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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/25 20180101AFI20240403BHJP
   F25C 1/147 20180101ALI20240403BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F25C1/25 D
F25C1/147 Z
F25D11/00 102J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020137336
(22)【出願日】2020-08-17
(65)【公開番号】P2022033449
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】田代 秀行
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2120039(KR,B1)
【文献】特開2020-020562(JP,A)
【文献】特開2007-003062(JP,A)
【文献】特開2020-020561(JP,A)
【文献】特開2016-006376(JP,A)
【文献】米国特許第05484538(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0075068(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第102735652(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 - 5/20
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を凍結させて氷を生成する製氷部と、
内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンクであって、使用者が氷を取り出すことができる貯氷タンクと、
前記製氷部と前記貯氷タンクとを繋ぐ形で設けられ、前記製氷部から前記貯氷タンクの内部に移動する氷の通路をなす通路部であって、前記製氷部の上部から前記貯氷タンクに向かって側方に延出する通路部と、
前記通路部の延出端側に位置する前記貯氷タンクに設けられ、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置と、を備え、
前記通路部の延出端部は、前記貯氷タンクの内部に向かって開口した開口部を備え、
前記UV殺菌装置は、
前記貯氷タンクにおいて、前記貯氷タンクの内部空間を介して前記開口部と対向する位置に配されており、
前記貯氷タンク内、及び前記通路部内を照射可能とされ、その紫外線照射範囲が前記貯氷タンクの内部側の壁部、及び前記通路部を移動する氷の移動途上を含むことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記貯氷タンクは、前記内部側の前記壁部が紫外線を反射する構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
水を凍結させて氷を生成する製氷部と、
内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンクと、
前記製氷部と前記貯氷タンクとを繋ぐ形で設けられ、前記製氷部から前記貯氷タンクの内部に移動する氷の通路をなす通路部と、
紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置と、を備え、
前記UV殺菌装置は、その紫外線照射範囲が、少なくとも前記通路部を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されており、
前記製氷部は、生成した氷を前記通路部に排出する開口をなす排出口部を備え、
前記UV殺菌装置は、前記通路部において、前記排出口部に臨んだ位置に配されており、
前記排出口部は、
生成した氷を回転により切断するカッタと、
前記カッタに設けられ、紫外線を反射する反射部と、を備えることを特徴とする製氷機。
【請求項4】
水を凍結させて氷を生成する製氷部と、
内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンクと、
前記製氷部と前記貯氷タンクとを繋ぐ形で設けられ、前記製氷部から前記貯氷タンクの内部に移動する氷の通路をなす通路部と、
紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置と、を備え、
前記UV殺菌装置は、その紫外線照射範囲が、少なくとも前記通路部を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されており、
前記製氷部は、生成した氷を前記通路部に排出する開口をなす排出口部を備え、
前記UV殺菌装置は、前記通路部において、前記排出口部に臨んだ位置に配されており、
前記通路部は、前記UV殺菌装置と前記排出口部との間において、当該通路部の内部側の壁面から立ち上がった立上部を備えることを特徴とする製氷機。
【請求項5】
前記排出口部は、生成した氷を分割する複数の分割部を備え、
前記UV殺菌装置は、前記通路部において、複数の前記分割部に臨んだ位置に配されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の製氷機。
【請求項6】
水を凍結させて氷を生成する製氷部と、
内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンクと、
前記製氷部と前記貯氷タンクとを繋ぐ形で設けられ、前記製氷部から前記貯氷タンクの内部に移動する氷の通路をなす通路部と、
紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置と、を備え、
前記UV殺菌装置は、その紫外線照射範囲が、少なくとも前記通路部を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されており、
前記製氷部は、生成した氷を前記通路部に排出する開口をなす排出口部を備え、
前記UV殺菌装置は、前記通路部において、前記排出口部に臨んだ位置に配されており、
前記排出口部は、その一部が、気体流路の開口をなす気体流通口部とされ、
前記UV殺菌装置は、前記通路部において、前記気体流通口部に臨んだ位置に配されていることを特徴とする製氷機。
【請求項7】
水を凍結させて氷を生成する製氷部と、
内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンクと、
前記製氷部と前記貯氷タンクとを繋ぐ形で設けられ、前記製氷部から前記貯氷タンクの内部に移動する氷の通路をなす通路部と、
紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置と、を備え、
前記UV殺菌装置は、その紫外線照射範囲が、少なくとも前記通路部を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されており、
前記通路部は、上下方向に延在し、前記製氷部側から前記貯氷タンクの内部に落下する氷の通路をなす上下通路部を備え、
前記上下通路部には、前記UV殺菌装置と、前記UV殺菌装置に対向する位置に配され、紫外線を検知可能なUV検知装置と、が設けられていることを特徴とする製氷機。
【請求項8】
前記上下通路部は、その外部側に窪んだ窪部を備え、
前記UV殺菌装置または前記UV検知装置は、前記窪部に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の製氷機。
【請求項9】
前記通路部には、貯氷タンクの内部に貯蔵された氷を検知する氷検知装置が設けられていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製氷機として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的には、蒸発器プレートを有する蒸発器と、氷を形成するために分配器水を蒸発器プレートに分配する分配器と、分配器水および水源からの源水を受け取る水溜めと、氷片を受けるアイスシュートと、を備えた製氷機が記載されている。また、特許文献1には、水溜め、分配器および蒸発器プレートを含む食物ゾーンに微生物が入り込むのを防止するために、製氷機が、膜濾過、銀イオン、抗菌剤、オゾン及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される微生物制御部を備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-6376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の製氷機は、菌(微生物)が外部から侵入することに対処するものであり、製氷された氷が移動する通路となる部分や貯蔵される部分等、製氷機の内部において菌が繁殖することを抑制できるとは言い難い。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、菌の繁殖を抑制して衛生的な氷を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、製氷機であって、水を凍結させて氷を生成する製氷部と、内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンクと、前記製氷部と前記貯氷タンクとを繋ぐ形で設けられ、前記製氷部から前記貯氷タンクの内部に移動する氷の通路をなす通路部と、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置と、を備え、前記UV殺菌装置は、その紫外線照射範囲が、少なくとも前記通路部を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されていることに特徴を有する。
【0007】
このような製氷機によると、製氷部で生成された氷は、製氷部から通路部を経て貯氷タンクの内部に移動する途上において、UV殺菌装置から照射される紫外線によって殺菌されることとなる。これにより、衛生的な氷を貯氷タンクの内部に貯蔵しつつ使用者に提供することができる。
【0008】
また、上記構成において、前記通路部は、前記貯氷タンクの内部に向かって開口した開口部を備え、前記UV殺菌装置は、前記貯氷タンクにおいて、前記開口部に臨んだ位置に配されていることとすることができる。
【0009】
このような製氷機によると、貯氷タンク側から開口部を通して通路部の内部に紫外線を照射することができるので、通路部において貯氷タンク側に移動する氷を効果的に殺菌することができる。また、使用者が貯氷タンクからスコップ等で氷を取り出す場合は、貯氷タンクに貯蔵された氷、貯氷タンクの内部、及び貯氷タンクに繋がる通路部に菌が発生しやすい。しかしながら、上記のような製氷機によると、貯氷タンクに貯蔵された氷、通路部、及び貯氷タンクの内部自体を殺菌し、衛生的な状態が保たれた氷を提供することができる。
【0010】
また、上記構成において、前記貯氷タンクは、内部側の壁部が紫外線を反射する構成とされ、前記UV殺菌装置は、その紫外線照射範囲が、前記貯氷タンクの内部側の前記壁部を含むこととなるように配されていることとすることができる。
【0011】
このような製氷機によると、UV殺菌装置から照射された紫外線が貯氷タンクの内部側の壁部に反射し、貯氷タンクの内部の隅々まで紫外線が届くことができる。例えば、貯氷タンクの内部において、洗浄液を噴射する噴射ノズル等の構造物が配されていた場合に、当該噴射ノズルのUV殺菌装置とは反対側の部分に紫外線を届けることができ、好適である。
【0012】
また、上記構成において、前記製氷部は、生成した氷を前記通路部に排出する開口をなす排出口部を備え、前記UV殺菌装置は、前記通路部において、前記排出口部に臨んだ位置に配されていることとすることができる。このような製氷機によると、UV殺菌装置から照射された紫外線が排出口部を通して製氷部の内部に届くことができ、効果的に殺菌することができる。
【0013】
また、上記構成において、前記排出口部は、生成した氷を分割する複数の分割部を備え、前記UV殺菌装置は、前記通路部において、複数の前記分割部に臨んだ位置に配されていることとすることができる。このような製氷機によると、UV殺菌装置から照射された紫外線が分割部同士の間を通して製氷部の内部に届くことができ、効果的に殺菌することができる。
【0014】
また、上記構成において、前記排出口部は、生成した氷を回転により切断するカッタと、前記カッタに設けられ、紫外線を反射する反射部と、を備えることとすることができる。このような製氷機によると、UV殺菌装置から照射された紫外線が、カッタとともに回転する反射部によって反射し、多方向に拡散することができる。これにより、排出口部や通路部等の内部の比較的広範囲に紫外線を届けることができる。
【0015】
また、上記構成において、前記通路部は、前記UV殺菌装置と前記排出口部との間において、当該通路部の内部側の壁面から立ち上がった立上部を備えることとすることができる。このような製氷機によると、排出口部から排出された氷がスパウトの内部を移動するときに砕けて飛散する微細な氷や水を、立上部で防ぐことができるので、このような微細な氷や水がUV殺菌装置に付着することで紫外線が十分に照射されずに殺菌効果が低下することを抑制することができる。
【0016】
また、上記構成において、前記排出口部は、その一部が、気体流路の開口をなす気体流通口部とされ、前記UV殺菌装置は、前記通路部において、前記気体流通口部に臨んだ位置に配されていることとすることができる。製氷機には、氷が製氷部から通路部に向かう通路とは異なり、気体が製氷部と通路部とを流通可能な気体流路が設けられる場合があり、当該気体流路の内部に菌が発生することが懸念される。しかしながら、上記のような製氷機によると、UV殺菌装置から照射された紫外線が、気体流通口部を通してこのような気体流路の内部に届くことができるので、好適である。
【0017】
また、上記構成において、前記通路部は、上下方向に延在し、前記製氷部側から前記貯氷タンクの内部に落下する氷の通路をなす上下通路部を備え、前記上下通路部には、前記UV殺菌装置と、前記UV殺菌装置に対向する位置に配され、紫外線を検知可能なUV検知装置と、が設けられていることとすることができる。このような製氷機によると、上下通路部において落下する氷をUV殺菌装置によって殺菌しつつ、UV検知装置によってその氷の落下を検知することができる。これにより、例えば、貯氷タンクに氷が過剰に貯氷されている状態や、氷が上下通路部を落下できていない状態等、異常な状態であるか否かを判定することができる。
【0018】
また、上記構成において、前記上下通路部は、その外部側に窪んだ窪部を備え、前記UV殺菌装置または前記UV検知装置は、前記窪部に設けられていることとすることができる。このような製氷機によると、上下通路部を氷が落下するときに微細な氷や水が飛散し、
UV殺菌装置またはUV検知装置に付着することで紫外線が十分に照射または検知されずに各装置の作動が阻害されることを抑制することができる。
【0019】
また、上記構成において、前記通路部には、貯氷タンクの内部に貯蔵された氷を検知する氷検知装置が設けられていることとすることができる。このような製氷機によると、貯氷タンクに氷が過剰に貯氷されている状態等、異常な状態であるか否かをより精確に判定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、菌の繁殖を抑制して衛生的な氷を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態1に係る製氷機の構成を概略的に示すブロック図
図2】製氷機の構成を概略的に示す説明図
図3】通路部付近を拡大した断面図
図4】実施形態2に係る製氷機を示す説明図
図5】製氷部と通路部を示す断面図
図6】排出口部を直上から視た図(図5のVI-VI線断面)
図7】変形例1に係る製氷機において、スパウト付近を拡大した断面図
図8】変形例2に係る製氷機において、スパウト付近を拡大した断面図
図9】変形例3に係る製氷機において、スパウトと製氷部の一部を拡大した断面図
図10】実施形態3に係る製氷機を示す説明図
図11】変形例4に係る製氷機を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図3によって説明する。本実施形態では、オーガ式の製氷機10について例示する。図1及び図2に示すように、製氷機10は、製氷部20と、冷凍回路40と、貯水タンク60と、貯氷タンク70と、制御部80と、を備える。製氷部20は、貯水タンク60から供給された製氷水(水)を貯留する貯水部Sを有し、その貯水部Sに貯められた製氷水を冷凍回路40によって凍結させて氷を生成する。生成された氷は、通路部50を通って貯氷タンク70に送られ、貯氷タンク70の内部に貯蔵される。製氷部20の貯水部Sは、貯水タンク60との間を接続する供給路30を介して、貯水タンク60の流出部63から流出した製氷水の供給を受ける。また、貯水部Sは、供給路30とは別に設けられ、貯水タンク60との間を接続する回収路31を介して、当該貯水部Sで製氷されなかった製氷水の一部を貯水タンク60へ再び流入させる。回収路31は、供給路30とは異なる流路となる。回収路31には、ポンプ装置32が設けられており、そのポンプ装置32の駆動によって、貯水部Sの製氷水が貯水タンク60に送られる。尚、供給路30、回収路31及びポンプ装置32を、循環機構33と呼ぶ。制御部80は、CPU,RAM,ROM等を有するコンピュータを主体として構成され、製氷部20、冷凍回路40、ポンプ装置32、及び後述するUV殺菌装置73等の作動を制御する。
【0023】
貯水タンク60は、製氷水としての水道水が内部に流入する流入部61と、内部に貯蔵された製氷水が外部に排水される排水部62と、供給路30に繋がり、内部に貯蔵された製氷水が製氷部20に流出する流出部63と、を備える。また、貯水タンク60は、内部に貯蔵された製氷水に紫外線を照射して殺菌する貯水タンク側UV殺菌装置64と、内部に貯蔵された製氷水の水位を検知する超音波センサ65と、を備える。排水部62の下端には、第1排水管66が接続されている。一方、貯氷タンク70の底面を構成する底壁部70Bには、貯氷タンク70の内部に貯蔵された氷が融解して生じた水を排水する第2排水管67が接続されている。第1排水管66と第2排水管67は、製氷機10の内部において合流し、その途中に設けられた逆止弁トラップ69を通過して外部に排水される。逆止弁トラップ69は、排水や気体が貯水タンク60および貯氷タンク70に逆流することを防止し、製氷機10の内部において異臭や細菌等が発生することを防止することができる。
【0024】
製氷部20は、氷を生成する主体となる製氷機構20Aと、その製氷機構20Aを駆動する駆動部20Bと、製氷機構20Aと駆動部20Bとを機械的に連結して駆動部20Bの駆動力を製氷機構20Aに伝達する連結部20Cと、を備える。図2及び図3に示すように、製氷機構20Aは、シリンダ(製氷筒、冷却筒)21と、オーガ22と、成型部材(固定刃、圧縮ヘッド)23と、断熱材24と、を備える。シリンダ21は、金属(例えばステンレス鋼)製で円筒状をなしており、その外周面に冷凍回路40を構成する蒸発管44が巻き回されている。シリンダ21において蒸発管44より下側の側壁には、給水口21Aおよび排水口21Bが設けられている。供給路30から供給される製氷水は、給水口21Aからシリンダ21内に給水される。また、シリンダ21内の製氷水は排水口21Bからシリンダ21外へ排出される。断熱材24は、蒸発管44の外面を覆っており、冷却効果を高めている。
【0025】
冷凍回路40は、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張弁43と、蒸発管44と、を備え、これらが冷媒管45によって連結されて構成されている。圧縮機41は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器42は、圧縮した冷媒ガスをファン46の送風により冷却して液化させる。膨張弁43は、液化した冷媒を膨張させる。蒸発管44は、膨張弁43によって膨張された冷媒を気化させて、シリンダ21を冷却する。そして、冷凍回路40は、シリンダ21の内周面に、製氷水を凍結させて氷を付着させる。また、冷凍回路40は、ドライヤ47と、温度センサ48と、をさらに備える。ドライヤ47は、冷凍回路40に混入した水分を除去する。温度センサ48は、凝縮器42とドライヤ47との間に設けられており、冷媒の温度を検出する。
【0026】
製氷機構20Aを構成するオーガ22は、上下方向に延びる棒状をなし、シリンダ21の内部空間に挿入されている。オーガ22は、外周面において螺旋状をなす削氷刃22Aを備える。削氷刃22Aは、オーガ22の棒状の本体からシリンダ21の内面21Fに向かって突出しており、その突出長は、シリンダ21の内面21Fに僅かに到達しない程度とされる。削氷刃22Aは、回転してシリンダ21の内面21Fに付着した氷を削り取ることができる。
【0027】
成型部材23は、シリンダ21の内部の上側に固定されている。成型部材23は、略筒状をなし、オーガ22の上部22Bが内部に挿入され、オーガ22を回転可能に保持している。成型部材23は、外周面に向かって放射状に広がり、上下に延在する板状の複数の分割部23Aを備える。複数の分割部23Aのうち、隣り合う分割部23Aの間の空間は、氷が通過する氷通過経路とされる。削氷刃22Aによって削り取られた氷は、オーガ22の回転によって上方に運搬されて分割部23Aによって分割される。そして、当該氷は、隣り合う分割部23Aの間の空間である氷通過経路に押し込まれ、柱状に圧縮成形されつつ、通路部50に送られる。
【0028】
図3に示すように、通路部50は、製氷部20と貯氷タンク70とを繋ぐ形で設けられた筒状体であり、製氷部20から貯氷タンク70の内部に移動する氷の通路をなしている。通路部50は、製氷部20の上部に繋がるスパウト51と、スパウト51の右側の端部51Rと貯氷タンク70の側壁部70Aとに繋がる連結管52と、を備える。スパウト51は、製氷部20の上部から水平方向における右方(貯氷タンク70側の方向)に延在している。連結管52は、スパウト51の右側の端部51Rの径よりもわずかに大きい径とされ、その左側部分52Lの内部側にスパウト51の右側の端部51Rを嵌合させるとともに、その右側部分52Rを貯氷タンク70の側方の壁部をなす側壁部70Aの上部側(貯氷タンク70の内部における左上側)に貫通させた形をなしている。連結管52の右側部分52Rは、貯氷タンク70の内部に向かって開口した開口部52R1を備える。
【0029】
製氷部20において、成型部材23の上側には、オーガ22と共に同じ回転軸で回転する回転体(カッタ)28が取り付けられている。回転体28には、水平方向に突出した突部29が設けられている。製氷部20は、回転体28がスパウト51の内部に入り込んだ形でスパウト51に繋がっている。分割部23Aの上側部分は、その隣り合う分割部23Aの間の空間(氷通過経路)を通過する柱状の氷をスパウト51の内部に排出する開口をなす排出口部27とされる。排出口部27を経てスパウト51の内部に排出された柱状の氷は、回転するカッタ28の突部29によって所定の長さに切断されるとともに、連結管52を経てその開口部52R1から貯氷タンク70の内部へと順次送り出される。
【0030】
図2及び図3に示すように、貯氷タンク70は、製氷部20の右方に配されている。貯氷タンク70は、側方の壁部をなす側壁部70Aと、下方の壁部であって底面を構成する底壁部70Bと、上方の壁部を構成する上壁部70Cと、を備える。各壁部70A,70B,70Cは、その内部側の表面が例えばアルミニウム等の金属で構成されており、貯氷タンク70の内部において紫外線を反射することができる。底壁部70Bは、第2排水管67に接続する開口をなす底壁口部70B1を備え、その内部側の表面が、底壁口部70B1に向かうほど下方に傾いた斜面状をなしている。
【0031】
上壁部70Cは、貯氷タンク70の内部に貯蔵された氷の高さを超音波で検知する超音波センサ(氷検知装置)71と、菌や汚れ等を洗浄する洗浄液を貯氷タンク70の内部に噴射する噴射ノズル72と、を備えており、当該上壁部の内部側の表面が、噴射ノズル72側に向かうほど上方(外側)に傾いた斜面状をなしている。超音波センサ71は、噴射ノズル72と連結管52の開口部52R1との間に配されている。噴射ノズル72は、その下側部分72Bが半球状をなす断面視かまぼこ状をなしており、自身が回転することで各壁部70A,70B,70Cに洗浄液を噴射して洗浄することができる。噴射ノズル72は、その下側部分72Bが、開口部52R1や後述するUV殺菌装置73の水平方向に位置するように配されており、開口部52R1から連結管52やスパウト51の内部に至るまでと、UV殺菌装置73と、に向けて洗浄液を噴射して洗浄することができる。噴射ノズル72が噴射する洗浄液は、貯水タンク60に貯蔵された製氷水から供給されるものとしてもよい。超音波センサ71の周囲には、上壁部70Cから下方に立ち上がった部分であり、下方から視た場合に超音波センサ71を中心として円形状をなす円形壁部71Cが設けられている。上壁部70Cは、噴射ノズル72から噴射された洗浄液を側壁部70Aに伝わせることができる。
【0032】
側壁部70Aは、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置73を備える。UV殺菌装置73としては、照射する紫外線の波長が253nm~285nmの範囲のものを採用することができる。UV殺菌装置73は、その紫外線照射範囲が、少なくとも通路部50を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されている。具体的には、UV殺菌装置73は、開口部52R1に対向する位置であって、連結管52の開口部52R1及び製氷部20の回転体28の水平方向における右方に設けられている(開口部52R1に臨んだ位置に配されている)。UV殺菌装置73は、スパウト51や連結管52の径の中心(上下方向における中央)の水平方向における右方に設けられているともいえる。また、UV殺菌装置73は、通路部50の内部を移動する氷の進行方向の延長線上に設けられているともいえる。製氷部20の回転体28、超音波センサ71、噴射ノズル72、及びUV殺菌装置73は、紙面奥手前方向における位置が同じ位置となる形で、同一平面上に配されている。UV殺菌装置73は、通路部50の内部、噴射ノズル72、及び各壁部70A,70B,70Cに向けて紫外線を照射する。
【0033】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、水を凍結させて氷を生成する製氷部20と、内部に氷を貯蔵可能な貯氷タンク70と、製氷部20と貯氷タンク70とを繋ぐ形で設けられ、製氷部20から貯氷タンク70の内部に移動する氷の通路をなす通路部50と、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置73と、を備え、UV殺菌装置73は、その紫外線照射範囲が、少なくとも通路部50を移動する氷の移動途上を含むこととなるように配されている、製氷機を示した。
【0034】
このような製氷機によると、製氷部20で生成された氷は、製氷部20から通路部50を経て貯氷タンク70の内部に移動する途上において、UV殺菌装置73から照射される紫外線によって殺菌されることとなる。これにより、衛生的な氷を貯氷タンク70の内部に貯蔵しつつ使用者に提供することができる。
【0035】
また、通路部50は、貯氷タンク70の内部に向かって開口した開口部52R1を備え、UV殺菌装置73は、貯氷タンク70において、開口部52R1に臨んだ位置に配されている。このような製氷機によると、貯氷タンク70側から開口部52R1を通して通路部50の内部に紫外線を照射することができるので、通路部50において貯氷タンク70側に移動する氷を効果的に殺菌することができる。また、使用者が貯氷タンク70からスコップ等で氷を取り出す場合は、貯氷タンク70に貯蔵された氷、貯氷タンク70の内部、及び貯氷タンク70に繋がる通路部50に菌が発生しやすい。しかしながら、上記のような製氷機によると、貯氷タンク70に貯蔵された氷、通路部50、及び貯氷タンク70の内部自体を殺菌し、衛生的な状態が保たれた氷を提供することができる。
【0036】
また、貯氷タンク70は、内部側の壁部が紫外線を反射する構成とされ、UV殺菌装置73は、その紫外線照射範囲が、貯氷タンク70の内部側の壁部70A,70B,70Cを含むこととなるように配されている。このような製氷機によると、UV殺菌装置73から照射された紫外線が貯氷タンク70の内部側の壁部70A,70B,70Cに反射し、例えば、噴射ノズル72のUV殺菌装置73とは反対側の部分等、貯氷タンク70の内部の隅々まで紫外線が届くことができ、好適である。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図4から図6によって説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。図4に示すように、製氷機200は、製氷部220と通路部250とを有する上側部201と、貯氷タンク270を有し、上側部201の下側に設けられた下側部202と、を備え、全体として上下方向を長手とする箱状体をなしている。製氷部220は、氷を生成する主体となる製氷機構220Aと、その製氷機構220Aを駆動する駆動部20Bと、製氷機構220Aと駆動部20Bとを機械的に連結して駆動部20Bの駆動力を製氷機構220Aに伝達する連結部20Cと、を備える。貯氷タンク270は、製氷部220や通路部250の下方に配されている。貯氷タンク270には、生成された氷Iが貯蔵されている。
【0038】
図5に示すように、通路部250は、製氷部220と貯氷タンク270とを繋ぐ形で設けられた筒状体であり、製氷部220から貯氷タンク270の内部に移動する氷の通路をなしている。通路部250は、製氷部220の上部に繋がるスパウト251と、スパウト251の右下側の端部251Rと貯氷タンク270の上側の壁部をなす上壁部270Aとに繋がるシュート(連結管、又は上下通路部ともいう)252と、を備える。シュート252は、製氷部220の右方において、上下方向に延在した形をなしており、その上端部252Aをスパウト251の右下側の端部251Rに嵌合させている。シュート252の下端部252Dは、貯氷タンク270の上側の壁部をなす上壁部270Aに貫通するとともに、貯氷タンク270の内部に向かって開口している。
【0039】
スパウト251は、上側の壁部をなす上壁部251Aと、右側の側壁をなす側壁部251Bと、を備える。また、スパウト251は、上壁部251Aに対向する下側の壁部をなし、製氷部220の排出口部227が繋がった下壁部251Cと、下壁部251Cの右側に配され、側壁部251B側に向かうほど下方に傾いた斜面を構成する斜壁部251Dと、を備える。製氷部220の回転体228と突部229は、下壁部251Cよりも上方に位置しており、スパウト251の内部に入り込んでいる。製氷部220の排出口部227を経てスパウト251の内部に排出された柱状の氷は、回転する回転体228の突部229によって所定の長さに切断され、斜壁部251D上をシュート252側に滑り落ちる。そして当該氷は、シュート252の内部を落下し、貯氷タンク270の内部へ順次送り出される。
【0040】
図6は、排出口部227を直上から視た図であって、複数のUV殺菌装置273を断面で示している。オーガ22の上部22Bは、成形部材223において円環状をなす部分である円環部223Bに挿入されている。円環部223Bは、オーガ22を回転可能に保持している。成形部材223は、円環部223Bから放射状に広がり、紙面奥手前方向(図5では上下方向)に延在する板状の複数の分割部223A(ドットで示す部分)を備える。複数の分割部223Aのうち、隣り合う分割部223Aの間の空間は、氷が通過する氷通過経路Pとされる。排出口部227は、分割部223A及び氷通過経路Pの上側の部分とされ、上方から視た場合に円形状をなしている。図5及び図6に示すように、削氷刃22Aによって削り取られた氷は、オーガ22の回転によって上方に運搬されて分割部223Aによって分割される。そして、当該氷は、隣り合う分割部223Aの間の空間である氷通過経路Pに押し込まれ、柱状に圧縮成形されつつ、排出口部227を経てスパウト251の内部に排出される。
【0041】
上壁部251Aの内面側において、製氷部220の排出口部227の直上となる位置(排出口部227に臨んだ位置)には、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置273が複数設けられている。複数のUV殺菌装置273は、上方から視た場合に、全体として円状になる形で、複数の分割部223A及び複数の氷通過経路Pに重なるように配されている。複数のUV殺菌装置273は、複数の分割部223A及び複数の氷通過経路Pの直上となる位置(臨んだ位置)に配されているともいえる。
【0042】
続いて、本実施形態の効果を説明する。本実施形態において、製氷部220は、生成した氷をスパウト251に排出する開口をなす排出口部227を備え、UV殺菌装置273は、スパウト251において、排出口部227に臨んだ位置に配されている。このような製氷機200によると、UV殺菌装置273から照射された紫外線が排出口部227を通して製氷部220の内部に届くことができ、効果的に殺菌することができる。
【0043】
また、排出口部227は、生成した氷を分割する複数の分割部223Aを備え、UV殺菌装置は、スパウト251において、複数の分割部223Aに臨んだ位置に配されている。このような製氷機200によると、UV殺菌装置273から照射された紫外線が分割部223A同士の間の氷通過経路Pを通して製氷部220の内部に届くことができ、効果的に殺菌することができる。
【0044】
<変形例1>
次に、本発明の変形例1を図7によって説明する。なお、本変形例では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。通路部350のうち、スパウト351の上壁部251Aには、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置373が設けられている。UV殺菌装置373は、下壁部251Cと斜壁部251Dとの間の直上に配されている。また、スパウト351の上壁部251Aには、当該上壁部251Aの内部側の壁面から下方に立ち上がった壁状の立上部374が設けられている。立上部374は、UV殺菌装置373の左側において、UV殺菌装置373と排出口部227との間に配されている。このような製氷機によると、排出口部227から排出された氷がスパウト351の内部を移動するときに砕けて飛散する微細な氷や水を、立上部374で防ぐことができ、このような微細な氷や水がUV殺菌装置373に付着することで紫外線が十分に照射されずに殺菌効果が低下することを抑制することができる。
【0045】
<変形例2>
次に、本発明の変形例2を図8によって説明する。なお、本変形例では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。通路部450のうち、スパウト451の上壁部251Aには、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置473が設けられている。一方、製氷部420において、成形部材223の上側には、オーガ22と共に同じ回転軸で回転し、生成した氷を回転により切断する回転体(カッタ)428が設けられている。回転体428には、アルミニウムなどの金属等からなり、紫外線を反射する反射部429が設けられている。反射部429は、その左右側が非対称な形とされ、回転体428と共に同じ回転軸で回転する。このような製氷機によると、UV殺菌装置473から照射された紫外線が、回転体と共に回転する反射部429によって反射し、多方向に拡散することができる。これにより、排出口部227やスパウト451等の内部の比較的広範囲に紫外線を届けることができる。尚、本変形例では、製氷機は、上記実施形態2と同様に、製氷部420と通路部450の下方に貯氷タンク270が配されている構成とするが、これに限られない。例えば、製氷機は、貯氷タンクが、製氷部の上方に配されており、回転体が貯氷タンクの内部に入り込んでいる構成としてもよい。その場合、UV殺菌装置は、上記実施形態1で示したように、貯氷タンクの内部に設けられていてもよい。
【0046】
<変形例3>
次に、本発明の変形例3を図9によって説明する。なお、本変形例では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。通路部550のうち、スパウト551の上壁部551Aには、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置573が設けられている。一方、製氷部520は、オーガ522の内部を上下方向に連通する管状の気体流路522Cが設けられている。気体流路522Cは、通路部550のスパウト551の内部とシリンダ21の内部とを繋いでおり、その内部を気体が流通することが可能とされる。気体流路522Cは、シリンダ21側に開口をなすシリンダ側開口部522C1と、スパウト551側に開口をなすスパウト側開口部(気体流通口部)522C2と、を備える。スパウト側開口部522C2は、回転体528の水平方向における中央に設けられており、排出口部527の一部をなしている。UV殺菌装置573は、スパウト側開口部522C2の直上となる位置(臨んだ位置)に配されている。このような製氷機によると、UV殺菌装置573から照射された紫外線が、スパウト側開口部522C2を通して気体流路522Cの内部に届くことができ、当該気体流路522Cの内部に繁殖する菌の発生を抑制することができるので、好適である。
【0047】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図10によって説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。製氷機600は、製氷部220と通路部650とを備える上側部601と、貯氷タンク270を有し、上側部601の下側に設けられた下側部202と、を備える。通路部650は、製氷部220の上部に繋がるスパウト651と、スパウト651に繋がるシュート(上下通路部)652と、を備える。シュート652は、製氷部220の右方において、上下方向に延在した形をなしており、その上端部をスパウト651の右下側の端部651Rに嵌合させている。シュート652の下端部652Dは、貯氷タンク270の上側の壁部をなす上壁部270Aに貫通するとともに、貯氷タンク270の内部に向かって開口している。製氷部220を経てスパウト651の内部に排出された柱状の氷は、シュート652の内部を落下し、貯氷タンク270の内部へ順次送り出される。
【0048】
シュート652は、上下方向における中央部分において、製氷部220側(外部側)に凹状に窪んだ窪部653を備える。窪部653には、紫外線を検知するUV検知装置674が設けられている。シュート652の内部側の壁部であってUV検知装置674に対向する位置には、紫外線を照射して氷を殺菌するUV殺菌装置673が設けられている。
【0049】
このような製氷機600によると、シュート652において落下する氷をUV殺菌装置673によって殺菌しつつ、UV検知装置674によってその氷の落下を検知することができる。これにより、例えば、貯氷タンク270に氷が過剰に貯氷されている状態や、氷がシュート652を落下できていない状態等、異常な状態であるか否かを判定することができる。また、窪部653にUV検知装置674が設けられていることにより、シュート652を氷が落下するときに微細な氷や水が飛散し、UV検知装置674に付着することで紫外線が十分に照射または検知されずに各装置の作動が阻害されることを抑制することができる。
【0050】
また、シュート652の下端部652D側には、貯氷タンク270の内部に貯蔵された氷の高さを検知する氷検知装置675が設けられている。このような製氷機600によると、貯氷タンク270に氷が過剰に貯氷されている状態等、異常な状態であるか否かをより精確に判定することができる。
【0051】
尚、上記実施形態以外にも、製氷機は、窪部にUV殺菌装置が配され、当該UV殺菌装置に対向する位置に、UV検知装置が設けられている構成としてもよい。また、上記実施形態以外にも、氷検知装置は、スパウトに設けられていてもよい。さらに、制御部は、貯氷タンクに氷が過剰に貯氷されておらず、製氷部が作動している場合に、UV検知装置が氷の落下を検知していないときは、製氷機の使用者に対しブザーを鳴らす等で異常を知らせるものとしてもよい。
【0052】
<変形例4>
次に、本発明の変形例4を図11によって説明する。なお、本変形例では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。製氷機700は、製氷部220と通路部250とを備える上側部201と、貯氷タンク770を有し、上側部201の下側に設けられた下側部702と、を備える。下側部702の上側の壁部をなす上壁部770Aには、紫外線を照射して氷を殺菌する貯氷タンク側UV殺菌装置773と、紫外線を検知するUV検知装置774と、が設けられている。このような構成により、貯氷タンク770においても貯蔵された氷Iの高さを検知することができ、好適である。尚、本変形例における貯氷タンク側UV殺菌装置773は、スパウト251に設けられたUV殺菌装置(上記実施形態2参照)とは別に設けられているものとする。
【0053】
下側部702には、外部側に回動して開扉可能な扉部703が設けられている。扉部703は、その上端部において、紙面奥手前方向に延在する把持部704を備える。製氷機700の使用者は、把持部704を把持して扉部703を開扉することで、貯氷タンク770の内部に貯蔵された氷Iをスコップ等で取り出すことができる。把持部704は、扉部703の上端部から上方に延びてその先端が外側下方に返った断面視鉤状をなしている。把持部704の下端部には、上方(当該把持部704の上側の先端)に向けて紫外線を照射する把持部側UV殺菌装置775を備える。把持部側UV殺菌装置775は、紙面奥手前方向に延在する長尺状をなしており、紫外線を照射する複数のLEDが帯状の基盤に配されてなるものとされる。このような把持部側UV殺菌装置775としては、バーライトタイプのLEDモジュールや、フレキシブル基盤を用いたテープライトモジュールを採用することができる。このような把持部側UV殺菌装置775において、紫外線が透過する部分は、石英ガラスやフッ化カルシウム等の紫外線透過率が比較的高い材質を用いることが好ましい。尚、把持部側UV殺菌装置775は、把持部704の下端部に限られず、把持部704の上側の先端部に配されていてもよい。このような構成により、使用者が把持する把持部704において菌が繁殖することを防ぎ、把持部704を清潔な状態に保つことができる。尚、把持部側UV殺菌装置775には、可視光を照射する複数のLED(可視光LED)が更に配されていてもよい。この場合、制御部は、製氷機700の状態(製氷中、貯氷タンクに氷が満たされている状態、異常停止中、又は内部の清掃を要する状態等)によって可視光LEDの色や明るさを変更するものとしてもよい。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0055】
(1)上記実施形態以外にも、UV殺菌装置の位置は適宜変更可動である。上記実施形態2では、UV殺菌装置は、上壁部251Aに設けられているものとしたが、これに限られない。例えば、UV殺菌装置は、下壁部251Cに設けられていてもよい。これにより、スパウトを移動する氷がUV殺菌装置上を摺動する形で移動するため、殺菌効果を向上することができる。また、当該移動する氷によってUV殺菌装置上に付着した菌や汚れが洗い流されるので、好適である。
【0056】
(2)上記実施形態2では、成形部材223は、4つの分割部223Aと4つの氷通過経路Pとを備えるものとしたが、これに限られない。例えば、6つの分割部と6つの氷通過経路とを備えていてもよい。また、各分割部は、互いに異なる大きさであってもよい。
【0057】
(3)上記実施形態以外にも、制御部が各部を制御する手段は適宜変更可能である。例えば、制御部は、製氷部において生成された氷が排出口部から通路部に送り出され始めたときに、UV殺菌装置をOFFからONに切り替えるものとしてもよい。この場合、制御部は、圧縮機が起動してからの経過時間、蒸発器の入口又は出口の温度、及びギアモータ電流等に基づいて、氷が通路部に送り出され始めたか否かを判定するものとしてもよい。
【0058】
(4)上記実施形態以外にも、製氷機の製氷態様は適宜変更可能である。上記実施形態では、製氷機は、オーガ式としたが、これに限られない。例えば、製氷機は、噴流式や流下式であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10,200,600,700…製氷機、20,220,420,520…製氷部、23A,223A…分割部、27,227,527…排出口部、28,228,428,528…回転体(カッタ)、50,250,350,450,550,650…通路部、52R1…開口部、70,270,770…貯氷タンク、70A,70B,70C,270A,770A…壁部、675…氷検知装置、73…UV殺菌装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11