(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】両面粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20240403BHJP
C09J 7/40 20180101ALI20240403BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240403BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240403BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240403BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J7/40
C09J11/04
C09J201/00
C09D5/00
B32B27/00 M
(21)【出願番号】P 2020067458
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 章悟
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-033529(JP,A)
【文献】特開2014-189703(JP,A)
【文献】特開2016-079238(JP,A)
【文献】特開2015-063617(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0258225(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/38
C09J 7/40
C09J 201/00
C09J 11/04
C09D 5/00
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽剥離ライナー、粘着剤層、および重剥離ライナーを備える両面粘着シートであって、
前記軽剥離ライナーは、前記粘着剤層側から順に、第1剥離剤層と、第1目止め層と、紙と、を有し、
前記重剥離ライナーは、前記粘着剤層側から順に、第2剥離剤層と、第2目止め層と、上質紙またはクラフト紙と、を有し、
前記重剥離ライナーの上質紙またはクラフト紙の坪量は、80~150g/m
2であ
って、
前記粘着剤層から前記軽剥離ライナーを剥離して、前記粘着剤層および前記重剥離ライナーの端部を折り曲げた状態で、
前記重剥離ライナーは、前記粘着剤層が表面に設けられない露出部を備え、
前記粘着剤層は、前記露出部に隣り合う箇所において、前記粘着剤層同士が接合された積層部を備える両面粘着シート。
【請求項2】
前記重剥離ライナーは、前記上質紙またはクラフト紙の、前記第2目止め層に対して反対側の面に設けられるポリオレフィン層をさらに有する、請求項1に記載の両面粘着シート。
【請求項3】
前記軽剥離ライナーの剥離力は、50~1000mN/50mmであって、
前記重剥離ライナーの剥離力は、500~3000mN/50mmである、請求項1または2に記載の両面粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤層は、無機顔料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の両面粘着シート。
【請求項5】
粘着剤層と、重剥離ライナーを備える両面粘着シートであって、
前記重剥離ライナーは、前記粘着剤層側から順に、第2剥離剤層と、第2目止め層と、上質紙またはクラフト紙と、を有し、
前記重剥離ライナーの上質紙またはクラフト紙の坪量は、80~150g/m
2であって、
前記重剥離ライナーは、前記粘着剤層が表面に設けられない露出部を備え、
前記粘着剤層は、前記露出部に隣り合う箇所において、
前記粘着剤層同士が接合された積層部を備える、両面粘着シート。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の両面粘着シートを被着体に対して貼付する貼付方法であって、
前記粘着剤層から前記軽剥離ライナーを剥離する工程と、
前記粘着剤層および前記重剥離ライナーの端部を折り曲げて、前記重剥離ライナーに、前記粘着剤層が表面に設けられない露出部を形成させるとともに、前記粘着剤層に、前記露出部に隣り合う箇所において
前記粘着剤層同士が接合された積層部を形成させる工程と、
前記粘着剤層を前記被着体に対して貼り付ける工程と、
前記露出部を把持して、前記粘着剤層から前記重剥離ライナーを剥離する工程と、を有する貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
両面粘着シートは、粘着剤層の両面に、剥離力の低い軽剥離ライナーおよび剥離力の高い重剥離ライナーが積層されている(例えば下記の特許文献1)。
【0003】
このような両面粘着シートでは、まず始めに粘着剤層から軽剥離ライナーを剥離した後に、粘着剤層の露出した一方の面を被着体に貼付する。そして、粘着剤層から重剥離ライナーを剥離して、粘着剤層の露出した他方の面に他の被着体を貼付し、被着体同士を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような両面粘着シートにおいて、粘着剤層の露出した一方の面を被着体に貼付した後に、粘着剤層から重剥離ライナーを剥離する際に、重剥離ライナーを剥離するきっかけがないため、好適に重剥離ライナーを剥離できない虞がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、好適に重剥離ライナーを剥離することのできる両面粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る両面粘着シートは、軽剥離ライナー、粘着剤層、および重剥離ライナーを備える両面粘着シートである。前記軽剥離ライナーは、前記粘着剤層側から順に、第1剥離剤層と、第1目止め層と、紙と、を有する。前記重剥離ライナーは、前記粘着剤層側から順に、第2剥離剤層と、第2目止め層と、上質紙またはクラフト紙と、を有する。前記重剥離ライナーの上質紙またはクラフト紙の坪量は、80~150g/m2である。前記粘着剤層から前記軽剥離ライナーを剥離して、前記粘着剤層および前記重剥離ライナーの端部を折り曲げた状態で、前記重剥離ライナーは、前記粘着剤層が表面に設けられない露出部を備え、前記粘着剤層は、前記露出部に隣り合う箇所において、前記粘着剤層同士が接合された積層部を備える。
【発明の効果】
【0008】
上述の両面粘着シートによれば、好適に重剥離ライナーを剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る両面粘着シートを示す概略断面図である。
【
図2】本実施形態に係る両面粘着シートをより詳細に示す断面図である。
【
図3】粘着剤層から軽剥離ライナーを剥離した後の状態を示す概略断面図である。
【
図4】粘着剤層および重剥離ライナーの端部を折り曲げる様子を示す概略断面図である。
【
図5】粘着剤層および重剥離ライナーの端部を折り曲げた後の様子を示す概略断面図である。
【
図6】粘着剤層から重剥離ライナーを剥離するときの様子を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%の条件で行う。
【0012】
以下、
図1、
図2を参照して、本実施形態に係る両面粘着シート1の構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る両面粘着シート1を示す概略断面図である。
図2は、本実施形態に係る両面粘着シート1をより詳細に示す断面図である。
【0013】
両面粘着シート1は、
図1に示すように、粘着剤層10と、粘着剤層10の一方の面側(下側)に配置される軽剥離ライナー20と、粘着剤層10の他方の面側(上側)に配置される重剥離ライナー30と、を有する。
【0014】
<粘着剤層10>
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に限定されず、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン-ジエンブロック共重合体粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤などを用いることができる。上記粘着剤は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0015】
粘着剤としては、接着の信頼性の観点から、特にアクリル系粘着剤を好適に用いることができる。アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、粘着性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて凝集性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)及び架橋性官能基を有する共重合性単量体を用いることにより形成される。
【0016】
粘着性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
また、凝集性を有する共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
架橋性官能基を有する共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
アクリル系ポリマーの重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10万~100万であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0020】
粘着剤は、アクリル系ポリマーの他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.005~2.0質量部であることがより好ましい。
【0021】
粘着剤層には、必要に応じ、充填剤、光安定剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、タッキファイヤー、濡れ剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤等を適宜添加することができる。
【0022】
充填剤としては、例えば、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛等が挙げられる。粘着剤層に充填剤を含ませることにより、粘着剤層のはみ出しを低減し、好適に重剥離ライナーを剥離することができる。
【0023】
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、粘着性および薄膜化の観点から、10~100μmの範囲が好ましい。
【0024】
<軽剥離ライナー20>
軽剥離ライナー20は、粘着剤層10を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。軽剥離ライナー20は、
図2に示すように、粘着剤層10側から順に、第1剥離剤層21と、第1目止め層22と、紙23と、を有する。
【0025】
第1剥離剤層21を構成する剥離剤としては、例えば、シリコーン、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、長鎖アルキルアクリレート系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらの中では、シリコーンが好ましい。剥離剤層の厚みは、通常0.01~5μm程度である。
【0026】
第1目止め層22は、紙23への剥離剤の染み込みを抑制するために設けられる。第1目止め層22を構成する材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
【0027】
第1目止め層22の厚みとしては、特に限定されないが、例えば、10~50μmである。当該厚みとすることで剥離剤の紙23への染み込みが抑制されるとともに、両面粘着シート1全体の薄膜化が可能となる。
【0028】
紙23は、軽剥離ライナー20の基材である。紙23としては、グラシン紙、上質紙、クラフト紙等が挙げられる。紙23の厚みとしては、特に限定されないが、例えば、40~200μmである。
【0029】
紙23の坪量は、特に限定されないが、50~150g/m2であることが好ましい。
【0030】
軽剥離ライナー20の剥離力は、特に限定されないが、50~1000mN/50mmである。剥離力は、JIS Z0237に規定される、剥離ライナーの180°引きはがし力にしたがって測定される。
【0031】
<重剥離ライナー30>
重剥離ライナー30は、粘着剤層10を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。重剥離ライナー30は、
図2に示すように、粘着剤層10側から順に、第2剥離剤層31と、第2目止め層32と、上質紙33と、ポリオレフィン層34と、を有する。
【0032】
第2剥離剤層31を構成する剥離剤としては、第1剥離剤層21を構成する剥離剤と同様のものを用いることができる。
【0033】
第2目止め層32は、上質紙33への剥離剤の染み込みを抑制するために設けられる。第2目止め層32を構成する材料としては、第1目止め層22を構成する材料と同様のものを用いることができる。
【0034】
上質紙33は、重剥離ライナー30の基材である。なお、上質紙33の代わりにクラフト紙を用いてもよい。上質紙33の厚みとしては、特に限定されないが、例えば、50~200μm、好ましくは60~160μmである。
【0035】
上質紙33の坪量は、80~150g/m2である。上質紙33の坪量を当該範囲にすることで、上質紙33にコシを持たせることができ、後述するように、粘着剤層10および重剥離ライナー30の端部Eを折り曲げた後、粘着剤層10同士が接合されたまま、重剥離ライナー30は自らの復元力で、元の形状に戻ろうとする。この結果、粘着剤層10同士は接合されたまま、重剥離ライナー30は自らの復元力で、粘着剤層10から剥離する。
【0036】
ポリオレフィン層34は、両面粘着シート1の表面に位置する。ポリオレフィン層34を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、α-オレフィン(例えば1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン等)重合体、エチレン-プロピレン共重合体、シクロオレフィンポリマー(例えば、ノルボルネン、シクロブテン、シクロペンテン等の環状オレフィンの重合体)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、環状オレフィンとポリエチレン等の鎖状オレフィンとの共重合体、または環状オレフィンと1,4-ヘキサジエン等のジエンとの共重合体)、およびこれらの混合物であって、極性基や反応性基を含むペンダントを有する材料等が例示できる。共重合体の場合、その構造は特に制限されず、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体を好適に用いることができる。
【0037】
このようにポリオレフィン層34が両面粘着シート1の表面に位置するため、両面粘着シート1をロール状にした際に、軽剥離ライナー20の紙23および重剥離ライナー30の上質紙33の間に、ポリオレフィン層34を配置することができる。
【0038】
ここで、例えば、重剥離ライナー30にポリオレフィン層34が設けられない場合、両面粘着シートをロール状にした際に、粘着剤層10がロールの巻圧によってはみ出て、重剥離ライナーの端面および軽剥離ライナーの端面を接合してしまう可能性がある。これに対して、本実施形態に係る両面粘着シート1によれば、重剥離ライナー30にポリオレフィン層34が設けられているため、両面粘着シート1をロール状にした際に、粘着剤層10がはみ出たとしても、ポリオレフィン層34によって、軽剥離ライナー20の紙23および重剥離ライナー30の上質紙33が粘着剤によって接合されることを好適に抑制することができる。また、重剥離ライナー30がポリオレフィン層34を有することによって、
図5に示す元の形状に戻ろうとする復元力をより高めることができる。
【0039】
重剥離ライナー30の剥離力は、特に限定されないが、500~3000mN/50mmである。
【0040】
<両面粘着シート1の貼付方法>
次に、
図3~
図6を参照して、両面粘着シート1を被着体80に対して貼付する貼付方法について説明する。
図3は、粘着剤層10から軽剥離ライナー20を剥離した後の状態を示す概略断面図である。
図4は、粘着剤層10および重剥離ライナー30の端部Eを折り曲げる様子を示す概略断面図である。
図5は、粘着剤層10および重剥離ライナー30の端部Eを折り曲げた後の様子を示す概略断面図である。
図6は、粘着剤層10から重剥離ライナー30を剥離するときの様子を示す概略断面図である。
【0041】
まず、両面粘着シート1を準備する。
【0042】
そして、両面粘着シート1において、
図3に示すように、粘着剤層10から軽剥離ライナー20を剥離する。
【0043】
そして、
図4に示すように、粘着剤層10および重剥離ライナー30の端部Eを折り曲げる。このとき、粘着剤層10同士が接合されて積層部10Aを形成される。また、このとき、重剥離ライナー30の基材は上質紙33であるため、
図4に示すように、重剥離ライナー30に折り目35が形成される。
【0044】
ここで、本実施形態に係る両面粘着シート1の上質紙33の坪量が、80~150g/m
2であるため、
図5に示すように、粘着剤層10および重剥離ライナー30の端部Eを折り曲げた後、粘着剤層10が接合されたまま、重剥離ライナー30は自らの復元力で、元の形状に戻ろうとする。したがって、
図5に示すように、重剥離ライナー30は粘着剤層10が表面に設けられない露出部30Aを備え、粘着剤層10は、露出部30Aに隣り合う箇所において、2層の積層部10Aを備える構成となる。ここで例えば、重剥離ライナーの基材がPETである場合、折り曲げたとしてもR形状となり積層部が形成されない。
【0045】
次に、粘着剤層10を被着体80に対して貼り付ける。
【0046】
次に、
図6に示すように、露出部30Aを把持して、粘着剤層10から重剥離ライナー30を剥離する。すなわち、露出部30Aは、重剥離ライナー30の剥がし代として機能する。
【0047】
そして、粘着剤層10の重剥離ライナー30が剥離された側の面に他の被着体を接着させる。この結果、粘着剤層10を介して、被着体80および他の被着体が接合される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る両面粘着シート1は、軽剥離ライナー20、粘着剤層10、および重剥離ライナー30を備える両面粘着シート1である。軽剥離ライナー20は、粘着剤層10側から順に、第1剥離剤層21と、第1目止め層22と、紙23と、を有する。重剥離ライナー30は、粘着剤層10側から順に、第2剥離剤層31と、第2目止め層32と、上質紙33と、を有する。重剥離ライナー30の上質紙33の坪量は、80~150g/m
2である。このように構成された両面粘着シート1によれば、粘着剤層10および重剥離ライナー30の端部Eを折り曲げた後、粘着剤層10が接合されたまま、重剥離ライナー30は自らの復元力で、元の形状に戻ろうとする。したがって、
図5に示すように、重剥離ライナー30は粘着剤層10が表面に設けられない露出部30Aを備え、粘着剤層10は、露出部30Aに隣り合う箇所において、2層の積層部10Aを備える構成となる。そして、露出部30Aを把持して、粘着剤層10から重剥離ライナー30を剥離することができる。よって、好適に重剥離ライナー30を剥離することのできる両面粘着シート1を提供することができる。
【0049】
また、重剥離ライナー30は、上質紙33の、第2目止め層32に対して反対側の面に設けられるポリオレフィン層34をさらに有する。このように構成された両面粘着シート1によれば、両面粘着シート1をロール状にした際に、粘着剤層10がはみ出たとしても、ポリオレフィン層34によって、軽剥離ライナー20の紙23および重剥離ライナー30の上質紙33が粘着剤によって接合されることを好適に抑制することができる。また、重剥離ライナー30がポリオレフィン層34を有することによって、
図5に示す元の形状に戻ろうとする復元力をより高めることができる。
【0050】
また、粘着剤層10は、無機顔料を含む。このように構成された積層体1によれば、粘着剤層のはみ出しを低減し、好適に重剥離ライナーを剥離することができる。よって、重剥離ライナー30の復元力を阻害しない。
【0051】
以上、実施形態を通じて本発明に係る両面粘着シート1を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0052】
例えば上述した実施形態では、重剥離ライナー30は、ポリオレフィン層34を有していた。しかしながら、重剥離ライナーは、ポリオレフィン層を有していなくてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、粘着剤層10は無機顔料を含んだ。しかしながら、粘着剤層は無機顔料を含まなくてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 両面粘着シート、
10 粘着剤層、
10A 積層部、
20 軽剥離ライナー、
21 第1剥離剤層、
22 第1目止め層、
23 紙、
30 重剥離ライナー、
30A 露出部、
31 第2剥離剤層、
32 第2目止め層、
33 上質紙、
34 ポリオレフィン層、
E 端部。