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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20240403BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20240403BHJP
   F24C 14/00 20060101ALI20240403BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F24C7/04 301Z
F24C1/00 370M
F24C14/00 C
F24C15/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020101468
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021196090
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敦
(72)【発明者】
【氏名】増田 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】大矢 敏史
(72)【発明者】
【氏名】杉本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 靖之
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138618(JP,A)
【文献】特開2010-190475(JP,A)
【文献】特開2005-090940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0341431(US,A1)
【文献】特開2001-204629(JP,A)
【文献】特開2010-121803(JP,A)
【文献】特開2017-156070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04
F24C 1/00
F24C 14/00
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を出し入れする開口部を有し、前記開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記排水口と前記洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、
前記洗浄水通路に介装されて洗浄水を前記洗浄ノズルに送出するポンプと、
前記調理庫内の温度を検出する温度センサと、
前記対流ファンと前記ヒータと前記ポンプの作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ポンプを作動させることによって前記洗浄水通路から送られる洗浄水を前記洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を前記対流ファンと前記ヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに前記調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を前記排水口から前記洗浄水通路を通して再び前記洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって前記調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、
前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、前記調理庫内の空気を放出させて前記調理庫内の圧力を低下させる減圧管と、前記減圧管を開閉する減圧弁を設け、
前記制御装置は、前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記温度センサの検出温度に基づいて前記ヒータの作動を制御しており、前記温度センサの検出温度に基づいて前記ヒータを作動させているときに前記減圧弁を開放させるように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
食材を出し入れする開口部を有し、前記開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記排水口と前記洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、
前記洗浄水通路に介装されて洗浄水を前記洗浄ノズルに送出するポンプと、
前記対流ファンと前記ヒータと前記ポンプの作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ポンプを作動させることによって前記洗浄水通路から送られる洗浄水を前記洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を前記対流ファンと前記ヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに前記調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を前記排水口から前記洗浄水通路を通して再び前記洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって前記調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、
前記調理庫に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられており、
前記蒸気発生装置は、貯えた水から蒸気を発生させる蒸気発生容器と、前記蒸気発生容器内の水を加熱する加熱手段と、前記蒸気発生容器内で発生した蒸気を前記調理庫に送出する蒸気送出筒と、前記蒸気発生容器の下部に設けられて前記蒸気発生容器内の水を排水する排水弁とを備え、前記排水弁を開放させることで前記蒸気発生容器内の水を下部の排水口から排水させたときに、前記調理庫内の空気を前記蒸気送出筒を介して前記蒸気発生容器の下部の排水口から放出可能としたものであり、
前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記排水弁を開放状態とすることで、前記調理庫内の空気を前記蒸気発生装置から放出させることにより前記調理庫の内圧を上昇するのを抑制するようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記蒸気発生容器の上部には、前記蒸気発生容器内で発生させた蒸気を前記蒸気送出筒に送出する経路を蛇行させる仕切板を設けたことを特徴とする加熱調理器
【請求項4】
食材を出し入れする開口部を有し、前記開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記排水口と前記洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、
前記洗浄水通路に介装されて洗浄水を前記洗浄ノズルに送出するポンプと、
前記対流ファンと前記ヒータと前記ポンプの作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ポンプを作動させることによって前記洗浄水通路から送られる洗浄水を前記洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を前記対流ファンと前記ヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに前記調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を前記排水口から前記洗浄水通路を通して再び前記洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって前記調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、
前記調理庫に外気を導入する外気導入管と、
前記外気導入管を開閉する外気導入弁とが設けられ、
前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、前記外気導入弁には前記調理庫内が所定圧力以上となると開放される圧力逃がし弁を設けたことを特徴とする加熱調理器
【請求項5】
食材を出し入れする開口部を有し、前記開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記排水口と前記洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、
前記洗浄水通路に介装されて洗浄水を前記洗浄ノズルに送出するポンプと、
前記対流ファンと前記ヒータと前記ポンプの作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ポンプを作動させることによって前記洗浄水通路から送られる洗浄水を前記洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を前記対流ファンと前記ヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに前記調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を前記排水口から前記洗浄水通路を通して再び前記洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって前記調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、
前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、前記洗浄水通路から前記調理庫内の空気を放出する排気弁を設け、
前記制御装置は、前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記ポンプの作動を停止させるとともに、前記排気弁を開放させるように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関し、特に、調理庫内を洗浄水によって自動で洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と、ヒータと対流ファンと蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備えている。この加熱調理器の制御装置は食材を自動で加熱調理するための調理プログラムを備えており、制御装置により調理プログラムを実行したときには、調理庫内の空気はヒータと対流ファンとの作動によって熱風となって対流するとともに、対流する熱風には蒸気発生装置の作動によって蒸気が供給され、調理庫内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0003】
調理庫内で食材を加熱調理すると、食材に含まれる油分が対流する熱風とともに調理庫内を飛散し、油分が調理庫の周壁に付着することになる。この種の加熱調理器では調理庫内を常に清浄に管理する必要があり、調理庫を例えば使用した日毎に洗浄することが衛生的に好ましい。この加熱調理器は、調理庫内を自動で洗浄することができるように、調理庫の天井部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、調理庫の底部に設けた排水口を洗浄ノズルに接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を一時的に溜めるタンクと、タンク内の洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプとを備えている。
【0004】
この加熱調理器の制御装置は調理庫内を自動で洗浄する洗浄プログラムを有しており、制御装置により洗浄プログラムを実行したときには、タンク内の洗浄水はポンプの作動によって洗浄ノズルに送出され、送出された洗浄水は洗浄ノズルから調理庫内に噴射され、噴射された洗浄水はヒータと対流ファンとの作動によって対流する熱風により高温の洗浄水に加熱された状態で調理庫内に飛散し、飛散した洗浄水は排水口から再びタンクに戻り、調理庫内はタンクとの間を循環する高温の洗浄水によって洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-138618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の加熱調理器で洗浄プログラムを実行したときに、洗浄水は対流ファンとヒータとの作動によって調理庫内を対流する熱風によって高温の洗浄水となるように加熱されている。また、洗浄水は調理庫とタンクとの間を循環する過程で洗剤が溶けて洗剤が含まれるようになり、洗剤を含む洗浄水を調理庫内に噴射させて対流する熱風によって飛散させると、洗浄水に含まれる洗剤が調理庫内で泡立つようになり、洗剤の泡が調理庫の排水口の上側を塞ぐことがある。調理庫内の洗浄水は対流する熱風やヒータの加熱により蒸気となって体積が増加したときに、調理庫の排水口の上側が洗剤の泡によって塞がれていると、調理庫内の空気を排水口から排出させることができず、調理庫の内圧が過剰に高くなる。調理庫の内圧が過剰に高くなると、調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と開口部周縁に設けたパッキンとの間から調理庫内の蒸気が噴き出すおそれがある。本発明は、加熱調理器において、洗浄プログラムを実行したときに、調理庫の内圧が過剰に高くならないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を出し入れする開口部を有し、開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫の底部に設けた排水口と、調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプと、調理庫内の温度を検出する温度センサと、対流ファンとヒータとポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、ポンプを作動させることによって洗浄水通路から送られる洗浄水を洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を対流ファンとヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を排水口から洗浄水通路を通して再び洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、洗浄プログラムを実行しているときに、調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、調理庫内の空気を放出させて調理庫内の圧力を低下させる減圧管と、減圧管を開閉する減圧弁を設け、制御装置は、洗浄プログラムを実行しているときに、温度センサの検出温度に基づいてヒータの作動を制御しており、温度センサの検出温度に基づいてヒータを作動させているときに減圧弁を開放させるように制御したことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、洗浄プログラムを実行しているときに、調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、調理庫内の空気を放出させて調理庫内の圧力を低下させる減圧管と、減圧管を開閉する減圧弁を設け、制御装置は、洗浄プログラムを実行しているときに、温度センサの検出温度に基づいてヒータの作動を制御しており、温度センサの検出温度に基づいてヒータを作動させているときに減圧弁を開放させるように制御している。洗浄プログラムを実行していて、ヒータを作動させているときに、調理庫内の内圧が上昇しやすくなるが、ヒータを作動させているときに減圧弁を開放させるように制御しているので、調理庫の内圧を確実に高くならないようにすることができる。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器の他の実施形態においては、食材を出し入れする開口部を有し、開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫の底部に設けた排水口と、調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプと、対流ファンとヒータとポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、ポンプを作動させることによって洗浄水通路から送られる洗浄水を洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を対流ファンとヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を排水口から洗浄水通路を通して再び洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、調理庫に蒸気を供給する蒸気発生装置が設けられており、蒸気発生装置は、貯えた水から蒸気を発生させる蒸気発生容器と、蒸気発生容器内の水を加熱する加熱手段と、蒸気発生容器内で発生した蒸気を調理庫に送出する蒸気送出筒と、蒸気発生容器の下部に設けられて蒸気発生容器内の水を排水する排水弁とを備え、排水弁を開放させることで蒸気発生容器内の水を下部の排水口から排水させたときに、調理庫内の空気を蒸気送出筒を介して蒸気発生容器の下部の排水口から放出可能としたものであり、洗浄プログラムを実行しているときに、調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、洗浄プログラムを実行しているときに、排水弁を開放状態とすることで、調理庫内の空気を蒸気発生装置から放出させることにより調理庫の内圧を上昇するのを抑制するようにしてもよい。また、この実施形態においては、蒸気発生容器の上部には、蒸気発生容器内で発生させた蒸気を蒸気送出筒に送出する経路を蛇行させる仕切板を設けるようにしてもよい。
【0015】
上記のように構成した加熱調理器の他の実施形態においては、食材を出し入れする開口部を有し、開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫の底部に設けた排水口と、調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプと、対流ファンとヒータとポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、ポンプを作動させることによって洗浄水通路から送られる洗浄水を洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を対流ファンとヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を排水口から洗浄水通路を通して再び洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、調理庫に外気を導入する外気導入管と、外気導入管を開閉する外気導入弁とが設けられ、洗浄プログラムを実行しているときに、調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、外気導入弁には調理庫内が所定圧力以上となると開放される圧力逃がし弁を設けるようにしてもよい。
【0016】
上記のように構成した加熱調理器の他の実施形態においては、食材を出し入れする開口部を有し、開口部から入れた食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫の底部に設けた排水口と、調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプと、対流ファンとヒータとポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、ポンプを作動させることによって洗浄水通路から送られる洗浄水を洗浄ノズルから噴射させ、噴射させた洗浄水を対流ファンとヒータとを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに調理庫内で飛散させ、飛散させた洗浄水を排水口から洗浄水通路を通して再び洗浄ノズルに送出し、循環する高温の洗浄水によって調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、洗浄プログラムを実行しているときに、調理庫の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、洗浄水通路から調理庫内の空気を放出する排気弁を設け、制御装置は、洗浄プログラムを実行しているときに、ポンプの作動を停止させるとともに、排気弁を開放させるように制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の加熱調理器の第1実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】仕切板と支持フレームとを取り外したときのA-A断面図である。
図6】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図7】加熱調理器の概略図である。
図8】調理庫内にて洗浄ノズルを斜め下方から見た斜視図である。
図9】制御装置のブロック図である。
図10】第1洗浄プログラムの制御を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態の加熱調理器の図7に相当する概略図である。
図12】ガス燃焼式の蒸気発生装置を前後方向に沿って切断した断面図を含む図6に相当する左側面図である。
図13】第3実施形態の加熱調理器の洗浄運転をするときのヒータの制御を示す概略図である。
図14】第4実施形態の加熱調理器の洗浄運転をするときのヒータの制御を示す概略図である。
図15】第5実施形態の加熱調理器の外気導入弁に圧力逃がし弁を設けた斜視図(a)と、外気導入弁と圧力逃がし弁の軸方向断面図(b)である。
図16】第5実施形態の変形例の図15に相当する斜視図(a)と軸方向断面図(b)である。
図17】第5実施形態の他の変形例の図15に相当する斜視図(a)と軸方向断面図(b)である。
図18】第6実施形態の加熱調理器の図7に相当する概略図である。
図19】第6実施形態の加熱調理器の洗浄運転をするときのヒータとポンプと排気弁の制御を示す概略図である。
図20】第7実施形態の加熱調理器の左右方向の略中央部の縦方向断面斜視図と下部の一部拡大断面斜視図である。
図21】パッキンの空洞部に空気を導入するようにしたときの前後方向に沿った縦方向断面図(a)と、パッキンの空洞部に冷却水を導入するようにしたときの前後方向に沿った縦方向断面図(b)である。
図22】傾斜面が調理庫の開口部側としたパッキンの前後方向に沿った縦方向断面図(a)と、傾斜面が調理庫の開口部と反対側としたパッキンの前後方向に沿った縦方向断面図(b)である。
図23】第8実施形態の加熱調理器の図7に相当する概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の加熱調理器の実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。また、この加熱調理器は調理庫内を洗浄水によって自動で洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器である。
【0024】
(第1実施形態)
図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。調理庫20の開口部20aの周縁部にはパッキン14が設けられており、パッキン14は調理庫20の開口部20aの周縁部と閉塞させた状態の扉13との間をシールしている。
【0025】
図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23は熱風生成室22に配設された対流ファン26の吸込口側を覆うファンカバーの機能を有している。
【0026】
図4に示したように、仕切板23には多数の吸込口23aが形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられることで、仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路23bが形成されており、熱風生成室22の空気は通風路23bを通って食材収容室21に送られる。
【0027】
仕切板23の下端部には前後方向の中央部に矩形状の切欠部23cが形成されており、下側の通風路23bを通過する空気はこの切欠部23cによって上側及び前後の通風路23bよりも多く空気が送出されるようになっている。切欠部23cは後述する調理庫20の底部に設けた排水口20dの上側に対流ファン26から多くの送風を案内する案内手段として機能している。後述するように、洗浄プログラムを実行したときに、調理庫20の排水口20dの上側が洗浄水に含まれる洗剤の泡によって塞がれるようになると、調理庫20の内圧が上昇するおそれがある。案内手段とした切欠部23cは、排水口20dの上側に対流ファン26による送風を多く案内することで排水口20dの上側に溜まる泡を吹き飛ばすようにして、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として機能している。
【0028】
図2図4に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。この実施形態の支持フレーム24は、トレイを上下に10段で支持するものであり、金属製線材(金属製ワイヤ材)を曲げ加工したものである。支持フレーム24は、前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部を支持するレール24bとを備えている。
【0029】
図3及び図5に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン26は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ25の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン26は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口23aを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに噴き出され、噴き出された空気は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ25とともに対流ファン26を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン26の外側に配置されるヒータ25に噴き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。
【0030】
図5に示したように、調理庫20の熱風生成室22には温度センサ27が設けられている。温度センサ27は、調理庫20内の温度を検出するものであり、調理庫20の左側壁にてヒータ25の外側に配設されている。調理庫20内には圧力センサ28が設けられている。圧力センサ28は、調理庫20の内圧(調理庫20内の圧力)を検出するものであり、調理庫20の左側壁にてヒータ25の外側に配設されている。
【0031】
図6に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、機械室12に設けたタンク15の上側に立設している。なお、タンク15は、蒸気発生装置30から排水を流すのに用いられるだけでなく、調理庫20から排水を流すのに用いられ、調理庫20から排出される空気の温度を検出することで調理庫20の蒸気量を測定するにも用いられるとともに、後述する洗浄プログラムを実行するときに洗浄水を貯えるのに用いられている。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体32(図7に示した)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル33と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒34と、蒸気発生容器の下部に設けられて蒸気発生容器31内の水を排水する排水弁35とを備えている。蒸気送出筒34は図5に示した調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒34を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0032】
図3及び図6に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に外気を導入する外気導入管36が設けられており、外気導入管36は調理庫20の左側壁にて対流ファン26の背面側に形成された外気導入口20cに接続されている。外気導入管36は、主として調理庫20内で加熱調理をする際に、調理庫20内に外気を導入するようにして、調理庫20内の温度及び湿度を調節するものである。調理庫20の左側壁と対流ファン26との間は対流ファン26を作動させたときに負圧化され、調理庫20には外気導入管36を通って外気が導入可能となる。また、外気導入管36には外気導入弁37が介装されており、外気は外気導入弁37の開度に応じた量で外気導入管36を通って調理庫20内に導入される。
【0033】
図7に示したように、調理庫20の底壁(底部)には排水口20dが形成されており、調理庫20の天井部には洗浄ノズル40が設けられており、排水口20dと洗浄ノズル40とは洗浄水通路によって接続されている。洗浄ノズル40は略円柱形をして、食材収容室21の略中央部にて排水口20dの鉛直方向の上側に配置されている。図8に示したように、洗浄ノズル40の周面には略水平方向に延びる噴射口40aと、洗浄ノズル40の底面には12個(複数)の細孔よりなる円形の噴射口40bとが形成されている。洗浄ノズル40の周面に形成された噴射口40aは調理庫20の周壁及び仕切板23側に向いており、噴射口40aから噴射された洗浄水は調理庫20の周壁及び仕切板23に向けて噴射される。洗浄ノズル40の底面に形成された噴射口40bは調理庫20の底部の排水口20dに向いており、噴射口40bから噴射された洗浄水は調理庫20の排水口20dに向けて噴射される。後述するように、洗浄プログラムを実行したときに、調理庫20の排水口20dの上側が洗浄水に含まれる洗剤の泡によって塞がれるようになると、調理庫20の内圧が上昇するおそれがある。洗浄ノズル40の底面に形成された噴射口40bは、排水口の20dの上側に洗浄水を直接噴射することによって排水口20dの上側に溜まる泡を消すようにして、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として機能している。
【0034】
排水口20dには洗浄水等の液体を通過させるとともに落下した食材等の固形物が通過するのを防ぐ排水目皿20eが設けられており、調理庫20の洗浄水等の液体は排水目皿20eによってタンク15に通過可能となっている。図7に示したように、排水口20dは第1排水管16によってタンク15に接続されており、調理庫20内の洗浄水は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク15に送られる。タンク15と洗浄ノズル40とは洗浄水送出管41によって接続されており、タンク15内の洗浄水は洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。洗浄水送出管41にはポンプ42が介装されており、調理庫20からタンク15内に送られた洗浄水はポンプ42によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。この実施形態の洗浄水通路は、第1排水管16と洗浄水送出管41とにより構成されているが、これに限られるものではなく、調理庫20の排水口20dと洗浄ノズル40とを接続するものであればよく、さらに、洗浄用のタンク15を含んでいてもよい。
【0035】
図7に示したように、タンク15には水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管43が接続されており、給水管43には給水弁43aと流量計43bが介装されている。給水源の水は給水弁43aを開放させることによって給水管43を通ってタンク15内に供給される。給水弁43aを開放したときに給水管43を通過する水の流量は流量計43bによって計測される。また、タンク15にはpHセンサ15aが設けられており、pHセンサ15aはタンク15内の洗浄水のpHを検出する。後述する洗浄プログラムを実行したときに、洗浄水にはアルカリ性の洗剤が溶けるようになる。洗浄水にアルカリ性の洗剤が溶けると、洗剤が含まれる洗浄水のpHは12~13になる。pHセンサ15aは、洗浄水のpHを検出することで、洗浄水に洗剤が含まれていることを検知するのに用いられる。
【0036】
図7に示したように、洗浄水送出管41には洗浄水が流れる方向のポンプ42より上流側に第2排水管17が接続されており、第2排水管17には排水弁17aが介装されている。タンク15内の洗浄水を含めた水は排水弁17aを開放することによって第2排水管17を通ってハウジング11の外側に排出される。また、洗浄水をタンク15と調理庫20とを循環させるときには、排水弁17aを閉止させた状態で給水弁43aを流量計43bの検出流量に応じた開放時間で開放させると、タンク15には所定量の洗浄水が貯えられる。タンク15に貯えれた洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られ、送られた洗浄水は洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射される。調理庫20内に噴射された洗浄水は調理庫20の底壁の排水口20dから第1排水管16を通ってタンク15に戻される。このように、洗浄水はポンプ42の作動によってタンク15と調理庫20とを循環する。
【0037】
図7に示したように、タンク15にはオーバーフロー管18が接続されており、タンク15内で過剰な水位の洗浄水はオーバーフロー管18から排出される。オーバーフロー管18の導出端部は第2排水管17の排水弁17aより下流側に接続されており、タンク15から溢れ出た洗浄水等の水はオーバーフロー管18と第2排水管17とを通ってハウジング11の外側に排出される。タンク15には排気筒19が立設しており、調理庫20内の空気は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク15に送られ、タンク15に送られた空気は排気筒19を通ってハウジング11の外側に排出される。
【0038】
図3図6及び図7に示したように、加熱調理器10は、調理庫20内の空気を放出させて調理庫20内の圧力(調理庫20の内圧)を低下させる減圧管50を備えている。外気導入管36には外気導入弁37が介装された位置よりも調理庫20側に減圧管50の一方側の端部が接続されており、減圧管50の他方側の端部は排気筒19に接続されている。減圧管50は、外気導入管36を介して調理庫20内の空気を放出させて、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として機能している。減圧管50は、調理庫20の空気を放出させることで調理庫20の内圧が上昇するのを抑制するのを目的としたものであるので、外気導入管36よりも小さい径の管材が用いられている。減圧管50には減圧弁50aが介装されており、調理庫20内の空気は減圧弁50aの開放によって外気導入管36を介して減圧管50を通過可能となる。調理庫20内が陽圧の状態で減圧弁50aを開放すると、調理庫20内の空気は外気導入管36と減圧管50と排気筒19とを通ってハウジング11の外側に放出され、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制される。
【0039】
図9に示したように、加熱調理器10は制御装置60を備えており、制御装置60は、pHセンサ15a、排水弁17a、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、圧力センサ28、蒸気発生装置30、外気導入弁37、ポンプ42、給水弁43a、流量計43b及び減圧弁50aに接続されている。制御装置60はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置60は、後述する各制御プログラムを実行するときに上記の各構成部品の作動を制御している。
【0040】
制御装置60は、ヒータ25に供給する電力を位相制御する位相制御回路を備え、位相制御回路を制御することでヒータ25の出力を変更可能としている。制御装置60は、対流ファン26のモータに駆動電流を供給するためのインバータ回路を備え、インバータ回路の駆動制御をすることで対流ファン26の回転方向を正転と逆転とで変更可能としている。
【0041】
制御装置60は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理するための調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0042】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0043】
制御装置60は、ROMに調理庫20内を洗浄水により自動で洗浄する洗浄プログラムを備えている。洗浄プログラムは調理庫20内を蒸気によって予め洗浄する蒸気予洗浄運転と、調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転とを有した第1洗浄プログラムと、蒸気予洗浄運転を有さずに調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転を有した第2洗浄プログラムを備え、第1及び第2洗浄プログラムを選択可能としている。
【0044】
第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転は、蒸気発生装置30により調理庫20内に蒸気を供給して調理庫20内を蒸気によって予め洗浄するものである。蒸気予洗浄運転により、調理庫20内に付着している油分の汚れ(油汚れ)は、蒸気によって浮きあがるようになって、蒸気予洗浄運転後の洗浄運転による高温の洗浄水によって洗い流されやすくなる。
【0045】
第1及び第2洗浄プログラムの洗浄運転は、ポンプ42を作動させることによってタンク15内の洗浄水を洗浄ノズル40に送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射させ、噴射させた洗浄水をヒータ25と対流ファン26を作動させることによって対流する熱風によって加熱した状態で調理庫20内に飛散させ、飛散させた高温の洗浄水を排水口20dからタンク15に戻すようにし、タンク15との間を循環する高温の洗浄水によって調理庫20内を洗浄する処理である。第1及び第2洗浄プログラムは、この実施形態では4回の洗浄運転を実行するように制御されており、1回目の洗浄運転は洗剤を含んだ高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄するものであり、2回目以後の洗浄運転は高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎ洗浄をするものである。
【0046】
次に、第1洗浄プログラムの制御を図10を参照して説明する。調理庫20内を洗浄するときには、調理庫20の排水口20dに設けた排水目皿20eの上側にタブレット形(高さの低い円柱形)の洗剤を置いた状態で洗浄プログラムを実行させる。食材の加熱調理後に洗浄プログラムを実行させるときがあり、食材の加熱調理後に調理庫20内に洗浄水を飛散させると、調理庫20を構成する周壁が洗浄水によって急激に冷やされ、調理庫20の周壁が変形するおそれがある。このため、制御装置60は、ステップ101にて、調理庫20内の温度を検出する温度センサ27の検出温度が洗浄好適温度である50℃より高いか否かを判定する。
【0047】
調理庫20内の温度が洗浄好適温度である50℃以下であれば、制御装置60はステップ101にてNOと判定して後述するステップ103に進める。これに対し、調理庫20内の温度が洗浄好適温度である50℃より高ければ、制御装置60はステップ101にてYESと判定して、ステップ102にて洗浄好適温度として50℃以下となるまで冷却運転を実行する。制御装置60は、この冷却運転では、対流ファン26を作動させるとともに外気導入弁37を開放させることで、調理庫20内に外気を導入して冷却し、調理庫20内を洗浄に適した洗浄好適温度である50℃以下まで低下させる。
【0048】
制御装置60は、ステップ101によって調理庫20内が50℃以下であると判定された後、または、ステップ102の冷却運転によって調理庫20内を洗浄好適温度である50℃以下に低下させた後で、ステップ103にて蒸気予洗浄運転を実行する。蒸気予洗浄運転は調理庫20内を洗剤を含んだ洗浄運転を実行する前に、調理庫20内に蒸気を供給するようにして主として油汚れを浮かすことを目的としたものである。制御装置60は、調理庫20内の温度が油分の汚れを浮かすことのできる蒸気予洗浄温度の一例として100℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいて蒸気発生装置30の作動を制御している。具体的には、制御装置60は、温度センサ27の検出温度が蒸気予洗浄温度である100℃の下限値とした98℃となると蒸気発生装置30を作動させ、温度センサ27の検出温度が蒸気予洗浄温度である100℃の上限値とした102℃となると蒸気発生装置30の作動を停止させ、調理庫20内の温度が100±2℃の範囲となるように制御している。調理庫20内に付着している油汚れは蒸気発生装置30から供給される蒸気によって浮くようになり、油汚れは蒸気予洗浄運転後の洗浄運転を実行したときに洗浄水によって洗い流されやすくなる。この実施形態ではステップ103の蒸気予洗浄運転を30分間実行するように制御している。なお、蒸気予洗浄運転の実行時間は例えば14~40分の間で設定可能である。
【0049】
制御装置60は、ステップ103の蒸気予洗浄運転を実行した後で、ステップ104にて洗浄運転を実行する。この実施形態では、制御装置60は、洗浄運転を4回実行するように制御しており、1回目の洗浄運転は、調理庫20内に入れた洗剤を洗浄水に溶けるようにして、調理庫20内を洗剤を含んだ洗浄水により洗浄するものであり、2回目以後の洗浄運転は、調理庫20内に洗剤が残らないように、調理庫20内を洗剤を含まない洗浄水によって濯ぐ濯ぎの洗浄をするものである。
【0050】
制御装置60は、洗浄運転の実行を開始したときに、流量計43bにより計測される流量に応じた開放時間で給水弁43aを開放させ、タンク15に洗浄運転で必要となる量の洗浄水を貯えるようにする。タンク15に洗浄水が貯えられた後で、制御装置60は、ポンプ42と対流ファン26とを作動させており、タンク15内の洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送出され、洗浄ノズル40に送出された洗浄水は調理庫20内に噴射され、調理庫20内に噴射された洗浄水は対流ファン26の作動によって調理庫20内を飛散し、調理庫20内は飛散する洗浄水によって洗浄される。洗浄水は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク15に戻り、調理庫20内はタンク15とを循環する洗浄水により洗浄される。
【0051】
洗浄水は洗浄用のタンク15と調理庫20内との間を循環する過程で洗剤が溶けて洗剤が含まれるようになる。洗浄運転にてポンプ42と対流ファン26とを作動開始させてから所定時間として5分経過後のpHセンサ15aにより検出される洗浄水のpHに基づいて洗浄水に洗剤が含まれていることを検知する。制御装置60は、洗浄運転にてポンプ42と対流ファン26とを作動開始させてから所定時間として5分経過後にpHセンサ15aにより検出される洗浄水のpHが9以上であるか否かを判定し、pHセンサ15aにより検出される洗浄水のpHが9より低ければ、制御装置60は、ハウジング11の前面の操作パネルに洗剤が投入されていない旨の表示を出力する。これによって、洗剤が含まれていない状態で洗浄プログラムが実行されたことをユーザに報知することができる。
【0052】
また、ポンプ42と対流ファン26とを作動させることで、タンク15との間で循環する洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄しているときに、制御装置60は、調理庫20内の温度が洗浄に適した洗浄温度の一例として90℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25の作動を制御している。具体的には、制御装置60は、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となるとヒータ25を作動させ、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるとヒータ25の作動を停止させ、調理庫20内の温度が90±2℃の範囲となるように制御している。このように、タンク15との間で循環する洗浄水は調理庫20内に飛散する過程で加熱されて高温の洗浄水となり、調理庫20内は高温の洗浄水が飛散することによって洗浄される。
【0053】
洗浄水は洗浄用のタンク15と調理庫20内との間を循環する過程で洗剤が溶けて洗剤が含まれるようになり、洗剤を含む洗浄水を調理庫20内に噴射させて対流する熱風によって飛散させると、洗浄水に含まれる洗剤が調理庫20内で泡立つようになり、洗剤の泡が調理庫20の排水口20dの上側を塞ぐことがある。上述したように、洗浄水は、ヒータ25と対流ファン26との作動による熱風によって加熱されるだけでなく、飛散した洗浄水が発熱するヒータ25に直接加熱されて蒸発して蒸気となる。洗浄水は調理庫20内で蒸発して蒸気となると体積が膨張し、排水口20dの上側が洗剤の泡によって塞がれると、調理庫20内の蒸気を含む空気は排水口20dから放出されず、調理庫20の内圧が上昇するおそれがある。
【0054】
この実施形態の加熱調理器10は、仕切板23の下部には排水口20dの上側に対流ファン26による送風を多く案内する案内手段とした切欠部23cが形成されており、この案内手段とした切欠部23cは排水口20dの上側に対流ファン26による送風を多く案内することで排水口20dの上側に溜まる泡を吹き飛ばすようにして、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として機能している。同様に、洗浄ノズル40の底面に形成された噴射口40bは、排水口の20dの上側に洗浄水を直接噴射することによって排水口20dの上側に溜まる泡を消すようにして、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として機能している。
【0055】
内圧上昇抑制手段として、仕切板23の下部に形成した案内手段である切欠部23cと、洗浄ノズル40の底面の噴射口40bとを用いても、排水口20dの上側の洗剤の泡を無くすことができず、調理庫20の内圧が高くなることもある。このため、洗浄運転にてポンプ42と対流ファン26とを作動させることで、タンク15との間で循環する洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄しているときに、制御装置60は、調理庫20の内圧が開口部20aから蒸気が噴き出さない圧力として600pa(600Paに限られるものではなく、これ以外の圧力であってもよい。なお、以下に圧力が記載されているときも同様である。)以上とならないように、圧力センサ28の検出圧力に基づいて減圧弁50aの作動を制御している。
【0056】
洗浄運転にてポンプ42と対流ファン26とを作動させることで、タンク15との間で循環する洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄しているときに、圧力センサ28による検出圧力が600pa以上となると、制御装置60は、減圧弁50aを開放させるように制御する。調理庫20内の蒸気を含んだ空気は外気導入管36と減圧管50と排気筒19とを通ってハウジング11の外側に放出され、調理庫20の内圧は蒸気を含んだ空気が放出されることで低下する。圧力センサ28による検出圧力が600paより低くなると、制御装置60は、減圧弁50aを閉止させるように制御する。このように、圧力センサ28の検出圧力に基づいて減圧弁50aが開閉制御されることで、調理庫20の内圧が過剰に高くなるのを防ぐことができ、調理庫20の開口部20aの周縁部のパッキン14と扉13との間から蒸気が噴き出さないようにすることができる。この実施形態では洗浄運転を30分間実行するように制御しており、洗浄運転を開始してから45分(45分は一例であり例えば45分~100分の間で設定可能である)経過すると、制御装置60は、ヒータ25と対流ファン26とポンプ42の作動を停止させ、排水弁17aを所定時間として2.5分間開放させて、タンク15内の洗浄水を第2排水管17から排出させて洗浄運転を終了する。
【0057】
制御装置60は、ステップ104の洗浄運転を実行した後で、ステップ105にて洗浄運転を4回実行したか否かを判定する。洗浄運転を4回実行していなければ、制御装置60は、ステップ105にてNOと判定してステップ104に戻す。2回目以後の洗浄運転は、1回目の洗浄運転によって調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎの洗浄をするものであり、上述したステップ104の洗浄運転を再び実行する。なお、2回目以後の洗浄運転は濯ぎを目的としているため、洗浄時間を一例として8分間としている。洗剤を含んだ洗浄水による洗浄運転後に濯ぎの洗浄運転を3回実行し、洗剤を含んだ洗浄水による洗浄運転と濯ぎの洗浄運転とを合わせて4回実行すると、制御装置60はステップ105にてYESと判定して、ステップ106の乾燥運転に進める。
【0058】
乾燥運転は、調理庫20内に残る洗浄水を蒸発させて、調理庫20内を乾燥させることを目的としたものである。制御装置60は、対流ファン26を作動させるとともに、調理庫20内を乾燥させることができる乾燥温度の一例として140℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25の作動を制御している。具体的には、制御装置60は、温度センサ27の検出温度が乾燥温度である140℃の下限値とした138℃となるとヒータ25を作動させ、温度センサ27の検出温度が乾燥温度である140℃の上限値とした142℃となるとヒータ25の作動を停止させ、調理庫20内の温度が140±2℃の範囲となるように制御している。調理庫20内はヒータ25により加熱されながら対流ファン26によって対流する熱風によって乾燥する。この実施形態ではステップ106の乾燥運転を40分間実行するように制御しており、この乾燥運転を40分実行した後で第1洗浄プログラムを終了する。なお、第2洗浄プログラムは、第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転を実行しない洗浄プログラムであり、蒸気予洗浄運転を実行しない以外は第1洗浄プログラムと同じ洗浄プログラムであるので、第2洗浄プログラムの詳細な説明は省略する。また、第1洗浄プログラムと第2洗浄プログラムの一方だけを備えたものであってもよい。さらに、蒸気予洗浄運転、洗浄運転及び乾燥運転の温度や時間等については、上述したものに限られるものではなく、調理庫20の大きさや汚れの具合等により任意に設定するようにしたものであってもよい。
【0059】
上記のように構成した加熱調理器10においては、制御装置60は、ポンプ42を作動させることによって洗浄水通路から送られる洗浄水を洗浄ノズル40から噴射させ、噴射させた洗浄水をヒータ25と対流ファン26とを作動させることによって対流する熱風によって加熱するとともに調理庫20内で飛散させ、飛散させた洗浄水を排水口20dから洗浄水通路を通して再び洗浄ノズル40に送出し、循環する高温の洗浄水によって調理庫20内を洗浄する洗浄プログラム(第1及び第2洗浄プログラムであり、以下洗浄プログラムと記載したものに関しては、第1及び第2洗浄プログラムを示している)を有している。
【0060】
この加熱調理器10では、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、調理庫20の排水口20dが洗剤の泡によって塞がれると、調理庫20内の空気を排水口20dから放出することができず、調理庫20の内圧が上昇して、調理庫20の開口部20aと扉13との間から洗浄水が蒸発した蒸気が噴き出すおそれある。これに対し、この加熱調理器10では、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段を備えている。この実施形態では、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段として、調理庫20内には対流ファン26による送風を排水口20dの上側を通過するように案内する案内手段を備え、案内手段は仕切板23の下部に形成された切欠部23cにより構成されている。このように、内圧上昇抑制手段として、対流ファン26による送風を排水口20dの上側を通過するように案内する案内手段である仕切板23の下部の切欠部23cを備えたので、排水口20dの上側に洗剤の泡が溜まりにくくなり、排水口20dは洗剤の泡によって通気不可な状態で塞がれるのを防ぐことができ、調理庫20の内圧の上昇を防ぐことができる。
【0061】
また、この加熱調理器10は、対流ファン26による送風を排水口20dの上側を通過するように案内する案内手段による内圧上昇抑制手段以外に、洗浄ノズル40の洗浄水の噴射口40bを排水口20dに向けるようにした内圧上昇抑制手段を備えている。洗浄ノズル40の洗浄水の噴射口40bを排水口20dに向けるようにした内圧上昇抑制手段を備えたので、排水口20dの上側の洗剤の泡は噴射される洗浄水によって消されるようになり、排水口20dは洗剤の泡によって通気不可な状態で塞がれるのを防ぐことができ、調理庫20の内圧の上昇を防ぐことができる。
【0062】
上記のように、対流ファン26による送風を排水口20dの上側を通過するように案内する案内手段による内圧上昇抑制手段と、洗浄ノズル40の洗浄水の噴射口40bを排水口20dに向けるようにした内圧上昇抑制手段とを用いても、排水口20dの上側の洗剤の泡を無くすことができず、調理庫20の内圧が上昇することがある。このため、この加熱調理器10は、調理庫20内の空気を放出させて調理庫20内の圧力を低下させる減圧管50を備え、この実施形態では、外気導入管36の外気導入弁37より調理庫20側に、調理庫20内の空気を放出させて調理庫20の内圧を低下させる減圧管50を用いた内圧上昇抑制手段を備えている。また、この減圧管50には減圧管50を開閉する減圧弁50aが介装されており、調理庫20内には調理庫20の内圧を検出する圧力センサ28が設けられている。制御装置60は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、圧力センサ28の検出圧力に基づいて減圧弁50aを開閉制御している。具体的には、制御装置60は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、圧力センサ28の検出圧力が600pa以上となると、減圧弁50aを開放するように制御している。
【0063】
洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、洗浄水に含まれる洗剤が泡立つようになって、排水口20dの上側が洗剤の泡によって塞がれると、調理庫20の内圧は洗浄水が蒸発することによって高くなる。圧力センサ28による検出圧力が600pa以上となると、制御装置60は、減圧弁50aを開放するように制御している。これによって、調理庫20の内圧が蒸気が噴出する程度に高くならないようにすることができ、調理庫20の開口部20aと扉13の間(開口部20aの周縁部に設けたパッキン14と扉13の間)から蒸気が噴き出さないようにすることができる。
【0064】
この実施形態の加熱調理器10においては、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、圧力センサ28の検出圧力に基づいて減圧弁50aを開閉制御しているが、これに限られるものではなく、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25を作動させているときに減圧弁50aを開放させるように制御してもよい。詳述すると、洗浄プログラムの洗浄運転をしているときに、制御装置60は、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となるとヒータ25を作動させ、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるとヒータ25の作動を停止させ、調理庫20内の温度が90±2℃の範囲となるように制御している。
【0065】
洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、洗浄水はヒータ25を作動させていないときに蒸発しにくく、調理庫20の内圧が上昇しにくいのに対し、洗浄水はヒータ25を作動させているときに蒸発して膨張しやすく、調理庫20の内圧が上昇しやすい。このため、制御装置60は、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となるとヒータ25を作動させるとともに減圧弁50aを開放させ、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるとヒータ25の作動を停止させるとともに減圧弁50aを閉止させている。このように、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25を作動させているときに減圧弁50aを開放させるように制御することにより、調理庫20の内圧が上昇しやすいときだけ減圧弁50aを開放させているので、調理庫20の内圧を確実に高くならないようにすることができる。
【0066】
この実施形態の加熱調理器10においては、洗浄プログラムを実行しているときに、圧力センサ28の検出圧力に基づいて減圧弁50aを開閉制御するか、温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25を作動させているときに減圧弁50aを開放させるように制御する以外に、例えば、減圧弁50aを一定時間毎(例えば1分毎でこれに限られるものではない)に一定時間(例えば1分間でこれに限られるものではない)で開放するように制御してもよいし、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときにだけ減圧弁50aを連続して開放するように制御してもよい。また、減圧管50を外気導入管36に接続し、外気導入管36を介して調理庫20内の空気を放出させているが、これに限られるものではなく、減圧管50を調理庫20に直接接続したものであってもよい。また、減圧管50を排気筒19に接続しているが、これに限られるものではなく、減圧管50の導出端部を直接ハウジング11の外側に配置してもよい。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の加熱調理器10について説明する。第1実施形態の加熱調理器10は、主として外気導入管36に接続した減圧管50を用いた内圧上昇抑制手段により調理庫20の内圧が高くならないようにしたものであるが、これから説明する第2実施形態を含めた他の実施形態は、減圧管50を用いない他の内圧上昇抑制手段により調理庫20の内圧が高くならないようにするものである。第2実施形態の加熱調理器10は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、蒸気発生装置30の排水弁35を開放状態とすることで、調理庫20内の空気を蒸気発生装置30から放出させて調理庫20内の圧力を低下させるようにした内圧上昇抑制手段を用いたものである。
【0068】
蒸気発生装置30は、スチームモード調理プログラムまたはコンビモード調理プログラムを実行するときに調理庫20に蒸気を供給するのに用いられるとともに、第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転をするときに調理庫20に蒸気を供給するのに用いられている。蒸気発生装置30の蒸気発生容器31には図示省略した給水管から水が供給可能となっており、蒸気発生容器31内の水は加熱体32によって加熱されて蒸気となり、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒34によって調理庫20に送出される。蒸気発生容器31内に水が貯えられているときには、調理庫20は蒸気発生容器31に貯えられている水によって外側に開放されてなく、調理庫20の空気は蒸気発生装置30から外側に放出されない。
【0069】
図11に示したように、第2実施形態の加熱調理器10では、蒸気発生容器31の排水口31aはタンク15内で排気筒19の下部に接続されている。洗浄プログラムの洗浄運転を実行する前に、制御装置60は排水弁35を開放することにより、蒸気発生容器31内の水(湯)を排水口31aから排気筒19を介してタンク15に排出する。調理庫20内は蒸気送出筒34と蒸気発生容器31と排気筒19を介してハウジング11の外側に開放されている。これによって、洗浄プログラムの洗浄運転を実行したときに、調理庫20の排水口20dが洗剤に含まれる泡によって塞がれても、調理庫20内の空気は蒸気発生装置30から放出可能となり、洗浄水が調理庫20内で蒸発しても、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制することができる。なお、図7に示した第1実施形態のように、蒸気発生容器31の排水口31aがタンク15に直接接続されているときでも、調理庫20内は蒸気送出筒34と蒸気発生容器31を介してタンク15に対し開放され、また、タンク15はオーバーフロー管18と第2排水管17を介してハウジング11の外側に開放されており、調理庫20内の空気を蒸気発生装置30から放出することができる。
【0070】
第1及び第2実施形態の加熱調理器10の蒸気発生装置30は、誘導加熱によって発熱する加熱体により水を加熱して蒸気を発生させるものであるが、燃料用ガスと空気を混合した混合ガスを燃焼させた燃焼ガスによって水を加熱して蒸気を発生させるガス燃焼式の蒸気発生装置もある。図12に示したように、この蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えて蒸気を発生させる蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を燃料用ガスと空気を混合した混合ガスを燃焼させた燃焼ガスにより加熱する加熱器32と、蒸気発生容器31の上部に設けた蒸気の導出口31bから調理庫20内に蒸気を送出する蒸気送出筒34とを備えている。蒸気発生容器31の上部には蒸気発生容器31内で発生させた蒸気を蒸気送出筒34に送出する経路を蛇行させる仕切板35a,35bが設けられている。
【0071】
蒸気発生容器31内の水は加熱器32を通過する燃焼ガスにより加熱されて蒸気となり、蒸気は蒸気送出筒34から調理庫20内に送出される。蒸気発生容器31内で加熱される水は湯となって蒸気の導出口31bに向かって跳ね上がることがあるが、蒸気発生容器31の上部には蒸気を蒸気送出筒34に送出する経路が一直線上に連続しないように蛇行させる仕切板35a,35bが設けられているので、跳ね上がった湯滴が蒸気送出筒34から調理庫20に送出されるのを防ぐことができる。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の加熱調理器10について説明する。第3実施形態の加熱調理器10においては、制御装置60は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、温度センサ27の検出温度が洗浄に適した洗浄温度の下限値を検出してヒータ25を作動させるときに、ヒータ25を間欠的に作動させるように制御した内圧上昇抑制手段を用いたものである。上述したように、この加熱調理器10の洗浄プログラムの洗浄運転は、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となるとヒータ25を作動させ、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるとヒータ25の作動を停止させ、調理庫20内の温度が90±2℃の範囲となるように制御している。
【0073】
図13に示したように、第1実施形態では、制御装置60は、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となると洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるまでヒータ25を連続的に作動させるように制御しているのに対し、第3実施形態では、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となると洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるまでヒータ25を所定時間として例えば1分毎に作動と作動停止とを繰り返すようにして、ヒータ25を間欠的に作動させるように制御する。このように制御することで、洗浄水は調理庫20内で蒸発しにくくなり、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制することができる。
【0074】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の加熱調理器10について説明する。第4実施形態の加熱調理器10においては、制御装置60は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、温度センサ27の検出温度が洗浄に適した洗浄温度の下限値を検出してヒータ25を作動させるときに、ヒータ25の出力を定格出力より低い出力で作動させるように制御した内圧上昇抑制手段を用いたものである。上述したように、この加熱調理器10の洗浄プログラムの洗浄運転は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となるとヒータ25を作動させ、温度センサ27の検出温度が洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となるとヒータ25の作動を停止させ、調理庫20内の温度が90±2℃の範囲となるように制御している。
【0075】
図14に示したように、第4実施形態の加熱調理器10においては、制御装置60は、ヒータ25を作動させるときにヒータ25の出力を定格出力より低い出力で作動させるように制御している。具体的には、洗浄運転を開始させてから、温度センサ27の検出温度が洗浄温度の上限値とした92℃となるまでヒータ25を定格出力の60%の出力で作動させ、温度センサ27の検出温度が洗浄温度の上限値とした92℃となってヒータ25の作動を停止させた後で、温度センサ27の検出温度が洗浄温度の下限値とした88℃となるとそれ以後はヒータ25を作動させるときにヒータ25を定格出力の30%の出力で作動させる。また、2回目以後の洗浄運転は濯ぎのための洗浄運転であって、洗浄水には1回目の洗浄運転で用いた洗浄水に溶けた洗剤が直ぐに含まれるので、洗浄運転を開始したときからヒータ25を作動させるときにはヒータ25を定格出力の30%の出力で作動させる。このように、ヒータ25の出力を定格出力よりも低い出力で作動させるように制御することで、洗浄水は調理庫20内で蒸発しにくくなり、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制することができる。なお、上述したヒータ25の出力は一例であり、ヒータ25の出力を定格出力よりも低くしていればよく、さらに、洗浄水の温度が上昇する時間が長くなるが、ヒータ25の出力を上述した出力よりもさらに低くするようにしたものであってもよい。
【0076】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の加熱調理器10について説明する。第5実施形態の加熱調理器10は、外気導入管36に介装した外気導入弁37に調理庫20内が所定圧力として600pa以上となると開放される圧力逃がし弁38を用いた内圧上昇抑制手段により調理庫20の内圧が高くならないようにしている。図15に示したように、外気導入弁37はバタフライ弁を用いたものであり、外気導入管36に挿通された弁棒37aと、外気導入管36内で弁棒37aに固定された円形の弁体37bとを備えている。外気導入弁37は、弁棒37aによって弁体37bを回動させることで外気導入管36の開度を調節可能としており、弁体37bの回動角度によって外気導入管36を通過する空気の流量を調節している。
【0077】
外気導入弁37の弁棒37aには挿通孔37cと通気口37dが形成されており、挿通孔37cには圧力逃がし弁38の弁棒38aが軸方向に沿って移動可能に挿通されている。外気導入弁37が外気導入管36を閉塞した位置で、弁棒38aの調理庫20側と反対側の端部には通気孔35dを閉塞可能な略円形の弁体38bが設けられており、弁棒38aの調理庫20の端部には係止部材38cが設けられている。また、弁棒38aには外気導入弁37の弁棒37aと係止部材38cとの間にコイルスプリングよりなる付勢部材38dが介装されており、付勢部材38dは圧力逃がし弁38の弁体38bを外気導入弁37の弁棒37a側に付勢している。
【0078】
圧力逃がし弁38の弁体38bは付勢部材38dによって外気導入弁37の弁棒37aに付勢されて着座しているときには、通気口37dは圧力逃がし弁38の弁体38bによって塞がれている。調理庫20の内圧が600pa以上となると、圧力逃がし弁38の弁体38bが調理庫20の内圧を通気口37dから受けて付勢部材38dの付勢力に抗して外気導入弁37の弁棒37aから離座し、調理庫20内の空気が通気口37dを通過して外気導入管36から外側に放出される。調理庫20の内圧が低下すると、圧力逃がし弁38の弁体38bは付勢部材38dの付勢力によって外気導入弁37の弁棒37aに付勢されて再び着座する。このように、外気導入弁37に圧力逃がし弁38を設けることにより、調理庫20の内圧が過剰に上昇するのを抑制することができる。
【0079】
第5実施形態の圧力逃がし弁38は、図15に示したものに限られるものではなく、図16に示した圧力逃がし弁38は、外気導入弁37の弁棒37aに形成した挿通孔37cに挿通されたボルトよりなる弁棒38aと、弁棒38aに移動可能に挿通された弁体38bとを備えている。外気導入弁37が外気導入管36を閉塞した位置で、弁体38bは、調理庫20と反対側の位置で弁棒38aに移動可能に挿通されており、弁棒38aの調理庫20と反対側の端部に設けたナットよりなる係止部材38cによって抜け止めされている。
【0080】
外気導入弁37が外気導入管36を閉塞した位置で、弁体38bは自重によって外気導入弁37の弁棒37a側にあって着座し、通気口37dは圧力逃がし弁38の弁体38bによって塞がれている。弁体38bは調理庫20の内圧が600pa以上となると離座する自重に設定されている。調理庫20の内圧が600pa以上となると、圧力逃がし弁38の弁体38bが調理庫20の内圧を通気口37dから受けて持ち上がって外気導入弁37の弁棒37aから離座し、調理庫20内の空気が通気口37dを通過して外気導入管36から外側に放出される。調理庫20の内圧が低下すると、圧力逃がし弁38の弁体38bは自重によって外気導入弁37の弁棒37aに再び着座する。このように、外気導入弁37に圧力逃がし弁38を設けることにより、調理庫20の内圧が過剰に上昇するのを抑制することができる。
【0081】
さらに、図17に示した圧力逃がし弁38は、外気導入弁37の弁棒37aに形成した挿通孔37cに挿通されたボルトよりなる弁棒38aと、弁棒38aに固定されたダイヤフラム式の薄板状の弁体38bとを備えている。外気導入弁37が外気導入管36を閉塞した位置で、薄板状の弁体38bは調理庫20と反対側の端部に設けたナットよりなる係止部材38cによって抜け止めされている。
【0082】
外気導入弁37が外気導入管36を閉塞した位置で、弁体38bは外気導入弁37の弁棒37a側にあって着座し、通気口37dは圧力逃がし弁38の弁体38bによって塞がれている。調理庫20の内圧が高くなると、圧力逃がし弁38の弁体38bが調理庫20の内圧を通気口37dから受けて変形して外気導入弁37の弁棒37aから離座し、調理庫20内の空気が通気口37dを通過して外気導入管36から外側に放出される。調理庫20の内圧が低下すると、圧力逃がし弁38の弁体38bは外気導入弁37の弁棒37aに着座する。このように、外気導入弁37に圧力逃がし弁38を設けることにより、調理庫20の内圧が過剰に上昇するのを抑制することができる。
【0083】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態の加熱調理器10について説明する。第6実施形態の加熱調理器10は、洗浄水通路の洗浄水送出管41には調理庫20内の空気を放出する排気弁44を設け、制御装置60は、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、ポンプ42の作動を停止させるとともに、排気弁44を開放させるように制御する内圧上昇抑制手段により、調理庫20の内圧の上昇を抑制するようにしたものである。図18に示したように、第6実施形態の加熱調理器10は、洗浄水通路を構成する洗浄水送出管41には分岐部41aが設けられており、分岐部41aには排気弁44が介装されている。分岐部41aは調理庫20の上側に配置されているが、調理庫20の底部よりも上側に配置されていればよい。また、分岐部41aに排気弁44を介装したが、排気弁44に三方弁を用いることで、分岐部41aを介さずに排気弁44を洗浄水送出管41に介装してもよい。排気弁44に三方弁を用いたときには、2つのポートを洗浄水送出管41に接続し、残る1つのポートを外側に開放させる。
【0084】
図19に示したように、洗浄プログラムの洗浄運転を実行するときに、ヒータ25を作動させているときに、ポンプ42の作動を停止させるとともに排気弁44を開放させ、ヒータ25の作動を停止させているときに、ポンプ42を作動させるとともに排気弁44を閉止させる。なお、ポンプ42の作動を停止させてから5~10秒後に排気弁44を開放させることにより、洗浄水送出管41に残る洗浄水が排気弁44から放出されるのを防ぐことができる。このように、ポンプ42の作動を停止させるとともに、排気弁44を開放させるように制御することで、調理庫20内の空気を洗浄水通路から排気弁44によって放出することができ、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制することができる。
【0085】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態の加熱調理器10について説明する。第7実施形態の加熱調理器10は、調理庫20の開口部20aの周縁部に形成したパッキン14の基部14aを嵌合固定させる凹溝20fの開口部20aと反対側に調理庫20に過剰な内圧が付与されるとパッキン14のシール部14bが扉13と隙間が形成されるように逃がすための逃がし凹部20gを形成した内圧上昇抑制手段により、調理庫20の内圧が高くならないようにしている。
【0086】
図20に示したように、調理庫20の開口部20a周縁部にはパッキン14の基部14aが嵌合する凹溝20fが形成されており、凹溝20fは矩形の開口部20aの周縁に沿うように上側配置部、下側配置部、左側配置部及び右側配置部とを備えている。凹溝20fの下側配置部20f1の開口部20aと反対側には逃がし凹部20gが形成されており、逃がし凹部20gは調理庫20に過剰な内圧が付与されたときにシール部14bを一時的に逃がす機能を有している。パッキン14のシール部14bが逃がし凹部20gに逃げると、シール部14bは扉13から少し離間して扉13との間に隙間が形成され、調理庫20内の空気はこの隙間から外側に放出される。調理庫20から蒸気が噴出する前に、調理庫20から空気を放出することで、調理庫20の内圧が過剰に上昇するのを抑制することができる。
【0087】
また、パッキン14のシール部14bは、調理プログラムを実行したときに調理庫20内の熱の影響を受けやすくなっている。パッキン14の基部14a及びシール部14bは中空形状となっており、シール部14bには長手方向に沿って空洞部14cが形成されている。図21(a)に示したように、パッキン14のシール部14bの下側配置部には図示しないエアポンプから空洞部14cに空気を導入する空気導入管14dが接続され、パッキン14のシール部14bの上側配置部には空洞部14cから空気を放出する空気出口部14eが形成されている。調理プログラムを実行したときに、シール部14bの空洞部14cにエアポンプから空気を導入することで、パッキン14のシール部14bを通過する空気により冷却し、パッキン14のシール部14bが熱によって劣化しにくくすることができる。なお、図21(b)に示したように、空気導入管14dの代わりに冷却水を導入する冷却水導入管14fを接続し、パッキン14のシール部14bの上側配置部には空洞部14cから冷却水を導出する冷却水導出管14gを接続することで、パッキン14のシール部14bを通過する冷却水により冷却し、パッキン14のシール部14bが熱によって劣化しにくくするようにしてもよい。
【0088】
図22(a)に示したように、パッキン14のシール部14bは調理庫20の開口部20a側に傾斜面14hを備え、この傾斜面は14hは開口部20aから離れながら前方に立ち上がっている。また、パッキン14のシール部14bは調理庫20の開口部20aと反対側に空洞部14c側に凹む凹溝部14iを備えている。調理庫20の内圧が上昇したときに、シール部14bの傾斜面14hは矢印のAに示したように開口部20a側から外側に押されるとともに、凹溝部14iの溝幅が狭くなるように畳まれることで、矢印のBに示したようにシール部14bの開口部20aと反対側が扉から離れるようになり、調理庫20の開口部20aから蒸気が噴き出しやすい。
【0089】
これに対し、図22(b)に示した他の実施例では、パッキン14のシール部14bは調理庫20の開口部20aと反対側に傾斜面14hを備え、この傾斜面は14hは開口部20aから離れながら後方に下がっている。また、パッキン14のシール部14bは調理庫20の開口部20a側に空洞部14c側に凹む凹溝部14iを備えている。調理庫20の内圧が上昇したときに、シール部14bは矢印のAに示したように開口部20a側から外側に押されるが、シール部14bの凹溝部14iが空洞部14c側に畳まれずに、矢印のBに示したようにシール部14bの傾斜面14hを扉側に押しつける方に移動させる。このように、図22(b)に示した実施例のパッキン14では、調理庫20の内圧が上昇しても、調理庫20の開口部20aから蒸気を噴き出しにくくすることができる。
【0090】
また、図20に示したように、パッキン14の下側配置部の下側には、扉13及びパッキン14に付着した水滴を受ける樋20hが設けられている。樋20hの左右方向の中央部には排水口20iが設けられており、排水口20iは排水管20jによってタンク15に接続されている。洗浄プログラムの洗浄運転を実行したときに、調理庫20の内圧が上昇すると、タンク15にも調理庫20内に加わっている圧力が付与され、樋20hとタンク15とを接続する排水管20jに残る水が樋20hに逆流し、樋20hの排水口20iから水が噴き出るおそれがある。このため、樋20hの排水口の上側には蓋20k(2点鎖線で示した)が着脱可能に設けられている。蓋20kは、前後方向に沿った断面形状が下側に開いた略コ字形をし、樋20hで受けた水を左右で通水可能とするとともに、樋20hの排水口20iの上側を覆っている。この蓋20kによって排水管20jに残る水が樋20hに向けて逆流しても、樋20hの排水口20iから水が噴き上がるのを防ぐことができる。
【0091】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態の加熱調理器10について説明する。図23に示したように、第8実施形態の加熱調理器10では、タンク15には洗浄水を加熱する洗浄水加熱ヒータ15bが設けられており、洗浄プログラムにより調理庫20内を洗浄するときに洗浄水加熱ヒータ15bにより加熱した高温の洗浄水を用いて調理庫20内を洗浄するようにした内圧上昇抑制手段により、調理庫20内で洗浄水を直接加熱しないようにして、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制している。
【0092】
第8実施形態の加熱調理器10では、洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、制御装置60は、調理庫20内のヒータ25の代わりに洗浄水加熱ヒータ15bを作動させる。タンク15に洗浄水が供給された後で、制御装置60は、ポンプ42と対流ファン26とを作動させて、洗浄水をタンク15と調理庫20との間で循環させるとともに、タンク15に設けたタンク用温度センサ15cの検出温度に基づいて洗浄水加熱ヒータ15bの作動を制御している。具体的には、制御装置60は、タンク用温度センサ15cの検出温度が洗浄温度である90℃の下限値とした88℃となると洗浄水加熱ヒータ15bを作動させ、タンク用温度センサ15cの検出温度が洗浄温度である90℃の上限値とした92℃となると洗浄水加熱ヒータ15bの作動を停止させ、調理庫20内の温度が90±2℃の範囲となるように制御している。このように、洗浄水はタンク15で予め加熱されてから調理庫20内に送出されるので、調理庫20の排水口20dが洗剤の泡で塞がれても、調理庫20内で洗浄水が蒸発しないようになり、洗浄水が調理庫20内で蒸発することに起因して、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制することができる。なお、タンク15に設けたタンク用温度センサ15cの検出温度に基づいて洗浄水加熱ヒータ15bの作動を制御しているが、調理庫20内に設けた温度センサ27の検出温度に基づいて洗浄水加熱ヒータ15bの作動を制御するようにしてもよい。
【0093】
上記の各実施形態の加熱調理器10は、調理庫20の内圧が上昇するのを抑制する内圧上昇抑制手段を備えているが、本発明においては、上記の各実施形態の加熱調理器10の内圧上昇抑制手段を適宜組み合わせたものであってもよい。また、上記の各実施形態に記載されている温度や圧力等の具体的な数値に限定されるものではなく、他の温度や圧力等の数値であってもよい。
【0094】
上記の各実施形態の加熱調理器10においては、ヒータ25は電気式のヒータであるが、これに限られるものでなく、燃料ガスと燃焼用空気とを混合した混合ガスを燃焼させた燃焼ガスによって調理庫20内を加熱するガス燃焼式のヒータであってもよい。また、上記の各実施形態の加熱調理器10においては、蒸気発生装置30は誘導加熱によって蒸気発生容器31内の水を加熱するようにしているが、これに限られるものでなく、ニクロム線等を用いた電気式のヒータによって蒸気発生容器31内の水を加熱するものであったり、燃料ガスと燃焼用空気とを混合した混合ガスを燃焼させた燃焼ガスによって蒸気発生容器31内の水を加熱するものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10…加熱調理器、13…扉、14…パッキン、14a…基部、14b…シール部、15…タンク、15a…pHセンサ、15b…洗浄水加熱ヒータ、20…調理庫、20a…開口部、20d…排水口、20f…凹溝、20g…逃がし凹部、23c…案内手段(切欠部)、25…ヒータ、26…対流ファン、27…温度センサ、28…圧力センサ、30…蒸気発生装置、31…蒸気発生容器、32…加熱体、34…蒸気送出筒、35…排水弁、36…外気導入管、37…外気導入弁、38…圧力逃がし弁、40…洗浄ノズル、40b…噴射口、42…ポンプ、44…排気弁、16,41…洗浄水通路、50…減圧管、50a…減圧弁、60…制御装置。
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