(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240403BHJP
F25D 21/06 20060101ALI20240403BHJP
F25D 21/10 20060101ALI20240403BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D21/06 J
F25D21/10 A
F25B47/02 H
(21)【出願番号】P 2020067236
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】井上 和彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊明
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071874(JP,A)
【文献】特開平07-282344(JP,A)
【文献】特開2016-156518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0047922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物が収容される貯蔵室と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を蒸発させて熱交換を行う冷却器と、
前記冷媒が封入され、前記圧縮機及び前記冷却器を循環接続する冷媒管と、
前記貯蔵室内の庫内空気を前記冷却器に送り、前記冷却器で熱交換されて生じた冷気を前記貯蔵室内に還流させる庫内ファンと、
前記貯蔵室の庫内温度もしくは
前記冷却器の温度を測定する温度測定部と、
前記圧縮機及び前記庫内ファンの運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機が停止された状態で前記庫内ファンを駆動中に、前記温度測定部で測定した温度測定値と、予め定められたファン停止温度とを比較して、
前記温度測定値が前記ファン停止温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止し、
前記庫内ファンを停止した後に、前記圧縮機を起動する
ものとされ、
前記温度測定部は、前記貯蔵室内の庫内温度を測定する庫内温度測定部であり、
前記温度測定値は、前記庫内温度測定部で測定された庫内温度測定値であり、
前記ファン停止温度は、予め定められた上限庫内温度よりも高いファン停止庫内温度であり、
前記圧縮機の直近の停止時からの経過時間である停止時間を計測する計時部をさらに備え、
前記制御部は、
前記庫内温度測定値と、前記上限庫内温度よりも低い下限庫内温度とを比較して、
前記庫内温度測定値が前記下限庫内温度より低いと判断した場合、前記圧縮機を停止し、
前記庫内温度測定値と、前記上限庫内温度とを比較して、
前記庫内温度測定値が前記上限庫内温度より高いと判断した場合、前記計時部で計測された停止時間計測値と、予め定められた圧縮機規制時間とを比較して、
前記停止時間計測値が前記圧縮機規制時間より長くないと判断した場合は、前記圧縮機を起動せず、
前記停止時間計測値が前記圧縮機規制時間より長いと判断した場合は、前記圧縮機を起動することにより、前記貯蔵室内の庫内温度を所定の温度領域内に維持する冷却運転を実行するものであって、
前記冷却運転において前記庫内ファンを駆動中に、前記庫内温度測定値と前記ファン停止庫内温度とを比較して、
前記庫内温度測定値が前記ファン停止庫内温度より高いと判断した場合、前記圧縮機の運転状態を参照して、
前記圧縮機が停止されていると判断した場合、前記庫内ファンを停止する、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
貯蔵物が収容される貯蔵室と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を蒸発させて熱交換を行う冷却器と、
前記冷媒が封入され、前記圧縮機及び前記冷却器を循環接続する冷媒管と、
前記貯蔵室内の庫内空気を前記冷却器に送り、前記冷却器で熱交換されて生じた冷気を前記貯蔵室内に還流させる庫内ファンと、
前記貯蔵室の庫内温度もしくは前記冷却器の温度を測定する温度測定部と、
前記圧縮機及び前記庫内ファンの運転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機が停止された状態で前記庫内ファンを駆動中に、前記温度測定部で測定した温度測定値と、予め定められたファン停止温度とを比較して、
前記温度測定値が前記ファン停止温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止し、
前記庫内ファンを停止した後に、前記圧縮機を起動するものとされ、
前記温度測定部は、前記冷却器の温度を測定する冷却器温度測定部であり、
前記温度測定値は、前記冷却器温度測定部で測定された冷却器温度測定値であり、
前記ファン停止温度は、予め定められた除霜終了冷却器温度よりも低いファン停止冷却器温度であり、
前記制御部は、
前記圧縮機を停止することにより、前記冷却器の着霜を除去する除霜運転を実行し、
前記除霜運転中に、前記冷却器温度測定値と、前記除霜終了冷却器温度とを比較して、
前記冷却器温度測定値が前記除霜終了冷却器温度より高いと判断した場合、前記圧縮機を起動して前記除霜運転を終了するものであって、
前記除霜運転において前記庫内ファンを駆動中に、前記冷却器温度測定値が前記ファン停止冷却器温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止する、冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記冷却器の温度を測定する冷却器温度測定部をさらに備え、
前記制御部は、
前記冷却運転を実行していない期間に、前記圧縮機を停止することによって前記冷却器の着霜を除去する除霜運転を実行し、
前記冷却器温度測定部で測定された冷却器温度測定値と、予め定められた除霜終了冷却器温度とを比較して、
前記冷却器温度測定値が前記除霜終了冷却器温度より高いと判断した場合、前記圧縮機を起動して前記除霜運転を終了するものであって、
前記除霜運転において前記庫内ファンを駆動中に、
前記冷却器温度測定値と、前記除霜終了冷却器温度よりも低いファン停止冷却器温度とを比較して、
前記冷却器温度測定値が前記ファン停止冷却器温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止する、請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記圧縮機の駆動中に前記圧縮機の直近の起動時からの経過時間である駆動時間を計測する計時部をさらに備え、
前記制御部は、
前記庫内ファンが停止された状態で前記圧縮機を起動した場合、
前記計時部で計測された駆動時間計測値と、予め定められたファン規制時間とを比較して、
前記駆動時間計測値が前記ファン規制時間より長くないと判断した場合は、前記庫内ファンを起動せず、
前記駆動時間計測値が前記ファン規制時間より長いと判断した場合は、前記庫内ファンを起動する、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉が付設された貯蔵室と、圧縮機や冷却器(蒸発器)が冷媒管で循環接続された冷却装置と、貯蔵室内の庫内空気を循環等させる庫内ファンと、貯蔵室内の庫内温度等を測定する温度測定部と、圧縮機や庫内ファン等の運転を制御する制御部と、を備えた冷却貯蔵庫が知られている。例えば下記特許文献1には、庫内温度に基づいて圧縮機を駆動/停止することで庫内温度を一定の温度領域に維持する、いわゆるコントロール冷却モードで冷却運転を行う冷却貯蔵庫が開示されている。コントロール冷却モードでは、通常、冷却ファン(庫内ファン)の駆動は維持される。また、冷却運転によって冷却器に生じた着霜を除去するため、圧縮機を停止する一方で庫内ファンの駆動を維持する、いわゆるオフサイクル除霜モードで除霜運転を行う冷却貯蔵庫も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却貯蔵庫では、貯蔵室の扉が大きく開かれて温かい外気が流入するなど、種々の要因によって庫内温度が急激に上昇し、冷媒管の圧力が上昇することがある。圧縮機が停止され冷却器の冷媒管内に液体の割合が高い気液混合状態の冷媒が滞留している状況で、庫内ファンの動作によって温かい庫内空気が冷却器に送られると、冷却器内の冷媒が気化し、特に冷却器から圧縮機に至る吸入側(低圧側)において冷媒管の圧力が上昇する。冷媒圧力が圧縮機の性能値(吸込み圧力の許容値)を超えている状態で制御部が圧縮機を起動しようとすると、圧縮機の起動不良を生じて運転を継続できなくなる可能性がある。
【0005】
本明細書に開示する技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、圧縮機の動作不良が低減された冷却貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本明細書が開示する冷却貯蔵庫は、以下の構成を有する。
<1> 貯蔵物が収容される貯蔵室と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を蒸発させて熱交換を行う冷却器と、前記冷媒が封入され、前記圧縮機及び前記冷却器を循環接続する冷媒管と、前記貯蔵室内の庫内空気を前記冷却器に送り、前記冷却器で熱交換されて生じた冷気を前記貯蔵室内に還流させる庫内ファンと、前記貯蔵室の庫内温度もしくは冷却器の温度を測定する温度測定部と、前記圧縮機及び前記庫内ファンの運転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記圧縮機が停止された状態で前記庫内ファンを駆動中に、前記温度測定部で測定した温度測定値と、予め定められたファン停止温度とを比較して、前記温度測定値が前記ファン停止温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止し、前記庫内ファンを停止した後に、前記圧縮機を起動する。
【0007】
上記構成によれば、圧縮機が停止された状態で、温度測定値が予め定められたファン停止温度を上回った場合、圧縮機が起動されるよりも前に庫内ファンが停止される。これにより、温められた庫内空気が冷却器に到達し難くなり、冷却器から圧縮機に至る冷媒管低圧側における冷媒圧力の上昇が軽減される。この結果、圧縮機起動時の負荷の増加を抑え、圧縮機の起動不良を低減することができる。なお、ファン停止温度は、圧縮機及び庫内ファンの両方を停止した状態から圧縮機を起動可能な温度よりも、若干低い温度とすることが好ましい。
【0008】
<2> 上記<1>の構成において、前記圧縮機の駆動中に前記圧縮機の直近の起動時からの経過時間である駆動時間を計測する計時部をさらに備え、前記制御部は、前記庫内ファンが停止された状態で前記圧縮機を起動した場合、前記計時部で計測された駆動時間計測値と、予め定められたファン規制時間とを比較して、前記駆動時間計測値が前記ファン規制時間より長くないと判断した場合は、前記庫内ファンを起動せず、前記駆動時間計測値が前記ファン規制時間より長いと判断した場合は、前記庫内ファンを起動する。
【0009】
上記構成によれば、庫内ファンが停止された状態で圧縮機が起動された後、一定時間(ファン規制時間)が経過して、冷媒管低圧側において最も圧力が高くなった冷媒部分が圧縮機を通過してから、庫内ファンが再起動される。これにより、圧縮機にかかる最も大きな負荷を軽減し、圧縮機の駆動を継続できなくなる事態が生じる可能性を低減することができる。
【0010】
<3> 上記<1>又は<2>の構成において、前記温度測定部は、前記貯蔵室内の庫内温度を測定する庫内温度測定部であり、前記温度測定値は、前記庫内温度測定部で測定された庫内温度測定値であり、前記ファン停止温度は、予め定められた上限庫内温度よりも高いファン停止庫内温度であり、前記圧縮機の直近の停止時からの経過時間である停止時間を計測する計時部をさらに備え、前記制御部は、前記庫内温度測定値と、前記上限庫内温度よりも低い下限庫内温度とを比較して、前記庫内温度測定値が前記下限庫内温度より低いと判断した場合、前記圧縮機を停止し、前記庫内温度測定値と、前記上限庫内温度とを比較して、前記庫内温度測定値が前記上限庫内温度より高いと判断した場合、前記計時部で計測された停止時間計測値と、予め定められた圧縮機規制時間とを比較して、前記停止時間計測値が前記圧縮機規制時間より長くないと判断した場合は、前記圧縮機を起動せず、前記停止時間計測値が前記圧縮機規制時間より長いと判断した場合は、前記圧縮機を起動することにより、前記貯蔵室内の庫内温度を所定の温度領域内に維持する冷却運転を実行するものであって、前記冷却運転において前記庫内ファンを駆動中に、前記庫内温度測定値と前記ファン停止庫内温度とを比較して、前記庫内温度測定値が前記ファン停止庫内温度より高いと判断した場合、前記圧縮機の運転状態を参照して、前記圧縮機が停止されていると判断した場合、前記庫内ファンを停止する。
【0011】
庫内温度を所定の温度領域内に維持する冷却運転中は、庫内温度測定値に基づいて制御を行うことが好ましい。上記の冷却運転では、庫内温度測定値が上限庫内温度を上回った場合、予め定められた一定時間(圧縮機規制時間)が経過し、冷媒管の低圧側と高圧側との圧力差が小さくなって冷媒回路内の均圧化が図られてから、圧縮機が起動されるようになっている。上記構成によれば、このような冷却運転中で庫内ファンの駆動中に、庫内温度が急激に上昇し、圧縮機が停止された状態で庫内温度測定値がファン停止庫内温度を上回った場合、まず庫内ファンが停止される。これにより、冷媒管低圧側における冷媒圧力の上昇が抑制される。この結果、圧縮機起動時の負荷の増加を抑え、圧縮機の起動不良を低減することができる。
【0012】
<4> 上記<1>又は<2>の構成において、前記温度測定部は、前記冷却器の温度を測定する冷却器温度測定部であり、前記温度測定値は、前記冷却器温度測定部で測定された冷却器温度測定値であり、前記ファン停止温度は、予め定められた除霜終了冷却器温度よりも低いファン停止冷却器温度であり、前記制御部は、前記圧縮機を停止することにより、前記冷却器の着霜を除去する除霜運転を実行し、前記除霜運転中に、前記冷却器温度測定値と、前記除霜終了冷却器温度とを比較して、前記冷却器温度測定値が前記除霜終了冷却器温度より高いと判断した場合、前記圧縮機を起動して前記除霜運転を終了するものであって、前記除霜運転において前記庫内ファンを駆動中に、前記冷却器温度測定値が前記ファン停止冷却器温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止する。
【0013】
冷却器の着霜を除去するための除霜運転中は、冷却器温度測定値に基づいて制御を行うことが好ましい。上記の除霜運転は、冷却器温度測定値が除霜終了冷却器温度を上回ることで終了し、圧縮機が起動されるようになっている。従来のように、除霜運転中、温度測定値に関わらず庫内ファンの駆動を継続させると、除霜運転終了前に何らかの要因によって庫内温度が上昇した場合、庫内ファンの動作により冷却器内で冷媒が蒸発して冷媒管低圧側における冷媒圧力が上昇し、温度測定値が除霜終了冷却器温度を上回ったときに圧縮機が起動できなくなる可能性がある。上記構成によれば、圧縮機が停止された除霜運転において庫内ファンを駆動中に、冷却器温度測定値がファン停止冷却器温度を上回った場合、まず庫内ファンが停止され、その後、冷却器温度測定値が除霜終了冷却器温度までさらに上昇するのを待って圧縮機が起動される。これにより、圧縮機の起動前、すなわち冷却器温度測定値がファン停止冷却器温度に到達してから除霜終了冷却器温度に到達するまでの間に、庫内温度が急上昇した場合でも、庫内ファンが駆動し続けられている場合と比較して、冷媒管低圧側の冷媒圧力の上昇が抑制される。この結果、除霜運転終了時に圧縮機を起動する際の不具合の発生を低減することができる。
【0014】
<5> 上記<3>の構成において、前記冷却器の温度を測定する冷却器温度測定部をさらに備え、前記制御部は、前記冷却運転を実行していない期間に、前記圧縮機を停止することによって前記冷却器の着霜を除去する除霜運転を実行し、前記冷却器温度測定部で測定された冷却器温度測定値と、予め定められた除霜終了冷却器温度とを比較して、前記冷却器温度測定値が前記除霜終了冷却器温度より高いと判断した場合、前記圧縮機を起動して前記除霜運転を終了するものであって、前記除霜運転において前記庫内ファンを駆動中に、前記冷却器温度測定値と、前記除霜終了冷却器温度よりも低いファン停止冷却器温度と、を比較して、前記冷却器温度測定値が前記ファン停止冷却器温度より高いと判断した場合、前記庫内ファンを停止する。
【0015】
冷却運転と除霜運転の両方を実行可能に構成された冷却貯蔵庫では、仮に、除霜運転中に庫内温度測定値に基づいて庫内ファンを停止すると、冷却器温度が上昇せず着霜が十分に除去されない可能性がある。また、除霜運転中、冷却器温度測定値に関わらず庫内ファンの駆動を継続させるように構成すると、除霜運転終了の直前に庫内温度が急上昇するなどした場合、庫内ファンの動作によって冷媒管低圧側の冷媒圧力が増加して、除霜運転終了後に圧縮機が起動できなくなる可能性がある。上記構成によれば、冷却運転中は、庫内温度測定値とファン停止庫内温度との比較に基づいて庫内ファンが停止される一方、除霜運転中は、冷却器温度測定値がファン停止冷却器温度に到達した時点で庫内ファンが停止される。これにより、冷却運転と除霜運転とを選択的に実行する冷却貯蔵庫において、冷却運転中の圧縮機の起動不良を低減できるのみならず、除霜運転で冷却器の着霜を十分に行いながら、除霜運転終了時の圧縮機の起動不良を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書が開示する技術によれば、圧縮機の動作不良が低減された冷却貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る冷却貯蔵庫の外観斜視図(扉を開けた状態)
【
図3】貯蔵室の天井面に冷却器及びスペーサ等を取り付けた状態を示す分解斜視図
【
図4】
図3に、エアダクト及び庫内ファンを取り付けた状態を示す分解斜視図
【
図5】冷却貯蔵庫の制御に係る構成を示すブロック図
【
図6】冷却運転中の制御部の処理の一例を示すフローチャート
【
図7】冷却運転中における、圧縮機及び庫内ファンの運転状態と、庫内温度測定値の変化の一例を示すタイミングチャート
【
図8】除霜運転中の制御部の処理の一例を示すフローチャート
【
図9】除霜運転中における、圧縮機及び庫内ファンの運転状態と、冷却器温度測定値の変化の一例を示すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本発明の実施形態を、
図1から
図9によって説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷却貯蔵庫10は、複数のキャスタ(車輪の一例)11を有する台車部12と、台車部12上に立設する縦長の貯蔵庫本体13と、を備え、容易に移動させることが可能なものとなっている。本実施形態では、台車部12の長方形状をなす底面の4隅部に各1つ、計4つのキャスタが取り付けられている。
【0019】
貯蔵庫本体13の内方には、貯蔵物を収容し前方に開口する貯蔵室15と、貯蔵室15の下方に配された機械室16と、が形成されている。貯蔵室15の前面には、扉14が取り付けられ、必要に応じて、使用者等が貯蔵室15前面の開口を開閉可能とされている。貯蔵室15を画成する壁部と、扉14の内部には、断熱材が充填されており、扉14が閉止されることにより、貯蔵室15内は断熱状態に維持されるようになっている。なお、
図2の断面図では、図の見易さを優先し、断熱材の図示を省略している。
【0020】
冷却貯蔵庫10は、貯蔵室15の内部を冷却するための冷却装置30を備えている。
図2に示すように、冷却装置30は、圧縮機33、凝縮器31、冷却器35が冷媒管34によって循環接続された周知の冷凍サイクルを含む。同図に表されているように、本実施形態に係る冷却貯蔵庫10では、冷却装置30を構成する各機器が、貯蔵室15下方の機械室16内と、貯蔵室15内の上部と、に分かれた状態で配される。このような移動式の冷却貯蔵庫は、例えば、ホテル等において、厨房で調理した料理を冷却貯蔵庫の貯蔵室に収容し、宴会場等に移動して冷たい状態で提供するのに適している。このように使用される冷却貯蔵庫では、適時に多数の客に料理を提供するために扉を開けている時間が長くなる。また、移動のために比較的小さく形成され、貯蔵室も小容量であることが多いため、急激に庫内温度が上昇するような事態が生じ易い。本技術は、このような冷却貯蔵庫10に特に有効に適用できる。
【0021】
機械室16内に配された構成について説明する。
図2に示すように、機械室16には、冷却装置30を構成する機器のうち、重量の大きな圧縮機33及び凝縮器31と、凝縮器31の背面に付設される凝縮器ファン32と、が配される。圧縮機33及び凝縮器31と、後述する冷却器(蒸発器)35は、冷媒管34によって循環接続されている。冷媒管34内には冷媒が封入されており、圧縮機33によって圧縮され、凝縮器31によって液化された冷媒が、冷却器35に供給される。このように、冷媒の状態を変えながら冷凍サイクル内を循環させて熱交換を行うことで、後述するように貯蔵室15内が冷却される。
【0022】
冷媒管34は、圧縮機33から吐出された冷媒を、凝縮器31を通過させた後に冷却器35に向かって吐出する吐出側冷媒管34A(高圧側冷媒管)と、冷却器35側から還流された冷媒を、再び圧縮機33に吸入させる吸入側冷媒管34B(低圧側冷媒管)と、に区別できる。吐出側冷媒管34Aは、圧縮されて高温となった冷媒を放熱するために剥き出しで配される一方、吸入側冷媒管34Bは、比較的温度の低い状態で圧縮機33に還流される冷媒によって結露等が生じるのを避けるため、発泡体等からなる断熱材が巻かれた状態で配管される。以下、これらを区別して示す場合は、吐出側冷媒管34A、吸入側冷媒管34Bと記載し、これらを区別しない場合は、冷媒管34と記載する。
【0023】
機械室16には、圧縮機33、凝縮器31、凝縮器ファン32のほか、
図1に破線で示したように、電装箱57が設置される。電装箱57には、後述するように冷却貯蔵庫10が備える各機器類の動作を制御するための制御部60等が収容される。また、機械室16の前端に臨む電装箱57の前面に、例えば押圧操作可能なボタンによって構成された操作部65や、例えば液晶パネルによって構成された表示部67を設け、機械室16の前面に、透明な樹脂板やガラス板で構成された開閉可能なカバーを取り付けてもよい。
【0024】
貯蔵室15内の上部に配された構成について説明する。
図2及び
図3に示すように、貯蔵室15内の上部後寄りの位置には、冷却装置30を構成する機器のうち、冷却器35が配される。
図3に示すように、冷却器35は、貯蔵室15の天井面に固定される。冷却器35の後端には、既述した冷媒管34が接続され、圧縮機33及び凝縮器31と循環接続される。
【0025】
図3に示すように、貯蔵室15の天井面において、冷却器35の前方で、後述するように取り付けられる庫内ファン53の上方には、庫内ファン53によって冷却器室52内に吸い込まれた庫内空気の温度、すなわち庫内温度を測定する庫内サーミスタ(庫内温度測定部の一例)41が取り付けられる。また、冷却器35の内部に差し込むようにして、冷却器35内の温度、すなわち冷却器温度を測定する冷却器サーミスタ(除霜サーミスタ。冷却器温度測定部の一例)43が取り付けられる。なお、庫内サーミスタ41の取り付け位置は、特に限定されるものではなく、庫内温度の変化を測定可能である限り、冷却貯蔵庫の任意の位置に設置できる。冷却器サーミスタは、庫内温度変化の影響を受け難く、冷却器内部の温度を測定可能な位置に設置することが好ましい。貯蔵室15の天井面にはさらに、冷却器サーミスタ43が取り付けられた冷却器35と、庫内サーミスタ41を後方に囲い込むように、金属製のスペーサ51Aが固定される。
【0026】
図4に示すように、スペーサ51Aの下側に、樹脂製のエアダクト51Bが取り付けられることで、
図2に示すように、貯蔵室15の天井面と、スペーサ51A及びエアダクト51Bからなるハウジング部材51との間に冷却器室52が形成される。エアダクト51Bは、冷却器35の前方に張り出すように取り付けられており、
図2及び
図4に示すように、エアダクト51Bの前寄りの位置に、庫内ファン53が装着される。また、
図2及び
図4に示すように、エアダクト51Bは、当該エアダクト51Bの後端と、貯蔵室15の背面との間に、隙間54が形成されるように、取り付けられており、冷却器室52と貯蔵室15とが連通されている。
【0027】
ハウジング部材51は、冷却器35からの除霜水を受容するドレンパンとしても機能する。
図2及び
図4に示すように、ハウジング部材51は、底面が後方に向かうにつれて下降傾斜する形状とされ、冷却器35からハウジング部材51に滴下した水は、後方に向かって流れるようになっている。ハウジング部材51の後端において最も低くなる位置には、ドレンホース59が接続されている。なお、
図2に示すように、ドレンホース59は、貯蔵室15の背面壁内部を通って機械室16にまで延出され、冷却器室52において生じた除霜水は、ドレンホース内を流下して、機械室16に着脱可能に設置されたドレンタンクに溜まるようになっている。
【0028】
冷却貯蔵庫10の電気的構成について説明する。
図5に示すように、冷却貯蔵庫10は、制御部60を備えている。制御部60には、記憶部61、計時部63、操作部65、表示部67、庫内サーミスタ41、冷却器サーミスタ43、圧縮機33、庫内ファン53、凝縮器ファン32が、それぞれ電気的に接続されている。なお、これらは構成の一例であり、これら全てが接続されている必要はなく、またこれら以外のものが接続されていても構わない。例えば、冷却器35に除霜ヒータを取り付けて、ヒータ除霜モードでの制御も実行可能に構成する場合には、除霜ヒータ等を接続することができる。
【0029】
制御部60は、例えば、CPUを主体に構成されており、記憶部61は、例えば、ROMやRAMなどによって構成されている。制御部60は、記憶部61に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、制御部60に接続された各機器(圧縮機33、庫内ファン53、凝縮器ファン32など)の運転を制御することが可能となっている。計時部63は、時間を計測するものであり、冷却時間計測タイマ、停止時間計測タイマ、駆動時間計測タイマとして機能する。各時間の計測については、後述する。
【0030】
本実施形態の冷却貯蔵庫10の制御部60は、既述したように、機械室16内に配置された電装箱57(
図1の破線参照)内に収容されているが、制御部60の配設態様については限定されない。操作部65及び表示部67を、例えば
図1について既述したように電装箱57の前面に設ければ、使用者は、機械室前面のカバーを開いて操作部65のボタンを操作することにより、冷却貯蔵庫10の運転や各種設定(設定庫内温度の変更など)を行うことができる。また、使用者は、機械室前面のカバーを通して、冷却貯蔵庫10の前面から表示部67に表示された駆動状態を確認できる。
【0031】
さて、本実施形態に係る冷却貯蔵庫10は、貯蔵室15内を適宜冷却して所定の温度領域に維持する冷却運転と、冷却運転によって冷却器35に付着した霜を除去する除霜運転と、が交互に実施されるように構成されている。例えば、冷却運転を6時間行う毎に除霜運転を行うように構成できるが、これに限定されるものではない。
【0032】
冷却運転では、庫内ファン53、圧縮機33、凝縮器ファン32が駆動される。庫内ファン53が駆動されると、
図2に矢印で示すように、貯蔵室15内の空気が冷却器室52内に吸引される。吸引された庫内空気は、冷却器35を通過する間に熱交換され、生成した冷気が、ハウジング部材51後方の隙間54から、下方の貯蔵室15内に吹き出される。以上のように、冷却器室52から貯蔵室15内に冷気が供給されることにより、貯蔵室15内が冷却される。
【0033】
冷却運転は、貯蔵室15内が室温(例えば25℃)に近い状態から所定の温度領域(例えば2℃~6℃)に至るまで、一気に冷却するプルダウン冷却モードと、庫内温度を所定の温度領域に維持するコントロール冷却モードと、を組み合わせて行うことができる。
【0034】
冷却運転によって冷却器35に霜が付着すると、冷却効率が低下する。そこで、本実施形態に係る冷却貯蔵庫10では、適宜に冷却を休止して、冷却器35に生じた着霜を融解させる除霜運転を行うように構成している。本実施形態では、除霜運転中に、庫内ファン53の駆動を継続しつつ圧縮機33を停止するオフサイクル除霜モードでの制御が実行される。
【0035】
[適用例1]
本明細書が開示する技術は、コントロール冷却モードを実行して冷却運転を行う場合の制御に適用できる。コントロール冷却モードでは、制御部60は、庫内サーミスタ41によって測定された庫内温度測定値TRm(温度測定値の一例)に基づいて、圧縮機33及び凝縮器ファン32を駆動/停止することで、庫内温度を所定の温度領域に維持する。なお、凝縮器ファン32は、基本的に圧縮機33と同期して駆動/停止が制御されるため、以下では、凝縮器ファン32についての記載は省略する。
【0036】
以下、設定庫内温度TRs、上限庫内温度TRu、下限庫内温度TRd、ファン停止庫内温度TRfs(ファン停止温度の一例)は、何れも予め定められた値であって、下限庫内温度TRd<設定庫内温度TRs<上限庫内温度TRu<<ファン停止庫内温度TRfsとなるように設定される。具体的には、例えば下限庫内温度TRd=2℃、設定庫内温度TRs=4℃、上限庫内温度TRu=6℃、とすることが考えられる。また、ファン停止庫内温度TRfsは、圧縮機33及び庫内ファン53の両方を停止した状態から圧縮機33を起動可能な温度よりも、若干低い温度とすることが好ましい。例えば、圧縮機33について、圧縮機33及び庫内ファン53を停止した状態から起動可能な上限の庫内温度が22℃であるとの知見を得た場合には、ファン停止温度を20℃に設定することが好ましい。
【0037】
また、冷却時間は、直近で冷却運転を開始してからの経過時間をいう。冷却運転を制御部60が開始すると、計時部63において、冷却時間の計測が開始される。そして、冷却時間計測値tRmが除霜周期時間tDを上回ったと制御部60が判断し、冷却運転から除霜運転に移行すると、冷却時間の計測が終了されリセットされる。除霜周期時間tDは、予め定められた値であり、具体的には、例えば6時間に設定できる。
【0038】
停止時間は、冷却運転中に、直近で圧縮機33が停止されてからの経過時間をいう。庫内温度測定値TRmが下限庫内温度TRdを下回ったと制御部60が判断して圧縮機33を停止すると、計時部63において、停止時間の計測が開始される。そして、庫内温度測定値TRmが上限庫内温度TRuを上回り、かつ停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回ったと制御部60が判断して圧縮機33を起動したときに、停止時間の計測が終了されリセットされる。圧縮機規制時間tCは、予め定められた値であり、具体的には、例えば3.5分間に設定できる。
【0039】
駆動時間は、直近で圧縮機33が起動されてからの経過時間をいう。庫内ファン53が停止された状態で圧縮機33を制御部60が起動すると、計時部63において、駆動時間の計測が開始される。そして、駆動時間計測値tAmが第1ファン規制時間tF1を上回ったと制御部60が判断して庫内ファン53を起動すると、駆動時間の計測が終了されリセットされる。第1ファン規制時間tF1(ファン規制時間の一例)は、予め定められた値であり、具体的には、例えば10秒間に設定できる。
【0040】
以下、コントロール冷却モードに本技術を適用した場合に制御部60が行う処理の一例について、
図6を参照しつつ具体的に説明する。なお、計時部63における時間計測の開始・終了・リセットは、制御部60からの指令に基づいて行ってもよいが、
図6では、時間の計測に関する処理については図示を割愛している(
図8でも同様とする)。
【0041】
冷却貯蔵庫10の電源がONされ、制御が開始されると(START)、計時部63では冷却時間の計測が開始される。制御部60は、圧縮機33及び庫内ファンを駆動し(ステップS11)、例えば所定の時間間隔で、庫内温度測定値TRmと各庫内温度設定値との比較を行う。
【0042】
圧縮機33の運転によって庫内温度が低下するのに伴い、庫内温度測定値TRmと下限庫内温度TRdとの比較において(ステップS12)、庫内温度測定値TRmが下限庫内温度TRdを下回ったと判断すると(ステップS12でYes)、制御部60は、圧縮機33を停止する(ステップS31)。このとき、計時部63では停止時間の計測が開始される。庫内温度測定値TRmが、下限庫内温度TRdと上限庫内温度TRuの間の温度領域にある間(ステップS12及びステップS13でNo)は、圧縮機33及び庫内ファン53の駆動/停止状態がそのまま継続される。
【0043】
圧縮機33の停止等によって庫内温度が上昇するのに伴い、庫内温度測定値TRmと上限庫内温度TRuとの比較において(ステップS13)、庫内温度測定値TRmが上限庫内温度TRuを上回ったと判断すると(ステップS13でYes)、制御部60は、計時部63で計測された停止時間計測値tPmと、圧縮機規制時間tCとを比較する(ステップS14)。停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回っていないと判断すると(S14でNo)、制御部60は、庫内温度測定値TRmと、ファン停止庫内温度TRfsとを比較する(ステップS15)。庫内温度がファン停止庫内温度TRfsを上回るまで上昇することは少ないため、制御部60は、多くの場合、庫内温度測定値TRmはファン停止庫内温度TRfsを上回っていないと判断することとなる(ステップS15でNo)。庫内温度測定値TRmがファン停止庫内温度TRfsを上回ることなく(ステップS15でNo)、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回ったと判断すると(S14でYes)、制御部60は、圧縮機33を起動する(ステップS32)。
【0044】
基本的に、コントロール冷却モードでは、上記のように、庫内温度測定値TRmと下限庫内温度TRdとの比較(ステップS12)、並びに、庫内温度測定値TRmと上限庫内温度TRuとの比較(ステップS13)が繰り返される。制御部60は、庫内温度測定値TRmが下限庫内温度TRdを下回ったと判断すると、圧縮機33を停止し、上限庫内温度TRuを上回ったと判断すると、一定時間(圧縮機規制時間tC)経過後に、圧縮機33を起動する制御を繰り返すことにより、庫内温度を設定庫内温度TRs近傍の温度領域内に維持する。
【0045】
また、制御部60は、適宜、計時部63で計測された冷却時間計測値tRmと、除霜周期時間tDとの比較を行う(ステップS41)。冷却時間計測値tRmが除霜周期時間tDを上回っていないと判断している間は(ステップS41でNo)、コントロール冷却モードによる冷却運転を継続し、冷却時間計測値tRmが除霜周期時間tDを上回ったと判断すると(ステップS41でYes)、後述する
図8に示す除霜運転に移行する(A)。
【0046】
ここで、上記のようなコントロール冷却モードでの冷却運転中に、扉14が空けられるなどして貯蔵室15内の庫内温度が急激に上昇することがある。
【0047】
まず、圧縮機規制時間tCの経過後に、庫内温度が急激に上昇した場合について説明する。制御部60は、庫内温度測定値TRmが上限庫内温度TRuを上回ったと判断した後(ステップS13でYes)、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回っていると判断し(ステップS14でYes)、圧縮機33を起動する(ステップS32)。この場合、圧縮機規制時間tCの経過によって冷媒管34内は均圧状態となっているため、庫内ファン53の駆動を継続しながら圧縮機33を起動しても起動不良を生じる可能性は低く、正常に運転を継続できる。
【0048】
次に、圧縮機規制時間tCの経過前に、庫内温度が急激に上昇した場合について説明する。制御部60は、庫内温度測定値TRmが上限庫内温度TRuを上回ったと判断した後(ステップS13でYes)、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回ったと判断するより前に(ステップS14でNo)、ステップS15の庫内温度測定値TRmとファン停止庫内温度TRfsとの比較において、庫内温度測定値TRmがファン停止庫内温度TRfsを上回ったと判断することとなる(ステップS15でYes)。
【0049】
庫内温度測定値TRmがファン停止庫内温度TRfsを上回ったと判断すると(ステップS15でYes)、制御部60は、圧縮機33の運転状態を参照し、圧縮機33が停止されているか否か(駆動中であるか否か)について、判断を行う(ステップS16)。圧縮機33が停止されていない(駆動中である)と判断した場合(ステップS16でNo)、制御部60は、そのまま制御を継続する。圧縮機33が停止されていると判断した場合(ステップS16でYes)、制御部60は、駆動し続けられていた庫内ファン53を停止する(ステップS21)。
【0050】
庫内ファン53を停止した後、制御部60は、引き続き、停止時間計測値tPmと圧縮機規制時間tCとの比較を行う(ステップS22)。停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回っていないと判断している間(ステップS22でNo)、制御部60は、圧縮機33を起動せず、停止したまま維持する。そして、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回ったと判断すると(ステップS22でYes)、制御部60は、圧縮機33を起動する(ステップS23)。
【0051】
圧縮機33を起動すると、計時部63では駆動時間の計測が開始される。制御部60は、駆動時間計測値tAmと第1ファン規制時間tF1とを比較する(ステップS24)。駆動時間計測値tAmが第1ファン規制時間tF1に達していないと判断している間(ステップS24でNo)、制御部60は、庫内ファン53を起動せず停止したまま維持する。駆動時間計測値tAmが第1ファン規制時間tF1を上回ったと判断すると(ステップS24でYes)、制御部60は、庫内ファン53を起動する(ステップS25)。
【0052】
上記のような処理が行われた場合の、圧縮機33及び庫内ファン53の駆動/停止のタイミングと、庫内温度測定値TRmの変化の一例について、
図7を参照しつつ具体的に説明する。
【0053】
冷却運転が開始され、圧縮機33及び庫内ファン53が起動されると、プルダウン冷却により、庫内温度測定値TRmは、室温に近い比較的高い値から一気に低下する。時刻t1において庫内温度測定値TRmが下限庫内温度TRdを下回ると、圧縮機33が停止される。圧縮機33が停止される一方、庫内ファン53の駆動が維持された状態で、圧縮機規制時間tC経過前の時刻t2において貯蔵室15の扉14が大きく開けられた場合、庫内温度測定値TRmが急激に上昇し、時刻t3において上限庫内温度TRuを上回る。庫内温度測定値TRmがさらに上昇し、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回る前の時刻t4においてファン停止庫内温度TRfsを上回ると、庫内ファン53が停止される。このように、圧縮機33及び庫内ファン53の両方が停止された状態で暫く維持された後、時刻t5において停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCを上回ると、庫内ファン53が停止されたまま、まず圧縮機33が起動される。そして、時刻t6において駆動時間計測値tAmが第1ファン規制時間tF1を上回ると、庫内ファン53が再起動される。
【0054】
以上記載したように、本実施形態に係る冷却貯蔵庫10は、貯蔵物が収容される貯蔵室15と、冷媒を圧縮する圧縮機33と、圧縮機33で圧縮された冷媒を蒸発させて熱交換を行う冷却器35と、冷媒が封入され、圧縮機33及び冷却器35を循環接続する冷媒管34と、貯蔵室15内の庫内空気を冷却器35に送り、冷却器35で熱交換されて生じた冷気を貯蔵室15内に還流させる庫内ファン53と、貯蔵室15の庫内温度を測定する庫内サーミスタ41(温度測定部の一例)と、圧縮機33及び庫内ファン53の運転を制御する制御部60と、を備える。そして、制御部60は、圧縮機33が停止された状態で庫内ファン53を駆動中に、庫内サーミスタ41で測定した庫内温度測定値TRm(温度測定値の一例)と、予め定められたファン停止庫内温度TRfs(ファン停止温度の一例)とを比較して、庫内温度測定値TRmがファン停止庫内温度TRfsより高いと判断した場合(ステップS15及びステップS16でYes)、庫内ファン53を停止し(ステップS21)、庫内ファン53を停止した後に圧縮機33を起動する(ステップS23)。
【0055】
これにより、圧縮機33を停止して庫内ファン53を駆動中に、庫内温度が急激に上昇したときは、まず庫内ファン53が停止される。よって、温められた庫内空気が冷却器35に到達し難くなり、冷却器35から圧縮機33に至る吸入側冷媒管34Bにおける冷媒圧力の上昇が軽減される。この結果、庫内ファン53の停止後、圧縮機33を起動する際の負荷の増加が抑えられ、圧縮機33の起動不良が低減される。
【0056】
また、冷却貯蔵庫10は、圧縮機33の駆動中に圧縮機33の直近の起動時からの経過時間である駆動時間を計測する計時部63をさらに備える。そして、制御部60は、庫内ファン53が停止された状態で圧縮機33を起動した場合(ステップS23)、計時部63で計測された駆動時間計測値tAmと、予め定められた第1ファン規制時間tF1(痰規制時間の一例)とを比較して、駆動時間計測値tAmが第1ファン規制時間tF1より長くないと判断した場合(ステップS24でNo)、庫内ファン53を起動せず、駆動時間計測値tAmが第1ファン規制時間tF1より長いと判断した場合(ステップS24でYes)、庫内ファン53を起動する(ステップS25)。
【0057】
これにより、庫内ファン53を停止して圧縮機33を起動した後、一定時間(第1ファン規制時間tF1)が経過し、吸入側冷媒管34Bにおいて最も圧力が高くなった冷媒部分が圧縮機33を通過してから、庫内ファン53が再起動される。この結果、圧縮機33にかかる最も大きな負荷が軽減され、圧縮機33の駆動を継続できなくなる事態が生じる可能性が低減される。
【0058】
また、本適用例において、冷却貯蔵庫10は、貯蔵室15内の庫内温度を測定する庫内サーミスタ41を温度測定部とし、庫内サーミスタ41で測定された庫内温度測定値TRmを温度測定値とし、予め定められた上限庫内温度TRuよりも高いファン停止庫内温度TRfsをファン停止温度とし、圧縮機の直近の停止時からの時間である停止時間を計測する計時部63をさらに備える。そして、制御部60は、庫内温度測定値TRmと下限庫内温度TRdとを比較して、庫内温度測定値TRmが下限庫内温度TRdより低いと判断した場合(ステップS12でYes)、圧縮機33を停止し(ステップS31)、庫内温度測定値TRmと上限庫内温度TRuとを比較して、庫内温度測定値TRmが上限庫内温度TRuより高いと判断した場合(ステップS13でYes)、計時部63で計測された停止時間計測値tPmと、予め定められた圧縮機規制時間tCとを比較して、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCより長くないと判断した場合は(ステップS14でNo)、圧縮機33を起動せず、停止時間計測値tPmが圧縮機規制時間tCより長いと判断した場合は(ステップS14でYes)、圧縮機33を起動する(ステップS32)ことにより、貯蔵室15内の庫内温度を所定の温度領域内に維持する冷却運転を実行するものであって、冷却運転において庫内ファン53を駆動中に、庫内温度測定値TRmとファン停止庫内温度TRfsとを比較して、庫内温度測定値TRmがファン停止庫内温度TRfsより高いと判断した場合(ステップS15でYes)、圧縮機33の運転状態を参照して、圧縮機33が停止されていると判断した場合(ステップS16でYes)、庫内ファン53を停止する(ステップS21)。
【0059】
庫内温度を所定の温度領域内に維持する冷却運転中は、庫内温度測定値TRmに基づいて制御を行うことが好ましい。本適用例の冷却運転では、庫内温度測定値TRmが上限庫内温度TRuを上回った後、一定時間(圧縮機規制時間tC)が経過するのを待ってから、圧縮機33が起動される。これにより、圧縮機33の起動前に、冷媒管34の吸入側冷媒管34B(低圧側冷媒管)と吐出側冷媒管34A(高圧側冷媒管)との圧力差が小さくなり、冷媒回路内の均圧化が図られる。上記構成によれば、庫内ファン53の駆動中に、庫内温度が急激に上昇し、圧縮機33が停止された状態で庫内温度測定値TRmがファン停止庫内温度TRfsを上回った場合(ステップS15及びステップS16でYes)、ステップS23で圧縮機33が起動されるよりも前に、ステップS21で庫内ファン53が停止される。これにより、吸入側冷媒管34Bにおける冷媒圧力の上昇が抑制される。この結果、ステップS23で圧縮機33を起動するときの起動負荷の増加が抑えられ、圧縮機33の起動不良が低減される。
【0060】
[適用例2]
本明細書が開示する技術は、オフサイクル除霜モードを実行して除霜運転を行う場合の制御に適用できる。オフサイクル除霜モードでは、制御部60は、冷却器サーミスタ43によって測定された冷却器温度測定値TEm(温度測定値の一例)に基づいて、圧縮機33及び凝縮器ファン32を駆動/停止することで、冷却器35に付着した霜を融解させて除去する。
【0061】
除霜終了冷却器温度TEs、ファン停止冷却器温度TEfs(ファン停止温度の一例)は、何れも予め定められた値であって、除霜終了冷却器温度TEs>ファン停止冷却器温度TEfsとなるように設定される。具体的には、除霜終了冷却器温度TEs=6℃、ファン停止冷却器温度TEfs=5℃、とすることが考えられる。冷却器サーミスタ43は、庫内温度変化の影響を受け難く、冷却器35内部の冷却器温度を測定可能とされていることが好ましい。
【0062】
計時部63は、既述したように、冷却時間計測タイマ、停止時間計測タイマ、駆動時間計測タイマとして機能する。除霜運転中は、庫内ファン53が停止された状態で圧縮機33が起動され、駆動時間の計測が開始された後、駆動時間計測値tAmが第2ファン規制時間tF2(ファン規制時間の一例)を上回ったと制御部60が判断して庫内ファン53を起動すると、計時部63で駆動時間の計測が終了されリセットされる。第2ファン規制時間tF2も、予め定められた値であり、具体的には、例えば第1ファン規制時間tF1と同じ10秒間に設定できるが、第1ファン規制時間tF1と第2ファン規制時間tF2とを異なる値に設定しても構わない。
【0063】
以下、オフサイクル除霜モードに本技術を適用した場合に制御部60が行う処理の一例について、
図8を参照しつつ具体的に説明する。
【0064】
冷却運転の開始から所定時間が経過し、既述した
図6のステップS41において、計時部63で計測された冷却時間計測値tRmが除霜周期時間tDを上回ったと判断すると(ステップS41でYes)、制御部60は、冷却運転から
図8の除霜運転に移行する(A)。
【0065】
除霜運転に入ると、制御部60は、庫内ファン53の駆動を維持しながら圧縮機33を停止し(ステップS51)、例えば所定の間隔で、冷却器温度測定値TEmと各冷却器温度設定値との比較を行う。
【0066】
圧縮機33の停止によって冷却器温度がゆっくりと上昇するのに伴い、冷却器温度測定値TEmとファン停止冷却器温度TEfsとの比較において(ステップS52)、冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsを上回ったと判断すると(ステップS52でYes)、制御部60は、庫内ファン53を停止する(ステップS53)。
【0067】
庫内ファン53を停止した後、引き続き冷却器温度がゆっくりと上昇するのに伴い、冷却器温度測定値TEmと除霜終了冷却器温度TEsとの比較において(ステップS54)、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsを上回ったと判断すると(ステップS53でYes)、制御部60は、圧縮機33を起動する(ステップS55)。
【0068】
圧縮機33を起動した後、制御部60は、計時部63で計測された駆動時間計測値tAmと、第2ファン規制時間tF2とを比較し(ステップS56)、駆動時間計測値tAmが第2ファン規制時間tF2を上回っていないと判断している間は(ステップS56でNo)、庫内ファン53を起動せず、駆動時間計測値tAmが第2ファン規制時間tF2を上回ったと判断すると(ステップS56でYes)、庫内ファン53を再起動して(ステップS57)、
図6に示した冷却運転に移行する(B)。
【0069】
上記のような処理が行われた場合の、圧縮機33及び庫内ファン53の駆動/停止のタイミングと、冷却器温度測定値TEmの変化の一例について、
図9を参照しつつ具体的に説明する。
【0070】
除霜運転が開始され、庫内ファン53の駆動が維持される一方で圧縮機33が停止されると、冷却器温度測定値TEmはゆっくり上昇する。時刻t21において冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsを上回ると、庫内ファン53が停止される。冷却器温度測定値TEmがさらに上昇して、時刻t22において除霜終了冷却器温度TEsを上回ると、制御部60は、圧縮機33を起動する。そして、時刻t23において駆動時間計測値tAmが第2ファン規制時間tF2を上回ると、庫内ファン53が再起動される。このように、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsを上回って圧縮機33が起動される前の一定期間(時刻t21から時刻t22までの間)、圧縮機33のみならず庫内ファン53も停止された状態で維持される。
【0071】
以上記載したように、本適用例において、冷却貯蔵庫10は、冷却器35の温度を測定する冷却器サーミスタ43(冷却器温度測定部の一例)を温度測定部とし、冷却器サーミスタ43で測定された冷却器温度測定値TEmを温度測定値とし、予め定められた除霜終了冷却器温度TEsよりも低いファン停止冷却器温度TEfsをファン停止温度とする。そして、制御部60は、圧縮機33を停止することにより、冷却器35の着霜を除去する除霜運転を実行し、除霜運転中に、冷却器温度測定値TEmと、除霜終了冷却器温度TEsとを比較して、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsより高いと判断した場合(ステップS54でYes)、圧縮機33を起動して除霜運転を終了する(ステップS55)ものであって、除霜運転において庫内ファン53を駆動中に、冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsより高いと判断した場合(ステップS52でYes)、庫内ファン53を停止する(ステップS53)。
【0072】
冷却器35の着霜を除去するための除霜運転中は、冷却器温度測定値TEmに基づいて制御を行うことが好ましい。本適用例の除霜運転は、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsを上回ることで終了し、圧縮機33が起動されるようになっている。従来のように、除霜運転中、温度測定値に関わらず庫内ファン53の駆動を継続させると、除霜運転終了前の所定の時間内に何らかの要因によって庫内温度が上昇した場合、庫内ファン53の動作により冷却器35内で冷媒が蒸発して吸入側冷媒管34Bにおける冷媒圧力が上昇し、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsを上回ったときに圧縮機33が起動できなくなる可能性がある。本適用例では、圧縮機33が停止された除霜運転において、庫内ファン53を駆動中に、冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsを上回った場合(ステップS52でYes)、まず庫内ファン53が停止される(ステップS53)。その後、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsまでさらに上昇するのを待ってから(ステップS54でYes)、圧縮機33が起動される(ステップS55)。オフサイクル除霜モードでは、冷却器温度は比較的ゆっくりと上昇するため、例えばファン停止冷却器温度TEfsを5℃、除霜終了冷却器温度TEsを6℃に設定した場合、時刻t21で冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsを上回った後、さらに冷却器温度測定値TEmが上昇し、時刻t22で除霜終了冷却器温度TEsを上回るのに、通常であれば30分間程度の時間を要する。この間に、貯蔵室15の扉14が開かれて庫内温度が急激に上昇した場合であっても、庫内ファン53は停止されているため、庫内ファン53が駆動されている場合と比べ、吸入側冷媒管34Bの冷媒圧力の上昇が抑制され、吸入側冷媒管34Bと吐出側冷媒管34Aとの圧力差の拡大が抑えられる。この結果、除霜運転終了時にステップS57において圧縮機33を起動する際の不具合の発生が低減される。
【0073】
また、冷却貯蔵庫10は、庫内サーミスタ41と冷却器サーミスタ43の両方を備え、制御部60は、冷却運転を実行していない期間に、圧縮機33を停止することによって冷却器35の着霜を除去する除霜運転を実行し、冷却器サーミスタ43で測定された冷却器温度測定値TEmと、予め定められた除霜終了冷却器温度TEsとを比較して、冷却器温度測定値TEmが除霜終了冷却器温度TEsより高いと判断した場合(ステップS54でYes)、圧縮機33を起動して除霜運転を終了する(ステップS55)。そして、除霜運転において庫内ファン53を駆動中に、冷却器サーミスタ43と、除霜終了冷却器温度TEsよりも低いファン停止冷却器温度TEfsとを比較して、冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsより高いと判断した場合(ステップS52でYes)、庫内ファン53を停止する(ステップS53)。
【0074】
冷却貯蔵庫10のように、冷却運転と除霜運転の両方を実行可能に構成されている冷却貯蔵庫では、仮に、除霜運転中に庫内温度測定値TRmに基づいて庫内ファン53が停止されると、冷却器温度が上昇せず着霜が十分に除去されない可能性がある。また、除霜運転中、冷却器温度測定値TEmに関わらず庫内ファン53の駆動を継続させるように構成すると、除霜運転終了の直前に庫内温度が急上昇するなどした場合、庫内ファン53の動作によって吸入側冷媒管34Bの冷媒圧力が増加して、除霜運転終了後に圧縮機33が起動できなくなる可能性がある。上記構成によれば、冷却運転中は、庫内温度測定値TRmとファン停止庫内温度TRfsとの比較に基づいて庫内ファン53が停止される一方、除霜運転中は、冷却器温度測定値TEmがファン停止冷却器温度TEfsに到達した時点で庫内ファン53が停止される。これにより、冷却運転と除霜運転とを選択的に実行する冷却貯蔵庫10において、冷却運転中の圧縮機33の起動不良を低減できるのみならず、除霜運転では冷却器の着霜を十分に行いながら、除霜運転終了時の圧縮機33の起動不良も低減される。
【0075】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0076】
(1)上記実施形態では、冷却運転と除霜運転が選択的に実行される冷却貯蔵庫10において、コントロール冷却モードと、オフサイクル除霜モードの各々の実行時に、本技術を適用した例を記載したが、これに限定されない。冷却運転のみを実行する冷却貯蔵庫にも適用可能であるし、冷却運転時には本技術は適用せず、除霜運転時のみに本技術を適用しても構わない。
【0077】
(2)上記実施形態では、除霜運転が、オフサイクル除霜モードで行われる場合について記載したが、例えば冷却器35の下面に除霜ヒータを取り付け、この除霜ヒータを加熱して除霜を行うヒータ除霜モードと、オフサイクル除霜モードと、を組み合わせて除霜運転を行ってもよい。
【0078】
(3)上記実施形態では、冷却運転を一定時間継続する毎に、冷却運転から除霜運転に移行し、除霜運転の開始後に、冷却器の温度が予め定められた温度まで上昇すると、除霜運転を終了して、再び冷却運転に移行するものとしたが、これに限定されない。例えば、冷却装置30による冷却効率を算出して冷却器35への着霜状態を推察し、一定の状態になったときに、除霜運転を開始するように構成してもよい。
【0079】
(4)上記実施形態では、貯蔵室15内が、2℃~6℃の冷蔵温度領域に維持される例について記載したが、これに限定されない。0℃以下の冷凍温度領域に維持される冷凍庫にも、本技術は適用可能である。設定庫内温度TRsのみならず、上記実施形態に記載した温度や時間に係る設定値の具体例は、何れもあくまで一例に過ぎず、冷却貯蔵庫の使用目的や使用環境等に応じて、任意に設定可能である。
【0080】
(5)上記実施形態では、移動手段(キャスター)を備え、移動容易に構成された、1ドア式の冷却貯蔵庫10について記載した。本技術は、このように、比較的庫内温度が上昇し易い構成の冷却貯蔵庫に、特に有用であるが、これに限定されるものではない。例えば、複数の貯蔵室を備える冷却貯蔵庫、複数の貯蔵室が異なる温度領域に維持されるような冷却貯蔵庫にも、本技術は適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
10…冷却貯蔵庫、14…扉、15…貯蔵室、30…冷却装置、33…圧縮機、34…冷媒管、34A…吐出側冷媒管(高圧側冷媒管)、34B…吸入側冷媒管(低圧側冷媒管)、35…冷却器(蒸発器)、41…庫内サーミスタ(庫内温度測定部の一例)、43…冷却器サーミスタ(冷却器温度測定部の一例)、53…庫内ファン、60…制御部、63…計時部、TRm…庫内温度測定値、TRfs…ファン停止庫内温度、TRs…設定庫内温度、TRd…下限庫内温度、TRu…上限庫内温度、TEm…冷却器温度測定値、TEfs…ファン停止冷却器温度、TEs…除霜終了冷却器温度、tPm…停止時間計測値、tF1…第1ファン規制時間、tF2…第2ファン規制時間、tAm…駆動時間計測値、tC…圧縮機規制時間、tRm…冷却時間計測値、tD…除霜周期時間