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特許7465129撮像装置およびその制御方法、プログラム並びに記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法、プログラム並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20240403BHJP
   G03B 7/00 20210101ALI20240403BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20240403BHJP
   G03B 17/20 20210101ALI20240403BHJP
   G03B 13/02 20210101ALI20240403BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B7/00
G03B17/18
G03B17/20
G03B13/02
H04N23/60
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020053139
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152597
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紀章
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016299(JP,A)
【文献】特開2001-174858(JP,A)
【文献】特開2002-301033(JP,A)
【文献】特開2008-199107(JP,A)
【文献】特開2016-024360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
G03B 7/00 - 7/30
G03B 13/00 - 13/28
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファインダーへの接眼を検知する接眼検知手段と、
撮像された画像を表示可能な表示手段の表示面を操作面とするタッチパネルであって、前記ファインダーが設けられている撮像装置の背面側に設けられた背面タッチパネルと、
前記背面タッチパネルに対する操作に応じた機能の実行を制限したロック状態と、前記制限をしないロック解除状態とを、操作部へのユーザ操作に応じて切り替える切替手段と、
前記ロック状態において、
前記接眼検知手段で接眼を検知せずに前記背面タッチパネルに対する特定の操作が行われても、前記特定の操作に応じた所定の処理を実行せず、
前記接眼検知手段で接眼を検知したことを含む所定の条件が満たされた状態で前記背面タッチパネルに対する前記特定の操作が行われたことに応じて、前記所定の処理を行うように制御する制御手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ロック解除状態では、前記制御手段は、前記接眼検知手段で接眼を検知せずに前記背面タッチパネルに対する特定の操作が行われても、前記特定の操作に応じた所定の処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特定の操作は、前記背面タッチパネルに対するタッチの開始とタッチしたままのタッチ位置の移動の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項またはに記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ロック状態では、前記背面タッチパネル所定の操作部材とを含む複数の操作部材について、操作に応じた機能の実行が制限され、
前記制御手段は、前記ロック状態で、かつ、前記所定の条件が満たされた状態において、
前記背面タッチパネルに対する前記特定の操作に応じて前記所定の処理を行うように制御し、
前記所定の操作部材に対する操作に応じ機能の実行は制限するように制御することを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記所定の処理は、焦点調節位置または追尾対象の位置の決定であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記所定の処理は、特定の撮影パラメータの変更であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記特定の撮影パラメータは、絞りの設定値、シャッター速度、ISO感度および露出補正のいずれかであることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記ファインダーに接眼した目による視線を検出する視線検出手段をさらに有し、
前記所定の条件は、前記視線検出手段が視線を検出していることを含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
ファインダーへの接眼を検知する接眼検知手段と、
撮像された画像を表示可能な表示手段の表示面を操作面とするタッチパネルであって、前記ファインダーが設けられている撮像装置の背面側に設けられた背面タッチパネルと、
前記背面タッチパネルに対する操作に応じた機能の実行を制限したロック状態と、前記制限をしないロック解除状態とを、操作部へのユーザ操作に応じて切り替える切替手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、
前記ロック状態において、
前記接眼検知手段で接眼を検知せずに前記背面タッチパネルに対する特定の操作が行われても、前記特定の操作に応じた所定の処理を実行せず、
前記接眼検知手段で接眼を検知したことを含む所定の条件が満たされた状態で前記背面タッチパネルに対する前記特定の操作が行われたことに応じて、前記所定の処理を行うように制御するステップを有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至のいずれか1項に記載された撮像装置の各手段として機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器に対する誤操作を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な操作部材が搭載された機器において、誤操作防止のために操作部材をロックするか、ロックを解除するかを切り替えるロックレバーやロックボタンが搭載されているものがある。特許文献1には、ロックレバーによって操作部材をロックし、ロックされている操作部材が操作されると、対象の操作部材はロックされている旨を警告することが開示されている。警告表示により、ユーザは行った操作が無効であることを直感的に認識することができる。特許文献2には、ファインダーを覗いている状態で、ファインダーとは別に設けられたタッチパネルに対するタッチ操作に応じて、AF位置の指定を行う技術(タッチパッド操作)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-189883号公報
【文献】特開2012-089973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、誤操作を防止する目的で操作部材に対する操作をロック状態とすると、ファインダーに接眼した状態でユーザが撮影を行おうとしている誤操作の起きにくい場面での意図的な操作であっても無効とされてしまう。例えば、タッチパネルに対するタッチ操作をロックすると、特許文献2のタッチパッド操作が行えなくなってしまう。ロックしていた操作部材を、接眼時に操作できるようにしたい場合、その都度ロックを解除する操作が必要となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、ロックの設定と解除を行う際の操作の手間を減らし、誤操作防止と操作性の良さを両立できる技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の撮像装置は、ファインダーへの接眼を検知する接眼検知手段と、撮像された画像を表示可能な表示手段の表示面を操作面とするタッチパネルであって、前記ファインダーが設けられている撮像装置の背面側に設けられた背面タッチパネルと、前記背面タッチパネルに対する操作に応じた機能の実行を制限したロック状態と、前記制限をしないロック解除状態とを、操作部へのユーザ操作に応じて切り替える切替手段と、前記ロック状態において、前記接眼検知手段で接眼を検知せずに前記背面タッチパネルに対する特定の操作が行われても、前記特定の操作に応じた所定の処理を実行せず、前記接眼検知手段で接眼を検知したことを含む所定の条件が満たされた状態で前記背面タッチパネルに対する前記特定の操作が行われたことに応じて、前記所定の処理を行うように制御する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロックの設定と解除を行う際の操作の手間を減らし、誤操作防止と操作性の良さを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のデジタルカメラの外観図。
図2】本実施形態のデジタルカメラの構成を示すブロック図。
図3】本実施形態のロック対象操作部材の設定画面を例示する図。
図4】本実施形態の接眼状態でのタッチ操作による設定変更が有効または無効になる設定項目を例示する図。
図5】本実施形態の撮影モード時における各種操作に応じた処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[実施形態1]
以下に、本発明の撮像装置を、静止画や動画を撮影可能なデジタル一眼レフカメラに適用した実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<装置構成>図1及び図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ100の構成および機能について説明する。
【0012】
図1(a)は、レンズユニット200を取り外した状態のデジタルカメラ100の前面斜視図、図1(b)はデジタルカメラ100の背面斜視図である。
【0013】
図1において、背面表示部101は、画像や各種情報を表示するファインダー外表示部であり、カメラ本体の背面に設けられたLCDなどの表示デバイスである。また、背面表示部101は、静止画撮影後の静止画再生や記録中の動画表示、及びライブビュー表示機能を併せ持っている。背面表示部101には、タッチパネル270aが設けられている。タッチパネル270aは、背面表示部101の表示面(タッチパネル270aのタッチ操作面)対する接触(タッチ操作)を検出可能なタッチ操作部材である。
【0014】
ファインダー外表示部243は、カメラ上面に設けられた表示部であり、シャッター速度や絞りをはじめとするカメラの様々な設定値が表示される。シャッターボタン102は撮影指示を行うための操作部である。モード切替スイッチ103は各種モードを切り替えるための回転ダイヤル式の操作部である。端子カバー104は外部機器とデジタルカメラ100をUSBなどのケーブルを介して接続するためのコネクタ(不図示)を保護するカバー部材である。メイン電子ダイヤル105は図2で後述する操作部270に含まれる回転操作部材であり、このメイン電子ダイヤル105を回すことで、シャッター速度や絞りなどの設定値が変更できる。
【0015】
電源スイッチ106はデジタルカメラ100の電源のオン/オフを切り替える操作部材である。サブ電子ダイヤル107も図2で後述する操作部270に含まれる回転操作部材であり、選択枠の移動や画像送りなどが行える。十字キー108も図2で後述する操作部270に含まれる移動指示部材であり、上、下、左、右の4方向に押し込み可能な押しボタンを有する4方向操作ボタンである。十字キー108の押下した方向に押した部分に応じた操作が可能である。SETボタン109も図2で後述する操作部270に含まれる押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。
【0016】
ロックボタン110も図2で後述する操作部270に含まれる押しボタンであり、ボタンが押されたことに応じて、メイン電子ダイヤル105、サブ電子ダイヤル107、タッチパネル270a、マルチコントローラ115、不図示のコントロールリングなどのロック対象操作部材への操作を有効/無効にする、ロック状態の設定/解除の切り替えが可能である。すなわち、ロックボタン110が押されるたびに、押される前がロック状態であればアンロック状態(ロック解除状態)に、押される前がアンロック状態であればロック状態に切り替えられる。ロックボタン110によりロック状態の設定/解除が可能な上記ロック対象操作部材は、ユーザの意図しない操作が行われる可能性があり、ユーザが予め設定した値が意図せず変更されてしまうと、操作性が低下することが想定される操作部材である。本実施形態では、ユーザが意図していない誤操作による設定変更を防止するために、ロック対象操作部材のロック状態の設定/解除が可能に構成されている。本実施形態では、ロック対象操作部材として選択可能な操作部材として、メイン電子ダイヤル105、サブ電子ダイヤル107、タッチパネル270a、マルチコントローラ115、不図示のコントロールリングを例示しているが、これらに限らない。また、ロック対象操作部材を、ユーザがメニュー画面などで任意に設定することも可能である。
【0017】
コントロールリングは、図2で後述するレンズユニット200のレンズ鏡筒まわりの光軸を中心とした回転操作が可能な操作部材である。コントロールリングを操作すると、回転量(操作量)に応じた電気的なパルス信号が発生し、このパルス信号に基づいてシステム制御部201はデジタルカメラ100の各部を制御する。また、コントロールリングの機能切替ボタンが押されると、コントロールリングに割り当てる機能を変更可能なメニュー画面が背面表示部101に表示される。コントロールリングは設定項目の選択や値の変更に用いられる。
【0018】
拡大/縮小ボタン111も図2で後述する操作部270に含まれる押しボタンであり、撮影モード時のライブビュー表示中において、拡大モードのオン/オフ、拡大モード中の拡大率の変更や、拡大された画像の拡大率を減少させ、画像を縮小させることが可能である。また、拡大/縮小ボタン111は、再生モード時において、再生画像を拡大/縮小し、拡大率を増加/減少させることが可能である。削除ボタン112も図2で後述する操作部270に含まれる押しボタンであり、後述する撮影処理において記録媒体250に記録した画像ファイルを消去することが可能である。再生ボタン113も図2で後述する操作部270に含まれる操作部材であり、デジタルカメラ100の動作モードを撮影モードまたは再生モードに切り替えることが可能である。メニューボタン114も図2で後述する操作部270に含まれる押しボタンであり、メニュー画面を背面表示部101に表示することが可能である。マルチコントローラ115も図2で後述する操作部270に含まれ、横方向にスライド操作可能な操作部材(操作バー)であり、スライド操作と両端のタッチ操作に、様々な機能を割り当てることができる。
【0019】
グリップ部116は、ユーザがデジタルカメラ100を構えた際に右手で握りやすい形状を有する。グリップ部116を右手の小指、薬指、中指で握ってデジタルカメラ100を保持した状態で、右手の人差指で操作可能な位置にシャッターボタン102、メイン電子ダイヤル105が配置されている。また、同じ状態で、右手の親指で操作可能な位置に、サブ電子ダイヤル107が配置されている。蓋117はデジタルカメラ100に対して記録媒体250を着脱するためにスロットを開閉する部材である。
【0020】
通信端子210はデジタルカメラ100がレンズユニット200と通信を行うための電気的接点である。接眼部216は、覗き込み型の接眼ファインダーである。ユーザは、接眼部216を介してファインダー内表示部229である電子ビューファインダー(EVF)に表示された画像を視認可能であり、図2で後述するレンズユニット200を通じて取り込んだ被写体像の焦点や構図の確認を行うことができる。
【0021】
接眼検知部217は、接眼部216の近傍に配置され、接眼部216への何らかの物体の接近を検知することができる。接眼検知部217は、例えば赤外線近接センサが用いられる。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態のデジタルカメラ100およびレンズユニット200の内部構成について説明する。図2において、図1と共通する構成には同じ符号を付して示している。
【0023】
図2において、レンズユニット200は撮影レンズ207を搭載し、デジタルカメラ100に対して着脱可能である。撮影レンズ207は通常、複数枚のレンズから構成されるが、ここでは簡略して1枚のレンズのみで示している。通信端子206はレンズユニット200がデジタルカメラ100と通信を行うための電気的接点である。通信端子210はデジタルカメラ100がレンズユニット200と通信を行うための電気的接点である。レンズユニット200は、通信端子206を介してシステム制御部201と通信し、内蔵されたレンズ制御部204が絞り駆動回路202を制御して絞り205を駆動し、AF駆動回路203を制御して撮影レンズ207の位置を変位させることで焦点を合わせる。
【0024】
フォーカルプレーンシャッター221は、システム制御部201の指示に応じて撮像部222での露光時間を自由に制御できる。撮像部222は被写体像を電気信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子で構成されたイメージセンサである。A/D変換器223は、撮像部222から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0025】
画像処理部224は、A/D変換器223からのデータ、又は、メモリ制御部215からのデータに対して所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。また、画像処理部224では、撮像した画像データを用いて所定の演算処理が行われ、システム制御部201は演算結果に基づいて露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理部224では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0026】
メモリ制御部215は、A/D変換器223、画像処理部224、メモリ232の間のデータの授受を制御する。A/D変換器223から出力されるデジタルデータは、画像処理部224およびメモリ制御部215を介して、あるいは、メモリ制御部215を介してメモリ232に直接書き込まれる。メモリ232は、撮像部222およびA/D変換器223から得られる画像データや、背面表示部101またはファインダー内表示部229に表示するための画像表示用のデータを格納する。メモリ232は、所定枚数の静止画や所定時間の動画および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。また、メモリ232は画像表示用のメモリ(ビデオメモリ)を兼ねている。
【0027】
D/A変換器219は、メモリ232に格納されている画像表示用のデータをアナログ信号に変換して背面表示部101またはファインダー内表示部229に供給する。メモリ232に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器219を介して背面表示部101やファインダー内表示部229により表示される。背面表示部101やファインダー内表示部229は、表示デバイスにD/A変換器219からのアナログ信号に応じた表示を行う。このように、メモリ232に格納されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、背面表示部101またはファインダー内表示部229に逐次転送して表示することで、ライブビュー(LV)表示(スルー画像表示)を行うEVFとして機能する。
【0028】
ファインダー外表示部243には、ファインダー外表示部駆動回路244を介して、撮影時のシャッター速度や絞りなどのカメラの様々な情報が表示される。
【0029】
不揮発性メモリ256は、電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばフラッシュROMなどが用いられる。不揮発性メモリ256には、システム制御部201の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、後述するフローチャートを実行するためのプログラムのことである。
【0030】
システム制御部201は、少なくとも1つのプロセッサまたは回路からなる演算処理装置であり、デジタルカメラ100全体を統括して制御する。システム制御部201は、不揮発性メモリ256に格納されたプログラムを実行することで、後述するフローチャートの各処理を実現する。システムメモリ252には、例えばRAMが用いられ、システム制御部201の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ256から読み出したプログラムなどが展開を展開するワークメモリとしても使用される。また、システム制御部201は、メモリ232、D/A変換器219、背面表示部101、ファインダー内表示部229などを制御することにより表示制御も行う。システムタイマー253は各種制御に用いる時間や、内蔵時計の時間を計測する計時部である。
【0031】
モード切替スイッチ103、第1シャッタースイッチ211、第2シャッタースイッチ212、操作部270はシステム制御部201に各種の指示を入力するための操作手段である。モード切替スイッチ103は、システム制御部201の動作モードを、静止画撮影モード、動画記録モード、再生モードのいずれかに切り替える。静止画撮影モードには、例えば、オート撮影モード、オートシーン判別モード、マニュアルモード、絞り優先モード(Avモード)、シャッター速度優先モード(Tvモード)、プログラムAEモード(Pモード)が含まれる。また、静止画撮影モードには、例えば、撮影シーン別の撮影設定となる各種シーンモード、カスタムモードなどが含まれる。
【0032】
ユーザは、モード切替スイッチ103を操作することにより、これらの撮影モードのいずれかに直接切り替えるか、モード切替スイッチ103で動作モードの一覧画面に一旦切り替えた後に、一覧表示された複数の撮影モードのいずれかを選択し、他の操作部材を用いて切り替えるようにしてもよい。同様に、動画記録モードや再生モードにも複数のモードが含まれていてもよい。
【0033】
第1シャッタースイッチ211は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン102の操作途中、いわゆる半押し(撮影準備指示)でオンとなり第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。第1シャッタースイッチ信号SW1により、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の撮影準備動作を開始する。
【0034】
第2シャッタースイッチ212は、シャッターボタン102の操作完了、いわゆる全押し(撮影指示)でオンとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部201は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像部222からの信号読み出しから撮像された画像を画像ファイルとして記録媒体250に書き込むまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0035】
操作部270は、ユーザからの各種操作を受け付けて、システム制御部201へ通知する各種スイッチ、ボタンなどの操作部材からなり、少なくとも以下の操作部材が含まれる。シャッターボタン102、モード切替スイッチ103、メイン電子ダイヤル105、電源スイッチ106、サブ電子ダイヤル107、十字キー108、SETボタン109、ロックボタン110、拡大/縮小ボタン111、削除ボタン112、再生ボタン113、メニューボタン114、マルチコントローラ115、コントロールリング271。
【0036】
電源制御部280は、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、電源制御部280は、その検出結果およびシステム制御部201の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体250を含む各部へ供給する。
【0037】
電源部230は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる。記録媒体I/F218は、メモリカードやハードディスク等の記録媒体250とのインターフェースである。記録媒体250は、撮影された画像を記録するためのメモリカード等の記録媒体であり、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される。
【0038】
通信部254は、無線アンテナや有線ケーブルによって外部機器と通信可能に接続し、画像や音声の送受信を行う。通信部254は無線LAN(Local Area Network)やインターネットにも接続可能である。通信部254は撮像部222で撮像された画像データ(ライブビュー画像を含む)や、記録媒体250に記録されている画像ファイルを外部機器に送信でき、また、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信できる。なお、通信部254は、無線LANに限らず、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy、WirelessUSBなどの無線通信モジュール、あるいは、USBケーブルやHDMI(登録商標)、IEEE1394などの有線接続手段を用いてもよい。
【0039】
姿勢検知部255は重力方向に対するデジタルカメラ100の姿勢を検知する。姿勢検知部255で検知された姿勢に基づいて、撮像部222で撮影された画像が、デジタルカメラ100を横に構えて撮影された画像であるか、縦に構えて撮影された画像なのかを判別可能である。システム制御部201は、姿勢検知部255で検知された姿勢に応じた向き情報を撮像部222で撮像された画像の画像ファイルに付加したり、画像を回転して記録したりすることが可能である。姿勢検知部255としては、加速度センサやジャイロセンサなどを用いることができる。姿勢検知部255は、加速度センサやジャイロセンサを用いることで、デジタルカメラ100の動き(パン、チルト、持ち上げ、静止など)を検知することも可能である。
【0040】
なお、操作部270の1つとして、背面表示部101に対するタッチ操作を検出可能なタッチパネル270aを有する。タッチパネル270aと背面表示部101とは一体的に構成することができる。例えば、タッチパネル270aを光の透過率が背面表示部101の表示を妨げないように構成し、背面表示部101の表示面の上層に取り付ける。そして、タッチパネル270aにおける入力座標と、背面表示部101上の表示座標とを対応付ける。これにより、あたかもユーザが背面表示部101上に表示された画面を直接的に操作可能であるかのようなGUIを構成することができる。システム制御部201はタッチパネル270aへの以下の操作、あるいは状態を検出できる。
【0041】
・タッチパネル270aにタッチしていなかった指やペンが新たにタッチパネル270aにタッチしたこと。すなわち、タッチの開始(以下、タッチダウン(Touch-Down)と称する)。
【0042】
・タッチパネル270aを指やペンでタッチしている状態であること(以下、タッチオン(Touch-On)と称する)。
【0043】
・タッチパネル270aを指やペンでタッチしたまま移動していること(以下、タッチムーブ(Touch-Move)と称する)。
【0044】
・タッチパネル270aへタッチしていた指やペンを離したこと。すなわち、タッチの終了(以下、タッチアップ(Touch-Up)と称する)。
【0045】
・タッチパネル270aに何もタッチしていない状態(以下、タッチオフ(Touch-Off)と称する)。
【0046】
タッチダウンが検出されると、同時にタッチオンであることも検出される。タッチダウンの後、タッチアップが検出されない限りは、通常はタッチオンが検出され続ける。タッチムーブが検出されるのもタッチオンが検出されている状態である。タッチオンが検出されていても、タッチ位置が移動していなければタッチムーブは検出されない。タッチしていた全ての指やペンがタッチアップしたことが検出された後は、タッチオフとなる。
【0047】
これらの操作・状態や、タッチパネル270a上に指やペンがタッチしている位置座標は内部バスを通じてシステム制御部201に通知され、システム制御部201は通知された情報に基づいてタッチパネル270a上にどのような操作(タッチ操作)が行われたかを判定する。
【0048】
タッチムーブについてはタッチパネル270a上で移動する指やペンの移動方向についても、位置座標の変化に基づいて、タッチパネル270a上の垂直成分・水平成分毎に判定できる。所定距離以上をタッチムーブしたことが検出された場合はスライド操作(ドラッグ)が行われたと判定するものとする。タッチパネル上に指をタッチしたままある程度の距離だけ素早く動かして、そのまま離すといった操作をフリックと呼ぶ。フリックは、言い換えればタッチパネル270a上を指ではじくように素早くなぞる操作である。所定距離以上を、所定速度以上でタッチムーブしたことが検出され、そのままタッチアップが検出されるとフリックが行われたと判定できる(ドラッグに続いてフリックがあったものと判定できる)。更に、複数箇所(例えば2点)を同時にタッチして、互いのタッチ位置を近づけるタッチ操作をピンチイン、互いのタッチ位置を遠ざけるタッチ操作をピンチアウトと称する。ピンチアウトとピンチインを総称してピンチ操作(あるいは単にピンチ)と称する。
【0049】
タッチパネル270aは、抵抗膜方式や静電容量方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、画像認識方式、光センサ方式等、様々な方式のタッチパネルのうちいずれの方式のものを用いても良い。方式によって、タッチパネルに対する接触があったことでタッチがあったと検出する方式や、タッチパネルに対する指やペンの接近があったことでタッチがあったと検出する方式があるが、いずれの方式でもよい。
【0050】
本実施形態のデジタルカメラ100は、ユーザがファインダーを覗いたままAF枠の移動やパラメータの変更などを行えるタッチ&ドラッグ機能を有する。例えば、タッチ&ドラッグAFでは、タッチパネル270aに対してタップやタッチムーブを行うことにより、ファインダー内表示部229に表示されたAF枠を所望の位置(追尾対象や合焦対象の被写体の位置)に移動させることが可能である。接眼状態でタッチムーブ操作が行われると、ユーザはタッチムーブ操作に応じた位置指標の位置の指定方法を、絶対位置指定と相対位置指定のいずれかに設定することができる。例えば、位置指標がAF枠であれば、絶対位置指定の場合、タッチパネル270aに対するタッチダウンがあると、タッチダウンされる前に設定されていたAF位置(現在のAF位置)にかかわらず、タッチダウンされた位置(座標入力された位置)に対応付けられたAF位置が設定される。つまり、タッチ操作が行われた位置座標と、背面表示部101の位置座標とが対応づけられる。一方、相対位置指定の場合は、タッチ操作が行われた位置座標と背面表示部101の位置座標とは対応付けられない。相対位置指定では、タッチダウンされた時点ではAF位置は移動しない。タッチダウン後にタッチムーブがあると、タッチパネル270aに対するタッチダウン位置にかかわらず、タッチされる前に設定されていたAF位置(現在のAF位置)からタッチムーブの移動方向にタッチムーブの移動量に応じた距離だけ、AF位置を移動させる。
【0051】
接眼検知部217は接眼部216に対する目(物体)の接近(接眼)および離反(離眼)を検知する(接近検知)。システム制御部201は、接眼検知部217で検知された状態に応じて、背面表示部101とファインダー内表示部229の表示(表示状態)/非表示(非表示状態)を切り替える。システム制御部201は、少なくとも撮影モード、かつ、表示先の切替が自動である場合において、非接眼中は表示先を背面表示部101とし、ファインダー内表示部229は非表示とする。また、接眼中は表示先をファインダー内表示部229とし、背面表示部101は非表示とする。
【0052】
物体が接近した場合は、接眼検知部217の投光部(図示せず)から照射された赤外光が反射して赤外線近接センサの受光部(図示せず)に入射される。赤外線近接センサで受光される赤外光の入射光量によって、接眼部216への何らかの物体の接近の検出と、物体が接眼部216からどの程度の距離まで近づいているか(接眼距離)を判別することができる。接眼部216への物体の接近を検知するとシステム制御部201がファインダー内表示部229の表示を開始させることが可能となる。これにより、ユーザが接眼部216を覗いたときにファインダー内表示部229を極力遅延なく表示可能となる。
【0053】
また、接眼検知部217は、非接眼状態(非接近状態)から、接眼部216に対して所定距離以内に近づく物体を検出した場合に接眼を検出したと判定し、システム制御部201に接眼検知通知を送信する。また、接眼状態(接近状態)から、接近を検知していた物体が所定距離以上離れた場合に離眼が検出したと判定し、システム制御部201に離眼検知通知を送信する。接眼を検出する閾値と、離眼を検出する閾値は例えばヒステリシスを設けるなどして異なっていてもよい。また、接眼を検出した後は、離眼を検出するまでは接眼状態であるものとする。離眼を検出した後は、接眼を検出するまでは非接眼状態であるものとする。これにより、システム制御部201は、接眼検知部217が検出した接眼状態もしくは離眼状態に応じて背面表示部101とファインダー内表示部229の表示制御を行う。
【0054】
なお、接眼検知部217は赤外線近接センサに限らず、接眼とみなせる目や物体の接近を検知できるものであれば他のセンサを用いてもよい。また、本実施形態では接眼検知部217の投光部および受光部は後述する視線検出部260の赤外発光素子266および視線検出センサ264とは別体のデバイスであるものとするが、接眼検知部217の投光部を赤外発光素子266、受光部を視線検出センサ264で兼ねてもよい。
【0055】
視線検出部260は、次のダイクロイックミラー262、結像レンズ263、視線検出センサ264、視線検出回路265、赤外発光素子266を含み、ユーザの視線の有無だけでなく視線の位置や動きを検出する。
【0056】
本実施形態のデジタルカメラ100は、視線検出部260により角膜反射法と呼ばれる方式で視線を検出する。角膜反射法とは、赤外発光素子266から発した赤外光が眼球(目)261(特に角膜)において反射した反射光と、眼球(目)261の瞳孔との位置関係から、視線の位置や向きを検出する方式である。その他にも黒目と白目での光の反射率が異なることを利用する強膜反射法と呼ばれる方式など、様々な視線の位置や向きを検出する方式がある。なお、視線の位置や向きを検出できる方式であれば、上記以外の視線検出方式を用いてもよい。
【0057】
赤外発光素子266は、ファインダー画面内におけるユーザの視線位置を検出するための赤外光を発光するダイオードであり、ユーザの眼球(目)261に赤外光を接眼部216の中央付近に向けて照射する。赤外発光素子266から照射された赤外光は眼球(目)261で反射し、反射した赤外光はダイクロイックミラー262に到達する。ダイクロイックミラー262は赤外光だけを反射して可視光を透過させる機能を有し、光路を変更された反射赤外光は、結像レンズ263を介して視線検出センサ264の撮像面に結像する。
【0058】
結像レンズ263は視線検出光学系を構成する光学部材である。視線検出センサ264は、CCDやCMOSなどからなるイメージセンサを含む。視線検出センサ264は、入射された反射赤外光を電気信号に光電変換して視線検出回路265へ出力する。視線検出回路265は、視線検出センサ264の出力信号に基づき、ユーザの眼球(目)261の動きや瞳孔の位置からユーザの視線位置を検出し、検出した情報をシステム制御部201に出力する。視線検出センサ264は、人の目の瞳孔の検知が可能であるため、他の物体が接眼部216に接近または接触していても、人の視線が入力されていることを検知しない。これにより接眼部216は視線操作部としての機能を有するが、視線検出部は別の構成であってもよい。
【0059】
システム制御部201は接眼部216への以下の操作または状態を検出できる。
・接眼部216へ入力されていなかったこと/視線が新たに接眼部216に入力されたこと(視線入力の開始)
・接眼部216へ視線入力している状態であること
・接眼部216へ注視している状態であること
・接眼部216へ入力していた視線を外したこと(視線入力の終了)
・接眼部216へ何も視線入力していない状態
これらの操作・状態や、接眼部216に視線の入力位置はシステム制御部201に通知され、システム制御部201は通知された情報に基づいて接眼部216にどのような操作(視線操作)が行われたかを判定できる。
【0060】
なお、注視とは、ユーザの視線位置が所定時間内に所定の移動量を超えなかった場合のことを指す。つまり、システム制御部201は、視線検出回路265から受け取った検出情報に基づいて、ユーザの視線がある領域に固定されている期間が所定の閾値を越えた場合に、その領域を注視していると判定する。従って、当該領域は、注視が行われた位置である注視位置(注視領域)であるといえる。なお、「視線がある領域に固定されている」とは、例えば、所定の期間経過するまでの間、視線の動きの平均位置が当該領域内にあり、かつ、ばらつき(分散)が所定値よりも少ないことである。
【0061】
<ロック対象操作部材の設定>
本実施形態では、ロックボタン110の押下によって、ロック対象操作部材をロック状態またはアンロック状態に切り替えることができる。ロック対象操作部材は、図3に示すような設定画面で設定することが可能である。図3の設定候補301~305に示すように、ロック可能操作部材が表示される。設定候補301~305はそれぞれ操作部材がアイコンで表示されている。カーソルが表示されている操作部材の名称を領域306に表示する。図3の設定候補302、305に示すように、チェックボックスにチェックを入れ、OKボタン307を操作することで、ロック状態に設定できる。
【0062】
設定候補301はメイン電子ダイヤル105を示しており、上に凸の半円で示すアイコンで描いている。設定候補302はサブ電子ダイヤル107を示しており、下に凸の半円で示すアイコンで描いている。設定候補303はタッチパネル270aを示しており、右手人差し指のアイコンで描いている。設定候補304はマルチコントローラ115を示しており、図1(b)に示すような横方向に長い長方形のアイコンで描いている。設定候補305はコントロールリング271を示しており、円筒状の部材の一部を輪切りにし、円周方向に操作可能であることを示すアイコンで描いている。図3では、設定候補301にカーソルが表示され、領域306にはメイン電子ダイヤルと表示されている。
【0063】
図3では、サブ電子ダイヤル107とコントロールリング271とが、ロック対象操作部材として設定されている場合を例示している。
【0064】
図4は、本実施形態の接眼状態でのタッチ操作による設定変更が有効または無効になる設定項目を例示している。
【0065】
本実施形態では、誤操作防止のためにロック対象操作部材をロック状態に設定していても、接眼状態を検知した場合には意図的な操作であると考えられるのでロック対象操作部材の操作を一時的に有効に切り替える。図4の例では、タッチパネル270aがロック状態に設定されていても、接眼状態で行うタッチ&ドラッグAFでの操作が有効に切り替えられる。詳しくは、図4に示すように、タッチパネル270aがロック状態に設定されていても、絶対位置指定によるタップによってAF位置(AF枠の位置/焦点検出位置/焦点調節位置)を変更できるが、その他の設定をタップで変更することができない。一方、相対位置指定でのタッチムーブ(ドラッグ)によって設定可能な項目はタップにより設定可能な項目よりも多くなる。ユーザは、接眼状態でのタッチ操作による設定変更が有効または無効になる設定項目が一覧表示された設定画面上で、タッチ操作の種類による制限を加えたり、設定項目による制限を加えたりすることができる。例えば、図4の例では誤操作が起きやすいタップで設定できる項目をAF位置のみにすることで、意図しない設定変更に気づきにくい撮影パラメータの変更を防ぎつつ、ユーザはファインダーを覗きながらタップにより焦点検出位置を変更できる。また、図4の例では誤操作が起きにくいタッチムーブで設定可能な項目をダイヤルやボタンなどで変更できない撮影パラメータにすることで、タップによる誤操作を防ぎつつ、タッチムーブによる設定変更が可能となる。このように、誤操作を防止するロック設定機能のオン/オフを変更することなく、カメラの設定を変更することができるようになる。
【0066】
<制御処理>次に、図5を参照して、本実施形態の撮影モードにおける各種操作に応じた処理について説明する。
【0067】
なお、図5の処理は、不揮発性メモリ256に格納されているプログラムをシステムメモリ252に展開してシステム制御部201が実行し各部を制御することにより実現される。また、図5の処理は、デジタルカメラ100の電源がオンされ、撮影モードが選択されると開始される。
【0068】
S501では、システム制御部201は、接眼検知部217の検知結果に応じて背面表示部101またはファインダー内表示部229にライブビュー画像(LV画像、スルー画像)を表示する。
【0069】
S502では、システム制御部201は、図3の設定画面などでロック対象操作部材のロック対象設定が行われたか否かを判定する。ロック対象設定が行われたと判定した場合はS503へ進み、そうでない場合はS504へ進む。
【0070】
S503では、システム制御部201は、S502でロック設定が行われた(図3の設定画面などでチェックボックスにチェックが入れられた)ロック対象操作部材をロックボタン110によるロック対象に設定する。
【0071】
S504では、システム制御部201は、ロックボタン110が押下されたか否かを判定する。ロックボタン110が押下されたと判定した場合はS505へ進み、そうでない場合はS508へ進む。
【0072】
S505では、システム制御部201は、システムメモリ252に保持されている現在の状態フラグより、現在の状態がロック中(ロック状態)であるか否かを判定する。ロック中であると判定した場合はS506に進み、ロックを解除してアンロック状態(ロック解除状態)とし、システムメモリ252に保持した状態フラグをアンロック状態に対応する情報に更新する。また、ロック中ではないと判定した場合はS507に進み、ロック状態に設定する。そして、システムメモリ252に保持した状態フラグをロック状態に対応する情報に更新する
S508では、システム制御部201は、背面表示部101のタッチパネル270aに対してタッチダウンが行われたか否かを判定する。タッチダウンが行われたと判定した場合はS509へ進み、そうでない場合はS513に進む。
【0073】
S509では、システム制御部201は、S505と同様に現在の状態がロック状態であるか否かを判定し、ロック状態である場合はS510に進み、そうでない場合(アンロック状態である場合)はS512に進む。
【0074】
S510では、システム制御部201は、タッチパネル270aがS503で設定されたロック対象操作部材であるか否かを判定する。タッチパネル270aがロック対象操作部材であると判定した場合はS511に進み、そうでない場合はS512に進む。
【0075】
S511では、システム制御部201は、接眼検知部217の検知結果に基づき接眼状態であるか否かを判定する。接眼状態であると判定した場合はS512に進み、そうでない場合はS513に進む。ここで、システム制御部201は、接眼検知部217が接眼状態を検知中または接眼検知部217で接眼状態を検知したことに応じて接眼検知部217のオフし、視線出部260をオンした状態で視線検出している状態であれば、接眼状態であると判定し、S512でタッチ操作に応じた機能を実行する。このように、タッチパネル270aがロック対象操作部材としてロック状態に設定されていても、接眼状態または視線検出状態であれば意図的なタッチ操作であると考えられるので一時的にロックが解除され、タッチ操作に応じた処理が実行される。よって、ロック状態に設定していても、ユーザは、接眼した状態でのタップによりAF枠の設定や、タッチムーブによるAF枠の設定が可能となる。また、図4に示したその他の設定操作も可能となる。すなわち、接眼状態においてタッチ&ドラッグを行う際の操作性を向上することができる。なお、S511で接眼中と判定し、S512でタッチ操作に応じた機能を実行する場合であっても、一部のタッチ操作を無効とするように制御してもよい。例えば、タッチ操作で設定する項目として、図4に示した項目の設定が可能となるが、AF位置以外の設定については、タッチムーブによる設定変更は受け付けるが(有効とするが)、タップによる設定変更は受け付けない(無効のままとする)ようにしてもよい。
【0076】
S512では、システム制御部201は、以下に例示するようなタッチ操作に応じた機能を実行する。
【0077】
例えば、タッチ操作がタッチダウンであった場合、非接眼状態かつタッチパネル270aがロックされていない状態(S509でNOまたはS510でNO)でタッチダウンすると、その位置をAF位置に設定する。また、ロックされた状態であっても接眼状態(S511でYES)でタッチダウンがあると、絶対位置指定であれば対応する位置にAF位置を設定する(相対位置指定ではタッチダウンだけではAF位置は変更されない)。
【0078】
例えば、タッチ操作がタッチムーブであった場合、非接眼状態かつタッチパネル270aがロックされていない状態(S509でNOまたはS510でNO)でタッチムーブがあると、AF位置がタッチ位置の移動に追従して変更される。また、ロックされた状態であっても接眼状態(S511でYES)でタッチムーブがあるとタッチ位置の移動に追従してAF位置が移動する。
【0079】
S513では、システム制御部201は、他のロック対象操作部材が操作されたか否かを判定する。他のロック対象操作部材が操作されたと判定した場合はS514に進み、そうでない場合はS518に進む。
【0080】
S514では、システム制御部201は、S505と同様に現在の状態がロック状態であるか否かを判定し、ロック状態である場合はS515に進み、そうでない場合はS517に進む。
【0081】
S515では、システム制御部201は、操作された他のロック対象操作部材がS503で設定されたロック対象操作部材であるか否かを判定する。操作された他のロック対象操作部材がロック対象操作部材であると判定した場合はS516に進み、そうでない場合はS517に進む。
【0082】
S516では、システム制御部201は、S511と同様に、接眼検知部217の検知結果に基づき接眼状態であるか否かを判定する。接眼状態であると判定した場合はS517に進み、そうでない場合はS518に進む。
【0083】
S517では、システム制御部201は、以下に例示するようなタッチパネル以外の他のロック対象操作部材の操作に応じた機能を実行する。
【0084】
例えば、他のロック対象操作部材がメイン電子ダイヤル105であった場合、メイン電子ダイヤル105がロックされた状態(S515でYES)かつ非接眼状態(S516でNO)で回転させても撮影パラメータは変更しない。一方、メイン電子ダイヤル105がロックされた状態(S515でYES)であっても接眼状態(S516でYES)であればメイン電子ダイヤル105が回転されたことに応じて撮影パラメータを変更する。
【0085】
なお、撮影パラメータは、絞り値、シャッター速度、ISO感度、露出補正の少なくともいずれかを含む。
【0086】
S518では、システム制御部201は、他の操作が行われたか否かを判定する。他の操作が行われたと判定した場合はS519に進み、そうでない場合はS520に進む。
【0087】
S519では、システム制御部201は、他の操作に応じた処理を実行する。
【0088】
例えば、ロック対象操作部材とは異なる操作部材に対する操作が行われた場合には、ロック状態であるか否かにかかわらず、および、接眼状態であるか否かにかかわらず、その操作部材に対応する機能を実行する。例えば、SETボタン109が押下されたことに応じて、ロック状態であるか否かにかかわらず、および、接眼状態であるか否かにかかわらず、クイック設定画面を表示する。クイック設定画面(ファンクション画面)とは、ライブビュー画像と共に複数の設定アイコン群を表示した画面である。クイック設定画面に表示される複数の設定アイコンには例えば、AF対象の選択モードの切替、画質設定、画像処理によるフィルタ処理の設定などの設定項目に対応する設定アイコンが含まれる。設定アイコンを選択して操作することで、対応する設定項目の設定を変更することができる。
【0089】
S520では、システム制御部201は、撮影準備指示を入力したか否か、つまり、シャッターボタン102が半押しされて第1シャッタースイッチ信号SW1がオンになったか否かを判定する。撮影準備指示を入力したと判定した場合はS521に進み、そうでない場合はS525に進む。
【0090】
S521では、システム制御部201は、AF処理およびAE処理を実行する。
【0091】
S522では、システム制御部201は、撮影指示を入力したか否か、つまり、シャッターボタン102が全押しされて第2シャッタースイッチ信号SW2がオンになったか否かを判定する。撮影指示を入力したと判定した場合はS523に進み、そうでない場合はS524に進む。
【0092】
S523では、システム制御部201は、撮像部22で画像を撮像し、画像ファイルとして記録媒体250に撮像した画像を記録するまでの一連の撮影処理を実行する。
【0093】
S524では、システム制御部201は、撮影準備指示を入力したままの状態であるか否か、つまり、シャッターボタン102が半押しされたままで第1シャッタースイッチ信号SW1がオンのまま保持さているか否かを判定する。撮影準備指示を入力したままの状態である判定した場合はS522に戻り、そうでない場合はS525に進む。
【0094】
S525では、システム制御部201は、撮影モード処理を終了するか否かを判定する。撮影モード処理は、再生モードへの切り替え、デジタルカメラ100の電源オフなどにより終了する。撮影モード処理を終了すると判定した場合は、撮影モード処理を終了し、そうでない場合はS501に戻る。
【0095】
本実施形態によれば、ロック対象に設定されたロック対象操作部材が非接眼状態で操作されても当該操作に応じた処理は実行せず、接眼状態を含む所定の条件が満たされた状態で操作されると当該操作に応じた処理を行う。このように制御することで、ロック対象操作部材のロックの設定と解除を行う際の操作の手間を減らし、誤操作防止と操作性の良さを両立できる。
【0096】
なお、タッチ&ドラッグ機能については操作性向上を優先し、それ以外の機能はロック状態における誤操作の防止を優先するようにしてもよい。すなわち、S511で接眼状態であることを検知した場合(S511でYES)にはロック状態であってもタッチ操作に応じた機能を実行する(S512)が、S516の処理は行わずに操作を無効とするようにしてもよい。すなわち、複数のロック対象操作部材のうち、タッチ操作部材ではない操作部材(例えばロック対象操作部材に設定されたメイン電子ダイヤル105)については、ロック状態であれば接眼状態であっても無効とする(メイン電子ダイヤル105の回転操作に応じた機能実行を制限する)ようにしてもよい。
【0097】
なお、システム制御部201が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0098】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0099】
また、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、この例に限定されず、ロック対象操作部材のロックの設定/解除、接眼状態かどうかの検知機能を有する装置であれば適用可能である。すなわち、本発明は、外付けファインダーを取り付けて撮影可能なパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末やその一種であるスマートフォン、タブレット端末、携帯型の画像ビューワ、デジタルフォトフレーム、音楽プレーヤー、ゲーム機、電子ブックリーダその他の家電装置、車載装置、医療機器、電子双眼鏡などに適用可能である。
【0100】
[他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0101】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0102】
100…デジタルカメラ、101…背面表示部、216…接眼部、217…接眼検知部、270a…タッチパネル
図1
図2
図3
図4
図5