの第1方向D1における長さは、第3領域1cの第1方向D1における長さよりも長い。
【0018】
絶縁層51は、p形ベース領域2、複数のn形ソース領域3、複数のゲート電極10、及び複数の構造体20の上に設けられている。ゲート配線15は、絶縁層51の上に設けられている。絶縁層52は、ゲート配線15及び絶縁層51の上に設けられている。ソース電極32及びゲートパッド33は、絶縁層52の上に設けられている。
【0019】
ソース電極32は、p形ベース領域2、複数のn形ソース領域3、複数のゲート電極10、及び複数の構造体20の上に位置する。p形ベース領域2及びn形ソース領域3は、接続部41を介してソース電極32と電気的に接続されている。例えば、ソース電極32は、1つの接続部41を介して、第2方向D2に沿って並ぶ複数のn形ソース領域3と電気的に接続されている。また、ソース電極32は、接続部42を介して導電部22と電気的に接続されている。例えば、ソース電極32は、複数の接続部42を介して、複数の導電部22とそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
形コンタクト領域4は、p形ベース領域2と接続部41との間に設けられている。p形ベース領域2は、p形コンタクト領域4及び接続部41を介してソース電極32と電気的に接続されている。半導体装置100では、接続部41の下部は、n形ソース領域3同士の間に設けられ、p形コンタクト領域4はn形ソース領域3よりも下方に位置している。
【0021】
ゲート電極10は、ソース電極32とは電気的に分離されている。ゲート電極10は、接続部43を介してゲート配線15と電気的に接続されている。ゲート配線15は、ゲートパッド33と電気的に接続されている。図2に表したように、ゲート配線15は、第3方向D3において複数設けられる。1つのゲート配線15は、複数の接続部43を介して、第2方向D2に並ぶ複数のゲート電極10とそれぞれ電気的に接続される。
【0022】
半導体装置100の動作について説明する。
ソース電極32に対してドレイン電極31に正電圧が印加された状態で、ゲート電極10に閾値以上の電圧を印加する。これにより、p形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、チャネルを通ってソース電極32からドレイン電極31へ流れる。その後、ゲート電極10に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2におけるチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0023】
半導体装置100がオフ状態に切り替わると、ソース電極32に対してドレイン電極31に印加される正電圧が増大する。すなわち、n形ドリフト領域1と導電部22との間の電位差が増大する。電位差の増大により、絶縁部21とn形ドリフト領域1との界面からn形ドリフト領域1に向けて、空乏層が広がる。すなわち、導電部22は、フィールドプレート電極として機能する。この空乏層の広がりにより、半導体装置100の耐圧を高めることができる。又は、半導体装置100の耐圧を維持したまま、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0024】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n形ソース領域3、p形コンタクト領域4、及びn形ドレイン領域5は、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、またはガリウムヒ素を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
【0025】
ゲート電極10及び導電部22は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。導電材料には、不純物が添加されていても良い。絶縁部21、絶縁層51、及び絶縁層52は、絶縁材料を含む。例えば、絶縁部21、絶縁層51、及び絶縁層52は、酸化シリコン又は窒化シリコンを含む。ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲートパッド33は、アルミニウム又は銅などの金属を含む。接続部41~43は、タングステン、アルミニウム、又は銅などの金属を含む。
【0026】
第1実施形態では、半導体装置100の製品耐圧[V]に対する、第1方向D1に垂直な方向における少なくとも1つの絶縁部21の厚さ[μm]の比[μm/V]は、0.0055以下である。製品耐圧とは、半導体装置100に対して最低限要求される耐圧であり、実際の使用時において半導体装置100への印加が想定される電圧である。典型的には、製品耐圧は、半導体装置のカタログや仕様書等に記載される。当該比[μm/V]を0.0055以下にすることで、半導体装置100の実耐圧を向上できる。実耐圧とは、半導体装置100の実際の耐圧であり、製品耐圧よりも大きい。一般的に、半導体装置の実耐圧は、製品耐圧の1.0倍よりも大きく1.2倍未満程度の値に設計される。
【0027】
半導体装置の実耐圧は、電流電圧特性に基づいて決定される。具体的には、ゲート電極10に電圧を印加していない状態において、ソース電極32に対するドレイン電極31の正電圧を漸増させながら、ドレイン電極31とソース電極32との間の電流を測定する。正電圧が実耐圧を超えると、n形ドリフト領域1において降伏が生じ、電流が急峻に増大する。降伏が生じた電圧が、その半導体装置の実耐圧である。
【0028】
実耐圧のさらなる向上のためには、半導体装置100の製品耐圧[V]に対する、前記垂直な方向におけるそれぞれの絶縁部21の厚さ[μm]の比[μm/V]が、0.0055以下であることが好ましい。以下で、好ましい形態について、具体的に説明する。
【0029】
図5は、図3及び図4のV-V断面図である。
図5に表したように、第2方向D2及び第3方向D3に沿って並ぶ複数の構造体20は、第1構造体20a、第2構造体20b、及び第3構造体20cを含む。第1構造体20aは、複数の構造体20の1つである。第2構造体20bは、第1構造体20aと第2方向D2において隣り合う。第3構造体20cは、第1構造体20aと第3方向D3において隣り合う。
【0030】
図5において、第1中心C1は、第1構造体20aの第2方向D2及び第3方向D3における中心を表す。第2中心C2は、第2構造体20bの第2方向D2及び第3方向D3における中心を表す。第3中心C3は、第3構造体20cの第2方向D2及び第3方向D3における中心を表す。ここで、第1中心C1、第2中心C2、及び第3中心C3を通る仮想円ICを考える。半導体装置100では、第1中心C1、第2中心C2、及び第3中心C3は、1つの仮想円ICの周上に存在する。仮想円ICの円心C0と第1中心C1との間の距離は、円心C0と第2中心C2との間の距離、及び円心C0と第3中心C3との間の距離とそれぞれ等しい。
【0031】
円心C0と第1中心C1との間での第1線方向LD1における絶縁部21の厚さをT1とする。第1線方向LD1は、円心C0と第1中心C1を結ぶ方向である。半導体装置100の製品耐圧V1[V]に対する厚さT1[μm]の比[μm/V]は、0.0055以下である。例えば、第1線方向LD1と第2方向D2との間の角度は、第1線方向LD1と第3方向D3との間の角度と等しい。図示した例では、第2方向D2と第3方向D3との間の角度は60度であり、第1線方向LD1と第2方向D2との間の角度は30度である。
【0032】
同様に、円心C0と第2中心C2との間での第2線方向LD2における絶縁部21の厚さをT2とする。第2線方向LD2は、円心C0と第2中心C2を結ぶ方向である。製品耐圧V1[V]に対する厚さT2[μm]の比[μm/V]は、0.0055以下である。円心C0と第3中心C3との間での第3線方向LD3における絶縁部21の厚さをT3とする。第3線方向LD3は、円心C0と第3中心C3を結ぶ方向である。製品耐圧V1[V]に対する厚さT3[μm]の比[μm/V]は、0.0055以下である。
【0033】
第1実施形態に係る効果を説明する。
図6は、参考例に係る半導体装置を表す平面図である。
図6に表した参考例に係る半導体装置100rは、絶縁部21及び導電部22を含む構造体20が第2方向D2に延びている。第1方向D1及び第2方向D2に垂直な第3方向D3において、複数の構造体20が設けられている。換言すると、図1図5に表した半導体装置100は、複数の構造体20が第2方向D2及び第3方向D3に沿って並ぶドット型の構造を有する。これに対して、図6に表した半導体装置100rは、各構造体20が第2方向D2に延びるストライプ型の構造を有する。
【0034】
ドット型の半導体装置100によれば、ストライプ型の半導体装置100rに比べて、電流経路となるn形ドリフト領域1の体積を増大できる。従って、第1実施形態によれば、半導体装置100rに比べて、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0035】
一方で、発明者らは、第1実施形態に係る半導体装置100について、以下の課題を発見した。
図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の特性を表すグラフである。
図7(a)及び図7(b)において、実線は、第1実施形態に係る半導体装置100の特性を表す。破線は、参考例に係る半導体装置100rの特性を表す。図7(a)及び図7(b)において、横軸は、製品耐圧V1[V]に対する絶縁部21の厚さTox[μm]の比R[μm/V]を表す。厚さToxは、例えば、図5に表した厚さT1~T3に対応する。縦軸は、実耐圧V2[V]を表す。図7(a)は、製品耐圧が100Vである各半導体装置についてのシミュレーション結果を表す。図7(b)は、製品耐圧が150Vである各半導体装置についてのシミュレーション結果を表す。
【0036】
図6に表したように、参考例に係る半導体装置100rにおいて、中心線CL1及びCL2は、隣り合う構造体20の第3方向D3における中心をそれぞれ通る。中心線CL0は、中心線CL1とCL2との間の中心を通る。半導体装置100rにおいて、中心線CL0とCL1との間における絶縁部21の厚さが、厚さToxに対応する。
【0037】
図7(a)に関するシミュレーションでは、条件を以下のように設定した。厚さTsiは、0.5μmである。絶縁部21の第1方向D1における長さは、5.5μmである。導電部22の第1方向D1における長さは、5.0μmである。絶縁部21の比誘電率は、3.9である。半導体装置100については、n形ドリフト領域1(第1領域1a)におけるキャリア密度は、3.0×1016atm/cmである。半導体装置100rについては、n形ドリフト領域1(第1領域1a)におけるキャリア密度は、4.0×1016atm/cmである。
【0038】
図7(b)に関するシミュレーションでは、条件を以下のように設定した。厚さTsiは、0.9μmである。絶縁部21の第1方向D1における長さは、9.5μmである。導電部22の第1方向D1における長さは、9.0μmである。絶縁部21の比誘電率は、3.9である。半導体装置100については、n形ドリフト領域1(第1領域1a)におけるキャリア密度は、1.6×1016atm/cmである。半導体装置100rについては、n形ドリフト領域1(第1領域1a)におけるキャリア密度は、2.2×1016atm/cmである。
【0039】
半導体装置100では、厚さTsiは、図5に表したように、円心C0と第1中心C1との間での第1線方向LD1におけるn形ドリフト領域1の厚さT4に対応する。又は、厚さTsiは、円心C0と第2中心C2との間での第2線方向LD2におけるn形ドリフト領域1の厚さT5、又は厚さTsiは、円心C0と第3中心C3との間での第3線方向LD3におけるn形ドリフト領域1の厚さT6に対応する。半導体装置100rでは、厚さTsiは、中心線CL0とCL1との間におけるn形ドリフト領域1の厚さに対応する。
【0040】
また、n形ドリフト領域1が半導体材料としてシリコンを含む場合、不純物の活性化率は大凡1である。従って、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度は、実質的にn形ドリフト領域1におけるキャリア密度と等しいとみなせる。図7(a)及び図7(b)は、n形ドリフト領域1におけるキャリア密度及び厚さTsiを各製品耐圧に適した値に設定した場合のシミュレーション結果を表す。n形ドリフト領域1におけるキャリア密度及び厚さTsiは、絶縁部21とn形ドリフト領域1との界面における電界強度が臨界電界強度となり、構造体20同士の間のn形ドリフト領域1が全て空乏化するように設定される。例えば、n形ドリフト領域1が半導体材料としてシリコンを含む場合、臨界電界強度は、0.3MV/cmである。また、図7(a)及び図7(b)は、構造体20のピッチをそれぞれ2.5μm及び4.0μmに固定し、厚さToxを変化させたときの実耐圧の変化を表す。
【0041】
図6に表したストライプ型の半導体装置100rでは、実耐圧を向上させるために、製品耐圧V1に対して厚さToxが比較的厚めに設計されていた。例えば図7(a)及び図7(b)に表したように、半導体装置100rについては、比R[μm/V]が0.006~0.0065の間において、最も高い耐圧が得られる。
【0042】
発明者らは、ストライプ型の半導体装置100rで用いられていた比Rを、ドット型の半導体装置100に適用したところ、実耐圧が大きく低下することを発見した。例えば、100Vの製品耐圧の半導体装置については、半導体装置100rにおいて高い実耐圧が得られる比R[μm/V]=0.00625を用いたところ、実耐圧は50Vを下回ることが分かった。
【0043】
発明者らは、ドット型の構造について、より高い実耐圧を得るための構造を検証した。この結果、半導体装置100rに比べて比Rを小さくすることで、実耐圧を向上できることを発見した。例えば、図7(a)及び図7(b)に表したように、半導体装置100rについては、比R[μm/V]を0.006よりも小さくすると実耐圧が大きく低下する。これに対して、半導体装置100については、比R[μm/V]が0.006以下の範囲においても、比Rを小さくすることで実耐圧が増加する。特に、比R[μm/V]が0.0055以下になると、半導体装置100の実耐圧が半導体装置100rの実耐圧を上回る。比Rが0.005以下になると、半導体装置100rの実耐圧は大きく低下する一方で、半導体装置100の実耐圧は大きく向上する。
【0044】
発明者らは、ストライプ型とドット型との間で実耐圧を向上できる比Rが異なる点について検討した。この結果、以下の知見に至った。
図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の特性を模式的に表すグラフである。
図8(a)及び図8(b)において、実線は、第1実施形態に係る半導体装置100の特性を表す。破線は、参考例に係る半導体装置100rの特性を表す。横軸は、第1方向D1に垂直な横方向の位置を表す。縦軸は、各位置における電界強度を表す。半導体装置100について、横軸は、円心C0と第1中心C1との間における位置を表す。半導体装置100rについて、横軸は、中心線CL0とCL1との間における位置を表す。
【0045】
図8(a)の破線で表されるように、ストライプ型の半導体装置100rについて、n形ドリフト領域1の絶縁部21近傍の電界強度Eが、シリコンの臨界電界強度EDBとなるように、厚さTsi及びn形ドリフト領域1の不純物濃度が設計される。この結果、製品耐圧V1[V]に対する厚さTox[μm]の比R[μm/V]は、0.006~0.0065の範囲内であった。
【0046】
図8(a)の実線は、ストライプ型の半導体装置100rと同じ比Rを、ドット型の半導体装置100に適用したときの電界強度分布を表す。絶縁部21における電界強度は、導電部22から離れるにつれて低下する。この結果、半導体装置100では、絶縁部21とn形ドリフト領域1との境界における電界強度が、臨界電界強度EDBを大きく下回る。この結果、n形ドリフト領域1において空乏層が横方向に十分に延びず、耐圧が低下する。
【0047】
この原因は、以下のように考えられる。半導体装置100rでは、第3方向D3においてのみ、導電部22がn形ドリフト領域1と対向している。これに対して、半導体装置100では、導電部22は、第2方向D2及び第3方向D3においてn形ドリフト領域1と対向している。導電部22と絶縁部21との境界面の面積は、絶縁部21とn形ドリフト領域1との境界面の面積よりも小さい。このため、絶縁部21とn形ドリフト領域1との境界面から導電部22に向けて延びる電気力線の密度は、導電部22から離れるにつれて低下する。これにより、絶縁部21における電界強度が、導電部22から離れるにつれて低下すると考えられる。
【0048】
図8(b)は、半導体装置100について、n形ドリフト領域1の絶縁部21近傍の電界強度が臨界電界強度EDBとなるように、厚さToxを設計したときの特性を表す。図8(a)と図8(b)の比較から、ドット型の半導体装置100では、n形ドリフト領域1の絶縁部21近傍の電界強度を臨界電界強度EDBとするためには、ストライプ型の半導体装置100rに比べて、比Rが小さい必要があることが分かる。比Rを小さくすることで、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を維持したまま、半導体装置100の耐圧を向上できる。
【0049】
また、比R[μm/V]は、0.003以上であることが望ましい。比R[μm/V]が0.003を下回ると、n形ドリフト領域1と導電部22との間の容量が過度に大きくなり、且つn形ドリフト領域1と導電部22との間の電界強度が強くなりすぎる。従って、比R[μm/V]は、0.003以上、0.0055以下が望ましい。
【0050】
図9(a)~図9(c)は、第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の特性を表すグラフである。
図10は、第1実施形態に係る半導体装置及び参考例に係る半導体装置の設計値を例示する表である。
図9(a)~図9(c)及び図10は、各製品耐圧について、半導体装置100及び100rにおける比Rを最適化したときのシミュレーション結果を表す。図9(a)~図9(c)では、図8(a)及び図8(b)と同様に、横軸は、第1方向D1に垂直な横方向における位置を表す。縦軸は電界強度を表す。図10において、ハーフピッチは、ピッチの半分の値を表す。ピッチは、構造体20の中心同士の間の第3方向D3における距離である。
【0051】
図9(a)~図9(c)及び図10に表したように、80V、100V、150Vの各製品耐圧のいずれについても、ドット型の最適な比Rは、ストライプ型の比Rよりも小さく、0.0055以下であることが分かる。
【0052】
また、比Rを小さくするために厚さToxを薄くすると、構造体20同士の間の距離も短くできる。すなわち、構造体20のピッチを短くできる。構造体20のピッチを短くすることで、単位面積あたりのチャネル面積も大きくできる。すなわち、チャネル密度を大きくできる。チャネル密度の増大により、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。
【0053】
以上の通り、第1実施形態によれば、半導体装置100rに比べて、n形ドリフト領域1の体積の増大により半導体装置100のオン抵抗を低減できる。また、比R[μm/V]を0.003以上、0.0055以下にすることで、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を維持したまま、実耐圧を向上できる。加えて、構造体20のピッチを短くできることで、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。
【0054】
導電部22の下端付近における第2方向D2及び第3方向D3に沿う断面において、比Rが上述した範囲内にあることが望ましい。第2方向D2及び第3方向D3において導電部22の下端と対向するn形ドリフト領域1では、第1方向D1における電界強度が低い。すなわち、導電部22の下端と対向するn形ドリフト領域1は、n形ドリフト領域1とp形ベース領域2とのpn接合面近傍のn形ドリフト領域1に比べて、空乏化し難い。導電部22の下端付近を通る断面において、比R[μm/V]が0.0055以下であることで、導電部22同士の間のn形ドリフト領域1をより確実に空乏化でき、実耐圧をさらに向上できる。また、絶縁部21下端近傍では、電界集中が生じる。比R[μm/V]が0.003以上であることで、絶縁部21下端における電界集中による絶縁破壊を抑制し、実耐圧を向上できる。
【0055】
例えば、導電部22の第1方向D1における長さを10等分する。導電部22の下端から、10等分した長さの1つを足し合わせた位置の断面において、比R[μm/V]が0.003以上、0.0055以下であることが望ましい。
【0056】
また、半導体装置100では、第1方向D1から見たときの構造体20の形状が六角形である。ゲート電極10の外縁の形状も、構造体20の形状に応じて、六角形となっている。複数の構造体20は、第2方向D2及び第3方向D3に沿う面において、最も密となるようにハニカム状に配列されている。複数の構造体20が最も密になるように配列されることで、チャネル密度をより大きくでき、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。また、構造体20同士の間に位置するn形ドリフト領域1の幅を、より均一にできる。これにより、半導体装置100の実耐圧をさらに向上できる。
【0057】
以上では、製品耐圧V1[V]に対する厚さTox[μm]の比R[μm/V]の観点から、半導体装置100の構造を説明した。発明者らは、別の検討の結果、半導体装置100の望ましい構造は、式を用いて以下の通り説明できることを発見した。
【0058】
第1中心C1を中心とする空間Vの電荷をQとする。電荷Q、電束密度D(=ε×E)、及び電荷密度(キャリア密度)ρの関係は、ガウスの法則から以下の数式1で表される。
【数1】
【0059】
数式1を用いて、絶縁部21における電界強度Eoxは、数式2で表される。n形ドリフト領域1における電界強度Esiは、数式3で表される。数式2及び3において、Rsiは、第1中心C1から円心C0までの距離に対応する。Roxは、円心C0から、n形ドリフト領域1と絶縁部21との境界面までの距離に対応する。
【数2】

【数3】
【0060】
製品耐圧V1を実現しつつ、半導体装置のオン抵抗を低減するためには、以下の3つの条件を満たす必要がある。1つ目の条件は、製品耐圧V1において、構造体20同士の間のn形ドリフト領域1が全て空乏化することである。2つ目の条件は、n形ドリフト領域1中の最大電界強度が臨界電界強度EDB以下となることである。n形ドリフト領域1が半導体材料としてシリコンを含む場合、臨界電界強度EDBは、約0.3MV/cmである。3つ目の条件は、n形ドリフト領域1における電荷密度ρが最大となるように、厚さTsiを調整することである。
【0061】
1つ目の条件及び2つ目の条件は、それぞれ数式4及び数式5で表される。数式4において、Rは、円心C0から導電部22と絶縁部21との境界面までの距離に対応する。
【数4】

【数5】
【0062】
距離Rsiは、構造体20のピッチに対応して決定される。距離Rsi及びRに任意の固定値を設定したとき、数式2~5において、変数は電荷密度ρ及び距離Roxのみとなる。数式2~5を用いて、電荷密度ρが最大となるように距離Roxを決定する。距離Rsiから距離Roxを減じた値が、厚さTsiに対応する。RsiからRを減じた値が、厚さToxに対応する。製品耐圧V1[V]と厚さTox[μm]を用いた計算の結果、比R[μm/V]の望ましい範囲である0.003以上0.0055以下が導かれる。
【0063】
一例として、構造体20の第2方向D2又は第3方向D3のピッチPが、2.6μmである。距離Rは、0.4μmである。この場合、1つ目の条件の基、以下の数式6によって距離Rsiは、約1.5μmに決定される。
【数6】
【0064】
V1=100V、Esi<EDB(=0.3MV/cm)を満たし,電荷密度ρが最大となるように距離Rox及び電荷密度ρを算出すると、距離Rox=0.9μm、ρ=2.6×1016cm-3となる。換言すると、厚さTsiは、距離Rsiから距離Roxを減じて得られる0.6μmである。厚さToxは、距離Roxから距離Rを減じて得られる0.5μmである。製品耐圧V1[V]に対する厚さTox[μm]の比R[μm/V]は、0.005となる。
【0065】
以上の通り、数式4及び5を満たすように、距離Rsi、距離Rox、距離R、電界強度Eox、電界強度Esiを設定することで、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を維持したまま、製品耐圧V1を実現できる半導体装置100が得られる。
【0066】
(変形例)
図11及び図12は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を表す平面図である。
図11及び図12は、図5と同様に、導電部22の下端近傍における第2方向D2及び第3方向D3に沿う断面の構造を表している。
【0067】
図11に表した半導体装置110では、構造体20の形状が、第1方向D1から見たときに円形である。図12に表した半導体装置120では、構造体20の形状が、第1方向D1から見たときに四角形である。また、半導体装置110では、複数の構造体20の配列方向である第2方向D2及び第3方向D3が、互いに直交していない。これに対して、半導体装置120では、複数の構造体20が、互いに直交する第2方向D2及び第3方向D3に沿って配列されている。このように、複数の構造体20の形状及び配列は、適宜変更可能である。いずれの形態においても、半導体装置の製品耐圧[V]に対する、絶縁部21の厚さT1、T2、又はT3[μm]の比[μm/V]は、0.0055以下である。これにより、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を維持したまま、各半導体装置の実耐圧を向上できる。また、比を小さくするために絶縁部21の厚さを小さくした結果、構造体20のピッチが短くなり、各半導体装置のオン抵抗をさらに低減できる。
【0068】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図14は、図13のXIV-XIV断面図である。図15は、図14のXV-XV断面図である。
図13は、図14のXIII-XIII断面図に対応する。第2実施形態に係る半導体装置200では、図13図15に表したように、ゲート電極10が構造体20から離れている。
【0069】
図13に表したように、ゲート電極10は、各構造体20の周りに設けられている。ゲート電極10の一部は、第2方向D2において隣り合う構造体20同士の間を第3方向D3に延びている。ゲート電極10の別の一部は、第3方向D3において隣り合う構造体20同士の間を第2方向D2に延びている。
【0070】
図13及び図14に表したように、第2方向D2及び第3方向D3において、ゲート電極10と複数の構造体20との間には、複数のp形ベース領域2がそれぞれ設けられている。n形ソース領域3及びp形コンタクト領域4は、各p形ベース領域2の上に選択的に設けられている。ゲート電極10は、第2方向D2及び第3方向D3において、ゲート絶縁層11を介してp形ベース領域2と対向している。
【0071】
ソース電極32は、複数のp形ベース領域2、複数のn形ソース領域3、複数のp形コンタクト領域4、ゲート電極10、及び複数の構造体20の上に設けられ、複数のp形ベース領域2、複数のn形ソース領域3、複数のp形コンタクト領域4、及び複数の導電部22と電気的に接続されている。
【0072】
第2実施形態においても、半導体装置200の製品耐圧[V]に対する、第1方向D1に垂直な方向における少なくとも1つの絶縁部21の厚さ[μm]の比[μm/V]は、0.003以上、0.0055以下である。好ましくは、半導体装置200の製品耐圧[V]に対する、前記垂直な方向におけるそれぞれの絶縁部21の厚さ[μm]の比[μm/V]が、0.003以上、0.0055以下であることが好ましい。
【0073】
より具体的には、図15に表したように、半導体装置200の製品耐圧V1[V]に対する、円心C0と第1中心C1との間における絶縁部21の厚さT1[μm]の比[μm/V]が、0.003以上、0.0055以下であることが好ましい。製品耐圧V1[V]に対する、円心C0と第2中心C2との間における絶縁部21の厚さT2[μm]の比[μm/V]が、0.003以上、0.0055以下であることが好ましい。製品耐圧V1[V]に対する、円心C0と第3中心C3との間における絶縁部21の厚さT3[μm]の比[μm/V]が、0.003以上、0.0055以下であることが好ましい。これにより、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を維持したまま、各半導体装置の実耐圧を向上できる。
【0074】
このように、ゲート電極10及び複数の構造体20の配置は、適宜変更可能である。第1実施形態及び第2実施形態のいずれにおいても、上記比[μm/V]を0.003以上0.0055以下にすることで、各半導体装置の実耐圧を向上できる。また、比を小さくするために絶縁部21の厚さを小さくした結果、構造体20のピッチが短くなり、各半導体装置のオン抵抗をさらに低減できる。
【0075】
また、図13図15では、複数の構造体20の配列方向である第2方向D2及び第3方向D3が互いに直交する例を示した。第2実施形態に係る半導体装置は、この例に限定されない。図5及び図11に表した例と同様に、第2実施形態に係る半導体装置において、互いに直交しない第2方向D2及び第3方向D3に沿って複数の構造体20が並んでも良い。また、図11及び図12に表した例と同様に、第1方向D1から見たときの各構造体20の形状も、適宜変更可能である。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 n形ドリフト領域、 1a 第1領域、 1b 第2領域、 1c 第3領域、 2 p形ベース領域、 3 n形ソース領域、 4 p形コンタクト領域、 5 n形ドレイン領域、 10 ゲート電極、 11 ゲート絶縁層、 15 ゲート配線、 20 構造体、 20a 第1構造体、 20b 第2構造体、 20c 第3構造体、 21 絶縁部、 22 導電部、 31 ドレイン電極、 32 ソース電極、 33 ゲートパッド、 41~43 接続部、 51,52 絶縁層、 100,100r,110,120,200 半導体装置、 C0 円心、 C1 第1中心、 C2 第2中心、 C3 第3中心、 D1 第1方向、 D2 第2方向、 D3 第3方向、 IC 仮想円、 LD1 第1線方向、 LD2 第2線方向、 LD3 第3線方向、 T1~T6 厚さ
図1
図2
図3
図4
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図10
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