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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G01R15/20 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020125702
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021850
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】清水 浩史
(72)【発明者】
【氏名】一条 弘洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章人
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 肇臣
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-140264(JP,A)
【文献】特開昭63-163174(JP,A)
【文献】特開2004-228176(JP,A)
【文献】特開平8-152448(JP,A)
【文献】特公昭36-23407(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00-15/26
H01F 38/20-38/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
前記磁束補正機構は、前記検出素子(101,111,121)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された磁性体の配置(102a~102c,112a~112c,122a,122b)を含み、
前記磁性体の配置は、前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの前記導体磁束について、磁束密度と磁束の向きとの少なくともいずれか一方を補正し、
前記複数の導体(103~105,113~115)は、前記検出素子の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に垂直な第2方向に互いにずらして配置され、
前記磁性体の配置は、前記検出素子の第2方向に配置されたセンサ横位置磁性体(102a,102b,112a,112b)と、前記複数の導体を介して前記検出素子と対向する位置に配置されたセンサ対向位置磁性体(102c,112c)とを含む電流センサ(100,110)。
【請求項2】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
前記磁束補正機構は、前記検出素子(101,111,121)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された磁性体の配置(102a~102c,112a~112c,122a,122b)を含み、
前記磁性体の配置は、前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの前記導体磁束について、磁束密度と磁束の向きとの少なくともいずれか一方を補正し、
前記複数の導体(123~125)は、前記検出素子の第1方向となる位置で、第1方向に互いにずらして配置され、
前記磁性体の配置は、前記複数の導体に対して第2方向となる位置に配置された導体横位置磁性体(122a,122b)を含む電流センサ(120)。
【請求項3】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し
記複数の導体の組合せは、前記検出素子(171,21)の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に垂直な第2方向に互いにずらして配置された前記複数の導体(173~175,223~225)であり、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第2方向の距離が近い近横位置導体(174,224)の前記第2方向の幅が、前記近横位置導体よりも前記検出素子との前記第2方向の距離が遠い遠横位置導体(173,175,223,225)の前記第2方向の幅よりも広いことにより、前記近横位置導体の前記断面積が、前記遠横位置導体の前記断面積よりも大きい電流センサ(170,220)。
【請求項4】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
前記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し、
前記複数の導体の組合せは、前記検出素子(131,231)の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に垂直な第2方向に互いにずらして配置された前記複数の導体(133~135,233~235)であり、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向の両端部(133a,133c,134a,134c,135a,135c)の前記第2方向の幅よりも中央部(133b,134b,135b)の前記第2方向の幅が狭くなっており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第2方向の距離が近い近横位置導体(134,144,234)の中央部(134b)の前記第2方向の幅が前記近横位置導体よりも前記検出素子との前記第2方向の距離が遠い遠横位置導体(133,135,143,145,233,235)の中央部(133b,135b)の前記第2方向の幅よりも広いことにより、前記近横位置導体の中央部の前記断面積が、前記遠横位置導体の中央部の前記断面積よりも大きい電流センサ(130,230)
【請求項5】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し
記複数の導体の組合せは、前記検出素子(11)の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に垂直な第2方向に互いにずらして配置された前記複数の導体(163~165)であり、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体は、前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向の両端部(163a,163c,164a,164c,165a,165c)の前記第1方向の幅よりも中央部(163b,164b,165b)の前記第1方向の幅が狭くなっており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第2方向の距離が近い近横位置導体(164)の中央部(164b)の前記第1方向の幅が、前記近横位置導体よりも前記検出素子との前記第2方向の距離が遠い遠横位置導体(163,165)の中央部(163b,165b)の前記第1方向の幅よりも広いことにより、前記近横位置導体の中央部の前記断面積が、前記遠横位置導体の中央部の前記断面積よりも大きい電流センサ(160)。
【請求項6】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し
記複数の導体の組合せは、前記検出素子(1,201)の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に垂直な第2方向に互いにずらして配置された前記複数の導体(193~195,203~205)であり、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第2方向の距離が近い近横位置導体(194,204,234)の前記第1方向の幅が、前記近横位置導体よりも前記検出素子との前記第2方向の距離が遠い遠横位置導体(193,195,203,205,233,235)の前記第1方向の幅よりも広いことにより、前記近横位置導体の前記断面積が、前記遠横位置導体の前記断面積よりも大きい電流センサ(190,200)
【請求項7】
前記磁束補正機構は、前記位置関係に基づいて設計された磁性体の配置(102a~102c,112a~112c,122a,122b)を含み、
前記磁性体の配置は、前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの前記導体磁束について、磁束密度と磁束の向きとの少なくともいずれか一方を補正し、
前記磁性体の配置は、前記検出素子の第2方向に配置されたセンサ横位置磁性体(102a,102b,112a,112b)と、前記複数の導体を介して前記検出素子と対向する位置に配置されたセンサ対向位置磁性体(102c,112c)とを含む請求項3~のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項8】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し
記複数の導体の組合せは、前記検出素子(11)上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に互いにずらして配置された複数の導体(183~185)であり、
前記第1方向と、前記複数の導体それぞれの電流流通方向とに垂直な方向を第2方向とし、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第1方向の距離が近い近縦位置導体(183)の前記第2方向の幅が、前記近縦位置導体よりも前記検出素子との前記第1方向の距離が遠い遠縦位置導体(184,185)の前記第2方向の幅よりも広いことにより、前記近縦位置導体の前記断面積が、前記遠縦位置導体の前記断面積よりも大きい電流センサ(180)。
【請求項9】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
前記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し、
前記複数の導体の組合せは、前記検出素子(151)の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に互いにずらして配置された複数の導体(153~155)であり、
前記第1方向と、前記複数の導体それぞれの電流流通方向とに垂直な方向を第2方向とし、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体は、前記電流流通方向の両端部(153a,153c,154a,154c,155a,155c)の前記第2方向の幅よりも中央部(153b,154b,155b)の前記第2方向の幅が狭くなっており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第1方向の距離が近い近縦位置導体(153)の中央部(153b)の前記第2方向の幅が、前記近縦位置導体よりも前記検出素子との前記第1方向の距離が遠い遠縦位置導体(154,155)の中央部(154b,155b)の前記第2方向の幅よりも広いことにより、前記近縦位置導体の中央部の前記断面積が、前記遠縦位置導体の中央部の前記断面積よりも大きい電流センサ(150)
【請求項10】
一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体(103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)と、
前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、を備え、
前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構(102a~102c,112a~112c,122a,122b,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)を有し、
記検出素子(101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231)と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された前記複数の導体の組合せ(133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235)が前記磁束補正機構として機能し、
記複数の導体の組合せは、前記検出素子(211)の上下面に垂直な第1方向となる位置で、前記第1方向に互いにずらして配置された複数の導体(213~215)であり、
前記第1方向と、前記複数の導体それぞれの電流流通方向とに垂直な方向を第2方向とし、
前記第1方向及び前記第2方向に延びる平面で前記導体を切断する場合における前記導体の切断面の断面積を、前記導体の断面積とし、
前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように、前記位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれの前記断面積が調整されており、
前記複数の導体のうち、前記検出素子との前記第1方向の距離が近い近縦位置導体(213)の前記第1方向の幅が、前記近縦位置導体よりも前記検出素子との前記第1方向の距離が遠い遠縦位置導体(214,215)の前記第1方向の幅よりも広いことにより、前記近縦位置導体の前記断面積が、前記遠縦位置導体の前記断面積よりも大きい電流センサ(210)。
【請求項11】
前記磁束補正機構は、前記位置関係に基づいて設計された磁性体の配置(102a~102c,112a~112c,122a,122b)を含み、
前記磁性体の配置は、前記複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの前記導体磁束について、磁束密度と磁束の向きとの少なくともいずれか一方を補正し、
前記磁性体の配置は、前記複数の導体に対して第2方向となる位置に配置された導体横位置磁性体(122a,122b)を含む請求項8~10のいずれかに記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、3相交流モータにおいて各相の出力電流を検出するために、3相交流電力を伝達する3本のバスバに対して、それぞれ1つずつ検出素子を配置する電流センサが記載されている。各検出素子は、検出対象である1本のバスバに流れる電流に起因して発生する磁界を検出するに際して、非検出対象である他の2本のバスバに流れる電流に起因する磁界の影響を受ける。特許文献1は、非検出対象であるバスバに流れる電流に起因する磁界の影響を低減し、各検出素子のSN比を向上させるために、バスバの形状と、検出素子の配置とを工夫するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-132499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、3相交流モータにおけるバスバ等の複数の導体に流れる電流をそれぞれ別々に検出するために、1つの導体に1つの検出素子を設ける技術は知られている。しかしながら、複数の導体に流れる電流を一括して1つの検出素子により検出する技術は知られておらず、この場合、複数の導体に流れる電流を複数の検出素子によりそれぞれ別々に検出する場合とは全く別の技術的思想が求められる。
【0005】
検出素子は、導体に流れる電流により発生する磁束を感知して電流検出を行う。複数の導体に流れる電流を複数の検出素子によりそれぞれ別々に検出する場合には、導体と検出素子とは1対1で配置されるため、導体に流れる電流と、検出素子が感知する磁束との対応関係をそれぞれ適切に調整することは比較的容易である。
【0006】
これに対して、複数の導体に流れる電流を一括して1つの検出素子により検出する場合には、各導体と、検出素子との位置関係等により、各導体に流れる電流と、検出素子が感知する磁束との対応関係が相違することがある。例えば、磁束密度は、導体と検出素子との距離の二乗に反比例するため、複数の導体に同量の電流が流れていても、検出素子に近い導体において発生する磁束の磁束密度は、検出素子から遠い導体において発生する磁束の磁束密度よりも高密度になる。その結果、複数の導体に同量の電流が流れているにも関わらず、検出素子に近い導体について検出される電流値は、遠い導体について検出される電流値よりも大きくなる。
【0007】
上記に鑑み、本発明は、複数の導体に流れる電流を一括して1つの検出素子により高精度に検出する電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電流センサは、一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された複数の導体と、前記複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、前記複数の導体に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子と、を備える。前記検出素子と、前記複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、前記複数の導体のそれぞれにおいて、前記導体電流と、前記検出素子が感知する前記導体磁束との対応関係が略等価となるように前記複数の導体のうちに少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構を有する。
【0009】
本発明に係る電流センサによれば、検出素子は、複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、複数の導体に流れる電流を一括して検出する。磁束補正機構は、検出素子と、複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体電流と、検出素子が感知する導体磁束との対応関係が略等価となるように導体磁束を補正するように設計されている。このため、各導体と検出素子との位置関係等により、各導体に流れる電流と検出素子が感知する磁束との対応関係が相違することを、緩和することができる。その結果、複数の導体に流れる電流を一括して1つの検出素子により高精度に検出する電流センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る電流センサが適用される駆動回路を備える、回転電機の駆動装置。
図2】第1実施形態に係る電流センサを示す図。
図3】変形例に係る電流センサを示す図。
図4】第2実施形態に係る電流センサを示す図。
図5】第3実施形態に係る電流センサを示す図。
図6】変形例に係る電流センサを示す図。
図7】第4実施形態に係る電流センサを示す図。
図8】第5実施形態に係る電流センサを示す図。
図9】第6実施形態に係る電流センサを示す図。
図10】第7実施形態に係る電流センサを示す図。
図11】第8実施形態に係る電流センサを示す図。
図12】変形例に係る電流センサを示す図。
図13】第9実施形態に係る電流センサを示す図。
図14】変形例に係る電流センサを示す図。
図15】変形例に係る電流センサを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る検出素子は、3相交流モータである回転電機のU相、V相、W相を流れる電流を一括して検出するためのセンサであり、例えば、図1に示すような回転電機の駆動装置10における監視センサDTとして用いることができる。
【0012】
図1に、回転電機の駆動制御を実行する駆動装置10を示す。回転電機は、中性点が開放されたオープン巻線の3相回転電機であり、U相巻線Uと、V相巻線Vと、W相巻線Wとを備えている。駆動装置10は、駆動回路11と、制御部12と、直流電源VDCとを備えている。駆動回路11は、第1インバータINV1と、第2インバータINV2と、高電位接続線Laと、低電位接続線Lbと、接続線スイッチSCと、相電流センサDU,DV,DWと、監視センサDTとを備えている。
【0013】
第1インバータINV1は、3相インバータであり、直流電源VDCに接続されており、回転電機のU相巻線Uの一端に接続された上アームスイッチSU1a及び下アームスイッチSU1bと、V相巻線Vの一端に接続された上アームスイッチSV1a及び下アームスイッチSV1bと、W相巻線Wの一端に接続された上アームスイッチSW1a及び下アームスイッチSW1bとを備える。
【0014】
第2インバータINV2は、3相インバータであり、回転電機のU相巻線Uの他端に接続された上アームスイッチSU2a及び下アームスイッチSU2bと、V相巻線Vの他端に接続された上アームスイッチSV2a及び下アームスイッチSV2bと、W相巻線Wの他端に接続された上アームスイッチSW2a及び下アームスイッチSW2bとを備える。
【0015】
高電位接続線Laは、第1インバータINV1の直流高電位側と第2インバータINV2の直流高電位側とを接続する配線である。低電位接続線Lbは、第1インバータINV1の直流低電位側と前記第2インバータの直流低電位側とを接続する。
【0016】
第1インバータINV1において、各相の上アームスイッチSU1a,SV1a,SW1aの高電位側端子は直流電源VDCの正極端子に接続され、各相の下アームスイッチSU1b,SV1b,SW1bの低電位側端子は直流電源VDCの負極端子に接続されている。上アームスイッチSU1a,SV1a,SW1a及び下アームスイッチSU1b,SV1b,SW1bは、それぞれ半導体スイッチング素子である。
【0017】
第2インバータINV2において、各相の上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aの高電位側端子は高電位接続線Laに接続され、各相の下アームスイッチSU2b,SV2b,SW2bの低電位側端子は低電位接続線Lbに接続されている。上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2a及び下アームスイッチSU2b,SV2b,SW2bは、それぞれ半導体スイッチング素子である。なお、半導体スイッチング素子としては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、逆並列に接続された還流ダイオードを有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等を例示できる。
【0018】
第1インバータINV1において、各相の上アームスイッチSU1a,SV1a,SW1aと下アームスイッチSU1b,SV1b,SW1bとの間の中間点は、それぞれ、第1相接続線LU1,LV1,LW1によって、巻線U、V、Wの一端(第2インバータINV2と接続されていない一端)と接続されている。第2インバータINV2において、各相の上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aと下アームスイッチSU2b,SV2b,SW2bとの間の中間点は、それぞれ、第2相接続線LU2,LV2,LW2によって、巻線U、V、Wの一端(第1インバータINV1と接続されていない一端)と接続されている。第1相接続線LU1,LV1,LW1には、相電流センサDU,DV,DWとして、それぞれ1つずつの電流センサが設置されている。さらに、3つの第1相接続線LU1,LV1,LW1に流れる全電流を一括して検出可能な1つの電流センサとして、監視センサDTが設置されている。
【0019】
接続線スイッチSCは、高電位接続線Laに設けられており、高電位接続線Laを導通または遮断することにより、第1インバータINV1と第2インバータINV2とを導通または遮断する。接続線スイッチSCが閉状態(オン状態)の場合には、駆動回路11は、Hブリッジ回路として利用することができ、回転電機のH駆動が可能となる。
【0020】
接続線スイッチSCが開状態(オフ状態)の場合には、駆動回路11によって回転電機のY駆動が可能となる。例えば、第2インバータINV2の全ての上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aを閉状態とするとともに全ての下アームスイッチSU2b,SV2b,SW2bを開状態とすることにより、回転電機のY駆動が可能となる。すなわち、回転電機のU相巻線Uと、V相巻線Vと、W相巻線WとをY結線で接続することができる。この場合、上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aは、Y結線(星形結線)の中性点を構成する中性点構成スイッチに相当する。
【0021】
制御部12は、CPUや各種メモリからなるマイコンを備えており、回転電機における各種の検出情報や、力行駆動及び発電の要求に基づいて、第1インバータINV1および第2インバータINV2における各スイッチの開閉(オンオフ)により通電制御を実施する。回転電機の検出情報には、例えば、レゾルバ等の角度検出器により検出される回転子の回転角度(電気角情報)や、電圧センサにより検出される電源電圧(インバータ入力電圧)、電流センサにより検出される各相の通電電流が含まれる。
【0022】
制御部12は、さらに、接続線スイッチSCの開閉を制御する。制御部12は、H駆動時には、接続線スイッチSCを閉状態に制御し、Y駆動時には、接続線スイッチSCを開状態に制御する。制御部12は、第1インバータINV1および第2インバータINV2の各スイッチおよび接続線スイッチSCを操作する操作信号を生成して出力する。
【0023】
制御部12は、回転電機をH駆動する際には、接続線スイッチSCを閉状態に制御して、例えば、交互PWM駆動を実行することができる。交互PWM駆動は、第1インバータINV1と第2インバータINV2とを交互に作動させる非対称スイッチング制御の一例である。
【0024】
制御部12は、回転電機をY駆動する際には、接続線スイッチSCを開状態に制御し、第2インバータINV2の上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aを閉状態に制御し、第2インバータINV2の下アームスイッチSU2b,SV2b,SW2bを開状態に制御することにより、回転電機のU相巻線Uと、V相巻線Vと、W相巻線Wとは、Y結線された状態となる。より具体的には、巻線U,V,Wの第2インバータINV2側の巻線端子が、それぞれ上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aを介して接続されることにより、Y結線が実現される。第2インバータINV2を利用してY結線を構成するとともに、第1インバータINV1についてPWM制御等を実行することにより、回転電機をY駆動させることができる。上アームスイッチSU2a,SV2a,SW2aは、Y結線の中性点を構成する中性点構成スイッチに相当する。下アームスイッチSU2b,SV2b,SW2bは、中性点を構成しないため、非中性点構成スイッチに相当する。
【0025】
制御部12は、回転電機のH駆動時に、相電流センサDU,DV,DWが検出する相電流IU,IV,IWと、監視センサDTが検出する全電流ITとを取得し、相電流IU,IV,IWと、全電流ITとに基づいて、駆動回路11の故障診断を実行する。より具体的には、制御部12は、相電流IU,IV,IWの総和電流IS(三相和演算値)を算出し、その電流波形を、監視センサDTの検出値である全電流ITの電流波形と比較する。回転電機のH駆動時には、相電流センサDU,DV,DWが検出するU,V,W相の相電流IU,IV,IWは同位相にならないため打ち消し合うことがない。その結果、3次成分の総和電流ISは零にはならず、正常時には正弦波形となる。なお、制御部12は、相電流センサDU,DV,DWから、相電流IU,IV,IWを取得し、3次成分の総和を演算することにより、総和電流ISを得ることができる。
【0026】
例えば、制御部12は、総和電流ISと全電流ITとの双方が、異常波形である(正常な正弦波形ではない)場合には、素子故障(例えば、各インバータINV1,INV2を構成するスイッチング素子の故障)などの故障モードに該当し、駆動回路11において、相電流センサDU,DV,DWおよび監視センサDTではなく、他の部位の故障であると判断する。
【0027】
また、制御部12は、総和電流ISが異常波形であり、かつ、全電流ITが正常波形である場合には、相電流センサ故障の故障モードに該当し、相電流センサDU,DV,DWの少なくともいずれかが故障したと判断する。
【0028】
また、制御部12は、総和電流ISが正常波形であり、かつ、全電流ITが異常波形である場合には、監視センサ故障の故障モードに該当し、監視センサDTが故障したと判断する。
【0029】
また、制御部12は、総和電流ISと全電流ITとの双方が正常な正弦波形である場合には、相電流センサDU,DV,DWおよび監視センサDTの全てが正常であると判断する。
【0030】
図2に、第1実施形態に係る電流センサ100を示す。電流センサ100は、検出素子101と、複数の磁性体102a~102cと、複数の導体103~105と、回路基板106と、ケーシング107とを備えている。なお、図2(a)は電流センサ100の断面図であり、図2(b)は電流センサ100の導体103~105の平面図であり、導体103~105と、検出素子101および磁性体102a,102bとの平面方向における位置関係を示す図である。
【0031】
複数の導体103~105は、いわゆるバスバであり、それぞれ、その一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続されている。より具体的には、導体103は、回転電機のU相に導通接続され、導体104は、V相に導通接続され、導体105は、W相に導通接続されている。導体103~105は、xy平面を平面方向とする平板状であり、形状および大きさは略同一である。導体103~105は、その一部がケーシング107内に収容されている。
【0032】
検出素子101は、回路基板106の上面(図2に示すz軸の正方向側の面)に設置されている。回路基板106の上面には、検出素子101に対してx軸の負方向および正方向となる位置に、それぞれ、磁性体102a,102bが設置されている。検出素子101、磁性体102a~102c、および回路基板106は、その全体がケーシング107内に収容されている。
【0033】
3つの導体103~105は、検出素子101に対してz軸の負方向となる位置において、x軸方向にずらして配置されている。導体104は、検出素子101の真下に配置され、導体103,105は、検出素子101の真下よりもx軸の負方向および正方向にずれた位置に配置されている。導体103は、磁性体102aの真下に配置され、導体105は、磁性体102bの真下に配置されている。導体104の真下となる位置には、磁性体102cが配置されている。
【0034】
ここで、検出素子101の上下面に垂直なz軸方向を第1方向とし、第1方向に垂直なx軸方向を第2方向とすると、導体103~105は、検出素子101の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置されているといえる。なお、第1方向および第2方向に垂直なy軸方向は、導体103~105の通電方向である。また、磁性体102a,102bは、検出素子101の第2方向に配置されたセンサ横位置磁性体に相当し、磁性体102cは、導体103~105を介して検出素子101と対向する位置に配置されたセンサ対向位置磁性体に相当する。
【0035】
導体103には、導体電流として、回転電機のU相電流がy軸の正方向に流れる。導体104には、導体電流として、回転電機のV相電流がy軸の正方向に流れる。導体105には、導体電流として、回転電機のW相電流がy軸の正方向に流れる。検出素子101は、導体電流により発生する磁束を検出することにより導体電流を検出するコアレス電流素子である。検出素子101は、U相電流によって発生するU相磁束、V相電流によって発生するV相磁束、およびW相電流によって発生するW相磁束を感知し、U相電流、V相電流、W相電流を一括して検出する。y軸の正方向に流れるU相電流、V相電流、W相電流によって、検出素子101にx軸の正方向の磁束M1,M2が発生する。検出素子101は、磁束M1、M2を感知して、磁束M1,M2に応じた電圧値を回路基板106に出力する。
【0036】
磁性体102a~102cは、透磁率を調整できる磁性体を材料とする。磁性体102a~102cは、低磁気抵抗の閉回路を構成して、U相磁束とW相磁束の磁束密度と向きとを調整する。例えば、磁束密度は、導体103~105と検出素子101との距離の二乗に反比例するため、磁性体102a~102cが存在しない場合には、導体103~105に同量の電流が流れていても、検出素子101に近い導体において発生する磁束M1の磁束密度は、検出素子101から遠い導体103,105において発生する磁束M2の磁束密度よりも高密度になる。図2(a)に示すように、磁性体102a~102cを設けることにより、低磁気抵抗の閉回路が構成され、導体104に流れるV相電流と磁束M1との対応関係と、導体103,105にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束M2との対応関係とを略等価にすることができる。
【0037】
上記のとおり、電流センサ100は、一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された3つの導体103~105と、導体103~105にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、3つの導体103~105に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子101とを備える。電流センサ100は、さらに、磁性体102a~102cを備える。磁性体102a~102cの配置は、検出素子101と、3つの導体103~105のそれぞれとの位置関係に基づいて、3つの導体のそれぞれにおいて、導体電流と、検出素子101が感知する導体磁束との対応関係が略等価となるように3つの導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構として機能する。このため、各導体103~105と、検出素子101との位置関係等により、各導体103~105に流れる電流と、検出素子101が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができる。その結果、電流センサ100によれば、導体103~105に流れる電流を一括して1つの検出素子101により高精度に検出できる。
【0038】
電流センサ100のように、導体103~105が、検出素子101の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置されている場合には、図2に示すように、検出素子101の第2方向に配置されたセンサ横位置磁性体102a,102bと、導体103~105を介して検出素子101と対向する位置に配置されたセンサ対向位置磁性体102cとを含むように、磁性体の配置を構成する。これにより、各導体103~105に流れる電流と、検出素子101が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができ、導体103~105に流れる電流を一括して1つの検出素子101により高精度に検出できる。
【0039】
(変形例)
図3に、変形例に係る電流センサ110を示す。電流センサ110は、検出素子111と、複数の磁性体112a~112cと、複数の導体113~115と、回路基板116と、ケーシング117とを備えている。導体113~115は、yz平面を平面方向とする平板状である点において、図2に示す導体103~105と相違している。その他の構成については、電流センサ100と同様であるため、図2に100番台で示す各構成を110番台に読み替えることにより、図3に示す各構成の説明を省略する。
【0040】
検出素子111の上下面に垂直なz軸方向を第1方向とし、第1方向に垂直なx軸方向を第2方向とすると、導体113~115は、検出素子111の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置されているといえる。なお、第1方向および第2方向に垂直なy軸方向は、導体113~115の通電方向である。また、磁性体112a,112bは、検出素子111の第2方向に配置されたセンサ横位置磁性体に相当し、磁性体112cは、導体113~115を介して検出素子111と対向する位置に配置されたセンサ対向位置磁性体に相当する。
【0041】
検出素子111は、U相電流によって発生するU相磁束、V相電流によって発生するV相磁束、W相電流によって発生するW相磁束を感知し、U相電流、V相電流、W相電流を一括して検出する。検出素子111は、x軸の正方向の磁束M11,M12を感知する。
【0042】
電流センサ100と同様に、電流センサ110においても、導体113~115は、検出素子111の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置されている。この場合には、電流センサ100と同様に、検出素子111の第2方向に配置されたセンサ横位置磁性体112a,112bと、導体113~115を介して検出素子111と対向する位置に配置されたセンサ対向位置磁性体112cとを含むように、磁性体の配置を構成することにより、各導体113~115に流れる電流と、検出素子111が感知する磁束M11,M12との対応関係が相違することを緩和することができる。導体113~115に流れる電流を一括して1つの検出素子111により高精度に検出できる。
【0043】
(第2実施形態)
図4に、第2実施形態に係る電流センサ120を示す。電流センサ120は、検出素子121と、複数の磁性体122a,122bと、複数の導体123~125と、回路基板126と、ケーシング127とを備えている。電流センサ120は、導体123~125が検出素子121に対してz軸の負方向となる位置においてz軸方向にずらして配置されている点、および、磁性体122a,122bが導体123~125に対して第2方向に配置されている点において、電流センサ100と相違している。その他の構成については、電流センサ100と同様であるため、図2に100番台で示す各構成を120番台に読み替えることにより、図4に示す各構成の説明を省略する。
【0044】
3つの導体123~125は、検出素子121に対してz軸の負方向となる位置において、z軸方向にずらして配置されている。導体123~125は、検出素子121の真下において、検出素子121に近い側から遠い側に向かって、導体123,導体124,導体125の順序で配置されている。導体124,125に対してx軸の負方向および正方向となる位置に、それぞれ磁性体122a,122bが配置されている。
【0045】
導体123~125は、検出素子121の第1方向となる位置で、第1方向に互いにずらして配置されているといえる。なお、第1方向および第2方向に垂直なy軸方向は、導体123~125の通電方向である。また、磁性体122a,122bは、導体123~125に対して第2方向となる位置に配置された導体横位置磁性体に相当する。
【0046】
検出素子121は、U相電流によって発生するU相磁束、V相電流によって発生するV相磁束、W相電流によって発生するW相磁束を感知し、U相電流、V相電流、W相電流を一括して検出する。検出素子121は、x軸の正方向の磁束M21,M22を感知する。
【0047】
上記のとおり、電流センサ120は、一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された3つの導体123~125と、導体123~125にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、3つの導体123~125に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子121とを備える。電流センサ120は、さらに、磁性体122a,122bを備える。磁性体122a,122bは、検出素子121と、3つの導体123のそれぞれとの位置関係に基づいて、3つの導体のそれぞれにおいて、導体電流と、検出素子121が感知する導体磁束との対応関係が略等価となるように3つの導体のうちに少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構として機能する。このため、各導体123~125と、検出素子121との位置関係等により、各導体123~125に流れる電流と、検出素子121が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができる。その結果、電流センサ120によれば、導体123~125に流れる電流を一括して1つの検出素子121により高精度に検出できる。
【0048】
電流センサ120のように、導体123~125が、検出素子121の第1方向となる位置で、第1方向に互いにずらして配置されている場合には、図4に示すように、導体123~125に対して第2方向となる位置に配置された導体横位置磁性体122a,122bを含むように、磁性体の配置を構成する。これにより、各導体123~125に流れる電流と、検出素子121が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができ、導体123~125に流れる電流を一括して1つの検出素子121により高精度に検出できる。
【0049】
上記の各実施形態では、磁束補正機構として、検出素子と、3つの導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された磁性体の配置を含む電流センサ100,110,120について説明したが、磁束補正機構としての機能を有するためには、各磁性体は、検出素子と、3つの導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、その配置が設計され、3つの導体のうちの少なくともいずれか1つの導体磁束について、磁束密度と磁束の向きとの少なくともいずれか一方を補正するものであればよい。
【0050】
(第3実施形態)
図5に、第3実施形態に係る電流センサ130を示す。電流センサ130は、検出素子131と、複数の導体133~135と、回路基板136と、ケーシング137とを備えている。電流センサ130は、導体133~135の形状および大きさが略同一でない点、および、磁性体を備えていない点において、電流センサ100と相違している。その他の構成については、電流センサ100と同様であるため、図2に100番台で示す各構成を130番台に読み替えることにより、図5に示す各構成の説明を省略する。
【0051】
3つの導体133~135は、検出素子131に対してz軸の負方向となる位置において、x軸方向にずらして配置されている。導体134は、検出素子131の真下に配置され、導体133,135は、検出素子101の真下よりもx軸の負方向および正方向にずれた位置に配置されている。導体133~135は、検出素子131の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置されている。なお、第1方向および第2方向に垂直なy軸方向は、導体133~135の通電方向である。
【0052】
図3(b)に示すように、導体133は、x軸方向の負方向において切り欠きが設けられた略U字状であり、y軸方向の両端部133a,133cと、y軸方向において両端部133a、133cの間に位置する中央部133bとを備えている。中央部133bのx軸方向の幅は、両端部133a,133cのx軸方向の幅よりも狭い。
【0053】
導体134は、x軸方向の負方向および正方向において切り欠きが設けられた略I字状であり、y軸方向の両端部134a,134cと、y軸方向において両端部134a、134cの間に位置する中央部134bとを備えている。中央部134bのx軸方向の幅は、両端部134a,134cのx軸方向の幅よりも狭い。
【0054】
導体135は、x軸方向の正方向において切り欠きが設けられた略U字状であり、y軸方向の両端部135a,135cと、y軸方向において両端部135a、135cの間に位置する中央部135bとを備えている。中央部135bのx軸方向の幅は、両端部135a,135cのx軸方向の幅よりも狭い。導体133~135に示すように、切り欠きは、検出素子131からより遠い側に設けることが好ましい。
【0055】
そして、導体134の中央部134bのx軸方向の幅は、導体133,135の中央部133b,135bのx軸方向の幅よりも広い。導体133~135は、z軸方向の厚みは同じであるため、導体134の中央部134bにおけるV相電流の流れ方向の断面積は、導体133,135の中央部133b,135bにおけるU相電流およびW相電流の流れ方向の断面積よりも広い。
【0056】
すなわち、導体133~135は、導体電流の流れ方向(y軸方向)の両端部133a,133c,134a,134c,135a,135cの第2方向(x軸方向)の幅よりも中央部133b,134b,135bの第2方向の幅が狭くなっている。また、導体134は、検出素子131との第2方向の距離が近い近横位置導体に相当し、導体133,135は、近横位置導体よりも検出素子131との第2方向の距離が遠い遠横位置導体に相当する。そして、近横位置導体に相当する導体134の中央部134bは、遠横位置導体に相当する133,135の中央部133b,135bよりも第2方向の幅が広いことにより、導体電流の流れ方向の断面積が大きい。
【0057】
検出素子131は、U相電流によって発生するU相磁束、V相電流によって発生するV相磁束、W相電流によって発生するW相磁束を感知し、U相電流、V相電流、W相電流を一括して検出する。検出素子131は、x軸の正方向の磁束M31,M32を感知する。図5(b)に示すように、検出素子131と、3つの導体133~135のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体133~135の形状を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体134に流れるV相電流と磁束M31との対応関係と、導体133,135にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束M32との対応関係とを略等価にすることができる。
【0058】
磁束密度は、導体133~135と検出素子131との距離の2乗に反比例するため、この距離の相違による磁束密度の相違を打ち消すように、導体電流の流れ方向の断面積を設計することが好ましい。例えば、検出素子131と導体134との距離を基準として、検出素子131と導体133との距離がRu倍、検出素子131と導体135との距離がRw倍である場合には、U相電流の流路断面積Suは、Su×Ru^2=Sv、W相電流の流路断面積Swは、Sw×Rw^2=Svにより、算出できる。なお、Ru^2は、Ruの2乗であり、Rw^2は、Rwの2乗である。
【0059】
上記のとおり、電流センサ130は、一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続された3つの導体133~135と、導体133~135にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、3つの導体133~135に流れる電流を一括して検出する1つの検出素子131とを備える。電流センサ130においては、検出素子131と、3つの導体133~135のそれぞれとの位置関係に基づいて、3つの導体133~135のそれぞれの形状および大きさが設計されている。このように設計された3つの導体133~135の組合せは、導体電流と、検出素子131が感知する導体磁束との対応関係が略等価となるように3つの導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構として機能する。このため、各導体133~135と、検出素子131との位置関係等により、各導体133~135に流れる電流と、検出素子131が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができる。その結果、電流センサ130によれば、導体133~135に流れる電流を一括して1つの検出素子131により高精度に検出できる。
【0060】
電流センサ130のように、導体133~135が、検出素子131の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置されている場合には、図5に示すように設計された導体133~135の組合せを採用できる。これにより、検出素子131に近い導体134に流れるV相電流の流れ方向の断面積を、検出素子131から遠い導体133,135に流れるU相電流、W相電流の流れ方向の断面積よりも広くすることができる。その結果、各導体133~135に流れる電流と、検出素子131が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができ、導体133~135に流れる電流を一括して1つの検出素子131により高精度に検出できる。
【0061】
(変形例)
なお、図6に示す電流センサ140のように、導体144が導体143,145よりも下方に配置され、z軸方向に見ると導体144の一部と、導体143,145の一部とが重なっている場合にも、第3実施形態に係る技術を適用できる。すなわち、導体144は、導体134と同様の略I字状とし、導体143,145は略U字状とし、検出素子131と各導体133~135の距離の2乗に基づいて、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体144に流れるV相電流と磁束との対応関係と、導体143,145にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束との対応関係とを略等価にすることができる。
【0062】
(第4実施形態)
図7に、第4実施形態に係る電流センサ150を示す。電流センサ150は、検出素子151と、複数の導体153~155と、回路基板156と、ケーシング157とを備えている。電流センサ150は、導体153~155が検出素子151に対してz軸の負方向となる位置においてz軸方向にずらして配置されている点、および、導体153~155が互いに相違している点において、電流センサ130と相違している。その他の構成については、電流センサ130と同様であるため、図5に130番台で示す各構成を150番台に読み替えることにより、図7に示す各構成の説明を省略する。
【0063】
3つの導体153~155は、検出素子151に対してz軸の負方向となる位置において、z軸方向にずらして配置されている。導体153~155は、検出素子151の真下において、検出素子151に近い側から遠い側に向かって、導体153,導体154,導体155の順序で配置されている。導体153~155は、検出素子151の第1方向となる位置で、第1方向に互いにずらして配置されているといえる。なお、第1方向および第2方向に垂直なy軸方向は、導体153~155の通電方向である。
【0064】
導体153~155は、導体134と同様に、x軸方向の負方向および正方向において切り欠きが設けられた略I字状である。その中央部153b,154b,155bのx軸方向の幅は、両端部153a,153c,154a,154c,155a,155cのx軸方向の幅よりも狭い。そして、中央部のx軸方向の幅は、中央部155b,中央部154b、中央部153bの順序で広くなっている。
【0065】
すなわち、導体153~155は、検出素子151の第1方向となる位置で、第1方向に互いにずらして配置された複数の導体の組合せに相当する。導体153~155は、導体電流の流れ方向の両端部153a,153c,154a,154c,155a,155cの第2方向の幅よりも中央部153b,154b,155bの第2方向の幅が狭くなっている。また、導体153は、検出素子151との第1方向の距離が近い近縦位置導体に相当し、導体154,155は、近縦位置導体よりも検出素子151との第1方向の距離が遠い遠縦位置導体に相当する。そして、近縦位置導体に相当する導体153の中央部153bは、遠縦位置導体に相当する154,155の中央部154b,155bよりも第2方向の幅が広いことにより、導体電流の流れ方向の断面積が大きい。
【0066】
第3実施形態と同様に、中央部153b,154b,155bのx軸方向の幅は、導体153~155と検出素子151との距離の2乗に基づいて設計できる。例えば、検出素子151と導体153との距離を基準として、検出素子151と導体154との距離がRv倍、検出素子151と導体155との距離がRw倍である場合には、V相電流の流路断面積Svは、Sv×Rv^2=Su、W相電流の流路断面積Swは、Sw×Rw^2=Suにより、算出できる。
【0067】
上記のとおり、電流センサ150における3つの導体153~155の組合せは、導体電流と、検出素子151が感知する導体磁束との対応関係が略等価となるように3つの導体のうちの少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する磁束補正機構として機能する。このため、導体153~155に流れる電流を一括して1つの検出素子151により高精度に検出できる。
【0068】
電流センサ150のように、導体153~155が、検出素子151の第1方向となる位置で、第1方向に互いにずらして配置されている場合には、図5に示すように設計された導体153~155の組合せを採用できる。これにより、検出素子151に近い導体153に流れるU相電流の流れ方向の断面積を、検出素子151から遠い導体154,155に流れるV相電流、W相電流の流れ方向の断面積よりも広くすることができる。その結果、各導体153~155に流れる電流と、検出素子151が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができ、導体153~155に流れる電流を一括して1つの検出素子151により高精度に検出できる。
【0069】
(第5実施形態)
図8に、第5実施形態に係る電流センサ160を示す。電流センサ160は、検出素子161と、複数の導体163~165と、回路基板166と、ケーシング167とを備えている。導体163~165は、yz平面を平面方向とする平板状である点、および、導体163~165がいずれも略U字状である点において、図5に示す電流センサ130と相違している。その他の構成については、電流センサ130と同様であるため、図5に130番台で示す各構成を160番台に読み替えることにより、図7に示す各構成の説明を省略する。
【0070】
導体163~165は、検出素子161の第1方向(z軸方向)となる位置で、第2方向(x軸方向)に互いにずらして配置されている。なお、第1方向および第2方向に垂直なy軸方向は、導体163~165の通電方向である。
【0071】
導体163~165は、z軸方向の負方向において切り欠きが設けられた略U字状である。その中央部163b,164b,165bのz軸方向の幅は、両端部163a,163c,164a,164c,165a,165cのz軸方向の幅よりも狭い。そして、中央部164bのz軸方向の幅は、中央部163b,165bよりも広い。導体163~165は、x軸方向の厚みは同じであるため、導体164の中央部164bにおけるV相電流の流れ方向の断面積は、導体163,165の中央部163b,165bにおけるU相電流およびW相電流の流れ方向の断面積よりも広い。
【0072】
検出素子161は、U相電流によって発生するU相磁束、V相電流によって発生するV相磁束、W相電流によって発生するW相磁束を感知し、U相電流、V相電流、W相電流を一括して検出する。検出素子161は、x軸の正方向の磁束M11,M12を感知する。
【0073】
第3実施形態と同様に、検出素子161と各導体163~165の距離の2乗に基づいて、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体164に流れるV相電流と磁束との対応関係と、導体163,165にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束との対応関係とを略等価にすることができる。
【0074】
上記のとおり、導体163~165は、検出素子161の第1方向となる位置で、第2方向に互いにずらして配置された複数の導体の組合せに相当する。導体163~165は、導体電流の流れ方向の両端部163a,163c,164a,164c,165a,165cの第1方向の幅よりも中央部163b,164b,165bの第1方向の幅が狭くなっている。また、導体164は、検出素子161との第2方向の距離が近い近横位置導体に相当し、導体163,165は、近横位置導体よりも検出素子161との第2方向の距離が遠い遠横位置導体に相当する。そして、近横位置導体に相当する導体164の中央部164bは、遠横位置導体に相当する163,165の中央部163b,165bよりも第1方向の幅が広いことにより、導体電流の流れ方向の断面積が大きい。
【0075】
電流センサ160のように、導体163~165がyz平面を平面方向とする平板状である場合には、z軸方向に切り欠きを設けて、中央部163b,164b,165bを調整するように設計された導体163~165の組合せを採用できる。これにより、検出素子161に近い導体164に流れるV相電流の流れ方向の断面積を、検出素子161から遠い導体163,165に流れるU相電流、W相電流の流れ方向の断面積よりも広くすることができる。その結果、各導体163~165に流れる電流と、検出素子161が感知する磁束との対応関係が相違することを緩和することができ、導体163~165に流れる電流を一括して1つの検出素子161により高精度に検出できる。
【0076】
(第6実施形態)
図9に、第6実施形態に係る電流センサ170を示す。電流センサ170は、検出素子171と、複数の導体173~175と、回路基板176と、ケーシング177とを備えている。導体173~175は、導体173~175のx軸方向の幅全体を変えている点において、図5に示す電流センサ130と相違している。その他の構成については、電流センサ130と同様であるため、図5に130番台で示す各構成を170番台に読み替えることにより、図9に示す各構成の説明を省略する。
【0077】
第3実施形態と同様に、検出素子171と、3つの導体173~175のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体173~175のx軸方向の幅を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体174に流れるV相電流と磁束M71との対応関係と、導体173,175にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束M72との対応関係とを略等価にすることができる。
【0078】
(第7実施形態)
図10に、第7実施形態に係る電流センサ180を示す。電流センサ180は、検出素子181と、複数の導体183~185と、回路基板186と、ケーシング187とを備えている。導体183~185は、導体183~185のx軸方向の幅全体を変えている点において、図7に示す電流センサ150と相違している。その他の構成については、電流センサ150と同様であるため、図7に150番台で示す各構成を180番台に読み替えることにより、図10に示す各構成の説明を省略する。
【0079】
第4実施形態と同様に、検出素子181と、3つの導体183~185のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体183~185のx軸方向の幅を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体183に流れるU相電流と磁束M81との対応関係と、導体184,185にそれぞれ流れるV相電流、W相電流と磁束M82との対応関係とを略等価にすることができる。
【0080】
(変形例)
図11に、変形例に係る電流センサ190を示す。電流センサ190は、検出素子191と、複数の導体193~195と、回路基板196と、ケーシング197とを備えている。導体193~195は、z軸方向の幅全体を変えている点において、図8に示す電流センサ160と相違している。その他の構成については、電流センサ160と同様であるため、図8に160番台で示す各構成を190番台に読み替えることにより、図11に示す各構成の説明を省略する。
【0081】
第5実施形態と同様に、検出素子191と、3つの導体193~195のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体193~195のz軸方向の幅を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体194に流れるV相電流と磁束Mとの対応関係と、導体193,195にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束Mとの対応関係とを略等価にすることができる。
【0082】
(第8実施形態)
図12に、第8実施形態に係る電流センサ200を示す。電流センサ200は、検出素子201と、複数の導体203~205と、回路基板206と、ケーシング207とを備えている。導体203~205は、x軸方向に替えて、z軸方向の幅全体を変えている点において、図9に示す電流センサ170と相違している。その他の構成については、電流センサ170と同様であるため、図9に170番台で示す各構成を200番台に読み替えることにより、図12に示す各構成の説明を省略する。
【0083】
第6実施形態と同様に、検出素子201と、3つの導体203~205のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体203~205のz軸方向の幅を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体204に流れるV相電流と磁束Mとの対応関係と、導体203,205にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束Mとの対応関係とを略等価にすることができる。
【0084】
(第9実施形態)
図13に、第9実施形態に係る電流センサ210を示す。電流センサ210は、検出素子211と、複数の導体213~215と、回路基板216と、ケーシング217とを備えている。導体213~215は、x軸方向に替えて、z軸方向の幅を変えている点において、図10に示す電流センサ180と相違している。その他の構成については、電流センサ180と同様であるため、図10に180番台で示す各構成を210番台に読み替えることにより、図13に示す各構成の説明を省略する。
【0085】
第7実施形態と同様に、検出素子211と、3つの導体213~215のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体213~215のz軸方向の幅を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体213に流れるU相電流と磁束M111との対応関係と、導体214,215にそれぞれ流れるV相電流、W相電流と磁束M112との対応関係とを略等価にすることができる。
【0086】
(変形例)
図14に、変形例に係る電流センサ220を示す。電流センサ220は、検出素子221と、複数の導体223~225と、回路基板226と、ケーシング227とを備えている。導体223~225は、yz平面を平面方向とする平板状である点、および、z軸方向に替えて、x軸方向の幅を変えている点において、図12に示す電流センサ200と相違している。その他の構成については、電流センサ200と同様であるため、図12に200番台で示す各構成を220番台に読み替えることにより、図14に示す各構成の説明を省略する。
【0087】
第8実施形態と同様に、検出素子221と、3つの導体223~225のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体223~225のx軸方向の幅を設計し、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することにより、導体224に流れるV相電流と磁束Mとの対応関係と、導体223,225にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束Mとの対応関係とを略等価にすることができる。
【0088】
(変形例)
図15に、変形例に係る電流センサ230を示す。電流センサ230は、検出素子231と、複数の導体233~235と、回路基板236と、ケーシング237とを備えている。導体233~235は、図5に示す電流センサ130と同様に導体233~235の形状を変更している点において、図12に示す電流センサ200と相違している。その他の構成については、電流センサ200と同様であるため、図12に200番台で示す各構成を230番台に読み替えることにより、図14に示す各構成の説明を省略する。
【0089】
電流センサ230は、第3実施形態に係る技術と、第8実施形態に係る技術とを併せて適用した技術に関する。検出素子231と、3つの導体233~235のそれぞれとの位置関係に基づいて、導体233~235のz軸方向の幅を設計し、その中央部におけるx軸方向の幅を設計して、U相電流、V相電流、W相電流の流れ方向の断面積を調整することができる。これにより、導体234に流れるV相電流と磁束Mとの対応関係と、導体233,235にそれぞれ流れるU相電流、W相電流と磁束Mとの対応関係とを略等価にすることができる。
【0090】
なお、上記の各実施形態において、磁束補正機構としての複数の導体の組合せについて説明したが、磁束補正機構としての機能を有するためには、複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの導体磁束について、磁束密度、磁束の向き、および検出素子との距離との少なくともいずれか一方を補正するものであればよい。また、複数の導体は、3つの導体に限定されず、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0091】
また、図15において具体例を挙げたように、上記に説明した各実施形態は、適宜、組み合わせて用いることができる。例えば、磁束補正機構として、磁性体の配置と、導体の組合せとの双方を備えた電流センサであってもよい。
【0092】
上記の各実施形態によれば、下記の効果を得ることができる。
【0093】
電流センサは、複数の導体と、1つの検出素子と、磁束補正機構とを備える。複数の導体は、一端が駆動回路に導通接続され、他端が回転電機に導通接続されている。検出素子は、複数の導体にそれぞれ流れる導体電流によってそれぞれ発生する導体磁束を感知して、複数の導体に流れる電流を一括して検出する。磁束補正機構は、検出素子と、複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて、複数の導体のそれぞれにおいて、導体電流と、検出素子が感知する導体磁束との対応関係が略等価となるように複数の導体のうちに少なくともいずれか1つについて導体磁束を補正する。各導体と、検出素子との位置関係等により、各導体に流れる電流と、検出素子が感知する磁束との対応関係が相違することを、磁束補正機構により緩和することができる。その結果、複数の導体に流れる電流を一括して1つの検出素子により高精度に検出する電流センサを提供できる。
【0094】
磁束補正機構は、検出素子と、複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された磁性体の配置(例えば、磁性体102a~102c,112a~112c,122a,122bの配置)を含んでいてもよい。このような磁性体の配置は、複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの導体磁束について、磁束密度と磁束の向きとの少なくともいずれか一方を補正するように構成されていることが好ましい。磁性体の配置により、低磁気抵抗の閉回路が構成され、複数の導体に流れる導体電流と磁束との対応関係を、それぞれ略等価にすることができる。
【0095】
磁束補正機構は、検出素子と、複数の導体のそれぞれとの位置関係に基づいて設計された複数の導体の組合せ(例えば、導体133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235の組合せ)を含んでいてもよい。このような複数の導体の組合せは、複数の導体のうちの少なくともいずれか1つの導体磁束について、磁束密度、磁束の向き、および検出素子との距離との少なくともいずれか一方を補正するように構成されていることが好ましい。例えば、複数の導体と検出素子との距離に基づいて設計した複数の導体の形状や大きさの組合せにより、複数の導体に流れる導体電流の流れ方向の断面積を調整することにより、複数の導体に流れる導体電流と磁束との対応関係を、それぞれ略等価にすることができる。
【0096】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0097】
100,110,120,130,140,150,160,170,180,190,200,210,220,230…電流センサ、103~105,113~115,123~125,133~135,143~145,153~155,163~165,173~175,183~185,193~195,203~205,213~215,223~225,233~235…導体、101,111,121,131,141,151,161,171,181,191,201,211,221,231…検出素子、102a~102c,112a~112c,122a,122b…磁性体
図1
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